JPH0968227A

JPH0968227A - 軸受

Info

Publication number: JPH0968227A
Application number: JP4673196A
Authority: JP
Inventors: Kaneshige Fujii; 兼栄藤井; Masato Kiuchi; 正人木内; Hiroshi Nagasaka; 浩志長坂; Yoshiichi Kimura; 芳一木村; Naoki Tsuchiya; 直樹土屋
Original assignee: Agency of Industrial Science and Technology; Ebara Corp
Current assignee: Ebara Corp; National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date: 1994-05-30
Filing date: 1996-02-07
Publication date: 1997-03-11

Abstract

(57)【要約】【課題】摩擦係数を低減し、しかも耐摩耗性を向上さ
せた軸受を提供すること。【解決手段】回転側に直接または間接的に固定された
回転側軸受部材（可動部材１２）と、固定側に直接又は
間接的に固定され、該回転側軸受部材に対向摺接する固
定側軸受部材（静止部材１１）とを具備する軸受であっ
て、回転側軸受部材又は固定側軸受部材のいずれか一方
の少なくとも摺動面がカーボンを含む材料からなり、他
方の摺接面に窒化チタン薄膜を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性、低い摩
擦係数が要求されるポンプ、タービン、コンプレッサー
等に好適な軸受に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ポンプ、タービン、コンプレ
ッサー等の流体機械用の軸受として、超硬合金、セラミ
ックのいずれかを基材とする可動部材とカーボンを主体
とする静止部材とを組み合わせた構成のものが多く使用
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】最近、これら流体機械
の小型、高速、大容量化のニーズに伴い、軸受の使用条
件は、高速、大荷重へとますます過酷なものとなってき
ている。そのため軸受用に従来から使用されている超硬
合金などの材料では、固体間の滑り接触による摩擦熱の
繰返しによる熱衝撃破壊や熱疲労割れの発生等の問題が
指摘されている。

【０００４】一方、ＳＩＣなどのセラミックは摺動によ
る熱応力に対しては、超硬合金より優れているが、高速
回転体として利用した場合、耐衝撃性等の機械的性質が
劣る欠点を有している。また、金属材料の表面に、浸
炭、窒化処理などの硬化処理を施して摺動部材に用いて
いるが、これらの表面処理では、改質層自体の硬度、処
理後の基材変形などの点で、十分満足できる摺動面が得
られなかった。

【０００５】また、軸受においては回転軸に直接または
間接的に固定された可動部材（回転側軸受部材）が回転
軸に対して回転するのを防止する回り止めの構造に、従
来の脆性材料（超硬合金、セラミックス）を使用した場
合は、次のような問題があった。即ち、機械加工、応力
集中などを避ける設計上の工夫が必要で、セラミックス
などでは、焼きばめなどのプロセスで固定する。また、
これらが破損した場合、他の機械部品への損傷を避ける
目的で、飛散防止カバーで覆う等の対策が必要であっ
た。

【０００６】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、摩擦係数を低減し、しかも耐摩耗性を向上させた軸
受を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、回転側に直接または間接的に固定された回転
側軸受部材と、固定側に直接又は間接的に固定され、該
回転側軸受部材に対向摺接する固定側軸受部材とを具備
する軸受であって、回転側軸受部材又は固定側軸受部材
のいずれか一方の少なくとも摺動面がカーボンを含む材
料からなり、他方の摺接面に窒化チタン薄膜を形成した
ことを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明の軸受をマグネット
ポンプのスラスト軸受に適用した構成例を示す図であ
る。同図において、１０は隔壁板であり、該隔壁板１０
にはスラスト軸受を構成する静止部材（固定側軸受部
材）１１を固定し、該静止部材１１に対向して羽根車１
４に固定されたスラスト軸受を構成する可動部材（回転
側軸受部材）１２を設けている。また、隔壁板１０を介
在させてマグネットカップリング１３が固定された永久
磁石１５と羽根車１４に固定された永久磁石１５が対向
している。

【０００９】上記構成のマグネットポンプを油送用ポン
プとして使用すると、モータ１７を起動してマグネット
カップリング１３を回転させることにより、該回転力は
永久磁石１５と永久磁石１６の間に作用する磁気吸引力
又は磁気反発力で羽根車１４に伝達され、羽根車１４は
スラスト方向に軸受に支持されて回転する。この時羽根
車１４側の油が後述する可動部材１２の摺動面に形成さ
れたスパイラル溝１２ａに巻き込まれ、該摺動面に密封
油膜を形成する。

【００１０】上記スラスト軸受を構成する可動部材１２
は金属材料又は超硬合金又はセラミックスで構成し、摺
動面に上記窒化チタン薄膜をダイナミックミキシング法
で形成する。そして静止部材１１をカーボンを含む材料
で構成する。また、スラスト軸受をこのように構成する
ことにより、摩擦係数及びカーボンの比摩擦量が小さい
優れた摩擦特性のスラスト軸受が得られる。また、可動
部材１２の摺動面には図２に示すように動圧発生用のス
パイラル溝１２ａを形成する。なお、この動圧発生用の
スパイラル溝は静止部材１１の摺動面に形成してもよ
い。また、スパイラル溝に限定されるものではなく、動
圧発生用の溝であればよく、更には動圧に限定されるも
のでは無く静圧でもよい。

【００１１】図３は摩擦試験の概略図を示す図である。
図示するように、回転軸１に摺接面に窒化チタン薄膜３
を形成した円板状の基材（ＳＵＳ４２０Ｊ２）２を固定
し、該窒化チタン薄膜３に対向して静止リング４を配置
している。摩擦試験は円板状の基材２の窒化チタン薄膜
３と静止リング４を一定の滑り速度、押し付け面圧のも
とに互いに摺動することにより行なう。摩擦摩耗試験の
条件は図３、表１に示す。押し付け面圧を０．６Ｍｐａ
から開始し、０．３Ｍｐａずつ段階的に最大５．５Ｍｐ
ａまで増加させ、トルクが急激に立ち上がるか、或いは
変動が激しくなるところで限界面圧とした。摺動試験の
後、摺動面の損傷状況を光学顕微鏡、触針式表面粗さ計
で観測、測定した。

【００１２】

【表１】表１面圧：０．６〜５．５ＭＰａ（実機の推定平均面圧：０．６ＭＰａ）周速：１．２ｍ／ｓ起動、停止の回転数：１０回（運転時間：５ｓ、停止時間：２０ｓ）試験油：ＤＨＰ５Ｅ（高精度製鉱油系）試験温度：１９５±５℃

【００１３】図４は窒化チタン薄膜被覆材と鋳鉄との組
み合わせにおける限界面圧を他の硬化処理材の場合と比
べて示す。窒化鋼ＳＡＣＭ６４５及びイオン窒化処理し
たＳＵＳ４２０Ｊ２の限界面圧は、それぞれ１．２，
０．９ＭＰａしかない。一方、ダイナミックス法で形成
した窒化チタン薄膜は限界面圧が５．５ＭＰａ以上と大
幅に向上する。また、摩擦摩耗試験後の摺動面の損傷状
況を観察した結果、ダイナミックミキシング法で形成し
た窒化チタン薄膜の摺動面は摩耗損傷を受けた形跡が認
められず、相手材の鋳鉄の損傷も極軽微なものであっ
た。一方、イオン窒化処理したＳＵＳ４２０Ｊ２の場
合、擬着摩耗の損傷形態を呈し、相手材の鋳鉄は著しく
損傷していた。

【００１４】これらの結果から、ダイナミックミキシン
グ法による窒化チタン薄膜は従来の材料と比較し、耐摩
耗性、耐かじり性に優れ、良好な摩耗摩擦特性を示すこ
とがわかった。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば下記
のような優れた効果が得られる。（１）軸受を構成する回転側軸受部材又は固定側軸受部
材のいずれか一方の少なくとも摺接面がカーボンを含む
材料とし、他方の摺接面に窒化チタン薄膜を形成したの
で、低摩擦係数と優れた耐摩耗性を有する軸受を提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の軸受をマグネットポンプのスラスト軸
受に適用した構成例を示す図である。

【図２】摺動面に形成されるスパイラル溝の形状を示す
図である。

【図３】摩耗摩擦試験に使用される装置の概略構成を示
す図である。

【図４】各種硬質材料と鋳鉄との組み合わせにおける摩
擦摩耗試験の結果を示す図である。

【符号の説明】

１０隔壁板１１スラスト軸受の静止部材１２スラスト軸受の可動部材１３マグネットカップリング１４羽根車１５永久磁石１６永久磁石１７モータ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者木内正人大阪府池田市緑丘１丁目８番31号工業技術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者長坂浩志神奈川県藤沢市本藤沢４丁目２番１号株式会社荏原総合研究所内 (72)発明者木村芳一神奈川県藤沢市本藤沢４丁目２番１号株式会社荏原総合研究所内 (72)発明者土屋直樹東京都大田区羽田旭町11番１号株式会社荏原製作所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転側に直接または間接的に固定された
回転側軸受部材と、固定側に直接又は間接的に固定さ
れ、該回転側軸受部材に対向摺接する固定側軸受部材と
を具備する軸受であって、前記回転側軸受部材又は固定側軸受部材のいずれか一方
の少なくとも摺動面がカーボンを含む材料からなり、他
方の摺接面に窒化チタン薄膜を形成したことを特徴とす
る軸受。
【請求項２】前記カーボンを含む材料が、カーボンを
主体とする材料又はカーボンを含浸する材料からなるこ
とを特徴とする請求項１に記載の軸受。
【請求項３】前記カーボンを含む材料が、カーボン系
複合材料、炭素鋼、鋳鉄、炭化物、カーボン系コーティ
ング材料、高分子材料のいずれかであることを特徴とす
る請求項１に記載の軸受。
【請求項４】前記窒化チタン薄膜の膜厚が２μｍ以上
であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１に
記載の軸受。
【請求項５】前記固定側軸受部材を構成する材料が鋳
鉄であり、前記回転側軸受部材の該固定側軸受部材の摺
接面に窒化チタン薄膜を形成したことを特徴とする軸
受。