JPH0967512A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH0967512A
JPH0967512A JP22651595A JP22651595A JPH0967512A JP H0967512 A JPH0967512 A JP H0967512A JP 22651595 A JP22651595 A JP 22651595A JP 22651595 A JP22651595 A JP 22651595A JP H0967512 A JPH0967512 A JP H0967512A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)成分として、ゴム状重合体0〜40重
量%、芳香族ビニル単量体残基29.5〜69.5重量
%、不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基30〜60重
量%、不飽和ジカルボン酸無水物残基0.5〜15重量
%及びこれら以外のビニル単量体残基0〜40重量%か
らなるイミド化共重合体0.5〜70重量%、(B)成
分として、ポリカーボネート樹脂1〜98.5重量%、
(C)成分として、グラフト共重合体1〜50重量%、
(D)成分として、他の熱可塑性樹脂0〜97重量%か
らなる樹脂成分100重量部に対して、(E)成分とし
て、燐化合物1〜50重量部を含有することを特徴とす
る難燃性樹脂組成物。 【効果】 本発明によれば、難燃性、成形時の滞留熱安
定性、耐熱性及び耐衝撃性において優れた難燃樹脂組成
物が提供され、電子・電気製品、OA機器などの用途、
各種部品材料として好適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性樹脂組成物
に関するものである。さらに詳しくは、臭素系難燃剤を
使用せずに難燃性及び成形時の滞留熱安定性を改良した
イミド化共重合体、ポリカーボネート樹脂及びグラフト
共重合体とを必須成分とする難燃性樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリカーボネート樹脂とAB
S樹脂とを必須成分とする樹脂組成物(以下、PC/A
BSアロイと略す)は優れた物性バランスと成形加工性
の良さ等から幅広い用途で使用されている。しかし、用
途によっては、難燃性を有していることが必要条件とな
る。例えば、電気・電子機器部品、OA機器、家庭用品
あるいは建築材料として用いられる場合等である。PC
/ABSアロイに難燃性を付与する方法としては、一般
的に臭素系難燃剤を添加するが、混練時及び成形時に臭
素系難燃剤の一部が分解し、遊離の臭素ガスや臭素化合
物が生成し、混練機や射出成形機のシリンダー、スクリ
ュー及び金型の表面を腐食させたり、電気・電子機器部
品分野では、金属部品を腐食させ、接点不良や導通不良
を引き起こしたりする。さらに、臭素系難燃剤の中に
は、成形加工時や燃焼時に極めて少量ながら、極めて有
毒なブロム化ジベンゾダイオキシンやジベンゾフラン等
が含まれる例が指摘されており、作業場の労働環境を悪
化させるばかりでなく、このような臭素系難燃剤を含む
樹脂製品を焼却処理する際には、自然を著しく汚染する
危険性も十分考えられる。このような欠点を取り除くた
めの方法として、臭素系難燃剤の代わりに、燐化合物な
どを、PC/ABSアロイへ添加することが提案されて
いる(特開平2-32154 号、特開平6-116459号) 。しかし
ながら、これらの燐化合物を多量に配合した樹脂組成物
は、成形機内に滞留するとフラッシュ等の外観不良が発
生しやすいという問題点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な課題を背景になされたものであり、成形加工時や燃焼
時の有害物質の発生のおそれが無く、しかも、難燃性及
び成形時の滞留安定性に優れたイミド化共重合体、ポリ
カーボネート樹脂及びグラフト共重合体とを必須成分と
する難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネ
ート樹脂、グラフト共重体及び燐化合物を必須成分とす
る樹脂組成物において、不飽和ジカルボン酸残基を有す
るイミド化共重合体を併用することにより、難燃性をな
んら損なうことなく、成形時の滞留熱安定性を改良され
ることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、
(1)(A)成分として、ゴム状重合体0〜40重量
%、芳香族ビニル単量体残基29.5〜69.5重量
%、不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基30〜60重
量%、不飽和ジカルボン酸無水物残基0.5〜15重量
%及びこれら以外のビニル単量体残基0〜40重量%か
らなるイミド化共重合体0.5〜70重量%、(B)成
分として、ポリカーボネート樹脂1〜98.5重量%、
(C)成分として、グラフト共重合体1〜50重量%、
(D)成分として、他の熱可塑性樹脂0〜97重量%か
らなる樹脂成分100重量部に対して、(E)成分とし
て、燐化合物1〜50重量部を含有することを特徴とす
る難燃性樹脂組成物、(2)(1)記載の(A)、
(B)、(C)、(D)、及び(E)の各成分に更に、
(F)成分として、シリコーン、フッ素系樹脂、及びフ
ェノール樹脂から選択される少なくとも1種を含むドリ
ップ防止剤0.01〜30重量部を含有することを特徴
とする難燃性樹脂組成物、(3)(1)記載の(A)、
(B)、(C)、(D)、及び(E)の各成分に更に、
(G)成分として、亜燐酸エステル化合物0.001〜
5重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成
物、(4)イミド化共重合体の相対粘度(メチルエチル
ケトン1重量%溶液の30℃で測定)が1.10以上で
あることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載
の難燃性樹脂組成物である。
【0005】以下に本発明をさらに詳細に説明する。ま
ず、(A)成分のイミド化共重合体及びその製法から説
明する。(A)イミド化共重合体の製法としては、第1
の製法として必要ならばゴム状重合体の存在下、芳香族
ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド単量体、不飽
和ジカルボン酸無水物およびこれらと共重合可能なビニ
ル単量体混合物を共重合させる方法、第2の製法として
必要ならばゴム状重合体の存在下、芳香族ビニル単量
体、不飽和ジカルボン酸無水物およびこれらと共重合可
能なビニル単量体混合物を共重合させた重合体にアンモ
ニア及び/又は第1級アミンを反応させて酸無水物基の
40〜99モル%をイミド基に変換させる方法が挙げら
れ、いずれの方法によってもイミド化共重合体を得るこ
とができる。
【0006】(A)イミド化共重合体の製法に使用され
る芳香族ビニル単量体としてはスチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ヒドロ
キシスチレン、ハロスチレン、スチレンスルホン酸ナト
リウム等が挙げられ好ましくは、スチレン、α−メチル
スチレンである。不飽和ジカルボン酸イミドとしては、
マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイ
ミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、
N−(アルキル置換フェニル)マレイミド等が挙げら
れ、好ましくは、N−フェニルマレイミド、マレイミド
等が用いられる。不飽和ジカルボン酸無水物としては、
マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びアコニット
酸等の無水物があり、特にマレイン酸無水物が好まし
い。また、(A)イミド化共重合体成分は、これらと共
重合可能なビニル単量体を共重合させることができる。
共重合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロ
アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、メチルア
クリル酸エステルやエチルアクリル酸エステル、ブチル
アクリル酸エステル等のアクリル酸エステル単量体、メ
チルメタクリル酸エステル、エチルメタクリル酸エステ
ル、シクロヘキシルメタクリル酸エステル等のメタクリ
ル酸エステル単量体、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸モノメチル及びフマル酸モノメチル等の不飽和カ
ルボン酸単量体並びにアクリル酸アミドやメタクリル酸
アミド等の不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げら
れ、これらの中ではアクリロニトリル、メタクリル酸エ
ステル、アクリル酸及びメタクリル酸等の単量体が好ま
しい。イミド化反応の温度は、約80〜350℃であ
り、好ましくは100〜300℃である。80℃未満の
場合には反応速度が遅く、反応に長時間を要して実用的
でない。一方、350℃を超える場合には、重合体の熱
分解による物性低下をきたす。酸無水物残基量の調整
は、酸無水物基に対して添加するアンモニア及び/又は
第1級アミンのモル当量によって行われる。また、溶液
状態でイミド化する場合の溶剤としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、イソブチルケトン、アセトフェノ
ン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミド等が
あり、これらの中ではメチルエチルケトンやメチルイソ
ブチルケトンが好ましい。非水性媒体中での懸濁状態で
イミド化する時の非水性媒体としては、ヘプタン、ヘキ
サン、ペンタン、オクタン、2−メチルペンタン及びシ
クロヘキサン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0007】(A)イミド化共重合体に必要なら使用さ
れるゴム状重合体としては、例えば、ポリブタジエン、
ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体、ポリイソプレン、イソプレンースチレン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、水素添加ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体等のブタジエン系ゴム
や、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン(ジエン成
分)共重合体等が挙げられる。
【0008】本発明における(B)ポリカーボネート樹
脂は、2価フェノールとホスゲンまたは炭酸ジエステル
の反応により製造することができる。2価フェノールと
しては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェ
ニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン等、またはこれらの核アルキル化誘導体が上
げられるが、好ましくはビスフェノール類、特に好まし
くは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
である。これらの2価フェノールのホモポリマーまた
は、2種以上のコポリマーあるいはこれらのブレンド品
であってもよい。必要にならば、分岐化剤(通常は多官
能性の芳香族化合物)も2価フェノールとホスゲンまた
は炭酸ジエステルと反応させて得られるランダムに分岐
したポリカーボネートも含まれる。これらの多官能性の
芳香族化合物はカルボキシ、ヒドロキシ、カルボン酸無
水物、ハロホルミル及びこれらの組み合わせといったよ
うな官能基を少なくとも3個含有する。分岐剤として用
いられる具体例としては、トリメリト酸無水物、トリメ
リト酸、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ピロメリ
ト酸、フロログルシン、没食子酸、没食子酸プロピル、
メリト酸、トリメシン酸及びベンゾフェノンテトラカル
ボン酸等が挙げられる。
【0009】本発明における(C)グラフト共重合体と
は、ガラス転移温度が10℃以下のゴム状重合体100
重量部の存在下、芳香族ビニル単量体、メタクリル酸エ
ステル単量体、アクリル酸エステル単量体、シアン化ビ
ニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド単量体等の少な
くとも1種からなる単量体5〜2000重量部を(共)
重合させて得るこができる。また、エポキシ基、アミノ
基や酸無水物基等を有するガラス転移温度が10℃以下
のゴム状重合体100重量部と前記官能基と反応するア
ミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、カルボキシル
基、酸無水物基、水酸基、メルカプト基、オキサゾリル
基等の官能基を有する芳香族ビニル単量体、アクリル酸
エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、シアン
化ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド単量体等の
少なくとも1種を含有する(共)重合体10〜2000
重量部とを押出し反応させて得るこもできる。
【0010】ガラス転移温度が10℃以下のゴム状重合
体としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−ス
チレン共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、水素添加ブタジエン−スチレンブロック共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のブタジエン
系ゴムや、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン(ジ
エン成分)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合
体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加
スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリウレタン
系ゴム、ポリアミド系ゴム、シリコーン系ゴム等が挙げ
られる。またシリコーン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴムやブタジエン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴムも用いることができる。本発明において好ま
しくは、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合
体、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン(ジエン成
分)共重合体、シリコーン系ゴム等が用いられる。
【0011】本発明の(C)グラフト共重合体に使用で
きる芳香族ビニル単量体、メタクリル酸エステル単量
体、シアン化ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド
単量体は、(A)イミド化共重合体において例示された
ものでよく、いずれの単量体も単独又は2種以上併用し
て用いることができる。
【0012】グラフト共重合体の中のガラス転移温度が
10℃以下のエラストマーの割合は、5〜95重量%の
範囲で用いられるのが好ましく、より好ましくは10〜
90重量%の範囲である。ゴム質重合体の割合が5重量
%未満であると耐衝撃性が十分でなく、95重量%を越
えるとグラフト率、樹脂の表面光沢性、成形加工性、難
燃性が低下する。グラフト共重合体のグラフト率は、好
ましくは5〜150重量%更に好ましくは10〜120
重量%である。グラフト率が5重量%未満であると十分
な耐衝撃性が得られず、150重量%を越えると燃焼時
のドリッピングが起こり易くなる。
【0013】また(C)グラフト共重合体として、コア
/シェル型共重合体を用いることも可能である。この場
合コアとしてはポリブタジエン、ポリイソプレン、アク
リル系ゴム、シリコーン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴム等の前記ゴム質重合体を包含する。シェル構
成物質は好ましくは前記芳香族ビニル化合物及びメタク
リル酸エステル単量体の混合物から得られる共重合体
や、メタクリル酸エステル単量体のみから得られる重合
体等からなるが、必要ならば、アクリル酸ビニル、メタ
クリル酸ビニル、ブチレンジアクリレート、ブチレンジ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、トリ
ビニルベンゼン等の架橋性単量体をさらに併用すること
もできる。が、これらに限定されるものではない。
【0014】本発明において特に好ましいグラフト共重
合体の具体例で述べると、ABSグラフト共重合体、、
AESグラフト共重合体、、AASグラフト共重合体、
MBSのコア・シェル型共重合体、シリコーン及びアク
リルゴムからなる複合ゴムをコアとしポリメタクリル酸
メチルをシェルとする共重合体等を挙げることができ
る。
【0015】グラフト共重合体の製造方法には、特に制
限はなく塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、押
出機内での反応等の公知の方法を使用できる。乳化重合
の場合、ゴム粒径を制御しやすい長所があるが、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の不純物
が残り易いが、これら不純物が少ない方が望ましい。。
【0016】本発明における(D)他の熱可塑性樹脂と
しては、芳香族ビニル単量体を必須成分とする単量体を
共重合して得られる共重合体、ポリエステル、ポリアリ
レート、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド等が挙げ
られる。芳香族ビニル単量体を必須成分とする単量体を
共重合して得られる共重合体中の単量体の割合は、芳香
族ビニル化合物/シアン化ビニル単量体、メタクリル酸
エステル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド単量体、不
飽和カルボン酸アミド単量体等から選ばれる1種以上の
単量体=10/90〜99/1(重量比)、特に好まし
くは、15/85〜95/5(重量比)の範囲である。
なお、これらの芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単
量体、メタクリル酸エステル単量体、不飽和ジカルボン
酸イミド単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体は
(A)グラフト共重合体で例示されたものでよく、いず
れの単量体も単独又は2種以上併用して用いることがで
きる。これらの共重合体の製造方法には特に制約がなく
塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の
方法が使用できる。
【0017】ポリエステルとしては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアリレートとしては、ビスフェノールAや4,4’
−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテル等のビスフェノー
ルとイソフタル酸、テレフタル酸等の2塩基酸またはそ
の誘導体から合成される芳香族ポリエステルやp−ヒド
ロキシ安息香酸/ビスフェノール/テレフタル酸、p−
ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフタレン
カルボン酸/テレフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸/
ポリブチレンテレフタレート等の液晶性ポリエステル等
が挙げられる。
【0018】ポリアミドとしては、6−ナイロン、6,
6−ナイロン、4,6−ナイロン、10−ナイロン等の
脂肪族ナイロンやメタキシリレンジアミン/アジピン
酸、ポリフタルアミド、ヘキサメチレンジアミン/テレ
フタル酸/カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン/
テレフタル酸/イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン
/テレフタル酸/アジピン酸等の芳香族ナイロン等が挙
げられる。
【0019】ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)
エーテル、2,6−ジメチル−1,4−フェニル/2,
3,6−トリメチル−1,4−フェノール共重合体及び
前2者にそれぞれスチレンをグラフト重合したグラフト
共重合体が挙げられる。
【0020】好ましい(D)他の熱可塑性樹脂として
は、α−メチルスチレン/アクリロニトリル共重合体、
スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アク
リロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
/N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン/N−フ
ェニルマレイミド/アクリロニトリル共重合体、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ビスフェノールA/フタル酸からなるポリアリレート、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、メタキシレンジアミン/アジピン酸からなるポリア
ミドである。
【0021】本発明において(A)イミド化共重合体、
(B)ポリカーボネート樹脂、(C)グラフト共重合体
及び(D)他の熱可塑性樹脂の配合割合は、(A)成
分:(B)成分:(C)成分:(D)成分=0.5〜7
0:1〜98.5:1〜50:0〜97重量%、好まし
くは、1〜65:2〜95:2〜45:0〜95重量%
であり、特に好ましくは、2〜60:3〜90:3〜4
0:0〜90重量%である。 (A)イミド化共重合体の配合割合が0.5重量%未満
であると滞留成形時の熱安定性の改良効果が不足し、一
方、70重量%を超えると耐衝撃性が低下する傾向が見
られる。 (B)ポリカーボネート樹脂の配合割合が1重量%未満
であると、難燃性や耐衝撃性が低下する短所が現れ、一
方、98.5重量%を超えると成形性が低下したり衝撃
強度の厚み依存性が大きくなりすぎる短所が顕著にな
る。 (C)グラフト共重合体の配合割合が1重量%未満であ
ると、衝撃強度が不足し、逆に、50重量%を超えると
難燃性や耐熱性が低下する短所が顕著になる。 (D)他の熱可塑性樹脂の配合割合が多いほど成形性及
び/又は耐熱性等を向上させることができるが、97重
量%を超えると衝撃強度が低下する短所が現れる。
【0022】本発明では更に必要に応じて、難燃性や耐
衝撃性等の物性を阻害しない範囲で、(A)イミド化共
重合体、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)グラフト
共重合体及び(D)他の熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹
脂を含有することもできる。それらの中の代表的なもの
を例示すれば、(変性)ポリエチレン、(変性)ポリプ
ロピレン、(変性)エチレン・プロピレン共重合樹脂、
ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
アセタール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタクリ
ル酸メチル等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を
組み合わせて使用することも可能である。
【0023】本発明において成形時の滞留安定性を改良
するには、(A)イミド化共重合体の組成は、ゴム状重
合体:芳香族ビニル単量体残基:不飽和ジカルボン酸イ
ミド単量体残基:不飽和ジカルボン酸無水物残基:他の
共重合可能な単量体残基=0〜40:30〜69.5:
29.5〜60:0.5〜15:0〜40重量%、好ま
しくは、0〜35:32〜65:32.2〜58:0.
8〜13:0〜35重量%であり、特に好ましくは、0
〜30:35〜60:34〜55:1〜12:0〜30
重量%である。ゴム状重合体の割合が40重量%を超え
たり、芳香族ビニル単量体残基の割合が30重量%未満
もしくは69重量%を超えたり、共重合可能なビニル単
量体残基の割合が40重量%を超えたりすると、(B)
ポリカーボネート樹脂や(C)グラフト共重合体との相
溶性が損なわれる為、成形品に層剥離等の外観不良が発
生しやすくなったり、成形時の滞留安定性の改良効果が
低減する欠点が現れる。不飽和ジカルボン酸無水物残基
の割合が0.5重量%未満であると、滞留成形時の熱安
定性の改良効果が乏しく、一方、15重量%を超えると
イミド化共重合体そのものの熱安定性が低下するので、
滞留安定性の改良効果は見られなくなる。また、不飽和
ジカルボン酸イミド単量体残基の割合が30重量%未満
であったり、60重量%を超えると、仮に、不飽和ジカ
ルボン酸無水物残基の割合が0.5〜15重量%の範囲
にあっても、(B)ポリカーボネート樹脂や(C)グラ
フト共重合体との相溶性が不足したり、イミド化共重合
体そのものの熱安定性が不足する為、滞留成形時の熱安
定性の改良効果が十分に発揮されない欠点が現れる。
【0024】本発明において、成形時の滞留安定性のみ
を改良だけであるならば、(A)イミド化共重合体の分
子量に特に制限はないが、成形時の滞留安定性の改良だ
けでなく、耐衝撃性も良好な難燃性樹脂組成物を得るに
は、分子量の高いイミド化共重合体が望ましい。具体的
には、相対粘度が1.10以上、好ましくは、1.13
以上であり、特に好ましくは1.15以上である。本発
明における相対粘度は、メチルエチルケトンの1重量%
溶液を遠心分離し、その上澄液のウベローデ粘度計にお
ける30℃での粘性率とメチルエチルケトン溶媒単独の
30℃での粘性率との比で代表することとする。
【0025】本発明で用いられる(E)燐化合物は、燐
原子を有する化合物であれば特に制限はなく、燐酸エス
テル、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジル
ホスフィンオキシド、メタンホスホン酸ジフェニル、フ
ェニルホスホン酸ジエチル、ホスファゼン化合物、赤燐
等を挙げることができる。好ましくは一般式(I)で表
される有機燐化合物が用いられる。
【化1】 (式中、R1 、R2 及びR3 は互いに独立して、水素原
子または有機基を表すがR1 =R2 =R3 =Hの場合を
除く。Xは2価以上の有機基を表し、Yは酸素原子また
は硫黄原子、Zはアルコキシ基またはメルカプト基を表
す。pは0または1であり、qは1〜30の整数、rは
0以上の整数を表す。しかし、これらに限定されるもの
ではない。) 上記式において、有機基とは例えば、置換されていても
いなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基などがあてられる。また、置換されている場合、置
換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキ
ルチオ基等が挙げられ、またこれらの置換基を組み合わ
せた基(例えばアリールアルコキシアルキル基など)ま
たはこれらの置換基を酸素原子、硫黄原子、窒素原子な
どにより結合して組み合わせた基(例えば、アリールス
ルホニルアリール基など)を置換基として用いてもよ
い。また、2価以上の有機基とは上記した有機基から、
炭素原子に結合している水素原子の一個以上を除いてで
きる2価以上の基を意味する。例えばアルキレン基、及
び好ましくは(置換)フェニレン基、多核フェノール類
例えばビスフェノール類から誘導されるものが挙げられ
2以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。特に好
ましいものとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノール
A]、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ケトンなどが挙げられる。
【0026】これらの燐化合物を例示すると、燐酸エス
テルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホ
スフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチ
ルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフ
ェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニル
ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ェート、トリス(o−フェニルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(p−フェニルフェニル)ホスフェート、ト
リナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェ
ートキシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェ
ニルジクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、
モノブチルホスフート、ジ−2−エチルヘキシルホスフ
ェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイ
ルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロ
イルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−
2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニ
ル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等及
びこれらの縮合物、例えばレゾルシノールビス(ジフェ
ニルホスフェートレゾルシノールビス(ジクレジルホス
フェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフ
ェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェートやポリホスフェートオリゴマ
ー等が挙げられる。
【0027】またトリフェニルホスフェートやトリクレ
ジルホスフェートやそれらの縮合燐酸エステル等に1個
または2個以上のフェノール性水酸基を含有した、ヒド
ロキシル基含有芳香族系燐酸エステルも燐化合物として
用いることができる。ヒドロキシル基含有芳香族系燐酸
エステルとしては、ジフェニルレゾルシノールホスフェ
ート、フェニルジレゾルシノールホスフェート、ジクレ
ジルレゾルシノールホスフェート等が挙げられる。
【0028】本発明では有機燐化合物として燐酸エステ
ルが好ましく用いられ、その中でも特に好ましくはトリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ト
リキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェ
ニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシレニルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロ
ピルフェニル)フェニルホスフェート等のモノホスフェ
ートや、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェート等が挙げられる。これら燐化
合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わせて
用いることもできる。
【0029】これらの燐化合物の配合量は、(A)イミ
ド化共重合体、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)グ
ラフト共重合体、(D)他の熱可塑性樹脂からなる樹脂
成分100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは
3〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部であ
る。1重量部よりも少ない量では充分な難燃化効果が得
られず、50重量部よりも多い量では、得られる組成物
の耐熱性および耐衝撃性の著しい低下、成型加工時の揮
発分の増加等の弊害を生じる。
【0030】本発明において、より高度の難燃性が要求
される場合、上記(A)〜(E)成分に加えて、(F)
ドリップ防止剤を含有させることもできる。(F)ドリ
ップ防止剤としては、シリコーン、フッ素系樹脂、及び
フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0031】本発明で用いられるシリコーンは、原則と
してその分子構造中に
【化2】 骨格を有するものであれば特に制限はない。本発明で用
いられるシリコーンを例示すると、ポリジメチルシロキ
サン、ポリメチルフェニルシロキサンアミノ変性シリコ
ーン、メルカプト変性シリコーン、エポキシ変性シリコ
ーン等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよい
し、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、これ
らのシリコーンは、分子量数百〜数百万の広範囲のもの
が使用でき、その形態はオイル状、ワニス状、ガム状、
樹脂状等如何なるものであってよい。本発明では好まし
くはポリジメチルシロキサンが用いられる。
【0032】本発明で用いられるフッ素系樹脂は、フッ
素原子を含有する樹脂であれば、特に制限はない。本発
明で用いられるフッ素系樹脂を例示すると、ポリ四フッ
化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共
重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重
合体、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよいし、
2種以上組み合わせて用いてもよい。フッ素系樹脂の形
態は、エマルジョン状、懸濁状、ミクロフィブリル状、
粉末状、粒状等如何なるものであってもよい。本発明で
は好ましくはポリ四フッ化エチレンが用いられる。
【0033】本発明でシリコーン、フッ素系樹脂を用い
る場合その添加量は、(A)イミド化共重合体、(B)
ポリカーボネート樹脂、(C)グラフト共重合体、
(D)他の熱可塑性樹脂からなる樹脂成分100重量部
に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜
4重量部であり、特に好ましくは0.1〜3重量部であ
る。シリコーン、フッ素系樹脂の量が0.01重量部以
下では充分な滴下防止効果が得られず、5重量部を越え
る場合は配合した樹脂組成物の成形品の外観不良、溶融
粘度の増加等の不良現象を生ずる場合がある。
【0034】本発明で用いられるフェノール系樹脂は、
フェノール類とアルデヒド類を酸性又はアルカリ性触媒
下で反応させて得られる。フェノール類としては、フェ
ノール、クレゾール、キシレノール、エチルフノール、
プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノ
ール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノ
キシフェノール、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジ
ヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)ペ
ンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファ
イド、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン等、及びこれらの混合物が挙げられ
る。
【0035】アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオ
キサール等が挙げられる。また一分子中に少なくともフ
ェノール性水酸基を一個有する芳香族モノアルデヒドも
用いることができる。このような芳香族モノアルデヒド
として、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロ
キシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒ
ド、β−レゾルシルアルデヒド、バニリン等が挙げられ
る。
【0036】ケトン類としては、アセトン等が挙げられ
る。これらアルデヒド及び/又はケトン類は1種のみ用
いても良いし、2種以上組み合わせて用いることもでき
る。
【0037】本発明では、フェノール系樹脂としてレゾ
ール型、ノボラック型のどちらも使用することが可能で
あるが、好ましくはノボラック型フェノール樹脂が用い
られる。本発明で用いられるノボラック型フェノール樹
脂は、上記フェノール類と上記アルデヒド及び/又はケ
トン類を酸触媒下、公知の方法で反応させて得られる。
また本発明においては、上記アルデヒド及び/又はケ
トン類の一部、或いは全部をジシクロペンタジエンに置
き換え、上記フェノール類と反応させて得られるノボラ
ック型フェノール樹脂も用いることができる。更に本発
明では、上記アルデヒド及び/又はケトン類の一部、或
いは全部をアラルキルハライド及び/又はアラルキルア
ルコール誘導体に置き換え、上記フェノール類と反応さ
せて得られるノボラック型フェノール樹脂も用いること
ができる。本発明におけるアラルキルハライド及び/又
はアラルキルアルコール誘導体は、一般式(II)
【化3】 (式中、Rは塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、ま
たはアルコキシ基である化合物である。)アルコキシ基
としては炭素数4以下の低級アルコキシ基が好ましい。
好ましく使用されるアラルキルハライドとしては、α,
α’−ジクロロ−p−キシレン、α,α’−ジブロモ−
p−キシレン、α,α’−ジヨード−p−キシレン等が
挙げられ、また好ましく使用されるアラルキルアルコー
ル誘導体としては、α,α’−ジヒドロキシ−p−キシ
レン、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、α,α’
−ジエトキシ−p−キシレン、α,α’−ジプロポキシ
−p−キシレン、α,α’−ジ−n−ブトキシ−p−キ
シレン、αα’−ジ−sec−ブトキシ−p−キシレ
ン、α,α’−ジ−イソブトキシ−p−キシレン等が挙
げられる。
【0038】本発明でフェノール系樹脂を用いる場合そ
の添加量は、(A)〜(D)からなる樹脂成分100重
量部に対し、1〜30重量部、好ましくは1〜20重量
部の範囲である。フェノール系樹脂の量が1重量部より
も少ない量では滴下防止効果が充分に得られず難燃性に
劣り、30重量部を越える量では得られる樹脂組成物の
耐光性や耐衝撃性の著しい低下等の弊害を生じる場合が
ある。本発明では、シリコーン、フッ素系樹脂、及びフ
ェノール系樹脂はいずれも燃焼の際の樹脂の滴下の防止
に対して有効に作用するが、特に耐光性の優れた難燃性
樹脂組成物を得る場合には、フッ素系樹脂及び/又はシ
リコーンを用いるのが好ましい。
【0039】本発明において、成形時の滞留安定性をよ
り高度に改良するために、上記(A)〜(E)成分に加
えて、(G)亜燐酸エステル化合物を含有させることも
できる。本発明において用いられる亜燐酸エステル化合
物は、一般式(III)及び(IV) で表される。
【化4】 (式中R1 、R2 、R3 は互いに独立に炭素数1〜25
の炭化水素基を示す。)
【化5】 (式中R4 及びR5 は互いに独立に炭素数1〜25の炭
化水素基を示す。) 一般式(III)及び(IV) で表される亜燐酸エステル化合
物の具体例としては、トリメチルホスファイト、トリエ
チルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2
−エチルヘキシル)ホスファイト、トリブトキシエチル
ホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリデシル
ホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステア
リルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリク
レジルホスファイト、トリキシレニルホスファイト、ト
リス(イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリスノ
ニルフェニルホスファイェト、トリス(o−フェニルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(p−フェニルフニル)
ホスファイト、トリナフチルホスファイト、クレジルジ
フェニルホスファイト、キシレニルジフェニルホスファ
イト、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイ
ト、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスファイ
ト、o−フェニルフェニルジクレジルホスファイト、ジ
ブチルホスファイト、モノブチルホスファイト、ジ−2
−エチルヘキシルホスファイト、モノイソデシルホスフ
ァイト及びこれらの縮合物、ビス(トリデシル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−
t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。好
ましくは、トリオクチルホスファイト、トリデシルホス
ファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリル
ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ビス(トリ
デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等で
ある。一般式(III)及び(IV) で表される亜燐酸エステ
ル化合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わ
せて用いることも可能である。
【0040】(G)亜燐酸エステル化合物の添加量は、
(A)〜(D)からなる樹脂成分100重量部に対し、
0.001〜5重量部、好ましくは0.003〜4重量
部の範囲であり、特に好ましくは、0.01〜3重量部
である。本発明における安定剤(G)の添加量が0.0
01重量部よりも少ない場合、滞留成形時の熱安定性改
良効果が乏しく、5重量部を超えると、安定剤そのもの
の熱分解等により、再び滞留成形時の熱安定性が悪くな
る。0.001〜5重量部の範囲において、滞留成形時
の熱安定性の改良に好適であり、(A)イミド化共重合
体と併用することにより、滞留成形時の熱安定性を大幅
に改良できる。
【0041】本発明の難燃性樹脂組成物は、臭素或いは
塩素を含有する化合物を難燃化成分として使用せずに、
優れた難燃効果を発現するものであるが、通常用いられ
る公知の難燃化添加剤を併用することもできる。難燃化
添加剤は、通常難燃化効果を有するものであれば特に制
限はなく、塩素或いは臭素含有化合物、アンチモン化合
物、窒素化合物、熱膨張性グラファイト、カルボン酸金
属塩、スルホン酸金属塩、硼酸金属塩、金属酸化物、金
属水酸化物、フェロセン、グアナミン樹脂、メラミン樹
脂、ユリア樹脂等の難燃化添加剤が使用できる。これら
難燃化添加剤は1種のみ用いても良いし、2種以上組み
合わせて用いることも可能である。
【0042】樹脂及び難燃剤等の混合方法には特別の制
限はなく、これらを均一に混合できる手段であればいず
れの手段をも採用できる。例えば、押出機、ヘンシェル
型ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、加熱ロー
ルなど各種の混合用機械による混合、混練等が適宜採用
できる。混練に際しては、各成分を一括混練してもよ
く、また任意の成分を混練したのち、残りの成分を添加
し混練してもよい。好ましい混練方法は、押出機を用い
る方法であり、押出機としては2軸押出機が特に好まし
い。
【0043】この際、必要に応じて難燃性を阻害しない
範囲でその効果が発現する量の種々の充填材や添加剤等
を配合できる。それらを例示するとガラス繊維、アスベ
スト、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリ
ウムウイスカー繊維、金属繊維、セラミックス繊維、ボ
ロンウイスカー繊維等の繊維状充填材、マイカ、シリ
カ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、
ガラスバルーン、ガラスフレーク等の充填材や、離型
剤、滑剤、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、
酸化防止剤、耐熱安定剤、老化防止剤、染(顔)料等の
添加剤等が挙げられる。更にはポリマーブレンドの特性
を向上させるための衝撃強度改良剤、相溶化成分等も配
合することができる。
【0044】
【実施例】本発明をさらに説明するために以下に実施例
をを挙げるが、これらの実施例はいかなる意味において
も本発明を制限するものではない。尚、本明細書記載の
部及び比はいずれも重量基準で示したものである。以下
に実施例及び比較例において使用した樹脂、燐化合物及
びドリップ防止剤、亜燐酸エステル化合物等を示す。 (A)イミド化共重合体の製造 撹拌機を備えたオートクレーブ中に表1に示した量のス
チレン、アクリロニトリル及びメチルエチルケトン50
部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後温度を85℃
に昇温し、表1に示した量のN−フェニルマレイミド、
無水マレイン酸及びベンゾイルパーオキシド0.15部
をメチルエチルケトン250部に溶解した溶液を8時間
で連続的に添加した。添加後、さらに3時間温度を85
℃に保った。粘稠な反応液の一部をサンプリングしてガ
スクロマトグラフィーにより、スチレン、アクリロニト
リル、無水マレイン酸の重合率の定量を行った。ここで
得られた共重合体溶液に無水マレイン酸に対して、それ
ぞれ表1に示す量のアニリン及びトリエチルアミン0.
3部を加え、室温まで冷却し、激しく撹拌したメタノー
ル1500部に注ぎ析出、濾別、乾燥しイミド化共重合
体A−1〜6を得た。C−13NMR分析より無水マレ
イン酸単量体残基を定量した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】連鎖移動剤として、ドデシルメルカプタン
1部をスチレン60部と一緒に仕込み、ベンゾイルパー
オキシド量を0.25部に変更した以外は、A−2と同
様にしてイミド化共重合体A−7を得た。 (B)ポリカーボネート樹脂 帝人化成社製パンライトL-1250を使用した。以下、PC
と略す。 (C)グラフト共重合体の製造 ポリブタジエンラテックス80部(平均粒径320μm
、固形分濃度50%)にアクリロニトリル18部、ス
チレン42部をグラフト共重合して得られたラテックス
を酸水溶液で析出・水洗・ろ過・乾燥して得られた粉末
を以下、ABSと略す。 (D)他の熱可塑性樹脂 アクリロニトリル/スチレン(28/72比)混合物を
懸濁重合して得られた共重合体を、以下、ASと略す。
ポリエチレンテレフタレートとしてユニチカ社製NEH205
0 を使用した。以下、PETと略す。ポリアリレートと
して、ユニチカ社製Uポリマー(U-100)を使用した。以
下、U-100 と略す。 (E)燐化合物 大八化学工業社製トリフェニルホスフェート、以下、T
PPと略す。 (F)ドリップ防止剤 フッ素系樹脂として、三井デュポンフロロケミカル社製
ポリ四フッ化エチレンテフロン6Jを使用した。以下、テ
フロンと略す。フェノール系樹脂として、軟化点92℃
のフェノールノボラックを使用した。以下、フェノール
と略す。シリコーンとして、東レダウコーニングシリコ
ーン社製ポリジメチルシロキサンSH-200(粘度30000cs)
を使用した。以下、シロキサンと略す。 (G)亜燐酸エステル化合物 トリラウリルホスファイトを以下、TLPと略す。ビス
(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイトを以下、スピロリンと略す。 実施例1〜15、比較例1〜6 表2、及び表3に示した配合で、ヘンシェルミキサーで
混合撹拌し、ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工
社製、PCM−30)を使用し、250〜280℃で溶
融混練押出しし、ペレタイザーによりペレット化した。
このようにして得たペレットを十分乾燥した後、射出成
形にて試験片を作成し、以下の方法により評価・測定し
た。 (1)加熱変形温度 :ASTM D648に準拠
し、荷重18.6 kg/cm2 で測定した。 (2)アイゾット衝撃強度:ASTM D256に準拠
し、23℃で1/8インチ厚み、ノッチ付き試験片を用
いて測定した。 (3)難燃性 :UL−94試験法に準拠
し、1/16インチ厚みの試験片を使用して評価した。 (4)成形時の滞留安定性試験:射出成形機(日本製鋼
所製マイクロメイトJ10S)を用い、シリンダー温度
250℃及び金型温度50℃に設定し、シリンダー中に
樹脂組成物を5分、10分及び15分滞留後、127mm ×
12.7mm×1.6mm の試験片を成形し、フラッシュ及び変色
の有無で熱安定性を判定した。 ○・・・フラッシュ無し △・・・若干フラッシュが見られる。 ×・・・フラッシュが数多く見られる。 それらの結果を表2、及び第3表に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】表2より、特定組成の芳香族ビニル単量体
残基、不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基不純物及び
不飽和ジカルボン酸無水物残基を含有するイミド化共重
合体、ポリカーボネート樹脂、グラフト共重合体及び燐
化合物を必須成分とする樹脂組成物は、難燃性、耐熱性
及び耐衝撃性等の物性バランスを損なうことなく、成形
時の滞留安定性を改良することができる。表3に示すよ
うに、この樹脂組成物にさらに亜燐酸エステル化合物を
併用添加することにより、さらに成形時の滞留安定性を
改良することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、難燃性、成形時の滞留
熱安定性、耐熱性及び耐衝撃性において優れた難燃樹脂
組成物が提供され、電子・電気製品、OA機器などの用
途、各種部品材料として好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/02 LEA C08L 25/02 LEA LEC LEC LEE LEE 27/12 LGB 27/12 LGB LGE LGE 35/00 LJW 35/00 LJW 51/04 LKX 51/04 LKX LKY LKY 61/06 LMR 61/06 LMR LMU LMU 83/04 LPY 83/04 LPY LRT LRT 101/00 LSY 101/00 LSY

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)成分として、ゴム状重合体0〜4
    0重量%、芳香族ビニル単量体残基29.5〜69.5
    重量%、不飽和ジカルボン酸イミド単量体残基30〜6
    0重量%、不飽和ジカルボン酸無水物残基0.5〜15
    重量%及びこれら以外のビニル単量体残基0〜40重量
    %からなるイミド化共重合体0.5〜70重量%、
    (B)成分として、ポリカーボネート樹脂1〜98.5
    重量%、(C)成分として、グラフト共重合体1〜50
    重量%、(D)成分として、他の熱可塑性樹脂0〜97
    重量%からなる樹脂成分100重量部に対して、(E)
    成分として、燐化合物1〜50重量部を含有することを
    特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(A)、(B)、
    (C)、(D)、及び(E)の各成分に更に、(F)成
    分として、シリコーン、フッ素系樹脂、及びフェノール
    樹脂から選択される少なくとも1種を含むドリップ防止
    剤0.01〜30重量部を含有することを特徴とする難
    燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の(A)、(B)、
    (C)、(D)、及び(E)の各成分に更に、(G)成
    分として、亜燐酸エステル化合物0.001〜5重量部
    を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 イミド化共重合体の相対粘度(メチルエ
    チルケトン1重量%溶液の30℃で測定)が1.10以
    上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の難燃性樹脂組成物。
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