JPH0959751A - 成形用Al−Mg系合金板の製造方法 - Google Patents
成形用Al−Mg系合金板の製造方法Info
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Abstract
生することがなく、成形性にも優れた高Mg含有Al−
Mg系合金板の製造方法を提供する。 【解決手段】 Mg:5.0〜8.0 %、Fe:0.05 〜0.35
%、選択的にCu:0.15 〜0.6 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊
を、450 〜500 ℃で1h以上均質化処理し、430 〜480 ℃
で熱間圧延を開始し、1回の圧延パスの圧下率を5 〜15
%として、合計圧下率が20〜50%になるまで熱間圧延を
続け、ついで460 〜500 ℃で1 分以上保持し、以後通常
の圧下率で熱間圧延する工程を包含する。
Description
系合金板の製造方法、詳しくは、Al−Mg系合金の熱
間加工性を改良し、生産性を向上させた成形用Al−M
g系合金板の製造方法に関する。
料や船舶材料として、燃費向上のための軽量化、環境問
題を考慮したリサイクル性などの観点から、アルミニウ
ム合金が採用されるようになってきた。とくにAl−M
g系合金は強度、耐食性および成形性に優れているた
め、成形用部材として注目されている。
を増加し、またCuなどの合金成分を添加することによ
り、さらに強度特性を向上させ、部材の薄肉化を可能と
することができるが、高MgのAl−Mg系合金やCu
などの合金元素を添加したAl−Mg系合金は、熱間圧
延中に割れが生じ易く、熱間圧延の続行が不可能となっ
たり、製品の歩留りを低下させるなどの問題がある。
改善するために、鋳塊の最大結晶粒径を1000μm未
満に規制するとともに、熱間圧延開始温度を320〜4
70℃とし、少なくとも最初の3回の圧延パスの圧下率
をそれぞれ3%以下とすることが提案されている。(特
開平7−18389号公報)
割れは抑制され、健全なホットコイルを得ることが可能
となるが、圧延パス回数が増加し、生産性低下を招くと
いう難点がある。生産量が多い場合には、生産効率の低
下は実際の工業生産においては重大な問題となる。
Al−Mg系合金の熱間圧延時の割れ発生原因について
検討するために、5%を越えるMgを含有するAl−M
g系合金について多くの圧延実験を行った結果、多くの
場合には圧延10パス以内で大きな割れが生じ易いこと
を見出し、割れは以下の原因によるものであることを究
明した。
成されて変形能が低下する。粗大な結晶粒は均質化処理
温度が不適切な場合に生じ易く、Fe含有量によっても
影響を受ける。 (2)鋳塊の結晶粒界に、Al−Mg系化合物、Al−
Mg−Cu系化合物などの偏析が生じていると、熱間圧
延の初期段階でこの粒界の移動が抑制され、この部分に
圧延による加工歪が蓄積して破壊に到る。 (3)熱間圧延前に粗大結晶粒が形成され、またCuが
添加されると、圧延により粒内の剪断帯形成が助長さ
れ、この境界に加工歪が蓄積して破壊に到る。
して、以下のことが考えられた。 (1)均質化処理時の粗大結晶粒形成はFeの添加によ
り抑制できる。均質化処理温度の上限は厳しく管理する
ことが必要である。 (2)鋳塊の結晶粒界の移動を可能として偏析をなくす
には、適当な歪エネルギーと特定温度への保持が必要で
ある。鋳塊の結晶粒界が移動することで、その結晶粒界
に偏析していた化合物は、結果として粒内析出の状態と
なり、高温での変形能低下が生じなくなる。 (3)剪断帯形成後に加工を続けると、この境界で破断
し易くなるから、適度の歪エネルギーが蓄積した時点で
再結晶のための保持時間を与える。
g系合金の熱間圧延割れの抑制策についてさらに実験、
検討を行った結果としてなされたものであり、その目的
は、熱間圧延性を改善し、圧延1パス当たりの圧下率の
大きい高歪速度でも変形可能とし、生産性を向上させた
成形用Al−Mg系合金の製造方法を提供することにあ
る。
めの本発明による成形用Al−Mg系合金の製造方法
は、Mg:5.0〜8.0%、Fe:0.05〜0.3
5%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
アルミニウム合金の鋳塊を、450〜500℃の温度で
1時間以上加熱することにより均質化処理したのち、4
30〜480℃で熱間圧延を開始し、1回の圧延パスの
圧下率を5〜15%として、合計圧下率が20〜50%
になるまで熱間圧延を続け、ついで460〜500℃の
温度範囲で1分以上保持し、以後通常の圧下率で熱間圧
延する工程を包含することを特徴とする。また、アルミ
ニウム合金が、Mg:5.0〜8.0%、Cu:0.1
5〜0.6%、Fe:0.05〜0.35%を含有し、
残部Alおよび不可避的不純物からなることを第2の特
徴とする。
分の意義およびそれらの限定理由について説明すると、
Mgは、合金材の強度を高め、プレス時の成形性向上に
寄与するもので、含有量が多いほど、これらの特性が向
上する。好ましい含有範囲は5.0〜8.0%であり、
5.0%未満ではその効果が十分でなく、8.0%を越
えると、応力腐食割れ性など他の特性が低下する。Mg
のさらに好ましい含有範囲は5.0〜6.0%である。
制するために厳密に管理することは必要である。Feの
好ましい含有量は0.05〜0.35%の範囲であり、
0.05%未満では均質化処理時の結晶粒粗大化を抑制
する効果が小さく、0.35%を越えて含有されると、
最終製品の伸び、曲げ性、張出性などの特性が劣化す
る。さらに好ましいFeの含有範囲は0.05〜0.1
5%である。
有する。好ましい含有範囲は0.15〜0.6%で、
0.15%未満ではその効果が小さく、0.6%を越え
ると熱間圧延時に割れが生じ易くなる。さらに好ましい
Cuの含有範囲は0.2〜0.4%である。Ti、B
は、通常のアルミニウム合金と同様、それぞれ0.01
〜0.05%および0.0001〜0.01%の範囲で
添加されても合金材の特性に悪影響を与えることはな
く、鋳塊の結晶粒を微細化し、熱間圧延時の変形能を向
上させる効果を有する。またBeも通常のAl−Mg系
合金と同様、溶湯の酸化を防止するために50ppm以
下の範囲で添加することができる。
避的不純物の許容量は、Si:0.1%以下、好ましく
は0.07%以下、Mn:0.1%以下、好ましくは
0.02%以下、Cr:0.1%以下、好ましくは0.
02%以下、Zn:0.1%以下、好ましくは0.07
%以下の範囲である。
造条件について説明すると、半連続鋳造により前記の合
金組成からなるアルミニウム合金の鋳塊を製造し、鋳塊
を450〜500℃の温度に1時間以上加熱することに
より均質化処理する。均質化処理は、鋳塊組織内の成分
の偏析をある程度取り除くために行うものであり、均質
化処理温度が450℃未満では偏析物の分解に長時間が
必要となり、工業規模の生産においては実用的でない。
500℃を越えると、急速に結晶粒の粗大化が生じ熱間
圧延性が劣化する。保持時間が1時間未満では、工業サ
イズの鋳塊を均一な温度とすることが難しい。生産性の
観点から保持時間は20時間以内とするのが好ましい。
の工程は、鋳塊の結晶粒界移動および剪断帯形成を制御
するために厳密に規制することが重要である。熱間圧延
は好ましくは430〜480℃、より好ましくは450
〜480℃の温度範囲で開始する。熱間圧延の開始温度
が430℃未満では、鋳塊の結晶粒界移動のための駆動
力となる歪エネルギーは蓄えられ易いが、Al−Mg系
化合物やAl−Mg−Cu系化合物の粒界析出が生じて
粒界移動が抑制され、これらの化合物の偏析により結晶
粒界の結合力が低下して割れが生じ易くなる。480℃
を越える温度で熱間圧延を開始すると、圧延中の加工熱
で材料温度が500℃を越えることがあり、圧延による
加工組織の回復速度が速くなって、結晶粒界移動の駆動
力となる歪エネルギーが十分に蓄積され難い。
下率を5〜15%として、合計圧下率が20〜50%に
なるまで熱間圧延を続ける。熱間圧延開始時の1パス当
たりの圧下率は、歪エネルギーの蓄積に影響するもので
あり、1パス当たりの圧下率が5%未満では加工組織の
回復が速く、結晶粒界移動を生じさせるための歪エネル
ギーが十分に蓄積され難い。15%を越える圧下率では
割れが生じ易い。さらに好ましい圧延1パス当たりの圧
下率は5〜10%である。
圧下率20〜50%になるまで続けたのち、460〜5
00℃の温度範囲に1分以上保持して再結晶させる。合
計圧下率20〜50%になるまで熱間圧延を続行するこ
とにより、保持中に結晶粒界移動が生じ、剪断帯部での
再結晶が進行して変形能が向上する。合計圧下率が20
%未満では、保持中に粗大再結晶粒が形成され、その後
の圧延において割れが生じ易い。50%を越えると、歪
エネルギーの増加に伴って、粒界割れや剪断帯に沿った
粒内破壊が生じる。
圧延を続けると、通常、加工熱により材料温度が圧延開
始温度より上昇する。460〜500℃で1分以上の保
持は、この温度上昇を利用して合金組織を短時間で再結
晶させ、変形能の向上を図るものである。この温度範囲
における保持は、熱間圧延から引き続いて行ってもよ
く、一旦室温まで冷却したのち上記の温度範囲に再加熱
してもよい。460〜500℃の温度範囲では1分間の
保持により再結晶がほぼ完了する。500℃を越える
と、粗大結晶粒が形成され変形能が低下し易い。保持時
間の上限は、生産性の観点から10h以内にするのが望
ましい。
えば1パス当たり10%以上の圧下率で熱間圧延を行っ
ても割れが生じることはない。熱間圧延終了後、必要に
応じて中間焼鈍を介して冷間圧延を行って所定の板厚と
し、最終熱処理を行って成形用のAl−Mg系合金板を
得る。
明する。 実施例1 表1に示す組成のAl−Mg系合金の鋳塊を半連続鋳造
により製造し、得られた鋳塊を表面切削して、厚さを40
0mm に調整し圧延用スラブとした。圧延用スラブを表2
に示す条件で均質化処理、熱間圧延して8mm 厚さの板材
とし、熱間圧延後、1mm 厚さまで冷間圧延を行い、バッ
チ炉中で400 ℃で1hの最終熱処理を行って試験材を得
た。熱間圧延中、割れ発生の有無を観察した。
的性質を測定し、180 °曲げ試験を行って表面欠陥発生
の有無から成形性を評価した。機械的性質は、圧延方向
に対して平行に採取した試験片からJIS 5 号試験片を作
製し、インストロン型引張試験機を使用して引張試験を
行うことにより測定した。180 °曲げ加工性は、圧延方
向に対して直角方向に採取した10mm幅の試験片を半径1m
m の治具でプリベントし、同一厚さの板材を2枚挟ん
で、30cmの高さから3kg の荷重を落下させる衝撃曲げを
行うことにより、曲げ後の試験材表面の欠陥の発生状況
から評価した。測定および評価結果を表3に示す。表3
に示すように、本発明に従う試験材はいずれも、熱間圧
延時の割れは全く観察されず、130MPa以上の十分な耐力
と優れた成形性をそなえていた。
続鋳造法により製造し、鋳塊の表面を面削して厚さ40mm
の圧延用スラブとした。このスラブおよび実施例1で作
製した圧延用スラブを、表5に示す条件で均質化処理、
熱間圧延し、実施例1と同様、厚さ8mm の板材とし、さ
らに冷間圧延および実施例1と同様の最終熱処理を行っ
て、1mm 厚さの試験材を得た。熱間圧延中の割れ発生の
程度を観察するとともに、各試験材について、実施例1
と同じ引張試験を行い、曲げ加工性を評価した。結果を
表6に示す。試験材No.18 は、従来の熱間圧延工程に従
ったものであり、熱間圧延開始から終了まで1パス当た
り2 〜30%の圧下率により圧延を行った。なお、表4、
表5において、本発明の条件を外れたものには下線を付
した。
熱間圧延での量1パス当たりの圧下率が少ないため、鋳
塊組織の結晶粒界の移動が不十分であり、粒界破壊によ
る割れが多発し、試験材を得ることができなかった。試
験材No.10 は熱間圧延の合計圧下率が少ないため、高温
保持中に粗大再結晶粒が形成され、剪断帯での粒内破壊
により熱間圧延時に割れが生じた、また粗大再結晶の形
成に起因して曲げ加工性も劣っている。試験材No.11 は
均質化温度が高過ぎるため、粗大結晶粒が形成され、初
期熱間圧延中に剪断帯での粒内破壊が生じ、熱間圧延時
に全面割れが発生し、試験材を得ることができなかっ
た。試験材No.12 は初期熱間圧延の開始温度が高過ぎる
ため、加工組織の回復が速く、鋳造組織の結晶粒界移動
が十分でなく、粒界破壊により熱間圧延割れが生じた。
また一部粗大粒が形成されるため、曲げ加工性がわる
い。
め、熱間圧延時に割れが発生した。試験材No.14 はFe
の含有量が少ないため、均質化処理時に粗大結晶粒が形
成され、初期熱間圧延中に剪断帯での粒内破壊が生じ、
試験材を得ることができなかった。試験材No.15 はFe
の含有量が多く、180 °曲げ試験で割れが生じた。試験
材No.16 はCuの含有量が多過ぎるため、初期熱間圧延
中に剪断帯での粒内破壊により熱間圧延割れが発生し、
試験材を得ることができなかった。試験材No.17は保持
温度が高過ぎるため、粗大結晶粒が形成され、熱間圧延
時に割れが発生し試験材を得ることができなかった。試
験材No.18 は、従来の熱間圧延工程に従ったもので、熱
間圧延の総パス回数が多く生産性が劣る。
工性が改善されて熱間圧延時に割れを生じることがな
く、成形性にも優れた高Mg含有Al−Mg系合金板が
生産性よく製造することが可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg:5.0〜8.0%(重量%、以下
同じ)、Fe:0.05〜0.35%を含有し、残部A
lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳
塊を、450〜500℃の温度に1時間以上加熱するこ
とにより均質化処理したのち、430〜480℃で熱間
圧延を開始し、1回の圧延パスの圧下率を5〜15%と
して、合計圧下率が20〜50%になるまで熱間圧延を
続け、ついで450〜500℃の温度範囲に1分以上保
持し、以後通常の圧下率で熱間圧延を行う工程を包含す
ることを特徴とする成形用Al−Mg系合金板の製造方
法。 - 【請求項2】 Al−Mg系合金が、Mg:5.0〜
8.0%、Cu:0.15〜0.6%、Fe:0.05
〜0.35%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物
からなることを特徴とする請求項1記載の成形用Al−
Mg系合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23770895A JP3835707B2 (ja) | 1995-08-23 | 1995-08-23 | 成形用Al−Mg系合金板の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0959751A true JPH0959751A (ja) | 1997-03-04 |
JP3835707B2 JP3835707B2 (ja) | 2006-10-18 |
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---|---|---|---|
JP23770895A Expired - Fee Related JP3835707B2 (ja) | 1995-08-23 | 1995-08-23 | 成形用Al−Mg系合金板の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007070672A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Furukawa Sky Kk | 疲労特性に優れたアルミニウム合金厚板の製造方法 |
JP2008297632A (ja) * | 2003-11-10 | 2008-12-11 | Showa Denko Kk | 成形品の製造方法 |
-
1995
- 1995-08-23 JP JP23770895A patent/JP3835707B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2008297632A (ja) * | 2003-11-10 | 2008-12-11 | Showa Denko Kk | 成形品の製造方法 |
JP2009084698A (ja) * | 2003-11-10 | 2009-04-23 | Showa Denko Kk | 成形品の製造方法 |
JP2013151754A (ja) * | 2003-11-10 | 2013-08-08 | Showa Denko Kk | 成形品の製造方法 |
JP2007070672A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Furukawa Sky Kk | 疲労特性に優れたアルミニウム合金厚板の製造方法 |
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