【発明の詳細な説明】
ブロックコポリマーによる酵素安定化技術分野
本発明の分野は、非イオン性のポリエーテル−ポリオールブロックコポリマー
による酵素の安定化である。従来の技術
酵素は一般に、ある特定のプロセス用に設計された水性ベースの液体酵素組成
物(liquid enzymatic composition)中に配合されている。しかしながら、こう
した液体酵素組成物は従来より、化学的安定性等の問題(特に貯蔵に対して、酵
素活性の低下が起こる)を孕んでいる。貯蔵に伴う酵素活性の低下というこの大
きな問題は、液体洗剤工業にとりわけ影響を及ぼしている。
工業製品(例えば液体酵素組成物)を世界中の種々の気候にて倉庫に貯蔵して
おくこと(このとき工業製品は、凍結温度〜50℃以上の温度に長期間さらされる
)は珍しいことではない。0℃〜50℃の範囲の両極端の温度で何ヶ月も貯蔵する
と、殆どの液体酵素組成物は、酵素の不安生成のために酵素活性の20〜100%を
失う。
液体酵素組成物中に含まれている酵素を安定化させるための種々の試みがなさ
れてきた。アルコール、グリセロール、ジアルキルグリコールエーテル、これら
の混合物、およびこの他の化合物を含有した配合物を使用して液体酵素組成物の
安定性を増大させようとした試みは、適度な貯蔵温度範囲であっても十分に成功
をおさめたとは言い難い。
ムンク(Munk)による米国特許第4,801,544号においては、エチレングリコー
ルおよびエトキシル化直鎖アルコール非イオン界面活性剤と炭化水素溶媒とを含
んだシステムを安定剤として使用しており、溶媒/界面活性剤混合物中における
、ミセル中への酵素のカプセル封入を説明している。組成物の水含量を5%未満
に保持し、酵素の安定性を35°F、70°F、および100°Fにてチェックした。
ある特定のエステルを使用して水性酵素調製物(aqueous enzyme preparation)
を安定化させることが、シャアー(Shaer)による米国特許第4,548,727号に説明
されている。安定剤として使用するエステルはRCOOR'という式を有し、こ
のときRは1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは水素原子であり、R'は
1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。エステルは、水性酵素調製物中に
0.1〜約2.5重量%の量にて存在する。特許権者にしたがって使用されている酵素
成分は、約2〜80%の活性酵素、および残りの20〜98%のキャリヤー(例えば、
硫酸ナトリウムもしくは硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、グリセロール、非イ
オン界面活性剤、またはこれらの混合物)を含有した、乾燥粉末、溶液、または
スラリーの形態にて販売されている市販の酵素調製物である。
レットン(Letton)らによる米国特許第4,318,818号は、水性酵素組成物に対
する安定化用システム(カルシウムイオンと低分子量カルボン酸もしくはその塩
を含む)について開示している。この安定化用システムのpHは約6.5〜10であ
る。
ギルバート(Guilbert)らによる米国特許第4,243,543号は、タンパク質分解
酵素を含有した液体洗剤組成物の安定化について開示している。洗剤組成物のp
Hを安定化させつつ洗剤組成物に酸化防止剤や親水性ポリオールを加えることに
よって、洗剤組成物を安定化させている。
ウェバー(Weber)による米国特許第4,169,817号は、安定化酵素を含有した液
体洗浄用組成物(liquid cleaning composition)について開示している。該組
成物は、10〜50重量%の固体を含有した水溶液であり、洗剤ビルダー、界面活性
剤、バシラス・サブチラス(Bacillus subtilus)から誘導される酵素系、およ
び酵素安定剤を含んでいる。この安定剤は水溶性の高いナトリウム塩もしくはカ
リウム塩および/または水溶性のヒドロキシアルコールを含み、この安定剤によ
り、酵素の不活性化を引き起こすことなく水溶液を長期間貯蔵できるようになる
。
ドリット(Dorrit)らによるヨーロッパ特許第0352244A2号は、両性界面活性
剤を使用した安定化液体洗剤組成物(stabilized liquid detergent compositio
n)について開示している。
カミンスキー(Kaminsky)らによる米国特許第4,305,837号は、カルシウムイ
オンと低分子量カルボン酸との、あるいは塩と低分子量アルコールとの安定化用
系(stabilizing system)を含有した安定化水性酵素含有組成物(stabilized a
queousenzyme composition)について開示している。この安定化酵素が洗剤組成
物中に使用されている。洗剤組成物は、式RA(CH2CH2O)nH(式中、Rは
疎水性部分であり、Aは反応性水素原子を有する基をベースにしており、nはエ
チレンオキシド部分の平均数である)を有する非イオン界面活性剤を含んでもよ
い。Rは一般に約8〜22個の炭素原子を有するが、プロピレンオキシドと低分子
量化合物との縮合によって形成させることができる。nは通常、約2〜24の範囲
で変わる。使用する低分子量アルコールは、1〜3個の炭素原子を有する一価ア
ルコールであっても、2〜約6個の炭素原子と2〜約6個のヒドロキシル基を有
するポリオールであってもよい。ポリオールは改良された酵素安定性をもたらす
ことができ、こうしたポリオールとしてはプロピレングリコール、エチレングリ
コール、およびグリセリンなどが含まれる。
タイ(Tai)による米国特許第4,404,115号は、酵素安定剤としてアルカリ金属
ペンタボレート(必要に応じてアルカリ金属亜硫酸塩および/またはポリオール
と併用)を含有した水性酵素含有液体洗浄用組成物(aqueous enzymatic liquid
cleaning composition)について開示している。ポリオールは、2〜6個のヒ
ドロキシル基を有するポリオールであり、1,2−プロパンジオール、エチレン
グリコール、エリスリタン、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グル
コース、フルクトース、ラクトース、およびこれらの類似物などがある。
ボスカンプ(Boskamp)による米国特許第4,462,922号はさらに、ホウ酸もしく
はホウ酸塩とポリオールもしくは多官能アミノ化合物との混合物をベースにした
安定剤(還元用のアルカリ金属塩を併用)を組み込んだ水性酵素含有洗剤組成物
について開示している。カミンスキーらの特許の場合と実質的に同じポリオール
が使用されている。
本発明は、前記の欠点および他の欠点を解消した安定化酵素および安定化酵素
組成物を提供する方法に関する。本発明にしたがって得られる利点は、酵素およ
び安定化酵素組成物を安定化するための新規な方法が得られることである。
発明の開示
本発明は、従来技術の制限や欠点による前記問題点および他の問題点の1つ以
上を実質的に解消した新規な方法と組成物に関する。
本発明のさらなる特徴および利点については後述されており、一部は本文中の
説明から明らかであるか、あるいは本発明を実施することによって理解できるで
あろう。本発明の利点は、特に本文中の説明と請求の範囲において指摘されてい
る方法と組成物によって理解・達成できるであろう。
具象化され幅広く説明されているように、これらの利点および他の利点を達成
するために、また本発明の目的にしたがって、酵素と安定化有効量の非イオンポ
リエーテル−ポリオールブロックコポリマー界面活性剤とを結合させることを含
む、高温または水による酵素活性の低下が起こらないよう酵素を安定化するため
の新規な方法を説明する。
高温での活性低下が起こらないよう酵素を安定化させる場合は、このような温
度より高い曇り点を有するような界面活性剤を選択する。
1つの実施態様においては、非イオンポリエーテル−ポリオールブロックコポ
リマー界面活性剤は、ポリオキシアルキレングリコールエーテルのオール−ブロ
ックコポリマー(all-block copolymer)、ブロック−ヘテリックコポリマー(bl
ock-heteric copolymer)、ヘテリック−ブロックコポリマー(heteric-block cop
olymer)、またはヘテリック−ヘテリック−ブロックコポリマー(heteric-hete
ric-block copolymer)であり(このときアルキレン単位は、2〜約4個の炭素
原子を有する)、特に疎水性ブロックと親水性ブロック(このとき各ブロックは
、少なくともオキシエチレン基、オキシプロピレン基、またはこれらの混合物を
ベースにしている)を有するような界面活性剤である。
本発明はさらに、前記の酵素と界面活性剤をベースとした組成物を含む。
理解しておかなければならないことは、上記の一般的な説明も下記の詳細な説
明も単に代表的なもので説明用のものであり、特許請求している本発明のさらな
る説明を提供すべく意図されている、という点である。
発明を実施するための最良の態様
本発明は、酵素と非イオンポリエーテル−ポリオールブロックコポリマー界面
活性剤とを結合させることによって、高温または水による酵素活性の低下が起こ
らないよう酵素を安定化させる方法に関する。
産業界および商業市場において酵素や酵素含有液体組成物を使用することが、
ここ数年にわたって急速に拡大してきた。よく知られているように、酵素は、そ
れらが活性であるpH範囲に応じて酸性、アルカリ性、または中性になることが
できる。リパーゼ単独であっても、あるいはリパーゼを含んだ酵素であっても(
すなわち、リパーゼと下記の酵素との組み合わせ)使用することができる。これ
らのタイプの酵素はいずれも、本発明と関連させると有用であると考えられる。
多くの酵素や酵素含有液体組成物(liquid enzymatic composition)が液体洗
剤に組み込まれており、可溶化・洗浄用配合物として有用であることが明らかと
なっている。液体洗剤への組み込みの他に、酵素と酵素含有液体組成物は、多く
の異なった商業分野および工業分野(現在、種々の酵素が使用されている)にお
いても有用であることが明らかとなっている。
プロテアーゼは、種々の工業的用途にしばしば使用されている(この場合プロ
テアーゼは、タンパク質やタンパク質含有基質中のペプチド結合を加水分解する
よう作用する)、よく知られた種類の酵素である。プロテアーゼは、タンパク質
ベースのしみ(例えば、血液や卵によるしみ)を除去しやすくするのに使用され
る。アルカリ性プロテアーゼを含有した酵素含有液体組成物はさらに、クーリン
グタワー水中の細菌皮膜や藻類・真菌類マットの分散剤として、そして金属工作
用流体収納ベイとして有用であることがわかっている。
プロテアーゼは、それらが活性であるpH範囲にしたがって、酸性、中性、ま
たはアルカリ性のプロテアーゼとして特徴づけることができる。酸性プロテアー
ゼとしては、微生物レンネット、レンニン(キモシン)、ペプシン、および真菌
酸性プロテアーゼなどがある。中性プロテアーゼとしては、トリプシン、パパイ
ン、ブロメライン/フィシン、および細菌中性プロテアーゼなどがある。アルカ
リ性プロテアーゼとしては、サブチリシン及びこれに関連したプロテアーゼなど
がある。プロテアーゼを含有した市販の酵素含有液体組成物としては、レニラー
ゼR(RennilaseR)、“PTN”(膵臓トリプシンNOVO)、“PEM”(タンパ
ク質分解酵素混合物)、ニュートラーゼR(NeutraseR)、アルカラーゼR(Alcal
aseR)、エスペラーゼR(EsperaseR)、およびサビナーゼTM(SavinaseTM)とい
う商品名
の製品があり、これらはいずれも、コネチカット州ダンバリーのノボ・ノルディ
スク・バイオインダストリーズ社(NOVO Nordisk Bioindustries,Inc.)から市
販されている。この他の市販プロテアーゼとしてはHT-プロテオリティック(H
T- Proteolytic)という商品があり、これはソルベイ・エンザイム・プロダク
ツ(Solvay Enzyme Products)から入手することができる。
アミラーゼ(他の種類の酵素)も多くの工業的・商業的プロセスにおいて使用
されており、この場合これらの酵素は、スターチの加水分解を触媒もしくは促進
するよう作用する。アミラーゼとしては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ア
ミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)、真菌アミラーゼ、及びプルラナーゼ
などがある。アミラーゼを含有した市販の酵素含有液体組成物としては、BAN
、ターマミルR(TermamylR)、AMG、フンガミルR(FungamylR)、およびプロ
モジムTM(PromozymeTM)(これらはノボ・ノルディスクから市販)、そしてジ
アジム(Diazyme)L-200(これはソルベイ・エンザイム・プロダクツから市販
)という商品名の製品がある。
工業的に有用な他の種類の酵素は、繊維の加水分解に影響を及ぼすような酵素
である。これらの種類の酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルロース、ペクチナ
ーゼ、およびβ−グルカナーゼなどがある。セルラーゼは、植物の細胞壁中に生
成する直鎖状グルコースポリマーであるセルロースを分解する酵素である。ヘミ
セルロースは、ヘミセルロース(セルロースと同様に、植物中に見いだされる多
糖である)の加水分解に関与する。ペクチナーゼは、ペクチン〔主成分が糖酸(
sugar acid)であるような炭水化物〕の分解に関与する酵素である。β−グルカ
ナーゼは、β−グルカン(グルコースの直鎖状ポリマーであるという点において
セルロースに類似している)の加水分解に関与する酵素である。
ひとまとめにして言うと、セルラーゼとしては、エンドセルラーゼ、エキソセ
ルラーゼ、エキソセロ−バイオヒドロラーゼ、セロビアーゼ、そして本発明の目
的を達成するためのヘミセルラーゼなどがある。セルラーゼを含有した市販の酵
素含有液体組成物としては、セルクラストR(CelluclastR)およびノボジムR(N
ovozymR)(いずれもノボ・ノルディスクから市販)という商品名の製品があ
る。
使用できるヘミセルラーゼとしてはキシラナーゼがある。パルプジムR(PULPZ
YMR)(ノボ・ノルディスク社から市販)とエコパルプR(ECOPULPR)〔アルコ・
バイオテクノロジー(Alko Biotechnology)社から市販〕は、キシラナーゼをベ
ースとした酵素を含有した市販の酵素含有液体組成物の2つの例である。
1つの種類としてのヘミセルラーゼには、ヘミセルラーゼ混合物およびガラク
トマンナナーゼがある。ヘミセルラーゼを含有した市販の酵素含有液体組成物と
しては、ノボ・ノルディスク社から市販のパルプジムR、アルコ・バイオテクノ
ロジー社から市販のエコパルプR、及びノボジムR280とガマナーゼTM(GamanaseT M
)(この2つはノボ・ノルディスク社から市販)がある。
使用できるペクチナーゼとしては、エンドポリガラクツロナーゼ(endopolyga
lacturonase)、エキソポリガラクツロナーゼ、エンドペクテートリアーゼ(end
opectate lyase)(トランスエリミナーゼ)、エキソペクテートリアーゼ(トラ
ンスエリミナーゼ)、およびエンドペクチンリアーゼ(トランスエリミナーゼ)
がある。ペクチナーゼを含有した市販の酵素含有液体組成物としては、ペクチネ
ックスTMウルトラ(PectinexTM Ultra)SPおよびペクチネックスTM*(いずれ
もノボ・ノルディスク社から市販)という商品名の製品がある。
使用できるβ−グルカナーゼとしては、リチェナス(lichenous)、ラミナリ
ナーゼ(laminarinase)、およびエキソグルカナーゼがある。β−グルカナーゼ
を含有した市販の酵素含有液体組成物としては、ノボジムR234、セレフロR(
CerefloR)、BAN、フィニジムR(FinizymR)、およびセレミックスR(Ceremi
xR)(これらはいずれもノボ・ノルディスク社から市販)という商品名の製品が
ある。
リパーゼのほかに、ホスホリパーゼも使用することができる。リパーゼとホス
ホリパーゼは、脂肪や油脂中のエステル結合を攻撃することによって脂肪や油脂
を加水分解するエステラーゼ酵素である。リパーゼはトリグリセリドに対して作
用し、ホスホリパーゼはリン脂質に対して作用する。工業界では、リパーゼとホ
スホリパーゼが市販エステラーゼの代表的なものである。ノボ・ノルディスク社
は、2つの液体リパーゼ調製物をレシナーゼTM(ResinaseTM)AおよびレシナーゼTM
A2Xという商品名で販売している。
リパーゼを含有した酵素含有液体組成物が市販されている。例えば、このよう
な組成物は、リポラーゼ(Lipolase)100、グリーセックス(Greasex)50L、
パラターゼTM(PalataseTM)A、パラターゼTMM、及びリポジムTM(LipozymeTM
)(これらはいずれもノボ・ノルディスク社から市販)という商品名で市販され
ている。
他の工業的に有用な種類の酵素は、有機化合物の異性体間の転化反応を触媒す
るイソメラーゼである。スウィートジムTM(SweetzymeTM)はグルコースイソメ
ラーゼを含有した酵素含有液体組成物であり、ノボ・ノルディスク社から市販さ
れている。
レドックス酵素は、化学的な酸化/還元反応において触媒として作用する酵素
であり、したがって多くの生化学物質の分解や合成に関与する。現在、レドック
ス酵素の多くは製造工業において重要な位置を占めていない。なぜなら、ほとん
どのレドックス酵素が補因子の存在を必要とするからである。しかしながら、補
因子が酵素の不可欠な部分である場合、あるいは補因子を供給する必要がない場
合、レドックス酵素は工業的に有用である。
レドックス酵素として、グルコースオキシダーゼとリポキシダーゼ(リポキシ
ゲナーゼ)を使用することができる。ステロイド誘導体の酵素合成から診断試験
での適用にわたって使用可能な他のレドックス酵素もある。これらのレドックス
酵素としては、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、アルコール
オキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、スルフ
ヒドリルオキシダーゼ、ヒドロキシラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ラッ
カーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、およびステロイドデヒドロゲナーゼなど
がある。
入手可能な種々の非イオンポリエーテル−ポリオール界面活性剤ブロックコポ
リマーのうちで、好ましい物質は、疎水性ブロックと親水性ブロック(このとき
各ブロックは、少なくとも必要に応じてオキシエチレン基、オキシプロピレン基
、
またはこれらの基の混合物をベースにしているのが好ましい)を有するポリオキ
シアルキレングリコールエーテルを含む。
これらの界面活性剤を得る最も一般的な方法は、少なくとも1つの反応性水素
を有する疎水性物質とエチレンオキシドとを反応させるという方法である。別の
方法としては、予備形成させたポリグリコールと疎水性物質とを反応させる方法
、あるいはエチレンオキシドの代わりにエチレンクロロヒドリンを使用する方法
がある。
反応させる疎水性物質は少なくとも1つの活性水素を含んでいなければならず
、好ましくはアルコールであり、必要に応じて酸、アミド、メルカプタン、アル
キルフェノール、およびこれらの類似物質が使用される。第一アミンも使用する
ことができる。
特に好ましい非イオン界面活性剤は、ブロック重合法によって得られるもので
ある。モノマーの供給量と反応条件を慎重に制御することによって一連の界面活
性剤を製造することができ、このとき親水−親油平衡(HLB)、湿潤力、およ
び起泡力等の特性を正確に且つ良好な再現性が得られるように調節することがで
きる。初期段階ポリマーブロック(initial polymer block)の形成において使
用する初期成分(initial component)の化学的性質によって、界面活性剤の類
別がほぼ決まる。初期成分は疎水性である必要はない。なぜなら、疎水性は2つ
のポリマーブロックのうちの1つから誘導されるからである。最初のポリマーブ
ロック(the firs tpolymer block)の形成における初期成分の化学的性質によ
って、界面活性剤の類別がほぼ決まる。代表的な出発物質または初期成分として
は、一価アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、およびこれらの類似物)、二価物質(例えばグリコール)、グリセロール、
高級ポリオール、エチレンジアミン、およびこれらの類似物などがある。
種々の好ましい界面活性剤(本発明を実施する上で適切なもの)が、シュモル
カ(Schmolka)による「“Non-Ionic Surfactant,”Surfactant Science Series
Vol.2,Schick,M.J.,Ed.Marcel Dekker,Inc.,New York,1967,Chapter10」
(該文献を参照のこと)に説明されている。最初の最も単純なものは、各ブロッ
クが均質であるもの、すなわち各製造工程のモノマー供給において単一のアルキ
レンオキシドが使用されているものである。このような物質を、オール-ブロッ
ク界面活性剤と称している。次の種類はブロック-ヘテリックおよびヘテリック-
ブロックと称するものであり、分子の一部(すなわち、疎水性部分または親水性
部分)が単一のアルキレンオキシドで構成されているが、他の部分が2種以上の
このような物質の混合である(この混合中の1種が分子の均質ブロック部分の物
質と同じであってもよい)。このような物質の製造においては、分子のヘテロ部
分は完全にランダムとなる。これらの非イオン界面活性剤の特性は、オール-ブ
ロック界面活性剤の特性と全く異なる。他の種類は、疎水性部分と親水性部分の
作製での両方の工程においてアルキレンオキシドの混合物を加えることを含むも
のであって、ヘテリック-ヘテリックブロックコポリマーと定義される。
ブロックポリマー界面活性剤は、単官能の出発物質(例えば、一価のアルコー
ル、酸、メルカプタン、第二アミン、またはN−置換アミド)を使用して造られ
るのを特徴とする。このような物質は一般には、次の式で表すことができる。
I-[Am-Bn]x
式中、Iは前記したような出発物質分子である。A部分はアルキレンオキシド単
位を含んだ疎水性部分であって、少なくとも1つの水素原子がアルキル基又はア
リール基で置換されており、mは重合度(通常は約6より大きい)である。B部
分はオキシエチレンのような水溶性付与基(aqueous solubilizing group)であ
って、nは重合度である。xの値はIの官能価である。したがって、Iが単官能
のアルコールまたはアミンであるときは、xは1であり;Iがジオール(例えば
プロピレングリコール)のような多官能の出発物質(polyfunctional starting
material)であるときは、xは2である〔プルロニックR(PluronicR)界面活性
剤の場合がそうである〕。Iが四官能の出発物質(例えばエチレンジアミン)の
ときは、xは4である〔テトロニックR(TetronicR)界面活性剤の場合がそうで
ある〕。このタイプの好ましい界面活性剤はポリオキシプロピレン-ポリオキシ
エチレンブロックコポリマーである。
多官能の出発物質(multifunctional starting material)も、均質ブロック
界
面活性剤を製造するのに使用することができる。
ブロック-ヘテリック物質およびヘテリック-ブロック物質においては、Aまた
はBがオキサイドの混合物(mixture of oxides)であり、残部のブロックが均
質ブロックである。一方のブロックが疎水性部分であり、他方のブロックが親水
性部分である。2つのポリマー単位のいずれかが水溶性付与単位として作用する
が、どちらを使用するかによって特性が異なる。多官能の出発物質も、このタイ
プの物質の製造に使用することができる。
ヘテリック-ヘテリックブロックコポリマーは、前述の方法と実質的に同じ方
法で製造することができる。大きな違いは、各工程におけるアルキレンオキシド
のためのモノマー供給物が2種以上の物質の混合物で構成されている、という点
である。したがって、ブロックはモノマー供給物のランダムコポリマーであり、
溶解性特性(solubility characteristics)は、水溶性とおもわれる物質と水不
溶性とおもわれる物質との相対比によって決まる。
本発明にしたがって使用するポリオキシアルキレングリコールエーテルブロッ
クコポリマーの平均分子量は約500〜30,000であり、特に約800〜25,000であり、
そして好ましくは約1,000〜12,000である。疎水性物質と親水性物質との重量比
は約0.4:1〜2.5:1であり、特に約0.6:1〜約1.8:1であり、そして好ましくは約0.
8:1〜約1.2:1である。
特に好ましい実施態様においては、これらの界面活性剤は次のような一般式を
有する。
RX(CH2CH2O)nH
上記式中、ブロックコポリマーの疎水性部分は約500〜約2,500の、特に約1,000
〜約2,000の、そして好ましくは約1,200〜約1,500の平均分子量を有し、Rは通
常は代表的な界面活性剤用疎水性基であるが、ポリエーテル(例えばポリオキシ
プロピレン基、またはポリオキシプロピレン基とポリオキシエチレン基との混合
)であってもよい。上記式において、Xは酸素、窒素、あるいはポリオキシエチ
レン鎖を疎水性部分に結合させることのできる他の官能基である。殆どの場合、
充分な水溶性を付与して該物質を有用にするためには、n(親水性基中のオキシ
エチ
レン単位の平均数)は約5または約6より大きくなければならない。
ポリオキシアルキレングリコールエーテルは、好ましい非イオンポリエーテル
ポリオールブロックコポリマー界面活性剤である。しかしながら、本発明におい
て有用な他の非イオンブロックコポリマー界面活性剤は、下記の物質を出発物質
として作製した変性ブロックコポリマーである:(a)アルコール,(b)脂肪酸
,(c)アルキルフェノール誘導体,(d)グリセロールとその誘導体,(e)脂
肪アミン,(f)1,4−ソルビタン誘導体,(g)ヒマシ油とその誘導体,およ
び(h)グリコール誘導体。
曇り点は、殆どの非イオン界面活性剤に対して最も大きな特徴の1つであり、
本発明の界面活性剤ブロックコポリマーの形成において反応させたオキシエチレ
ン基、オキシプロピレン基、および/またはオキシブチレン基の数によって異な
る。曇り点はさらに、溶液中の他の成分、界面活性剤の濃度、および系中の溶媒
(存在する場合)の種類によって影響される。雲り点は、温度を上げていって、
非イオン界面活性剤の濁りが急激に始まったときの温度と定義されている。非イ
オン界面活性剤を水中に溶解させた場合、温度を上昇させると水分子の活動度が
高くなり、このため非イオン界面活性剤のポリオキシエチレン基におけるエーテ
ル酸素の脱水和を引き起こすと考えられている。オキシエチレン基の割合が大き
い分子は水和のためのより大きな能力を有しており、したがってより高い曇り点
を有する。このことは、溶液中での酵素の安定化に対して重要なことである。な
ぜなら、酵素の長期安定性は50℃の温度にて評価されるからである。非イオン界
面活性剤の曇り点が50℃未満である場合、溶液が当該温度に達したとき、酵素は
水和しているが、界面活性剤は凝集を起こして水に対する溶解性が低くなる。
曇り点はさらに、水中において逆の温度−溶解性関係(すなわち、溶液の温度
が上昇するにつれて界面活性剤の溶解性が低下する)を示す非イオン界面活性剤
の特徴であると説明されている。この現象は、分子中のポリオキシエチレン単位
と水との間の水素結合のような特異的な相互作用が壊れるためであるとされてい
る。ポリオキシエチレン界面活性剤の成分が溶液から析出し始める温度も、“曇
り点”として定義されている。一般に、ある系列の界面活性剤の曇り点は、オキ
シエチレン基の平均数が大きくなるにつれて増大する。
非イオンポリエーテルポリオール界面活性剤ブロックコポリマー(特に、本発
明のポリオキシアルキレングリコールエーテル界面活性剤ポリマー)の曇り点は
、酵素または酵素系が分解する温度より高く、約0℃〜約110℃であり、特に約1
0℃〜約100℃であり、好ましくは約20℃〜約95℃である。これらの曇り点は、界
面活性剤の1重量%水溶液に関するものである。
発明者らはいかなる理論付けによる限定も行うつもりはないが、本発明の非イ
オン界面活性剤は、配合物中の水の粘度を増大させることによって酵素の安定化
に寄与する、と考えられる。一般には、粘度が高くなると、酵素(例えばプロテ
アーゼ)中のCa++リッチゾーンへの輸送が起こりにくくなる(すなわちイオン
の移動がより遅くなる)。これによって酵素のマトリックスを完全な状態に保持
しやすくなる。しかしながら、本発明にしたがって説明したケースの幾つかにお
いては、安定化のためにより高い粘度は必要ではない。
キレート化剤は一般に、酵素を不活性化し、酵素の分子緊密性(molecular co
mpactness)を低下させ、酵素の変形を引き起こす。非イオン界面活性剤は静電
気による(すなわち酵素上の帯電基による)影響を受けず、したがって酵素の特
殊な構造に影響を及ぼすことはない。
本発明にしたがって使用することのできる適切なポリオキシアルキレングリコ
ールエーテルブロックコポリマーは、1〜約8個の炭素原子を有する脂肪族一価
アルコールの炭化水素部分をベースとした疎水性部分を含み、このとき前記炭化
水素部分は、エーテル酸素結合を介して、オキシエチレン基と1,2−オキシプロ
ピレン基のヘテリック混合鎖に繋がっている。疎水性部分におけるオキシエチレ
ン基と1,2−オキシプロピレン基との重量比は約5:95〜約15:85であり、疎水性部
分の平均分子量は約1,000〜約2,000である。親水性部分は前記混合鎖に繋がって
おり、オキシエチレン基をベースにしている。親水性部分と疎水性部分との重量
比は約0.8:1〜約1.2:1である。このポリオキシアルキレングリコールエーテルに
ついては、スチーレ,ジュニア(Steele,Junior)らによる米国特許第3,078,315
号(該特許を参照のこと)に詳細に説明されている。
好ましいポリオキシアルキレングリコールエーテルの1つは、スチーレ,Jr
らによる米国特許第3,078,315号に記載の方法にしたがって製造したターギトー
ル(Tergitol)XDであり、ユニオンカーバイド社から市販されている。これは、
約76℃の曇り点(1%水溶液として)とヒドロキシル価をベースとして約3120の
分子量を有する、非イオンブロックコポリマーである。
他の非イオンポリオキシアルキレングリコールエーテルブロックコポリマーも
使用することができ、例えば、プルロニックR(PluronicR)タイプやテトロニッ
クR(TetronicR)タイプを含めたBASFワイアンドット社製造のものがある。プル
ロニックポリオールやテトロニックポリオールの界面活性剤は、流動性の液体か
らフレーク状の固体まであり、エチレンオキシド含量の高いものは100℃におい
ても曇り点を示さない。他の類似の非イオンポリオキシアルキレングリコールエ
ーテルブロックコポリマー界面活性剤も使用することができ、例えば、ダウケミ
カル社やウィトコケミカル社によって製造されているものがある。
本発明にしたがって使用することのできるプルロニックR界面活性剤は、プロ
ピレングリコールの2つのヒドロキシル基にプロピレンオキシドを制御された条
件下にて付加させて、所望の分子量をもつ疎水性物質を合成することによって製
造される。次いで疎水性物質の両端にエチレンオキシドを付加させて、最終分子
の約10重量%〜約80重量%を構成するオキシエチレン鎖を形成させる。プルロニ
ックR界面活性剤の平均分子量は約1,100〜約12,600であり、HLB(親水−親油平
衡)は約1〜7乃至約18〜23あるいは約24以上である。本発明にしたがって使用
するプルロニックRP-105は、約6,500の平均分子量、約35℃の融点、約91℃の曇
り点、および約12〜18のHLBを有する。本発明にしたがって使用することのでき
るテトロニックR界面活性剤は、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドの、
次いでエチレンオキシドの逐次付加によって誘導される四官能ブロックコポリマ
ーである。これら界面活性剤の平均分子量は約1,650〜約30,000であり、約1〜
7乃至約18〜23の、および約24以上のHLBを有する。本発明にしたがって使用す
るテトロニックR1304は、約10,500の平均分子量、約59℃の融点、約100℃以上の
曇り点、および約24以上のHLBを有する。
酵素と界面活性剤はさらに、酵素に対して相溶性があって、且つ非イオンポリ
エーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤のための溶媒として作用する
有機溶媒と組み合わせて使用することができる。この溶媒は親水性であるのが好
ましく(例えば、ポリオールまたはポリオールの混合物)、このとき前記ポリオ
ールは、2〜約6個の炭素原子と2〜約6個のヒドロキシル基を有し、1,2−プ
ロパンジオール、エチレングリコール、エリスリタン、グリセロール、ソルビト
ール、マンニトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、およびこれらの
類似物などがある。
したがって、本発明による安定化酵素組成物は、約2〜約95重量部(特に約5
〜約90重量部、好ましくは約10〜約80重量部)の酵素、約1〜約90重量部(特に
約2〜約85重量部、好ましくは約5〜約80重量部)の水、約0〜約70重量部(特
に約2〜約60重量部、好ましくは約3〜約55重量部)の溶媒、及び約0.2〜約40
重量部(特に約0.8〜約30重量部、好ましくは約1〜約25重量部)の非イオンポ
リエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤を含有する。
以下に実施例を挙げて説明する。
実施例1
パルプジム(Pulpzyme)HB〔ノボ・ノルディスク・バイオインダストリアルズ
社から市販の水性酵素懸濁液、原始細菌(bacterial origin)によるキシラナー
ゼ調製物〕を使用して下記の組成物を作製した。ターギトールXD(前述)も使用
した。使用したグリセロールは96%純度のものであり、このとき不純物は水であ
る。より高い純度のグリセロールも使用することができる。グリセロールは、タ
ーギトールXD(室温では固体である)のための溶媒として作用する。組成物の粘
度は2,200cpsであり、型番LVTのブルックフィールド粘度計を使用し、スピンド
ル番号4、30rpmにて室温(20℃)で測定した。本組成物は水に容易に溶解した
。ベイリー(Bailey),M.J.らによる“J.Biotech.23,257-270,1992”に記載
の方法にしたがって、酵素活性(1ml当たりのIU)を測定した。この方法は、キ
シラナーゼ酵素(pH5.3のクエン酸塩緩衝液中に希釈するのが適切である)を1
%のバーチウッド(birchwood)キシラン基質と共に5分間インキュベートする
ことを含
む。インキュベーション後、サムナー(Sumner)(1921)のオリジナルDNS試薬と5
分間反応させることによって、遊離した糖類を測定する。基質、DNS試薬、及び
緩衝液を含んだ試薬ブランクに対し540nmにて吸光度を測定する。基質とDNS試薬
を含んだ酵素ブランク(希釈した酵素を加えると、インキュベーションの場合と
異なって直ちに色の生成/消失が起こる)の値を引くことによって酵素読み取り
値(enzyme readings)を染める。
成分 重量%
パルプジム HB 75
グリセロール 5
ターギトール XD 20
下記の表1は、本組成物の安定性が優れていることを示している。酵素活性の
増大は実験誤差の範囲内である。
実施例2
パルプジムHBを使用して実施例1を繰り返した。但し、ターギトールXDの代わ
りにプルロニックRP-105(BASFワイアンドット社から市販の非イオンブロックコ
ポリマー)を使用した。このコポリマーの曇り点は91℃(1%水溶液)および94
℃(10%水溶液)である。この界面活性剤の平均分子量は約6,500である。
表2は、実施例1の場合と比較してこの組成物の安定性が低下していることを
示しているが、これは実験誤差の範囲内である。これによって、プルロニックP-
105の機能がターギトールXDの機能と同等であるとがわかる。それでもなお、安
定性はプルロニックを加えない酵素より良好である。プルロニックP-105によっ
て
もたらされる安定化なしの条件下では、酵素は急速にその活性を失う。
実施例3
ソルベイ・エンザイム社から市販のプロテアーゼ酵素、またはノボ・ノルディ
スク・バイオインダストリアルズ社から市販のリパーゼ酵素を使用して実施例1
に記載の手順を繰り返した。得られた結果を表3に示す。
当業者にとっては、本発明の方法と組成物に関して、本発明の精神と範囲を逸
脱することなく種々の変形や改良形が可能であることは言うまでもない。こうし
た変形、改良形、およびそれらの等価物は、請求の範囲の範囲内に入るならば、
本発明の一部として含まれるものとする。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年2月13日
【補正内容】
請求の範囲を以下のとおり補正する。
請求の範囲
1. 酵素と安定化有効量の非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリ
マー界面活性剤とを結合させることによって、20重量%以上の水を含有した酵素
組成物を、高温あるいは水による活性の低下が起こらないよう安定化させる方法
であって、このとき前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界
面活性剤がポリオキシアルキレングリコールエーテルのオール-ブロックコポリ
マー、ブロック-ヘテリックコポリマー、ヘテリック-ブロックコポリマー、また
はヘテリック-ヘテリックブロックコポリマーであり、前記アルキレン単位が2
〜4個の炭素原子を有する、前記方法。
2. 高温での分解が起こらないよう、前記温度より高い曇り点を有する前記
非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤によって前記酵
素を安定化させる、請求の範囲第1項に記載の方法。
3. 前記温度が0℃〜100℃である、請求の範囲第2項に記載の方法。
4. 前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤を
、前記酵素に対して相溶性のある有機溶媒中に溶解させる、請求の範囲第2項に
記載の方法。
5. 前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤を
、前記酵素に対して相溶性のある有機溶媒中に溶解させる、請求の範囲第1項に
記載の方法。
6. 前記溶媒が親水性である、請求の範囲第4項または第5項に記載の方法
。
7. 前記溶媒がポリオールまたはポリオールの混合物である、請求の範囲第
6項に記載の方法。
8. 前記ポリオールが2〜6個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基を有
する、請求の範囲第7項に記載の方法。
9. 前記酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ
、
ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースイソ
メラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびリポキシダーゼである、請求の範囲
第1項に記載の方法。
10. 前記ポリオキシアルキレングリコールエーテルが、少なくともオキシエ
チレン基、オキシプロピレン基、または前記基の混合物をベースとした疎水性ブ
ロックと親水性ブロックを有する、請求の範囲第2項または第3項に記載の方法
。
11. 前記ポリオキシアルキレングリコールエーテルの平均分子量が500〜30,
000であり、前記ポリオキシアルキレングリコールエーテルの疎水性部分と親水
性部分との重量比が0.4:1〜2.5:1であり、前記ポリオキシアルキレングリコール
エーテルの曇り点が0℃〜110℃である、請求の範囲第10項に記載の方法。
12. 高温または水による活性の低下が起こらないよう安定化させた、安定化
有効量の非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤と酵素
との組み合わせ物である、20重量%以上の水を含有した酵素組成物であって、こ
のとき前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤が、
ポリオキシアルキレングリコールエーテルのオール-ブロックコポリマー、ブロ
ック-ヘテリックコポリマー、ヘテリック-ブロックコポリマー、またはヘテリッ
ク-ヘテリックブロックコポリマーであり、前記アルキレン単位が2〜4個の炭
素原子を有する、前記酵素組成物。
13. 高温での分解が起こらないよう、前記温度より高い曇り点を有する前記
非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤によって前記酵
素を安定化させる、請求の範囲第12項に記載の組成物。
14. 前記温度が0℃〜110℃である、請求の範囲第13項に記載の組成物。
15. 前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤を
、前記酵素に対して相溶性のある有機溶媒中に溶解させる、請求の範囲第12項ま
たは第13項に記載の組成物。
16. 前記溶媒が親水性である、請求の範囲第15項に記載の組成物。
17. 前記溶媒がポリオールまたはポリオールの混合物である、請求の範囲第
16項に記載の組成物。
18. 前記ポリオールが2〜6個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基を有
する、請求の範囲第17項に記載の組成物。
19. 前記酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ
、ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースイ
ソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびリポキシダーゼである、請求の範
囲第12項に記載の組成物。
20. 前記ポリオキシアルキレングリコールエーテルが疎水性ブロックと親水
性ブロックを有し、このとき各ブロックが、少なくともオキシエチレン基、オキ
シプロピレン基、または前記基の混合物をベースにしている、請求の範囲第13項
または第14項に記載の組成物。
21. 前記ポリオキシアルキレングリコールの平均分子量が500〜30,000であ
り、前記ポリオキシグリコールエーテルの疎水性部分と親水性部分との重量比が
0.4:1〜2.5:1であり、そして前記ポリオキシアルキレンエーテルの曇り点が0℃
〜110℃である、請求の範囲第20項に記載の組成物。
22. 前記ポリエーテルポリオールブロックコポリマーが1〜8個の炭素原子
を含む脂肪族一価アルコールの炭化水素部分をベースとした疎水性部分を有する
ポリオキシアルキレングリコールエーテルブロックコポリマーであり、このとき
前記炭化水素部分が、エーテル酸素結合を介して、オキシエチレン基と1,2−オ
キシプロピレン基のヘテリック混合鎖に繋がっており、前記疎水性部分における
オキシエチレン基と1,2−オキシプロピレン基との重量比が約5:95〜約15:85であ
り、疎水性部分の平均分子量が1,000〜2,000であり、親水性部分が前記混合鎖に
繋がっていてオキシエチレン基をベースにしており、親水性部分と疎水性部分と
の重量比が0.8:1〜1.2:1である、請求の範囲第15項に記載の組成物。
23. 2〜6個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールを
溶媒として含む、請求の範囲第22項に記載の組成物。
24. 前記酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ
、ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースイ
ソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびリポキシダーゼである、請求の範
囲
第23項に記載の組成物。
25. 前記溶媒がグリセロールであり、前記酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ
、またはリパーゼである、請求の範囲第24項に記載の組成物。
26. 前記ポリエーテルポリオールブロックコポリマーが、プロピレングリコ
ールのプロピレンオキシド付加物をベースにした疎水性部分を有するポリオキシ
アルキレングリコールエーテルブロックコポリマーであって、このとき前記プロ
ピレングリコールが、エーテル酸素結合を介してオキシプロピレン基に繋がって
おり、親水性部分が前記疎水性部分に繋がっていてオキシエチレン基をベースに
しており、前記界面活性剤の平均分子量が1,100〜12,600であり、そしてHLBが約
1〜7乃至約24である、請求の範囲第24項に記載の組成物。
27. 2〜6個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールを
必要に応じて溶媒として含む、請求の範囲第26項に記載の組成物。
28. 前記酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ
、ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースイ
ソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびリポキシダーゼである、請求の範
囲第27項に記載の組成物。
29. 前記溶媒がグリセロールであり、前記酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ
、またはリパーゼである、請求の範囲第28項に記載の組成物。
30. 前記ポリエーテルポリオールブロックコポリマーが、エチレンジアミン
のプロピレンオキシド付加物をベースとした疎水性部分を有するポリオキシアル
キレングリコールエーテルブロックコポリマーであって、このとき前記エチレン
ジアミンが、エーテル酸素結合を介して1,2−オキシプロピレン基に繋がってお
り、親水性部分が前記混合鎖に繋がっていてオキシエチレン基をベースとしてお
り、前記界面活性剤の平均分子量が1,650〜30,000であり、そしてHLBが約1〜7
乃至約24である、請求の範囲第15項に記載の組成物。
31. 2〜6個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールを
溶媒として含有する、請求の範囲第30項に記載の組成物。
32. 前記酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ
、
ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースイソ
メラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびリポキシダーゼである、請求の範囲
第31項に記載の組成物。
33. 前記溶媒がグリセロールであり、前記酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ
、またはリパーゼである、請求の範囲第32項に記載の組成物。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年2月13日
【補正内容】
英文の17ページ第1行〜18ページ最下行(翻訳文の15ページ第1行〜16ページ第
12行)の差し替えの翻訳文
酵素と界面活性剤はさらに、酵素に対して相溶性があって、且つ非イオンポリ
エーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤のための溶媒として作用する
有機溶媒と組み合わせて使用することができる。この溶媒は親水性であるのが好
ましく(例えば、ポリオールまたはポリオールの混合物)、このとき前記ポリオ
ールは、2〜約6個の炭素原子と2〜約6個のヒドロキシル基を有し、1,2−プ
ロパンジオール、エチレングリコール、エリスリタン、グリセロール、ソルビト
ール、マンニトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、およびこれらの
類似物などがある。
したがって、本発明による安定化酵素組成物は、約2〜約95重量部(特に約5
〜約90重量部、好ましくは約10〜約80重量部)の酵素、約1〜約90重量部(特に
約2〜約85重量部、好ましくは約5〜約80重量部)の水、約0〜約70重量部(特
に約2〜約60重量部、好ましくは約3〜約55重量部)の溶媒、及び約0.2〜約40
重量部(特に約0.8〜約30重量部、好ましくは約1〜約25重量部)の非イオンポ
リエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤を含有する。
本発明はさらに、前記酵素を基準として約1〜90重量%の水と、前記非イオン
ポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤と組み合わせた水とを含
有した安定化酵素組成物のほかに、酵素を安定化させるための方法を含む。他の
実施態様においては、本発明はさらに、前記酵素を基準として約20重量%の以上
の水と、前記非イオンポリエーテルポリオールブロックコポリマー界面活性剤と
組み合わせた水とを含有した安定化酵素組成物のほかに、酵素を安定化させるた
めの方法を含む。
以下に実施例を挙げて説明する。
実施例1
パルプジム(Pulpzyme)HB〔ノボ・ノルディスク・バイオインダストリアルズ
社から市販の水性酵素懸濁液、原始細菌(bacterial origin)によるキシラナー
ゼ調製物〕を使用して下記の組成物を作製した。ターギトールXD(前述)も使用
した。使用したグリセロールは96%純度のものであり、このとき不純物は水であ
る。より高い純度のグリセロールも使用することができる。グリセロールは、タ
ーギトールXD(室温では固体である)のための溶媒として作用する。組成物の粘
度は2,200cpsであり、型番LVTのブルックフィールド粘度計を使用し、スピンド
ル番号4、30rpmにて室温(20℃)で測定した。本組成物は水に容易に溶解した
。ベイリー(Bailey),M.J.らによる“J.Biotech.23,257-270,1992”に記載
の方法にしたがって、酵素活性(1ml当たりのIU)を測定した。この方法は、キ
シラナーゼ酵素(pH5.3のクエン酸塩緩衝液中に希釈するのが適切である)を1
%のバーチウッド(birchwood)キシラン基質と共に5分間インキュベートする
ことを含む。インキュベーション後、サムナー(Sumner)(1921)のオリジナルDNS
試薬と5分間反応させることによって、遊離した糖類を測定する。基質、DNS試
薬、及び緩衝液を含んだ試薬ブランクに対し540nmにて吸光度を測定する。基質
とDNS試薬を含んだ酵素ブランク(希釈した酵素を加えると、インキュベーショ
ンの場合と異なって直ちに色の生成/消失が起こる)の値を引くことによって酵
素読み取り値(enzyme readings)を求める。
成分 重量%
パルプジム HB 75
グリセロール 5
ターギトール XD 20
下記の表1は、本組成物の安定性が優れていることを示している。酵素活性の
増大は実験誤差の範囲内である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN