JPH09302210A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH09302210A
JPH09302210A JP13743696A JP13743696A JPH09302210A JP H09302210 A JPH09302210 A JP H09302210A JP 13743696 A JP13743696 A JP 13743696A JP 13743696 A JP13743696 A JP 13743696A JP H09302210 A JPH09302210 A JP H09302210A
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Japan
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resin
weight
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phosphate
copolymer
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Application number
JP13743696A
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English (en)
Inventor
Takashi Chiba
尚 千葉
Atsushi Watanabe
淳 渡邉
Korehiko Saito
伊彦 斉藤
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工時や燃焼時の有害物質の発生の恐れ
が無く、優れた難燃性及び機械特性を有するポリカーボ
ネート樹脂及びグラフト共重合体を含有する難燃性樹脂
組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート樹脂1〜98重
量%、(B)グラフト共重合体1〜50重量%、(C)
相溶化成分1〜98重量%からなる樹脂成分100重量
部に対して、(D)燐化合物1〜50重量部、(E)フ
ェノール樹脂1〜50重量部を含有する樹脂組成物にお
いて、ポリカーボネート樹脂50重量部とグラフト鎖と
同じ組成の樹脂40重量部及び相溶化成分10重量部か
らなる樹脂を溶融混練し、300℃で3分以上保持した
後、急冷したものを光学顕微鏡で倍率100倍にて観察
した際、2mm以上の粒子の数が10個/50cm2
下である難燃性樹脂組成物を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性樹脂組成物に
関するものである。さらに詳しくは、臭素系難燃剤を使
用せずに難燃性及び機械的特性を改良したポリカーボネ
ート樹脂とグラフト共重合体を含有する難燃性樹脂組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂とABS樹
脂とを含有する樹脂組成物(以下、PC/ABSアロイ
と略す)は、優れた物性バランスと成形加工性の良さな
どから幅広い用途で使用されている。しかし用途によっ
ては難燃性を有していることが必要となり、これは特
に、電気・電子機器部品、OA・家電機器などの製品に
用いられる場合についていえる。PC/ABSアロイに
難燃性を付与する方法としては、一般的にハロゲン系難
燃剤を添加するが、混練時及び成形時にハロゲン系難燃
剤の一部が分解、ガス化し、加工機器などを腐食する点
や、ハロゲン系難燃剤の中には、成形加工時や燃焼時に
極めて少量ながら、有毒なブロム化ジベンゾダイオキシ
ンやジベンゾフランなどを発生することが指摘されてい
る。この様な欠点を取り除くための方法として、ハロゲ
ン系難燃剤の代わりに、燐化合物とフェノール樹脂等
を、PC/ABSアロイへ添加する事が提案されている
(特開平7−53846号)。しかしながら、高度な難
燃化レベルを達成する為には、これらの燐化合物やフェ
ノール樹脂を多量に添加しなければならず、PC/AB
Sアロイの優れた機械特性が損なわれるという問題点を
有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な課題を背景になされたものであり、成形加工時や燃焼
時の有害物質の発生の恐れが無く、優れた難燃性及び機
械特性を有するポリカーボネート樹脂及びグラフト共重
合体を含有する難燃性樹脂組成物を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカー
ボネート樹脂及びグラフト共重合体を含有する樹脂組成
物において、難燃性を改良すべく鋭意研究を重ねた結
果、驚くべきことに、高温下での樹脂成分の相溶性が難
燃性に大きな影響を及ぼしていることを見い出し本発明
に到達したものである。即ち本発明は、(A)ポリカー
ボネート樹脂1〜98重量%、(B)グラフト共重合体
1〜50重量%、(C)相溶化成分1〜98重量%から
なる樹脂成分100重量部に対して、(D)燐化合物1
〜50重量部、(E)フェノール樹脂1〜50重量部を
含有する樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂5
0重量部とグラフト鎖と同じ組成の樹脂40重量部及び
相溶化成分10重量部からなる樹脂を溶融混練し、30
0℃で3分以上保持した後、急冷したものを光学顕微鏡
で倍率100倍にて観察した際、2mm以上の粒子の数
が10個/50cm2 以下であることを特徴とする難燃
性樹脂組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明における(A)ポリカーボネート樹脂は、
2価フェノールとホスゲンまたは炭酸ジエステルの反応
により製造することができる。2価フェノールとして
は、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニ
ル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン等、またはこれらの核アルキル化誘導体が上
げられるが、好ましくはビスフェノール類、特に好まし
くは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
である。これらの2価フェノールのホモポリマーまた
は、2種以上のコポリマーあるいはこれらのブレンド品
であってもよい。必要にならば分岐化剤(通常は多官能
性の芳香族化合物)も2価フェノールとホスゲンまたは
炭酸ジエステルと反応させて得られるランダムに分岐し
たポリカーボネートも含まれる。これらの多官能性の芳
香族化合物はカルボキシ、ヒドロキシ、カルボン酸無水
物、ハロホルミル及びこれらの組み合わせといったよう
な官能基を少なくとも3個含有する。分岐剤として用い
られる具体例としては、トリメリト酸無水物、トリメリ
ト酸、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ピロメリト
酸、フロログルシン、没食子酸、没食子酸プロピル、メ
リト酸、トリメシン酸及びベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸等が挙げられる。
【0006】本発明における(B)グラフト共重合体と
は、ガラス転移温度が10℃以下のエラストマー100
重量部の存在下、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和ジ
カルボン酸イミド単量体等の少なくとも1種からなる単
量体5〜2000重量部を(共)重合させて得るこがで
きる。また、エポキシ基、アミノ基や酸無水物基等を有
するガラス転移温度が10℃以下のエラストマー100
重量部と前記官能基と反応するアミノ基、ウレイド基、
イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸
基、メルカプト基、オキサゾリン基等の官能基を有する
芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、シ
アン化ビニル化合物、マレイミド系化合物等の少なくと
も1種を含有する(共)重合体10〜2000重量部と
を押出し反応させて得るこもできる。
【0007】ガラス転移温度が10℃以下のエラストマ
ーとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−ス
チレン共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、水素添加ブタジエン−スチレンブロック共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のブタジエン
系ゴムや、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン(ジ
エン成分)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合
体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加
スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリウレタン
系ゴム、ポリアミド系ゴム、シリコーン系ゴム等が挙げ
られる。またシリコーン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴムやブタジエン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴムも用いることができる。本発明において好ま
しくは、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合
体、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン(ジエン成
分)共重合体、シリコーン系ゴム等が用いられる。
【0008】本発明の(B)グラフト共重合体に使用で
きる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ヒ
ドロキシスチレン、ハロスチレン、スチレンスルホン酸
ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、スチレン、α−
メチルスチレンである。(メタ)アクリル酸エステル単
量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタアクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘ
キシル等が挙げられ、好ましくは、メタクリル酸メチル
等が用いられる。シアン化ビニル単量体としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、
α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、好ましく
は、アクリロニトリルが用いられる。
【0009】不飽和ジカルボン酸イミド単量体として
は、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマ
レイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミ
ド、N−(アルキル置換フェニル)マレイミド等が挙げ
られ、好ましくは、Nーフェニルマレイミド、マレイミ
ド等が用いられる。
【0010】グラフト共重合体の中のガラス転移温度が
10℃以下のエラストマーの割合は、5〜95重量%の
範囲で用いられるのが好ましく、より好ましくは10〜
90重量%の範囲である。ゴム質重合体の割合が5重量
%未満であると耐衝撃性が十分でなく、95重量%を越
えるとグラフト率、樹脂の表面光沢性、成形加工性、難
燃性が低下する。グラフト共重合体のグラフト率は、好
ましくは5〜150重量%更に好ましくは10〜120
重量%である。グラフト率が5重量%未満であると十分
な耐衝撃性が得られず、150重量%を越えると燃焼時
のドリッピングが起こり易くなる。
【0011】また(B)グラフト共重合体として、コア
/シェル型共重合体を用いることも可能である。この場
合コアとしてはポリブタジエン、ポリイソプレン、アク
リル系ゴム、シリコーン系ゴムとアクリル系ゴムから成
る複合ゴム等の前記ゴム質重合体を包含する。シェル構
成物質は好ましくは前記芳香族ビニル単量体及び(メ
タ)アクリル酸エステル単量体の混合物から得られる共
重合体や(メタ)アクリル酸エステルのみから得られる
重合体等からなるが、必要ならば、アクリル酸ビニル、
メタクリル酸ビニル、ブチレンジアクリレート、ブチレ
ンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、
トリビニルベンゼン等の架橋性単量体をさらに併用する
こともできるが、これらに限定されるものではない。
【0012】本発明において特に好ましいグラフト共重
合体の具体例で述べると、ABSグラフト共重合体、A
ESグラフト共重合体、AASグラフト共重合体、MB
Sのコア・シェル型共重合体、シリコーン及びアクリル
ゴムからなる複合ゴムをコアとしポリメタクリル酸メチ
ルをシェルとする共重合体等を挙げることができる。
【0013】グラフト共重合体の製造方法には、特に制
限はなく塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、押
出機内での反応等の公知の方法を使用できる。乳化重合
の場合、ゴム粒径を制御しやすい長所があるが、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の不純物
が残り易いが、これら不純物が少ない方が望ましい。
【0014】本発明における(C)相溶化成分として
は、芳香族ビニル単量体を必須成分とし、(メタ)アク
リル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和
ジカルボン酸イミド単量体、不飽和(ジ)カルボン酸等
の少なくとも1種からなる単量体を共重合させて得られ
る共重合体、ポリエステル及びフェノール、クレゾー
ル、キシレノール、ブチルフェノール、フェニルフェノ
ール、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニル、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン、ジヒドロキシナフタレン等の
フェノール化合物をアラルキルハライド及び/又はアラ
ルキルアルコール誘導体を酸性触媒下で反応させて得ら
れるフェノール樹脂や上記のアラルキルハライド及び/
又はアラルキルアルコール誘導体の一部をアルデヒド及
び/又はケトン類に置き換え、上記フェノール化合物と
反応させて得られるフェノール樹脂等を挙げることがで
きる。
【0015】芳香族ビニル単量体を必須成分とする単量
体を共重合して得られる共重合体の単量体の割合は、芳
香族ビニル化合物/シアン化ビニル単量体、(メタ)ア
クリル酸エステル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド単
量体、不飽和(ジ)カルボン酸(無水物)単量体、不飽
和カルボン酸アミド単量体等から選ばれる1種以上の単
量体=30/70〜90/10(重量比)、好ましく
は、40/60〜80/20(重量比)の範囲である。
なお、これらの芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単
量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、不飽和ジカ
ルボン酸イミド単量体は、(B)グラフト共重合体で例
示されたものでよく、不飽和(ジ)カルボン酸(無水
物)単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマ
ル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸無水
物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物、イタコ
ン酸モノメチル及びフマル酸モノメチル等が挙げられ、
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリル酸ア
ミド、メタクリル酸アミド、ジメチルアクリルアミド及
びジエチルアクリルアミド等が挙げられ、これらの中で
は無水マレイン酸やメタクリル酸アミドが好ましい。い
ずれの単量体も単独又は2種以上併用して用いることが
できる。これらの共重合体の製造方法には特に制約がな
く塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知
の方法が使用できる。これら相溶化成分は勿論、2種以
上併用することもできる。
【0016】好ましい具体例として、スチレン/アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/N
−フェニルマレイミド共重合体、スチレン/アクリロニ
トリル/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/N−
フェニルマレイミド/無水マレイン酸共重合体等の芳香
族ビニル単量体系共重合体、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、フェノ
ールとp−キシレンジメトキシ及びホルマリンを酸性触
媒下で反応させたp−キシレン変性ノボラック樹脂等が
挙げられる。なお、場合によっては、相溶化成分がグラ
フト共重合体のグラフト鎖の組成と同一になったり、
(E)フェノール樹脂を兼ねるケースもある。
【0017】(C)相溶化成分は、(A)ポリカーボネ
ート樹脂と(B)グラフト鎖と同じ組成を含有する樹脂
成分の高温下での相溶性を良くする為の必須成分である
が、混練条件も高温下での相溶性に大きな影響を及ぼす
ことを本発明者らは見い出したのである。
【0018】本発明の難燃性樹脂組成物の混練方法とし
て、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミ
キサー、加熱ロール等が挙げられるが、好ましくは、単
軸押出機、2軸押出機やニーダーであり、特に好ましく
は、逆ねじれニーディングディスクやシールリングを構
成エレメントとして含有する2軸押出機やダルメージ、
せき止めリング、CTM(キャビティ・トランスファー
・ミキサー)等のミキシング構成を有する単軸押出機で
ある。
【0019】混練時の樹脂温度は(A)ポリカーボネー
ト樹脂のガラス転移温度、(B)グラフト鎖と同じ組成
を有する樹脂のガラス転移温度及び(C)相溶化成分の
ガラス転移温度の中で最も高いガラス転移温度より50
℃以上、好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃
以上高い温度になるように、バレル温度やスクリュー回
転数及び吐出量等を調整することが望ましい。仮に、
(C)相溶化成分に融点が存在する場合、混練時の樹脂
温度は、樹脂温度が融点より10℃、好ましくは15
℃、特に好ましくは20℃高い条件を満足させることが
望ましい。ポリカーボネート樹脂50重量部、グラフト
鎖と同じ組成を有する樹脂40重量部及び相溶化成分1
0重量部からなる樹脂成分を混練する際、樹脂温度が
{[(A)〜(C)]成分の中で最高のガラス転移温度
+50}℃より低くかったり、(相溶化成分の融点+1
0)℃より低ければ、混練物を300℃で3分以上保持
した後、急冷したものを光学顕微鏡で倍率100倍にて
観察すると、2mm以上の粒子数が10個/50cm2
越え、高温下での相溶性が劣る傾向が顕著になる。ま
た、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)グラフト共重
合体、(C)相溶化成分、(D)燐化合物及び(E)フ
ェノール樹脂を含有する樹脂成分を混練する場合の樹脂
温度が、{[(A)〜(C)]成分の中で最高のガラス
転移温度+50}℃より低かったり、(相溶化成分の融
点+10)℃より低ければ、得られた難燃性樹脂組成物
の難燃性が低下する傾向がみられる。
【0020】本発明において(A)ポリカーボネート樹
脂、(B)グラフト共重合体及び(C)相溶化剤の配合
割合は、(A)成分:(B)成分:(C)成分=1〜9
8:1〜50:1〜98重量%、好ましくは、3〜9
7:2〜40:0〜95重量%、特に好ましくは、5〜
95:3〜30:0〜90重量%である。(A)ポリカ
ーボネート樹脂の配合割合が1重量%未満であると、難
燃性や耐衝撃性が低下する短所が現れ、一方、99重量
%を超えると成形性が低下したり衝撃強度の厚み依存性
が大きくなりすぎる短所が顕著になる。(B)グラフト
共重合体の配合割合が1重量%未満であると、衝撃強度
が不足し、逆に、50重量%を超えると難燃性や耐熱性
が低下する短所が顕著になる。(C)相溶化成分の配合
割合が多いほど成形性が良好になる傾向があるが、98
重量%を超えると衝撃強度が低下する短所が現れる。
【0021】本発明では更に必要に応じて、難燃性や耐
衝撃性等の物性を阻害しない範囲で、(A)ポリカーボ
ネート樹脂、(B)グラフト共重合体及び(C)相溶化
成分以外の熱可塑性樹脂を含有することもできる。それ
らの中の代表的なものを例示すれば、ビスフェノールA
や4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテル等のビ
スフェノールとイソフタル酸、テレフタル酸等の2塩基
酸またはその誘導体から合成される芳香族ポリエステル
やp−ヒドロキシ安息香酸/ビスフェノール/テレフタ
ル酸、p−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−
ナフタレンカルボン酸/テレフタル酸、p−ヒドロキシ
安息香酸/ポリブチレンテレフタレート等の液晶性ポリ
エステル等のポリアリレート、6−ナイロン、6,6−
ナイロン、4,6−ナイロン、10−ナイロン等の脂肪
族ナイロンやメタキシリレンジアミン/アジピン酸、ポ
リフタルアミド、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル
酸/カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン/テレフ
タル酸/イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン/テレ
フタル酸/アジピン酸等のポリアミド、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジ
メチル−1,4−フェニル/2,3,6−トリメチル−
1,4−フェノール共重合体及び前2者にそれぞれスチ
レンをグラフト重合したグラフト共重合体等のポリフェ
ニレンオキシド、(変性)ポリエチレン、(変性)ポリ
プロピレン、(変性)エチレン・プロピレン共重合樹
脂、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、
ポリアセタール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタ
クリル酸メチル等が挙げられる。これらの樹脂は2種以
上を組み合わせて使用することも可能である。
【0022】本発明で用いられる(D)燐化合物は、燐
原子を有する化合物であれば特に制限はなく、燐酸エス
テル、亜燐酸エステル、トリフェニルホスフィンオキシ
ド、トリクレジルホスフィンオキシド、メタンホスホン
酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、ホスファ
ゼン化合物、赤燐等を挙げることができる。好ましくは
一般式(I)で表される有機燐化合物が用いられる。
【化1】 (式中、R1 、R2 及びR3 は互いに独立して、水素原
子または有機基を表すがR1 =R2 =R3 =Hの場合を
除く。Xは2価以上の有機基を表し、Yは酸素原子また
は硫黄原子、Zはアルコキシ基またはメルカプト基を表
す。pは0または1であり、qは1〜30の整数、rは
0以上の整数、nは0又は1を表す。しかし、これらに
限定されるものではない。)
【0023】上記式において、有機基とは例えば、置換
されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基などがあてられる。また、置換されて
いる場合、置換基としては例えばアルキル基、アルコキ
シ基、アルキルチオ基等が挙げられ、またこれらの置換
基を組み合わせた基(例えばアリールアルコキシアルキ
ル基など)またはこれらの置換基を酸素原子、硫黄原
子、窒素原子などにより結合して組み合わせた基(例え
ば、アリールスルホニルアリール基など)を置換基とし
て用いてもよい。
【0024】また、2価以上の有機基とは上記した有機
基から、炭素原子に結合している水素原子の一個以上を
除いてできる2価以上の基を意味する。例えばアルキレ
ン基、及び好ましくは(置換)フェニレン基、多核フェ
ノール類例えばビスフェノール類から誘導されるものが
挙げられ2以上の遊離原子価の相対的位置は任意であ
る。特に好ましいものとして、ヒドロキノン、レゾルシ
ノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフ
ェノールA]、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。
【0025】これらの燐化合物を例示すると、燐酸エス
テルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホ
スフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチ
ルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフ
ェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニル
ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ェート、トリス(o−フェニルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(p−フェニルフェニル)ホスフェート、ト
リナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェ
ートキシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェ
ニルジクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、
モノブチルホスフート、ジ−2−エチルヘキシルホスフ
ェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイ
ルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロ
イルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−
2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニ
ル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等及
びこれらの縮合物、例えばレゾルシノールビス(ジフェ
ニルホスフェートレゾルシノールビス(ジクレジルホス
フェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフ
ェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェートやポリホスフェートオリゴマ
ー等が挙げられる。
【0026】またトリフェニルホスフェートやトリクレ
ジルホスフェートやそれらの縮合燐酸エステル等に1個
または2個以上のフェノール性水酸基を含有した、ヒド
ロキシル基含有芳香族系燐酸エステルも燐化合物として
用いることができる。ヒドロキシル基含有芳香族系燐酸
エステルとしては、ジフェニルレゾルシノールホスフェ
ート、フェニルジレゾルシノールホスフェート、ジクレ
ジルレゾルシノールホスフェート等が挙げられる。
【0027】亜燐酸エステルとしては、トリメチルホス
ファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスフ
ァイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ト
リブトキシエチルホスファイト、トリオクチルホスファ
イト、トリデシルホスファイト、トリオレイルホスファ
イト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリクレジルホスファイト、トリキシレニル
ホスファイト、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ァイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス
(o−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(p−
フェニルフニルホスファイト、トリナフチルホスファイ
ト、クレジルジフェニルホスファイト、キシレニルジフ
ェニルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)
ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジーt
−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニル
(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニホスファイト、o−フェニルフェニ
ルジクレジルホスファイト、ジブチルホスファイト、モ
ノブチルホスファイト、ジ−2−エチルヘキシルホスフ
ァイト、モノイソデシルホスファイト及びこれらの縮合
物、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル
−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリト
ールホスファイトポリマー等が挙げられる。
【0028】本発明では有機燐化合物として燐酸エステ
ルが好ましく用いられ、その中でも特に好ましくはトリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ト
リキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェ
ニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシレニルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロ
ピルフェニル)フェニルホスフェート等のモノホスフェ
ートや、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェート等が挙げられる。これら燐化
合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わせて
用いることもできる。
【0029】これらの燐化合物の配合量は、(A)ポリ
カーボネート樹脂、(B)グラフト共重合体、(C)相
溶化成分からなる樹脂成分100重量部に対して1〜5
0重量部、好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは
5〜30重量部である。1重量部よりも少ない量では充
分な難燃化効果が得られず、50重量部よりも多い量で
は、得られる組成物の耐熱性および耐衝撃性の著しい低
下、成型加工時の揮発分の増加等の弊害を生じる。
【0030】本発明で用いられる(E)フェノール樹脂
は、フェノール類とアルデヒド類を酸性又はアルカリ性
触媒下で反応させて得られる。フェノール類としては、
フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフノー
ル、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフ
ェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フ
ェノキシフェノール、ハイドロキノン、レゾルシノー
ル、ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ビス(ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
サルファイド、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン等、及びこれらの混合物が
挙げられる。
【0031】アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオ
キサール等が挙げられる。また一分子中に少なくともフ
ェノール性水酸基を一個有する芳香族モノアルデヒドも
用いることができる。このような芳香族モノアルデヒド
として、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロ
キシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒ
ド、β−レゾルシルアルデヒド、バニリン等が挙げられ
る。
【0032】ケトン類としては、アセトン等が挙げられ
る。これらアルデヒド及び/又はケトン類は1種のみ用
いても良いし、2種以上組み合わせて用いることもでき
る。
【0033】本発明では、フェノール樹脂としてレゾー
ル型、ノボラック型のどちらも使用することが可能であ
るが、好ましくはノボラック型フェノール樹脂が用いら
れる。本発明で用いられるノボラック型フェノール樹脂
は、上記フェノール類と上記アルデヒド及び/又はケト
ン類を酸触媒下、公知の方法で反応させて得られる。ま
た本発明においては、上記アルデヒド及び/又はケトン
類の一部、或いは全部をジシクロペンタジエンに置き換
え、上記フェノール類と反応させて得られるノボラック
型フェノール樹脂も用いることができる。
【0034】更に本発明では、上記アルデヒド及び/又
はケトン類の一部、或いは全部をアラルキルハライド及
び/又はアラルキルアルコール誘導体に置き換え、上記
フェノール類と反応させて得られるノボラック型フェノ
ール樹脂も用いることができる。
【0035】本発明におけるアラルキルハライド及び/
又はアラルキルアルコール誘導体は、一般式(II)
【化2】 (式中、Rは塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、ま
たはアルコキシ基を表す。)で示される化合物である。
アルコキシ基としては炭素数4以下の低級アルコキシ基
が好ましい。好ましく使用されるアラルキルハライドと
しては、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、α,α’
−ジブロモ−p−キシレン、α,α’−ジヨード−p−
キシレン等が挙げられ、また好ましく使用されるアラル
キルアルコール誘導体としては、α,α’−ジヒドロキ
シ−p−キシレン、α,α’−ジメトキシ−p−キシレ
ン、α,α’−ジエトキシ−p−キシレン、α,α’−
ジプロポキシ−p−キシレン、α,α’−ジ−n−ブト
キシ−p−キシレン、αα’−ジ−sec−ブトキシ−
p−キシレン、α,α’−ジ−イソブトキシ−p−キシ
レン等が挙げられる。これらフェノール樹脂は1種のみ
用いても良いし、2種以上組み合わせて用いることもで
きる。
【0036】これらのフェノール樹脂の配合量は、
(A)ポリカーボネート樹脂、(B)グラフト共重合
体、(C)相溶化剤からなる樹脂成分100重量部に対
して1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、更に
好ましくは5〜30重量部である。1重量部よりも少な
い量では充分な滴下防止効果が得られず、50重量部よ
りも多い量では、得られる樹脂組成物の耐衝撃性の著し
い低下等の弊害を生じる場合がある。
【0037】本発明の難燃性樹脂組成物は、臭素或いは
塩素を含有する化合物を難燃化成分として使用せずに、
優れた難燃効果を発現するものであるが、通常用いられ
る公知の難燃化添加剤を併用することもできる。難燃化
添加剤は、通常難燃化効果を有するものであれば特に制
限はなく、塩素或いは臭素含有化合物、アンチモン化合
物、窒素含有化合物、硼素化合物、シリコーン化合物、
熱膨張性グラファイト、金属酸化物、金属水酸化物、ア
ルカリ(土類)金属塩、フッ素系樹脂、スルホン酸化合
物等の難燃化添加剤が使用できる。これら難燃化添加剤
は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わせて用い
ることも可能である。この際、必要に応じて難燃性を阻
害しない範囲でその効果が発現する量の種々の充填材や
添加剤等を配合できる。それらを例示するとガラス繊
維、アスベスト、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チ
タン酸カリウムウイスカー繊維、金属繊維、セラミック
ス繊維、ボロンウイスカー繊維等の繊維状充填材、マイ
カ、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ガラス
ビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク等の充填材
や、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、老
化防止剤、染(顔)料、イオン補足剤等の添加剤等が挙
げられる。更にはポリマーブレンドの特性を向上させる
ための衝撃強度改良剤、相溶化成分等も配合することが
できる。
【0038】
【実施例】本発明をさらに説明するために以下に実施例
を挙げるが、これらの実施例はいかなる意味においても
本発明を制限するものではない。なお、実施例における
部、比及び%は、それぞれ重量部、重量比及び重量%を
意味するものとする。 実施例1〜9、比較例1〜5 表1に示した配合及び混練条件で溶融混練し、ペレット
化した。このようにして得たペレットを十分乾燥した
後、射出成形にて試験片を作成し以下の方法により評価
・測定した。 (1)難燃性 :UL−94試験法に準拠し、
1/16インチ厚みの試験片を使用して評価した。 (2)加熱変形温度 :ASTM D648に準拠
し、荷重18.6kg/cm2で測定した。 (3)高温下での相溶性:ポリカーボネート樹脂50
部、グラフト鎖と同組成の樹脂40部及び相溶化成分1
0部からなる樹脂樹脂成分を溶融混練し得られたペレッ
トを、300℃に設定されたホットプレート上でカバー
ガラスに挟み溶融した。このホットプレート上でペレッ
トが完全に溶融した時点から更に3分加熱した後、冷え
た鉄製プレートに素早く移し、急冷しサンプルを作製し
た。このようにして得られたサンプルを光学顕微鏡で倍
率100倍にて写真撮影し、50cm2 中の2mm以上
の粒子の個数を目視で数えた。 それらの結果を表1及び表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1、表2に示した押出条件を以下に示
す。 押出条件A:堰止めリング1ケ、逆ねじれニーディング
ディスク3ケ、中立ニーディングディスク2ケ、順ねじ
れニーディングディスク2ケのスクリュー構成を有する
ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM
−30) 押出条件B:中立ニーディングディスク2ケ、順ねじれ
ニーディングディスク1ケのスクリュー構成を有するベ
ント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−
30) 押出条件C:CTM及びダルメージのミキシング構成を
有する30φ単軸押出機 押出条件D:フルフライト構成の30φ単軸押出機 なお、樹脂温度は押出機のダイスより表面温度計のセン
サーを差し込み、測温した。使用した樹脂、燐化合物、
フェノール樹脂等は以下の通りである。 (A)ポリカーボネート樹脂 帝人化成社製PC樹脂パンライトK−1300Wを使用
した。なお、ガラス転移温度は、150℃であった。 (B)グラフト共重合体 グラフト共重合体(1):ポリブタジエンラテックス8
0部(平均粒径320μm 、固形分濃度50%)にアク
リロニトリル18部、スチレン42部をグラフト共重合
して得られたラテックスを酸水溶液で析出・水洗・ろ過
・乾燥して得られた粉末 グラフト共重合体(2):撹拌機を備えたオートクレー
ブにポリブタジエンゴム10部、スチレン54部、メチ
ルエチルケトン20部を仕込み、系内を窒素置換した
後、温度を85℃に昇温し、無水マレイン酸36部とベ
ンゾイルパーオキシド0.15部をメチルエチルケトン
280部に溶解した溶液を8時間で連続的に添加した。
添加後、さらに3時間温度を85℃に保った。得られた
共重合体溶液にアニリン30.6部、トリエチルアミン
0.3部を加え、140℃で7時間反応させた。反応液
にメチルエチルケトン200部を加え、室温まで冷却
し、激しく撹拌したメタノール1500部に注ぎ、析
出、濾別、乾燥しイミド化共重合体を得た。 (C)相溶化成分の製造 アクリロニトリル/スチレン(30/70比)及び(4
5/55比)混合物を懸濁重合して得られた共重合体
を、以下、それぞれAS−(1)及びAS−(2)と略
す。それぞれのガラス転移温度は、107℃,108℃
であった。撹拌機を備えたオートクレーブ中にスチレン
60部、メチルエチルケトン50部を仕込み、系内を窒
素ガスで置換した後温度を85℃に昇温し、無水マレイ
ン酸40部とベンゾイルパーオキシド0.15部をメチ
ルエチルケトン250部に溶解した溶液を8時間で連続
的に添加した。添加後、さらに3時間温度を85℃に保
った。ここで得られた共重合体溶液に無水マレイン酸に
対して、アニリン34部及びトリエチルアミン0.3部
を加え、140℃で7時間反応させた後、室温まで冷却
し、激しく撹拌したメタノール1500部に注ぎ析出、
濾別、乾燥しイミド化共重合体を得た。以下、イミド化
共重合体−(3)と略す。ガラス転移温度は、191℃
であった。ポリブチレンテレフタレートとして、三菱化
学製ノバドゥール5010を使用した。以下、PBTと
略す。融点は226℃であった。 (D)燐化合物 大八化学工業社製トリフェニルホスフェート(TPP) (E)フェノール樹脂 フェノール樹脂(1):フェノールノボラック樹脂 軟
化点92℃ フェノール樹脂(2):フェノールとα,α’−ジメト
キシ−p−キシレン/ホルムアルデド(92/8比)混
合物をp−トルエンスルホン酸触媒存在下、反応させ、
未反応物を減圧蒸留により除去して得られたノボラック
樹脂 重量平均分子量1550 その他の添加剤 スルホン酸化合物として、ドデシルベンゼンスルホン酸
を使用した。
【0042】
【発明の効果】以上の通り、ポリカーボネート樹脂、グ
ラフト共重合体、相溶化成分、燐化合物及びフェノール
樹脂を含有する樹脂組成物において、ポリカーボネート
樹脂50部、グラフト共重合体と同じ組成の樹脂40部
及び相溶化成分10部とからなる樹脂成分を溶融混練
し、300℃で3分以上保持した後、急冷したものを光
学顕微鏡で倍率100倍にて観察し、2mm以上の粒子
の数が10個/50cm2以下になる条件で混練するこ
とにより、燐化合物やフェノール樹脂の添加量が同量に
も拘らず、難燃性が改良された。その結果、難燃性と耐
熱性とのバランスに優れた樹脂組成物が得られる。本発
明によれば、難燃性及び機械的特性に優れた樹脂組成物
が提供されるので、電子・電気製品、OA機器などの用
途、各種部品材料として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2におけるポリカーボネート樹脂50
部、AS−(1)40部及び相溶化成分であるイミド化
共重合体−(3)10部をスクリュー構成A、樹脂温度
278℃で混練したものを、高温下での相溶性を評価し
た際の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図2】比較例1におけるポリカーボネート樹脂50
部、AS−(1)40部及び相溶化成分であるイミド化
共重合体−(3)10部をスクリュー構成A、樹脂温度
223℃で混練したものを、高温下での相溶性を評価し
た際の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂1〜98重
    量%、(B)グラフト共重合体1〜50重量%、(C)
    相溶化成分1〜98重量%からなる樹脂成分100重量
    部に対して、(D)燐化合物1〜50重量部、(E)フ
    ェノール樹脂1〜50重量部を含有する樹脂組成物にお
    いて、ポリカーボネート樹脂50重量部とグラフト鎖と
    同じ組成の樹脂40重量部及び相溶化成分10重量部か
    らなる樹脂を溶融混練し、300℃で3分以上保持した
    後、急冷したものを光学顕微鏡で倍率100倍にて観察
    した際、2mm以上の粒子の数が10個/50cm2
    下であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリカーボネート樹脂1〜98重
    量%、(B)グラフト共重合体1〜50重量%、(C)
    相溶化成分1〜98重量%からなる樹脂成分100重量
    部に対して、(D)燐化合物1〜50重量部、(E)フ
    ェノール樹脂1〜50重量部を含有する樹脂組成物にお
    いて、ポリカーボネート樹脂50重量部とグラフト鎖と
    同じ組成の樹脂40重量部及び相溶化成分10重量部か
    らなる樹脂を溶融混練し、300℃で3分以上保持した
    後、急冷したものを光学顕微鏡で倍率100倍にて観察
    した際、2mm以上の粒子の数が10個/50cm2
    下になる条件で混練することを特徴とする難燃性樹脂組
    成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007508400A (ja) * 2003-06-26 2007-04-05 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 改良された溶融流動性と化学物質耐性を有するポリカーボネート成形組成物
WO2019003981A1 (ja) * 2017-06-26 2019-01-03 テクノUmg株式会社 熱可塑性樹脂組成物並びにその樹脂成形品及び塗装加工品

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