【発明の詳細な説明】
生産体としてのフサリウム菌類株の利用及び
その適応原及び免疫変成効果を有する塩基に基づいた製法
技術分野
本発明は、菌学及び医薬に関し、特に、生理的に活性な物質の菌類−生産菌の
株に関し、また、その塩基に基づいて、公共衛生用の製造法に関する。
発明の背景分野
高級な菌体、イノノチュス オブリキュス[Inonotus Obliquis]の株及びその
塩基に基づいて作成したビフンジン製造体は、当業者によく知られたものである
。
ビフンジンは、この菌体の効果の下で、樺木上に生長する腫張からの抽出物で
ある。その製造物は、30%の乾燥物と添加された1%の塩化コバルト或いは1
.5%の硫酸コバルトを含有する半流状のものである。それは、優勢の弛緩症の
胃腸管の慢性胃炎及び運動障害にかかった患者の健康状態を改善する症候剤とし
て使用される(M.D.Mashkovsky,Medical Agents,”Meditsina”Publishers,Mosc
ow,1984,Vol.2,p.162)。
然し乍ら、ビフンジンの製造のための未処置の樺木の資源は、非常に低く、製
造の分光生理的な効果と同程度である。
菌体レンチナス エドデス(Lentinus edodes)、ガノデルマ ラシダム(Ganode
rma lucidum)、プライロチス オストレアチュス(Pleurotis ostreatus)は、抗
強膜効果を作り、コレステロール含有量に影響し、生体中のレベルを正常化する
(Lee Khva Rei,Vasiliyev L.V.,Orekhov L.N.,Tutya V.A.”Antisckerotic Pro
perties of Higher Fungi”,Problems of Alimentation No.1,1989,pp16〜20)
。
然し乍ら、これらの菌体は、低い生長速度(菌糸体の生長は、5〜7日でし、
果実体のときに70日以上である)を特徴としており、生理的効果は狭い領域で
ある。
近代バイオテクノロジイに基づいて培養されたフサリウム属菌体は、早い速度
で生長する。
従来技術では、菌体フサリウム サンブシウム フッケル変種、オシカラム(B
erk等Curt)ブライ(Bulai)VSB-917の株体は、食物の生産菌及びフッダー蛋白質
(All-Union Collection of Industrial Microorganisms of the VNIIgenetika I
nstitute,collection code VKPM F-169)である。
以前、この株体は、ポリポラス(Polyporus)種VSB−917(Microbiol,Sci
ence,1986,v.3,No.6,pp 168〜171)と称される。
菌体フサリウム サンブシウム VSB−917、F−169は、次の培養物
と生理的な特性を有する。オウ−トアガ−上で、白色コロニ−を形成し、それは
、熟成でピンクになり、成熟体にならない:交連は見つからなかった。2つのタ
イプの鹸化:2〜5の分配区分のある半月形状の分生子及びチャミドスポア(Cha
mydospores)により特徴づけられる。液体栄養媒体中で培養されたものは、嚢胞
分配区画及びボロニン(Voronin)体を有する多細の胞糸状の菌糸体を形成する。
活性生長段階において、菌糸は、2.5〜3.5ミクロン厚であり、菌糸体細胞
は均質であり、脂質及び他の含有物を有しなく、菌糸(菌糸体)の端部は、平均
した丸みがある。熟成すると、細胞は、多数の脂肪を含有するようになる。
この株は、好気性であり、22〜28℃の温度範囲で、4.5〜7.0のpH
範囲で生長し、最適なpHは、5.8に近付く。ゼラチンを希釈しない。グルコ
−ス、サッカロ−ス、ラクト−ス、マルト−ス、ガラクト−ス、ラフィノ−ス及
び澱粉、エタノール、グリセリン、酢酸、マンニット、キシリト−ルを消化する
。
窒素源に対しては、アンモニウム塩、硝酸塩、ウレア、ペプトンを消化する。
サブマ−ジされた培養の条件下で、株体は、栄養培養1リットル当り20〜25g
のADM(絶対的に乾燥した物)を有するミルク白身(4〜6%のラクト−ス)
上で良く生長する。
ドレイン添加方法の出力は、1.4〜1.6kg/cu m/hである。
サブマ−ジ培養法で製造された株の菌糸体は、4重量%の硝酸アンモニウム、
0.3重量%の酸性燐酸カリウム、0.2重量%の水道水を含有する栄養媒体上
で、26〜28℃の温度で、16時間の培養時間で、生長させる。菌糸体は、自
己分解させ、得られた自己分解物は、0.25〜1.0%の量であり、それを、
栄養媒体中に、トルロプシス(Torulopsis)カンジダ イ−スト(発明者証USSR No
.1034401で,18.03.82 C12 No.1/16)のために、導入し、培養媒体中のその濃度
を、絶対乾燥物1リットル当り31.1〜32gから、34〜44gへ上げる。
菌体フサリウム サンブシウムVSB−917を新たに適用するには、予防医
薬用及び治療医薬用の生理的に活性な物質の生産菌として使用することによる。
発明の開示
本発明の主目的は、広い範囲にわたり、生体上に生理的な効果があり、その投
与でも副作用のない医療製造物を作成するための基体として、株体フサリウムサ
ンブシウムVSB−917を使用することにある。
上記の菌体に基づいた製造物は、広い範囲にわたり、治療及び予防の効果を有
する。それは、多数の生理的に活性な物質、例えば、アミノ酸、免疫変成するポ
リサッカロイド、本質的な脂肪酸、生物学的アミン類、ウビキノン類、ビタミン
類及び天然関連のマイクロ要素のような物質を含有するからである。その製造物
は、心臓血管障害、肥満症、糖尿病、免疫欠陥障害、ビタミン欠乏症によくなる
生体中の障害代謝過程を正常化する。その製造物は、アレルギ−反応をなくし、
通常の治療剤とよく組合わせでき、生体に対するその効果を強化し、そして、不
愉快な副作用を下げ、特に、放射線治療を腫瘍患者にした場合に、効果がある。
製造物の化学的組成物を研究し、そして、可能性のある病原性、急性及び慢性
の毒性、5代の動物について、奇形発生性、発癌性及び補発癌性について研究し
た。研究は、WHOの刺激性についての、微生物源の物質の検査に対する規定に
合わせて、行なった。市販名で”ミライフ(Milaif)”の製造物の適用を、公衆衛
生当局を同意を得て、一連の実験に基づいて行なった。
”ミライフ(Milaif)”の化学組成;重量%
全タンパク質(N×6.25) 60〜63重量%
真正タンパク質 42〜46重量%
炭水化物 10〜63重量%
脂質 4〜8重量%
核酸 3〜6重量%
鉱物物質 6〜8重量%
ビタミン 2.6〜3.1重量%
水 残り
「ミライフ」の蛋白質成分は、すべての必須アミノ酸(総蛋白質に対する%)
、
すなわち、リシン、9.2 ;イソロイシン、3.4 ;ロイシン、4.5 ;フェニルアラ
ニン+チロシン、4.5 ;シスチン+メチオニン、2.3 ;トレオニン、3.7 ;トリ
プトファン、0.8 ;バリン、3.6 を包含し、アミノ酸の合計の35〜45%を占める
。この指標に関しては、「ミライフ」は、やはり45%の必須アミノ酸を含有する
筋蛋白質に似ている。蛋白質物質とそれらの誘導体は、消化、呼吸、排泄および
運動の代謝過程に重要な役割を果たすことが知られている。また、いわゆる「必
須」アミノ酸は、人体では合成されないことから、完全な物質としてその中に進
入しなければならない。
乾燥物の形で10〜13%に達する「ミライフ」の炭水化物部分は、1-3-β- D-
グリカン類によって表され、これが免疫調節活性を示す[M.A.Kashkin,N.G.E
linov(エム.エイ.カスキン、エヌ.ジー.エリノフ):「真菌類からの多糖
類の免疫調節活性(Immunomodulating Activity of Polysaccharides from Fung
i(インムノモデュレイテング アクティヴィティ オブ ポリザックチャリデ
ス フロム ファンギィ))」、「Mycology and Phytopathology(マイコロジ
ィ アンド フィトパソロジィ)」誌、第19巻第4号1〜3ページ]。これらの
グリカン類の単量体組成は、それぞれ1.0 :1.38:1.79:0.5 の関係でのグルコ
ース、ガラクトース、マンノースおよびフルクトースによって表される。
乾燥物の形で4〜8%に達する「ミライフ」の脂質分画は、各種の形式の化合
物、すなわちリン脂質、ステロール、グリセリド、脂肪酸からなる生理的活性物
質を含有する。それらの定量的含有量に関するデータを表1に要約する。
生理的活性リン脂質(ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミ
ンおよびホスファチジルコリン)は、様々な代謝過程およびエネルギー代謝に参
加する。
リン脂質は、細胞膜や細胞器官の構造の基本的成分である。それらの機能的役
割は、細胞膜の透過性の制御に基づく。細胞の機序、すなわちイオン交換、呼吸
、生物学的酸化が機能するのを維持し、ミトコンドリアでの酵素の活性に影響を
及ぼす。リン脂質の欠乏は、肝臓の脂肪代謝の障害、および、その結果としての
脂肪変性へと導く。
「ミライフ」の脂肪酸分画は、必須のそれという範疇に属する生理的活性脂肪
酸を含有する。脂肪酸の合計の50%強がリノール酸に属するが、これは、動物や
ヒトのホルモン活性を調節するプロスタグランジン類の前駆物質である。
それらの公知の薬理学的特性に起因して、リン脂質および不飽和脂肪酸は、公
知の製剤であるEssentiale(エッセンシャレ)と同様に、損傷したミトコンドリ
アを再生し、障害のある酵素系を活性化し、肝臓の解毒機能を強化する[M.D.M
ashkovsky(エム.デ. マシュコフスキィ):「医用薬剤(Medicinal Agents
(メディカル エイジェンツ))」、Meditsina(メデツナ)出版社、ロシア国
モスクワ(1984年)、第2巻46ページ]。
高い生理的活性は、D群のビタミンの一つ(D4)である22,23-ジヒドロエル
ゴステロールによって示される。その活性は、コレカルシフェロール(ビタミン
D3)のそれに類似して、特に生長中の生物の、適正なリン−カルシウム交換、
および増殖中の骨への物質の適時の沈着を促す[M.D.Mashkovsky(エム.デ.
マシュコフスキィ):「医用薬剤(Medicinal Agents(メディカル エイジェン
ツ))」、Meditsina(メデツナ)出版社、ロシア国モスクワ(1984年)、34ペ
ージ]。
ユビキノンQ9(ユビノン)は動物という生物の代謝物であるが、ユビキノン
Q10はヒトの代謝物である。
ユビノンやユビキノンQ10とビタミンE(活性抗酸化剤)との比較検査は、ユ
ビノンやユビキノンQ10の抗酸化および抗細胞溶解活性は、ビタミンEの5倍で
あることが立証されている。ユビノンやユビキノンQ10は、ビタミンEより5倍
も活性であり、リポ酸より1.5 倍も活性であり、四塩化炭素によって損傷された
肝臓の解毒や分泌機能を正常化する。
ユビノンやユビキノンQ10は、生体膜、および動物という生物やヒトの肝細胞
などの、全体としての細胞の代謝が機能する際の代替し得ない汎用成分である。
その高い肝保護活性は、過酸化物への脂質の強化された酸化に付随する膜の病原
性分子的機序の阻害の結果である。
公知の実験データは、ユビノンおよびユビキノンQ10は、毒性の損傷を受けた
肝組織での抗酸化活性を特徴とするという結論に根拠を与える。ユビノンおよび
ユビキノンQ10は、肝細胞の細胞溶解や壊死を妨げ、毒性肝炎に冒された肝臓の
分泌や解毒の機能を正常化する[L.V.Vinogradov(エル.ヴィ.ヴィソグラド
フ),E.A.Obolnikova(イ.エイ オボルニコヴァ)ら:「ユビキノン類−代
謝型の有望な肝保護物質(Perspective Hepatoprotectors of Metabolic Tepe(
パースペクティブ ヘパトプロテクターズ オブ メタボリック テープ))」
、第1回「ヒトと医薬」に関するロシア全国会議、1992年4月、ロシア国モスク
ワ、論文第408 号]。
「ミライフ」なる製剤の脂質成分の組成を分析すると、生体内でのその高い生
理的活性を確信することができる。「ミライフ」の無機質の組成を下記の表2に
掲載する。
表2のデータから、「ミライフ」は、大量の生理的活性元素を含有するという
ことになる。
生体内のカルシウムは、骨組織の構築や血液凝固酵素の活性化に参加し、何ら
かの神経系の区画の興奮性を低下させ、毒素の効果を弱め、感染に対する耐性を
向上させ、細胞膜表面の生物電気の電位を高める。
カリウムは、細胞内圧を正常化し、多くの酵素を活性化する。
リンおよびその化合物は、骨組織や歯の構成部分として機能し、エネルギー生
成過程に参加する。
銅は、鉄の、ヘモグロビンの合成に利用できる形態への変換に参加する。
マンガンは、グリコーゲンの合成に影響を及ぼし、炭水化物代謝の正常化に参
加する。
鉄は、ヘモグロビンに取り込まれ、鉄の欠乏は重篤な疾患−貧血を招く。
このように、「ミライフ」には広範囲の化学元素が含まれ、ヒトの体内でのそ
れらの役割に関する現在の概念は、この製剤の生理的活性を確認する。
「ミライフ」に含まれる水溶性ビタミン類を表3に列挙する。
「ミライフ」は、主として、B群のビタミン類を含有し、その総量は2.6 〜3.
1 %に達する。
現在、B群のビタミンの生理的効果は、充分に研究されている。蛋白質、脂肪
および炭水化物の代謝過程に重要な部分を演じ、それらの免疫刺激効果に起因し
て、接触伝染性疾患に対する生体の耐性を高め、プロスタグランジン、酵素およ
び補酵素の合成に参加し、強力な予防効果を示す。「ミライフ」には、これらの
ビタミン類が、その合成類似体や、人為的に開発された組成物(例えばmethiovi
t(メチオヴィト)というビタミンB1)に勝る実質的な利点である天然複合体の
形態で含まれている。
「ミライフ」の生物医学的研究
「ミライフ」の生物医学的研究の目的は、治療および予防の目的でのその投与
の安全性を保証するデータを得ることを伴った。
3種類の動物(ラット、ニワトリ、ブタ)に対して実施された研究は、「ミラ
イフ」の経口投与が下記の結果をもたらすことを立証した:
−飼育器飼料の蛋白質の10、25、50および100%を「ミライフ」で置き換える
急性(30日)、亜慢性(60日)および慢性(1年)の実験の条件下で、否定的効
果は皆無である;
−自発的腫瘍、および誘導された腫瘍の発生に対する発癌効果または修飾的影
響は皆無である;
−動物の性細胞における優性の致死突然変異は皆無である;
−5世代の動物において、催奇性および向胚性効果は皆無である;
−アレルギー性効果は皆無である;
−心臓、肝臓、腎臓および脾臓の重量に対する効果は皆無である。;
−動物の血液の形態学的指標に対する効果は皆無であって、それらは生理学的
規範の限度内に留まる。
「ミライフ」製剤の研究は、その蛋白質の要求が「ミライフ」製剤によって完
全に満たされたラットの肝臓におけるコハク酸脱水素酵素の比較的高い活性、お
よび比較的高いグリコーゲン含有量を示した。その蛋白質が「ミライフ」からの
み誘導されるラットの肝臓で、脂肪の含有量が減少するのも観察された。
同様の結果は、確立された生理学的規範に従って飼育されたブタでも記録され
た。
研究は、3群の動物に対して実施した。
第1群は、蛋白質成分(30%)が骨肉粉餌からなる慣用の飼料を摂取した。
第2群は、第1群と同じく、慣用の飼料を摂取したが、蛋白質成分(30%)は
「ミライフ」の蛋白質であった。
これらの実験の結果を下記に表4に示す。
これらのデータは、「ミライフ」が、コレステロールおよびトリグリセリドの
含有量を実質的に低下させることによって、脂質代謝に対して好都合な効果を発
揮することの証拠である。食餌性肥満症(脂質代謝の障害)の症例における「ミライフ」の治療効果の臨床 的研究
食餌性肥満症が、必然的に、生体の各種器官系に病態を発生させることは、一
般的に公知である。
これに関して、3群の患者に「ミライフ」を与えた:
1.代謝性疾患(高コレステロール血症、動脈高血圧、グルコース耐容性の障
害を伴う糖尿病)が併存する肥満症の患者−45名、
2.胆汁系の病態(慢性胆嚢炎、胆石症、輸胆管の運動障害)が併存する肥満
症の個人−18名、
3.胃腸管の病態(胃潰瘍、糜爛性胃炎および十二指腸球炎、十二指腸炎)が
併存する肥満症の症例−12名。1.代謝像の疾患が併存する肥満症の患者における臨床的生化学的指標の動態に 対する「ミライフ」の効果の研究
観察した群の45名の患者は、高コレステロール血症が併存する肥満症に冒され
ていた(第1群−男子20名、第2群−女子25名)。
血清中の総コレステロール(TC)、高密度リポ蛋白質(HDLP)、トリグ
リセリド(TG)の含有量、およびアテローム原性係数(CA)のような、脂質
代謝の慣用の指標の研究は、これらの指標の自然な偏移を示した(表5)。虚血
性心臓病(IHD)の発症の危険を示す指標の分析によって、特別な関心が生じ
たが、それは、分析した群の圧倒的な数の患者(33名)が、40才未満だったから
である。
患者の群全体と個々の男女との双方についての指標HDLP/TCの意味は、
彼らがこの病態の発症の高い危険率の範囲内、すなわち常人の20〜25%に対して
17.6〜18.7%にあるということにあった。アテローム原性係数は、正常値を超え
るのが確実であった(正常値の3.0 に対して4.5 ±0.4)。
観察した患者の50%で、IHD(高血圧に加えての高コレステロール血症)の
発症へと導く2種類の危険因子を認めた。1クールの治療の後、患者全体と男女
の群の個人との双方に脂質指標の顕著な低下を認めた。
特に傑出した変化は、男子であって、コレステロールレベル、アテローム原性
係数、トリグリセリドの統計的に有意な低下、およびHDLP/TCの比較的高
い値が記録された。
得られた結果と対照データとの比較は、「ミライフ」を投与した患者で更に顕
著な効果を明らかにした。慣用の治療法の効果は、より目立たなかった。
15名の患者の最初の検査は、より高い血中の糖含有量を示した。注意深い検査
(グルコース75gの負荷による血糖曲線、血糖指数)の後、5名の患者に2型糖
尿病が、そして10名の患者にグルコース耐容性障害が診断された。「ミライフ」
を摂取した患者群では、この因子の統計的に有意な低下が、対照での6.76±0.7
ミリモルから6.32±0.6 ミリモルへというのと比較して、7.54±0.9 ミリモルか
ら5.3 ±0.48ミリモルへと低下した。製剤の耐容性は、すべての患者で良好であ
った。観察した患者の75%で、飢餓感および食欲の著しい減退が注目された。体
重の喪失は、男子で11.9±1 kg、女子で9.2 ±2.1 kgであった。2.肝胆嚢系の病態が併存する患者の臨床的生物学的指標の動態に対する「ミラ イフ」の効果
観察下の18名の患者が、肝胆嚢系の各種の病態を有していた。胆汁放出管の運
動亢進性運動障害のような運動障害性機能障害が50%の症例で発見された。患者
の50%は、X線で確認された胆石症の形態の、より顕著な器質性病態を有してい
た。入院の際、すべての患者は、右側季肋部の重量感、適正な規定食を守らない
ことによる、また強い肉体的緊張後の、発作的疼痛を訴えた。これらの患者は、
苦味、脂肪食後の吐き気のような各種の消化不良性の障害、にも冒されていた。
患者には、胆汁放逐剤の投与と併用して、体重を減らすことを目的とする慣用の
1クールの食餌療法を与えた。
21日間の治療クールの間、「ミライフ」を与えた。この製剤に対する耐容性は
、すべての患者で例外なしに良好であった。75%の症例で食欲が減退した。
生化学的指標の動態を表6に示す。
上記のデータから、この病態の群の患者は、全体として、肥満した個人の群全
体に特徴的な異常に冒されていると結論することができる。胆汁滞留症候群によ
る血清ビリルビン値の増加は、試験製剤を投与した患者の群では、より有意な減
少傾向を示した。その他の発見された結果は、減退した食欲や飢餓感、および脂
質の値(TC、HDLP、TG)の比較的顕著な低下を包含するが、この低下は
、この範疇の患者への該製剤の投与が好都合であることに関する結論に導く。
このように、「ミライフ」は、障害のある脂質代謝を背景として進行する心臓
血管病に冒された患者の血清中のコレステロールやトリグリセリドの値を効率的
に正常化し、それによって、虚血性心臓病の危険率を軽減することができる。「ミライフ」の適応形成効果の研究
様々な部位に腫瘍(子宮頚管癌、第2期および第3期、腎臓癌、第3期、リン
パ肉芽腫症)を有する31〜65才の腫瘍患者15名で、研究を実施した。対照群は、
年齢および腫瘍の部位が同じである人物15名で構成した。すべての患者に、一回
2〜4グレイ、合計40〜60グレイの線量で光線療法を施した。「ミライフ」摂取
患者のすべてで、白血球減少症は、対照群と比較して軽快した(1,600 +370 、
P<0.05)。白血球の当初のレベルが低い症例(1.7 x108〜1.9 x108)でさえ
、2〜5日で3.0 x108〜4.0 x108まで、ときには、5.5 x108までにさえ上昇
させることができた。他の生物刺激剤の使用によって、白血球数を増加させるこ
ともできたが、「ミライフ」は、より高い結果の安定性を立証した。
白血球数の増加は、安定的であり、継続的な照射の際に生じることが多かった
が、これは、特に輸血なしには、極めて稀にしか起こらないことである。白血球
減少症と輸血とによって生起される予定外の中断なしに、完全な1クールの光線
療法を投与することができた。
単球の百分率は高かったが、対照群のそれよりは多少低かった。すなわち、15
例中10例で、単球の基準を3〜5%上回ったにすぎず、残る5例および対照群の
患者は、顕著な単球増加症であった(18〜26%)。
すべての患者が、緩和された無力症、改善された食欲、睡眠および気分を示し
た。
このように、「ミライフ」は、適応形成剤であって、反復的照射のような損傷
因子に対して生体を保護するという事実を、研究は立証した。
自発性白血球減少症の患者(15名)、および放射線療法によって誘導された白
血球減少症の患者(11名)でも、「ミライフ」の効果を調べた。15、30および60
日間(第1期)、ならびに12か月後に反復されたクールの際(第2期)に「ミラ
イフ」を摂取した患者で、白血球数を調べた。結果を表7に要約する。
表7のデータは、異なる病因の白血球減少症に冒された患者の、増加した白血
球数の動態を明確に示している。
したがって、「ミライフ」の適応形成効果は、異なる病因の白血球減少症の症
例での生体の、増大した非特異的耐容性によって示される。免疫過程に対する「ミライフ」の効果の研究
生態学的に不利な地域の居住者であって、診断された過度酸化症候群の年齢3
〜5才の小児に対して、調査を実施した。検査した小児の総数は77名であって、
56名は主群(1)、21名は対照群(2)であった。
主群の小児には、「ミライフ」を20〜25日間毎日与えた。
対照群には、病院内で標準的な治療を受けさせた。
両群の小児とも、小児科医、神経病理学者、耳鼻咽喉科医、免疫学者、微生物
学者その他の専門家が注意深く検査した。
56名の主群の小児中39名は、内臓の組織に対して感作されていると判明し、21
名が慢性胃炎に、18名が異常細菌症の症候を伴う慢性大腸炎に、32名が慢性胆嚢
炎および胆嚢胆管炎に冒されていると診断された。
慣用の調査(総血球数、尿、糞便、ECGの分析)とは別に、抗器官および抗
細菌抗体について、脂質の構造によって生起される可視領域のスペクトルでの生
物学的媒体や細胞の超低グローに基づいて、「ベータ−2−アナライザー」で血
液および唾液を検査する免疫化学発光法を実施した。
「ミライフ」の投与によって生起された自己免疫化の値の変化を表8に掲載す
る。
表8から、主群と対照群の双方の小児の血液とも、大量の抗器官抗体を蓄積し
、脾臓、肝臓、小腸、大腸および胃の組織に対する顕著な自己免疫化を有すると
結論付けることができる。主群および対照群の治療結果の比較は、対照の小児で
の自己免疫化効率の低下は、消化器官に関しては比較的目立たず、脾臓、肺およ
び心臓の組織に関しては、不確実ながら縮小したことが判明した。
主群の小児への20〜25日間の「ミライフ」の処方は、脾臓、腎臓、肝臓、胃お
よび腸に関しては、血中を循環する自己免疫抗体の確実な減少に寄与した。
したがって、自己免疫過程、および生体の防衛力の弱化を伴う消化器での障害
の症例に「ミライフ」を処方することは、実施可能である。
同じ群の小児の微生物叢に対する「ミライフ」の効果を調べた。
54.2%の小児での、皮膚微生物叢に特徴的な1種類またはそれ以上の指標の混
乱に、38.2%での、皮膚表面の単位あたりの比較的多数の微生物数に、36.8%で
の、マンニトール分解性細菌に、そして44.5%での、健康体の小児には一般的で
はない溶血性細菌に、それぞれ注目した。
腸の微生物叢の混乱は、ビフィズス菌の接種率の実質的な低下;発酵活性が弱
められた大腸菌群の検出;乳糖陰性の形態の大腸菌;ならびに大量のブドウ球菌
および連鎖球菌という球菌形態の出現による、腸内微生物叢の各種の種間の正常
な関係の変化を特徴とする。
6.4 %の小児では、糞便への接種から、活動状態にあるカンジダ属真菌の存在
が示された。
そのため、このことから、病原性の自己細菌叢による小児の感作または細菌の
感染を発現させて、「ミライフ」でそれらを治療できる可能性の研究が必要とな
った。
細菌性アレルゲンに対する感作は、免疫化学発光の方法を用いて研究した。
試験には、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、プロテウス、腸球菌、緑膿菌の抗
原に対する血液および唾液中の細菌性抗体の蓄積の測定が含まれた。
細菌感染および細菌感作の研究は、細菌性抗原に対する免疫反応の記録を可能
にした。主群と対照群との双方の小児に最も多い反応は、大腸菌、ブドウ球菌お
よびプロテウスに対する感作であった。
小児における微生物相の変化は、数種類の細菌に対する強化された抗体生産を
同時に伴うのを常とすることが判明した。
表9は、主群および対照群の小児における、細菌性抗原に対する免疫反応の研
究で得られたデータを要約したものである。
表から、主群の小児への「ミライフ」の投与は、溶血性のブドウ球菌、連鎖球
菌、大腸菌、腸球菌および緑膿菌に対する抗体濃度の顕著な低下に寄与したと結
論付けられる。
したがって、生体の阻害された防衛力を背景として発症した異常細菌症の症状
を有する小児には、「ミライフ」を処方することが好都合である。
このように、過度酸化症候群を背景として発症した異常細菌症の症状をしばし
ば有する胆嚢胆管炎、胃炎、胃十二指腸炎、大腸炎のような慢性疾患に冒されて
いる患者への「ミライフ」の投与は、主として胃腸管の抗原に対する自己免疫反
応、および数種類の細菌性アレルゲンに対する同時的な除感作の顕著さを低下さ
せた。実際的な適用可能性
フザリウム・サンブシヌムVSB−917という真菌株は、「ミライフ」とい
う製剤の商業的製造に利用されている。
本発明で請求される製剤は、厚生事業に価値があると判明するものと思われ、
下記のものとして用いることができる:
−特に老人医学における、脂質、コレステロールおよびグルコースの代謝障害
(動脈硬化症、虚血性心臓病、肝臓障害、肥満症、2型糖尿病)の症例での追加
的な治療剤;
−腫瘍性患者における放射線療法に背景として発症する身体的疾患および合併
症に対する予防剤;
−一般的な健康改善や解毒のための治療の際に投与するための補助薬;
−生態学的に不都合な条件や、強い放射線の地域で生活または労働する人々の
進退的疾患に対する予防的製剤;
−異常細菌症の治療用医薬;
−ビタミン欠乏症の治療薬;
−微量元素の補正手段。
その自己免疫活性を念頭に置くと、この製剤は、器官や組織の移植に用いるこ
とができる。「ミライフ」製剤の製造法の説明
この製剤の製造法は、下記の段階を含む:
−液体栄養培地の調製および滅菌;
−真菌の接種用菌糸の調製;
−発酵装置中での菌糸の増殖;
−製剤の濃縮、抽出、乾燥および包装。
菌糸の増殖に必要な炭素源は、テンサイやサトウキビの糖蜜、粗糖、ショ糖、
グルコース、アルコールやコニャック産業の廃棄物(アルコールやコニャックの
麦芽かす)、乳ホエー、根や緑色体のジュースであることができる。ナトリウム
、カリウムおよびリンは、硝酸アンモニウムおよび酸性リン酸カリウムから製造
する。
栄養培地は、連続滅菌器中で125 ±2 ℃で3分間滅菌する。発酵装置向けの接
種用菌糸は、初めはガラス容器内で固体栄養培地上で、次いで振盪フラスコ内で
液体栄養培地中で、最後に、下記の条件下で接種装置内で増殖させる:
温度 − 25± 2℃
pH − 5.5 〜6.2
通気 − 1m3/m3/分
接種物は、培地中の菌糸の乾燥物の濃度が、9〜12g/lに達したときに準備が
整ったと見なされる。5〜10重量%の量のこの培地が接種物として役立ち、これ
を無菌条件下で、発酵装置内へと移転する。
菌糸は、接種装置内と同じ条件下、および同じ組成の栄養培地で、発酵装置内
で培養する。培養法は、周期的な排出−添加型のもの、または連続式のもののい
ずれでもよい。
続く技術的段階は、減圧濾過器内での培地の濃縮である。次いで、生成物を赤
外線乾燥機中で、成分の生物学的活性が保持される穏やかな温度条件(最高50℃
)下で脱水する。
乾燥時間は、15〜20分である。
最後に、製剤を顆粒化し、ペレット化し、包装する。
こうして製造された製剤の、その活性の喪失を伴わない貯蔵の期間は、室温(
17〜25℃)で24ケ月である。
下記に、本発明で請求される「ミライフ」製剤の組成の実施例を示す。
実施例1.
真菌の菌糸を、排出−添加培養法を用い、200 リットル入り発酵装置内で下記
の組成(重量%)の栄養培地で増殖させた:
テンサイ糖蜜 4 (還元物の形では2)
硝酸アンモニウム 0.3
酸性リン酸カリウム 0.2
水 合計が100 となる量
pH 5.5 〜5.8
接種物は、14時間を1培養周期の持続時間として、24±1℃の培養温度で、5
体積%の量で導入した。完全乾燥物の含有量は、培地1リットルあたり20g であ
った。工程の生産性は1.4kg/m3/hであった。
得られた製剤は、下記の組成(重量%)を有した:
総蛋白質(Nx6.25) 60
炭水化物 13
脂質 8
核酸 3
無機物質 8
ビタミン 2.6
水 5.4
実施例2
「排出−添加」法を用い、30リットル入り発酵装置中で下記の組成(重量%)
の栄養培地で菌糸を増殖させた:
粗糖 2
硝酸アンモニウム 0.3
酸性リン酸カリウム 0.2
トウモロコシエキス 0.05
水 合計が100 となる量
PH 5.7 〜6.0
接種物を8重量%の量で導入し、培養温度は25±1℃であった。1周期の持続
時間は13時間であった。次いで、培地の92%を排出し、新たな培地を加え、培養
を継続した。13時間後にこの操作を反復した。完全乾燥物の濃度は20.1g/lであ
った。
工程の効率は、1.5kg/m3/hであった。
得られた製剤は、下記の組成(重量%)であった:
総蛋白質(Nx6.25) 63
炭水化物 10
脂質 4
核酸 6
無機物質 6
ビタミン 3.1
水 7.9
実施例3
実施例2のとおりに菌糸を増殖させたが、接種物を10体積%の量で導入した。
培養温度は26±1℃、培地のpHは6.0 〜6.2 であった。
この場合は、培養の持続時間は12.5時間で、完全乾燥物の蓄積は20.2g/lであ
った。
工程の効率は、1.6kg/m3/hであった。
製剤の組成(重量%)は下記のとおりであった:
総蛋白質(Nx6.25) 61.5
炭水化物 11.5
脂質 6
核酸 4.5
無機物質 7
ビタミン 2.8
水 6.7
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 35/74 ABS A61K 35/74 ADV
ADV AGZ
AGZ 7804−4B C12N 1/14 A
C12N 1/14 7329−4C A61K 9/14 L
//(C12N 1/14
C12R 1:77)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AM,AT,AU,BB,B
G,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK
,EE,ES,FI,GB,GE,HU,JP,KE,
KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU,LV,M
D,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ,TT,
UA,US,UZ,VN
(72)発明者 モロゾフ,アレキサンドル ルヴォヴィッ
チ
ロシア連邦 117418 モスクワ ウーリッ
ツァ プロフソコズナヤ デー33 コルプ
2 カーヴェー58