JPH0965668A - 振動アクチュエータ及びその調整方法 - Google Patents

振動アクチュエータ及びその調整方法

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JPH0965668A
JPH0965668A JP7224909A JP22490995A JPH0965668A JP H0965668 A JPH0965668 A JP H0965668A JP 7224909 A JP7224909 A JP 7224909A JP 22490995 A JP22490995 A JP 22490995A JP H0965668 A JPH0965668 A JP H0965668A
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vibration
vibration mode
adjusting
relative motion
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JP7224909A
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Michihiro Tobe
通宏 戸部
Tadao Takagi
忠雄 高木
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のL−B型振動アクチュエータでは、励
振する縦振動及び屈曲振動それぞれの共振周波数を容易
かつ確実に調整できなかった。 【解決手段】 一方の平面に圧電素子12a,12bが
接合された矩形平板状の弾性体11と,弾性体11の他
方の平面に加圧接触される相対運動部材20とを備え、
弾性体11と相対運動部材20との間に相対運動を行わ
せる振動アクチュエータ10であって、弾性体11の長
辺方向の端面に突設され、長辺方向の長さを低減される
ことにより縦振動モード及び屈曲振動モードそれぞれの
共振周波数の差を調整する周波数調整部分11d,11
eを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動アクチュエー
タ及びその調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波アクチュエータのような振動アク
チュエータは、高トルク,良好な制御性,高保持力さら
には静粛性などの特徴を有しており、円環型とリニア型
とに大別される。円環型のモータは、カメラのAF用モ
ータなどに用いられている。また、リニア型のモータ
は、以下のような構造のものが知られている。
【0003】図15は、リニア型振動アクチュエータの
従来例を示す図である。従来のリニア型振動アクチュエ
ータは、棒状弾性体101の一端側に加振用の変成器1
02が配置され、他端側に制振用の変成器103が配置
される。各変成器102,103には、振動子102
a,103aが接合される。加振用の振動子102aに
発振器102bから交流電圧を印加して棒状弾性体10
1を振動させ、この振動が棒状弾性体101を伝播する
ことにより進行波となる。この進行波により、棒状弾性
体101に加圧接触された移動体104が駆動される。
【0004】一方、棒状弾性体101の振動は、制振用
の変成器103を通じて振動子103aに伝えられ、こ
の振動子103aによって振動エネルギーが電気エネル
ギーに変換される。この振動子103aに接続された負
荷103bにより電気エネルギーを消費することにより
振動を吸収する。この制振用の変成器103により、棒
状弾性体101の端面における反射を抑制して、棒状弾
性体101の固有モードの定在波の発生を防いでいる。
【0005】しかし、図15のリニア型振動アクチュエ
ータは、移動体104の移動範囲だけ棒状弾性体101
の長さが必要であり、しかもその棒状弾性体101の全
体を加振しなければならないために装置が大型化すると
ともに、固有モードの定在波の発生を防止するために制
振用の変成器103などが必要となるという問題があっ
た。
【0006】このような問題を解決するために、自走式
の振動アクチュエータが種々提案されており、例えば、
「第5回電磁力関連のダイナミックシンポジウム講演論
文集」の「222 光ピックアップ移動を目的とした圧
電リニアモータ」に記載されている「異形縮退縦L1−
屈曲B4モード・平板モータ」が知られている。
【0007】図16は、異形縮退縦L1−屈曲B4モー
ド・平板モータの従来例を示す模式図であって、図16
(A)は正面図,図16(B)は側面図,さらに図16
(C)は平面図である。また、図17は、この異形縮退
縦L1−屈曲B4モード・平板モータの斜視図である。
【0008】弾性体1は、矩形平板状の基礎部1aと,
その基礎部1aの一方の平面に突起状に形成された駆動
力取出部1b,1cとから構成される。圧電素子2,3
は、弾性体1の基礎部1aの他方の平面に貼付され、縦
振動L1モードと屈曲振動B4モードとを発生させる素
子である。なお、圧電素子4,5は、ともに、機械エネ
ルギーを電気エネルギーに変換して、基礎部1aに生じ
る撓みを検出する圧電素子である。
【0009】弾性体1における屈曲振動B4モードの腹
となる部分に駆動力取出部1b,1cが設けられ、レー
ルなどの相対運動部材(不図示)に押し付けられる。こ
の振動アクチュエータは、弾性体1に生じる縦振動L1
モード及び屈曲振動B4モードそれぞれの固有振動数が
非常に近い値になるように設計されており、2つの固有
振動数に近い周波数の交流電圧を圧電体2,3に印加す
ることにより二つの振動モードが調和して楕円運動を発
生させる。発生した楕円運動は、駆動力取出部1b,1
cを介して推力として取り出される。
【0010】なお、基礎部1aの縦振動1次モード及び
屈曲振動4次モードそれぞれの共振周波数は、 縦振動 :fL1=1/2ξ×(E/ρ)1/2 ・・・・・ 屈曲振動:fB4=(λ4 ξ)2 τ/2πξ2 ×(E/12ρ)1/2 ・・・ ただし、E:ヤング率 ρ:密度 ξ:弾性体1の等価長さ(完全な矩形の弾性体と等価な
長さ) τ:弾性体1の等価厚さ(完全な矩形の弾性体と等価な
厚さ) λ4 ξ=14.137166 で与えられる。
【0011】式及び式が示すように、弾性体1の厚
さτは屈曲振動の共振周波数には影響を与えるが、縦振
動の共振周波数には影響を与えない。また、弾性体1の
長さξは両方の共振周波数に影響を与えるが、縦振動:
1次,屈曲振動2次と累乗の次数が異なるため、与える
影響の大きさが異なる。
【0012】効率の良い駆動特性を得るためには、縦振
動及び屈曲振動それぞれの共振周波数が、例えば、2つ
の共振周波数の差が駆動周波数の1%以内となるよう
に、十分に近いことが必要である。しかし、加工時の寸
法公差等の原因により、その差が設計値よりも大きくな
ってしまうことがある。したがって、良品率を上げるた
めには、組立て後に弾性体を削る等の手段を用いて、共
振周波数を調整することが必要になる。
【0013】ここで、式及び式が示すように、共振
周波数の形状パラメータは、弾性体1の等価厚さτと等
価長さξとであるため、弾性体1を削る場合、等価厚さ
τを削る方法と長さξを削る方法との2通りが考えられ
る。
【0014】弾性体1の等価厚さτを削ると、屈曲振動
の共振周波数だけを変化させることができ、調整は簡単
である。しかし、弾性体1には図16及び図17に示す
ように、圧電素子2,3が接合されており、弾性体1の
みを削ることは困難であるため、周波数の調整方法とし
ては適当でない。
【0015】一方、等価長さξを削る方法では、縦振動
及び屈曲振動それぞれの共振周波数が高くなるが、屈曲
振動の共振周波数のほうが変化率が大きいため、2つの
共振周波数の差を変化させることができる。ここで、等
価長さξを削ることにより2つの共振周波数の差を小さ
くするには、切削前の段階で、縦振動の共振周波数を屈
曲振動の共振周波数よりも大きな値としておく必要があ
る。
【0016】なお、等価長さξを削る方法については、
新版振動アクチュエータ(上羽貞行,富川義郎共著、ト
リケップス刊第103頁)に、縦振動1次−屈曲振動8
次モードを用いる振動アクチュエータについて、弾性体
1の等価長さξを調整することにより、2つの共振周波
数の差を小さくすることが記載されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、縦−屈
曲型振動アクチュエータの共振周波数を調整する場合、
弾性体1の端面を削って等価長さを調整するのが一般的
である。しかし、縦−屈曲型振動アクチュエータの弾性
体の断面形状は、厚さ方向が短い長方形を呈しており、
端面全体を削る場合、削る面積が比較的大きくなる。そ
のため、理想的な振動モードの形状を得るには、弾性体
の等価長さが断面に関して均一である必要があるが、削
る面積が大きくなると、等価長さが均一になるように削
ることは現実には困難である。等価長さが均一にならな
いために、振動モードの形状が変化して、駆動特性が悪
化するという問題があった。
【0018】また、弾性体の両端面を削るにはグライン
ダー等が用いられるが、大きな面積を削ると、圧電素子
に悪影響を与えたり、弾性体を歪ませて接触面の平面度
が低下する等の問題があった。
【0019】このような課題に鑑み、本発明の目的は、
励振する縦振動及び屈曲振動それぞれの共振周波数を容
易かつ確実に調整することができる振動アクチュエータ
及びその調整方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、弾性体の形状
を変更することにより、振動アクチュエータの性能の低
下をもたらさずに、縦振動及び屈曲振動それぞれの共振
周波数の調整を可能としたものである。具体的には、矩
形平板状の弾性体の長辺方向の端面に突起状に周波数調
整部分を予め設けておき、この周波数調整部分を研削す
ることにより共振周波数の調整を行うか、又は、矩形平
板状の弾性体の長辺方向の端面及び側面の一方又は両方
に、弾性体の質量を低減する質量欠損部分を設けること
により共振周波数の調整を行うものである。
【0021】請求項1の発明は、一方の平面に電気機械
変換素子が接合された矩形平板状の弾性体と,前記弾性
体の他方の平面に加圧接触される相対運動部材とを備
え、駆動電圧を印加して前記電気機械変換素子を励振す
ることにより、前記弾性体に前記相対運動部材との接触
面を含む方向への縦振動モードと前記接触面に交差する
方向への屈曲振動モードとを発生させ、前記弾性体と前
記相対運動部材との間に相対運動を行わせる振動アクチ
ュエータであって、前記弾性体は、前記縦振動モード及
び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数の差を調整
するための加工部を備えることを特徴とする。
【0022】請求項2の発明は、一方の平面に電気機械
変換素子が接合された矩形平板状の弾性体と,前記弾性
体の他方の平面に加圧接触される相対運動部材とを備
え、駆動電圧を印加して前記電気機械変換素子を励振す
ることにより、前記弾性体に前記相対運動部材との接触
面を含む方向への縦振動モードと前記接触面に交差する
方向への屈曲振動モードとを発生させ、前記弾性体と前
記相対運動部材との間に相対運動を行わせる振動アクチ
ュエータであって、前記弾性体の長辺方向の端面に突設
され、前記長辺方向の長さを低減されることにより前記
縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周
波数の差を調整する周波数調整部分を備えることを特徴
とする。
【0023】請求項3の発明は、請求項2に記載された
振動アクチュエータにおいて、前記周波数調整部分が、
前記長辺方向と平行な前記弾性体の中心線に対して対称
に設けられることを特徴とする。
【0024】請求項4の発明は、一方の平面に電気機械
変換素子が接合された矩形平板状の弾性体と,前記弾性
体の他方の平面に加圧接触される相対運動部材とを備
え、駆動電圧を印加して前記電気機械変換素子を励振す
ることにより、前記弾性体に前記相対運動部材との接触
面を含む方向への縦振動モードと前記接触面に交差する
方向への屈曲振動モードとを発生させ、前記弾性体と前
記相対運動部材との間に相対運動を行わせる振動アクチ
ュエータであって、前記弾性体の長辺方向の端面及び/
又は側面に設けられ、前記弾性体の質量を低減されるこ
とにより前記縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれ
ぞれの共振周波数の差を調整する質量欠損部分を備える
ことを特徴とする。
【0025】請求項5の発明は、請求項4に記載された
振動アクチュエータにおいて、前記側面に設けられる前
記質量欠損部分が、前記屈曲振動モードの腹位置に設け
られることを特徴とする。
【0026】請求項6の発明は、矩形平板状の弾性体の
一方の平面に接合された電気機械変換素子に駆動電圧を
入力して励振させることで、前記弾性体の他方の平面に
加圧接触される相対運動部材との接触面を含む方向への
縦振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振動
モードとを発生させて、前記弾性体と前記相対運動部材
との間に相対運動を行わせる振動アクチュエータの調整
方法であって、前記弾性体に加工を行うことにより前記
縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周
波数の差を調整することを特徴とする。
【0027】請求項7の発明は、矩形平板状の弾性体の
一方の平面に接合された電気機械変換素子に駆動電圧を
入力して励振させることで、前記弾性体の他方の平面に
加圧接触される相対運動部材との接触面を含む方向への
縦振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振動
モードとを発生させて、前記弾性体と前記相対運動部材
との間に相対運動を行わせる振動アクチュエータの調整
方法であって、前記弾性体の長辺方向の端面に突設され
た周波数調整部分の前記長辺方向の長さを低減すること
により前記縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれぞ
れの共振周波数の差を調整することを特徴とする。
【0028】請求項8の発明は、請求項7に記載された
振動アクチュエータの調整方法において、前記縦振動モ
ードの共振周波数が前記屈曲振動モードの共振周波数以
上となるように、前記縦振動モード及び前記屈曲振動モ
ードそれぞれの共振周波数の差を調整することを特徴と
する。
【0029】請求項9の発明は、請求項7又は請求項8
に記載された振動アクチュエータの調整方法において、
前記周波数調整部分が、前記長辺方向と平行な前記弾性
体の中心線に対して対称に設けられることを特徴とす
る。
【0030】請求項10の発明は、矩形平板状の弾性体
の一方の平面に接合された電気機械変換素子に駆動電圧
を入力して励振させることで、前記弾性体の他方の平面
に加圧接触される相対運動部材との接触面を含む方向へ
の縦振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振
動モードとを発生させて、前記弾性体と前記相対運動部
材との間に相対運動を行わせる振動アクチュエータの調
整方法であって、前記弾性体の長辺方向の端面及び/又
は側面に、前記弾性体の質量を低減する質量欠損部分を
設けることにより前記縦振動モード及び前記屈曲振動モ
ードそれぞれの共振周波数の差を調整することを特徴と
する。
【0031】請求項11の発明は、請求項10に記載さ
れた振動アクチュエータの調整方法において、前記質量
欠損部分を前記側面に設ける場合には、前記屈曲振動モ
ードの腹位置に設けることを特徴とする。
【0032】請求項1の本発明の「加工部」,請求項6
の本発明の「加工」それぞれにおける加工とは、弾性体
の一部,又は弾性体に設けられた周波数調整部分の一部
又は全部に対して、その質量を低減することにより、弾
性体の等価長さξを低減することができる加工をいう。
例えば、切削加工や孔開け加工等を包含する。
【0033】請求項1ないし請求項11のいずれかの本
発明によれば、振動アクチュエータを構成する弾性体に
周波数調整のための加工部が設けられるため、弾性体の
等価長さが簡単に減少する。この等価長さの減少によ
り、屈曲振動の共振周波数の増加率と縦振動の共振周波
数の増加率とが不均一に変化する。
【0034】そのため、例えば、加工部設置前に縦振
動共振周波数>屈曲振動共振周波数の場合には、縦振動
共振周波数の増加率<屈曲振動共振周波数の増加率とな
るように加工を行う、加工部設置前に屈曲振動共振周
波数>縦振動共振周波数の場合には、屈曲振動共振周波
数の減少率<縦振動共振周波数の減少率となるように加
工を行うことにより、屈曲振動共振周波数,縦振動共振
周波数それぞれの差が低減される。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、図面等を参照して、本発明の実
施形態をさらに詳細に説明する。
【0036】図1は、本発明にかかる振動アクチュエー
タ単体の第1実施形態を全体的に示した斜視図である。
本発明にかかる振動アクチュエータ10は、弾性体11
と,弾性体11の一方の平面に接続される電気機械変換
素子である圧電素子12と,弾性体11の他方の平面に
突起状に設けられる駆動力取出部11b,11cに加圧
接触するレールやローラ等の相対運動部材20とにより
構成される。
【0037】弾性体11は、矩形平板状の基礎部11a
と、この基礎部11aの下面に突起状に設けられた駆動
力取り出しのための駆動力取出部11b,11cとから
構成される。これらの駆動力取出部11b,11cは、
駆動時に発生する屈曲振動の腹(振幅最大の部分)の位
置に設けられる。
【0038】圧電素子12は、電気信号を機械的な変位
に変換する電気機械変換素子であり、本実施例では、こ
の駆動用圧電素子12a,12bと、振動モニタ用圧電
素子12p,12p’とを備える。各圧電素子12a,
12b,12p,12p’は弾性体11に例えば接着さ
れて装着される。
【0039】なお、図示していないが、駆動力取出部1
1b,11cと相対運動部材20との間の摺動抵抗を抑
制するために、駆動力取出部11b,11cそれぞれの
底面に摺動材を貼付しておいてもよい。
【0040】駆動用圧電素子12a,12bは、電気的
に位相が90度異なる交流電圧が印加されることによ
り、弾性体11に、縦振動モード(本実施例ではL1モ
ード)及び屈曲振動モード(本実施例ではB4モード)
の振動を発生させて、駆動力取出部11b,11cにこ
れらの二つの振動モードの合成振動としての楕円運動に
よる駆動力を発生させる。
【0041】振動モニタ用圧電素子12p,12p’
は、機械的変位を電気信号に変換する機械電気変換素子
であり、弾性体11に発生する振動の状態をモニタし
て、後述する制御回路35に出力する。
【0042】なお、図示していないが、弾性体11はG
ND電位に接続されるのが一般的であり、その場合の電
極(共通電極)は、例えば、弾性体11にリード線を半
田付けするか、又はリード線の付いた金属箔を弾性体1
1に接着することにより行えばよい。
【0043】さらに、本実施形態では、矩形平板状の弾
性体11の長辺方向(図中の両矢印方向)と平行な中心
線に対して対称となるように、断面矩形の周波数調整部
分11d,11eが設けられる。本実施例では、この周
波数調整部分11d,11eは、基礎部11aと一体に
設けられているが、別体品とするとともに適宜手段によ
り基礎部11aに接合するようにしてもよい。この周波
数調整部分11d,11eは、基礎部11aの厚さ全て
について設けられる。
【0044】この周波数調整部分11d,11eは、弾
性体11の長辺方向の長さξ11d ,ξ11e を研削により
低減されることにより、基礎部11aの長辺方向の長さ
を全く変更することなく、弾性体11の等価長さξが減
少し、振動アクチュエータ駆動時に弾性体11に発生す
る縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共振
周波数の差が調整される。
【0045】すなわち、周波数調整部分11d,11e
の長さξ11d ,ξ11e を低減すると、前述した式及び
式において、等価長さがξから(ξ−Δξ)に減少す
る。ここで、式及び式により求められる縦振動及び
屈曲振動それぞれの共振周波数はともに増加するが、そ
の増加率は等価長さξに関する次数が大きな屈曲振動の
共振周波数のほうが大きくなる。
【0046】図2は、このような屈曲振動及び縦振動そ
れぞれの共振周波数の変化の様子の一例を、弾性体11
の周波数とインピーダンスとの関係を用いて示すグラフ
であり、図2(A)は周波数調整部分11d,11eの
研削前の状況を、図2(B)は研削後の状況を示す。
【0047】研削前には、屈曲振動モード(B4モー
ド)の共振周波数及び縦振動モード(L1モード)の共
振周波数の差がΔfであったが、研削を行うことによ
り、両者の共振周波数は増加するとともに、屈曲振動モ
ード(B4モード)の共振周波数の増加率のほうが縦振
動モード(L1モード)の共振周波数の増加率よりも大
きくなり、両者の差はΔf’(ただし、Δf’<Δf)
に変化する。このようにして、縦振動モード及び前記屈
曲振動モードそれぞれの共振周波数の差が小さくなるよ
うに調整される。
【0048】図3は、図1及び図2の振動アクチュエー
タ10の駆動回路の構成例を示すブロック図である。発
振器31は、弾性体11と圧電素子12とから構成され
る振動体11の1次の縦振動モード及び4次の屈曲振動
モードそれぞれに相当する周波数の信号を発振するため
のものである。発振器31の出力は分岐して、一方の出
力は、増幅器33によって増幅された後に、A相電圧と
して、駆動用圧電体12aの電極に入力される。また、
分岐した他方の出力は、移相器32に接続されており、
移相器32によって、A相電圧とはπ/2だけ位相をず
らしてB相電圧とした後に、増幅器34を介して、駆動
用圧電素子12bの電極に入力される。
【0049】制御回路35は、振動モニタ用圧電素子1
2p,12p’の出力電圧が入力されており、予め設定
されていた基準電圧と比較して、p,p’端子の出力の
方が小さいときには周波数を低く、また、p,p’端子
の出力の方が大きいときには周波数を高くするように、
発振器31を制御する。これにより、振動アクチュエー
タ10の振動振幅が所定の大きさに保持される。
【0050】図4は、図3の振動アクチュエータの動作
を説明するための図である。この振動アクチュエータ1
0は、駆動用圧電体12a,12bに電気的に位相が9
0度異なる交流電圧を印加することにより、屈曲振動と
縦振動との複合振動を起こし、弾性体11の駆動力取出
部11b,11cの先端に楕円運動を発生させる。そし
て、弾性体11は、駆動力取出部11b,11cを介し
て相対運動部材20に加圧接触させ、駆動力を得る。
【0051】なお、本実施形態では、駆動用圧電体12
a,12bは互いに極性が同一方向になるように分極さ
れ、印加される高周波電圧A,Bはπ/2の時間的位相
差を有しているが、これに限定する必要があるものでは
なく、駆動用圧電体12a,12bの分極は互いに逆方
向であってもよい。
【0052】図4(A)は、振動アクチュエータに入力
される2相の高周波電圧A,Bの時間的変化を時間t1
〜時間t9 で示す。図4(A)の横軸は、高周波電圧の
実効値を示す。図4(B)は、振動アクチュエータの断
面の変形の様子を示し、振動アクチュエータに発生する
屈曲振動の時間的変化(t1 〜t9 )を示す。図4
(C)は、振動アクチュエータの断面の変形の様子を示
し、振動アクチュエータに発生する縦振動の時間的変化
(t1 〜t9 )を示す。図4(D)は、振動アクチュエ
ータの駆動力取出部11b,11cに発生する楕円運動
の時間的変化(t1〜t9 )を示す。
【0053】次に、本実施形態の振動アクチュエータ1
0の動作を、時間的変化(t1 〜t9 )毎に説明する。
【0054】時間t1 において、図4(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは正の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の正の電圧を発生する。図4(B)に示すよ
うに、高周波電圧A,Bによる屈曲運動は互いに打ち消
し合い、質点Y1と質点Z1とが振幅零となる。また、
図4(C)に示すように、高周波電圧A,Bによる縦振
動は伸張する方向に発生する。質点Y2と質点Z2とは
矢印で示されるように、節Xを中心にして最大の伸長を
示す。その結果、図4(D)に示すように、上記両振動
が複合され、質点Y1と質点Y2との運動の合成が質点
Yの運動となり、また、質点Z1と質点Z2との運動の
合成が質点Zの運動となる。
【0055】時間t2 において、図4(A)に示すよう
に、高周波電圧Bは零となり、高周波電圧Aは正の電圧
を発生する。図4(B)に示すように、高周波電圧Aに
よる屈曲運動が発生し、質点Y1が正方向に振幅し、質
点Z1が負方向に振幅する。また、図4(C)に示すよ
うに、高周波電圧Aによる縦振動が発生し、質点Y2と
質点Z2とが時間t1 の時よりも縮む。その結果、図4
(D)に示すように、上記両振動が複合され、質点Yと
質点Zとが時間t1 のときよりも右回りに移動する。
【0056】時間t3 において、図4(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは正の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の負の電圧を発生する。図4(B)に示すよ
うに、高周波電圧A及びBによる屈曲運動が合成されて
増幅され、質点Y1が時間t2 の時よりも正方向に増幅
され、最大の正の振幅値を示す。質点Z1が時間t2
時よりも負方向に増幅され、最大の負の振幅値を示す。
また、図4(C)に示すように、高周波電圧A及びBに
よる縦振動が互いに打ち消しあい、質点Y2と質点Z2
とが元の位置に戻る。その結果、図4(D)に示すよう
に、上記両振動が複合され、質点Yと質点Zとが時間t
2 のときよりも右回りに移動する。
【0057】時間t4 において、図4(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは零となり、高周波電圧Bは負の電圧
を発生する。図4(B)に示すように、高周波電圧Bに
よる屈曲運動が発生し、質点Y1は時間t3 のときより
も振幅が低下し、質点Z1は時間t3 のときよりも振幅
が低下する。また、図4(C)に示すように、高周波電
圧Bによる縦振動が発生し、質点Y2と質点Z2が収縮
する。その結果、図4(D)に示すように、上記両振動
が複合され、質点Yと質点Zとが時間t3 のときよりも
右回りに移動する。
【0058】時間t5 において、図4(A)に示すよう
に、高周波電圧Aは負の電圧を発生し、同様に高周波電
圧Bは同一の負の電圧を発生する。図4(B)に示すよ
うに、高周波電圧A,Bによる屈曲運動は互いに打ち消
し合い、質点Y1と質点Z1とが振幅零となる。また、
図4(C)に示すように、高周波電圧A,Bによる縦振
動は収縮する方向に発生する。質点Y2と質点Z2とは
矢印で示されるように、節Xを中心にして最大の収縮を
示す。その結果、図4(D)に示すように、上記両振動
が複合され、質点Yと質点Zとが時間t4 のときよりも
右回りに移動する。
【0059】時間t6 〜時間t9 に変化するにしたがっ
て、上述の原理と同様に屈曲振動及び縦振動が発生し、
その結果、図4(D)に示すように、質点Y及び質点Z
が右回りに移動し、楕円運動をする。
【0060】以上の原理により、この振動アクチュエー
タ10は、駆動力取出部11b,11cとの先端に楕円
運動を発生させ、駆動力を発生させる。したがって、駆
動力取出部11b,11cの先端を相対運動部材20に
加圧すると、振動アクチュエータ10と相対運動部材2
0との間で相対運動を生じる。
【0061】図5は、本発明にかかる振動アクチュエー
タの周波数調整部分の研削量を決定するアルゴリズムの
説明図である。まず、ステップ1(以下、単に「S1」
と記載する。)において、組み立てられた振動アクチュ
エータ10の屈曲振動及び縦振動それぞれの共振周波数
をインピーダンスアナライザを用いて測定する。
【0062】S2において、S1で測定された2つの共
振周波数の差Δfを算出する。S3において、S2で算
出されたΔfと予め設定してある目標値aとの大小を比
較する。Δf≦aの場合にはS4に進み、Δf>aの場
合にはS5に進む。
【0063】S4は、2つの共振周波数の差Δfが所定
の範囲に入っていることから、このまま終了し、周波数
調整部分11d,11eの研削は行わない。S5では、
S2で求めたΔfを用いて、研削量Δξを関数Δξ=f
(Δf)により算出する。ここで、関数fは実験的に予
め求めておく。
【0064】S6では、S5で求めたΔξに基づいて、
例えばグラインダー等の研削工具を用いて弾性体11の
周波数調整部分11d,11eの研削を行う。この研削
では、弾性体11の振動モードの対称性を維持するた
め、周波数調整部分11d,11eをそれぞれΔξ/2
だけ研削することが望ましい。
【0065】そして、弾性体11をΔξだけ研削した後
に、S1に戻り、振動アクチュエータ10の屈曲振動及
び縦振動それぞれの共振周波数をインピーダンスアナラ
イザを用いて再度測定し、S2においてその差Δf’を
算出する。そして、S3において、Δf>aの場合には
全く同様にして研削を繰り返し、Δf≦aとなった場合
に研削を終了する。
【0066】次に、本実施形態の振動アクチュエータ1
0を用いた駆動装置の一例について説明する。図6は、
図1ないし図5により説明した本発明にかかる振動アク
チュエータを用いた駆動装置の全体構成例を示す図であ
り、図6(A)は正面図,図6(B)は図6(A)にお
けるA−A断面図である。
【0067】圧電素子12を貼付された弾性体11と,
この弾性体11に設けられた駆動力取出部11b,11
cに接触する相対運動部材20とを備える本発明にかか
る振動アクチュエータ10は、加圧機構21により弾性
体11が相対運動部材20へ向けて加圧される。
【0068】また、本発明にかかる振動アクチュエータ
10は、図6(B)に示す溝型の段面形状を有する連結
部材25の一つの内面25aと,これと対向する内面2
5bに固定される溝型の断面形状のリニアガイド24に
支持されるリニアガイドレール23の外面23aとの間
に、設置される。
【0069】なお、加圧機構21のうちのコイルばね2
1b,21c及びガイド棒21d,21eの一端は連結
部材25の内面25aに固定されており、他端は圧電素
子12を介して弾性体11を加圧する加圧板21fに固
定される。一方、相対運動部材20とリニアガイドレー
ル23とは、本実施例ではねじ止めにより、固定され
る。なお、コイルばね以外に板ばねや皿ばね等であって
もよい。
【0070】このように構成された駆動装置において圧
電体12に高周波電圧を印加して弾性体11に楕円振動
を発生させると、 連結部材25が固定されている場合、すなわち振動ア
クチュエータ10が移動しない場合には、相対運動部材
20とリニアガイドレール23とが一体となって相対移
動する。
【0071】相対運動部材20が固定されている場
合、すなわち振動アクチュエータ10が移動する場合に
は、振動アクチュエータ本体、連結部材25及びリニア
ガイド24が一体となって相対移動する。
【0072】(第2実施形態)図7は、第2実施形態の
振動アクチュエータの弾性体の形状を示す斜視図であ
る。なお、以降の各実施形態の説明では、第1実施形態
との相違点のみを説明し、第1実施形態と共通する部分
については同一の図中符号を付すことにより説明を省略
する。
【0073】本実施形態における振動アクチュエータ1
0−1の弾性体11−1では、周波数調整部分11d,
11eを基礎部11aの中心線に対して対称な位置では
なく、中心線からオフセットした位置に設けてある。
【0074】このような位置に周波数調整部分11d,
11eを設けてあっても、この周波数調整部分11d,
11eを研削することにより、弾性体11に生じる屈曲
振動モード及び縦振動モードそれぞれの共振周波数の差
を調整できる。
【0075】(第3実施形態)以上説明した第1実施形
態及び第2実施形態に限定されず、種々の変形や変更が
可能であって、それらも本発明に含まれる。
【0076】図8(A)ないし図8(D)は、いずれ
も、周波数調整部分11d,11eの変形例を示す平面
図であり、基礎部11aの中心線mに対して対称な位置
にある場合である。
【0077】周波数調整部分は、図8(A)に示すよう
に平面形状が突起状の三角形であってもよく、図8
(B)に示すように平面形状が突起状の半円形であって
もよい。また、図8(C)に示すように平面形状が全幅
にかかる三角形状であってもよく、又は、図8(D)に
示すように中心線mに対して対称な位置に二つの周波数
調整部分11e−1,11e−2(本実施形態ではそれ
ぞれの水平断面が矩形である。)を設置してもよい。
【0078】図9(A)ないし図9(D)は、いずれ
も、周波数調整部分11d,11eの他の実施形態を示
す平面図であり、基礎部11aの中心線mに対して非対
称に設置された場合である。
【0079】周波数調整部分11dは、図9(A)に示
すように平面形状が突起状の直角三角形であってもよ
く、図9(B)に示すように平面形状が突起状の半円形
であってもよく、また、図9(C)に示すように平面形
状が突起状の二等辺三角形であってもよい。さらに、図
9(D)に示すように平面形状が全幅にかかる直角三角
形状であってもよい。
【0080】これらの第3実施形態によっても、この周
波数調整部分11dを研削することにより、弾性体11
に生じる屈曲振動モード及び縦振動モードそれぞれの共
振周波数の差を調整できる。
【0081】また、第1実施形態及び第2実施形態にお
いて、周波数調整部分11d,11eは基礎部11aの
板厚方向の全厚について設けてあるが、板厚方向の一部
であってもよい。研削量が少なくて済む場合には、周波
数の調整をより高精度に行うことができ、望ましい。
【0082】(第4実施形態)図10は、本発明にかか
る振動アクチュエータ単体の第4実施形態を全体的に示
した斜視図である。
【0083】本実施形態では、第1実施形態のように弾
性体11の長手方向端面に周波数調整部分11d,11
eを予め設けておき、この周波数調整部分11d,11
eを研削することにより周波数を調整するのではなく、
弾性体11の基礎部11aに長手方向の両端面に、共振
周波数の差を調整する質量欠損部分としての周波数調整
孔13a〜13dを、長手方向と平行となるように、2
個ずつ合計4個穿孔するものである。
【0084】穿孔手段は、本実施形態ではレーザビーム
を照射することにより行ったが、特定の手段に限定する
必要があるものではなく、適宜選定して行えばよい。ま
た、設置数も両端面それぞれに2個ずつ設置する必要が
あるものではなく、周波数の目標調整代に応じて1個又
は3個以上でもよい。ただし、基礎部11aの長手方向
と平行な中心軸に対して対称な位置に設けることが、周
波数の変化率を予測し易いため、望ましい。
【0085】図11は、本実施形態の振動アクチュエー
タの周波数調整部分の研削量を決定するアルゴリズムの
説明図である。基本的には、前述した図5と同じである
が、本実施形態では周波数調整孔13a〜13dを穿孔
するため、周波数調整孔13a〜13dの深さdを決定
する必要がある。
【0086】そのため、S5’において、S2で求めた
Δfを用いて、深さdを関数d=f(Δf)により算出
する。ここで、関数fは実験的に予め求めておく。そし
て、S6’では、S5’で求めた深さdに基づいて、例
えばレーザビームを照射することにより、周波数調整孔
13a〜13dを穿孔する。
【0087】そして、弾性体11に深さdの周波数調整
孔13a〜13dを穿孔した後に、S1に戻り、振動ア
クチュエータ10の屈曲振動及び縦振動それぞれの共振
周波数をインピーダンスアナライザを用いて再度測定
し、S2においてその差Δf’を算出する。そして、S
3において、Δf>aの場合には全く同様にして研削を
繰り返し、Δf≦aとなった場合に研削を終了する。
【0088】本実施形態においても、周波数調整孔13
a〜13dを穿孔することにより、弾性体11の等価長
さξが減少する。ここで、弾性体11に生じる縦振動及
び屈曲振動それぞれの共振周波数は、前述の式及び
式により与えられるが、各共振周波数に対して、等価長
さξは、縦振動:−1次、屈曲振動:−2次で影響する
ため、屈曲振動の周波数増加率のほうが縦振動の周波数
の増加率よりも大きくなる。
【0089】そのため、穿孔(調整)前に、図12
(A)にグラフで示すように縦振動の共振周波数>屈曲
振動の共振周波数である場合には、穿孔(調整)後に
は、図12(B)にグラフで示すようにそれぞれの周波
数が変動し、両共振周波数の差Δf→Δf’(ただし、
Δf>Δf’)となる。
【0090】(第5実施形態)図13は、本発明にかか
る振動アクチュエータ単体の第5実施形態を全体的に示
した斜視図である。
【0091】本実施形態では、弾性体11の基礎部11
aに長手方向の側面に、共振周波数の差を調整する質量
欠損部分としての周波数調整孔14a〜14dを、長手
方向に直行する方向と平行となるように、2個ずつ合計
4個穿孔するものである。
【0092】穿孔手段は、第4実施形態と同様である。
また、設置数も両側面それぞれに2個ずつ設置する必要
があるものではなく、周波数の目標調整代に応じて1個
又は3個以上でもよい。ただし、基礎部11aの長手方
向と直行する方向と平行な中心軸に対して対称な位置に
設けることが、周波数の変化率を予測し易いため、望ま
しい。
【0093】本実施形態においても、周波数調整孔14
a〜14dを穿孔することにより、弾性体11の等価長
さξが減少するが、それとともに、弾性体11の剛性が
低下しヤング率Eが各振動方向毎に低下する。ここで、
弾性体11に生じる縦振動及び屈曲振動それぞれの共振
周波数は、前述の式及び式により与えられるが、各
共振周波数に対して、等価長さξは、縦振動:−1次、
屈曲振動:−2次で影響する。また、屈曲振動に影響す
るヤング率Eの低下率のほうが縦振動に影響するヤング
率Eの低下率よりも大きい。そのため、屈曲振動の周波
数減少率のほうが縦振動の周波数の減少率よりも大きく
なる。
【0094】そのため、穿孔(調整)前に、図14
(A)にグラフで示すように屈曲振動の共振周波数>縦
振動の共振周波数である場合には、穿孔(調整)後に
は、図14(B)にグラフで示すようにそれぞれの周波
数が変動し、両共振周波数の差Δf→Δf’(ただし、
Δf>Δf’)となる。
【0095】また、周波数調整孔14a〜14dの深さ
を大きくすることにより、縦振動の共振周波数を屈曲振
動の共振周波数よりも高くすることができる。さらに、
周波数調整孔14a〜14dを、屈曲振動の腹位置とす
ると、屈曲振動の共振周波数の変化が特に大きくなる。
【0096】(変形形態)以上の各実施形態では、縦振
動−屈曲振動の複合振動を利用した振動アクチュエータ
を用いた例を示したが、例えばいわゆるL1−B2型等
の他の原理によって駆動される、縦n次振動と屈曲m次
振動とを組み合わせた振動アクチュエータを用いる場合
でも本発明と同様の効果を得ることができる。
【0097】また、第1実施形態及び第2実施形態にお
いては、電気機械変換素子として圧電素子を利用した
が、これに限定されるものではなく圧電素子の代わりに
電歪素子や磁歪素子等を用いることも可能である。
【0098】
【発明の効果】請求項1から請求項11までのいずれか
に記載された本発明では、振動アクチュエータを構成す
る弾性体に周波数調整のための加工部が設けられるた
め、弾性体の等価長さが簡単に減少し、この等価長さの
減少により、屈曲振動の共振周波数の増加率と縦振動の
共振周波数の増加率とが不均一に変化する。したがっ
て、屈曲振動共振周波数,縦振動共振周波数それぞれの
差が低減されて、屈曲振動共振周波数,縦振動共振周波
数を接近ないしは一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる振動アクチュエータ単体の第1
実施形態を全体的に示した斜視図である。
【図2】本発明により、屈曲振動及び縦振動それぞれの
共振周波数の変化の様子の一例を、弾性体の周波数とイ
ンピーダンスとの関係を用いて示すグラフであり、図2
(A)は周波数調整部分の研削前の状況を、図2(B)
は研削後の状況をそれぞれ示す。
【図3】第1実施形態の振動アクチュエータの駆動回路
の構成例を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の振動アクチュエータの動作を説
明するための図である。
【図5】本発明にかかる振動アクチュエータの周波数調
整部分の研削量を決定するアルゴリズムの説明図であ
る。
【図6】本発明にかかる振動アクチュエータを用いた駆
動装置の全体構成例を示す図であり、図6(A)は正面
図,図6(B)は図6(A)におけるA−A断面図であ
る。
【図7】第2実施形態の振動アクチュエータの弾性体の
形状を示す斜視図である。
【図8】図8(A)ないし図8(D)は、いずれも、第
3実施形態の振動アクチュエータの周波数調整部分11
d,11eを示す平面図である。
【図9】図9(A)ないし図9(D)は、いずれも、第
3実施形態の振動アクチュエータの周波数調整部分11
d,11eの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明にかかる振動アクチュエータ単体の第
4実施形態を全体的に示した斜視図である。
【図11】第4実施形態の振動アクチュエータの周波数
調整部分の研削量を決定するアルゴリズムの説明図であ
る。
【図12】第4実施形態において、屈曲振動及び縦振動
それぞれの共振周波数の変化の様子の一例を、弾性体の
周波数とインピーダンスとの関係を用いて示すグラフで
あり、図12(A)は調整前の状況を、図12(B)は
調整後の状況をそれぞれ示す。
【図13】本発明にかかる振動アクチュエータ単体の第
5実施形態を全体的に示した斜視図である。
【図14】第5実施形態において、屈曲振動及び縦振動
それぞれの共振周波数の変化の様子の一例を、弾性体の
周波数とインピーダンスとの関係を用いて示すグラフで
あり、図14(A)は調整前の状況を、図14(B)は
調整後の状況をそれぞれ示す。
【図15】リニア型振動アクチュエータの従来例を示す
図である。
【図16】異形縮退縦L1−屈曲B4モード・平板モー
タの従来例を示す模式図であり、図16(A)は正面
図,図16(B)は側面図,さらに図16(C)は平面
図である。
【図17】この異形縮退縦L1−屈曲B4モード・平板
モータの斜視図である。
【符号の説明】
10,10−1 振動アクチュエータ 11,11−
1 弾性体 11a 基礎部 11b,1
1c 駆動力取出部 11d,11e 周波数調整部分 12 圧電
素子 12a,12b 駆動用圧電素子 12p,12p’ 振動モニタ用圧電素子 13a〜13d,14a〜14d 周波数調整孔 20 相対運動部材 21 加圧
機構 21b,21c コイルばね 21d,2
1e ガイド棒 21f 加圧板 23 リニ
アガイドレール 24 リニアガイド 25 連結
部材 25a.25b 内面 31 発振
器 32 移相器 33,34
増幅器 35 制御回路

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の平面に電気機械変換素子が接合さ
    れた矩形平板状の弾性体と,前記弾性体の他方の平面に
    加圧接触される相対運動部材とを備え、駆動電圧を印加
    して前記電気機械変換素子を励振することにより、前記
    弾性体に前記相対運動部材との接触面を含む方向への縦
    振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振動モ
    ードとを発生させ、前記弾性体と前記相対運動部材との
    間に相対運動を行わせる振動アクチュエータであって、 前記弾性体は、前記縦振動モード及び前記屈曲振動モー
    ドそれぞれの共振周波数の差を調整するための加工部を
    備えることを特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 一方の平面に電気機械変換素子が接合さ
    れた矩形平板状の弾性体と,前記弾性体の他方の平面に
    加圧接触される相対運動部材とを備え、駆動電圧を印加
    して前記電気機械変換素子を励振することにより、前記
    弾性体に前記相対運動部材との接触面を含む方向への縦
    振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振動モ
    ードとを発生させ、前記弾性体と前記相対運動部材との
    間に相対運動を行わせる振動アクチュエータであって、 前記弾性体の長辺方向の端面に突設され、前記長辺方向
    の長さを低減されることにより前記縦振動モード及び前
    記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数の差を調整する
    周波数調整部分を備えることを特徴とする振動アクチュ
    エータ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記周波数調整部分は、前記長辺方向と平行な前記弾性
    体の中心線に対して対称に設けられることを特徴とする
    振動アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 一方の平面に電気機械変換素子が接合さ
    れた矩形平板状の弾性体と,前記弾性体の他方の平面に
    加圧接触される相対運動部材とを備え、駆動電圧を印加
    して前記電気機械変換素子を励振することにより、前記
    弾性体に前記相対運動部材との接触面を含む方向への縦
    振動モードと前記接触面に交差する方向への屈曲振動モ
    ードとを発生させ、前記弾性体と前記相対運動部材との
    間に相対運動を行わせる振動アクチュエータであって、 前記弾性体の長辺方向の端面及び/又は側面に設けら
    れ、前記弾性体の質量を低減されることにより前記縦振
    動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数
    の差を調整する質量欠損部分を備えることを特徴とする
    振動アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記側面に設けられる前記質量欠損部分は、前記屈曲振
    動モードの腹位置に設けられることを特徴とする振動ア
    クチュエータ。
  6. 【請求項6】 矩形平板状の弾性体の一方の平面に接合
    された電気機械変換素子に駆動電圧を入力して励振させ
    ることで、前記弾性体の他方の平面に加圧接触される相
    対運動部材との接触面を含む方向への縦振動モードと前
    記接触面に交差する方向への屈曲振動モードとを発生さ
    せて、前記弾性体と前記相対運動部材との間に相対運動
    を行わせる振動アクチュエータの調整方法であって、 前記弾性体に加工を行うことにより前記縦振動モード及
    び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数の差を調整
    することを特徴とする振動アクチュエータの調整方法。
  7. 【請求項7】 矩形平板状の弾性体の一方の平面に接合
    された電気機械変換素子に駆動電圧を入力して励振させ
    ることで、前記弾性体の他方の平面に加圧接触される相
    対運動部材との接触面を含む方向への縦振動モードと前
    記接触面に交差する方向への屈曲振動モードとを発生さ
    せて、前記弾性体と前記相対運動部材との間に相対運動
    を行わせる振動アクチュエータの調整方法であって、 前記弾性体の長辺方向の端面に突設された周波数調整部
    分の前記長辺方向の長さを低減することにより前記縦振
    動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数
    の差を調整することを特徴とする振動アクチュエータの
    調整方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載された振動アクチュエー
    タの調整方法において、 前記縦振動モードの共振周波数が前記屈曲振動モードの
    共振周波数以上となるように、前記縦振動モード及び前
    記屈曲振動モードそれぞれの共振周波数の差を調整する
    ことを特徴とする振動アクチュエータの調整方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8に記載された振動
    アクチュエータの調整方法において、 前記周波数調整部分は、前記長辺方向と平行な前記弾性
    体の中心線に対して対称に設けられることを特徴とする
    振動アクチュエータの調整方法。
  10. 【請求項10】 矩形平板状の弾性体の一方の平面に接
    合された電気機械変換素子に駆動電圧を入力して励振さ
    せることで、前記弾性体の他方の平面に加圧接触される
    相対運動部材との接触面を含む方向への縦振動モードと
    前記接触面に交差する方向への屈曲振動モードとを発生
    させて、前記弾性体と前記相対運動部材との間に相対運
    動を行わせる振動アクチュエータの調整方法であって、 前記弾性体の長辺方向の端面及び/又は側面に、前記弾
    性体の質量を低減する質量欠損部分を設けることにより
    前記縦振動モード及び前記屈曲振動モードそれぞれの共
    振周波数の差を調整することを特徴とする振動アクチュ
    エータの調整方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載された振動アクチュ
    エータの調整方法において、 前記質量欠損部分を前記側面に設ける場合には、前記屈
    曲振動モードの腹位置に設けることを特徴とする振動ア
    クチュエータの調整方法。
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