JPH097160A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH097160A
JPH097160A JP18067095A JP18067095A JPH097160A JP H097160 A JPH097160 A JP H097160A JP 18067095 A JP18067095 A JP 18067095A JP 18067095 A JP18067095 A JP 18067095A JP H097160 A JPH097160 A JP H097160A
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magnetic
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magnetic recording
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carboxylic acid
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JP18067095A
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁
性層2を有する磁気記録媒体において、前記結合剤の少
なくとも一部分が、カルボン酸アミン塩構造を有する極
性基を具備したポリウレタン樹脂からなっていることを
特徴とする磁気記録媒体。 【効果】 磁性粉の分散性を改善し、高電磁変換特性を
有する磁気記録媒体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性粉と結合剤とを主
成分として含有した磁性層を有する磁気テープ、磁気デ
ィスク等の磁気記録媒体(特に、磁性塗膜を磁性層とし
て有する塗布型磁気記録媒体)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオーディ
オ機器、ビデオ機器、コンピュータ等に用いられ、その
需要は著しく伸びてきている。
【0003】こうした磁気記録媒体は、一般に、ポリエ
ステルフィルム等の非磁性支持体上に、磁性粉末と結合
剤とからなる磁性層が設けられた構造を有している。そ
して、この磁性層は、通常、結合剤を含有する組成物中
に磁性粉末を分散させた磁性塗料を非磁性支持体に塗布
したり、或いは転写することによって形成されている。
【0004】ビデオテープ等の磁気記録媒体において
は、高記録密度化、高画質化に関する検討が盛んに行わ
れている。高記録密度化、高画質化に関して近年、蒸着
テープ等の薄膜媒体が提案され、Hi−8ビデオ等一部
のフォーマットにて実用されているが、価格等の点で上
記した塗布型媒体が主流を占めている。
【0005】従来、塗布型媒体の磁性層に用いられる結
合剤としては、例えばポリエステル系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリ
デン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、セル
ロースアセテートブチレート、アクリル系樹脂、電子線
硬化型樹脂等の有機高分子化合物が挙げられる。
【0006】これらの結合剤はそれぞれ、長所及び短所
を有しており、単独使用では望ましい性質を有する磁性
層が得られにくいため、通常は2種類以上を組み合わせ
て用いている。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリビニル
ブチラール、ニトロセルロース等の比較的硬い樹脂と、
ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体等の軟質樹脂とが組み合わ
されて使用されることが多く、また、磁性層の耐久性を
向上させる目的で、硬化性成分としてポリイソシアネー
ト化合物を使用する例も多い。
【0007】近年、磁気記録媒体の記録密度の向上やS
/N比の改良の要求に伴い、強磁性粉末は一層微細化、
高磁力化、高抗磁力化してきている。従って、そうした
磁性粉末を均質に磁性塗料中に分散させ、平滑で充填度
の高い磁性層を形成して、記録媒体としての性能の向上
を達成するためには、結合剤の分散性能が極めて重要な
因子となる。
【0008】これまで、強磁性粉末の分散性を向上させ
る方法としては、通常、低分子量の界面活性剤等の分散
剤を用いる方法がある。しかし、このような分散剤を多
量に用いると、磁気記録媒体の耐久性やヘッド汚れ等、
好ましくない事態を招くため、その使用量が制限される
のを免れず、この結果、十分な分散性が得られない。こ
のため、磁気記録媒体の信頼性の向上の点からも、結合
剤自体に高度の分散能を有することが要求されている。
【0009】一方、磁気記録媒体の耐久性や信頼性を高
めるために、ポリイソシアネート化合物等の硬化性化合
物を磁性塗料中に含有させ、磁性層を架橋して塗膜化す
ることが、特に録画用磁気テープの分野において慣用的
に採用されている。この場合、結合剤には、ポリイソシ
アネート化合物等の架橋剤と適当な反応性を有すること
が要求される。
【0010】このような要求に応える結合剤として、S
3 M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 (Mはアル
カリ金属又はアンモニウム基)等、イオウやリンを含む
塩型強酸基等の親水性基を含む塩化ビニル系樹脂が、強
磁性粉末の分散能や分散安定性に優れ、かつ分子間力の
強さに基づく高い強度等の点から、広く用いられてい
る。
【0011】しかし、これらの良好とされる結合剤を選
んでも、高密度記録のために強磁性粉末の粒子サイズを
微細にすればするほど分散が困難になり、磁性塗料を調
製する際の混練分散工程は長時間を要している。この混
練分散工程では、強磁性粉末と結合剤樹脂に高い剪断力
がかかり、長時間苛酷な条件にさらされるため、強磁性
粉末の特性が損なわれることがある。また、結合剤から
の分解生成物、特に塩化ビニル系共重合体においては脱
塩酸より生成した塩酸が、磁性粉末の劣化を引き起こす
ことがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況か
ら、本発明の目的は、 1.強磁性微粉末等の分散性に優れる。 2.安定性に優れる。 3.磁性塗料等に用いられる有機溶剤に対する溶解性が
良い。 という諸特性を兼備した磁気記録媒体用の結合剤を開発
し、これによって優れた特性を有する新規な磁気記録媒
体、特に磁性粉の分散性を改善し、高電磁変換特性を有
する磁気記録媒体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、無機物
粒子と結合剤とを主成分として含有した媒体構成層(特
に、磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁性層)
を有する磁気記録媒体において、前記結合剤の少なくと
も一部分が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を
具備した高分子化合物からなっていることを特徴とする
磁気記録媒体に係るものである。
【0014】本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層等
の媒体構成層の結合剤の少なくとも一部分(全部であっ
てもよい。)を占める高分子化合物が、カルボン酸アミ
ン塩構造を有する極性基を具備しているので、この極性
基が、従来の極性基と比較して、磁性層等の形成に用い
る塗料(特に微粒子磁性粉を用いた磁性塗料)中での磁
性粉の分散性を優れたものとすることができ、特に高記
録密度化に対応する微粒子磁性粉を分散させ、空隙率を
減少させ、高配向させることができる。その結果、磁気
記録媒体を作製した場合において、良好な分散性を持
ち、電磁変換特性及び磁気特性に非常に優れたものとな
る。
【0015】特に、本発明者は、上述の目的を達成せん
ものと鋭意研究を重ねた結果、分子中に4級アンモニウ
ム基を持つ高分子化合物に対して長鎖カルボン酸を反応
させること(或いは、分子中に長鎖カルボキシル基を持
つ高分子化合物に対して4級アンモニウム塩を反応させ
ること)によって、下記一般式〔I〕で表されるカルボ
ン酸アンモニウム塩を極性基とした高分子化合物、特に
ポリウレタン樹脂が、磁性粉の分散性に非常に優れ、上
記した本発明の目的に十二分に適合する磁気記録媒体が
得られることを見出した。 一般式〔I〕: −N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又は R5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- CO− (但し、この一般式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR
5 は水素原子、又は置換基を有していてもよい互いに同
一の若しくは異なる炭化水素基又はその誘導体であ
る。)
【0016】こうしたカルボン酸アンモニウム塩を極性
基とする高分子化合物は、下記一般式〔II〕で表すこと
ができる。 一般式〔II〕: R−N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又は R5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- COR’ (但し、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は上記したも
のと同じであり、R及びR’はポリウレタン樹脂等の高
分子化合物の分子中に含まれるバックボーンポリマー
(主鎖高分子)部分である。)
【0017】上記一般式〔I〕及び〔II〕において、R
1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は長鎖炭化水素基である
のがよいが、その炭素数は合成の容易さからみて10以下
であるのが望ましい。また、それらの構造は特に限定さ
れるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基
をはじめ、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基等の炭素数10以下のもの、更にはウンデシル基、ドデ
シル基等であってもよい。これらは直鎖状、分岐状を問
わず、また同一炭素数のアルケニル基であってもよい。
そして、R1 〜R5 はハロゲン原子等の置換基を有して
いてもよい。
【0018】また、R及びR’で表されるバックボーン
ポリマー部分は、分子構造は特に限定されるものではな
いが、芳香族基、脂肪族又は脂環式の炭化水素基、或い
は復素元素を含有してもよい。その分子構造は、ポリエ
ステルポリウレタン構造の他に、ポリカーボネートポリ
ウレタン構造、ポリエーテルポリウレタン構造等であっ
てよい。
【0019】本発明の磁気記録媒体は、実際には、非磁
性支持体上に少なくとも磁性層を有し、この磁性層に含
有される結合剤が、カルボン酸アミン塩構造(特に上記
の4級アンモニウム塩)を有する極性基をポリマーに対
して5〜1,000 当量/106g具備し、このような結合剤樹
脂に磁性粉粒子を均一に分散、含有させた磁性層等を有
することが望ましい。また、このようなカルボン酸アミ
ン塩を有する極性基を具備した高分子化合物は、ポリウ
レタン構造を持つ分子量 5,000〜1,000,000 の高分子化
合物、特にポリウレタン樹脂からなっているのがよい。
【0020】こうした結合剤樹脂、特にポリエステルポ
リウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂は、極性基として
カルボン酸アミン塩構造をポリマー当たり5〜1,000 当
量/106g含有するのがよい。この理由は、ポリマー当た
りのカルボン酸アミン塩量が5当量/106g未満である
と、磁気記録媒体における磁束密度又は分散性の増大が
望めず、また、 1,000当量/106gを超えると、溶剤への
樹脂の溶解性が不良となり、実用性に欠ける傾向があ
る。この極性基量は更に50〜400 当量/106gとするのが
よい。
【0021】本発明の磁気記録媒体において、結合剤で
あるポリウレタン樹脂へのカルボン酸アミン塩基の導入
方法については、以下に例示するが、これに限ったもの
ではないことは言うまでもない。例えば、ポリヒドロキ
シル化合物とポリイソシアネートから合成されるポリウ
レタンにおいて、ポリヒドロキシル化合物の一部をカル
ボン酸4級アンモニウム塩基を持つモノマーから合成す
ることができる。或いは、アミンを持つポリヒドロキシ
ル化合物に対して、アミンを4級アンモニウム化した
後、カルボン酸金属塩と反応させることによっても得る
ことができるし、4級アンモニウム塩構造を持つポリヒ
ドロキシル化合物に対してカルボキシレート又はカルボ
ン酸を反応させることによっても合成が可能である。カ
ルボン酸アミン塩については、1級、2級又は3級アミ
ンに対してカルボン酸を作用させることによって合成す
ることが可能である。
【0022】上記のポリウレタン樹脂は、公知の方法に
よってポリヒドロキシル化合物とポリイソシアネートを
溶剤中又は無溶剤中で反応させることによって得ること
ができるが、ポリイソシアネートのNCO基/ポリヒド
ロキシル基のOH基の比が 0.5〜2であるのがよい。ま
た、得られるポリウレタン樹脂の分子量は 5,000〜1,00
0,000 、特に 5,000〜200,000 の範囲にあることが望ま
しい。この分子量が 5,000未満であると、小さすぎてレ
ベルダウン(出力減衰)等の耐久性に支障をきたし、ま
た分子量が 1,000,000を超えると、大きすぎて塗料とし
たときの粘度が大きくなり、良好に塗布することができ
ないことがある。ポリウレタンの分子構造自体には特に
制限はない。
【0023】上記のポリヒドロキシル化合物を合成する
際に用いられるジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタル
酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−
(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカル
ボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のト
リ又はテトラカルボン酸等が挙げられる。
【0024】また、これらのジカルボン酸成分と反応す
るグリコール成分としては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1.4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4
−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレ
ンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、水素化ビス
フェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシ
ド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等がある。ま
た、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
グリセリン、ペンタエリスリトール等のトリ又はテトラ
オールを併用してもよい。
【0025】本発明で使用可能なポリウレタン樹脂の合
成に使用されるポリイソシアネートとしては、2,4−
トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチ
レンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−6,
6’−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタ
レンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−6,6’
−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジメチル
−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシ
アネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイ
ソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−
キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネー
トメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメ
チルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシ
クロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘ
キシルメタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げら
れるが、必要に応じて2,4,4’−トリイソシアネー
トジフェニル、ベンゼントリイソシアネート等を少量使
用することもできる。
【0026】なお、本発明に使用される結合剤には、上
記のカルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備せし
めることは必須不可欠であるが、これと共に既述したS
3M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 等(MはN
a、K等のアルカリ金属又はアンモニウム基)の親水性
極性基も導入した高分子化合物の使用も可能である。こ
の親水性極性基の量は結合剤1g当たり0.03〜0.3mmol
であってよい。
【0027】また、結合剤に架橋構造を形成するため
に、硬化剤として、ポリイソシアネートを添加してもよ
い。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシア
ネート類、及びこれらのイソシアネート類とトリメチロ
ールプロパン等の多価アルコールとの付加体又はイソシ
アネート類の縮合生成物等を使用することができる。
【0028】本発明に使用可能なポリウレタンの軟化点
が低い場合には、用途によっては走行による摩擦、或い
はヘッドとの接触による摩擦熱で軟化したり、テープを
巻いた状態でブロッキングを起こしたりすることがあ
る。このような場合には、磁性粒子の分散性を損なわな
い範囲内で他の樹脂を添加するか、本発明のポリウレタ
ン樹脂と架橋する化合物を混合してもよい。この混合量
は好ましくはポリウレタン樹脂に対して通常 0.3〜2.0
倍量であるが、なんらこの量に制約は受けない。
【0029】このポリウレタン樹脂に対して混合する樹
脂としては、相溶性のあるものであって、例えば塩化ビ
ニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、
アクリル系樹脂、アセタール系樹脂がある。また架橋す
る化合物としては、エポキシ樹脂、上記の如きイソシア
ネート系樹脂、メラミン樹脂、ポリオール樹脂がある。
【0030】本発明の磁気記録媒体において使用される
磁性粉としては、通常この種の磁気記録媒体の磁性粉末
として用いられるものであれば如何なるものも使用可能
である。例示するならば、強磁性酸化鉄微粒子、強磁性
CrO2 、強磁性コバルトフェライト(CoO−Fe2
3 )、コバルト吸着酸化物、強磁性Fe−Co−Ni
系合金、六方晶系バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒
子を挙げることができる。
【0031】強磁性酸化鉄微粒子の場合、一般式FeO
xで表現したとき、xの値が1.33<x<1.51の範囲にあ
るもの、即ちマグヘマタイト(γ−Fe2 3 、x=1.
5)、マグネタイト(Fe3 4 、x=4/3)及びこれ
らの固溶体が挙げられる。更に、これらの強磁性体酸化
鉄には、抗磁力を上げる目的でコバルトを添加してもよ
い。
【0032】上記の強磁性二酸化クロム(CrO2 )に
は、抗磁力を向上させる目的で、Ru、Sn、Te、S
b、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも1種類を添加
したものを使用することができる。また、強磁性合金粉
末としては、Fe合金粉末、Co合金粉末、Ni合金粉
末、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co
−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金粉末、或
いはこれらの合金と他の元素との化合物である合金粉末
を使用することができる。
【0033】本発明の磁気記録媒体において、磁性層に
は必要に応じて、ジブチルフタレート、トリフェニルフ
ォスフェートのような可塑剤、ジオクチルスルホナトリ
ウムサクシネート、t−ブチルフェノールポリエチレン
エーテル、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラウ
リルサクシネート、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸
エステル類のような炭化水素系潤滑剤、シリコンオイル
のようなシリコン系潤滑剤、パーフルオロポリエーテ
ル、パーフルオロカルボン酸等のフッ素系潤滑剤、カー
ボンブラック等の帯電防止剤、アルミナ等の研磨剤を添
加することもできる。
【0034】また、本発明の磁気記録媒体の非磁性支持
体の素材としては、通常この種の磁気記録媒体に使用さ
れるものであれば如何なるものも使用することが可能で
ある。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン類、セルローストリアセテート、セルロースジア
セテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロ
ース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
ビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリア
ミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミ
ニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等
の軽金属、セラミック、単結晶シリコン等を挙げること
ができる。非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛
性を有する基板を使用した場合には、基板表面にアルマ
イト処理等の酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその
表面を硬くするようにしてもよい。これらの非磁性支持
体の形態としては、フィルム、テープ、シート、ディス
ク、カード、ドラム等のいずれでもよい。
【0035】また、磁性塗料に用いる溶剤としては、メ
チルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、メ
タノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類、
酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、トルエンやベ
ンゼン等の芳香族炭化水素類、四塩化炭素やクロロホル
ム等の塩素化炭化水素類、ジオキサンやジエチレングリ
コールモノエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ
る。
【0036】また、磁性層は単層であってもよいし、2
層以上の多層であってもよい。そして、非磁性支持体上
の磁性層と同じ側に、α−酸化鉄、カーボンブラック、
酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ等の非磁性又は
磁性の非常に小さい粉末と、結合剤とを主体とする下塗
層を設けてもよい。
【0037】以上が本発明の磁気記録媒体の基本的な構
成であるが、磁気記録媒体の構成はこれに限られず、例
えば非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対
側に、非磁性又は磁性の粉末と結合剤とを主体としたバ
ックコート層を形成してもよい。
【0038】バックコート層に用いる非磁性粉末として
は、カーボンブラックを主体とするものが一般的である
が、これ以外にも、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チ
タン、αー酸化鉄等が挙げられる。また、磁性粉末とし
ては、磁性層に用いるものとして上述したもののいずれ
も使用可能である。それらを単独又は組み合わせて用い
てもよい。結合剤及びその他の添加剤としては、磁性層
に用いるものとして上述したもののいずれも使用可能で
あり、それらを単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0039】本発明が適用される磁気記録媒体は、特に
塗布型磁気記録媒体である。また、非磁性支持体の表面
に蒸着等の手法により磁性塗膜が磁性層として形成され
る、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に対してはバッ
クコート層のカーボン粉等の分散に対して適用すること
が可能であり、バックコート層の結合剤に本発明に基づ
くカルボン酸アミン塩構造を導入すればよい。本発明が
適用可能な磁気記録媒体は、非磁性支持体にかかわら
ず、また塗布型の場合には磁性粒子の種類に対して何ら
限定されるものではなく、従来より知られるものが何で
も使用できる。
【0040】本発明の磁気記録媒体は、例えば図1に示
すように、非磁性支持体1上に、磁性層2を形成したも
のである。また、この磁性層とは反対側の支持体面には
バックコート層3が設けられてよいが、これは必ずしも
設ける必要はない。磁性層上にはオーバーコート層を設
けてもよい。
【0041】
【発明の作用効果】本発明によれば、磁性層等の媒体構
成層の結合剤の少なくとも一部分として、上述したカル
ボン酸アミン塩(特に4級アンモニウム塩)構造を極性
基として有する結合剤成分を使用しているので、塗料、
特に微粒子磁性粉を用いた場合の分散性を向上させるこ
とができる。その結果、磁気記録媒体を作成した場合に
おいて、良好な分散性を持ち、電磁変換特性及び磁気特
性に非常に優れたものとなる。これは、従来の極性基
(−SO3 Na等)を有する結合剤を使用した場合に比
べて顕著である。
【0042】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例について説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0043】まず、本実施例で使用するポリエステルポ
リウレタンの合成例について述べると、これは例えば特
開昭54−157603号に示されるような通常のエステル合成
反応によって合成することが可能である。つまり、ジカ
ルボン酸エステルとジオールとを、酢酸ナトリウム又は
酢酸亜鉛を触媒として用いて加熱することによってエス
テル交換を行い、まずポリエステルポリオールを得るこ
とができる。下記の表1には、新規に合成したポリエス
テルポリオールを合成物1〜7としてまとめて示す。
【0044】次に、このポリエステルポリオールとジフ
ェニルメタンジイソシアネートに対してジブチル錫ジラ
ウレートを触媒として加え、70℃〜90℃で10時間反応さ
せることによって、下記の表2にまとめたポリエステル
ポリウレタンI〜VIIIを得ることができる。
【0045】 *5−トリメチルアミノイソフタル酸 (カルボン酸4級アンモニウム塩基を有するモノマー)
【0046】
【0047】
【0048】次に、上記の表2に示すポリウレタンバイ
ンダーI〜VII を使用して、以下に示す磁気記録媒体を
作成した。メタル磁性粉を含有した塗布型テープに適用
した実施例について説明する。
【0049】実施例1 金属磁性粉(Fe系、長軸長 0.1μm) 100重量部 ポリウレタンI 20重量部 カーボン(帯電防止剤) 5重量部 メチルエチルケトン 150重量部 メチルイソブチルケトン 150重量部
【0050】磁性粉としては、磁気記録の高記録密度化
に必要な微粒子磁性粉、つまり長軸長 0.1μmの磁性粉
を用いている。上記組成物を基本組成物とし、ボールミ
ルにて24時間混合してからフィルターを通して取り出
し、更に硬化剤としてコロネートL(日本ポリウレタン
社製ポリイソシアネート)を4重量部添加して30分間攪
拌した。
【0051】この磁性塗料を12μm厚のポリエチレンフ
レフタレートベース上に乾燥後の厚みが2μmとなるよ
うに塗布し、磁場配向を行った後、乾燥し、巻き取っ
た。これをカレンダー処理した後、8mm幅に裁断するこ
とによってサンプルテープを作製した。
【0052】実施例2〜実施例7 上記の表1中のポリウレタンバインダーII〜VII を用い
て、他は実施例1と同様の方法により各サンプルテープ
を作製した。
【0053】比較例1及び比較例2 また、比較例1として、上記の表2に示したと同様にし
て合成したが、極性基(カルボン酸アミン塩)を持たな
いポリウレタンバインダーVIIIを用い、他は実施例1と
同様にして比較テープを得た。また、比較例2として、
極性基量は実施例1と同じ含有量であるが、その極性基
がスルホン酸ナトリウムであるポリウレタンを用い、他
は実施例1と同様にして比較テープを得た。
【0054】以上の各例によるテープに関して、下記の
要領で表面光沢性(グロス)、磁気特性、分散配向性及
び空隙率の測定を行った。その結果を下記の表3Aに示
す。
【0055】実施例8〜実施例12 上記の表1中のポリウレタンバインダーIにおいて、T
MIの量を変え、極性基(カルボン酸アミン塩)の量を
3当量/106g(実施例8)、 500当量/106g(実施例
9)、 800当量/106g(実施例10)、1000当量/106g
(実施例11)、1100当量/106g(実施例12)とし、他は
実施例1と同様にして各サンプルテープを作製した。
【0056】これらの例についても、上記と同様の特性
を測定し、結果を下記の表3Bに示す。
【0057】表面光沢性:磁性塗料塗布後の試料用フィ
ルム(カレンダー処理なし)の光沢度を塗布方向と直角
に入射角60°で測定し、標準板を 100%として表示し
た。
【0058】磁気特性:「VSM」(東英工業社製、V
SM−3S)で角型比(Rs)、最大磁束密度(Bm)
を測定。
【0059】空隙率:磁性層の断面をとり、層中の気孔
の割合を顕微鏡観察した。
【0060】平滑性:JIS表面粗さ(B0601)に
基づいて中心線平均粗さ(Ra)を求めた。
【0061】 *極性基がスルホン酸ナトリウム。
【0062】
【0063】上記の表3に示す結果から明らかなよう
に、極性基としてカルボン酸アミン塩、或いは4級アン
モニウム塩構造を持つポリウレタンバインダーを使用す
ること(実施例1〜12)により、磁性粉の分散性に優
れ、その結果、磁性層の空隙率が少なく、また磁気特性
に優れた(即ち、分散配向性或いは磁束密度の高い)磁
気テープを得ることができた。この結果、高記録密度化
に必要な、磁性粉の長軸長が 0.1μm以下の微粒子粉を
も高分散させることができるバインダーシステムとする
ことが可能となった。また、この効果は、上記の極性基
の量がバインダーのポリマーに対し5〜1,000 当量/10
6g、特に50〜400 当量/106gにおいて良好に発揮される
ことが分かる。また、バインダーの分子量も 5,000〜1,
000,000 、特に 5,000〜200,000 がよいことも確認され
た。
【0064】なお、実施例1においてTMIに代えて、
カルボン酸4級アンモニウム塩基を有する他のモノマー
から得られるポリウレタンを用い、他は同様にして得た
磁気テープも、実施例1と同等の優れた結果を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく磁気記録媒体の一例の断面図で
ある。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体 2・・・磁性層 3・・・バックコート層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物粒子と結合剤とを主成分として含
    有した媒体構成層を有する磁気記録媒体において、前記
    結合剤の少なくとも一部分が、カルボン酸アミン塩構造
    を有する極性基を具備した高分子化合物からなっている
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 媒体構成層が、磁性粉と結合剤とを主成
    分として含有した磁性層である、請求項1に記載した磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有
    し、この磁性層に含有される結合剤が、カルボン酸アミ
    ン塩構造を有する極性基をポリマーに対して5〜1,000
    当量/106g具備している、請求項2に記載した磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 カルボン酸アミン塩構造を有する極性基
    を具備した高分子化合物が、ポリウレタン構造を持つ分
    子量 5,000〜1,000,000 の高分子化合物である、請求項
    1〜3のいずれか1項に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 高分子化合物がポリウレタン樹脂であ
    る、請求項4に記載した磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 カルボン酸アミン塩構造を有する極性基
    が下記の一般式〔I〕で表される、請求項1に記載した
    磁気記録媒体。 一般式〔I〕: −N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又は R5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- CO− (但し、この一般式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR
    5 は水素原子、又は置換基を有していてもよい互いに同
    一の若しくは異なる炭化水素基又はその誘導体であ
    る。)
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