【発明の詳細な説明】
化粧棒用組成物
本発明は非イオン性糖脂質界面活性剤を含む化粧棒用組成物に関し、より特定
的には本発明は、構造付与剤として作用するが同時に泡の形成を抑制しない充分
な量のポリアルキレングリコールと組み合わされた非イオン性アルドビオナミド
に関する。
石けんは、歴史的に化粧棒(toilet bar)用組成物において用いら
れてきた効果的な洗浄性界面活性剤である。しかしながら、石けんは皮膚に苛酷
であり得、そして長年かかる化粧棒用組成物において石けんと一緒にまたは石け
んの代わりに用いられ得るよりマイルドな(即ち、より苛酷でない)界面活性剤
を見つけることが追求されてきた。例えば、キャスウェル等の米国特許第4,6
95,395号は、石けんとアシル脂肪イセチオネートの両方を含みかつ皮膚に
対して純石けんよりも実質的によりマイルドである化粧棒用組成物を教示する。
当該技術の別の目標は、例えばサッカライドのような天然の生分解性物質から
製造されるマイルドな非石けん界面活性剤を利用することであった。例えば本出
願人の特許出願EP−550278は、例えば化粧棒用組成物において、界面活
性剤とし
てのアルドビオナミドの使用を教示する。
非石けんの洗浄活性な棒において、該棒に構造付与する(即ち、物理的にばら
ばらにならないようにする)ように作用するのは遊離脂肪酸である。かくして、
全くアルドビオナミド活性物を基剤とした棒においては、例えば、或る最小レベ
ルの脂肪酸(即ち、5〜30重量%好ましくは15〜25重量%)が該棒に構造
付与するのに一般に必要とされる。
アルドビオナミドはマイルドな生分解性界面活性剤であるけれども、少なくと
も脂肪酸構造付与剤と共に用いられる場合、該棒は良好な泡特性を有さないこと
が分かった。泡の生成は多くの棒使用者にとって重要な特性であるので、このこ
とはかかる棒に関して欠点であると考えられる。
フッカーの米国特許第3,312,627号は、0〜70%の高分子量ベース
成分および10〜70%の非イオン性洗浄界面活性剤を含有する棒用組成物を開
示する。該ベースポリマーはポリグリコールであり得ること並びに該非イオン性
界面活性剤はステアロイルN−メチルグルカミド(第5欄第1行)であり得るこ
とが開示されている。
該非イオン性界面活性剤は、本発明のグルコナミドとは対照
的にグルカミドである、ということが留意されるべきである。グルカミドは、溶
解性が劣ると予期される。この特定の化合物は、C18ステアロイル化合物である
点で一層溶解性が劣ると予期されるものである。加えて、成分のこの特定の組合
わせが用いられるべきであることあるいはそれらが本発明の棒の特性を有する棒
をもたらすであろうということは、絶対に認識されていない。
思いがけず、本出願人は今般、或る最小レベルのポリアルキレングリコールが
該組成物中に用いられるならば(即ち、約15重量%のアルキレングリコールの
最小レベル)、ポリアルキレングリコールは、脂肪酸の代わりに非石けん界面活
性剤棒に構造付与するのに用いられ得るのみならず、ポリアルキレングリコール
はアルドビオナミド含有棒において泡の形成を抑制しないということを発見した
。
上記と同一であると見なされるU.S.シリアルナンバー981,739はポ
リエチレングリコールがアルドビオナミドと組み合わせて随意的成分として用い
られ得ると開示する(第12頁第2パラグラフ)けれども、ポリエチレングリコ
ールが構造付与する量にて(即ち、用いられる遊離脂肪酸の量よりも多
い量にて)用いられるべきでありまたは用いられ得るあるいはポリエチレングリ
コールが驚くべきことにアルドビオナミド棒において遊離脂肪酸が抑制するよう
には泡の生成を抑制しないという教示または示唆はない。実際、アルキレングリ
コールが用いられる場合、商用陰イオン性棒のものに匹敵する泡容量が得られそ
して泡容量はラクトビオナミド/脂肪酸の棒にて得られるものよりはるかに越え
る。
本発明は、20〜75重量%好ましくは30〜60重量%の非イオン性アルド
ビオナミド界面活性剤、および構造付与剤として機能すると共に泡の形成を抑制
しない15〜65重量%好ましくは25〜50重量%のポリアルキレングリコー
ルを含み、かつ15%より多い遊離脂肪酸を含まない化粧棒用組成物に関する。
該化粧棒用組成物は、追加的に石けんまたはアルドビオナミド以外の非石けん界
面活性剤(即ち、陰イオン性、非イオン性または両性の界面活性剤)を含み得る
。該石けんまたは非石けん界面活性剤は、アルドビオナミドの量よりも多くない
量にて好ましくはアルドビオナミドの量の約15〜45%の量にて用いられるべ
きである。該棒はまた、例えば、当業者に周知であるような染料、香料、モイス
チャライザー、肌ざわり剤
(シリコーン、陽イオン性ポリマー、フッ素化化合物等)および他の棒成分を含
有し得る。
本発明は、環境に優しい界面活性剤特にアルドビオナミドのような環境に優し
い非イオン性界面活性剤を含む化粧棒用組成物に関する。
アルドビオナミドはアルドビオン酸(またはアルドビオノラクトン)のアミド
と定義され、そしてアルドビオン酸は、アルデヒド基(一般に糖のC1 位置に見
られる。)がカルボン酸に より置き換えられた糖物質(例えば、少なくとも2
個のサッカライドユニットを含む環式糖)であり、しかして乾燥時に環化してア
ルドノラクトンになる。
アルドビオナミドは2個のサッカライドユニットを含む化合物を基剤とし得(
例えば、アルドビオナミド結合からラクトビオナミドまたはマルトビオナミド)
、あるいはポリサッカライド中の末端糖がアルデヒド基を有する限りそれらは2
個より多いサッカライドユニットを含む化合物を基剤とし得る。定義により、ア
ルドビオナミドは少なくとも2個のサッカライドユニットを有さねばならずかつ
線状であることはできない。ラクトビオナミドまたはマルトビオナミドのような
ジサッカライド化
合物が、好ましい化合物である。用いられ得るアルドビオナミド(ジサッカライ
ド)の他の例は、セロビオナミド、メリビオナミドおよびゲンチオビオナミドを
含む。
本発明の目的のために用いられ得るアルドビオナミドの特定の例は、下記のジ
ここで、R1 およびR2 は、同じまたは異なっておりそして水素,脂肪族炭化水
素基(例えば、N、OまたはSのようなヘテロ原子もしくはエトキシ化またはプ
ロポキシ化アルキル基のようなアルコキシ化アルキル鎖を含有していてもよいア
ルキル基およびアルケン基)好ましくは、8〜24個好ましくは10〜18個の
炭素を有するアルキル基,芳香族基(置換または非置換のアシル基およびアシル
部を含めて),環状脂肪族基,アミノ酸エステル、エーテルアミンおよびそれら
の混合物から成る
群から選択され、但しR1 およびR2 が両方共水素であることはできない。
適当な脂肪族炭化水素基は飽和および不飽和の基を含み、しかしてそれらはメ
チル、エチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ド
デシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ルおよびオクタデシル、並びにアリル、ウンデセニル、オレイル、リノレイル、
リノレニル、プロペニルおよびヘプテニルを含むがしかしこれらに制限されない
。
芳香族基は、例えば、ベンジルにより例示される。
適当な混合脂肪族芳香族基は、フェニルエチルおよびビニルベンジルにより例
示される。
環状脂肪族基は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルにより例示される。
本発明の組成物において用いられるアルドビオナミドは、石油化学薬品を基剤
とした他の周知の非イオン性界面活性剤(例えば、シェル社のネオドール(Ne
odol(登録商標))系列のアルコキシ化界面活性剤)と同等またはより良好
であることを示す性質(即ち、臨界ミセル濃度、クラフト点、泡立ち、
洗浄力)を有し、それによってそれらはより伝統的な非イオン性界面活性剤の使
用に対する実行可能な環境に優しい代替品になり得ることが分かった。該アルド
ビオナミドはまた、単一のサッカライド線状対応品よりも低いクラフト点および
大きい溶解度を有する。
理論により縛られたくないけれども、アルドビオナミドの高い溶解度はグルコ
ナミドのような線状モノサッカライドアルドナミドにおいて起こる密な充填を妨
げる糖構造に因ると信じられる。ヒドロキシル基のより多い数もまた、恐らくア
ルドビオナミドをより溶解性にするのを助成しよう。
加えて、本発明の界面活性剤は、身の回り製品または洗剤処方物において用い
られるタイプの他の非イオン性界面活性剤または他の界面活性剤(例えば、陽イ
オン性、陰イオン性、双性イオン性、両性)と共界面活性剤として用いられ得る
。これらは、本組成物においてアルドビオナミドの量よりも多くない量にて用い
られるべきである。組成物
本発明の組成物は、上記に定義されたアルドビオナミドおよびポリアルキレン
グリコールからなる化粧棒用組成物である。
ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポ
リブチレン)化合物は、該棒に構造付与するが泡の形成を抑制しない量にて存在
する。ポリアルキレングリコールの分子量範囲は、1,000〜20,000好
ましくは2,000〜15,000最も好ましくは6,000〜10,000で
ある。典型的には、該アルキレングリコールは15〜65重量%好ましくは25
〜50重量%からなるであろう。好ましくは、該ポリアルキレンはポリエチレン
グリコールである。
本発明のアルドビオナミド界面活性剤に加えて本組成物はまた石けんまたは非
石けん洗剤を含み得、しかしてそれらは一般に陰イオン性(石けんを含めて)、
非イオン性、陽イオン性、双性イオン性または両性の合成洗浄物質もしくはそれ
らの混合物から選ばれる。
これらの共界面活性剤はすべて当該技術において周知でありそして例えば米国
特許第4,696,395号(キャスウェル等)および第4,260,507号
(バーレット)に記載されており、しかしてそれらの両方共本願中に参照により
ここに組み込まれる。これらの活性物は、アルドビオナミドの量よりも多くない
量にて用いられるべきでありそして好ましくはアルド
ビオナミドの量の15〜45%からなるべきである。
8〜22個の炭素原子を有する遊離脂肪酸の或る量もまた、過脂肪剤、肌ざわ
りおよびクリーム性の向上剤および/または構造付与剤として作用するよう本棒
用組成物中に望ましくは混入される(理論的にはそれらは混入される必要はない
けれども)。該遊離脂肪酸は、存在する場合、該組成物の1重量%と15重量%
の間にあるべきであるがしかし存在するポリアルキレングリコールの量よりも多
くない量からなるべきである。
化粧棒用組成物中に存在し得る他の随意的な成分は、グリセリン、プロピレン
グリコール、ソルビット、メチルグルコースのエトキシ化またはメトキシ化エー
テル等のようなモイスチャライザー,コラーゲン、変性セルラーゼ(ポリマー(
Polymer)JR(登録商標)のような)、グアーガムおよびポリアクリレ
ートのような水溶性ポリマー,クエン酸塩のような金属イオン封鎖剤,並びにシ
リコーン、鉱油、ペトロラタムまたはフッ素化ポリエーテルのようなエモリエン
ト剤である。
本発明は、以下の例において一層詳細に記載される。これらの例は、単に本発
明を例示するためであって決して制限するよう意図されていない。例
N−アルキルラクトビオナミドを製造する方法の例が以下に記載されている。
N−アルキルラクトビオナミドの製造方法 N−アルキルラクトビオナミドの合成
N−アルキルラクトビオナミドを、下記に示されているように、商業的に入手
できるラクトビオノ−1,5−ラクトンを種々の線状アルキルアミンと無水DM
F中、メタノール中または希釈なし(neat)で反応させることにより合成し
た。
溶媒としてのジメチルホルムアミド
この処理操作は、ラクトビオノ−1,5−ラクトンを最小量の無水DMF中に
80℃にて溶解した後1当量のアルキルアミ
ンを添加することを含んでいた。この処理操作は優秀な収率をもたらしたけれど
も、生成物は着色しておりそして溶媒での反復洗浄が必要であった。溶媒としてのメタノール
この処理操作は、ナショナル・デアリーの米国特許第2,752,334号に
記載のように行われた。ラクトビオノ−1,5−ラクトンおよびアルキルアミン
がメタノール中で還流され、そして相当する着色した生成物が中程度の収率にて
単離された。溶媒での連続的洗浄が、該生成物の脱色のために必要であった。非溶媒法
過剰のアルキルアミンおよびラクトビオノ−1,5−ラクトンが、90〜10
0°にて激しく撹拌しながら加熱された。着色した生成物が、中程度の収率にて
単離された。
これらの方法の各々の例が、下記に一層詳細に記載されている。N−テトアデシルラクトビオナミドの代替合成
凝縮器および機械的撹拌機を備えた5L−三つ口丸底フラスコ中において、ラ
クトビオノ−1,5−ラクトン(400g)を温メタノール(3.5L,50〜
55℃)中に溶解した。次
いで、溶融されたテトラデシルアミン(1.0当量,272g)を添加した。こ
の反応物を室温まで冷却した後一晩撹拌して、完全な結晶化をなした。所望の白
色生成物を濾過しそしてメタノールから再結晶して、91%(550g)の単離
収量を得た。メタノール濾液は、N−テトラデシルラクトビオナミドとテトラデ
シルアンモニウムラクトビオネートの混合物を含有していた。
上記の処理操作はまた、他のN−アルキルアルドナミドを単離するのに用いら
れ得る。
例1 N−デシルラクトビオナミドの製造
20gのラクトビオノ−1,5−ラクトン(1当量)を、40mlの無水DM
F中に75〜80℃にて30分間撹拌しながら溶解した。この反応物を冷却し、
エチルエーテル(150ml)を添加し、生成物を濾過しそしてエチルエーテル
(2×100ml)で洗浄した。メタノール/エチルエーテルから再結晶して、
80%の収率の所望生成物を得た。
例2 N−ドデシルラクトビオナミドの製造
30gのラクトビオノ−1,5−ラクトン(1当量)を、70mlの無水DM
F中に75〜80℃にて溶解した。15.85g(1当量)のドデシルアミンを
添加し、この反応物を70〜80℃にて30分間撹拌し続けた。この反応物を冷
却し、エチルエーテル(200ml)を添加した。生成物を濾過しそしてエチル
エーテル(2×150ml)で洗浄し、そしてMeOHから再結晶して90%の
所望生成物を得た。
例3 N−テトラデシルラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(20g,1当量)を、60mlの無水DM
F中に65℃にて溶解した。12.5gのテトラデシルアミン(1当量)を添加
し、この反応物を65℃にて30分間撹拌した。この反応混合物を冷却し、エチ
ルエーテル(2×150ml)を添加した。生成物を濾過しそしてエチルエーテ
ルで洗浄した。メタノールから再結晶して92%の所望生成物を得た。
例4 N−ヘキサデシルラクトビオナミドの製造
10gのラクトビオノ−1,5−ラクトン(1当量)および
7.1gのヘキサデシルアミン(1当量)を用いて、例3においてと同じ処理操
作を用いた。MeOHから再結晶して、90%の所望生成物を得た。
例5 N−プロピルラクトビオナミドの製造
5gのラクトビオノ−1,5−ラクトン(1当量)を、20mlの無水DMF
中に80℃にて溶解した。0.86gのプロピルアミン(1当量)を添加した。
この反応物を80℃にて30分間撹拌した。溶媒を除去した。残渣をエチルエー
テル(2×50ml)で洗浄した。MeOH/エチルエーテルから再結晶して、
80%の収率の所望生成物を得た。
例6 N−ペンチルラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(5g,1当量)およびアミルアミン(1.
41g,1当量)を、30mlの無水メタノール中で加熱して1時間還流させた
。少量の活性炭を添加し、そして生じた混合物を熱時濾過した。溶媒を除去し、
残渣をエチルエーテルおよび次いでアセトンで洗浄し、そして乾燥した。収率は
50%であった。
例7 N−オクチルラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(10g,1当量)およびオクチルアミン(
7.6g,2当量)を、激しく撹拌しながら30分間90℃に加熱した。この反
応物を冷却し、(2×150ml)のエチルエーテルで洗浄した。MeOH/エ
チルエーテルから2回再結晶して、80%の収率の所望生成物を得た。
例8 N−ドデシルラクトビオナミドの製造
20gのラクトビオノ−1,5−ラクトンおよび11gのドデシルアミン(1
当量)を、還流温度に加熱することにより200mlのメタノール中に溶解した
。この反応混合物を一晩室温にて撹拌した。生成物を濾過し、メタノール(10
0ml)および次いでエチルエーテル(2×75ml)で洗浄した。MeOHか
ら再結晶して、57%の収率の所望生成物を得た。
例9 N−ラクトビオニルドドデシルグリシネート
9.0gのドデシルグリシネート塩酸塩を温和に加熱することにより50ml
の無水メタノール中に溶解し、16mlの2.
0M−メタノール性アンモニアを添加し、その後10.g(1当量)のラクトビ
オノ−1,5−ラクトンを添加した。この反応混合物を2.0時間加熱して還流
させ、そして活性炭を添加しそしてこの混合物を熱時濾過した。溶媒を除去し、
生成物をエチルエーテルで洗浄しそして真空炉中で40℃にてP2 O5 で乾燥し
て、おおよそ75%の収率を得た。
例10 N−ラクトビオニルドデシルB−アラネート
ドデシルグリシネートの形態について上記に記載されているのと同じ処理操作
を用いて、無水MeOH中で3.0gのドデシルβ−アラネート塩酸塩を3.4
5のラクトビオノ−1,5−ラクトンと反応させた。収率は、おおよそ70%で
あった。
例11 N−デシルオキシプロピルラクトビオナミド
50gのラクトビオノ−1,5−ラクトンを400mlのメタノール(50〜
55℃)中に溶解し、デシルオキシプロピルアミン(アドゲン(Adogen)
(登録商標)180,31.6g,1当量)を添加した。この反応物を室温まで
冷却した後、一晩撹拌した。溶媒を除去し(250ml)、そしてアセトン
(400ml)を添加した。生成物を濾過し、アセトンで洗浄し、そして真空炉
中で40℃にて乾燥した。収率は、おおよそ80%であった。
例12 ココラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(400g,1当量)をメタノール(2.3
1,50℃)中に撹拌しながら溶解し、ココアミン(アドゲン(Adogen)
160−D(登録商標),211.8g,1当量)を10分かけてゆっくり添加
した。この添加が完了した後、反応混合物を更に10分間撹拌し、その後この溶
液に少量のココラクトビオナミドを播種し、そして室温にて一晩撹拌した。生成
物を濾過し、温アセトンで2回洗浄し、そして真空炉中で40℃にて乾燥した。
収量は、394gであった。
例13 牛脂ラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(200g,1当量)をメタノール(45℃
,1.31)中に溶解し、牛脂アミン(アドゲン(Adogen)170−D(
登録商標),144.7g,
1当量)を数部分に分けてゆっくり添加した。この添加が完了した後、反応混合
物を室温にて一晩撹拌した。生成物を濾過し、イソプロパノールおよび次いでア
セトンで洗浄し、そして真空炉中で40℃にて乾燥した。収量は、270gであ
った。
例14 オレイルラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(100g,1当量)をメタノール(50℃
,400ml)中に溶解し、オレイルアミン(アドゲン(Adogen)172
−D(登録商標),76.1g,1当量)をゆっくり添加した。この添加が完了
した後、反応物を室温にて一晩撹拌した。生成物を濾過し、アセトン2×で洗浄
し、そして真空炉中で40℃にて乾燥した。収量は、130gであった。
例15 N−ドデシル−N−メチルラクトビオナミドの製造
ラクトビオノ−1,5−ラクトン(8.7g,1当量)をメタノール(50℃
,30ml)中に溶解し、N−ドデシルメチルアミン(55g,1当量)を添加
した。反応物を室温にて一晩撹拌した。溶媒を除去し、生成物をアセトンで洗浄
し、そし
て真空炉中で40℃にて乾燥した。収量は、12gであった。
界面活性力
N−アルキルアルドビオナミド化合物の界面活性剤としての効力を決定するた
めに、この界面活性剤について、界面活性剤がいかに“良好”であるかと関連の
ある種々の物理的性質(即ち、CMC、クラフト点、泡の高さ、ゼイン(Zei
n)溶解、洗浄力)を測定した。特に、これらの性質を周知でかつ一般に用いら
れているエトキシ化界面活性剤と比較した。これらの種々の測定の結果は、下記
の例16〜19において記載されている。
例16 臨界ミセル濃度(CMC)
CMCは、界面活性剤が溶解状態においてミセルを形成し始める該界面活性剤
の濃度と定義される。詳述すると、疎水性基および親水性基の両方を含有する物
質(界面活性剤のような)は、それらが存在しているところの溶媒(即ち、水)
の構造をゆがめそしてそれ故その系の自由エネルギーを増大する傾向にある。そ
れ故、それらは表面に集中し、しかしてそこにおいてそれらの疎水性基が溶媒か
ら離れるように向けられるよう配向
することにより溶液の自由エネルギーが最小にされる。自由エネルギーを最小に
する別の手段は、これらの界面活性分子が集合してクラスター即ちミセルになっ
てしかもそれらの疎水性基がクラスターの内部の方に向けられそしてそれらの親
水性基がクラスターの内部の方に向けられそしてそれらの親水性基が溶媒の方に
向けられることにより達成され得る。
CMCの値は、ウィルヘミープレート法を用いて表面張力を測定することによ
り決定される。理論により縛られたくないけれども、低いCMCは界面活性度の
尺度である(即ち、ある界面活性剤の別の界面活性剤に対する低いCMCは、低
いCMCを有する界面活性剤がより界面活性的であることを指摘する。)と信じ
られる。これに関して、低いCMCは、高いCMCを有する界面活性剤と同じ界
面活性力の有益性をもたらすのにより少ない量の界面活性剤が必要とされること
を意味する、と信じられる。
種々の界面活性剤のCMCが測定され、そしてそれらの結果が下記に記載され
ている。
上記の表が指摘するように、N−デシルおよびテトラデシルラクトビオナミド
のCMC値は、N−ドデシル−β−D−グルコシドおよびヘプタエトキシ化ドデ
シルアルコールのそれに匹敵することが分かった。これらの値は、ラクトビオナ
ミド界面活性剤が他の広く用いられている非イオン性界面活性剤に匹敵すること
を示している。
例17 クラフト点
ある温度以上では界面活性剤は沈殿する代わりにミセルを形成し始め、しかし
て該温度をクラフト点(Tk)と称し、そしてこの温度にて界面活性剤の溶解度
はそのCMCに等しくなる。
クラフト点を、水中における界面活性剤の1%分散体を調製
することにより測定した。該界面活性剤が室温において可溶であったならば、そ
の溶液を0℃まで冷却した。該界面活性剤が沈殿してこなかった場合、そのクラ
フト点は<0℃であると考えられた。該界面活性剤が沈殿してきたならば、その
溶液を水浴中で撹拌しながらゆっくり温めた。この沈殿物が溶解した温度がクラ
フト点であると決定した。
クラフト点が室温を越えたならば、その溶液を最初に速やかに加熱して該界面
活性剤すべてを溶解させた。次いで、該溶液を沈殿が起こるまで冷却しそして次
いでゆっくり温めて上述したクラフト点を決定した。
理論により縛られたくないけれども、より低いクラフト点は水系により可溶で
ある界面活性剤の指標であると信じられる。
種々のラクトビオナミドのクラフト点が、次の通り記載される。
この表は、C10鎖長の界面活性剤がより低い温度にてC12およびC14の対応品
よりも良好な界面活性力特性を有する傾向にあるものであることを指摘している
。
例18 泡の高さ
泡は、多くの消費製品(例えば、消費製品)における重要な特質である。泡は
、シャンプー、石けん等のような製品の商用価値を決定する支配的因子の一つで
ある。また、多くの消費製品の受容性は、それらが作る泡の質およびキメ(心理
的面)に密接に関係している。
界面活性剤に関する泡立ちデータのほとんどは典型的にはロス−マイルス法(
ロス・ジェイおよびマイルス・ジー・ディー,アム・ソク(Am. Soc.)
,材料の試験用(for Testing Material) 方法D117
3−53,ペンシルバニア州フィラデルフィラ(1953);オイル・アンド・
ソープ(Oil & Soap)(1958)62:1260)により得られる
ので、これらの界面活性剤の泡立ち能もまたこの方法を用いて得た。
ロス−マイルス法においては、内径2.9mmのオリフィス
を有する規定寸法のピペット中に入れられた界面活性剤の溶液200mLを、水
ジャケットにより所与温度(しばしば60℃)に維持された円筒状容器中に入れ
られた同じ溶液50mL上に90cm落下させる。該円筒状容器において生じた
泡の高さを該溶液のすべてが該ピペットから流出した直後読み取り(初期の泡の
高さ)、そして次いで所与時間(一般に5分)後再び読み取る。
この方法を用いて、泡の生成(初期に測定される。)および泡の安定性(10
分後の高さ)が報告される。泡立ちはすべて、120ppmの硬度を有する水中
において45℃にて達成された。泡の高さは、ミリメートル(mm)で表される
。
種々の界面活性剤および界面活性剤の混合物についての初期の泡の高さおよび
10分後の泡の高さ(即ち、泡の安定性)が、下記に記載されている。
上記に見られるように、C14ラクトビオナミドおよびC12とC14のラクトビオ
ナミドの混合物が最高の泡安定性を示す。
このタイプの泡安定性を他の非イオン性物質でもって得ることは非常にまれで
ある、ことが留意されるべきである。
例19および20
下記の組成物19および20を、次のように製造した。
混合機を100〜110℃に加熱し、そしてPEG、脂肪酸および共活性物(
存在する場合)を添加しそして溶融して、流体であるが均質である混合物にした
。次に、ラクトビオナミドをゆっくり該混合機に添加して濃厚なドウを形成させ
た。水を二酸化チタンおよび保存剤と共に添加して、該ドウを薄めた。この時点
で該混合機の温度を、85〜90℃のバッチ温度が達
成されるように下げた。混合中、典型的には、ドウが充分に混合されるのを確実
にするために2〜3%(重量%)の余分の水が添加された。該バッチが目標水分
(〜5%)まで乾燥した時、それを白色のふわふわしたドウのまま排出した。
次の組成物を、上記のようにして製造した。例19−ラクトビオナミド/PEG/遊離脂肪酸
例20−ラクオビオナミド/PEG/遊離脂肪酸/脂肪酸イセチオネート
例21
ポリアルキレングリコールで構造付与されたラクトビオナミド棒(即ち、少な
くとも15%のアルキレングリコールおよび15%未満の遊離脂肪酸を含有する
棒)がマイルドであり(それらのマイルドな非イオン性ラクトビオナミドの功に
よる。)かつ構造付与されている(アルキレングリコール構造付与剤の功による
。)がそれでも強力な起泡特性を維持することができ
ることを示すために、本出願人は、本発明により定められた棒の起泡性を、典型
的な陰イオン性ベースの合成洗剤棒(即ち、陰イオン性界面活性剤の功により充
分に起泡し、かつ界面活性剤として主としてラクトビオナミドを用いる棒におい
て泡の形成を抑圧するようには遊離脂肪酸構造付与剤が泡の形成を抑圧しない棒
)と比較した。
特定的には、本出願人は、例19および20の棒の泡容量を、典型的な陰イオ
ン性の、遊離脂肪酸で構造付与された棒により生じせしめられた泡容量とそれぞ
れ比較した。
泡容量は、次のように決定した。
手袋をした手でもって、水(95°F)の流れ下で棒および手袋を濡らしそし
て該棒を10回回転して泡を生じせしめる。測定可能容量を蓄めるために合計1
0回該泡を両手から引き離し、そして次いでメスシリンダー中にテーパーしてい
る倒立状円錐体下に集める。該円錐体を水盤中に沈めて、該泡が該シリンダー中
に入るようにする。該泡が該シリンダーを満たすレベルを該容量とする。
上記に定めた試験を用いて泡容量を6人の試験者の平均について平均し、そし
てそれらの結果が下記に記載されている。
上記のデータは明らかに、ポリアルキレングリコール(15%またはそれ以上
のポリアルキレングリコール)で構造付与された本発明のアルドビオナミド棒が
典型的な陰イオン性棒と同等に奏することを例証している。かくして、該棒に構
造付与する一方かつ泡の形成を犠牲にすることなく、マイルドな界面活性剤の有
益性が達成され得る(非イオン性アルドビオナミドを用いることにより)。
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(72)発明者 レイテインガー,ゲイル・ベス
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07666、テイーネツク、エツジウツド・ア
ベニユー・315