JPH0959176A - 経口慢性関節リウマチ治療剤及び機能性食品 - Google Patents

経口慢性関節リウマチ治療剤及び機能性食品

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JPH0959176A
JPH0959176A JP8175908A JP17590896A JPH0959176A JP H0959176 A JPH0959176 A JP H0959176A JP 8175908 A JP8175908 A JP 8175908A JP 17590896 A JP17590896 A JP 17590896A JP H0959176 A JPH0959176 A JP H0959176A
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浩太郎 藤田
Tatsuyoshi Nakagami
辰芳 中上
Akio Ametani
章夫 飴谷
Shiyuuichi Uenokawa
修一 上野川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 慢性関節リウマチ(RA)の予防・治療に有用
な経口RA治療剤及び機能性食品を提供することを目的
とする。 【解決手段】 本発明の経口RA治療剤及び機能性食品
は、特定の条件下に変性(断片化)されたII型コラーゲ
ンを含有することからなる。RAはII型コラーゲンを抗
原とする自己免疫疾患であると考えられているが、本発
明で使用される変性II型コラーゲンは高い経口免疫寛容
原性を有するので、II型コラーゲンに対する免疫応答が
抑制され、RAの予防・治療を行うことができ、特に投
与が簡便な経口投与によりRAの予防・治療を図ること
ができるという効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は経口慢性関節リウマ
チ治療剤及び機能性食品に関する。より詳細には、変性
させたII型コラーゲンを含有し、慢性関節リウマチの治
療・予防に有用な薬剤及び機能性食品に関する。
【0002】
【従来の技術】慢性関節リウマチ(Rheumatoid Arthrit
is, 以下、RAという)は罹患患者の多い慢性疾患の一
つであり、結合組織に炎症をきたす全身的な疾患であ
る。当該疾患は、主に関節の滑膜に非特異的炎症を起
し、全身の多発性関節炎の病像を呈し、軟骨や骨の損傷
をきたす。RAの発病メカニズムは充分に解析されてい
ないが、リンパ球抗原(HLA)−DR4が関係し、活
性化T細胞が関与する自己免疫疾患であると考えられて
いる(Lancet 341, 283, 1993)。II型コラーゲンが軟骨
中の主要構造蛋白であることや実験動物にII型コラーゲ
ンを投与するとリウマチ関節炎と形態的に類似した症状
を起すことから、II型コラーゲンが本疾患の自己抗原の
一つであると考えられている(J. Exp. Med. 146, 857,
1977; Lab. Invest. 54, 26, 1986)。RAに対する治療
剤としては、抗リウマチ剤(金塩製剤、D-ペニシラミン
等)、非ステロイド剤、免疫抑制剤などが汎用されてい
るが、これらの薬剤の投与により十分な効果が得られな
いようなときには、強い抗炎症作用と免疫抑制作用を有
しているステロイド剤が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の薬剤によるRA
の治療は対症療法的であり、根治的な治療法とはいえな
い。また、ステロイド剤は重篤な副作用を引き起こすお
それがあるので、その使用に際しては十分な注意をはら
い、常に減量や使用中止を考慮する必要性のあることが
指摘されている。最も望ましいRAの治療法は、疾患特
異的なメカニズムに基づいて関節の炎症を軽減すること
であり、使用される薬剤は毒性のないことが望ましい。
このような観点から、免疫寛容に基づくRAの治療法が
注目されている。免疫寛容とは、ある条件下に抗原で動
物を処理しておくと、次にこの抗原で適切な免疫操作を
行っても、抗体産生などの免疫応答が起こらない現象で
あり、免疫寛容を導く物質は免疫寛容原と称される。免
疫寛容によるRAの治療法としては、II型コラーゲン又
はその部分配列を有するペプチドを免疫寛容原として用
い、このぺプチドを新生児ラットに静脈ないし腹腔内投
与すると、RAの発症を抑制することができることが報
告されている(J. Exp. Med. 170, 1999, 1989; J. Immu
nology 151, 500, 1993)。
【0004】上記の方法においては、免疫寛容原は静脈
ないし腹腔内投与されているが、静脈ないし腹腔内投与
による免疫寛容原の投与は煩雑であるのみならず、免疫
寛容原のペプチドをRA患者に連続的に静脈ないし腹腔
内投与する場合には、RA患者に重篤なアレルギー反応
やショックなどを引き起こすことも想定される。そこ
で、より簡便で且つ安全な投与方法によるRAの治療法
が望まれている。また、医薬品としてのみならず、日常
的な食物の摂取を通してRAの治療・予防を図ることが
できればより好ましく、RAの治療・予防を目的とする
機能性食品も求められている。このような観点から、安
全性が高く且つ簡便な投与方法によるRAの治療法が切
望されており、経口免疫寛容によるRAの予防・治療が
検討されている。経口免疫寛容、ひろくは粘膜免疫寛容
は、抗原が経口的に腸管等の粘膜を通って入った場合、
その抗原に対して全身の免疫応答が失われる現象であ
り、経口免疫寛容においては、抗原が経口的に腸管等の
粘膜を通じて吸収されるとき、パイエル板、腸管上皮細
胞及びこれと隣接するリンパ球、門脈、肝臓などのいろ
いろの器官と機能による作用を受けるので、アレルギー
反応やショックなどを引き起こすことが少なく、アレル
ギーや臓器移植における免疫抑制療法として試みられて
いる。 また、抗原が経鼻的に投与された場合にも、上
記のような消化管粘膜を通じた吸収とともに、気道また
は肺などの粘膜を通じて吸収がなされるので、その抗原
に対しての全身性免疫応答が失われる免疫寛容現象が生
じる。
【0005】経口免疫寛容によるRAの予防に関して、
ウシ関節由来未変性II型コラーゲンを経口投与(胃内投
与)されたマウスにおいて、コラーゲン誘導性関節炎
(CIA)の発症が抑制されたことが報告されている(P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 7443, 1986)。しか
し、この報文では、加熱変性されたII型コラーゲンで
は、CIA発症の抑制効果は認められなかったことが記
載されている。また、II型コラーゲンの経口免疫寛容原
性に関し、加熱処理することにより、免疫原性(抗原性
又はアレルギー発症能)を低下させることができるが、
免疫寛容原性は未変性のものと同程度か又はそれより低
下することが報告されている(J. Clin. Invest., 69, 6
73-683, 1982; J. Immun., 140, 1477-1484, 1988)。
【0006】本発明者等はこの経口免疫寛容に注目し、
鋭意研究を重ね、II型コラーゲンの加熱変性条件を検討
してきた。その結果、上記の報文の記載に反し、熱変性
II型コラーゲンは経口免疫寛容原として有用であり、R
Aの発症を抑制できることを見出した。即ち、上記文献
に記載の熱変性条件ではコラーゲンの熱変性が不十分で
あり、更に過酷な条件で熱変性して調製したII型コラー
ゲンは未変性II型コラーゲンより高い経口免疫寛容原性
を有することが判明した。また、アミノ酸配列を特異的
に認識する薬剤でII型コラーゲンを処理し、得られたII
型コラーゲンの変性物(断片化物)が未変性II型コラー
ゲンより高い経口免疫寛容原性を有することが判明し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、R
Aの予防・治療に有用な経口薬剤及び機能性食品を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、 酸性もしくはアルカリ性条件下に熱変性させたII型コ
ラーゲン又はアミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変
性させたII型コラーゲンを有効成分として含有する経口
慢性関節リウマチ治療剤; 熱変性させたII型コラーゲンが、II型コラーゲンを6
0℃以上で且つ10分間以上の熱変性を行って得たもの
である上記に記載の経口慢性関節リウマチ治療剤; アミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変性させたII
型コラーゲンが、II型コラーゲンを30℃以上で且つ1
0分間以上加温して、α1(II)型ポリペプチド鎖の3
本が撚り合わさってなるII型コラーゲンの螺旋状の立体
構造を解き、その後に、アミノ酸配列を特異的に認識
し、切断する薬剤を作用させて得たものである上記に
記載の経口慢性関節リウマチ治療剤; II型コラーゲンが、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウ
マ、ヒト、サル、ウサギ、マウス、ラット等の哺乳類、
ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ等の鳥類、カメ、
ヘビ等の爬虫類、マグロ、カツオ、サケ、サメ、エイ等
の魚類由来である上記〜の何れかに記載の経口慢性
関節リウマチ治療剤; 製剤形態が、経口投与製剤、経鼻投与製剤、経腸投与
製剤又は経粘膜投与製剤である上記〜の何れかに記
載の経口慢性関節リウマチ治療剤; 酸性もしくはアルカリ性条件下に熱変性させたII型コ
ラーゲン又はアミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変
性させたII型コラーゲンを含有する機能性食品; 熱変性させたII型コラーゲンが、II型コラーゲンを6
0℃以上で且つ10分間以上の熱変性を行って得たもの
であり;またアミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変
性させたII型コラーゲンが、II型コラーゲンを30℃以
上で且つ10分間以上加温して、α1(II)型ポリペプ
チド鎖の3本が撚り合わさってなるII型コラーゲンの螺
旋状の立体構造を解き、その後に、アミノ酸配列を特異
的に認識し、切断する薬剤を作用させて得たものである
上記に記載の機能性食品;である。なお、本発明にお
いては、便宜上、「経口」には、通常の経口の他、経
鼻、経腸及び経粘膜も含まれるものとする。
【0008】本発明の経口慢性関節リウマチ治療剤及び
機能性食品は、熱変性させたII型コラーゲン又はアミノ
酸配列を特異的に認識する薬剤で変性させたII型コラー
ゲンを含有することからなる。一般に、コラーゲン分子
は、−Gly−X−Y−(X及びYはアミノ酸残基)の
繰り返しからなるアミノ酸約1000残基(分子量約1
0万)のポリペプチド鎖(α鎖)が3本撚り合わされて
できている。現在までに発見されているコラーゲン分子
の種類は19種(I型〜XIX型)あり、その内、II型
コラーゲンは3本のα1(II)型ポリペプチド鎖で構成
され、関節軟骨、椎間板髄核、眼ガラス体などに多く含
まれている。
【0009】本発明において、原料となるII型コラーゲ
ンの精製・単離は慣用の方法に準じて行うことができ、
例えば、II型コラーゲンを含有する生体組織を、ペプシ
ン、プロナーゼなどの蛋白分解酵素を用いて限定分解
し、塩分別沈殿法などで精製することにより調製するこ
とができる(J. Exp. Med. 146, 857-868, 1977; Arthri
lis Rheum. 22, 1344, 1979; J. Immunol. 124, 2912,
1980など参照)。また、既に市販されているII型コラー
ゲンを用いることもできる。II型コラーゲンの由来は特
に限定されず、例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウ
マ、ヒト、サル、ウサギ、マウス、ラット等の哺乳類、
ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ等の鳥類、カメ、
ヘビ等の爬虫類、マグロ、カツオ、サケ、サメ、エイ等
の魚類など由来のコラーゲンが例示される。更には、上
記の各種動物のII型コラーゲンのアミノ酸配列に関する
知見に基づいて化学合成されたII型コラーゲン、又は遺
伝子組換技術により作製されたII型コラーゲンを用いる
こともできる。
【0010】本発明における熱変性II型コラーゲンは、
酸性条件下又はアルカリ性条件下にII型コラーゲンを熱
変性することにより調製される。後記実験例に示される
ように、かかる熱変性によりII型コラーゲンは断片化さ
れる。熱変性条件は、加熱温度及び加熱時間により適宜
調整し得るが、通常、60℃以上で且つ10分間以上の
条件が適用され、好ましくは65℃以上で15分間以
上、より好ましくはオートクレーブ処理(例えば、12
1℃、15分間程度)が利用される。
【0011】酸性条件としては、例えば、クエン酸、酢
酸、塩酸などの有機又は無機酸類を用いた溶液が例示さ
れ、好ましいpH範囲としては5.5以下、より好まし
くは2.0〜4.5が例示される。アルカリ性条件とし
ては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ト
リエタノールアミンなどの無機又は有機塩基を用いた溶
液が例示され、好ましいpH範囲としては9.5以上、
より好ましくは10.0〜12.0が例示される。
【0012】好ましい熱変性条件としては、II型コラー
ゲンの無機酸又は有機酸水溶液を、65℃以上、好まし
くは100℃程度で、15分間以上、好ましくは20分
間程度加熱するか;オートクレーブを用いて、110℃
程度で30分間以上、好ましくは2〜10時間程度加熱
するか、120℃程度で15分間以上、好ましくは20
分間加熱する方法が挙げられる。なお、後記実験例に示
されるように、かかる熱変性II型コラーゲンは、II型コ
ラーゲンα1鎖より低分子量の限定分解物を含有してい
る。
【0013】本発明における他の変性II型コラーゲン
は、アミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変性(断片
化)させたII型コラーゲンである。アミノ酸配列を特異
的に認識する薬剤で変性(断片化)する手段としては、
種々の物質及びその切断部位が知られており、それら変
性薬剤の市販品を利用することができる。その一例を示
せば、次のとおりである(なお、切断部位は↓で示
す)。化学薬剤としては、ヒドロキシルアミン:Asn↓G
ly、蟻酸:Asp↓Pro、酢酸:Asp↓Pro、BNPS−スカ
トール:Trp↓、o−ヨードソベンゾ酢酸:Trp↓などが
例示できる。酵素としては、キモトリプシン:Trp↓及
びTyr↓及びPhe↓、コラゲナーゼ:Pro−X↓Gly−Pr
o、エンドプロテナーゼLys-C:Lys↓、トロンビン:Arg
−Gly−Pro−Arg↓、トリプシン:Arg↓及びLys↓など
が例示できる。なお、これらの薬剤は単独または2種以
上を組み合わせて使用することもできる。また、上記の
薬剤の使用は常法に準じて行うことができ、また使用
量、反応温度等の条件も常法に準じて適宜設定すること
ができるが、II型コラーゲンを30℃以上で且つ10分
間以上加温して、α1(II)型ポリペプチド鎖の3本が
撚り合わさってなるII型コラーゲンの螺旋状の立体構造
を解き、その後に上記の薬剤を作用させるのが好まし
い。更に、変性(断片化)後に使用した薬剤を除去又は
失活させる場合、当該方法は当業者に周知の方法で行う
ことができ、例えば、加熱、透析、限外濾過、イオン交
換体処理、pH調整などが例示される。
【0014】かくして熱変性されたII型コラーゲン又は
アミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で変性させたII型
コラーゲン(以下、便宜上、これらを合わせて、変性II
型コラーゲンという)は、そのまま本発明の治療剤又は
機能性食品に利用することができ、また慣用のペプチド
精製法(例えば、塩析、透析、ゲル濾過、限外濾過、イ
オン交換クロマトグラフィ等)を用いて精製した後に使
用してもよい。また、凍結乾燥などの手段により粉末化
して使用してもよい。
【0015】上記の変性II型コラーゲンは、免疫原性が
低減されていると共に、未変性のII型コラーゲンに比べ
て免疫寛容原性が向上しているという特長を有する。更
に、生体成分であるII型コラーゲンの変性物であること
から、安全性が高いと推定される。これらの点について
は、後記の実験例に示されるように、変性II型コラーゲ
ンを経鼻投与したマウスを未変性II型コラーゲンで免疫
しても、CIAの発症率、発症指数及び発症足の割合の
上昇が著しく抑制・遅延された。
【0016】また、200μgのような高投与量で熱変
性II型コラーゲンを経鼻投与した場合、抗原特異的抗体
(IgG1、IgG2a及びIgG2b)の産生は抑制
されていると共に、炎症性のサイトカインであるIFN
−γの産生も抑制されていた。このような現象は、アナ
ジー(anergy)又はクローン麻痺として知られている。ま
た、熱変性II型コラーゲンの0.2(又は2もしくは2
0)μgという少量を吸入させた場合、IgG1の産生
は維持されているが、炎症反応と関係があるとされてい
るIgG2a及びIgG2bの産生が抑制されていた。
更に、抗炎症性のサイトカインであるIL−10の産生
が増強されていた。このような状態は、アクティブ・又
はバイスタンダー・サプレッションとして知られてい
る。更に、本発明者等は、本発明の変性II型コラーゲン
は、加熱処理や薬剤処理により低分子量化すると共にII
型コラーゲン分子の螺旋型立体構造が崩壊した構造を有
すると考えている。Bリンパ球によって造られる抗体
は、II型コラーゲンの螺旋状の立体構造を認識して結合
するので、本発明者等は、螺旋構造を破壊した変性II型
コラーゲンは、未変性II型コラーゲンに比べて副作用な
どが少なく、安全であると考えている。
【0017】なお、II型コラーゲンの変性方法は上記の
例に限定されるものではなく、適宜変更して実施するこ
とができる。例えば、製造工程上で加熱殺菌を必要とす
る製品(例えば、食肉加工食品、水産加工食品等の食
品、牛乳等の乳製品、果汁、茶等の飲料、液状医薬品、
経腸輸液等の医薬品など)において、原料に未変性II型
コラーゲンを添加し、加熱処理により熱変性II型コラー
ゲンを生成させることにより、製品中に熱変性II型コラ
ーゲンを含有させてもよい。また、II型コラーゲンを含
有する原材料(例えば、家畜などの関節軟骨等)から、
熱水抽出法により熱変性II型コラーゲン含有物(例え
ば、スープ等)を調製することもできる。
【0018】本発明のRA治療剤は、上記の変性II型コ
ラーゲンを有効成分とするものであり、RAの治療・予
防を目的として経口投与(経鼻投与、経腸投与及び経粘
膜投与をも含む)される。投与に際しては、有効成分を
経口投与に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混
合して、慣用の医薬製剤の形態で投与され、このような
製剤としては、例えば、経口剤(例えば、錠剤、顆粒
剤、散剤、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳
剤等の液剤、凍結乾燥製剤など)、吸入剤、坐薬、経腸
輸液等が挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段に
より調製することができる。上記の医薬用無毒性担体と
しては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マ
ンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエ
チレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレ
ングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水等が挙
げられる。また、必要に応じて、安定化剤、滑剤、湿潤
剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加するこ
とができる。本発明のRA治療剤において、有効成分の
投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与
スケジュール、製剤形態等により、適宜選択・決定され
るが、例えば、1日当り0.05μg〜5g/kg体重程度
とされ、1日数回に分けて投与してもよい。
【0019】また、本発明の機能性食品は、前記の変性
II型コラーゲンを含有することからなり、そのまま、又
は種々の栄養分を加えて、若しくは飲食品中に含有せし
めて、RAの治療及び予防に有用な機能性食品(又は食
品素材)として食される。例えば、上述した適当な助剤
を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形
態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト
等に成形して食用に供してもよく、また種々の食品(例
えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、
ちくわ等の水産加工食品、パン、バター、粉乳など)に
添加して使用されたり、水、果汁、牛乳、清涼飲料等の
飲物に添加して使用してもよい。かかる機能性食品の形
態における変性II型コラーゲンの摂取量は、年齢、体
重、症状、疾患の程度、食品の形態等により、適宜選択
・決定され、例えば、1日当り0.05μg〜5g/kg体
重程度とされるが、変性II型コラーゲンは多量に摂取し
ても生体に悪影響を与えない利点を有することから、そ
れ以上の量を摂取してもよい。
【0020】
【発明の効果】前述のように、RAの発病メカニズムは
II型コラーゲンを抗原とする自己免疫疾患であると考え
られいる。本発明で用いられる変性II型コラーゲンは、
高い経口免疫寛容原性を有するので、本発明の治療剤を
投与又は本発明の機能性食品を摂取することにより、免
疫応答が抑制され、RAの治療及び予防を行うことがで
きる。従って、本発明によれば、RAの予防を図ること
ができると共に既に発病しているRAの治療に利用する
ことができる。更に、経口投与(経鼻投与、経腸投与及
び経粘膜投与をも含む)や経口摂取によりRAの治療・
予防を図ることができ、簡便性且つ安全性に優れる。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び実験例に基づいて本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。 実験例1熱変性コラーゲンの調製 ウシ由来II型コラーゲンのクエン酸溶液(pH3.0)
を、65℃で15分間の加熱又はオートクレーブ中で加
熱(121℃、15分間)して変性させ、変性コラーゲ
ンを得た。以下、便宜上、65℃で15分間変性させた
II型コラーゲンを「変性コラーゲンA」と、オートクレ
ーブ(121℃、15分間)で変性させたII型コラーゲ
ンを「変性コラーゲンB」と称する。
【0022】実験例2アミノ酸配列を特異的に認識する薬剤で処理することに
よる変性(断片化)II型コラーゲンの調製 ウシ由来II型コラーゲンを0.1M炭酸アンモニウム溶
液に分散させ(濃度;1mg/ml)、50℃で30分
間加熱した。これにトリプシン(TPCK-Trypsin、Sigma社
製)を加え(II型コラーゲンに対して2%)、37℃1時
間作用させた。そして、12N HClを添加してpH
3.0に調整し、4℃にて1晩放置して酵素反応を停止
させた。その後に、限外濾過(Centriprep3、アミコン
社製)を行い、II型コラーゲンの未切断物及びトリプシ
ンを取り除いて、酵素で変性(断片化)したII型コラー
ゲンを調製した。以下、便宜上、上記に準じてトリプシ
ンで変性したII型コラーゲンを「変性コラーゲンC」と
称する。
【0023】実験例3CIA(コラーゲン誘導性関節炎)発症抑制試験(1) 方法 DBA/1系マウスに免疫7日前にウシ由来変性コラー
ゲンA、B及びCの10mMクエン酸溶液(コラーゲン
含量:200μg)を鼻腔より麻酔下にて吸入させた。
0日目に未変性II型コラーゲンとフロインド完全アジュ
バントで免疫し、更に21日目に未変性II型コラーゲン
とフロインド不完全アジュバントで追加免疫して、CI
Aを発症させた。なお、比較例及び対照として、上記の
変性コラーゲンに代えて、未変性II型コラーゲン200
μg(比較例)、10mMクエン酸(対照)を吸入させ
た。 結果 各群のCIA発症日数を比較し、Mann-Whitney u検定を
行った。その結果を表1に示す。表1に示されるよう
に、未変性II型コラーゲンでは免疫寛容現象は認められ
ないが、変性コラーゲンA、B及びCにおいてはCIA
の発症が遅延し、明確な免疫寛容が認められた。また、
オートクレーブを用いて過酷な条件下に変性を施された
変性コラーゲンBの方が、また50℃で30分間加温
し、α1(II)型ポリペプチド鎖の3本が撚り合わさって
なるII型コラーゲンの螺旋状の立体構造を解きほぐした
後に、アミノ酸配列のうちアルギニン及びリジンのC末
端を特異的に認識し、切断するトリプシンを作用させて
得られた変性コラーゲンCの方が、変性コラーゲンAよ
りも免疫寛容原性は強いことが判明した。
【0024】
【表1】 a:p<0.02, b:p<0.005
【0025】実験例4CIA発症抑制試験(2) 方法 DBA/1系マウスに免疫31日前から1日前までトリ
由来変性コラーゲンA及びBの凍結乾燥粉末を餌と混合
(4%)して給餌した。CIAの発症は実験例2と同様
な方法で行った。なお、比較例及び対照として、上記コ
ラーゲンに代えて、未変性II型コラーゲン(比較例)及
びカゼイン(対照)を同量餌に混合して給餌した。 結果 各群のCIA発症率(%)を観察日ごとに比較し、Mann
-Whitney u検定を行った。その結果を図1に示す。な
お、CIA発症率(%)は、各マウスの四肢において、
少なくとも関節炎評価1以上の肢を一つでも認めると
き、これを関節炎マウスとみなし、この関節炎マウス匹
数を各群マウス匹数で割ったものをCIA発症率(%)
とした。図1に示されるように、未変性II型コラーゲ
ン、変性コラーゲンA及びBにおいて有意(p<0.0
1)にCIAの発症が抑制され、明確な免疫寛容が認め
られた。また、未変性II型コラーゲンよりも変性コラー
ゲンAの方が免疫寛容原性は強く、更にオートクレーブ
を用いて過酷な条件下に変性を施された変性コラーゲン
Bの方が変性コラーゲンAよりも免疫寛容原性が強いこ
とが判明した。
【0026】実験例5変性II型コラーゲン経鼻投与によるCIA発症抑制試験
(投与量の影響) 方法 DBA/1系マウスに免疫7日前にウシ由来変性コラー
ゲンBの0.2、2、20及び200μg(何れも10
mMクエン酸溶液)を鼻腔より麻酔下にて吸入投与し
た。0日目に未変性II型コラーゲン(200μg)とフ
ロインド完全アジュバント(DIFCO製)で免疫し、
更に21日目に未変性II型コラーゲン(200μg)と
フロインド不完全アジュバント(DIFCO製)で追加
免疫して、その日以降のCIA発症の様子を観察した。
なお、対照として、上記の変性コラーゲンBに代えて、
10mMクエン酸のみを吸入させた。
【0027】結果 試験結果を図2及び図3に示す。図2は発症指数の変化
を示し、ここで発症指数とは、関節炎の症状(足の腫
れ)を常法に従って各足ごとに0〜3までの評点で評価
し、各マウスについて4足の評点を合計して合計点を求
め、各マウスの合計点の平均値をとったものである。ま
た、図3は発症足の割合(%)であり、関節炎を発症し
た足を合計し、全体の足の数で除して得た割合である。
図2及び図3に示されるように、対照(即ち、変性コラ
ーゲンBを事前に経鼻投与せずに、0日目及び21日目
に未変性II型コラーゲンで免疫した試験群)では、追加
免疫直後から経時的にCIAの発症指数及び発症足の割
合が上昇した。それに対して、変性コラーゲンBを20
0μg吸入させた場合には、対照に比べて明らかに、C
IAの発症指数及び発症足の割合の上昇は著しく抑制、
遅延された。この抑制傾向は、20及び2μgの変性コ
ラーゲンBを吸入させた場合にも、用量依存的に認めら
れた。また、0.2μgの変性コラーゲンBを吸入させ
た場合には、200μgを吸入させた場合と同程度に、
CIAの発症指数及び発症足の割合の上昇が著しく抑
制、遅延された。
【0028】実験例6変性II型コラーゲン経鼻投与が血清中の抗II型コラーゲ
ン抗体価(サブクラス)に及ぼす影響 本試験では、変性II型コラーゲン経鼻投与が抗体(サブ
クラス)プロファイルに及ぼす影響を調べた。即ち、I
gGのサブクラスIgG2aとIgG2bはそれぞれ炎
症反応に不可欠な補体との結合能があるので、関節炎の
症状と関係があるとされている。また、IgG2aの産
生は、関節炎発症中の関節滑膜中に多く存在するT細胞
(Th1タイプ)の産生するIFN−γとも密接な関係
がある。すなわち、特定の抗原に対する血清中のIgG
2a産生量の低下は、当該抗原に対するTh1タイプの
反応が全身性に低下していることを示唆するものと考え
られている。
【0029】方法供試血清の採取 上記実施例5の実験に平行して、免疫後28日目(即
ち、追加免疫後7日目)に試験マウス及び対照マウスか
ら採血し、血清を採取した後、下記の方法で抗II型コラ
ーゲン抗体価(サブクラス)を測定した。ELISAによるIgGサブクラスの測定 プレート(Maxisorp、NUNC製)に未変性II
型コラーゲン(5μg/ウエル)を吸着させ、PBS−
Tweenで洗浄した後に、適宜希釈したマウスの血清
を加えた。PBS−Tweenで洗浄し、その後にアル
カリフォスファターゼ標識したウサギ抗マウス抗体(抗
マウスIgG1、抗マウスIgG2a、又は抗マウスI
gG2b、何れもZYMED製)を加えた。PBS−T
weenで洗浄し、その後に基質溶液(パラニトロフェ
ノール2リン酸、東京化成製)を加えた。30分間放置
後、5N NaOHを加えて、反応を停止させ、405
nmにおける吸光度を測定した。その結果を図4に示
す。
【0030】結果 対照(即ち、変性コラーゲンBを事前に経鼻投与せず
に、0日目及び21日目にII型コラーゲンで免疫した試
験群)では、IgG1、IgG2a及びIgG2bが産
生されていた。その結果は、図2及び3に示すCIAの
発症指数及び発症足の割合の上昇と対応していた。それ
に対して、変性コラーゲンB 200μgを吸入させた
場合には、対照に比べて明らかに、IgG1、IgG2
a及びIgG2bの産生が抑制されていた。その結果
は、図2及び3に示すCIAの発症指数及び発症足の割
合の上昇の抑制と対応していた。また、変性コラーゲン
B 20、2又は0.2μgを吸入させた場合には、対
照に比べて、IgG1の産生は抑制されていなかった。
一方、IgG2a及びIgG2bの産生は、対照に比べ
て抑制されていた。特に、0.2μgを吸入させた場合
のIgG2a及びIgG2bの産生の抑制の程度は、2
00μgを吸入させた場合と同程度であり、図2及び3
に示すCIAの発症指数及び発症足の割合の上昇の抑制
と対応していた。これらのことから、変性コラーゲンB
の20、2又は0.2μg(特に、0.2μg)の投与
は、補体との結合能から、関節炎の症状に関与するとさ
れるIgG2a及びIgG2bの産生を抑制するという
効果を奏する。さらには、変性コラーゲンBの20、2
又は0.2μgの投与は、IgG1の産生能自体は抑制
しないので、外来異物を認識し排除する機能を有する抗
体産生能自体を抑制することはないという効果を奏す
る。
【0031】実験例7変性II型コラーゲンを経鼻投与したマウスより分離した
リンパ球の産生するサイトカイン(変性II型コラーゲン
刺激の影響) 本試験では、炎症と関連するとして知られているサイト
カイン(IFN−γとIL−10)を測定し、変性II型
コラーゲン刺激の影響を調べた。なお、TGF−βやI
L−10は抗炎症性(抑制性)のサイトカインとして知
られており、実際のRAにおいても重要な免疫学的調節
機能を果たすとも報告されている(J. Exp. Med. 179, 1
5617-15627, 1994)。
【0032】方法リンパ球の分離と培養 前記実験例5の実験と同様に、DBA/1系マウスに免
疫7日前にウシ由来変性コラーゲンBの0、0.00
2、0.02、0.2、2、20及び200μgを鼻腔
より麻酔下にて吸入させた。そして、0日目に未変性II
型コラーゲン(100μg)とフロインド完全アジュバ
ント(DIFCO製)をマウス足蹠部に免疫した。そし
て、10日目に、膝下リンパ節を摘出し単一細胞懸濁液
を調製し、96穴プレート(FALCON製)に播腫し
た(1×106/ウエル)。各ウエルに無血清培地(X-v
ivo20、BIOWHITTAKER製)を加え、さらにII型コラーゲ
ン(最終濃度;500μg/ml)を加え、5%CO2
条件下で3日間培養し、培養上清を得た。同様に、II型
コラーゲンを添加せずに培養し、又はII型コラーゲンを
添加せずにコンカナバリンA(最終濃度;5μg/m
l)を添加して培養し、それぞれの培養上清を得た。な
お、コンカナバリンAはT細胞のマイトージェンであ
り、全てのT細胞に抗原非特異的に刺激を与えるため、
陽性対照として用いた。
【0033】サンドイッチELISAによるサイトカイ
ンの測定 プレート(Maxisorp、NUNC製)に抗マウスサイトカイン・
ラット単クローン抗体(抗マウスIL−10抗体:JE
S5−2A5、抗マウスIFN−γ抗体:RA−6A
2、いずれもPHARMINGEN製)をコーティング(50μl
/ウエル)し、PBS−Tweenにて洗浄し、3%B
SA加PBS−Tweenにてブロックした。そして、
適宜希釈した上記の培養上清を加えた。PBS−Twe
enにて洗浄した後に、ビオチン標識した抗マウスサイ
トカイン・ラット単クローン抗体(抗マウスIL−10
抗体:SXC−1、抗マウスIFN−γ抗体:XMG
1.2、いずれもPHARMINGEN製)を加えた。PBS−T
weenで洗浄した後に、アビジン化アルカリフォスフ
ァターゼ(ZYMED製)を加えた。更にPBS−Tw
eenで洗浄し、その後に基質溶液(パラニトロフェノ
ール2リン酸、東京化成製)を加えた。60分間放置
後、5N NaOHを加えて、反応を停止させ、405
nmにおける吸光度を測定し、IFN−γ又はIL−1
0の産生量を測定した。対照(変性コラーゲンB投与量
0)に対するIFN−γ又はIL−10の産生量の傾向
を表2に示す。
【0034】
【表2】 ↑↑:対照に対して明らかに産生が促進される。 ↑:対照に対して産生が促進される傾向にある。 →:対照に対して差異が認められない。 ↓:対照に対して抑制される傾向にある。 ↓↓:対照に対して明らかに産生が抑制されている。
【0035】結果 培地にコンカナバリンAを添加した場合(陽性対照)に
は、マウスより採取したリンパ球の均一な増殖が観察さ
れた。一方、II型コラーゲンを培地に添加した場合に
は、コラーゲンに反応するリンパ球がコロニーを形成し
て増殖した。このコラーゲン反応性のリンパ球における
サイトカイン産生を測定したところ、次のような結果が
得られた。IFN−γについては、変性コラーゲンBの
200μgを吸入させたマウスより採取したリンパ球を
II型コラーゲンとともに培養した場合には、変性コラー
ゲンBを吸入させなかったマウス(対照)より採取した
リンパ球を同様に培養した場合に比べて、炎症を増悪さ
せるIFN−γの産生が抑制されていた。IL−10に
ついては、変性コラーゲンBの0.002、0.02、
0.2又は2μgを吸入させたマウスより採取したリン
パ球をII型コラーゲンとともに培養した場合には、変性
コラーゲンBを吸入させなかったマウス(対照)より採
取したリンパ球を同様に培養した場合に比べ、抗炎症作
用を有するIL−10の産生が促進されていた。特に、
変性コラーゲンBの0.2又は0.02μgを吸入させ
たマウスより採取したリンパ球をII型コラーゲンととも
に培養した場合には、IL−10の産生が促進されてい
た。
【0036】実験例8熱変性物の検討 熱変性物の性状を検討するために、10mMクエン酸水
溶液(pH3.0)に、トリ由来II型コラーゲンを0.
1、0.3及び1.0%となるように溶解し、65℃2
0分間、100℃20分間及びオートクレーブ(120
℃20分間)の加熱変性を行い、得られた変性液を電気
泳動に付した。その結果を図5に示す。図5において、
Aはオートクレーブ(120℃20分間)処理コラーゲ
ン、Bは100℃20分間処理コラーゲン、Cは65℃
20分間処理コラーゲン、Dは未変性のコラーゲンを示
し、各サンプルの3つのレーンは左側から0.1、0.
3及び1.0%のコラーゲン濃度である。また、左右両
端のレーンは分子量マーカーである。図5に示されるよ
うに、未変性II型コラーゲンはα1鎖(MW:100,000)
のみから構成されているが、加熱変性により低分子量成
分が増加し、100℃20分間及びオートクレーブ(1
20℃20分間)の加熱変性を行った場合には、α1鎖
は消失していた。このことから、限定分解された低分子
成分が免疫寛容原として作用していることが示唆され
た。ウシ由来II型コラーゲンについて、同様な実験を行
ったところ、図5と同様な電気泳動パターンが得られ
た。また、ウシ由来変性コラーゲンCについて、同様な
電気泳動実験を行ったところ、αl鎖が消失するととも
に、オートクレーブ(120℃、20分間)処理物より
も更に低分子化され、分子量10,000以下の成分として検
出された。このことから、限定分解された低分子成分が
免疫寛容原として作用していることが示唆された。
【0037】実験例9 実験例1におけるクエン酸溶液に代えて水酸化ナトリウ
ム溶液(pH11.0)を用いる以外は実験例1と同様
にして熱変性を行い、熱変性II型コラーゲンを調製し
た。
【0038】実施例1 ウシ由来変性コラーゲンA 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 5 mg コーンスターチ 20 mg 乳糖 174.5mg 常法に準じ、上記の組成からなる混合物を、打錠成型
し、錠剤を得た。
【0039】実施例2 ニワトリ由来変性コラーゲンB 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 5 mg 乳糖 194.5mg 常法に準じ、上記の組成からなる混合物を、ゼラチン硬
カプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0040】実施例3 ウシ由来変性コラーゲンC 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 5 mg 乳糖 194.5mg 常法に準じ、上記の組成からなる混合物を、ゼラチン硬
カプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0041】実施例4 天然果汁(濃縮果汁還元)に、ウシ由来変性コラーゲン
Bを天然果汁200ml当り0.5mgの割合で混合し
た後、常法に準じて殺菌し、アセプティック包装して、
果汁製品を得た。
【0042】実施例5 ウインナソーセージ用練り肉に、ウシ由来変性コラーゲ
ンBを当該練り肉15g当り30μgの割合で混合した
後、常法に準じてソーセージケーシングに充填し、燻煙
し、殺菌し、冷却後に包装し、ウインナソーセージを得
た。
【0043】実施例6 ウシ由来変性コラーゲンBに代えて、ウシ由来変性コラ
ーゲンCを用いる以外は実施例4と同様にしてウインナ
ソーセージを得た。
【0044】実施例7 ニワトリ胸骨軟骨(通称、ヤゲン軟骨)150gに水1
000mlを加え、タマネギ、ニンジン、パセリ、セロ
リ、ショウガなどの香味野菜、及び粒コショウを加え
て、煮立て、弱火にて3時間加熱した。冷却後、ストレ
ーナーで濾過し、塩、コショウで調味し、トリスープを
得た。なお、同スープについて、電気泳動実験を行った
ところ、図5のBと同様の泳動像が観察された。また、
抗トリII型コラーゲン・ウサギ抗体を用いて、ウエスタ
ン ブロッティング実験を行ったところ、染色像が観察
された。これらのことから、当該トリスープ中には、変
性II型コラーゲンが含有されていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例4におけるCIAの発症率を示す図であ
る。
【図2】実験例5におけるCIAの発症指数を示す図で
ある。
【図3】実験例5におけるCIAの発症足の割合を示す
図である。
【図4】実験例6における、II型コラーゲンに対する抗
体のサブクラス別の抗体産生量を示す図である。
【図5】実験例8におけるII型コラーゲン熱変性物の電
気泳動写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中上 辰芳 茨城県つくば市緑ケ原3丁目3番 日本ハ ム株式会社中央研究所内 (72)発明者 飴谷 章夫 東京都文京区西片1−1−5パークハイム 文京西片501 (72)発明者 上野川 修一 埼玉県春日部市増田新田400−8

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性もしくはアルカリ性条件下に熱変
    性させたII型コラーゲン又はアミノ酸配列を特異的に認
    識する薬剤で変性させたII型コラーゲンを有効成分とし
    て含有する経口慢性関節リウマチ治療剤。
  2. 【請求項2】 熱変性させたII型コラーゲンが、II型
    コラーゲンを60℃以上で且つ10分間以上の熱変性を
    行って得たものである請求項1記載の経口慢性関節リウ
    マチ治療剤。
  3. 【請求項3】 アミノ酸配列を特異的に認識する薬剤
    で変性させたII型コラーゲンが、II型コラーゲンを30
    ℃以上で且つ10分間以上加温して、α1(II)型ポリ
    ペプチド鎖の3本が撚り合わさってなるII型コラーゲン
    の螺旋状の立体構造を解き、その後に、アミノ酸配列を
    特異的に認識し、切断する薬剤を作用させて得たもので
    ある請求項1記載の経口慢性関節リウマチ治療剤。
  4. 【請求項4】 II型コラーゲンが、ウシ、ブタ、ヤ
    ギ、ヒツジ、ウマ、ヒト、サル、ウサギ、マウス、ラッ
    ト等の哺乳類、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ等
    の鳥類、カメ、ヘビ等の爬虫類、マグロ、カツオ、サ
    ケ、サメ、エイ等の魚類由来である請求項1〜3の何れ
    かに記載の経口慢性関節リウマチ治療剤。
  5. 【請求項5】 製剤形態が、経口投与製剤、経鼻投与
    製剤、経腸投与製剤又は経粘膜投与製剤である請求項1
    〜4の何れかに記載の経口慢性関節リウマチ治療剤。
  6. 【請求項6】 酸性もしくはアルカリ性条件下に熱変
    性させたII型コラーゲン又はアミノ酸配列を特異的に認
    識する薬剤で変性させたII型コラーゲンを含有する機能
    性食品。
  7. 【請求項7】 熱変性させたII型コラーゲンが、II型
    コラーゲンを60℃以上で且つ10分間以上の熱変性を
    行って得たものであり;またアミノ酸配列を特異的に認
    識する薬剤で変性させたII型コラーゲンが、II型コラー
    ゲンを30℃以上で且つ10分間以上加温して、α1
    (II)型ポリペプチド鎖の3本が撚り合わさってなるII
    型コラーゲンの螺旋状の立体構造を解き、その後に、ア
    ミノ酸配列を特異的に認識し、切断する薬剤を作用させ
    て得たものである請求項6記載の機能性食品。
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