JPH0961429A - 抗モルビリウイルス属ウイルス抗体の簡易診断試薬 - Google Patents

抗モルビリウイルス属ウイルス抗体の簡易診断試薬

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JPH0961429A
JPH0961429A JP23921595A JP23921595A JPH0961429A JP H0961429 A JPH0961429 A JP H0961429A JP 23921595 A JP23921595 A JP 23921595A JP 23921595 A JP23921595 A JP 23921595A JP H0961429 A JPH0961429 A JP H0961429A
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protein
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JP23921595A
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Katsuhiro Komase
勝啓 駒瀬
Zenji Matsuura
善治 松浦
Kazuya Yamauchi
一也 山内
Tomonori Somoto
友紀 素本
Shigetoshi Okubo
重敏 大久保
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1種類の診断試薬によりパラミクソウイルス
科モルビリウイルス属に属するいずれのウイルス感染症
も、簡便な操作で、短時間に、かつ正確に、専門家によ
らずに検出することができる簡易診断試薬を提供する。 【解決手段】 抗原としてパラミクソウイルス科モルビ
リウイルス属に属するウイルスの構成蛋白質の一つであ
る核蛋白質(NP)を固定化した膜、吸収材、及び検体
と各試薬とを滴下する孔を穿設した反応容器、並びに動
物イムノグロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒
子を有してなり、上記核蛋白質(NP)を固定化した膜
及び吸収材を、上記反応容器に収容してなることを特徴
とするパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属す
るウイルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断する
ことが可能な簡易診断試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗原としてパラミ
クソウイルス科モルビリウイルス属に属するウイルスの
構成蛋白質の一つである核蛋白質(以下NPと記載する
ことがある)を固定化した膜、吸収材、及び検体と各試
薬とを滴下する孔を穿設した反応容器、並びに動物イム
ノグロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒子を有
してなり、上記NPを固定化した膜及び吸収材を上記反
応容器に収容してなるパラミクソウイルス科モルビリウ
イルス属に属するウイルスの感染症を簡便、正確に、短
時間で診断するための簡易診断試薬(診断用薬剤)、及
び抗原としてパラミクソウイルス科モルビリウイルス属
に属するウイルスの構成蛋白質の一つである核蛋白質
(NP)を固定化した短冊状の膜、同形の支持体、及び
吸収材、並びに動物イムノグロブリンと結合する蛋白質
を固定化した微粒子を有してなり、上記核蛋白質(N
P)を上記短冊状の膜の略中央部に線状に固定し、該短
冊状の膜を上記支持体で固定し、該短冊状の膜の一端と
該核蛋白質を線状に固定した部分との間に動物イムノグ
ロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒子を固定
し、該短冊状の膜の他端と該核蛋白質を線状に固定した
部分との間に上記吸収材を固定してなることを特徴とす
るパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するウ
イルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断すること
が可能な簡易診断試薬なるパラミクソウイルス科モルビ
リウイルス属に属するウイルスの感染症を簡便、正確
に、短時間で診断するための簡易診断試薬(診断用薬
剤)に関する。
【0002】
【従来の技術】パラミクソウイルス科モルビリウイルス
属に属するウイルスは、約6種類の蛋白質から構成され
ているが、この中でNPは、全蛋白質中に占める割合が
高く、かつ抗原性の変異が少なく、これらのウイルス株
間で高い相同性を示すことが知られている[ジャ−ナル
・オブ・ジェネラル・ウイロロジ−(Journal of Gener
al Virology )、第67巻、第2435ペ−ジ、198
6年]。従って、本科に属するいずれかのウイルスのN
Pを抗原として使用することにより、各種動物体液(以
下検体と記載することがある)中に含まれるこれらのウ
イルスに対する抗体の有無を、動物の種類に関係なく検
査することができる。
【0003】この原理を応用し、亜急性硬化性全脳炎ウ
イルス(subacute sclerosing panencephalitis virus
)構造遺伝子領域の核蛋白質をコ−ドするcDNA断
片を挿入した組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染
させ、該核蛋白質を該昆虫細胞内に発現させ、採取した
核蛋白質を抗原として使用する抗麻疹ウイルス核蛋白質
抗体の検出試薬が開発されている(特開平6−1722
14号公報。以下従来技術1と記載する)。
【0004】この公開公報に記載されているとおり、特
に麻疹においては、熱帯的気候の多くの国々において小
児の死亡の主要な原因の一つとなっており、その予防及
び早期診断は世界的に重要な課題である。その診断方法
としては、感染者の組織及び体液からウイルス粒子を確
認する方法が知られているが(国立予防衛生研究所学友
会編、「ウイルス実験学各論」、第357ペ−ジ、丸
善、1964年)、この方法は、検体中のウイルス力価
の高い感染初期に検体を採取し、直ちに検査を行うこと
が必要であり、そのため、ウイルスを分離同定できる施
設が限定され、分離効率も低く、検体の保存及び運搬が
必要となり、特殊な機器及び技術を要し、しかも結果の
判定に長時間を要すること等から、正確な検査が実施で
きない不都合があり、この事情は、特に発展途上国にお
いて特に顕著である。
【0005】また、血清学的に診断する方法としては、
ウイルス中和試験法、赤血球凝集抑制試験法、補体結合
試験法、蛍光抗体試験法等が知られている(国立予防衛
生研究所学友会編、「ウイルス実験学各論」、第352
ペ−ジ、丸善、1964年)。しかしながら、これらの
方法は、いずれも操作が標準化されておらず、操作が繁
雑で熟練を要すること、結果の判定に長時間を要するこ
と、感度及び特異性が低いこと、特別な機器を必要とす
ること等から、実用性に乏しいという欠点があった。
【0006】また、麻疹ウイルスに対する抗体を感度良
く測定する方法として、酵素免疫測定法が知られている
が[ブリティッシュ・ジャ−ナル・オブ・エクスペリメ
ンタル・パソロジ−(British Journal of Experimenta
l Pathology )、第57巻、第243ペ−ジ、1976
年]、抗原として麻疹ウイルスに感染した培養細胞又は
培養細胞から精製したウイルス粒子を使用しているた
め、細胞当たりに占める抗原蛋白質の割合が少ないこ
と、抗原の調製に多くの労力を必要とすること等から、
検出感度、測定精度、再現性、非特異反応、試薬の安定
性等の面に問題が生じる場合もあり、より優れた抗体価
測定方法又は測定試薬が待望されていた。
【0007】これらの状況を改善するための方法とし
て、前記従来技術1においては、ウイルス蛋白質、特に
NP、に注目してこれを昆虫細胞中で産生させ、高収率
で再現性よく目的の蛋白質を得ることに成功し、これを
抗原として使用し、測定精度、検出感度、再現性に優れ
た麻疹診断試薬を調製することに成功したのである。し
かしながら、前記従来技術1において診断薬として種々
の方法が例示されてはいるが、実施例として記載されて
いるのは、酵素免疫測定法(Enzyme-linked Immunosorb
ent Assay 。以下ELISA法と記載する)である。E
LISA法は、ウイルス中和試験法等と比較して、簡便
な測定方法ではあるが、その測定には特殊な機器を要
し、また、反応に要する時間は、準備時間を含めて2〜
3日程度を要し、実際の測定には少なくとも半日を必要
とする。従って、患者、被験者、動物等から検体を採取
し、直ちに結果を知ることができるようにするには改善
すべき余地がある。
【0008】また、同様にパラミクソウイルス科の牛疫
ウイルスについても、麻疹と同様の手法を用いて牛疫ウ
イルスのNPを遺伝子組換えにより作成し,これに対す
る抗体のラテックスの凝集を利用した検出試薬を開発し
ているが(特開平5−322898号公報)、ラテック
スの凝集の判定には熟練が必要であり、またラテックス
試液は取り扱い上、冷蔵保存の必要がある。
【0009】一方、疾患の診断を行うための手段とし
て、生体内物質の分析が、臨床の現場において広く実施
されている。これらの分析方法はその目的によって高感
度であり、かつ高精度の定量測定法と、操作が簡単で短
時間で結果が得られる定性検出法とが使い分けられてい
る。現在、免疫学的抗原抗体反応を利用した簡易定性検
出法としては標識として酵素を用いた酵素免疫測定法
(EIA)、微粒子を用いた粒子凝集法又は凝集阻止
法、及び着色微粒子を用いた着色法が一般に知られてお
り((株)シ−エムシ−「新しいバイオ診断薬の開発と
評価 テクニカルリサ−チレポ−ト No.1」、第109
ペ−ジ、1990年)、着色法では、フロ−スル−法及
びイムノクロマト法が最も一般的に知られており(特開
昭63−238462号公報及び特開平5−31280
9号公報)、これらの方法を利用した診断試薬が、多数
市販され臨床検査に使用されている。フロ−スル−法
は、イムノフィルタ−法とも呼ばれているが、本明細書
ではフロ−スル−法と記載する。その代表的な例とし
て、特開昭63−127160号公報及び市販の尿中ヒ
ト黄体形成ホルモン(以下LHと記載する)検出キット
(森永乳業社製)について説明する。
【0010】まず、ニトロセルロ−スメンブレンに抗L
Hモノクロ−ナル抗体1を塗布し、抗体固定化メンブレ
ンを調製する。一方、赤紫色の色調を有する金コロイド
粒子に抗LHモノクロ−ナル抗体2を感作し、1回使用
分ずつバイアル瓶に分注し、凍結乾燥し、検出用金コロ
イド試薬を調製する。LHを含む尿の所定量をバイアル
瓶に添加すると、尿により検出用金コロイド試薬は溶液
状になるとともに、LH−抗LHモノクロ−ナル抗体2
−金コロイド粒子複合体が形成される。バイアル瓶中の
LH−抗LHモノクロ−ナル抗体2−金コロイド粒子複
合体溶液を抗体固定化メンブレンに滴下すると、滴下液
がメンブレンを垂直方向に通過する間に、LHをサンド
イッチ状に挟んだメンブレン−抗LHモノクロ−ナル抗
体1−LH−抗LHモノクロ−ナル抗体2−金コロイド
粒子複合体が形成され、このときメンブレン上には赤紫
色の着色が肉眼で確認される。尿にLHが含まれていな
い場合は、サンドイッチ状複合体は形成されず着色は認
められない。操作は2ステップで、判定までに要する時
間は2分程度と簡便、かつ迅速に尿中LHを検出するこ
とができる。以上説明したとおり、着色微粒子を用いた
フロ−スル−法は操作時間が短く、操作も簡便で判定も
容易な方法である。
【0011】イムノクロマトグラフ法(以下イムノクロ
マト法と記載する)も同様に膜を用いる着色法である
が、フロ−スル−法は試薬及び検体が膜を垂直方向に通
過するのに対して、イムノクロマト法では膜上をペ−パ
−クロマトグラフィ−と同様の現象により展開する。次
に多数市販されている妊娠診断薬を例として説明する。
【0012】ニトロセルロ−スメンブレンを短冊状に切
断し、端近くに抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(以下h
CGと記載する)モノクロ−ナル抗体1を固定化し、反
応部位を形成させる。次に乾燥状態の抗hCGモノクロ
−ナル抗体2感作金コロイド粒子を反応部位とは逆の端
近くに展開流により移動可能な状態で保持させる。hC
Gを含む尿検体を金コロイド粒子を保持させた側の端に
接触させ、尿検体を膜上に展開させ、金コロイド粒子部
分まで到達させる。このとき展開流中のhCGは、金コ
ロイド粒子上の抗hCGモノクロ−ナル抗体2と結合
し、hCG−抗hCGモノクロ−ナル抗体−金コロイド
粒子複合体を形成する。この複合体がさらに展開を継続
し、反応部位に到達すると複合体中のhCGが抗hCG
モノクロ−ナル抗体1と反応し、メンブレン−抗hCG
モノクロ−ナル抗体1−hCG−抗hCGモノクロ−ナ
ル抗体−金コロイド粒子複合体を形成する。このとき、
メンブレン上には赤紫色の着色が肉眼で確認できる。尿
にhCGが含まれていない場合には、サンドイッチ状複
合体は形成されず着色は認められない。操作はメンブレ
ンの端を検体に接触させ、浸み込ませるだけの1ステッ
プで、判定までに要する時間は2から5分程度と簡便、
かつ迅速である。
【0013】前記2方法にはそれぞれ長所及び短所があ
る。例えば、フロ−スル−法では検体を別の容器に採取
し、スポイト等の器具を用いて滴下操作を行うが、イム
ノクロマト法ではメンブレンの端を直接検体に接触させ
浸み込ませるだけで操作は完了する。即ち、操作性にお
いては後者が簡便である。一方、フロ−スル−法は、検
体及び試薬を、垂直方向に膜を通過させることにより抗
原と結合した抗体と、抗原と結合しなかった抗体との分
離(以下B/F分離と記載する)が行われているので、
血清中のウイルス特異抗体の検出等種々の検出項目に応
用することが可能であり、更にポリクロ−ナル抗体のみ
を用いることも可能である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前記のとおり、従来、
麻疹及び牛疫の診断については、そのウイルスの組換え
型NPの生産方法が確立され、おのおのについて体液中
の抗ウイルス抗体を検出する試薬が調製されているが、
その測定の簡便性、所要時間については不十分であり、
その改善が強く要請されている状況にあった。
【0015】本発明者らは、前記従来の技術に鑑みて、
鋭意研究を行った結果、抗原としてウイルス間で変異の
少ないNPを使用することにより、しばしば発生するウ
イルスの変異にも対応が可能であり、イムノクロマト法
又はフロ−スル−法を用いる特定の簡易診断試薬を利用
することにより従来法と比較して簡便に、正確に、かつ
短時間に、パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に
属するウイルスの感染症を診断し得ることを見い出し、
本発明を完成した。
【0016】本発明の目的は、1種類の診断試薬により
パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するいず
れのウイルス感染症も、動物の種類を問わず、簡便な操
作で、短時間に、かつ正確に、専門家によらずに検出す
ることができる新しいタイプの簡易診断試薬を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、抗原としてパラミクソウイルス科モ
ルビリウイルス属に属するウイルスの構成蛋白質の一つ
である核蛋白質(NP)を固定化した膜、吸収材、及び
検体と各試薬とを滴下する孔を穿設した反応容器、並び
に動物イムノグロブリンと結合する蛋白質を固定化した
微粒子を有してなり、上記核蛋白質(NP)を固定化し
た膜及び吸収材を、上記反応容器に収容してなることを
特徴とするパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に
属するウイルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断
することが可能な簡易診断試薬、である。また、本発明
の第1の発明は、微粒子が、粒径0.005から5μm
のラテックス粒子又は金属コロイド粒子であること、及
びウイルス感染症が、麻疹、牛疫又はイヌジステンパー
であることを望ましい態様としてもいる。
【0018】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、抗原としてパラミクソウイルス科モルビリウイルス
属に属するウイルスの構成蛋白質の一つである核蛋白質
(NP)を固定化した短冊状の膜、同形の支持体、及び
吸収材、並びに動物イムノグロブリンと結合する蛋白質
を固定化した微粒子を有してなり、上記核蛋白質(N
P)を上記短冊状の膜の略中央部に線状に固定し、該短
冊状の膜を上記支持体で固定し、該短冊状の膜の一端と
該核蛋白質を線状に固定した部分との間に動物イムノグ
ロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒子を固定
し、該短冊状の膜の他端と該核蛋白質を線状に固定した
部分との間に上記吸収材を固定してなることを特徴とす
るパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するウ
イルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断すること
が可能な簡易診断試薬、である。また、本発明の第2の
発明は、微粒子が、粒径0.005から5μmのラテッ
クス粒子又は金属コロイド粒子であること、及びウイル
ス感染症が、麻疹、牛疫又はイヌジステンパーであるこ
とを望ましい態様としてもいる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に本発明について詳述するが、
先ず本発明の第1の発明について説明する。本発明の第
1の発明は、フロ−スル−法により診断するための試薬
である。 1)ウイルスNP固定化膜の調製 ウイルスNPは、パラミクソウイルス科モルビリウイル
ス属に属するウイルス(例えば、麻疹ウイルス、牛疫ウ
イルス等)由来のNPであり、後記する実施例に記載す
るとおり、公知の方法により調製することができる。各
種ウイルスNPを固定化する膜の材質は、市販のナイロ
ン膜若しくはニトロセルロ−ス膜等の合成又は天然高分
子膜のいずれでも本発明に使用できる。また、使用する
膜の孔径は、次項で説明する動物イムノグロブリンと結
合する蛋白質を固定化した微粒子が目詰まりせずに通過
できる孔径であればよいが、特に0.2から8μmの範
囲であることが望ましい。
【0020】各種ウイルスNPの膜への固定化の方法
は、物理吸着法、化学結合法、その他いずれの公知の方
法でも採用できる。即ち、ウイルスNPが膜より脱離し
なければ、どのような材質の膜を用いてもよく、また、
どのような固定化手段も採用できる。得られたウイルス
NP固定化膜は、検体又は動物イムノグロブリンと結合
する蛋白質を固定化した微粒子の非特異的な吸着を防止
するため、0.05から5%(重量。以下特に断りのな
い限り同じ)程度のウシ血清アルブミン等でブロッキン
グ処理を行い、乾燥条件下で保管する。
【0021】2)動物イムノグロブリンと結合する蛋白
質固定化微粒子懸濁液 微粒子は、市販のポリスチレンラテックス等の合成高分
子若しくはゼラチン等の天然高分子からなる均質な球状
微粒子、又は金コロイド等の金属コロイド微粒子であ
る。微粒子は、肉眼での判定を容易にするために着色さ
れていることが好ましく、金属コロイド微粒子は、その
本質的な色調があるために着色する必要はない。微粒子
の粒径は、ウイルスNP固定化膜の孔径よりも小さくな
ければならないが、おおむね0.005から5μmの範
囲で適宜使用できる。
【0022】動物イムノグロブリンと結合する蛋白質の
微粒子への固定化方法は、物理吸着法、化学結合法、そ
の他いずれの方法であってもよい。即ち、プロテイン
G、抗ヒトIgG等の動物イムノグロブリンと結合する
蛋白質が、微粒子から脱離しない方法であればどのよう
な方法を採用することもできる。尚、動物イムノグロブ
リンと結合する蛋白質は、各種動物の免疫グロブリン又
はこれと組み合わせることにより被検物質の検出を行う
ことのできる物質であり、例えば、ヒト抗モルビリウイ
ルス抗体が、被検物質である場合にはプロテインG、抗
ヒトIgG、抗ヒトIgM、抗ヒトポリバレントイムノ
グロブリン等であるが、ここに例示したものに限定され
るものではない。これらの動物イムノグロブリンと結合
する蛋白質は、市販品であってもよく、また、公知の方
法により調製することもできる。
【0023】得られた動物イムノグロブリンと結合する
蛋白質固定化微粒子は、コロイド化学的安定性及びウイ
ルスNPの特異的結合活性を保持させるため、0.05
から3%程度のウシ血清アルブミン、0.05から10
%程度のポリエチレングリコ−ル等の水溶性高分子、そ
の他の安定剤、防腐剤を含有した緩衝液等に懸濁し、冷
所で保管する。更に、長期保管するために、動物イムノ
グロブリンと結合する蛋白質固定化微粒子懸濁液を凍結
乾燥し、検査時に蒸留水等に懸濁して使用することもで
きる。
【0024】3)反応容器 フロ−スル−法を実現するためには、反応に関与する試
薬、試験する検体の流速、流量等が安定し、かつ使用が
容易でなければならないので、反応容器が必要である。
反応容器は、プラスチック等を用いて各試薬及び検体の
滴下用の孔を穿設して成型した容器(図1及び図2に例
示)と、吸収材及びウイルスNP固定化膜から主として
構成されている。吸収材は、試験に使用される各滴下試
薬を十分に吸収でき、滴下される各反応試薬及び検体の
吸収速度が、変動しない性能を有する素材が望ましい。
そのような素材として綿、不織布、濾紙、多孔性プラス
チック等を例示できるが、前記の性能を有するものであ
れば他の素材であっても使用できる。また、吸収材の大
きさは、試験時に滴下される各反応試薬及び検体が完全
に吸収されるならば、どのような大きさであってもよ
い。
【0025】反応容器内に吸収材を置き、その上にウイ
ルスNP固定化膜を乗せ、これらが容器内で移動しない
ように固定する。この場合、各試薬及び検体の滴下用の
窓の部分にウイルスNP固定化部分を一致させ、吸収材
とウイルスNP固定化膜との間には、これらの接触を完
全なものとするためのティッシュペーパー、メッシュ
等、また、各試薬及び検体の吸収速度の調節のための濾
紙等をはさんでもよい。
【0026】4)その他の試薬 本発明の診断試薬では、検体を希釈せずに直接使用して
もよいが、半定量的な検査を行う場合、並びにウイルス
NP固定化膜及び反応微粒子の材質、製造法及び性質に
応じて必要となった場合、には検体を希釈することもで
きる。検体希釈液は、生理食塩水又は緩衝液に0.05
から3%程度のウシ血清アルブミン又は界面活性剤を添
加し、適宜使用することができる。フロ−スル−法にお
いて、検体及び動物イムノグロブリンと結合する蛋白質
固定化微粒子懸濁液滴下後の洗浄液を使用しないことも
あるが、必要となる場合には、生理食塩水、緩衝液、又
はこれらに0.05から3%程度のウシ血清アルブミン
又は界面活性剤を添加して適宜使用することができる。
【0027】5)本発明の診断試薬の使用方法 本発明の第1の診断試薬は、フロ−スル−法により次の
とおり使用される。反応容器の窓に検体(そのもの又は
希釈液)を滴下し、完全に吸収材に吸収させ、のち動物
イムノグロブリンと結合する蛋白質固定化微粒子懸濁液
を滴下し、同様に吸収材に吸収させ、肉眼で膜上に着色
の有無を観察する。動物イムノグロブリンと結合する蛋
白質固定化微粒子の着色が認められた場合は、被検物質
が検体中に存在し、陽性であると判定し、着色が認めら
れなかった場合は、被検物質が検体中に存在せず、陰性
であると判定する。尚、競合反応では着色が認められな
かった場合を陽性と判定することもある。
【0028】本発明の診断試薬を使用すれば、検体の滴
下から着色の有無の判定までを30秒から約10分で行
うことが可能であり、操作はわずか2ステップである。
検体滴下後又は動物イムノグロブリンと結合する蛋白質
固定化微粒子懸濁液滴下後に、洗浄液を滴下することも
できるが、この場合には操作は、3又は4ステップとな
る。尚、判定後の膜を、乾燥して長期間にわたり着色し
た色調が変化することなく保存することも可能である。
また、本発明の診断試薬を用いた診断は、試薬の着色の
有無を調べるのみであるから、専門家の判定を必要とせ
ず、誰でも簡単に診断を行うことができるという格段の
効果を有している。
【0029】次に本発明の第2の発明である診断試薬に
ついて説明するが、本発明の第2の発明の診断試薬は、
イムノクロマトグラフ法に使用されるものである。 1)ウイルスNP固定化膜の調製 ウイルスNP固定化膜は、前記本発明の第1の発明と同
一の方法により調製することができるが、短冊状に切断
し、短冊状膜の長辺のほぼ中央部に、長辺と直角に線状
にウイルスNPを固定化し、反応部位を形成させる。短
冊状の膜の幅は任意であるが、幅が広い場合、検体を多
量に必要とすること、高価になること等から可及的に幅
が狭い方が望ましく、通常5mm程度である。また、長
さも任意であるが、前記の幅と同様の理由から、通常2
〜10cmである。その他、膜の材質、性状、孔径、ウ
イルスNP固定化の方法は、前記本発明の第1の発明と
同一である。
【0030】2)動物イムノグロブリンと結合する蛋白
質固定化微粒子の調製 動物イムノグロブリンと結合する蛋白質固定化微粒子の
調製も、前記本発明の第1の発明と同様である。得られ
た動物イムノグロブリンと反応する蛋白質を固定化した
微粒子は、ウイルスNP固定化膜に固定する必要性か
ら、乾燥に絶え得る安定剤及び防腐剤を含有した緩衝液
等に懸濁し、この懸濁液を脱脂綿等に染み込ませ、その
まま乾燥する。乾燥した該微粒子を次項において説明す
るとおりウイルスNPを固定化した膜に固定する。
【0031】3)診断試薬の組立て 線状にウイルスNPを固定化した短冊状の膜を、同一の
大きさの支持体(例えば、無色のプラスチック等であ
り、厚さは0.5〜1mm)に固定する。固定は、例え
ば、反応に無関係な両端(反応は線状にウイルスNPを
固定化した部分で行われる)を接着剤で接着する等の方
法により行われる。次に、短冊状の膜の検体に浸漬する
一端と線状にウイルスNPを固定化した部分との間の任
意の位置に、前記乾燥した動物イムノグロブリンと反応
する蛋白質固定化微粒子を固定する。検体の展開を容易
にするため、検体に浸漬する端に、脱脂綿等の吸収体
(吸収体1)を載置し、粘着テープ等により固定するこ
ともできる。
【0032】短冊状の膜の他端、即ち、該微粒子を固定
した部分と、ウイルスNPを固定化した線を挟んで反対
側、の膜上に他の吸収体(吸収体2)を、接着剤等によ
り固定する。これらの吸収体は、前記本発明の第1の発
明において使用したものと同一である。これらの吸収体
は、検体に浸漬した短冊状の膜の一端から検体を吸い上
げる機能を有している。
【0033】4)本発明の診断試薬の使用方法 本発明の第2の発明の診断試薬は、イムノクロマト法に
より次のとおり使用される。即ち、短冊状の膜の該微粒
子を保持させた側の一端を検体(そのもの又は希釈液)
に浸漬し、ペーハークロマトグラフィーにおいて濾紙が
溶媒を展開するのと同様に検体を膜上に展開させ、該微
粒子部分まで到達させる。ここで検体中の抗NPイムノ
グロブリンと動物イムノグロブリンと結合する蛋白質を
固定化した微粒子との複合体が形成され、更に展開を継
続することにより反応部位(即ち、線状にウイルスNP
を固定化した部分)に到達し、膜−ウイルスNP−抗N
P抗体−動物イムノグロブリン−微粒子複合体を形成す
る。このとき膜上には該微粒子の着色が肉眼で確認でき
るが、検体中にウイルスNP抗体が存在しない場合は、
サンドイッチ状複合体は形成されず着色は認められな
い。
【0034】動物イムノグロブリンと反応する蛋白質を
固定化した微粒子の着色が認められた場合は、陽性であ
ると判定し、着色が認められなかった場合は、陰性であ
ると判定する。尚、競合反応では着色が認められなかっ
た場合を陽性と判定することもある。本発明の診断試薬
を使用すれば、膜の一端を検体に浸漬し、短冊状の膜に
しみこませるだけの1ステップで、着色の有無の判定ま
でを2から5分で行うことが可能である。また、本発明
の診断試薬を用いた診断も、前記第1の発明の診断試薬
の場合と同様に、試薬の着色の有無を調べるのみである
から、専門家の判定を必要とせず、誰でも簡単に診断を
行うことができるという格段の効果を有している。
【0035】次に、本発明の二つの診断試薬の反応原理
について説明する。本発明の二つの診断試薬は、いずれ
も同一の反応であるから、本発明の第1の発明の診断試
薬を例として説明する。第1反応では、ウイルスNP固
定化膜上に検体を滴下し、検体中の抗ウイルスNP抗体
(以下抗NP抗体と記載する)が膜上でウイルスNPと
抗原抗体反応し、膜−ウイルスNP−抗NP抗体複合体
を形成する。第2反応では、前記複合体に動物イムノグ
ロブリンと結合する蛋白質固定化微粒子懸濁液が滴下さ
れ、膜−ウイルスNP−抗NP抗体複合体中の抗NP抗
体と反応する動物イムノグロブリンと結合する蛋白質が
結合し、膜−ウイルスNP−抗NP抗体−動物イムノグ
ロブリン結合蛋白質−微粒子複合体が形成され、該微粒
子の色調が見かけ上膜上の着色として肉眼で確認され
る。
【0036】検体中に抗NP抗体が存在しない場合に
は、抗ウイルスNP動物イムノグロブリンと結合する蛋
白質はウイルスNPとは結合せず、第1反応における複
合体が形成されないので、抗NP抗体動物イムノグロブ
リンと結合する蛋白質微粒子は、膜を通過し、着色は確
認されない。尚、この原理によれば、着色の濃淡は検体
中の抗NP抗体量に応じて変動するので、着色の程度を
デンシトメ−タ−又は色差計で測定し、検体中の抗NP
抗体量を定量することも可能である。
【0037】次に本発明の診断試薬の有用性について説
明する。本発明の診断試薬においては、抗原としてパラ
ミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するウイルス
間で変異の少ないNPを使用しているので、しばしば発
生するこれらのウイルスの変異にも対応が可能であると
いう利点がある。更に、NPは異種動物に感染するウイ
ルスであってもパラミクソウイルス科モルビリウイルス
属に属するウイルスについては、極めて良好にNPが保
存されているので、パラミクソウイルス科モルビリウイ
ルス属に属するウイルスのいずれか1種のNPを診断試
薬を調製することにより、ヒトの体液に関して測定を行
えば麻疹の感染(又はワクチン接種)の有無を診断する
ことが可能であり、イヌの体液に関して測定を行えばイ
ヌジステンパーの感染(又はワクチン接種)の有無を診
断することが可能であり、またウシの体液に関して測定
を行えば牛疫の感染(又はワクチン接種)の有無を診断
することが可能である。特に、発展途上国において、設
備の不備なフィ−ルドでこれらの診断が可能になれば、
各種ウイルスに対する感染の有無、ワクチン接種の効果
等を診断する手段として、極めて有用であることは明ら
かである。従って、本発明の診断試薬は、従来にない画
期的な試薬であるということができる。
【0038】後記する実施例から明らかなとおり、本発
明の診断試薬は、麻疹及びイヌジステンパーの診断を簡
便、正確、かつ短時間に行うことが可能である。具体的
には次のとおりである。 a)麻疹の診断 公知の定量法(従来技術1)による麻疹抗体測定結果
は、従来のウイルス中和試験法等の検出法と比較して簡
便に麻疹抗体の定量診断を行うことができる。本発明の
診断試薬は、検体中の抗モルビリウイルスNP抗体を確
実に検出できることから、定量法と同様に正確な麻疹の
診断が可能である。従って、本発明の診断試薬は麻疹の
簡易診断試薬として臨床検査の場で用いることにより、
従来法及び定量法と比較して、正確で簡便な麻疹の診断
を行うことができる。
【0039】b)イヌジステンパーの診断 前記公知の定量法(従来技術1)を応用したイヌジステ
ンパー抗体測定結果は、従来の方法と比較して簡便に犬
のジステンパー感染の診断を行うことができる。本発明
の診断試薬は、検体中の抗モルビリウイルスNP抗体を
より簡便に検出できることから、従来法と同様に正確な
イヌジステンパーの診断が可能である。従って、本発明
の診断試薬はイヌジステンパーの簡易診断試薬として臨
床検査の場で用いることにより、近年のペットブ−ムに
おける飼い犬の増加に対して、そのワクチン接種の有無
の確認等に極めて有効である。
【0040】c)牛疫の診断 日本には牛疫ウイルスが存在せず、防疫上輸入もできな
いので、実際の診断は不可能であるが、公知のラテック
ス凝集法(特開平5−322898号公報)による抗体
測定結果から、従来のウイルス検出法にくらべて簡便に
牛疫感染の診断を行うことができるものと推定される。
本発明の診断試薬は、検体中の抗モルビリウイルスNP
抗体をより簡便に検出できることから、凝集法と同様に
正確な牛疫の診断が可能であると推定される。従って、
本発明の診断試薬は、牛疫の診断試薬として臨床検査の
場で用いることにより、従来法等と比較して、正確で簡
便な牛疫の診断を行うことができるものと推定される。
【0041】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例 この試験は、麻疹ウイルス抗体の定量について本発明の
診断試薬と従来法とを比較するために行った。 1)試料の調製 検体 実施例1と同一の健常人血清23検体を用いた。 試薬の調製 本発明の診断試薬は、実施例1と同一の方法により調製
した。従来法(ELISA法)に使用するマイクロタイ
トレーションプレ−ト(ヌンク社製)の各ウエルには、
予めウイルスNPを固定化し、ブロッキング処理を施し
た。
【0042】2)試験方法 前記検体を用いて実施例1と同一の方法により試験を実
施した。従来法として、従来の麻疹ウイルスの検出、ウ
イルス中和試験法等による方法と比較して、麻疹の診断
を格段に正確に行うことのできるELISA法(従来技
術1)に準じて前記検体中の抗麻疹ウイルス抗体量を次
のとおり定量した。各検体を希釈し、その100μlを
各ウエルに添加し、2時間インキュベ−トし、洗浄し、
HRP標識プロテインG(バイオラッド社製)を添加
し、1時間インキュベ−トし、洗浄後、基質を30分間
反応させ発色させ、マイクロタイタ−ウエル内の発色の
濃度を市販のマイクロプレ−トリ−ダ−(バイオラッド
社製)を用いて測定し、吸光度に希釈倍率を乗じて測定
値とした。
【0043】3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。ELIS
A法による測定値のカットオフ値を、抗体を所有してい
ない検体の値の平均測定値から算出し、陰性、陽性の判
定を行い、得られた結果を比較したが、本発明の診断試
薬を用いた場合とELISA法とは、表1に示すとおり
試験結果が100%一致していた。ELISA法では操
作が繁雑であり、操作時間も4時間半を要したが、本発
明の診断試薬を用いた場合、操作は検体滴下及びプロテ
インG固定化微粒子の滴下のみの2ステップであり、検
体の滴下から判定までに要した時間は2分と短時間であ
った。以上の結果から、本発明の診断試薬による判定
が、従来の定量法と極めてよく一致したこと、ヒト血清
中の抗モルビリウイルス抗体を確実に検出し得ること、
及び従来法と比較して麻疹の診断を簡便、迅速、かつ高
精度で実施し得るという従来法では達成し得なかった格
別の効果を有することが判明した。尚、他のウイルスN
Pを用いて試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳述するが、
本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例1 1)ウイルスNPの調製 公知の方法(従来技術1)を準用して次のとおりウイル
スNPを調製した。SSPE−NPを組み込んだベクタ
−により組換えウイルスAcSSPENPV1を取得
し、これをSf9細胞に感染させ、10%牛胎児血清を
含むTC−100培地(シグマ社製)を用いて、27℃
で3〜4日間増殖させた。組換えウイルスに感染したS
f9細胞は、ラバ−ポリスマンで培養容器底面から剥離
し、遠心分離し、細胞を沈殿させて回収し、回収した細
胞を無血清TC−100培地で洗浄し、1mMフェニル
メチルスルホニルフルオライド(シグマ社製)、40m
Mエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(シグマ社製)
及び100単位/mlのトラジロ−ル(登録商標。バイ
エル社製)を含むリン酸緩衝液に懸濁し、28kHzの
超音波を5分間照射し、遠心分離により上清を回収し
た。この上清の蛋白質含量をBCAプロテインアッセイ
キット(ピアス社製)を用いて測定し、ウイルスNPと
して使用した。
【0046】2)ウイルスNP固定化膜の調製 前記ウイルスNPを孔径5μmのニトロセルロ−スメン
ブレン(アドバンテック社製)にマイクロピペットを用
いて3μg点着し、十分に乾燥し、非特異的な吸着を回
避するためにブロッキングバッファ−(50mMトリス
−塩酸、0.15M食塩、0.1%ウシ血清、pH7.
2)でブロッキングを行い、十分に乾燥し、ウイルスN
P固定化膜を得た。
【0047】3)動物イムノグロブリンと結合する蛋白
質固定化微粒子懸濁液の調製 プロテインG(ピアス社製)1mgを超純水(ミリポア
社製ミリQ装置で作成)1mlに溶解し、この溶液13
2μlに、粒径約18nmの金コロイド液を20ml添
加し、室温で10分間反応させ、遠心分離し、沈殿を回
収し、プロテインG固定化微粒子(動物イムノグロブリ
ンと結合する蛋白質固定化微粒子)懸濁液を得た。
【0048】4)反応容器の組み立て 部材を収納する成型されたプラスチック容器(図2の1
b)に適当な大きさに切り出した脱脂綿を組み入れ、そ
の上に1cm2 に切断した濾紙(アドバンテック社製。
No.6) を載置し、更に、その上に1cm2 に切断し
たウイルスNP抗原固定化膜を、ウイルスNP抗原固定
化部分が容器の孔と一致させて載置して固定し、検体及
び試薬を滴下する孔を穿設した成型プラスチック容器の
蓋(図2の1a)をして反応容器を得た。
【0049】5)診断の実施 健常人23名の血清各50μlをマイクロピペットで採
取し、それぞれ別個の反応容器の孔に滴下した。完全に
吸収されたのを確認し、直ちにプロテインG固定化微粒
子懸濁液200μlをそれぞれの反応容器の孔に滴下
し、完全に吸収された後、肉眼で着色の有無を確認し
た。その結果、麻疹非罹患者及び麻疹ワクチン非接種者
の血清では反応容器の孔の白色ニトロセルロ−スメンブ
レンの色に何等変化が無く、着色は認められず陰性と判
定された。一方、麻疹罹者及び麻疹ワクチン接種者の血
清では反応容器の孔のニトロセルロ−スメンブレンの色
は、赤色に変色したことが認められ、陽性と判定され
た。操作は、検体滴下及びプロテインG固定化微粒子懸
濁液の滴下の2ステップのみと簡便であり、検体の滴下
から判定までに要した時間は2分と短時間であった。
【0050】実施例2 1)ウイルスNPの調製 前記実施例1と同一の方法によりウイルスNPを調製し
た。
【0051】2)ウイルスNP固定化膜の調製 前記実施例1と同一の方法によりウイルスNP固定化膜
を調製した。
【0052】3)動物イムノグロブリンと結合する蛋白
質固定化微粒子懸濁液の調製 プロテインA(シグマ社製)1mgを超純水(ミリポア
社製ミリQ装置で作成)1mlに溶解し、この溶液13
2μlに、粒径約8nmの金コロイド液20mlを添加
し、室温で10分間反応させ、遠心分離(12,000
rpmで30分間)し、沈殿を回収し、プロテインA固
定化微粒子(動物イムノグロブリンと結合する蛋白質固
定化微粒子)懸濁液を得た。
【0053】4)反応容器の組み立て 前記実施例1と同一の方法により反応容器を組み立て
た。
【0054】5)診断の実施 健常犬2匹及びイヌジステンパー感染犬3匹の血清各5
0μlをマイクロピペットで採取し、それぞれ別個の反
応容器の孔に滴下し、完全に吸収されたのを確認し、直
ちにプロテインA固定化微粒子懸濁液200μlを、各
反応容器の孔に滴下し、完全に吸収された後、肉眼で着
色の有無を確認した。その結果、健常な犬の血清では白
色のニトロセルロ−スメンブレンの色が何等変色するこ
と無く、着色は認められず、陰性と判定された。一方、
イヌジステンパーに感染した犬の血清を滴下した反応容
器の孔では、赤色のスポットが明瞭に認められ、陽性と
判定された。操作は、検体滴下及びプロテインA固定化
微粒子懸濁液の滴下のみの2ステップと簡便であり、検
体の滴下から判定までに要した時間は2分と短時間であ
った。以上の結果から、本発明の診断試薬は、SSPE
ウイルスNPを使用しているにもかかわらず、犬のジス
テンパー診断薬となり得たこと、即ち、診断試薬に使用
したウイルスNPの種類及び動物種に無関係に診断し得
ることが立証された。
【0055】実施例3 1)ウイルスNPの調製 前記実施例1と同一の方法によりウイルスNPを調製し
た。
【0056】2)ウイルスNP固定化膜の調製 孔径5μmのニトロセルロ−スメンブレン(アドバンテ
ック社製)を幅1cm長さ2.5cmの短冊状に切断
し、前記ウイルスNPを短冊状に切断した前記膜の一端
から1.5cmの位置に、前記実施例1と同一の方法に
より線状に固定化した。十分に乾燥し、非特異的な吸着
を回避するためにブロッキングバッファ−(50mMト
リス−塩酸、0.15M食塩、0.1%ウシ血清、pH
7.2)によりブロッキングを行い、十分に乾燥し、ウ
イルスNP固定化膜を得た。
【0057】3)動物イムノグロブリンと結合する蛋白
質固定化微粒子の調製 前記実施例1と同一の方法により動物イムノグロブリン
と結合する蛋白質固定化微粒子懸濁液を得た。これを長
さ1cmにカットした薄い脱脂綿に十分に染み込ませ、
この状態で乾燥した。
【0058】4)診断試薬の組み立て 前記ウイルスNP固定化膜の両端を幅1cm長さ8cm
厚さ0.5mmの無色のプラスチック板の中央に接着し
て固定化した。プラスチックの一端から5mmを残し
て、検体を染み込ませるために、幅1cm長さ3cmの
薄い脱脂綿(吸収体1という)を接着した。次に、吸収
体1が接着していない部分とプラスチック板の間に、前
記蛋白質固定化微粒子懸濁液を染み込ませて乾燥した脱
脂綿を幅8mmに切断して約半分ほど挟み込んだ。蛋白
質固定化微粒子懸濁液を染み込ませて乾燥した脱脂綿の
残りがプラスチックとの間に膜を挟み、蛋白質固定化微
粒子懸濁液を染み込ませ乾燥した脱脂綿を保護するよう
に膜の一部からなにも染みていない脱脂綿の一部との間
を粘着テ−プで覆った。次に、吸収体1とは異なる吸収
体2を幅1cm長さ3.5cmに切断して膜のもう一方
の端にかかるように載置し、プラスチック板と接着し
た。この吸収体全部を包み込むようにプラスチック板の
両端から膜の一部までを粘着テ−プで覆い、診断試薬を
得た。
【0059】5)診断の実施 健常人23名の血清各2.5mlをマイクロピペットで
採取し、試験管中で生理食塩水2.5mlと混合し、血
清の粘度を低下させた。この試験管中に前記診断試薬の
吸収体1の一端を浸漬し、希釈した血清が十分に吸収体
2に染み込むまで、そのまま放置した。十分に染み込ん
だ後、線状に固定化したウイルスNPの反応部分の着色
の有無を確認した。
【0060】その結果、麻疹非罹患者及び麻疹ワクチン
非接種者の血清では診断試薬中央の白色ニトロセルロ−
スメンブレンに何等変化が無く、着色は認められず、陰
性と判定された。一方、麻疹罹者及び麻疹ワクチン接種
者の血清では反応容器の中央のニトロセルロ−スメンブ
レンに、赤色の着色が認められ、陽性と判定された。ま
た、この結果は、実施例1の結果とよく一致した。操作
は、検体の希釈及びこれに診断試薬の一端を浸漬する2
ステップのみと簡便であり、検体の希釈から判定までに
要した時間は10分と短時間であった。以上の結果か
ら、本発明の診断試薬による判定は、従来の定量法と極
めてよく一致したこと、ヒト血清中の抗モルビリウイル
ス抗体を確実に検出し得ること、及び従来法と比較して
麻疹の診断を簡便、迅速、かつ高精度で実施し得るとい
う従来法では達成し得なかった格別の効果を有すること
が判明した。尚、他のウイルスNPを用いて試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、パラミ
クソウイルス科モルビリウイルス属に属するウイルス感
染症の簡易診断試薬であり、本発明により奏せられる効
果は次のとおりである。 1)パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属する
いずれのウイルスのNPを使用しても、ヒトの麻疹、イ
ヌのジステンパー又はウシの牛疫を一つの試薬により診
断することができる。 2)パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属する
ウイルスの宿主動物の体液中に存在するウイルス抗体
を、簡便な操作で、短時間に、かつ正確に、専門家によ
らずに検出することができる。 3)上記ウイルス感染症の診断の操作ステップを顕著に
短縮化することができる。 4)本発明の診断試薬は、上記ウイルス感染症を特別の
機器及び技術を必要とすることなく簡便に診断すること
を可能とする簡易診断試薬としてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の診断試薬の反応容器の一例を
示す平面図である。
【図2】図2は、図1のX・X´線断面図である。
【符号の説明】
1 反応容器 1a 検体及び試薬を滴下する孔を穿設したプラスチッ
ク容器の蓋 1b 部材を収納するプラスチック容器 2 孔 3 ウイルスNP固定化膜 4 吸収材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 素本 友紀 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 大久保 重敏 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社生物科学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原としてパラミクソウイルス科モルビ
    リウイルス属に属するウイルスの構成蛋白質の一つであ
    る核蛋白質(NP)を固定化した膜、吸収材、及び検体
    と各試薬とを滴下する孔を穿設した反応容器、並びに動
    物イムノグロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒
    子を有してなり、上記核蛋白質(NP)を固定化した膜
    及び吸収材を、上記反応容器に収容してなることを特徴
    とするパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属す
    るウイルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断する
    ことが可能な簡易診断試薬。
  2. 【請求項2】 微粒子が、粒径0.005から5μmの
    ラテックス粒子又は金属コロイド粒子である請求項1の
    診断試薬。
  3. 【請求項3】 ウイルス感染症が、麻疹、牛疫又はイヌ
    ジステンパーである請求項1又は請求項2に記載の診断
    試薬。
  4. 【請求項4】 抗原としてパラミクソウイルス科モルビ
    リウイルス属に属するウイルスの構成蛋白質の一つであ
    る核蛋白質(NP)を固定化した短冊状の膜、同形の支
    持体、及び吸収材、並びに動物イムノグロブリンと結合
    する蛋白質を固定化した微粒子を有してなり、上記核蛋
    白質(NP)を上記短冊状の膜の略中央部に線状に固定
    し、該短冊状の膜を上記支持体で固定し、該短冊状の膜
    の一端と該核蛋白質を線状に固定した部分との間に動物
    イムノグロブリンと結合する蛋白質を固定化した微粒子
    を固定し、該短冊状の膜の他端と該核蛋白質を線状に固
    定した部分との間に上記吸収材を固定してなることを特
    徴とするパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属
    するウイルスの感染症を簡便、正確に、短時間で診断す
    ることが可能な簡易診断試薬。
  5. 【請求項5】 微粒子が、粒径0.005から5μmの
    ラテックス粒子又は金属コロイド粒子である請求項4の
    診断試薬。
  6. 【請求項6】 ウイルス感染症が、麻疹、牛疫又はイヌ
    ジステンパーである請求項4又は請求項5に記載の診断
    試薬。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006215044A (ja) * 2006-03-31 2006-08-17 Denka Seiken Co Ltd 簡易メンブレンアッセイ法及びキット
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US8404479B2 (en) 2003-12-24 2013-03-26 Denka Seiken Co., Ltd Simple membrane assay method and kit

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