JP2871605B2 - 多孔質フィルムの製造装置 - Google Patents

多孔質フィルムの製造装置

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JP2871605B2
JP2871605B2 JP19089496A JP19089496A JP2871605B2 JP 2871605 B2 JP2871605 B2 JP 2871605B2 JP 19089496 A JP19089496 A JP 19089496A JP 19089496 A JP19089496 A JP 19089496A JP 2871605 B2 JP2871605 B2 JP 2871605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質フィルムの
製造装置に関し、特に包装材料、衛生材料、医療材料、
衣料材料等の素材として好適な多数の未貫通孔または貫
通孔を有する多孔質フィルムの製造装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のフィルムの製造方法とし
ては汎用のオレフィン樹脂(例えばポリエチレン)に微
細な無機物粉末を大量(通常、樹脂に対して50体積%
以上)に充填した後、フィルム化し、更に一軸又は二軸
方向に高倍率で延伸することにより、前記無機物粉末と
の境界面に破壊孔を形成して迷路的に連通した微細な孔
を開口する方法である。
【0003】しかしながら、前述した従来の製造方法は
次のような問題があった。 (1)無機物粉末を大量に添加するため、フィルムを構
成する樹脂本来の特性(例えば強度、ソフト感、透明性
等)が著しく低下し、実質的にプラスチックライクのフ
ィルムを得ることができない。
【0004】(2)無機物粉末を大量に添加し、一軸又
は二軸方向に高倍率で延伸する手法を採用するため、エ
ラストマーフィルムのような伸縮性を有するフィルムに
適用することができない。
【0005】また、別の多孔質フィルムの製造方法とし
てはニードルパンチ法や熱溶融穿孔法のような機械的穿
孔法も知られている。前記ニードルパンチ法は、熱可塑
性樹脂フィルムに加熱された針を押し付けて穿孔する方
法である。前記熱溶融穿孔法は、加熱されたエンボスロ
ールにより熱可塑性樹脂フィルムを溶融して穿孔する方
法である。
【0006】しかしながら、前記機械的穿孔方法は孔の
大きさが100μm程度大きく、これより微細な孔を穿
孔することが困難であるばかりか、前記孔を高密度(例
えば1cm2 当り5000個以上)で穿孔することがで
きないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子材料、金属を始めとして多様な材料からなる長尺フィ
ルムに対してそのフィルム材料本来の特性を殆ど損なう
ことなくサブμm〜十数μmの範囲で任意に選択された
微細寸法の多数の均一な貫通孔又は未貫通孔を一様かつ
高密度(1cm2 当り5000〜200000個)で形
成できる多孔質フィルムの製造装置を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる多孔質フ
ィルムの製造装置は、長尺フィルムを供給するための供
給手段と、前記長尺フィルムが通過する基台と、前記基
台との間で前記長尺フィルムを加圧するように移動自在
に配置され、前記基台と対向する面に粒径ばらつき5%
以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い角部を実質的
に露出するように70%以上の面積率で電着されたプレ
ス手段と、前記基台に前記プレス手段を前記基台表面に
対して前記プレス手段の前記ダイヤモンド粒子電着面が
所望の隙間をあけて位置するように移動させ、前記長尺
フィルムに前記プレス手段の多数のダイヤモンド粒子の
鋭い角部を圧入して多数の未貫通孔を穿孔するための移
動手段とを具備したことを特徴とするものである。
【0009】本発明に係わる別の多孔質フィルムの製造
装置は、長尺フィルムを供給するための供給手段と、前
記長尺フィルムが通過される基台と、前記基台との間で
前記長尺フィルムを加圧するように移動自在に配置さ
れ、前記基台と対向する面に粒径ばらつき5%以下の多
数のダイヤモンド粒子がその鋭い角部を実質的に露出す
るように70%以上の面積率で電着されたプレス手段
と、前記基台に前記プレス手段を移動させ、それらの間
に位置する前記長尺フィルムに前記プレス手段の多数の
ダイヤモンド粒子の鋭い角部を圧入して多数の貫通孔を
穿孔するための駆動手段とを具備したことを特徴とする
ものである。本発明に係わる別の多孔質フィルムの製造
装置において、前記プレス手段と対向する前記基台表面
には、緩衝層が被覆されていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる別の多孔質
フィルムの製造装置を詳細に説明する。本発明に係わる
多孔質フィルムの製造装置は、長尺フィルムを供給する
ための供給手段と、前記長尺フィルムが通過する基台
と、前記基台との間で前記長尺フィルムを加圧するよう
に移動自在に配置され、前記基台と対向する面に粒径ば
らつき5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い角
部を実質的に露出するように70%以上の面積率で電着
されたプレス手段と、前記基台に前記プレス手段を前記
基台表面に対して前記プレス手段の前記ダイヤモンド粒
子電着面が所望の隙間をあけて位置するように移動さ
、前記長尺フィルムに前記プレス手段の多数のダイヤ
モンド粒子の鋭い角部を圧入して多数の未貫通孔を穿孔
るための移動手段とを具備した構成を有する。
【0011】前記フィルムとしては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹
脂、ポリアミドなどの汎用高分子材料フィルム;ポリカ
ーボネート、ポリイミドなどのエンジニアリングプラス
チックフィルム、またはポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルケトンなどのスーパエンジニアリングプラ
スチックフィルム;エラストマーフィルム、その他熱融
着性樹脂フィルム、発泡紙;高分子材料にシリカ粉末、
カーボン粉末、アルミナ粉末等の無機質粉末を混合させ
た複合フィルム;材質の異なる高分子材料フィルムを2
層または3層ラミネートした積層フィルム、高分子材料
フィルムに織布、不織布または紙をラミネートした積層
フィルム、高分子材料フィルムにアルミニウム箔、銅箔
などの金属箔をラミネートした積層フィルム;アルミニ
ウムフィルム、銅フィルム等の金属フィルム等を挙げる
ことができる。なお、前記フィルムとしては、通常、
3.5μm〜1mmの厚さのものを用いることができ
る。
【0012】前記長尺フィルムを供給するための供給手
段としては、例えば前記各種のフィルムを巻装したロー
ルを用いることができる。また、前記長尺フィルムが高
分子材料からなる場合には前記供給手段としてインフレ
ーション法によるフィルム製造機、またはキャスティン
グ法によるフィルム製造機を用いることができる。
【0013】前記基台は、例えば鉄、鉄系合金等の各種
の硬質金属から形成される。前記基台表面には、めっき
技術等によりNi、Crなどの金属層が形成されていて
もよい。
【0014】前記プレス手段は、例えば鉄、鉄系合金等
からなる本体を有する。また、前記本体の表面にはめっ
き技術等によりNi、Crなどの金属層が形成されてい
てもよい。
【0015】前記本体は、最終製品(例えば脱酸素剤、
乾燥剤の包装材)の寸法にすることを許容する。前記プ
レス手段における本体の所定の面にダイヤモンド粒子を
電着する場合には、前記本体の所定の面にめっき技術等
によりNi層、Cr層を形成することが望ましい。
【0016】前記ダイヤモンド粒子は、硬度、強度等が
大きいという特徴を有し、天然又は合成のものを挙げる
ことができる。前記ダイヤモンド粒子は、粒径のばらつ
き5%以下のものを用いることが必要であり、その粒径
は10〜100μmであること望ましい。前記多数のダ
イヤモンド粒子は、前記長尺フィルムに未貫通孔を高密
度で形成する観点から、前記プレス本体の前記基台と対
向する面に70%以上付着させることが必要である。
【0017】前記駆動手段としては、例えばエアーシリ
ンダ、油圧シリンダ、サーボモータを駆動源とするシリ
ンダ等を挙げることができる。本発明に係わる多孔質フ
ィルムの製造装置によれば、長尺フィルムを供給するた
めの供給手段と、前記長尺フィルムが通過される基台
と、前記基台との間で前記長尺フィルムを加圧するよう
に移動自在に配置され、前記基台と対向する面に粒径ば
らつき5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い角
部を実質的に露出するように70%以上の面積率で電着
されたプレス手段と、前記基台に前記プレス手段を前記
基台表面に対して前記プレス手段の前記粒子電着面が所
望の隙間をあけて位置するように移動させ、前記長尺フ
ィルムに前記プレス手段の多数のダイヤモンド粒子の鋭
い角部を圧入して多数の未貫通孔を穿孔するための駆動
手段とを具備することによって、高分子材料、金属を始
めとして多様な材料からなる長尺フィルムに対してその
フィルム材料本来の特性(例えば高分子材料フィルムの
場合はソフト感や透明性等)を殆ど損なうことなくサブ
μm〜十数μmの多数の均一な未貫通孔を一様かつ高密
度(1cm2 当り5000〜200000個)で連続的
に形成できる。
【0018】すなわち、前記駆動手段により前記プレス
手段を前記基台に前記基台表面に対して前記プレス手段
が所望の隙間をあけて位置するように移動させ、前記プ
レス手段と前記基台との間に位置される前記長尺フィル
ムを加圧する。前記プレス手段の前記基台と対向する面
には粒径ばらつき5%以下の多数のダイヤモンド粒子が
その鋭い角部を実質的に露出するように70%以上の面
積率で電着されているため、前記多数のダイヤモンド粒
子の鋭い角部が前記フィルムに一定深さ食い込んで機械
的な穿孔がなされる。その結果、前記長尺フィルムに前
記隙間に相当する超薄膜部分が残存した多数の未貫通孔
を一様に形成することができる。具体的には、サブμm
〜十数μmの範囲で任意に選択された微細寸法の未貫通
孔を一様かつ高密度(1cm2 当り5000〜2000
00個)で形成できる。しかも、前記穿孔操作は前記プ
レス手段に電着されたダイヤモンド粒子による機械的な
力によりなされるため、前記フィルム材料本来の特性を
殆ど損なうことなくを、前記長尺フィルムに微細寸法の
多数の均一な未貫通孔を形成できる。このような穿孔操
作を行った後、前記駆動手段により前記プレス手段を前
記基台から離れるように移動させ、前記長尺フィルムを
前記プレス手段の幅(前記長尺フィルムの移動方向に沿
う辺の長さ)に相当する長さ移動させ、再度、同様な穿
孔操作を行う。
【0019】以上のような製造装置による穿孔操作を以
下に説明する材料または構造の長尺フィルムに適用する
ことによって、種々の用途の多孔質フィルムを得ること
ができる。
【0020】(1)二軸遠心ポリプロピレンフィルム、
キャスティングポリプロピレンフィルムなどのポリプロ
ピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレン
テレフタレートフィルム等の高分子材料フィルムに微細
な未貫通孔を多数かつ一様に穿孔することによって、透
液性は有さないものの、前記未貫通孔に対応する残存超
薄膜部分による酸素ガス透過性、炭酸ガス透過性、水蒸
気透過性を示す機能性フィルムを得ることができる。
【0021】具体的には、青果物鮮度保持用機能性包装
材に利用できる。すなわち、青果物を密封包装した場
合、青果物自身の呼吸作用により包装材内の酸素濃度が
減少して炭酸ガス濃度が増加し、低酸素、高二酸化炭素
の条件が加わって呼吸が抑制され、青果物の鮮度保持が
なされる。この場合、前記包装材の素材であるフィルム
のガス透過性は個々の青果物が正常に呼吸して生命体を
維持できる最低限度の酸素を透過すること、呼吸によっ
て生成した炭酸ガス濃度も過剰にならないように制御さ
れること、細菌繁殖の原因となる結露が生じないこと等
が要求される。
【0022】前記多孔質高分子材料フィルムは、高分子
材料フィルムに微細な未貫通孔を多数かつ一様に穿孔さ
れ、前記未貫通孔に対応する残存超薄膜部分においてフ
ィルム素材の持つガスの溶解、拡散による酸素、炭酸ガ
ス、水蒸気の透過量が大幅に増大する。このため、前記
多孔質高分子材料フィルムから作製された包装材は優れ
た青果物鮮度保持作用を有する。
【0023】(2)例えばポリエチレンまたはポリプロ
ピレンからなる第1のフィルムに例えばポリエチレンテ
レフタレートからなる第2のフィルムを積層した長尺積
層フィルムを用い、前記長尺積層フィルムの第2フィル
ム側から前記第1フィルムに亘って微細な未貫通孔を多
数かつ一様に穿孔して多孔質積層フィルムを製造する。
ただし、前記第2フィルムには貫通孔が形成される。こ
のような多孔質積層フィルムは、耐水圧性(耐透水性)
が高く、酸素、水蒸気透過性を有する低価格の乾燥剤用
包装材、脱酸素剤用包装材として好適に利用できる。
【0024】すなわち、従来の脱酸素剤用包装材はポリ
エチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィル
ムの二層フィルムにニードルパンチ法等により多数の貫
通孔を穿設し、前記二層フィルムのポリエチレンフィル
ム側に和紙を積層した構造になっているため、和紙を積
層する分、価格が高くなる。また、液状の内容物と共に
密閉容器に収納すると、前記内容物が前記貫通孔、和紙
の孔を通して内部に侵入してその中に収納した脱酸素剤
を劣化させるという問題がある。
【0025】前記多孔質積層フィルムを用いて残存超薄
膜部を有する前記第1フィルムが内側になるように袋状
にして脱酸素剤用包装材を作製すると、外界の酸素は前
記第2フィルムの多数の貫通孔を通り、さらに前記第1
フィルムの未貫通孔に対応する残存超薄膜部分において
フィルム素材の持つガスの溶解、拡散により酸素が透過
する。また、前記残存超薄膜部分の厚さや貫通孔の数を
調節することによって、前記酸素透過量を増減させるこ
とができる。したがって、前記包装材に脱酸素剤を収納
し、ガスバリア性の高い密閉容器に菓子等の内容物と共
に装填すると、前記容器内の酸素が前記包装材を透過し
て前記脱酸素剤に吸収されるため、前記容器内を酸素が
存在しない状態にでき、前記内容物の酸化に伴う品質劣
化を防止できる。しかも、前記包装材は高い耐透水性を
有するため、前記内容物が液体であっても前記内容物が
前記包装材を通して内部に侵入してその中の脱酸素剤を
劣化させるのを防止することができる。その結果、数種
類の包装材を用意するだけで、液体状、固体状の内容物
の長期間保存することができる。
【0026】また、前記積層複合フィルムを用いて多数
の未貫通孔を有する前記第1フィルムが内側になるよう
に袋状にして乾燥剤用包装材を作製すると、外界の水蒸
気は前記第2フィルムの多数の貫通孔を通り、さらに前
記第1フィルムの未貫通孔に対応する残存超薄膜部分に
おいてフィルム素材の持つガスの溶解、拡散により水蒸
気が透過する。したがって、前記包装材に乾燥剤を収納
し、ガスバリア性の高い密閉容器に菓子等の内容物と共
に装填すると、前記容器内の水蒸気が前記包装材を透過
して前記乾燥剤に吸収されるため、前記容器内を乾燥状
態にでき、前記内容物の湿気による品質劣化を防止でき
る。
【0027】(3)微細な未貫通孔を多数かつ一様に穿
孔された汎用高分子材料からなる多孔質フィルムに樹脂
溶液やインクを塗布して乾燥すると、前記フィルムの多
数の未貫通孔の投錨作用により前記フィルムに対して密
着性の優れた薄膜が被覆されたラミネートフィルムを形
成できる。
【0028】さらに、最終製品(例えば脱酸素剤、乾燥
剤の包装材)の寸法を有する比較的小寸法のプレス手段
を用いて前述した穿孔操作を行うと、前記プレス手段の
面精度を高めることができ、前記長尺フィルムの加圧時
における前記基台と前記プレス手段との対向距離(隙
間)を著しく高精度で設定できるため、前記長尺フィル
ムに深さ(残存超薄膜部分の厚さ)が揃った多数の未貫
通孔を再現性よく穿孔することができる。したがって、
このような穿孔操作を前記(2)で説明した長尺積層フ
ィルムに対して適用することによって、極めて高品質の
脱酸素剤用包装材、乾燥剤用包装材に利用できる多孔質
積層フィルムを得ることができる。
【0029】さらに、本発明に係わる多孔質イルムの製
造装置において前記プレス手段として前記合成ダイヤモ
ンド粒子が付着された面が最終製品寸法を有するフィル
ム(例えば合成皮革と不織布の積層体からなる靴の半製
品)に対応した曲面形状を有する本体を備えたものを用
い、かつ前記基台として前記プレス手段の前記本体の曲
面と合致する形状を有するものを用いれば、透湿性等を
有する最終製品寸法の多孔質フィルムを製造することが
できる。
【0030】次に、本発明に係わる別の多孔質フィルム
の製造装置を説明する。この多孔質フィルムの製造装置
は、長尺フィルムを供給するための供給手段と、前記長
尺フィルムが通過される基台と、前記基台との間で前記
長尺フィルムを加圧するように移動自在に配置され、
記基台と対向する面に粒径ばらつき5%以下の多数のダ
イヤモンド粒子がその鋭い角部を実質的に露出するよう
に70%以上の面積率で電着されたプレス手段と、前記
基台に前記プレス手段を移動させ、それらの間に位置す
る前記長尺フィルムに前記プレス手段の多数のダイヤモ
ンド粒子の鋭い角部を圧入して多数の貫通孔を穿孔する
ための駆動手段とを具備した構成を有する。
【0031】前記長尺フィルムとしては、例えば前述し
た各種の高分子材料フィルム、積層フィルム、金属フィ
ルム等を挙げることができる。前記長尺フィルム供給手
段は、前述したのと同様な構造をのものを用いることが
できる。
【0032】前記基台は、例えば鉄、鉄系合金等の各種
の硬質金属から形成される。また、前記基台表面には緩
衝層が被覆されることを許容する。前記緩衝層として
は、各種の高分子材料から形成されるが、特に前記長尺
フィルムに対する緩衝作用の高いウレタン樹脂、シリコ
ンゴム等が好適である。このような緩衝層を前記基台表
面に被覆することによって、前記長尺フィルムに揃った
寸法の貫通孔を穿孔することが可能になる。
【0033】前記プレス手段は、例えば鉄、鉄系合金等
からなる本体を有する。また、前記本体の表面にはめっ
き技術等によりNi、Crなどの金属層が形成されてい
てもよい。
【0034】前記本体は、最終製品(例えば脱酸素剤、
乾燥剤の包装材、使い捨てカイロの包装材)の寸法にす
ることを許容する。前記ダイヤモンド粒子としては、前
述したのと同様なものを用いることができる。
【0035】前記駆動手段としては、例えばエアーシリ
ンダ、油圧シリンダ、サーボモータを駆動源とするシリ
ンダ等を挙げることができる。本発明に係わる別の多孔
質フィルムの製造装置によれば、長尺フィルムを供給す
るための供給手段と、前記長尺フィルムが通過される基
台と、前記基台との間で前記長尺フィルムを加圧するよ
うに移動自在に配置され、前記基台と対向する面に粒径
ばらつき5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い
角部を実質的に露出するように70%以上の面積率で電
されたプレス手段と、前記基台に前記プレス手段を移
動させ、前記長尺フィルムに前記プレス手段の多数のダ
イヤモンド粒子の鋭い角部を圧入して多数の貫通孔を穿
孔するための駆動手段とを具備することによって、高分
子材料、金属を始めとして多様な材料からなる長尺フィ
ルムに対してそのフィルム材料本来の特性(例えば高分
子材料フィルムの場合はソフト感や透明性等)を殆ど損
なうことなくサブμm〜十数μmの多数の均一な貫通孔
を一様かつ高密度(1cm2 当り5000〜20000
0個)で連続的に形成できる。
【0036】すなわち、前記駆動手段により前記プレス
手段を前記基台に移動させ、前記プレス手段と前記基台
との間に位置される前記長尺フィルムを所望の圧力で加
圧する。前記プレス手段の前記基台と対向する面には
径ばらつき5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭
い角部を実質的に露出するように70%以上の面積率で
電着されているため、前記多数のダイヤモンド粒子の鋭
い角部が前記フィルムに一定深さ食い込んで機械的な穿
孔がなされる。この時、前記基台表面にシリコンゴムな
どからなる緩衝層を被覆することによって多数のダイヤ
モンド粒子の鋭い角部が前記フィルムを貫通して機械的
な穿孔がなされる。その結果、前記長尺フィルムに多数
の貫通孔を一様に形成することができる。具体的には、
サブμm〜十数μmの範囲で任意に選択された微細寸法
の貫通孔を一様かつ高密度(1cm2 当り5000〜2
00000個)で形成できる。しかも、前記穿孔操作は
前記プレス手段に電着されたダイヤモンド粒子による機
械的な力によりなされるため、前記フィルム材料本来の
特性を殆ど損なうことなくを、前記長尺フィルムに微細
寸法の多数の均一な貫通孔を形成できる。このような穿
孔操作を行った後、前記駆動手段により前記プレス手段
を前記基台から離れるように移動させ、前記長尺フィル
ムを前記プレス手段の幅(前記長尺フィルムの移動方向
に沿う辺の長さ)に相当する長さ移動させ、再度、同様
な穿孔操作を行う。
【0037】したがって、本発明の製造装置により高分
子材料フィルムや積層フィルムにサブμm〜十数μmの
範囲で任意に選択された微細寸法の貫通孔を一様かつ高
密度(1cm2 当り5000〜200000個)で形成
することによって、前述した茸の栽培、各種菌の培養に
有用なバイオ関連包装材、各種の衣料素材、使い捨てカ
イロ用包装材として有効に利用し得る多孔質高分子材料
フィルム、多孔質積層フィルムを製造できる。また、金
属からなる長尺フィルムに適用すると、通気性を有する
電磁シールド用多孔質フィルム等を製造することができ
る。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 (実施例1)図1は、本実施例1の多孔質フィルムの製
造装置を示す概略断面図、図2は図1の製造装置に用い
られるプレス機構の下面側から見た斜視図、図3は図1
の製造装置により未貫通孔を穿孔する状態を示す要部断
面図である。
【0039】基台1は、ベッド2とこのベッド2の上部
に埋設された例えば鉄からなるA4サイズの受板3とか
ら構成されている。例えば4本の支柱4は、前記ベッド
2上に立設されている。支持板5は、前記4本の支柱4
上に固定されている。ピストンロッド6を有するエアー
シリンダ7は、前記支持板5に支持され、前記ピストン
ロッド6は前記支持板4に開孔された穴8を通して下方
に延出されている。
【0040】例えば鉄からなるA4サイズのプレス機構
9は、前記ピストンロッド6の下端に着脱自在に取り付
けられている。前記プレス機構9の前記受板3と対向す
る面には、図2および図3に示すように鋭い角部を有す
る多数のモース硬度5以上の粒子である合成ダイヤモン
ド粒子10が電着層11を介して電着されている。前記
合成ダイヤモンド粒子は、例えば50〜60μmの粒径
を有し、前記プレス機構9の面に70%以上の面積率で
電着されている。
【0041】長尺フィルム供給手段としての間欠動作す
る供給ロール(図示せず)は、前記受板3の前段に配置
されている。前記供給ロールの長尺フィルム12は、2
つの送りロール13a、13bを経由して前記受板3上
面に沿って供給され、さらに前記受板3後段の2つの送
りロール14a、14bを経由して巻取ロール(図示せ
ず)に巻回される。
【0042】次に、前述した構成の多孔質フィルムの製
造装置の作用を説明する。まず、巻回ロール(図示せ
ず)から長尺フィルム12(例えばA4サイズの幅に相
当する幅で、厚さが20μmの長尺二軸遠心ポリプロピ
レン(OPP)フィルムを)を2つの送りロール13
a、13bを経由して前記受板3上面に沿って供給し、
さらに前記受板3後段の2つの送りロール14a、14
bを経由して巻取ロール(図示せず)に前記長尺フィル
ム12の先端を巻く。
【0043】前記長尺フィルム12の先端を巻取ロール
に巻き取った後、前記エアーシリンダ7を作動して前記
ピストンロッド6を下方に移動させ、前記ピストンロッ
ド6下端に取り付けられた前記プレス機構9を前記受板
3に向けて前記プレス機構9の前記合成ダイヤモンド粒
子10の電着面が前記受板3上面に対して一定の隙間を
あけて位置するように移動させる。このようなプレス機
構9の下方への移動によって、前記受板3と前記プレス
機構9との間に位置する前記長尺フィルム11が加圧さ
れ、穿孔される。
【0044】すなわち、前記受板3と前記プレス機構9
との間に位置される前記長尺フィルム12が加圧される
と、前記プレス機構9の前記受板3と対向する面には鋭
い角部を有する合成ダイヤモンド粒子10が電着されて
いるため、図3に示すように前記多数の合成ダイヤモン
ド粒子10の鋭い角部が前記長尺フィルム12に一定深
さ食い込んで機械的な穿孔がなされる。その結果、前記
長尺フィルム12に前記隙間(h)に相当する超薄膜部
分15が残存した多数の未貫通孔16が一様に形成され
る。
【0045】前記穿孔操作を行った後、前記エアーシリ
ンダ7を動作して前記プレス機構9を上昇させ、前記長
尺フィルム12を前記プレス機構9の幅(前記長尺フィ
ルム12の移動方向に沿う辺の長さ)に相当する長さ移
動させ、再度、同様な穿孔操作を行う。
【0046】前記受板3と前記プレス機構9間で加圧さ
れた前記長尺フィルム部分を切出して得られたA4サイ
ズで、厚さ20μm多孔質OPPフィルムについて、未
貫通孔の形状および密度を測定した。その結果、前記多
孔質OPPフィルムには開口径20μmの微細寸法の未
貫通孔が約10000個/cm2 の密度で多数かつ一様
に穿孔され、前記未貫通孔に対応する残存超薄膜部の厚
さが2μmであった。また、前記多孔質OPPフィルム
は1.0×105 〜2.0×105 cc/m2・24h
r・23℃の酸素透過量および8〜10g/m2 ・24
hr・40℃・90%RHの水蒸気透過量を有してい
た。したがって、前記多孔質OPPフィルムは酸素透過
量が6000〜20000cc/m2 ・24hr・23
℃であることが要求される青果物鮮度保持用包装材とし
て有効に利用することができた。
【0047】(実施例2)長尺フィルム12として、厚
さ30μmのポリエチレン(PE)フィルムに厚さ12
μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
を接着剤を介して積層した幅200mmの長尺積層フィ
ルムを用い、前記受板3および前記プレス機構9として
幅200mm、長さ200mmのものを用い、前記PE
Tフィルムが前述したプレス機構の合成ダイヤモンド粒
子電着面側に配置されるように前記受板3上に供給して
実施例1同様な操作により穿孔を行った。
【0048】前記受板と前記プレス機構間で加圧された
前記長尺積層フィルム部分を切出して得られた多孔質積
層フィルム(寸法;200mm×200mm)は、前記
PETフィルム側から前記PEフィルムに亘って開口径
20μmの微細な未貫通孔が約10000個/cm2
密度で多数かつ一様に穿孔され、前記未貫通孔に対応す
る残存超薄膜部の厚さが3〜5μmであった。このよう
な多孔質積層フィルムは、耐水圧性(耐透水性)が高
く、酸素、水蒸気透過性を有するため、乾燥剤用包装
材、脱酸素剤用包装材として有効に利用できた。
【0049】(実施例3)図4は、本実施例3の多孔質
フィルムの製造装置を示す概略断面図である。基台51
は、ベッド52とこのベッド52の上部に埋設された例
えば鉄からなる受板53とから構成されている。前記受
板は、後述する長尺積層フィルムの幅と同様な幅および
長さを有する。例えばシリコーンゴムからなる厚さ3m
mの緩衝層54は、前記受板53上面に被覆されてい
る。例えば4本の支柱55は、前記ベッド52上に立設
されている。支持板56は、前記4本の支柱55上に固
定されている。ピストンロッド57を有するエアーシリ
ンダ58は、前記支持板56に支持され、前記ピストン
ロッド57は前記支持板56に開孔された穴59を通し
て下方に延出されている。
【0050】例えば鉄からなるプレス機構60は、前記
ピストンロッド57の下端に着脱自在に取り付けられて
いる。前記プレス機構60は、後述する長尺積層フィル
ムの幅と同様な幅および長さを有する。前記プレス機構
60の前記受板3と対向する面には、前述した図2およ
び図3に示すように鋭い角部を有する多数のモース硬度
5以上の粒子である合成ダイヤモンド粒子61が電着層
を介して電着されている。前記合成ダイヤモンド粒子6
1は、例えば70〜85μmの粒径を有し、前記プレス
機構60の所定の面に70%以上の面積率で電着されて
いる。
【0051】長尺積層フィルム供給手段としての間欠動
作する供給ロール(図示せず)は、前記受板53の前段
に配置されている。前記供給ロールの長尺積層フィルム
62は、2つの送りロール63a、63bを経由して前
記受板53上面の緩衝層54に沿って供給され、さらに
前記受板53後段の2つの送りロール64a、64bを
経由して巻取ロール(図示せず)に巻回される。
【0052】まず、巻回ロール(図示せず)から長尺積
層フィルム62(例えば幅200mm、厚さ20μmの
ポリエチレンフィルムに同幅で厚さが250μmの不織
布を接着剤を介して積層した長尺積層フィルム)を2つ
の送りロール63a、63bを経由して前記受板53の
緩衝層54に沿って供給し、さらに前記受板53後段の
2つの送りロール64a、64bを経由して巻取ロール
(図示せず)に前記長尺積層フィルム62の先端を巻
く。
【0053】前記長尺積層フィルム62の先端を巻取ロ
ールに巻き取った後、前記エアーシリンダ58を作動し
て前記ピストンロッド57を下方に移動させ、前記ピス
トンロッド57下端に取り付けられた前記プレス機構6
0を前記受板53上面の緩衝層54に向けて移動させ、
前記プレス機構60と前記受板53上面の緩衝層54と
の間に位置される前記長尺積層フィルム62を例えば1
00kg/cm2 の圧力で加圧する。このように前記受
板53の緩衝層54と前記プレス機構60との間に位置
される前記長尺積層フィルム62が加圧されると、前記
プレス機構60の前記緩衝層54と対向する面には鋭い
角部を有する合成ダイヤモンド粒子61が電着されてい
るため、前記多数の合成ダイヤモンド粒子61の鋭い角
部が前記長尺積層フィルム62に食い込み、前記緩衝層
54表面まで達する機械的な穿孔がなされる。その結
果、前記長尺積層フィルム62に多数の貫通孔が一様に
形成される。
【0054】前記穿孔操作を行った後、前記エアーシリ
ンダ58を動作して前記プレス機構60を上昇させ、前
記長尺積層フィルム62を前記プレス機構60の幅(前
記長尺積層フィルム62の移動方向に沿う辺の長さ)に
相当する長さ移動させ、再度、同様な穿孔操作を行う。
【0055】前記受板53の緩衝層54と前記プレス機
構60の間で加圧された前記長尺積層フィルム62部分
を切出して得られた多孔質積層フィルム(寸法;200
mm×200mm)は、前記PEフィルムに開口径10
μmの微細な貫通孔が約10000個/cm2 の密度で
多数かつ一様に穿孔されていた。このような多孔質積層
フィルムは、良好な酸素透過性および透湿性(600〜
800g/cm2 ・24hr)を有するため、使い捨て
カイロの包装材としてそのまま利用することができた。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係わる多孔
質フィルムの製造装置によれば、高分子材料を始めとし
て多様な材料からなる長尺フィルムに対してそのフィル
ム材料本来の特性(例えばソフト感、透明性)を殆ど損
なうことなくサブμm〜十数μmの範囲で任意に選択さ
れた微細寸法の多数の均一な貫通孔又は未貫通孔を一様
かつ高密度(1cm2 当り5000〜200000個)
で形成でき、ひいては脱酸素剤、乾燥剤、使い捨てカイ
ロの包装材、青果物鮮度保持用包装材、茸の栽培、各種
菌の培養に有用なバイオ関連包装材、使い捨て紙おむつ
に代表される衛生材料、医療材料、衣料などの素材とし
て有用な多孔質フィルムを製造できる等顕著な効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における多孔質フィルムの製
造装置を示す概略断面図。
【図2】図1の製造装置に用いられるプレス機構の下面
側から見た斜視図。
【図3】図1の製造装置により未貫通孔を穿孔する状態
を示す要部断面図。
【図4】本発明の実施例3の多孔質フィルムの製造装置
を示す概略断面図。
【符号の説明】
1、51…基台、 3、53…受板、 7、58…エアーシリンダ、 9、60…プレス機構、 10、61…合成ダイヤモンド粒子、 12…長尺フィルム、 15…残存超薄膜部、 16…未貫通孔、 54…緩衝層、 62…長尺積層フィルム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−21427(JP,A) 特開 昭53−140364(JP,A) 特開 昭58−20671(JP,A) 特開 昭64−49620(JP,A) 特開 平4−279321(JP,A) 実開 昭55−89609(JP,U) 特公 昭58−25577(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 67/20 B29C 59/00 - 59/04 B29K 105:04 B29L 7:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺フィルムを供給するための供給手段
    と、 前記長尺フィルムが通過する基台と、 前記基台との間で前記長尺フィルムを加圧するように移
    動自在に配置され、前記基台と対向する面に粒径ばらつ
    き5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い角部を
    実質的に露出するように70%以上の面積率で電着され
    たプレス手段と、 前記基台に前記プレス手段を前記基台表面に対して前記
    プレス手段の前記ダイヤモンド粒子電着面が所望の隙間
    をあけて位置するように移動させ、前記長尺フィルムに
    前記プレス手段の多数のダイヤモンド粒子の鋭い角部を
    圧入して多数の未貫通孔を穿孔するための移動手段とを
    具備したことを特徴とする多孔質フィルムの製造装置。
  2. 【請求項2】 長尺フィルムを供給するための供給手段
    と、 前記長尺フィルムが通過される基台と、 前記基台との間で前記長尺フィルムを加圧するように移
    動自在に配置され、前記基台と対向する面に粒径ばらつ
    き5%以下の多数のダイヤモンド粒子がその鋭い角部を
    実質的に露出するように70%以上の面積率で電着され
    たプレス手段と、 前記基台に前記プレス手段を移動させ、それらの間に位
    置する前記長尺フィルムに前記プレス手段の多数のダイ
    ヤモンド粒子の鋭い角部を圧入して多数の貫通孔を穿孔
    するための駆動手段とを具備したことを特徴とする多孔
    質フィルムの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記プレス手段と対向する前記基台表面
    には、緩衝層が被覆されていることを特徴とする請求項
    2記載の多孔質フィルムの製造装置。
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