JP4531629B2 - 摺動装置 - Google Patents

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本発明は、摺動部材をガイド部材で案内して相対的に直線移動させる摺動装置に関するものである。この摺動装置は、例えばCD,DVDといった光ディスク装置、スキャナ装置、コピー装置、プリンタ装置といった精密電子機器で、画像記録や画像読取り用のヘッド、あるいは印字ヘッド等を走査するものとして、さらには、工作機械や工場のラインでワーク、治具、工具等を直線移動させるものとして広く利用することができる。
上記摺動装置として、光学読み取り装置や印字ヘッドを走査するためのキャリッジを、モーメント荷重をも受けられるように、平行に配置した二以上のガイド部材(複列ガイド部材)で案内するものが知られている(例えば特許文献1)。
特開平11−37160号公報の図2
この種のキャリッジでは、摺動抵抗を軽減して精密な往復走査を可能とするため、キャリッジの摺動面とガイド部材のガイド面にそれぞれ高い表面精度が求められる。そのため、摺動面やガイド面に精緻な仕上げ加工を要し、これが高コスト化を招く一因になっている。
その中でもキャリッジの摺動面は摺動部材に形成された穴を区画する面であるから、ガイド部材外周のガイド面に比べてその加工は一般に困難であり、これを精度良く仕上げようとすれば加工コストの高騰が避けられない。特にガイド部材を二本以上有する複列式の摺動装置では、摺動面がガイド部材と同数存在し、かつ個々の摺動面の面精度のみならず、摺動面相互間の精度(平行度等)も要求されるため、摺動部材の加工コストが著しく高騰する。
本発明は、上記問題点に鑑み、キャリッジを始めとする摺動部材を高精度に移動させることができ、しかも低コスト化を達成できる摺動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の摺動装置は、
(1)ガイド部材と、ガイド部材に対して相対的に摺動移動可能な複数の摺動面を有する摺動部材とを備えたものにおいて、複数の摺動面が同軸に配置され、各摺動面が共通のガイド部材に対して摺動し、摺動部材が、複数の電鋳部をインサートした型成形品で、前記複数の電鋳部が、インサート成形後に共通のマスター軸から分離されたものであって、かつそれぞれ前記マスター軸の外周面に対応する寸法精度の摺動面を有することを特徴とするものである。
(2)また、ガイド部材と、ガイド部材に対して相対的に摺動移動可能な複数の摺動面を有する摺動部材とを備えたものにおいて、複数の摺動面が互いにオフセットさせた状態で平行に配置され、各摺動面が異なるガイド部材に対して摺動し、摺動部材が、複数の電鋳部をインサートした型成形品で、前記複数の電鋳部が、インサート成形後にそれぞれ異なるマスター軸から分離されたものであって、かつそれぞれ前記マスター軸の外周面に対応する寸法精度の摺動面を有することを特徴とするものである。
摺動面に形成した電鋳部は、マスター表面に金属イオンを電着させて金属層を形成する電鋳加工によって形成される。電鋳加工の特性上、電鋳部の内周面にはマスターの表面形状がミクロンオーダまで精度よく転写されるので、マスターの表面精度を高め、かつマスターの表面形状が転写された電鋳部の内周面を摺動面として使用すれば、特段の後加工を行うことなく、高い表面精度を有する複数の摺動面が低コストに得られる。従って、従来の機械加工に比べ、加工の難しい摺動部材の摺動面の仕上精度をガイド部材の仕上精度に容易にマッチさせることができ、これにより摺動装置の低コスト化を図ることができる。特に摺動面の断面形状が非真円形状である場合には、かかる低コスト化のメリットがより一層顕著に得られる。また、摺動部材は、電鋳部をインサートした状態で型成形により製作される(インサート成形)ので、部品同士の組み付け作業が不要となり、これにより摺動部材の製作工程を簡略化することができる。以上から、高い摺動精度を有する摺動装置を低コストに製作することが可能となる。
以上の構成のうち(1)は、各摺動面が共通のガイド部材に対して摺動する構成に適合し、例えばマスター表面の軸方向複数箇所に電鋳金属を析出させることによって形成することができる。(2)は、各摺動面が異なるガイド部材に対して摺動する構成に適合し、例えばガイド部材と同数のマスターの各表面にそれぞれ電鋳金属を析出させることによって形成することができる。
電鋳加工後に電鋳部をインサートして型成形すれば、複数の摺動面を有する摺動部材が1回の射出成形で製作可能となる。この場合、マスター表面の仕上げ精度や成形型内でのマスターの位置決め精度を高めることにより、各摺動面の表面精度、さらには摺動面相互間の必要精度(例えば同軸配置した摺動面では摺動面同士の同軸度、オフセットした摺動面では摺動面同士の平行度等)をも確保することができる。
以上の理由から、高精度の摺動面を複数有する摺動部材が低コストに製作可能となり、これにより摺動装置の高精度化および低コスト化を両立することができる。
摺動部材の複数の摺動面は、異なる断面形状に形成することもできる。例えば二つの摺動面のうち、一方を断面真円状に形成すると共に、他方を断面非真円状に形成する場合が考えられる。このように摺動面の断面形状が異なる場合、個々の摺動面を機械加工しようとすると、それぞれの摺動面を異なる工具、治具、あるいは加工装置を用いて別工程で加工する必要があり、大幅なコストアップを招くが、本発明のように電鋳加工を利用すれば、この種の機械加工が不要となるので、顕著なコスト低減効果が得られる。
本発明によれば、高精度の摺動面を複数有する摺動部材が低コストに製作可能となる。従って、摺動装置の高精度化および低コスト化を図ることができる。
本発明の摺動装置を実施の形態1として、図1〜図6を参考に説明する。
図1に、摺動部材として例えばキャリッジ4(以下、「摺動部材」の用語を使用する)を直線移動させる摺動装置を例示する。摺動部材4には、印字ヘッド等のヘッド部(図示省略)が搭載されている。摺動部材4は平行に配置した複列のガイド部材2,3によって直線方向に案内され、図示しないモータによって往復駆動される。これにより摺動部材4に搭載された画像記録ヘッド、印字ヘッド等のヘッド部が直線方向に走査される。なお、「複列」は、2本以上の意であり、図示のように2本のガイド部材2,3を使用する場合のみならず、3本以上のガイド部材を使用する場合も含まれる。
ガイド部材2,3として、図1では外周面を円筒面状としたものを例示しているが、ガイド部材2,3の外周面(ガイド面)の断面形状は円形には限定されず、多角形、楕円形等の非真円形状とすることもできる。ガイド部材2,3の内部構造は中空状、中実状の何れでもよい。さらにガイド部材2,3は、水平に配置する他、垂直に配置してもよく、あるいは傾斜姿勢で配置してもよい。また、ガイド部材2,3の断面形状は、軸方向で同形状とするだけでなく、軸方向で異なる断面形状(例えばネジの形状)とすることもできる。
摺動部材4は、前記ガイド部材2,3が貫通する電鋳部9と、樹脂の成形体であるモールド部23とから構成されている。本実施形態の摺動部材4には、二つの電鋳部9が互いにオフセットした状態で平行に配置されており、両電鋳部9の内周面がそれぞれガイド部材2,3に対して摺動する摺動面5,6となる。摺動面5,6の一部に電鋳部9を形成してもよい。
摺動部材4は、マスター軸7の所要箇所をマスキングする工程(図2参照)、非マスク部に電鋳加工を行って電鋳軸8を形成する工程(図3参照)、電鋳軸8の電鋳殻である電鋳部9をインサート成形で一体にモールドする工程(図4,図5参照)、および電鋳部9とマスター軸7とを分離する工程を経て製作される。
マスター軸7は、導電性材料、例えば焼入処理をしたステンレス鋼で、ストレートな横断面円形状の軸として製作される。もちろんステンレス鋼に限定されるものではなく、摺動装置に求められる特性(剛性などの機械的強度、摺動性、耐熱性、耐薬品性等)の他、電鋳部9の加工性及び分離性などの製作都合上求められる特性を満足する材料、さらには熱処理方法、表面処理方法が選択される。例えばセラミック等の非導電性材料でも、導電性処理を施すことにより(例えば表面に導電性の被膜を形成することにより)、マスター軸7として使用可能となる。
なお、後述のように、マスター軸7をそのままガイド部材2,3として使用する場合、マスター軸7の表面には、摺動装置としての使用時に電鋳部9との間の摩擦力を減じるための表面処理、例えばフッ素系の樹脂コーティングを施すのが望ましい。
マスター軸7の外周精度は、後述する摺動隙間の精度を直接左右するので、真円度、円筒度、表面粗さ等の摺動機能上重要となる表面精度を予め高精度に仕上げておく必要がある。
マスター軸7の外周は、図2に示すように、電鋳部9の形成予定部を除きマスキングが施されている。マスキング用の被覆材12としては、非導電性および電解質溶液に対する耐食性を有する既存品が選択使用される。
電鋳加工は、NiやCu等の金属イオンを含んだ電解質溶液にマスター軸7を浸漬し、電解液溶液に通電して目的の金属をマスター軸7の表面に析出させることにより行われる。電解液溶液には、カーボンなどの摺動材、あるいはサッカリン等の応力緩和材を必要に応じて含有させてもよい。電鋳金属の種類は、摺動部の摺動面5,6に求められる硬度、疲れ強さ等の物理的性質に応じて適宜選択される。マスター軸7は、使用するガイド部材2,3と同数分(本実施形態では2本)準備され、各マスター軸7のそれぞれに電鋳加工が施される。この際、電鋳加工は、2本のマスター軸7を同時に電解質溶液に浸漬することにより行う他、マスター軸7を1本ずつ順次電解質溶液に浸漬することによって行うこともできる。
電鋳部9の厚みは、これが厚すぎるとマスター軸7からの剥離性が低下し、薄すぎると摺動面の耐久性低下等につながる。本発明者らの検証によれば、電鋳部9の厚さが10μm〜200μmの範囲であれば上記要求特性を満足できることが判明した。
以上の工程を経ることにより、図3に示すように、マスター軸7の外周の軸方向一部領域に円筒状の電鋳部9を被着した電鋳軸8が形成される。
電鋳軸8は、図4および図5に示す射出成形装置に移送され、電鋳軸8をインサート部品として射出成形(インサート成形)される。
このインサート成形する工程では、2本の電鋳軸8が、図4に示すように、その軸方向を型締め方向(図面上下方向)と平行にして、上型13、および下型14からなる金型内部の規定位置に配置される。図示例では、下型14に、マスター軸7の外形寸法に適合し平行に配置された二個の位置決め穴15,16を形成し、この位置決め穴15、16に前工程から移送した電鋳軸8の下端を挿入して電鋳軸8の位置決めを行う場合を例示している。
この位置決め状態では、電鋳軸8のうち電鋳部9の下端面が下型14の成形面と係合し、電鋳部9の上端が金型のパーティングラインP.L.よりも相手型(本実施の形態では上型13)の側に突出している。位置決め穴15,16の深さL1は、マスター軸7の下端と電鋳部9の下端との間の距離L2よりも大きく(L1>L2)、従って、型締め前の状態では、マスター軸7の下端面は、位置決め穴15,16の底から浮上した状態にある。この浮上量を調整することで、電鋳部9の上下端(図6参照)に形成するフランジ10,11の塑性変形量を変更することができる。
前記上型13には、位置決め穴15,16と同軸にガイド穴17,18が形成されている。このガイド穴17,18の深さL3は、図5に示す形締め時において、マスター軸7の上端がガイド穴17,18の底に突き当たらない程度であれば足りる(なお、マスター軸7の下端は位置決め穴15,16の底に突き当たる)。
以上の金型において、可動型(本実施の形態では上型13)を固定型(本実施の形態では下型14)に接近させて型締めすると、先ずマスター軸7の上端がガイド穴17,18に挿入されマスター軸7の芯出しが行われ、さらに、上型13の成形面に電鋳部9の上側端面が当接する。
さらなる上型13の接近で電鋳軸8の全体が下方に押し込まれ、下型14の成形面と当接した電鋳部9の下端部、及び上型13の成形面と当接した電鋳部9の上端部がそれぞれ外径側に塑性変形し、図5に示すように電鋳部9の軸方向両端にフランジ10、11(図5、図6参照)が形成される。金型構造を変形することにより、電鋳部9の軸方向一端にのみフランジを形成することも可能である。
型締め終了後、スプール19、ランナ20、およびゲート21を介してキャビティ22に樹脂材料を射出し、インサート成形を行う。樹脂材料は、射出成形可能な材料であれば使用可能で、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSF)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が使用可能である。もちろんこれらは例示にすぎず、既存の各種樹脂材料の中から摺動装置の用途や使用環境に適合した樹脂材料が選択され得る。必要に応じて強化材(繊維状、粉末状等の形態は問わない)や潤滑剤等の各種充填材をベース樹脂に配合してもよい。
型開き後、脱型した成形品は、マスター軸7,電鋳部9、およびモールド部23が一体となった構造を有する。この成形品は、その後分離工程に移送され、電鋳部9およびモールド部23からなる摺動部材4と、マスター軸7とに分離される。
この分離工程は、例えば電鋳軸8やモールド部23に衝撃を加えることにより行われる。この衝撃により、電鋳金属組織中の拡径方向の残留応力が解放されるため、電鋳部9の内径が拡径し、マスター軸7の外周面との間に、半径寸法で0.数μm〜数十μm程度の微少隙間(摺動隙間)が形成される。あるいは電鋳軸8とモールド部23とを加熱(冷却してもよい)し、両者間に熱膨張量差を生じさせることによっても、マスター軸7と電鋳部9とを分離することができる。熱膨張量差および衝撃の付与を併用して分離することもできる。
マスター軸7から分離した二つの電鋳部9とモールド部23の一体成形品で、図6に示すように摺動部材4が形成される。電鋳部9の内周にそれぞれガイド部材2,3を挿入することにより、図1に示す摺動装置1が構成され、電鋳部9の内周面でガイド部材2,3の外周面と摺動する摺動面5,6が形成される。ガイド部材2,3としては、分離したマスター軸7をそのまま使用することができ、あるいはマスター軸7とは別に製作した軸状部材をガイド部材2,3として使用することも可能である。前者の場合は、摺動面5,6の面精度がマスター軸7の外周面精度と対応するのでその後のマッチング作業が不要となり、後者であればマスター軸7が繰り返し転用可能となるメリットが得られる。
なお、この摺動装置1は無給油で使用する他、摺動隙間に油等の潤滑剤を供給して使用することもできる。
以上のように本発明の摺動装置1では、複列の摺動面が電鋳加工によって形成されているので、真円度、円筒度、表面粗さ等の面精度に優れた摺動面が低コストに得られ、これにより低摩擦で静粛性に優れ、かつ高精度の直線移動を行うことのできる摺動装置1を安価に供給することが可能となる。特に、本発明のように複列のガイド部材で案内する摺動装置においては、個々の摺動面の精度のみならず、摺動面相互間での精度出し(平行度等)も必要とされるが、本発明によれば、射出成形時の型内で電鋳軸8相互間の精度出しを行うだけで、この要求特性を満たすことができ、複列案内式摺動装置の高精度化および低コスト化に顕著な効果が得られる。また、従来のように機械加工でガイド部材2,3の外周面や摺動部材4の摺動面5,6を仕上げ加工する場合は、特に摺動部材の摺動面5,6の仕上精度をガイド部材2,3の外周面の仕上精度にマッチさせることが難しくなるが、上述のように摺動面5,6を電鋳部9に形成することで、かかる問題を回避することができる。
また、本発明では、電鋳部9をインサートして型成形するので、キャビティ形状の変更を通じて任意形状のモールド部23を簡単に成形することができ、摺動部材4について高い形状自由度を確保することができる。例えばヘッド部の取り付けブラケット等をモールド部23に一体形成することができ、これにより部品点数や組立工数の削減による低コスト化も図ることができる。
ところで、電鋳加工後の電鋳部9の外周面は、内周面に比べて粗面となる。この場合、インサート成形後は、粗面化された電鋳部外周面の凹部に樹脂が入り込んでアンカー効果を発揮するため、電鋳部9とモールド部23との間で回り止めおよび抜け止め効果が得られ、使用中の両者の分離を回避することができる。
特に本実施形態のように電鋳部9にフランジ10,11を形成して、フランジ10,11を含めてインサート成形すれば電鋳部9とモールド部23との間でより確実な抜け止めがなされる。
また、図4,図5に示す実施の形態のように、電鋳部9を塑性変形させてフランジ10,11を形成する場合、図1に示すように、フランジ10,11の外周面の形状は、ランダムな凹凸を有する非真円形状となるので、より確実な回り止め効果が得られる。摺動装置1の用途によっては、フランジ10,11なしでも十分な回り止め、抜け止め効果が得られる場合もあるので、その場合には、フランジ10,11を省略してもかまわない。なお、図1では、外周面の凹凸が理解の容易化のために誇張して描かれている。
以上の説明では電鋳部9を樹脂材料でモールドする場合を説明したが、樹脂に限らず、金属の射出成形、例えばマグネシウム合金やアルミニウム合金などの低融点金属を射出して電鋳部をモールドすることもできる。その場合樹脂を使用する場合に比べ、強度、耐熱性、または導電性等の面より優れた摺動装置1の提供が可能となる。この他、MIM成形により電鋳部9をモールドすることもできる。
図1および図6に示す実施形態では、二つの摺動面5,6をオフセットした状態で平行に配置した場合を例示したが、これ以外にも、図9に示すように、二つの摺動面5,6を軸方向に離隔させて同軸上に配置し、各摺動面5,6に対して共通のガイド部材2を摺動させることもできる。この摺動装置1は、図3に示す電鋳加工時に軸方向に離隔した複数箇所に電鋳部9を形成した後、これをモールド工程でモールドし、さらに電鋳部9とマスター軸7とを分離することにより成形することができる。この構成においても電鋳加工の特性から摺動面5,6の表面を高精度に成形することができ、かつ摺動面5,6間で求められる精度(同軸度等)も確保することができる。
図9に示す例では、二つの電鋳部9の間のモールド部23内周面とガイド部材2の外周面との間に半径方向の隙間103を形成しているが、この種の隙間103は、樹脂の射出成形後、樹脂が固化する際のヒケにより形成することができる。摺動面5,6の数は任意であり、軸方向の3箇所以上に摺動面を形成しても構わない。
なお、摺動部材4の摺動面5,6には、摺動装置に常用される摺動特性改善手段を適用することができる。この種の改善手段の具体例として、例えば摺動面5,6を、円周方向複数箇所に軸方向溝を備えるステップ面とした構成、あるいは摺動面5,6に螺旋溝を形成した構成等が考えられる。これらの構成により、摺動面5,6とガイド部材2の真円状外周面との間の接触面積が減少し、あるいは軸方向溝や螺旋溝が油溜まりやスラッジ溜まりとなるため、摺動摩擦をはじめとする摺動特性の改善を図ることができる。図9に示すように、軸方向に離隔した二つの摺動面5,6の間に隙間103を形成することによっても同様の効果が得られる。これらの摺動面5,6は、上述のように摺動面形状に対応した形状のマスター軸7を用いて電鋳加工を行うことにより形成することが可能である。
以上の説明では、2本のガイド部材2,3が何れも摺動部材4の案内機能のみを有する場合を例に挙げて説明したが、ガイド部材2,3の何れか一方または双方に摺動部材4の駆動機能を付加することもできる。図7および図8はその一例を示すもので、例えば光ディスク装置に装備される読み取り(もしくは書き込み)ヘッドの搬送部に適用された摺動装置31を示すものである。この摺動装置31では、平行に配置した2本のガイド部材33、34のうち、一方33が送りねじとなり、他方34が案内軸となる。キャリッジとしての摺動部材35には、送りねじ33に螺合する二つのナット部36が軸方向に離隔させて形成されると共に、案内軸34を支持する軸受部39が形成されている。送りねじ33に連結した図示しないモータを駆動することにより、摺動部材35が軸方向にスライドし、摺動部材35に搭載した読み取り(もしくは書き込み)ヘッド32の走査が行われる。
各ナット部36および軸受部39には電鋳部40,42が形成されている。このうち、ナット部36の電鋳部40内周面は、送りねじ33に対応した雌ねじ形状に形成され、軸受部39の電鋳部41内周面は円筒面状に形成されている。また、各電鋳部40,41の軸方向両端には、それぞれ塑性変形によるフランジ部42,43が形成されている。各電鋳部40,41は、フランジ部42,43も含め、樹脂材料等からなるモールド部44で一体にモールドされている。
この摺動部材35は、上記実施形態と同様の手順、すなわち、電鋳加工により各電鋳部40,41を形成する工程、電鋳加工後に各電鋳軸をインサートして樹脂材料等で射出成形する工程、さらに電鋳部40,41をマスター軸と分離する工程を経て製作される。この場合、送りねじ33および案内軸34としては、マスター軸もしくは別途製作した別部材の何れもが使用可能である。
この構成においても、上記実施形態と同様に、各電鋳部40,41内周の摺動面37,38で高い面精度が得られ、かつ摺動面37,38相互でも高い精度出しが行われるので、この種の摺動装置31の摺動特性を改善して、情報記録・再生機能の向上を図ることができる。
なお、以上の説明では、ガイド部材2,3(33,34)と摺動部材4(35)のうち、摺動部材4(35)側を移動させる場合を例示したが、これとは反対に、静止状態の摺動部材4に対してガイド部材2,3(33,34)を移動させることもできる。
また、本発明の摺動装置は、実施形態で説明した用途に限られず適用可能であり、例えば摺動部材4で被搬送物の搬送を行う装置、例えば工作機械における、ワーク、工具、治具等の送り装置としても使用することが可能である。
本発明の摺動装置の斜視図である。 マスター軸の斜視図である。 電鋳軸を示す斜視図である。 射出成形金型に電鋳軸を取付けた状態を説明する断面図である。 射出成形金型による型締め状態を示す断面図である。 摺動部材の断面図である。 摺動装置の他の実施形態を示す側面図である。 上記他の実施形態にかかる摺動装置の一部切り欠き平面図である。 摺動装置の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1,31 摺動装置
2,3,33,34 ガイド部材
4,35 摺動部材
5,6,37,38 摺動面
9,40,41 電鋳部
10,11、42,43 フランジ

Claims (3)

  1. ガイド部材と、ガイド部材に対して相対的に摺動移動可能な複数の摺動面を有する摺動部材とを備えたものにおいて、複数の摺動面が同軸に配置され、各摺動面が共通のガイド部材に対して摺動し、摺動部材が、複数の電鋳部をインサートした型成形品で、前記複数の電鋳部が、インサート成形後に共通のマスター軸から分離されたものであって、かつそれぞれ前記マスター軸の外周面に対応する寸法精度の摺動面を有することを特徴とする摺動装置。
  2. ガイド部材と、ガイド部材に対して相対的に摺動移動可能な複数の摺動面を有する摺動部材とを備えたものにおいて、複数の摺動面が互いにオフセットさせた状態で平行に配置され、各摺動面が異なるガイド部材に対して摺動し、摺動部材が、複数の電鋳部をインサートした型成形品で、前記複数の電鋳部が、インサート成形後にそれぞれ異なるマスター軸から分離されたものであって、かつそれぞれ前記マスター軸の外周面に対応する寸法精度の摺動面を有することを特徴とする摺動装置。
  3. 各摺動面が異なる断面形状を有する請求項1または2に記載の摺動装置。
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