JPH09507136A - 吸収性物品中の吸収性体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 液体捕捉部分（１３；１１，１３）および液体捕捉部分に隣接した液体貯蔵部分（１２）を含んでなるおむつ、失禁用パッド、生理用ナプキンなどの吸収性物品中の吸収性体。上記液体捕捉部分は、吸収性体の予想湿潤領域に配置され、液体貯蔵部分（１２）中を通過して延びかつ液体貯蔵層（１２）の下側に配置された液体ウイッキング層（１４）と液体で連通している少なくとも一つのくぼみ部（１３）を有している。液体捕捉部分（１３；１１，１３）の材料の平均気孔寸法は液体貯蔵部分（１２）の平均気孔寸法より大きい。本発明の吸収性体は湿潤を繰返しても瞬間吸収性が高くかつ再湿潤度が低い。

Description

【発明の詳細な説明】 吸収性物品中の吸収性体技術分野 本発明は吸収性物品、例えばおむつ、失禁用パッド、生理用ナプキンなどのよ うな吸収性物品中の吸収性体に関し、本発明には流体捕捉部分（fluid acquisi tion portion）および流体捕捉部分に隣接する流体貯蔵部分が含まれている。発明の背景 使い捨てのおむつ類、失禁用保護体および生理用ナプキンなどのような吸収性 物品用吸収性体は通常、例えばセルロースフラッフ（cellulose fluff）のよう な親水性繊維の一つ以上の層で構成されている。さらに、いわゆる高吸収性材料 （superabsorbent）が含まれていることが多く、これは水または体液をそれ自体 の重量の何倍も吸収する容量を有するポリマーである。さらに、例えば吸収性体 の流体拡散特性を改良するかまたは吸収性体の密着性（coherence）および使用 中の変形を阻止する性能を増大するため、追加の成分を吸収性体に加えることも できる。 比較的多量の流体を受入れ吸収することを目的とする成人向けのおむつと失禁 用保護体の場合、最初に起こる主な問題は、これらの物品はその全吸収容量が完 全に使用尽される前に漏洩することが多いことである。排尿中、多量の流体が数 秒間に排出されることが多いので、いわゆる流体捕捉領域中の吸収性体が一時、 局部的に飽和されてしまうことは珍しいことではなく、この場合、尿が吸収性体 の他 の部分に拡散するのに充分な時間がないから、それ以上排出された尿はおむつか ら漏洩する。このような早期の漏洩は勿論、ユーザと看護人の両者をいらだたせ る大きな原因である。この漏洩の問題は失禁が繰返されると深刻になる。 他の問題は、ユーザに対面している表面に全使用期間にわたってできるだけ乾 燥を保持し、かつ一旦吸収された流体が吸収性体から押出されて、ユーザの皮膚 を濡らすすなわち漏洩を起こすといういわゆる再湿潤を防止することである。吸 収性体が高吸収性材料を含有している場合、この再湿潤の問題はある程度軽減さ れる。なおこの高吸収性材料は、例えばユーザが座ったときのように物品が外圧 を受けたときでさえ一旦吸収された流体に化学的に結合している。しかし、流体 が吸収性体の湿潤領域から未使用部分まで拡散するような方式で吸収性体を設計 することは難しい。 国際特許願第ＰＣＴ／ＳＥ ９２／０００７８号には少なくとも二つの異なる セルロースフラッフを含んでなる吸収性体が記載されている。すなわちその第一 吸収層中の繊維構造体は、目の荒い繊維構造を有しかつ液体分散性が低い第一種 のフラッフ例えば化学熱機械的に（chemo-thermal mechanically）製造したセ ルロースフラッフで実質的に構成され、そしてもう一つの吸収層の繊維構造体は 、第一吸収層のフラッフより液体分散性が高い第二種のフラッフ例えば化学的に 製造されたフラッフで本質的に構成されている。その第一層は、繊維構造の目が 荒いため繊維間に 多量の液体を収容できるので、短時間に多量の液体を受け入れることができる。 すなわち第一層は高い瞬間液体吸収容量（high momentaneous liquid absorp tion capacity）をもっている。もう一つの層は、第一層より液体分散性が高い ので第一層から液体を排出させかつ他の層に拡散させることができる。 ヨーロッパ特許願公開第Ａ−０２５４４７６号には吸収性体が開示されている が、この吸収性体は、湿潤領域のほぼ前方の一領域がその吸収性体の周囲の部分 より表面重量が低くかつ密度が低い。これによって、瞬間液体吸収容量が高い領 域が提供され、その後、液体は吸収性体の周囲の領域に分散させて貯蔵すること ができる。 英国特許第Ａ−２０８２６４３号には、表面重量は本質的に均一であるが縦方 向に密度勾配があり、密度が吸収性体の短辺側（short side）に向かって増大 する吸収性体が記載されている。これによって、液体が、吸収性体の中央部分か ら一層圧縮された末端部分に迅速に入ることができる。 米国特許第４４１３９９６号には、湿潤領域に液体を吸収する凹部またはくぼ み部（well）を有するおむつ用吸収性体が記載されている。このくぼみ部には多 孔質バッド（Batt）を配置することができる。 しかし、特に、短期間に多量の液体を受け入れることができるようにしたい物 品の場合、これは、例えば成人向け失禁用物品の場合に多いが、液体吸収容量と 液体分散性についてまだ改善の余地がある。他の目的は、ユーザに対面 する吸収性体の表面が、失禁を繰返した後でも、乾いていて快適であると感じら れなければならないということである。本発明の目的と必須の特徴 本発明の目的は、前記目的を満たす前記タイプの吸収性体すなわち失禁を繰返 した後でさえも大量の液体を迅速に受け入れてその液体をウイッキング（wickin g）で吸収性体の未使用部分に向かって分散させ、そして表面の乾燥度も高い吸 収性体を提供することである。このことは、前記液体捕捉部分が、吸収性体の予 想湿潤領域に配置され深さ方向に液体貯蔵部分を通過して延びる少なくとも一つ のくぼみ部を備え、そして液体貯蔵層の下側に配置されたウイッキング層と液体 で連通していること；液体捕捉部分に第一吸収構造体が配置されその構造体が第 一有効平均気孔寸法を有していること；そして液体貯蔵部分に第二吸収構造体が 配置されその構造体が第一平均気孔寸法より小さい第二有効平均粒径を有してい ることによって達成されたのである。図面の説明 図１はユーザに対面する側からみたおむつの平面図を示す。 図２は図１に示すおむつの吸収性体の平面図を示す。 図３は図２のIII−III線断面図である。 図４と５は本発明の吸収性体の対応する断面図であるが別の実施態様のもので ある。 図６は他の吸収性体の平面図を示す。 図７は図６のVII−VII線断面図である。 図８はさらに別の吸収性体の平面図を示す。 図９は図８のIX−IX線断面図である。 図１０は本発明の吸収性体（Ｂ）および他の吸収性体（Ａ）の瞬間吸収性をス タックダイアグラム（stack diagram）の形態で示す。実施例の説明 図１に示すおむつは、液体透過性カバー層１例えば繊維布地または穴あきプラ スチックフィルム製のもの；液体不透過性カバー層２例えばプラスチックフィル ムまたは疎水性繊維布地；および上記二つのカバー層１と２の間に包みこまれた 吸収性体３で構成されている。 おむつは吸収性パンツとしてユーザの胴体下部を包むためのものである。おむ つには、ユーザの背面に対面する後部４、ユーザの前面に対面する前部、および 後部４と前部５の間の幅のせまい股部６がある。おむつを所望のパンツの形態に 接合できるように、テープタブ７がおむつの後腰部端縁８に隣接して配置されて いる。このテープタブ７は使用時に、前腰部端縁９の近くでおむつの前部５の外 側に固定されて、おむつがユーザの腰のまわりに保持される。他の締付け手段、 例えばベルクロ（登録商標、Velcro）、フックなども勿論考えられる。 さらに、図１に示すおむつは予め張力を加えた（pretensioned）弾性手段１０ を備えておりこの手段は、弾性発泡体、弾性テープまたは糸をまいた弾性コード などのような適切な材料で構成されている。分かりやすくするため、こ れらのコードは図１には延ばした状態で示してある。張力がはずされると、弾性 手段は収縮するのでおむつの弾性レッグバンドを形成する。 図面に示して先に説明したおむつは本発明を決して限定するものではないこと をここで指摘しておかねばならない。したがって本発明のおむつの形態と他の設 計上の特徴は変更することができる。例えば、特別の定着パンツ（fixing pant s）の内側に着用するおむつの場合、締付け手段すなわちテープタブ７は除くこ とができまた弾性手段１０も同様である。 図４に示す実施例の場合、おむつの吸収性体３はいくつもの異なる部分で構成 されている。放出される尿が最初にぶつかりそして位置が通常おむつの前部の方 にずれているおむつの領域であるおむつの予想湿潤領域の前部に直接、吸収性体 ３が、周囲の液体貯蔵層１２中にまっすぐ通過して延びる液体捕捉くぼみ部１３ を必須に備えている。くぼみ部１３は短時間に大量の液体を迅速に受け入れるこ とができる。貯蔵層１２とくぼみ部１３の下側に、液体分散性が高い繊維材料か らなるウイッキング層１４がある。 くぼみ部１３中の繊維材料は、例えば機械パルプ、熱機械パルプ（thermomech anical pulp）または化学熱機械パルプ（chemo-thermo-mechanical pulp）い わゆるＣＴＭＰなどのセルロース繊維で構成されている。これらのパルプはリグ ニンが残っている比較的粗い繊維なので、比較的気孔容積が大で、湿潤弾力性（ wet resiliance）が高くかつ液体分散性が低い。湿潤弾力性が高いということ は、 フラッフパルプが湿潤した後でさえもその構造を本質的に保持していることを意 味する。類似の特性を有する他のフラッフパルプも使用可能であり、例えばサザ ンパイン（southern pine）のセルロース繊維または化学的に強化されたセルロ ース繊維ならびに合成繊維がある。 図３と５に示す実施例では、貯蔵層１２の上にカバー層１１が配置され、この カバー層１１はくぼみ部１３とともに吸収性体の液体捕捉部分を形成している。 カバー層１１とくぼみ部１３は、図に示すように互いに一体になっており同じ材 料で構成されている。しかしこれらの部分は異なる材料で構成されていてもよい が、これらの両部分は比較的大きい気孔寸法、高い湿潤復元力および低い液体分 散性などの所望の特性を持っていなければならない。カバー層によって吸収性体 の表面乾燥度が増大する。 図３に示す実施態様では、カバー層１１は、吸収性体の使用位置にみられるよ うに、厚い後部１１ａを備え、この厚い後部はくぼみ部１３からいくらかの距離 、好ましくは５〜５０ｍｍにわたって薄い部分１１ｂに変化している。 その薄い部分１１ｂは厚い部分１１ａより密度が高いので、液体がカバー層１１ の後部１１ａに拡散するのを防止する液体バリヤーとして機能し、そのため後部 １１ａは乾燥が保持される。追加の利点は、尿と糞便が互いに別個に保持される ことである。尿と糞便が混合すると望ましくない分解生成物が生成して皮膚の刺 戟を起こすことがある。くぼみ部１３も勿論、カバー層１１のこのようなバリヤ ー１１ａで完全に囲まれている。カバー層１１の下側に位置す る貯蔵層１１の方がカバー層１１より圧縮に対する抵抗性が高いという前提条件 で貯蔵層１１の厚みの比を逆にすることにより、吸収性体を圧縮して密度の高い 薄い部分１１ｂが自動的に得られる。くぼみ部１３の隣の圧縮されたバリヤース トリップ１１ｂは他の方法でも勿論得ることができる。 図４に示す実施例はカバー層１１を欠いている。 図５に示す実施例では、くぼみ部１３とウイッキング層１４との間に液体捕捉 層１９がある。この層は、液体受容性（liquid receptability）と湿潤復元性 が高い材料で構成されていなければならない。すなわち湿潤状態でさえもその粗 い繊維構造を保持しなければならない。適切な材料の例は、例えば湿潤ポリマー 材料の形態の合成繊維材料；機械パルプ、熱機械パルプおよび化学熱機械パルプ （いわゆるＣＴＭＰパルプ）のセルロース繊維；または化学的に強化されたセル ロース繊維である。また層１９は、湿潤すると膨潤する材料、例えば圧縮乾燥し て成形されたシートパルプで構成されていてもよい。 貯蔵層１２の繊維材料は、気孔容積が比較的小さくて液体分散性が高いフラッ フパルプなどの繊維材料で実質的に構成されていなければならない。化学的に製 造され、本質的に純粋なセルロースの微細繊維からなるフラッフパルプは一般に 液体分散性が優れている。例えば約０．１２ｇ／ｃｍ³を超える密度まで圧縮さ れたＣＴＭＰのフラッフパルプでさえも液体分散特性が比較的優れている。 液体分散特性が優れているその外の材料は例えばＣＴＭ Ｐまたは化学パルプの圧縮乾燥して成形したシートパルプである。このような材 料は国際特許願公開第ＷＯ ９０／０５０８号に記載されている。 ウイッキング層１４の繊維材料は、分散特性が優れている、上記の化学的フラ ッフパルプの乾燥成形シートパルプなどの繊維材料で実質的に構成されていなけ ればならない。 液体捕捉部分１１，１３の密度は０．０２〜０．２ｇ／ｃｍ³でなければなら ず０．０６〜０．１５ｇ／ｃｍ³が好ましい。貯蔵層１２の密度は０．１〜１． ０ｇ／ｃｍ³でなければならず０．１２〜０．６ｇ／ｃｍ³が好ましい。ウイッキ ング層１４の密度は０．０８〜１．０ｇ／ｃｍ³でなければならず０．１２〜０ ．６ｇ／ｃｍ³が好ましい。上記の密度の値はセルロースフラッフパルプ製の吸 収性体に当てはまる。他のタイプの吸収性材料の場合、他の密度が適しているこ とがある。 液体捕捉部分１１，１３と、貯蔵層１２およびウイッキング層１４との間の気 孔寸法の差は層の間の密度の差で達成できるが、同じ密度でも異なるタイプの繊 維材料で所望の気孔寸法の差を達成することができる。 液体捕捉部分１１，１３は、その部分の全乾燥重量に対して高吸収性材料を０ 〜３０％含有し、好ましくは２〜１５％含有している。フレーク、繊維、顆粒、 粉末などの形態の高吸収性材料を、繊維材料と混合して、実質的に均一に分布さ せるか、または特定の部分に他の部分より高い比率で高吸収性材料を含有させる ことが好ましい。その目的 は、液体が貯蔵層１３とウイッキング層１４によって排出された後でも液体捕捉 部分１１，１３中に残っている液体を吸収し捕捉することである。このことによ ってユーザに対して最も近くに乾燥面が提供される。というのは液体捕捉部分１ １，１３中の繊維間の空間には液体がほとんどないからである。 液体捕捉部分１１，１３中の高吸収性材料は、粗い繊維構造が、この部分に、 湿潤した後でさえも残るようにゲル強度が高くなければならず、このことはそれ の吸収速度が比較的低くても有利である。勿論、液体捕捉部分１１，１３は高吸 収性材料を全く含有しない場合もある。 貯蔵層は同様に、この層の全乾燥重量に対して高吸収性材料を好ましくは２〜 ８０％含有し、更に好ましくは１０〜５０％含有している。フレーク、繊維、顆 粒、粉末などの形態の高吸収性材料が、繊維材料と混合させるかまたは一つ以上 の層の形態で繊維の層の問に適用される。高吸収性材料は、貯蔵層１２中に均一 に分布させるかまたは吸収性体の長さおよび／または厚みを横切って濃度を変え る。 貯蔵層１２として高吸収性材料の本質的に純粋の層を備えることも考えられる 。 貯蔵層１２中の高吸収性材料は、液体の分散を妨害したり遅らせないため、圧 力下吸収容量が高いことが好ましく、すなわち通常起こる圧縮力によってほとん ど影響を受けずに膨潤する容量をもっていることが好ましい。これら高吸収性材 料の特徴は架橋度が高いことであり、このことによって、架橋度が低いゲルと比 べて圧縮することが一層困 難になる。 勿論貯蔵層１２は高吸収性材料を全く含有していない場合もある。 ウイッキング層１４は、高吸収性材料を含有していないかまたはごく少量しか 含有しない方が好ましい。 排出される体液（この場合は尿である）は、液体捕捉部分１１，１３によって 迅速に吸収され、次いで直接にまたはウイッキング層１４を通じて第二吸収層１ ２中に拡散され、そこに貯蔵される。液体捕捉部分１１，１３中の繊維材料と貯 蔵層１２中の繊維材料の毛管の大きさの差によって、液体捕捉部分１１，１３か ら貯蔵層１２またはウイッキング層１４に向かって吸込み力が直接生じる。 液体捕捉部分１１，１３は液体を排出して次の液体吸収量を受け入れる準備が なされる。貯蔵層１２には、何回もの液体吸収量を貯蔵する容量がある。 くぼみ部１３には何種類もの形態と大きさがある。しかし、くぼみ部１３は、 吸収性体の予想湿潤領域に配置された部分すなわち吸収性体の前部の方にずれた 部分を備えていることが重要である。くぼみ部１３は、図６に示すように、吸収 性体を横切って縦方向の側部端縁１５，１６の方に外側へ延びてもよくまたは図 ２に示すように側部端縁の内側で終っていてもよい。これら両実施例では、くぼ み部１３は、吸収性体の前部にのみ配置され、吸収性体の前部端縁１７の少し内 側で終っている。しかしくぼみ部１３は該前部端縁まで延び、そして吸収性体の 後部にいくぶん延びてその後部端縁１８まで延びることもあると考えられ る。 追加の変形では、吸収性体が二つ以上のくぼみ部を備えている。このような実 施態様を図８と９に示す。大きなくぼみ部１個の代わりにいくつもの小さいくぼ み部１３を有していることが有利なのは、おむつの湿潤領域は、ユーザが横臥し ているかまたは座っているかによって変化することがありかつユーザが男性か女 性かによって変化するからである。くぼみ部が２個以上ある場合、尿がくぼみ部 の外側の吸収性体にぶつかる危険性が減少する。また小さいくぼみ部は大きなく ぼみ部より迅速に排液され、このことは追加の利点である。またこれらのくぼみ 部は、吸収性体の異なる領域で大きさが異なっていてもよい。 上記吸収性材料は繊維のみに基づいた構造を有している。しかし本発明によれ ば、他のタイプの多孔質吸収性材料、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリ オレフィン類、ビスコースなどのポリマー発泡体、または多孔質の高分子マクロ 構造体を用いることができる。液体捕捉部分と貯蔵部分との間の所望の気孔の大 きさの差は、同様にかような材料によって簡単に達成することができる。繊維と 発泡体材料の組合わせも利用できる。 気孔寸法という用語は本明細書で使用する場合、その構造体が乾燥状態で有し ている有効平均気孔寸法を意味する。繊維構造体の有効平均気孔寸法を測定する 方法はヨーロッパ特許第０４７０３９２号に記載されている。 他の実施態様では、液体捕捉部分として、特にくぼみ部１３として、湿潤時に 膨張する硬質圧縮材料を用いている 。失禁を繰返すと、この材料は気孔が膨張して気孔容積が増大する。このような 材料の例は、圧縮乾燥して成形されたシートパルプ、化学的に強化されたセルロ ース繊維の圧縮構造体、および圧縮熱結合繊維構造体（湿潤すると熱結合部が切 断し、構造体が膨張可能になる）である。 本発明の吸収性体とくぼみ部１３なしの吸収性体とを比較するいくつかの比較 試験結果を以下に説明する。実施例 ２種のフラッフパルプ体ＡとＢ（１０×２８ｃｍ）について瞬間吸収性と再湿 潤度を試験した。各フラッフパルプ体は、軟木材のＣＴＭＰパルプ製上層、軟木 材の化学パルプ製で前記上層の下側に配置された貯蔵層、および軟木材の化学パ ルプ製で貯蔵層の下側に配置された分散層で構成されている。試料体Ａの上層は 、フラッフパルプ繊維と本質的に均一に混合された１．２ｇの高吸収性材料を含 有し、一方試料体Ｂの上層は同じ高吸収性材料を０．８ｇ含有し、本質的に均一 に混合されている。試料体Ａの上層の表面重量は、４００ｇ／ｍ²であった。試 料体Ｂの上層の表面重量は２００ｇ／ｍ²であった。試料体Ｂは上層と材料およ び密度が同一のくぼみ部を備えていた。くぼみ部は、直径９ｃｍの円形の断面積 であった。くぼみ部領域中の試料体Ｂの平均密度は０．０７ｇ／ｃｍ³であった が、くぼみ領域の外側の平均密度は０．１１ｇ／ｃｍ³であった。 試料体Ａの貯蔵層は、表面重量が６００ｇ／ｍ²で密度は０．１２５ｇ／ｃｍ³ であった。貯蔵層のすぐ下側に、すなわち貯蔵層とウイッキング層の間に４．５ ｇの高吸収 性材料の層を入れた。ウイッキング層の表面重量は３００ｇ／ｍ²であった。試 料体Ａの平均密度は０．２ｇ／ｃｍ³であった。 試料体Ｂの貯蔵層は、表面重量が５００ｇ／ｍ²で密度は０．１２５ｇ／ｃｍ³ であり、かつ試料体Ａと同じ高吸収性材料４．６ｇを含有し、この材料はフラッ フパルプ中に本質的に均一に混合した。試料層Ｂ中のウイッキング層は表面重量 が２５０ｇ／ｍ²であった。瞬間吸収性 特定の時間間隔をおいて、液体（０．９％ ＮａＣｌ溶液）を６０ｍｌずつ４ 回添加した。上記液体がすべて吸収されるまでに要した時間を測定した（目視測 定）。測定結果を棒グラフの形態で図１０に示す。試料体Ｂは、瞬間吸収性が、 特に第二回、第三回および第四回の湿潤時に試料体Ａより著しく優れていた。試 料体Ｂは、湿潤を繰返している間、その迅速な瞬間吸収性を保持していた。再湿潤度 再湿潤度は、湿潤場所の上に濾紙を置き、次に１．１ｋｇ（２．８ｋＰａ）の おもりを１５秒間のせることによって第四回目の液体を添加する直前に測定した 。おもりをのせる前後に濾紙を秤量し再湿潤度を記録した。試料体Ａの再湿潤度 は３．５ｇであり試料体Ｂの再湿潤度は２．３ｇであった。すなわち試料体Ｂの 方が再湿潤度が低かった。 結論として、これらの試験結果は、本発明の液体捕捉くぼみ部を有する試料体 が、特に湿潤を繰返した場合、瞬間吸収性が有意に改善されていることを示して いる。さらに 本発明の液体捕捉くぼみ部を有する試料体は再湿潤度が低かった。したがって本 発明は吸収特性に非常に優れた吸収性体を達成したのである。

【手続補正書】特許法第１８４条の７第１項 【提出日】１９９５年５月２９日 【補正内容】 請求の範囲 １．液体捕捉部分（１３；１１，１３）および液体捕捉部分に隣接する液体貯 蔵部分（１２）を含んでなる、おむつ、失禁用パッド、生理用ナプキンなどの吸 収性物品中の吸収性体であって； 前記液体捕捉部分が吸収性体の予想湿潤領域に配置された少なくとも一つのく ぼみ部（１３）を含んでなり、前記くぼみ部が深さ方向に液体貯蔵部分（１２） を通過して延びかつ液体貯蔵層（１２）の下側に配置された液体ウイッキング層 と液体で連通し、そして液体捕捉部分（１２）には第一有効平均気孔寸法を有す る第一吸収性構造体が配置され、くぼみ部（１３）を含む液体捕捉部分には一つ 以上の第二吸収性構造体が配置されこれら第二吸収性構造体は各々有効平均気孔 寸法が第一平均気孔寸法より大きいことを特徴とする吸収性体。 ２．第一および／または第二の吸収性構造体が親水性繊維材料を含んでなるこ とを特徴とする請求の範囲１記載の吸収性体。 ３．第一および／または第二の吸収性構造体がポリマー発庖体の材料を含んで なることを特徴とする請求の範囲１または２に記載の吸収性体。 ４．液体捕捉部分（１３；１１，１３）が、液体貯蔵部分（１２）より密度が 低いことを特徴とする請求の範囲１〜３のいずれか一つに記載の吸収性体。 ５．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の密度が０．０２〜０．２ｇ／ｃｍ³ で好ましくは０．０６〜１５ｇ／ ｃｍ³であり、そして液体貯蔵部分（１２）の密度が０．１〜１．０ｇ／ｃｍ³で 好ましくは０．１２〜０．６ｇ／ｃｍ³であることを特徴とする請求の範囲２記 載の吸収性体。 ６．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の繊維材料が粗い繊維構造と低い液体 分散性を有し、そして液体貯蔵部分（１２）の繊維材料が液体捕捉部分（１３； １１，１３）の繊維材料より高い液体分散性を有していることを特徴とする請求 の範囲２，４または４に記載の吸収性体。 ７．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の繊維材料の主要部が、機械パルプ、 熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、化学的に強化されたセルロース繊維のパルプ 、合成繊維またはその混合物であることを特徴とする請求の範囲６記載の吸収性 体。 ８．液体貯蔵部分（１２）の繊維材料の主要部が化学パルプであることを特徴 とする請求の範囲４〜７のいずれか一つに記載の吸収性体。 ９．液体貯蔵部分（１２）の繊維材料の主要部が乾燥成形されたシートパルプ であることを特徴とする請求の範囲４〜７のいずれか一つに記載の吸収性体。 10．液体捕捉部分（１３；１１，１３）が、この部分の全乾燥重量に対して高 吸収性材料を、０〜３０％好ましくは２〜１５％含有していることを特徴とする 請求の範囲１〜９のいずれか一つに記載の吸収性体。 11．液体貯蔵部分（１２）が、この部分の全乾燥重量に対して高吸収性材料を 、２〜８０％好ましくは１０〜５０ ％含有していることを特徴とする請求の範囲１〜１０のいずれか一つに記載の吸 収性体。 12．液体貯蔵部分（１２）が、粒子形態の高吸収性材料の層で構成されている ことを特徴とする請求の範囲１記載の吸収性体。 13．吸収性体がその予想湿潤領域に分布した二つ以上のくぼみ部（１３）を含 んでなることを特徴とする請求の範囲１〜１２のいずれか一つに記載の吸収性体 。 14．液体捕捉部分が、液体貯蔵部分（１２）の少なくとも実質的な部分をカバ ーするカバー層（１１）を含んでなることを特徴とする請求の範囲１〜１３のい ずれか一つに記載の吸収性体。 15．液体捕捉部分のカバー層（１１）およびくぼみ部（１３）が互いに一体に なっておりかつ同種類の材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲１４ 記載の吸収性体。 16．液体捕捉部分のカバー層（１１）およびくぼみ部（１３）が異なる種類の 材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲１４記載の吸収性体。 17．カバー層（１１）がくぼみ部（１３）に隣接する部分（１１ｂ）を有し、 この部分（１１ｂ）は隣接するカバー層の部分（１１ａ）より密度が高いことを 特徴とする請求の範囲１５または１６に記載の吸収性体。 18．使用状態でみたとき吸収性体のカバー層（１１）の後部に位置する部分（ １１ａ）は前記の一層圧縮された部分（１１ｂ）より密度が低く、そして前記後 部（１１ａ） が前記の一層圧縮された部分（１１ｂ）のマージンによってくぼみ部（１３）か ら隔離されていることを特徴とする請求の範囲１７記載の吸収性体。 19．前記マージン（１１ｂ）の吸収性体の縦方向の寸法が５〜５０ｍｍである ことを特徴とする請求の範囲１８記載の吸収性体。 20．液体吸収容量と湿潤弾力性が高いか、または代わりに湿潤状態で膨潤する 容量を有する材料、例えば合成繊維材料；ポリマー発泡体材料；機械パルプ、熱 機械パルプもしくは化学熱機械パルプのセルロース繊維；化学的に強化されたセ ルロース繊維のパルプ；または乾燥成形された圧縮シートパルプの層（１９）が くぼみ部（１３）と貯蔵層（１４）の間に配置されていることを特徴とする請求 の範囲１〜１９に記載の吸収性体。 21．液体透過性ジャケット（３）と液体不透過性ジャケット（２）の間に包み 込まれている請求の範囲１〜１９のいずれか一つに記載の吸収性体を含んでなる おむつ、失禁用保護体、生理用ナプキンなどの吸収性物品。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨステルダール， エイエ スウェーデン， エス−426 58 ヴェス トラ フリョルンダ， リョディングスガ タン 13

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．液体捕捉部分（１３；１１，１３）および液体捕捉部分に隣接する液体貯 蔵部分（１２）を含んでなる、おむつ、失禁用パッド、生理用ナプキンなどの吸 収性物品中の吸収性体であって； 前記液体捕捉部分が吸収性体の予想湿潤領域に配置された少なくとも一つのく ぼみ部（１３）を含んでなり、前記くぼみ部が深さ方向に液体貯蔵部分（１２） を通過して延びかつ液体貯蔵層（１２）の下側に配置された液体ウイッキング層 と液体で連通し、そして液体捕捉部分には第一有効平均気孔寸法を有する第一吸 収性構造体が配列され、液体貯蔵部分（１２）には第一平均気孔寸法より小さい 第二有効平均気孔寸法を有する第二吸収性構造体が配置されていることを特徴と する吸収性体。 ２．第一および／または第二の吸収性構造体が親水性繊維材料を含んでなるこ とを特徴とする請求の範囲１記載の吸収性体。 ３．第一および／または第二の吸収性構造体がポリマー発泡体の材料を含んで なることを特徴とする請求の範囲１または２に記載の吸収性体。 ４．液体捕捉部分（１３；１１，１３）が、液体貯蔵部分（１２）より密度が 低いことを特徴とする請求の範囲１〜３のいずれか一つに記載の吸収性体。 ５．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の密度が０．０２〜０．２ｇ／ｃｍ³ で好ましくは０．０６〜１５ｇ／ｃｍ³であり、そして液体貯蔵部分（１２）の 密度が０． １〜１．０ｇ／ｃｍ³で好ましくは０．１２〜０．６ｇ／ｃｍ³であることを特徴 とする請求の範囲２記載の吸収性体。 ６．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の繊維材料が粗い繊維構造と低い液体 分散性を有し、そして液体貯蔵部分（１２）の繊維材料が液体捕捉部分（１３； １１，１３）の繊維材料より高い液体分散性を有していることを特徴とする請求 の範囲２，４または５に記載の吸収性体。 ７．液体捕捉部分（１３；１１，１３）の繊維材料の主要部が、機械パルプ、 熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、化学的に強化されたセルロース繊維のパルプ 、合成繊維またはその混合物であることを特徴とする請求の範囲６記載の吸収性 体。 ８．液体貯蔵部分（１２）の繊維材料の主要部が化学パルプであることを特徴 とする請求の範囲４〜７のいずれか一つに記載の吸収性体。 ９．液体貯蔵部分（１２）の繊維材料の主要部が乾燥成形されたシートパルプ であることを特徴とする請求の範囲４〜７のいずれか一つに記載の吸収性体。 10．液体捕捉部分（１３；１１，１３）が、この部分の全乾燥重量に対して高 吸収性材料を、０〜３０％好ましくは２〜１５％含有していることを特徴とする 請求の範囲１〜９のいずれか一つに記載の吸収性体。 11．液体貯蔵部分（１２）が、この部分の全乾燥重量に対して高吸収性材料を 、２〜８０％好ましくは１０〜５０％含有していることを特徴とする請求の範囲 １〜１０のい ずれか一つに記載の吸収性体。 12．液体貯蔵部分（１２）が、粒子形態の高吸収性材料の層で構成されている ことを特徴とする請求の範囲１記載の吸収性体。 13．吸収性体がその予想湿潤領域に分布した二つ以上のくぼみ部（１３）を含 んでなることを特徴とする請求の範囲１〜１２のいずれか一つに記載の吸収性体 。 14．液体捕捉部分が、液体貯蔵部分（１２）の少なくとも実質的な部分をカバ ーするカバー層（１１）を含んでなることを特徴とする請求の範囲１〜１３のい ずれか一つに記載の吸収性体。 15．液体捕捉部分のカバー層（１１）およびくぼみ部（１３）が互いに一体に なっておりかつ同種類の材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲１４ 記載の吸収性体。 16．液体捕捉部分のカバー層（１１）およびくぼみ部（１３）が異なる種類の 材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲１４記載の吸収性体。 17．カバー層（１１）がくぼみ部（１３）に隣接する部分（１１ｂ）を有し、 この部分（１１ｂ）は隣接するカバー層の部分（１１ａ）より密度が高いことを 特徴とする請求の範囲１５または１６に記載の吸収性体。 18．使用状態でみたとき吸収性体のカバー層（１１）の後部に位置する部分（ １１ａ）は前記の一層圧縮された部分（１１ｂ）より密度が低く、そして前記後 部（１１ａ）が前記の一層圧縮された部分（１１ｂ）のマージンによっ てくぼみ部（１３）から隔離されていることを特徴とする請求の範囲１７記載の 吸収性体。 19．前記マージン（１１ｂ）の吸収性体の縦方向の寸法が５〜５０ｍｍである ことを特徴とする請求の範囲１８記載の吸収性体。 20．液体吸収容量と湿潤弾力性が高いか、または代わりに湿潤状態で膨潤する 容量を有する材料、例えば合成繊維材料；ポリマー発泡体材料；機械パルプ、熱 機械パルプもしくは化学熱機械パルプのセルロース繊維；化学的に強化されたセ ルロース繊維のパルプ；または乾燥成形された圧縮シートパルプの層（１９）が くぼみ部（１３）と貯蔵層（１４）の間に配置されていることを特徴とする請求 の範囲１〜１９に記載の吸収性体。 21．液体透過性ジャケット（３）と液体不透過性ジャケット（２）の間に包み 込まれている請求の範囲１〜１９のいずれか一つに記載の吸収性体を含んでなる おむつ、失禁用保護体、生理用ナプキンなどの吸収性物品。