JPH0955156A - 皮膜抵抗素体及びその製造方法 - Google Patents

皮膜抵抗素体及びその製造方法

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JPH0955156A
JPH0955156A JP20605495A JP20605495A JPH0955156A JP H0955156 A JPH0955156 A JP H0955156A JP 20605495 A JP20605495 A JP 20605495A JP 20605495 A JP20605495 A JP 20605495A JP H0955156 A JPH0955156 A JP H0955156A
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JP
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film
insulating substrate
resistor
nickel
zinc
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JP20605495A
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Makoto Fujii
眞 藤井
Yuzuru Ono
譲 小野
Yukihiro Chiyouya
行宏 挺屋
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Meiwa Industry Co Ltd
Meiwa Kogyo Co Ltd
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Meiwa Industry Co Ltd
Meiwa Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶断特性と共に、短時間過負荷特性に優れた
皮膜抵抗素体と、それを有利に製造する方法、及びその
ような皮膜抵抗素体を用いてなるヒューズ抵抗器を、安
価に提供すること。 【解決手段】 重量基準で、2〜10%の鉄と、0.5
〜10%の亜鉛と、10〜40%の燐と、残部がニッケ
ルとからなる合金皮膜を、無電解メッキ手法により、所
定の絶縁基体上に設けて、皮膜抵抗体を得る。また、こ
の皮膜抵抗皮膜を用いて、ヒューズ抵抗器を製作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、皮膜抵抗素体及びその製造方法
に係り、特に、溶断特性と共に、短時間過負荷特性にも
優れた皮膜抵抗素体と、それを有利に製造する方法、更
にはそのような皮膜抵抗素体にて構成される、自己発熱
により速やかに抵抗皮膜を溶断せしめるタイプのヒュー
ズ抵抗器に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、所定の絶縁基体上に金属皮膜か
らなる抵抗皮膜を設けてなる皮膜抵抗素体を用いて、各
種の抵抗器が製作されてきており、その一つに、ヒュー
ズ抵抗器がある。このヒューズ抵抗器は、通常時には抵
抗器としての一般的な性能を有する一方、規定の値を越
える電流が流れたとき(又は電力が負荷されたとき)に
は、抵抗値が大きく変化するか、断線することによっ
て、規定の時間内で電流の流れを阻止し、抵抗値が元の
値に復帰することのない性能を有した抵抗器として、認
識されている。
【0003】そして、そのようなヒューズ抵抗器として
は、例えば、(a)抵抗皮膜上に低融点ガラスペースト
を塗布したもの、(b)抵抗皮膜上に酸化鉛含有ペース
トを塗布したもの、(c)抵抗皮膜とそれを支持或いは
保護している材料との熱膨張係数の差を利用したもの、
(d)抵抗皮膜の電流通路を部分的に狭くして、熱集中
化が惹起されるようにしたもの等が知られているが、そ
れらは、何れも、電流遮断機構が複雑であり、その製造
に困難を伴う問題があり、また電流遮断の信頼性におい
ても、問題を内在するものであった。
【0004】このため、異常な大電流が流れたときに、
自己発熱により速やかに抵抗皮膜が溶断せしめられて、
電流の遮断が行なわれるようにした溶断型抵抗皮膜を使
用するタイプのヒューズ抵抗器が検討され、例えば、特
公昭57−2162号公報や特公昭57−20687号
公報等においては、ニッケルとマンガンと燐とからなる
抵抗皮膜やニッケルと鉄と燐とからなる抵抗皮膜を、無
電解めっき操作にて、絶縁基体上に形成してなる抵抗器
が明らかにされているが、これとても、定格電力が低く
なると、充分な溶断特性を発揮し難くなるのであり、例
えば小型タイプ(0.5W以下)の場合において、定格
電力の12倍以下の低負荷率で溶断させ得るようにしつ
つ、抵抗器としての安定性の目安となる短時間過負荷特
性を満足させることは、困難であったのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、溶断特性と共に、短時間過負荷特性に優れた皮膜抵
抗素体とその製造方法、更には、そのような皮膜抵抗素
体を用いてなるヒューズ抵抗器を提供することにあり、
また他の課題とするところは、低負荷率で、安定且つ正
確に溶断すると共に、定格動作時には、一般の抵抗器と
同等の性能及び信頼性を持つ皮膜抵抗素体を、安価に提
供することにある。
【0006】
【解決手段】そして、本発明は、そのような課題を解決
するために、重量基準で、2〜10%の鉄と、0.5〜
10%の亜鉛と、10〜40%の燐と、残部がニッケル
とからなる合金皮膜を、所定の絶縁基体上に設けてなる
ことを特徴とする皮膜抵抗素体を、その要旨とするもの
である。
【0007】なお、かかる本発明に従う皮膜抵抗素体に
おいては、有利には、鉄と亜鉛と燐の含有量合計が50
重量%以下、従ってニッケルの含有量が50重量%以上
となるように構成されることとなる。
【0008】また、本発明にあっては、かくの如き皮膜
抵抗素体を有利に得るために、水溶性ニッケル塩、水溶
性第一鉄塩、及び水溶性亜鉛塩を含み、且つ還元剤とし
て次亜燐酸塩を含有する無電解めっき液を用いて、所定
の絶縁基体を無電解めっき処理することにより、かかる
絶縁基体上に、鉄と亜鉛と燐とニッケルとからなる合金
皮膜を形成することを特徴とする皮膜抵抗素体の製造方
法を採用することも、その要旨とするものである。
【0009】そして、このような皮膜抵抗素体の製造方
法においては、前記合金皮膜を設けてなる絶縁基体を、
更に、170〜280℃の温度で熱処理することが、有
利に採用され、これによって、抵抗値の安定性が有利に
向上され、また抵抗温度係数が小さく為され得るのであ
る。
【0010】さらに、本発明にあっては、重量基準で、
2〜10%の鉄と、0.5〜10%の亜鉛と、10〜4
0%の燐と、残部がニッケルとからなる合金皮膜を、所
定の絶縁基体上に設けてなる皮膜抵抗素体を用いて、構
成されていることを特徴とするヒューズ抵抗器をも、そ
の要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】ここにおいて、本発明に従う皮膜
抵抗素体は、上述せるように、従来の如きニッケル−鉄
−燐合金、或いはニッケル−マンガン−燐合金からなる
抵抗皮膜を設けたものではなく、重量基準で、2〜10
%の鉄(Fe)と、0.5〜10%の亜鉛(Zn)と、
10〜40%の燐(P)と、残部がニッケル(Ni)と
からなる組成の合金にて構成される抵抗皮膜を、所定の
絶縁基体上に設けてなるものであって、Fe、Zn及び
Pの含有量が、それぞれ、その下限値未満では、優れた
溶断特性を得ることが出来ず、また、その上限値を越え
るようになると、抵抗が高くなり過ぎたり、抵抗値のバ
ラツキが大きくなったり、更には酸化が生じ易くなる等
の現象が惹起されることとなる。従って、本発明の目的
を達成する上において、上述の如き合金組成を採用する
必要があるのであるが、中でも、本発明にあっては、重
量基準で、Fe:3〜6%、Zn:2〜5%、P:15
〜25%、Ni:残部からなる合金組成が、特に有利に
採用される。なお、そのような合金組成において、F
e、Zn及びPの含有量合計は、一般に、50重量%以
下(Niは、50重量%以上)、好ましくは40重量%
以下(Niは、60重量%以上)とされ、これによっ
て、本発明の目的の達成が、より有利に為され得ること
となる。
【0012】また、このような特定合金組成のNi−F
e−Zn−P合金からなる抵抗皮膜は、目的とする皮膜
抵抗素体の用途に応じて、従来と同様な各種形状の絶縁
基体、例えばアルミナ等のセラミックス材料からなる円
柱体、平板、チップ等の形状物の表面に適宜の厚さ、実
用的には、0.5〜20μm程度の厚さにおいて成膜さ
れ、以て皮膜抵抗体としての機能を果たし得るように構
成される。
【0013】ところで、かくの如き皮膜抵抗素体は、本
発明によれば、無電解めっき手法にて、有利に得ること
が出来る。具体的には、水溶性ニッケル塩、水溶性第一
鉄塩、及び水溶性亜鉛塩を含み、且つ還元剤として次亜
燐酸塩を含有する無電解めっき液を用いて、所定の絶縁
基体を無電解めっき処理することにより、かかる絶縁基
体上にFeとZnとPとNiとからなる合金皮膜を形成
せしめることにより、目的とする皮膜抵抗素体が容易に
且つ安価に得られるのである。
【0014】なお、上記の無電解めっき液を構成する水
溶性ニッケル塩、水溶性第一鉄塩、及び水溶性亜鉛塩に
は、従来から公知の無機塩類や有機塩類が、何れも用い
られ得、例えば、水溶性ニッケル塩としては、硫酸ニッ
ケル、塩化ニッケル等が、また水溶性第一鉄塩として
は、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモン等が、更には水溶
性亜鉛塩としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等が用いられる
こととなる。そして、無電解めっき液に必須の還元剤と
して、次亜燐酸ソーダ、次亜燐酸カリ等の次亜燐酸塩が
用いられ、以てNi、Fe、Zn及びPからなる所定組
成の合金皮膜が、無電解めっき操作にて生成せしめられ
るのである。
【0015】また、かかる無電解めっき液には、前記し
た金属塩や還元剤の他にも、従来と同様な成分、例え
ば、錯化剤、pH調節剤、pH緩衝剤、浴安定剤等が、
必要に応じて添加、配合せしめられる。なかでも、錯化
剤としては、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、マロン酸
塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩等の有機塩類が用いられ、
またpH調節剤としては、硫酸、塩酸等の酸や苛性ソー
ダ、アンモニア等の塩基が用いられ、更にpH緩衝剤と
しては、ほう酸等の無機酸の他、カルボン酸等の有機酸
も用いられる。
【0016】さらに、かかる無電解めっき液の組成は、
従来から知られている範囲内の組成割合にて、適宜に選
定されることとなるが、有利には、生成するめっき皮膜
を構成する合金組成が前記した皮膜抵抗素体における合
金皮膜組成となるように、それぞれの配合成分の割合が
決定されることとなるのであり、また、そのような合金
組成のめっき皮膜が形成されるように、めっき液のp
H、めっき温度等も適宜に選定されることとなるが、こ
こで採用される無電解めっき操作にあっては、基本的に
は、従来から公知の条件の範囲内において選択されるこ
ととなる。
【0017】このようにして、所定の絶縁基体を常法に
従って無電解めっき処理することにより、該絶縁基体上
には、FeとZnとPとNiとからなる合金皮膜が形成
されて、目的とする皮膜抵抗素体が得られることとなる
が、そのような合金皮膜を設けてなる絶縁基体には、望
ましくは、更に、170℃〜280℃の範囲内の温度で
の熱処理が施され、これによって、抵抗値の安定性が向
上され、また抵抗温度係数が小さく為される。なお、こ
の熱処理温度が170℃よりも低いと、熱処理の目的を
充分に達成することが出来ず、また280℃を越える温
度での熱処理は、抵抗値を著しく降下せしめ、そのため
ヒューズ抵抗器とした場合において、電力を印加したと
きの抵抗値降下率が小さく、溶断性が低下するようにな
る。
【0018】そして、このようにして得られた皮膜抵抗
素体は、従来から公知の各種用途に適用され、抵抗器等
として用いられることとなるが、特に、前記した特定組
成のNi−Fe−Zn−P合金皮膜を設けてなる皮膜抵
抗素体を用いて、ヒューズ抵抗器を構成することによ
り、そのような抵抗皮膜の特徴を最大限に引き出すこと
が出来る。
【0019】なお、このヒューズ抵抗器の製作に際して
は、一般的な皮膜抵抗器の製造手法が同様に採用され
得、例えば絶縁基体上に形成した合金皮膜からなる抵抗
皮膜に対して、スパイラルカット等のカットを施して抵
抗を調整する一方、適当なリード部材を接続せしめ、更
にそのようなカットを施した抵抗皮膜を樹脂塗装するこ
とにより、目的とするヒューズ抵抗器が製造されること
となる。
【0020】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、
本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制
約をも受けるものでないことは、言うまでもないところ
である。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更
には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる
変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解さ
れるべきである。
【0021】実施例 1 先ず、直径:1.7mmφ、長さ:5.5mmの円柱状
アルミナ磁器を絶縁基体として用い、その表面をフッ酸
溶液でエッチング処理し、水洗した後、従来と同様にし
て、感受性付与及び活性化を行ない、その後、以下の組
成のめっき浴中に浸漬して、以下のめっき条件下におい
て、無電解めっき処理を行なった。 −めっき浴組成− 硫酸ニッケル 0.07mol/L 硫酸第一鉄 0.03mol/L 硫酸亜鉛 0.005mol/L 次亜燐酸ソーダ 0.25mol/L クエン酸ソーダ 0.25mol/L ほう酸 0.50mol/L −めっき条件− pH(苛性ソーダ) 9.0 処理温度 85℃ 処理時間 40分
【0022】かかる無電解めっき処理により、円柱状ア
ルミナ磁器上には、Ni:72重量%、Fe:4重量
%、Zn:5重量%、P:19重量%からなる合金組成
の、抵抗皮膜たるめっき皮膜が形成され、更にその後、
かかるめっき皮膜を230℃の温度で3時間、熱処理し
て、目的とする皮膜抵抗素体を得た。
【0023】次いで、この得られた皮膜抵抗素体を用
い、一般的な皮膜抵抗器の製造手法に準じて、ヒューズ
抵抗器を製作し、0.25W型抵抗器を得た。そして、
このようにして得た抵抗器について、その特性を調べ、
以下の結果を得た。なお、短時間過負荷特性は、定格電
力の2.5倍を5秒間印加せしめることにより調べ、ま
た溶断特性は、定格電力の9倍を印加し、溶断までの時
間にて評価した。 −抵抗器特性− 抵抗値 21Ω 熱処理の抵抗値降下率 43% 抵抗温度係数 62ppm/℃ 短時間過負荷特性 −0.15% 溶断特性 13秒
【0024】この抵抗器の特性評価の結果、本実施例に
て得られた抵抗器は、良好な抵抗温度係数を示し、また
短時間過負荷特性及び溶断特性にあっても、共に、極め
て良い結果を示した。
【0025】実施例 2 実施例1と同様にして、円柱状アルミナ磁器に対して、
下記のめっき浴及びめっき条件を採用して、無電解めっ
き処理を施し、Ni:73重量%、Fe:4重量%、Z
n:2重量%、P:21重量%なる合金組成のめっき皮
膜(抵抗皮膜)を形成した後、かかるめっき皮膜に実施
例1と同様な熱処理を施して、目的とする皮膜抵抗素体
を得た。 −めっき浴組成− 硫酸ニッケル 0.07mol/L 硫酸第一鉄 0.03mol/L 硫酸亜鉛 0.001mol/L 次亜燐酸ソーダ 0.25mol/L クエン酸ソーダ 0.25mol/L ほう酸 0.50mol/L −めっき条件− pH(苛性ソーダ) 9.0 処理温度 85℃ 処理時間 80分
【0026】次いで、この得られた皮膜抵抗素体を用
い、一般的な皮膜抵抗器の製造手法に準じて、0.25
W型のヒューズ抵抗器を製作し、その特性を調べ、下記
の結果を得た。本実施例において製作されたヒューズ抵
抗器にあっても、以下に示すように、実施例1と同様
に、良好な抵抗温度係数を示し、短時間過負荷特性及び
溶断特性についても、共に、極めて良い結果を示すもの
であった。 −抵抗器特性− 抵抗値 3.5Ω 熱処理の抵抗値降下率 49% 抵抗温度係数 48ppm/℃ 短時間過負荷特性 −0.10% 溶断特性 20秒
【0027】実施例 3 上記実施例1及び実施例2で得られた皮膜抵抗素体の熱
処理温度を種々異ならしめて、それぞれ、試料を作製し
た。なお、試料1は、実施例1の皮膜抵抗素体に対する
熱処理温度を異ならしめたものであり、また試料2は、
実施例2で得られた皮膜抵抗素体に対する熱処理温度を
種々異ならしめたものである。そして、その得られた試
料1及び試料2について、それぞれの負荷寿命特性図を
求め、図1に示した。なお、かかる負荷寿命特性図は、
試験時間に対する抵抗値変化率にて表されている。
【0028】この図1の結果より明らかな如く、皮膜抵
抗素体(具体的には抵抗皮膜)の熱処理温度が170℃
よりも低くなると、抵抗値の変化率が大となり、抵抗値
の安定性を充分に図り得ないことが認められる。
【0029】また、図2には、上記の試料1及び試料2
に関して、熱処理温度と抵抗値降下率との関係が示され
ているが、その結果より、熱処理温度が高くなる程、抵
抗値降下率が大きくなり、280℃を越える熱処理温度
では、抵抗値が著しく降下することが認められる。従っ
て、ヒューズ抵抗器として電力を印加したときの抵抗値
降下率が小さくなるのである。
【0030】さらに、上記の試料1について、その熱処
理温度と溶断時間の関係を、9倍負荷(定格電力の9倍
を印加)と12倍負荷(定格電力の12倍を印加)の場
合について調べ、その結果を図3に示すが、その結果よ
り、熱処理温度が上昇するにつれて、溶断時間が長くな
り、280℃を越えるようになると、9倍負荷の場合に
おいては、溶断性がかなり低下することが認められる。
【0031】更にまた、熱処理温度が230℃である試
料2についての、0.25W定格電力に対する負荷率
と、溶断時間との関係を調べ、その結果を、図4におけ
る曲線aにて示した。また、従来のヒューズ抵抗器用皮
膜(Ni:60重量%、Fe:5重量%、P:35重量
%からなる合金皮膜)についても、同様に評価し、その
結果を、曲線bとして、図4に併せ示した。
【0032】この図4における曲線a(本発明皮膜)と
曲線b(従来皮膜)との対比から明らかな如く、本発明
に従う試料2は、従来のものに対して、極めて良好な溶
断特性を示していることが、理解される。
【0033】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、低負荷率で、安定且つ正確に溶断し得ると共
に、定格動作時には、通常の抵抗器と同等の性能及び信
頼性を有する皮膜抵抗素体が提供され得るのであり、ま
た、そのような特性を有する皮膜抵抗素体を、安価に得
ることが出来るのであり、更に、そのような皮膜抵抗素
体を用いたヒューズ抵抗器にあっては、抵抗器としての
安定性の目安となる短時間過負荷特性を満足させつつ、
小型タイプのヒューズ抵抗器、例えば定格電力が0.5
W以下のヒューズ抵抗器とした場合にあっても、定格電
力の12倍以下の低負荷率で溶断し得るものとすること
が出来るのであり、そこに、本発明の大きな技術的意義
が存するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3において得られた、各種熱処理温度の
皮膜抵抗素体についての試験時間に対する抵抗値変化率
を示すグラフである。
【図2】実施例3において得られた、熱処理温度と抵抗
値降下率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例3において得られた、熱処理温度と溶断
時間との関係を示すグラフである。
【図4】実施例3において得られた、本発明に係る皮膜
抵抗素体と従来のものとにおける、負荷率と溶断時間の
関係を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量基準で、2〜10%の鉄と、0.5
    〜10%の亜鉛と、10〜40%の燐と、残部がニッケ
    ルとからなる合金皮膜を、所定の絶縁基体上に設けてな
    ることを特徴とする皮膜抵抗素体。
  2. 【請求項2】 前記鉄と亜鉛と燐の含有量合計が、50
    重量%以下である請求項1記載の皮膜抵抗素体。
  3. 【請求項3】 水溶性ニッケル塩、水溶性第一鉄塩、及
    び水溶性亜鉛塩を含み、且つ還元剤として次亜燐酸塩を
    含有する無電解めっき液を用いて、所定の絶縁基体を無
    電解めっき処理することにより、かかる絶縁基体上に、
    鉄と亜鉛と燐とニッケルとからなる合金皮膜を形成する
    ことを特徴とする皮膜抵抗素体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記合金皮膜を設けてなる絶縁基体を、
    170〜280℃の温度で熱処理することを特徴とする
    請求項3記載の皮膜抵抗素体の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量基準で、2〜10%の鉄と、0.5
    〜10%の亜鉛と、10〜40%の燐と、残部がニッケ
    ルとからなる合金皮膜を、所定の絶縁基体上に設けてな
    る皮膜抵抗素体を用いて、構成されていることを特徴と
    するヒューズ抵抗器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019503563A (ja) * 2016-01-14 2019-02-07 シュルター アクチェンゲゼルシャフトSchurter AG 活性化可能な温度ヒューズ

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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