【発明の詳細な説明】
液体組成物 発明の分野
本発明は、漂白剤、詳細には過酸漂白剤を含有する非水系液体組成物に関する
ものである。発明の背景
過酸は強力な酸化能力を持つことから、家庭におけるしみを漂白することがで
きる。それらの化合物はさらに、殺菌および消毒効果を有し、それは同じ条件下
に使用した場合に過酸化水素を発生するものより優れているのが普通である。
過酸を含む液体組成物、特に非水系組成物を提供することが非常に望ましいと
考えられるが、当業界では、そのような組成物を調製することは特に困難で、過
酸の分解が生じることが知られている。
例えば、Jones に与えられた米国特許3956159号では、過酸の反応性は
漂白剤を液媒体中で保管する点に関して、調剤において特殊な問題を生じるもの
であることが示されている。その特許では、有機溶媒を含めた多くの成分の組み
合わせによって漂白剤を安定化させることが示されている。しかしながら、
その明細書には、単なる有機溶媒ではなく界面活性剤に基づいた液体組成物中に
どのようにして過酸を組み入れるかについて示されていない。
Sanderson らに対する米国特許4783278号には、非イオン系界面活性剤
を含有してなる有機液体キャリア相中に分散させた場合に、粒子状4−スルホ過
安息香酸カリウムが安定であることが示されている。その明細書では、液体の非
イオン系界面活性剤中に分散させた他の固体過酸は不安定となり、それはエトキ
シ化界面活性剤と過酸との間の好ましくない相互作用によるものと推定されるこ
とが示されている(第1欄49〜57行参照)。
過酸とエトキシ化界面活性剤との間の好ましくない相互作用(例えば非水系液
体中)については、Barnesに対する米国特許4981606にも記載されており
、保護を施した(capped)エトキシ化非イオン系界面活性剤を用いることによっ
てのみ過酸が安定となることが示されている。本発明においては、保護を施した
アルコキシ化非イオン系界面活性剤は必要ではなく、好ましくもない。
EP484095には、可溶性の安定なイミド過酸を含有す
る非水系液体(非水系液体)について述べられている。しかしながら、可溶性過
酸は不安定であると考えられる。
EP−A−540090には、非水系液相には比較的不溶性である無機過酸塩
、特に過炭酸ナトリウムおよび前駆体化合物を含有する非水系液体が示されてい
る。その出願は、その前駆体の不溶性に関係するものであって、本発明の特定の
過酸の不溶性に関係するものではない。さらに炭酸塩は、本発明による過酸安定
化の確保のために使用すべき塩の範囲には含まれない。
Coope らに対する米国特許5268003号には、水性液での本発明の過酸が
示されている。第8欄20〜21行には、長い製剤リストの中で、それらの過酸
が非水系液体中で使用できることが述べられている。しかしながら、酸は水系媒
体には不溶性であると考えられることから、その非水系液体中での性質は示され
ておらず、その逆もそうである。さらに、本発明の過酸を含めて過酸は全ての非
水系媒体中で安定とは限らないのであるから、非水系媒体をどのように安定化さ
せるかについても示されていない。それらの過酸は特定の条件下で使用しなけれ
ばならない。条件が示されていないことならびに過酸用に非水系液体を用いる技
術についての一般的見解がないことから、当
業界において通常の技術を有する者はCoope らの明細書に基づいて非水系液体を
含有する安定な過酸を調製する方法についての知見を得られなかったことが強く
示唆される。
従って、本発明の目的は、特に非水系液相が液体の非イオン系界面活性剤(好
ましくはアルコキシ化されたもの)またはそのような非イオン系界面活性剤の混
合物である場合に、非水系液体組成物で安定な過酸を含有してなるものを提供す
ることにある。
その非水系液体組成物は好ましくはさらに、本発明の不溶性過酸ならびに本発
明によって決められる具体的な基準に従って選択されたビルダーおよび緩衝剤塩
などの分散固体を含有してなるものである。
本発明の別の目的は、非水系液体に実質的に不溶であってその化学的安定性が
大幅に向上された過酸を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、使用する場合には、液体中に存在する過酸の安定
性に対する好ましくない効果を低減するかあるいはその安定性を向上させるよう
に選択されるビルダー塩および緩衝剤塩を含有する非水系液体組成物を提供する
ことである。
本発明のさらに別の目的は、前記組成物への追加成分であって、使用すること
によって最終組成物中でのそれら過酸をさらに安定化させることができる成分を
提供することである。例えば、追加の安定化成分には、クエン酸などがある。酸
性陰イオン系界面活性剤(例えば、LAS)は、クエン酸を含有する組成物をさ
らに安定化させる上で役立つ。発明の要約
本発明は、非イオン系界面活性剤を含有してなる液相および固体分散相を有し
てなり、該固体相が該液相中での溶解度が低い過酸物質を含有するものである非
水系液体洗剤組成物を提供する。
好ましくは、前記非水系液体は、個別に選択されたビルダー塩および緩衝剤塩
を含有する。前記固体としては、非イオン系界面活性剤、過酸および選択された
塩/固体を含有する組成物が、37℃で測定した場合にそのような組成物中の過
酸が5日以上の半減期を持つことが間違いないものを選択する。
好ましくは、本発明の組成物で使用される過酸は、0〜約1500ppm、よ
り好ましくは約1000ppm以下、最も好ましくは約750ppm以下、特に
約500ppm以下で、
たとえば200ppm以下(ここでppmとは活性酸素のppm値を指す)の溶
解度を有するアミド過酸またはイミド過酸である。非水系液体中で使用される界
面活性剤は、室温で液体である非イオン系界面活性剤を含有することができるが
、本発明者らは、溶解度測定のために、鎖の長さ9〜11で平均2〜3個のエチ
レンオキサイド単位(2〜3EO)を有する非イオン系界面活性剤であるNeodol
91-2.5 を用いた。3EOと7EOの非イオン系界面活性剤の混合物などの非イ
オン系界面活性剤混合物も、溶解度の測定に使用することができる。その測定に
は非エトキシ化非イオン系界面活性剤も使用することができる。
本発明は、上記で定義された過酸を含有し、しかも重量基準で約1%〜約80
%、好ましくは重量基準で3%〜30%のビルダーと重量基準で0.5%〜25
%、好ましくは重量基準で1%〜15%の緩衝剤塩をも含有する非水系液体組成
物に関する。ビルダーと緩衝剤のいずれも、非イオン系界面活性剤と選択された
固体の分散液中での過酸の半減期を測定することによって選択する。37℃で測
定した場合に、その過酸は5日以上の半減期を持たなければならない。
本発明の別の実施態様においては、本発明は、上記で定義さ
れた組成物であって、さらに酵素を含有するものを提供する。すなわち、その組
成物は、安定な過酸および安定な酵素の両方を含有する。
本発明の第4の実施態様において、本発明は、上記の非水系液体組成物であっ
て、さらに安定化剤としての酸を含有するものを提供する。そのような酸の例と
してはクエン酸がある。
本発明の第5の実施態様においては、組成物は上記の非イオン系界面活性剤、
過酸、ビルダー、緩衝剤および安定化剤としての酸を含有し、さらにLASなど
の陰イオン系界面活性剤を含有する。
本発明の第6の実施態様において、本発明は、本発明の組成物を製造する方法
であって、過酸以外の上記の付加的な固体と液体界面活性剤とを混合する工程、
該混合物を粉砕して必要な粒径とする工程、ならびにその後に過酸および適宜酵
素を投入する工程を有してなる製造方法を提供する。発明の詳細な説明
本発明は、非水系液体中では安定な実質的に不溶性の過酸を含有する非水系液
体組成物に関するものである。本発明の組成物には、過酸以外に、特に過酸の安
定性を確保するために選択
される固体ビルダー塩および固体緩衝剤塩が含有されていてもよい。本発明の好
ましい実施態様においては、その非水系液体は安定化剤としての酸(例えばクエ
ン酸)を含有するものであり、さらに好ましい実施態様においてはさらに、LA
Sなどの陰イオン系界面活性剤である酸を含有する。
本発明は理論によって拘束されるものではないが、非水系液体中での過酸の化
学的安定性は、かなりの部分が、その過酸がその非水系液体(非水系液体)に実
質的に不溶であるためであると考えられる。より具体的には、本発明のこの態様
においては、本発明は、所定の過酸を含有してなる非水系液体であって、その非
水系液体中でのその過酸の溶解度が0〜約1500ppm、好ましくは約100
0ppm以下、より好ましくは750ppm以下、さらに好ましくは約500p
pm以下、最も好ましくは約200ppm以下(ここでppmとは活性酸素のp
pm値を指す)である非水系液体に関するものである。代表的な方法としては、
溶解度の測定は、未保護(non-capped)のアルコキシ化非イオン系界面活性剤中
またはそのような界面活性剤の混合物中で行う。特に、その測定は平均2.5E
O単位を有するC9〜C11のエトキシ化界面活性剤中で行うのが普通であ
る。界面活性剤のみの中で測定される溶解度は、完全な非水系液体組成物の連続
相中での溶解度と良好な相関を持つ。溶解度はさらに、例えば7EOと3EOの
エトキシ化界面活性剤の混合物中あるいは非アルコキシ化非イオン系界面活性剤
中でも測定することができる。
代表的な場合、本発明の非水系液体組成物は界面活性剤組成物を含有するもの
であり、その界面活性剤は非イオン系界面活性剤であるかあるいは一方の界面活
性剤が非イオン系界面活性剤であって他方の界面活性剤がさらに別の非イオン系
界面活性剤であり得るかまたは当業者によって知られるような陰イオン系、陽イ
オン系、両性およびアンフォリティック(ampholytic)の界面活性剤からなる群
から選択され得る界面活性剤混合物である。
上記のように、本発明の非水系液体組成物は、上記で定義された本発明の過酸
を含有するものである。その過酸は代表的には、組成物の重量基準で0.1〜1
0%、好ましくは0.5〜5%含有する。
本発明の非水系液体組成物はさらに、重量基準で1%〜約80%、好ましくは
重量基準で3%〜30%のビルダーと重量
基準で0.5%〜25%、好ましくは重量基準で1%〜15%の緩衝剤塩(例え
ば、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウム)をも含有する。
過酸、ビルダーおよび緩衝剤に加えて、前記組成物はさらに、酵素、酵素安定
化剤、非水系液体で代表的な他の成分および少量の水を含有することができる。
代表的には、その非水系液体は、重量基準で5%以下、好ましくは重量基準で3
%以下の水を含有する。本発明の好ましい実施態様においては、その組成物は安
定化剤としての酸(例えば、クエン酸などの酸ビルダー)を含有することができ
る。さらに好ましい実施態様においては、上記の安定化剤としての酸に加えて、
その組成物はLASなどの陰イオン系界面活性剤を含有する。
非水系液体は分散固体を含有し、その固体の含有量は、例えば最終組成物の重
量基準で10〜90%、通常は30〜80%そして好ましくは50〜65%で含
有量が変化し得ることは明らかである。その固相は粒子状(実際に製造される場
合)であり、300μm未満、好ましくは200μm未満、さらに好ましくは1
00μm未満、特に10μm未満の平均粒径を有するべきである。
その粒径はさらに、ミクロン以下であってもよい。その適切な粒径は、適切な
粒径の材料を使用するかあるいは固体を好適な粉砕機中で粉砕することによって
得ることができる。固相の凝集による組成物の再分散不可能な沈殿または沈降発
生を抑制するためには、その中で解膠剤を使用することが好ましい。
通常、混合前の全成分が液体の場合、組成物中でそれらの成分が液相の全体ま
たは一部を構成するか、あるいはそれら成分が固体の場合、組成物中でそれらの
成分が液相中に分散するかまたは液相中に溶解する。従って「固体」とは、固相
中の物質であって、組成物に加えられその組成物中で固体として分散されるもの
;液相に溶解した固体;ならびに組成物中で固化してからそこで分散される液相
中の固体と解釈すべきである。
液相(液体界面活性剤を含有するか含有しない)は、重量基準で組成物全体の
少なくとも10%存在し、重量基準で90%という高い割合で存在することもで
きるが、ほとんどの場合、通常の量は重量基準で20%〜70%、好ましくは重
量基準で35〜50%である。固体の含有量については、前述した通りである。
その組成物および該組成物の各種成分について、以下にさら
に詳細に述べる。界面活性剤
上記で示した通り、本発明の最初の成分は、界面活性剤あるいは界面活性剤の
混合物であって、混合物の場合には含有される界面活性剤のうちの少なくとも一
つが通常は室温で液体である非イオン系界面活性剤でなければならない。
非イオン系洗浄性界面活性剤は当業界では公知である。それは通常、水溶性を
与えるポリアルコキシレン基あるいはモノまたはジアルカノールアミド基と、例
えばアルキル基の炭素数が約6〜約12であるアルキルフェノール;各アルキル
基の炭素数が6〜12であるジアルキルフェノール;好ましくは炭素数8〜20
である1級、2級または3級脂肪族アルコール(またはそれらのアルキル保護誘
導体);アルキル基の炭素数が10〜24であるモノカルボン酸;ならびにポリ
オキシプロピレンなどから誘導される有機疎水性基と化学的に組み合わされたも
のからなる。さらに、脂肪酸のモノおよびジアルカノールアミドも一般的であり
、その場合には脂肪酸基のアルキル基は炭素数10〜約20であり、アルキロリ
ル基は炭素数1〜3である。モノおよびジアルカノールアミド誘導体のいずれに
おいて、適
宜、後者の基および分子の疎水部分と結合するポリオキシアルキレン部分があっ
てもよい。ポリアルコキシレンを有する界面活性剤のいずれにおいても、そのポ
リアルコキシレン部分は、好ましくは2〜20個のエチレンオキサイド基あるい
はエチレンオキサイド基とプロピレンオキサイド基の組み合わされたものからな
ることが好ましい。後者のもののうち特に好ましいものとしては、欧州特許明細
書EP−A−225654(Unilever)に記載されたものがある。さらに好まし
いものとしては、炭素数9〜15の脂肪アルコールと3〜11モルのエチレンオ
キサイドとが縮合した縮合生成物であるエトキシ化非イオン系界面活性剤がある
。それらの例としては、C11-13のアルコールと例えば3または7モルのエチレ
ンオキサイドとの縮合生成物がある。それらは、特に液相の全体または一部とし
て、単独の非イオン系界面活性剤として使用できるか、あるいは最後に挙げた欧
州特許明細書に記載のものとの併用で使用することができる。
好適な非イオン系界面活性剤の別の種類のものは、アルキル多糖類(ポリグリ
コシド/オリゴ糖類)などであり、その例としては、米国特許3640998号
;同3346558号;同
4223129号;EP−A−92355;EP−A−99183;EP−A−
70074、EP−A−70075、EP−A−70076、EP−A−700
77;EP−A−75994、EP−A−75995、EP−A−75996の
いずれかの特許明細書に記載のものがある。
非イオン系洗浄性界面活性剤は通常、約300〜約11000の分子量を有す
る。異なった非イオン性洗浄性界面活性剤の混合物も、その混合物が室温で液体
であれば使用することができる。非イオン系洗浄性界面活性剤と陰イオン系、陽
イオン系または両性洗浄性界面活性剤などの他の洗浄性界面活性剤および石鹸と
の混合物も使用することができる。そのような混合物を使用する場合、その混合
物は室温で液体でなければならない。
非イオン系界面活性剤との併用で使用可能な好適な陰イオン系洗浄性界面活性
剤の例としては、アルキル基の炭素数10〜18のアルキルベンゼンスルホン酸
塩またはアルキルベンゼンスルホン酸;アルキル基の炭素数10〜24のアルキ
ルスルホン酸塩およびアルキルエーテルスルホン酸塩(アルキルエーテルスルホ
ン酸塩は1〜5のエチレンオキサイド基を有する);C10〜C24のα−オレフィ
ンのスルホン化とその後の中和およ
びスルホン化反応生成物の加水分解によって製造されるオレフィンスルホン酸塩
のアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルキロールアミン塩などがある。安
定化剤の酸としての酸性界面活性剤および/または酸ビルダーはさらに過酸の安
定性を向上させることから、アルキルベンゼンスルホン酸は特にクエン酸のよう
な酸ビルダーと併用することが好ましい。
使用可能な他の界面活性剤としては、好ましくは炭素数12〜18の脂肪酸ま
たは脂肪酸のアルカリ金属石鹸などがある。そのような酸の代表的なものとして
は、オレイン酸、リシノール酸ならびにひまし油、菜種油、ピーナツ油、ヤシ油
、パーム核油またはそれらの混合物から誘導される脂肪酸である。それらの酸の
ナトリウム石鹸またはカリウム石鹸を使用することができる。界面活性剤として
の役割を果たすだけではなく、石鹸は洗剤ビルダーまたはファブリックコンディ
ショナーとして作用することができ、その他の例について以下により詳細に述べ
る。この段落で述べた油自体が液相の全体または一部を構成し、対応する低分子
量の脂肪酸(トリグリセリド)が固体として分散されるかあるいは構造成分(st
ructurant)として機能することができることも言及することができる。
そしてやはり、非イオン系界面活性剤との併用で陽イオン系、双性イオン性お
よび両性界面活性剤を利用することも可能である。陽イオン系洗浄性界面活性剤
の例としては、脂肪族または芳香族のアルキル−ジ(アルキル)アンモニウムハ
ライドがあり、石鹸の例としては、C12〜C24の脂肪酸のアルカリ金属塩がある
。両性洗浄性界面活性剤の例としては、スルホベタインがある。
非水系液体製品を実際に製剤する場合、界面活性剤に加えて、非水系液体の液
相に非水系有機溶媒を含有させることもできる。通常、最も好適な溶媒は極性部
分を有する有機物である。特に、それには相対的に親油性の部分と相対的に親水
性の部分、特に電子塩基対の豊富な親水性部分を有する分子などがある。それは
、液体界面活性剤、特にポリアルコキシ化非イオン系界面活性剤が好ましい界面
活性剤であるという所見に従ったものである。
非界面活性溶媒には、上記の種類のものなどがある。ただし、好ましい種類の
ものと併用する場合には、特に、他の種類のものを使用することができる。
非界面活性物質は単独または液体界面活性剤との併用で使用
することができる。
好ましいカテゴリに入る構造を有する非界面活性溶媒には、エーテル、ポリエ
ーテル、アルキルアミンおよび脂肪アミン(特に、ジおよびトリアルキルアミン
および/またはN−置換脂肪アミン)、アルキル(または脂肪)アミドならびに
それらのモノおよびジ−N−アルキル置換誘導体、アルキル(または脂肪)カル
ボン酸低級アルキルエステル、ケトン、アルデヒド、ポリアミドなどがある。そ
の例としては、ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、アルキルケトン
(アセトンなど)およびトリアルキルカルボン酸グリセリンエステル(トリ酢酸
グリセリン)、グリセリン、プロピレングリコールならびにソルビトールなどが
ある。
例えば低級アルコール(例えばエタノール)または高級アルコール(例えばド
デカノール)ならびにアルカンおよびオレフィンなどのほとんど又は全く親水性
を持たない多くの低比重溶媒はそれ自体ではほとんどの系で不適である。しかし
ながら、それらを他の液体と併用することができる。
上記のように、製品の液相の含有率は重量基準で最終製品の10%〜90%と
することができる。
通常、界面活性剤または界面活性剤混合物は、重量基準で5%〜75%、好ま
しくは重量基準で15%〜60%、最も好ましくは重量基準で2%〜50%の非
水系液体を含有する。固相
液体界面活性剤相に加えて、本発明の組成物は過酸(以下でさらに詳細に述べ
る)と好ましくはビルダー、漂白剤、固体界面活性剤、研磨剤、酵素、微量成分
(蛍光剤等)およびそれらの混合物を含む「固体」相を有する。ビルダー
本発明の組成物は、固相にビルダーを含有することができる。ビルダーは、具
体的には、後述の実施例3に記載のように、ビルダーを含有するモデル的な連続
相での過酸の安定性試験で合格するか否かで選択する。具体的には、ビルダーを
非イオン系界面活性剤および過酸を有する系に入れ、その過酸の半減期を測定す
る。ビルダーを選択するためには、その過酸の半減期が、37℃で測定した場合
に5日以上でなければならない。
全てのビルダーについて調べたわけではないが、上述の基準を満足するビルダ
ーはいずれも使用可能である。従って、例えば実施例3について言えば、ビルダ
ーには重炭酸塩、ゼオライ
ト、ホウ酸塩、オキシジコハク酸(ODS)またはクエン酸塩などが含まれると
考えられるが、炭酸塩は含まれない。
通常ビルダーは無機物または有機物であることができ、安定性試験に合格する
のであれば、リンを含有してもあるいは含有していなくてもよい。
通常、無機ビルダーには、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩およびアルミノ珪酸塩
型材料、特にアルカリ金属塩の形のものなどがある。それらの混合物を使用する
こともできる。
リンを含有する無機ビルダーを入れるのであれば、その例としては水溶性塩な
どがあり、特にピロリン酸、オルトリン酸、ポリリン酸およびホスホン酸のアル
カリ金属塩などがある。無機リン酸ビルダーの具体的な例としては、トリポリリ
ン酸、リン酸およびヘキサメタリン酸のナトリウム塩およびカリウム塩などがあ
る。
リンを含有しない無機ビルダーを入れるのであればその例としては、水溶性の
ホウ酸、珪酸、メタ珪酸のアルカリ金属塩ならびに結晶またはアモルファスのア
ルミノ珪酸塩などがある。具体的な例としては、珪酸塩およびゼオライトがあり
、特にゼオライト4AおよびゼオライトP(ゼオライトA24)などが
ある。例えばゼオライトPは、いずれも本願明細書中に参考文献として取込んだ
EP0384070およびPCT93/01521で定義されている。しかしな
がら、分散粒子を含有していても良い非水系相からなる非水系液体中にその特定
のゼオライトを含ませることについては開示も示唆もされていない。
通常、ゼオライトPは、珪素/アルミニウムの比が1.33を超えず、ゼオラ
イトの含水率がゼオライト水和物に基づいて25%未満であり、無水品1g当た
り少なくとも150mgのCaOというカルシウム結合力を有する。
有機ビルダーの例としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換塩が
あり、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、カルボキシ
メトキシコハク酸塩、ポリ酢酸アンモニウム、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩
、アミノポリカルボン酸塩、ポリアセチルカルボン酸塩およびポリヒドロキシス
ルホン酸塩などがある。具体的な例としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリ
ロ(nitrilo)トリ酢酸、オキシジコハク酸、メルチックアシッド(melitic aci
d)、ベンゼンポリカルボン酸およびクエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リ
チウム塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩などがある。
他の好適な有機ビルダーには、ビルダー特性を有することが知られている高分
子量ポリマーおよびコポリマーなどがあり、その例としてはアルカリ金属塩とし
ての適切なポリアクリル酸/ポリマレイン酸コポリマーで、たとえば商品名Soka
lan CPでBASF社が販売しているものなどがある。
アルミノ珪酸塩は、最も好ましい種類の非リン系無機ビルダーである。それは
例えば、下記一般式を有する結晶またはアモルファスである。
Na2(AlO2)z(SiO2)yxH2O
式中、zおよびyは6以上の整数であり、zのyに対するモル比は1.0〜0
.5であり、Xは6〜189の整数であって含水率が重量基準で約4%〜約20
%となるようになっている(ここでは「一部水和された」と称する)。その含水
率は液体に最適な流動学的性質を提供する。そのレベルを超えると(例えば重量
基準で約19%〜約28%の含水率)、その含水レベルによって網状構造の形成
が生じる場合がある。そのレベル以下であると(例えば重量基準で0〜約6%の
含水率)、その物の孔部に捕捉された気体が置換されてガス化を生じ、粘度上昇
を起こす傾向がある。しかしながら、無水品(すなわち重量基
準での含水率が0〜約6%であるもの)を構造成分(structurant)として使用
できることが思い浮かぶ。アルミノ珪酸塩の好ましい範囲は、無水品基準で約1
2%〜約30%である。そのアルミノ珪酸塩は、好ましくは粒径0.1〜100
ミクロン、理想的には0.1〜10ミクロンであり、カルシウムイオン交換能力
は少なくとも炭酸カルシウム200mg/gである。
上記のように、クエン酸などの酸ビルダーが特に好ましいビルダーであって、
その場合、ビルダーは単独またはさらに過酸を安定化させるために酸界面活性剤
(例えば、LAS)と併用して使用することができる。
それらのビルダー物質は、例えば重量基準で1〜80%、好ましくは重量基準
で3〜30%の濃度で存在させることができる。緩衝剤
本発明の組成物はさらに、固相に緩衝剤を含むことができる。その緩衝剤塩/
固体はビルダー選択と同様にして選択される。すなわち、緩衝剤を過酸を含有す
るモデル的な連続相に入れる。具体的には、緩衝剤を非イオン系界面活性剤およ
び過酸を含有する系に入れ、その過酸の半減期を測定する。選択されるため
には、その過酸の半減期は37℃で測定した場合に5日以上でなければならない
。好ましい実施態様においては、緩衝剤はホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウ
ムである。過酸
本発明の組成物はさらに、本発明の界面活性剤系、特に非イオン系界面活性剤
中で界面活性剤に溶解させた場合の溶解度が活性酸素で0〜1500ppmであ
る漂白に有効な量のアミドまたはイミド有機過酸をも含有する。非イオン系界面
活性剤単独中での溶解度は固体の遠心後の組成物の連続相中での溶解度と相関を
有することは注目すべき点である。
本発明の過酸はモノまたはジ過カルボキシルアミドまたはイミド酸から選択す
ることができる。そのモノ過カルボン酸は下記一般式のものである。
式中、RはC1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜C1 2
アリール基からなる群から選択され;
R1は水素、C1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜C12
アリール基からなる群から選択され;
R2は水素、C1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜C12
アリール基ならびにR3がアリーレンの場合にRとともに環を形成できるカル
ボニル基からなる群から選択され;
R3はC1〜C16アルキレン基、C5〜C12シクロアルキレン基およびC6〜C12
アリーレン基からなる群から選択され;
nおよびmは合計が1である整数であり;
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびアルカノー
ルアンモニウムカチオンならびにラジカルからなる群から選択される。
本発明のジ過カルボン酸は下記一般式のものであることができる。
式中、R4はC1〜C12アルキレン基、C5〜C12シクロアルキレン基およびC6
〜C12アリーレン基ならびにそれらの基の組み合わせからなる群から独立に選択
され;
R5は水素、C1〜C16アルキル基、C6〜C12アリール基
およびR3とともに環を形成し得るカルボニル基からなる群から独立に選択され
;
R6は水素、C1〜C16アルキル基およびC6〜C12アリール基ならびにR3とと
もにC3〜C12の環を形成することができる基からなる群から独立に選択され;
R3はC1〜C12アルキレン基、C5〜C12シクロアルキレン基およびC6〜C12
アリーレン基からなる群から独立に選択され;
n′およびn”はそれぞれそれらの合計が1であるように選択される整数であ
り;
m′およびm”はそれぞれそれらの合計が1であるように選択される整数であ
り;
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびアルカノー
ルアンモニウムカチオンオンならびにラジカルからなる群から独立に選択される
。
本発明のアミドまたはイミド過酸の量は重量基準で約0.1〜約40%、好ま
しくは約1〜約10%の範囲とすることができる。
好ましくは、その過酸はアミド過酸である。より好ましくは、
そのアミドは、N,N′−テレフタロイル−ジ(6−アミノペルカルボキシカプ
ロン酸)(TPCAP)、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)ピペ
ラジン(PCBPIP)、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)エチ
レンジアミン(PCBED)、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)
−1,4−ブタンジアミン(PCBBD)、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシ
アニリン)テレフタレート(DPCAT)、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシ
ベンゾイル)−1,4−ジアミノシクロヘキサン(PCBHEX)、N,N′−
テレフタロイル−ジ(4−アミノペルオキシブタン酸)(TPBUTYと称され
るC3TPCAP類縁体)、N,N′−テレフタロイル−ジ(8−アミノペルオ
キシオクタン酸)(TPOCTと称されるC7TPCAP類縁体)、N,N′−
ジ(ペルカルボキシアジポイル)フェニレンジアミン(DPAPD)およびN,
N′−スクシノイル−ジ(4−ペルカルボキシ)アニリン(SDPCA)からな
るアミド過酸の群から選択される。
本発明はさらに、上記の成分(すなわち、非イオン系界面活性剤含有液体相及
び過酸を含有し、しかも好ましくは上記から選択されるビルダーおよび緩衝剤を
含有する固相)を含有する
非水系液体が、過酸を含む組成物であって、その組成物中の過酸の半減期が5日
以上であるものであると定義される。すなわち、全ての成分を適切に選択すれば
、全成分を含む組成物の安定性が上記のようになる。過酸はさらに、いずれも本
明細書に参考文献として取り込む米国特許4686063号(Burns)または同
4909953号(Sadlowski)に記載のNAPAA酸またはNAPSA酸のい
ずれかであっても良い。適宜加える成分
本発明の組成物は、ファブリックコンディショニング剤、酵素、芳香剤(デオ
パフューム(deoperfume)を含む)、殺微生物薬、着色剤、蛍光剤、汚れ懸濁剤
(再沈着防止剤)、腐食防止剤、酵素安定剤および発泡抑制剤などの1以上の微
量成分を含有することもできる。
酵素を本発明の組成物に使用する場合、その酵素を、例えば本願に参考文献と
して取り込むFalholt らに対する米国特許4906396号に記載のものなどの
非イオン性スラリーの形で加えることが好ましい。
その酵素スラリーは、シリコーンオイルまたはシリコーン消泡剤中に酵素粒子
を入れたものであってもよい。
その組成物は実質的に非水系である。すなわち、それにはほとんど又は全く遊
離の水が含まれておらず、重量基準で組成物全体の好ましくは5%以下、さらに
好ましくは3%未満、特に1%未満である。
本発明によって製造することができる製品は液体洗浄剤である。ここで液体と
言った場合、大気圧下25℃で液体であるものを指す。その製品は用途に応じて
非常に多様な形で調剤され得るものである。それは、人力または機械的手段のい
ずれかによる硬表面用洗浄剤(研磨剤を含有するものと含有しないもの)として
あるいは食器洗浄剤として(皿洗い、刃物洗いなど)、そして人工義歯用手術具
向けなどの特殊な洗浄製品の形で調剤することができる。それはさらに、ファブ
リックの洗浄および/またはコンディショニング用剤として調剤することもでき
る。
その組成物は、所期の利用分野に従って選択される対象とする物品の洗浄およ
び/またはコンディショニングを促進する少なくとも一つの薬剤を含有すること
が好ましい。通常その薬剤は界面活性剤、酵素、漂白剤、殺微生物剤、ファブリ
ック柔軟剤(ファブリック用)および(硬表面洗浄剤用)研磨剤から選択される
。当然のことながら、多くの場合、複数の薬剤が、関
連する製剤に通常使用される他の成分同様に含有される。
好ましくは、組成物の粘度は21S-1で2500mPas未満、さらに好まし
くは50〜2000、最も好ましくは300〜1500である。
非水系液体の目的は製剤者が機能の不適合を起こす等の成分に対する水の悪影
響を回避することができるようにすることであることから、その寿命中のいかな
る段階でもその製品に対して不慮および故意のいずれであっても水を加えること
を回避する必要があるのは明らかである。そのため、製造手順および顧客使用に
向けた包装設計においては特別な注意が必要である。
従って、製造中においては、全ての原料を乾燥状態とし、(水和し得る塩の場
合)低い水和状態とすることが好ましい。例えば、無水リン酸ビルダー、過ホウ
酸ナトリウム1水和物および乾燥カルサイト研磨剤として、それらを組成物にお
いて使用する。好ましい製造方法においては、乾燥し実質的に無水の固体を乾燥
容器中で液相と混合する。固体の沈降速度を低減するために、その混合物は粉砕
機あるいは、例えばコロイドミル、コランダム板粉砕機、水平または垂直攪拌ボ
ールミルの粉砕機
の組み合わせたものに通して、粒径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜5
0μm、理想的には1〜10μmを得るようにする。そのような粉砕機の好まし
い組み合わせとしては、それらは最終製品において狭い粒径分布を与える上で必
要な条件下に操作され得ることから、コロイドミルの後に水平ボールミルを用い
るものである。当然のことながら、すでに所望の粒径を有する粒子状物はその手
順を施す必要はなく、所望により、加工処理のそれより後の段階に組み入れるこ
とができる。
その粉砕手順中、エネルギーを加えることによって、製品において温度上昇が
生じ、固体成分の粒子中または粒子間に捕捉されていた空気が放出される。従っ
て、熱感受性の成分(例えば、過酸または酵素)の製品への混合は、粉砕段階お
よびその後の冷却ステップの後に行うことが非常に望ましい。さらに、それらの
成分(通常は微量成分)を加える前と適宜工程の他のいずれかの段階で製品の脱
気を行うことが望ましい場合もある。その段階で加えられると考えられる代表的
な成分は、芳香剤および酵素であるが、最終組成物中に存在することが望ましい
場合のある非常に温度感受性の高い漂白成分または揮発性溶媒成分などもあり得
る。しかしながら、揮発性物質は曝気ステップ
後に加えることが特に好ましい。煮沸(例えば熱交換)および脱気に好適な装置
は当業者には公知である。
従って、その工程で使用される装置はいずれも完全に乾燥し、洗浄操作後には
特別な注意を払わなければならないということになる。それと同じことが、その
後の保管および包装装置についても言える。
本発明の一つの好適な実施態様においては、本発明の非水系液体組成物は、非
イオン系界面活性剤および過酸に加えて、ポリカルボン酸塩ビルダー(例えば、
クエン酸ナトリウムまたはカリウム、オキシジコハク酸ナトリウムまたはカリウ
ムなど)およびゼオライト(例えば、ゼオライト4AまたはゼオライトP)なら
びにホウ酸ナトリウムまたはカリウムなどの緩衝剤からなる群から選ばれる固体
ビルダーを含有する。
本発明のさらに別の好ましい実施態様においては、組成物は、重量基準で30
〜70%の非イオン系界面活性剤と、ゼオライト、クエン酸塩およびそれらの混
合物からなる群から選択されるビルダーを含有しさらにホウ酸ナトリウムまたは
カリウムである緩衝剤を含有する固体70〜30%とを含有する界面活性剤系を
含有してなるものである。
本発明の特に好ましい実施態様においては、組成物は非イオン系界面活性剤、
過酸、ビルダーおよび緩衝剤(ホウ酸ナトリウムなど)を含有し、さらにクエン
酸などの酸ビルダーである第2のビルダーを付加的に含有する。
さらにより特別に好ましい実施態様においては、ビルダーと第2の酸ビルダー
を有する組成物がさらにLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)などの酸界
面活性剤を含有する。理論によって拘束されるものではないが、それらの成分は
、その系のアルカリ度を低下させることによって過酸の安定性を向上させると考
えられている。
以上の記述から、本発明はビルダー、緩衝剤および連続界面活性剤相(非水系
)を含むモデル的な新規な非水系組成物中での過酸(および好ましくは酵素も)
の安定性を包含することを意図したものであることは注目すべき点である。その
過酸の安定性はさらに、いずれの特定ビルダーまたはいずれの特定の緩衝剤を使
用するかによってもある程度変動するものであり、従って過酸の安定性を求める
上で正確な選択が非常に重要であることが理解されよう。そうではあっても、過
酸は、連続相(ビルダーまたは緩衝剤が使用されているか否かとは無関係に)中
で実質的に不溶(上記で定義した通り)であれば、連続相に可溶な過酸の安定性
と比較してかなり安定である。すなわち、過酸の選択と固体の選択のいずれも無
視できないものである。
最後に、実際には粒子が上述のように粉砕されず、製品が実際には製造されな
かったことから、これまでに製造された系が全て物理的に安定であるとは限らな
いことは注意すべき点である(ただし、製品に使用できる成分については述べて
ある)。しかしながら、その成分の調剤を行って当業界で教授され説明されてい
る手段によって物理的安定性を得ることは、当業者には良く知られている。より
具体的には、固体安定剤には、EP−A−266199に記載されたような解膠
剤;EP−A−515435に記載されたような多量の金属および金属酸化物な
どの安定化剤、あるいはEP−A−515418に記載のような疎水的に改良さ
れたシリカ、あるいはEP−A−510762に記載のような安定化ポリマーな
どがあり得る。
別段の断りがない限り、引用したパーセントはいずれも、重量基準でのパーセ
ントを意図したものである。
以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。それらの実施例は単
に説明のためのものであって、いかなる形で
も本発明を限定するものではない。実施例 実施例1
多くの過酸の溶解度を、モデル的な連続相、すなわち炭素鎖長C9〜C11で1
分子当たり平均2.5エチレンオキサイド単位でアルコキシ化されたエトキシ化
非イオン系界面活性剤であるNeodol 91-2.5 中で調べた。溶解度は、過酸をその
連続相に加え、少なくとも1時間室温で混和した後の連続相中での活性酸素(A
O)のppm値として定義している。連続相中の活性酸素量が低いほど、媒体中
でのその過酸の溶解度が低くなる。過酸およびその溶解度測定値を、以下に示し
た。過酸
Neodol 91-2.5 中での溶解度(ppm AO)
室温(すなわち25℃)で測定
PAP 2000
PCBED 149
TPCAP 15
PCBPIP 22
PCBHEX 34
PCBBD 77
DPCAT 20
DIPAP 25
PAPは、フタルイミド過ヘキサン酸である。
PCBEDは、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)エチレンジアミン
である。
TPCAPは、N,N′−テレフタロイル−ジ(6−アミノペルカルボキシカプロ
ン酸)である。
PCBPIPは、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)ピペラジンである
。
PCBHEXは、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)−1,4−ジアミ
ノシクロヘキサンである。
PCBBDは、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシベンゾイル)−1,4−ブタン
ジアミンである。
DPCATは、N,N′−ジ(4−ペルカルボキシアニリン)テレフタレートであ
る。
DIPAPは、N,N,N′,N′−1,2,4,5−テトラカルボキシベンゾイ
ル−ジ(6−アミノペルカルボキシカプロン酸)である。
上記のように、PAPのみが本発明によって定義された範囲外の溶解度を有す
ることから、非水系液体中では安定ではないと予想される。
モデル的な連続相(すなわち非イオン系のみ)において溶解度レベルが低いこ
とが全成分による非水系液体(非水系液体)製剤の連続相中での同等に低い溶解
度と相関を有すると考えられることを示すため、以下に述べるように3つの過酸
(PCBPIP、PCBHEXおよびDIPAP)について非水系液体中でさら
に試験を行った。
成分 重量%
エチレンオキサイド7単位でアルコキシ化 28
された非イオン系界面活性剤(C10〜C12)
3EOでアルコキシ化されたC13〜C15の 23
非イオン系界面活性剤
トリ酢酸グリセリン 6
シリコーン消泡剤 1.5
アルキルベンゼンスルホン酸 7
炭酸ナトリウム 20
カルサイト 7
アンチシーディング(anti-seeding)ポリマー
(例;VersaTL-3) 2
シリカ 4
カルボキシメチルセルロース 2
(再沈着防止剤)
増白剤 0.2
芳香剤 0.6
全成分溶液の連続相における溶解度の結果(Neodol 91-2.5のみの場合と比較
)を以下に示した。
表からわかる通り、モデル系(Neodol 91-2.5のみ)での低溶解度は、全成分
組成物の連続相中での溶解度(すなわち、安定性の測定値)と良好な相関を有し
ている。実施例2
溶解度測定値が得られたことから、3つの過酸(すなわち、本発明の範囲外で
あるPAP;ならびに本発明の範囲内であるTPCAPおよびPCBPIP)を
室温で分析して、実施例1で述べた製剤I中での安定性を測定した。安定性は、
活性酸素濃度(ppmで測定)が最初の活性酸素濃度の1/2に達するのに要す
る時間で定義した。結果を以下に示す。室温での非水系液体中での過酸の安定性
上記の結果からわかる通り、過酸の溶解度が1500ppmAOより大きい場
合(すなわち2000ppmのPAP)には安定性は10時間未満であったが、
それとは対照的に、溶解度がそれより低い場合(すなわちTPCAPおよびPC
BPIPの場合)安定性は8〜10日という高いものであった。実施例3−モデル的な連続相とビルダー中での過酸の安定性
出願人らはさらに、連続相とビルダーを用いて系における過酸に対する安定性
の効果を知りたかった。具体的には、出願人らは、エチレンオキサイド3単位で
アルコキシ化された非イオン系界面活性剤(Vista 1012-45)を重量基準で50
%とエチレンオキサイド7単位でアルコキシ化された非イオン系界面活性剤(Vi
sta 1012-62)を重量基準で50%含有する連続相中
での各種のビルダーについて調べた(約27重量%の固体を用いる)。
具体的には、モデル系は以下のように示される。
固体: 15g
Vista 1012-45 : 20g
Vista 1012-62 : 20g
TPCAP : 最初の活性酸素2500ppm
この系で各種固体について調べ、37℃でのTPCAPの安定性(活性酸素濃
度が最初の1/2となるまでの半減期)を測定して、結果を以下に示した。
固体/ビルダー モデル的非水系液体での
TPCAP の安定性;37℃でのt 1/2
炭酸ナトリウム 2日
重炭酸ナトリウム 5日
ゼオライト4A 7日
四ホウ酸ナトリウム・
10水和物 11日
オキシジコハク酸ナトリウム 15日
硫酸ナトリウム 25日
クエン酸ナトリウム 26日
安定性はどのビルダーを使用するかによって変わった。炭酸塩は本発明の安定
性要件(すなわち、5日以上)を満足しないと見ることができる。炭酸塩以外の
ビルダーを用いた場合、安定性は26日という高い値となった。実際、クエン酸
塩ビルダーが最も好ましいビルダーであって、半減期は26日となった。実施例4
過酸の安定性に対するビルダーの効果を示す別の例においては、TPCAP2
〜3mgを、以下の組成を有するモデル的な非水系液体組成物2gと接触させた
。
Vista 1012-62 : 27.3部
Dobanol 25-3*(エチレンオキサイド3単位でアルコキシ化
された C12〜 C15の非イオン系界面活性剤) 22.4部
LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸) 6.0部
ビルダー 22.4部
ビルダーは以下のように選択した。
組成物1:炭酸ナトリウム16.4部+カルサイト6.0部
組成物2:メタホウ酸ナトリウム22.4部
組成物3:ゼオライトP22.4部
組成物1は室温で測定して7日後に過酸残留が10%であり;
組成物2は同じ条件で測定して過酸残留が80%であり;組成物3は同じ条件で
測定して過酸残留が90%であった。
以上からわかる通り、メタホウ酸とゼオライトPは、炭酸塩/カルサイトのビ
ルダー系と比較して安定性が高いことが明らかである。実施例5
緩衝剤塩(例えば、ホウ酸塩)もその組成物中に含有させることができること
を示すため、本出願人らはさらに、実施例3に記載のものと同様のモデル系、す
なわち界面活性剤40gに対して固体15gの系において、ホウ酸ナトリウムお
よびTPCAPについても調べた。その系についての結果は以下の通りであった
。
個体/緩衝剤 モデル的非水系液体での
TPCAP の安定性;37℃でのt1/2
ホウ酸ナトリウム 11日
従って、ホウ酸ナトリウム固体緩衝剤は、実施例3に記載の本発明におけるビ
ルダーに関する5日以上という安定性試験要件を満足することが明らかである。実施例6−ビルダーと緩衝剤の両方を含有する系における過酸の安定性
出願人らは次に、界面活性剤(すなわち、非イオン系界面活性剤の混合物)、
ビルダーおよび緩衝剤を含有する系での過酸の安定性(すなわち、最初のAOが
2500ppmのTPCAPの安定性)を調べたいと考えた。37℃で測定した
過酸の安定性に対するその固体混合物の効果を以下に示した。37℃でのTPCAPの安定性に対する固体混合物の効果
この場合もやはり、ビルダーおよび緩衝剤を適切に選択することによって、本
発明の過酸は良好な安定性を保持することが認められる。
*7EOはVista 1012-62である。
+3EOはVista 1012-45である。
以上からわかる通り、組成物AおよびB(本発明によって選択したビルダー1
種と本発明によって選択される緩衝剤1種を用いたもの)は、9日間という半減
期安定性を持っていた。ゼオライト/クエン酸ビルダーの混合系を用いた場合(
組成物C)、半減期は14日であり、さらにビルダーの酸を使用した場合(組成
物D)、半減期は15日である。実施例7−ビルダー、緩衝剤および酸界面活性剤を含有する系における過酸の安 定性
この表でわかる通り、さらに酸ビルダー(クエン酸)および界面活性剤の酸(
LAS)の両方を含有する本発明の組成物においては、この系でのTPCAPの
半減期安定性は30日にま
で達した(組成物F)。実施例8−酵素安定性
PCBPIPまたはTPCAPを含有する実施例1の組成物に、Durazyme 1
4000 GU/gを加えた。そのいずれの場合も、初期活性酸素値約1000
ppmのPCBPIPまたはTPCAPの存在下で37℃にて1ヶ月後において
、残留酵素活性は90%を超えていた。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年8月2日
【補正内容】
請求の範囲
1. 非イオン系界面活性剤を含有してなる液相および固体分散相を有してなり
、該固体相が該液相中で活性酸素約1500ppm未満の溶解度を有するアミド
またはイミド過酸物質を含有するものである非水系液体洗剤組成物。
2. アミドまたはイミド過酸が重量基準で0.1〜40%の量で存在する請求
項1記載の組成物。
3. 過酸が
(1)下記式を有するモノ過カルボン酸
(式中、RはC1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜
C12アリール基からなる群から選択され;
R1は水素、C1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜C12
アリール基からなる群から選択され;
R2は水素、C1〜C16アルキル基、C1〜C16シクロアルキル基およびC6〜C12
アリール基ならびにR3がアリーレンの場合にRとともに環を形成できるカル
ボニル基からなる群か
ら選択され;
R3はC1〜C16アルキレン基、C1〜C12シクロアルキレン基およびC6〜C12
アリーレン基からなる群から選択され;
nおよびmはそれらの合計が1である整数であり;
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびアルカノー
ルアンモニウムのカチオンならびにラジカルからなる群から選択される);およ
び
(2)下記式の構造を有するジ過カルボン酸
(式中、R4はC1〜C12アルキレン基、C5〜C12シクロアルキレン基および
C6〜C12アリーレン基ならびにそれらの基の組み合わせからなる群から独立に
選択され;
R5は水素、C1〜C16アルキル基、C6〜C12アリール基およびR3とともに環
を形成し得るカルボニル基からなる群から独立に選択され;
R6は水素、C1〜C16アルキル基およびC6〜C12アリール基ならびにR3とと
もにC3〜C12の環を形成することがで
きる基からなる群から独立に選択され;
R3はC1〜C12アルキレン基、C5〜C12シクロアルキレン基およびC6〜C12
アリーレン基からなる群から選択され;
n′およびn”はそれぞれそれらの合計が1であるように選択される整数であ
り;
m′およびm”はそれぞれそれらの合計が1であるように選択される整数であ
り;
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびアルカノー
ルアンモニウムのカチオンならびにラジカルからなる群から独立に選択される)
からなる群から選択されるモノまたはジ過カルボン酸アミド酸またはイミド酸で
ある請求項1または2に記載の組成物。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,F
I,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LK,LT,LV,MD,MG,MN,MW,
NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S
E,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 モーガン,レスリー・ジヨー
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07304、ジヤーシイ・シテイ、ダンカン・
アベニユー・ナンバー・55・53
(72)発明者 ワル,ジヨナサン・フランク
イギリス国、ウイラル・エル・62・5・イ
ー・ビー、ポート・サンライト、ウインデ
イ・バンク・13