【発明の詳細な説明】
ドーピングさせたラニーニッケル型の触媒の存在に
おけるニトリルの、アミンへの接触水素添加方法
本発明は、1種もしくは複数種の付加的元素をドーピングさせたラニー触媒
を用いることによるニトリル特にモノニトリル及び(または)ジニトリルの、モ
ノアミン、ジアミンまたはアミノニトリルへの接触還元という大きな分野に関す
る。
更に特定するに、本発明の主題は、周期律表の第IVb 族から選ばれる付加的
金属元素少なくとも1種をドーピングさせた、Ni/Al/ドーピング元素の冶
金学的先駆体合金より生じるラニーニッケル型の触媒を用いたニトリルの、アミ
ンへの水素添加例えばモノニトリル及び(または)ジニトリルの、モノアミン及
び(または)ジアミンへの水素添加方法である。
ニトリルの、アミンへの還元、例えばジニトリルの、ジアミンへの還元は、
アミン特にジアミンが、例えば他の二官能価モノマーとの重縮合反応で反応性モ
ノマーとして多く用いらる化合物故に、化学工業上最重要に思える化学的転化で
ある。この大規模な工業的次元の特に例証的な例はアジポニトリルのそれで、こ
のものはヘキサメチレンジアミンに水素添加することができる。この最後の化合
物は、ポリアミド−6,6の製造におい
て基本的なモノマーの一つであり、その重要性については既知である。
このニトリルの、アミンへの還元はまた、ジニトリルの、アミノニトリルへ
の転化例えばアジポニトリルの、アミノカプロニトリルへの転化を含むものとし
て理解されねばならない。なお、アミノカプロニトリルは環化加水分解によりカ
プロラクタムに転化することができる。カプロラクタム自体も、それがポリアミ
ド−6のモノマーを構成するので、ポリマー繊維化学において基本的な化合物で
ある。
ニトリルの、アミンへの水素添加は通常、随意ドーピングさせたラニーニッ
ケルの触媒担体を用いて実施される。これら触媒は、アルミニウムに富むAl/
Ni合金からアルミニウムを強アルカリ媒体に浸出させることにより調製される
。得られた触媒は、高い比表面積及び可変性残留アルミニウム含分を有するニッ
ケル微結晶の凝集物よりなる。
ニッケル/アルミニウム合金への金属添加によるラニーニッケルの構造上の
、また電子工学上の要素の変性は既に観察されている。ドーピング剤の添加は通
常、溶融状態のNi/Al先駆体合金への導入により実施される。それは冶金学
的ドーピングに関する。かくして、種々の金属促進剤(Fe、Co、Cr、Mn
、V、Mo、Zr、TaもしくはTi)によるラニーニッケルのドーピング並び
にその、活性に関する効果、触媒の選択性及
び安定性は豊富な科学文献ないし技術文献の主題を構成する。
Freidlin等の論文(Russian Chemical Revi
ew、Vol.33、No.6、1964年6月)はジニトリルの接触還元に関
し、種々の水素添加条件(温度、水素圧(PH2)、反応媒体)下で用いられるド
ーピングさせた、若干数のラニー触媒を列挙している。特に、クロム、銅及びチ
タンをドーピングさせたラニーニッケルに言及している。クロムをドーピングさ
せたラニーNiを用いて、50℃の温度、約0.35MPaの水素圧で、NaO
Hの存在下、無水酢酸中で水素添加を実施し、アジポニトリルからジアミンに関
し77%の選択性を得ている。チタンをドーピングさせたラニーNiについて言
えば、反応媒体はブタノール及びアンモニアを含み、温度は140℃〜180℃
であり、水素圧は約14MPaであり、そしてジシアノベンゼンからのジアミン
に関する選択性は60%である。また、ドーピング元素(例えばTi)は、Ni
に関し4重量%以上の量で存在するように思われる。
この従来文献に記載されている、ドーピングさせたラニーNiを用いたジニ
トリルの水素添加で得られる選択性は比較的低いことが観察される。加えて、或
る場合、温度及び水素圧の如き反応条件は、それらがプロセスの実行上の簡便さ
やその経済性に有害なほど高いレベ
ルである。
特許FR−A2,068,963は、冶金学的ルートによりクロムをドーピ
ングさせたラニーNi触媒に関する。
ドーピング剤としてクロムを用いる第一の不利益は、この金属が或る場合、
汚染に関して問題を惹起しうるとみなされうる事実による。
第二の不利益は、クロムがニトリル水素添加不純物例えばジアミノシクロヘ
キサン(DCH)の無視し得る含分を達成し得ないことである。かかる不純物は
、それらが目標のアミンとほぼ同じ沸点を有し、かくして除去することが非常に
困難な故に特に厄介なものである。
それ故、ドーピングさせたラニーNi型の触媒によりニトリルをアミンに水
素添加させる条件特にジニトリルをアミノニトリル及び(または)ジアミンに水
素添加させる条件を、特に最終触媒の活性、選択性及び安定性のみならず作動条
件に関しても最適化することに対し特定の工業的ニーズが存在する。
かかる最適化は本発明の本質的主題の一つを構成し、而してそれは、実行容
易で、非汚染性で且つ経済的であるニトリルの、アミンへの水素添加方法にして
、一方では、出発ニトリル基質に関し90%を上回るジアミン選択性を達成し、
他方では不純物をできるだけ減ずることを可能にする方法よりなる。
それ故、更に特定するに、本発明は、ラニーNi型
の触媒を用いたニトリルの、アミンへの水素添加方法にして、
− 該触媒が、周期律表の第IVb 族から選ばれる付加的金属元素少なくとも1種
をドーピングさせ、しかもNi/Al/ドーピング元素の冶金学的先駆体合金よ
り生じることを特徴とし、そして該方法が本質上、
− 水素添加すべきニトリル基質を溶解する液状反応媒体を選択し、
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる無機塩基少なく
とも1種を用い、
− そしてドーピング元素/Ni重量比が0.05〜10%範囲である触媒を採
用することを特徴とする方法に関する。
一方で特定量の付加的元素をドーピングさせたラニーNi触媒と他方で慎重
に選定された反応条件との間の技術的妥協から生じる顕著な水素添加方法を発展
させたことは本出願人の手柄である。
かくして、本方法で用いるドーピングさせたラニーNi触媒は、溶融Ni/
Al先駆体合金(Ni含分28〜59%w/w)にして、このものに少なくとも
1種の付加的金属元素好ましくはチタンをいわゆる「冶金学的」ドーピング手法
に従い添加することから得られる。冷却後、ドーピングさせた先駆体合金は通常
、アルミニウムの、また随意ドーピング元素の小部分の多少とも有意な除去を惹
起するアルカリ侵食に付される。
用いる出発合金は、下記形状の二元ニッケル/アルミニウム組合せ物から選
ばれる:NiAl3、Ni2Al3及びAl/NiAl3初晶。
本発明に従えば、遷移元素の第IVb 族の金属からドーピング剤を選ぶことは
有利である。
チタンはラニーNiの付加的元素として特に適するとわかった。定量的レベ
ルに基づいて、ドーピング剤は好ましくは、その除去を考慮に入れるようにして
アルカリ侵食前先駆体合金中に過剰投与される。
実際には、完成触媒に関し0.6〜4.5%で変動するTi/Ni重量比が
好ましい。
更に特定するに、しかし非制限的に、この方法は式(I):
NC−R−CN (I)
のニトリル基質に適合する。
式中、Rは炭素原子1〜12個を有する線状ないし枝分れアルキレンまたはアル
ケニレン基或は置換ないし未置換アリーレンまたはアラールキレンまたはアラー
ルケニレン基を表わす。
好ましくは、本発明方法において、式(I)中Rが炭素原子2〜6個を有す
る線状ないし枝分れアルキレン基を表わすジニトリルが用いられる。
かかるジニトリルの例として、特にアジポニトリル、メチルグルタロニトリ
ル、エチルスクシノニトリル、マロロニトリル、スクシノニトリル及びグルタロ
ニ
トリル並びにこれらの混合物特に、アジポニトリルの同じ合成プロセスから生じ
るアジポニトリル、メチルグルタロニトリル及びエチルスクシノニトリル混合物
を挙げることができる。
ニトリル基質例えばアジポニトリルの、反応媒体への導入は、反応媒体の全
重量に関し0.001%〜30%(w/w)好ましくは0.1%〜20%(w/
w)の濃度を観察しながら実施される。
用いられる強塩基は好ましくは次の化合物から選ばれる:LiOH、NaO
H、KOH、RbOH、CsOH及びこれらの混合物。
実際には、性能−価格間の十分な妥協案としてNaOH及びKOHが優先的
に用いられるが、RbOH及びCsOHが一層良好な結果をもたらす。
水素添加反応媒体は好ましくは液状である。これは、水素添加すべきニトリ
ル基質を溶解させることのできる溶剤少なくとも1種を含有する。而して、該基
質が溶液状であるとき、この転化が一層容易に生じることは知られている。
本発明に従った方法の有利な実施態様に従い、少なくとも部分的に水溶性の
液状反応媒体が利用される。水は、全反応媒体に関し概ね50重量%以下の量、
有利には20重量%以下の量で存在する。更に好ましくは、反応媒体の水分は該
媒体の構成成分すべてに関し0.1〜15重量%範囲である。
水の補体または代用として、アルコール及び(または)アミドタイプの他の
溶剤少なくとも1種を供することは可能である。特に適するアルコールは、例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エ
チレン及び(または)プロピレングリコールの如きグリコール類、ポリオール並
びに(或は)これら化合物の混合物である。
溶剤がアミドよりなる場合、それは、例えばジメチルホルムアミドまたはジ
メチルアセトアミドでありうる。
それを水と一緒に用いるとき、好ましくはアルコール性である溶剤は、重量
で水1部当り2〜4部を占め、好ましくは水1部当り3部である。
本発明の別の好適な特性に従えば、その調製が本方法の目標であるアミンを
反応媒体に混入する。それは、例えばニトリル基質がアジポニトリルであるとき
、ヘキサメチレンジアミンである。
反応媒体中の目標アミンの濃度は有利には、該反応媒体に含まれる溶剤すべ
てに関し50〜99重量%範囲、より好ましくは60〜99重量%範囲である。
反応媒体中の塩基の量は、反応媒体の種類に従って変動する。
反応媒体が、液状溶剤として水及び目標アミンのみを含有するとき、塩基の
量は有利には触媒1kg当り0.1モル以下、好ましくは触媒1kg当り0.1
〜
2モル範囲、より好ましくは触媒1kg当り0.5〜1.5モル範囲である。
反応媒体が水とアルコール及び(または)アミドよりなる場合、塩基の量は
触媒1kg当り0.05モル以上であり、好ましくは0.1〜10.0モル/k
g範囲、より好ましくは1.0〜8.0モル/kg範囲である。
反応媒体の組成及び触媒の選択を一度決定したなら、これら二つの成分を混
合し、この混合物を次いで150℃以下、好ましくは120℃以下、より好まし
くは100℃以下の反応温度で加熱する。
具体的に言えば、この温度は室温(約20℃)〜100℃範囲である。
加熱前、或は加熱と同時に、或はまた加熱後、反応チャンバーを適当な水素
圧すなわち、実際には0.10〜10MPaにする。
反応期間は、反応条件及び触媒に従って変動性である。
非連続的作業態様では、それは数分〜複数時間で変動しうる。
本発明に従った方法を企図することが全く可能である連続的作業態様では、
その期間は明らかに、設定しうるパラメーターではない。
注目すべきは、当業者が本発明に従った方法の段階のクロノロジーを作業条
件に従い調整しうることであ
る。上に示した順序は、本発明に従った方法の好ましい、しかし非制限的な態様
に相当するに過ぎない。
本発明に従った水素化(連続的または非連続的態様)を律する他の条件は、
慣用で且つそれ自体既知の技術的準備にかかわる。
上に挙げた有利な準備すべてによって、本発明方法はニトリル基質を、選択
的で、迅速、簡便且つ経済的方法でアミノに水素化させることを可能にする。
この方法は、アジポニトリルを、ポリアミド−6,6の先駆体であるヘキサ
メチレンジアミンに或は、ポリアミド−6の先駆体であるアミノカプロニトリル
に転化させるのに申し分なく適している。
本発明は、本発明に従った、触媒の調製を含む水素添加方法を非制限的態様
で例示する下記例から一層理解され、また本発明の利点及びその実施のための変
法が下記例より明らかになろう。例 チタンをドーピングさせたラニーNi水素添加触媒の調製に関する一般的プロト コール 1.冶金学的ドーピング
種々のNi/Al先駆体合金固相すなわち、NiAl3、Ni2Al3、Ni
Al、Ni3Al、Al/NiAl3先駆体、Al/NiAl3共晶並びにこれら
の混合物が有用である。
本例において、下記のものをテストする:
− キャストされたままで、x%(w/w)のTiを含有する、Ni/Al重量
比(28−x)/72の前共晶合金、
− 835℃で48時間アニールした、(42−x)/58のNi/Al重量比
を有し、x%(w/w)のTiを含有するNiAl3合金、
− 940℃で48時間アニールした、(58−x)/42のNi/Al重量比
を有し、x%(w/w)のTiを含有するNi2Al3合金。
使用チタンは、純度>99.9%のロッドから生じる。
出発合金中1%、2%、3%及び4%の種々のTi/Ni重量比を用いる。
各合金は、それに特有の融点状態にされる。
2.アルカリ侵食
6N水酸化ナトリウム溶液300mlをTeflo
更に、上記合金10.00gを秤量する。
合金を水酸化ナトリウム溶液に、スパチュラを用いて20g/hrの割合で
導入し、媒体の平均温度が50℃を越えないようにする。
合金をすべて加えたとき、泡起終了時まで待ち時間がある。2時間還流させ
た後、固体の沈降による分離によって上澄み液を除去する。触媒を沸騰1N水酸
化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで沸騰6N水酸化ナトリウム
溶液中置換させる。2時間還流させた後、濃度が6N、3N、2N及び1Nに低
下する、沸騰水酸化ナトリウム溶液で触媒を洗浄する。
固体をフラスコに回収し、低温1N水酸化ナトリウム溶液で貯蔵する。例1〜7並びに比較試験A及びB 非連続的態様水素添加:接触試験
1.装置:
反応器は316Lステンレス鋼製の150mlオートクレーブである。これ
には、良好な気/液トランスファーをもたらす電磁撹拌機系(1500rpm、
磁気バー及びカウンターブレード)が設けられている。温度調節式加熱スリーブ
により加熱を実施する。オートクレーブ上にある鋼製滴下漏斗によって、水素添
加基質を導入する。それは、半連続式反応器の場合、高圧ポンプを用いて導入す
ることもできる。記録計に連結せるマノメーターを設置した貯蔵所に水素を5M
Pa下で貯蔵する。それを一定の反応圧力で集成装置に圧力開放する。水素貯蔵
所での圧力低下を記録することにより、反応の動力学がモニターされる。鋼製フ
ィルターを備えたディップパイプを経て、分析用に意図した水素添加試料を引き
出す。
2.使用化合物:
− 99.9%のアジポニトリル(Rhone−Poulenc、分子量=10
8.15)、
− 99.9%のヘキサメチレンジアミン(Rhone−Poulenc、分子
量=116.21)、
− 99.995容量%U水素、
− 99.8%のエタノール、
− 蒸留水、
− 98%の水酸化ナトリウム、86%の水酸化カリウム、
− 触媒:前記の、Tiをドーピングさせたラニーニッケル。
3.非連続的テストの進行
3.1.装入材料:
− アジポニトリル(ADN):6.0g(0.055モル)
− 水素:過剰(>0.222モル)
− 反応媒体:ヘキサメチレンジアミン(HMD)、H2O及び反応溶剤を構成
する概ねEtOH+NaOHもしくはKOHアルカリ塩基:42.0g(反応媒
体中0.10%のNaOHもしくはKOH)、
− 触媒:0.40g。
3.2.手順
過剰のラニーニッケルスラリー(1〜2g)を引き出し、該触媒を蒸留水5
0mlで6回洗浄する。触媒0.40gを比重びんで厳密に秤量する。次いで、
オートクレーブに湿潤ラニーニッケルを導入する。0.40gの触媒質量では、
通常連行される水の量は0.4g程
度である。この水を、HMD/エタノール/水が60/30/10(例1〜6並
びに比較テストA及びB)或はHMD/水が98/2(例7)でなければならな
い反応溶剤の組成において斟酌する。アルカリ塩基は、所要水の百分率を調節す
るのに必要な水の量と共に導入される。これらの処理はすべて、溶剤の炭酸塩化
及び触媒の酸化を最小限にするためにアルゴン雰囲気下で生起させねばならない
。
次いで、オートクレーブを窒素及び水素で掃気する。反応器を次いで80℃
に加熱し、2.5MPaの水素下に保持する。水素貯蔵所における圧力の記録を
開始し、ADNを迅速に加える。水素消費がゼロになったとき、反応の終わりを
よりよく査定するために反応器を更に半時間撹拌状態に置く。
テストの終了時、選択性を決定するために水素添加試料を引き出す。時間を
関数とする水素消費曲線から初期活性及び「平均活性」を演繹する。
3.3.活性の測定
水素消費曲線の初めの勾配は初期速度(Ri)に比例し、そのことは動力学
的意味を有する。この大きさは、触媒質量単位に関し補正した時間単位当りの消
費水素モル数の初期における指数を作成することによって算定される。初期速度
は、1秒につき触媒1kg当り消費される水素のkモルで表わされる。
触媒の性能を十分査定するために、初期活性が早期
エージングによって妨げられないかどうかを知る必要がある。これは、1秒につ
き触媒質量単位当りの全反応時間に対する、活動させられた水素モル数の指数で
ある平均反応速度(Rm)をも測定する理由となる。
Ri及びRmの測定テストの再現性は、10%未満の不確実性を示す。
3.4.選択性(S)の測定
反応の終わりに、水素添加試料を引き出し、イソプロパノールで約40倍希
釈する。この試料を、半毛管カラムを用いた気相クロマトグラフィー(GPC)
で定量分析する。検出器はフレームイオン化検出器である。ADNの水素添加反
応の副生物の定量は内部基準法(ウンデカン)によって実施される。
定量した主要副生物のリストを以下に示す:
HMI: ヘキサメチレンイミン
AMCPA: アミノメチルシクロペンチルアミン
AZCHe: アザシクロヘプテン
NEtHMD: N−エチルヘキサメチレンジアミン
DCH: cis-及びtrans-ジアミノシクロヘキサン
BHT: ビスヘキサメチレントリアミン。
HMDに関する選択性(S)、%は関係式:100−副生物の選択性の合計
により示される。事実、HMDを反応溶剤中で用いるとき、それは非常に厳密に
直接定量される。他方、副生物を全体として見るとき、すべて同定されることが
証明さ
れている。
各副生物についての選択性は、転化したADNに関し形成された副生物のモ
ル%により表わされる。実施される例及び比較テストのすべてにおいて、ADN
の転化率(並びに中間アミノカプロニトリルの転化率)は100%である。
水素添加物中に存在する不飽和生成物のレベルは、ポーラログラフィーによ
って評価することができる。
3.5.例及び比較テストの結果 例1〜6並びに比較テストA及びB
:
HMD/EtOH/H2Oの重量に関し0.10重量%割合のHMD(60
)/EtOH(30)/H2O(10)+NaOH
クロムをドーピングさせたラニーニッケルの触媒性能[比較テスト(Tc)A及
びB]を、テスト2及び6と同じ圧力、温度及び反応媒体条件下で評価する。
テストAの触媒はNiAl3合金から得られる。そのCr/Ni重量比は0
.6%である。
テストBの触媒はNi2Al3合金から得られる。そのCr/Ni重量比は3
.5%である。例7
HMD/H2Oに関し0.01%のHMD(98)/H2O(2)+KOH
得られた結果を下記表1に示す。
注目されるのは、DCH不純物(cis+trans)が非常に少量で存在すること
である。これは、かかる不純物がHMDと事実上同じ沸点を有しそのため除去す
るのが非常に困難である故に、本発明に数えられる有意な利点を構成する。
HMDに関して比較しうる選択性については、Tiをドーピングさせた触媒
は、DCH不純物の含分を実質上制限することを可能にする:
0.028%(例2)対0.044%(比較テストA)並びに0.039%(例
6)対0.065%(比較テストB)。
【手続補正書】
【提出日】1996年10月31日
【補正内容】
1.請求の範囲の欄を別紙の如く補正します。
2.明細書第5頁第11〜13行を下記のように訂正します。
「− ドーピング元素/Ni重量比が0.05〜10%範囲である触媒を採用し
、
− そして水素添加が150℃以下の反応媒体の温度で実施されることを特徴
とする方法に関する。」
請求の範囲
1.ラニーニッケル型の触媒を用いたニトリルの、アミンへの水素添加方法に
して、
− 該触媒が、周期律表の第IVb 族から選ばれる付加的金属元素少なくとも1種
をドーピングさせ、しかもNi/Al/ドーピング元素の冶金学的先駆体合金よ
り生じることを特徴とし、そして該方法が本質上、
− 水素添加すべきニトリル基質を溶解する液状反応媒体を選択し、
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる無機塩基少なく
とも1種を用い、
− ドーピング元素/Ni重量比が0.05〜10%範囲である触媒を採用し、 − そして水素添加が150℃以下の反応媒体の温度で実施され
ることを特徴と
する、方法。
2.式(I):
NC−R−CN (I)
[式中、Rは炭素原子1〜12個を有する線状ないし枝分れアルキレンまたはア
ルケニレン基或は置換ないし未置換アリーレンまたはアラールキレンまたはアラ
ールケニレン基を表わす]
のニトリル基質、好ましくは該式(I)中Rが炭素原子2〜6個を有する線状な
いし枝分れアルキレン基を表わすニトリルが用いられることを特徴とする、請求
項1の
方法。
3.全反応媒体中のニトリル基質の濃度がw/wで0.001%〜30%好ま
しくは0.1%〜20%の値に設定されることを特徴とする、請求項1または2
の方法。
4.液状反応媒体が、好ましくは全液状反応媒体の20重量%以下、より好ま
しくは0.1〜15重量%範囲量の水よりなることを特徴とする、請求項1〜3
のいずれか一項に記載の方法。
5.液状反応媒体が目標アミンを含有することを特徴とする、請求項1〜4の
いずれか一項に記載の方法。
6.目標アミンが液状反応媒体に、全液状反応媒体の重量に関し50〜99重
量%、好ましくは60〜99重量%の割合で導入されることを特徴とする、請求
項5の方法。
7.アルコール及び(または)アミドよりなる液状反応媒体が用いられること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
8.塩基が触媒1kg当り0.1モル以上、好ましくは触媒1kg当り0.1
〜2.0モル範囲、より好ましくは触媒1kg当り0.5〜1.5モル範囲の量
で用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
9.塩基が触媒1kg当り0.05モル以上であり、好ましくは0.1〜10
.0モル/kg範囲、より好ま
しくは1.0〜8.0モル/kg範囲の量で用いられることを特徴とする、請求
項7の方法。
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フロントページの続き
(72)発明者 ロラン,ナタリー
フランス国 エフ69003 リヨン,リュ
デュ ドフィネ,68
(72)発明者 スパンドレ,ジャンフランシス
フランス国 エフ69003 リヨン,リュ
フランソワ ジレ,3