JPH0967296A - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

カルボン酸の製造方法

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JPH0967296A
JPH0967296A JP15552296A JP15552296A JPH0967296A JP H0967296 A JPH0967296 A JP H0967296A JP 15552296 A JP15552296 A JP 15552296A JP 15552296 A JP15552296 A JP 15552296A JP H0967296 A JPH0967296 A JP H0967296A
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JP
Japan
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carboxylic acid
producing
ammonia
extraction
electrodialysis
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Pending
Application number
JP15552296A
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English (en)
Inventor
Masato Kawabe
正人 河辺
Kenichi Yamamoto
健一 山本
Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重硫酸アンモニウムなどの副生物を生成させ
ることなく、カルボン酸を得る。 【解決手段】 カルボン酸の製造方法は、(1)酸化マ
ンガンの存在下、ニトリル化合物を水和して対応するア
ミド化合物を生成させる水和工程、(2)塩基の存在
下、前記水和工程で生成したアミド化合物を加水分解し
て対応するカルボン酸の塩及びアンモニアを生成させる
加水分解工程、及び(3)前記加水分解工程で生成した
カルボン酸の塩を電気透析し、対応するカルボン酸と塩
基とを生成させる電気透析工程を含む。加水分解工程
(2)で生成するアンモニアは、ニトリル化合物の製造
工程において窒素源として利用できる。また、電気透析
工程(3)で生成する塩基は加水分解工程で触媒として
再利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニトリル化合物か
ら対応するカルボン酸を製造する方法に関する。カルボ
ン酸は有機合成の分野において極めて重要な化合物であ
り、合成中間体や製品として多量に製造されている。
【0002】
【従来の技術】ニトリル化合物を加水分解してカルボン
酸を製造する場合、通常、加水分解触媒として硫酸が使
用されている。しかし、この方法では、下記式(a)に
示されるように、ニトリル化合物と硫酸とが反応し、目
的物であるカルボン酸と等モル量の重硫酸アンモニウム
が副生する。
【0003】 RCN+H2 SO4 +H2 O→RCONH2 ・H2 SO4 RCONH2 ・H2 SO4 +H2 O →RCOOH+NH4 HSO4 (a) 副生した重硫酸アンモニウムは、工業排水として河川等
に廃棄されている。しかし、この排水は環境破壊を引き
起こし問題となる。また、有用なアンモニアや硫酸は回
収することなく廃棄されており、製造コストの増大、資
源の有効利用の観点からも問題となっている。
【0004】一方、近年、副生する重硫酸アンモニウム
の処理方法や重硫酸アンモニウムの副生しないプロセス
の開発が精力的に行われている。例えば、下記式(b)
に示されるように、重硫酸アンモニウムを熱分解により
窒素とSO2 と水に分解し、生成したSO2 を酸化して
硫酸として回収し、ニトリル化合物の加水分解触媒とし
てリサイクルする方法が開発されている。
【0005】 NH4 HSO4 +1/4 O2 →1/2 N2 +5/2 H2 O+SO2 SO2 +1/2 O2 +H2 O→H2 SO4 (b) しかし、この方法においても、重硫酸アンモニウムは熱
分解により窒素ガスが生成するので、アンモニアとして
回収できない。また、重硫酸アンモニウムを熱分解する
際に窒素酸化物が生成するので、環境を汚染する。さら
には、重硫酸アンモニウムの熱分解から硫酸を回収する
までに多くの煩雑な工程を必要とし、設備費が膨大とな
る。そのため、カルボン酸を効率よく安価に製造できな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、重硫酸アンモニウムなどの副生物が生成しない
カルボン酸の製造方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、有用なアンモニアや触媒を簡便に回収でき
るカルボン酸の製造方法を提供することにある。本発明
の他の目的は、アンモニア及び触媒成分を有効に利用で
きるカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
解決するため鋭意検討した結果、酸化マンガン触媒を用
いるニトリル化合物の水和反応、塩基を触媒とする加水
分解反応、及び電気透析を組合わせると、重硫酸アンモ
ニウムなどの副生物を生成させることなく、カルボン酸
を製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のカルボン酸の製造方法
は、(1)酸化マンガンの存在下、ニトリル化合物を水
和して対応するアミド化合物を生成させる水和工程、
(2)塩基の存在下、前記水和工程で生成したアミド化
合物を加水分解して対応するカルボン酸の塩及びアンモ
ニアを生成させる加水分解工程、及び(3)前記加水分
解工程で生成したカルボン酸の塩を電気透析し、対応す
るカルボン酸と塩基とを生成させる電気透析工程を含
む。
【0009】前記ニトリル化合物にはシアンヒドリン化
合物などが含まれる。塩基のpKaは6〜30程度であ
り、塩基としてアルカリ金属水酸化物などを使用でき
る。電気透析は、バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び
陰イオン交換膜から選択された少なくとも1つのイオン
交換膜とから構成される電気透析装置を用いて行っても
よい。
【0010】前記製造方法は、さらに、(4)水和工程
(1)の反応混合物を有機溶媒による抽出に付し、アミ
ド化合物を含む有機層を加水分解工程(2)に供給する
工程、(5)加水分解工程(2)で生成したアンモニア
をニトリル化合物の製造工程において窒素源として利用
する工程、(6)電気透析工程(3)で生成したカルボ
ン酸と水とを含む混合物を有機溶媒による抽出に付し、
有機層から有機溶媒を回収し、回収した有機溶媒を抽出
溶媒として循環使用する工程、又は(7)電気透析工程
(3)で生成した塩基を加水分解工程(2)の塩基とし
て再利用する工程などを含んでいてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を詳細に説明する。本発明において、ニトリ
ル化合物は特に制限されず、広い範囲の化合物から選択
できる。代表的なニトリル化合物は、式RCN又はRC
OCNで表わすことができる(式中、Rは脂肪族炭化水
素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環
基を示し、これらの基はさらに置換基を有していてもよ
い)。ニトリル化合物には、ポリニトリル類も含まれ
る。すなわち、前記脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基又は複素環基は一価の基に限ら
ず、二価以上の多価基であってもよい。
【0012】前記脂肪族炭化水素基には、飽和炭化水素
基及び不飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ルなどの炭素数1〜12(好ましくは1〜6)程度のア
ルキル基;ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロ
ペニル、2−ブテニルなどの炭素数2〜12程度のアル
ケニル基;エチニル、2−プロピニルなどの炭素数2〜
12程度のアルキニル基;及び炭素数2〜12程度のア
ルキレン基などが含まれる。
【0013】脂環式炭化水素基には、例えば、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロオクチルなどの炭素数3〜10程度のシクロ
アルキル基やこれらに対応するシクロアルキレン基など
が含まれ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニ
ル、ナフチルなどの炭素数6〜14程度のアリール基や
これらに対応するアリーレン基などが例示できる。
【0014】複素環基としては、例えば、窒素原子、酸
素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原
子をヘテロ原子として含む複素環基が含まれる。複素環
基は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複
素環基のいずれであってもよい。複素環基としては、例
えば、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピ
リジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピ
ペリジノ、モルホリノ、モルホリニル、キノリル基など
が例示できる。
【0015】Rで示されるこれらの基は、さらに、ハロ
ゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基(メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピルなどのC1-5 アルキル基な
ど)、アリール基(フェニル、トリル、キシリル、クロ
ロフェニル、メトキシフェニル、ナフチルなどのC6-14
アリール基など)、エーテル基、アルコキシ基(例え
ば、メトキシ、エトキシなどのC1-5 アルコキシ基な
ど)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシなどのC
6-14アリールオキシ基など)、メルカプト基、アルキル
チオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオなどのC1-5
アルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェ
ニルチオなどのC6-14アリールチオ基など)、カルボキ
シル基、エステル基(例えば、メトキシカルボニルなど
のC1-6 アルコキシカルボニル基;アセトキシなどのC
2-12アシルオキシ基など)、アシル基(例えば、アセチ
ル、ベンゾイルなどのC2-12アシル基)、アミノ基、モ
ノまたはジ置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、ジメ
チルアミノなどのモノまたはジ−C1-5 アルキルアミノ
基)、ニトロ基などの置換基を有していてもよい。置換
基の個数は、例えば、1〜4程度である。
【0016】脂肪族ニトリルには、例えば、炭素数2〜
6の飽和又は不飽和ニトリル(アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バ
レロニトリル、イソバレロニトリルなどの飽和モノニト
リル類;マロニトリル、アジポニトリルなどの飽和ジニ
トリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シ
アン化アリル、クロトンニトリルなどの不飽和ニトリル
類)などが含まれる。脂肪族ニトリルには、ピルボニト
リルなどの、RCOCN(Rは前記に同じ)で表わされ
る化合物も含まれる。
【0017】脂環式ニトリルには、例えば、炭素数4〜
10のニトリル(シクロペンタンカルボニトリル、シク
ロヘキサンカルボニトリルなど)などが含まれる。
【0018】芳香族ニトリルには、例えば、ベンゾニト
リル、o−、m−及びp−クロロベンゾニトリル、o
−、m−及びp−フルオロベンゾニトリル、o−、m−
及びp−ニトロベンゾニトリル、o−、m−及びp−ト
ルベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、
アニソニトリル、α−ナフトニトリル、β−ナフトニト
リルなどの芳香族モノニトリル;フタロニトリル、イソ
フタロニトリル、テレフタロニトリルなどの芳香族ジニ
トリルなどが含まれる。芳香族ニトリルには、例えば、
フェニルアセトニトリル、p−ヒドロキシフェニルアセ
トニトリル、p−メトキシフェニルアセトニトリルなど
のアラルキル基を有するニトリルも含まれる。
【0019】複素環式ニトリルには、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原子を
ヘテロ原子として含む5又は6員環を含む複素環基を有
するニトリル化合物、例えば、2−チオフェンカルボニ
トリル、2−フロニトリルなどのヘテロ原子として硫黄
原子又は酸素原子を含むニトリル;2−シアノピリジ
ン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、シアノ
ピラジン、シアノピペリジンなどのヘテロ原子として窒
素原子を含むニトリル;5−シアノインドールなどの縮
合複素環式ニトリルなどが含まれる。また、複素環式ニ
トリルには、RCOCN(Rは複素環基を示す)で表わ
される化合物、例えば、ニコチノニトリル、イソニコチ
ノニトリルなども含まれる。
【0020】前記Rで示される脂肪族炭化水素基、脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基が置換基
を有するニトリル化合物には、例えば、アミノニトリル
化合物、シアンヒドリン化合物などが含まれる。アミノ
ニトリル化合物としては、例えば、アミノアセトニトリ
ル、α−アミノプロピオニトリル、α−アミノブチロニ
トリルなどのα−アミノニトリル;3−アミノプロピオ
ニトリルなどのβ−アミノニトリルなどが挙げられる。
【0021】シアンヒドリン化合物には、α−シアンヒ
ドリン化合物、β−シアンヒドリン化合物、γ−シアン
ヒドリン化合物などが含まれる。シアンヒドリン化合物
の炭素数は、例えば2〜18、好ましくは3〜12、さ
らに好ましくは3〜8程度である。
【0022】α−シアンヒドリン化合物としては、例え
ば、下記式(Ia)
【0023】
【化2】 [式中、R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子、
又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1
とR2 は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよ
い。但し、R1 とR2 は同時に水素原子ではない]で表
わされる化合物が例示できる。
【0024】前記R1 、R2 で示される炭化水素基及び
この炭化水素基が有していてもよい置換基としては、前
記Rについての説明箇所で述べた脂肪族炭化水素基、脂
環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの基が有
していてもよい置換基などが挙げられる。
【0025】好ましいR1 、R2 には、例えば、前記R
の説明箇所で述べた炭素数1〜12(好ましくは1〜
6)程度のアルキル基、炭素数2〜12程度のアルケニ
ル基、炭素数2〜12程度のアルキニル基、炭素数3〜
10程度のシクロアルキル基、炭素数6〜14程度のア
リール基、及びフェニルメチル、2−フェニルエチル、
1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェ
ニルブチル基などのC7- 10アラルキル基などが含まれ
る。
【0026】R1 とR2 が隣接する炭素原子と共に環を
形成する場合の前記環としては、シクロプロピル、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘ
プチル、シクロオクチル環などの炭素数3〜8程度のシ
クロアルカン環などが挙げられる。
【0027】α−シアンヒドリン化合物の代表的な例と
して、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニト
リル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシブタン
ニトリル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニト
リル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタンニトリル、2
−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリル、2−ヒドロ
キシ−3−ブテンニトリル、2−ヒドロキシペンタンニ
トリル、2−ヒドロキシヘキサンニトリル、2−ヒドロ
キシオクタンニトリルなどの脂肪族α−シアンヒドリ
ン;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニトリル、
シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキサノンシ
アンヒドリンなどの脂環式α−シアンヒドリン;マンデ
ロニトリル、2−ヒドロキシ−3−フェニルブタンニト
リルなどの芳香族α−シアンヒドリンなどが挙げられ
る。
【0028】前記β−シアンヒドリン化合物としては、
例えば、3−ヒドロキシプロパンニトリル、3−ヒドロ
キシブタンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンニトリ
ル、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニトリル、3
−ヒドロキシ−3−フェニルプロパンニトリルなどが例
示できる。
【0029】γ−シアンヒドリン化合物としては、例え
ば、4−ヒドロキシブタンニトリル、4−ヒドロキシヘ
キサンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンカルボニトリ
ル、4−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリルなど
が挙げられる。
【0030】本発明における電気透析工程は通常水の存
在下で行なわれるため、前記ニトリル化合物として、対
応するカルボン酸の塩が水溶性となる化合物が好まし
い。このような点から、ニトリル化合物の全炭素数は、
例えば2〜18、好ましくは2〜12、さらに好ましく
は2〜8程度である。
【0031】好ましいニトリル化合物には、シアンヒド
リン化合物、なかでも、ヒドロキシカルボン酸を得る上
で有用な、例えば前記式(Ia)で表わされる化合物な
どのα−シアンヒドリン化合物等が含まれる。さらに好
ましいニトリル化合物には、ラクトニトリル、アセトン
シアンヒドリン、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ンニトリルなどの炭素数3〜8程度の脂肪族α−シアン
ヒドリンなどが含まれる。
【0032】ニトリル化合物は慣用の方法で得ることが
できる。例えば、脂肪族ニトリルは、ハロゲン化アルキ
ル又は硫酸ジアルキルにシアン化カリウムなどのシアン
化アルカリ等を反応させることにより製造できる。芳香
族ニトリルは、例えば、アミンをジアゾ化した後、シア
ン化銅(I)を反応させる方法などにより製造すること
ができる。
【0033】ニトリル化合物のうち、特に、α−シアン
ヒドリン化合物は、アルデヒド又はケトンにシアン化水
素を作用させる方法、アルデヒド又はケトンと亜硫酸水
素ナトリウムとの付加物に、シアン化カリウムなどのシ
アン化アルカリ等を作用させる方法などにより製造でき
る。また、β−シアンヒドリン化合物は、エポキシドと
シアン化水素とを反応させることによって製造できる。
【0034】下記式は、本発明の製造方法において、代
表的なニトリル化合物である前記RCN(Rは前記に同
じ)で表わされる化合物を用いた場合の反応工程式であ
る。また、図1は本発明の製造方法の一例を示す製造工
程図である。以下、下記の反応工程式及び図1を参照し
つつ本発明を説明する。
【0035】
【化3】
【0036】水和工程 水和工程では、例えば式RCN (I)(Rは前記に同
じ)で表わされるニトリル化合物を酸化マンガン触媒の
存在下で水和して対応するアミド化合物(II)を生成さ
せる。水和触媒として酸化マンガンを用いるので、硫酸
を触媒とする場合とは異なり、ニトリル化合物との反応
生成物を副生しない。そのため、多量の副生物を廃棄処
分する必要がなく、また触媒を再生するための煩雑な工
程を要しない。
【0037】図1の例では、水和工程(i)において、
ニトリル供給ライン1からニトリル化合物を、水供給ラ
イン19から水を、それぞれ反応器に仕込み、酸化マン
ガン触媒の存在下で水和反応を行う。なお、反応器に
は、後述するアミド抽出工程(iv)の水層を、水循環ラ
イン11を通じて供給してもよい。
【0038】触媒として用いる酸化マンガンの種類は特
に限定されず、種々の価数のものを使用できるが、好ま
しくは二酸化マンガンである。二酸化マンガンは、一般
に、MnO1.7 〜MnO2 で示される。二酸化マンガン
の結晶構造としては、α、β、γ、δ−型などが挙げら
れる。特に好ましい酸化マンガンには、δ−型の二酸化
マンガンが含まれる。
【0039】前記δ−型の二酸化マンガンは、例えば、
中性〜アルカリ性の条件下、反応温度20〜100℃程
度で、7価のマンガン化合物を還元することにより製造
できる[Z. Anorg. Allg. Chem., 第3
09巻(1961年), 第10頁〜第14頁参照]。
【0040】水和工程(i)では、反応速度、目的物の
選択率及び触媒寿命を向上させるため、元素周期表の第
Ia族元素(例えば、Na、Kなど)、IIa族元素(例
えば、Mg、Ca、Baなど)、IIb族元素(Znな
ど)、IVa族元素(Zrなど)、IVb族元素(Snな
ど)、Va族元素(Vなど)等の元素を含む金属単体ま
たは化合物を、酸化マンガンと併用することもできる。
【0041】水和工程(i)で用いる水の量は、例え
ば、ニトリル化合物1モルに対して、0.5モル以上
(例えば、0.5〜300モル程度)、好ましくは1モ
ル以上(例えば、1〜150モル程度)である。ニトリ
ル化合物の溶解性を高め、反応を円滑に進行させるた
め、系内に水溶性の有機溶媒、例えば、アセトンなどの
ケトン;メタノール、エタノールなどのアルコール;ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど
のエーテル等を加えてもよい。
【0042】反応温度は、通常20〜150℃、好まし
くは30〜120℃程度である。反応温度が20℃未満
では、反応時間が長くなりやすく、150℃を越える
と、脱シアン化水素反応などの副反応が進行して収率が
低下しやすい。反応圧力としては、反応温度において系
が液相を保持できる圧力であればよく、例えば1〜20
気圧、好ましくは1〜10気圧程度であるが、反応は常
圧で行う場合が多い。反応時間は、反応形式や、反応温
度、酸化マンガン触媒の種類や使用量などにより異なり
一該には言えないが、通常、0.4〜12時間程度であ
る。
【0043】反応形式としては、固定床式、流動床式等
の何れであってもよく、また回分式、流通式の何れの方
式で行うこともできる。触媒の形状は特に限定されず、
粉末状、顆粒状などであってもよく、また、成型して用
いてもよい。触媒はスラリー触媒として用いることもで
きる。
【0044】アミド抽出工程 水和工程で生成したアミド化合物(II)を含む反応混合
物は、必要に応じて、アミド抽出工程に供し、前記アミ
ド化合物(II)を有機溶媒により抽出してもよい。
【0045】図1の例では、アミド抽出工程(iv)にお
いて、水和工程(i)で生成したアミド化合物を含む反
応混合液を、水和反応混合液供給ライン2より抽出装置
に供給し、有機溶媒供給ライン12を通じて供給される
有機溶媒により抽出する。有機溶媒として、後述の水層
分離工程(v)で得られる有機層に含まれる有機溶媒を
使用できる。得られたアミド化合物を含む有機層は、ア
ミド混合液供給ライン3より加水分解工程(ii)に供給
し、水層は水循環ライン11を通じて水和工程(i)に
循環する。
【0046】前記有機溶媒としては、慣用の疎水性有機
溶媒、例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、エス
テル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを
用いることができる。
【0047】前記アルコールには、炭素数4以上の脂肪
族アルコール、炭素数4以上の脂環式アルコール、炭素
数7以上の芳香族アルコールなどが含まれる。炭素数4
以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、1−ブタノ
ール、2−ブタノール、イソブチルアルコールのC4
ルコール;1−ペンタノール、イソアミルアルコール、
tert−アミルアルコール、2−ペンタノールなどの
5 アルコール;1−ヘキサノール、2−メチル−1−
ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2,2
−ジメチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ブタノ
ール、4−エチル−1−ペンタノール、2−ヘキサノー
ル、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ペンタノー
ル、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−
3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4
−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタ
ノールなどのC6 アルコール;n−ヘプチルアルール、
2−メチル−1−ヘキシルアルコール、3−メチル−1
−ヘキシルアルコール、4−メチル−1−ヘキシルアル
コール、5−メチル−1−ヘキシルアルコール、2−エ
チル−1−ペンタノール、3−エチル−1−ペンタノー
ル、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、3,3−ジ
メチル−1−ペンタノール、4,4−ジメチル−1−ペ
ンタノール、2,3−ジメチル−1−ペンタノール、
2,4−ジメチル−1−ペンタノール、3,4−ジメチ
ル−1−ペンタノールなどのC7 アルコール;1−オク
タノール、2−メチル−1−ヘプタノール、3−メチル
−1−ヘプタノール、4−メチル−1−ヘプタノール、
5−メチル−1−ヘプタノール、2−オクタノール、3
−オクタノール、4−オクタノール、2−メチル−2−
ヘプタノール、3−メチル−2−ヘプタノール、4−メ
チル−2−ヘプタノール、5−メチル−2−ヘプタノー
ル、6−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−
ヘプタノール、3−メチル−3−ヘプタノールなどのC
8 アルコール;1−ノナノールなどのC9 アルコールな
どの炭素数4〜12程度(好ましくは4〜9程度)の脂
肪族アルコール等が挙げられる。
【0048】炭素数4以上の脂環式アルコールとして
は、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの炭
素数4〜12程度の脂環式アルコールなどが挙げられ
る。また、炭素数7以上の芳香族アルコールとしては、
ベンジルアルコールなどの炭素数7〜12程度の芳香族
アルコールなどが挙げられる。
【0049】前記ケトンとしては、メチルエチルケト
ン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチル−1−
メチルプロピルケトン、メチル−2−メチルプロピルケ
トン、エチルプロピルケトンなどの炭素数4以上(例え
ば4〜12、好ましくは4〜9程度)のケトンなどが挙
げられる。
【0050】前記アルデヒドには、例えば、ブチルアル
デヒド、バレルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどの炭
素数4以上(例えば4〜12、好ましくは4〜9程度)
のアルデヒドなどが挙げられる。
【0051】エステルには、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プ
ロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、
吉草酸エチルなどの炭素数2以上(例えば2〜12、好
ましくは2〜9程度)のエステルなどが挙げられる。
【0052】エーテルには、例えば、エチルエーテル、
プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエー
テル、イソブチルエーテルなどの炭素数4以上(例えば
4〜12、好ましくは4〜9程度)のエーテルなどが含
まれる。
【0053】炭化水素には、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタ
ン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化
水素が含まれる。ハロゲン化炭化水素には、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエチレン、ク
ロロベンゼンなどが含まれる。これらの有機溶媒は一種
または二種以上混合して使用できる。
【0054】好ましい有機溶媒には、アルコール、ケト
ン、アルデヒド、エステル、エーテルなどが含まれ、さ
らに好ましい有機溶媒には、炭素数4以上(例えば4〜
12程度)のアルコール又はケトンが含まれる。なお、
抽出に用いる有機溶媒としては、前記水層分離工程
(v)で得られる有機層のほか、後述のカルボン酸回収
工程(viii)で得られる有機溶媒や未使用の有機溶媒な
どを用いてもよい。
【0055】抽出は、慣用の方法、例えば、前記水和工
程で得られた反応混合物に有機溶媒を加えて混合又は振
盪することにより行うことができる。抽出は、回分式、
連続式の何れの方式で行うこともできる。前記反応混合
物が触媒成分である酸化マンガンを含む場合には、予め
濾過等により酸化マンガンを分離回収しておくのが好ま
しい。回収した酸化マンガンは前記水和工程で再利用で
きる。
【0056】アミド抽出工程(iv)で得られるアミド化
合物を含む有機層は、そのまま、又は適当に濃度を調整
した後、加水分解工程(ii)に供給される。アミド化合
物を有機溶媒と共に加水分解工程(ii)に供しても、加
水分解により生成するカルボン酸の塩は水層に移行する
ので、有機溶媒と前記カルボン酸の塩とを容易に分離で
きる。また、有機溶媒の存在下で加水分解を行うと、反
応が円滑に進行して収率よくカルボン酸の塩が得られる
場合が多い。そのため、前記有機層からアミド化合物を
分離して加水分解工程(ii)に供給してもよいが、有機
溶媒とアミド化合物とを分離せずそのまま加水分解工程
(ii)に供してもよい。
【0057】アミド抽出工程(iv)で得られる水層は、
水和工程(i)に循環することにより再利用できる。な
お、この水層は、後述の加水分解工程(ii)又は電気透
析工程(iii )に循環することもできる。また、前記水
層は廃棄することもできる。水層を廃棄しても、硫酸を
触媒とする場合と異なり、重硫酸アンモニウムなどの副
生物を含まないので、環境破壊を引起こすことがない。
なお、水和工程(i)で得られる反応混合物は、アミド
抽出工程(iv) に供することなく加水分解工程(ii)に
供給してもよい。
【0058】加水分解工程 加水分解工程では、水和工程で生成したアミド化合物
(II)を、塩基Bの存在下で加水分解して対応するカル
ボン酸と前記塩基との塩(III )及びアンモニアを生成
させる。加水分解触媒として塩基を用いるので、硫酸を
触媒とする場合と異なり、アミド化合物の窒素原子、ひ
いてはニトリル化合物の窒素原子をアンモニアとして回
収できる。
【0059】図1の例では、加水分解工程(ii)におい
て、アミド混合液供給ライン3よりアミド化合物を、塩
基−水供給ライン22より塩基と水を、それぞれ反応器
に供給し、加水分解反応を行う。
【0060】塩基としては、無機塩基及び有機塩基の何
れであってもよい。無機塩基としては、例えば、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化
物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属
炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの
アルカリ金属炭酸水素塩;水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸
塩などが挙げられる。
【0061】有機塩基としては、トリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、トリブチルアミンなどのモノ、ジま
たはトリアルキルアミン;ピペラジン、ピペリジン、N
−メチルピペリジン、モルホリンなどの環状アミン;エ
タノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノ
ールアミン;ピリジンなどの塩基性含窒素複素環化合物
などが挙げられる。加水分解工程(ii)で生成するカル
ボン酸の塩をカルボン酸と塩基とに分離する電気透析工
程(iii )は水の存在下で行われることから、前記塩基
は水溶性であるのが好ましい。
【0062】好ましい塩基には、アルカリ金属水酸化物
(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、及びアル
カリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)
が含まれる。さらに好ましい塩基には、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどが含まれる。塩基は一種または
二種以上混合して使用できる。塩基のpKaは、反応速
度を速くするため、例えば6以上(例えば6〜30程
度)、好ましくは9以上(例えば9〜20程度)、さら
に好ましくは14〜18程度である。塩基の使用量は、
アミド化合物1モルに対して、例えば0.5グラム当量
以上、好ましくは1〜5グラム当量である。前記塩基の
使用量が0.5グラム当量未満では、未反応のアミド化
合物が多く残存し、回収操作などの煩雑な操作が必要と
なる場合がある。また、前記塩基の使用量が5グラム当
量を越えると、経済的に不利になりやすい。
【0063】反応系における塩基の濃度は、例えば0.
1規定以上(例えば0.1〜5規定程度)、好ましくは
0.2〜3規定(例えば0.5〜3規定程度)程度であ
る。塩基の濃度が0.1規定未満では、反応速度が遅く
なるだけでなく、一定量のカルボン酸を得るのに必要な
反応容積が増大するので生産性が低下しやすい。
【0064】加水分解工程(ii)において、水は、アミ
ド化合物に対して、通常、過剰量用いる。例えば、前記
水の量は、アミド1モルに対して1モル以上(例えば、
1〜500モル程度)、好ましくは1.5モル以上(例
えば、1.5〜300モル程度)である。
【0065】反応温度は、通常20〜150℃、好まし
くは30〜120℃程度である。反応温度が20℃未満
では反応時間が長くなりやすく、150℃を越えると副
反応が進行し収率が低下する場合がある。反応圧力は、
反応温度において、反応系が液相を保持できる圧力であ
ればよく、例えば1〜20気圧、好ましくは1〜10気
圧程度であるが、反応は常圧で行う場合が多い。反応時
間は、使用する塩基の種類、量および反応時間等の反応
条件により異なるので一概には言えないが、一般に、
0.1〜10時間程度である。反応は回分式、連続式の
何れの方式で行うこともできる。なお、加水分解反応に
用いる塩基、水は、それぞれ後述の電気透析工程(ii
i)及び/又はカルボン酸抽出工程で回収される塩基、
水を用いることにより、効率よく再利用できるが、必要
量の全部または一部を未使用の塩基、水で充ててもよ
い。
【0066】水層分離工程 前記加水分解工程で得られる反応混合物は、必要に応じ
て水層分離工程に供される。水層の分離は、例えば、加
水分解工程で得られる反応混合物を、有機層と水層とに
分液させる方法などにより行うことができる。この工程
は、前記加水分解工程の反応混合物が有機溶媒を含んで
いる場合に有用である。例えば、アミド化合物を、前記
アミド抽出工程の抽剤として用いた有機溶媒と共に加水
分解工程に供給する場合には、加水分解工程で得られる
反応混合物は前記有機溶媒を含んでいる。この有機溶媒
は、水層分離工程において容易に回収できる。
【0067】図1の例では、加水分解工程(ii)の反応
生成液を、加水分解反応混合液供給ライン4を通じて分
液装置に供給し、有機溶媒を含む有機層と、カルボン酸
の塩及びアンモニアとを含む水層とに分液させる。
【0068】有機層は有機溶媒を主成分として含むの
で、有機溶媒供給ライン12を通じて前記アミド抽出工
程(iv)の抽剤として循環使用できる。なお、前記有機
層は、後述するカルボン酸抽出工程(vii )の抽剤とし
て使用することもできる。一方、水層は、カルボン酸塩
混合液供給ライン5からアンモニア回収工程(vi)に供
給される。なお、加水分解工程(ii)で得られる反応混
合物は、水層分離工程(v)に供することなく、アンモ
ニア回収工程(vi)又は電気透析工程(iii )に供給し
てもよい。
【0069】アンモニア回収工程 前記水層分離工程で得られる水層は、必要に応じてアン
モニア回収工程に供することにより、アンモニアを回収
できる。アンモニアの回収は、例えば、不活性ガスによ
るストリッピングによる方法、加熱により溶解アンモニ
アを気化させる方法などにより行うことができる。
【0070】図1の例では、アンモニア回収工程(vi)
において、カルボン酸塩混合液供給ライン5から供給さ
れた水層分離工程(v)の水層に溶解しているアンモニ
アを、不活性ガス供給ライン14から供給される不活性
ガスによりストリッピングし、アンモニア回収ライン1
5より不活性ガスとアンモニアとの混合ガスとして回収
する。前記不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アル
ゴン、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素などが例示でき
る。アンモニアの回収は、回分式、連続式の何れの方式
で行ってもよい。
【0071】回収されたアンモニアは、ニトリル化合物
の原料として用いられるシアン化水素等のシアン化合物
の反応原料として使用できる。すなわち、前記アンモニ
アはニトリル化合物の窒素源として再利用できる。例え
ば、シアン化水素は、アンモニアとメタノールと一酸化
炭素とから次式(c)にしたがって製造できる。
【0072】 CH3 OH+CO→HCOOCH3 HCOOCH3 +NH3 →HCONH2 +H2 O HCONH2 →HCN+H2 O (c) また、アンモニアとメタンと酸素とから次式(d)にし
たがってシアン化水素を製造することもできる。
【0073】 2NH3 +2CH4 +3O2 →2HCN+6H2 O (d) 前記シアン化水素を他の原料化合物A(例えばケトン、
アルデヒド、エポキシ等)と反応させることにより、ニ
トリル化合物(I)を容易に製造できる。
【0074】アンモニア回収工程(vi)において、不活
性ガスとしてメタンを用いてアンモニアをストリッピン
グすると、得られたメタンとアンモニアとの混合ガス
を、前記(d)で表わされるシアン化水素の製造工程に
供給できるため、効率的かつ簡便にアンモニアを循環使
用できる。なお、前記水層分離工程(v)とアンモニア
回収工程(vi)とは、順序を逆にして行うこともでき
る。すなわち、加水分解工程(ii)の反応生成液をアン
モニア回収工程(vi)に供給し、アンモニアをストリッ
ピングなどにより回収し、次いで、アンモニア回収後の
カルボン酸の塩を含む混合液を水層分離工程(v)に供
給し、有機溶媒を含む有機層と、カルボン酸の塩を含む
水層とに分液させてもよい。この場合、有機層を前記ア
ミド抽出工程(iv)などに循環し、水層を電気透析工程
(iii )に供給することができる。
【0075】また、加水分解工程(ii)で生成したアン
モニアは必ずしも回収しなくてもよく、加水分解工程
(ii)の反応生成液を、必要に応じて水層分離工程
(v)に供した後、電気透析工程(iii )に供給しても
よい。
【0076】電気透析工程 電気透析工程では、前記加水分解工程で生成したカルボ
ン酸の塩(III )を電気透析し、対応するカルボン酸
(IV)と塩基Bとを生成させる。本発明における電気透
析は、原理的には「イオン交換膜」、小坂勇次郎・清水
博編、共立出版、第233頁に示される加水分解に相当
する。電気透析装置は、バイポーラ膜と陽イオン交換膜
または陰イオン交換膜の少なくとも1種以上の膜で構成
される。電気透析槽としては、特に制限されず、慣用の
二室型、三室型の電気透析槽などを使用できる。
【0077】二室型電気透析装置は、バイポーラ膜と、
バイポーラ膜間に配設された陽イオン交換膜または陰イ
オン交換膜とから構成され、バイポーラ膜の陰イオン交
換膜部分側は陽極側に、陽イオン交換膜部分側は陰極側
にそれぞれ対向して設置されている。そして、両電極間
に電圧を印加することにより、バイポーラ膜の陰イオン
交換膜部分と陽イオン交換膜部分との界面に浸透した水
分子を分解し、陰イオン交換膜部分側にH+ イオン、陽
イオン交換膜部分側にOH- イオンを発生させる。
【0078】陽イオン交換膜としては、特に限定され
ず、慣用の陽イオン交換膜、例えば、スルホン基、カル
ボキシル基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エ
ステル基などの陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜
を使用できる。陰イオン交換膜としては、特に限定され
ず、慣用の陰イオン交換膜、例えば、1級アミノ基、2
級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基などの陰イオ
ン交換基を有する陰イオン交換膜を使用できる。
【0079】前記バイポーラ膜は、特に限定されず、慣
用のバイポーラ膜が使用できる。例えば、バイポーラ膜
は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜をポリエチレン−
エピクロルヒドリンの混合物で貼り合わせることにより
製造できる。また、陰イオン交換膜の表面にスルホン酸
型高分子電解質とアリルアミンなどを付着させた後、電
解性放射線を照射させることによっても得られる。
【0080】電気透析する際のカルボン酸の塩の濃度
は、電気透析を損なわない範囲で選択できるが、通常、
0.1〜5規定程度である。電気透析は、回分式、連続
式の何れの方式で行うこともできる。
【0081】図1の例では、電気透析工程(iii )にお
いて、イオン交換膜などを備える電気透析装置に、加水
分解工程(ii)で生成したカルボン酸の塩(III )と水
とを含む混合液をカルボン酸塩混合液供給ライン6か
ら、また、水を水供給ライン20から供給し、電気透析
する。この電気透析工程(iii )により、カルボン酸の
塩から対応するカルボン酸と塩基とが生成し、カルボン
酸と水とを含む混合液、及び塩基と水とを含む混合液と
して分離される。生成したカルボン酸と水とを含む混合
液は、カルボン酸混合液循環ライン18を通じて前記カ
ルボン酸塩混合液供給ライン6のカルボン酸塩と水との
混合液と混合され、電気透析工程(iii )にリサイクル
される。なお、前記カルボン酸と水とを含む混合液は、
電気透析の条件により、未分解のカルボン酸の塩を含
む。
【0082】一方、電気透析工程で得られる塩基と水と
を含む混合液は、塩基−水回収ライン13から回収でき
る。回収された塩基は、加水分解工程(ii)に循環する
ことにより、触媒として再利用できる。
【0083】電気透析工程(iii )への供給液(カルボ
ン酸塩混合液供給ライン6とカルボン酸混合液循環ライ
ン18との混合液)の一部は、カルボン酸混合液供給ラ
イン7よりカルボン酸抽出工程(vii )に供給される。
なお、電気透析工程(iii )で生成するカルボン酸と水
とを含む混合液は、電気透析工程(iii )にリサイクル
することなく、直接カルボン酸抽出工程(vii )に供給
することもできる。
【0084】カルボン酸抽出工程及びカルボン酸回収工
電気透析工程で生成したカルボン酸は、必要に応じて、
カルボン酸抽出工程、次いでカルボン酸回収工程に供す
ることにより回収することができる。
【0085】図1の例では、カルボン酸抽出工程(vii
)において、電気透析工程(iii )で生成したカルボ
ン酸と水とを含む混合液を、カルボン酸混合液供給ライ
ン7から抽出装置に供給し、前記カルボン酸を、有機溶
媒供給ライン17から供給される有機溶媒により抽出す
る。
【0086】有機溶媒としては、前記アミド抽出工程
(vi)の項で述べた有機溶媒、例えば、アルコール、ケ
トン、アルデヒド、エステル、エーテルなどを用いるこ
とができる。好ましい有機溶媒には、炭素数4以上(例
えば4〜12程度)のアルコール及びケトンなどが含ま
れる。抽出は慣用の方法により行うことができる。
【0087】カルボン酸と有機溶媒とを含む有機層は、
カルボン酸抽出液供給ライン8よりカルボン酸回収工程
(viii)に供給される。一方、水層は水回収ライン16
から抜取り、塩基−水回収ライン13の塩基を含む水混
合液と共に、水供給ライン21を通じて電気透析工程
(iii )へ、また塩基−水供給ライン22を通じて加水
分解工程(ii)へ循環できる。
【0088】カルボン酸回収工程(viii)では、前記カ
ルボン酸抽出工程(vii )で得られるカルボン酸と有機
溶媒とを含む有機層から、蒸留によりカルボン酸と有機
溶媒とが分離される。カルボン酸はカルボン酸回収ライ
ン9より回収され、有機溶媒は有機溶媒供給ライン17
を通じてカルボン酸抽出工程(vii )に循環し、抽剤と
して再利用できる。回収した有機溶媒は、アミド抽出工
程(iv)の抽剤として利用することもできる。
【0089】カルボン酸の回収及びカルボン酸の抽出
は、それぞれ回分式、連続式の何れの方式によってもよ
い。なお、電気透析工程(iii )で生成したカルボン酸
は、前記方法に限らず、カルボン酸と水とを含む混合液
から慣用の分離方法、例えば、抽出、蒸留、晶析、再結
晶、カラムクロマトグラフィーなど、又はこれらを適宜
組合わせることにより分離回収できる。
【0090】
【発明の効果】本発明の方法によれば、酸化マンガン触
媒によるニトリル化合物の水和、生成したアミド化合物
の塩基触媒による加水分解、及びカルボン酸塩の電気透
析を組合せるので、重硫酸アンモニウムなどの副生物が
生成しない。また、有用なアンモニアや触媒を簡便に回
収できる。さらに、アンモニア及び触媒成分を有効に利
用することができる。
【0091】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0092】実施例1 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸を図1に示す
製造工程図にしたがって製造した。 (1)水和工程[工程(i)] δ−型二酸化マンガンを粉砕して10〜20メッシュに
整粒した。この二酸化マンガン600cc(350g)
を、ジャケット付ガラス製反応管(内径4cm、長さ6
0cm)に充填し、ジャケットに50℃の温水を流通さ
せた。上記反応管に、アクロレイン、メチルメルカプタ
ン及び青酸(シアン化水素)から製造した2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタンニトリル(2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブチロニトリル)をニトリル供給ライン
1から毎時131g、水を水供給ライン19(新水)及
び水循環ライン11(工程(iv)からの循環水)から、
合計毎時740gの流量で供給した。その結果、供給し
た2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルは2
−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミド(2−ヒド
ロキシ−4−メチルチオブチルアミド)に100%変換
された。2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミド
の生成速度は毎時149gであった。
【0093】(2)アミド抽出工程[工程(iv)] ラシヒリングを充填した内容積300mlのガラス管
(抽出装置)に、前記水和工程で得られた反応生成液を
水和反応混合液供給ライン2より連続的に供給すると共
に、メチルエチルケトンと少量の溶解水を含む抽剤(工
程(v)の有機層)を毎時690g(メチルエチルケト
ンとして毎時620g)の流量で有機溶媒供給ライン1
2より供給した。2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ンアミドと少量の水を含有する有機層が毎時838g
(2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンアミドとして
149g/時間)の流量で、また、少量のメチルエチル
ケトンを含有する水層が毎時890gの流量で得られ
た。水層は、メチルエチルケトンを留去した後、水循環
ライン11を通じて、前記水和工程(i)に循環した。
【0094】(3)加水分解工程[工程(ii)] 1Lの撹拌機付きガラス製反応器に、アミド抽出工程
(iv)で得られた前記有機層をアミド混合液供給ライン
3を通じて連続的に供給する一方、少量の2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含む8%水酸
化ナトリウム水溶液(工程(iii )で得られた水酸化ナ
トリウム水溶液と工程(vii )の水層との混合液)を、
塩基−水供給ライン22より毎時540gの流量で供給
し、反応温度60℃で加水分解反応を行った。その結
果、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸ナトリウ
ム(230g/時間)、アンモニア(17g/時間)、
水およびメチルエチルケトンを含む反応混合液が毎時1
390gの流量で得られた。
【0095】(4)水層分離工程[工程(v)] 加水分解工程(ii)で得られた反応混合液を加水分解反
応混合液供給ライン4より、分液槽に供給して分液させ
た。得られた有機層(10%の水を含むメチルエチルケ
トン)は、前記のように、毎時690gの流量で有機溶
媒供給ライン12を通じてアミド抽出工程に循環した。
【0096】(5)アンモニア回収工程[工程(vi)] ラシヒリングを充填したアンモニア放散塔に、水層分離
工程(v)で得られた2−ヒドロキシ−4−メチルチオ
ブタン酸ナトリウム、及びアンモニアを含有する水層
を、カルボン酸塩混合液供給ライン5より供給すると共
に、アンモニア放散塔の底部に接続された不活性ガス供
給ライン14から毎時23Lの流量でメタンガスを供給
した。アンモニア放散塔の塔頂から、メタン−アンモニ
ア混合ガスが得られた。この混合ガスは、アンモニア回
収ライン15より、青酸製造工程に供給した。
【0097】(6)電気透析工程[工程(iii )] 電気透析槽として、バイポーラ膜と陽イオン交換膜(そ
れぞれ(株)トクヤマ製)からなる電気透析槽(TS2
B−2−5型、有効面積200cm2 ×5対、(株)ト
クヤマ製)を用いた。前記アンモニア回収工程(vi)で
アンモニアを除去した2−ヒドロキシ−4−メチルチオ
ブタン酸ナトリウム水溶液(カルボン酸塩混合液供給ラ
イン6)と、電気透析により得られた2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブタン酸と未分解の2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸ナトリウムとを含有する水溶液
(カルボン酸混合液循環ライン18)とを混合し、電気
透析槽に供給した。この混合液中の2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸ナトリウムの濃度は8.8重量%
であり、電気透析槽への供給量は毎時3600gであっ
た。なお、前記混合液の一部(毎時655g)は、カル
ボン酸混合液供給ライン7より、カルボン酸抽出工程
(vii )に供給した。
【0098】電気透析により得られた水酸化ナトリウム
水溶液は、塩基−水回収ライン13を通じて、後述のカ
ルボン酸抽出工程(vii )の水層(未分解の2−ヒドロ
キシ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含有する水
溶液:水回収ライン16)と混合し、その一部を電解液
として水供給ライン21より電気透析槽に供給し、残り
の大部分を塩基−水供給ライン22より加水分解工程
(ii)に循環した。また、水供給ライン20より、水
(新水)を毎時18g電気透析槽に供給した。
【0099】(7)カルボン酸抽出工程[工程(vii
)] 抽出塔に、前記カルボン酸塩混合液供給ライン6のカル
ボン酸塩含有液とカルボン酸混合液循環ライン18のカ
ルボン酸含有液との混合液(2−ヒドロキシ−4−メチ
ルチオブタン酸と未分解の2−ヒドロキシ−4−メチル
チオブタン酸ナトリウムとを含む水溶液)をカルボン酸
混合液供給ライン7を通じて供給すると共に、抽剤とし
てメチルエチルケトンを有機溶媒供給ライン17より供
給し、抽出を行った。その結果、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸を18.5重量%、メチルエチルケ
トンを73重量%、水を8.5重量%含む抽出液(有機
層)が毎時805gの流量で得られた。未分解の2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブタン酸ナトリウムを含有す
る水層は上記のように、水回収ライン16を通じて塩基
−水回収ライン13の水酸化ナトリウム水溶液と共に、
加水分解工程(ii)及び電気透析工程(iii )に循環し
た。
【0100】(8)カルボン酸回収工程[工程(vii
i)] カルボン酸抽出工程(vii )で得られた抽出液(有機
層)を、カルボン酸抽出液供給ライン8より蒸留塔に供
給して蒸留した。その結果、塔底よりカルボン酸回収ラ
イン9を通じて、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ン酸を80%含有するガードナーカラー4の水溶液を毎
時178gの流量で得た。また、塔頂より留出したメチ
ルエチルケトンを、有機溶媒供給ライン17より前記カ
ルボン酸抽出工程(vii )に循環し、抽剤として再利用
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のカルボン酸の製造方法の一例を
示す製造工程図である。
【符号の説明】
1…ニトリル供給ライン 2…水和反応混合液供給ライン 3…アミド混合液供給ライン 4…加水分解反応混合液供給ライン 5,6…カルボン酸塩混合液供給ライン 7…カルボン酸混合液供給ライン 8…カルボン酸抽出液供給ライン 9…カルボン酸回収ライン 13…塩基−水回収ライン 14…不活性ガス供給ライン 15…アンモニア回収ライン 19,20…水供給ライン 22…塩基−水供給ライン
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 323/52 7419−4H C07C 323/52

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)酸化マンガンの存在下、ニトリル
    化合物を水和して対応するアミド化合物を生成させる水
    和工程、(2)塩基の存在下、前記水和工程で生成した
    アミド化合物を加水分解して対応するカルボン酸の塩及
    びアンモニアを生成させる加水分解工程、及び(3)前
    記加水分解工程で生成したカルボン酸の塩を電気透析
    し、対応するカルボン酸と塩基とを生成させる電気透析
    工程を含むカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ニトリル化合物がシアンヒドリン化合物
    である請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩基のpKaが6〜30である請求項1
    記載のカルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求
    項1記載のカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び陰
    イオン交換膜から選択された少なくとも1つのイオン交
    換膜とから構成される電気透析装置を用いて電気透析す
    る請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 さらに、(4)水和工程(1)の反応混
    合物を有機溶媒による抽出に付し、アミド化合物を含む
    有機層を加水分解工程(2)に供給する工程を含む請求
    項1記載のカルボン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 さらに、(5)加水分解工程(2)で生
    成したアンモニアをニトリル化合物の製造工程において
    窒素源として利用する工程を含む請求項1記載のカルボ
    ン酸の製造方法。
  8. 【請求項8】 アンモニアをメタンガスによるストリッ
    ピングにより回収し、ニトリル化合物の製造工程におい
    て利用する請求項7記載のカルボン酸の製造方法。
  9. 【請求項9】 さらに、(6)電気透析工程(3)で生
    成したカルボン酸と水とを含む混合物を有機溶媒による
    抽出に付し、有機層から有機溶媒を回収し、回収した有
    機溶媒を抽出溶媒として循環使用する工程を含む請求項
    1記載のカルボン酸の製造方法。
  10. 【請求項10】 抽出に用いる有機溶媒として、アルコ
    ール、ケトン、アルデヒド、エステル及びエーテルから
    なる群から選択された少なくとも1種の疎水性有機溶媒
    を用いる請求項6又は9に記載のカルボン酸の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 さらに、(7)電気透析工程(3)で
    生成した塩基を加水分解工程(2)の塩基として再利用
    する工程を含む請求項1記載のカルボン酸の製造方法。
  12. 【請求項12】 シアンヒドリン化合物から対応するヒ
    ドロキシカルボン酸を製造する方法であって、(1)シ
    アンヒドリン化合物を酸化マンガンの存在下で水和して
    対応するヒドロキシアミドを生成させる水和工程、
    (2)この水和工程(1)で得られたヒドロキシアミド
    をアルカリ金属水酸化物の存在下で加水分解して、対応
    するヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩とアンモニ
    アとを生成させる加水分解工程、(3)この加水分解工
    程(2)で得られたヒドロキシカルボン酸のアルカリ金
    属塩とアンモニアを含む混合液から、アンモニアを回収
    すると共に、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩を
    含む水層を分離するアンモニア回収−水層分離工程、
    (4)このアンモニア回収−水層分離工程(3)で得ら
    れたヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩を含む水層
    を、バイポーラ膜と、陽イオン交換膜及び陰イオン交換
    膜から選択された少なくとも1つのイオン交換膜とから
    構成される電気透析装置による電気透析に供し、ヒドロ
    キシカルボン酸とアルカリ金属水酸化物とを生成させる
    電気透析工程、(5)前記アンモニア回収−水層分離工
    程(3)で回収したアンモニアをシアンヒドリン化合物
    の製造原料であるシアン化水素の製造工程へ循環して使
    用する工程、及び(6)前記電気透析工程(4)で生成
    したアルカリ金属水酸化物を加水分解工程(2)で再利
    用す工程を含むカルボン酸の製造方法。
  13. 【請求項13】 さらに、(7)水和工程(1)で得ら
    れた反応混合物から有機溶媒によりヒドロキシアミドを
    抽出するアミド抽出工程、(8)電気透析工程(4)で
    生成したヒドロキシカルボン酸と水とを含む混合液から
    有機溶媒によりヒドロキシカルボン酸を抽出するカルボ
    ン酸抽出工程、及び(9)カルボン酸抽出工程(8)の
    有機層からヒドロキシカルボン酸を回収するカルボン酸
    回収工程から選択された少なくとも1つの工程を含む請
    求項12記載のカルボン酸の製造方法。
  14. 【請求項14】 シアンヒドリン化合物が下記式(I
    a) 【化1】 [式中、R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子、
    又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1
    とR2 は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよ
    い。但し、R1 とR2 は同時に水素原子ではない]で表
    わされる化合物である請求項12記載のカルボン酸の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 式(Ia)において、R1 、R2 が、
    同一又は異なって、C1-12アルキル基、C2-12アルケニ
    ル基、C2-12アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、
    6-14アリール基、又はC7-10アラルキル基である請求
    項14記載のカルボン酸の製造方法。
  16. 【請求項16】 シアンヒドリン化合物が、2−ヒドロ
    キシ−4−メチルチオブタンニトリルである請求項14
    記載のカルボン酸の製造方法。
  17. 【請求項17】 さらに、(10)アミド抽出工程
    (7)で得られる水層を水和工程(1)に循環する工
    程、(11)アンモニア回収−水層分離工程(3)にお
    ける水層の分離を分液により行い、得られる有機層をア
    ミド抽出工程(7)に循環する工程、(12)カルボン
    酸抽出工程(8)の水層を加水分解工程(2)に循環す
    る工程、及び(13)カルボン酸抽出工程(8)の有機
    層から有機溶媒を回収し、カルボン酸抽出工程(8)の
    抽出溶媒として再利用する工程のうち少なくとも1つの
    工程を含む請求項13記載のカルボン酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008222459A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Nagoya Institute Of Technology 中空シリカ粒子の調製方法

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