JPH0957972A - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその製造方法

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JPH0957972A
JPH0957972A JP22180495A JP22180495A JPH0957972A JP H0957972 A JPH0957972 A JP H0957972A JP 22180495 A JP22180495 A JP 22180495A JP 22180495 A JP22180495 A JP 22180495A JP H0957972 A JPH0957972 A JP H0957972A
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conductive ink
electrodes
ink
inkjet head
pair
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JP22180495A
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English (en)
Inventor
Naohito Yoshida
尚人 吉田
Shinichiro Kaneko
信一郎 金子
健二 ▲富▼田
Kenji Tomita
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットヘッドにおいて初期より安定
したインクの吐出を実現できるインクジェットヘッドを
提供することを目的とする。 【解決手段】 半導体プロセス技術を用いて電極2a,2b
の先端部だけに表面酸化膜27を形成し、電極2a,2bの先
端部の状態を安定化させることによって、初期から長期
にわたって導電性インクに流れる電流量がほぼ一定にな
るようにして、導電性インクの吐出を安定させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
タやファクシミリプリンタ等に適用され、導電性インク
へ通電を行って導電性インクを沸騰させ、この沸騰によ
る圧力で導電性インクを吐出させて印字を行うインクジ
ェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、事務所等のオフィスオートメーシ
ョン化に伴い、プリンタが広く普及しているが、インク
ジェットプリンタはノンインパクト方式のため低騒音で
あり、さらに印字速度が速いため注目されている。特に
オンデマンド方式のものが構成が簡単で低価格なことか
ら多く用いられている。
【0003】オンデマンド方式のインクジェットプリン
タにおいて、インクを吐出させる方法としては様々なも
のがある。例えば、圧電素子における機械的な変位圧力
を用いるもの(特公昭59−2619号公報,特公昭58−38110
号公報等)、発熱抵抗素子によってインクを加熱沸騰さ
せ、その圧力を用いるもの(特公昭61−59911号公報,特
公昭63−54547号公報等)、導電性インクに直接通電・加
熱することによってインクを蒸発させるもの、またはそ
の沸騰圧力を用いるもの(米国特許第3179042号明細書,
米国特許第4595938号明細書等)等である。
【0004】前記各種方法の中で、通電加熱による方法
は、他の2つの方法に対して、圧力を発生させるために
特別な素子を必要とせず、一対の電極を対抗させるだけ
の簡単な構成であるために、流路形成を含めてヘッド全
体を非常に簡単に構成することができるという利点を有
している。
【0005】以下、従来の通電加熱方式のインクジェッ
トヘッドについて説明する。
【0006】図11は従来の通電加熱方式のインクジェッ
トヘッドにおけるノズルの一素子の平面図、図12は同イ
ンクジェットヘッドの断面図であり、1はガラスからな
る基板であり、この基板1上にはスパッタ等の半導体プ
ロセス技術を用いてTiで一対の電極2a,2bが形成さ
れ、この一対の電極2a,2bと印字制御を行う信号発生装
置11とを接続するために、パーマロイ、Auによってリ
ード線3がパターン形成されている。さらに、前記一対
の電極2a,2bの各々には、その露出面積がほぼ等しくな
るようにポリイミド絶縁膜9の開口部10が形成されてい
る。
【0007】さらに、4は導電性インクが満たされてい
る圧力室、5はインク吐出用のノズル、6はインク流
路、7はポリイミドフィルム等からなるノズル流路基板
であり、接着層8を介して基板1に接着されている。
【0008】前記一対の電極2a,2bは、通電によって電
極にかかる電流密度を減少させて、溶解や酸化の発生を
抑えるために、その表面を粗くして実効表面積を大きく
している。
【0009】次に、前記構成のインクジェットヘッドの
動作を説明する。
【0010】信号発生装置11により一対の電極2a,2bに
電圧を加えると、所定の体積抵抗率を有する導電性イン
クに電流が流れる。この電流によって導電性インクは自
己発熱して温度が高まり、ついには沸騰が始まりバブル
が発生する。このバブルにより圧力室4内の導電性イン
クの圧力が急激に高まり、ノズル5から導電性インク滴
12が飛び出し、飛翔して記録紙13に付着することによっ
てドットを形成する。前記沸騰を開始した時点で信号発
生装置11は電極2a,2bへの電圧印加を停止する。膨張し
たバブルによるドットの形成に伴い消費された導電性イ
ンクは、次の電圧が電極2a,2bに印加される前にインク
流路6から補給される。この一連の動作の繰り返しによ
り、信号発生装置11からの信号に応じた導電性インク滴
12が連続的に生成され、記録紙13に対して任意の連続的
なドットが形成される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
前記インクジェットヘッドでは、通電の初期は、電極2
a,2bの表面はほとんど酸化されていないため、導電性
インクに電流が流れ過ぎて導電性インクが沸騰する時間
は短い。しかし、同一駆動条件下で、通電を数千万回繰
り返し行った後では、電極2a,2bの先端部が酸化されて
導電性インクに電流が流れ過ぎないため、導電性インク
が沸騰する時間は長くなる。したがって、駆動条件を変
えなければ導電性インクが沸騰する時間を制御できな
い。つまり、繰り返し通電後の安定な吐出となる駆動条
件で吐出させるためには、初期から2000万回程度通電し
てエージングをしなければならず、工数がかかるという
問題を有していた。
【0012】本発明は、前記従来の問題点を解決するた
めのものであり、初期より安定したインクの吐出を実現
できるインクジェットヘッドを提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のインクジェットヘッドは、電極の先端部だ
けに表面酸化膜を形成する。また、本発明のインクジェ
ットヘッドの製造方法は、前記表面酸化膜の形成方法と
して陽極酸化膜法を用いる。あるいは前記表面酸化膜の
形成方法として導電性溶液中で一対の電極間に交流通電
を行う。
【0014】
【作用】本発明に係るインクジェットヘッドおよびその
製造方法によって製造されたインクジェットヘッドは、
電極の先端部が適度に酸化されることにより、初期にイ
ンクに電流が流れ過ぎず、初期から長期にわたって導電
性インクに流れる電流量がほぼ一定となる。したがっ
て、初期から長期にわたって導電性インクの沸騰する時
間が安定する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。なお、図11,図12に基づいて説明した
部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は
省略する。
【0016】図1は本発明の第1実施例におけるインク
ジェットヘッドの平面図、図2は第1実施例のインクジ
ェットヘッドの断面図であり、1はガラスやシリコン等
の基板であって、この基板1上に半導体プロセス技術を
用いて電極2a,2bと、リード線3と、絶縁膜9とを形成
した電極配線基板に、ノズル5とインク流路6からなる
ノズル流路基板7を接着してインクジェットヘッドを構
成している。
【0017】図3は第1実施例のインクジェットヘッド
の斜視図であり、14はヘッドベースであって、前記基板
1とノズル流路基板7の間に、前記インク流路6に連通
する共通インク室15が設けられている。
【0018】図4は本発明に係るインクジェットヘッド
を搭載したヘッドカートリッジを示す一部を破断した斜
視図であり、16は前記ヘッドベース14を取り付けるイン
クカートリッジ、17はインクカートリッジ16内に設けら
れたインクタンク、18はインクタンク17内の導電性イン
クに含まれるゴミ,塵等を除去するインクフィルター、
19は導電性インクを図3に示す共通インク室15に導くイ
ンク導入孔である。
【0019】図5は本発明に係るインクジェットヘッド
を搭載したインクジェットプリンタを示す一部を破断し
た斜視図であり、20はインクカートリッジ16をプリンタ
内部に入れるためのカートリッジ挿入口、21は挿入され
たインクカートリッジ16を固定するキャリッジ、22は往
復移動するキャリッジ21を導くガイドシャフト、23は記
録紙13を送るプラテンローラである。
【0020】次に前記第1実施例のインクジェットヘッ
ドの製造方法について図6の製造工程の説明図を参照し
て説明する。
【0021】まず、基板1上にDCスパッタリング法に
よりTi薄膜を約2μm形成する。次にフォトリソグラ
フィー技術を用いてフォトレジストによる電極パターン
を形成し、エッチングにより電極パターン以外の不要な
部分を除去した後、フォトレジストを有機溶剤で除去す
る。これにより電極2a,2bが形成される(図6(a))。
【0022】次に蒸着法により基板1の全面にパーマロ
イ、Auの順に薄膜をそれぞれ0.2μm,1μm形成す
る。ここではAuとガラスの密着性を良くするためにパ
ーマロイを用いるが、Ti等の金属を用いても良い。そ
の後、フォトリソグラフィー技術を用いてフォトレジス
トによる陽極酸化電極パターンを形成し、エッチングに
より陽極酸化電極パターン以外の不要な部分をAu、パ
ーマロイの順に除去する。これにより、陽極酸化のため
の電極29が形成される(図6(b))。
【0023】さらに選択的に陽極酸化するために、フォ
トリソグラフィー技術を用いて電極2a,2bの先端から3
μmまでの先端部と、陽極酸化時の電流を流す陽極酸化
電極29の直流電源との接続部以外をフォトレジスト24で
覆う(図6(c))。
【0024】次に電極2a,2bの先端を陽極酸化するため
に、図7のように基板1とカーボン電極25を1%燐酸溶
液の浴26に入れ、直流電源30から基板1側が陽極、また
カーボン電極25側が陰極になるようにして、20Vの直流
電圧を10分間印加する。電圧印加終了時、電流値は小さ
くなって飽和している。その後、基板1を浴26から取り
出して純水で洗浄後、フォトレジストを有機溶剤で除去
すると、電極2a,2bの先端部の表面だけに酸化膜(酸化
領域)27を形成する(図6(d))。
【0025】前記電極2a,2bの先端部表面の酸化の状態
は、数千万回の通電を行った後の表面の酸化状態と同様
に多孔質化している。
【0026】また、TiはTa,Zr等と同じようにバル
ブ金属であり、これらの金属上の酸化物が一方向のみに
電流を通し、逆方向にはほとんど電流を通さない弁作用
を持つ金属として知られている。酸化膜の厚みは、流し
た電気量にほぼ比例することが分かっている。したがっ
て、同じ浴組成と電解質濃度ならば酸化膜の厚みは印加
電圧と印加時間で決まる。
【0027】Tiの陽極酸化の場合、酸化中に陽極から
酸素が発生するため、局部的に酸化膜厚がばらついた
り、変色することがある。このようなときは基板を浴に
浸積する前に前処理しておくと良い。具体的方法として
は、エタノール洗浄,酸素プラズマによるアッシング,
Tiのエッチング液によるTi表面の微小エッチングが有
効である。
【0028】次にフォトリソグラフィー技術を用いてフ
ォトレジストによるリード線パターンを形成し、エッチ
ングによりリード線パターン以外の不要な部分をAu、
パーマロイの順に除去してリード線3を形成する(図6
(e))。
【0029】次に感光性樹脂からなる絶縁膜を約4μm
塗布する。その後、露光装置を用いて絶縁膜9の開口部
10を、図1のように一対の電極2a,2bの露出面積がほぼ
等しくなるように、それらの電極2a,2b上をマスキング
して露光する。そして、現像液を用いて電極2a,2b上の
感光性樹脂を除去して開口部10を形成し、その後、イソ
プロピルアルコールを用いてリンスする。次に電気炉を
用いて窒素雰囲気中400℃で焼成する。焼成後の絶縁膜
9の厚さは約2μmである。ここでは感光性樹脂として
感光性ポリイミドを用いている(図6(f))。
【0030】圧力室4,ノズル5およびインク流路6
は、ノズル流路基板7をエキシマレーザーで加工して形
成される。次に基板1にノズル流路基板7を接着する。
【0031】前記製造方法においては、陽極酸化の溶液
として燐酸を用いたが、より酸化力の強い硝酸等でも良
い。
【0032】次に本発明の第1実施例とインクジェット
ヘッドと従来の比較例について吐出寿命回数を実験して
調べた。吐出寿命回数の定義は記録紙上のドット回数と
した。なお、実験条件は印加電圧を30V、印加電圧周波
数を3MHz、印加周期を5kHzとして交流通電を行
った。電圧の印加時間は50μsとし、2億回通電試験を
実施した。導電性インクは体積抵抗率を20Ω・cmとし
た。その結果を(表1)に示す。
【0033】
【表1】
【0034】(表1)から明らかなように第1実施例のイ
ンクジェットヘッドは、初期から安定な吐出をし、2億
ドット以上の吐出寿命を持つ実用性のある結果を得た。
一方、比較例においては初期に異常吐出するため実用に
適さない。
【0035】以上のように第1実施例のインクジェット
ヘッドによれば、電極2a,2bが適度に酸化しているため
初期に導電性インクに電流が流れ過ぎず、導電性インク
の沸騰する時間が、導電性インクが吐出できる程度に長
くなっているため初期から吐出できる。また2000万回以
降は通電回数が増えても酸化の進行が遅いため、初期か
ら長期にわたって導電性インクに流れる電流量がほぼ一
定となる。したがって、導電性インクの沸騰する時間も
ほぼ一定となり、初期から長期にわたって安定して吐出
する。
【0036】一方、比較例においては、電極は電圧印加
によって初期の電極表面状態を維持できずに酸化を繰り
返し、表面の酸化状態が遅くなるにつれて安定となる。
したがって、初期の電極表面状態で通電した場合は導電
性インクに電流が流れ過ぎて、インクの沸騰する時間が
安定吐出のための時間より短いため、インクが多段沸騰
する。このため、初期から2000万回が異常吐出になった
と考えられる。
【0037】図8は本発明の第2実施例におけるインク
ジェットヘッドの平面図であり、この第2実施例は、前
記第1実施例と後述する酸化領域37の構成および製造方
法が異なり、他は第1実施例と同様である。
【0038】以下に、図9を参照して第2実施例のイン
クジェットヘッドの製造方法について説明する。
【0039】まず、基板1上にDCスパッタリング法に
よりTi薄膜を約2μm形成する。次にフォトリソグラ
フィー技術を用いてフォトレジストによる電極パターン
を形成し、エッチングにより電極パターン以外の不要な
部分を除去した後、フォトレジストを有機溶剤で除去す
る。これにより電極2a,2bが形成される(図9(a))。
【0040】次に蒸着法により基板全面にパーマロイ、
Auの順に薄膜をそれぞれ0.2μm,1μm形成する。こ
こでAuとガラスの密着性を良くするためにパーマロイ
を用いるが、Ti等の金属を用いても良い。
【0041】次にフォトリソグラフィー技術を用いてフ
ォトレジストによるリード線パターンを形成し、エッチ
ングによりリード線パターン以外の不要な部分をAu、
パーマロイの順に除去してリード線3を形成する(図9
(b))。
【0042】次に感光性樹脂からなる絶縁膜を約4μm
塗布する。その後、露光装置を用いて絶縁膜9の開口部
10を、図8のように一対の電極2a,2bの露出面積がほぼ
等しくなるように、一対の電極2a,2b上をマスキングし
て露光する。そして、現像液を用いて電極上の感光性樹
脂を除去して開口部10を形成し、その後、イソプロピル
アルコールを用いてリンスする。次に電気炉を用いて窒
素雰囲気中400℃で焼成する。焼成後の絶縁膜9の厚さ
は約2μmである。ここでは感光性樹脂として感光性ポ
リイミドを用いている(図9(c))。
【0043】圧力室4,ノズル5およびインク流路6
は、ノズル流路基板7をエキシマレーザーで加工して形
成される。次に基板1にノズル流路基板7を接着する。
さらに、チップにするためにダイサーにて切断する。次
に、ヘッドチップのリード端子部に配線をする。さら
に、配線されたヘッドチップをヘッドカートリッジに組
み込む。
【0044】次に、カートリッジに溶液温度25℃の1vo
l%燐酸の導電性溶液を入れ、一対の電極2a,2b間に20
V,1MHzで交流通電を5分間行い、電極2a,2bの先
端部に酸化膜(酸化領域)37を形成する(図9(d))。
【0045】このとき燐酸溶液の濃度を5vol%以下、
溶液温度を30℃以下に保つことが必要である。なぜな
ら、この条件以外ではすぐに電極の溶解が始まるからで
ある。
【0046】第2実施例では導電性溶液として燐酸を用
いたが、硝酸とイソプロピルアルコールの混合溶液の導
電性溶液等でも良い。
【0047】この第2実施例のインクジェットヘッドに
対しても前記第1実施例と同様に吐出寿命回数を実験し
て調べた。その結果を(表2)に示す。
【0048】
【表2】
【0049】(表2)から明らかなように第2実施例のイ
ンクジェットヘッドは初期から安定な吐出をし、2億ド
ット以上の吐出寿命を持つ実用性のある結果を得た。一
方、比較例においては初期に異常吐出するため実用に適
さない。
【0050】以上のように第2実施例のインクジェット
ヘッドにおいても第1実施例のインクジェットヘッドと
同様に、電極2a,2b部分が適度に酸化しているため初期
に導電性インクに電流が流れ過ぎず、導電性インクの沸
騰する時間が吐出できる程度に長くなっているため、初
期から吐出できる。また2000万回以降は通電回数が増え
ても酸化の進行が遅いため、初期から長期にわたって導
電性インクに流れる電流量がほぼ一定となる。したがっ
て、導電性インクの沸騰する時間もほぼ一定となり、初
期から長期にわたって安定して吐出する。
【0051】一方、比較例においては、既述した第1実
施例との比較と同様に、電極2a,2bは電圧印加によって
初期の電極表面状態を維持できずに酸化を繰り返し、表
面の酸化状態が遅くなるにつれて安定となる。したがっ
て、初期の電極表面状態で通電した場合は導電性インク
に電流が流れ過ぎて、導電性インクの沸騰する時間が安
定吐出のための時間より短いため、導電性インクが多段
沸騰する。このため、初期から2000万回が異常吐出にな
ったと考えられる。
【0052】また、第2実施例は第1実施例と比較する
とTiを陽極酸化処理するときの電気力線28の方向が図1
0のように異なっている。第1実施例では図10(a)のよう
にに電流密度がほぼ均一のため、電極2a,2bの表面にほ
ぼ均一に酸化膜(酸化領域)27が形成される。一方、第2
実施例では図10(b)のように電極2a,2bの先端部に電流
が集中するので、電流密度の高いところは酸化膜(酸化
領域)37が厚く形成される。そのため、通電時の電極先
端部の表面電位の局部的なばらつきがなくなるので安定
して沸騰気泡が成長し、吐出が安定する。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明のインクジェットヘ
ッドおよびその製造方法によって製造されたインクジェ
ットヘッドは、電極の先端部が適度に酸化しているた
め、初期から長期にわたって導電性インクに流れる電流
量がほぼ一定となり、安定した導電性インクの吐出が得
られる。
【0054】また、本発明のインクジェットヘッドの製
造方法において、陽極酸化を行う場合では、ウエハープ
ロセスで実施できるため、高い歩留まりで製造でき、か
つ低い原価で生産性良く製造できる。さらに、同製造方
法において、一対の電極間に交互電圧通電を行う場合で
は、エージングを行うよりも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドの平面図である。
【図2】本発明の第1実施例の断面図である。
【図3】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドを搭載したヘッドカートリッジの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドを搭載したインクジェットプリンタの斜視図であ
る。
【図6】本発明の第1実施例のインクジェットヘッドの
製造方法における製造工程の説明図である。
【図7】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドの陽極酸化方法の説明図である。
【図8】本発明の第2実施例におけるインクジェットヘ
ッドの平面図である。
【図9】本発明の第2実施例のインクジェットヘッドの
製造方法における製造工程の説明図である。
【図10】本発明の第2実施例におけるインクジェット
ヘッドの陽極酸化処理中の電気力線の説明図図である。
【図11】従来のインクジェットヘッドの平面図であ
る。
【図12】図11の従来のインクジェットヘッドの断面図
である。
【符号の説明】
1…基板、 2a,2b…電極、 3…リード線、 4…圧
力室、 5…ノズル、6…インク流路、 7…ノズル流
路基板、 8…接着層、 9…絶縁膜、 10…絶縁膜9
の開口部、 11…信号発生装置、 12…導電性インク
滴、 13…記録紙、 24…フォトレジスト、 27,37…
酸化領域、 28…電気力線。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性インクが満たされている圧力室
    と、この圧力室の一部に設けられたノズルと、前記導電
    性インクへ導電を行う一対の電極と、この一対の電極の
    露出面積をほぼ等しくするように開口部が形成された絶
    縁膜とを有し、前記導電性インクへ通電を行って導電性
    インクを沸騰させ、この沸騰による圧力にて導電性イン
    クを吐出させることによって印字を行うインクジェット
    ヘッドにおいて、前記一対の電極の先端部に表面酸化膜
    を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記電極の材料としてTiあるいはTi
    合金を用いたことを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記表面酸化膜としてTiあるいはTi
    合金の酸化膜を形成したことを特徴とする請求項1記載
    のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記表面酸化膜が陽極酸化法にて形成し
    た酸化膜であることを特徴とする請求項1または3記載
    のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 導電性インクが満たされている圧力室
    と、この圧力室の一部に設けられたノズルと、前記導電
    性インクへ導電を行う一対の電極と、この一対の電極の
    露出面積をほぼ等しくするように開口部が形成された絶
    縁膜とを有し、前記導電性インクへ通電を行って導電性
    インクを沸騰させ、この沸騰による圧力にて導電性イン
    クを吐出させることによって印字を行うインクジェット
    ヘッドを製造するための製造方法において、前記一対の
    電極の先端部に、陽極酸化の処理条件として処理溶液に
    酸化性溶液を用いることによって、表面酸化膜を形成す
    ることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化性溶液として燐酸溶液あるいは
    硝酸溶液を用いたことを特徴とする請求項5記載のイン
    クジェットヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 導電性インクが満たされている圧力室
    と、この圧力室の一部に設けられたノズルと、前記導電
    性インクへ導電を行う一対の電極と、この一対の電極の
    露出面積をほぼ等しくするように開口部が形成された絶
    縁膜とを有し、前記導電性インクへ通電を行って導電性
    インクを沸騰させ、この沸騰による圧力にて導電性イン
    クを吐出させることによって印字を行うインクジェット
    ヘッドを製造するための製造方法において、導電性溶液
    中で前記一対の電極間に交流通電を行うことによって、
    前記一対の電極の先端部に表面酸化膜を形成することを
    特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性溶液として酸化性溶液を用い
    たことを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッ
    ドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記酸化性溶液として硝酸とイソプロピ
    ルアルコールの混合溶液あるいは燐酸溶液を用いたこと
    を特徴とする請求項8記載のインクジェットヘッドの製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記燐酸溶液の濃度を5vol%以下、
    溶液温度を30℃以下に保つことを特徴とする請求項9記
    載のインクジェットヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5240171A (en) * 1987-05-21 1993-08-31 Lanxide Technology Company, Lp Method for surface bonding of ceramic bodies

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