JPH0959216A - グリオキシル酸エチルの製造方法 - Google Patents

グリオキシル酸エチルの製造方法

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JPH0959216A
JPH0959216A JP22597795A JP22597795A JPH0959216A JP H0959216 A JPH0959216 A JP H0959216A JP 22597795 A JP22597795 A JP 22597795A JP 22597795 A JP22597795 A JP 22597795A JP H0959216 A JPH0959216 A JP H0959216A
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JP
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temperature
reaction mixture
ethyl glyoxylate
reduction
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JP22597795A
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Takeaki Fujii
剛章 藤井
Sadakatsu Suzuki
貞勝 鈴木
Hiroshi Ueno
廣 上野
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性が高く、簡便な、しかも高い選択率お
よび収率を有するグリオキシル酸エチルの製造方法を提
供する。 【解決手段】 (1) フマル酸ジエチルおよび/またはマ
レイン酸ジエチルをエステル溶媒中でオゾン酸化して、
オゾニドを含む反応混合物を得る工程、(2) 該反応混合
物を、次式(I): 【数1】 100 ×e-0.03T≦τ≦1500×e-0.02T (I) (上記式中、Tは反応混合物の温度(℃)、τは温度T
に保持する時間(分)を表す)を満たすように温度およ
び時間を選択して、保持する工程、および次に(3) 水素
化還元する工程を含むことを特徴とするグリオキシル酸
エチルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリオキシル酸エ
チルの製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】グリオキシル酸エステ
ルは、医薬品、香料、農薬、化粧品等の原料として有用
な化合物である。グリオキシル酸エステルの製造法に
は、(1) クロム‐シリカライト触媒存在下、アクリル酸
エステルを過酸化水素水溶液で酸化する方法(特開平3-
56439 号公報)、(2) グリオキシル酸水溶液にアルコー
ルを加え、共沸脱水によるエステル化を行った後に精留
する方法(特公平4-66856 号公報)、(3) マレイン酸ジ
エステルをオゾンと反応させた後に水素化還元し、蒸留
精製する方法(特開昭63-295528 号公報)等が知られて
いる。
【0003】しかしながら、(1) の方法では、オレフィ
ン部分の末端メチレン基に由来する副生成物(ホルムア
ルデヒドやギ酸)の除去が困難であるという問題がある
(なお、上記公報には精製工程に関する記述がない)。
一方、(2) の方法は、エステル化反応と同時にアセター
ル化やヘミアセタール化反応が進行するため、精製が困
難な混合物が得られるという問題がある。また収率も十
分とはいえない(実施例ではグリオキシル酸エチルの収
率は65.6%)。一方、(3) は、収率も良く、精製も容易
であるが、オゾン酸化で生成した過酸化物(オゾニド)
を水素化還元する工程を含んでおり、清浄な水素を大量
に必要とする。また、過酸化物が一般的に安定性が低い
ことは周知の通りであり、オゾニドに関してもなるべく
低温での還元を行うことが、目的とする生成物の選択率
を高めるために有効な手段である。ところが、水素化還
元に用いられる不均一触媒は低温で活性が著しく低下す
るため、適切な温度範囲を維持する操作が煩雑であり、
生産性を高める上での障害となっている。
【0004】そこで本発明は、生産性が高く、簡便な、
しかも高い選択率および収率を有するグリオキシル酸エ
チルの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のグリオキシル酸
エチルの製造方法は、(1) フマル酸ジエチルおよび/ま
たはマレイン酸ジエチルをエステル溶媒中でオゾン酸化
して、オゾニドを含む反応混合物を得る工程、(2) 該反
応混合物を、次式(I):
【0006】
【数2】 100 ×e-0.03T≦τ≦1500×e-0.02T (I) (上記式中、Tは反応混合物の温度(℃)、τは温度T
に保持する時間(分)を表す)を満たすように温度およ
び時間を選択して、保持する工程、および次に(3) 水素
化還元する工程を含むことを特徴とする。
【0007】本発明の好ましい態様を以下に示す。 (イ)工程(1) において、フマル酸ジエチルをオゾン酸
化する上記の方法。 (ロ)工程(1) において、エステル溶媒が、炭素‐炭素
不飽和結合を含まない脂肪族エステル溶媒である上記の
いずれかに記載の方法。 (ハ)工程(2) を、次式(II)
【0008】
【数3】 200 ×e-0.03T≦τ≦1000×e-0.02T (II) (上記式中、Tおよびτは前記と同義である)を満たす
温度・時間範囲に保持して行う上記のいずれかに記載の
方法。 (ニ)上記式(I)または(II)において、温度Tが0
〜150 ℃である上記のいずれかに記載の方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の方法の工程(1) におい
て、オゾン酸化に用いるオゾンは、空気からあるいは酸
素から製造されたもののいずれでもよく、オゾナイザー
を用いて発生させることができる。オゾンは酸素または
空気との混合ガスとして用いることができる。使用する
オゾン量はフマル酸ジエチルおよび/またはマレイン酸
ジエチルと等モル量で良いが、若干量のオゾンが未反応
のまま反応系外へ散逸するために、1.1〜2.5倍モ
ル量のオゾンを用いるのが最も好ましい。反応は、例え
ばオゾンを含むガスを原料/溶媒系へ吹き込むことによ
って行うことができる。オゾンによる酸化反応でフマル
酸ジエチルおよび/またはマレイン酸ジエチルはほぼ1
00%転化できる。反応温度は通常約20℃以下、好ま
しくは5℃以下、特に好ましくは0〜 -10℃である。
冷却には、氷、ドライアイス‐アセトン、ドライアイス
‐メタノール等の一般的な寒剤を用いることができる。
【0010】オゾン酸化はエステル溶媒中で行う。エス
テル溶媒に脂肪族炭素‐炭素不飽和結合が存在すると、
オゾンと反応してしまうので、炭素‐炭素不飽和結合を
含まない脂肪族エステル溶媒が好ましい。また、水酸基
を有しない、C2 〜C10のエステルが好ましい。エステ
ルを構成する酸成分としては、飽和脂肪酸、脂環式カル
ボン酸および芳香族カルボン酸が使用できる。飽和脂肪
酸としてはC1 〜C4の1塩基または2塩基の脂肪族カ
ルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられ、脂環式カル
ボン酸としては、例えばシクロヘキサンカルボン酸等が
挙げられ、芳香族カルボン酸としては、例えば安息香
酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げら
れる。アルコール成分としては、C1 〜C4 の1価また
は2価のアルコール、例えばメタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4-ブタンジオール等が挙げられ
る。またエステルとしてラクトン類も包含される。ラク
トン類としては、例えばC3 〜C8 のラクトン、例えば
ガンマブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクト
ン等が挙げられる。これらのエステル溶媒は単独でも2
種以上混合して使用しても良い。特にエチルエステルと
ラクトン類が好ましい。なお、エステル溶媒は、蒸留に
よる精製の際に生成物との分離が容易であるように、グ
リオキシル酸エチルの沸点( 130℃)より低い沸点(例
えば100 ℃以下)を有するかまたはより高い沸点(例え
ば150 ℃以上)を有するものが好ましく、特にグリオキ
シル酸エチルの沸点よりはるかに低い沸点(例えば80℃
以下)を有するものが好ましい。
【0011】フマル酸ジエチルおよび/またはマレイン
酸ジエチルの、エステル溶媒に対する濃度は通常1〜3
0重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0012】本発明においては、(1) オゾン酸化工程と
(3) 水素化還元工程との間に、上記した工程(2) を含む
ことを特徴とする。
【0013】工程(2) においては、工程(1) で得られた
反応混合物を特定の条件に保持する。これによって、反
応混合物中に含まれていたオゾニドが、目的物であるグ
リオキシル酸エチル、ならびに以下に示すグリオキシル
酸エチル1水和物またはその多量体に穏やかに転化する
ことがわかった。
【0014】
【化1】 そのような特定の条件とは、次式(I):
【0015】
【数4】 100 ×e-0.03T≦τ≦1500×e-0.02T (I) (上記式中、Tは反応混合物の温度(℃)、τは温度T
に保持する時間(分)を表す)を満たすような温度およ
び時間である。好ましくは、次式(II):
【0016】
【数5】 200 ×e-0.03T≦τ≦1000×e-0.02T (II) (上記式中、Tおよびτは前記と同義である)を満たす
ように、温度および時間を選択する。グリオキシル酸エ
チルは150 ℃より高温に保持すると分解を始めるため、
収率を維持するためには、工程(2) の温度Tは150 ℃以
下であるのが好ましい。また、オゾニドは、エステル溶
媒中での分解開始温度が0℃付近であり、それ以上の温
度に保持しないとほとんど分解が起こらない。したがっ
て、温度Tが0〜150 ℃であるのが特に好ましい。
【0017】図1に、工程(2) における保持温度と時間
の関係を示した。100 ×e-0.03Tの直線をAで、1500×
-0.02Tの直線をBで、200 ×e-0.03Tの直線をCで、
1000×e-0.02Tの直線をDで示した。
【0018】ところで、ある温度Tにおける保持時間τ
を上記式(I)に示すより長く設定することは十分可能
であるが、実質的にオゾニドのほとんどが式(I)に示
すτの範囲で分解してしまっているので、保持時間τを
長くしても時間の浪費にすぎず、意味がない。
【0019】工程(2) の次に、水素による還元反応を行
う。使用する水素の量は、残存するオゾニド1モルに対
して、等モルの水素が最低限必要であるが、等モルより
多い水素が存在していても特に問題はない。通常、水素
圧力は常圧であるが、加圧することもできる。使用する
水素化触媒としては、通常の接触水素化に用いられるニ
ッケル、鉄、コバルト、銅などの遷移金属で、特に多孔
性にして水素吸着能を上げた、例えばラネー金属、その
他パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、レニウ
ム、イリジウム等の金属触媒が用いられる。またこれら
の金属がアルミナ、シリカ、シリカ‐アルミナ、活性炭
等の担体に担持されていてもよい。触媒の使用量は金属
の種類、担体に対する担持量、水素圧力等によるので、
一定に決めることはできないが、工程(2) からの反応混
合物に対して約0.1重量%〜10重量%程度である。
還元反応は、慣用の水素化還元の手法が使用できる。例
えば、水素を吹き込んだ溶媒/触媒系に、工程(2) から
の反応混合物を滴下することによって行う。還元温度
は、還元反応の選択性を上げるために通常50℃以下、
好ましくは0〜40℃である。また、温度が低すぎると
反応速度が極めて遅くなると同時に触媒が失活するの
で、好ましくは20℃〜30℃である。本発明において
は、工程(2) を経ているので、還元反応における発熱が
低減し、条件制御はほとんど必要とされない。還元反応
に要する時間は、用いる触媒の種類、水素の圧力、工程
(2) からの反応混合物の溶媒中濃度等によって変化する
が、約5分間〜2時間程度である。なお、上記の水素化
還元反応の際に、キノン類、アミン類、フェノール類等
の酸化防止剤を存在させることもできる。
【0020】水素化還元は同一溶媒中で行うのが好まし
い。得られる還元生成物にはグリオキシル酸エチルの
他、グリオキシル酸エチル1水和物とその多量体が含ま
れる。これらの水和物は、アセタールやヘミアセタール
2量体と異なり、加熱脱水により簡単にかつほぼ定量的
にグリオキシル酸エチルへ変換可能である。また、分離
困難な副生成物は生成せず、すべての生成物がエステル
であるので、生成操作中に酸が悪影響を及ぼすことはな
い。実際、副生成物には実質的にギ酸エチルしか含まれ
ていない。ギ酸エチルは低沸点(54℃)なので、蒸留に
よる精製の際に容易に除去できる。
【0021】還元生成物は次に、蒸留による精製に先立
って、必要に応じ、沸点が150℃以上の不活性な溶
媒、例えばデカリン、テトラリン等と混合する。その混
合比は任意であるが、グリオキシル酸エチルより低沸点
の化合物をすべて留去したとき、グリオキシル酸エチル
を均一に希釈して多量化による粘度上昇を抑制し、以後
の蒸留を容易にする目的から、不活性溶媒の量は還元生
成物に対して1/10〜10の範囲の体積比であること
が好ましい。不活性溶媒と混合された還元生成物は、常
圧の蒸留装置内で徐々に加熱し、グリオキシル酸エチル
(沸点130℃)より低沸点の成分(ギ酸エチルまたは
これとエステル溶媒)を留去する。その後、または同時
に120℃以上に加熱して、脱水反応により1水和物と
その多量体をグリオキシル酸エチルに変換することがで
きる。このとき同時に水分を留去するが、グリオキシル
酸エチルが留去しないように温度を制御する。水分の留
去が終了した後、常圧あるいは減圧下で蒸留することに
より、グリオキシル酸エチルを製品として得ることがで
きる。このように、不活性溶媒の存在下で加熱脱水と軽
質分留去を行うことにより、グリオキシル酸エチルの多
量化(ポリアセタール化)を抑制でき、蒸留による精製
を容易に行うことができる。
【0022】
【作用】フマル酸ジエチルおよび/またはマレイン酸ジ
エチルのオゾン酸化により生成したオゾニドは、エステ
ル溶媒中での分解開始温度が0℃付近であり、比較的安
定な過酸化物であるが、還元を急ぐと顕著な発熱が起こ
って選択率の低下を招く場合があるため、ゆっくりとな
るべく低温で還元する必要がある。一方、10℃以下での
接触水素還元は、金属担持などの通常の固体触媒を使用
すると失活が激しいために、還元しきれなかったオゾニ
ドが残留することが多く、また触媒使用量の増加や再生
処理が必要になることからも実用的とはいいがたい。こ
れらの点から、還元工程には微妙な反応温度制御が必要
であり、十分な監視と設備が必要とされる。
【0023】ところが、驚くべきことに、本発明におけ
る工程(2) を行うと、通常のラジカル的分解反応と異な
り、大部分のオゾニドが目的生成物であるグリオキシル
酸エチルやその多量体、水和物に穏やかに転化すること
が分かった。この工程(2) を行うと、行わない場合に比
べて還元時間を短縮して水素の使用量を大幅に節約でき
ると同時に、還元工程における発熱が低減し、還元反応
の条件制御が容易になる。しかも、工程(2) の間に過酸
化物であるオゾニドがほとんど生成物に転化されるた
め、還元工程を水素化触媒の劣化が起こらない温度(20
℃以上)で行っても、選択率や収率の低下は起こらな
い。
【0024】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0025】実施例1 工程(1) 吹込み管を備えた200 mlフラスコに、フマル酸ジエチ
ル10.3gと酢酸エチル120 mlを入れ、0〜 -10℃に冷
却した。500 rpm で撹拌を行いながら、酸素を原料とし
て発生させたオゾン/酸素混合ガスを300 ml/分(オ
ゾンの供給量は0.35ミリモル/分)の速度で吹き込ん
だ。ガスクロマトグラフィー(GLC) により原料であるフ
マル酸ジエチルの消費を追跡したところ、3時間でほぼ
原料が消失した。ここでオゾン/酸素混合ガスの導入を
停止し、系内の残留オゾンを除くため、窒素を吹き込ん
だ。工程(2) その後、撹拌を行いつつ冷却浴を外し、30℃に3時間保
持した。発熱は検出できなかった。工程(3) 吹込み管と滴下ロートを備えた200 mlフラスコに、5
%Pd/Al2 3 触媒100 mgおよび酢酸エチル20m
lを入れた。室温でこれに水素ガスを100 ml/分で吹
き込みつつ、工程(2) からの反応混合物を30分間で滴下
し、滴下終了後さらに15分間水素の吹き込みを行った。
使用した水素は室温、常圧で4.5 リットルであった。
【0026】過酸化物の有無を過酸化物試験紙によって
テストしたところ、陰性であった。この間、発熱が認め
られなかったので、フラスコの冷却は行わなかった。触
媒を濾別後、この還元生成物をGLCおよび 1H−NM
Rで分析したところ、副生成物はほとんどがギ酸エチル
であった。精製工程 精留カラムと吹き込み管を備えた300 mlのフラスコに
工程(3) からの還元生成物およびデカリン100 mlを入
れ、常圧でゆっくりと窒素を吹き込みつつ徐々にボトム
温度を120 ℃まで上げて酢酸エチルとギ酸エチルを留去
した。続いてボトム温度を150 ℃に上げて、脱水反応を
起こさせ、生成した水分は共沸により留去した。水分や
わずかに残っていた酢酸エチルが完全に留去した後、グ
リオキシル酸エチルを留出させた。得られたグリオキシ
ル酸エチルは純度96%、収率84%であった。
【0027】実施例2 工程(1) において溶媒として、酢酸エチルの代わりにガ
ンマブチロラクトンを使用した他は実施例1と同様にし
てオゾン酸化を行った。次いで実施例1の工程(2) およ
び工程(3) を同様に行った。使用した水素の量は室温、
常圧で4.5 リットルであった。次に、実施例1の精製工
程を繰り返したが、ただし脱水反応および続いての蒸留
では、そのままガンマブチロラクトンをもって不活性溶
媒とみなし、新たにデカリン等の不活性溶媒を加えなか
った。得られたグリオキシル酸エチルは純度92%、収率
81%であった。
【0028】比較例1 実施例1と同様の工程(1) を行った後、工程(2) を行わ
ずに、ただちに工程(3) を行った。なお、滴下操作中
は、還元前の反応混合物を -10℃以下に保ち、滴下ロー
ト内でのオゾニドの分解を避けた。滴下を続けるにした
がって、還元中のフラスコ内が40℃程度に達したため、
水浴で30℃に制御した。30分で滴下を終了した後、過酸
化物試験が陰性になるまで還元を続けたところ、3.5 時
間かかった。この間に使用した水素の量は、室温、常圧
で24リットルであった。次いで、実施例1と同様に精製
工程を行ったところ、得られたグリオキシル酸エチルは
純度95%、収率78%であった。
【0029】比較例2 実施例1と同様の工程(1) を行った後、工程(2) とし
て、反応混合物を30℃に15分間保持した。その後、実施
例1と同様の工程(3) を行った。しかし、滴下を続ける
にしたがって、還元中のフラスコ内が約40℃に達したた
め、水浴で30℃に制御した。30分で滴下を終了した後、
過酸化物試験が陰性になるまで還元を続けたところ、3.
2 時間かかった。この間に使用した水素の量は、室温、
常圧で22リットルであった。次いで、実施例1と同様に
精製工程を行ったところ、得られたグリオキシル酸エチ
ルは純度92%、収率80%であった。
【0030】比較例3 実施例1と同様の工程(1) を行った後、工程(2) を行わ
ずに、ただちに工程(3) を行った。このとき、発熱を抑
制するため、還元実施中はフラスコを10℃に冷却しなが
ら滴下を行った。10℃で3時間の水素吹き込みを行った
が、触媒が失活してしまい、還元反応は進行せず、続い
て30℃に加温して3時間の水素吹き込みを行ったが、や
はり還元できず、グリオキシル酸エチルは回収できなか
った。
【0031】比較例4 工程(1) において、溶媒として酢酸エチルの代わりにア
セトンを用いた他は実施例1と同様に反応を行った。得
られたグリオキシル酸エチルは純度89%、収率55%であ
った。
【0032】比較例5 工程(1) において、溶媒として酢酸エチルの代わりにク
ロロホルムを用いた他は実施例1と同様に反応を行った
が、グリオキシル酸エチルは蒸留精製前のGLC分析で
2%しか生成しておらず、精製回収することができなか
った。
【0033】実施例3 フマル酸ジエチルの代わりにマレイン酸ジエチルを原料
として用いた他は実施例1と同様に反応を行った。ただ
し、原料消失を確認するまでに、オゾンの吹き込みは5.
2 時間を必要とした。使用した水素は室温、常圧で4.5
リットルであった。得られたグリオキシル酸エチルは純
度95%、収率88%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】工程(2) における保持温度と時間の関係を示し
た図である。
【符号の説明】
A:保持温度Tのとき、保持時間τの下限値を表す直
線。 B:保持温度Tのとき、保持時間τの上限値を表す直
線。 C:保持温度Tのとき、保持時間τの好ましい下限値を
表す直線。 D:保持温度Tのとき、保持時間τの好ましい上限値を
表す直線。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) フマル酸ジエチルおよび/またはマ
    レイン酸ジエチルをエステル溶媒中でオゾン酸化して、
    オゾニドを含む反応混合物を得る工程、 (2) 該反応混合物を、次式(I): 【数1】 100 ×e-0.03T≦τ≦1500×e-0.02T (I) (上記式中、Tは反応混合物の温度(℃)、τは温度T
    に保持する時間(分)を表す)を満たすように温度およ
    び時間を選択して、保持する工程、および次に (3) 水素化還元する工程を含むことを特徴とするグリオ
    キシル酸エチルの製造方法。
JP22597795A 1995-08-11 1995-08-11 グリオキシル酸エチルの製造方法 Pending JPH0959216A (ja)

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