JPH0968254A - 円筒型マウント装置およびその製造方法 - Google Patents

円筒型マウント装置およびその製造方法

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JPH0968254A
JPH0968254A JP22144895A JP22144895A JPH0968254A JP H0968254 A JPH0968254 A JP H0968254A JP 22144895 A JP22144895 A JP 22144895A JP 22144895 A JP22144895 A JP 22144895A JP H0968254 A JPH0968254 A JP H0968254A
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JP
Japan
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cylinder member
mounting
outer cylinder
cylindrical
tubular
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Pending
Application number
JP22144895A
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English (en)
Inventor
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
Shunta Shioda
俊太 潮田
Yasuo Shiozawa
康夫 塩沢
Masaharu Tochigi
雅晴 栃木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Showa Aluminum Can Corp
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Showa Aluminum Corp
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Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd, Showa Aluminum Corp filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 支軸部材12と外筒部材14をゴム弾性体1
6にて連結すると共に、該外筒部材14の外周面に取付
筒部材20を嵌着固定せしめてなる円筒型マウント装置
において、外筒部材14と取付筒部材20の嵌着固定強
度を、充分に且つ安定して容易に得ることの出来る新規
な構造の提供。 【解決手段】 外筒部材14として鉄鋼製のものを用い
る一方、取付筒部材20としてアルミニウム合金製のも
のを用い、外筒部材14に外挿された取付筒部材20を
縮径にて塑性変形せしめることにより、外筒部材14の
弾性変形に基づく弾性力によって、外筒部材14に取付
筒部材20を嵌着固定せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、例えばFF型自動車用エンジン
マウントやサスペンションブッシュ,ボデーマウント,
デフマウント等として好適に採用され得る、防振装置と
しての円筒型マウント装置と、その製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、
互いに径方向に所定距離を隔てて配された支軸金具と外
筒金具を、それらの間に介装されたゴム弾性体により弾
性的に連結すると共に、外筒金具の外周面に取付筒金具
を嵌着固定せしめて、それら支軸金具と取付筒金具を、
互いに防振連結されるべき各一方の金具に取り付けるよ
うにした構造の円筒型マウント装置が知られている。こ
のような円筒型マウント装置においては、外筒金具に設
けられた窓部を通じて外周面に開口する凹部をゴム弾性
体に形成して、該凹部の開口を取付筒金具で覆蓋するこ
とによって水等の非圧縮性流体が封入された流体室をマ
ウント内部に容易に形成することが出来、或いはまた、
所定の支持体に固定するための取付部が一体形成された
取付筒金具を採用することによって外筒金具側の取付ブ
ラケットを容易に形成することが出来る等といった利点
がある。
【0003】ところで、かくの如き円筒型マウント装置
にあっては、一般に、ゴム弾性体の外周面に直接乃至は
間接に固着された外筒金具の外周面に対して、取付筒金
具を圧入することによって、取付筒金具が外筒金具に嵌
着固定されて組み付けられている。
【0004】ところが、押出し成形やダイカスト成形等
により形成された取付筒金具においては、満足できる成
形寸法精度を得ることが困難であり、そのために、成形
品をそのまま用いたのでは、取付筒金具の外筒金具に対
する圧入作業性および圧入固定強度を充分に且つ安定し
て確保することが難しいという問題があった。即ち、外
筒金具の外径寸法に対して取付筒金具の内径寸法が、周
方向全周に亘って又は部分的に小さすぎると、圧入時に
カジリ等が生じて圧入が極めて難しくなり、一方、外筒
金具の外径寸法に対して取付筒金具の内径方向が、周方
向全周に亘って又は部分的に大きすぎると、充分な圧入
固定強度を確保することが難しくなるのであり、加え
て、取付筒金具の内周面や外筒金具の外周面における円
筒面精度を高精度に得ることが難しいために、圧入作業
性や圧入固定強度が更に悪化し易いという問題があった
のである。
【0005】そこで、従来では、押出しやダイカスト等
で成形した取付筒金具の内周面を切削加工等することに
より、必要な寸法精度を確保していたが、このような特
別な加工のために特別な工程や設備が必要で、製造が面
倒となり大幅なコストアップが避けられないという問題
があったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決すべき第
一の課題とするところは、取付筒金具の切削加工等を行
うことなく、外筒金具と取付筒金具の嵌着固定強度を充
分に且つ安定して得ることの出来る、新規な構造の円筒
型マウント装置を提供することにある。
【0007】また、本発明は、外筒金具と取付筒金具の
嵌着固定強度を充分に且つ安定して得ることの出来る、
円筒型マウント装置の容易な製造方法を提供すること
を、解決すべき第二の課題とする。
【0008】
【解決手段】そして、かかる第一の課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、互いに径方向に所定
距離を隔てて同軸上に若しくは偏心して配された支軸部
材と外筒部材を、それらの間に介装されたゴム弾性体に
て連結すると共に、該外筒部材の外周面に取付筒部材を
嵌着固定せしめてなる円筒型マウント装置において、前
記外筒部材として鉄鋼製のものを用いる一方、前記取付
筒部材としてアルミニウム合金製のものを用い、該外筒
部材に外挿された該取付筒部材を縮径にて塑性変形せし
めることにより、該外筒部材の弾性変形に基づく弾性力
によって、該外筒部材に該取付筒部材を嵌着固定せしめ
たことにある。
【0009】なお、本発明に従う円筒型マウント装置に
おいては、外筒部材および取付筒部材の材質として、そ
れぞれ各種の鉄鋼およびアルミニウム合金が採用され得
るが、特に、取付筒部材にあっては、縮径による強度や
耐久性の低下等を回避しつつ、外筒部材の弾性力による
嵌着力を有利に得るために、破断伸びが大きく、且つ外
筒部材に比べて塑性変形領域を充分に確保できる材質が
望ましいことから、押出成形品または真空ダイカスト成
形品が、好適に採用される。具体的には、押出成形品に
あっては6N01等の材質のものが、真空ダイカスト成
形品にあっては熱処理を加えたADC6やAC4A等の
材質のものが、より好適に採用される。
【0010】また、本発明に従う円筒型マウント装置に
おいては、取付筒部材として、所定の支持体に固定する
ための取付部が外周面上に突出して一体形成されたもの
を採用することも可能である。
【0011】また、本発明に従う円筒型マウント装置に
おいては、支軸部材と外筒部材の間に、ゴム弾性体によ
り壁部の一部が構成されて内部に非圧縮性流体が封入さ
れた流体室を形成することも可能である。
【0012】また、本発明に従う円筒型マウント装置に
おいては、外筒部材に設けられた窓部を通じて外周面に
開口する凹部をゴム弾性体の内部に形成し、該凹部の開
口を取付筒部材にて覆蓋することにより、内部に非圧縮
性流体が封入された流体室を形成することも可能であ
る。
【0013】さらに、本発明は、前記第二の課題を解決
するために、(a)互いに径方向に所定距離を隔てて配
された支軸部材と外筒部材が、それらの間に介装された
ゴム弾性体にて連結されると共に、該外筒部材が鉄鋼製
とされたマウント本体を準備する工程と、(b)前記外
筒部材の外径よりも僅かに大きな内径寸法にて形成され
たアルミニウム合金製の取付筒部材を、前記外筒部材に
外挿配置する工程と、(c)該取付筒部材を縮径し、該
取付筒部材の内径が前記外筒部材の外径よりも小さくな
るまで塑性変形せしめて、該取付筒部材を該外筒部材の
外周面に嵌着固定する工程とを、有する円筒型マウント
装置の製造方法をも、特徴とする。
【0014】すなわち、本発明に従う構造とされた円筒
型マウント装置においては、鉄鋼製の外筒部材とアルミ
ニウム合金製の取付筒部材とを組み合わせて採用したこ
とによって、外筒部材の弾性変形領域を取付筒部材より
も大きくして、取付筒部材を縮径加工により塑性変形さ
せることにより、外筒部材のスプリングバックに基づく
弾性力を利用して、取付筒部材を外筒部材に対して嵌着
固定せしめることが可能となったのである。
【0015】それ故、かかる円筒型マウント装置におい
ては、取付筒部材と外筒部材の嵌着固定面における寸法
誤差が取付筒部材の縮径加工によって吸収されて、優れ
た嵌着強度を安定して得ることができるのであり、従来
の取付筒部材を外筒部材に圧入固定する構造のものに比
して取付筒部材および外筒部材の許容寸法誤差が大幅に
緩和され得て、押出しやダイカスト等によって成形され
た取付筒部材を、特別な切削加工等を施すことなく、そ
のまま用いて外筒部材に組み付けることが出来ることか
ら、製作性も飛躍的に向上され得るのである。
【0016】また、押出成形または真空ダイカスト成形
された取付筒部材を採用すれば、大きな破断伸びを確保
できることから、絞り加工による強度や耐久性の低下が
有利に回避され得て、取付筒部材と外筒部材の嵌着固定
強度をより安定して得ることが可能となる。
【0017】また、取付筒部材を、取付部を有するブラ
ケットとして形成すれば、特別な部品点数の増加や組付
工数の増加を伴うことなく、取付部を備えた円筒型マウ
ント装置を得ることが可能となる。
【0018】また、本発明は、専ら支軸部材と外筒部材
を連結するゴム弾性体の弾性特性に基づいて防振効果を
得るようにしたソリッドタイプの円筒型マウント装置だ
けでなく、非圧縮性流体が封入された流体室を備えた円
筒型マウント装置に対しても有利に適用され得、それに
よって、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に享受
し得ることとなる。
【0019】特に、本発明においては、外筒部材を貫通
して外周面に開口する凹部を取付筒金具にて覆蓋して流
体室を形成することも可能であり、それによって、凹部
開口を覆蓋する特別なシール金具が不要となることか
ら、部品点数の減少と製作性の向上が図られ得ると共
に、マウント軽量化に伴う固有振動数の上昇により、共
振現象による振動伝達率の悪化を抑えることも可能とな
る。
【0020】さらに、本発明方法に従えば、取付筒部材
を外筒部材に外挿配置せしめた後に縮径加工することに
より、取付筒部材を外筒部材に嵌着固定することが出来
ることから、取付筒部材を外筒部材に圧入固定する従来
の組付け方法に比べて、取付筒部材および外筒部材に対
して比較的大きな寸法誤差が許容され得、特に取付筒部
材の内周面の切削加工等が不要となることから、円筒型
マウント装置の製作性およびコスト性が飛躍的に向上さ
れるのである。
【0021】
【発明の実施の形態・実施例】以下、本発明を更に具体
的に明らかにするために、本発明の実施例について、図
面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施
例としての自動車用エンジンマウント10が示されてい
る。このエンジンマウント10は、互いに径方向に所定
距離を隔てて配された支軸部材としての内筒金具12と
外筒部材としての外筒金具14が、それらの間に介装さ
れたゴム弾性体16によって相互に連結されたマウント
本体18に対して、取付筒部材としての筒形ブラケット
20が外挿されて外筒金具14に嵌着固定せしめられた
構造とされている。そして、内筒金具12と筒型ブラケ
ット20が、自動車のパワーユニットとボデーの各一方
に取り付けられることにより、パワーユニットをボデー
に対して防振支持せしめるようになっている。
【0023】より詳細には、マウント本体18は、図3
及び図4に示されているように、小径円筒形状の内筒金
具12の径方向外方に所定距離を隔てて且つ所定量だけ
偏心して、大径円筒形状の外筒金具14が外挿配置され
ていると共に、それら内外筒金具12,14の径方向対
向面間に、全体として略厚肉円筒形状を呈するゴム弾性
体16が介装されており、該ゴム弾性体16の内外周面
に対して内外筒金具12,14が加硫接着された一体加
硫成形品として形成されている。なお、このようなマウ
ント本体18は、加硫成形後に、必要に応じて、外筒金
具14が絞り加工されることにより、ゴム弾性体16に
予備圧縮が加えられることとなる。また、外筒金具14
の外周面には、軸方向両側部分を周方向に連続して延び
るシールゴム層17と、各シールゴム層17の外周面上
に突出して周方向に連続して延びる二条のシールリップ
が設けられている。
【0024】ここにおいて、外筒金具14は、鉄鋼製と
されており、特に本実施例では、鋼管を適当な長さに切
断したものが用いられている。また、かかる外筒金具1
4としては、エンジンマウントに要求される耐荷重強度
と共に、筒形ブラケット20に比して充分に大きな径方
向の弾性変形領域が確保されるように材質が選定される
こととなり、例えば、STKM11Aに相当する炭素鋼
鋼管などが好適に用いられる。
【0025】また、外筒金具14には、第一の窓部22
と第二の窓部24が径方向に対向位置して形成されてい
る一方、ゴム弾性体16には、第一の窓部22を通じて
外周面に開口する第一の凹部26と、第二の窓部24を
通じて外周面に開口する第二の凹部28が形成されてい
る。
【0026】さらに、第一の凹部26には、内筒金具1
2に固着された支持ロッド30が底面中央から突設され
ていると共に、この支持ロッド30の先端部に傘金具3
2が固着されており、該傘金具32の外周面と第一の凹
部26の内面との間に狭窄流路34が形成されている。
一方、第二の凹部28の底壁部を構成するゴム弾性体1
6には、軸方向に貫通するスリット36が形成されてお
り、第二の凹部28の底壁部38が薄肉で変形容易な可
撓性膜とされている。なお、底壁部38の周方向中央部
分には、外筒金具14によって支持された補強金具40
が埋設されており、内筒金具12に対して径方向に所定
距離を隔てて対向位置せしめられて、該内筒金具12に
対する当接により内外筒金具12,14の径方向の相対
変位量を制限するストッパ部41が形成されている。
【0027】また、外筒金具14は、第一の凹部26と
第二の凹部28の周方向両端部間が小径化されており、
それら第一の凹部26と第二の凹部28の周方向端部間
に跨がって延びる周溝42,42が形成されていると共
に、それら各周溝42には、ゴム弾性体16が充填され
ている。そして、一方の周溝42において、第一の凹部
26と第二の凹部28の間に跨がって周方向に延びる凹
溝44が設けられており、この凹溝44によって第一の
凹部26と第二の凹部28が接続されている。
【0028】一方、筒形ブラケット20は、図5及び図
6に示されているように、大径の厚肉円筒形状を有する
円筒部46に対して、ブロック形状をもって外周面上に
突出する取付部48が、円筒部46の軸方向全長に亘っ
て、一体形成された構造を有している。ここにおいて、
円筒部46は、マウント本体18の外筒金具14の外径
よりも所定寸法だけ大きな内径寸法を有しており、マウ
ント本体18に対して容易に外挿可能とされている。ま
た一方、取付部48には、一対のボルト挿通孔50,5
0と、位置決め用の切欠き52が設けられており、この
ボルト挿通孔50、50に挿通される取付用ボルトによ
って、筒形ブラケット20が、図示しない自動車のボデ
ーに取り付けられるようになっている。
【0029】ここにおいて、筒形ブラケット20は、ア
ルミニウム合金製とされており、エンジンマウント10
に要求される耐荷重性能を確保すると共に、後述する縮
径加工による材質等への悪影響を防止するために、強度
および破断伸びの大きなアルミニウム合金製のものが採
用されている。そして、このような要求特性を満足する
ためには、押出成形品や真空ダイカスト成形品の筒形ブ
ラケット20を採用することが望ましく、特に、破断伸
びが3%以上、より好ましくは5%以上のアルミニウム
合金製のものが好適に採用される。具体的には、例え
ば、押出成形品の材質としては6N01等が、真空ダイ
カスト成形品の材質としてはADC6やAC4A等が、
好適に採用される。
【0030】更にまた、本実施例の筒形ブラケット20
は、軸方向全長に亘って略同一断面形状とされているこ
とから、押出成形品を適当な軸方向長さで切断すること
によって製造することが可能であり、それによって、極
めて優れた製作性が得られる。
【0031】そして、図1及び図2に示されているよう
に、このような構造とされた筒形ブラケット20は、マ
ウント本体18に外挿されて外筒金具14の外周面に嵌
着固定されており、それによって、内部に流体室が形成
されて、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される
流体封入式のエンジンマウント10とされている。即
ち、かかるエンジンマウント10にあっては、マウント
本体18における第一及び第二の凹部26,28や凹溝
44が筒形ブラケット20で覆蓋されることによって、
水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコー
ル、シリコーン油等の非圧縮性流体が封入された受圧室
54と平衡室56およびオリフィス通路58が形成され
ているのであり、振動入力時に受圧室54と平衡室56
の間に惹起される相対的内圧差に基づいてオリフィス通
路58を通じての流体流動が生ぜしめられることによ
り、或いは振動入力時に受圧室54内で狭窄流路34を
通じての流体流動が生ぜしめられることにより、かかる
流体の流動作用に基づいて所定の防振効果が発揮される
ようになっているのである。
【0032】ここにおいて、筒形ブラケット20の外筒
金具14への嵌着固定は、筒形ブラケット20を絞り加
工等で縮径させることによって為されている。また、好
適には、筒型ブラケット20の縮径が流体中にて行わ
れ、それによって、筒型ブラケット20の外筒金具14
への嵌着固定と同時に、受圧室54や平衡室56への流
体の充填,封入が行われることとなる。
【0033】具体的には、筒形ブラケット20を外筒金
具14に嵌着固定せしめるには、例えば、先ず、図3及
び図4に仮想線で示されているように、筒形ブラケット
20をマウント本体18に外挿せしめた後、筒形ブラケ
ット20を絞り加工することによって行う。また、筒形
ブラケット20の絞り加工には、例えば、図7及び図8
に示されているような絞り治具が用いられる。
【0034】この絞り治具は、周方向に等分に12分割
されたダイス60と、該ダイス60を支持するベースと
しての下型62を備えており、ダイス60を構成する1
2個の分割体64によって、筒型ブラケット20の外周
面形状に対応した形状の作用面66が協働して形成され
るようになっている。また、各分割体64の底面には径
方向に延びる突条68が形成されている一方、下型62
の支持面には径方向に延びる12本のガイド溝70が形
成されており、ガイド溝70で突条68が案内されるこ
とにより、各分割体64が径方向に移動せしめられるよ
うになっている。なお、各分割体64の径方向内方への
移動端は、下型62におけるガイド溝70の内側に配設
された円環状のストッパ金具72によって規定されるよ
うになっている。また、下型62には、マウント本体1
8を位置決めするための位置決めピン74,76が、底
面から立設されている。
【0035】このような絞り治具によれば、ダイス60
を拡開させて、筒型ブラケット20を外挿せしめたマウ
ント本体18をダイス60の中央にセットした後、ダイ
ス60のテーパ状外周面に対応したテーパ状内周面を有
する略円筒形状の上型(図8中に、仮想線で表示)78
をダイス60の外周面に嵌め込んで軸方向に押し込み、
かかる押込力の分力で各分割体64を径方向内方に移動
せしめて作用面66を筒型ブラケット20の外周面に当
接させ、押圧せしめることによって、筒型ブラケット2
0に絞り加工を施すことが出来るのである。
【0036】ここにおいて、筒型ブラケット20の絞り
加工は、筒型ブラケット20に対して、その内径がマウ
ント本体18における外筒金具14の外径よりも小さく
なるだけの塑性変形を生ぜしめるように行われる。即
ち、それによって、外筒金具14の弾性変形に基づく弾
性力が、筒型ブラケット20に対する拡径力として及ぼ
されることとなり、それによって、外筒金具14と筒型
ブラケット20との圧接力、延いては嵌着固定力が有利
に確保され得るのである。
【0037】要するに、鉄鋼製の外筒金具14は、アル
ミニウム合金製の筒型ブラケット20に比して、弾性変
形領域が充分に大きいことから、筒型ブラケット20と
共に外筒金具14も縮径すると、絞り治具から取り出し
た後にも筒型ブラケット20は塑性変形して外筒金具1
4の当初の外径寸法よりも小さい内径寸法とされるが、
外筒金具14は弾性変形領域にあるから、該外筒金具1
4におけるスプリングバックの弾性力が筒型ブラケット
20に対する圧接力として作用し続けることとなり、以
て、外筒金具14と筒型ブラケット20との嵌着固定力
が有効に且つ安定して発揮されるのである。
【0038】しかも、組付前の筒型ブラケット20や外
筒金具14の真円度が不充分であったり、径寸法に比較
的大きな誤差があっても、外筒金具14に対する筒型ブ
ラケット20の外挿作業に不具合を生ずることがなく、
製作性に支障をきたすことがないのであり、製作性が飛
躍的に向上され得ることとなる。
【0039】また、それに加えて、組付前の筒型ブラケ
ット20や外筒金具14の真円度が不充分であったり、
径寸法に比較的大きな誤差があっても、筒型ブラケット
20を外筒金具14に組み付ける際の縮径加工によって
真円度および寸法が修正されることから、優れた寸法精
度の製品を安定して製作することが可能となるのであ
る。
【0040】なお、本実施例の絞り治具においては、取
付部48が形成された領域の絞り率(しめ代)が、取付
部48が形成されていない領域の絞り率よりも僅かに大
きくなるように、取付部48の外周面に当接される分割
体64aと、取付部48が形成されていない円筒部46
の外周面に当接される分割体64bにおける作用面66
の形状が適当に設定されている。これにより、取付部4
8の形成部分が厚肉であるために、筒型ブラケット20
の周上でスプリングバック量が部分的に異なることが調
節され、絞り加工後に略真円の内周面形状を有する筒型
ブラケット20が得られるようにされている。
【0041】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウント10においては、筒型ブラケット20に対する
切削加工の後加工等を必要とすることなく、外筒金具と
取付筒金具の嵌着固定強度を充分に且つ安定して得るこ
とが可能であり、優れた耐荷重性能や耐久性を容易に且
つ安定して得ることが出来るのである。
【0042】また、上述の如きエンジンマウント10に
おいては、製作工数の増加等を伴うことなく、筒型ブラ
ケット20のアルミニウム合金化が効率的に図られ得る
ことから、エンジンマウント10の軽量化や耐久性の向
上等が達成されることとなり、特に、筒型ブラケット2
0の軽量化によって固有振動周波数が高周波域に移行さ
れることに伴い、部材の共振現象による振動伝達率の悪
化が軽減乃至は防止されるといった利点もある。
【0043】また、本実施例のエンジンマウント10に
おいては、取付部48が一体形成された筒型ブラケット
20によって、マウント本体18に設けられた凹部2
6,28が直接に覆蓋されて受圧室54と平衡室56が
形成されており、それら凹部26,28を覆蓋するため
の特別な筒金具が不要とされて部品点数の減少が図られ
ていることから、構造の簡略化と製作性の向上がより有
効に達成されることに加えて、更なる軽量化が実現され
て部材の共振現象による振動伝達率の悪化が一層効果的
に防止されることとなる。
【0044】以上、本発明の一実施例について詳述して
きたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、か
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0045】例えば、前記実施例では、非圧縮性流体が
封入された一対の流体室(受圧室54と平衡室56)を
備えたマウント装置に対して本発明を適用したものの具
体例を示したが、流体室やオリフィス通路の具体的構造
等は、マウントの要求特性等に応じて適宜に決定される
ものであって何等限定されるものでない。そして、流体
室を有しないソリッドタイプのマウント装置に対して
も、本発明は適用可能である。
【0046】また、流体室を備えたマウント装置に本発
明を適用する場合であっても、外筒金具14を、ゴム弾
性体16に対して加硫接着せずに、窓部22,24を有
しない円筒形状の別部材として形成し、該外筒金具14
によってゴム弾性体16に形成された第一及び第二の凹
部26,28の開口を覆蓋せしめて受圧室54や平衡室
56を形成せしめた後、かかる外筒金具14の外周面に
筒型ブラケット20を嵌着固定するようにしても良い。
なお、その場合には、受圧室54や平衡室56の流体密
性を確保するために、ゴム弾性体16の外周面に対し
て、第一及び第二の凹部26,28が開口する窓部を有
するシールスリーブを加硫接着せしめて、該シールスリ
ーブの外周面に外筒金具14を嵌着固定することが望ま
しい。
【0047】さらに、前記実施例では、取付筒部材とし
て、矩形ブロック形状の取付部48が一体形成された筒
型ブラケット20が用いられていたが、取付部の具体的
形状は限定されるものではない。また、本発明において
は、取付部48を有しない円筒形状の取付筒部材を採用
することも出来、それによって、例えば、ロッドのアー
ムアイに装着されるブッシュ等に対して、本発明を適用
することが可能となる。
【0048】また、取付筒部材を縮径するための治具
は、前記実施例のものに限定されるものでは決してな
く、取付筒部材の形状や大きさ等を考慮して、各種の縮
径加工装置が採用されることとなる。
【0049】さらに、筒型ブラケット20をダイカスト
成形する場合には、円筒部46の軸方向の一部だけに取
付部48を設けることが可能であり、そのような筒型ブ
ラケット20を採用する場合には、取付部48が形成さ
れていない部分だけを縮径して外筒金具14に嵌着固定
せしめるようにしても良い。
【0050】また、筒型ブラケット20をダイカスト成
形する場合には、円筒部46の内周面に成形上の抜き勾
配(一般に、1度程度)を付けることも可能である。な
お、そのような軸方向の抜き勾配を付した場合にあって
は、内径寸法が大きい軸方向側の縮径量を他方の軸方向
側よりも大きくしたり、外筒金具14の外周面に形成さ
れたシールゴム層17の肉厚を、内径寸法が大きい軸方
向側において厚肉としたりすること等が望ましく、それ
によって、筒型ブラケット20と外筒金具14の嵌着面
の全体に亘って大きな嵌着力をより安定して確保するこ
とが可能となる。
【0051】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用エンジンマウントに対して適用したものの一具体例を
示したが、本発明は、それ以外に、自動車ボデーマウン
トやデフマウント、サスペンションブッシュ等、或いは
自動車以外の各種の円筒型マウント装置に対しても、同
様に適用可能であることは、勿論である。
【0052】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0053】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた円筒型マウント装置においては、鉄
鋼製の外筒部材とアルミニウム合金製の取付筒部材とを
組み合わせて採用したことによって、取付筒部材を縮径
せしめた際の外筒部材の弾性変形による弾性力を利用し
て、取付筒部材を外筒部材に対して強固に嵌着固定せし
めることを可能とならしめたのであり、従来の取付筒部
材を外筒部材に圧入固定する構造のものに比し、取付筒
部材と外筒部材の嵌着固定強度が充分に且つ安定して確
保され得る。
【0054】また、本発明方法に従えば、取付筒部材を
外筒部材に圧入固定する従来の組付け方法に比べて、取
付筒部材および外筒部材に対して比較的大きな寸法誤差
が許容されることとなって、取付筒部材の内周面の切削
加工等が不要となることから、円筒型マウント装置の製
作性およびコスト性が飛躍的に向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのエンジンマウントを
示す横断面図であって、図2におけるI−I断面に相当
する図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントを構成するマ
ウント本体を示す横断面図であって、図4における III
−III 断面に相当する図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントを構成する筒
型ブラケットを示す横断面図であって、図6におけるV
−V断面に相当する図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図1に示されたエンジンマウントの製作に用い
られる絞り治具を構成するダイスと下型の組付状態を示
す平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 内筒金具 14 外筒金具 16 ゴム弾性体 18 マウント本体 20 筒型ブラケット 46 円筒部 48 取付部 60 ダイス 62 下型 78 上型
フロントページの続き (72)発明者 塩沢 康夫 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和アル ミニウム株式会社内 (72)発明者 栃木 雅晴 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和アル ミニウム株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに径方向に所定距離を隔てて同軸上
    に若しくは偏心して配された支軸部材と外筒部材が、そ
    れらの間に介装されたゴム弾性体にて連結されると共
    に、該外筒部材の外周面に取付筒部材が嵌着固定されて
    なる円筒型マウント装置において、 前記外筒部材として鉄鋼製のものが用いられる一方、前
    記取付筒部材としてアルミニウム合金製のものが用いら
    れ、該外筒部材に外挿された該取付筒部材が縮径にて塑
    性変形せしめられることにより、該外筒部材の弾性変形
    に基づく弾性力によって、該外筒部材に該取付筒部材が
    嵌着固定されていることを特徴とする円筒型マウント装
    置。
  2. 【請求項2】 前記取付筒部材が押出成形品または真空
    ダイカスト成形品である請求項1に記載の円筒型マウン
    ト装置。
  3. 【請求項3】 前記取付筒部材を所定の支持体に固定す
    るための取付部が、該取付筒部材の外周面上に突出して
    一体形成されている請求項1又は2に記載の円筒型マウ
    ント装置。
  4. 【請求項4】 前記支軸部材と前記外筒部材の間に、前
    記ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて内部に非圧
    縮性流体が封入された流体室が形成されている請求項1
    乃至3の何れかに記載の円筒型マウント装置。
  5. 【請求項5】 前記外筒部材に設けられた窓部を通じて
    外周面に開口する凹部が、前記ゴム弾性体の内部に形成
    されており、前記取付筒部材にて該凹部の開口が覆蓋さ
    れることによって、非圧縮性流体の封入された流体室が
    形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の円筒型
    マウント装置。
  6. 【請求項6】 互いに径方向に所定距離を隔てて配され
    た支軸部材と外筒部材が、それらの間に介装されたゴム
    弾性体にて連結されると共に、該外筒部材が鉄鋼製とさ
    れたマウント本体を準備する工程と、 前記外筒部材の外径よりも僅かに大きな内径寸法により
    形成されたアルミニウム合金製の取付筒部材を、前記外
    筒部材に外挿配置する工程と、 該取付筒部材を縮径し、該取付筒部材の内径が前記外筒
    部材の外径よりも小さくなるまで塑性変形せしめて、該
    取付筒部材を該外筒部材の外周面に嵌着固定する工程と
    を、有することを特徴とする円筒型マウント装置の製造
    方法。
JP22144895A 1995-08-30 1995-08-30 円筒型マウント装置およびその製造方法 Pending JPH0968254A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002016800A1 (fr) * 2000-08-25 2002-02-28 Toyo Tire & Rubber Co., Ltd. Dispositif d'amortissement des vibrations a joint liquide

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002016800A1 (fr) * 2000-08-25 2002-02-28 Toyo Tire & Rubber Co., Ltd. Dispositif d'amortissement des vibrations a joint liquide

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