JPH0957860A - 多孔質フィルムの製造装置 - Google Patents

多孔質フィルムの製造装置

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JPH0957860A
JPH0957860A JP7212145A JP21214595A JPH0957860A JP H0957860 A JPH0957860 A JP H0957860A JP 7212145 A JP7212145 A JP 7212145A JP 21214595 A JP21214595 A JP 21214595A JP H0957860 A JPH0957860 A JP H0957860A
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rolls
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organic film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長尺有機系フィルムに対して微細な開口幅を
有する多数の凹部を形成できると共に、全ての凹部の底
部に対応する前記フィルムの残存薄膜部に微細な貫通孔
を形成することが可能な多孔質フィルムの製造装置を提
供する。 【解決手段】 鋭い角部を有する多数の誘電体粒子が表
面に付着された第1ロールと、前記第1ロールに対して
逆方向に回転可能で配列方向に移動自在な第2ロール
と、前記第1ロールの下方に配置され、表面にセラミッ
ク層およびゴム層がこの順序で被覆された上下方向に移
動自在な第3ロールと、長尺有機系フィルムを供給する
ための供給手段と、前記第1、第2のロール間に供給さ
れた前記長尺有機系フィルムへの押圧力を調節するため
の圧力調節手段と、前記第3ロールを上下動させるロー
ル移動手段と、前記第1ロールに高電圧を供給するため
の高電圧供給手段とを具備したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、多孔質フィルムの
製造装置に関し、特に衛生材料、医療材料、衣料材料、
包装材料等の素材として好適な多孔質フィルムを製造す
るための装置に係わる。
【0002】
【従来の技術および課題】従来、この種のフィルムの製
造方法としては汎用のオレフィン樹脂(例えばポリエチ
レン)に微細な無機物粉末を大量(通常、樹脂に対して
50体積%以上)に充填した後、フィルム化し、更に一
軸又は二軸方向に高倍率で延伸することにより、前記無
機物粉末との境界面に破壊孔を形成して迷路的に連通し
た微細な孔を開口する方法である。
【0003】しかしながら、前述した従来の製造方法は
次のような問題があった。
【0004】(1)無機物粉末を大量に添加するため、
フィルムを構成する樹脂本来の特性(例えば強度、ソフ
ト感、透明性等)が著しく低下し、実質的にプラスチッ
クライクのフィルムを得ることができない。
【0005】(2)無機物粉末を大量に添加し、一軸又
は二軸方向に高倍率で延伸する手法を採用するため、エ
ラストマーフィルムのような伸縮性を有するフィルムに
適用することができない。
【0006】(3)得られたフィルムには、迷路的に連
通したサブミクロンオーダの微細な孔が開口されるた
め、透湿性を有するものの、通気性は調節が困難であ
り、用途上の制限を受ける。
【0007】このようなことから、本出願人は長尺有機
系フィルムを供給するための供給手段;鋭い角部を有す
る多数のモース硬度5以上の粒子(例えばダイヤモンド
粒子)が表面に付着された回転可能な第1ロールと、前
記ロールに対して逆方向に回転可能な第2ロールとを備
え、前記第1、第2のロールを互いに対向して配置して
それらの間に前記長尺フィルムを通過させるようにする
と共に、前記各ロールの一方を固定し、他方を前記一方
のロールに対してその対向方向に移動自在に配置した穿
孔用ユニット;前記ユニットの前記移動自在なロールの
両端部付近に設けられ、前記各ロールによる前記フィル
ムへの押圧力を調節するための圧力調節手段;前記ユニ
ットの後段にに配置され、前記ユニットから搬送された
フィルムにアークを照射するためのアーク照射手段;を
具備したことを特徴とする多孔質フィルムの製造装置
(特開平5−131557号公報)を既に出願した。前
記アーク照射手段は、前記穿孔用ユニットから搬送され
た長尺有機系フィルムにギャップをあけて配置され、表
面に多数の微細な凹凸(例えば表面に被覆されたミクロ
ンオーダの目開きを有する誘電体材料製クロス)が形成
された回転可能な誘電体ロールと、前記誘電体ロールに
対向して配置され、前記誘電体ロールと間でアーク放電
を起こさせて前記フィルムの幅方向に亘ってアークを照
射するための電極とから構成され、前記凹凸(クロスの
目開き)に対応する長尺有機系フィルムの未貫通孔にア
ークを照射できる。
【0008】このような製造装置によれば、前記穿孔用
ユニットの第1、第2のロール間に高分子材料を始めと
する各種の長尺有機系フィルムを通過させ、前記圧力調
節手段により前記第1、第2のロール間のフィルムへの
押圧力を調節することによって、前記長尺有機系フィル
ムに対してそのフィルム材料本来の特性(例えば透明
性、強度、ソフト感等)を殆ど損なうことなくサブμm
〜数百μmの範囲で任意に選択された微細な開口幅を有
する多数(例えば1cm2 当り500〜200,000
個)の微細な未貫通孔を形成することができる。前記穿
孔用ユニットを通過した後の長尺有機系フィルムを前記
アーク照射手段の誘電体ロールと前記電極間に供給し、
前記誘電体ロールと前記電極の間で高圧放電を発生させ
て前記フィルムの幅方向に亘ってアークを照射すること
により、未貫通孔底部の薄膜部分がアークで穿孔され、
結果的に貫通孔が形成される。
【0009】しかしながら、前記誘電体ロールと前記電
極の間でアーク放電を起こさせ、それらの間に供給され
た長尺有機系フィルムの幅方向に亘ってアークを照射す
ると、前記穿孔用ユニットにより予め穿孔された長尺有
機系フィルムの多数の未貫通孔のうち、電気抵抗の小さ
い未貫通孔、つまり底部の薄膜部分が別の未貫通孔に比
べて薄い未貫通孔にアークが集中する。このようなアー
クが集中的に照射されることにより穿孔された未貫通孔
底部の孔の径は大きくなるため、均一な孔径を有する多
数の貫通孔を形成することが困難になる。
【0010】また、本出願人は長尺有機系フィルムを供
給するための供給手段;鋭い角部を有するモース硬度5
以上の多数の誘電体粒子(例えば合成ダイヤモンド粒
子)が表面に付着された回転可能な第1ロールと、前記
第1ロールに対して逆方向に回転可能な表面に例えばジ
ルコニア層のような誘電体層が被覆された第2ロールと
を有し、前記第1、第2のロール間に前記長尺有機系フ
ィルムが通過され、かつ前記各ロールのいずれか一方ま
たは両者をそれらの配列方向に移動自在に配置した穿孔
用ユニット;前記穿孔用ユニットの前記各ロールのうち
のいずれか一方のロールの両端部付近に設けられ、前記
各ロールによる前記長尺有機系フィルムへの押圧力を調
節するための圧力調節手段;前記第1ロールに高電圧を
供給するための高電圧供給手段を具備した多孔質フィル
ムの製造装置(特願平4−217622号)を既に出願
した。
【0011】上述した多孔質フィルムの製造装置におい
て、圧力調節手段により圧力調節された穿孔用ユニット
における前記第1、2のロールを回転し、前記第1、第
2のロール間に前記長尺有機系フィルムを通過させると
共に、前記多数の合成ダイヤモンド粒子が表面に付着さ
れた第1ロールに高電圧供給手段から高電圧を供給す
る。この際、前記第1、第2のロールは互いに長さ方向
全体に亘って均一に押圧されているため、これらロール
間に前記長尺有機系フィルムが通過すると、前記第1ロ
ールに付着された多数の合成ダイヤモンド粒子の鋭い角
部が前記フィルムに一様に食い込んで機械的な穿孔がな
され、前記フィルム本来の特性(例えば透明性、強度、
ソフト感等)を損なうことなく、微細な開口幅を有する
例えば逆円錐形状の凹部が多数形成される。同時に、高
電圧が供給された前記第1ロールは前記長尺有機系フィ
ルムを挟んで表面に前記誘電体層が被覆された第2ロー
ルと対向されているため、前記第1ロール表面の誘電体
である多数の合成ダイヤモンド粒子と前記第2ロールの
誘電体層の間でコロナ放電が発生する。このようなコロ
ナ放電において、前記合成ダイヤモンド粒子表面に沿う
沿面電流および前記ダイヤモンド粒子の鋭い角部におけ
るエッジ効果により前記長尺有機系フィルムの前記凹部
の底部に位置する残存薄膜部が穿孔される。このため、
前記残存薄膜部に前記凹部の開口幅より小さい径の例え
ば円柱形状の貫通孔が形成される。
【0012】しかしながら、前記第2ロール表面に被覆
された誘電体層であるセラミック層は機械的強度や耐衝
撃性が劣るため、前記第2ロールを前記表面に合成ダイ
ヤモンド粒子が付着された第1ロールに対して高い圧力
で押圧することができない。その結果、長尺有機系フィ
ルムとして比較的厚いものを用いた場合、前記フィルム
への機械的な穿孔およびこれに引き続くコロナ放電によ
る穿孔を行うことが困難になる。また、前記セラミック
層は表面が粗面であるため、前記合成ダイヤモンド粒子
の鋭い角部と前記セラミック層表面との間のギャップに
ばらつきを生じる。その結果、前記合成ダイヤモンド粒
子と前記セラミック層との間で発生するコロナ放電は、
前記ギャップの小さい箇所に集中し、前記凹部底部の孔
の径が大きくなるため、均一な孔径を有する多数の貫通
孔を形成することが困難になる。
【0013】本発明は、長尺有機系フィルムに対してそ
のフィルム材料本来の特性(例えば透明性、強度、ソフ
ト感等)を殆ど損なうことなくサブμm〜数十μmの範
囲で任意に選択された微細な開口幅を有する凹部を一様
かつ多数(例えば500〜200,000個/cm2
形成できると共に、全ての凹部の底部に対応する前記フ
ィルムの残存薄膜部に前記開口幅より小さくかつ均一な
径を有する貫通孔を形成することが可能な多孔質フィル
ムの製造装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる多孔質フ
ィルムの製造装置は、鋭い角部を有するモース硬度5以
上の多数の誘電体粒子が表面に付着された回転可能な第
1ロールと、前記第1ロールと同一水平面に互いに軸心
が平行するように配置され、前記第1ロールに対して逆
方向に回転可能で配列方向に移動自在な第2ロールと、
前記第1ロールの下方に互いに軸心が平行するように配
置され、表面にセラミック層およびゴム層がこの順序で
被覆された上下方向に移動自在な第3ロールと、前記第
1ロールの周面に沿って前記第1、第2のロール間およ
び前記第1、第3のロール間に長尺有機系フィルムを供
給するための供給手段と、少なくとも前記第2ロールの
両端部付近を前記第1ロールに向けて押圧し、前記第
1、第2のロール間に供給された前記長尺有機系フィル
ムへの押圧力を調節するための圧力調節手段と、前記第
3ロールを上下動させ、前記第1、第2のロール間を通
過した後の前記第1ロールの周面の長尺有機系フィルム
に前記第3ロールを所望の圧力で当接させるためのロー
ル移動手段と、前記第1ロールに高電圧を供給するため
の高電圧供給手段とを具備したことを特徴とするもので
ある。
【0015】前記第1ロールは、例えば500〜200
0mmの長さを有する金属製ロール本体と、前記ロール
の本体表面に電着、または有機系もしくは無機系の結合
剤により付着され、表面に鋭い角部を有する多数のモー
ス硬度5以上の誘電体粒子と、前記ロール本体の中心を
貫通して挿着された軸とを備えた構造を有する。
【0016】前記金属製ロール本体は、例えば銅および
銅合金、または鉄および鉄合金、あるいはこれらの金属
表面にニッケルめっき層、クロムめっき層を被覆したも
の等から形成される。
【0017】前記モース硬度5以上の誘電体粒子は、そ
の誘電率が10以下のものが望ましく、例えば炭化ケイ
素粒子(誘電率;9.7)、天然もしくは合成のダイヤ
モンド粒子(誘電率;5.7)等を挙げることができ
る。これら誘電体粒子の中で、天然もしくは合成のダイ
ヤモンド粒子は硬度、強度等が著しく大きく、絶縁耐圧
が高いために好適である。特に、前記合成のダイヤモン
ド粒子は粒径の揃ったものが入手できるためにより好適
である。
【0018】前記モース硬度5以上の多数の誘電体粒子
としてダイヤモンド粒子を用いる場合には、前記ダイヤ
モンド粒子を前記ロール本体表面に電着により付着させ
ることが好ましい。前記電着によるダイヤモンド粒子の
前記ロール本体への付着は、前記ロール本体を脱脂する
工程と、前記ロール本体の表面の端部や軸をマスキング
する工程と、脱脂、水洗する工程と、前記ロール本体を
酸洗、水洗する工程と、前記ロール本体の露出面に例え
ばニッケルを主成分とする硬質メッキ層を形成すると共
に前記硬質メッキ層に多数のダイヤモンド粒子を仮付け
する工程と、前記ダイヤモンド粒子間の前記硬質メッキ
層部分に前記ダイヤモンド粒子の鋭い角部が十分に突出
するように硬質メッキ処理を施して前記ダイヤモンド粒
子を前記ロール本体に固定する工程と、前記マスキング
材を除去する工程とを備えた方法によりなされる。前記
電着において、前記ロール本体の表面には予めめっき技
術等によりNi層、Cr層を形成することが望ましい。
このような電着の採用により、前記ダイヤモンド粒子を
前記ロール本体表面に極めて強固に付着させることが可
能になる。
【0019】前記誘電体粒子は、粒径が10〜350μ
mで粒径のばらつきが5%以下のものを用いることが望
ましい。前記誘電体粒子は、前記長尺有機系フィルムに
例えば500〜200,000個/cm2 の多数の凹部
を形成すると共に前記長尺有機系フィルムに一様なコロ
ナ放電を行う観点から、前記ロール本体の表面に70%
以上付着させることが望ましい。
【0020】前記第2ロールは、例えば鉄および鉄合
金、または銅および銅合金からなる例えば500〜20
00mmの長さを有するロール本体と、前記ロール本体
の中心を貫通して挿着された軸とを備えた構造を有す
る。前記ロール本体は、表面にニッケルめっき層、クロ
ムめっき層を被覆した金属から形成してもよい。
【0021】前記第1、第2のロールには、前記各軸の
両端付近を軸支する軸受を内蔵した絶縁材料からなるボ
ックスが取り付けられる。前記絶縁材料としては、例え
ばアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0022】前記第1ロールは、例えば次のような回転
手段により回転される。すなわち、前記回転手段は前記
ボックスを貫通して突出した前記第1ロールの軸の一端
に嵌着された第1プーリと、回転軸を有するモータと、
この回転軸に嵌着された第2プーリと、前記第1、第2
のプーリ間に枢支された回転ベルトとから構成される。
【0023】前記第2ロールは、例えば次のような回転
手段により回転される。すなわち、前記回転手段は前記
ボックスを貫通して突出した前記第2ロールの軸の一端
に嵌着された第1プーリと、前記第1ロールの回転軸に
対して反対方向に回転する回転軸を有するモータと、こ
のモータの回転軸に嵌着された第2プーリと、前記第
1、第2のプーリ間に枢支された回転ベルトとから構成
される。
【0024】前記長尺有機系フィルムとしては、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ
塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルケトン、エラストマー、ポリウレタン等からなる
各種高分子樹脂フィルム;発泡ポリエチレン、発泡ポリ
プロピレンなどの各種の発泡高分子樹脂フィルム;発泡
紙;熱融着性樹脂フィルム;高分子材料にシリカ粉末、
カーボン粉末、アルミナ粉末等の無機質粉末を混合させ
た複合フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム
とポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート
フィルムとポリプロピレンフィルムとを積層したような
材質の異なる高分子樹脂フィルムを2層または3層積層
した積層フィルム、高分子樹脂フィルムに織布または不
織布を積層した積層フィルム、高分子樹脂フィルムに紙
を積層した積層フィルムなどの各種の積層フィルム等を
用いることができる。
【0025】前記長尺有機系フィルムは、例えば厚さ1
μm〜10mmのものが用いられる。
【0026】前記長尺有機系フィルムを供給するための
供給手段としては、例えば前記長尺有機系フィルムを巻
装したロールを用いることができる。また、前記長尺有
機系フィルムが単一の高分子樹脂からなる場合には、前
記供給手段としてインフレーション法によるフィルム製
造機、またはキャスティング法によるフィルム製造機を
用いることができる。
【0027】前記圧力調節手段は、例えば前記第1ロー
ルの軸の両端付近に取り付けられたボックスが固定され
る架台と、前記第2ロールの軸の両端付近に取り付けら
れたボックスが係合され、前記第1、第2の配列方向に
延びる一対のレールと、前記第2ロールを前記第1ロー
ルに向けて押圧する進退自在なロッドを有する油圧、空
気圧またはサーボモータからなる押圧部材とを備える。
【0028】前記第1ロール側および前記第2ロール側
には、ゴムのような弾性材料層で表面を覆ったバックア
ップロールがそれぞれ配置されることを許容する。前記
各バックアップロールは、表面が弾性材料層で覆われた
金属製のロール本体と、このロール本体の中心を貫通し
て挿着された軸とから構成されている。前記各バックア
ップロールには、前記軸の両端付近を軸支する軸受を内
蔵した絶縁材料からなるボックスが取り付けられる。こ
のようなバックアップロールを付設した場合には、前記
圧力調節手段は例えば次のような構造を有する。すなわ
ち、この圧力調節手段は前記第1ロール側に配置された
第1バックアップロールの軸の両端付近に取り付けられ
たボックスが係合され、前記第1、第2の配列方向に延
びる一対のレールと、前記第1バックアップロールの両
端付近に配置された前記ボックスに連結され、前記ボッ
クスを前記第1ロール側にに向けて押圧する進退自在な
ロッドを有する油圧、空気圧またはサーボモータからな
る第1押圧部材と、前記第2ロール側に配置された第2
バックアップロールの軸の両端付近に取り付けられたボ
ックスが係合され、前記第1、第2の配列方向に延びる
一対のレールと、前記第2バックアップロールの両端付
近に配置された前記ボックスに連結され、前記ボックス
を前記第2ロール側にに向けて押圧する進退自在なロッ
ドを有する油圧、空気圧またはサーボモータからなる第
2押圧部材とから構成される。
【0029】前記第3ロールは、例えば鉄および鉄合
金、または銅および銅合金からなる例えば500〜20
00mmの長さを有する金属製のロール本体と、前記ロ
ール本体の表面に被覆されたセラミック層と、前記セラ
ミック層の表面に被覆されたゴム層と、前記ロール本体
の中心を貫通して挿着された軸とを備えた構造を有す
る。前記ロール本体は、前記表面にニッケルめっき層、
クロムめっき層を被覆した金属材料から形成してもよ
い。このような第3ロールには、前記軸の両端付近を軸
支する軸受を内蔵した軸受ボックスが取り付けられる。
【0030】前記第3ロール表面に被覆された前記セラ
ミック層は、例えばアルミナ、ジルコニア、ムライト、
窒化ケイ素等から形成される。前記セラミック層は、例
えば溶射により前記ロール本体に被覆することができ
る。このような溶射によりセラミック層を前記ロール本
体に被覆した後は、前記セラミック層表面を研摩処理し
て平滑にすることが望ましい。前記セラミック層は、
1.5〜3.0mmの厚さを有することが好ましい。
【0031】前記第3ロールのセラミック層表面に被覆
されるゴム層は、例えばシリコーンゴム、スチレン・ブ
タジエン・ゴム、ネオプレンゴム等から形成される。前
記ゴム層は、前記セラミック層の厚さより薄い1.0〜
2.5mmの厚さを有することが好ましい。
【0032】前記ロール移動手段は、例えば前記第3ロ
ールの軸の両端付近に取り付けられた前記ボックスが固
定される支持台と、前記支持台の底部に取り付けられ、
前記第3ロールを前記第1ロールに対して離接する進退
自在なロッドを有する油圧、空気圧またはサーボモータ
からなる駆動部材と、前記第3ロールの軸の両端付近に
取り付けられたボックスが係合される上下方向に延びる
一対のレールとを備える。
【0033】前記高電圧供給手段は、例えば前記第1ロ
ールの軸を軸支する軸受の周囲に被覆された絶縁材料層
と、前記ボックスの表面から前記ボックスおよび前記絶
縁材料層を貫通して、先端が前記軸受に接触するように
挿着された高電圧供給端子と、前記供給端子に接続され
た高電圧供給源(例えば交流電源または直流電源)とを
備えた構成を有する。特に、前記高電圧供給端子と前記
高電圧供給源との接続経路にさらに前記第1ロールに供
給する高電圧を制御するための制御部材を設けることが
好ましい。前記絶縁材料層は、例えば高分子材料、セラ
ミック等を用いることができる。中でも、耐高電圧特
性、強度の優れたポリカーボネート樹脂等のエンジニア
リングプラスチックが好適である。
【0034】前記第1ロールの後段には、静電除去手段
が配置されることを許容する。この静電除去手段として
は、例えばアースされた金属繊維を有する帯体、または
純水を収容した容器と前記純水に超音波を付与する超音
波発生部材とからなるものを用いることができる。
【0035】以上説明した本発明に係わる多孔質フィル
ムの製造装置によれば、鋭い角部を有するモース硬度5
以上の多数の誘電体粒子が表面に付着された回転可能な
第1ロールと、前記第1ロールと同一水平面に互いに軸
心が平行するように配置され、前記第1ロールに対して
逆方向に回転可能で配列方向に移動自在なな第2ロール
と、前記第1ロールの下方に互いに軸心が平行するよう
に配置され、表面にセラミック層およびゴム層がこの順
序で被覆された上下方向に移動自在な第3ロールと、前
記第1ロールの周面に沿って前記第1、第2のロール間
および前記第1、第3のロール間に長尺有機系フィルム
を供給するための供給手段と、前記第2ロールの両端部
付近を押圧し、前記第1、第2のロール間に供給された
前記長尺有機系フィルムへの押圧力を調節するための圧
力調節手段と、前記第3ロールを上下動させ、前記第
1、第2のロール間を通過した後の前記第1ロールの周
面の長尺有機系フィルムに前記第3ロールを所望の圧力
で当接させるためのロール移動手段と、前記第1ロール
に高電圧を供給するための高電圧供給手段とを具備する
ことによって、高分子樹脂を始めとする各種の長尺有機
系フィルムに対してそのフィルム材料本来の特性(例え
ば透明性、強度、ソフト感等)を殆ど損なうことなくサ
ブμm〜数十μmの範囲で任意に選択された微細な開口
幅を有する多数(例えば500〜200,000個/c
2 )の凹部を一様かつ連続的に形成することができる
と共に、全ての凹部の底部に対応する前記フィルムの残
存薄膜部に前記開口幅より小さい径の貫通孔を形成する
ことができる。
【0036】すなわち、前記第1、第2のロール間に前
記長尺有機系フィルムを供給し、前記圧力調節手段によ
り前記第1、第2のロール間の前記フィルムへの押圧力
を調節し、かつロール移動手段により前記第3ロールを
上昇させ、前記フィルムを介して前記第1ロールに当接
させる。こうした状態で前記第1、第2のロールを互い
に反対方向に回転させると共に、高電圧供給手段から前
記第1ロールに高電圧を印加することによって、前記第
1、第2のロールによるフィルムの挟持部において、前
記第1ロール表面の多数の誘電体粒子が前記フィルムに
圧入して多数の凹部を形成する。さらに、前記長尺有機
系フィルムが前記第1ロール周面に沿って移動して前記
第3ロールの当接領域に移動されると、前記第3ロール
の表面にはセラミック層およびゴム層がこの順序で被覆
されているため、前記高電圧供給手段から高電圧が供給
された前記第1ロールの前記誘電体粒子と前記第3ロー
ルの間でコロナ放電が起こる。その結果、前記コロナ放
電において前記第1、第2のロール間での誘電体粒子に
よる穿孔時とほぼ同様な状態で前記フィルムに圧入され
た前記誘電体粒子表面に沿う沿面電流および前記誘電体
粒子の角部のエッジ効果により前記凹部底部の薄いフィ
ルム部分(残存薄膜部)が強力な放電破壊により穿孔さ
れる。
【0037】このような本発明に係わる多孔質フィルム
の製造装置は、次のような特徴および作用を有する。
【0038】(1)第1、第2のロール間においては、
前記第1ロール表面の多数の誘電体粒子による前記長尺
有機系フィルムへの機械的穿孔のみを担わせているた
め、第1、第2のロール間を通過する前記長尺有機系フ
ィルムへの押圧力を十分に高めることができる。その結
果、比較的厚い長尺有機系フィルムでも一様な深さを有
する凹部を形成することができる。
【0039】(2)第1、第3のロール間においては、
前記第1ロール表面の多数の誘電体粒子による機械的な
穿孔がなされた前記長尺有機系フィルムにコロナ放電を
施して穿孔を行っている。このコロナ放電電流は、前記
ゴム層に殆ど依存せず、高誘電率の前記セラミック層に
依存するため、大きな放電電流が得られる。つまり、ゴ
ム層が存在しない単独のセラミック層が被覆されたロー
ルと同様な挙動によりコロナ放電が起こる。
【0040】また、前記第3ロールの表面はクッション
作用を有するゴム層で覆われているため、前記第3ロー
ルを前記長尺有機系フィルムを介して前記第1ロールに
十分に強い力で当接できる。その結果、前記第1、第2
のロール間での前記誘電体粒子の前記フィルムへの圧入
状態に近い状態を第1、第3のロール間でも実現でき
る。
【0041】さらに、前記ゴム層の表面はセラミック層
の表面に比べて平滑であるため、前記誘電体粒子の鋭い
角部と前記ゴム層表面との間のギャップを均一化でき
る。
【0042】このような第3ロールの構造的特徴および
第1ロールに対する配置形態により、既述したようにコ
ロナ放電において前記第1、第2のロール間での誘電体
粒子による穿孔時とほぼ同様な状態で前記フィルムに圧
入された前記誘電体粒子表面に沿う沿面電流および前記
誘電体粒子の角部のエッジ効果により前記凹部底部の薄
いフィルム部分(残存薄膜部)が強力な放電破壊により
穿孔される。
【0043】したがって、本発明に係わる多孔質フィル
ムの製造装置によれば高分子樹脂を始めとする各種の長
尺有機系フィルムに対してそのフィルム材料本来の特性
(例えば透明性、強度、ソフト感等)を殆ど損なうこと
なくサブμm〜数十μmの範囲で任意に選択された微細
な開口幅を有する多数(例えば500〜200,000
個/cm2 )の凹部を一様かつ連続的に形成することが
できると共に、全ての凹部の底部に対応する前記フィル
ムの残存薄膜部に前記開口幅に比べて極めて径の小さい
貫通孔を形成することができる。このような多数の凹部
およびその底部に繋がる極めて微細な径の貫通孔を有す
る多孔質フィルムは、次のような用途に有効に利用する
ことができる。
【0044】(1)凹部の底部に対応する長尺有機系フ
ィルムの残存薄膜部にコロナ放電により穿孔された貫通
孔は、ピンホールのような大きな径ではなく、非常に微
細であるため、耐水圧が非常に高く、使い捨ておむつに
代表される通気性、透湿性の機能を有する機能性フィル
ムを得ることができる。
【0045】(2)長尺エラストマーフィルムに多数の
凹部およびその底部に繋がる極めて微細な径の貫通孔を
形成することによって、はっぷ剤の伸縮性ベースフィル
ムに利用できる。
【0046】すなわち、はっぷ剤は皮膚に貼り付けて消
炎または分泌物吸収の目的で用いられる。前記はっぷ剤
としては、従来より粉末薬品を含むペースト状外用剤を
布に塗布した構造のものが知られている。しかしなが
ら、このような構造のはっぷ剤は前記布が水蒸気を十分
に透過しない。このため、前記はっぷ剤を寝眠時に皮膚
に貼り付けて使用すると、皮膚から発生した汗が前記は
っぷ剤を透過せずにそのまま滞留して不快感を与える。
【0047】前記多孔質フィルムに外用剤を塗布したは
っぷ剤は、前記多孔質フィルムが高い水蒸気透過性を有
する。このため、前記はっぷ剤は皮膚から発生した汗を
透過して良好に揮散でき、寝眠時でも良好に使用するこ
とができる。
【0048】(3)前記(2)で説明したエラストマー
フィルムに多数の凹部およびその底部に繋がる極めて微
細な径の貫通孔を形成した多孔質フィルムは、水、細
菌、雑菌を透過せず、水蒸気の透過量を増大でき、さら
に高い伸縮性を有する。このため、手術用の手袋として
利用することができる。
【0049】(4)多数の凹部およびその底部に繋がる
極めて微細な径の貫通孔が形成された多孔質フィルム
は、前記貫通孔により透湿性および酸素等のガスの透過
量を例えば103 〜107 cc/m2 ・24hr・25
℃の範囲で制御できるため、使い捨てかいろ、脱酸素剤
または乾燥剤の包装材として利用することができる。
【0050】(5)例えばポリエチレンフィルム、二軸
延伸ポリプロピレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなる有
機系フィルムに多数の凹部およびその底部に繋がる極め
て微細な径の貫通孔を形成することによって、青果物鮮
度保持用包装材に利用できる。
【0051】すなわち、青果物を密封包装した場合、青
果物自身の呼吸作用により包装材内の酸素濃度が減少し
て炭酸ガス濃度が増加する。このため、酸素量の低下と
二酸化炭素の高濃度化によつて前記青果物の呼吸が抑制
され、前記青果物の鮮度保持がなされる。この場合、前
記包装材の素材であるフィルムは個々の青果物が正常に
呼吸して生命体を維持できる最低限度の酸素を透過する
こと、呼吸によって生成した炭酸ガス濃度も過剰になら
ないように制御されること、細菌繁殖の原因となる結露
を招く水蒸気を透過すること、等が要求される。
【0052】例えばポリプロピレンフィルムに多数の凹
部およびその底部に繋がる極めて微細な径の貫通孔を形
成して多孔質フィルムを作製すると、前述したように酸
素ガスおよび炭酸ガスの透過量が大幅に増大されると共
に、水蒸気の透過量が増大され、かつ水、雑菌の透過が
防止される。したがって、前記多孔質フィルムから形成
された包装材は、酸素ガスを透過でき、かつ前記青果物
の呼吸によって生成した炭酸ガスを透過して炭酸ガス濃
度が過剰になるのを抑制でき、さらに結露の原因となる
水蒸気を透過することができる。その結果、前記多孔質
フィルムからなる包装材は優れた青果物鮮度保持作用を
有する。
【0053】また、本発明に係わる多孔質フィルムの製
造装置において前記供給手段としてインフレーション法
によるフィルム製造機、またはキャスティング法による
フィルム製造機を用いることによって、高分子材料の原
料から多孔質フィルムを一貫して、つまりインラインで
製造することが可能となる。
【0054】さらに、本発明に係わる多孔質フィルムの
製造装置において前記第1ロールをロール本体と、前記
ロール本体に電着により多数の天然もしくは合成のダイ
ヤモンド粒子を付着させた構造にすれば、天然もしくは
合成のダイヤモンド粒子は硬度、強度が著しく大きく、
かつ絶縁耐圧が3.5×106 V/cmと高いため、予
め機械的な穿孔がなされた長尺有機系フィルムへのコロ
ナ放電処理を長期間に亘って安定的に行うことができ
る。しかも、前記多数の天然もしくは合成のダイヤモン
ド粒子は電着により前記ロール本体に強固に密着力でき
るため、耐久性の優れた第1ロールを実現できる。特
に、前記ロール本体を表面にNiめっき層が被覆された
良電気導電性の銅または銅合金から形成すれば、前記多
数の天然もしくは合成のダイヤモンド粒子を前記ロール
本体により一層強固に電着でき、著しく耐久性の優れた
第1ロールを実現できる。
【0055】本発明に係わる多孔質フィルムの製造装置
においては、前記摩擦を主体とした第1、第2のロール
間での機械的な穿孔および帯電を誘起するコロナ放電処
理により各種の長尺有機系フィルムに凹部およびその底
部に繋がる微細な貫通孔を形成するものである。このた
め、穿孔およびコロナ放電処理後の前記フィルム表面に
は大量の静電気が発生し、周囲のダストを付着させる。
このようなことから、前記ユニットの後段に静電除去手
段を設けることによって、前記穿孔処理後の長尺有機系
フィルム表面に生じる大量の静電気を除去でき、前記フ
ィルム表面にダストが付着して容易に除去できる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して詳細に説明する。
【0057】図1は、本実施例の多孔質フィルムの製造
装置を示す断面図、図2は図1の製造装置の上面図、図
3は図2のIII −III 線に沿う断面図、図4は図2のIV
−IV線に沿う断面図、図5は図1の第1ロールの要部断
面図である。
【0058】図中の1は、後述する第1、第2のロール
および2つのバックアップロールのロール本体が配置さ
れる開口部2を有する上板3を持つ架台である。第1ロ
ール4は、前記上板3上に前記開口部2を左右に横切る
ように配置されている。前記第1ロール4は、図5に示
すように鋭い角部を有する多数のモース硬度5以上の誘
電体粒子5(例えば合成ダイヤモンド粒子;誘電率5.
7)が表面に70%以上の面積率でニッケル製の電着層
6を介して付着された鉄製のロール本体7と、前記本体
7の中心を貫通して前記本体7の両端面から突出された
軸8とから構成されている。前記ロール本体7は、前記
上板3の開口部2内に位置されている。前記軸8の突出
した両端部は、アクリル樹脂からなる一対の第1ボック
ス9内の軸受10にそれぞれ軸支されている。前記各第
1ボックス9は、前記上板3の左右の帯状部分にそれぞ
れ固定されている。前記軸8は右側の前記第1ボックス
9から所望長さ突出し、その突出した軸8部分には、第
1プーリ11が嵌着されている。回転軸12を有するモ
ータ13は、前記プーリ11の下方に配置されている。
ゴム製の無端ベルト14は、前記第1プーリ11と前記
回転軸12に嵌着された第2プーリ15に枢支されてい
る。したがって、前記モータ13を回転することにより
前記回転軸12、第2プーリ15、無端ベルト14、第
1プーリ11からなる回転伝達部材により前記軸8が回
転され、これにより前記第1ロール4が例えば半時計回
り方向に回転される。前記各第1ボックス9内の軸受1
0周囲には、図4に示すように絶縁環体16がそれぞれ
嵌着されている。鍔部17を有する高電圧供給端子18
は、その先端が前記各第1ボックス9の上面を貫通し、
さらに前記絶縁環体16を貫通して前記軸受10外周面
に達するようにそれぞれ挿着されている。前記各高電圧
供給端子18は、ケーブル19a、19bを通して高電
圧制御部材としての高圧トランス20に接続されてい
る。高圧トランス20は、ケーブル21を通して例えば
交流電源22に接続されている。このような前記絶縁環
体16、前記高電圧供給端子18、前記高圧トランス2
0および前記交流電源22等の部材により、高電圧供給
手段としての高電圧供給機構を構成している。前記高電
圧供給機構における前記交流電源22から交流電圧を前
記高圧トランス20に供給し、ここで所望の高電圧に制
御し、前記高電圧をケーブル18a、18bを通して前
記各端子18に供給すると、前記各端子18に接触され
た前記軸受10を通して前記第1ロール4に高電圧が供
給される。
【0059】第2ロール23は、図2に示すように前記
上板3上に前記開口部2を左右に横切るように前記第1
ロール4と平行にかつ前記1ロール4の奥側に配置され
ている。前記第2ロール23は、図4に示すように鉄製
のロール本体24と、前記本体24の中心を貫通して前
記本体24の両端面から突出された軸25とから構成さ
れている。前記ロール本体24は、前記上板3の開口部
2内に位置されている。前記軸25の突出した両端部
は、アクリル樹脂からなる一対の第2ボックス26内の
軸受27にそれぞれ軸支されている。前記各第2ボック
ス26は、前記上板3の左右の帯状部分に取り付けられ
た第1レール28にスライダー29を介してそれぞれ移
動自在に配置されている。前記軸27は、右側の前記第
2ボックス26から所望長さ突出し、その突出した軸2
7部分には、第3プーリ30が嵌着されている。回転軸
を有するモータ(図示せず)は、前記第3プーリ30の
下方に配置されている。ゴム製の無端ベルト31は、前
記第3プーリ30と前記回転軸に嵌着された第4プーリ
(図示せず)に枢支されている。したがって、前記モー
タを回転することにより前記回転軸、第4プーリ、無端
ベルト31、第3プーリ30からなる回転伝達部材によ
り前記軸27が回転され、これにより前記第2ロール2
3が例えば時計回り方向に回転される。
【0060】第1バックアップロール32は、前記上板
3上に前記開口部2を左右に横切るように前記第1ロー
ル4と平行にかつ前記第1ロール4の手前側に配置され
ている。前記第1バックアップロール32は、図4に示
すように鉄製のロール本体33と、前記ロール本体33
の外周面に被覆された弾性材料層であるゴム層34と、
前記本体33の中心を貫通して前記本体33の両端面か
ら突出された軸35とから構成されている。前記ロール
本体33は、前記上板3の開口部2内に位置されてい
る。前記軸35の突出した両端部は、アクリル樹脂から
なる一対の第3ボックス36内の軸受37にそれぞれ軸
支されている。前記各第3ボックス36は、前記上板3
の左右の帯状部分に取り付けられた第2レール38にス
ライダー39を介してそれぞれ移動自在に配置されてい
る。
【0061】第2バックアップロール40は、前記上板
3上に前記開口部2を左右に横切るように前記第2ロー
ル23と平行にかつ前記第2ロール23の奥側に配置さ
れている。前記第2バックアップロール40は、図4に
示すように鉄製のロール本体41と、前記ロール本体4
1の外周面に被覆された弾性材料層であるゴム層42
と、前記本体41の中心を貫通して前記本体41の両端
面から突出された軸43とから構成されている。前記ロ
ール本体41は、前記上板3の開口部2内に位置されて
いる。前記軸43の突出した両端部は、アクリル樹脂か
らなる一対の第4ボックス44内の軸受45にそれぞれ
軸支されている。前記各第4ボックス44は、前記上板
3の左右の帯状部分に取り付けられた前記第1レール2
8にスライダー46を介してそれぞれ移動自在に配置さ
れている。
【0062】ピストンロッド47を有する一対の第1油
圧シリンダ48は、前記上板3の左右の帯状部分に固定
され、かつ前記各ピストンロッド47の先端はフランジ
49を介して前記第1バックアップロール32の第3ボ
ックス36側面にそれぞれ連結されている。前記各第1
油圧シリンダ48を駆動して前記ピストンロッド47を
前進させることにより、前記各ピストンロッド47の先
端にフランジ49を介して連結された各第3ボックス3
6が前記第2レール38上を前記スライダー39を介し
て移動するため、前記各第3ボックス36内の軸受37
に軸支された前記第1バックアップロール32が前記第
1ロール4に向けて移動される。ピストンロッド50を
有する一対の第2油圧シリンダ51は、前記上板3の左
右の帯状部分に固定され、かつ前記各ピストンロッド5
0の先端はフランジ52を介して前記第2バックアップ
ロール40の第4ボックス44側面にそれぞれ連結され
ている。前記各第2油圧シリンダ51を駆動して前記ピ
ストンロッド50を前進させることにより、前記各ピス
トンロッド50の先端にフランジ52を介して連結され
た各第4ボックス44が前記第1レール28上を前記ス
ライダー46を介して移動するため、前記各第4ボック
ス44内の軸受45に軸支された前記第2バックアップ
ロール40が前記第2ロール23に向けて移動される。
このような第1、第2の油圧シリンダ48、51および
第1、第2のレール28、38等の部材により圧力調節
手段53が構成される。
【0063】第3ロール54は、前記第1ロール4の下
方にその軸心が前記第1ロール4の軸心と平行になるよ
うに配置されている。前記第3ロール54は、図4に示
すように鉄製のロール本体55と、前記ロール本体55
の外周面に被覆された例えばアルミナからなる厚さ2m
mのセラミック層56と、前記セラミック層56表面に
被覆された例えばシリコーンゴムからなる厚さ1.5m
mのゴム層57と、前記本体55の中心を貫通して前記
本体55の両端面から突出された軸58とから構成され
ている。前記ロール本体55は、前記上板3の開口部2
内を横切って上下動される。なお、前記セラミック層5
6は前記ロール本体55表面にアルミナを溶射した後、
溶射アルミナ層の表面を研摩することにより形成され
る。前記軸58の突出した両端部は、一対の第5ボック
ス59内の軸受(図示せず)にそれぞれ軸支されてい
る。
【0064】上下動自在なピストンロッド60を有する
一対の第3油圧シリンダ61は、前記各第5ボックス5
9の下方に配置され、かつ前記各ピストンロッド60の
先端には支持板62が取付けられている。前記第3ロー
ル54両端付近の前記第5ボックス59は、前記支持板
62上にそれぞれ固定されている。前記各第5ボックス
59の側面には、図1に示すように上下方向に延びる第
3レール63に係合されたスライダー64がそれぞれ取
付けられている。このような第3油圧シリンダ61、第
3レール63等の部材によりロール移動手段65を構成
している。
【0065】長尺有機系フィルムの巻回ロール(図示せ
ず)は、前記架台1の前段に配置されている。前記巻回
ロールの長尺有機系フィルム66は、図1に示すように
例えば4つの送りロール67〜70を経由して前記第
1、第2のロール4、23間および第1、第3のロール
4、54間に供給され、さらに2つの送りロール71、
72を経て図示しない静電除去手段に供給され、巻取ロ
ール(図示せず)に巻取られる。
【0066】次に、前述した構成の多孔質フィルムの製
造装置により例えば二軸延伸ポリプロピレン(OPP)
からなる長尺有機系フィルム69から多孔質長尺有機系
フィルムを製造する操作を前述した図1〜図5および図
6〜図9を参照して詳細に説明する。
【0067】まず、巻回ロール(図示せず)からOPP
からなる長尺有機系フィルム66を4つの送りロール6
7〜70により前記第1、第2のロール4、23間、第
1、第3のロール4、53間を通過させた後、2つの送
りロール71、72により静電除去手段(図示せず)を
通過させ、巻取ロール(図示せず)に前記長尺有機系フ
ィルム66の先端を巻く。
【0068】前記長尺有機系フィルム66の先端を巻取
ロールに巻き取った後、圧力調節手段53の対をなす第
1油圧シリンダ48を駆動させてピストンロッド47を
前進させることにより、前記各ピストンロッド47の先
端にフランジ49を介して連結された2つの第3ボック
ス36が第2レール38上をスライダー39を介して移
動する。前記各第3ボックス36の移動により、前記各
第3ボックス36内の軸受37に軸支された第1バック
アップロール32が前記第1ロール4に向けて移動され
る。これにより、図6に示すように前記第1バックアッ
プロール32のロール本体33表面のゴム層34が前記
第1ロール4のロール本体7に当接して前記第1ロール
4をバックアップする。また、前記圧力調節手段53の
対をなす第2油圧シリンダ51を駆動して前記ピストン
ロッド50を前進させることにより、前記各ピストンロ
ッド50の先端にフランジ52を介して連結された2つ
の第4ボックス44が第1レール28上をスライダー4
6を介して移動する。前記各第4ボックス44の移動に
より、前記各第4ボックス44内の軸受45に軸支され
た第2バックアップロール40が前記第2ロール23に
向けて移動される。これにより、図6に示すように前記
第2バックアップロール40のロール本体41表面のゴ
ム層42が前記第2ロール23のロール本体24に当接
して押圧する。この押圧により、前記第2ロール23両
端付近の第2ボックス26が第1レール28上をスライ
ダー29を介して移動する。前記各第2ボックス26の
移動により前記第2ロール23が前記第1ロール4に向
けて移動され、そのロール本体24が前記第1ロール4
のロール本体7に前記長尺有機系フィルム66を挟んで
押圧されると共に、前記第2ロール23がバックアップ
される。
【0069】さらに、ロール駆動手段65の対をなす第
3油圧シリンダ61を駆動してそれらのピストンロッド
60を上昇させると、前記各ピストンロッド60先端の
支持板62上にそれぞれ固定された第5ボックス59が
上下方向に延びる第3レール63に係合されたスライダ
ー64を介して上昇する。このような前記各第5ボック
ス59の上昇により、前記ボックス59に内蔵された軸
受(図示せず)に軸支された軸58を有する第3ロール
54のロール本体56が図6に示すように前記第1ロー
ル4のロール本体7に所望の押圧力で当接される。
【0070】以上のような圧力調節手段53による前記
第1、第2のバックアップロール32、40への押圧調
節により、前記第1、第2のロール4、23間に位置す
る前記長尺有機系フィルム66はその幅方向全体に亘っ
て均一な押圧力が付与される。また、前記ロール駆動手
段65による前記第3ロール54の上昇により前記第3
ロール54は前記長尺有機系フィルム66を挟んで前記
第1ロール4に所望の圧力が付与される。このような圧
力調節手段53およびロール駆動手段65の操作により
穿孔の準備が完了する。
【0071】穿孔操作の準備が完了した後、モータ13
を回転することにより回転軸12、第2プーリ15、無
端ベルト14、第1プーリ11からなる回転伝達部材に
より第1ロール4の軸8が回転され、これにより前記第
1ロール4が例えば半時計回り方向に回転される。ま
た、図示しないモータを回転することにより回転軸、第
4プーリ、無端ベルト31、第3プーリ30からなる回
転伝達部材により前記第2ロール23の軸27が回転さ
れ、これにより前記第2ロール23が例えば時計回り方
向に回転される。同時に、交流電源22から交流電圧を
ケーブル21を通して高圧トランス20に供給し、ここ
で電圧制御を行って所望の電圧、電流を有する高電圧を
ケーブル19a、19bを通して前記各第1ボックス9
上面の高電圧供給端子18の鍔部17に供給し、前記供
給端子18、前記各第1ボックス9に内蔵された各軸受
10を経由して前記第1ロール4に高電圧を供給する。
この時、前記第1ロール4に直接隣接する前記第2ロー
ル23、第1バックアップロール32および前記第2ロ
ール23を介して隣接する第2バックアップロール40
は前記第1ロール4と同電位になる。このため、図6に
示すような第1ロール4を挟んでその両側に第2ロール
23および第1バックアップロール32が接触して配列
される際、前記第1ロール4と前記第2ロール23の
間、および前記第1ロール4と前記第1バックアップロ
ール32の間でのコロナ放電の発生が防止される。
【0072】このように前記第1、第2のロール4、2
3を回転させると共に、前記第1ロール4に高電圧を印
加することにより、前記第1、第2のロール4、23間
を通過する前記OPPからなる長尺有機系フィルム66
に多数の凹部73が穿孔され、さらに前記第1、第3の
ロール間を通過することにより前記凹部73底部の薄い
フィルム部分74がコロナ放電により穿孔されて貫通孔
75が形成される。
【0073】すなわち、前記第1ロール4は図5に示す
ように鋭い角部を有する誘電体粒子である多数の合成ダ
イヤモンド粒子5が表面に例えば70%以上の面積率で
電着層6を介して付着された鉄製のロール本体7を備え
た構造になっている。また、前記第2ロール23は図4
に示すように鉄製のロール本体24を備えた構造になっ
ている。さらに、前記第3ロール54は図4に示すよう
に表面にセラミック層56およびゴム層57がこの順序
で被覆された鉄製のロール本体55を備えた構造になっ
ている。このため、前記長尺有機系フィルム66が図6
のAに示す前記第1、第2のロール4、23間を通過す
ると、図7に示すように前記第1ロール5表面の多数の
合成ダイヤモンド粒子5の鋭い角部が前記長尺有機系フ
ィルム66に一様に食い込んで機械的な穿孔がなされ、
多数の逆円錐形状の凹部73が形成される。さらに、前
記長尺有機系フィルム66が前記第1ロール4周面に沿
って移動して図6のBの示す前記第3ロール54の当接
領域に移動されると、図8に示すように前記第3ロール
54の表面にはセラミック層56およびゴム層57がこ
の順序で被覆されているため、高電圧が供給された前記
第1ロール4の前記合成ダイヤモンド粒子5と前記第3
ロール54の間でコロナ放電が起こる。このコロナ放電
電流は、前記ゴム層57に殆ど依存せず、高誘電率の前
記セラミック層56に依存するため、大きな放電電流が
得られる。また、前記第3ロール54の表面はゴム層5
7で覆われているため、前記第3ロール54を前記長尺
有機系フィルム66を介して前記第1ロール4に当接し
た時に前記ゴム層57のクッション作用により前記第
1、第2のロール4、23間での前記ダイヤモンド粒子
5の前記フィルム66への食い込み状態(圧入状態)に
近い状態を維持することができる。さらに、前記ゴム層
57の表面はセラミック層の表面に比べて平滑であるた
め、前記合成ダイヤモンド粒子5の鋭い角部と前記ゴム
層57表面との間のギャップを均一化できる。その結
果、図9に示すように前記第1、第2のロール4、23
間での合成ダイヤモンド粒子5による穿孔時とほぼ同様
な状態で前記長尺有機系フィルム66に圧入された前記
合成ダイヤモンド粒子5表面に沿う沿面電流74および
前記合成ダイヤモンド粒子5の角部のエッジ効果により
前記凹部73底部の薄いフィルム部分(残存薄膜部)7
5が強力な放電破壊により穿孔される。このような機械
的な穿孔およびコロナ放電による穿孔により、図10に
示すように長尺有機系フィルム66に微細な開口幅を有
する逆円錐形の凹部73が多数形成され、かつ全ての凹
部73の底部に対応する残存薄膜部75に前記凹部73
の開口径に比べて極めて微細な径を有する貫通孔76が
形成された構造の長尺多孔質有機系フィルム77が得ら
れる。
【0074】前記第1、第2のロール4、23間および
第1、第3のロール4、54間を通過することにより機
械的な穿孔およびコロナ放電による微細な穿孔がなされ
た前記長尺多孔質有機系フィルム77は、2つの送りロ
ール71、72により静電除去手段(図示せず)に搬送
される。前記長尺有機系フィルム66への穿孔は、前記
第1、第2のロール4、23間での機械的な摩擦および
第1、第3のロール4、54間のコロナ放電によりなさ
れるため、穿孔処理により得られた長尺多孔質有機系フ
ィルム77表面に大量の静電気が発生し、周囲のダスト
が付着される。穿孔処理後の前記長尺多孔質有機系フィ
ルムを前記静電除去手段を通過させることにより、前記
長尺多孔質有機系フィルムへのダストの付着を防止でき
ると共に、この後の巻取ロールによる巻取操作を円滑に
行うことができる。
【0075】したがって、前述した多孔質フィルムの製
造装置によれば第1、第2のロール4、23間において
前記第1ロール4表面の多数の合成ダイヤモンド粒子5
によるOPPからなる前記長尺有機系フィルム66への
機械的穿孔のみを担わせ、第1、第3のロール4、54
間において前記多数の合成ダイヤモンド粒子5による機
械的穿孔を維持した状態でコロナ放電による穿孔を担わ
せることによって、特願平4−217622号の製造装
置のように表面に多数の合成ダイヤモンド粒子が付着さ
れた第1ロールと表面に誘電体層を有する第2ロール間
で機械的穿孔とコロナ放電よる穿孔とを同時に行う場合
に比べて機械的な穿孔時のフィルムへの挟持力(押圧
力)を高めることができる。その結果、比較的厚い長尺
有機系フィルムの穿孔が可能になると共に、穿孔される
凹部の深さ制御が容易になる。また、長尺有機系フィル
ム66に圧入された第1ロール4表面の多数の合成ダイ
ヤモンド粒子5と第3ロール54表面の平滑なゴム層5
7との間でコロナ放電を起こさせるため、機械的な穿孔
により形成された凹部73のある箇所にコロナ放電が集
中することなく、全ての凹部73の底部の残存薄膜部7
5にコロナ放電がなされる。その結果、第1、第2のロ
ール4、23間で機械的な穿孔により形成された全ての
凹部73の底部の残存薄膜部75に前記凹部73の開口
幅に比べて極めて微細な貫通孔76を形成することがて
きる。
【0076】このように本発明に製造装置によれば、高
分子樹脂を始めとする各種の長尺有機系フィルムに対し
てそのフィルム材料本来の特性(例えば透明性、強度、
ソフト感等)を殆ど損なうことなく、図10に示すよう
にサブμm〜数十μmの範囲で任意に選択された微細な
開口幅を有する多数(例えば500〜200,000個
/cm2 )の凹部73を一様かつ連続的に形成すること
ができると共に、全ての凹部73の底部に対応する前記
フィルムの残存薄膜部75に前記凹部73の開口幅に比
べて極めて径の小さい貫通孔76が形成された長尺多孔
質有機系フィルム77を製造することができる。このよ
うな長尺多孔質有機系フィルムは、水、雑菌を透過せ
ず、酸素ガス、炭酸ガスなどのガスの透過量、水蒸気透
過量の制御性を有するため、青果物鮮度保持用包装材、
脱酸素剤用包装材などの各種包装材、はっぷ剤の伸縮性
ベースフィルム、手術用の手袋、ガス選択透過フィルタ
等に有効に利用できる。
【0077】また、前記第1ロール4側および第2ロー
ル23側に第1、第2のバックアップロール32、40
を配置し、圧力調節手段53の対をなす第1油圧シリン
ダ48、対をなす第2油圧シリンダ51による前記第
1、第2のロール4、23同士の押圧を前記第1、第2
のバックアップロール32、40を間に挟んで行うこと
によって、前記第1、第2のロール4、23の長さ方向
への撓み発生を防止することができる。その結果、長時
間の運転においても前記第1ロール4表面に付着された
多数の合成ダイヤモンド粒子5の鋭い角部による機械的
な穿孔、並びに合成ダイヤモンド粒子5と前記第3ロー
ル54との間のコロナ放電を安定かつ良好に維持するこ
とができ、前述した図10に示す凹部73および貫通孔
76の形状が安定した長尺多孔質有機系フィルム77を
再現性よく製造することが可能になる。
【0078】さらに、図5に示すように第1ロール4表
面に付着される誘電体粒子として天然または合成のダイ
ヤモンド粒子5を用い、前記ダイヤモンド粒子5を第1
ロール4のロール本体7に電着層6を介して付着するこ
とによって、長期間の多孔質有機系フィルムの製造にお
いて前記粒子5の前記ロール本体7からの脱落を防止で
きると共に、安定した機械的な穿孔を行うことが可能な
多孔質フィルムの製造装置を実現できる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述しように、本発明によれば長尺
有機系フィルムへの機械的な穿孔およびコロナ放電よる
穿孔を極めて安定的に行うことができ、微細な開口幅を
有する多数の凹部を一様に形成されると共に、全ての凹
部の底部に対応する残存薄膜部に前記凹部の開口幅に比
べて極めて径の小さい貫通孔が形成された各種のガスフ
ィルタ、医療素材、青果物鮮度保持用包装材などの機能
性フィルム等の素材として好適な多孔質フィルムを量産
的に製造することが可能で、かつ長期信頼性の優れた多
孔質フィルムの製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における多孔質フィルムの製造
装置を示す断面図。
【図2】図1の製造装置の上面図。
【図3】図2の III− III線に沿う断面図。
【図4】図2のIV−IV線に沿う拡大断面図。
【図5】図1の第1ロールの要部断面図。
【図6】図1の製造装置による長尺有機系フィルムへの
機械的名穿孔およびコロナ放電による穿孔を行うための
第1〜第3のロールおよび第1、第2のバックアップロ
ールの配置状態を示す斜視図。
【図7】図6のA部の拡大断面図。
【図8】図6のB部の拡大断面図。
【図9】予め機械的に穿孔された凹部を有する長尺有機
系フィルムへのコロナ放電を説明するための要部拡大断
面図。
【図10】機械的な穿孔およびコロナ放電による穿孔に
より得られた長尺多孔質有機系フィルムを示す拡大断面
図。
【符号の説明】
1…架台、3…上板、4…第1ロール、5…合成ダイヤ
モンド粒子、9…第1ボックス、13…モータ、11、
15、30…プーリ、14、31…無端ベルト、18…
高電圧供給端子、22…交流電源、23…第2ロール、
26…第2ボックス、32…第1バックアップロール、
36…第3ボックス、40…第2バックアップロール、
44…第4ボックス、48、51…油圧シリンダ、53
…圧力調節手段、54…第3ロール、56…セラミック
層、57…ゴム層、59…第5ボックス、61…油圧シ
リンダ、65…ロール駆動手段、66…長尺有機系フィ
ルム、73…凹部、74…コロナ放電電流、75…残存
薄膜部、76…貫通孔、77…長尺多孔質有機系フィル
ム。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋭い角部を有するモース硬度5以上の多
    数の誘電体粒子が表面に付着された回転可能な第1ロー
    ルと、 前記第1ロールと同一水平面に互いに軸心が平行するよ
    うに配置され、前記第1ロールに対して逆方向に回転可
    能で配列方向に移動自在な第2ロールと、 前記第1ロールの下方に互いに軸心が平行するように配
    置され、表面にセラミック層およびゴム層がこの順序で
    被覆された上下方向に移動自在な第3ロールと、 前記第1ロールの周面に沿って前記第1、第2のロール
    間および前記第1、第3のロール間に長尺有機系フィル
    ムを供給するための供給手段と、 少なくとも前記第2ロールの両端部付近を前記第1ロー
    ルに向けて押圧し、前記第1、第2のロール間に供給さ
    れた前記長尺有機系フィルムへの押圧力を調節するため
    の圧力調節手段と、 前記第3ロールを上下動させ、前記第1、第2のロール
    間を通過した後の前記第1ロールの周面の長尺有機系フ
    ィルムに前記第3ロールを所望の圧力で当接させるため
    のロール移動手段と、 前記第1ロールに高電圧を供給するための高電圧供給手
    段とを具備したことを特徴とする多孔質フィルムの製造
    装置。
  2. 【請求項2】 前記誘電体粒子は、合成ダイヤモンド粒
    子であることを特徴とする請求項1記載の多孔質フィル
    ムの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記第1、第2のロールは、それらの中
    心を貫通して挿着された軸により回転されると共に、前
    記各軸の両端付近は絶縁材料からなるボックスに内蔵さ
    れた軸受にそれぞれ軸支されていることを特徴とする請
    求項1記載の多孔質フィルムの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記高電圧供給手段は、前記ボックスの
    表面から前記ボックスを貫通し前記軸受に接触するよう
    に挿着された高電圧供給端子と、前記供給端子に接続さ
    れた高電圧供給源とを備えることを特徴とする請求項3
    記載の多孔質フィルムの製造装置。
  5. 【請求項5】 表面が弾性材料層で覆われたバックアッ
    プロールを前記第1ロール側および前記第2ロール側に
    それぞれ軸心が前記第1、第2のロールの軸心と平行に
    なるように同一平面内に配置したことを特徴とする請求
    項1記載の多孔質フィルムの製造装置。
  6. 【請求項6】 前記バックアップロールは、金属製のロ
    ール本体と、このロール本体表面に被覆された弾性材料
    層と、前記ロール本体の中心を貫通して挿着された軸と
    からなり、かつ前記軸の両端付近は絶縁材料からなるボ
    ックスに内蔵された軸受にそれぞれ軸支されていること
    を特徴とする請求項5記載の多孔質フィルムの製造装
    置。
  7. 【請求項7】 前記圧力調節手段は、前記第1ロール側
    に位置するバックアップロールの両端付近に配置された
    前記ボックスを前記第1ロールに向けて押圧するための
    第1押圧部材と、前記第2ロール側に位置するバックア
    ップロールの両端付近に配置された前記ボックスを前記
    第2ロール側に向けて押圧するための第2押圧部材とを
    備えることを特徴とする請求項6記載の多孔質フィルム
    の製造装置。
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