JPH0959858A - 耐候性長繊維不織布 - Google Patents

耐候性長繊維不織布

Info

Publication number
JPH0959858A
JPH0959858A JP26059595A JP26059595A JPH0959858A JP H0959858 A JPH0959858 A JP H0959858A JP 26059595 A JP26059595 A JP 26059595A JP 26059595 A JP26059595 A JP 26059595A JP H0959858 A JPH0959858 A JP H0959858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
weather
weight
fiber
antioxidant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26059595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2812668B2 (ja
Inventor
Takashi Nogi
崇志 野木
Yoshihiko Mineta
喜彦 峰田
Tsuneo Iizuka
恒夫 飯塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26479249&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH0959858(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP26059595A priority Critical patent/JP2812668B2/ja
Publication of JPH0959858A publication Critical patent/JPH0959858A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2812668B2 publication Critical patent/JP2812668B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性を損なうことなく、優れた耐候性を具
備する耐候性長繊維不織布を提供する。 【解決手段】 ポリエステル長繊維からなる不織ウエブ
が熱圧接されて所定の形態を保持している不織布であっ
て、前記ポリエステル長繊維を形成する重合体中に、ベ
ンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線
吸収剤0.01〜3.0重量%と、ヒンダードアミン系
あるいはヒンダードフェノール系あるいはリン系の酸化
防止剤0〜3.0重量%とが、含有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性が要求され
る分野、特に農業・園芸・土木用に代表される産業資材
等の素材として好適な耐候性長繊維不織布に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療・衛生材料や一般生活関
連材あるいは一部の産業資材用の素材としてポリエステ
ルからなる不織布が知られている。一般に、ポリエステ
ル、特にポリエチレンテレフタレートは、優れた機械的
特性および化学的特性を有し、衣料用、産業資材用とし
て好適に利用されている。
【0003】しかし、一部の用途、例えば農業用ハウス
の保温用内張シートの農業資材用等においては、従来の
ポリエステルからなる不織布よりもさらに優れた耐候性
を具備することが要望されている。
【0004】従来、耐候性を向上させる目的では、酸化
防止剤、耐熱剤、紫外線安定剤あるいは紫外線吸収剤等
が添加されている。ところが、これら従来の添加剤のい
ずれかを添加する方法においては、農業用資材、自動車
内装資材、屋外用補強材等の高度な耐候性が要求される
分野で使用するのに十分な耐候性は得られない。
【0005】他方、耐候性を向上させる手段として、不
織布に耐候性能を付与したフィルム状シートを積層して
積層体とすることが知られている。しかし、このような
積層体は粗硬であり、しかも通気性に乏しいため、柔軟
性や通気性が要求される用途、たとえば農業用資材にお
いては適用できないものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するもので、柔軟性を損なうことなく、優れ
た耐候性を具備する耐候性長繊維不織布を提供しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の問題を解決するた
めに、本発明は以下の構成を要旨とするものである。 1.ポリエステル長繊維からなる不織ウエブが熱圧接さ
れて所定の形態を保持している不織布であって、前記ポ
リエステル長繊維を形成する重合体中に、ベンゾトリア
ゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線吸収剤0.
01〜3.0重量%と、ヒンダードアミン系あるいはヒ
ンダードフェノール系あるいはリン系の酸化防止剤0〜
3.0重量%とが、含有されていることを特徴とする耐
候性長繊維不織布。
【0008】2.ポリエステル長繊維を形成する重合体
中に、ベンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系
の紫外線吸収剤0.05〜0.2重量%と、ヒンダード
アミン系あるいはヒンダードフェノール系あるいはリン
系の酸化防止剤0.05〜0.2重量%とが、含有され
ていることを特徴とする耐候性長繊維不織布。
【0009】3.ポリエステル長繊維を形成する重合体
中に含有される、紫外線吸収剤と酸化防止剤との、総含
有量が、0.01〜6.0重量%であることを特徴とす
る耐候性長繊維不織布。
【0010】4.不織ウエブが部分的に熱圧接されて所
定の形態を保持しており、部分的な熱圧接処理を施して
形成される点状融着区域において、不織ウエブの全表面
積に対する全点状融着区域の面積の比が、4〜50%で
あることを特徴とする耐候性長繊維不織布。
【0011】5.不織ウエブが全面的に熱圧接されて所
定の形態を保持していることを特徴とする耐候性長繊維
不織布。
【0012】6.紫外線吸収剤と酸化防止剤との内の少
なくとも紫外線吸収剤を含有するバインダー樹脂を含む
ことを特徴とする耐候性長繊維不織布。
【0013】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。ま
ず、本発明の耐候性長繊維不織布を構成する長繊維につ
いて説明する。
【0014】本発明に適用される長繊維を形成するポリ
エステルとしては、ポリエチレンテレフタレートあるい
はポリブチレンテレフタレートが挙げられ、またはこれ
らを主体とするポリエステルであって、酸成分としてイ
ソフタル酸、アジピン酸等のカルボン酸等および/又は
ジオール成分としてテトラメチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール等を含む共重合ポリエステルであって
も良い。共重合ポリエステルを用いる場合、エチレンテ
レフタレート単位あるいはブチレンテレフタレート単位
が85モル%以上であることが、重合体素材自体の耐熱
性や得られた不織布の強力の点から好ましい。
【0015】本発明において適用されるポリエステル
は、数平均分子量が約20,000以上、好ましくは4
0,000以上、さらに好ましくは60,000以上の
ものが、製糸性および得られる糸条の特性の点で良い。
また、重合度を高めるために少量のジイソシアネートや
テトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したものでも良
い。
【0016】また、本発明において適用されるポリエス
テルに、必要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、結晶核
剤などの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内
で添加しても良い。
【0017】本発明に適用される紫外線吸収剤は、ベン
ゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の化合物で
ある。紫外線吸収剤は、重合体中の紫外線を吸収する働
きをし、紫外線による重合体の劣化を防止するものであ
る。
【0018】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−[3,5−ビス(2,
2’−ジメチルプロピル)−2−ヒドロキシフェニル]
ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒ
ドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチ
ルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2,2’−メチレンビス[4−(1,1’,3,3’−
テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキ
シ−3’−(3'',4'',5'',6''−テトラヒドロフ
タルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾト
リアゾールが挙げられる。これらの中では特に、2−
[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベ
ンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,
2’−メチレンビス[4−(1,1’,3,3’−テト
ラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)フェノール]が、耐熱性に優れることから好
ましい。
【0019】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、
例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,
2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベン
ゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−
2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオ
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,
4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンが挙げられる。
これらの中では特に、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒド
ロキシ−2−メトキシフェニル)メタンが、上記と同様
の理由から好ましい。
【0020】本発明に適用される酸化防止剤は、ヒンダ
ードアミン系化合物あるいはヒンダードフェノール系化
合物あるいはリン系化合物である。酸化防止剤は、特に
屋外使用の用途において、蓄熱と存在する酸素とにより
生じる重合体の熱酸化を防止するためのものである。
【0021】本発明に用いる酸化防止剤としては、例え
ば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−
tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−
(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,
2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチル
フェノール)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、トリス
−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフ
ェニル)ブタン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレ
ゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ス
テアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン
−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6
−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル
−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチ
レン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス
(3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−
ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエス
テル、トコフェロール類が挙げられる。
【0022】本発明において、ポリエステル長繊維を形
成する重合体に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、0.
01〜3.0重量%の範囲とすることが必要である。紫
外線吸収剤の含有量が0.01重量%未満であると、十
分な耐候性能が得られず、逆に、紫外線吸収剤の含有量
が3.0重量%を超えると、耐候性能が飽和に達してし
まうため不経済であり、さらに製糸性の悪化および繊維
の着色を招くこととなり、いずれも好ましくない。これ
らの理由から、紫外線吸収剤の含有量は、0.05〜
0.2重量%の範囲とすることが、さらに好ましい。
【0023】本発明において、ポリエステル長繊維を形
成する重合体に含まれる酸化防止剤の含有量は、0〜
3.0重量%の範囲とすることが必要である。この範囲
に示したように、酸化防止剤は重合体中に添加せずとも
良いが、酸化防止剤を添加すると、太陽光による蓄熱と
存在する酸素とにより生じる重合体の熱酸化が抑制さ
れ、さらに耐候性を向上させることができるため好まし
い。酸化防止剤の含有量が3.0重量%を超えると、耐
候性能が飽和に達してしまうため不経済であり、さらに
製糸性の悪化および繊維の着色を招くこととなり、好ま
しくない。これらの理由から、酸化防止剤の含有量は、
0.05〜0.2重量%の範囲とすることが、さらに好
ましい。
【0024】さらに、本発明においては、ポリエステル
長繊維を形成する重合体中に含有される、紫外線吸収剤
と酸化防止剤との、総含有量が0.01〜6.0重量%
であることが好ましい。総含有量が0.01重量%未満
であると、十分な耐候性能が得られず、逆に、総含有量
が6.0重量%を超えると、製糸性が悪化し、特に、紡
糸速度2500m/分以上のスパンボンド法を採用する
場合には、糸切れが多発することとなる。
【0025】本発明の不織布を構成する長繊維は、その
単糸繊度が2.0〜10デニールであることが好まし
い。単糸繊度が2.0デニール未満であると、製糸時の
糸切れが多く、操業性に劣ることとなる。逆に、単糸繊
度が10デニールを超えると、得られる不織布の風合い
が硬くなり柔軟性に劣ることとなり、例えば、柔軟性が
要求される農業用資材等の分野においては不適当とな
る。
【0026】本発明の耐候性長繊維不織布の目付は、使
用目的により選択されるため特に限定されるものではな
いが、一般的に10〜150g/m2 の範囲が好まし
い。目付が10g/m2 未満であると、機械的強力に劣
り実用に耐えないものとなる。逆に、目付が150g/
2 を超えると、不織布が硬い風合いのものとなるた
め、例えば、柔軟性が要求される農業資材等の分野にお
いては不適当となり好ましくない。
【0027】本発明の耐候性長繊維不織布は、不織ウエ
ブが部分的あるいは全面的に熱圧接されて、所定の形態
を保持しているものである。すなわち、本発明の不織布
は不織構造を有するシート状物となったものである。
【0028】不織ウエブの部分的熱圧接は、エンボス加
工又は超音波融着処理によって点状融着区域を形成する
ものであって、この融着区域では、構成繊維同士が部分
的に熱圧接されている。このとき、形成された点状融着
区域の形状は丸型、楕円型、菱型、三角型、T字型、井
型、格子型など任意の形状であって良い。しかし、この
とき、点状融着区域の面積は0.1〜1.5mm2 とす
るのが好ましい。
【0029】不織ウエブの部分的熱圧接においては、次
式で表される不織ウエブの全表面積に対する全点状融着
区域の面積の比、すなわち圧接面積率Aが、4〜50%
であることが好ましい。 A(%)=[全融着区域の面積(cm2) /不織ウエブの全
表面積(cm2) ]×100 圧接面積率が4%未満であると、点状融着区域が少ない
ため得られる不織布の機械的強力および寸法安定性に劣
り、さらには毛羽立ち防止性が低下することとなり、生
活資材、農業用資材等の用途においては好ましくない。
逆に、圧接面積率が50%を超えると、得られる不織布
が粗硬化し、柔軟性が要求される分野においては好まし
くない。
【0030】また、不織ウエブの部分的熱圧接において
は、次式で表される不織ウエブの全表面積における点状
融着区域の密度、すなわち圧接点密度Bが、7〜80点
/cm2 であることが好ましい。 B(点/cm2 )=圧接点の数( 点) /不織ウエブの全
表面積(cm2) 圧接点密度が7点/cm2 未満であると、得られる不織
布の機械的強力および寸法安定性に劣り、さらには毛羽
立ち防止性が低下することとなり、生活資材、農業用資
材等の用途においては好ましくない。逆に、圧接点密度
が80点/cm2を超えると、得られる不織布が粗硬化
し、柔軟性が要求される分野においては好ましくない。
【0031】不織ウエブの全面的熱圧接は、平滑ロール
を用いたカレンダー加工によって形成されるものであ
る。全面的に熱圧接された不織布は、毛羽立ち防止性に
優れるほか、用途に応じて、ロール温度やロール間隔等
の圧接条件を適宜選択することにより、通気性、嵩高性
および緻密性を容易に調整することができる有益なもの
である。
【0032】本発明の耐候性長繊維不織布においては、
熱圧接により形態保持された不織布に、バインダー樹脂
を付与することもできる。これは、不織布表面のみのコ
ーティングを主目的としたもので、これにより、毛羽立
ち防止性を向上させることができる。従って、使用時の
摩擦や摩耗により毛羽を生じることがある分野、例え
ば、生活資材や農業資材の分野においては、バインダー
樹脂を付与して得られた耐候性長繊維不織布は好適であ
る。なお、農業資材の分野においては、バインダー樹脂
として、親水性を有するものを用いると好適である。但
し、全面的な熱圧接により形態が保持された不織布の場
合は、バインダー樹脂を付与する必要なく、毛羽立ち防
止性を具備することができる。
【0033】親水性バインダー樹脂としては、例えば、
アクリロニトリル等のアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールが挙げら
れ、これらを適宜選択して用いれば良い。
【0034】バインダー樹脂の付与量は、不織布の目付
重量に対して30重量%以下となるようにすることが好
ましい。バインダー樹脂の付与量が不織布の目付重量に
対して30重量%を超えると、得られた不織布の柔軟性
が損なわれることとなり、粗硬化するため、優れた耐候
性を有していたとしても、用途によっては実用に供し得
ないこととなり好ましくない。一方、用途に応じて、例
えば、農業用ハウスの保温用内張シートの農業資材にお
いては、不織布表面に親水性バインダー樹脂の薄膜を形
成して保温性を向上させるためには、親水性バインダー
樹脂の付与量が不織布の目付重量に対して5重量%以上
となるようにすることが好ましい。
【0035】バインダー樹脂には、紫外線吸収剤と酸化
防止剤との内の少なくとも紫外線吸収剤を含有させるこ
とが、耐候性を保持させるうえで好ましい。酸化防止剤
は樹脂中に含有させずとも良いが、酸化防止剤を添加す
ると、太陽光による蓄熱と存在する酸素とにより生じる
重合体の熱酸化が抑制され、さらに耐候性を向上させる
ことができるため好ましい。
【0036】次に、本発明の耐候性長繊維不織布の製造
方法について説明する。本発明の長繊維不織布は、いわ
ゆるスパンボンド法にて効率良く製造することができ
る。すなわち、前述のポリエステルチップに、前述の紫
外線吸収剤および/又は酸化防止剤を、マスターバッチ
法又はドライブレンド法で混合することによって、各
々、所定量を含有させ、溶融紡糸し、得られた紡出糸条
を従来公知の横型吹付や環状吹付等の冷却装置を用いて
冷却せしめた後、吸引装置を用いて、目的繊度となるよ
うに牽引細化させて引き取る。牽引速度は2500m/
分以上が好ましく、特に4000m/分以上とすると不
織布の寸法安定性が向上するため、さらに好適である。
吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、スクリ
ーンからなるコンベアーの如き移動堆積装置上に開繊集
積させてウエブとする。次いで、このウエブを熱圧接装
置にて部分的に又は全面的に熱圧接せしめれば、長繊維
不織布を得ることができる。
【0037】さらに、バインダー樹脂を含む耐候性長繊
維不織布を所望の場合には、熱圧接処理の後に、ディッ
プ法、コーティング法、泡含浸法等を適用すれば良い。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0039】以下の実施例において、各特性値は、次の
ようにして求めた。
【0040】・重合体の融点(℃):パーキンエルマー
社製DSC−2型の示差走査型熱量計を用いて、昇温速
度20℃/分で測定した融解吸熱ピークの極値を与える
温度を融点とした。
【0041】・ポリエステルの固有粘度:フェノールと
四塩化エタンとの等重量比の混合溶媒100ミリリット
ルに試料0.5gを溶解し、常法により測定した。
【0042】・単糸繊度(デニール):吸引装置により
牽引細化した繊維について、電子顕微鏡を用いて、密度
補正を行なって求めた。
【0043】・目付(g/m2 ):標準状態の試料から
縦10cm×横10cmの試料片各10点を作製し平衡
水分に至らしめた後、各試料片の重量を秤量し、得られ
た値の平均値を単位面積当たりに換算し、目付とした。
【0044】・不織布の耐候性[強力保持率](%):
不織布を屋外にて曝露させ、5ヶ月後の引張強力を標準
状態で測定し、曝露前の引張強力初期値に対する強度保
持率(%)を次式で示しこれを比較した。
【0045】強度保持率(%)=(5ヶ月後の引張強力
/引張強力初期値)×100 曝露前の引張強力初期値に対して70%以上を保持して
いる場合、耐候性が良好であると評価した。
【0046】・長繊維の製糸性:紡糸口金より吐出した
紡出糸条を観察し、糸切れが生じた回数により下記の3
段階にて評価した。
【0047】 ○;糸切れ回数 0回/1紡糸錘/24時間 △;糸切れ回数 1〜2回/1紡糸錘/24時間 ×;糸切れ回数 3回〜/1紡糸錘/24時間
【0048】・不織布の引張強力(kg/5cm幅):
合繊長繊維不織布試験法に準じ、定速伸張型試験機械で
ある東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1
00型を用い、幅5cm、長さ30cmの試験片をつか
んで、間隔20cm、引張速度10cm/分の条件で測
定し、測定個数10の平均値から求めた。
【0049】・不織布のトータルハンド[柔軟性]
(g):JIS−L−1096に記載のハンドルオメー
タ法に準じ、スリット幅1.5cmで測定した。
【0050】実施例1 融点が260℃、固有粘度が0.70のポリエチレンテ
レフタレート重合体に、紫外線吸収剤として2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ールを、および酸化防止剤としてテトラキス−[メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタンを、各々表1
に示す含有割合で、マスターバッチ法にて混合して原料
とし、公知の溶融紡糸装置を用いて紡出した。紡出糸条
を冷却した後、吸引装置により引き取り、開繊し、移動
する捕集面上に捕集・堆積させて、単糸繊度が4.0デ
ニールの長繊維からなる、目付50g/m2 の不織ウエ
ブとした。この不織ウエブを、エンボスロールからなる
熱圧接装置により、ロール温度215℃、圧接面積率1
8%の条件下で部分的に熱圧接し、長繊維不織布を得
た。得られた長繊維不織布の性能および製糸性を表1に
示す。
【0051】実施例2 実施例1の実験No5で得られた長繊維不織布に、バイ
ンダー樹脂を付与した。すなわち、紫外線吸収剤として
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾールを2.0重量%含有したアクリル酸エス
テルを、ディップ法にて、不織布の目付重量に対して1
3重量%含浸させた。得られた長繊維不織布の性能およ
び製糸性を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1から明らかなように、実施例1の実験
No1で得られた長繊維不織布は、紫外線吸収剤、酸化
防止剤のいずれも含有していないため、耐候性に劣るも
のであった。実施例1の実験No2〜実験No7で得ら
れた長繊維不織布は、いずれも本発明の範囲内である含
有量の紫外線吸収剤、酸化防止剤を各々含有しているの
で、耐候性に優れ、しかも十分な柔軟性を具備したもの
であった。実施例1の実験No8においては、紫外線吸
収剤、酸化防止剤の含有量が、いずれも本発明の範囲外
であるため、製糸性が悪化して糸切れが多発し、不織ウ
エブが得られなかった。実施例2で得られた長繊維不織
布は、不織布の表面にバインダー樹脂がコーティングさ
れているため、実施例1の実験No5で得られた長繊維
不織布よりもさらに毛羽立ち防止性に優れたものであ
り、しかも柔軟性はやや低下するものの、優れた耐候性
を具備するものであった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟性を損なうことな
く、優れた耐候性を具備した耐候性長繊維不織布を提供
することができる。
【0055】本発明の耐候性長繊維不織布は、耐候性が
要求される分野、特に農業・園芸・土木用に代表される
産業資材等の素材として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 3/14 D04H 3/14 Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル長繊維からなる不織ウエブ
    が熱圧接されて所定の形態を保持している不織布であっ
    て、前記ポリエステル長繊維を形成する重合体中に、ベ
    ンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線
    吸収剤0.01〜3.0重量%と、ヒンダードアミン系
    あるいはヒンダードフェノール系あるいはリン系の酸化
    防止剤0〜3.0重量%とが、含有されていることを特
    徴とする耐候性長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 ポリエステル長繊維を形成する重合体中
    に、ベンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の
    紫外線吸収剤0.05〜0.2重量%と、ヒンダードア
    ミン系あるいはヒンダードフェノール系あるいはリン系
    の酸化防止剤0.05〜0.2重量%とが、含有されて
    いることを特徴とする請求項1記載の耐候性長繊維不織
    布。
  3. 【請求項3】 ポリエステル長繊維を形成する重合体中
    に含有される、紫外線吸収剤と酸化防止剤との、総含有
    量が、0.01〜6.0重量%であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の耐候性長繊維不織布。
  4. 【請求項4】 不織ウエブが部分的に熱圧接されて所定
    の形態を保持しており、部分的な熱圧接処理を施して形
    成される点状融着区域において、不織ウエブの全表面積
    に対する全点状融着区域の面積の比が、4〜50%であ
    ることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項
    に記載の耐候性長繊維不織布。
  5. 【請求項5】 不織ウエブが全面的に熱圧接されて所定
    の形態を保持していることを特徴とする請求項1から3
    までのいずれか1項に記載の耐候性長繊維不織布。
  6. 【請求項6】 紫外線吸収剤と酸化防止剤との内の少な
    くとも紫外線吸収剤を含有するバインダー樹脂を含むこ
    とを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の耐候性長繊維不織布。
JP26059595A 1995-06-16 1995-10-09 耐候性長繊維不織布 Expired - Lifetime JP2812668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26059595A JP2812668B2 (ja) 1995-06-16 1995-10-09 耐候性長繊維不織布

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14932095 1995-06-16
JP7-149320 1995-06-16
JP26059595A JP2812668B2 (ja) 1995-06-16 1995-10-09 耐候性長繊維不織布

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0959858A true JPH0959858A (ja) 1997-03-04
JP2812668B2 JP2812668B2 (ja) 1998-10-22

Family

ID=26479249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26059595A Expired - Lifetime JP2812668B2 (ja) 1995-06-16 1995-10-09 耐候性長繊維不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2812668B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998042909A1 (en) * 1997-03-21 1998-10-01 Koala Konnections Ultraviolet ray (uv) blocking textile containing particles

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998042909A1 (en) * 1997-03-21 1998-10-01 Koala Konnections Ultraviolet ray (uv) blocking textile containing particles

Also Published As

Publication number Publication date
JP2812668B2 (ja) 1998-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101415543B (zh) 可生物降解的无纺层压材料
CN103069058B (zh) 改性的聚乳酸纤维
CN103069059B (zh) 韧化的聚乳酸纤维
US6458726B1 (en) Polypropylene fibers and items made therefrom
US4362777A (en) Nonwoven sheets of filaments of anisotropic melt-forming polymers and method thereof
KR101894773B1 (ko) 폴리에스테르계 부직포, 그 제조 방법, 및 그것을 포함하는 카페트용 기포지
JPH09123362A (ja) 不織布と熱可塑性フィルムの積層体と、その製造方法
JP2812668B2 (ja) 耐候性長繊維不織布
US6946195B2 (en) Compositions for enhanced thermal bonding
JP2002266240A (ja) 帯電性を有するトウおよびそれを用いた積層体
JPH09105063A (ja) 耐候性長繊維不織布
JPH09105062A (ja) 耐候性長繊維不織布
JPH01260051A (ja) 繊維ウェブ
JPH09105061A (ja) 耐候性長繊維不織布
JPH09105064A (ja) 耐候性長繊維不織布
JPH09105065A (ja) 耐候性長繊維不織布
JPH08113861A (ja) ポリウレタン弾性繊維不織布及びそれを用いた積層複合不織シート
JPH10273867A (ja) 耐候性長繊維不織布
JP4048935B2 (ja) 生分解性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品
JPH032965B2 (ja)
JPH08209533A (ja) 改質ポリオレフィン系繊維およびそれを用いた不織布
JPH03146754A (ja) 繊維積層物
JP2807041B2 (ja) 熱接着性複合繊維
JP2000160465A (ja) 吸放湿性長繊維不織布
JP2005089937A (ja) 生分解性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品