【発明の詳細な説明】
CCK受容体アンタゴニストとしてのインドール誘導体
発明の背景
中枢コレシストキニン(CCK)受容体において作用する剤は飽満を誘発するこ
とができる(Schick,Yaksh および Go,Regulatory Peptides 14: 277-291,198
6)。これらの化合物はまた鎮痛剤(Hill,Hughes および Pittaway,Neuropharma cology
26: 289-300,1987)としておよび抗けいれん剤(MacVicar,Kerrin およ
び Davison,Brain Research 406: 130-135,1987)として作用することが期待
される。
比較対照に比較して精神分裂病患者の脳において、減小したレベルのCCK-ペプ
チドが見出されている(Roberts,Ferrier,Lee,Crow,Johnstone,Owens,Bac
arese-Hamilton,McGregor,O'Shaughnessey,Polak および Bloom,Brain Rese arch
288: 199-211,1983)。側坐核に投射されるCCKニューロンの活性の変化は
、ドーパミン作動機能に影響を与えることによって、精神分裂プロセスに役割を
果たすかも知れないということが提案されている(Totterdel および Smith,Neu roscience
19: 181-192,1986)。これは、CCKペプチドが脳幹神経節、特に側坐
核におけるドーパミン作動機能をモジュレート(modulate)するという多数の報
告(Weiss,Tanzer および Ettenberg,Pharmacology,Biochemistry and Be-hav iour
30: 309-317,1988; Schneider,Allpert および Iversen,Peptides 4:
749-753,1983)と一致する。それ故に、CCK受容体活性を変性する剤は、精神分
裂病およびパーキンソン病のような中枢ドーパミン作動機能のかき乱された機能
に関連した疾患において
治療的価値を有するということが期待される。
CCKおよびガストリンペプチドは、共通のカルボキシ末端ペンタペプチド配列
を共有しそしてCCKペプチドは、胃粘膜のガストリン受容体に結合しそしてヒト
を包含する多くの動物の酸分泌を誘発することができる(Konturek,Gastrointe
stinal Hormones,Ch.23,pp 529-564,1980,ed.G.B.J.Glass,Raven Press
,NY)。CCK-B受容体のアンタゴニストは、また、胃ガストリン受容体における
アンタゴニストであることが期待されそしてこれはまた、過度の酸分泌に関連す
る疾患に対して価値あるものである。
CCKおよびガストリンペプチドは、膵臓および胃腸管の種々な組織に対して栄
養作用を有しており(Johnson,同上文献,pp 507-527)、この作用は増加され
たDNAおよびRNA合成と関連している。さらに、ガストリン分泌細胞は、Zollinge
r-Ellison症候群におけるようなある胃腸腫瘍と関連しており(Stadil,同上文 献
,pp 729-739)そして若干の結腸直腸腫瘍(colorectal tumors)も、また、
ガストリン/CCK依存性である(Singh,Walker,TownsendおよびThompson,Canc er Research
16:1612,1986;Smith,J.P.,Gast-roenterology 95:1541,198
8)。それ故に、CCK/ガストリン受容体のアンタゴニストは、抗腫瘍剤としての
治療価値を有している。
CCKペプチドは、胃腸管、内分泌腺、末梢および中枢神経系の神経を包含する
体の種々な器官中に広く分布している。33-アミノ酸ホルモンおよびこのペプチ
ドの種々なカルボキシル-末端フラグメント(例えばオクタペプチドCCK26-33お
よびテトラペプチドCCK30-33)を包含する生物学的に活性な形態が確認されてい
る(G.J.Dockray,Br.Med.Bull. 38(3):253-258,1982)。
種々なCCKペプチドが、平滑筋収縮性、外分泌および内分泌腺の分泌、知覚神
経伝達および多くの脳機能の調節にかかわっていると思われる。
天然ペプチドの投与は、胆のうの収縮、アミラーゼ分泌、中枢ニューロンの興
奮、摂食(feeding)の阻害、抗けいれん作用および他の行動作用を起こす〔Cho lecystokinin:Isolation,Structure and Functions
,G.B.J.Glass,Ed.,Rav
en Press,New York,1980,pp 169-221;J.E.Morley,Life Sciences 27:355
-368,1980;Cholecystokinin in the Nervous System,J.de Bellerocheおよ
びG.J.Dockray,Ed.,Ellis Horwood,Chichester,England,1984,pp 110-12
7〕。
多くの脳領域における高濃度のCCKペプチドは、また、これらのペプチドに対
する大きな脳機能を示す(G.J.Dockray Br.Med.Bull. 38(3):253-258,1982
)。見出されたもっとも多い形態の脳CCKは、CCK26-33であるが小量のCCK30-33
も存在する(RehfeldおよびGotterman,J.Neurochem. 32:1339-1341,1979)
。中枢神経系CCKの役割は、はっきりとは知られていないが、摂食の調節と関係
がある(Della-FeraおよびBaile,Science 206:471-473,1979)。
現在入手できる食欲抑制薬は、エネルギーの消費を増大することによる(例え
ばサイロキシン)かまたは他の方法で(例えばビグアニド)末梢的に作用するか
、または食欲または飽満に対する中枢に作用を及ぼすことによって作用する。
中枢的に作用する食欲抑制剤は、中枢カテコールアミン経路を増強するもので
、これは刺激剤(例えばアンフェタミン)でありうるものかまたはセロトニン作
動経路に影響を与える(例えばフェンフ
ルラミン)ものである。薬剤治療の他の形態は、胃をみたしそれによって飽満の
感じを誘発することによって作用する増量剤を包含する。
CCKは、若干の皮質性の介在ニューロン中に存在し、そしてまたガンマ-アミノ
酪酸(GABA)を含有していることが知られている(H.Demeulemeester等、J.Ne uroscience
8:988-1000,1988)。GABA作用を変性する剤は、抗不安剤または
催眠剤としての利用性を有す(S.C.Harvey,The Pharmacological Basis of Th erapeutics
(7th ed.)1985,pp 339-371,MacMillan)。すなわち、CCK作用を
変性する剤は、平行的な抗不安または催眠活性を有す。不安におけるCCKの役割
は、TIPS 11:271-273,1990に開示されておりそしてWoodruff G.N.およびHugh
es J.,1991,Ann.Rev.Pharmacol. and Toxicol. 31,469-501に十分に詳細に
記載されている。
1992年3月19日に公開されたWO 92/04045は、例えば抗不安剤として有用なジ
ペプトイドに関する。
発明の概要
本発明は、式
の新規な化合物およびその医薬的に許容し得る塩に関するものである。
本発明は、食欲抑制に対して有効である単位投与形態の医薬的に許容し得る担
体と組み合わされた式Iによる化合物の有効な量を含有する医薬組成物に関する
ものである。
また、この化合物は、抗不安薬、特に精神分裂行動を治療するための抗精神病
薬として、錐体外路運動系の疾患を治療する剤として、CCKおよびガストリンの
栄養および成長刺激作用を遮断する剤としておよび胃腸運動を治療する剤として
も有用である。
また、本発明の化合物は、鎮痛薬としても有用でありそしてこれらの化合物は
、モルフィンの作用を増強する。これらの化合物は、癌苦痛のような激しい苦痛
の治療におけるモルフィンおよびオピオイドに対する補助薬として使用すること
ができそしてモルフィンが禁忌である苦痛の治療において必要なモルフィンの投
与量を減少する。
さらに、本発明の化合物に対する他の使用は、適当な放射線標識アイソトープ
が結腸癌において見出されるようなガストリン依存性腫瘍の治療に適した剤を与
える。本発明のI-125放射線標識化合物は、また、末梢および中枢組織における
ガストリンおよびCCK-B受容体の局在によって診断剤として使用することもでき
る。
さらに、本発明は、上述した組成物の食欲を抑制するのに有効な量を処理を必
要とする哺乳動物に投与することからなる哺乳動物の食欲抑制の方法に関するも
のである。
本発明は、また、胃酸分泌を減少するのに有効な単位投与形態の医薬的に許容
し得る担体と組み合わされた式Iの化合物の有効な量を含有する胃酸分泌を減少
させるための医薬組成物に関するものである。
本発明は、また、上述した組成物の胃酸分泌減少に対して有効な量を処理を必
要とする哺乳動物に投与することからなる哺乳動物における胃酸分泌を減少させ
る方法に関するものである。
本発明は、また、不安を減少させるのに有効な単位投与形態の医薬的に許容し
得る担体と組み合わされた式Iの化合物の有効な量を含有する医薬組成物に関す
るものである。
本発明は、また、上述した組成物の不安減少に対して有効な量を処理を必要と
する哺乳動物に投与することからなる哺乳動物における不安を減少する方法に関
するものである。
本発明は、また、胃腸潰瘍を治療するのに有効な単位投与形態の医薬的に許容
し得る担体と組み合わされた式Iの化合物の有効な量を含有する医薬組成物に関
するものである。
さらに、本発明は、上述した組成物の胃腸潰瘍治療に対して有効な量を治療を
必要とする哺乳動物に投与することからなる哺乳動物における胃腸潰瘍を治療す
る方法に関するものである。
本発明は、また、精神病、すなわち精神分裂病を治療するのに有効な単位投与
形態の医薬的に許容し得る担体と組み合わされた式Iの化合物の有効な量を含有
する医薬組成物に関するものである。
さらに、本発明は、上述した組成物の精神病を治療するのに有効な量を治療を
必要とする哺乳動物に投与することからなる哺乳動物における精神病の治療方法
に関するものである。
本発明は、またCCKまたはガストリン受容体を刺激または遮断するのに、脳ニ
ューロンの活性を変化させるのに、精神分裂病に対して、錐体外路運動系の疾患
を治療するのに、CCKおよびガストリンの栄養および成長刺激作用を遮断するの
におよび胃腸運動性を治療
するのに有用である医薬組成物に関するものである。
本発明は、また薬剤またはアルコールを濫用する長期の処置により生ずる禁断
応答を予防する医薬組成物に関するものである。
さらに、本発明は、薬剤またはアルコールの長期の処置の中止または薬剤また
はアルコールの濫用の中止によって生ずる禁断応答を治療する方法に関するもの
である。このような薬剤は、ベンゾジアゼピン、特にジアゼパム、コカイン、ア
ルコールおよびニコチンを包含する。禁断症状は、本発明の化合物の有効な禁断
治療量を投与することによって治療される。
本発明は、また、パニックを治療および(または)予防するのに有効な単位投
与形態の医薬的に許容し得る担体と組み合わされた式Iの化合物の有効な量を含
有する医薬組成物に関するものである。
本発明は、また、上述した組成物のパニック治療および(または)予防に対し
て有効な量を処理を必要とする哺乳動物に投与することからなる哺乳動物におけ
るパニックを治療および(または)予防する方法に関するものである。
さらに、本発明は、上述した疾患の治療および診断用の医薬および診断組成物
を製造するための式Iの化合物の使用に関するものである。
さらに、本発明は、式Iの化合物の製法を提供する。
式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、30%のラットにおける絶対
経口生物学的利用能を有している。この生物学的利用能は、ジペプトイド型の他
のCCK-Bアンタゴニストより実質的に高い。
詳細な説明
本発明の化合物は、式
によって示される化合物およびその医薬的に許容し得る塩である。この化合物の
溶媒和物または水和物もまた包含される。本発明の化合物は、多数のキラル中心
を有している。特に、本発明の化合物は、ジアステレオマー、ジアステレオマー
の混合物としてまたは混合されたまたは個々の光学エナンチオマーとして存在す
る。本発明は、すべてのこのような形態の化合物を企図するものである。ジアス
テレオマーの混合物は、典型的は、以下により詳細に記載した反応の結果として
得られる。個々のジアステレオマーは、カラムクロマトグラフィー、HPLC、また
は反復再結晶のような普通の技術によって、ジアステレオマーの混合物から得る
ことができる。個々のエナンチオマーは、当業者によく知られている普通の方法
によって、例えば光学的に活性な化合物との塩に変換し、クロマトグラフィーま
たは再結晶によって分離しそして非塩形態に再変換することによって、分離する
ことができる。また、これらの化合物は、スキームIに示したようにして製造さ
れたエナンチオマー的に純粋なトランス-(S,S)-2-アミノシクロヘキサノールお
よびトランス-(R,R)-2-アミノシクロヘキサノールを使用して合成される(Over
man L.E等,J.Org.Chem. 50:4154,1985;そしてまた、Aube J.等、Syn.Comn.
22(20):3003,1992参照)。DCC、HOBtのようなカップリング試薬を
使用してトランス-(S,S)-2-アミノシクロヘキサノールをR-2-Adoc-α-メチル
-Trpとカップリング反応すると、実施例6の化合物が得られる。
個々の置換されたアルファアミノ酸出発物質は、一般に既知であるか、または
、もし既知でない場合は、当業者に知られている方法によって合成しそして必要
なときは分割することができる。(ラセ
M.F.等、J.Heterocyclic Chem. 1980,17:829参照)
式Iの化合物の製造における重要な中間体は、式
(式中、Rは、9-フルオレニルメチル、Bzおよび他の適当なN-ブロッキング基
から選択されたものである)の化合物である。これらの化合物は、式Iの化合物
の製造における中間体として有用である。Rが1-アダマンチル、2-アダマンチ
ル、4-プロトアダマンチル、エキソ-ボルニル、エンド-ボルニル、エキソ-ノル
ボルニル、エンド-ノルボルニル、2-メチルシクロヘキシル、2-クロロシクロ
ヘキシルまたはカンホリルである化合物は、新規でありそして好ましい。
U.S.4,757,151の開示を、参照によって本明細書に加入する。それは、9-フ
ルオレニルメチルブロッキング基を記載している。
式IIの化合物は、
ROH III
(式中、Rは、上述した通りである)をホスゲンまたはホスゲン代替物と反応さ
せて式
ROCOCl IV
の相当する化合物を生成させそしてそれから式IVの化合物をα-メチルトリプト
ファンと反応させて上記式IIの所望の化合物を生成させることによって製造され
る。
別法として式IVの化合物をα-メチルトリプトファンメチルエステルと反応さ
せて
を生成させそしてこの化合物を水性水酸化リチウムによる加水分解のような既知
の手段によって式IIの化合物に変換することができる。
式Iの化合物は、30%の絶対生物学的利用能を示す。それ故に、それはCCK選
択的ジペプトイドの分野において類のないものである。
化合物の単一の20mg/kq(PO)摂食量または20mg/kq(IV)投与量を、絶食し
た雄のウイスターラット(1経路当たり4匹)に与えた。両方の経路に対して、
化合物は、エタノール中の0.1N HCl:普通の食塩水中の50W/V%のヒドロキシ
プロピル-β-シクロデキストリン(30:70)中の化合物の溶液として投与した。
血液試料は、投与前および投与後24時間までの異なる時間において、頸静脈カニ
ューレからヘパリンを含有する注射器に取り出した。血漿を、遠心分離によって
血液から採取しそして分析まで凍結貯蔵した。
血漿試料は、正確性が確証された液体クロマトグラフィー法を使用して、化合
物に対して分析した。この方法は、この化合物および内部標準の(R)-〔2-〔(
ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)アミノ〕-1-(1H-インドール-3-イルメ
チル)-1-メチル-2-オキソエチル〕-カルバミン酸トリシクロ〔3.3.1.13,7〕
デカ-2-イルエステルの液体-液体抽出、C-18カラム上の分析物の液体クロマト
グラフィー分離および蛍光検出による定量化からなる。
平均(±SD)薬物動態学的パラメーターは表Iにおいて示される通りである。
IV投与後、化合物の血漿濃度は、0.87(±0.02)時間の調和平均末端除去半減期
をもって多指数関数的な方式で急速に
低下した。PO投与後、吸収は一般に、1.8(±1.6)時間の平均(±SD)tmax値に
よってあらわされるように急速であった。相当する平均(±SD)Cmax値は、756
(±264)ng/mlであった。PO投与後の調和平均末端除去半減期は、IV半減期に
匹敵する0.99(±0.28)時間であった。平均POおよびIV AUC(0−∞)値の比を
基にした平均(±SD)絶対PO生物学的利用能は、30(±8)%であった。
経口溶液投与後のラットにおける化合物の吸収は、一般に急速であった。絶対
経口生物学的利用能は、30%であった。
本発明の化合物から医薬組成物を製造するに際して、不活性の医薬的に許容し
得る担体は、固体または液体であることができる。固体形態の製剤は、粉末、錠
剤、分散性顆粒、カプセル、カシェーおよび坐剤を包含する。
固体の担体は、稀釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤または錠
剤崩壊剤として作用することもできる1種または2種以上の物質であることがで
きる。それはまた、封入物質であることもできる。
粉剤においては、担体は、微細な活性成分と混合される微細な固体である。錠
剤においては、活性成分を適当な割合で、必要な結合性を有する担体と混合しそ
して所望の形状および大きさに圧縮する。
坐剤の製造に際しては、はじめに、脂肪酸グリセリドおよびココアバターの混
合物のような低融点のワックスを融解しそして活性成分を、例えば撹拌によって
、その中に分散させる。それから融解した均一な混合物を、普通の大きさの型に
注入しそして冷却しそして固化する。
粉末および錠剤は、好ましくは活性成分約5%〜70%を含有する。適当な担体
は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖、
ペクチン、デキストリン、澱粉、トラガントゴム、メチルセルロース、ナトリウ
ムカルボキシメチルセルロー
ス、低融点ワックス、ココアバターなどである。
好ましい医薬的に許容し得る塩は、N-メチルグルカミン塩およびナトリウム
塩である。
医薬的に許容し得る塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭
酸塩、重酒石酸塩、ブロマイド、カルシウムアセテート、カムシレート、炭酸塩
、クロライド、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデテート、エディシレート
、エストレート、エシレート、フマール酸塩、グルカプテート、グルコン酸塩、
グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラ
バミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、アイオダイド、イセ
チオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル
酸塩、メシレート、メチルブロマイド、メチルナイトレート、メチルサルフェー
ト、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、パモエート(エンボネート)、パントテ
ン酸塩、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクトウロン酸塩、サリチル酸
塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石
酸塩、テオクレート、トリエチオダイド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリ
ン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミ
ニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜
鉛である。
“製剤”なる用語は、活性成分(他の担体を有しているかまたは有していない
)が担体によって囲まれそして該担体が、活性成分と一緒になったカプセルを与
える担体としての封入物質と活性成分との処方を包含するように企図するもので
ある。同様に、カシェーも包含される。
錠剤、粉末、カシェーおよびカプセルは、経口的投与に適した固体の投与形態
として使用することができる。
液状形態の製剤は、溶液、懸濁液およびエマルジョンを包含する。活性成分の
滅菌した水または水-プロピレングリコール溶液を、非経口的投与に適した液状
の製剤の例としてあげることができる。液状の製剤は、また、ポリエチレングリ
コール水溶液中の溶液として処方することもできる。
経口投与用の水溶液は、活性成分を水に溶解しそして必要に応じて適当な着色
剤、風味料、安定剤および濃化剤を加えることによって製造される。経口的に使
用される水性懸濁液は、微細な活性成分を、粘稠性物質、例えば天然または合成
のゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよ
び医薬処方技術において知られている他の懸濁剤と一緒に、水に分散することに
よって製造することができる。
好ましくは、医薬製剤は、単位使用形態にある。このような形態においては、
製剤は、活性成分の適当な量を含有する単位投与量に分割される。単位使用形態
は、不連続の量の製剤、例えば包装された錠剤、カプセルおよびバイアルまたは
アンプル中の粉末のような包装された製剤であることができる。単位使用形態は
また、カプセル、カシェーまたは錠剤それ自体であってもよくまたはそれは、ま
た、これらの包装された形態の何れかの適当な数であってもよい。
実施例
実施例1
〔1α(R),2β〕N-〔2-〔(2-ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ〕-1-(1H
-インドール-3-イルメチル)-1-メチル
-2-オキソエチル〕-カルバミン酸トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカ-2-イルエス
テル
標記化合物は、DCCおよびHOBtを使用して、トランス-2-アミノシクロヘキサ
ノールを(R)-2-アダマンチルオキシカルボニル-2-メチルトリプトファンとカ
ップリングさせることによって合成した。
C29H39N3O4・0.5H2Oに対する分析値:
計算値:C 69.29 H 8.02 N 8.35
実測値:C 69.38 H 8.46 N 8.00
実施例2および3
〔2-〔(2-ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ〕-1-(1H-インドール-3-イル
メチル)-1-メチル-2-オキソエチル〕-カルバミン酸トリシクロ〔3.3.1.13,7
〕デカ-2-イルエステル異性体1
TRP中心はRであり;環中心未知
〔2-〔(2-ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ〕-1-(1H-インドール-3-イル
メチル)-1-メチル-2-オキソエチル〕-カルバミン酸トリシクロ〔3.3.1.13,7
〕デカ-2-イルエステル異性体2
TRP中心はRであり;他の中心未知
実施例1の個々のジアステレオマーを、6μmのシリカカラム
HPLCによって分離した。移動相は、酢酸エチル-ヘキサン(60:40)でありそして
流速は、15ml/分であった。第一のジアステレオマー(実施例2)(融点130〜137
℃)は、11.92分の保持時間を有す。第二
のジアステレオマー(実施例3)(融点125〜130℃)は、13.87分の保持時間を有す
。
実施例4
(1S,2S)-トランス-2-〔(R)-(α-メチルベンジル)アミノ〕シクロヘキサノール
(A)および(1R,2R)-トランス-2-〔(R)-(α-メチルベンジル)アミノ〕シクロヘ
キサノール(B)
塩化メチレン(60ml)中の(R)-α-メチルベンジルアミン(6.06g、0.005ミリモ
ル)のよく撹拌した溶液に、0〜5℃で、Me3Alの溶液(トルエン中の2.0M溶液
27.5ml、0.055モル)を滴加した。得られた溶液を0℃でさらに45分撹拌しそし
てそれから、塩化メチレン(15ml)中のシクロヘキセンエポキシドの溶液を、0℃
で滴加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。アルミネート塩を、NaF(8.82
g、0.21モル)次いでH2O 6.0mlを添加することによって、0℃で分解した。室
温で1時間撹拌した後、反応混合物をセライトを通して通過させ、MgSO4上で乾
燥しそして濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1:0.1の酢
酸エチル/ヘキサン/Et3N)によって、はじめのフラクションにおいて化合物A
(4.5g、39.2%、Rf=0.5)および後のフラクションにおいて化合物B(4.5g、3
9.2%、Rf=0.32)を得た。
実施例5
(1S,2S)-トランス-2-アミノシクロヘキサノール
メタノール(75ml)中の(1S,2S)-トランス-2-〔(R)-(α-メチルベンジル)
アミノ〕シクロヘキサノール(2.2g、0.01モル)、10%Pd/Cおよびギ酸アンモ
ニウム(0.38g、0.06モル)の混合物を、室温で一夜撹拌した。反応混合物をセ
ライトを通して通
過させそして濃縮した。それから、残留物を酢酸エチルでうすめ、水で洗浄し、
乾燥しそして濃縮して標記化合物0.92g(80%)を得た。
実施例6
〔1S-〔1α(S*)2β〕〔2-〔(2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)アミノ〕-1-(
1H-インドール-3-イルメチル)-1-メチル-2-オキソエチル〕-カルバミン酸ト
リシクロ〔3.3.1.13,7〕デカ-2-イルエステル
酢酸エチル(60ml)中の(R)-2-アダマンチルオキシカルボニル-α-メチルト
リプトファン(0.79g、0.002モル)の溶液を、ジシクロヘキシルカルボジイミド
(0.495g、0.002モル)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.35g
、0.0022モル)で処理した。室温で2時間撹拌した後に、沈殿したジシクロヘキ
シル尿素を濾過によって除去した。透明な濾液に、(1S,2S)-トランス-2-アミノ
シクロヘキサノール(0.23g、0.002モル)を加えた。反応混合物を室温で一夜撹
拌した。酢酸エチル溶液を5%HCl、5%NaHCO3およびブラインで洗浄した。有
機相をMgSO4上で乾燥しそして濃縮して白色のフォーム状物質を得た。この粗製
生成物を、50%酢酸エチル/ヘキサンを使用してシリカゲル上でクロマトグラフ
ィー処理して白色の固体0.72gを得、このものをさらに、6μmのシリカカラム(
Prep Nova Pak)を使用してウオータースHPLC(Model 46K)により精製した。移
動相は、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)であり、流速は15ml/分でありそして
保持時間は954分であった。標記化合物の収量:0.4g(39.5%)。融点137〜142℃
。
C29H39N3Oに対する分析値:
計算値:C 70.56 H 7.96 N 8.51
実測値:C 70.76 H 8.31 N 7.94
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 31/40 ACN 9454−4C A61K 31/40 ACN
ADR 9454−4C ADR
AED 9454−4C AED
(72)発明者 プリツチヤード,マーテイン・クライブ
イギリス国ケンブリツジ.ジー・ビー4
5アール・ジエイ.スウエイブジー.シス
ルグリーン 11エイ
(72)発明者 トリベデイ,バーラツト・カーリダース
アメリカ合衆国ミシガン州 48335.フア
ーミントンヒルズ.オールダーゲイトコー
ト 36955