JPH0953945A - 光ファイバコイルとその巻線方法 - Google Patents

光ファイバコイルとその巻線方法

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JPH0953945A
JPH0953945A JP20969295A JP20969295A JPH0953945A JP H0953945 A JPH0953945 A JP H0953945A JP 20969295 A JP20969295 A JP 20969295A JP 20969295 A JP20969295 A JP 20969295A JP H0953945 A JPH0953945 A JP H0953945A
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Ryuji Usui
竜治 臼井
Kenichi Okada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度ドリフトにより生ずる左回り光と右回り
光との間の位相差の変動を軽減させる。 【解決手段】 光ファイバコイル1の両端末Ta,Tb
がボビン4のフランジ4aの孔(第1層の位置の近傍に
設けられる)より外部に導出され、端末Ta,Tbを始
端(巻き始め端)とする光ファイバA,Bがボビン4に
少なくとも所定の対数(n)だけ巻線される。ここで光
ファイバA,Bを1層ずつ重ねて巻いたものを1対とす
る。しかし各対の光ファイバA,Bはいずれが先に巻か
れていてもよい。光ファイバA,Bの巻き終り端2a,
2bまたは2a′,2b′が融着接続される。光ファイ
バA,Bとして初め連続した線を用い、巻線終了後にP
点で切断して端末Ta,Tbを形成することができる
(図1A)。別の方法として、最初から別々の光ファイ
バを用いることもできる(図1B)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ファイバジャイロ
などのリング干渉計を応用した光ファイバセンサに用い
る光ファイバコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバジャイロなどのリング干渉計
において、光ファイバコイルで構成されたセンシング部
分に不均一な温度変化が印加されると、センシング部の
光ファイバを伝播する左回り光と右回り光の位相差が変
動し、零点出力のドリフトとなることが知られている。
この現象は D. M. Shupeにより Applied Optics, Vol 1
9,P.654 〜 655(1980)に報告されており、そのドリフト
量は次式で示されている。
【0003】
【数1】 φE ;ドリフト量(位相差)、n;ファイバ屈折率、
α;ファイバ線膨張係数、c;光速、λ:伝播光波長、
L;光ファイバ長、x;光ファイバの一端からの距離、
T;温度 このドリフトを最小化する公知の方法として、ファイバ
全長Lの中点に対し、対称な位置にある光ファイバ部分
を空間的に近い位置に配置することで左回り光と右回り
光が等しい温度影響を受けることにより、前記の出力ド
リフトを低減する方法が知られている。
【0004】この光ファイバコイル1に巻回される光フ
ァイバ2は図2に示すように中点Pに対する左右のA及
びBの部分は長さがL/2で相等しい。いまA及びBの
部分を層別にA1 ,A2 …,An 層及びB1 ,B2 …,
n 層に分けて考えると、A 1 層とB1 層、A2 層とB
2 層,…,An 層とBn 層はそれぞれ空間的に近い位置
に巻回される。
【0005】この発明を得る前の段階で考えられた光フ
ァイバコイルの巻線方法を工程順に説明する。 同じ形状のボビン3a,3bを用意し、その一方に
光ファイバ供給源より全長L(Nターン;Nの値は予め
実験的に求めてある)だけ巻き取る(図3A)。
【0006】 他方のボビンにL/2の長さ(Mター
ン;Mの値は予め実験的に求めてある)だけ巻き取る。
これによりボビン3a,3bに、全長Lの光ファイバ2
がL/2(Mターン)ずつ巻回される。光ファイバはそ
の両端末2a,2b側からボビン3a,3bにそれぞれ
巻回され、長さL/2ずつ巻き取られる。2つのボビン
の最外層の巻き終り同士は光ファイバ2mで連結されて
おり、光ファイバ2mの中間が光ファイバ2の中点Pと
なる(図3B)。
【0007】 ボビン3aの光ファイバをその中点P
側より光ファイバコイル用ボビン4に1層(A1 層)だ
け巻く。 ボビン3bの光ファイバをその中点P側よりA1
上に1層(B1 層)だけ巻く。 図4に示すように上記と同様にボビン4にボビン3
aまたは3bの光ファイバを1層ずつ巻き取る(順序は
どちらが先でもよい)。
【0008】 Ai層とBi層の巻数には偏差が存在
するため一方のボビンの光ファイバの巻取りが、ある層
の途中で先に完了すると、その同じ層及び必要に応じそ
の上の層に他方のボビンの光ファイバを全て巻き取る。
図4の最外層(AB)5は両方のホビンの光ファイバを
端末まで巻き取った層である。図4AはA1 1 2
2 ;A3 3 4 4 と4層1組としてABBAの順を
繰り返した場合、図4BはA1 1 ,A2 2 ,A3
3 ,A4 4 と2層1組としてABの順を繰り返した場
合、図4Cは4層1組とするがA1 1 2 2 の次に
はAとBを入れ替えてB3 3 4 4 を巻くようにし
た場合である。通常1層は数100ターンより成り、全
層数は数10層にも及ぶ。
【0009】図4A,B,Cのいずれの場合もAi層と
Bi層は隣接して配され、光ファイバコイル1の巻線部
の構造は中点Pに対してほゞ対称となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術で述べた中点に対し左右対称な位置に巻線を配置する
方法は、現実には巻き乱れが生じてAi層とBi層の巻
数が同じにならず、そのずれ分だけ温度変動により左回
り光と右回り光の位相差の変動が大きくなる。コイル層
数が増えれば増えるほど、その巻き乱れが顕著である。
つまり、コイル終端に近づくほど、AiとBiの巻数の
ずれが大きく、光ファイバコイル構造の対称性が失われ
る。
【0011】光ファイバコイル1のAi層とBi層の巻
数のずれにより生ずる左回り光と右回り光の温度変動に
よる位相差の変動はAi層とBi層がコイルの両端末に
近づくほど大きくなる特性をもっている。そのため従来
の光ファイバコイルは温度変動による左回り光と右回り
光の間の位相差の変動が大きくなる欠点があった。この
発明は、この位相差の変動を軽減することを目的として
いる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の巻線方法は、光ファイバコイルに巻く
べき光ファイバ(長さL)を第1ボビンに巻線し、第1
ボビンに巻かれた光ファイバの内の半分(L/2)を第
2ボビンに巻き取り、第1ボビンの最外層から第2ボビ
ンの最外層に移行する光ファイバの中間を中点とし、そ
の中点で光ファイバを折り返して2本1組とし、糸巻状
の光ファイバコイル用ボビンの一方のフランジの孔(第
1層の位置の近傍に設けられる)より外部に導出する。
光ファイバコイル用ボビンに第1,第2ボビンの光ファ
イバを複数対巻線する(第1,第2ボビンの光ファイバ
を1層ずつ重ねて巻いたものを1対とする、各対の第
1,第2ボビンからの光ファイバはどちらを先に巻いて
もよい)。
【0013】ある層の巻線の途中で第1,第2ボビンの
いずれか一方の光ファイバの巻取りが先に終了すると、
その同じ層及び必要に応じその上の層に他方のボビンの
光ファイバを全て巻き取る。光ファイバコイル用ボビン
に第1,第2ボビンからそれぞれ巻き取った光ファイバ
(L/2)の端末同士を融着接続し、光ファイバコイル
用ボビンのフランジの孔より外部に導出した光ファイバ
の折り返し点(中点)を切断して、光ファイバコイルの
両端末を形成する。
【0014】(2)請求項2の巻線方法は、同一仕様の
光ファイバを蓄えた第1,第2供給源の光ファイバ(第
1,第2光ファイバと言う)を、それぞれの始端部分を
光ファイバコイル用ボビンのフランジに形成された孔
(第1層の位置の近傍に設けられる)より外部に導出し
て、コイルの両端末を形成し、それら第1,第2光ファ
イバを光ファイバコイル用ボビンに所定の対数(n)巻
線し(第1,第2光ファイバを1層ずつ重ねて巻いたも
のを1対とする、各対の第1,第2光ファイバはどちら
を先に巻いてもよい)、それら第1,第2光ファイバの
巻き終りの端面を融着接続する。
【0015】(3)請求項3の光ファイバコイルは、光
ファイバコイルの両端末(第1,第2端末と言う)が糸
巻状ボビンのフランジの孔(第1層の位置の近傍に設け
られる)より外部に導出される。第1,第2端末をそれ
ぞれ始端(巻き始め端)とする光ファイバ(第1,第2
光ファイバと言う)が、ボビンに少なくとも所定の対数
(n)巻線される(第1,第2光ファイバを1層ずつ重
ねて巻いたものを1対とする、しかし各対の第1,第2
光ファイバはいずれが先に巻かれてもよい)。第1,第
2光ファイバの巻き終り端が融着接続されている。
【0016】
【発明の実施の形態】光ファイバコイルの中点Pの左右
のファイバA,Bに巻数、その他の構造的なアンバラン
スがあると温度ドリフトによって左回り光と右回り光と
の間の位相差が変動し、その内でも光ファイバA,Bの
両端末により近い部分のアンバランスほどその影響が大
きい。
【0017】この発明を得る前の段階で考えられた光フ
ァイバコイルは、外層に近くなるほど巻き乱れが多くな
り、対をなすAi層とBi層の巻数に差が生じ易い。
(AB)5層のように最外層にA,Bを混在する場合も
巻数のアンバランスが生じ易い。一方、Ai層,Bi層
のように内層に近い層ほど巻き乱れが少なく、巻数のア
ンバランスも少ない。
【0018】従って、もしA1 層,B1 層側がコイルの
両端末側に、最外層側が中点側になるように巻線するこ
とができれば、両端末に近い対(Ai,Bi)ほど層間
の巻数のアンバランスが少なくなり、温度ドリフトによ
る位相差の変動を改善することができるはずである。そ
こでこの発明では、図1Aに示すように、図2の巻線の
中点Pとその近傍の部分をはじめにボビン4のフランジ
の孔より外部に導出させておいてから、各対(Ai,B
i)の層を順次巻線し、最外層の端末2a,2bを融着
接続して新しい中点とし、折り返し点(中点)Pを切断
して新しい両端末を形成する。以下に巻線作業の詳細を
工程順に説明する。
【0019】 第1ボビン3aに、光ファイバコイル
に巻くべき光ファイバ(長さL)2を巻線する(図3
A)。 第2ボビン3bに、第1ボビン3aに巻かれた光フ
ァイバ2の内の半分(L/2)を巻き取る(図3B)。 第1ボビン3aの最外層から第2ボビン3bの最外
層に移行する光ファイバ2mの中間を中点Pとし、その
中点で光ファイバ2を折り返して2本1組とし、光ファ
イバ用ボビン4の一方のフランジ4aの孔(第1層の位
置の近傍に設けられる)より外部に導出する。
【0020】 光ファイバコイル用ボビン4に第1,
第2ボビンの光ファイバを複数対巻線する。ここで、第
1,第2ボビンの光ファイバを1層ずつ重ねて巻いたも
のを1対とする。各対の第1,第2ボビンからの光ファ
イバはどちらを先に巻いてもよい。従って、図4A,
B,Cで示したような各層の配列が可能である。 ある層の巻線の途中で第1,第2ボビンのいずれか
一方の光ファイバの巻取りが先に終了すると、その同じ
層及び必要に応じその上の層に他方のボビンの光ファイ
バを全て巻き取る。
【0021】 第1,第2ボビンから巻き取った光フ
ァイバの端末同士を融着接続して、中点を形成する。 において外部に導出した1組の光ファイバの折り
返し点(中点)Pを切断して、光ファイバコイルの両端
末を形成する。とはいずれが先でもよい。以上の巻
線方法を用いた光ファイバコイルは、光ファイバの全長
が所定値Lに保持され、新しい中点Qの左右の光ファイ
バの長さはそれぞれL/2に保持される特徴がある。
【0022】光ファイバコイルには全長Lに多少の誤差
を許容できる場合もある。このような場合に、図1Aで
巻線A,Bの混在する最外層(AB)5を省略する。従
って所定の対数(n)になるようにA,Bを巻線すれば
よいので、2つの光ファイバ供給源を用いることにより
前述の,の工程は不要となる。次に、この場合の巻
線方法を図1Bを参照して説明する。
【0023】 同一仕様の光ファイバを蓄えた第1,
第2供給源の光ファイバ(第1,第2光ファイバと言
う)を、それぞれの始端部分を光ファイバコイル用ボビ
ン4のフランジに形成された孔より外部に導出して、コ
イルの両端末Ta,Tbを形成する。 それら第1,第2光ファイバを光ファイバコイル用
ボビン4に所定の対数(n)巻線する。ここで、第1,
第2光ファイバを1層ずつ重ねて巻いたものを1対とす
る。各対の第1,第2光ファイバはどちらを先に巻いて
もよい。
【0024】 それら第1,第2光ファイバの巻き終
りの端面を融着接続する。
【0025】
【発明の効果】この発明では光ファイバの温度ドリフト
により発生する左回り光と右回り光の間の位相差の変動
に最も影響を与えるコイルの両端末に近い側の層Ai,
Biは、巻き乱れの少ないボビンの内層側に巻線される
ので、巻数の差を極めて少なくすることができる。一
方、上記位相差に与える影響の少ない中点に近い側の層
Aj,Bjは、巻き乱れの生じ易い、従って層間の巻数
に差がでやすいボビンの外層側に巻かれる。このように
この発明では、巻線A,Bの各層のボビン上の配置をこ
れまでに考えられていた配置と逆の配置をとることによ
って、層Ai,Bi間の巻数のアンバランスにより生じ
る温度ドリフトによる位相差変動を大幅に減少すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す原理的な断面図。
【図2】光ファイバ用ボビンに巻線すべき光ファイバを
直線状に展開して層別に符号を付けた図。
【図3】光ファイバ用ボビンに巻線を開始するまでの段
取りを説明するための原理的な斜視図。
【図4】この発明を得る前の段階で考えられた光ファイ
バコイルの巻線方法を説明するための原理的な断面図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバコイルに巻くべき光ファイバ
    (長さL)を第1ボビンに巻線し、 その第1ボビンに巻かれた光ファイバの内の半分(L/
    2)を第2ボビンに巻き取り、 第1ボビンの最外層から第2ボビンの最外層に移行する
    光ファイバの中間を中点とし、その中点で光ファイバを
    折り返して2本1組とし、糸巻状の光ファイバコイル用
    ボビンの一方のフランジの孔(第1層の位置の近傍に設
    けられる)より外部に導出し、 その光ファイバコイル用ボビンに第1,第2ボビンの光
    ファイバを複数対巻線し(第1,第2ボビンの光ファイ
    バを1層ずつ重ねて巻いたものを1対とする、各対の第
    1,第2ボビンからの光ファイバはどちらを先に巻いて
    もよい)、 ある層の巻線の途中で第1,第2ボビンのいずれか一方
    の光ファイバの巻取りが先に終了すると、その同じ層及
    び必要に応じその上の層に他方のボビンの光ファイバを
    全て巻取り、 前記光ファイバコイル用ボビンに第1,第2ボビンから
    それぞれ巻き取った光ファイバ(L/2)の端末同士を
    融着接続し、 前記光ファイバコイル用ボビンのフランジの孔より外部
    に導出した光ファイバの折り返し点(中点)を切断し
    て、光ファイバコイルの両端末を形成することを特徴と
    する光ファイバコイルの巻線方法。
  2. 【請求項2】 同一仕様の光ファイバを蓄えた第1,第
    2供給源の光ファイバ(第1,第2光ファイバと言う)
    を、それぞれの始端部分を光ファイバコイル用ボビンの
    フランジに形成された孔(第1層の位置の近傍に設けら
    れる)より外部に導出して、コイルの両端末を形成し、 その光ファイバコイル用ボビンに前記第1,第2光ファ
    イバを所定の対数(n)巻線し(第1,第2光ファイバ
    を1層ずつ重ねて巻いたものを1対とする、各対の第
    1,第2光ファイバはどちらを先に巻いてもよい)、 それら第1,第2光ファイバの巻き終りの端面を融着接
    続することを特徴とする光ファイバコイルの巻線方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバコイルの両端末(第1,第2
    端末と言う)が糸巻状ボビンのフランジの孔(第1層の
    位置の近傍に設けられる)より外部に導出され、 前記第1,第2端末をそれぞれ始端(巻き始め端)とす
    る光ファイバ(第1,第2光ファイバと言う)が、前記
    ボビンに少なくとも所定の対数(n)巻線され(第1,
    第2光ファイバを1層ずつ重ねて巻いたものを1対とす
    る、しかし各対の第1,第2光ファイバはいずれが先に
    巻かれていてもよい)、 第1,第2光ファイバの巻き終り端が融着接続されてい
    ることを特徴とする光ファイバコイル。
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WO2013186852A1 (ja) 2012-06-12 2013-12-19 東京計器株式会社 光ファイバジャイロ用センシングコイル及びその製造方法
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