JPH0971448A - 焼却灰を含有するポリマーコンクリート及びポリマーコンクリート製二次製品 - Google Patents

焼却灰を含有するポリマーコンクリート及びポリマーコンクリート製二次製品

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JPH0971448A
JPH0971448A JP23129395A JP23129395A JPH0971448A JP H0971448 A JPH0971448 A JP H0971448A JP 23129395 A JP23129395 A JP 23129395A JP 23129395 A JP23129395 A JP 23129395A JP H0971448 A JPH0971448 A JP H0971448A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却灰を骨材として再利用するポリマーコン
クリート及びポリマーコンクリート製二次製品におい
て、焼却灰中に含有する重金属を自然環境中へ溶出する
可能性を低減できるポリマーコンクリート及びポリマー
コンクリート製二次製品を提供する。 【解決手段】 焼却灰及びラジカル重合性単量体を含有
するポリマーコンクリート及びポリマーコンクリート製
二次製品において、当該ポリマーコンクリート及びポリ
マーコンクリート製二次製品中に配位子を含有させるこ
とを特徴とする。また当該ポリマーコンクリート及びポ
リマーコンクリート製二次製品中の吸水率が1.0%以
下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼却灰を含有するこ
とを特徴とするポリマーコンクリート及びポリマーコン
クリート製二次製品に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境の保護あるいは廃棄物処理問題
への対策から、下水汚泥焼却灰及び一般廃棄物焼却灰等
の焼却灰を資源として再利用するための種々の検討がな
されている。再利用する方法の一つとしてポリマーコン
クリートの骨材として使用する方法が挙げられている。
【0003】ポリマーコンクリートは砕石、砂及び炭酸
カルシウム等の骨材を、エポキシ樹脂、不飽和ポリエス
テル系樹脂又はアクリル樹脂等の樹脂により硬化させ
た、骨材及び樹脂成分からなる複合材料である。ポリマ
ーコンクリートは、引張強度、曲げ強度及び圧縮強度等
の力学的性質、耐薬品性、耐水性、耐熱性、接着性、並
びに、電気特性等の性質に優れている。そしてポリマー
コンクリート製二次製品は内部に空隙部分が少なく緻密
であることから、建設材料等の構造材料として工業的に
利用されている。
【0004】このようにポリマーコンクリートは緻密性
の高い材料である。また樹脂成分の種類を検討すること
により、材料特性を比較的自由に変化させることができ
るため、ポリマーコンクリートは焼却灰を再利用する好
適な方法を提供できる。焼却灰を骨材として含有するポ
リマーコンクリートについては、既に特開平6−876
41号公報、特開平6−345506号公報に記載され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】焼却灰は焼却した廃棄
物の種類により、鉛、クロム、水銀、カドミウム、砒素
等の生物に有害な重金属を含有する場合があり、焼却灰
を資源として再利用する場合には、これらの重金属を自
然環境中へ溶出することを極力防止する必要があった。
【0006】しかしながら、上記の先行技術には、ポリ
マーコンクリートからの重金属の溶出防止に対して樹脂
成分が検討されておらず、焼却灰を含有するポリマーコ
ンクリート製二次製品を長期間使用するとポリマーコン
クリートから重金属が溶出して環境汚染を引き起こして
しまうという課題があった。
【0007】本発明者らは、焼却灰を骨材として再利用
したポリマーコンクリートにおいて、重金属の自然環境
中への溶出の可能性を低減したポリマーコンクリート製
二次製品の開発を目指して鋭意検討した結果、ポリマー
コンクリート中に配位子を含有させることによって本発
明を完成できた。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、焼却灰及
びラジカル重合性単量体を主成分とするポリマーコンク
リート中に配位子を含有させることを特徴とするポリマ
ーコンクリート及びポリマーコンクリート製二次製品で
ある。また本発明は吸水率が1.0%以下であることを
特徴とする当該ポリマーコンクリート及びポリマーコン
クリート製二次製品である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の(A) 成分である焼却灰とは焼却することによって
生成した灰をいう。焼却灰を焼却される物質の種類で分
類すると下水汚泥焼却灰及び一般廃棄物焼却灰等があ
り、前処理法の種類で分類すると石灰系焼却灰、高分子
系焼却灰、無薬注焼却灰及び薬注焼却灰等があり、焼却
工程で分類するとボイラボトムダスト、落塵、ガス冷却
室ダスト及び集塵機ダスト等のフライアッシュ、並び
に、焼却残渣があるが、本発明の(A) 成分として用いる
焼却灰には特に制限はない。また焼却灰に加圧固化、焼
成、焼結又は溶融スラグ化等の後処理を施すことによ
り、骨材、軽量骨材等として利用できる加工焼却灰も開
発されているが、本発明ではこのような加工焼却灰も使
用できる。
【0010】本発明では、焼却灰をポリマーコンクリー
トの骨材として使用するが、必要に応じて焼却灰以外の
他の骨材と配合した骨材混合物として使用できる。他の
骨材としてはポリマーコンクリートに使用できれば特に
制限はなく、例えば細砂、粗砂、砂利、砕石、ケイ砂、
パーライト、シラスバルーン、樹脂ビーズ、樹脂ペレッ
ト、発泡ポリスチレンビーズ、フェノールバルーン、ガ
ラス球、中空ガラス球、その他の軽量骨材、ガラス繊
維、炭素繊維、アルミナ繊維、各種ウィスカー、炭酸カ
ルシウム又は水酸化アルミニウム等が挙げられる。他の
骨材と混合した場合、他の骨材の配合割合は骨材混合物
中に95重量%以下であることが好ましい。95重量%
を越えると廃棄物処理の観点から焼却灰を再利用する効
率が悪くなるおそれがある。
【0011】本発明では使用する焼却灰及び他の骨材の
粒子径については特に制限はない。一般に粒子径の小さ
い骨材を用いて製造されたポリマーコンクリートをポリ
マーモルタルと呼称するが、本発明のポリマーコンクリ
ートはポリマーモルタルも含んでいる。
【0012】本発明の(B) 成分であるラジカル重合性単
量体の重合体は骨材同士を結合させる結合材としての役
割を果たす。ラジカル重合性単量体とは、分子内に1つ
以上のビニル基を有する単量体であり、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン若しくはビニルトルエン等の芳
香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル若しくは(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸
エステル単量体、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル
単量体、アクリロニトリル若しくはメタクリロニトリル
等のニトリル類、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロール
プロパンポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールポリ(メタ)アクリレート若しくはジアリルフタレ
ート等の多官能性ビニル単量体、又は、分子内にビニル
基を有するラジカル重合性オリゴマーであるビニルエス
テル樹脂若しくは不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ
る。これらの単量体は単独で使用しても、併用して使用
してもよい。
【0013】本発明でいう配位子とは、金属の原子又は
イオンと配位して錯体を形成できる官能基又は化合物を
いい、例えばキレート剤やキレート樹脂等を指す。ポリ
マーコンクリート中に配位子を含有させた場合、焼却灰
中の重金属は配位子と錯化してポリマーコンクリート内
部に捕捉されるので、重金属がポリマーコンクリート系
外へ溶出することを抑制できる。
【0014】このように配位子を有する官能基として
は、例えば水酸基、カルボン酸、カルボン酸塩、酸無水
物、アルデヒド、ケトン、キノン、エステル、エーテ
ル、アミド、ニトロソ、ニトロ、スルホン酸、スルホン
酸塩、次亜リン酸、亜リン酸、ホスフィン、アミン、オ
キシム、イミン、エナミン、アゾ、シッフ塩基、チオー
ル、チオエーテル、チオアルデヒド、チオケトン又はチ
オカルボン酸等が挙げられる。
【0015】本発明においてポリマーコンクリート中に
配位子を含有させる方法としては以下の2つの方法が挙
げられる。第1の方法は(B) 成分のラジカル重合性単量
体に予め(C) 成分の配位子を有するラジカル重合性単量
体を共重合させる方法である。第2の方法は配位子を共
重合させずに、別途ポリマーコンクリート中に添加させ
る方法である。配位子としてはキレート剤が挙げられ、
具体的には(D) 成分の分子量1000以上の高分子量キ
レート剤又は(E) 成分の分子量1000未満の低分子量
キレート剤が挙げられる。
【0016】ポリマーコンクリート中に配位子を含有さ
せる第1の方法は、(B) 成分のラジカル重合性単量体に
予め(C) 成分の配位子を有するラジカル重合性単量体を
共重合させて、共重合体にしてしまう方法である。(B)
成分のラジカル重合性単量体と(C) 成分の配位子を有す
るラジカル重合性単量体の共重合体は、(B) 成分のラジ
カル重合性単量体の重合体と同等な力学的性質、例えば
ポリマーコンクリートの引張強度、曲げ強度及び圧縮強
度等を示すという特徴を有する。
【0017】このような(C) 成分の配位子を有するラジ
カル重合性単量体として工業的に容易に入手できるもの
としては、例えば以下のものが挙げられる。水酸基を有
するラジカル重合性単量体としては(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシエチル若しくは(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシプロピル等が挙げられ、カルボン酸を有する
ラジカル重合性単量体としては(メタ)アクリル酸、マ
レイン酸若しくはフマル酸等が挙げられ、酸無水物基を
有するラジカル重合性単量体としては無水マレイン酸等
が挙げられ、アルデヒドを有するラジカル重合性単量体
としてはアクロレイン等が挙げられ、エーテル基を有す
るラジカル重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸
ポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸
ポリプロピレングリコールエステル若しくはω−ビニル
−ω’−メトキシポリエチレングリコール等が挙げら
れ、アミド基を有するラジカル重合性単量体としては
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、N,N−ジエチルアクリルアミド若しくはN−イ
ソプロピルアクリルアミド等が挙げられ、アミノ基を有
するラジカル重合性単量体としては(メタ)アクリル酸
ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジ
エチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノプロピルエステル、N,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド若しくはN,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレートが挙げられ、ピリジル基を有する
ラジカル重合性単量体としては4−ビニルピリジン等が
挙げられ、又は、スルホン酸塩を有するラジカル重合性
単量体としてはスチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられ
るが、この限りではない。これらの単量体は単独又は併
用して使用できる。
【0018】また(C) 成分の配位子を有するラジカル重
合性単量体は(B) 成分のラジカル重合性単量体の一部で
あっても全体であってもよい。(B) 成分のラジカル重合
性単量体に(C) 成分の配位子を有するラジカル重合性単
量体を共重合させる配合割合は特に制限はないが、(B)
成分のラジカル重合性単量体に(C) 成分の配位子を有す
るラジカル重合性単量体を共重合させた共重合体中に、
(C) 成分の配位子を有するラジカル重合性単量体が0.
01〜40重量%含有することが好ましい。0.01重
量%未満だと重金属を捕捉する能力が低下するために重
金属が溶出してしまうおそれがあり、40重量%を越え
ると共重合体の吸水性が大きくなるために重金属が溶出
してしまうおそれがある。
【0019】ラジカル重合性単量体に配位子を有するラ
ジカル重合性単量体を共重合させた共重合体を製造する
には、ポリマーコンクリート製造の際、ラジカル重合性
単量体に配位子を有するラジカル重合性単量体を配合し
て共重合させると良い。
【0020】本発明においてポリマーコンクリート中に
配位子を含有させる第2の方法は、(A) 成分の焼却灰及
び(B) 成分のラジカル重合性単量体を含有するポリマー
コンクリート中に、配位子を別途ポリマーコンクリート
中に添加する方法である。この場合には、配位子を有す
るラジカル重合性単量体を(B) 成分のラジカル重合性単
量体に共重合させる必要がない。配位子としてはキレー
ト剤が挙げられ、具体的には(D) 成分の高分子量キレー
ト剤又は(E) 成分の低分子量キレート剤が挙げられる。
【0021】(D) 成分の高分子量キレート剤とは、分子
内に配位子を有する分子量1000以上の化合物をい
う。(D) 成分の高分子量キレート剤は、安価で焼却灰中
の重金属と錯化する能力が高いために、特に重金属がポ
リマーコンクリートから溶出しにくいという特徴を有す
る。工業的に容易に入手できる高分子量キレート剤とし
ては以下のものが挙げられる。例えば、配位子を有する
ラジカル重合性単量体の重合体(例えばポリアクリル酸
ソーダ等)、配位子を有するラジカル重合性単量体とそ
の他のラジカル重合性単量体との共重合体(例えばアク
リル酸ソーダとメタクリル酸メチルとの共重合体等)等
が挙げられる。
【0022】また、配位子を有する官能基の前駆体を分
子内に含有するラジカル重合性単量体(例えば酢酸ビニ
ル等)の重合体を化学的に後処理して製造される高分子
量キレート剤(例えばポリ酢酸ビニルをケン化して製造
したポリビニルアルコール等)も挙げられる。
【0023】更に配位子を有するラジカル重合性単量体
の重合体以外の高分子量キレート剤としては、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチ
レンイミン、ポリアミノ酸若しくはフェノール樹脂等が
挙げられ、天然高分子物質若しくはその誘導体として
は、木粉、茎、葉、樹皮、果実若しくは根等の植物体、
セルロース、リグノセルロース、デンプン、キチン若し
くはヒアルロン酸等の多糖類、キトサン等の天然多糖類
誘導体、家畜等の動物の血液、ケラチン、コラーゲン、
フィブロイン若しくはセリシン糖のタンパク質若しくは
その誘導体、又は、核酸等がある。
【0024】(E) 成分の低分子量キレート剤とは、分子
内に配位子を有する分子量1000未満の低分子化合物
をいう。低分子量キレート剤は特定の重金属を選択的に
錯化できるように分子設計することが容易であるという
特徴を有する。工業的に容易に入手できる低分子量キレ
ート剤としては例えば、1,2−ビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロシンナモイル)ヒドラジン、デカ
メチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド又は3
−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾ
ール等が挙げられる。低分子量キレート剤の分子量の下
限については特に制限はないが、分子量52以上が好ま
しい。なお、分子量の値は、GPCシステム(東ソー社
製 SC−8010)等を使用し、市販の標準ポリスチ
レンで検量線を作成して求めた重量平均分子量(Mw)
から算出できる。
【0025】本発明のポリマーコンクリートに(D) 成分
の分子量1000以上の高分子量キレート剤又は(E) 成
分の分子量1000未満の低分子量キレート剤を配合す
る場合の配合量は、好ましくはポリマーコンクリート中
に0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重
量%である。0.01重量%未満だと重金属を捕捉する
能力が低下するために重金属が溶出してしまうおそれが
あり、10重量%を越えるとポリマーコンクリートの引
張強度、曲げ強度及び圧縮強度等の力学的性質が低下す
るおそれがある。また(C) 成分及び(D) 成分を併せてポ
リマーコンクリート中0.01〜10重量%使用でき
る。
【0026】本発明のポリマーコンクリートの樹脂成分
には、(B) 成分、(C) 成分、(D) 成分又は(E) 成分に加
えて、ポリマーコンクリート製造の際に使用できる公知
の他の物質を配合できる。例えばスチレン−メタクリル
酸メチル共重合体樹脂等の低収縮剤、靭性付与の目的で
加えられる熱可塑性樹脂、エラストマー、可塑剤、シリ
コンオイルやパラフィンワックス類等の内部離型剤、染
料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、耐候剤、又は、シラ
ンカップリング剤やチタネート系カップリング剤等の無
機物表面処理剤等を配合できる。これらの他の物質の中
では低収縮剤が好ましい。樹脂成分に他の物質を混合し
た場合、他の物質の配合割合は樹脂成分中に50重量%
以下であることが好ましく、25重量%以下であること
がより好ましい。50重量%を越えるとポリマーコンク
リートの引張強度、曲げ強度及び圧縮強度等の力学的性
質が低下するおそれがある。また本発明においては内部
離型剤を5重量%以内に配合することも好ましい。
【0027】焼却灰を含有する骨材混合物及び樹脂成分
からなる本発明のポリマーコンクリートの配合割合は、
骨材混合物:樹脂成分=1〜95重量%:99〜5重量
%であることが好ましく、10〜90重量%:90〜1
0重量%であることがより好ましい。骨材混合物が1重
量%未満又は樹脂成分が99重量%を越えると焼却灰を
再利用する効率が悪くなるおそれがある。骨材混合物が
95重量%を越えたり又は樹脂成分が5重量%未満であ
ったりするとポリマーコンクリートの引張強度、曲げ強
度及び圧縮強度等の力学的性質が低下したり、共重合体
の吸水性が大きくなり重金属が溶出したりするおそれが
ある。
【0028】本発明のポリマーコンクリートは、吸水率
が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下で
あることがより好ましい。このことによって、ポリマー
コンクリート中に含有している焼却灰中の重金属が溶出
することを経時的に防止できるという効果を有する。吸
水率が1.0重量%を越えると、この効果が減少するお
それがある。従って本発明のポリマーコンクリートの組
成及び配合量を決定する際には、吸水率が1.0%以下
であるように配慮することが好ましい。
【0029】本発明のポリマーコンクリートの吸水率の
下限値については特に制限はないが、極少量の水分が無
水マレイン酸の加水分解や重金属の錯化能力を向上する
可能性を考えると、吸水率が0.05%以上であること
が好ましい。なお本発明の吸水率はJISK7209に
準拠した方法で23℃にて測定する。
【0030】本発明のポリマーコンクリート中の樹脂成
分は硬化剤により硬化させる。硬化剤はラジカル重合開
始剤として一般的に使用されるものであれば特に制限は
なく、例えばメチルエチルケトンパーオキシドや過酸化
ベンゾイル等の有機過酸化物、無機過酸化物、又は、ア
ゾ化合物等を使用できる。また、重合速度の向上や重合
温度の低下を目的として、トリエチルアミン等の脂肪族
アミン、ジメチルアニリンやジメチルトルイジン等の芳
香族アミン、又は、ナフテン酸コバルトやオクテン酸コ
バルト等のコバルト化合物等の公知の硬化促進剤を硬化
剤と併用してもよい。硬化剤又は硬化促進剤の配合割合
は、好ましくはポリマーコンクリート中に0.01〜1
0重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
0.01重量%未満だと樹脂成分の硬化時間が長くなる
おそれがあり、10重量%を越えると樹脂成分の硬化時
間短縮の効果はみられず、ポリマーコンクリートの引張
強度、曲げ強度及び圧縮強度等の力学的性質が低下する
おそれがある。
【0031】本発明のポリマーコンクリートを使用して
二次製品を作製することができる。このようなポリマー
コンクリート製二次製品は、(A) 成分、(B) 成分、(C)
成分、(D) 成分又は(E) 成分を含有する混合物を所望の
型枠内で固化し賦型することにより作製できる。その製
造方法は特に制限はなく、ポリマーコンクリート製二次
製品を作製できる公知の技術を任意に適用できる。
【0032】その実施態様の一例を以下に述べる。(A)
成分の焼却灰及び砂利等をミキサーで予備混合した骨材
混合物と、(B) 成分の結合材溶液中に(D) 成分の高分子
量キレート剤及び収縮低減剤を溶解させた樹脂シロップ
とをミキサーで混合し、更に硬化剤と促進剤を添加して
混合する。その後この混合物を型枠内に流し込んで常温
硬化あるいは加熱硬化により成形してポリマーコンクリ
ート製二次製品を作製する。樹脂シロップの調製や、骨
材混合物と結合材の混合の際には、ミキサーの内部を減
圧して脱泡すると気泡の少ない緻密なポリマーコンクリ
ートが得られる場合がある。型枠には予めシリコンオイ
ル等の外部離型剤を塗布しておくとよい。
【0033】また別の実施態様としては例えば、焼却灰
と(D) 成分又は(E) 成分を予備混合することにより焼却
灰表面を事前に(D) 成分又は(E) 成分で被覆する方法、
焼却灰を(D) 成分又は(E) 成分と予備混合して粒状の複
合物にしたものを使用する方法が挙げられる。(D) 成分
を使用する際には、(D) 成分の軟化温度以上に加熱しな
がら混練することにより焼却灰と(D) 成分との複合物を
得ることができる。
【0034】ポリマーコンクリート製二次製品の成形方
法には特に制限はなく、遠心成形、注型成形等の公知の
方法を適用できる。ポリマーコンクリートの成形方法に
ついてはいくつかの好ましい実施態様が知られている
が、本発明ではこれらの方法を任意に適用できる。例え
ば、注型成形に際しては、気泡の混入を抑制するため、
型枠内を減圧あるいは加圧すると好ましい場合がある。
また型枠の表面にシリコンオイル等の外部離型剤を塗布
しておくと離型が容易である。また型枠の表面に、本発
明の(B) 成分のラジカル重合性単量体と硬化剤の混合物
からなるゲルコート剤を塗布して予め樹脂の硬化皮膜を
形成させておき、この型枠を成形に用いると表面が美麗
なコンクリート二次製品ができる。
【0035】本発明で作製するポリマーコンクリート製
二次製品としては、マンホール、ハンドホール又はヒュ
ーム管等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。本発明のポリマーコンクリート製二次製品は機械
的な強度が要求される場合が多く、必要に応じて型枠内
部に鉄筋を付設しておき、ポリマーコンクリートと鉄筋
との一体成形もできる。
【0036】
【実施例】次に実施例、比較例をあげて本発明を更に詳
細に説明する。実施例及び比較例で使用した原材料は次
の通りである。 [(A) 成分]地方自治体から入手した下水汚泥焼却灰 [スラグ]20A(ファインセラメント20A第一セメ
ント株式会社製) [ケイ砂] ・N30(株式会社瓢屋製) ・N50(株式会社瓢屋製) ・7号(東北硅砂株式会社製)
【0037】[(B) 成分] ・ブレンマー301(不飽和ポリエステル樹脂、日本油
脂株式会社製) ・MMA:メタクリル酸メチル [(C) 成分] ・2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート ・MAH:無水マレイン酸 ・MAA:メタクリル酸 ・DMAPA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド ・VP:4−ビニルピリジン
【0038】[(D) 成分]高分子量キレート剤 ・ポリアクリル酸ソーダ(アクアリックDL464、分
子量6万、株式会社日本触媒製) ・ポリエチレンイミン(エポミンSP200、分子量1
万、株式会社日本触媒製) ・キトサン(太陽化学株式会社製) ・コラーゲン ・木粉 ・リグノセルロース
【0039】[(E) 成分]低分子量キレート剤 ・イルガノックス(イルガノックスMD1024、1,
2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒ
ドロシンナモイル)ヒドラジン、日本チバガイギー株式
会社製) ・アデカCDA−1(アデカスタブCDA−1、3−
(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾー
ル、旭電化工業株式会社製) ・アデカCDA−6(アデカスタブCDA−6、デカメ
チレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、旭電化
工業株式会社製)
【0040】[硬化剤] ・ナイパーBMT−K−40(ベンゾイルパーオキシ
ド、日本油脂株式会社製) [硬化促進剤] ・アミン:2,4,6−トリ(ジメチルアミノ)トルエ
ン ・コバルト:ナフテン酸コバルト [低収縮剤] ・TX−400(電気化学工業株式会社製スチレン−メ
タクリル酸メチル共重合体樹脂) [内部離型剤]パラフィンワックス(融点56℃) [外部離型剤]シリコンオイル(200スプレー、東レ
ダウコーニング株式会社製)
【0041】(実施例1)事前に充分乾燥した焼却灰、
スラグ及びケイ砂を表1の配合組成で予備混合して骨材
混合物を得た。また(B) 成分のラジカル重合性単量体、
(C) 成分の配位子を有するラジカル重合性単量体、低収
縮剤、硬化促進剤及び内部離型剤を表2〜表3の配合組
成で予備混合して樹脂シロップを得た。次いでこれらの
骨材、樹脂シロップ及び硬化剤溶液を配合し表4〜表7
の配合組成で混合した後、混合物を直ちに外部離型剤を
塗布した縦10cm×横10cm×長さ40cmのステ
ンレス製型枠に流し込んだ。その際にはバイブレータを
用いて型枠に振動を加えて脱泡した。室温で2時間放置
した後脱型して成形物を取り出し、更に室温で数時間放
置して縦10cm×横10cm×長さ40cmのポリマ
ーコンクリート製供試体を得た。この供試体からポリマ
ーコンクリートの試験片を切り出し、これを用いて産業
廃棄物に含まれる金属等の検定方法(環境庁告示13
号)に準じて重金属の溶出試験を行った。その結果を表
4〜表7に示した。但し、実験番号1〜実験番号18は
実施例、実験番号19〜実験番号22は比較例である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】(実施例2)樹脂シロップとして(B) 成分
のラジカル重合性単量体、低収縮剤、硬化促進剤、内部
離型剤、(D) 成分の高分子量キレート剤及び(E) 成分の
低分子量キレート剤を表8〜表9の配合組成で予備混合
したものを使用し、骨材混合物、樹脂シロップ及び硬化
剤溶液を表10〜表11の配合組成で混合したこと以外
は、実施例1と同様に行った。その結果を表10〜表1
1に示した。但し、実験番号23〜実験番号31は実施
例である。
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】(実施例3)実施例1の配合組成でポリマ
ーコンクリート製マンホールを製造し、1年間使用し
た。その後、重金属の溶出試験を実施例1と同様に行
い、長期間使用における重金属溶出の状況を測定した。
その結果を表12に示した。
【0055】
【表12】
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明のポリマーコ
ンクリート及びポリマーコンクリート製二次製品は、長
期間使用してもポリマーコンクリート中の焼却灰から重
金属が溶出することがない。そのために重金属をポリマ
ーコンクリート製二次製品中に閉じこめることができ、
環境汚染を防止できる。また焼却灰の配合量を増やすこ
ともできるので、廃棄物である焼却灰の再利用化及びポ
リマーコンクリートの低価格化、更にポリマーコンクリ
ート製二次製品の低価格化も図れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24:00 103:60 14:06) (72)発明者 柴田 哲保 東京都新宿区西新宿1丁目22番地2号 羽 田ヒューム管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 焼却灰及び(B) ラジカル重合性単量
    体を主成分とするポリマーコンクリート中に配位子を含
    有させることを特徴とするポリマーコンクリート。
  2. 【請求項2】 (B) 成分のラジカル重合性単量体に(C)
    配位子を有するラジカル重合性単量体を共重合させたこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリマーコンクリート。
  3. 【請求項3】 ポリマーコンクリート中に配位子として
    (D) 分子量1000以上の高分子量キレート剤を0.0
    1〜10重量%を含有することを特徴とする請求項1記
    載のポリマーコンクリート。
  4. 【請求項4】 ポリマーコンクリート中に配位子として
    (E) 分子量1000未満の低分子量キレート剤を0.0
    1〜10重量%を含有することを特徴とする請求項1記
    載のポリマーコンクリート。
  5. 【請求項5】 吸水率が1.0%以下であることを特徴
    とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載
    のポリマーコンクリート。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4又は請求項5記載のポリマーコンクリートからなるポ
    リマーコンクリート製二次製品。
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