JPH09502073A - ガラス内アンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、積層ガラス、高周波数の電磁波（ギガヘルツ範囲の）の受信に適合したアンテナ要素（７）、及び接地される対電極（９）から構成されたガラス内アンテナに関する。本発明によれば、上記の要素（７）はガラスパネル内で内側層の外を向いた面に配置される一方、対電極（９）はこのガラス層（１）の反対側の面に配置される。ガラスの湿分によるアンテナ共振信号のいかなる妨害も回避するために、上記要素（７）と外側のガラス層（２）の内側を向いた側との間で熱可塑性シート（３）の領域（４）を取り除いて空気層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】 ガラス内アンテナ この発明は、アンテナ要素と接地された対電極から構成されるアンテナペイン を主題とする。このアンテナ要素は、ペイン中の第一の平らな誘電体の外側に向 いた面にあり、一方、対電極はこの第一の誘電体の反対側にある。比誘電率（又 は誘電率）がガラスのそれより小さい第二の誘電体が、アンテナ要素と当該アン テナペインの外側面との間に配置される。 このタイプのアンテナは、周波数が300MHzより高いマイクロ波範囲の電波の伝 送又は受信に適している。それらは固定アンテナとして、あるいは車両用に、特 にディジタルネットワークの無線電話通信用に、衛星によるディジタル無線通信 用に、あるいは車両の位置をそれがどこにあろうとも特定するのを可能にする、 衛星による遠隔検出システム、例えばＧＰＳ（広域測位システム(global posi-t ion system)）といったようなもののための受信アンテナとして、使用すること ができる。それらが正しく機能することができるためには、それらが作用するの を狭い周波数帯域に限定し且つそれらを精度よく調節することが必要である。そ れらはまた、環境が寄生放射の源になる場合にこの能力を維持することができな くてはならない。これが、それらを清浄に保ちそしてまたそれらを外来の擾乱又 は減衰率から保護するのが適切であることの理由である。 ドイツ特許出願公開第3834075号明細書に記載された一つのタイプのアンテナ によれば、環境がアンテナ要素に及ぼす影響を低減するために、アンテナ要素と パネルの外側面との間に第二の誘電体が配置される。 このタイプのアンテナペインの場合には、この第二の誘電体を別の材料から製 作することが可能である。第一の例によれば、これは、積層ペインの種々のシー トを一緒に結合するのに役立ち、第二の誘電体の機能を果たす、ポリビニルブチ ラールである。もう一つの例では、第二の誘電体は広い表面を有するプラスチッ ク材料のプレートであって、アンテナ要素の上に配置される。上記の明細書では 、第二の誘電体が積層ペインの外側ガラス板のくぼんだ領域を占める例にも触れ られている。言及された全部の例について、アンテナペインは、その外側を向い た全領域にわたり、第二の誘電体材料から製作された固体構成要素と直接機械的 に接触させられている。 このよく知られたタイプのアンテナ構造体は、特にガラス板が雨水又は大気湿 分により濡らされる場合に、なおもある程度環境の影響を被りやすく、且つ擾乱 されかねない。 本発明は、上述のタイプのアンテナペインの改良版を創造することを目的とし 、その共振周波数はパネルに存在する湿分によってなおもそれほど変更されず、 且つこうして狭い周波数帯域のアンテナについて良好な効率と隣接チャンネルの 高い減衰が得られよう。 この目的は、本発明によれば、アンテナ要素がアンテナペインを形成している ガラスシートの内側を向いた面から第二の誘電体を構成している空気の層によっ て切り離されているアンテナペインによって達成される。 従って、本発明は、空気の層が外側のガラスシートとアンテナ要素との間に位 置するようにアンテナペインを構成することを規定する。 こうして、アンテナ要素はガラス板の外側が接触しそして特に強い擾乱の源で ある湿分からも、減衰の原因になりかねない付着物からも、より一層効果的に隔 離される。 アンテナ要素は、本発明によれば、積層ペインにおけるのと同様に一体式ペイ ンにうまく配置することができる。 熱可塑性のシートにより一緒に接合された少なくとも２枚のガラス板を含む積 層ペインから作られた本発明によるアンテナペインの一つの適切な態様は、その 特別な特徴として、当該熱可塑性シートのくり抜き（中空）領域により形成され た空気の層を有する。 第一のタイプの態様は、パネルの内部で、アンテナ要素が熱可塑性シートのく り抜き領域内において、内側シートの外側を向いた面に配置されるようにするこ とができる。この構成については、積層ペインの内側シートがアンテナ要素と対 電極との間の第一の誘電材料を形成する。 空気の層が熱可塑性シートのくり抜きにより形成されるもう一つの態様は、ア ンテナ要素を内側に向く（すなわち車両の搭乗者の居住区画に向く）内側シート の面に配置するようにして実現することができる。この方法には、アンテナペイ ンの製造を大変容易にするという利点がある。実際には、積層ペインを製造する 際に熱可塑性シートにくり抜きを作ることが必要であるが、内側ガラス板の内側 面へのアンテナ要素の取りつけは間違いなく、積層ペインのための集成工程後に 行うことができる。 既知のアンテナペインについては、広い表面を持つガラス板の両側へ電気伝導 性の構成体を適用することが必要であるのに対し、本発明は、アンテナの導電性 プレート、それと対電極との間に挟まれる誘電体、そして当該対電極を、全てガ ラス板の片側のみに取りつけるのを可能にする。 アンテナ構造体の製造はいろいろな方法で、例えばシルクスクリーンを用いて 、行うことができる。とは言え、アンテナ構造体を保持したいくつかの層を含む 前もって組み立てられたピースを、熱可 塑性シートのくり抜き領域で、内側ガラス板の内側に向く面へ接着することが殊 に適当である。 本発明によるアンテナペインの一つの好ましい態様は、次に述べる特徴を有す る。アンテナ要素はスペーサーにより内側シートの内側面に結合される。こうし て、内側シートと、そこへ結合された、アンテナ要素、第一の誘電体及び対電極 から構成されたアンテナピースとの間に空気の層が形成される。このようして、 受信の質を左右するアンテナの全ての部品は、誘電物質により空間において隔離 され、これは環境の擾乱する影響からそれらを保護するのを可能にする。この態 様によれば、アンテナピースは一体式ペインに配置してもよい。積層ペインの場 合には、この好ましい態様は、やはりアンテナ要素の位置の熱可塑性材料にくり 抜き（中空）領域を持つことができ、こうして空気の層が二重にされるので、隔 離をより効果的にすることができる。 スペーサーとアンテナ構造体は、内側にしようとするガラス板に配置される前 もって組み立てられた要素でもよい。これは、アンテナ構造体をガラス板に特に 簡単に且つ素早く取りつけるのを可能にする。このモデルは更に、環境の擾乱す る影響からアンテナ要素を全体的に保護し、かくして最適な周波数安定性を保証 する。 アンテナの導電プレート及び対電極の形状と寸法は、使用される伝送及び受信 周波数に合わされ、偏波の状態にも合わされる。これは、導電プレートは直線状 に偏波された波の場合には細いストリップの形状を有し、それに対してＧＰＳシ ステム用の場合のように円状に偏波された波の場合には全ての方向に同じ寸法の 平らな形状を有することを意味する。アンテナの脚の位置は、アンテナの脚につ いて所望されるインピーダンスに関連するものとして選ばれる。使用される周波 数について言えば、アンテナの導電プレートの寸法は 数センチメートルのオーダーである。対電極の寸法は、どのような場合が想定さ れるとしても、それら自体が導電プレートのそれらよりも明らかに大きいもので あるべきである。 本発明のこのほかの利点も、また適当な態様及び改良も、請求の範囲に、且つ また図を参照して用意された態様の例の説明に明らかにされており、これらの図 は下記のものを示している。 第１図は、２枚のガラスシートの間に位置するアンテナ要素を備えた積層ペイ ンの断面図であり、 第２図は、内側に配置したアンテナ構造体を備えた積層ペインの断面図であり 、 第３図は、それから切り離して保持されたアンテナ構造体を備えた一体式ペイ ンの断面図である。 第１図の断面図に示した積層ペインは、例えばポリビニルブチラール製の、厚 さ0.76mmの熱可塑性シート３を用いて一緒に集成された、おのおの２mmの厚さの ２枚のガラスシート１及び２からなる。この積層ペインを建物又は車両に取りつ け後に、シート２は外側になる。熱可塑性シート３は、その一部分に、くり抜き 領域４を具備する。金属のアンテナ要素７が、パネル内のこのくり抜き領域４で 、内側シート１の建物又は車両の外側を向く面６に配置される。くり抜き領域４ に含まれる空気は、比誘電率（又は相対誘電率）ε_r＝1.0006の、理想的な誘電 体を構成する。要素７とガラスシート２の内側面５との間のくり抜き領域４に対 応していて空気が満たされたこの中間の空間が、第二の誘電体を形成する。金属 の対電極９は、シート１の内側面８に取りつけられる。アンテナ要素７と対電極 ９は、シルクスクリーンを用いて適用され次いで焼きつけられた、導電性である エナメルフィルムから作ることができる。アンテナ要素７は、孔11を経てシート １を貫通しそして同軸ケーブルのための接 続要素との接合部として働く接触ピン12を用いて電気回路（ここには図示せず） に接続される。対電極９の管状接続ピース13はこのケーブルのシースにある。 孔11は、ガラスシート１、２と熱可塑性シート３を熱と圧力で一緒に集成する 場合にはくり抜き領域４内の圧力を釣り合わせ、こうしてガラスシートが高い圧 力によりこの位置で破壊される危険を回避する役にも立つ。 第２図に示した積層ペインは、熱可塑性シート23を用いて一緒に接合された２ 枚のガラスシート21及び22から構成される。この積層ペインの構造体においては 、シート22が外側に位置する。熱可塑性シート23は、ここでもやはりくり抜き（ 中空）領域24を備えている。この空間（ボイド）24により形成された空気の層は 、シート22の内側面25からアンテナ導電プレート27を絶縁するのに役立つ誘電体 を構成する。 アンテナ要素27は、接着フィルム26によりシート21の内側面28に配置される。 対電極29は誘電体30によってアンテナ要素27から分離される。この誘電体30を貫 いて孔31が形成されている。この孔を、アンテナ要素27を電子増幅回路（ここに は図示せず）につなげる接続ピン32が通り抜ける。この回路は、このペインの構 造によれば、内側に向けられる対電極29の表面の絶縁フィルムの上に取りつけて もよい。対電極自体は、管状接続部33と同軸ケーブルのシースにより接地される 。 第３図に示したような一体式アンテナペインの場合には、スペーサー43がその 二つの面44と二つの接着層45によってガラスシート41の内側面42に結合される。 金属フィルムの形態をしたアンテナ要素47も対電極49も、誘電体50の上に配置さ れ、そしてこの誘電体とともに、それ自体がスペーサー43の内側面に取りつけら れるアンテナ 構造体を形成する。 アンテナの導電プレートは、先の例におけるように、誘電体50に形成された孔 51を通り抜ける接触ピン52を用いて適当な接続ケーブルの端子につながれ、この ピンは同軸ケーブルの接続部と接合する機能を果たす。対電極49を接地するのに 役立つコネクターピース53は、スペーサー43の壁48の孔54を貫通する。 このタイプのモデルの場合には、環境の擾乱する影響に関してアンテナ構成要 素の最適な隔離が達成された。理想的な誘電体であることが証明される空気層46 が、アンテナ要素47も、また対電極49及び第一の誘電体50も、外来の擾乱から隔 離する。 このタイプのモデルについては、より大きな空気層を構成することも可能であ る。ガラスシートの表面42とアンテナ要素47との間隔が２〜３mmの場合には、非 常に著しい外来の擾乱の場合にも、周波数の高い安定性を得ることが可能である 。 くり抜き領域を満たすために、空気以外のガスを、あるいは実際のところ大部 分が空気又は他のガスとなるように構成される発泡体を使用することが可能であ る。そのような発泡体は、特にそれらの容積に少なくとも95％の空気が含まれる 場合に、適当である。というのは、このようにしてそれらの比誘電率（又は相対 誘電率ε_r）は1.1以下になるからである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．アンテナ要素と接地された対電極とを含むペインであり、このアンテナ要 素は当該ペインの構造体において第一の平らな誘電体の外側を向いた面に配置さ れており、上記の対電極はこの同じ誘電体の反対側に位置していて、当該ペイン が当該アンテナ要素とこのペインの外側面との間に配置され、比誘電率又は相対 誘電率がガラスのそれより低い第二の誘電体を含んでいるアンテナペインであっ て、この第二の誘電体が空気のようなガスの層であって、当該アンテナペインの 少なくとも一部分を形成しているガラスシート（２、22、41）の内側を向いた面 （５、25、42）から当該アンテナ要素（７、27、47）を切り離していることを特 徴とするアンテナペイン。 ２．熱可塑性シートを用いて一緒に接合された少なくとも２枚のガラスシート から構成されており、そして前記ガス層がこの熱可塑性シート（３、23）のくり 抜き領域（４、24）によって形成されていることを特徴とする、請求の範囲第１ 項記載のアンテナペイン。 ３．前記アンテナ要素（７）が前記熱可塑性シート（３）の前記くり抜き領域 （４）の内側にあり、そしてそれが内側のガラスシート（１）の外側を向いた面 （６）に配置されていることを特徴とする、請求の範囲第２項記載のアンテナペ イン。 ４．前記アンテナ要素（27）が内側のガラスシート（21）の内側を向いた面（ 28）に配置されていることを特徴とする、請求の範囲第２項記載のアンテナペイ ン。 ５．前記ガスの層（46）がスペーサー（43）を用いて前記アンテナ要素（47） と内側のガラスシート（41）の内側面（42）との間に形成されていることを特徴 とする、請求の範囲第１項又は第２項記載のアンテナペイン。 ６．前記スペーサー（43）がＵ字状の断面を有し、接着剤（45）によりガラス シート（41）に接合されていること、そしてアンテナ要素（47）、誘電体（50） 及び対電極（49）を含むアンテナ構造体が当該スペーサー（43）の当該ガラスシ ート（41）の方に向いた面（48）に配置されていることを特徴とする、請求の範 囲第５項記載のアンテナペイン。 ７．前記ガスの層に少なくとも95％が空気又は別のガスから構成された発泡体 が詰められていることを特徴とする、請求の範囲第１項から第６項までの一つに 記載のアンテナペイン。 ８．熱可塑性シートを用いて熱と圧力により集成された少なくとも２枚のガラ スシートと、アンテナ要素及び対電極を含むアンテナ構造体から構成されたアン テナペインを製造する方法であって、当該熱可塑性シートの一領域をこのシート を当該ガラスシートと集成する前に当該アンテナ構造体の帯域においてくり抜き 、そして当該熱可塑性シートとこれらのガラスシートとを一緒に集成する前に上 記のくり抜き領域を覆う帯域においてこれらのガラスシートの少なくとも一方を 貫く孔を形成することを特徴とするアンテナペインの製造方法。