JPH08207320A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH08207320A
JPH08207320A JP27816095A JP27816095A JPH08207320A JP H08207320 A JPH08207320 A JP H08207320A JP 27816095 A JP27816095 A JP 27816095A JP 27816095 A JP27816095 A JP 27816095A JP H08207320 A JPH08207320 A JP H08207320A
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recording
recording liquid
heating element
nozzle plate
recording head
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Application number
JP27816095A
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English (en)
Inventor
Nobumasa Abe
信正 阿部
Kiyoji Momose
喜代治 百瀬
Koji Watanabe
康治 渡邉
Yuichi Nakamura
雄一 中村
Tsuneo Handa
恒雄 半田
Mitsutaka Nishikawa
光貴 西川
Katsumi Suzuki
克己 鈴木
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数色の記録液を吐出する記録液吐出口の位
置決めが容易なインクジェット記録装置を提供する。 【解決手段】 イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック
の各記録液滴を吐出するための記録液吐出口6列が列設
された単一のノズル板4と、記録液吐出口6と連通する
インク流路と、記録液滴を吐出するための圧力を発生さ
せる圧力発生手段5とを有し、前記イエローの記録液吐
出口列及びブラックの記録液吐出口列が相対する最外列
に配列されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液滴を紙等の
記録媒体に吐出して画像等の記録書き込みを行なうイン
クジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、米国特許第4359079号、米
国特許第4463359号、米国特許第4528577
号、米国特許第4568593号、米国特許第4587
534号明細書等に熱エネルギーにより記録液を吐出す
るインクジェット記録装置が開示されている。このよう
なインクジェット記録装置は、カラー化が容易であると
いう点から複数色の記録液を吐出するインクジェット記
録装置が提案されている。この様な記録装置の例として
は、単色の記録液を吐出する記録ヘッドを複数キャリッ
ジ上に配置したものや、複数のヘッドを一体にしてカラ
ーヘッドユニットとして配置したものが提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成されたインクジェット記録ヘッドは、複数色の
記録液吐出口を正確に位置決めする必要があり、高い位
置決め精度が要求される。また、記録ヘッドを記録装置
のキャリッジに装着する場合、記録ヘッドの取り付け時
の傾きも管理する必要があり、複数色の場合にはその記
録液吐出口列の間隔も広くなる場合もあり、この様な場
合には特に傾き管理が重要になってくる。
【0004】本発明の目的は、上述の課題を解決したイ
ンクジェット記録装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録装置は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの
各記録液滴を吐出するための記録液吐出口列が列設され
たノズル板と、記録液吐出口と連通するインク流路と、
記録液滴を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手
段とを有し、前記イエローの記録液吐出口列及びブラッ
クの記録液吐出口列が相対する最外列に配列されている
ことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づき説
明する。
【0007】図3は本発明のインクジェット記録装置の
実施例を示す概略の全体構成図である。
【0008】図3において、記録ヘッド21は記録液タ
ンク20から記録液供給パイプ1を通じて記録液の供給
を受けながらキャリッジガイド23にガイドされて矢印
Bの方向に移動し、プラテン29及びガイドローラ31
によって記録ヘッド21と同期した間欠改行送りされる
記録紙30にインクジェット記録を行う。
【0009】次に、本発明のインクジェット記録装置の
主要部分である記録ヘッドについて詳細に説明する。
【0010】図1は本発明のインクジェット記録装置の
記録ヘッド21の構造を示す斜視図であり、図2は図の
断面図である。
【0011】図1及び図2で各部の動作を簡単に説明す
る。図1において、基板2a及び2bの上にはノズル板
4が接合されている。図2の記録液供給パイプ1から供
給される記録液はベース3と底板10及び基板2a、2
bに囲まれた記録液溜まり13に送られ、フィルター1
1で濾過された後、記録液供給溝9を通って基板2a、
2bとノズル板4の間の間隙g(インク流路)へ供給さ
れる。この間隙内の空気は記録液吐出口6と空気抜き穴
32から排出されて記録液吐出に悪影響を与える気泡の
残留を防いでいる。
【0012】各部の好適な寸法は、記録液供給溝9の開
口面積(図1、図2においてl×wで示される面積)が
記録液供給パイプ1の流路断面積以上で、記録液吐出部
のg×lで示される面積の2倍以上であれば記録液供給
の妨げとならない。具体的には、100〜500μm程
度が好ましい。また、記録液供給溝9の中央から記録液
吐出口6及び圧力発生手段である発熱体5の中心までの
距離hは、100〜800μm程度が好ましく、記録液
吐出口6及び発熱体5の中心から空気抜き穴32の中心
までの距離iは、100〜700μm以上が好ましい。
記録液吐出口6及び発熱体5のピッチは100μm以上
が好ましく、例えば図1の構成では240dpi、32
ノズルの記録ヘッド、または180dpi、24ノズル
の記録ヘッド等が得られる。また、間隙gは15〜80
μm程度が好ましく、25〜40μmが好適である。記
録液吐出口6の穴径は10〜100μm程度が好まし
く、30〜60μmが好適であり、記録密度及び記録液
の物性値(粘度、表面張力、着色剤の混合比など)を指
標として選択する。発熱体5の発熱面積は記録液吐出口
6の開口面積の3〜20倍が好ましい。
【0013】図1の戻り、各発熱体5には各電極7を通
じてスイッチング素子swにより電力が時分割で間欠的
に供給されてジュール熱が生じ、発熱体5の表面に接す
る記録液が急激な膜沸騰を起こすことによって発生する
圧力変化で図3のように記録液吐出口6から記録液滴を
吐出するものである。また、発熱体5近傍のノズル板4
及び基板2a、2bには従来のように相互の発熱体が状
態変化に伴って発生する相互干渉(以下、クロストーク
という)を防止する隔壁は設けていない。
【0014】ここで、本装置の回路構成について説明す
る。
【0015】図4に本装置の概略回路構成を示すブロッ
ク図を、図5に時分割駆動回路の具体的な回路図を、図
6には図5の時分割駆動回路におけるタイミング図を示
す。なお、図5及び図6には24個の記録液吐出口及び
発熱体を有する記録ヘッドの時分割駆動回路とタイミン
グ図である。
【0016】本装置に接続されたホストコンピュータ5
0より記録指令が中央処理装置50に入力されると、中
央処理装置51はキャラクタジェネレータ52からホス
トコンピュータ50の要求に応じた記録データを順次呼
び出し、ラッチ55に発熱体駆動回路59に対応する記
録データを出力する。発熱体駆動回路59の工数分の記
録データがラッチ55に入力されると、中央処理装置5
1はフリップフロップ54及びラッチ55にトリガー信
号TGRを発し、ラッチ55は前記記録データを取り込
む。フリップフロップ54はトリガー信号TRGにより
発信源57に発振を開始させ、単パルス発生回路56は
発信源57の発振信号とトリガー信号TRGにより一つ
のパルスをシフトレジスタ58に入力する。シフトレジ
スタ58は単バルス発生回路56から一つのパルスをシ
フトデータとし、発振源57の発振信号をクロックとし
て発熱体駆動回路59を順次時分割で作動させる。発熱
体駆動回路59はラッチ55の記録データとシフトレジ
スタ58の時分割信号によって記録ヘッド21の発熱体
5を選択的に動作して記録液滴を吐出させ、インクジェ
ット記録を行うものである。
【0017】ここで、基板と薄膜構造について説明す
る。図7(a)、(b)、(c)に図1のA部の基板と
薄膜構造の例を示す。
【0018】図7(a)において、耐記録液性、耐熱性
及び適度な蓄熱性と放熱効果を考慮して、シリコン板、
アルミナ板、ガラス板などの母材14の表面に蓄熱層1
5としてSiO2をスパッタリング等で形成したものが
好ましい。また、発熱体5はTa−Sio2またはTi
−N−SiO2が好ましい。TaあるいはTa−N等は
耐熱性はあるが耐薬品性、耐酸化性にかけており、Si
2を組成として加えることにより耐薬品性、耐酸化性
に優れた発熱体となる。
【0019】この発熱体5の抵抗耐薄膜は、Ta粒子を
SiO2でコートした粒子をプレス焼成したターゲット
をArあるいはAr−N2中でスパッタリングすること
により得られる。コートするSiO2の量を変えること
によりTaとSiO2の組成比を変え、Arに対するN2
の混合比を変えることにより安定した組成の膜が得られ
る。
【0020】次に、Ti,Cr,Ni−Cr等の密着性
改善膜16とAr,Pt,Pd,Al,Cu等を素材と
する電極7をスパッタリングによって形成し、所定の形
状に選択エッチングした。選択エッチングは一般的なフ
ォトリソグラフィを用い、湿式エッチング、乾式エッチ
ングのどちらでもよく、本例では乾式エッチングを用い
た。密着性改善膜16が記録液中へ電気化学的に溶出す
るのを防ぎ、電極の導体抵抗を下げるためにTiを素材
とした補助電極17で電極7をカバーするようにスパッ
タリング、フォトリソグラフィで形成する。その後、C
F4ガスにてプラズマエッチングした。
【0021】図7(b)、(c)に図1A部の基板と薄
膜構造の他の例を示す。いずれも発熱体5が最表面とな
るように図7(a)とほぼ同様な工程で作成でき、電極
2重構造にしなくてよい。図7(c)はあらかじめ母材
14にフォトリソグラフィ(本例では乾式エッチング)
で溝を設けておき、その溝に電極7を形成し、最表面が
発熱体5となるように構成したもので、図7(a)、
(b)の用に電極段差部のカバーを考慮しなくて良い。
【0022】さらに、ノズル板4を金属材料で構成する
ときには図8のように発熱体の記録液加熱部分を除いた
面を感光性樹脂等を用いた絶縁層19で覆うことにより
ノズル板を導通経路とする薄膜回路の短絡を防ぐことが
できる。絶縁層19の形成には従来の保護層のように厳
密な膜圧管理は必要としない。
【0023】各膜の好適な厚さは蓄熱層15が2〜5μ
m、密着性改善膜16が0.05〜0.5μm、電極7
が0.4〜2μm、補助電極17が0.05〜1μmで
ある。 図7の薄膜構造を密着性改善膜16としてCr
を0.4μm、電極7としてArを1.5μm、補助電
極17としてTiを0.5μmで構成し、発熱体5の組
成とスパッタ条件を表1の様に変えて試作した。なお、
共通条件として装置は2極RFマグネトロンスパッタ装
置で、母材の回転数は10rpm、母材温度250℃、
RFパワーは2W/cm2である。また、スパッタ時間
を調整して全てのサンプルのシート抵抗を同じにした。
なお、発熱体5の形状は86×172μmである。
【0024】
【表1】
【0025】これらの試作サンプルで作成した図1の構
成による記録密度180dpi、24ノズルの記録ヘッ
ドで、発熱体5に約4.0×108W/m2、通電時間6
μs、周波数2KHzの駆動電力を与えて耐久試験を実
施し表2に示す結果を得た。なお、試験用記録液として
は次のものをしようした。
【0026】 〈記録液a〉 C.I.ダイレクトブラック 154 5wt% ジエチレングリコール 55wt% 純粋 40wt%
【0027】
【表2】
【0028】表2において発熱体と抵抗はどれも約50
Ωである。寿命と示してあるのは発熱体の抵抗値が20
Ω%以上変化するまでの累積通電時間回数である。
【0029】これらの結果からTa−SiO2系でTa
の組成が58〜65重量モル%のとき5億ドット以上の
耐久性が確保できることがわかった。さらに、Ta−N
−SiO2毛の場合Taの組成が60〜80重量モル%
の時7億ドット以上の耐久性が確保できることがわかっ
た。従って、発熱体の適正厚みは0.5〜1.8μmで
ある。耐久試験後にノズル板を除去して耐久試験後の発
熱体表面を調査すると、表面の組成分析では記録液能勢
異聞の付着が認められたが、光学的観察でははっきりと
は認められず、保護層なしでの記録液成分のこげつき防
止効果が現われている。また、電極の腐食や溶出も認め
られず、図7(a)、(b)、(c)のいずれの薄膜構
成でも耐久性に優位差はみられなかった。さらに、従来
と比較して保護層がないので記録液吐出に要するエネル
ギーを約30%低減させることが出来た。
【0030】また、前述の耐久試験後の発熱体表面観察
において、発熱体の図9のような損傷部60がみられ
た。図9(a)は損傷の初期状態で、図9(b)は損傷
が進行して発熱体が破損した状態である。この損傷の発
生過程を図10で説明する。
【0031】発熱体5への通電により、図10(a)の
ように発熱体表面に気泡62が発生し、通電開始後約1
0μsで図10(b)のように気泡62は成長して記録
液滴を吐出する。通電が打ち切られると気泡62は図1
0(c)のように収縮を開始して、記録液吐出口周辺部
から記録液が表面張力によって供給される。気泡61の
収縮は図10(d),(e)のように急速に進行し、収
縮開始から10〜20μsで消滅する。この消滅の際に
図10(e)の矢印Eの方向に集中した衝撃波が発生し
て発熱体5に衝突して図9(a)のような破損部が生じ
るものである。さらに、発熱体の駆動を継続すると、破
損部を起点として破損が成長し、逆には図9(b)のよ
うに発熱体5の破断にいたる(以下この破壊をキャビテ
ーション破壊と呼ぶ)。
【0032】前述のように発熱体材料にTa−SiO2
あるいはTa−N−SiO2を用いることにより、この
様な破損が生じても7億ドット以上の耐久性を確保でき
るが、キャビテーション破壊を回避するには次のような
4つの方法がある。
【0033】第1には発熱体以外の位置で気泡を消滅さ
せる方法で、具体例を図11に示す。いずれも図9の気
泡が消滅する位置である発熱体形状の中心を避けて発熱
体を設けてある。
【0034】表2のNo.4の発熱体を用いて図11
(a)〜(d)の発熱体形状で基板を作成し、この基板
を水中において発熱体を駆動し、加熱状態変化によって
発生する気泡の形状をストロボ、オシロスコープ、顕微
鏡等により観察すると、成長過程で気泡は一つにまとま
り、消滅時まで一つのままであった。また、気泡の消滅
市は発熱体形状のほぼ中心位置であった。
【0035】そこで、図1の記録ヘッドを複数作成し、
前述と同様の耐久試験を実施して記録ヘッドの耐久性と
キャビテーション破壊の状況を調査したところ、全数1
0億ドットの寿命が得られ、破損部は11図に示した発
熱体形状の中心に発生し、寿命原因は電気化学的な発熱
体の剥離による破断であった。
【0036】また、記録ヘッドの記録液滴吐出方向を水
平方向を基準として装置の上下方向に±30°変化させ
て同様に耐久試験を行なったが、耐久性及び破損部に大
きな差は見られなかった。表2において、No.4の発
熱体の耐久性は7億ドットであるので発熱体以外の位置
で気泡を消滅させる事が耐久性を向上させるのに効果的
であることが判明した。
【0037】第2には1つの記録液滴吐出口に対応する
発熱体の少なくとも一部を発熱体に電力を供給する回路
と並列な回路構成となるようにする方法で、図12に具
体例を示す。
【0038】第1の方法と同様に図12(a)〜(c)
の発熱体形状で基板作成をし、気泡発生状態に差異がな
いことを確認した後、同様に耐久試験を試みた。その結
果、やはり10億ドットの寿命が得れ、発熱体の破損状
況を調査すると、例えば、図12(a)の発熱体形状に
おいて5本に分岐した発熱体の中央の1ないし3本がキ
ャビテーション破壊しており、木の葉村が2本までであ
ればインクジェット記録に支障がないことがわかった。
【0039】また、第1の方法と同様に記録ヘッドの記
録液滴吐出方法を変化させて耐久試験を行なったが、耐
久性及び波疎部に大きな差は見られなかった。
【0040】この結果から、1つの記録液滴吐出口に対
応する発熱体の少なくとも一部を発熱体に電力を強きゅ
する回路と並列な回路構成をとることによりキャビテー
ション破壊を発熱体の一部にとどめることができ、信頼
性、耐久性を向上させることに効果的であった。
【0041】第3には加熱状態変化で発生した気泡が消
滅する位置に厚さ5μm以上の膜を設ける方法で、図1
3(f)に基板の断面でみた発熱体と前記膜の構成を示
す。図13(f)に基板の断面でみた発熱体と前記膜の
構成を示す。図13(f)において記号hは発熱体表面
からの膜63の高さをしめす。
【0042】膜63の材料としてはTa,Ti,Au,
Pt,Cr等の導電性材料、または、SiO2,Ta2
5、感光性樹脂等の絶縁性材料が適応でき、Ti,A
u,SiO2,Ta25が耐久性で優れている。膜63
は電極や発熱体を形成する薄膜工程にてメッキ、フォト
リソグラフィ等により形成できる。
【0043】膜63の高さhを変えて第1の方法と同様
に基板を作成して、気泡の発生、消滅を水中で観察し
た。その結果、h<5μmでは図13(g)のように気
泡消滅位置が発熱体上であったが、h≧5μmとするこ
とにより、図13(h)のように気泡消滅位置が膜63
付近となった。さらに、第1の方法と同様に耐久試験を
実施したところ、h<5μmでは10億ドットの耐久性
で発熱体がキャビテーション破壊による破損は認められ
ず、膜63の破損もわずかであった。また、第1の方法
と同様に記録ヘッドの記録液滴吐出方向を変化させて耐
久試験を行なったが、耐久性及び破損に大きな差はみら
れなかった。
【0044】従って、加熱状態変化で発生した気泡が消
滅する位置に厚さ5μm以上の膜を設けることが耐久性
を向上させるのに効果的であることが判明した。
【0045】さらに、第4の方法として、記録液吐出口
周辺の記録液温度を70℃以上に保つ温度制御回路を設
ける方法がある。
【0046】第1の方法と同じ基板で気泡の発生、消滅
を加熱した水中で確認した。その結果、気泡の消滅時間
が水温50℃で約1.2倍、水温70℃で約2倍とな
り、気泡の消滅速度が減少する傾向がみられ、キャビテ
ーション破壊の軽減が期待できた。そこで、この方法を
実現するための具体的な手段を次ぎに示す。
【0047】図4及び図14でこの温度制御回路及び温
度制御方法について説明する。図14に示すように記録
ヘッド5に温度センサ71及び加熱装置70を設ける。
温度センサ71及び加熱装置70の設置場所は図14に
限定されるものではなく、記録ヘッドの外周部または内
部に任意に設置可能である。図4において温度センサ7
1からの信号は比較回路72で抵抗vrとrによって決
められた基準と電圧比較され、比較結果に応じた比較回
路の出力バッファbufを介してトランジスタTrをオ
ン・オフ制御することにより記録液の温度がほぼ一定と
なるように制御する。前記基準電圧の値を選択すること
により記録液の加熱設定温度を任意に制御することが可
能である。温度センサ71としては一般的なサーミスタ
が適当であり、加熱装置70としてはシースヒーター、
正特性サーミスタ(以下、PTCサーミスタという)等
が適当である。特に、記録液の加熱設定温度が一定値に
きまっている場合には、PTCサーミスタの自己温度制
御作用により加熱温度を管理することが出来るので、加
熱装置70以外の温度制御回路を省略することも可能で
ある。
【0048】前述の第1の方法と同様に記録ヘッドを試
作し、温度センサ71としてサーミスタを、加熱装置7
0として常温抵抗値80Ω、キュリー点100℃のPT
Cサーミスタ(村田製作所製 ポジスタ)を取り付け
た。記録液の加熱温度を変えて第1の方法と同様に耐久
試験を実施した結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3の結果より、記録液温度を70℃以上
にした場合には10億ドット以上の耐久性が得られた。
また、耐久性試験後にノズル板を除去して発熱体表面を
観察すると、記録液温度を80℃以上にした記録ヘッド
の発熱体表面にはキャビテーション破壊による損傷が認
められず、70℃では損傷がごくわずかで、60℃以下
は明らかに損傷が認められた。
【0051】以上の結果から、記録液吐出口周辺の記録
液温度を70℃以上に保つことで耐久性、信頼性を高め
る上で有効であることが観察された。
【0052】ここで述べた4つの方法は、相互に組み合
わせて採用することにより、耐久性、信頼性をより向上
させることができる。
【0053】図15は第1の記録ヘッドのCC’断面を
示した断面図である。また、図16は図15の発熱体5
a,5b,5cの駆動方法を示すタイミング図である。
発熱体5aに印加電圧V1、パルス幅T1なる矩形波パ
ルスを与え、ズレ時間Tint経過後に発熱体5bに印
加電圧V1、パルス幅T1なる矩形波パルスを与え、さ
らにズレ時間Tint経過後に発熱体5cに印加電圧V
1、パルス幅T1なる矩形波パルスを与えるものとす
る。
【0054】図15の発熱体ピッチpを106μm、2
02μm317μmの3段階に変えて、発熱体組成が表
1のNo.9である記録ヘッドを試作した。発熱体の発
熱部分の大きさは80×160μmである。記録ヘッド
を発熱体仕事率4.0×108W/m2、パルス幅T1
を6μs、個々の発熱体の駆動周波数を2KHzで駆動
させ、ズレ時間Tintを変えた様々な駆動状態で前記
記録液aを吐出させ、ストロボ、オシロスコープ、顕微
鏡等により吐出状態及び記録液滴速度を調査した。その
結果、発熱体ピッチpに無関係で図17のような関係が
得られた。
【0055】図17において、ズレ時間TintがTa
bよりも小さい場合(領域S)においては、記録液滴は
安定して吐出し、記録液滴速度も大きいが、近接した記
録液吐出口から記録液は盛り上がるクロストークが生じ
て盛り上がった記録液がノズル板前面にたまって吐出不
良を起こした。ずれ時間TintがTab以Tbc未満
の場合(領域M)においては前記クロストークは生じな
いが記録液滴が安定して吐出せず、記録液滴速度も小さ
かった。しかしながら、ずれ時間TintがTbc以上
の場合(領域L)は記録液滴が安定して吐出し、記録液
滴速度も大きく、前記クロストークも生じなかった。
【0056】記録液滴が安定して吐出し、記録液滴速度
も大きく、クロストークが生じないTbcは発熱体ピッ
チpに係わらずその時間は約40μsであった。また、
その時の記録液滴速度は約10m/secであった。
【0057】クロストーク防止のために同様な手段とし
て特開昭59−71869号公報では図15の発熱体ピ
ッチpが130μmのとき、前記ずれ時間Tintを3
μs、15μs、27μsとすることが有効と開示され
ているが(図17の領域Sに相当する)、高密度で高画
質なインクジェット記録を得るためには40μs以上と
することが有効と判明した。
【0058】一方、前記ずれ時間を設けることにより、
記録紙上に記録される液滴の記録位置ずれが起こる。特
に、高密度なインクジェット記録を行なう接合こは、こ
の位置ずれが印字品質上で大きな問題となる。
【0059】そこで、図3の記録ヘッド走査方向Bに対
して記録液吐出口6と発熱体5の並びを斜めに配置する
ことによって、前記時分割駆動のずれ時間で生する前記
記録位置ずれを解消する。具体的な位置ずれの解消方法
を図18で説明する。
【0060】図18(a)は図1および図3の記録ヘッ
ドの記録液吐出口6の内、任意の隣合う2つを記録ヘッ
ド正面から見た図であり、図18(b)は図3の矢印B
の方向に記録ヘッドが記録紙30に対して走査された時
の記録液吐出口6a、6bのそれぞれに対応する発熱体
5の駆動タイミングを示す駆動波形図である。
【0061】図18(a)において、隣接する記録液吐
出口6a、6bは記録ヘッドの走査方向Bに対してXa
bの距離だけ斜めに配置されており、図18(b)に示
すように記録液吐出口6a、6bに対応する発熱体は駆
動周期T、パルス幅TIで、ずれ時間Tintの時間差
を設けて時分割駆動される。
【0062】この構成によれば、記録ヘッドの矢印B方
向への走査が距離Xabだけ進む時間を前記ずれ時間T
intまたはTintに駆動周期Tの整数倍を加えた時
間とすることにより、記録ヘッドの走査と発熱体時分割
駆動による記録位置ずれは完全に解消される。この記録
位置ずれを解消する条件は、最少の駆動周期Tの間に記
録ヘッドが走査される長さ、即ち、同一の記録液吐出口
により記録される記録ヘッドの走査方向Bの最少ピッチ
をDPとすると、1を整数として、 Xab=DP(Tint/T+1) と示すことができる。上式におけるXabとTintの
関係の誤差は記録位置のずれを生むために正確あること
が望ましく、印字品質の面からXabの誤差はDPの1
/5以下であることが望ましく、さらにはDPの1/1
0以下であれば、目視で位置ずれの判別がつかなくなる
ので好適である。
【0063】次に本例の記録ヘッド21に用いるノズル
板4の形状について述べる。
【0064】前記従来例の米国HEWLETT−PAC
KARD社ジャーナルに記載されている記録ヘッドのノ
ズル板はNi電鋳により形成され、ノズル板外周部の基
板と対向する面に多数の微小突起部が設けて有り、発熱
本と記録液吐出口の間の記録液を保持する空隙をこの突
起部の高さで決定し、接着剤を介して基板およびノズル
板を接合している。記録液滴を複数記録液吐出口から安
定して吐出させるためには微小突起部がノズル板の製造
過程で均一な高さに形成されることが不可欠であり、ノ
ズル板製造を難しくしている。また、記録液が基板とノ
ズル板を接合する接着剤に直接触れるので、該接着剤と
記録液成分が反応して、ノズル板の接着力を低下させた
り、析出物が発生して記録液吐出口の目詰まりを起こす
問題がある。
【0065】本例では図1、図2のようにノズル板を記
録液吐出口を有する吐出口部33と、該吐出口部の周囲
に吐出口部と一様な段差を有する段差部34で構成し、
該段差部により基板と前記ノズル板吐口部の間に空隙を
構成するようにした。前記吐出口部には従来のような隔
壁は設けていない。
【0066】また、図1においてノズル板4と基板2
a、2bには位置合わせマーク12aおよび12bを設
ける。ノズル板4上の位置合わせマーク12aは電銭・
プレス・エッチング等によって製造されるノズル板製造
過程内で作られるもので、記録液吐出口6との位置精度
は数μm程度に確保される。一方、基板2a、2b上の
位置合わせマーク12bは発熱体5および電極7の薄膜
回路の製造過程内で作られるもで、発熱体5との位置精
度も数μm程度に確保さる。従つて、両マークによって
ノズル板4上の記録液吐出口6と基板2a、2b上の発
熱体5の位置は精度数μm程度で合わせることが可能で
ある。
【0067】ノズル板4上の位置合わせマーク12aは
前記空隙による誤差での位置合わせ誤差を防ぐために前
記吐出口部よりも段差部にあることが好ましく、また、
図1のようにノズル板4の縁に限定するものではない。
【0068】ノズル板4と基板2a、2bは図1の接着
部18で接着され、接着剤と記録液が直接に触れ合わな
いように固定される。
【0069】ここで前記記録ヘッドの製造方法について
述べる。
【0070】まず、図19のように記録液溜り13設け
たを樹脂または金属製のべース3に薄膜回路を形成した
基板2を接着等によって接合する。次に、図20の如く
ダイシングソー等の切削工具36で記録液供給溝9を形
成すると共に基板を2a、2bに分断する。超音波洗浄
等によって切削加工時の切り屑を除去した後に、図21
のように前述の位置合わせマーク12a、12bによっ
て発熱体5と記録液吐出口6の相互位置を決定してノズ
ル板4と基板2a、2bを接合し、記録液供給パイプ1
とフィルター11を備えた底板10を装着する。最後
に、記録液の漏れを防ぐため図22の封止部8熱硬化製
封止剤等で塞ぎ、前記記録ヘッドを得る。
【0071】このように本発明のインクジュット記録装
置の記録ヘッドは従来の流路を形成するタイプのインク
ジェット記録ヘッドよりも極めて単純な工程で製造する
ことができる。また、前記米国HENLETT−PAC
KARO社ジャーナルに記載された記録ヘッドのよう
に、基板の記録液供給部の加工に超音波加工の製造歩留
りが低く加工速度の遅い手段を用いなくてよい。
【0072】次に、本発明のインクジェット記録装置に
適応する記録ヘッドの他の構成について説明する。
【0073】図23は前述の記録ヘッド製造方法に基づ
いて構成したカラーインクジェット記録ヘッドの例であ
る。図23の記録ヘッドは一枚の基板からイエロー、マ
ゼンダ、シアン、ブラックの4色の記録ヘッドが製造で
きるので、基板上の薄膜回路形成精度で各色記録液吐出
部相互の精度が決定しており、従来のカラーインクジェ
ット記録装置では調整が難しかった良好な混色状態を得
るための各色記録液吐出部の位置合わせを不要にするこ
とができる。なお、図23ではノズル板4を一枚で構成
したが複数枚で構成してもよい。
【0074】図24および図25は高密度・高画質記録
に適する記録ヘッドの例である。いずれも記録液供給溝
9と対称に片側2列、両側で合計4列の記録液吐出部が
設けてあり、例えば、1列90dpiとすると360d
piの記録ヘッドが構成できる。
【0075】また、図25ではノズル板4を押え板37
によって固定するもので、ノズル板4と基板2a、2b
が機械的に固定されるので接着よりも信頼性が高く、長
期間使用可能な記録ヘッドが得られる。なお、パッキン
38はノズル板4と基板2a、2bの間からの記録液漏
れを防ぐ効果を果す。
【0076】最後に本発明のインクジェット記録装置に
用いる記録液について説明する。
【0077】市販上質紙等の汎用記録紙に高画質なイン
クジェット記録を可能にする第一の方法として、イオン
性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を記録液に添
加し、記録液の記録紙への浸透効果を高める方法があ
る。該界面活性剤としては表4のものが代表例として上
げられる。
【0078】
【表4】
【0079】イオン性界面活性剤はミセル(分子集合
体)形成温度以上添加することにより十分な浸透効果が
得られ、添加量が多すぎると記録液物性値が不安定にな
る上、界面活性剤が析出して吐出口の目詰まりをまね
く。適正添加量は0.5〜3wt%添加が適当である。
特に、イオン性界面活性剤としてはミセルを形成する温
度でクラフト点が低く前記析出が起こりにくいジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウムが適当である。
【0080】一方、非イオン系界面活性剤の場合、疎水
性基の分子量が大きくなりすぎると水溶性が低下して記
録液粘度も上昇する。反面、分子量の小さいものは蒸気
圧が高いため記録液中から蒸発してしまい、悪臭も発す
る上に記録液成分が変化しやすく吐出口目詰まりもおこ
しやすい。適当な界面活性剤としては表4の2種類の非
イオン性界面活性剤が好ましく、十分な浸透性を得る添
加剤としては5〜50wt%が良く、最適値としては1
0〜30wt%である。
【0081】記録液に添加する着色剤としては従来から
知られている染料や顔料を用いることができる。染料と
して一般的には各種アゾ染料、インジゴイド染料、フタ
ロシアニン染料等があり、具体的には、C.I.ダイレ
クトブラック19、C.I.ダイレクトブラック22、
C.I.ダイレクトブラック38、C.I.ダイレクト
ブラック154、C.I.ダイレクトイエロー12、
C.I.ダイレクトイエロー26、C.I.ダイレクト
レッド13、C.I.ダイレクトレッド17、C.I.
ダイレクトブルー78、C.I.ダイレクトブルー9
0、C.I.アシッドブラック52、C.I.アシッド
イエロー25、C.I.アシッドレッド37、C.I.
アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド254、
C.I.アシッドブルー9等が使用可能である。
【0082】また、顔料としては無機顔料、有機顔料の
粒径が0.01〜3μmの範囲のものが使用でき、分散
剤を用いて拡散させるのが良い。目的とする色相を得る
ためにこれらの着色剤を2種類以上添加しても良い。
【0083】前述の界面活性剤を添加した記録液は記録
紙に付着すると急速に浸透拡散するので、十分な印字濃
度を得るために、前記着色剤の添加量は3〜10wt%
が好適であり、5〜7wt%が最適である。
【0084】記録液吐出口の目詰まりを防止する目的で
記録液に混入する湿潤剤としては、グリセリン、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール#200、#300、#400等を単独又
は混合して使用可能である。
【0085】この湿潤剤を着色剤添加量の3〜7倍以上
混入することにより十分な湿潤効果が得られる。
【0086】さらに、前述の成分以外にも防腐剤、防か
び剤、pH調整剤、キレート剤も適宜添加することもで
きる。なお、残部は水で調整する。
【0087】具体的な記録液の組成を以下に示す。
【0088】 〈記録液b〉 C.I.ダイレクトブラック154 7wt% グリセリン 15wt% ポリエチレングリコール#300 15wt% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1wt% プロキセル(I.C.I社製防かび剤)0.2wt% 純粋 残 量 〈記録液c〉 C.I.ダイレクトブラック154 5wt% トリエチレングリコール 20wt% ジエチレングリコールモノブチルエーテル40wt% トリエタノールアミン 微 量 プロキセル(I.C.I社製防かび剤)0.2wt% 純粋 残 量 〈記録液d〉 C.I.ダイレクトブラック22 5wt% トリエチレングリコール 20wt% ジエチレングリコールモノブチルエーテル30wt% トリエタノールアミン 微 量 プロキセル(I.C.I社製防かび剤)0.2wt% 純粋 残 量 上記各組成の混合物を容器に入れて60〜80℃に加熱
しながら十分に撹拌した後、孔径1μmのメンブレンフ
ィルタによって加圧濾過して各記録液とした。
【0089】これらの記録液を本発明のインクジェット
記録装置により記録密度360dpi、48ノズル、駆
動周波数4KHzで表5に示す市販上・中質紙にインク
ジェット記録した。
【0090】
【表5】
【0091】前記記録液c,d,eはこれらの記録紙に
対して高い印字品質で、記録液の記録紙への定着性もよ
く、良好なインクジェット記録をすることができた。
【0092】汎用記録紙に高画質なインクジェット記録
を可能にする第二の方法として、記録紙をインクジェッ
ト記録の前後にわたって予熱加熱し、記録液をその表面
張力で盛り上がった状態で記録紙上にインクジェット記
録することにより、記録液を急速に乾燥定着させる方法
がある。
【0093】図26及び図27にこの記録方法を実現す
る装置の一例を示す。
【0094】図26は該装置の概略全体構成図であり、
図27は図26の側面図である。
【0095】基本的な構成は図3と同じであるが、プラ
テン29が記録紙加熱用発熱体43を裏面に備えており
記録紙30はインクジェット記録の前後にわたって予熱
・加熱される。予熱・加熱温度は100〜140℃が適
当である。また、カール取りローラー42は前述の予熱
・加熱で生じる記録紙30のカールを除去する。記録液
吐出口より吐出された記録液滴は予熱された記録紙に付
着し、まず蒸気圧の高い水が急速に気化して、記録紙上
に残存する乾燥防止のための溶剤と着色剤でありこれら
の残存成分が記録紙上に定着されるものである。
【0096】記録紙加熱用発熱体43としてはPTCサ
ーミスタ、シースヒーター等が適当であり本例では大き
きさが外形17mm、厚さ2.5mmで、常温での抵抗
値が20オーム、キューリー点150℃のPTCサーミ
スタを5個並列接続し、平均板厚2mmのアルミニウム
合金製のブラテン29の記録紙と接触しない面に均等に
配置した。ブラテン29の温度管理はPTCサミスタの
キューリー点により自己温度管理されるものであり、ブ
ラテン29自身の放熱作用および記録紙加熱用発熱体4
3からブラテン29への伝熱抵抗を考慮してキューリー
点の設定は記録紙の予熱・加熱温度以上であることが必
要である。記録紙の予熱・加熱領域の範囲は記録液の成
分、記録液滴の量、記録速度、記録密度等によって変わ
るものであり、本例の場合記録前の予熱領域を4行分、
記録後の加熱領域を8行分とした。
【0097】記録液の着色剤としては前述の第一の方法
で述べた着色剤がそのまま適応できる。着色剤の添加量
は、通常は0.5〜10wt%、好適には0.5〜5w
t%、最適には1〜3wt%である。
【0098】湿潤剤としては、グリセリン、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール#200、#300、#400、チオジグリコ
ール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジエチルエーテル等を単独または混合
して使用可能である。添加量が少なすぎると吐出口目詰
りを起こし、多すぎると記録紙へ記録された記録液滴の
乾燥時間が遅くなるので、5〜20wt%が適当であ
る。
【0099】また、前述の記録液と同様に、防腐剤、防
かび剤、PH調整剤、キレート剤を適宜添加することが
可能であり、残部は水である。
【0100】さらに、記録された記録液滴の乾燥効果を
高めるため、メチルアルコール、エチルアルコール、イ
ソブロバノール単独あるいは混合して3〜30wt%を
同量の水と置き換えて記録液に添加しても良い。
【0101】また、本例での記録液としては、記録液に
含まれ、記録時に記録紙上に残存する溶剤と着色剤の表
面張力が印字品質に深い係わりがあることが詳細な実験
の結果により判明した。具体的には、記録時に記録紙上
に残存する溶剤と着色剤の混合物の100℃における表
面張力が35mN/m以上を示す記録液が高品質なイン
クジェット記録を実現する上で好適であった。
【0102】具体的な記録液の例を以下に示す。
【0103】 <記録液e> グリセリン 10wt% プロキセル 0.1wt% C.I.ダイレクトブラック154 1.5wt% 純水 残量 <記録液f> チオジグリコール 10wt% プロキセル 0.1wt% C.I.アッシドレッド37 1wt% 純水 残量 〈記録液g〉 グリセリン 5wt% ジエチレングリコール 3wt% チオジグリコール 2wt% プロキセル 0.2wt% C.I.ダイレクトブラック22 2wt% 純水 残量 〈記録液h〉 チオジグリコール 5wt% メチルアルコール 10wt% エチルアルコール 10wt% イソプロパノール 10wt% プロキセル 0.2wt% C.I.アシッドイエロー25 1wt% 純水 残量 また、比較例として、 <記録液i> プロピレングリコール 10wt% プロキセル 0.1wt% C.I.ダイレクトブラック154 1.5wt% 純水 残量 <記録液j> ジメチルスルホキシド 10wt% プロキセル 0.1wt% C.I.ダイレクトブラック154 1.5wt% 純水 残量 上記の各組成の混合物を容器に入れて60〜80℃に加
熱しながら十分に撹拌した後、孔径1μmのメンブレン
フィルターによって加圧濾過して各記録液とした。
【0104】これらの記録液を図26のインクジェット
記録装置により記録密度360dpi、48ノズル、駆
動周波数4KHzで表5の市販上・中質紙にインクジェ
ット記録した。
【0105】インクジェット記録の結果、及び各記録液
を10gづつシャーレに取り、80℃の恒温槽内に放置
し、重量を測定して水分が蒸発したのを確認した後、残
存成分の100℃における表面張力を測定した結果を表
6に示す。
【0106】
【表6】
【0107】表6の結果より、記録液e,f,g,hで
良好な印字状態が得られた。また、記録液の組成につい
て更に詳細な試験を実施したところ、記録液成分は記録
液e、f、g、hの組成に限定されるものではなく、着
色剤が0.5〜10wt%、湿潤剤として多価アルコー
ル(グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール#200、#30
0、#400、チオジグリコール、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル)が5〜20wt%、残部が水および微量の防
腐剤、防かび剤、PH調整剤、キレート剤であるか、同
組成で水分3〜30Wt%に代わりメチルアルコール、
エチルアルコールまたはイソプロパノールを加えた組成
から成る水性記録液であり、該記録液を100℃に加熱
した時に液体として残存する溶剤および着色剤等の混合
物の表面張力が35mN/m以上である記録液であれば
好適な印字品質がえられることが判明した。
【0108】なお、前述の記録液b、c、d、e、f、
g、hを用いたときの記録ヘッドの耐久性は記録液aで
評価した値と同等であった。また、これらの記録液は本
発明で述べた記録ヘッドだけでなく従来の熱インクジェ
ット記録ヘッドにも応用でき、市販上・中質紙等の汎用
記録紙に高い印字品質でインクジュット記録が行なえ
る。特に、これらの記録液は記録液滴の記録紙への定着
が迅速であり、記録液の混色を必要とするカラーインク
ジュット記録に適応すると記録紙の紙しわ、にじみ等の
ない高画質なインクジュット記録が実現できた。
【0109】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録装置によれ
ば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各記録液
滴を吐出するための記録液吐出口列が列設された単一の
ノズル板と、記録液吐出口と連通するインク流路と、記
録液滴を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段
とを有し、前記イエローの記録液吐出口列及びブラック
の記録液吐出口列が相対する最外列に配列されているこ
とにより、複数色の記録液吐出口を単一の基板に形成し
ているので、各色の記録液吐出口の位置決めをする必要
がない。
【0110】また、ブラックとイエローの記録液吐出口
列が相対する最外列に配列されているため、ブラックを
基準としてキャリッジ上へ位置決めすればイエローに多
少のズレが生じていたとしても、イエローの記録媒体上
での記録像をはっきりと認識することが人間の目ではで
きないので、それほど高い精度での位置決めを必要とせ
ず、容易にインクジェット記録装置を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の記録ヘッド
の構成を示す構造図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の第一の実施
例を示す略全体構成図である。
【図4】本発明のインクジュット記録装置の回路構成を
示すブロック図である。
【図5】図4の時分割駆動回路の具体例を示す回賂図で
ある。
【図6】図5の時分割駆動回路の動作を示すタイミング
図である。
【図7】(a)〜(c)は記録ヘッドの発熱体部の構成
を示す構成図である。
【図8】(a)(b)は記録ヘッドの発熱体部の構成を
示す構成図である。
【図9】(a)(b)は耐久試験での発熱体のキャビテ
ーション破壊による損傷を示す発熱体部の拡大図であ
る。
【図10】(a)〜(e)は記録液の加熱状態変化にと
もなう気泡の成長・消滅と記録液滴の吐出を示す記録ヘ
ッドの断面図である。
【図11】(a)〜(d)は発熱体のキャビテーョン破
壊を軽減するための第1の方法を説明するための発熱体
部の拡大図である。
【図12】(a)〜(c)は発熱体のキャビテーョン破
壊を軽減するための第2の方法を説明するための発熱体
部の拡大図である。
【図13】(a)〜(h)は発熱体のキャビテーョン破
壊を軽減するための第3の方法を説明するための発熱体
部の拡大図である。
【図14】(a)(b)は、発熱体のキャビテーンョン
破壊を軽減するための第4の方法を説明する記録ヘッド
の断面図である。
【図15】図1部分断面図である。
【図16】図15の発熱体駆動方法を示すタイミング図
である。
【図17】図15の構造および図16の駆動方法での記
録液滴速度と印加パルスの関係を示す関係図である。
【図18】(a)は図1の任意の2つの記録液吐出口を
記録ヘッドの正面から見た正面図であり、(b)は
(a)の吐出口に対応した発熱体駆動方法を示すタイミ
ング図である。
【図19】本発明における記録ヘッドの製造方法を説明
する構成図である。
【図20】本発明における記録ヘッドの製造方法を説明
する構成図である。
【図21】本発明における記録ヘッドの製造方法を説明
する構成図である。
【図22】本発明における記録ヘッドの製造方法を説明
する構成図である。
【図23】本発明におけるカラー記録ヘッドの構成例を
示す構造図である。
【図24】本発明における記録ヘッドの他の構成例を示
す構造図である。
【図25】本発明における記録ヘッドの他の構成例を示
す構造図である。
【図26】本発明のインクジェット記録装置の第2の実
施例を示す略全体構成図である。
【図27】図26の側面図である。
【符号の説明】
4・・・ノズル板 5a,5b・・・発熱体 6a,6b・・・記録液吐出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 3/04 103 H (72)発明者 中村 雄一 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 半田 恒雄 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 西川 光貴 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 鈴木 克己 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック
    の各記録液滴を吐出するための記録液吐出口列が列設さ
    れた単一のノズル板と、記録液吐出口と連通するインク
    流路と、記録液滴を吐出するための圧力を発生させる圧
    力発生手段とを有し、前記イエローの記録液吐出口列及
    びブラックの記録液吐出口列が相対する最外列に配列さ
    れていることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP27816095A 1995-10-25 1995-10-25 インクジェット記録装置 Pending JPH08207320A (ja)

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JP2011136575A (ja) * 2011-03-02 2011-07-14 Canon Inc 液体吐出記録ヘッド

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