JPH0970523A - ポリイミド分離膜、およびポリイミド中空糸複合膜の製造方法 - Google Patents

ポリイミド分離膜、およびポリイミド中空糸複合膜の製造方法

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JPH0970523A
JPH0970523A JP22900095A JP22900095A JPH0970523A JP H0970523 A JPH0970523 A JP H0970523A JP 22900095 A JP22900095 A JP 22900095A JP 22900095 A JP22900095 A JP 22900095A JP H0970523 A JPH0970523 A JP H0970523A
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polyimide
membrane
separation membrane
layer
hollow fiber
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JP22900095A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Takatake
正義 高武
Hirotomo Nagata
寛知 永田
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 【化1】 (式中、Rは4価の芳香族残基を表す。)で示される繰
り返し単位を含有してなるポリイミドから形成された緻
密層を有するポリイミド分離膜。 【効果】気体の透過・選択特性に優れた分離膜を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は気体−気体および液
体−気体分離等に適用される気体分離膜として、高透過
性および高分離性能並びに耐熱性、耐久性を兼ね備えた
ポリイミド分離膜に関する。
【0002】膜による物質の分離は、他の分離方法と比
較し、エネルギー的に有利で、装置が小型軽量、機構が
簡単でメンテナンスフリー等の特徴を有する為、各種産
業分野に活発に応用されており、本発明の分離膜は、例
えば空気の酸素/窒素分離、プラットフォーミング法の
オフガスからの水素の分離回収、アンモニア合成時の水
素の分離回収、火力発電やゴミ焼却の廃ガスからの二酸
化炭素の回収や窒素酸化物や硫黄酸化物の除去、油田の
オフガスからの二酸化炭素の回収、天然ガスからの硫化
水素、二酸化炭素等の酸性ガスの除去や水分(水蒸気)
の除去、ランドフィルガスの脱炭酸ガスおよびメタン回
収などの気体/気体分離、空気および有機蒸気の除湿の
ような気体/蒸気分離や蒸気/蒸気分離、有機物水溶液
の脱水、水とアルコールの分離、エステル化反応系から
の水の除去のような揮発性物質混合液体のパーベーパレ
ーション分離、また液体に溶解している気体の除去、液
体中への気体の溶解等に利用される。むろん本発明はこ
れらの用途に限定されるものでは無い。
【0003】
【従来の技術】分離膜の基本要求性能は、(1)分離の
目的とする物質と他の成分との分離性能、(2)物質透
過性能、(3)膜の強度、耐熱、耐久、耐溶剤等の物理
・化学的性能である。膜の物質透過性能は必要膜面積お
よび膜モジュール、装置の大きさ、即ちイニシャルコス
トを主に支配する特性であり、物質透過性能の高い素材
の開発および分離活性層(緻密層)の薄膜化により工業
的に実用可能な性能が実現される。一方膜の物質分離性
能は緻密な膜の場合本質的に膜素材固有の特性であり、
主に分離物質の収率を支配する特性、即ちランニングコ
ストを支配する特性である。
【0004】高分子膜の物質分離特性と透過特性は一般
に相反の関係にあり、透過性に優れた高分子素材は分離
性(選択性と記す場合もある)に劣る。従って、優れた
分離膜を実現するには、相反する両特性のバランスに優
れた膜素材の開発および、緻密な薄膜を形成できる優れ
た成膜特性を有する膜素材の開発が必須である。さら
に、これらの素材を使用した最適な製膜方法の開発も必
須となる。ポリイミド樹脂は他の樹脂と比較し気体透過
・選択特性のバランスに優れ、また耐熱、耐久性等の物
理的、化学的特性に優れていることから、近年ポリイミ
ド分離膜の研究が盛んに行われている。
【0005】特開昭62−244419号公報には、ア
ミン官能基に対しオルト位の全ての位置がアルキル基ま
たは芳香族基で置換されたフェニレンジアミン成分から
得られる気体透過性の高い芳香族ポリイミド膜が開示さ
れている。特開昭63−123420号公報には、アミ
ン官能基に対してオルトのすべての位置に置換基を有す
る2価のフェニレンジアミン残基成分と、ピロメリット
酸および/または、ナフタレンおよび/または4,4’
−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無
水物(以下、6FDAと略記する)の四価の酸二無水物
残基とそれぞれ5%を越えない範囲でその他の特定の2
価のジアミン残基および4価の酸二無水物残基とを共重
合させた芳香族ポリイミドからなる気体分離膜が開示さ
れている。特開平4−293534号公報にはポリイミ
ドを構成する2価のジアミン残基として2つ以上の芳香
族単位が組み込まれている2価のジアミン残基を含有す
るポリイミドから製造されるガス分離膜が開示されてい
る。
【0006】特開平2−261524号公報には4価の
6FDA残基と、アルキル化された2価のビスアニリン
残基とからなるポリイミドを主成分とする気体分離膜が
開示されている。特開平3−106426号公報には、
2価のジアミン残基が2,5−ジ−t−ブチル−1,4
−フェニレンジアミン残基であるポリイミドからなるガ
ス分離膜が開示されている。特開平3−127616号
公報には、酸成分が4価の6FDA残基であり、アミン
成分が芳香族ジアミンと、さらにアリルまたはアリルア
リール基を持つアルケニル化ジアミン残基双方を含むポ
リイミドで形成されるガス分離膜が開示されている。特
開平2−2857号公報には、少なくとも3箇所以上が
水素以外の基で置換された2価のベンジジン残基を有す
るポリイミドによって本質的に構成された芳香族ポリイ
ミド分離膜が開示されている。特開平6−79151号
公報には、ポリイミドのジアミン成分として、2つの芳
香環がメチレン基で連結されており、おのおのの芳香環
に水酸基を一個ずつ有する芳香族ジアミンを使用した分
離膜が開示されている。
【0007】また、緻密層と多孔層が実質的に異なる素
材からなる複合膜は、分離膜として要求される各種特性
をバランス良く保持させる事が可能でありまたその優れ
た量産性により現在最も盛んに研究されている。例えば
特開昭49−62380号公報には、共押出により同種
または異種のポリマーからなる薄い緻密層と多孔層とを
有する逆浸透膜を製造する方法が開示されている。ま
た、ガス分離技術の進展開,(株)東レリサーチセンタ
ー,P39(1990年7月25日発行)には、この製
造方法のガス分離用膜の製造への適用が記述されてい
る。特開昭62−191019号公報には、セルロース
アセテート、セルローストリアセテート、ニトロセルロ
ース等のセルロースエステル系樹脂、ポリアクリルニト
リル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のビニ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の
樹脂濃度が30〜60重量%である種々の濃度の複数の
樹脂溶液を使用し、同心円状に開口した紡糸用口金の内
側から順次濃度を高くした樹脂溶液を同時に押し出し、
複数の層を有する中空糸分離膜を製造する方法が開示さ
れている。
【0008】特開昭平1−99616号公報には、同心
円状の開口部を有する湿式紡糸用ノズルの外部円環開口
部から、濃度0.1〜20重量%の低濃度ポリイミド溶
液と、内部円環開口部から濃度10〜50重量%で且つ
低濃度ポリイミド溶液より少なくとも1重量%以上高い
高濃度ポリイミド溶液とを同時に押し出す事により、再
現性よくポリイミド中空糸分離膜を製造する事が開示さ
れている。特開平2−169019号公報には、同心円
状の開口部を有する湿式紡糸用ノズルから異なる2種の
芳香族ポリイミド溶液を、外部円形開口部へ供給するポ
リイミドについては濃度を7〜25重量%とし、内部円
形開口部に供給するポリイミドについては外部に供給す
るポリイミドより濃度を低くし、且つ5〜25重量%と
して、同時に押し出し湿式紡糸を行う事により均一な表
皮層(緻密層)と多孔層とが一体に形成されている非対
称性の外層と、多孔層のみからなる内層とが同心円状に
一体に形成されている2層構造の中空糸膜を容易に再現
性良く製造する方法が開示されている。特開平4−27
7019号公報には複合膜製造方法として公知の共押出
法により製造された特定のポリアミド樹脂または特定の
ポリイミド樹脂を分離層とする気体分離用複合膜が開示
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述した先行技術に開
示された大半のポリイミドは気体透過性と分離性のバラ
ンスに比較的優れているものの、例えば酸素/窒素分離
膜として実用化する場合にはその分離性は必ずしも十分
ではなかった。また、例えば特開平6−79151号公
報に記載のポリイミドは、気体の分離性に優れているも
のの透過性に劣り、これら樹脂を用いて実用可能な分離
膜を工業的に製造するのは困難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】我々は、優れた気体透過
・選択性を有する分離膜を得るため鋭意研究を重ねた結
果、水酸基を有する特定の芳香族アミン成分由来の2価
の基をその繰り返し単位中に有するポリイミドが分離膜
素材として極めて優れた特性を有する(気体の分離性能
と透過性能のバランスに優れる)事を発見し、本発明に
至った。
【0011】即ち第一の発明は、下記一般式(1)
【0012】
【化5】
【0013】(式中、Rは4価の芳香族残基を表す。)
で示される繰り返し単位を含有してなるポリイミドから
形成された緻密層を有するポリイミド分離膜に関する。
【0014】以下本発明をさらに詳しく説明する。ポリ
イミドは一般にテトラカルボン酸二無水物成分と、ジア
ミンまたはジイソシアナートまたはこれらの誘導体を、
必要に応じて適当な反応助剤を添加した溶媒中で等モル
量で重合させることにより得られ、酸成分に由来する4
価の残基とアミン成分等に由来する2価の残基で構成さ
れた繰り返し単位を有する。ポリイミドの製造方法とし
て一般に行われている方法は、酸二無水物とジアミンを
N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン
等の極性溶媒中で混合重合させポリアミド酸を形成させ
た後、これをさらに脱水閉環イミド化する方法である。
この閉環方法として、加熱閉環させイミド環を形成する
いわゆる熱イミド化法や、ポリアミド酸の反応溶液にさ
らに無水酢酸、塩化チオニル、トリフルオロ酢酸無水
物、およびピリジン、トリエチルアミン、安息香酸等の
一種以上の反応助剤を加え化学的に縮重合させイミド環
を形成させるいわゆる化学イミド化法が一般に行われ
る。むろん本発明のポリイミドはこれら合成方法になん
ら制限されるものでは無い。
【0015】本発明の分離膜は、一般式(1)で示され
る繰り返し単位を含有してなるポリイミドから形成され
る。一般式(1)中の酸成分に由来する4価の芳香族残
基Rは、例えば4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピ
リデン)ジフタル酸無水物(以下6FDAと略記す
る)、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,
4'−ビフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水
物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボ
ン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカル
ボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカル
ボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンドロト
リメリテート)、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,
4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等
の群から選ばれる一種以上のテトラカルボン酸二無水物
およびその誘導体由来の4価の残基が好適に挙げられ
る。好ましくは6FDA由来の4価の基である。従っ
て、本発明の緻密層を形成するポリイミドとしては好ま
しくは、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を含
有するものである。
【0016】
【化6】
【0017】二種以上の酸二無水物成分を併用する場
合、ポリイミドは2種以上の異なった4価の残基を有す
る2種以上の繰り返し単位からなるいわゆる共重合体と
なる。
【0018】本発明の分離膜の緻密層を形成するポリイ
ミドは、その繰り返し単位中に下記一般式(3)
【0019】
【化7】
【0020】で示される、2価の残基を必須成分として
含有している事を特徴とする。この2価の残基を形成す
るジアミン成分としては、3,3’−ジヒドロキシ−
4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノ−
4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好適に挙げられ
る。
【0021】本発明の分離膜の緻密層は、一般式(1)
で示される繰り返し単位からなるポリイミドと、該ポリ
イミド以外のポリイミドとの共重合体であってもよい。
本発明の分離膜の緻密層は、一般式(1)で示される繰
り返し単位を40モル%〜100モル%含有するポリイ
ミドが好ましく、さらに60モル%〜100モル%含有
するポリイミドがより好ましい。
【0022】共重合体とする場合、一般式(3)で示さ
れる2価の残基を形成するジアミン成分以外のジアミン
成分は、目的とする、分離係数と透過速度のバランスを
考慮にいれて選択すればよい。例えば多少分離係数がお
ちても透過速度を上げたい場合は、透過速度の高いポリ
イミドを形成するようなジアミンを選択すればよいし、
その逆を希望する場合はそのようなジアミンを選択すれ
ばよい。従って、一般式(3)で示される残基を形成す
るジアミン成分と共に使用できるジアミン成分は、酸二
無水物成分と反応し成膜可能なポリイミドを生成するも
のであれば良く、ポリイミドの重合に一般に用いられる
全てのジアミンが実質的に使用できる。例えば、m−フ
ェニレンジアミン等のフェニレンジアミン、またはこの
ベンゼン環骨格の水素の一部をアルキル基、水酸基、カ
ルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン等で
置換した、例えば2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジ
メチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4,6−トリ
メチル−1,3−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,
5−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェ
ニレンジアミン、2−クロロ−5−メチル−1,4−フ
ェニレンジアミン、3−トリフルオロメチル−1,5−
フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,
4−ジアミノフェノール等またはこれらの各種異性体
や、1,5−ナフタレンジアミン、9,9−ビス(4−ア
ミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ
フェニル)−4−カルボキシフルオレン、9,10−ビ
ス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,6−ジア
ミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノ
ン、3,3'−ジメチルナフチジンや、
【0023】二個以上のベンゼン環をエーテル基、チオ
エーテル基、カルボニル基、スルフォン基、スルフィド
基、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロ
イソプロピリデン基、アミノ基、アミド基等で結合した
ジアミン成分またはこれらのベンゼン環水素の一部をア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン、カル
ボキシル基、水酸基等で置換した、例えば4,4'−ジア
ミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−
ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノ−
2,2'−ジメチルジフェニルスルフォン、4,4'−ジア
ミノ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフォン、4,4'
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル
ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3',5,5'
−テトラメチルジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−
3,3'−ジメチル−5,5'−ジエチルジフェニルメタ
ン、4,4'−ジアミノ−3,3',5,5'−テトラエチル
ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジクロ
ロジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジエ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−アミノ−3−メチル−5−エチルフェニル)プロパ
ン、
【0024】2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミ
ノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミ
ノベンズアニリド、O−トルイジンスルフォン、ジベン
ゾチオフェン−3,7−ジアミン−5,5'−ジオキシ
ド、3,6−ジアミノカルバゾール、2,7−ジアミノフ
ルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]スルフォン、4,4'−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,
4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス[2−
アミノフェノール]等や、ベンジジンおよびベンジジン
骨格の水素をアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ト
リフルオロメチル基等で置換した例えば、2,2',6,
6'−トリメチルベンジジン、3,3'−ジメチルベンジ
ジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、2,2'−ジクロ
ロ−5,5'−ジメトキシベンジジン、2,2'−ビス(ト
リフルオロメチル)ベンジジン、その他アミノ官能シラ
ンやシロキサン等の群から選ばれた一種以上の成分が使
用可能である。
【0025】本発明に記述の緻密層とは、酸素、窒素、
水素等の非凝集性気体の膜透過の機構が高々クヌーセン
流れ律速となる孔径以下の連通孔しか実質的に存在せ
ず、且つ連通孔の開孔率が面積比で1×10ー3以下、好
ましくは1×10ー4以下、さらに好ましくは1×10ー6
以下であり、最も好ましく連通孔が実質的に存在せず気
体の膜透過機構が溶解−拡散律速となる緻密な薄膜層で
あり、その厚さは薄いほど好ましく、好ましくは2μm
〜0.02μmであり、さらに好ましくは0.5μm〜
0.02μmであり、最も好ましくは0.1μm〜0.0
2μmである。緻密層に存在する連通孔径が高々クヌー
セン流れとなる孔径以下である事は、例えば、分離する
混合気体として酸素と窒素の混合気体を使用した場合、
膜を透過する両気体の透過速度の比が誤差の範囲内で
0.935以上となる事により容易に確認できる。
【0026】緻密層の形成位置には特に制限は無く、例
えば片側表面または両側表面に形成されていても良い。
好ましくは、膜の片側表面に形成されていることが良
い。本発明のポリイミドからなる緻密層を有する分離膜
の、製造方法、膜形態および膜形状には特に制限はな
い。例えば製造方法としては、湿式紡糸法、乾式紡糸
法、乾湿式紡糸法、水面展開法、溶媒キャスト法、コー
ティング法、界面重合法等を適宜応用して得る事ができ
る。また、膜形態としては対称膜、非対称膜のいずれで
もよいが、膜の強度、耐久性、気体透過・選択特性等の
特性をバランス良く保有できる非対称膜形態が好まし
い。このような非対称膜として、例えば緻密層と多孔質
支持層が同一の素材からなるいわゆる不均質膜や、緻密
層をこれと異なる素材からなる多孔質支持層上に保持し
たいわゆる複合膜が好適にあげられる。また膜形状とし
ては平膜状、管状、中空糸状等のいずれでも良いが、少
ない占有面積で大きな膜面積を得る事のできる中空糸膜
が好ましい。中空糸膜としては、中空糸内径が130〜
400μm、外径が200〜800μmのものが好まし
い。本発明の分離膜の最も好ましい形態、形状は中空糸
複合膜である。
【0027】本発明の中空糸複合膜は、実質的な緻密層
を有する高分子層と多孔質支持層とからなり、高分子層
は本発明のポリイミドから形成され、多孔質支持層はこ
れと実質的に異なった高分子から形成されている事を特
徴とする。本発明に記載の実質的な緻密層を有する高分
子層の膜形態は均質構造でも良いが、分離活性層となる
薄い緻密層とこれを支持する多孔質層を有するいわゆる
非対称膜構造であることが好ましい。ポリイミドからな
る高分子層の多孔質構造部は、気体の透過抵抗が、その
緻密層と比較し実質的に無視できる程度に小さくなるよ
う、多孔質構造部を形成する各微多孔が、実質的に連通
孔である事が好ましい。また該高分子層の厚さは、膜厚
全体の5%〜50%で且つ5〜30μmである事が好ま
しい。
【0028】本発明はまた、各実用用途に最適な寸法を
有する中空糸複合膜を提供する。例えば、中空糸の内部
加圧方式で空気中の酸素と窒素の分離用途に実用する場
合、膜強度、耐久性、圧縮空気の圧力損失、糸占有断面
積(モジュールの大きさ)等の制限要素により、中空糸
内径が130μm〜400μmであり、外径が200μ
m〜800μmであり、中空糸膜の物理的強度を実質的
に受け持つ多孔質支持層の膜厚が40μm〜300μ
m、高分子層が5μm〜30μmである好ましい中空糸
複合膜を提供できる。
【0029】本発明の中空糸複合膜の多孔質支持層は、
本発明のポリイミドからなる高分子層と十分に接着して
おり、実用に耐え得る十分な機械的強度、耐久性、耐熱
性等の優れた物理的特性および、耐薬品性、耐候性等の
優れた化学的特性を有し、各種分離対象物の透過抵抗が
十分に小くなるよう連通細孔が多数形成されている事を
特徴とする。細孔の形状、空孔率等には特に制限はな
く、いわゆるフィンガーライク状および/またはスポン
ジライクでも良い。
【0030】これら特性が必要とされる多孔質支持層に
適用できる樹脂として例えば、本発明のポリイミドと相
溶性を有する各種芳香族ポリアミド、ポリスルフォン、
またはこれらの混合体が挙げられる。好ましくは芳香族
ポリアミドまたは、芳香族ポリアミドとポリスルフォン
の混合体である。
【0031】本発明でいう芳香族ポリアミドとは、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の
紡糸ドープの調製に使用される一般的な溶剤に実質的に
可溶のものを言い、特に好ましくは、ポリ(m−フェニ
レンイソフタルアミド)から実質的になる芳香族ポリア
ミドである。ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)
は、耐熱性に優れ、可撓性に富んだ強靱な多孔膜を形成
し、また紡糸ドープ用の一般的な溶剤に良く溶解し、さ
らに本発明の緻密層を形成するポリイミドとドープ状態
で極めて良好な相溶性を有し、従って本発明のポリイミ
ドからなる高分子層との界面での剥離が全くない複合膜
を容易に量産でき、特に好ましい多孔質支持層用重合体
である。
【0032】また本発明でいうポリスルフォン(ポリサ
ルフォンとも呼ぶ)とはパラフェニレンユニットおよび
/またはパラビフェニレンユニットがスルフォン基とエ
ーテル基および/またはイソプロピリデン基で結合され
た繰り返し単位で構成された、製膜可能な分子量有する
実質的に非結晶性のポリマーであり、例えばポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリルサルフォン
等が挙げられる。これらもまた、本発明の緻密層を形成
するポリイミドと相溶性が良い。
【0033】また、紡糸ドープの経時安定性、粘度調
節、凝固形成される細孔の連通孔化の促進等を目的とし
て、必要に応じてポリスルフォンを該ポリアミドに少量
混合した混合体を好適に用いる事ができる。この際ポリ
スルフォンの混合割合は5〜40wt%である事が好ま
しく、さらに好ましくは5〜25wt%である。
【0034】また本発明の複合膜には、必要に応じ、複
合膜の緻密層にわずかに発生したピンホール(連通微細
孔)を塞ぐために、シリコーンやポリアセチレン等の気
体透過性の高い素材で緻密層表面をコーティングまたは
目止め処理を行っても良いし、気体の選択性をより高め
るために、該緻密層に塩素ガス、フッ素ガス、塩素化合
物、フッ素化合物等による表面処理やプラズマ処理を施
しても良い。本発明の分離膜は、特に酸素と窒素の分離
性に優れる上、酸素の透過速度がはやく、分離、透過性
のバランスに優れる。
【0035】また第二の発明は、下記一般式(1)
【0036】
【化8】
【0037】(式中、Rは4価の芳香族残基を表す。)
で示される繰り返し単位を含有する緻密層形成用ポリイ
ミドのドープ(a)と、多孔質支持層形成用重合体のド
ープ(b)とを、多重円環ノズルを用いて、同時に多層
構造の中空糸状に共押し出しを行い、次いで凝固液と接
触させて凝固させた後、乾燥することを特徴とするポリ
イミド中空糸複合膜の製造方法に関する。
【0038】本発明の製造方法によれば、緻密層を有す
る本発明のポリイミドからなる高分子層と、該ポリイミ
ド素材と実質的に異なった高分子から形成された多孔質
支持層とを有する中空糸複合膜を工業生産レベルで提供
できる。
【0039】本発明のポリイミドからなる高分子層は、
分離対象物質の分離活性層となる実質的に連通孔を有さ
ない緻密層と多孔質構造部を有するいわゆる非対称膜構
造であってもよく、また紡糸ドープの溶剤組成、紡糸条
件等を適宜調整する事により得られる該高分子層が緻密
層のみから形成されたいわゆる均質膜構造であってもよ
い。緻密層をより薄く製造できる点から、非対称膜構造
の高分子層がより好ましい。
【0040】本発明で用いるドープ(a)とは、最終的
に本発明のポリイミドからなる緻密層を有する高分子層
を形成する重合体を、溶剤に溶解した溶液である。該重
合体としては第一の発明で述べた緻密層を形成するポリ
イミドを用いることができ、更に一般式(1)で示され
る繰り返し単位を含有するポリイミド自身の他に、例え
ば熱処理等により一般式(1)で示される繰り返し単位
を含有するポリイミドとなるポリイミドの前駆体である
ポリアミド酸体、異性化により一般式(1)で示される
繰り返し単位を含有するポリイミドに変化するポリイソ
イミド体等を溶解した溶液でも良い。好ましくはポリイ
ミドを溶解した溶液である。紡糸ドープ(a)の重合体
固形物の濃度は5重量%〜35重量%であれば良く、好
ましくは15重量%〜30重量%である。
【0041】本発明で用いるドープ(b)とは、多孔質
支持層を形成するための重合体を溶剤に溶解したもので
あり、第一の発明で述べた重合体を用いることができ、
芳香族ポリアミドおよび/またはポリスルフォンをN,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の
一般的な溶剤に溶解した溶液が好適に挙げられる。多孔
質支持層を形成するドープ(b)のポリマー固形物の濃
度は10重量%〜35重量%である事が好ましく、さら
に好ましくは15重量%〜30重量%である。ドープの
溶液粘度は湿式紡糸可能であれば特に制限はない。
【0042】本発明のドープ(a)および(b)中に使
用できる溶剤は、本発明の分離膜の緻密層を形成するポ
リイミドおよび多孔質支持層を形成する樹脂を溶解する
ものであって、後述の凝固液と相溶性を有するものを使
用できる。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,
1,2-トリクロロエタン等のハロゲン化アルキル、オルト
クロルフェノール、パラクロルフェノール、ジクロロフ
ェノール等のハロゲン化フェノール、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N−メチル
ピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルフォキシ
ド、スルフォラン等のイオウ系溶剤、その他、ヘキサメ
チルホスホロトリアミド、γ-ブチルラクトン、ジオキ
サン等の一種以上の有機溶剤が使用できる。好ましくは
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン等の水溶性の有機溶剤であ
る。
【0043】また、ドープ(a)および(b)には、ド
ープの安定性、可紡性の向上、生成される複合膜の気体
透過・選択性の向上等を目的として、必要に応じて低分
子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンの
添加、アセトン、テトラヒドロフラン等の揮発性成分の
添加、トルエン、キシレン、酢酸等の貧溶剤の添加、エ
チレンレングリコール、グリセリン等の水溶性多価アル
コール等の添加、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カ
リウム、臭化カリウム等の無機塩類、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ジプロピルアミン等のアミン
類、メタノール、エタノール、プロパノール、等のアル
コール類、水等を少量添加することができる。
【0044】本発明においては、ドープ(a)および
(b)を多重円環ノズルから同時に中空糸状に押し出
す。本発明で使用する多重円環ノズルは公知のものが使
用できる。好ましいノズルの模式図を図1に示す。図
中”1”は主に中空糸の形状を保つ為の気体または液体
(以下芯材と称する)を流出するノズル芯部の開口部
(芯材流出口)であり、図中”2”、”3”はドープ
(a)または(b)を流出するスリットである。複合中
空糸膜の内側部に多孔質支持層を有し、外側部に緻密層
を有する高分子層を有する複合膜を製造する場合は、”
1”より芯材を流出させながら、”2”よりドープ
(b)を、”3”よりドープ(a)を同時に押し出せば
良く、外側部に多孔質支持層を有し、内側部に高分子層
を有する複合膜を製造する場合は、”1”より芯材を流
出させながら、”2”よりドープ(a)を”3”よりド
ープ(b)を同時に押し出せば良い。このようにするこ
とによって、多重円環ノズルのスリットの数により、2
層以上の多層構造の中空糸状の膜も製造できる。
【0045】本発明の製造方法によれば、例えばドープ
液の組成、濃度、温度、凝固液の組成、芯材の組成、紡
糸条件等を適切に選ぶ事により緻密層は中空糸の内側表
面および/または外側表面いずれにも形成可能である。
このうち中空糸の外側表面に緻密層を形成した複合膜
が、例えばドープを一旦気相中に押し出し、次いで凝固
液中に浸せきし固化させるいわゆる公知の乾湿式法で容
易に製造する事ができ、その量産性等に優れるため好ま
しい。また中空糸複合膜の寸法は、ノズルの寸法、ドー
プの押し出し量、紡糸ドラフト等を適宜調整することに
より、実用用途に適した外径、内径等に適宜調整でき
る。
【0046】中空状にドープを押し出す時の芯材として
使用する流体は気体でも液体でも良く、例えば窒素、空
気等の気体または、水、プロパノール、エタノール、メ
タノール、グリセリンおよびこれらの混合液体等が使用
できる。また必要に応じて、これらの液体芯材に、例え
ば塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム等の無機
塩類または、N-メチルピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド等の該樹脂の溶剤または、酢酸等の該樹脂の
貧溶剤を適宜添加する事ができる。
【0047】ドープを押し出す雰囲気は、例えば空気、
窒素等の気相であっても良いし、溶剤等の蒸気雰囲気で
あってもよい。雰囲気は適宜、気流の調整、また必要に
応じて温度、湿度等を調整する事ができる。
【0048】多重円環ノズルから、中空糸状に同時に押
し出された多層構造の重合体ドープは、凝固液と接触さ
せる事により完全に凝固できる。凝固液は前記ポリイミ
ドおよび複合膜の多孔質支持層を形成する各種重合体を
凝固するのに十分な貧溶剤であり、ドープ(a)および
(b)中の溶剤と相溶するものであればよく、例えばN
-プロパノール、イソプロパノール、メタノール、エタ
ノール等の低級アルコール類、アセトン、水等から選ば
れる一種以上の混合液体が使用できる。好ましくは水ま
たは水とアルコールの混合液体である。また必要に応じ
てこれら凝固液の温度、水素イオン濃度等を調整しても
よい。
【0049】凝固液中で凝固して得られた複合膜に残存
する有機溶剤および各種添加剤は実質的に除去されるこ
とが好ましく、除去は例えば温水洗浄および/または残
留溶剤を可溶する低沸点溶剤で洗浄および置換した後に
真空加熱乾燥を行う等の公知の方法で実施できる。
【0050】さらに耐熱、耐溶剤性、耐久性等の向上の
為得られた複合膜を必要に応じ熱処理することができ
る。熱処理は減圧下または不活性ガス雰囲気で200℃
〜300℃、より好ましくは200〜270℃で30分
〜24時間、好ましくは3時間〜10時間で行うのが好
ましい。ここでいう減圧下とは、中空糸複合膜を構成す
る樹脂が熱処理中酸化等の熱劣化の影響を実質的に受け
ない程度であれば良く、200トール以下、好ましくは
20トール以下の減圧雰囲気である。また不活性ガスと
して窒素、アルゴン、ヘリウム等が好適に挙げられる。
加熱処理は、凝固により得られた中空糸複合膜を、その
まま連続的に加熱処理することもできるし、適当な長さ
にそろえた中空糸複合膜の束の状態で行ってもよく、ま
たモジュール化の後に行っても良い。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明は、一般式(1)で示され
る繰り返し単位からなるポリイミドが必須成分であるポ
リイミドを緻密層とする分離膜に関する。例えばより好
ましい実施の形態としては、一般式(1)で示される繰
り返し単位が40〜100モル%含有するポリイミドを
緻密層とし、芳香族ポリアミドおよびポリスルフォンを
多孔質支持層とする中空糸複合膜である。このような膜
は、例えば一般式(1)で示される繰り返し単位が40
〜100モル%含有するポリイミドを溶剤に溶解したド
ープ(a)と、芳香族ポリアミドにポリスルフォンを少
量添加した重合体を溶剤に溶解したドープ(b)とを、
同時に多重円環ノズルを用いて、同時に多層構造の中空
糸状に共押し出しし、水や、水とアルコールの混合溶液
からなる凝固液に接触させ、乾燥することにより、得ら
れる。
【0052】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説
明する。 [実施例1]窒素雰囲気下、室温で、3,3'−ジヒドロ
キ−4,4’−ジアミノビフェニル0.3モルを、脱水
処理したN,N'−ジメチルアセトアミド(以下DMAC
と略記する)800gに溶解し、次いでこの溶液に6F
DA0.3モルを溶液に数度に分けて添加した。添加終
了後さらに4時間攪拌した後、DMACを700gを追
加し溶液を均一にした後、約1.2モル量のピリジンを
添加し均一に攪拌した後、次いで約1.2モル量の無水
酢酸を添加しさらに2時間攪拌した。その後溶液を55
℃に昇温しさらに2時間攪拌した。得られた反応溶液を
多量のイソプロピルアルコール(IPA)中に落とし化
学イミド化したポリイミド固形物を分離した、さらにこ
の固形物を多量の温水で数度洗浄した後、ついで固形物
中に残存する水をエタノールで十分に置換し、約100
℃の真空オーブン中で十分乾燥した。
【0053】得られたポリイミドの一部を約10wt%
でDMACに溶解し、ガラスシャーレに流延し、約10
0℃でフィルム状に固化させた後、260℃で約8時間
熱処理を行い、厚さ約28μmの均一なフィルムを得
た。得られたフィルムの酸素と窒素の気体透過係数をそ
れぞれ純ガスを使用し、50℃雰囲気、ΔP=約2[k
g/cm2]でASTM D1434に準じて測定した
結果、 酸素:4.13×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg] 窒素:0.63×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg] であった。
【0054】また、得られたポリイミドをDMACに2
5重量部溶解し、孔径10μmのステンレスフィルター
で濾過し、次いで減圧脱泡を行い紡糸ドープ(a)を得
た。ポリメタフェニレンイソフタルアミドをDMACに
21重量部溶解し、孔径10μmのステンレ スフィル
ターでろ過し、減圧脱泡を行い紡糸用ドープ(b)を得
た。
【0055】これらのドープ液を、円管外径よりφ1.
8−φ1.5−φ1.1−φ0.45−φ0.23[mm]
の多重円管ノズルを使用し、中心部円管より水を流しつ
つ、内側の円環より複合膜の多孔質支持層を形成させる
為のドープ(b)を約3.2g/minの吐出量で、外
側の円環より約50℃に加温したドープ(a)を約0.
7g/minの吐出量で、同時に空気雰囲気中に吐出し
た後、連続して5℃に調整したイソプロピルアルコール
(以下IPAと略記する)/水が70/30重量部で混
合した凝固液中に導き凝固させ、連続して約20m/m
inの巻き取り速度でボビンに巻き取った。得られた中
空糸を流水中へ浸漬し十分に洗浄した後、水切り乾燥を
行い、さらに水/IPAの7/3重量部の混合液に一晩
浸せきした後、約120℃で十分な真空乾燥を行った。
次いで真空中で280℃で8時間熱処理を行い中空糸複
合膜を得た。得られた中空糸複合膜は、内径約220μ
m、外径約470μm、中空糸断面の顕微鏡観察により、
中空糸内側多孔質支持層厚さ/中空糸外側ポリイミド層
厚さの比が約6:1であり、中空糸外表面に緻密層を有
し、且つ内側多孔層と外側のポリイミド層の界面での接
着性の優れた中空糸複合膜であった。得られた中空糸複
合膜の各気体透過速度をそれぞれ純ガスを使用し25℃
雰囲気、ΔP=約2[kg/cm2]でASTM D1
434に準じて測定した。結果を以下に示す。 酸素:4.89×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec・
cmHg] 窒素:0.72×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec・
cmHg]
【0056】[実施例2] ジアミン成分として3,3'
−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを使用
し、紡糸ドープ(b)としてレーデルA−100(アモ
コパフォーマンスプロダクツ社:ポリアリルサルフォ
ン)と、ポリメタフェニレンイソフタルアミドを、25
/75の重量比で、DMACに25重量部溶解したドー
プを使用し、膜の熱処理温度を260℃とした以外実施
例1と同じ方法で中空糸複合膜を製造した。得られた中
空糸複合膜の形状は、実施例1とほぼ同様であった。得
られた中空糸複合膜の酸素透過速度と窒素透過速度を実
施例1と同様の方法で測定した。結果を以下に示す。 酸素:3.47×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:0.51×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]
【0057】[実施例3]窒素雰囲気下、室温で、3,
3'−ジヒドロキ−4,4’−ジアミノビフェニル0.0
20モルと9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオ
レン0.010モルを、脱水処理したDMAC160g
に溶解し、次いでこの溶液に6FDAの粉体0.03モ
ルを数度に分けて添加した。添加終了後4時間攪拌した
のち、DMAC40gを追加し溶液を均一にした後、約
0.12モル量のピリジンを添加した後、約0.12モ
ル量の無水酢酸を添加しさらに2時間攪拌した。その後
溶液を55℃に昇温しさらに2時間攪拌した。得られた
反応溶液を多量のIPA中に落としポリイミド固形物を
分離し、さらに多量の温水で数度洗浄した後、固形物中
に残存する水をエタノールで十分に置換し、約100℃
の真空オーブン中で乾燥してポリイミド固形物を得た。
得られた固形物を約12wt%でDMACに溶解し、ガ
ラスシャーレに流延し、約100℃でフィルム状に固化
させた後、260℃で約8時間熱処理を行い、厚さ約3
4μmの均一なフィルムを得た。得られたフィルムの酸
素と窒素の気体透過係数をそれぞれ純ガスを使用し、2
5℃雰囲気、ΔP=約2[kg/cm2]でASTM
D1434に準じて圧力法で測定した。結果を以下に示
す。 酸素:6.07×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg] 窒素:0.98×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg]
【0058】[実施例4]窒素雰囲気下、室温で、3,
3'−ジヒドロキ−4,4’−ジアミノビフェニル0.0
24モルと9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオ
レン0.006モルを、脱水処理したDMAC160g
に溶解し、次いでこの溶液に6FDA0.023モル量
とピロメリット酸二無水物(以下PMDAと略記する)
0.007モル量を混合した粉体を数度に分けて添加し
た。添加終了後さらに4時間攪拌したのち、DMAC4
0gを追加し、次いで約0.12モル量のピリジンを添
加した後、約0.12モル量の無水酢酸を添加しさらに
2時間攪拌した。その後溶液を55℃に昇温しさらに2
時間攪拌した。得られた反応溶液を多量のIPA中に落
としポリイミド固形物を分離し、得られた固形物をさら
に多量の温水で数回洗浄し、固形物中に残存する水をエ
タノールで十分に置換し、約100℃の真空オーブン中
で乾燥してポリイミド固形物を得た。得られた固形物を
約12wt%でDMACに溶解し、ガラスシャーレに流
延し、約100℃でフィルム状に固化させた後、250
℃で約5時間熱処理を行い、厚さ約28μmの均一なフ
ィルムを得た。得られたフィルムの酸素と窒素の気体透
過係数をそれぞれ純ガスを使用し、25℃雰囲気、ΔP
=約2[kg/cm2]でASTM D1434に準じ
て圧力法で測定した。結果を以下に示す。 酸素:3.85×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg] 窒素:0.60×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg]
【0059】[比較例1]多孔質支持層形成用の重合体
としてウルテム1000(日本GEプラスチック社:ポ
リエーテルイミド)を用いた以外、実施例1と同様の方
法で中空糸複合膜を製造した。多層ノズルより共押出し
た2層ドープが凝固液中で固化する同時に、ポリイミド
層とポリエーテルイミド層とが界面で剥離し、実用可能
な複合膜は得られなかった。
【0060】[比較例2]多孔質支持層形成用の重合体
としてマトリミド56218(チバガイギー社:ポリイ
ミド)を用いた以外実施例1と同様の方法で中空糸複合
膜を製造した。得られた中空糸複合膜は緻密層を有する
ポリイミド層(外層)と多孔層を形成したマトリミド層
(内層)の界面の接着性に劣りわずかな引き裂き力によ
り外層と内層部がその界面で容易に剥離した。
【0061】[比較例3]窒素雰囲気下、室温で、9,
9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン0.03モ
ルを、脱水処理したDMAC160gに溶解し、次いで
この溶液に6FDA0.03モルを数度に分けて添加し
た。添加終了後氷冷しつつ4時間攪拌したのち、DMA
Cをさらに40gを添加し攪拌して溶液を均一にした
後、約0.12モル量のピリジンを添加し均一に攪拌し
た後、次いで約0.12モル量の無水酢酸を添加しさら
に2時間攪拌した。その後溶液を55℃に昇温しさらに
2時間攪拌した。得られた反応溶液を多量のIPA中に
落とし固形物を分離し、さらに多量の温水で数度洗浄し
た後、固形物中に残存する水をエタノールで十分に置換
し、約100℃の真空オーブン中で乾燥してポリイミド
固形物を得た。得られた固形物を約12wt%でDMA
Cに溶解し、ガラスシャーレに流延し、約100℃でフ
ィルム状に固化させた後、260℃で約8時間熱処理を
行い、厚さ約34μmの均一なフィルムを得た。得られ
たフィルムの酸素と窒素の気体透過係数をそれぞれ純ガ
スを使用し、25℃雰囲気、ΔP=約2[kg/c
2]でASTM D1434に準じて圧力法で測定し
た。結果を以下に示す。 酸素:12.2×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg] 窒素:2.52×10ー10[cm3(STP)・cm/cm2
sec・cmHg]
【0062】
【発明の効果】気体の透過・選択特性(特に酸素/窒素
分離)に優れた分離膜を提供することができる。また本
発明で用いるポリイミドは薄い緻密層を形成することが
できる。更に、複合膜とした場合、緻密層と多孔質支持
層との接着性のよい膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための多層押し出しノズルの
模式図である。Aはノズル断面図、Bはノズル吐出口の
形状である。
【符号の説明】
1 芯材流出口 2 ドープ流出スリット 3 ドープ流出スリット

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rは4価の芳香族残基を表す。)で示される繰
    り返し単位を含有してなるポリイミドから形成された緻
    密層を有するポリイミド分離膜。
  2. 【請求項2】ポリイミドが、一般式(1)で示される繰
    り返し単位を40〜100モル%含有するポリイミドで
    ある請求項1記載の分離膜。
  3. 【請求項3】ポリイミドが、下記一般式(2) 【化2】 で示される繰り返し単位を含有してなるポリイミドであ
    る請求項1または2記載の分離膜。
  4. 【請求項4】分離膜が、緻密層と多孔質支持層とを有す
    る中空糸複合膜である請求項1、2または3記載の分離
    膜。
  5. 【請求項5】多孔質支持層が、芳香族ポリアミドおよび
    /またはポリスルフォンからなる請求項4記載の分離
    膜。
  6. 【請求項6】下記一般式(1) 【化3】 (式中、Rは4価の芳香族残基を表す。)で示される繰
    り返し単位を含有する緻密層形成用ポリイミドのドープ
    (a)と、多孔質支持層形成用重合体のドープ(b)と
    を、多重円環ノズルを用いて、同時に多層構造の中空糸
    状に共押し出しを行い、次いで凝固液と接触させて凝固
    させた後、乾燥することを特徴とするポリイミド中空糸
    複合膜の製造方法。
  7. 【請求項7】ポリイミドが、一般式(1)で示される繰
    り返し単位を40〜100モル%含有するポリイミドで
    ある請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】ポリイミドが、下記一般式(2) 【化4】 で示される繰り返し単位を含有してなるポリイミドであ
    る請求項6または7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】多孔質支持層形成用重合体のドープ(b)
    が、芳香族ポリアミドのドープ、および/またはポリス
    ルフォンのドープである請求項6、7または8記載の製
    造方法。
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Cited By (5)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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