【発明の詳細な説明】
5−α−レダクターゼ阻害に有用なジアゾ−フェナンスレノン化合物
発明の分野
本発明は、ある種の新規ジアゾ−フェナンスレノン化合物、これらの化合物を
含有する医薬組成物、これらの化合物の製造方法、およびステロイド5−α−レ
ダクターゼを阻害するためのこれらの化合物の使用方法に関する。
関連分野の説明
アンドロゲンとして知られているステロイドホルモンのクラスは、オスをメス
から区別する身体的特徴の原因となっている。アンドロゲンを産生するいくつか
の器官のうち、精巣はこれらのホルモンを大量に産生する。脳中枢はアンドロゲ
ン産生レベルについて主なコントロールを行う。効果のないコントロールにより
過剰なアンドロゲンホルモン産生が行われた場合、多くの身体的特徴および疾病
状態が生じる。例えば、尋常性アクネ、脂漏症、女性の多毛症、男性型脱毛症お
よび良性前立腺肥大症のごとき前立腺疾患は、上昇したアンドロゲンレベルと相
関関係がある。さらに、アンドロゲンレベルの低下は前立腺癌に対する治療効果
を有することが示されている。
テストステロンは精巣により産生される主要アンドロゲンであり、オスの血漿
中の主要アンドロゲンステロイドである。5−α−還元アンドロゲンは前立腺お
よび脂腺のごときいくつかの組織における活性ホルモンであることが現在知られ
ている。よって、これらの組織において(しかし、筋肉および精巣のごとき他の
組織においてではない)、循環テストステロンは、その5−α−還元アナログで
あるジヒドロテストステロン(DHT)のプロホルモンとして役立つ。ステロイ
ド5−α−レダクターゼは、テストステロンをDHTに変換するニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)依存性の酵素である。オス
の成長におけるこの酵素の重要性は、オスの半陰陽における遺伝性5−α−レダ
クターゼ欠損の発見により劇的に理解された。イムペラト−マクジンリー,ジェ
イ(Imperato-McGinley,J.)ら、(1979年)、ジャーナル・オブ・ステロイ
ド・バイオケミストリー(J.Steriod Biochem.)第11巻:637〜648頁。
種々の疾病状態における上昇したDHTレベルの重要性に対する認識は、この
酵素の阻害剤を合成するための多くの努力を剌激した。多くの5−α−レダクタ
ーゼ阻害化合物が当該分野において知られている。例えば、
1.エム・エイ・レビー(M.A.Levy)らによるジャーナル・オブ・ステロイド
・バイオケミストリー(J.Steroid Biochem.)(1989年)第34巻第1〜6
号、571〜575頁には、ラット・前立腺ステロイド5−アルファレダクター
ゼおよび3−カルボキシ−17β−置換ステロイドの間の相互作用機構が記載さ
れており;
2.ディー・エイ・ホルト(D.A.Holt)らによるジャーナル・オブ・メデイシ
ナル・ケミストリー(1990年)第33巻、937〜942頁には、新たなス
テロイドクラスのA環アリールカルボン酸が記載されており;
3.ビー・エム・エントカルフ(B.W.Metcalf)らによるTIPS(1989年
12月)第10巻、491〜495頁には、良性前立腺肥大症、男性型脱毛症お
よびアクネにおけるステロイド5−α−レダクターゼの阻害剤の効果が記載され
ており;
4.ディー・エイ・ホルト(D.A.Holt)らのEPO公開第0343954A3
(スミスクライン・ベックマン(SmithKline Beckmann))には、5−α−レダク
ターゼ阻害剤として有用なステロイド3−カルボン酸誘導体が記載されており;
そして
5.ケイ・エス・ヒルシュ(K.S.Hirsch)らのEPO公開第0531026A
1には、ヘキサヒドロベンゾ[f]キノリン−3−オンが5−α−レダクターゼ
阻害剤として記載されている。
しかしながら、上記文献には、本発明新規ジアゾ−フェナンスレノン化合物が
有効なテストステロン5−α−レダクターゼ阻害剤としての有用性を有するであ
ろうことは特に示唆されていない。
発明の概要
本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼがある種のジアゾ−フェナンスレ
ノン化合物により阻害されるという知見に基づく。好ましい本発明化合物および
本発明医薬組成物ならびに本発明方法に使用される化合物は、式:
[式中、R1は水素またはC1〜C6アルキル;
R2は独立して水素;ハロゲン;NO2;シアノ;トリフルオロメチル;C1〜
C6アルキル;C1〜C6アルコキシ;カルボキシ;C1〜C6アルコキシカルボニ
ル;アミノ;C1〜C4アルキルアミノ;C1〜C4ジアルキルアミノ;アミド;C1
〜C4アルキルアミド;C1〜C4ジアルキルアミド;メルカプト;C1〜C6アル
キルチオ;C1〜C6アルキルスルフィニル;C1〜C6アルキルスルホニル;−C
(=O)R3(ここに、R3は、所望により1個またはそれ以上のトリフルオロメチ
ル、ハロゲン、−OH、−C(=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、−(CH2)p
OH、(pは1〜4)、−(CH2)mCOOH(mは1〜3)、もしくは保護され
た−OH基で置換されていてもよいC1〜C6直鎖状もしくは分枝アルキル);所
望により1個またはそれ以上のトリフルオロメチル、ハロゲン、−OH、−C(
=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、−(CH2)pOH(pは1〜4)、−(CH2
)mC(=O)OH(mは1〜3)、もしくは保護された−OH基で置換されてい
てもよいアリール;または−R3R4(ここに、R3はC1〜C6アルキレン、C2〜
C6アルケニレンもしくはC2〜C6アルキニレンであり、R4はハロゲン、ヒドロ
キシ、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、カルボキシ、C1〜C6アルコ
キシカルボニル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ
、アミド、C1〜C4アルキルアミド、C1〜C4ジアルキルアミド、
C1〜C4アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニルもしくはC1〜C4アルキ
ルアミノスルホニル);
nは1または2]
を有する化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である
。
好ましい本発明化合物および本発明医薬組成物ならびに本発明方法に使用され
る化合物は、(+/−)−トランス−1−ジアゾ−8−メトキシ−4a−メチル−
1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェナンスレン−2−オンな
る名称を有する。
本発明のもう1つの態様は、上で定義された式(I)で示される化合物、また
はその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬上許容される
担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる医薬組成物である。
発明の詳細な説明
定義
本明細書に用語「アルキル」は、炭素原子の直鎖または分枝鎖を有する1価の
炭化水素基をいい、炭素原子数は記載された範囲から選択される。典型的なアル
キル基は、メチル(−CH3)、エチル(−C2H5)、n−プロピル(−CH2C
H2CH3)、イソプロピル(−CH(CH3)2)、n−ブチル(−CH2CH2CH2
CH3)、イソブチル(−CH2CH(CH3)2)、sec−ブチル(−CH(CH3
)CH2CH3)、t−ブチル(−C(CH3)3)を包含し、指示された場合、n−
ペンチル(−CH2CH2CH2CH2CH3)、n−ヘキシル(−CH2CH2CH2
CH2CH2CH3)、2−メチルペンチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)等
のごとき、より大きな同族体および異性体も包含する。
用語「アルケニレン」は、炭素原子の直鎖または分枝鎖および1個の炭素−炭
素二重結合(C=C)を有する2価の炭化水素基をいい、炭素原子数は記載され
た範囲から選択される。典型的なアルケニレン基は、エチレン(−CH=CH−
)、
1−プロペン−1,3−ジイル(−CH2CH=CH−または−CH=CH−CH2
−)、2−ブテン−1,4−ジイル(−CH2−CH=CH−CH2−)、1−ブ
テン−1,4−ジイル(−CH=CH−CH2CH2−または−CH2CH2CH=
CH−)等を包含する。
用語「アルコキシ」は、記載された範囲から選択される数の炭素原子を有する
アルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、アルケニルまたは
アルキニル基は酸素原子を介して式(I)の化合物の残基に結合している。典型
的なアルコキシ基は、メトキシ(−OCH3)、エトキシ(−OCH2CH3)、
n−プロポキシ(−OCH2CH2CH3)、イソプロポキシ(−OCH(CH3)2)
、プロピニルオキシ(−OCH2C≡CH)等を包含する。
用語「アルコキシカルボニル」は、記載された範囲から選択される数の炭素原
子を有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、アルケ
ニルまたはアルキニル基は、酸素原子(−O−)およびカルボニル基(−C(=
O)−)を連続して介して式(I)の化合物の残基に結合している。典型的なア
ルコキシカルボニル基は、−C(=O)−OCH3、−C(=O)−OCH(CH3)2
、−C(=O)−OCH2CH2CH2CH=CH2等を包含する。
用語「アルキルアミド」は、記載された範囲から選択される数の炭素原子を有
するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、アルケニルま
たはアルキニル基はアミド基(−C(=O)NH−)の窒素原子に結合しており、
アミド基の炭素原子は式(I)の化合物の残基に結合している。典型的なアルキ
ルアミド基は、メチルアミド(−(C=O)NH(CH3))、イソプロピルアミド
(−(C=O)NH(CH(CH3)2))、3−ブテニルアミド(−(C=O)NH(C
H2CH2CH=CH2))等を包含する。
用語「アルキルアミノ」は、記載された範囲から選択される数の炭素原子を有
するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、アルケニルま
たはアルキニル基はアミン2価基(−NH−)を介して式(I)の化合物の残基
に結合している。典型的なアルキルアミノ基は、メチルアミノ(−NH(CH3)
)、
イソプロピルアミノ(−NH(CH(CH3)2))、3−ブテニルアミノ(−NH(
CH2CH2CH=CH2))等を包含する。
用語「アルキルアミノスルホニル」は、記載された範囲から選択される数の炭
素原子を有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、ア
ルケニルまたはアルキニル基はアミノスルホニル基(−S(=O)2NH−)の窒
素原子に結合しており、アミノスルホニル基の硫黄原子は式(I)の化合物の残
基に結合している。典型的なアルキルアミノスルホニル基は、メチルアミノスル
ホニル(−S(=O)2NHCH3)、エチルアミノスルホニル(−S(=O)2NH
CH(CH3)2)、2−メチル−3−ブテニルアミノスルホニル(−S(=O)2N
HCH2CH(CH3)CHCH2)等を包含する。
用語「アルキレン」は、炭素原子の直鎖または分枝鎖を有する2価の炭化水素
基をいい、炭素原子数は記載された範囲から選択される。典型的なアルキレン基
は、メチレン(−CH2−)、1,2−エタンジイル(−CH2CH2−)、3−メ
チル−1,5−ペンタンジイル(−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2−)、1,
6−ヘキサンジイル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)等を包含する。
用語「アルキルスルフィニル」は、記載された範囲から選択される数の炭素原
子を有し、スルフィニル基の硫黄原子に結合しているアルキル、アルケニルまた
はアルキニル基をいい、スルフィニル基(−S(O)−)の硫黄原子は式(I)の
化合物の残基に結合している。典型的なアルキルスルフィニル基は、−S(O)C
H3、−S(O)CH2CH3、−S(O)CH(CH3)2等を包含する。
用語「アルキルスルホニル」は、記載された範囲から選択される数の炭素原子
を有し、スルホニル基(−S(=O)2−)を介して式(I)の化合物の残基に結
合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいう。典型的なアルキル
スルホニル基は、メチルスルホニル(−S(=O)2CH3)、エチルスルホニル(
−S(=O)2CH2CH3)、3−ブテニルスルホニル(−S(=O)2CH2CH2C
H=CH2)、イソプロピルスルホニル(−S(=O)2CH(CH3)2)等を包含す
る。
用語「アルキルスルホニルアミノ」は、記載された範囲から選択される数の炭
素原子を有し、スルホニルアミノ基の硫黄原子に結合しているアルキル、アルケ
ニルまたはアルキニル基をいい、スルホニルアミノ基(−NH−S(=O)2−)
の硫黄原子は式(I)の化合物の残基に結合している。典型的なアルキルスルホ
ニルアミノ基は、メチルスルホニルアミノ(−NHS(=O)2CH3)、エチルス
ルホニルアミノ(−NHS(=O)2CH2CH3)、インプロピルスルホニルアミ
ノ(−NHS(=O)2CH(CH3)2)、2−ブテニルスルホニルアミノ(−NH
S(=O)2CH2CH=CHCH3)等を包含する。
用語「アルキルチオ」は、記載された範囲から選択される数の炭素原子を有す
るアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいい、アルキル、アルケニルまた
はアルキニル基はイオウ(S)原子を介して式(I)の残基の結合している。典
型的なアルキルチオ基はメチルチオ(−SCH3)、エチルチオ(−SCH2CH3
)、n−プロピルチオ(−SCH2CH2CH3)、イソプロピルチオ(−SCH
(CH3)2)等を包含する。
用語「アルキニレン」は、炭素原子の直鎖または分枝鎖および炭素−炭素三重
結合(C≡C)を有する2価の炭化水素基をいい、炭素原子数が記載された範囲
から選択される。典型的なアルキニレン基は、1,2−アセチレンジイル(−C
≡C−)、1−プロピン−1,3−ジイル(−C≡C−CH2−)、2−ブチン−
1,4−ジイル(−CH2−C≡C−CH2−)等を包含する。
用語「アミド」は−C(=O)NH2基をいう。
用語「アミノ」は−NH2基をいう。
用語「アミノスルホニル」は−S(=O)2NH2基をいう。
用語「カルボキシ」は−C(=O)OH基、その塩、水和物および溶媒和物の形
態をいう。
用語「シアノ」は「ニトリル」としても知られており、−C≡N基をいう。
用語「共投与」または「共投与され」または「共投与する」等は、本明細書記
載の5−α−レダクターゼ阻害化合物およびさらなる活性成分について、同時に
投与すること、または何らかの逐次投与法のいずれかをいう。かかるさらなる活
性成分は、尋常性アクネ、脂漏症、女性の多毛症、男性型脱毛症、良性前立腺肥
大症、前立腺癌の疾病状態を治療することが知られている化合物、または5−α
−レダクターゼ阻害剤とともに用いられた場合に有用性を有することが知られて
いる他のすべての化合物を包含する。好ましくは、投与が同時でない場合、共投
与される化合物をそれぞれ僅かの時間差をおいて投与する。さらにそのうえ、化
合物が同じ投与形態で投与されるかどうかは問題でなく、例えば、1の化合物を
局所的に投与し、もう1つの化合物を経口的に投与してもよい。
用語「ジアルキルアミド」は、アミド基(−C(=O)N)の窒素原子に結合し
た2個の基を有する1価の基をいい、アミド基の炭素原子は式(I)の化合物の
残基に結合しており、その窒素原子に結合した2個の基はアルキル、アルケニル
またはアルキニル基から選択され、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は
それぞれ、記載された範囲の数の炭素原子を有し、他のアルキル、アルケニルま
たはアルキニルとは独立して選択される。典型的なジアルキルアミド基は、ジメ
チルアミド(−C(=O)N(CH3)2)、メチルエチルアミド(−C(=O)N(C
H3)(CH2CH3))、イソブテニルイソプロピルアミド(−C(=O)N(CH2C
(CH3)=CH2)(CH(CH3)2)等を包含する。
用語「ジアルキルアミノ」は、単一の窒素原子(N)に結合した2個の基を有
する基をいい、さらに窒素原子は式(I)の化合物の残基に結合しており、窒素
原子に結合した2個の基はアルキル、アルケニルまたはアルキニル基から選択さ
れ、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基はそれぞれ、記載された範囲の数
の炭素原子を有し、他のアルキル、アルケニルまたはアルキニルとは独立して選
択される。典型的なジアルキルアミノ基は、ジメチルアミノ(−N(CH3)2)、
エチルメチルアミノ(−N(CH3)(CH2CH3))、イソブテニルイソプロピル
アミノ(−N(CH2C(CH3)CH2)(CH(CH3)2))等を包含する。
用語「ジアゾ−フェナンスレノン」は、基本構造:
[式中、本発明ジアゾ−フェナンスレノン核の炭素は上に示すように番号づけさ
れる]
を有する化合物をいう。
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード
をいう。
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は−OH基をいう。
用語「メルカプト」は「チオ」としても知られており、−SH基をいう。
用語「アルファ−受容体アンタゴニスト」または「α一受容体アンタゴニスト
」は、ラファティー(Lafferty)ら、米国特許第4,963,547号に記載され
たような既知のクラスのアルファ−アンドロゲン作用性受容体アンタゴニスト化
合物であって、糖尿病のごとき血管系障害、心臓血管系疾患、良性前立腺肥大症
および高眼圧の治療に有用である化合物をいう。本発明組成物および方法におけ
る使用に関して好ましいアルファ−アンドロゲン作用性受容体アンタゴニストは
、アムスロシン、テラゾシン、ドキサゾシン、アルフゾシン、インドラミン、プ
ラゾシン、7−クロロ−2−エチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチル
チエノ[4,3,2−ef][3]−ベンゾアゼピンおよび8−{3−[4−(2
−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−プロピルカルバモイル}−3−メ
チル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピランを包含する。
用語「アムスロシン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
アムスロシンは(−)−(R)−5−(2−((2−(O−エトキシフェノキシ
)エチル)アミノ)プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドと命名さ
れる。アムスロシンは米国特許第4,703,063に開示されており、米国特許
第4,987,125号において、下部尿路機能不全の治療において有用であると
して特許請求されている。
用語「テラゾシン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
テラゾシンは1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−4
−((テトラヒドロ−2−フロイル)カルボニル)ピペラジンと命名される。テ
ラゾシンは米国特許第4,251,532号に開示されている。
用語「ドキサゾシン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
ドキサゾシンは1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−
4−((2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)カルボニル)
ピペラジンと命名される。ドキサゾシンは米国特許第4,188,390に開示さ
れている。
用語「アルフゾシン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
アルフゾシンはN−(3−((4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリ
ニル)メチルアミノ)プロピル)テトラヒドロ−2−フランカルボキシアミドと
命名される。アルフゾシンは米国特許第4,315,007号に開示されている。
用語「インドラミン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
インドラミンはN−((1−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−
4−ピペリジニル)ベンズアミンと命名される。インドラミンは米国特許第3,
527,761に開示されている。
用語「プラゾシン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。化学的には、
プラゾシンは1−(4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−キナゾリニル)−4
−(2−フラニルカルボニル)ピペラジンと命名される。プラゾシンは米国特許
第3,511,836号に開示されている。
用語「7−クロロ−2−エチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチルチ
エノ[4,3,2−ef][3]−ベンゾアゼピン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。7−クロロ−
2−エチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチルチエノ[4,3,2−ef
][3]−ベンゾアゼピンは米国特許第5,006,521号に開示されている。
アルファ−アンドロゲン作用性受容体アンタゴニストとして米国特許第5,00
6,521号に開示されているすべての化合物は、本発明に使用する好ましいア
ルファ−アンドロゲン作用性受容体アンタゴニストである。
用語「8−{3−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−プ
ロピルカルバモイル}−3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベ
ンゾピラン」は、構造:
で示される化合物およびその塩、水和物ならびに溶媒和物をいう。8−{3−[
4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]−プロピルカルバモイル}
−3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピランは、レオナ
ルディ(Leonardi)ら(レコルダータ(Recordata)S.A.)のEPO公開第0
558245A1に開示されている。さらに、アルファ−アンドロゲン作用性受
容体アンタゴニストとしてEPO公開第0558245A1に開示されてい
るすべての化合物は、本発明に使用する好ましいアルファ−アンドロゲン作用性
受容体アンタゴニストである。
当業者は、米国特許第4,963,547号に記載のアッセイを用いることによ
り、本明細書において特に言及した化合物以外の化合物がアルファ−アンドロゲ
ン作用性受容体アンタゴニストであるかどうかを容易に調べることができる。す
べてのかかる化合物は、本明細書の用語「アルファ−アンドロゲン作用性受容体
アンタゴニスト」の範囲に包含される。
用語「アロマターゼ阻害剤」は、ゴームリー(Gormley)ら、国際出願公開W
O92/18132に記載されているようなステロイドおよび非ステロイドであ
る化合物の既知のクラスをいい、それらはアンドロゲンのエストロゲンへの変換
を防止する。アロマターゼ阻害剤は、5−α−レダクターゼ阻害剤と併用した場
合、良性前立腺肥大症の治療において有用性を有するとして、ゴームリーらの文
献に開示されている。アロマターゼ阻害活性を有するとゴームリーらの文献に開
示されたすべての化合物は、本発明に使用される好ましいアロマターゼ阻害剤で
ある。本発明組成物および方法において用いられるもう1つの好ましいアロマタ
ーゼ阻害剤は4−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ−[1,5−α]ピリジ
ン−5−イル)ベンゾニトリルであり、それはファドラゾールとしても知られて
イる。ファドラゾールは米国特許第4,728,645号に開示されている。
用語「ミノキシジル」は、構造:
で示される化合物をいう。化学的には、ミノキシジルは2,4−ピリミジンアジ
アミン−6−(1−ピペリジニル)−3−オキシドと命名される。ミノキシジル
は、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)のアップジョン・カンパニー(Upjohn
Company)から増毛剌激用局所溶液として販売されているロゲイン(Rogaine)(
登録商標)中の活性成分である。
式(I)の新規ジアゾ−フェナンスレノン化合物は5−α−レダクターゼを阻
害することができ、かくして、哺乳動物におけるDHTレベル調節のための魅力
的な手段を提供するということが見いだされた。式(I)の化合物は、構造:
[式中、R1は水素またはC1〜C6アルキル;
R2は独立して水素;ハロゲン;NO2;シアノ;トリフルオロメチル;C1〜
C6アルキル;C1〜C6アルコキシ;カルボキシ;C1〜C6アルコキシカルボニ
ル;アミノ;C1〜C4アルキルアミノ;C1〜C4ジアルキルアミノ;アミド;C1
〜C4アルキルアミド;C1〜C4ジアルキルアミド;メルカプト;C1〜C6アル
キルチオ;C1〜C6アルキルスルフィニル;C1〜C6アルキルスルホニル;−C
(=O)R3(ここに、R3は、所望により1個またはそれ以上のトリフルオロメチ
ル、ハロゲン、−OH、−C(=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、−(CH2)p
OH、(pは1〜4)、−(CH2)mCOOH(mは1〜3)、もしくは保護され
た−OH基で置換されていてもよいC1〜C6直鎖状もしくは分枝アルキル);所
望により1個またはそれ以上のトリフルオロメチル、ハロゲン、−OH、−C(
=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、−(CH2)pOH(pは1〜4)、−(CH2
)mC(=O)OH(mは1〜3)、もしくは保護された−OH基で置換されてい
てもよいアリール;または−R3R4(ここに、R3はC1〜C6アルキレン、C2〜
C6アルケニレンもしくはC2〜C6アルキニレンであり、R4はハロゲン、ヒドロ
キシ、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、カルボキシ、
C1〜C6アルコキシカルボニル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジ
アルキルアミノ、アミド、C1〜C4アルキルアミド、C1〜C4ジアルキルアミド
、C1〜C4アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニルもしくはC1〜C4アル
キルアミノスルホニル);
nは1または2]
を有する化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である
。
式中、R1が水素またはメチル;
R2が独立して水素、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコ
キシ、−C(=O)R3(ここに、R3は、所望により1個またはそれ以上のトリフ
ルオロメチル、ハロゲン、−OH、−C(=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、
−(CH2)pOH、(pは1〜4)、−(CH2)mCOOH(mは1〜3)、もしく
は保護された−OH基で置換されていてもよいC1〜C6直鎖状もしくは分枝アル
キル);所望により1個またはそれ以上のトリフルオロメチル、ハロゲン、−O
H、−C(=O)OH、−O(C1〜C4アルキル)、−(CH2)pOH(pは1〜4)
、−(CH2)mC(=O)OH(mは1〜3)、もしくは保護された−OH基で置換
されていてもよいアリール;
nが1または2
である化合物が本発明の式(I)の化合物の中でも好ましい。
式中R1がメチル;R2がメトキシ;nが1である化合物が本発明の式(I)の
化合物の中でも、より好ましい。
合成方法
本発明の式(I)の新規化合物を、下記スキームIに記載した出発材料から、ス
キームIおよび実施例に概説する方法により調製することができる。本発明の類
似化合物を、同じかまたは別の出発材料から同様の方法によって調製することが
できる。
スキームIは、R1がメチルで、R2がメトキシで、nが1である式(I)のジ
アゾ−フェナンスレノン化合物の合成を示す。α,β−不飽和ケトンからなる化
合物は、本発明ジアゾ−フェナンスレノン化合物の調製に便利な出発材料であり
、代表的なα,β−不飽和ケトン化合物を、コーンフォース,ジェイ・ダブリュ(
Cornforth,J.W.);ロビンソン,アール(Robinson,R.)、ジャーナル・オブ・ケ
ミカル・ソサエティー(J.Chem.Soc.)1949年、1855頁の方法によって
調製することができる。スキームIの反応「b」により示されるように、α,β
−不飽和ケトン化合物を、α−炭素における官能化を容易に受けやすい化合物に
変換することができ、該反応スキームはα,β−不飽和ケトンのシリルエノール
エーテルへの変換を示す。
スキームIに示すトリメチルシリルエノールエーテル化合物を包含するシリル
エノールエーテルを有する化合物をアシル化剤と反応させて、式(I)のジアゾ
−フェナンスレノン化合物に対する便利な前駆体として役立つ1,3−ジケトン
を得ることができる。スキームIの反応「c」に示すように、塩化ベンゾイルは
適当なアシル化剤であり、それはトリメチルシリルエノールエーテルと反応して
1,3−ジケトン化合物を生成するであろう。
反応「c」によって調製される1,3−ジケトン化合物を、スキームIに反応
「d」として示すトシラジンのごときアジド化合物との反応により、式(I)の
ジアゾケトン化合物に変換することができる。
スキームIに示す合成の順序は、適当な出発材料が選択されれば、すべての式
(I)の化合物の調製に適用できる。
有用性
本発明の医薬上活性のある化合物はステロイド5−α−レダクターゼ活性を阻
害し、それらは、DHT活性の低下により所望の治療効果が得られる疾病および
状態において治療上の有用性を有する。かかる疾病および状態は、尋常性アクネ
、脂漏、女性の多毛症、男性型脱毛症、良性前立腺肥大症および前立腺癌のごと
き前立腺疾患を包含する。
ヒト・5−α−レダクターゼ酵素を阻害する能力を調べる場合に以下の手順を
用いた。組み換えステロイド5−α−レダクターゼアイソザイム1用ソースとしての膜粒 子の調製
発現された組み換えヒト・ステロイド5−α−レダクターゼアイソザイム1(
アンダーソン,エス(Andersson,S.)、バーマン,ディー・エム(Berman,D.M.)
、ジェンキンス,イー・ピー(Jenkins,E.P.)およびラッセル,ディー・ダブリュ
(Russell,D.W.)(1991年)ネイチャー(Nature)第354巻:159〜1
61頁)を含んでいるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、0.33
Mスクロース、1mMジチオスレイトールおよび50μM NADPHを含有す
るリン酸カリウム緩衝液,pH6.5(バッファーA)中で、ドウンス(Dounce)
ガラス対ガラスのハンドホモジナイザー(ニュージャージー州ヴァインラド(Vi
neland,N.J.)のコンテス・グラス・カンパニー(Contes Glass Co.))
を用いてホモジナイズした。遠心分離(100000xg、4℃、60分)によ
り膜粒子を単離し、20%グリセロール、1mMジチオスレイトールおよび50
μM NADPHを含有する20mMリン酸カリウム緩衝液,pH6.5(バッフ
ァーB)中に再懸濁した。懸濁粒子溶液を−80℃で保存した。組み換えステロイド5−α−レダクターゼアイソザイム2用ソースとしての膜粒 子の調製
発現された組み換えヒト・ステロイド5−α−レダクターゼアイソザイム2を
含んでいるCHO細胞を、バッファーA中で、ドウンスハンドホモジナイザーを
用いてホモジナイズした。遠心分離(100000xg、4℃、60分)により
組み換えヒト・酵素を含んでいる膜粒子を単離し、バッファーB中に再懸濁した
。懸濁粒子溶液を使用するまで−80℃で保存した。酵素活性および阻害剤有効性のアッセイ
エタノール中の一定量の[14C]テストステロン(50ないし55mCi/m
mol)、およびエタノール中の種々の量の潜在的な阻害剤を試験管に入れ、減
圧濃縮して乾燥させた。各試験管に、バッファー、10μl(組み換えイソ酵素
1またはイソ酵素2)または20μl(ヒト・前立腺組織由来のイソ酵素2)の
10mM NADPHおよびステロイド5−α−レダクターゼ標品の部分試料を
添加して最終体積0.5mlとした。CHO細胞において発現された組み換え蛋
白試料を用いてヒト・ステロイド5−α−レダクターゼイソ酵素1に関するアッ
セイを50mMリン酸バッファー,pH7.5中で行い、ヒト・前立腺粒子および
/またはCHO細胞において発現された組み換え蛋白の懸濁液を用いてイソ酵素
2のアッセイを50mMクエン酸バッファー,pH5.0中で行った。
溶液を37℃で20または30分インキュベーションした後、4mLの酢酸エ
チル、およびそれぞれ0.25μmolのテストステロン、5α−ジヒドロテス
トステロン、アンドロスタンジオールならびにアンドロスタンジオンをキャリア
として添加することにより反応を停止した。有機層を取り次の試験管に入れ、
Speed Vacにて蒸発乾固させた。残渣を40μlのクロロホルムに溶解
し、あらかじめ溝をつけておいた20x20cmのシリカゲルTLCプレート(
Si 250F−PA、ベイカー・ケミカル(Baker Chemical))の各レーンに
スポットし、アセトン:クロロホルム(1:9)で2回展開した。基質および生
成物のバンドにおける放射性化学物質含量をBIOSCANイメージングスキャ
ナー(バイオスキャン・インコーポレイテッド(Bioscan Inc.)、ワシントンD
.C.)により測定した。生成物に変換された放射性標識の回収パーセンテージを
計算し、酵素活性を決定するために使用した。多くても基質(テストステロン)
の20%までが消費されるようにすべてのインキュベーションを行った。
種々の阻害剤濃度に対して酵素活性の逆数(1/速度)をプロットすることに
より、実験的に得られたデータを直線関数にコンピューター適合させた。レヴィ
,エム(Levy,M.)(1989年)バイオケミストリー(Biochemistry)第29巻
:2815〜2824頁に従って、阻害定数値(Ki)を計算した。
本発明の範囲内の化合物を試験したところ、アイソザイム1に対して0.5K
i(nM)ないし120Ki(nM)の活性、アイソザイム2に対して≧200
0Ki(nM)の活性が示された。本発明化合物および本発明医薬組成物ならび
に本発明方法に用いられる化合物のうち特に好ましいのは(+/−)−トランス−
1−ジアゾ−8−メトキシ−4a−メチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a
−オクタヒドロフェナンスレン−2−オンである。
本発明の範囲内のすべての化合物は、ステロイド5−α−レダクターゼの阻害
を必要とするヒトを包含する哺乳動物におけるステロイド5−α−レダクターゼ
の阻害に有用である。本明細書記載の5−α−レダクターゼ阻害剤、およびさら
なる活性成分を一緒に用いる場合、該5−α−レダクターゼ阻害剤を該さらなる
活性成分と共投与することができる。
好ましくは、本発明の医薬上活性のある化合物を、カプセル、錠剤、または注
射可能標品のごとき便利な剤型中に含有させる。固体または液体医薬担体を用い
てもよい。固体担体は、澱粉、ラクトース、硫酸カルシウム2水和物、白陶土、
スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸
マグネシウムおよびステアリン酸を包含する。液体担体は、シロップ、ピーナッ
ツ油、オリーブ油、セイラインおよび水を包含する。同様に、担体または希釈剤
は、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのごとき何ら
かの遅延放出材料のみ、またはロウを伴った遅延放出材料を包含する。固体担体
量を広範囲に変更できるが、好ましくは、1剤型あたり約25mgないし1gで
あろう。液体担体を用いる場合には、好ましくは、調製品はシロップ、エリキシ
ル、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、アンプル中に入ったような滅菌済み注
射可能液体、または水性もしくは非水性液体懸濁物の形態であろう。
医薬調製品を錠剤形態が必要ならば混合、顆粒化、および打錠を、あるいは所
望の経口もしくは非経口製品を得るためには混合、充填および適宜成分の溶解を
包含する薬化学者の慣用的方法に従って医薬調製品を製造する。
上記医薬投与単位中の本発明の医薬上活性のある化合物の用量は、好ましくは
、活性化合物0.01〜1000mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/k
gから選択される有効かつ無毒の量である。ステロイド5−α−レダクターゼの
阻害を必要とするヒト・患者を治療する場合、選択された用量を、好ましくは1
日1〜6回、経口的または非経口的に投与する。非経口投与の好ましい形態は、
局所的、直腸から、経皮的、注射によるもの、および輸液による連続的なものを
包含する。ヒトへの投与についての経口投与単位は、好ましくは、活性化合物1
ないし500mgを含有する。低用量を用いる経口投与が好ましい。しかしなが
ら、患者にとり安全で便利である場合には高用量での非経口投与を用いることも
できる。ヒトを包含する哺乳動物におけるステロイド5−α−レダクターゼ活性
を阻害する本発明方法は、かかる阻害を必要とする対象に、有効なステロイド5
−α−レダクターゼ阻害量の本発明の医薬上活性のある化合物を投与することか
らなる。
また、本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼの阻害に用いる医薬の製造
における式(I)の化合物の使用を提供する。
また、本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる、良
性前立腺肥大症の治療に用いる医薬組成物を提供する。
また、本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる、前
立腺癌の治療に用いる医薬組成物を提供する。
また、本発明は、医薬上許容される担体または希釈剤および式(I)の化合物
を含有する医薬組成物の製造方法であって、式(I)の化合物を医薬上許容され
る担体または希釈剤と混合することからなる方法を提供する。
本発明化合物を本発明に従って投与する場合、許容されない毒物学的効果は考
えられない。
さらに、本発明の医薬上活性のある化合物を、尋常性アクネ、脂漏、女性の多
毛症、男性型脱毛症、良性前立腺肥大症または前立腺癌の疾病状態を治療するこ
とが知られている他の化合物、または5−α−レダクターゼ阻害剤と組み合わせ
て使用する場合に有用性を有することが知られている化合物を共投与することが
できる。本明細書開示の5−α−レダクターゼ阻害剤と、男性型脱毛症の治療に
用いるミノキシジルとの共投与が特に好ましい。本明細書開示の5−α−レダク
ターゼ阻害剤と、良性前立腺肥大症の治療に用いるα−受容体アンタゴニストと
の共投与が特に好ましい。本明細書開示の5−α−レダクターゼ阻害剤と、良性
前立腺肥大症の治療に用いるアロマターゼ阻害剤との共投与が好ましい。本明細
書開示の5−α−レダクターゼ阻害剤と、良性前立腺肥大症の治療に用いるアル
ファ−受容体アンタゴニストならびにアロマターゼ阻害剤との共投与が好ましい
。
また、本発明は、治療において使用され、ステロイド5−α−レダクターゼ阻
害剤として用いられる医薬の製造において使用する式(I)の化合物を提供する
。さらに本発明は、前立腺のサイズを小さくする治療または前立腺癌の治療に用
いる医薬の製造の製造において使用する式(I)の化合物を提供する。
また、本発明は、式(I)により示される化合物、またはその医薬上許容され
る塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは
賦形剤からなる組成物であって、治療において使用するための、あるいはステロ
イド5−α−レダクターゼ阻害剤として使用する医薬の製造において使用するた
めの組成物を提供する。さらに本発明は、式(I)により示される化合物、また
はその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬上許容される
担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物であって、前立腺のサイズを小さく
する治療に使用するための、あるいは前立腺癌の治療に使用するための組成物を
提供する。
また、本発明は、
(a)医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤、および
(b)有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶
媒和物もしくはエステル
の製造方法であって、成分(a)を成分(b)と一緒にすることからなる方法を
提供する。
さらに本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼの阻害に用いる医薬の製造
における式(I)の化合物の使用を提供する。また、本発明は、哺乳動物におけ
るステロイド5−α−レダクターゼの阻害方法であって、かかる阻害を必要とす
る哺乳動物に有効量の式(I)の化合物を投与することからなる方法を提供する
。
さらに本発明は、式(I)の化合物および活性治療物質としてのアルファ−受
容体アンタゴニスト化合物の使用であって、式(I)の化合物およびアルファ−
受容体アンタゴニスト化合物を共投与することからなる使用を提供する。また、
本発明は、良性前立腺肥大症の治療に用いる医薬の製造における式(I)の化合
物およびアルファ−受容体アンタゴニスト化合物の使用であって、式(I)の化
合物およびアルファ−受容体アンタゴニスト化合物を共投与することからなる使
用を提供する。
また、本発明は、式(I)の化合物および活性治療物質としてのミノキシジル
の使用であって、式(I)の化合物およびミノキシジルの共投与からなる使用を
提供する。さらに本発明は、男性型脱毛症の治療に使用する医薬の製造における
式(I)の化合物およびミノキシジルの使用であって、式(I)の化合物および
ミノキシジルを共投与することからなる使用を提供する。
また、本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼの阻害に使用する医薬の製
造における、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは
溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物
の使用を提供する。さらに本発明は、哺乳動物におけるステロイド5−α−レダ
クターゼの阻害方法であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩
、水和物もしくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形
剤からなる有効量の組成物をかかる阻害を必要とする哺乳動物に投与することか
らなる方法を提供する。
また、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物も
しくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる
組成物、ならびに活性治療物質としてのアルファ−受容体アンタゴニスト化合物
の使用であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もし
くは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組
成物、ならびにアルファ−受容体アンタゴニスト化合物を共投与することからな
る使用を提供する。
また、本発明は、良性前立腺肥大症の治療に用いる医薬の製造における、式(
I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および
医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物、ならびにアルフ
ァ−受容体アンタゴニスト化合物の使用であって、式(I)の化合物またはその
医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、
希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物、ならびにアルファ−受容体アンタゴニス
ト化合物を共投与することからなる使用を提供する。
また、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物も
しくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる
組成物、ならびに活性治療物質としてのミノキシジルの使用であって、式(I)
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬
上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物、ならびにミノキシジ
ルを共投与することからなる方法を提供する。
また、本発明は、男性型脱毛症の治療に用いる医薬の製造における、式(I)
の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および医薬
上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる組成物、ならびにミノキシジ
ルの使用であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物も
しくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤からなる
組成物、ならびにミノキシジルを共投与することからなる使用を提供する。
さらなる努力をせずに、当業者は、上の記載を用いて本発明を最大限に利用で
きると確信する。それゆえ、以下の実施例は単に説明するだけのものであって、
本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1 スキームIに対応:(+/−)−トランス−1−ジアゾ−8−メトキシ−4a−メ チル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナンスレン−2 −オンの調製
A.(+/−)−トランス−8−メトキシ−4a−メチル−1−トリメチルシリル
−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−オ
ン
テトラヒドロフラン(25mL)中の(+/−)−8−メトキシ−4a−メチル
−2,3,4,4a,9,10−ヘキサヒドロフェナンスレン−2−オン(1.0g、
4.1mmol、コーンフォース,ジェイ・ダブリュ(Cornforth,J.W.);ロビン
ソン,アール(Robinson,R.)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー(J.
Chem.Soc.)1949年、1855頁の方法によって調製)およびアニリン(2
7μl、2.9mmol)からなる溶液を、−78℃の2回蒸留アンモニア中の
リチウム(65mg、9.4mmol)の溶液に滴下した。得られた混合物を−
78℃で2時間撹拌し、次いで、青色が消失するまで乾イソプレンで処理した。
アルゴンの流れの下で混合物を室温までゆっくりと暖めることにより気化物質を
除去し、次いで、減圧蒸発により気化性物質を除去した。残渣をテトラヒドロフ
ラン(25mL)に溶解し、アイスバスで冷却した。トリメチルシリルクロリド
(0.785mL、1.5当量)およびトリエチルアミン(0.862mL、1.5
当量)を、ゆっくりと撹拌しながら添加した。氷温で18時間撹拌後、溶媒を減
圧蒸発させ、残渣をジエチルエーテルおよび冷飽和重炭酸ナトリウム水溶
液の間に分配させた。分離したエーテル相を冷飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し
、MgSO4で乾燥し、濾過し、次いで、減圧濃縮して放置すると結晶化する黄
色油状物質を得た。該油状物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、33
%ジクロロメタン/ヘキサン)により精製して標記化合物(815mg,63%
)を得た。融点95〜96℃。元素分析(C19H28O2Si)計算値:C,72.
10;H,8.92、実測値:C,71.87;H,8.65。
B.(+/−)−トランス−1−ベンゾイル−8−メトキシ−4a−メチル−1,
2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−オン
ジエチルエーテル(10mL)中の(+/−)−トランス−8−メトキシ−4a
−メチル−1−トリメチルシリル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタ
ヒドロ−フェナンスレン−2−オン(500mg、1.58mmol)を、室温
のジエチルエーテル(15mL)中のメチルリチウム(ジエチルエーテル中1.
4M溶液を1.2mL、1.69mmol)の溶液に撹拌しながら滴下した。アル
ゴン下で溶液を45分撹拌し、次いで、−78℃まで冷却し、−78℃のジエチ
ルエーテル(10mL)中の塩化ベンゾイル(238mg、1.69mmol)
の溶液に添加した。−78℃で30分おいた後、さらに室温で30分おき、溶液
をジエチルエーテル(25mL)および水(30mL)で希釈した。エーテル相
を分離し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して油状物質を得た。調製用クロマト
グラフィー(シリカ、15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製、次いで、再結
晶(クロロホルム/ヘキサン)により標記化合物(305mg、56%)を得た
。融点143〜144℃。元素分析(C23H24O3)計算値:C,79.28;H,
6.94、実測値:C,79.17;H,6.90。
C.(+/−)−トランス−1−ジアゾ−8−メトキシ−4a−メチル−1,2,3
,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェンンスレン−2−オン
テトラヒドロフラン(2mL)中の(+/−)−トランス−1−ベンゾイル−8
−メトキシ−4a−メチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ
−フェナンスレン−2−オン(270mg、0.76mmol)を、テトラヒド
ロフラン(3mL)中の水素化ナトリウム(油中60%分散物、65mg、1.
63mmol)の撹拌されている懸濁液に滴下した。混合物をウォーターバスで
冷却し、アルゴン下でトシルアジド(250mg、1.27mmol)を滴下し
た。室温で45分撹拌してから、混合物を濾過し、減圧濃縮した。ジクロロメタ
ン(30mL)を添加し、混合物を水(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥
し、濾過し、次いで、減圧濃縮して放置すると結晶化する褐色油状物質を得た。
調製用クロマトグラフィー(シリカ、30%酢酸エチル/ヘキサン)による精製
により標記化合物(95mg、46%)を得た。融点131〜133℃。MS(
DEI)(C16H18N2O2)計算値:270.1378、実測値:270.136
8。
実施例2
下表Iに示す割合の成分をふるいにかけ、混合し、次いで、硬ゼラチンカプセ
ルに充填することにより式(I)の化合物を投与するための経口剤型を製造する
。
実施例3
下表IIに示すスクロース、硫酸カルシウム二水和物および式(I)の化合物を、
示された割合で10%ゼラチン溶液と混合し、顆粒化する。湿顆粒をふるいにか
け、乾燥し、澱粉、タルクおよびステアリン酸と混合し、ふるいにかけ、次いで
、打錠して錠剤とする。
本発明の好ましい具体例が上で説明されているが、本発明は本明細書に開示さ
れた手段にのみ限定されるのではなく、下記請求の範囲に属するすべての変更に
対する権利が保有されることが理解されるはずである。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 315/04 7419−4H C07C 315/04
317/32 7419−4H 317/32
319/20 7419−4H 319/20
323/48 7419−4H 323/48
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,
MN,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SG,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ
,VN
(72)発明者 アベル,アンドリュー・デイビッド
ニュージーランド、クライストチャーチ
4、トータラ・ストリート50番