JPH0959551A - インクジェット記録用インク及びそのインクを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェット記録用インク及びそのインクを用いたインクジェットプリンタ

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JPH0959551A
JPH0959551A JP7215086A JP21508695A JPH0959551A JP H0959551 A JPH0959551 A JP H0959551A JP 7215086 A JP7215086 A JP 7215086A JP 21508695 A JP21508695 A JP 21508695A JP H0959551 A JPH0959551 A JP H0959551A
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ink
recording
absorbance
recording head
coloring material
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JP7215086A
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Chiyoshige Nakazawa
千代茂 中澤
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、赤色から近赤外色の光を光源とする
光学的文字認識走査装置やバーコード型走査装置に使用
するインクジェットプリンタ及びこれに用いるインクを
提供することを目的とする。 【解決手段】本発明のインクは、波長700nm〜11
00nmの光の吸光度が、図1に示すような特定な値で
あり、特にスルホン酸塩としたニグロシン染料や、カル
ボン酸塩としたニグロシン染料を含有することを特徴と
し、インクジェットプリンタのうち、熱エネルギーをイ
ンク滴吐出エネルギーとして使うプリンタと電気機械変
換によるエネルギーを使うプリンタそれぞれとこのイン
クを組み合わせたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドに設け
られた微細な吐出口(ノズル孔)からインクを吐出噴射
させ、その液滴によって記録を行うインクジェット記録
方式に適し、赤外線吸収特性を持つインクの組成及びこ
のインクを用いたインクジェットプリンタに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より通帳記載可能の現金自動支払機
(ATM)等に使われている光学的文字認識走査装置
(OCR、OMR)や、近年物流管理や製品管理等にお
いて様々な分野で使用されるようになったバーコード型
の走査装置は、632.8nmのHe−Neレーザー、
660nmの発光ダイオード、670nmの半導体レー
ザー、690nmの発光ダイオード、780nmの半導
体レーザー、940nmの赤外発光ダイオード等を光源
に用いていることから、これら走査装置用のプリンタと
しては、赤色光ないし近赤外光に感度を有するカーボン
ブラック等の顔料を着色材とするドット方式のプリンタ
が使用されてきた。しかしながらドット方式のプリンタ
は、印字音が大きいという問題がある。更に、記録媒体
に段差があると、その段差に記録ヘッドのワイヤピンが
引っかかりピン折れが発生したり、ピンの摩耗が促進さ
れ、記録ヘッド延いてはプリンタの信頼性を損ねるとい
う問題を有する。
【0003】そこで近年、赤外光を吸収する特定染料を
含有するインクジェット記録用インクやこれを用いたイ
ンクジェットプリンタの開発が活発に行われている。例
えばクロム錯塩染料と特定の極性物質を組み合わせた方
法(特開昭56−135568号公報)、サルファ・ブ
ラック1等の特定染料と凝固防止剤を組み合わせた方法
(特開昭57−14660号公報)等が提案されてい
る。
【0004】更に本発明者も、特定の赤外線吸収材を添
加したインクを提案した。(特開平5−140493号
公報、特開平5−171079号公報、特開平5−17
1085号公報) 上記3件の公報でも説明したように、画信号に応じてイ
ンク粒子を細かいノズル孔から噴射し、飛跡を制御して
普通紙等の紙面に付着させ記録を得るインクジェット記
録方式のプリンタに用いられるインクには、良好な記録
を得るために、以下に記載するような多くの条件を満足
することが要求される。
【0005】(1)粘度、表面張力等の物性値が記録ヘ
ッドのインク吐出特性に応じた適正範囲内にあり、記録
ヘッドの吐出応答性、吐出安定性を損なわないこと。
【0006】(2)長期間の使用中に、記録ヘッドの材
料やインクを保持する部品を侵さないこと。
【0007】(3)長期間の保存に対して安定であり、
インク物性が変化しないこと。
【0008】(4)インクジェットプリンタの記録ヘッ
ドのノズル孔は、一般に直径10〜80μm程度であ
り、ノズル孔が目詰まりしたり、ノズル近傍に固形分、
粘着物が付着したり、ノズル内のインクが増粘したりす
ると、記録ができなくなったり、吐出安定性が低下す
る。そこで記録休止中にこのような現象を生じさせない
こと。
【0009】(5)記録に際して必要な印字濃度が得ら
れること。
【0010】一般にインク中の染料含有量を増して印字
濃度を高くしようとすると、上記(4)のノズル孔の目
詰まりが生じ易くなる傾向がある。従って、インクに使
用する溶媒に対する溶解度が高く、吸光度(ある波長の
光を吸収する能力)の高い染料が求められる。
【0011】更に記録ヘッド内のインクに記録信号に対
応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより記録ヘ
ッドのノズル孔から液滴として吐出噴射させて飛翔液滴
を形成し、記録媒体上にドット像を記録するインクジェ
ットプリンタにおいては、装置の使用寿命を向上させる
ために、記録ヘッドの繰り返し使用寿命(耐久寿命)を
向上させる必要がある。
【0012】上記のごとき記録ヘッドにおいては、記録
ヘッド内のインク流路に、サーマルヘッドを形成し、記
録信号に応じてサーマルヘッドを発熱させ、これにより
インクに気泡を発生させて、この圧力で液滴を吐出噴射
させている。このため上記のごとき記録法に適用される
記録ヘッドの使用寿命を決定している要因としては、具
備されるサーマルヘッドの寿命の他に、その表面への固
形物の沈積が挙げられる。すなわち気泡の発生、消滅の
繰り返しの際にインクは高熱を受けるため、熱的に不安
定なインクは、化学変化を起こし固形物が沈積して、記
録動作を妨げてしまうからである。
【0013】実際、気泡の発生、消滅を長く継続させる
と、その結果としてサーマルヘッドの表面近傍におい
て、不溶物の生成沈積が起きることで、サーマルヘッド
が発熱し難くなり、記録ヘッドの吐出不能を生じること
が、多くの実験で経験され、且つ観察されている。よっ
て、 (6)繰り返して高温に曝されても、化学的に安定であ
ること。
【0014】また、電気機械変換手段を用いてインクに
圧力を与えることにより、記録ヘッドのノズル孔から液
滴として吐出噴射させて飛翔液滴を形成し、記録媒体上
にドット像を記録するインクジェットプリンタにおいて
は、装置の信頼性を向上させるため、泡立ち難いインク
を使用する必要がある。
【0015】この記録ヘッドにおいては、記録ヘッド内
のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着され
た電気機械変換手段である圧電素子に電圧を印加するこ
とにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小してイ
ンク滴が吐出噴射される。然るに、記録ヘッドのインク
流路内に、インクの他に気体(気泡)が存在している
と、圧力室の容積が縮小しても、内在している気泡の体
積が小さくなるのみで、インク滴は吐出されなくなる。
ここで、インク流路内への気泡の侵入の原因として、泡
立ち易いインクを急激に流すためであると考えられる。
【0016】実際、泡立ち難いインクを使っている場合
には、インク流路内に気泡が発生したり、吐出不能が発
生することはないが、泡立ち易いインクを使っている場
合には、インク流路内に気泡が発生したり、それ故圧電
素子が撓み圧力室の容積が縮小しても、記録ヘッドの吐
出不能を生じることが、多くの実験で経験され、且つ観
察されている。よって、 (7)泡立ち難いこと。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技
術では次のような欠点があった。
【0018】(1)特開昭56−135568号公報の
インクを、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを与え
ることにより液滴を発生させるインクジェットプリンタ
に使用したところ、数万回の液滴の吐出噴射により、サ
ーマルヘッド表面への固形物の付着がみられ、更に数万
回の液滴の吐出噴射を続けると、記録ヘッドは吐出不能
となってしまった。またこのインクを、電気機械変換手
段を用いてインクに圧力を与えることにより液滴を発生
させるインクジェットプリンタに使用したところ、放置
前には印字していたプリンタが、その後印字しようとし
たところ印字不能となってしまった。該プリンタの記録
ヘッドのノズル孔を顕微鏡で観察したところ、ノズル孔
に固形物の析出がみられた。
【0019】(2)特開昭57−14660号公報のイ
ンクを、電気機械変換手段を用いてインクに圧力を与え
ることにより液滴を発生させるインクジェットプリンタ
に使用したところ、ヘッドの吐出不能を生じた。記録ヘ
ッド内のインク流路を拡大鏡を用いて観察したところ、
直径0.1mm程度の気泡が大量に存在した。
【0020】(3)上記の2件以外の従来技術において
も、要求される性能を個々に満足させるインクの開発は
行われたが、それらを総合して全部もしくは複数の要求
される性能を同時に満足させるインクは、いまだ開発さ
れていない。
【0021】(4)特開平5−140493号公報、特
開平5−171079号公報、特開平5−171085
号公報のインクに使用した特定の赤外線吸収材は、市場
において一般的でないという理由から値段が高く、入手
性が悪いという欠点を有していた。
【0022】そこで、本発明は、このような欠点を解決
するためになされたものであり、赤外線吸収性に優れて
おり、安価で入手性がよく、更に上記の要求特性(1)
から(7)を全て満たすインクジェット記録用インク、
及びこのインクを使ったインクジェットプリンタを提供
することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のインクは、少な
くとも着色材と、該着色材の溶媒である水とからなるイ
ンクにおいて、該インクの水への1000倍希釈液の、
1100nmから1000nmの赤外光に対する吸光度
が0.01以上0.2以下であり、且つ1000nmか
ら900nmの赤外光に対する吸光度が0.08以上
0.2以下であり、且つ900nmから800nmの赤
外光に対する吸光度が0.1以上0.3以下であり、且
つ800nmから700nmの近赤外光に対する吸光度
が0.15以上0.6以下であることを特徴とする。
【0024】更に本発明のインクは、着色材として、ス
ルホン酸塩としたニグロシン染料か、または、カルボン
酸塩としたニグロシン染料を用いたことを特徴とする。
【0025】また本発明のインクジェットプリンタは、
インクに熱エネルギーを作用させて、記録ヘッドのノズ
ル孔から液滴として吐出噴射させて飛翔液滴を形成し、
記録媒体上にドット像を記録するインクジェットプリン
タにおいて、インクが、少なくとも着色材と、該着色材
の溶媒である水とからなるインクにおいて、該インクの
水への1000倍希釈液の、1100nmから1000
nmの赤外光に対する吸光度が0.01以上0.2以下
であり、且つ1000nmから900nmの赤外光に対
する吸光度が0.08以上0.2以下であり、且つ90
0nmから800nmの赤外光に対する吸光度が0.1
以上0.3以下であり、且つ800nmから700nm
の近赤外光に対する吸光度が0.15以上0.6以下で
あることを特徴とする。
【0026】更にインクの着色材として、スルホン酸塩
としたニグロシン染料ないし、カルボン酸塩としたニグ
ロシン染料を用いたことを特徴とする。
【0027】また本発明のインクジェットプリンタは、
電気機械変換手段を用いてインクに圧力を与えることに
より、記録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出噴射さ
せて飛翔液滴を形成し、記録媒体上にドット像を記録す
るインクジェットプリンタにおいて、インクが、少なく
とも着色材と、該着色材の溶媒である水とからなるイン
クにおいて、該インクの1000倍希釈液の、1100
nmから1000nmの赤外光に対する吸光度が0.0
1以上0.2以下であり、且つ1000nmから900
nmの赤外光に対する吸光度が0.08以上0.2以下
であり、且つ900nmから800nmの赤外光に対す
る吸光度が0.1以上0.3以下であり、且つ800n
mから700nmの近赤外光に対する吸光度が0.15
以上0.6以下であることを特徴とする。
【0028】更にインクの着色材として、スルホン酸塩
としたニグロシン染料ないし、カルボン酸塩としたニグ
ロシン染料を用いたことを特徴とする。
【0029】
【作用】かかる手段によれば、 (1)インクが適度な赤外線吸収性を有しているため、
光学的文字認識走査装置などにも対応できる。
【0030】(2)赤外光に対する吸光度の上限値を規
定しており、着色材の添加量を規定することからノズル
孔への固形分の析出が起こり難い。
【0031】(3)特にスルホン酸塩としたニグロシン
染料ないし、カルボン酸塩としたニグロシン染料を着色
材として使用する場合、その赤外線吸収性能が高いた
め、少量の添加で必要な赤外線吸収性が得られる。
【0032】(4)特にスルホン酸塩としたニグロシン
染料や、カルボン酸塩としたニグロシン染料を着色材と
した場合、その特性から、その水溶物は泡立ち難く、そ
れ故これらを使った水溶性インクは泡立ち難い。
【0033】(5)特にスルホン酸塩としたニグロシン
染料ないし、カルボン酸塩としたニグロシン染料を着色
材とした場合、これらは、化学的安定性が高く、サーマ
ルヘッドによって繰り返しの高温にさらされても化学変
化が起こったり、サーマルヘッド表面に固形物が沈積す
るということがない。
【0034】(6)それ故、インクとしての化学的安定
性も高く、プリンタ用インクに適している。
【0035】(7)ニグロシン染料は古くから商品化さ
れており、入手性が良い。
【0036】
【発明の実施の形態】
[実施例1]下記表1の成分を混合し、攪拌を十分行っ
て溶解させた後、穴径0.8μmのメンブランフィルタ
ーを用いて濾過して水溶性インクを作製した。
【0037】
【表1】
【0038】図1は、この水溶性インクを脱イオン水で
1000倍に希釈した溶液の吸光度を、日立製作所製の
分光光度計U3000で1100nmから500nmの
波長範囲に付いて測定した結果である。1100nmに
おける吸光度が0.05、1000nmにおける吸光度
が0.08、900nmにおける吸光度が0.12、8
00nmにおける吸光度が0.18、700nmにおけ
る吸光度が0.38であることがわかる。
【0039】ここで本発明の実施例に係わるインクジェ
ットプリンタの記録ヘッドの基本構成と、プリンタの駆
動方法を説明する。
【0040】図2、図3、図4は、電気機械変換手段を
用いてインクに圧力を与えることにより、記録ヘッドの
ノズル孔から液滴として吐出噴射させて飛翔液滴を形成
し、記録媒体上にドット像を記録する本発明の第一のイ
ンクジェットプリンタの一実施例を示す図である。
【0041】図2は記録ヘッドの第1の基板の平面図、
図3はインク滴吐出中の記録ヘッドの部分断面図、図4
は記録ヘッドの部分斜視図である。それぞれの図におい
て、同一番号は同じものを示す。図2ではノズル孔の数
を9個、図4では簡単のためにノズル数を5個にして示
してあるが、ノズル孔の数はこれに限定されるものでは
ない。また第1の基板の両面にノズル孔があっても構わ
ない。
【0042】10は第1の基板であり、ポリサルフォ
ン、ポリカーボネイト等のプラスチック樹脂やガラス、
セラミックを型成形やレーザー加工等で成形したり、ガ
ラス板をフォトリソ技術を使い加工したり、ガラス板や
金属板に融着ないし接着した光硬化性樹脂をフォトリソ
技術を使って加工し成形したものである。11はノズル
孔、13は圧力室、15は共通インク室、12、14は
ノズル側及び供給側インク流路であり、第1の基板10
に彫って形成されている。16はインク供給口である。
圧電素子17は第1の基板10に第2の基板18が溶着
ないし接着されてインク流路が形成された後に、図の位
置の第2の基板上に接着される。20は飛翔インク滴、
21は記録媒体である。
【0043】本発明による第一のインクジェットプリン
タの駆動方法は、第1の基板10と第2の基板18が接
着ないし、溶着されてできた記録ヘッドのインク供給口
16から供給されたインク19が、ノズル孔11まで満
たされた状態にて、第2の基板18の圧力室13に対面
した位置に接着された圧電素子17に電圧を印加するこ
とにより、圧電素子17が撓み、圧力室13の容積が縮
小してインク滴20が吐出噴射され、記録媒体21に向
かって飛翔する。
【0044】次に上で作製したインクを、本インクジェ
ットプリンタに供給し、インク滴を吐出噴射させた。記
録ヘッドのノズル孔の寸法は、短辺60μm、長辺70
μm、高さ30μmの台形形状であり、ノズルピッチは
350μm、圧電素子の駆動電圧は常温で100V、周
波数2.0kHzである。
【0045】図5は、本実施例のインク滴吐出中の記録
ヘッドの透視図であり、インク供給口16から共通イン
ク室15、供給側インク流路14、圧力室13、ノズル
側インク流路12、ノズル孔11までインクで満たされ
ており、気泡の侵入がない。このためドット抜けが発生
することなく印字できる。
【0046】上記の条件にて、中性紙のPPC用紙と、
酸性紙のレジスター用紙、45kg上質紙、再生紙「や
まゆり」(本州製紙製)に印字を行い、インクが乾燥す
るまでの時間を目視で観察したところ、1秒以下であっ
た。更に印刷物の印字濃度を濃度計(マクベス社製、プ
リントコントラストメーターPCM−II)で測定し
た。約550nmに最大吸収を示す可視光型の感度特性
を持つフィルターを濃度計に挿入して印字ドットの反射
率を測定したところ、記録媒体により異なるが、平均し
て反射率は19%であった。これから印字濃度を計算す
ると、光学反射濃度OD値が0.72である。該フィル
ターに対するOD値が0.72あると、目でみたときに
も十分な黒さを感じる。
【0047】また約950nmに最大吸収を示す近赤外
線型の感度特性を持つフィルターを濃度計に挿入して印
字ドットの反射率を測定したところ、記録媒体によるば
らつきを平均して反射率は15%であった。これから印
字濃度を計算すると、光学反射濃度OD値が0.8であ
る。該フィルターに対するOD値が0.8あると、前に
記載した光学的文字認識走査装置や、バーコード型の走
査装置で認識することが十分可能である。
【0048】次にこのインクジェットプリンタを室温に
放置し、1週間後に印字したところ、正常に印字でき
た。プリンタの記録ヘッドのノズル孔を顕微鏡で観察し
たところ、ノズル孔はインクで満たされており、固形分
の析出は観察されなかった。
【0049】[実施例2]図6、図7、図8は、インク
に熱エネルギーを作用させて、記録ヘッドのノズル孔か
ら液滴として吐出噴射させて飛翔液滴を形成し、記録媒
体上にドット像を記録する本発明の第二のインクジェッ
トプリンタの一実施例を示す図である。
【0050】図6はインク滴吐出中の記録ヘッドの部分
断面図、図7は図6におけるA−Bでの部分断面図、図
8は図6、図7に示すサーマルヘッドを5個並べて構成
した記録ヘッドの部分斜視図である。それぞれの図にお
いて、同一番号は同じものを示す。この場合にも、ノズ
ル孔の数は5個に限定されるものではなく、何個でも構
わない。
【0051】記録ヘッドは、サーマルヘッド41と、基
板40とから構成される。基板40は、プラスチック樹
脂やガラス、セラミックを型成形やレーザー加工等で成
形したり、ガラス板をフォトリソ技術を使い加工した
り、ガラス板や金属板に融着ないし接着した光硬化性樹
脂をフォトリソ技術を使って加工し成形したものであ
る。サーマルヘッド41は、シリコン酸化物、シリコン
窒化物、タンタル酸化物等で形成される保護膜42、
金、銅、アルミニウム等で形成される電極43−1、4
3−2、タンタル・シリコン酸化物やポリシリコンで形
成される発熱抵抗体44、ガラス等でできた蓄熱層4
5、アルミナ(酸化アルミニウム)等の放熱性の良い基
板46より成っている。
【0052】本発明による第二のインクジェットプリン
タの駆動方法は、基板40とサーマルヘッド41が接着
ないし、溶着されてできた記録ヘッドのインク流路にイ
ンク47が満たされている状態で、電極43−1、43
−2に電気信号が加わると、サーマルヘッド41のnで
示される部分が急激に発熱し、ここに接しているインク
47に気泡が発生し、その圧力でインクが吐出噴射し、
ノズル孔48よりインク滴49となり、記録媒体50に
向かって飛翔する。
【0053】この記録ヘッドを用いて実施例1のインク
を吐出させた。記録ヘッドの駆動条件として、周波数5
kHz、印加電圧40V、印加パルス幅10μsecで
駆動したところ、1億回のインク滴の吐出噴射の後にお
いても、正常に吐出を行った。この記録ヘッドを分解
し、サーマルヘッド部分を顕微鏡で観察したところ、保
護層への固形分の付着は観察されなかった。
【0054】[実施例3]実施例1と同じ条件にて、下
記表2の成分の水溶性インクを作製した。
【0055】
【表2】
【0056】
【化1】
【0057】図9は、この水溶性インクを脱イオン水で
1000倍に希釈した溶液の吸光度を、日立製作所製の
分光光度計U3000で1100nmから500nmの
波長範囲に付いて測定した結果である。1100nmに
おける吸光度が0.15、1000nmにおける吸光度
が0.15、900nmにおける吸光度が0.19、8
00nmにおける吸光度が0.28、700nmにおけ
る吸光度が0.55であることがわかる。
【0058】このインクを、フォトリソ技術を使い、ガ
ラス板の両面にインク流路を形成した第1の基板と、厚
み0.3mmのガラス板の第2の基板2枚とからなる記
録ヘッドを用いた第一のインクジェットプリンタに供給
し、インク滴を吐出噴射させた。記録ヘッドのノズル孔
の寸法は、長さ40μm、高さ25μmの長方形形状で
あり、ノズル孔の数は片面に12個、両面で24個、ノ
ズルピッチは140μm、圧電素子の駆動電圧は常温で
120V、周波数2.5kHzである。
【0059】本実施例においても、インク吐出中にイン
ク流路への気泡の発生はみられなかった。また実施例1
と同様の記録媒体に印字を行い、インクが乾燥するまで
の時間を目視で観察したところ、20秒程度であった。
更に印刷物の印字濃度を濃度計で測定したところ、約5
50nmに最大吸収を示す可視光型の感度特性を持つフ
ィルターを濃度計に挿入しての反射率は、各記録媒体の
平均で5%であった。これから印字濃度を計算すると、
光学反射濃度OD値が1.3である。また約950nm
に最大吸収を示す近赤外線型の感度特性を持つフィルタ
ーを濃度計に挿入しての反射率は、各記録媒体の平均で
7%であった。これから印字濃度を計算すると、光学反
射濃度OD値が1.15である。このフィルターに対す
るOD値が1.15あると、上に記載した光学的文字認
識走査装置や、バーコード型の走査装置で認識すること
が可能である。
【0060】次にこのインクジェットプリンタを室温に
放置し、1週間後に印字したところ、正常に印字でき
た。プリンタの記録ヘッドのノズル孔を顕微鏡で観察し
たところ、ノズル孔はインクで満たされており、固形分
の析出は観察されなかった。
【0061】以上述べたごとく、本発明の実施例に係わ
るインクの基本組成としては、第1に着色材、第2に溶
媒である。
【0062】着色材としては、実施例1及び2で使用し
たスルホン酸塩としたニグロシン染料や、実施例3で使
用したカルボン酸塩としたニグロシン染料のみに限定さ
れることはない。
【0063】溶媒としては、水(脱イオン水または純
水)と、水溶性の各種有機溶剤の混合物を主な液媒体成
分とする。水溶性の有機溶剤としては、実施例1と2で
使用したポリエチレングリコールや、実施例3で使用し
たグリセリン、トリエチレングリコールの他に、蒸気圧
が低く、蒸発乾燥しにくいポリアルキレングリコール
類、アルキレングリコール類、多価アルコールの低級ア
ルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等や、エタノー
ル、イソプロパノール等の表面張力の低い溶剤などを使
用することができる。
【0064】上記成分の他に更に物性値を最適化した
り、特性を向上するために、粘度調整剤、表面張力調整
剤、防カビ剤等の添加剤を使用することができる。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、次のよう
な優れた効果を有する。
【0066】(1)スルホン酸塩としたニグロシン染料
や、カルボン酸塩としたニグロシン染料が優れた赤外線
吸収特性を持つと共に、他の水溶性染料との併用が可能
なため、インクとして印字することにより、目視での高
い濃度が確保できると共に、630nm〜940nmの
赤色あるいは近赤外の発光ダイオードや半導体レーザー
を用いた光学的文字認識装置(OCR、OMR)やバー
コード型の走査装置での認識が十分可能となり、これら
装置用のプリンタのインクとして使用できる。このよう
な効果が、再生紙を含むあらゆる種類の紙に対しても適
用できる。
【0067】(2)スルホン酸塩としたニグロシン染料
や、カルボン酸塩としたニグロシン染料は熱作用に対し
ても、また記録ヘッドやインクを保持する部品を構成す
るガラス、プラスチック、セラミック、ゴム等との化学
変化に対しても安定である。このため 本発明のインクを、記録ヘッド内のインクに記録信号
に対応した熱エネルギーを与え、このエネルギーにより
記録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出噴射させて飛
翔液滴を形成し、記録媒体上にドット像を記録するイン
クジェットプリンタに使用し繰り返しの熱作用を受けて
も、インクが化学変化を起こしたり、固形分が沈積した
り、吐出不能を起こしたりすることはない。
【0068】長期間の使用中や休止中に、記録ヘッド
の材料やインクを保持する部品と化学変化を起こすこと
がなく、それ故、これが原因となる固形分の析出やイン
ク物性値の変化、吐出不能が発生しない。
【0069】(3)スルホン酸塩としたニグロシン染料
や、カルボン酸塩としたニグロシン染料の、水やポリア
ルキレングリコール類、アルキレングリコール類、グリ
セリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン等の溶剤への溶解性が非常に良いことか
ら、本発明のインクを、記録ヘッド内のインクに記録信
号に対応した熱エネルギーを与え、このエネルギーによ
り記録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出噴射させて
飛翔液滴を形成し、記録媒体上にドット像を記録するイ
ンクジェットプリンタに使用する場合においても、ま
た、電気機械変換手段を用いてインクに圧力を与えるこ
とにより、記録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出噴
射させて飛翔液滴を形成し、記録媒体上にドット像を記
録するインクジェットプリンタに使用する場合において
も、ノズル孔への固形分の析出や粘着物の付着、ノズル
内のインクの粘度の大幅な増加はなく、長期間の記録休
止後においても正常に印字することができる。
【0070】(4)スルホン酸塩としたニグロシン染料
や、カルボン酸塩としたニグロシン染料の水溶物は、泡
立ち難く、それ故本発明のインクを電気機械変換手段を
用いてインクに圧力を与えることにより、記録ヘッドの
ノズル孔から液滴として吐出噴射させて飛翔液滴を形成
し、記録媒体上にドット像を記録するインクジェットプ
リンタに使用する場合、記録ヘッドやプリンタのいかな
る駆動条件においても、記録ヘッドのインク流路内への
気泡の発生はない。
【0071】(5)更に本発明によれば、インクジェッ
トプリンタ共有の必要特性であるところの、インクの保
存安定性、高い吐出安定性と吐出応答性、印字物の速や
かなる定着と高い印字品質が確保できるという効果も有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すインクジェット記録用
インクの1000倍希釈液の、その波長が500nm〜
1100nmの光の吸光度を示す図。
【図2】本発明の一実施例を示す記録ヘッドの第1の基
板の平面図。
【図3】本発明の一実施例を示すインク滴吐出中の記録
ヘッドの部分断面図。
【図4】本発明の一実施例を示す記録ヘッドの部分斜視
図。
【図5】本発明の一実施例を示すインク滴吐出中の記録
ヘッドの透視図。
【図6】本発明の別の実施例を示すインク滴吐出中の記
録ヘッドの部分断面図。
【図7】本発明の別の実施例を示す記録ヘッドの部分断
面図。
【図8】本発明の別の実施例を示す記録ヘッドの部分斜
視図。
【図9】本発明の別の実施例を示すインクジェット記録
用インクの1000倍希釈液の、その波長が500nm
〜1100nmの光の吸光度を示す図。
【符号の説明】
10 第1の基板 11 ノズル孔 17 圧電素子 18 第2の基板 20 飛翔インク滴 21 記録媒体 41 サーマルヘッド 48 ノズル孔 49 飛翔インク滴 50 記録媒体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも着色材と、該着色材の溶媒で
    ある水とからなるインクにおいて、該インクの水への1
    000倍希釈液の、1100nmから1000nmの赤
    外光に対する吸光度が0.01以上0.2以下であり、
    且つ1000nmから900nmの赤外光に対する吸光
    度が0.08以上0.2以下であり、且つ900nmか
    ら800nmの赤外光に対する吸光度が0.1以上0.
    3以下であり、且つ800nmから700nmの近赤外
    光に対する吸光度が0.15以上0.6以下であること
    を特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 着色材として、スルホン酸塩としたニグ
    ロシン染料を用いたことを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 着色材として、カルボン酸塩としたニグ
    ロシン染料を用いたことを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録用インク。
  4. 【請求項4】 インクに熱エネルギーを作用させて、記
    録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出噴射させて飛翔
    液滴を形成し、記録媒体上にドット像を記録するインク
    ジェットプリンタにおいて、前記インクとして請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用イン
    クを用いることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  5. 【請求項5】 電気機械変換手段を用いてインクに圧力
    を与えることにより、記録ヘッドのノズル孔から液滴と
    して吐出噴射させて飛翔液滴を形成し、記録媒体上にド
    ット像を記録するインクジェットプリンタにおいて、前
    記インクとして請求項1〜3のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録用インクを用いることを特徴とするイ
    ンクジェットプリンタ。
JP7215086A 1995-08-23 1995-08-23 インクジェット記録用インク及びそのインクを用いたインクジェットプリンタ Pending JPH0959551A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009536229A (ja) * 2006-05-13 2009-10-08 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー インクジェット用の水性カーボンブラック配合物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009536229A (ja) * 2006-05-13 2009-10-08 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー インクジェット用の水性カーボンブラック配合物
JP2013177622A (ja) * 2006-05-13 2013-09-09 Lanxess Deutschland Gmbh インクジェット用の水性カーボンブラック配合物

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