【発明の詳細な説明】
3−メチル−2−ペンテンの製造方法
本願は、1993年10月29日に出願された出願番号08/146,374の一部継続出願であ
る。
本発明は、一般に、エチレンを三量体化して2−エチル−1−ブテンを含むC6
生成物を形成し、その後C6生成物中の2−エチル−1−ブテンをエーテル化し
、エーテルを分離し、エーテルを3−メチル−2−ペンテンに分解することによ
って、3−メチル−2−ペンテンを製造する方法に関する。この方法は、2−エ
チル−1−ブテンを除いて、その他の全てのC6オレフィンを実質的に含まない
3−メチル−2−ペンテンを製造することができる。これは高価なネオアシッド
(neoacid)である2−エチル−2−メチルブタン酸の製造用に有用である。発明の背景
研究者らは過去10年間2−エチル−2−メチルブタン酸(EMBA)の改善さ
れた合成方法を開発することを試みてきた。問題は、オレフィン先駆体、即ち、
3−メチル−2−ペンテン(3M2P)及び/又は2−エチル−1−ブテン(2
EIB)の経済的な許容可能な製造方法の開発であった。
これらのオレフィン先駆体はEMBAの製造に対して有用である。しかしなが
ら、このネオアシッドの製造中にその他のC6オレフィンが数%でも存在すると
、ネオアシッドとネオアシッドエステルの許容できない混合物がもたらされ、ネ
オアシッドエステルは蒸留によって分離するのが極めて困難である。
多くの精油所流れが3−メチル−2−ペンテンを含むが、これらの流れは多く
のヘキセンの異性体を含み、EMBAの製造に十分なほど純粋ではない。3−メ
チル−2−ペンテンは、担持されたナトリウム又はカリウム金属触媒上でのエチ
レンとn−ブテンとの共二量体化からも製造できるが(ソ連特許第1,145,013号
及び英国特許第1,142,704号を参照のこと)、これらの生成物はヘキセンのその
他の異性体もかなり含むのでEMBAの製造には適していない。
ヘキセン混合物は、1−ブテンの製造に使用されるアルファブトール(Alphabu
tol)TMプロセス(Institut Francais du Petroleの商標)の副生成物と
して製造される。
アルファブトールTMプロセスから排出されるヘキセン混合物の典型的分析結果
を以下に示す。
このプロセスは、1984年11月発行の“Hydrocarbon Processing”118〜120頁に
記載されている。重要なことは、アルファブトールTMプロセスのC6副生成物中
に含まれる唯一のイソヘキセンが2−エチル−1−ブテンであるということであ
る。2−メチルペンテン或いは2,3−ジメチルブテンは存在せず、メチルシク
ロペンテンは本質的に存在しない。アルファブトールTMプロセスのC6副生成物
はかなりの量のEMBA先駆体オレフィンを含むが、その他のC6オレフィンが
存在するのでEMBA生成物は十分な純度のものではない。ヘキセン混合物の従
来的分別蒸留は所望のヘキセンに富んだ流れを生成するが、これらの富化された
流れも満足のいくEMBA生成物を生成しない。
C4又はC5オレフィンの混合物流れからイソブチレン及びイソアミレンを回収
する方法は公知である。これらの方法は、イソブチレン又はイソアミレンからエ
ーテルを選択的に形成すること、エーテルを分離すること、及びエーテルをC4
又はC5イソオレフィンとアルコールに分解して戻すことを含む。(米国特許第4
,691,073号(Michaelson)を参照のこと、これは1987年9月1日に公告された。)
イソブチレンの異性体は1種しか存在せず、イソアミレンの骨格(skeletal)異
性体は1種しか存在しない。イソヘキセンの骨格異性体は4種存在する。即ち、
2−メチルペンテン、2,3−ジメチルブテン、1−メチルシクロペンテン、及
び3−メチル−2−ペンテン(又は2−エチル−1−ブテン)である。これらの
全てがアルコールと反応してそれぞれのエーテルを形成する。
本発明者らは、アルファブトールTMプロセス又は類似の方法とエーテル化/分
解プロセスを組み合わせたユニークな統合されたプロセスを開発した。このプロ
セスは2−エチル−1−ブテンを除いて、その他の全てのC6オレフィンを実質
的に含まない3−メチル−2−ペンテン生成物を製造するためのC6イソオレフ
ィンを回収する。
本発明はその他の多くの利点も提供するが、それらは以下の説明で明らかにな
るだろう。発明の要約
2−エチル−1−ブテンを除いて、その他の全てのC6オレフィンを実質的に
含まない3−メチル−2−ペンテンを製造する方法。この方法は、(a)チタニウ
ム又はジルコニウム系触媒の存在下にエチレン供給物流れを三量体化するか及び
/又はエチレンと1−ブテンの供給物流れを共二量体化して少なくとも2−エチ
ル−1−ブテンを含む炭化水素生成物を形成する工程、(b)炭化水素生成物を
触媒から分離する工程、(c)炭化水素生成物をエーテル化してエーテル含有流
れを形成する工程、(d)エーテル生成物をエーテル含有流れから分離する工程
、(e)エーテル生成物を分解して3−メチル−2−ペンテン流れを形成する工
程、及び(f)アルコール及び未反応エーテル生成物を3−メチル−2−ペンテン
流れから分離して3−メチル−2−ペンテン生成物を形成する工程、を含む。
所望により、2−エチル−1−ブテンを含むC6生成物流れを工程(b)の炭化水
素生成物から分離し、炭化水素生成物の代わりに工程(c)において前記C6生成物
をエーテル化する追加の工程も本発明に従って使用できる。
三量体化及び/又は共二量体化工程(a)は約0℃乃至約100℃の範囲内の温度で
行うのが好ましく、約50℃乃至約60℃の範囲内の温度で行うのがより好ましい。
三量体化及び/又は共二量体化工程(a)は、エチレン又はエチレンと1−ブテン
を液相に維持するのに十分な圧力、即ち、約0.2乃至約30 atm(2.026×104乃至3
.0398×106N/m2)の圧力で行うのも好ましい。
触媒分離工程(b)は吸着塔中において又は本質的に不揮発性の触媒成分から炭
化水素生成物を単純に蒸留させることによって行われる。
選択的な炭化水素分離工程は分別装置中において行われる。好ましい分別装置
は、未反応のエチレンを1−ブテン及びより重質のオレフィンから分離すること
ができる第1の蒸留塔と1−ブテンをC6及びより重質のオレフィン生成物から
分離することができる第2の蒸留塔とを含む。より好ましい分別装置は、未反応
のエチレンを1−ブテン及びより重質のオレフィンから分離することができる第
1の蒸留塔、1−ブテンをC6及びより重質のオレフィンから分離することがで
きる第2の蒸留塔、及びC6生成物をC8及びより重質のオレフィンから分離する
ことができる第3の蒸留塔を含む。
エーテル化工程(c)は、(i)炭化水素生成物と少なくとも1種のアルコール(
例えば、メタノール)を反応器に供給してエーテル化混合物を製造する工程、及
び(ii)エーテル化混合物をエーテル化触媒を含む反応器中において、炭化水素生
成物とアルコールからエーテル含有流れを形成するのに好ましい条件下に、触媒
反応させる工程を含む。
エーテル分離工程(d)は、エーテル含有流れを蒸留塔に供給することを含む。
蒸留塔が、オレフィンのエーテルへの転化を改善する酸樹脂触媒を含む触媒蒸留
反応領域(catalytic distillation reaction zone)を有するのが好ましい。ある
いは、未反応のオレフィンとアルコールをエーテル化反応器に再循環させて転化
率を改善することができる。
分解工程(e)は、エーテル生成物を、酸樹脂触媒、ゼオライト触媒、アルミナ
触媒、及びクレー触媒、特に、弗化水素酸処理されたアタパルジャイトクレー触
媒(EngelhardからD-5206Gとして販売されている)から成る群から選択される少
なくとも1種の触媒と接触させることを含む。
分離工程(f)は、3−メチル−2−ペンテン流れを抽出塔及び蒸留塔に供給す
ることを含み、そこでアルコールと未反応のエーテル生成物は3−メチル−2−
ペンテン流れから分離される。
また、本発明は、2−エチル−2−メチルブタン酸を製造する方法であって、
(i)(a)チタニウム又はジルコニウム系触媒の存在下にエチレン供給物流れを三量
体化するか及び/又はエチレンと1−ブテンの供給物流れを共二量体化して少な
くとも2−エチル−1−ブテンを含む炭化水素生成物を形成する工程、(b)炭
化水素生成物を触媒から分離する工程、(c)炭化水素生成物をエーテル化して
エーテル含有流れを形成する工程、(d)エーテル生成物をエーテル含有流れか
ら分離する工程、(e)エーテル生成物を分解して3−メチル−2−ペンテン流
れを形成する工程、及び(f)アルコール及び未反応エーテル生成物を3−メチル
−2−ペンテン流れから分離して3−メチル−2−ペンテン生成物を形成する工
程を含む、2−エチル−1−ブテンを除いて、その他の全てのC6オレフィンを
実質的に含まない3−メチル−2−ペンテンを製造する工程、及び(ii)3−メチ
ル−2−ペンテン生成物を、一酸化炭素、水、及び強酸触媒と、約25乃至約100
℃の温度及び約1000 psig(6.996×106N/m2)乃至約3000 psig(2.0786×107
N/m2)の範囲内の圧力において混合して2−エチル−2−メチルブタン酸を
形成させる工程を含む方法に関する。
本発明のその他の目的、利点、及び特徴は、添付の図面と組み合わせて以下の
明細書を参照することにより理解されるだろう。図面中においては同様な部分に
は同様な数字が与えられている。図面の簡単な説明
第1図は、本発明による3−メトキシ−3−メチルペンタンの合成のためのプ
ロセスの流れ図を示す。
第2図は、本発明による、3−メトキシ−3−メチルペンタンから3−メチル
−2−ペンテンの回収のためのプロセスの流れ図を示す。
第3図は、本発明による、3−メトキシ−3−メチルペンタンの合成と3−メ
チル−2−ペンテンの回収の両方を示すブロック図である。好ましい実施態様の説明
本発明は、2−エチル−1−ブテンを除いて、その他の全てのオレフィン、特
に、C6オレフィンを実質的に含まない3−メチル−2−ペンテン生成物を製造
するために、2つのプロセスのユニークな統合を含む。第1のプロセスは、2−
メチルペンテンのようなその他のC6イソオレフィンを含まない、2−エチル−
1−ブテンを含むオレフィン流れの製造を含む。第2のプロセスは、3−メトキ
シ−3−メチルペンタンへのエーテル化、エーテルの分離、及びエーテルを分解
して3−メチル−2−ペンテンに戻すことによる、オレフィン流れからの2−エ
チル−1−ブテンの回収を含む。
エチレン、又はエチレンと1−ブテンから2−エチル−1−ブテンを製造する
反応を以下の式1及び2に示す。
これらの反応を使用するプロセスの1つがInstitut Francais du Petroleによ
って開発され、アルファブトールTMプロセスとして知られている。このプロセス
は、エチレンを二量体化して1−ブテンを製造するのに使用される。製造された
C6オレフィンは副生成物としてみなされる。イソヘキセンである2−エチル−
1−ブテンは主要なC6生成物である。それらが製造される方法の特徴によって
、エチレンから製造されたC6オレフィンのこの流れ中にはその他のC6イソオレ
フィンは存在しない。
アルファブトールTMプロセスは均一触媒を使用するが、このことは反応体、生
成物、及び触媒の全てが同じ液相中に可溶性であることを意味する。この触媒は
チタニウム系触媒であるのが好ましい。あるいは、ジルコニウム触媒系のような
不均一触媒もこのプロセスにおいて使用できる。
アルファブトールTMプロセスは、Commereucらの“Dimerize Ethylene to Bute
ne-1”、Hydrocarbon Processing、1984年11月、118〜120頁に詳細に記載されて
いる。これは、
「(1)反応領域用の加熱媒体を必要としない低い運転温度(50乃至60℃)、(2
)反応体を液相に維持するためだけの低い運転圧力、(3)溶媒を必要としない
こと、及び(4)高性能の材料を必要としないこと(炭素鋼のみが構築材料として
必要とされる)」によって特徴付けられる簡単なプロセスである。
「このプロセスは、ポリマーグレードのエチレン(これは蒸気相において利用
可能であると仮定される)をディストリビュータを通して液相反応器に供給する
ことを含む。二量体化反応は、連続的に計量されて反応溶液に送られる特定の触
媒によって液相中で起こる。反応熱は、空気又は水クーラーを備えた従来的ポン
プアラウンド系によって反応器の外に除去される。反応器からの生成物は底部か
ら使用済み触媒を含む液体として引き出される。」
「使用済み触媒はその後流出液から除去され、廃棄物処理、例えば、焼却処理
に送られ、炭化水素は分別部分に送られる。この部分においては、第1の塔が反
応器に再循環するための未反応のエチレンを分離し、そして第2の塔が純粋なブ
テン−1の塔頂留分と残液としてのオリゴマー(主に、C6オレフィン)を生成
する。」
エチレンの二量体化によって1−ブテンを合成するもう1つの方法であって、
2−エチル−1−ブテンへの三量体化も生じる方法が、米国特許第4,101,600号
(Zhukovら)に記載されている。この特許は1978年7月18日に公告されたもので
あり、引用によって本明細書中に組み入れられている。アルファブトールTMプロ
セスに関連する特許であって、Institut Francais du Petroleに譲渡された2つ
の特許は、1985年7月30日に公告された米国特許第4,532,370号(Le Quanら)及
び1986年10月7日に公告された米国特許第4,615,998号(Le Quanら)である。こ
の後者の特許は、炭化水素媒体中において、トリアルキルアルミニウムを、アル
キルチタネートとエーテルの混合物と反応させることによって形成された触媒を
開示している。これらの特許のいずれも引用によって本明細書中に組み入れられ
ている。
C4又はC5オレフィンの混合物流れからイソブチレン及びイソアミレンを回収
する方法は公知である。これらの方法は、イソブチレン又はイソアミレンからエ
ーテルを選択的に形成すること、エーテルを分離すること、及びエーテルを
C4又はC5イソオレフィンとアルコールに分解して戻すことを含む。(米国特許
第4,691,073号(Michaelson)を参照のこと、これは1987年9月1日に公告された
。)
本発明者らは、以下の反応にしたがって、2−エチル−1−ブテンを異性化さ
れた3−メチル−2−ペンテンとして回収するためにエーテル化を利用した。
このエーテルを蒸留によって未反応の炭化水素から分離した後、このエーテル
を以下の反応に従って分解することによって3−メチル−2−ペンテンを製造す
る。
3−メチル−2−ペンテンは熱力学的に2−エチル−1−ブテンよりも安定で
あるため、エーテル分解工程においては3−メチル−2−ペンテンが主に生成す
る。
本発明は、2−エチル−1−ブテンを含む混合物及びメタノールを反応器(即
ち、固定床ガードリアクター)の供給領域に供給すること、及び反応領域におい
て得られた2−エチル−1−ブテンとメタノールの混合物を固定床酸性カチオン
て2−エチル−1−ブテンとメタノールを3−メトキシ−3−メチルペンタンを
形成するこに好ましい条件下に触媒反応させることを含む。
本発明のエーテル化工程が触媒蒸留プロセス中において実施される場合、触媒
物質は蒸留塔、例えば、固定床への組み入れを可能にするどのような形態でもよ
いが、例えば、リング、サドル、ボール、不規則な片、シート、管、螺旋、袋詰
め、網又はスクリーン上へのメッキ、及び網状のポリマーフォームのような蒸留
充填物として役立つ形態でもよい。
本発明のエーテル化工程において使用するのに適することが判明した触媒は、
カチオン交換樹脂触媒、酸性樹脂触媒、マクロ網状(macroreticular)スルホン酸
カチオン交換樹脂触媒、及び固体酸触媒のような樹脂触媒である。ゼオライトを
エーテル化触媒として使用するものもいた。しかしながら、本発明の目的に対し
て好ましい触媒は酸性樹脂触媒のような酸触媒である。本発明の目的に対してよ
り好ましい触媒は、ポリスチレン−ジビニルベンゼンのスルホン化コポリマーの
ようなマクロ網状スルホン酸カチオン交換樹脂触媒である。そのような触媒に
リューワタイト(Lewatit)SPC 118及びSPC 118 BG(Miles/Bayer によって市販
されている)、及びダウェックス(Dowex)M-31及びM-32(Dow Chemical Co.によ
って市販されている)が含まれる。この種の触媒の特殊なもの、即ち、ダウェッ
クスDR-2040 (Dow Chemical Co.によって市販されている)は反応性蒸留に特
に使用される。
エーテルの分解用の触媒は、酸カチオン交換樹脂、クレー、特に、弗化水素酸
処理されたアタパルジャイトクレー(Engelhard によってD-5206G として販売さ
れている)、ゼオライト化合物、又はアルミナのような固体酸でよい。ゼオライ
ト触媒は、出願中の米国特許出願番号07/895,958に記載されているようなカルシ
ウムYゼオライトが好ましい。
ここで第1図及び第2図を参照しながら、3−メチル−2−ペンテンを回収す
るのに使用できる概略の系を示す。
アルファブトールTMプロセス又は同等のプロセスから製造されたヘキセン混合
物の供給物流れ1をメタノールの供給物流れ2と混合する。ヘキセンとメタノー
ルの混合物を導管3及び4を経由してエーテル化反応器50に送る。エーテル化
118 BG、及びダウェックスM-31及びM-32のような酸性樹脂触媒が設けられており
、適当な温度(即ち、好ましくは72乃至78℃(130〜140°F))まで加熱され、
反応体を液相に保つのに十分な圧力に維持されている。反応器50を出たエーテル
含有流れ5は3−メトキシ−3−メチルペンタン(3MMP)、未反応炭化水素
、及びメタノール(CH3OH)から成る。エーテル含有流れ5はその後蒸留塔5
2に供給される。蒸留塔52からの塔頂流れは2−エチル−1−ブテンの少ないラ
フィネートから成る。所望により、ラフィネートの一部を導管6を通して反応器
50に再循環させて転化率を改善することができる。ラフィネートは導管7を経由
してメタノール除去と最終の清浄化手順に送られる。蒸留塔52からの残液流れ8
は、(存在する場合には)ヘキセンよりも沸点の高い炭化水素との混合物中に3
MMPを含む。この流れ8は分解反応器54に送られ、そこで流れ8は、酸性樹脂
触媒、クレー触媒、ゼオライト触媒、又はアルミナ触媒と約325°F(180℃)の
好ましい温度及び約10乃至30 psig(1.7027×105乃至5.1082×105N/m2)の範
囲内の圧力で接触させて3−メチル−2−ペンテン流れを形成させる。この3−
メチル−2−ペンテン流れはその後導管12を経由して分解反応器54から向流式抽
出装置58に送られ、そこで水が導管13を通して添加される。メタノールと水は導
管17を通して残液として除去される。3−メチル−2−ペンテン、残留の3MM
Pエーテル、及び(存在する場合には)重質オレフィンは導管14を通して塔頂か
ら取り出され、蒸留塔60に送られ、そこで3−メチル−2−ペンテンは残留の3
MMPと重質オレフィンとから分離される。
本発明に従ってヘキセン混合物とメタノールから3−メチル−2−ペンテンを
回収するためのブロック図が第3図に示されている。
上述の方法の工程に従って製造された3−メチル−2−ペンテン化合物は、2
−エチル−1−ブテンを除いて、その他の全てのC6オレフィンを実質的に含ま
ず、2−エチル−2−メチルブタン酸(EMBA)の製造において特に有用であ
る。2−エチル−2−メチルブタン酸は種々の除草剤の製造における中間体とし
て有用な公知の製品である。欧州特許出願第81304225.6号は2−エチル−2−メ
チルブタン酸から製造できる除草剤を開示している。
2−エチル−2−メチルブタン酸は、3−メチル−2−ペンテン、2−エチル
−1−ブテン、又はそれらの混合物を酸触媒の存在下に一酸化炭素と反応させ、
その後触媒作用を受けた生成物に水を添加することによって合成するのが好まし
い。この合成プロセスは非常に高収率の2−エチル−2−メチルブタン酸生成物
をもたらし、特に、3−メチル−2−ペンテンが酸触媒、好ましくは強酸触媒、
の存在下にカルボニル化され、その後水と反応させられた場合にそうである。さ
らに、唯一のC7副生成物、即ち、2,2−ジメチルペンタン酸はたいした量で
はなく(即ち、焼く3〜4重量%)、オレフィンの転化は本質的に定量的である
。
小割合の非C7副生成物酸は蒸留によって分離可能である。C7酸異性体の分離
は困難であり、一般に超精留(superfractionation)を必要とする。C7酸のヘキ
シルアルコールエステルの分離も困難であり、一般に超精留を必要とする。本発
明の重要性は、C13エステル類による汚染がほとんど或いは全く無い主にC7異
性体として2−エチル−2−メチルブタン酸を提供する点にある。
2−エチル−2−メチルブタン酸の合成方法は、密閉された反応器中において
一酸化炭素の圧力下好ましくは高温で行われるのが好ましい。存在する一酸化炭
素の濃度及び反応温度が供給物流れ中のオレフィン反応体の所望の生成物、即ち
、2−エチル−2−メチルブタン酸への転化を生じさせるのに十分である限りは
、どのような圧力と温度も使用できる。温度は、反応が非常にゆっくりと進行す
るような低温から、触媒、材料、反応体、又は生成物が分解反応又はその他の反
応によって破壊されるような高温までの範囲内でよい。適する反応温度は約25℃
以上である。2−エチル−2−メチルブタン酸の合成において触媒として有用で
あるほとんどの酸を使用する反応及びほとんどの一酸化炭素分圧に対して、反応
は一般に約72〜82℃以下の温度で行われる。この温度範囲は一般に触媒物質の分
解を防ぐ。
2−エチル−2−メチルブタン酸の合成は、所望の最終生成物が供給物のオレ
フィン反応体から得られる限りは、広範囲の圧力において行うことができる。合
成のための圧力範囲は、密閉された反応器中において一酸化炭素が所望の生成物
を形成するためのオレフィン反応に利用可能である限りは、非常に広い範囲にわ
たって変化できる。
オートクレーブ型反応器が2−エチル−2−メチルブタン酸の合成に適してい
る。全体的な気体の圧力のかなりの部分が一酸化炭素反応体によるものである限
りは、気体の混合物を使用して反応器を加圧することができる。カルボニル化反
応を妨害するか又はカルボニル化反応と競合する気体は避けなければならない。
反応気体は少なくとも約50重量%が一酸化炭素であるのが好ましく、80〜90重量
%が一酸化炭素であるのがより好ましく、実質的に完全に(100%)一酸化炭素
から成るのが最も好ましい。適する反応圧力は、500 psig(3.549×106N/m2
)の一酸化炭素分圧から反応容器の能力によって一般に決定される上限までであ
る。ステンレス鋼製又は類似の容器を使用して酸触媒による問題を防ぐのが好ま
しく、そしてプロセスの操作に利用可能な圧力は反応器の能力に依存する。2−
エチル−2−メチルブタン酸の合成に対して良好な操作範囲は、1,200 psig(8.
375×106N/m2)より高い一酸化炭素分圧である。装置が高圧に適している場
合、望ましい操作圧力は3,000 psig(2.0938×107N/m2)以上である。
ヘプタン又はヘキサンのような不活性パラフィン系溶媒を含む希釈剤を使用す
ることができ、実際に選択性を幾分改善する可能性がある。しかしながら、それ
らは本発明において必要ではない。酸触媒の希釈剤又は溶媒部分を使用でき、反
応用に再使用できる。
好ましい合成は、酸触媒の存在下の3−メチル−2−ペンテンオレフィン供給
物と一酸化炭素との反応、それに続く、高収率の所望の2−エチル−2−メチル
ブタン酸を得るための、水との接触、反応、即ち、「急冷(quenching)」を含む
。一般に強酸として分類されている酸が好ましく、無機の強酸がより好ましい触
媒である。濃縮された酸の使用も好ましい。オレフィンとの反応に適する酸には
、硫酸、燐酸、塩酸、三弗化硼素二水和物、及びこの群のその他の酸、又はC6
分枝鎖オレフィンの2−エチル−2−メチルブタン酸への転化を生じさせるその
他の種類の酸が含まれる。
反応供給物中のC6分枝鎖オレフィンが酸と接触してカルボニル化された後、
反応生成物は急冷され、或いは水と接触して2−エチル−2−メチルブタン酸を
形成する。燐酸がC6分枝鎖オレフィンと最も反応性が高いことが判明したが、
硫酸と同様に、高い腐食性の問題を有する。従って、2−エチル−2−メチル
ブタン酸の合成が必要とされる場合、良好な中庸的な酸は三弗化硼素二水和物(
BF3・2H2O)である。
水の添加工程においては、溶液中のその他の成分が2−エチル−2−メチルブ
タン酸の回収を妨害しない限りは、水溶液も使用できる。
好ましいネオアシッドの合成プロセスは、酸の存在下に1モル部の3−メチル
−2−ペンテン及び/又は2−エチル−1−ブテンを有効な温度と一酸化炭素圧
力において反応させ、その後反応混合物を、好ましくは過剰量の、水と接触させ
て所望の2−エチル−2−メチルブタン酸生成物を高収率で形成させることを含
む。反応器中の一酸化炭素圧力は十分に高い水準から開始させることができ、或
いは反応中に一酸化炭素の量がそれほど減少しないように十分に大きい過圧(ove
r-pressure)空間を設けることができる。あるいは、反応中に反応器に追加の一
酸化炭素又は一酸化炭素含有気体混合物を供給することによって、一酸化炭素圧
力を所望の水準に維持するするか又は変化させることができる。反応体の液体オ
レフィン混合物の底から一酸化炭素の泡を吹き込むのが好ましい。
使用される酸の量は酸の強度、即ち、使用される酸の種類と酸の濃度に依存す
る。一般に、反応体オレフィンの1モル部当たり、少なくとも約1.0モル部の酸
が使用される。酸触媒は回収されるので、過剰量で使用するのが好ましい。約1.
0乃至2.0モル部が使用可能であり、約1.0乃至1.5モル部が好ましく、約1.0乃至1
.1モル部がより好ましい。より多量の酸を希釈剤として使用することができる。
先駆体を商業的スケールで転化するための酸触媒のより制限された範囲は、反応
体オレフィン1モル部当たり約1乃至1.1モル部の酸である。或いは、より大き
い酸/オレフィン比率の反応を行って酸を再循環させることができる。
実施例1
以下の実施例は、(幾らかの2−エチル−1−ブテンを含む)3−メチル−2
−ペンテンの実験的回収方法を説明する。
エーテルの合成と分解に使用した固体酸触媒は、酸形態のマクロ網状イオン交
ブン中110℃で一晩乾燥した。アルファブトールTMプロセスからの副生成物とし
て得られたC6オレフィンの混合物をガスクロマトグラフィーで分析し、分析し
た2−エチル−1−ブテンの含有率よりも10モル%過剰のメタノールを添加した
。
ブテンの約半分がエーテル、即ち、3−メトキシ−3−メチルペンタンに転化す
るまで、室温で攪拌した。(この転化は平衡によって制限される。)固体酸樹脂
を濾過によって除去し、未反応のメタノールを蒸留水で4回洗浄することによっ
て除去した。エーテルと炭化水素の得られた混合物を蒸留し、エーテルの中間留
分を得た。この単離されたエーテルを分解してオレフィンとメタノールに戻した
。
ンとメタノールが形成するにつれてそれらを蒸発させることによって行った。回
収された物質を蒸留水で数回洗浄してメタノールを除去し、その後もう1回蒸留
した(蒸発乾固を防ぐためにキシレンを添加した)。所望の2種類のオレフィン
の生成物純度は99.9%であった。即ち、5.01%の2−エチル−1−ブテンと94.9
0%の3−メチル−2−ペンテン(2つの異性体)。
実施例2
アルファブトールTMプロセスからの副生成物として得られた(幾らかの重質オ
レフィンを含む)C6オレフィンの混合物を工業グレードのメタノールと混合し
、連続する3つの管状反応器に供給した。各々の反応器は名目上直径が1インチ
(2.54 cm)であり長さが20フィート(6.096 m)であり、それぞれダウェック
(83.3℃)の範囲内の温度に維持した。反応器の列への質量流速を33から39 lbm
/h(14.97から17.69 kgm/h)まで変化させた。メタノールの2−エチル−1
−ブテンに対するモル比は1.1乃至1.3で変化した。反応器の列の出口圧力は20ps
ig(2.392×105N/m2)に維持した。
合成反応器からの流出液をその後50フィート(15.24 m)の充填物を含む6イ
ンチ(15.24 cm)の直径の分別塔中で蒸留した。メタノールと未反応のヘキセン
を塔頂留分流れとして取り出し、3−メトキシ−3−メチルペンタンと重質オレ
フィンを残液流れとして取り出した。
3MMPと重質オレフィンの流れを、その後、直径1インチ(2.54 cm)長さ
20フィート(6.096 m)の管状反応器に供給した。反応器には、粒状の弗化水素
酸処理されたクレー、又はカルシウムYゼオライト押出し物が充填されていた。
HF処理されたクレーに対しては、反応器温度は300乃至375°F(167乃至208℃
)の間で変化させ、質量流速は9.7から11.7 lbm/h(4.4 から5.3 kg/h)ま
で変化させた。カルシウムYゼオライトに対しては、反応温度は300乃至350°F
(166.7乃至194.4℃)の間で変化させ、質量流速は13.8から19.3 lbm/h(6.26
から8.75 kg/h)まで変化させた。反応器出口圧力は5乃至10 psig(1.358×1
05乃至1.703×105N/m2)で維持した。
得られた生成物を4段式、十字流(cross-current)、ミキサー−沈降タンク抽
出において水で洗浄してメタノールを除去した。その後、生成物を44フィート(
13.4m)の充填物を含む3インチ(7.62 cm)の直径の分別塔中で蒸留した。3
−メチル−2−ペンテンと2−エチル−1−ブテンを塔頂留分流れとして取り出
し、未反応の3MMPと重質オレフィンを残液流れとして取り出した。
ガスクロマトグラフィーで分析すると、最終生成物は以下の第1表に示す組成
を有していた。
実施例3
実施例1の工程に従って、3−メチル−2−ペンテン濃縮物のサンプルを調製
した。ガスクロマトグラフィーで分析した、物質の組成を第2表に示す。
400 mlの量の3−メチル−2−ペンテン濃縮物を1リットルのオートクレーブ
反応器に入れた。反応器の攪拌機をスタートさせ、反応器を一酸化炭素で1300 p
sig(9.0645×106N/m2)まで加圧した。160分間にわたって、300 mlのBF3
・2H2Oを反応器に添加し、最終の反応器圧力を1500 psig(1.03×107N/m2
)にした。この時点でBF3・2H2Oの添加を止め、内容物をさらに300分間混合
した。反応中、反応器の内容物を52℃の温度に維持した。
300分後、反応器の内容物を水で洗浄して触媒を除去した。得られた生成物は
以下の第3表に示す組成を有していた。
C7酸異性体中の選択性を以下の第4表に示す。
比較例4
この比較例は、3M2P又は2E1B以外のC6オレフィンが存在した場合、
ネオアシッド生成物の品質が許容不可能であることを示す。2−エチル−1−ブ
テン濃縮物のサンプルをエチレンの三量体化の2−エチル−1−ブテン生成物の
超精留によって製造した。ガスクロマトグラフィーで分析した、物質の組成を以
下の第5表に示す。
400 mlの量の2−エチル−1−ブテン濃縮物を1リットルのオートクレーブ反
応器に入れた。反応器の攪拌機をスタートさせ、反応器を一酸化炭素で1300 psi
g(9.0645×106N/m2)まで加圧した。160分間にわたって、300 mlのBF3・2
H2Oを反応器に添加し、最終の反応器圧力を1500 psig(1.03×107N/m2)
にした。この時点でBF3・2H2Oの添加を止め、内容物をさらに300分間混合し
た。反応中、反応器の内容物を52℃の温度に維持した。
300分後、反応器の内容物を水で洗浄して触媒を除去した。得られた生成物は
以下の第6表に示す組成を有していた。
C7酸異性体中の選択性を以下の第7表に示す。
この例で製造された2−エチル−2−メチルブタン酸のサンプルは、それ以外
の炭素数の酸を除去するために蒸留したとしても、商業的な仕様を満足しないだ
ろう。
本発明に従う幾つかの実施態様を示し説明したが、同じことが当業者には明ら
かな多くの変更に対して可能なことは明瞭に理解されるだろう。従って、本発明
を説明した詳細事項に限定することは望まない。本発明は添付の請求の範囲に含
まれる全ての変更や改良を含む。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 57/03 2115−4H C07C 57/03
(72)発明者 キーナン、マイケル・ジェイ
アメリカ合衆国、ルイジアナ州 70808、
バトン・ルージュ、チャズフォード・アベ
ニュー 17133
(72)発明者 ピート、デリック・ディー
アメリカ合衆国、テキサス州 77489、ミ
ズーリ・シティー、ローズブライアー・ド
ライブ 15718