【発明の詳細な説明】
対象物のカラーあるいはカラーコードを決定する方法および装置
本発明は、例えば電気的に絶縁されたワイヤ(電線)あるいは電気部品のよう
な対象物のカラーあるいはカラーコードを決定する方法および装置に関し、対象
物のカラーあるいはカラーコードを迅速かつ高い精度で決定可能である上記の型
の方法および装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明による方法は請求項1に記載された特徴
を有し、本発明による装置は請求項8に記載された特徴を有する。
これらの請求項に示されるように、対象物のカラーあるいはカラーコードを確
実かつ迅速に決定する手段を用いて、本発明の方法および装置が得られる。
本発明による方法の実施の形態が概略的に示されている次の図を参照して、本
発明がさらに説明される。
図1は、コネクタに対する配線を行う装置を対象とした本発明による方法の実
施の形態において用いられる幾つかの重要な構成要素を示す斜視図である。
図2は、図1の装置を示す概略的な側面図である。
図3は、図1の装置の一部分を示す概略的な上面図である。
図4は、図1の装置の概略構成を示すブロック図である。
図5は、本発明による方法の処理工程を示すフローチャートである。
図1ないし図4には、IDC型の複数の接触子2を備えたコネクタ1の配線を
行う装置が概略的に示されている。この装置においては、接触子に接続されるべ
きワイヤのカラーコードを決定するために、本発明による方法が用いられている
。
しかし、本発明による方法は、コネクタ等の対象のみへの適用に限定されるもの
ではなく、対象物のカラーを決定する一般的な分野へ広く適用可能である。
この装置には、配線されるコネクタ1がその内部に設置される支持体3が設け
られており、支持体3のそれぞれの側部には、ワイヤ挿入ヘッド4が配置されて
いる。そして、このワイヤ挿入ヘッド4には、支持体3の縦方向に対して交わる
方向に前後に移動可能である部材5が設けられている。さらに、それぞれのワイ
ヤ挿入ヘッド4には、接触子2に接続されるワイヤが導入されるワイヤ案内手段
6が設けられている。また、ワイヤ挿入ヘッド4は、図4のブロック図に示され
た駆動手段7により、支持体3の縦方向に移動可能であり、これにより、支持体
3内に設置されたコネクタ1のそれぞれの接触子2に対して、部材5を位置決め
することが可能となる。
また、この装置には、予め決められた所定の位置に固定されたワイヤ選択手段
が設けられている。通常、ワイヤは概略的に図示されるケーブルクランプ9内に
締め付けられるケーブル8の一部分として与えられる。そして、ワイヤ10は、
ワイヤ選択手段の一部である固定的に設置されたワイヤ選択プレート12の挿入
口11内に挿入される。ワイヤ選択プレート12内には、ワイヤ選択スロット1
3が形成され、選択スロット13は、一方の端部で挿入口11に連結されるとと
もに、他方の端部は、挿入口11に対して下方に延び、ワイヤ選択プレート12
のエッジ部において外方に開放される。挿入口11内に挿入された複数のワイヤ
10は、ランダム的な順序で、選択スロット13内に導入される。この選択スロ
ット13の幅は、個々のワイヤ10の直径に一致するように形成されている。ま
た、ワイヤ選択スロット13の出口部は、ワイヤ選択スロット13を開閉するよ
うに動作するシャッタ14により閉鎖可能となっている。さらに、ワイヤ選択手
段には、くさび形の端部を備えたスライド部材15が設けられている。このスラ
イド部材15は、ここでは図示されない方法により、選択スロット13を横切る
ように移動可能である。また、重力の影響を受けて選択スロット13内に導入さ
れたワイヤ10は、押圧部材16により下方に押圧される。
また、この装置には、固定された上方顎部18と移動可能である下方顎部19
とを有して構成されているグリッパ17が備えられている。このグリッパ17は
、概略的に図示される移動手段20により、x方向、y方向、およびz方向に移
動可能である。
さらに、この装置は、図4に概略的に示された処理ユニット21を有して構成
されている。この処理ユニット21には、高速のマイクロプロセッサが備えられ
ている。そして、この処理ユニット21には、カラーカメラ22が連結されてい
る。カメラ22からはカラー信号が出力され、この信号を基にして、処理ユニッ
ト21において、観察されているワイヤのカラーが識別される。光源23からは
、シャッタ14に隣接(接触)するワイヤに光線が照射され、これにより、カメ
ラ22を用いて、定常的に光線が照射される画像を得ることが可能となる。また
、種々のコネクタに対する配線仕様(配線図)をメモリ24内に記憶することが
可能であり、キーボード25を用いて、特定のコネクタの配線を実施するように
、処理ユニット21をセッティングすることが可能である。そして、メモリ24
内に記憶された配線仕様を基にして、処理ユニットにより配線工程が制御される
。
コネクタ1を配線するために、コネクタ1は支持体3内に設置され、ケーブル
8のワイヤ10が、ワイヤ選択プレート12の挿入口11内に導入される。そし
て、ワイヤ10は、スロット13内に落下し、最下部のワイヤがシャッタ14に
接触するようになる。これに続いて、処理ユニット21により、隔離部材として
機能するスライド部材15が駆動され、これにより、シャッタ14に隣接するワ
イヤ10が他の残りのワイヤ10から分離される。分離されたワイヤ10は、光
源23により光線を照射され、ワイヤの画像信号がカメラ22から処理ユニット
21へ送られる。そして、処理ユニット21によりグリッパの移動手段20が制
御され、分離されたワイヤが把持されて所定の位置に保持されるようにグリッパ
17の可動の顎部19が移動され、この結果、分離されたそれぞれのワイヤの明
確な観察が可能となる。
処理ユニット21では、カラーカメラ22から送られた画像信号を基にして、
観察されているワイヤのカラーコードが決定される。通常、このカラーコードは
、主カラーを有して構成され、所定の反復周期を有するリング状の第2のカラー
が主カラーに付随する場合もあれば、付随しない場合もある。以後の説明では、
この第2のカラーがブラックであると仮定する。しかし、他のカラーを第2のカ
ラーとして用いることも可能である。
処理ユニット21により分離されたワイヤ10のカラーコードが決定されると
、シャッタ14が開放され、分離されたワイヤが解放される。残りのワイヤは、
スライド部材15により、選択スロット13内に保持される。そして、処理ユニ
ット21によりグリッパの移動手段20が制御されて、コネクタ1の配線される
接触子2が設置された部位の側方に配置されたワイヤ案内手段6に向けて、グリ
ッパ17によりワイヤ10が移動される。さらに、処理ユニット21によりワイ
ヤ挿入ヘッド4の駆動手段7が制御され、部材5が、配線される接触子2に対し
て位置決めされる。グリッパ17は、ケーブルクランプ9内におおよそその中心
を有する球殻状経路に沿って移動する。そして、ワイヤ10がそれぞれのワイヤ
案内手段6内に入ると、グリッパ17がより小さな半径の第2の球殻状経路に沿
って移動し、ワイヤ10がワイヤ案内手段6内に堅く保持される。その後、処理
ユニット21によりそれぞれの部材5が駆動され、ワイヤ10が、通常の手法に
より適正な長さに切断されるとともに、対応する接触子2に接続される。そして
、ワイヤの切除された部分は、グリッパ17により、廃物容器26内に廃棄され
る。
解放されたワイヤ10をワイヤ案内手段6に向けて移動させるのと同時に、制
御ユニット21により、選択スロット13を閉じるようにシャッタ14が移動さ
れるとともに、選択スロット13を開放するようにスライド部材15が移動され
る。これにより、ワイヤ10が選択スロット13内を下降し、その後、スライド
部材15により、シャッタ14に隣接するワイヤ10が残りのワイヤ10から再
び分離される。そして、先に開放されたワイヤが対応する接触子2に接続された
後に、次のワイヤが識別されるとともに、対応する接触子に接続される。
処理ユニット21により、配線されるコネクタ1に既に接続されたワイヤ10
がメモリ24内に記憶される。そして、配線工程中は、処理ユニット21により
、分離された次のワイヤ10と既に接触子2に接続されたワイヤ10とが比較さ
れる。メモリ24内に記憶された情報に基づいて、識別対象のワイヤが既に接触
子2に接続されたワイヤであると判定された場合には、処理ユニット21により
、ワイヤの別の部位において新たな識別が実行される。そして、処理ユニット2
1により、新たな識別工程において得られたカラーコードが第1の識別工程によ
り得られたカラーコードと異なると判定された場合(例えば、レッドに対してブ
ルー)には、処理ユニット21から警告信号が出力され、コネクタ1の配線工程
が停止される。また、例えば5回といった所定の複数回数の識別処理を試みた後
でも、接続されていないワイヤ10に対して特定のカラーコードが見つからない
場合には、同じく警告信号が出力され、コネクタ1の配線工程が停止される。
処理ユニット21により、選択された配線図(配線仕様)がディスプレイ27
上に表示され、配線中においては、配線工程の進行およびその結果も表示可能と
なっている。
処理ユニット21によるカラーコードの識別は、以下のように実施されるのが
好適である。
カラーカメラ22により得られた画像情報が、処理ユニット21により、メモ
リ24内に記憶される。観察されるワイヤの長さ方向に沿って得られる複数の画
素(例えば7mmの長さに対して得られる15個の画素)に関して、色相、彩度
、および明度(それぞれH(hue)値、S(saturation)値、およびB(brightness)
値と表される)が決定される。この目的のために、処理ユニット21には、それ
自体は周知である集積回路を設けることが可能である。この際、彩度値Sにより
、ホワイトの度合いが示される。カラーに白色光が多く混じるほど、彩度値は小
さくなる。また、明度値Bにより、光の強度が示され、明度値ゼロは純粋なブラ
ックに対応する。色相値Hは、色相環内の位置を示すもので、例えば色相環内の
角度位置で表現される。
図5のフローチャートに示されるように、第1の工程では、明度値が第1の基
準値と比較される。この際、明度値が第1の基準値より小さい場合には、対象画
素がブラックであるとみなされる。対象画素がブラックでない場合には、第2の
工程において、彩度値Sが第2の基準値と比較される。この際、S値が第2の基
準値より小さい場合には、対象画素は無彩色あるいはグレーあるいはホワイトで
あるとみなされる。彩度値Sと第2の基準値との比較により、ワイヤがグレーあ
るいは無彩色であると判定された場合には、フローチャートに示されるように、
連続する基準範囲に対して明度値Bが連続的に比較され、対象画素のグレーレベ
ルが決定されるか、あるいは対象画素がホワイトであると判定される。
彩度値Sと第2の基準値との比較により、対象画素が無彩色ではないと判定さ
れた場合には、色相値Hと、それぞれが所定のカラーに対応する連続的な複数の
基準範囲との比較を実施する。そして、特定のカラーが見つかれば、そのカラー
がライト(明るい)かダーク(暗い)かを判定するために、最終的に彩度値Sが
第3の基準値と比較される。
すべての画素に対してカラーが決定されれば、最も多く検知されたカラーが、
観察されているワイヤに対する主カラーとして設定される。また、所定数よりも
多くの複数画素が共通の第2のカラーを有する場合には、リング状の第2のカラ
ーがカラーコードとして与えられていると見なされる。
カラーが決定される画素がその長さ方向にサンプリングされるワイヤに関して
、ワイヤの長さは、少なくとも第2のカラーのリングが反復する長さに等しくす
る必要がある。また、それぞれの画素間の距離は、第2のカラーのリング内から
少なくとも3つの画素が得られるように選定される必要がある。
本発明による方法の他の適用例としては、印刷回路板(PCB)上におけるカ
ラーコード化された電気部品あるいは電子部品の位置の確認処理が上げられる。
通常の手法を用いて印刷回路板上に電気(電子)部品が配置されると、カラーカ
メラにより印刷回路板のカラー画像が得られ、このカラー画像がメモリ内に記憶
される。さらに、それぞれの電気(電子)部品の適正な位置および対応するカラ
ーコードが、メモリ内に記憶される。
それぞれの電気(電子)部品に対して、対応する位置において幾つかの画素が
選定され、上記の方法と同様に、これらの画素のS値、H値、およびB値がもと
められ、これらの値を基にしてそれぞれのカラーが決定される。そして、このよ
うに検知されたカラーが、メモリ内に記憶された対応する位置のカラーと比較さ
れる。この際、カラーが一致しない場合には、警告信号が与えられるとともに、
印刷回路板上の対応する位置がディスプレイ上に表示される。
上記の記載から、本発明による方法が適用される装置が、カラーが決定される
べき対象物のカラー画像を生成するためのカラーカメラを有して構成されている
ことが明らかであろう。このカラーカメラは、記録されたカラー画像内の1つあ
るいは複数の画素を用いて対象物のカラーを決定するために、記載されたフロー
チャートに基づいてプログラミング可能である処理ユニットあるいはコンピュー
タに接続されている。そして、この目的のために、装置は、処理ユニットにより
カラーカメラの画像情報が記憶されるメモリと、S値、H値、およびB値に関し
て必要となる基準値が記憶されるメモリとを有して構成されている。勿論、例え
ばキーボードおよびディスプレイのような通常のヒューマンインタフェース装置
、および例えば配線装置を制御するための出力装置も与えられる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲内におい
て種々の変更が可能である。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年8月14日
【補正内容】
対象物のカラーあるいはカラーコードを決定する方法および装置
本発明は、例えば電気的に絶縁されたワイヤ(電線)あるいは電気部品のよう
な対象物のカラーあるいはカラーコードを決定する方法および装置に係り、特に 、それぞれ請求項1および請求項7のプリアンブル(preamble)(前提部分)に基 づいた方法および装置、および請求項5、請求項6に基づいた方法の使用に関す る。
アメリカ合衆国特許A-4-731-663号には、それぞれ請求項1および請求項7の プリアンブルに基づく方法および装置が開示されている。この周知の方法によれ ば、まず、対象物がホワイトの背景に対しておおまかに位置決めされる。さらに 、この方法では、基準値のセットを得るために、適切な教示工程が必要とされる 。また、光のスペクトル成分であるレッド、グリーン、およびブルーをそれぞれ 通過させるために、光学フィルタあるいはストライプフィルタ(stripe filter) が用いられる。
アメリカ合衆国特許A-4-991-223号には、カラー要素を用いて画像特徴を認識 するための方法および装置が開示されている。この技術では、対象物のエッジを 検出するために、8つの所定のカラー範囲(カラーレンジ)が用いられている。 しかし、対象物のカラーが決定されることはない。
アメリカ合衆国特許A-5-206-918号には、カラー解析のための方法が開示され ており、この方法では、3つの主要なカラー測定値が、彩度値、色相値、および 明度値に変換される。この特許明細書に記載された実施の形態においては、この カラー解析方法が焼成製品の品質を査定するのに用いられており、レッドーグリ ーン情報が所定のカラー範囲と比較される。
本発明は、対象物のカラーあるいはカラーコードを迅速かつ高い精度で決定可
能である上記の型の方法および装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明による方法は請求項1に記載された特徴
を有し、本発明による装置は請求項7に記載された特徴を有する。
これらの請求項に示されるように、対象物のカラーあるいはカラーコードを確
実かつ迅速に決定する手段を用いて、本発明の方法および装置が得られる。
本発明による方法の実施の形態が概略的に示されている次の図を参照して、本
発明が詳細に説明される。
図1は、コネクタに対する配線を行う装置を対象とした本発明による方法の実
施の形態において用いられる幾つかの重要な構成要素を示す斜視図である。
図2は、図1の装置を示す概略的な側面図である。
図3は、図1の装置の一部分を示す概略的な上面図である。
図4は、図1の装置の概略構成を示すブロック図である。
図5は、本発明による方法の処理工程を示すフローチャートである。
図1ないし図4には、IDC型の複数の接触子2を備えたコネクタ1の配線を
行う装置が概略的に示されている。この装置においては、接触子に接続されるべ
きワイヤのカラーコードを決定するために、本発明による方法が用いられている
。しかし、本発明による方法は、コネクタ等の対象のみへの適用に限定されるも
のではなく、対象物のカラーを決定する一般的な分野へ広く適用可能である。
この装置には、配線されるコネクタ1がその内部に設置される支持体3が設け
られており、支持体3のそれぞれの側部には、ワイヤ挿入ヘッド4が配置されて
いる。そして、このワイヤ挿入ヘッド4には、支持体3の縦方向に対して交わる
方向に前後に移動可能である部材5が設けられている。さらに、それぞれのワイ
ヤ挿入ヘッド4には、接触子2に接続されるワイヤが導入されるワイヤ案内手段
6が設けられている。また、ワイヤ挿入ヘッド4は、図4のブロック図に示され
た駆動手段7により、支持体3の縦方向に移動可能であり、これにより、支持体
3内に設置されたコネクタ1のそれぞれの接触子2に対して、部材5を位置決め
することが可能となる。
また、この装置には、予め決められた所定の位置に固定されたワイヤ選択手段
が設けられている。通常、ワイヤは概略的に図示されるケーブルクランプ9内に
締め付けられるケーブル8の一部分として与えられる。そして、ワイヤ10は、
ワイヤ選択手段の一部である固定的に設置されたワイヤ選択プレート12の挿入
口11内に挿入される。ワイヤ選択プレート12内には、ワイヤ選択スロット1
3が形成され、選択スロット13は、一方の端部で挿入口11に連結されるとと
もに、他方の端部は、挿入口11に対して下方に延び、ワイヤ選択プレート12
のエッジ部において外方に開放される。挿入口11内に挿入された複数のワイヤ
10は、ランダム的な順序で、選択スロット13内に導入される。この選択スロ
ット13の幅は、個々のワイヤ10の直径に一致するように形成されている。ま
た、ワイヤ選択スロット13の出口部は、ワイヤ選択スロット13を開閉するよ
うに動作するシャッタ14により閉鎖可能となっている。さらに、ワイヤ選択手
段には、くさび形の端部を備えたスライド部材15が設けられている。このスラ
イド部材15は、ここでは図示されない方法により、選択スロット13を横切る
ように移動可能である。また、重力の影響を受けて選択スロット13内に導入さ
れたワイヤ10は、押圧部材16により下方に押圧される。
また、この装置には、固定された上方顎部18と移動可能である下方顎部19
とを有して構成されているグリッパ17が備えられている。このグリッパ17は
、概略的に図示される移動手段20により、x方向、y方向、およびz方向に移
動可能である。
さらに、この装置は、図4に概略的に示された処理ユニット21を有して構成
されている。この処理ユニット21には、高速のマイクロプロセッサが備えられ
ている。そして、この処理ユニット21には、カラーカメラ22が連結されてい
る。カメラ22からはカラー信号が出力され、この信号を基にして、処理ユニッ
ト21において、観察されているワイヤのカラーが識別される。光源23からは
、シャッタ14に隣接(接触)するワイヤに光線が照射され、これにより、カメ
ラ22を用いて、定常的に光線が照射される画像を得ることが可能となる。また
、種々のコネクタに対する配線仕様(配線図)をメモリ24内に記憶することが
可能であり、キーボード25を用いて、特定のコネクタの配線を実施するように
、処理ユニット21をセッティングすることが可能である。そして、メモリ24
内に記憶された配線仕様を基にして、処理ユニットにより配線工程が制御される
。
コネクタ1を配線するために、コネクタ1は支持体3内に設置され、ケーブル
8のワイヤ10が、ワイヤ選択プレート12の挿入口11内に導入される。そし
て、ワイヤ10は、スロット13内に落下し、最下部のワイヤがシャッタ14に
接触するようになる。これに続いて、処理ユニット21により、隔離部材として
機能するスライド部材15が駆動され、これにより、シャッタ14に隣接するワ
イヤ10が他の残りのワイヤ10から分離される。分離されたワイヤ10は、光
源23により光線を照射され、ワイヤの画像信号がカメラ22から処理ユニット
21へ送られる。そして、処理ユニット21によりグリッパの移動手段20が制
御され、分離されたワイヤが把持されて所定の位置に保持されるようにグリッパ
17の可動の顎部19が移動され、この結果、分離されたそれぞれのワイヤの明
確な観察が可能となる。
処理ユニット21では、カラーカメラ22から送られた画像信号を基にして、
観察されているワイヤのカラーコードが決定される。通常、このカラーコードは
、主カラーを有して構成され、所定の反復周期を有するリング状の第2のカラー
が主カラーに付随する場合もあれば、付随しない場合もある。以後の説明では、
この第2のカラーがブラックであると仮定する。しかし、他のカラーを第2のカ
ラーとして用いることも可能である。
処理ユニット21により分離されたワイヤ10のカラーコードが決定されると
、シャッタ14が開放され、分離されたワイヤが解放される。残りのワイヤは、
ス
ライド部材15により、選択スロット13内に保持される。そして、処理ユニッ
ト21によりグリッパの移動手段20が制御されて、コネクタ1の配線される接
触子2が設置された部位の側方に配置されたワイヤ案内手段6に向けて、グリッ
パ17によりワイヤ10が移動される。さらに、処理ユニット21によりワイヤ
挿入ヘッド4の駆動手段7が制御され、部材5が、配線される接触子2に対して
位置決めされる。グリッパ17は、ケーブルクランプ9内におおよそその中心を
有する球殻状経路に沿って移動する。そして、ワイヤ10がそれぞれのワイヤ案
内手段6内に入ると、グリッパ17がより小さな半径の第2の球殻状経路に沿っ
て移動し、ワイヤ10がワイヤ案内手段6内に堅く保持される。その後、処理ユ
ニット21によりそれぞれの部材5が駆動され、ワイヤ10が、通常の手法によ
り適正な長さに切断されるとともに、対応する接触子2に接続される。そして、
ワイヤの切除された部分は、グリッパ17により、廃物容器26内に廃棄される
。
解放されたワイヤ10をワイヤ案内手段6に向けて移動させるのと同時に、制
御ユニット21により、選択スロット13を閉じるようにシャッタ14が移動さ
れるとともに、選択スロット13を開放するようにスライド部材15が移動され
る。これにより、ワイヤ10が選択スロット13内を下降し、その後、スライド
部材15により、シャッタ14に隣接するワイヤ10が残りのワイヤ10から再
び分離される。そして、先に解放されたワイヤが対応する接触子2に接続された
後に、次のワイヤが識別されるとともに、対応する接触子に接続される。
処理ユニット21により、配線されるコネクタ1に既に接続されたワイヤ10
がメモリ24内に記憶される。そして、配線工程中は、処理ユニット21により
、分離された次のワイヤ10と既に接触子2に接続されたワイヤ10とが比較さ
れる。メモリ24内に記憶された情報に基づいて、識別対象のワイヤが既に接触
子2に接続されたワイヤであると判定された場合には、処理ユニット21により
、ワイヤの別の部位において新たな識別が実行される。そして、処理ユニット2
1により、新たな識別工程において得られたカラーコードが第1の識別工程によ
り得られたカラーコードと異なると判定された場合(例えば、レッドに対してブ
ルー)には、処理ユニット21から警告信号が出力され、コネクタ1の配線工程
が
停止される。また、例えば5回といった所定の複数回数の識別処理を試みた後で
も、接続されていないワイヤ10に対して特定のカラーコードが見つからない場
合には、同じく警告信号が出力され、コネクタ1の配線工程が停止される。
処理ユニット21により、選択された配線図(配線仕様)がディスプレイ27
上に表示され、配線中においては、配線工程の進行およびその結果も表示可能と
なっている。
処理ユニット21によるカラーコードの識別は、以下のように実施されるのが
好適である。
カラーカメラ22により得られた画像情報が、処理ユニット21により、メモ
リ24内に記憶される。観察されるワイヤの長さ方向に沿って得られる複数の画
素(例えば7mmの長さに対して得られる15個の画素)に関して、色相、彩度
、および明度(それぞれH(hue)値、S(saturation)値、およびB(brightness)
値と表される)が決定される。この目的のために、処理ユニット21には、それ
自体は周知である集積回路を設けることが可能である。この際、彩度値Sにより
、ホワイトの度合いが示される。カラーに白色光が多く混じるほど、彩度値は小
さくなる。また、明度値Bにより、光の強度が示され、明度値ゼロは純粋なブラ
ックに対応する。色相値Hは、色相環内の位置を示すもので、例えば色相環内の
角度位置で表現される。
図5のフローチャートに示されるように、第1の工程では、明度値が第1の基
準値と比較される。この際、明度値が第1の基準値より小さい場合には、対象画
素がブラックであるとみなされる。対象画素がブラックでない場合には、第2の
工程において、彩度値Sが第2の基準値と比較される。この際、S値が第2の基
準値より小さい場合には、対象画素は無彩色あるいはグレーあるいはホワイトで
あるとみなされる。彩度値Sと第2の基準値との比較により、ワイヤがグレーあ
るいは無彩色であると判定された場合には、フローチャートに示されるように、
連続する基準範囲に対して明度値Bが連続的に比較され、対象画素のグレーレベ
ルが決定されるか、あるいは対象画素がホワイトであると判定される。
彩度値Sと第2の基準値との比較により、対象画素が無彩色ではないと判定さ
れた場合には、色相値Hと、それぞれが所定のカラーに対応する連続的な複数の
基準範囲との比較を実施する。そして、特定のカラーが見つかれば、そのカラー
がライト(明るい)かダーク(暗い)かを判定するために、最終的に彩度値Sが
第3の基準値と比較される。
すべての画素に対してカラーが決定されれば、最も多く検知されたカラーが、
観察されているワイヤに対する主カラーとして設定される。また、所定数よりも
多くの複数画素が共通の第2のカラーを有する場合には、リング状の第2のカラ
ーがカラーコードとして与えられていると見なされる。
カラーが決定される画素がその長さ方向にサンプリングされるワイヤに関して
、ワイヤの長さは、少なくとも第2のカラーのリングが反復する長さに等しくす
る必要がある。また、それぞれの画素間の距離は、第2のカラーのリング内から
少なくとも3つの画素が得られるように選定される必要がある。
本発明による方法の他の適用例としては、印刷回路板(PCB)上におけるカ
ラーコード化された電気部品あるいは電子部品の位置の確認処理が上げられる。
通常の手法を用いて印刷回路板上に電気(電子)部品が配置されると、カラーカ
メラにより印刷回路板のカラー画像が得られ、このカラー画像がメモリ内に記憶
される。さらに、それぞれの電気(電子)部品の適正な位置および対応するカラ
ーコードが、メモリ内に記憶される。
それぞれの電気(電子)部品に対して、対応する位置において幾つかの画素が
選定され、上記の方法と同様に、これらの画素のS値、H値、およびB値がもと
められ、これらの値を基にしてそれぞれのカラーが決定される。そして、このよ
うに検知されたカラーが、メモリ内に記憶された対応する位置のカラーと比較さ
れる。この際、カラーが一致しない場合には、警告信号が与えられるとともに、
印刷回路板上の対応する位置がディスプレイ上に表示される。
上記の記載から、本発明による方法が適用される装置が、カラーが決定される
べき対象物のカラー画像を生成するためのカラーカメラを有して構成されている
ことが明らかであろう。このカラーカメラは、記録されたカラー画像内の1つあ
るいは複数の画素を用いて対象物のカラーを決定するために、記載されたフロー
チャートに基づいてプログラミング可能である処理ユニットあるいはコンピュー
タに接続されている。そして、この目的のために、装置は、処理ユニットにより
カラーカメラの画像情報が記憶されるメモリと、S値、H値、およびB値に関し
て必要となる基準値が記憶されるメモリとを有して構成されている。勿論、例え
ばキーボードおよびディスプレイのような通常のヒューマンインタフェース装置
、および例えば配線装置を制御するための出力装置も与えられる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲内におい
て種々の変更が可能である。
請求の範囲
1. 対象物に対して一定の光量レベルの光線を照射する工程と、例えばカラー
カメラを用いて対象物のカラー画像を生成する工程と、カラー画像内のカラー情
報を用いて対象物のカラーを決定する工程とを有する、対象物のカラーあるいは
カラーコードを決定する方法において、
対象物のカラー画像から、対象物の表面上に存在する複数の画素をサンプリン
グして、これらの画素に対して、その彩度値(S値)、色相値(H値)、および
明度値(B値)を決定する工程が与えられ、
対象物のカラーを決定する前記工程が、まず、画素がブラックであるか否かを
決定するために、それぞれの画素のB値を第1の基準値と比較する工程と、
画素がブラックでない場合に、画素が無彩色であるか否かを決定するために、
それぞれの画素のS値を第2の基準値と比較する工程と、
画素が無彩色でない場合に、それぞれの画素のカラーを決定するために、それ
ぞれの画素のH値と、それぞれが所定のカラーに対応する複数の連続した基準範
囲とを比較する工程とからなることを特徴とするカラーあるいはカラーコードの
決定方法。
2. 請求項1記載のカラーあるいはカラーコードの決定方法において、
画素が無彩色である場合には、B値と複数の基準範囲とが比較されて、対象物
のグレーレベルが決定されるか、あるいは対象物がホワイトであると判定される
ことを特徴とするカラーあるいはカラーコードの決定方法。
3. 請求項1または請求項2記載のカラーあるいはカラーコードの決定方法に
おいて、
画素が有彩色である場合には、検知されたカラーがライトであるかダークであ
るかを決定するために、画素のS値が第3の基準値と比較されることを特徴とす
るカラーあるいはカラーコードの決定方法。
4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載され、対象物が、主カラーを有
するとともに、所定のピッチで離間したリングとして与えられる第2のカラーを
有することもあれば、有しないこともあるカラーあるいはカラーコードの決定方
法において、
すべての画素のカラーが決定された後に、最も多くの画素に対して決定された
カラーが対象物の主カラーとして設定され、
2つ以上の所定数の画素に対して共通の第2のカラーが決定されている場合に
は、主カラーおよび第2のカラーから構成されるカラーコードが決定されること
を特徴とするカラーあるいはカラーコードの決定方法。
5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載されたカラーあるいはカラーコ
ードの決定方法の使用であって、
それぞれが異なるカラーに着色された絶縁被覆部を有する複数の導電線のカラ
ーコードを決定するために用いられ、それぞれの個別の導電線に対してカラー画
像が生成されることを特徴とする上記方法の使用。
6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載されたカラーあるいはカラーコ
ードの決定方法の使用であって、
印刷回路板上における電気部品の位置を確認するために用いられ、
確認される印刷回路板における電気部品の位置および対応するカラーがメモリ
内に記憶され、
得られた画像を基に印刷回路板上のそれぞれの電気部品に対して決定されるカ
ラーと、対応する位置に対して予め記憶されているカラーとが比較され、これら
のカラーが一致しない場合に、警告信号が発生されることを特徴とする上記方法
の使用。
7. 対象物に対して一定の光量レベルの光線を照射する手段(23)と、対象
物のカラー画像を生成するためのカラーカメラ(22)と、生成されたカラー画
像を記憶するためのメモリ(24)と、入力手段(25)および表示手段(27
)と、カラー画像内のカラー情報から対象物のカラーを決定するための処理ユニ
ット(21)とを有して構成され、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載さ
れ
たカラーあるいはカラーコードの決定方法が適用される装置において、
対象物のカラー画像における複数の画素に対して、その彩度値、色相値、およ
び明度値を決定する手段(21)と、
彩度値、色相値、および明度値のそれぞれに対する基準値を記憶するメモリと
、
対象物のカラーを決定するために、明度値、彩度値、および色相値をそれぞれ
対応する記憶された基準値と連続的に比較する手段(21)とが設けられている
ことを特徴とする装置。
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