JPH0954489A - トナー撹拌搬送用スクリュー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子写真装置の現像装置に使用されるトナー
攪拌搬送用スクリューにおいて、スクリュー中央部の反
りが少なく、トナーが均一に現像剤担持体に付着し、し
かも軽量で製造コストも低いトナー攪拌搬送用スクリュ
ーを提供することを目的とする。 【構成】 軸３の外周に螺旋状に突起４を設けたスクリ
ュー部Ｂと、スクリュー部Ｂの両側に延出する軸端部か
らなるトナー攪拌搬送用スクリューにおいて、スクリュ
ー部Ｂの軸３表面及び螺旋状突起４並びに軸端部が合成
樹脂あるいは金属製カラーが外装され軸中心部に、スク
リュー部Ｂの長さに略等しい長さの金属芯２を同心に埋
設してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はトナー攪拌搬送用スク
リューに関し、詳しくは電子写真装置の現像装置、特に
カラー電子写真装置の現像装置におけるトナー攪拌搬送
用スクリューに関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真装置の現像装置におけるトナー
攪拌搬送用スクリューは、図３に示すように両端Ａ₁ Ａ
₂ の軸受け当接部に軸芯加工を施した金属製の軸Ａ外周
に樹脂製の螺旋状の突起を成形してスクリュー部Ｂとし
たもの、あるいは図４に示すように、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸
受け当接部のみを軸芯加工した金属製の軸とし、スクリ
ュー部Ｂの軸及び螺旋状突起を共に合成樹脂で一体形成
したもの、さらには図５に示すように両端Ａ₁ Ａ₂ の軸
受当接部のみを金属製カラーＣ₁ Ｃ₂ とし、他の部分は
全て合成樹脂製としたものなどが知られている。

【０００３】

【従来技術の問題点】図３に示したトナー攪拌搬送用ス
クリューは他のものに比べ強度的に優れる利点を有する
が、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部の精密加工及び全面の
防錆処理を必要とするためコストが高くなる欠点があ
り、またスクリュー部Ｂの螺旋状突起を除いた他の全て
が金属製となるので重量が嵩む欠点があった。

【０００４】図４に示したトナー攪拌搬送用スクリュー
は、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部のみが金属製で他の部
分はすべて合成樹脂製であるから重量を軽くできる利点
を有するものの、スクリュー部Ｂ中心付近の曲げ強度が
不足し、これに起因して中央付近の反りや両端Ａ₁ Ａ₂
の軸受け当接部との同心度のばらつきが出やすく、トナ
ー供給量が軸方向に沿って均一に出来なくなる欠点があ
った。また、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部の精密加工が
必要となる点では図３に示したものと同じ欠点があり、
コスト的にはそれほど有利とならない。

【０００５】図５に示したトナー攪拌搬送用スクリュー
は、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受当接部のみを金属製カラーＣ₁
Ｃ₂ とし他はすべて合成樹脂製とされているため前記従
来例のいずれに対しても軽量となり、またコストも低い
利点を有するが、殆どが合成樹脂製であるため曲げ強度
の点では前記従来例のいずれに比しても劣り、中央付近
の反りが著しくトナー供給量が軸方向に沿ってより均一
に出来なくなる欠点があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明は上記問題点
に鑑み、スクリュー中央部の反りが少なく、トナーが均
一に現像剤担持体に付着し、しかも軽量で製造コストも
低いトナー攪拌搬送用スクリューを提供することを目的
としてなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、請求項１に係るト
ナー攪拌搬送用スクリューは、 軸３の外周に螺旋状に
突起４を設けたスクリュー部Ｂと、スクリュー部Ｂの両
側に延出する軸端部Ａ₁ Ａ₂ からなるトナー攪拌搬送用
スクリューにおいて、スクリュー部Ｂの軸３表面及び螺
旋状突起４並びに軸端部Ａ₁ Ａ₂ が合成樹脂で一体に形
成され、軸中心部に、スクリュー部Ｂの長さに略等しい
長さの硬質芯２を同心に埋設してなることを特徴とする
ものである。

【０００８】スクリュー部Ｂの軸３表面及び螺旋状突起
４を形成する合成樹脂は熱変形性が少なく耐熱性、トナ
ーとの非粘着性に優れ、寸法安定性及び強度に優れるも
のが使用され、例えばアクリロニトリルブタジエンスチ
レン樹脂（ＡＢＳ樹脂）、ポリカーボネート樹脂（ＰＣ
樹脂）、ＡＢＳ樹脂とＰＣ樹脂のアロイ（ＡＢＳ樹脂／
ＰＣ樹脂）、ポリフェニレンエーテル（ＰＰＥ樹脂）、
ポリフェニレンオキサイド（ＰＰＯ樹脂）あるいはガラ
ス繊維で補強されたＡＢＳ樹脂、ＰＣ樹脂、ＡＢＳ樹脂
／ＰＣ樹脂、ＰＰＥ樹脂、ＰＰＯ樹脂等が使用され、そ
のうちＡＢＳ樹脂／ＰＣ樹脂（ＧＦ３０）が安価で安定
性があり好適に使用される。

【０００９】硬質芯２は曲げ強度に優れる材質の棒状体
であれば良く、ステンレス鋼、構造用炭素鋼、黄鋼、高
力アルミなどの金属や、硬質樹脂、セラミックなどの非
金属からなる丸棒、多角棒が使用される。なお、硬質芯
の表面の全面あるいは一部に樹脂との結合性を高める凹
凸を設けるのが望ましい。また、芯２はスクリュー部Ｂ
の長さにあわせてカットするだけで使用可能である。

【００１０】また、請求項２に係るトナー攪拌搬送用ス
クリューは前記請求項１のトナー攪拌搬送用スクリュー
において、軸両端部Ａ₁ Ａ₂ の軸受当接部に金属製カラ
ー５を外装してなることを特徴とするものである。な
お、請求項２に係る発明において、軸両端部の軸受け当
接部以外の駆動部材取り付け部やＥリング溝は軸３表面
及び螺旋状突起４を形成する合成樹脂と同質樹脂で一体
に形成される。

【００１１】

【作用】請求項１におけるトナー攪拌搬送用スクリュー
は、スクリュー部Ｂの軸３表面及び螺旋状突起４並びに
軸両端部Ａ₁ Ａ₂ を合成樹脂で一体に形成し、硬質芯２
として金属を使用した場合は金属部は同心に埋設した芯
２だけとなるため、全体が軽量化できる。また、スクリ
ュー部Ｂの長さに略等しい長さとされた硬質芯２がスク
リュー部Ｂの反りを防止する。

【００１２】さらに、この芯２は全体が合成樹脂で覆わ
れるため外気と触れることがなく、金属芯とする場合は
防錆処理もそれほど厳重なものとする必要がない。よっ
て、全体が軽量化されしかも反りのない均一なトナー搬
送の可能なトナー攪拌搬送用スクリューとすることがで
きる。

【００１３】請求項２におけるトナー攪拌搬送用スクリ
ューは、軸両端部Ａ₁ Ａ₂ の軸受当接部を金属製カラー
としているため、軸受け当接部の低摩擦化及び耐用強度
の向上に寄与する。

【００１４】

【実施例】次にトナー攪拌搬送用スクリューの実施例を
説明する。

【００１５】〔実施例１〕図１に示すように、スクリュ
ー部Ｂの長さ296.1mm 、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部の
長さ16.7mmとされたトナー攪拌搬送用スクリュー１の製
造に際し、螺旋状に加工されたキャビティ（図示省略）
内に、硬質芯２となる直径5mm のステンレス鋼製丸棒を
長さ296.0mm に切断して配置し、型締めにより芯２を固
定保持し、キャビティ内にガラス繊維入りＡＢＳ樹脂／
ＰＣ樹脂の溶融樹脂を射出、冷却後成形品を取り出しト
ナー攪拌搬送用スクリュー１を得た。

【００１６】このトナー攪拌搬送用スクリューは、スク
リュー部Ｂの軸芯に長さ296.0mm の金属芯２が同心に埋
設され、その外周に直径6.19mmの軸３及び外径が直径14
mmとなる螺旋状突起４及び軸端部Ａ₁ Ａ₂ 樹脂により一
体形成されており、軸端部Ａ₁ Ａ₂ を支持してスクリュ
ー中央部の外径振れを測定したところ、0.10mm以下（平
均0.08mm) であった。

【００１７】〔実施例２〕実施例１で使用したキャビテ
イ内に、実施例１と同様に切断したステンレス鋼製丸棒
とトナー攪拌搬送用スクリュー１の両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受
け当接部に、長さ16.7mm、外径6mm 、厚さ 0.8〜1.2mm
のステンレス製の金属カラー５、５を配置し、型締めに
より芯２及びカラー５、５を固定保持し、実施例１と同
様キャビティ内に実施例１と同様ガラス繊維入りＡＢＳ
樹脂／ＰＣ樹脂の溶融樹脂を射出、冷却後成形品を取り
出しトナー攪拌搬送用スクリューを得た。

【００１８】このトナー攪拌搬送用スクリューは、図２
に示すようにトナー攪拌搬送用スクリュー１の両端Ａ₁
Ａ₂ の軸受け当接部に、長さ16.7mm、外径6mm 、厚さ
0.8〜1.2mm のステンレス製の金属カラー５、５が表面
を合成樹脂製の軸３と同一面となるように外装された形
状であり、実施例１と同様にスクリュー部中央の外径の
振れを測定したところ、0.10mm以下（平均0.08mm) であ
った。

【００１９】〔比較例１〕実施例１で使用したキャビテ
イ内に、スクリュー部Ｂの長さ296.1mm 、両端Ａ₁ Ａ₂
の軸受け当接部の長さ16.7mm、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当
接部に軸芯加工を施した金属製の軸Ａを配置して型締め
により軸Ａを固定保持し、実施例１と同様キャビティ内
にガラス繊維入りＡＢＳ樹脂／ＰＣ樹脂の溶融樹脂を射
出、冷却後成形品を取り出しトナー攪拌搬送用スクリュ
ーを得た。

【００２０】このトナー攪拌搬送用スクリューは、図３
に示すように外周に、外径が直径14mmとなる螺旋状突起
４のみがガラス繊維入りＡＢＳ樹脂／ＰＣ樹脂樹脂とさ
れ、軸３および軸両端部は金属製とされた形状をなし、
実施例１と同様にスクリュー部中央の外径振れを測定し
たところ、0.10mm以下（平均0.08mm) であった。

【００２１】〔比較例２〕実施例１で使用したキャビテ
イ内に、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部のみ軸芯加工した
金属製の短軸を配置し型締めにより固定保持し、実施例
１と同様キャビティ内にガラス繊維入りＡＢＳ樹脂／Ｐ
Ｃ樹脂の溶融樹脂を射出、冷却後成形品を取り出しトナ
ー攪拌搬送用スクリューを得た。

【００２２】このトナー攪拌搬送用スクリューは図４に
示すように、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部のみを軸芯加
工した金属製の軸で、スクリュー部Ｂの軸及び螺旋状突
起共に合成樹脂で一体形成された形状をなし実施例１と
同様にスクリュー部中央の外径振れを測定したところ、
0.30mm以下（平均0.24mm) であった。

【００２３】〔比較例３〕実施例１で使用したキャビテ
イ内に、両端Ａ₁ Ａ₂ の軸受け当接部に金属製カラーＣ
₁ Ｃ₂ を配置し型締めにより固定保持し、実施例１と同
様キャビティ内にガラス繊維入りＡＢＳ樹脂／ＰＣ樹脂
の溶融樹脂を射出、冷却後成形品を取り出しトナー攪拌
搬送用スクリューを得た。

【００２４】このトナー攪拌搬送用スクリューは、図５
に示すように両端部Ａ₁ Ａ₂ の軸受当接部のみが金属製
カラーＣ₁ Ｃ₂ 、他の部分は全て合成樹脂製とされ、実
施例１と同様にスクリュー部中央の外径振れを測定した
ところ、0.30mm以下（平均0.26mm) であった。

【００２５】上記実施例１、２及び比較例１〜３で得た
トナー攪拌搬送用スクリューをそれぞれカラー電子写真
装置の現像装置に装着して現像試験を実施したところ、
実施例のものは連続運転 400時間経過後も現像の乱れは
殆ど無かった。

【００２６】これに対し、比較例２及び３のものは連続
運転50時間経過後に中央部分の現像むらが散見されるよ
うになった。比較例１のものは連続運転 400時間経過後
も現像の乱れは殆ど無かったが、実施例１及び実施例２
のものと比べ重量が約２倍と嵩んだ。

【００２７】

【発明の効果】この発明の請求項１におけるトナー攪拌
搬送用スクリューは、全体が合成樹脂製とされ、軸芯部
に芯を埋設した構成であるから、成形時の軸中央部の変
形が少なく成形精度が良く、またスクリュー部の中央付
近の曲げ強度が十分に補強されこのため反り変形がしに
くく、長期に渡って安定した現像が可能となる。また、
金属軸外周に螺旋状突条を形成したトナー攪拌搬送用ス
クリューに比し金属部の使用量が少ないのでその分軽量
化でき、また金属芯は合成樹脂ですべて覆われるため、
金属芯の場合は防錆処理も高度な処理は不要となる。ま
た芯は長い芯材料を所定の長さに切断して使用できるの
で、製造も容易であり安価に精度の良いトナー攪拌搬送
用スクリューが製造できる利点を有する。

【００２８】また請求項２に記載のトナー攪拌搬送用ス
クリューは、軸受け当接部が金属製とされているため、
その分軸受け部の耐用強度が増し、さらにカラーである
ので仕上げ加工も容易となり、安価に精度の良いトナー
攪拌搬送用スクリューが製造できる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１に係る実施例の断面図である。

【図２】請求項２に係る実施例の断面図である。

【図３】従来例のトナー攪拌搬送用スクリューの断面図
である。

【図４】他の従来例のトナー攪拌搬送用スクリューの断
面図である。

【図５】さらに他の従来例のトナー攪拌搬送用スクリュ
ーの断面図である。

【符号の説明】

１…トナー攪拌搬送用スクリュー ２…金属芯 ３…軸 ４…螺旋状突起 ５…金属製カラー Ａ₁ Ａ₂ …軸受け当接部 Ｂ…スクリュー部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸３の外周に螺旋状に突起４を設けたス
   クリュー部Ｂと、スクリュー部Ｂの両側に延出する軸端
   部Ａ₁ Ａ₂ からなるトナー攪拌搬送用スクリューにおい
   て、スクリュー部Ｂの軸３表面及び螺旋状突起４並びに
   軸端部Ａ₁ Ａ₂ が合成樹脂で一体に形成され、軸中心部
   に、スクリュー部Ｂの長さに略等しい長さの硬質芯２を
   同心に埋設してなることを特徴とするトナー攪拌搬送用
   スクリュー。
2. 【請求項２】 軸端部Ａ₁ Ａ₂ の軸受当接部に金属製カ
   ラー５を外装してなることを特徴とする請求項１に記載
   のトナー攪拌搬送用スクリュー。