JPH09500921A - 重合用触媒および開始剤 - Google Patents

重合用触媒および開始剤

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JPH09500921A JP7505127A JP50512795A JPH09500921A JP H09500921 A JPH09500921 A JP H09500921A JP 7505127 A JP7505127 A JP 7505127A JP 50512795 A JP50512795 A JP 50512795A JP H09500921 A JPH09500921 A JP H09500921A
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エム. ラマンナ,ウィリアム
シー. パラゾット,マイケル
ジェイ. デボー,ロバート
ビー. マコーミック,フレッド
エム. オロフソン,ジェフリー
アール. シードル,アレン
エス. ウィレット,ペギー
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ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー
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Abstract

(57)【要約】 一価あるいは多価の金属中心のカチオン部分を有する塩、オニウム塩、あるいは有機金属塩と、非求核的アニオンは、光化学的あるいは熱的に活性化される触媒および開始剤として有用であり、このような触媒および開始剤と、カチオンあるいは遊離基重合可能なモノマー、触媒段階的成長重合可能なモノマーのうちの少なくとも1つと、を含有している重合可能な組成物。

Description

【発明の詳細な説明】 重合用触媒および開始剤 技術分野 本発明は非求核的アニオン塩に関し、特に、熱的あるいは光化学的に誘導され るカチオン付加重合や遊離基付加重合、あるいは触媒段階的成長重合用の硬化剤 としての非求核的アニオン塩の使用および本発明の重合組成物を提供するための 方法に関する。 背景技術 有機カチオン、無機カチオンあるいは有機金属カチオンおよび非求核的対アニ オン(nonnucleophilic counteranion)を有する塩は、カチオン付加重合用の光化 学的および熱的に活性化される開始剤として、あるいは段階的成長(すなわち縮 合)重合用、解重合用および官能化ポリマーの非ブロッキング用の同様に活性化 される潜触媒として有用であることが分かっている。一般的な業務用光開始剤塩 は、ジアリールヨードニウム塩やトリアリールスルホニウム塩、アニオン PF6 - およびSbF6 - の(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄+ 塩などのオニウム塩およ び有機金属塩を含む。場合によっては、これらの同じ塩を使用して遊離基付加重 合を光開始できることもあり、これらの塩はカチオン感受性の重合可能モノマー と遊離基重合可能モノマーの混合物を同時あるいは逐次的に重合する「二重硬化 (dual cure)」用途において有用である。 多くの業務上の用途では、重合可能モノマーは、例えばビスフェノールAのジ グリシジルエーテル(DGEBA)などのエポキシドや、1,4-シクロヘキサンジメタノ ールジビニルエーテル(CHVE)などのビニ ルエーテルのように多官能性である(すなわち、一分子あたり2つ以上の重合可 能な基を含有する)。イソシアネートとアルコールとの混合物あるいはエポキシ ドとアルコールとの混合物のような多官能性モノマーの混合物については、段階 的成長機構によって触媒縮重合することができる。 一般に、光化学的に活性化される開始剤(または触媒)を用いると、重合前に モノマーと開始剤とを均質に混合することあるいはフォトリソグラフィなどの画 像形成用に光による選択的活性化を行なうことができる。単純な光重合開始剤は 一般に、従来の光源(すなわち、中圧および高圧水銀ランプ、蛍光ランプまたは 太陽)のスペクトル出力の大部分が存在する波長領域である300nm を超える光に 対する吸収係数が小さい。このように吸収係数が小さいため、光効率に限度を生 じやすい。 この問題を解決するために、このような光重合開始剤の波長応答性を改善する ための多数の方法が開発されている。例えば、光増感剤を光重合開始剤と組み合 わせて添加し、開始剤のカチオン部分に光エネルギをより一層効率良く伝達する こともできる。また、オニウムまたは有機金属光重合開始剤塩のカチオン部分を 合成的に変性することで、光効率を改善することができる。 カチオン部分の合成的変性では、イオン的な性質のために有機モノマーへの溶 解性が乏しいカチオン光重合開始剤の溶解性を改善することが行われている。し かしながら、可溶化置換基を導入することの困難やコストの問題から、これらの 物質の商業的な用途には限りがある。これに代わる解決策として、反応性希釈剤 や固体分散剤を使用することについても開示されている。 多くの用途において、光重合は不可能であるか、あるいは非実用的であるか、 または好ましくないものである。例えば、閉鎖された 環境(すなわち、金型内や積層製品内)において重合反応が起き、あるいは重合 可能な組成物に白濁化顔料を含有し得る多くの状況では、熱的に活性化される開 始剤が好ましい。周知のオニウム塩や有機金属塩などの熱的に活性化される開始 剤は、それぞれの用途に応じて室温あるいはそれ以上の温度で重合を開始させる ことができる。酸化剤還元剤、金属塩、有機酸または無水物やこれらの混合物な どの追加の添加剤を添加して、カチオン重合の起こる温度を調節することも頻繁 に行われている。 従来技術において周知のオニウム塩や有機金属塩の他に、様々なアミンの酸性 塩、フルオロアルカンスルホン酸およびビス(フルオロアルキルスルホニル)メ タンの金属塩も、ビニルエーテルやエポキシドのカチオン付加重合用の熱重合開 始剤あるいはアルコール−エポキシ段階的成長重合用の触媒として使用されてい る。 カチオン付加重合用の開始剤の主な特徴は、熱的あるいは光化学的な活性化に より強力なブレーンステッド酸やルイス酸を生成する能力である。これを達成す るうえで、開始剤の不活性化やカチオン連鎖の停止を防止するために、非塩基性 、非求核性、かつ非還元性であるゆえに酸性度の高い酸化環境においても安定な 対アニオンが必須である。この理由から、カチオン付加重合に使用される殆どの カチオン開始剤は、アニオンSbF6 - 、AsF6 - 、 PF6 - および BF4 - にもとづいて いる。 錯塩中の対アニオンの性質はカチオン付加重合の速度および程度に影響するこ とが知られている。例えば、一般に使用されている非求核的アニオンの反応性の 順序はSbF6 - >AsF6 - > PF6 - > BF4であると論じている、J.V.Crivello,R. Narayan著、Chem.Mater.,4 第692頁(1992)を参照のこと。反応性に対するア ニオンの影響は、主に3つの要因から生じるものである。すなわち、1)生 成されるプロトン酸あるいはルイス酸の強度、2)伝搬カチオン鎖におけるイオ ン対の分離度、3)フッ化物引抜きおよびこの結果として生じる連鎖停止に対す るアニオンの感受性である。証拠から、オニウム塩については、どのアニオンを 選択しても活性酸生成の光効率に影響はないことが示される。 H.Kobayashi,et al.著、Bull.Chem.Soc.Jpn.、57 第2600頁(1984)およ び研究報告−旭ガラス工業技術奨励会、42 第 137〜145 頁(1983)には、アルカ リ金属カチオンの有機溶媒中への抽出用に、親油性が高く化学的に安定なアニオ ンとしてのテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート( TFPB- )および関連F-またはCF3-置換テトラフェニルボレートを使用することに ついて記載されている。二相中における求電子反応(例えば、ジアゾカップリン グ、フリーデル−クラフツアルキル化、ニトロソ化)を促進するための相間移動 触媒としてのNa[TFPB]アニオンのさらなる有用性については、H.Kobayashi,et al.著、有機合成化学協会誌 46(10) 第 943〜954 頁(1988);Chemistry Let ters 第 579〜580 頁(1981);同上第1185〜1186頁(1982);Bull.Chem.Soc.Jp n.56 第 796〜801 頁(1983)およびTetrahedron Lett.24(32) 第4703〜47 06頁(1983)に記載されている。これらの例におけるTFPB- の加速あるいは触媒作 用は、反応性カチオン種の無極性有機相への移動時の「脱水」(溶媒和水の除去 )によって生じるものである。 T.Nagamura,et al.著、Ber.Bunsen-Ges.Phys.Chem.93 (12) 第1 432〜1436頁(1989);同上92(6) 第707〜710頁(1988);J.Chem.Soc.Chem.C ommun.第72〜74頁(1991)およびJ.Chem.Soc.,Farady Trans.1 84(10) 第3529〜3537頁(1988)には、イオン対電荷移動帯の励起による光誘導電子移動に よって持続 的かつ可逆的に色が変化する、TFPB- 対アニオンを有する 4,4'-ビピリジニウム イオンのホトクロミック塩について記載されている。 K.R.Mann,W.M.Lamanna およびM.G.Hill 著、Inorg.Chem.30 第4687頁(1 991)には、塩化メチレン溶液における電気化学的な研究用の便利な非配位電解質 としてテトラブチルアンモニウム[TFPB]を使用することについて記載されている 。 M.Brookhart,et al.著、Polymer Preprints 32(1) 第461頁(1991)およ び1990年4月20日出願の米国特許出願第07/513,241号には、エチレンや高 級オレフィンのチーグラー−ナッタ型の重合に有用な触媒である、有機金属性金 属アルキルあるいは金属水素化物カチオンのTFPB- 塩について記載されている。 TFPB- アニオンによって、同様のBF4 塩の場合よりも触媒安定性が改善される 。関連した著作では、M.BrookhartおよびS.Sabo-Etienne著、J.Am.Chem.So c.113 第2777〜2779頁(1991)に、アクリル酸メチルの末端間(tail-to-tail)二 量化用として効果的な触媒である有機金属ロジウム水素化物カチオンのTFPB-塩 が記載されている。 M.Bochmann,A.J.Jaggar著、J.Organometal.Chem.424 C5-7(1992)には、 エチレンのチーグラー−ナッタ型重合用の活性触媒である、TFPB- のカチオン性 チタンアルキル塩について記載されている。TFPB- アニオンによって、単純なテ トラフェニルボレートの場合よりも触媒活性及び溶解性が改善される。最も一般 的には(C6F5)4B-、(CH3)(C6F5)3B- で表されるフッ素置換したアリールボレート 対アニオンを利用する、他のカチオン性金属アルカリ触媒についても記載されて いる。これらの触媒は、エチレンやプロピレンなどの炭化水素オレフィンのチー グラー−ナッタ型重合に有用である。 J.V.Crivello,J.H.W.Lam 著、J.Polym.Sci.,Polym.Lett.Ed.17(12) 第759頁(1979)には、光重合開始剤としてのトリフェ ニルスルホニウムテトラフェニルボレートの反応性について記載されている。こ のテトラフェニルボレートは、遊離基重合については活性を有するが、シクロヘ キセンオキシド(特に反応性のエポキシモノマー)のカチオン付加重合について は完全に不活性であることが分かった。エポキシ反応性の欠如は、対応するトリ フェニルスルホニウム[SbF6]塩によって呈されるエポキシ硬化活性レベルが高い のとは対照的である。この差異は、テトラフェニルボレートアニオンの比較的求 核的すなわち塩基性の特性によって生じるものである。 発明の開示 本発明の一側面において、カチオン部分とアニオン部分とを有する開始剤塩で あって、そのアニオン部分は非求核的アニオンであり(「非求核的塩」とも呼ば れる)、以下の一般式で表される開始剤が得られる。 [(M')m+Q1Q2...Qn]d- [式中、M'は、元素周期表(CAS版)のIVB族からVA族まで、すなわちIVB族、VB 族、VIB族、VIIB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族およびVA族、好まし くはIIIA族およびVA族、最も好ましくはIIIA族の元素からなる群から選択される 金属または半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ドおよびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカル ビル−カルボキシレート基、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基、およ び有機半金属基からなる群から独立に選択され、Q1乃至 Qn のうちの少なくとも 1つはハロゲン置換した芳香族ヒドロカルビル基であるが、(n-1)個以下のQ1乃 至 Qn はハロゲン化物基であってもよく、Q1乃至 Qn うちの残りは上述した基か ら選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dである] 好ましい実施例において、M'はホウ素であり、nは4であり、Q1は置換された 芳香族基(Ar)であり、Q2乃至Q4は上述した通りであって、非求核的アニオンは以 下の一般式で表される。 [BArX2X3X4]- (式中、 Bは、原子価状態3のホウ素であり、 Arは、炭素数約6〜約30のハロゲン置換された芳香族炭化水素基であって、 安定した架橋基を介して1個以上のX基と結合していてもよく、 X2、X3およびX4は、独立に、ハロゲン化物基、炭素数1〜約30のヒドロカル ビル基、炭素数1〜約30であって1個以上の水素原子がハロゲン原子によって 置換された置換ヒドロカルビル基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ド基およびアリールオキシド基、基のアルキルヒドロカルビル部分およびアリー ルヒドロカルビル部分は炭素数1〜約30であるヒドロカルビル−メルカプチド およびヒドロカルビル−カルボキシレート基、および各ヒドロカルビル置換基の 炭素数が1〜約20であって金属は元素周期表のIVA族から選択される炭化水素 置換金属(有機半金属)基とからなる群から選択される基である。 この開始剤塩のカチオン部分は、原子価が1〜5の一価あるいは多価の金属カ チオンと、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などの有機オニウム塩と、有機金属 錯カチオンとからなる群から選択可能である。 他の側面において、本発明は、(a)カチオン付加重合可能なモノマー、遊離 基重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび触媒段階的成長重合可能なモノマ ーのうちの少なくとも1つと、(b)上記一般式で表される非求核的塩を少なく とも1種類とを有する重合可能組成物に関する。この重合可能組成物は、例えば 、保護被膜、剥離ライナ、接着剤、研磨バインダとして、さらには写真技術やフ ォトレジストとしての用途に有用である。 有利なことに、本発明の非求核的塩を用いることで改善される。多くの場合、 感光性および波長応答性が改善される。さらに、本発明の非求核的塩のうち特定 の種類のものは、従来技術において周知の類似のSbF6 - 塩よりも熱的安定性が改 善されている。本発明の他のいくつかの利点には、重合収率の改良、硬化速度の 向上、低毒性、重合開始および重合速度の制御性、耐食性すなわち低HF単体分 離性も含まれる。 本願において使用される場合、 「触媒的有効量」は、硬化可能な組成物の重合生成物への重合を、特定の条件 下で少なくとも組成物の粘度が増加する程度まで行なうのに十分な量を意味する 。 「モノマー」および「リガンド」は、記載できかつ所望の生成物に干渉しない 化学種のほか、置換が許容され、周知の置換基によって置換可能な化学種をも意 味する。例えば、置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェニル 基、アリールアルコキシ基(aryalkoxy)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキ シル基、アミノ基、ニトロ基、アセチル基、ハロ(F,Cl,Br,I)基などである 。 「有機金属塩」は、有機金属錯カチオンのイオン塩を意味し、このカチオンは 遷移金属類の金属原子と結合している有機基の炭素原子を少なくとも1個含有す る(F.A.Cotton,G.Wilkinson著、Basi c Inorganic Chemistry,Wiley 1976年 第497 頁)。 「重合可能組成物」は、開始剤または触媒と重合可能な1種類以上のモノマー との混合物を意味する。 「重合」および「硬化」は互換可能であって、組成物に十分なエネルギを供給 してその組成物の物理的な状態を変化させ、これを流体からより流動性の少ない 状態に転移させ、粘着状態から非粘着状態へ、可溶状態から不溶状態に変化させ あるいは反応時に消費して重合可能モノマーの量を減らすことを意味する。 好ましい実施例の説明 本発明によれば、光化学的あるいは熱的に活性化される触媒または開始剤と、 このような触媒および開始剤を含有している重合可能組成物を提供する。触媒お よび開始剤としての非求核的塩は、カチオン付加重合および遊離基付加重合、触 媒段階的成長重合に特に有用である。 この重合可能組成物は、上述した触媒あるいは開始剤のうちの少なくとも1種 類と、(1)カチオン付加重合によって重合可能な少なくとも1種類のモノマー 、または(2)触媒段階的成長重合によって重合可能な少なくとも1種類のモノ マー、または(3)遊離基付加重合によって重合可能なエチレン基を含む不飽和 の少なくとも1種類のモノマー、または(4)上述した様々な種類のモノマーの 組み合わせを含有する混合物と、の混合物を有する。 触媒および開始剤は、(1)重合を開始するあるいは触媒するのに必要なブレ ーンステッド酸やルイス酸(および、任意に、遊離基)の潜在的な生成源として 働く、熱的あるいは光化学的に反応性を有するカチオン部分と、(2)非求核的 対アニオンとを含んで成る塩である。 非求核的アニオン 本発明を実施する上で有用な開始剤あるいは触媒の調製時に対アニオンとして 有用な非求核的アニオンは、負の電荷を帯びた金属あるいは半金属の核を有する 単配位錯体である。このアニオンは、比較的大きく(かさ高)、非塩基性、非反 応性であって、開始剤のカチオン部分、あるいは成長しているカチオン付加重合 鎖の伝搬しているカチオン中心、あるいは、ブレーンステッド酸やルイス酸種な どの触媒されるあるいは開始される重合に含まれる他のカチオン種のカチオン中 心に対して、全く配位しないか弱く配位するだけであるかのいずれかであり、か つそれらに対して相溶である。 概して、本発明の開始剤あるいは触媒の調製に有用な非求核的アニオンについ ては、以下の一般式によって表すことができる。 [(M')m+Q1Q2...Qn]d- (1) ここで、 M'は、元素周期表(CAS版)のIVB族からVA族まで、すなわちIVB族、VB族、VIB族 、VIIB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族およびVA族、好ましくはIIIA族 およびVA族、最も好ましくはIIIA族の元素からなる群から選択される金属または 半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸基、アルコキシド およびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカルビ ル−カルボキシレート基、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基、および 有機半金属基を構成する基からそれぞれ独立に選択され、Q1乃至 Qn のうちの少 なくとも1つはハロゲン置換した芳香族ヒドロカルビル基であるが、(n-1)個以 下のQ1乃至 Qn はハロゲン化物基であってもよく、Q1 乃至 Qn うちの残りは上 述した基から選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dである。 本発明において有用な開始剤あるいは触媒の調製には、ホウ素中心アニオンが 特に有用であって、このアニオンについては以下の一般式によって表すことがで きる。 [BArX2X3X4]- (2) ここで、 B は、原子価状態3のホウ素であり、 Arは、炭素数約6〜約30のハロゲン置換された芳香族炭化水素基であって、 1またはそれ以上の安定な架橋基を介して1またはそれ以上のX基と結合してい てもよく、 X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、ハロゲン化物基、炭素数1〜約30のヒ ドロカルビル基、炭素数1〜約30であって1個以上の水素原子がハロゲン原子 によって置換された置換ヒドロカルビル基、ジアルキルアミド基、水酸基、アル コキシドおよびアリールオキシド基、基のアルキルヒドロカルビル部分およびア リールヒドロカルビル部分は炭素数1〜約30であるヒドロカルビル−メルカプ チドおよびヒドロカルビル−カルボキシレート基、および各ヒドロカルビル置換 基の炭素数が1〜約20であって金属は元素周期表のIVA 族から選択される炭化 水素置換金属(有機半金属)基とからなる群から選択される基である。 有用な安定架橋基には、単結合、二重結合、nは1〜4である Si= 、(R)2C=、(R)2Sn= 、(R)2Ge= 、O 、S 、Se、=CO 、=SO2、RN= 、RP= が含 まれる。ここで、Rは置換あるいは未置換のアリールまたはアルキルヒドロカル ビル基である。 概して、Arは炭素数約6〜約30のハロゲン置換芳香族炭化水素 基であればよい。適した芳香族基の例として、フェニル、ナフチルおよびアント ラセニル基が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましいハロゲン 置換基としては、塩素およびフッ素が挙げられ、より好ましくはフッ素である。 芳香族炭化水素のハロゲン置換基は、芳香族環に直接結合したハロゲン基であっ てもよく、ハロ−ヒドロカルビル置換基の場合のように他の置換基の一部として 導入されたものであってもよい。ここで、フルオロ−ヒドロカルビル置換基が好 ましい。有用なハロゲン置換芳香族炭化水素基に対する他の適した置換基として は、ヒドロカルビル基、有機半金属基、X2、X3、X4として有用なものなどが挙げ られるが、必ずしもこれに限定されるものではない。これらの置換基は、ホウ素 原子と結合した炭素原子に関して、オルト、メタ、あるいはパラであってもよい 。X2、X3、X4のいずれかあるいは全てがハロゲン置換ヒドロカルビル基である場 合には、それぞれArとして同一あるいは異なるハロゲン置換芳香族炭化水素基で よい。 本発明の開始剤あるいは触媒において有用なホウ素中心アニオンの例として以 下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。 [3,5-(CF3)2C6H3]4B- (C6F5)4B- (C6H4-p-CF3)4B- (C6H4-m-CF3)4B- (C6H4-p-F)4B- (C6F5)3(CH3)B- (C6F5)3(n-C4H9)B- (C6H4-P-CH3)3(C6F5)B- (C6F5)3FB- (C6H5)3(C6F5)B- (CH3)2(C6H4-p-CF3)2B- (C6F5)3(n-C18H37O)B- 本発明の好ましいホウ素中心アニオンは、一般的に、ホウ素に結合した3個以 上のハロゲン置換芳香族炭化水素基を含有しており、そのハロゲンは最も好まし くはフッ素である。最も好ましいアニオンの例として、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- 、 (C6F5)4B-、(C6F5)3(n-C4H9)B- 、(C6F5)3FB- および(C6F5)3(CH3)B- が挙げら れるが、これに限定されるものではない。 有用な他の金属中心あるいは半金属中心を含有する適当なアニオンの同様のリ ストを作成することも可能であろう。このようなアニオンの例として、[3,5-(CF3 )2C6H3]4Al- 、(C6F5)4Al- 、(C6F5)2F4P- 、(C6F5)F5Sb- および(C6F5)F5P- が挙げられる。これについて、上記のリストは完璧にすることを意図したもので はなく、有用であろう他のホウ素中心非求核的塩や、他の金属や半金属を含有し ている他の有用なアニオンについても当業者らにとっては上記一般式から容易に 明白になることに注意されたい。 カチオン 本発明の触媒および開始剤のカチオン部分として有用なカチオンの種類には、 (1)好ましくは原子価が1〜5であり、元素周期表(CAS版)のIA族〜IIIA 族、IB族〜VIIB族、VIII族の金属と、ランタニドおよびアクチニド類の金属とか らなる群から選択される、一価あるいは多価の金属カチオンと、 (2)例えば、ここで参照して含める米国特許第4,250,311 号、第3,708,296 号、第4,069,055 号、第4,216,288 号、第5,084,586 号および第5,124,417 号に 記載されているものであって、脂肪族あ るいは芳香族の IVA〜VIIA族(CAS版)金属中心オニウム塩を含み、好ましくはジ アゾニウム、スルホホキソニウム、ジアリールヨードニウム、トリアリールスル ホニウムおよびプロトン化した脂肪族、芳香族あるいは複素環式アミンから選択 される有機オニウムカチオンと、 (3)ここに参照して含める米国特許第4,985,340 号に記載されているから選 択され、以下の一般式で表される、本質的に金属水化物や金属アルキル官能性を 持たない有機金属錯カチオンと、が含まれる。 [(L1)(L2)M]+qX n (3) ここで、 M は、Cr、Mo、W 、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、PtおよびNiからな る群から選択される金属であり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニルおよ びシクロヘプタトリエニル、シクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、 複素環式化合物および、置換あるいは未置換のベンゼン化合物とMの原子価殻に 対して個々に3〜8個の電子を寄与できる2〜4個の融合環を有する化合物とか ら選択される芳香族化合物からなる群から選択され、同一あるいは異なるリガン ドであることができる、1あるいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なくてもよく、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩並びにヒ素およびアンチモン有機ニト リル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の関連した誘導体からなる 群から選択される同一または異なるリガンドであればよい偶数個の電子を寄与で きる非アニオンリガンドであり、Mに寄与する合計の電子電荷が錯体に対するq の正味の残留正電荷量をもたらす1〜3個の非アニオンリガンドであり、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示し、 Xは、一般式1で表される非求核的アニオンであり、 nは、1または2の整数であって、錯カチオンの電荷qを中和するのに必要な 錯アニオン数を示す。 有機金属塩は従来技術において知られており、例えばここで参照して含める欧 州特許庁第109,851 号、第094,914 号、第094,915 号および第126,712 号に記載 されているように調製することができる。本発明において有用な有機金属カチオ ンは、概してオレフィンのチーグラー−ナッタ型の重合を触媒する上では有用で はない。このような重合には、本発明において有用な触媒あるいは開始剤塩には 存在しない金属水酸化物や金属アルキル官能性が必要とされるためである。さら に、本発明の有用な有機金属カチオンには、金属水酸化物や金属アルキル共触媒 は必要ない。 上述したアニオンおよびカチオンの非求核的塩は、光照射あるいは熱によって 活性化させることができ、場合によっては光照射の後に熱を利用する二段にわた る活性化を必要とすることもある。本発明の重合可能組成物において使用するた めに上記の如きカチオンおよび非求核的アニオンを有する適当な塩は、十分なエ ネルギすなわち熱、加速粒子(電子線)や波長約 200〜800nm の電磁輻射の印加 により、本発明による重合可能組成物の重合を開始させたり触媒したりすること のできる活性種を生成する塩である。もちろん、触媒あるいは開始剤の活性レベ ルは、塩のカチオンおよび非求核的アニオンとして何を選択するか、さらにはモ ノマーによって様々である。 非求核的アニオンの塩 本発明の組成物において有用な非求核的アニオンの触媒および開始剤塩の非限 定的例としては、以下のものが挙げられる。 (1)金属塩 金属塩としては以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。 Li[B(C6F5)4]、Ag[B(C6F5)4]、Na[B(C6F5)4]、Mg[[B(C6F5)4]2]、Li[B[3,5-(C F3)2C6H3]4]、Na[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、Zn[(B[3,5-(CF3)2C6H3]4)2]、Mg[(B[3, 5-(CF3)2C6H3]4)2]、Na[B(CH3)(C6F5)3]、Ag[B(C6F5)4]・[3トルエン]および Li[B(n- ブチル)(C6F5)3]。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、水やエ ーテル、アミン、アレーン、ケトンなど様々な有機溶媒を使用してこれらの金属 塩のカチオン部分を溶媒和化してもよい。 (2)オニウム塩 オニウム塩としては以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではな い。 (C6H5)2I[B(C6F5)4]、(CH3C6H4)2I[B(C6F5)4]、(C6H5)3S[B(C6F5)4]、(C6H5)3 C[B(C6F5)4]、(C6H5)3S[BF(C6F5)3]、(C2H5)3NH[BF(C6F5)3]、(C2H5)OH[B(C6F5)4 ]、(C2H5)3NH[B(C6F5)4]、(C6H5)2I[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C6H5)3S[B[3,5-(C F3)2C6H3]4]、(C2H5)2OH[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C6H5S)C6H4S(C6H5)2[B[3,5-(C F3)2C6H3]4]、(C2H5)3NH[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、C6H5N2[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、 (C6H5)3P(CH3)[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C2H5)3NH[B(CH3)(C6F5)3]、(C6H5)2I[B( CH3)(C6F5)3]、(C6H5)3S[B(CH3)(C6F5)3]、(C6H5)3S[B(n-ブチル)(C6F5)3]、 C6H5N(CH3)2H[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、C5H5NH[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、C6H5N(CH3)2 H[B(C6F5)4]およびC6H5N(CH3)2H[B(CH3)C6F5]3]。 (3)有機金属塩 有機金属塩としては以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではな い。 (C5H5)(ベンゼン)Fe[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C5H5)(メシチレン)Fe[B[3,5-(CF3 )2C6H3]4]、(C5H5)(トルエン)Fe[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C5H5)(p-キシレン)Fe [B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C5(CH3)5)(ベンゼン)Fe[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(ベン ゼン)Mn(CO)3[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(トルエン)Mn(CO)3[B[3,5-(CF3)2C6H3]4] 、(ベンゼン)2Fe[(B[3,5-(CF3)2C6H3]4)2]、(C5H5)Fe(CO)3[B[3,5-(CF3)2C6H3]4 ]、(C5H4CH3)Fe(CO)3[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(C5H4CH3)Mn(CO)2(NO)[B[3,5-(CF3 )2C6H3]4]、(C5H4CH3)2Fe[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]、(トルエン)2Cr[B[3,5-(CF3)2C6 H3]4]、(C5H5)(p-キシレン)Fe[B(C6F5)4]、(ベンゼン)Mn(CO)3[B(C6F5)6]、(メ シチレン)Mn(CO)3[B(C6F5)4]、(トルエン)2Fe[(B(C6F5)4)2]、(C5H5)Fe(CO)3[B( C6F5)4]、(C5H5)2Fe[B(C6F5)4]、(C5H5)Fe(CO)2(P(C6H5)3)[B(C6F5)4]、(C6H5)( トルエン)Fe[B(CH3)(C6F5)3]、(ベンゼン)Mn(CO)3[B(CH3)(C6F5)3]および(C5H5) (メシチレン)Fe[BF(C6F5)3]。 使用および調製方法 触媒 概して、本発明の触媒あるいは開始剤の塩は、適当な溶媒中で、塩化物、PF6 - 、SbF6 - あるいはBF4 - などの慣用の対アニオンを含有する開始剤あるいは触媒 の塩と、本発明の非求核的アニオンのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩ある いはアルキルアンモニウム塩などの単純な塩とを組み合わせた、アニオン交換あ るいはメタセシス反応によって調製することができる。一般に、メタセシス反応 は約 -80°から約 100℃の温度、好ましくは周囲温度において、本発明の開始剤 /触媒塩およびメタセシス副反応物のいずれか一方が選択的に沈降し、本発明の 塩を溶液あるいは純粋な固体の形で単離できる条件下で実行することができる。 一方、アニオンメタセシスについては、本発明の非求核的アニオンを含有する不 溶性アニオン交換樹脂のカラムに従来技術の開始剤あるいは触媒の塩の溶液を通 過させることによって達成することができる。もちろん、本発明の触媒/開始剤 の塩は、上述した個々の成分を重合過程に直接導入し、重合過程においてモノマ ーを含む適当な溶媒あるいは希釈剤を使用する場合にはin situ に生成するであ ろうことが認められるであろう。しかしながら、重合可能な組成物に添加して重 合過程を実施するのに先立って、別の工程において純粋な触媒あるいは開始剤を 固体としてあるいは適当な溶媒中で形成することが好ましい。 適当なメタセシス溶媒は、一般に、メタセシス反応に必要な試薬のうち少なく とも1種類、好ましくは全ての試薬を、これらの試薬と反応せずに溶解すること ができる。溶媒は一般に、所望の塩あるいはメタセシス副生成物が選択的に沈降 し、所望の塩を比較的純粋な形で単離することができるように選択される。通常 、特定の系に対して好ましい溶媒は、経験的に決定される。アニオン交換樹脂を 使用する場合には、溶媒はこの樹脂を溶解せずにメタセシス試薬お よび所望の生成物塩を溶解できるものにすべきである。適した溶媒の非限定的例 として、水;塩化メチレンやクロロホルムなどのクロロカーボン類;エーテル類 ;トルエンおよびクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトニトリルなど のニトリル類;メタノールおよびエタノールなどのアルコール類;ニトロベンゼ ン類;ニトロメタン類;アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類;そ の他の同様の種類の有機溶媒などが挙げられる。試薬および生成物塩の溶解性を 調節するために溶媒の混合物を用いると好ましい場合も多い。 重合可能組成物およびポリマー 本発明によれば、(a)カチオン付加重合可能なモノマー、重合可能エチレン 性不飽和遊離基モノマー、触媒段階的成長によって重合可能な多官能性モノマー の混合物、あるいはこれらの混合物のうちの少なくとも1つと、(b)本発明の 触媒あるいは開始剤の塩とを含む重合可能組成物、並びに (a)カチオン重合可能なモノマー、重合可能なエチレン性不飽和遊離基モノ マー、触媒段階的成長によって重合可能な多官能性モノマーの混合物、あるいは それらの混合物のうちの少なくとも1つを有するモノマー混合物を提供するステ ップと、 (b)本発明による開始剤塩または触媒塩のうちの少なくとも1つを有する硬 化剤を触媒的に効果的な量だけモノマー混合物に添加し(および上述の成分を混 合する順序の変更の全て)、重合可能な組成物を形成するステップと、 (c)重合可能な組成物を自然重合させるか、あるいは十分な量のエネルギを 混合物に加えて重合を達成するステップと、 を含む重合方法が提供される。 さらに、本発明によれば、本発明の硬化組成物を含有する被覆製品の調製方法 であって、 (a)基材を提供するステップと、 (b)バー、ナイフ、リバースロール、ぎざぎざロール、カーテンあるいはス ピンコーティング、あるいは浸漬、スプレー、刷毛塗りなどの従来技術において 公知の方法によって、被覆溶媒を使用しあるいは使用せずに、上述したステップ (b)のエネルギ重合可能な組成物を基材の少なくとも一面に被覆するステップ と、 (c)(溶媒を使用する場合には溶媒の揮発後に)被膜に、必要であれば製品 にも、エネルギを印加して被膜を重合させるステップと、 を含む調製方法が得られる。 可溶成分に溶媒を添加して処理を助けると好ましい場合もある。溶媒について は、好ましくは有機溶媒であり、最大で重合可能な組成物の99重量%までの範囲 で存在させることができ、好ましくは 0〜90重量%の範囲、最も好ましくは 0〜 75重量%の範囲で使用することができる。 本発明の重合可能組成物において、触媒あるいは開始剤の塩の量は、重合を開 始する上で触媒的に効果的な量とすることができ、一般的には全組成物の0.01〜 20重量%(wt%)、好ましくは 0.1〜10wt% の範囲内にある。 カチオン重合可能なモノマー 本発明の触媒および開始剤を使用して、多種多様なモノマーをエネルギ重合す ることができる。カチオン重合可能な適したモノマーおよび/またはオリゴマー は、一般に、エポキシド類、環状エーテル類、ビニルエーテル類、ビニルアミン 類、不飽和炭化水素類、ラ クトン類および他の環状エステル類、ラクタム類、環状カーボネート類、環状ア セタール類、アルデヒド類、環状アミン類、環状スルフィド類、シクロシロキサ ン類、シクロトリホスファゼン類および他のカチオン重合可能な基あるいはモノ マー(G.Odian著「Principles of Polymerization」第3版、John Wiley & Son s Inc.出版、1991年 NYおよび「Encyclopedia of Polymer Science and Engi neering」第2版、H.F.Mark,N.M.Bikales,C.G.Overberger,G.Menges,J. I.Kroschwitz編、第2巻 John Wiley & Sons 出版、1985年 NY 第 729〜8 14 頁に記載されている)など、少なくとも1個のカチオン重合可能基を含有し ている。 特に有用な例としては、エポキシドモノマーなどの環状エーテルモノマー(こ こに参照して含める米国特許第4,985,340 号に記載されている)や、ビニル有機 モノマー(ここに参照して含める米国特許第4,264,703 号に記載されている)な どがある。 遊離基重合可能なモノマー 少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含有する、適当な遊離基重合可 能な化合物は、アクリレートやメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルア ミド、その他の遊離基重合可能なビニル化合物などのモノマーおよび/またはオ リゴマーであればよい。このようなモノマーおよびその特定の例については、こ こでは参考に挙げておく米国特許第4,985,340 号に記載されている。 触媒段階的成長重合可能なモノマー 触媒段階的成長重合とは、多官能性イソシアネート(ポリイソシアネート)と 多官能性アルコール(ポリオール)とが反応してポリウレタンを形成する反応や 、多官能性エポキシドと多官能性アルコ ールとの反応、架橋ポリトリアジン樹脂に対する多官能性シアネートエステルの 環化三量化などであるが、これに限定されるものではない。 本発明の触媒を使用した触媒段階的成長重合によって硬化可能な、特に有用な 多官能性アルコール、イソシアネートおよびエポキシド成分については、ここに 参照して含める米国特許第4,985,340 号、第4,503,211 号および第4,340,716 号 に記載されている。 本発明の触媒を使用した触媒環三量化(catalyzed cyclotrimerization)によっ て硬化可能な、適した多官能性シアネートエステルについては、ここに参照して 含める米国特許第5,143,785 号および第5,215,860 号に記載されている。 2種類以上の重合可能なモノマーの混合物を組み合わせて使用する場合、重合 可能な成分は、どのような比率にもすることができ、量の少ない方の成分が少な くとも1.0wt%は含まれることが好ましい。 粘着剤、硬化剤(hardener)、共硬化剤、硬化剤(curing agent)、安定化剤、増 感剤などの添加剤と上述した種類のモノマーとの混合物を、本発明の重合可能組 成物において使用することも可能である。さらに、顔料、研磨粒子、安定化剤、 光安定化剤、酸化防止剤、流動剤、増粘剤、つや消し剤、着色剤、不活性フィラ ー、バインダー、発泡剤、殺真菌剤、殺菌剤、界面活性剤、可塑化剤、その他当 業者間で周知の添加剤などの賦活剤を、本発明の組成物に添加することもできる 。これらはいずれも意図された目的を達成するのに効果的な量で添加可能である 。 任意に、放射線感受性組成物に光増感剤あるいは光促進剤を含むことも本発明 の範囲内である。光増感剤あるいは光促進剤を使用すると、本発明による潜在的 触媒および開始剤を利用している光線感 受性組成物の波長感受性が変化する。これは特に潜在的触媒あるいは開始剤が入 射光線をあまり吸収しないような場合に有利である。光増感剤あるいは光促進剤 を使用することで光線感受性が高まるため、露出時間を短縮するおよび/または 低出力光源を使用することができる。三重項エネルギが1モルあたり少なくとも 45キロカロリーである光増感剤あるいは光促進剤であれば、どのようなものであ っても有用であることができる。このような光増感剤の例は、文献であるSteven L.Murov 著、Handbook of photochemistry、NY州Marcel Dekker Inc.出版、 第27〜35頁(1973)の表2-1 に記載されており、また米国特許第4,985,340 号に開 示されているものを含み、これらはここに参照して含める。本発明を実施するに あたって使用される光増感剤あるいは光促進剤は、使用するのであれば概して硬 化可能な組成物の重量を基準にして光増感剤あるいは光促進剤の0.01〜10wt% 、 好ましくは0.1〜1.0wt% の範囲にある。 溶媒、好ましくは有機溶媒を、上述した重合可能なモノマーへの硬化剤の溶解 を補助するためにまた処理助剤として使用することもできる。代表的な溶媒とし ては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルセロソルブア セテート、塩化メチレン、ニトロメタン、ギ酸メチル、アセトニトリル、γ−ブ チロールラクトンおよび1,2-ジメトキシエタン(グリム)などが挙げられる。用 途によっては、米国特許第4,677,137 号に記載されているように、シリカ、アル ミナ、クレーなどの不活性担体に硬化剤を吸着させるとよい場合もある。 概して、光または放射線感受性の潜在的触媒あるいは開始剤を有する本発明の 重合可能組成物のエネルギ誘導重合は、殆どのエネルギ硬化可能組成物について 室温で実施することができるが、低温(例えば -10℃)あるいは高い温度(例え ば30°〜 400℃、好ましく は50°〜 300℃)にして、それぞれ重合の発熱を緩和したり、あるいは重合を加 速したりすることもできる。重合の温度および触媒の量は、特定の硬化可能な組 成物として何を使用するかや、重合すなわち硬化製品の所望の用途に応じて変更 される。本発明において使用される硬化剤(触媒あるいは開始剤)の量は、所望 の使用条件下でモノマーの重合を達成できるだけの量(すなわち、触媒的有効量 )とする。このような量は、概して、硬化可能な組成物の重量の約0.01〜20wt% 、好ましくは 0.1〜10wt% の範囲である。 感光性の本発明の組成物について、加速粒子(例えば電子線輻射など)を含む 放射線源や、スペクトルの紫外線域および可視光域(例えば約 200nm〜約800nm) の活性放射線を出力する放射線源などを使用することができる。適した放射線源 の例として、蛍光ランプ、水銀放電ランプ、カーボンアーク、タングステンラン プ、キセノンランプ、レーザ、太陽光線などが挙げられる。重合を達成するのに 必要な露光量は、硬化剤の種類および濃度、特定のモノマー、露光される材料の 温度および厚さ、基材の種類、光源強度および放射線に伴う熱量などの要因によ って変化する。従来技術において公知の直接加熱や誘導加熱、赤外線や電磁波照 射などを使用した熱重合によって、本発明による技術に基づいて組成物を硬化す ることもできる。光硬化および熱硬化の両方についての硬化条件は、期間、波長 、温度については、当業者らが容易に決定することができるものである。 まず硬化可能な組成物を照射下に曝して活性化し、続いてこのようにして得ら れた活性化前駆体を熱的に硬化する二段重合(硬化)を含むことも本発明の範囲 内である。この時の照射温度は、続く熱硬化時の温度未満である。活性化された 前駆体は、通常、直接熱硬化に必要な温度未満の温度で硬化可能なものであって 、場合によっ ては50°〜 110℃の範囲において利点がある。また、二段硬化を利用することで 、特に簡素かつ有利な方法で重合を調節することもできる。 本発明の触媒および開始剤塩の中で、特に中心金属あるいは半金族核と結合す る過フッ化すなわちCF3-置換芳香族炭化水素環が多重化されたアニオンを有する ものは、同一のカチオン部分であるがより慣用のSbF6 - や PF6 - などの対アニオ ンを含有する従来技術で知られている開始剤塩と比較して、カチオン付加重合や 遊離基付加重合、触媒段階的成長重合において一般に使用されているモノマーに 対して並びに一般的な有機溶媒や希釈剤に対して溶解度が大幅に改善されている 。本発明の触媒および開始剤塩は、概して、有機モノマーおよび溶媒において類 似のSbF6 -塩よりも、少なくとも5倍、有利には少なくとも10倍、多くの場合 において少なくとも50倍溶解度が高い。例えば、(C6H5)2I[B[3,5-(CF3)2C6H3]4 ]および(C6H5)2I[B(C6F5)4]などの本発明の開始剤は、同一の条件下で、塩化メ チレンやジエチルエーテルに対する溶解度が重量パーセントベースで(C6H5)2I[S bF6]の溶解度の約100倍である。一般的なモノマーにおける触媒および開始剤 の溶解性が高まることで、特に開始剤の溶解性を高めるためにモノマーに添加さ れることの多い有毒あるいは環境に有害な揮発性有機溶媒や希釈剤の使用を最低 限に抑えるかあるいはなくすことが好ましいような用途について、従来技術には ない重要な利点が得られる。あるいは、エポキシ官能性シリコーン、多官能性不 飽和炭化水素、不飽和あるいはエポキシ化トリグリセリド(上記)などの極めて 非極性の高いモノマーを必要とする用途において、この開始剤は、開始剤のカチ オン部分への可溶置換基の合成導入に代わるものとなる。これは一般に実施され てはいるが、手間のかかる高価な合成技術を必要とすることが多い。例えば、本 発明の(C6H5)2I[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]および(アリール)3S[B[3,5-(CF3)2C6H3]4] 塩は、光開始剤塩のカチオン部分に可溶置換基が存在しないにもかかわらず、市 販のUV9300(General Electric Co.)などのエポキシ官能シリコーンや、Ep oxidized KratonTMポリマーEKP-102(Shell Chemical)などのエポキシ官能 性イソプレンコポリマーおよびβ−ピネンなどの不飽和炭化水素に対する溶解度 および光硬化活性を呈する。 [3,5-(CF3)2C6H3]4]B- および(C6F5)4B- アニオンのカチオン有機金属光開 始剤塩およびオニウムの特に驚くべき特徴は、これらの塩の従来のアニオンの対 応する塩よりも大きな光重合すなわち光硬化活性および波長応答性にある。本発 明の光開始剤の光活性の増大は、カチオン付加重合によって重合されるモノマー を含有した光重合可能な組成物において上記光開始剤を使用する場合に特に顕著 に認められる。 カチオン的に重合可能なモノマーを含有し、任意に溶媒、希釈剤、その他のモ ノマー、光増感剤などの添加剤をさらに含有している重合可能組成物に本発明の 特定のオニウムおよび有機金属光開始剤塩を使用することで、同一のカチオン部 分であるがより慣用的なSbF6 - などの対アニオンを含有する従来技術で知られた 光開始剤と比較して、同一の開始剤濃度および同一の反応条件下で、(1)一定 の照射下での光硬化時間(硬化すなわち重合の立ち上げに必要な照射時間)の短 縮、(2)等しい照射量でのより一層完全な硬化(すなわち、重合度の増大ある いは重合発熱量の増加)、(3)200〜400nm の波長範囲におけるよりよい光吸 収(吸光係数の増大)などの多くの利点が得られる。SbF6 -のオニウムおよび有 機金属塩は従来技術の最も反応性の高いカチオン光重合剤であって、カチオン開 始剤の光化学におよぶ対アニオンの影響は未観察であると報告されて いるとすれば、対アニオンの組成のみが異なっている本発明の光開始剤によって 得られるよりよい光活性は、短い露光時間を必要とする工程や、硬化時間が短く 光効率はより一層高いかあるいは開始剤や触媒の残さ量を少なくして硬化時間が 同じであるか、または光増感剤などの添加剤を添加して光活性を改善する工程が 好ましくないような場合において予期せぬ有意な利点がある。 本発明の特定の触媒および開始剤塩、特にSbF6 - やAsF6 - などの特定の周知の アニオンと比べて上記アニオンの方がホウ素中心アニオンとしては好ましい触媒 および開始剤塩によって得られる他の利点は、前者の、環境および健康に対する 危険を有する上に従来技術の最も反応性の高い開始剤の業務上の利用を制約する アンチモンやヒ素などの毒性の高い元素の場合については除外される。 好ましいホウ素中心アニオン、特に[3,5-(CF3)2C6H3]4]B- および(C6F5)4B- を含有した本発明の触媒あるいは開始剤は、加水分解に対しては比較的不活性で ある。対照的に、SbF6 -やAsF6 -、PF6 - アニオンを使用して毒性が高く腐食性の フッ化水素酸を形成する従来技術において公知の特定の開始剤組成物においては 上記の加水分解が容易に生じることが知られている。さらに、本発明の開始剤の 場合においてアニオン加水分解が最終的に生じたとしても、フッ化水素酸へ容易 にアクセス可能な化学的経路はなくなる。このため、開始剤を金属あるいはガラ ス製の基板、電子部品、酸感受性ポリマーあるいは生体組織と接触させるような 用途など、フッ化水素酸の毒性あるいは腐食作用に留意しなければならない用途 において、本発明の開始剤あるいは触媒組成物を使用することで、顕著な利点を 得ることが出来、しかも反応性は変化させないかあるいは改善できる。 好ましいホウ素中心アニオン、特に[3,5-(CF3)2C6H3]4]B- を使 用している本発明のトリアリールスルホニウム塩は、対応するSbF6 - 塩と比べて 熱安定性が改善されている。有利なことに、このように熱安定性が完全されるこ とで、重合可能な組成物の早期硬化や触媒あるいは開始剤の光化学反応性の劣化 を生じずに高温処理を必要とする用途において、これらの塩を使用することがで きるようになる。 光活性化させた本発明の硬化剤の場合のように、本発明のある特定の熱的に活 性化される触媒および開始剤塩は、同一のカチオン部分であるがさらに従来から ある対アニオンを有する従来技術において公知の類似の塩を含有している重合可 能な組成物と比較して、例えば硬化発熱量の大きさについての示差走査熱量測定 (DSC)の測定値によって求められる硬化活性も改善する。 カチオン部分の一部として少なくとも1個のN+ −Hサブユニットを含有する 本発明の特定のオニウム含有開始剤および触媒塩、特に[3,5-(CF3)2C6H3]4B- の アルキルおよびアリールアンモニウム塩やプロトン化複素環式アミン塩では、エ ポキシドなどのモノマーの熱的に活性化されるカチオン付加重合や、エポキシ/ アルコールモノマー混合物の熱的に活性化される触媒段階的成長重合用の活性が 改善されている。本発明の他の開始剤および触媒と同様に、本発明の一塩基性(m onoprotic)、二塩基性(diprotic)あるいは三塩基性(triprotic)窒素オニウム塩 も有機溶媒およびモノマーに対する溶解性が改善されている。この特定種類の塩 のもう1つの特徴は、硬化温度調節レベルにある。窒素を主成分とするカチオン を簡単に構造修正することで、開始剤によってモノマーの硬化を誘導できる温度 が有意に変化する。さらに、水性媒質におけるpKa ’文献値に基づけば、硬化温 度の変化はプロトン窒素カチオンの熱力学的酸性度(pKa )の変化と深く相関し ている。このように、これらの塩のカチ オン部分の構造は、所望の用途に応じて、ほぼ通常の周囲温度から約 200℃まで の範囲の特定の温度で熱的に誘導すなわち触媒される硬化を達成できるように調 整することもできる。また、従来技術(UK 963,058)において記載されている ような中性アミンなどの添加剤と共にこれらの塩を使用して、硬化温度や保存寿 命に対する調節性をさらに改善することもできる。 一方、本発明の非求核的アニオンと、元素周期表のIA族〜IIIA族、IB族〜VIIB 族、VIII族の金属、ランタニドおよびアクチニド類の金属からなる群から選択さ れる一価あるいは多価の金属カチオンであるカチオン部分とを含有する触媒およ び開始剤塩は、熱の印加時に、エポキシドやビニルエーテルなどのカチオン感受 性モノマーの重合を誘導することができる。驚くべきことに、Na+ やLi[B[3,5-( CF3)2C6H3]4]などの特定のアルカリ金属塩が存在すると、純粋なシクロヘキセン オキシドモノマーにおいて 100°〜 200℃の高温であっても、エポキシ重合速度 は遅く緩徐であって有意な反応熱を伴わずに進行する。これは、従来技術におい て公知の従来のエポキシ重合開始剤や、特に脂環族エポキシドの場合に概して極 めて迅速かつ発熱性の高いエポキシド重合を誘導し、高い温度で開始される重合 を誘導する本発明の他のエポキシ重合開始剤とは極めて対照的である。温度が高 くなると重合速度も増すため、エポキシ重合の速度および程度は、本発明の金属 塩を使用して単に処理温度や加熱時間を調節するだけで簡単に調節される。また 、重合速度は使用する金属カチオンの関数としても変化する。この特定の開始剤 あるいは触媒の独特な反応性は、特に保存寿命を長くする必要があったり、硬化 を緩徐に行う必要があったり、あるいは大きな反応熱を許容できないような場合 、さらには例えば被覆前に粘度を調節するなどの理由でエポキシの部分重合すな わち硬化だけが必要な場合の用途におい て有用である。 本発明の組成物は、コーティング、フォーム、成形製品、接着剤、充填コンポ ジットや強化コンポジット、研磨剤、コーキング樹脂および封止樹脂、鋳造用樹 脂および型用樹脂、埋め込み用樹脂および密封用樹脂、含浸樹脂およびコーティ ング樹脂の他、当業者間で周知のその他の用途において有用である。 本発明の組成物は、好ましくは液体として、鋼製、アルミニウム製、銅製、カ ドミウム製、亜鉛製、セラミック製、ガラス製、紙製、木製などの基材や、ポリ エチレンテレフタレート、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレ ンなどの様々なプラスチック薄膜に塗布し、照射下におくこともできる。マスク を介して光照射するなどによってコーティングの一部を重合することで、露光さ れなかった部分を溶媒で洗浄して光重合した不溶部分を適所に残したまま未重合 部分を除去できる。このため、印刷板や印刷回路基板などのグラフィック技術や 電子産業において有用な製品の生成時に本発明の組成物を使用することもできる 。光重合している組成物から印刷板や印刷回路基板を生成する方法については、 従来技術(cf. 英国特許明細書第1,495,746 号)において周知である。 本発明の目的および利点については、以下の実施例による説明からより一層明 らかになろう。しかしながら、これらの実施例に挙げられている特定の物質およ びその量、その他の条件や詳細については、本発明を限定するものではないこと を理解されたい。 実施例 以下の実施例では、本発明の組成物用の合成手順について説明する。この手順 は、適当な試薬および条件を選択すれば、本発明の全ての化合物を合成する手順 の代表的なものになると思われる。 特に明記しない限り、実施例はいずれも(酸素や水蒸気を故意に除去すること なく)周囲雰囲気中で調整・評価したものである。重合実験において使用した有 機溶媒は、無水物の形で得て、さらに精製せずに使用したものである。カチオン 付加重合によって重合可能な液状モノマーは、概して、活性化させた3〜4オン グストロームの分子ふるい上で保存することで乾燥させた。本発明の硬化剤の前 駆体として、あるいは比較例において使用した有機金属塩化物(Cl- )、ヘキ サフルオロホスフェート(PF6 - )およびヘキサフルオロアンチモン酸塩(SbF6 - )は特に明記しない限り従来技術において周知の技術に準じて調製した(cf. Dietliker著、「Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coa tings,Inks and Paints」第3巻、「hotoinitiators for Free Radical and Ca tionic Polymerization」SITA Technology Ltd. 1991年 London, 第433〜434 頁およびこの中に引用されている参考文献;Brookh art et al.著、Organometal lics 2 第638 頁(1983);J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,第1677頁および第1 683頁(1975)参照)。 実施例において使用されている[3,5-(CF3)2C6H3]4B-(TFPB- )のナトリウム およびリチウム塩については、以下の刊行物(H.Kobayashi et al.著、Bull.Ch em.Soc.Japan 57 第2600頁(1984))に記載された技術に準じて調製した。Ald rich から購入した塩化ジフェニルヨードニウムを、対応する PF6 - 、SbF6 - 、 [3,5-(CF3)2C6H3]4B- および(C6F5)4B- 塩の調製時の前駆体として使用した。 水溶液中の塩化トリフェニルスルホニウム(1〜5%)と塩化ジフェニル[(4-フェ ニルチオ)フェニル]スルホニウム(15〜20%)および二塩化(チオジ4,1-フェニ レン)ビス(ジフェニルスルホニウム)(25〜30%)の混合物であると製造業者が述 べている塩化トリアリールスルホニウムを、Fine Organic Ltd.(Middlesbrough ,Cleveland TS2 IUB,England)から入手した。ここで比率はいずれも水中での重量%を意味 する。この市販混合物を対応するSbF6 - 、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- 、(C6F5)4B- および(n-ブチル)(C6F5)3B- 塩の調製用の前駆体として使用した。 プロトン性窒素基オニウム塩については、概して、中性前駆体の窒素中心を強 酸でプロトン化した後に、溶媒を蒸発させるかあるいは所望のアニオンで沈降さ せることによって調製した。本発明において使用される開始剤塩を得るための非 求核的アニオンを導入は、以下の実施例において示されるように標準的なアニオ ンメタセシス反応を利用して行われた。 光開始剤およびこれをモノマーに溶解した溶液は、いずれも弱い光すなわち重 合を開始するのに必要な光強度レベル未満の光の下で取り扱われた。溶液は暗所 にまたは琥珀色のガラス瓶に入れて保存した。本発明の開始剤および触媒塩につ いて、1H、11B、13C NMR分光分析によって特性化した。実施例7および8の(C6 F5)4B- および(n-ブチル)(C6F5)3B- 塩については、さらに元素分析を行なっ た。 例えば「15」など数字を付した実施例は本発明の実施例を示す。例えば「 C 15」など「C 」という文字を前に付けた例は比較例である。 用語集 TFPB: [3,5-(CF3)2C6H3]4B- PFTPB: (C6F5)4B- DGEBAB: ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Shell Chemical Co.からEP ONTM828として市販されている(eq.wt.=185-192 g/eq.)) ERL4221: 3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカ ルボキシレート(Union Carbideから ERLTM4221として市販されている(eq. wt.=133 g/eq.)) ERL4299: ビス-(3,4-エポキシ- シクロヘキシルメチル)アジペート(Union Car bideから ERLTM4299として市販されている(eq.wt.=183 g/eq.)) SR295: ペンタエリトリットテトラアクリレート(Sartomer ChemicalからSR2 95として市販されている) L-10: 1,1-ビス(4-シアナートフェニル)エタン、液状シアネートエステル樹脂 (Ciba-Geigy から市販されている) KB-1: 1,1-ジメトキシ-1-フェニルアセトフェノン(Sartomer Chemicalから市販 されている) C5Me5: ペンタメチルシクロペンタジエニル C5H4CH3: メチルシクロペンタジエニル C6H5: フェニル CH3-C6H4: p-トルイル C2H5: エチル C6F5: ペンタフルオロフェニル 3,5-(CF3)2C6H3: 3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル Cp: シクロペンタジエニル(C5H5) Me: メチル Ph: フェニル 実施例1 (メシチレン)(シクロペンタジエニル)鉄[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 塩化(メシチレン)(シクロペンタジエニル)鉄0.095gとNa[3,5-( CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O)0.323gとを塩化メチレン20ml中で混合して鉄塩を調製し た。この混合物を暗所にて室温で約5時間撹拌した。反応中に塩化ナトリウムが 沈降し、セライトを使用した吸引によって溶液を濾過して除去した。次に温度35 ℃、圧力2.6 kPa で濾液を蒸発させて乾燥させ、黄色の固体生成物を得た。液体 窒素だめを備えた真空ライン上で、室温にて15分間1.33 Pa に真空化することで 残りの水分を除去した。これによって最終収率0.313 で純粋な黄色固体生成物が 得られた。この(メシチレン)(シクロペンタジエニル)鉄[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]塩 は、対応する塩化物およびSbF6 - 塩と比べると、エチレンアセテートなどの有機 溶媒に対する溶解度が極めて高かった。NMR分光法を使用して、この固体生成 物は、暗所にて周囲条件下で少なくとも2年は安定していると判断された。 実施例2 [ジフェニルヨードニウム][B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 ジフェニルヨードニウムクロライド2.40g とNa[3,5-(CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O) 7.00g とを塩化メチレン220ml 中で混合してヨードニウム塩を調製した。この混 合物を暗所にて室温で約26時間撹拌した。反応中に塩化ナトリウムが沈降し、段 溝付濾紙を使用した溶液を重力濾過して除去した。この濾液にヘキサン200ml を 添加した。このようにして得られた溶液を、温度35℃、圧力2.7 kPa で回転蒸発 器上で約20mlまで濃縮したところ、白色の固体沈降物が得られた。この固体を別 のヘキサン100ml の中に懸濁し、吸引によって濾過した。収集された白色固体を 、新鮮なヘキサン50mlで3回洗浄し、部分的に吸引によって乾燥させた。この生 成物をさらに液体窒素だめを備えた真空オーブン内で、60〜80℃、1.33 Pa でさ らに乾燥させた。乾燥[ジフェニルヨードニウム][B[3,5-(CF3)2C6H3]4]塩は最 終収率8.253gで白色粉末として回収された。 実施例3 [(ベンゼン)Mn(CO)3][B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 [(ベンゼン)Mn(CO)3]PF6を1.174gとNa[3,5-(CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O)3.000gとを 琥珀色の瓶の中で塩化メチレン125ml 中で混合することによってマンガン塩を調 製した。この混合物を室温で約50分間撹拌した。メタセシス反応中にヘキサフル オロリン酸ナトリウムが沈降し、段溝付濾紙を使用した溶液を重力濾過して除去 された。この濾液をヘキサン325ml で処理し、微細淡黄色沈降物を得た。焼結ガ ラス製フリットを用いた吸引濾過によって上記沈降物を回収し、別のヘキサンで 洗浄し、吸引によって部分的に乾燥させた。この生成物をさらに液体窒素だめを 備えた真空オーブン内で、80〜84℃、1.33 Pa で18時間かけてさらに乾燥させた 。乾燥した[(ベンゼン)Mn(CO)3][B[3,5-(CF3)2C6H3]4]塩は最終収率3.316gで淡 黄色微結晶固体として回収された。 実施例4 (アリール)3S[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 スルホニウム塩は、トリフェニルスルホニウム(約9 モル%)と、ジフェニル [(4-フェニルチオ)フェニル]スルホニウム(約38モル%)と、(チオジ-4,1-フ ェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)(約53モル%)とのカチオンを含むカチ オンスルホニウム種の混合物からなっていた。この混合物は、それぞれの塩化物 塩前駆体を水中での50重量%溶液として同様の比率で含有している、Fine Org anics Ltd.から市販されている混合物から誘導されたものである。 蒸留水100ml で市販の塩化スルホニウム塩水溶液混合物5.7ml を希釈すること によって合成を行った。上記溶液を強く撹拌しながら塩化メタノール6.0ml に溶 解したNa[3,5-(CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O)10.00gの溶液を徐々に添加して暗所に て室温で後者と混合した。(アリール)3S[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]塩は、白色固体と して即座に沈澱し沈澱を約10分間させた。次に、上澄み液をデカンテーションし た。残りの固体を蒸留水100ml で洗浄した後、この水をデカンテーションした。 固体を別の蒸留水100ml と混合し、得られた混合物を簡単に撹拌し、ガラス製フ リットを使用して吸引濾過によって固体を回収した。この固体を吸引によって部 分的に乾燥させた後、液体窒素だめを備えた真空オーブン内で、97〜110℃、1.3 3 Pa で、合わせて36時間かけてより一層完全に乾燥させた。(アリール)3S[B[3, 5-(CF3)2C6H3]4]の塩は最終収率約8.0gで白色粉末として回収された。濃縮ヌジ ョールヌル(Nujol mull)IR分光分析から、この生成物は無水物であることが分か った。 実施例5 [Li[B(C6F5)4]]・2(C2H5)2Oの調製 A.G.MasseyおよびA.H.Park著、Organometallic Syntheses 3、第461 頁 (1986)に記載された方法に従い、ヘキサン200ml とジエチルエーテル50mlとの混 合物を溶媒として使用する点で一部変更し、C6F5Li(70mmol)を調製した。この混 合物に、 -78℃の温度で、ヘキサンに溶解した1.0M BCl3 17.5mlを滴下した。一 晩撹拌した後、Schlenk フィルタ上で粗生成物を収集して真空乾燥させた。この 粗生成物を、真空下で塩化メチレン無水物を使用してソックスレー抽出によって 精製し、白色の粉末状生成物を生成した。これを高真空下で乾燥させ、収率13g( 77%)を達成した。1H NMR分析によって 、この生成物には1式量あたり2.1 モルのジエチルエーテルが含まれていること が分かった。この生成物は吸湿性であったため、乾燥窒素下で保管した。 実施例6 [Li[B(n-ブチル)(C6F5)3]]の調製 ヘキサン10mlに(C6F5)3Bを1.17g(2.3mmole)を懸濁させた撹拌懸濁液に、n-ブ チルリチウムをヘキサンに溶解させた2.5M溶液0.95mlを窒素下で添加した。白色 生成物が沈降し、30分後、これを濾過によって単離してヘキサン5ml で洗浄した 。真空乾燥後、収率は0.98g であった。11B NMR(トルエン):-7.7(s)ppm 。 実施例7 [(アリール)3S][B(n-ブチル)(C6F5)3]の調製 Li[B(n-ブチル)(C6F5)3]0.90g(1.6mmole)と、(アリール)3S[SbF6]0.78g(1.56m mole)と、塩化メチレン無水物10mlとの混合物を窒素充填乾燥箱中で16時間撹拌 した。濾過によって、0.34gの白色で不溶性のLi[SbF6]が得られた。濾液を蒸発 させたところ粗生成物が得られ、これは高真空下でのポンプ吸引によって粘着性 のフォームに変化した。11B NMR(CDCl3): -13.4(s)ppm 。元素分析: C40H24BF15 S についての理論値(実験値); C,57.7(54.9); H,2.9(3.1)。 実施例8 [ジフェニルヨードニウム][B(C6F5)4]の調製 窒素下で、[Li[B(C6F5)4]]・(2Et2O)1.86gとジフェニルヨードニウムクロライ ド0.63gとを塩化メチレン30ml中で混合することに よってヨードニウム塩を調製した。室温で一晩撹拌した後、混合物を濾過した。 濾液を真空下で蒸発させ、白色の粉末状生成物1.33g を得た。元素分析: C36H10 BF20I についての理論値(実験値); C,45.0(45.4); H,1.0(1.1)。 実施例9 (アリール)3S[B(C6F5)4]の調製 スルホニウム塩は、トリフェニルスルホニウム(約9 モル%)と、ジフェニル [(4-フェニルチオ)フェニル]スルホニウム(約38モル%)と、(チオジ-4,1-フ ェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)(約53モル%)とのカチオンを含むカチ オンスルホニウム種の混合物からなっていた。この混合物は、それぞれの塩化物 塩前駆体を水中での50重量%溶液として同様の比率で含有している(Fine Orga nics Ltd.から市販されている)混合物から誘導されたものである。 以下の手順に沿って合成を行った。[Li[B(C6F5)4]]・(2Et2O)の試料1.2gをエ タノール2ml で処理した後、水10mlで処理し、撹拌してリチウム塩を溶解させた 。このようにして得られた溶液を、水20ml中に50%塩化トリアリールスルホニウ ム3ml を溶解させた水溶液を含有している溶液に撹拌しながら滴下した。40分 後、ゼラチン様の固体を濾過によって単離した。この固体を(塊をこわすために 間欠的に粉砕しながら)室温で乾燥させ、拡散ポンプ真空ライン上で 130℃で乾 燥させて、白色固体として生成物1.1gを得た。カール・フィッシャー分析によっ て、この生成物には水分が含まれていないことが分かった。この塩は吸湿性であ ったため、乾燥窒素下で保管した。 実施例10 (n-ブチル)3NH[B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 エルレンマイヤーフラスコ中において、エタノール15mlにトリ-n- ブチルアミ ン0.414gを溶解し、1.0M 塩酸水溶液2.3ml を添加した。別のフラスコにおいて 、Na[3,5-(CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O)2.00gをエタノール15mlに溶解した。次に、 この溶液を酸性化トリ-n-ブチルアミン溶液と混合した。この混合溶液に蒸留水6 0mlを添加して油を沈降させた。水/アルコール相(上相)をデカンテーション し、新鮮な水で油を3回洗浄した。最後の水洗物をデカンテーションした後、塩 化メチレンとトルエンとの80:20 混合溶液に上記油を溶解した。次に、溶媒が殆 ど除去されて生成物が結晶化するまで上記混合物を70℃、2.7kPaにて回転蒸発器 上で蒸発させた。40〜60℃、高真空(1.33 Pa)下で16時間かけて残った溶媒を 除去し、白色結晶状の生成物0.730gを得た。カール・フィッシャー分析によって 、回収された生成物((n-ブチル)3NH[3,5-(CF3)2C6H3]4B 塩)は水分を0.08重量 %未満しか含有していないことが分かった。 実施例11 [N,N-ジメチルアニリニウム][B[3,5-(CF3)2C6H3]4]の調製 エルレンマイヤーフラスコ中において、N,N-ジメチルアニリン0.124g、12M HC l 水溶液0.17ml、エタノール10mlを混合した。別のフラスコにおいて、Na[3,5-( CF3)2C6H3]4]B ・(3H2O)0.736g をエタノール10mlに溶解した。次に、この溶液 を酸性化N,N-ジメチルアニリン溶液と混合した。この混合溶液に蒸留水40mlを撹 拌しながら滴下して、徐々に結晶化する油状の沈降物を分離した。この乳白色の 沈降物を吸引によって紙を通して濾過し、水で洗浄した。回収された固体を真空 炉中で2時間かけて70℃、1.33kPa にて乾燥させ、粗 生成物0.567gを得た。上記生成物を、塩化メチレン10mlに溶解し、焼結ガラス製 フリットを使用して吸引によって濾過し、ヘキサン30mlで沈降させて、さらに精 製した。この乳白色の結晶状沈降物を焼結ガラス製フリットを使用した濾過によ って単離し、ヘキサンで洗浄し、液体窒素だめを備えた真空オーブン内で70℃、 1.33kPa にて20時間乾燥させた。カール・フィッシャー分析によって、回収され た塩([N,N-ジメチルアニリニウム][[3,5-(CF3)2C6H3]4]B 塩)は水分を1.2重量% 含有していることが分かった。 実施例12 [2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルピリジニウム][3,5-(CF3)2C6H3]4Bの調製 エルレンマイヤーフラスコ中において、2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルピリジン 0.305g、12M HCl 水溶液0.20ml、エタノール50mlを混合した。このようにして得 られた溶液を回転蒸発器上で最終容量10mlまで濃縮した。別のフラスコにおいて 、Na[[3,5-(CF3)2C6H3]4]B] ・(3H2O)1.074gをエタノール10mlに溶解し、この溶 液を酸性化2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルピリジン溶液と混合した。この混合溶液 に蒸留水10mlを滴下して、乳白色の沈降物を分離した。この沈降物を焼結ガラス 製フリットを使用して吸引によって濾過して単離し、水で洗浄した。回収された 固体を液体窒素だめを備えた真空オーブン内で16時間かけて70℃、1.33kPa にて 乾燥させ、生成物1.218gを得た。カール・フィッシャー分析によって、回収され た塩([2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルピリジニウム][3,5-(CF3)2C6H3]4B 塩)は水 分を0.05重量%未満しか含有していないことが分かった。 実施例13 本実施例は、最小限の量の共溶媒を使用して非極性が高いエポキシ化KratonTM 液体ポリマーの光重合開始硬化する際に(アリール)3S[[3,5-(CF3)2C6H3]4B]を 利用することについて説明するためのものである。 Shell Development Company,Houston,TXからエポキシ化KratonTMポリマーEK P-102 の試料すなわちエポキシド官能イソプレンコポリマーを得た。液体ポリマ ーの試料(10g)をバイアルに導入し、メチルエチルケトン(MEK)250mg中に予め溶 解させた(アリール)3S[[3,5-(CF3)2C6H3]4B](実施例4に記載したように調製し た)50mgと混合し、均質な溶液を形成した。この混合物の一部をシリコーン被覆 ポリエステル剥離ライナーのシート間でキャスティングし、厚さ約0.5mm の液膜 を形成した。開放された透明ガラス製のバイアル中で液膜と混合物2.0gの両方を 、15W のシルバニアBLB 電球2個を備えたブラックライト蛍光ランプを使用して 周囲条件下で光線を照射した。光線照射2 分後、両試料はほぼ完全に硬化し、固 体で粘着性はなく、架橋してはいるが可撓性のポリマーが得られた。 実施例14および Cl 4A- Cl 4B 本実施例は、実施例3に基づいて調製された[(ベンゼン)Mn(CO)3][3,5-(CF3)2 C6H3]4B](実施例14)のシクロヘキサンオキシド重合用光開始剤としての特性 が、従来技術において公知の同様の光開始剤である[(ベンゼン)Mn(CO)3][PF6]( 比較例 Cl 4A)および[(メシチレン)Mn(CO)3][SbF6](比較例 Cl 4B)と比較して 改善されたことを説明する。 これら3種類のマンガン塩それぞれ約17mgを、独立に、2ドラム透明ガラスバ イアル中で純シクロヘキセンオキシド2.0ml と混合し、渦流ミキサによって強く 撹拌し、溶解を促進した。試料を入れて ふたをせずにおいたバイアルに対し、15W のシルバニアBLB 電球2個(No.F15T8 /BLB)を備えたブラックライト蛍光ランプを使用して周囲条件下で光線を照射し た。観察された相対溶解度、硬化時間(一定光照射下で発熱硬化を開始するのに 必要な時間)、最終ポリマーの色を比較して表1にまとめてある。 明らかに、[(ベンゼン)Mn(CO)3][3,5-(CF3)2C6H3]4B]は、PF6 -塩よりもかなり 溶解度が高かった。PF6 -は全く溶解せずに硬化活性も呈さないようである。[(メ シチレン)Mn(CO)3][SbF6]塩については十分な溶解度が観察された。しかしなが ら、この塩の溶解速度は[3,5-(CF3)2C6H3]4B- 塩よりも遅く、硬化時間はほぼ5 倍長かった。硬化活性を呈した2種類の塩のうち、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- 塩の 方が最終的な硬化組成物の色が薄かった。 実施例15- 比較例 Cl 5 DGEBA 型エポキシ樹脂は、安価である上に硬化後の組成物に極めて良い物性( 高強度)を付与することができるため、広く普及したエポキシ樹脂である。しか しながら、DGEBA 樹脂は、殆どの脂環族エポキシ樹脂よりも重合時間が長いこと が多い。本実施例は、DGEBA 樹脂の熱硬化及び二段光活性化硬化を使用して実施 例3に基づいて調製された本発明の有機金属開始剤である[(ベンゼン)Mn(CO)3][ TFPB](実施例15)の活性が、類似の公知の触媒である[(メシチレ ン)Mn(CO)3][SbF6](実施例15C)の場合よりも高いことを示す。ベンゼンSbF6 - 塩は、樹脂に対する溶解度に限界があったため、メシチレSbF6 - 塩について評価 を行った。粘着なし硬化時間を測定することによって相対活性を判定した。 これらの開始剤のエポキシ溶液を使用した硬化試験を以下の要領で実施した。 DGEBA を25g と各開始剤0.125gとを含有する別々のエポキシ原料溶液を得た。各 原料溶液約0.3gを別々のアルミニウム皿内に入れ、硬化時間を評価した。試料に 光線を照射する時には、15W のブラックライト電球(BLB)2個(General Electric 製のNo.F15T8/BLB)を備えた蛍光ランプを使用して室温で露光した。次に、大 きなアルミニウム板で覆って加熱したホットプレート上に試料をおき、温度を一 定に維持した。1つの試料あたり3回の試験を実施して、粘着なしで硬化するま での平均時間を記録した。粘着なし硬化時間については、棒で組成物をつついて 組成物が全く粘着性をもたなくなった時刻を記録して判断した。粘着なし時間を 以下の表2にまとめる。 [(ベンゼン)Mn(CO)3][TFPB]塩によって得られた有意に短い粘着なし硬化時間 だけでなく、この塩のDGEBA 樹脂中での希釈溶液は事 実上無色である。これは、フィルムやコーティングを製造する上では有利である 。対照的に、同じ重量%のSbF6 - 塩の溶液は明るい黄色であった。 実施例16A-16B および比較例 C16A- C16B これらの例は、DGEBA エポキシ樹脂用の硬化剤としてのTFPB- の有機金属塩の 熱的活性が、対応する従来技術の公知のSbF6 - 塩の場合よりも高いことを示す。 DGEBA エポキシ樹脂20g と、開始剤(有機金属塩)0.050gと、ブチロールアセ トン溶媒(触媒のエポキシへの溶解を助けるため)0.20g とを含有しているエポ キシ原料溶液を作成した。原料溶液は弱い光の中で形成し、琥珀色のガラス瓶に 入れて室温にて数時間(2日未満)保管した。示差走査熱量測定(DSC)によって 事前の光分解なしで各硬化剤の熱硬化温度および相対硬化発熱量を求めた。DuPo nt 912示差走査熱量計を使用して、開始剤エポキシ溶液についてDSC 測定を行っ た。エポキシ原料溶液約10mgを秤量し、標準的なアルミニウムボートに配置した 。このボートをDSC チャンバ内に設置した。空のボートを基準として使用し、こ れもDSC チャンバ内に設置した。DSC チャンバを閉じ、連続的な窒素パージ下で 1分あたり10℃ずつ温度を上昇させた。データ解析にはDuPont 2100 熱分析プロ グラムを使用した。測定した発熱パラメータは、重合開始温度、ピーク温度、発 熱エネルギである。結果を表3にまとめておく。 TFPB- 塩とSbF6 - 塩の重合開始温度およびピーク温度は近い。しかしながら、 TFPB- 塩によって生成された発熱エネルギは、対応するSbF6 - 塩によって生成さ れた発熱エネルギの 3.4〜3.6 倍大きく、本発明の開始剤を使用した重合すなわ ち硬化の程度は従来技術において周知の同様の開始剤を使用した場合よりも大き いことが分かった。 実施例17A-17B および比較例 C17A- C17B これらの例は、DGEBA エポキシ樹脂の二段硬化(光硬化に続いて熱硬化を行う )における硬化剤としてのTFPB- の光分解有機金属塩の熱的活性が、対応する従 来技術の公知のSbF6 - 塩の場合よりも高いことを示す。 DGEBA エポキシ樹脂20g と、開始剤(有機金属塩)0.050gと、ブチロールアセ トン溶媒(触媒のエポキシへの溶解を助けるため)0.20g とを含有しているエポ キシ原料溶液を得た。原料溶液は弱い光 の中で形成し、琥珀色のガラス瓶に入れて室温にて保管した。 光示差走査熱量測定(PDSC)によって光分解後に各硬化剤の熱硬化温度および相 対硬化発熱量を求めた。DuPont 930示差光熱量計を使用して、開始剤エポキシ溶 液についてPDSC測定を行った。エポキシ原料溶液約10mgを秤量し、標準的なアル ミニウムボートに配置した。このボートをPDSCチャンバ内に設置した。空のボー トを基準として使用し、これもPDSCチャンバ内に設置した。このチャンバを水晶 窓で覆い、窒素パージ下で25℃まで平衡化した。熱量測定ユニットによって制御 された200Wの水銀アークランプを使用して、5分間チャンバを光分解した。光分 解後、水晶窓を除去した。PDSCチャンバを閉じ、連続的な窒素パージ下で1分あ たり10℃ずつ温度を上昇させた。データ解析にはDuPont 2100 熱分析プログラム を使用した。測定した発熱パラメータは、重合開始温度、ピーク温度、発熱エネ ルギである。結果を表4にまとめておく。 光分解したTFPB- 塩とSbF6 - 塩の重合開始温度およびピーク温度 は近く、両方の場合とも、光分解を行っていない場合(実施例16)よりも有意 に低い温度にあった。このことから、本系の光活性化された特徴が示された。明 らかに、TFPB- 塩によって生成された発熱エネルギは、対応するSbF6 - 塩によっ て生成された発熱エネルギの 2.2〜2.6 倍大きく、前者の場合の方が重合度すな わち硬化度がかなり大きいことが分かった。 実施例18および比較例 C18 これらの例は、触媒感受性モノマーの光誘導非感受性重合において、従来技術 において公知のジフェニルヨードニウムSbF6 - 塩(比較例C18)よりも、ジフェニ ルヨードニウムTFPB- (実施例18)の方が有利な特性を示す。カチオン付加重合 によって重合することが知られている様々な種類のモノマーを代表する、4種類 の異なるモノマー(シクロヘキセンオキシド、N-ビニルカルバゾール、ブチルビ ニルエーテル、β- ピネン)について光重合比較試験を実施した。 等モル濃度のジフェニルヨードニウムTFPB- 塩とSbF6 - 塩とを使用して、以下 の手順で塩化メチレン溶液中で重合を行った。モノマー12.0g、n-ヘプタン(内部 GC標準)4.8mlおよび塩化メチレン無水物40mlを混合して、各モノマーの原料溶液 を調製した。 一連の8個の透明ガラス製バイアル(2ドラム)に、光開始剤(ジフェニルヨード ニウムTFPB- またはジフェニルヨードニウムSbF6 -のいずれか一方)0.020mmole を充填した。各光開始剤を、独立に、モノマー原料溶液それぞれのアリコート7m l と混合した後、強く撹拌して完全に溶解させた。これら8個のバイアル全ては 、ふたをせず、2個のシルバニア電球F15T8/BLB を備えた蛍光ランプ固定具をひ っくり返してこのランプのベース上に並べ、室温で総計2.0 分間光を照射した。 強い重合発熱(通常は突然生じる反応溶液の勢いの よい沸騰によって示される)が起こるまでに必要な照射経過時間を各例について 確認して硬化時間として記録した。2.0 分間の照射時間経過後、部数が同じ炭酸 カリウムおよび重炭酸カリウムを蒸留水に溶解させたものからなる10%(wt/vol) 緩衝液を5ml 添加して各反応溶液を急冷した後、強く撹拌してカチオン重合を停 止させた。 ガスクロマトグラフィ(内部ポリスチレン標準)によって有機相を分析してモ ノマー転化率を求め、ゲル透過クロマトグラフィ(ポリスチレン標準を使用して )によって分析してポリマー分子重量と多分散指数とを求めた。架橋ゲルが形成 されたN-ビニルカルバゾールの場合、可溶成分のみについて分析を行った。結果 を表5にまとめておく。 実施例19および比較例 C19 これらの例は、触媒感受性モノマーの光誘導非増感重合における、トリアリー ルスルホニウム[TFPB](実施例19)のトリアリールスルホニウム[SbF6](比較例C 19)よりも有利な特性を示す。 実施例4の方法に基づき、SbF6 - 塩の調製に使用されたものと同一の塩化トリ アリールスルホニウム前駆体(Fine Organisc Ltd.,上述から入手)を使用して、 トリアリールスルホニウム[TFPB]を調製した。カチオン付加重合によって重合す ることが知られている様々な種類のモノマーを代表する、4種類の異なるモノマ ー(シクロヘキセンオキシド、N-ビニルカルバゾール、ブチルビニルエーテル、 β- ピネン)について光重合比較試験を実施した。等モル濃度のトリアリールス ルホニウム[TFPB]とSbF6 - 塩とを使用して、例18(上記)において説明した手 順で塩化メチレン溶液中で重合を行った。結果を表6にまとめておく。 実施例20A-20B および比較例 C20 本例は、二官能性ビニルエーテルモノマーの無溶媒硬化時におい て、対応するSbF6 - 塩と比較した本発明の(アリール)3S[TFPB]および PFTPB- 塩 の溶解度および光活性を示す。 実施例4および9の方法に基づき、SbF6 - 塩の調製に使用されたものと同一の 塩化トリアリールスルホニウム前駆体(Fine Organisc Ltd.,上述から入手)を使 用して、それぞれトリアリールスルホニウム[TFPB]および PFTPB- 塩を調製した 。以下の手順に従って、3種類の(アリール)3S-開始剤を同じ重量%(0.20wt%)添 加して、純1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルモノマー(Rapi-cu reTM CHVE 反応性希釈液GAF Chemicals Corp.,Wayne,New Jersey)において光 重合比較試験を実施した。 3個のガラス製バイアル(2ドラム)に、別々に3種類の(アリール)3S + 開始剤 の試料を10mg充填した。各光開始剤を、CHVEモノマー5gと組み合わせた後、S/PT M 渦流ミキサ(American Scientific Products)を使用して室温にて20分間かけて 完全に混合し、溶解を促進した。(アリール)3S[TFPB]およびPFTPB- 塩は完全に 溶解した。しかしながら、これらの条件下ではSbF6 - は50%未満しか溶解されな かった。これらのバイアルはふたをせず、2個のシルバニア電球F15T8/BLB を備 えた蛍光ランプ固定具をひっくり返してこのランプのベース上に並べた。強い重 合発熱(熱誘導転化電流の発生によって記録される試料温度の突然の上昇および これに伴う試料の急速な固体化によって示される)が起こるまでに必要な照射経 過時間を各例について確認して硬化時間として記録した。記録された硬化時間は 2回の同じ試験の平均である。表7にまとめられているように、TFPB- および P FTPB- 塩によって得られる硬化時間は、SbF6 - 塩の場合と比べるとそれぞれ 1.8 〜4.5 分の1程度に短縮され、本発明の(アリール)3S + 塩の光活性が大きくな ったことを反映している。 実施例21および比較例 C21 これらの例は、触媒感受性モノマーの光誘導非増感重合における、ジフェニル ヨードニウム[PFTPB](実施例21)のジフェニルヨードニウム[SbF6](比較例C21)よ りも有利な特性を示す。 カチオン付加重合によって重合することが知られている様々な種類のモノマー を代表する、3種類の異なるモノマー(シクロヘキセンオキシド、ブチルビニル エーテル、β- ピネン)について光重合比較試験を実施した。等モル濃度のジフ ェニルヨードニウムPTFPB- およびSbF6 - 塩を使用して、例18において説明し た手順で塩化メチレン溶液中で重合を行った。結果を表8にまとめておく。 実施例22および比較例 C22 本例は、[(アリール)3S][TFPB]を含有するエポキシ組成物(実施例22)と、 [(アリール)3S][SbF6]光開始剤(比較例 C22)とについて、光活性および熱的 安定性について説明する。 実施例4の方法に基づき、SbF6 - 塩の調製に使用されたものと同一の塩化トリ アリールスルホニウム前駆体(Fine Organisc Ltd.から入手)を使用して、トリ アリールスルホニウム[TFPB]を調製した。PDSC測定用にSeiko Instruments Inc. の型番PDC121光ファイバ光 源を備えたSeiko Instruments Inc.の型番220C DSCを使用して、純ERL-4221脂環 族エポキシ中の(アリール)3S + 光開始剤の等モル溶液のDSC 分析によって相対 的熱安定性を求めた。 小さな琥珀色のバイアルで暗所にて(アリール)3S[TFPB] 23mgおよび(アリール )3S[SbF6] 10mgとERL-4221 1.5g とを混合して、開始剤塩の等モル溶液を別々に 調製した。エポキシ樹脂に対して光開始剤を確実に最大限に溶解させるため、頻 繁に撹拌しながら35〜40℃で 2〜4 時間かけて混合物を加熱した。次に、各溶液 のアリコート 4〜5mg をアルミニウム製のDSC 皿に入れ、密封して空の基準皿と 一緒にDSC チャンバ内に設置した。温度を1分あたり10℃ずつ上げながら20〜45 0 ℃でDSC 示差熱曲線を記録した。型番220C DSCのプログラムソフトウエアを使 用して、標準的な方法で各例における熱誘導硬化の重合開始が起こる温度を求め た。これはベースラインと発熱ピークの最初の上昇時の反曲点(inflection poin t)に描かれる接線の挿入による。(アリール)3S[TFPB]塩溶液については、重合開 始温度は 202℃、(アリール)3S[SbF6]塩溶液では 177℃であり、ほぼ25℃の熱安 定性の差が示された。 エポキシモノマー中にて高温で長時間加熱した後の(アリール)3S[TFPB]塩の光 活性を求めるために、以下の実験を行った。 生成後4日たった(アリール)3S[TFPB]のERL-421 溶液の試料4.9mg を開放され たアルミニウム製DSC 皿に入れ、空の基準皿と一緒にPDSCチャンバ内に設置した 。試料の温度を1分あたり20℃ずつ上げて 175℃まで上昇させた後、示差熱曲線 を記録しながら20分間この温度に保持した。この期間中は硬化発熱は全く検出さ れなかった。次に、200Wの水銀キセノンランプによって動力を供給される光ファ イバ光源にCorning 7-59帯域通過フィルタおよび10%透過中密度フィルタを備え たものを使用して、PDSCチャンバ内で試料を 175℃ で光分解した。この構成で、試料に照射した光の波長は 280〜500nm 、強度は3. 3mW/cm2 であった。照射直後、測定エネルギ量378J/gのはっきりとした強い硬化 発熱が認められた。これらの結果から、反応性の高いエポキシモノマー中での( アリール)3S[TFPB]の熱安定性および保存寿命が改善され、長時間の高温処理後 のこの開始剤の光化学的活性も改善されたことが分かる。 実施例23 本実施例は、感圧接着剤用の硬化シリコーン剥離コーティングの調製用光開始 剤として本発明の化合物を使用することについて示す。 UV9300は液状シリコーンであって、粘度は250センチポイズでGeneral Electri c Co.から入手可能である。その平均分子量は約9000amu で、鎖一つあたり約1 0個の反応性エポキシシクロヘキシルエチル置換基を有している(エポキシ当量9 00)。このシリコーン1.0gと(アリール)3S[TFPB](実施例4に記載されているよう にして調製)0.01gの溶液をイソプロピルアルコール19g に溶解させ、No.3 Meyer ロッドを使用して下塗りを施していないポリエステルフィルム1.5 mil のシート に塗布した。溶媒を蒸発させ(未硬化シリコーンオイルの理論コーティング厚0. 3 マイクロメータとし)てから、254nm での強度50mJ、365nm では125mJ の中圧 水銀ランプの下に被覆されたフィルムを分速50ftで通過させた。光の下から離れ た直後、シリコーンは硬化して透明で粘着性のないコーティングになることが分 かった。次に、標準的な接着再接着試験手順を使用して、このシリコーン被覆フ ィルムの、代表的な感圧接着剤テープ用の剥離フィルムすなわち剥離ライナとし ての性能を試験した。 この試験では、ある時間かけた加熱熟成後のシリコーン剥離組成 物の有効性について判定した。熟成剥離値は、試験組成物で被覆された基板から 特定の角度および除去速度で可撓性接着テープを除去するのに必要な力の定量的 な測定値である。以下の例において、以下の可撓性接着テープの代表例からこの 力をデシメータあたりのニュートン力(N/dm)で表す。 テープA 1.27cm幅の樹脂含浸クレープペーパー基材に、粘着性をもたせた天然ゴムを被覆 したもの テープB 1.91幅の酢酸セルロース基材にアクリレート感圧接着剤を被覆したもの 2.54cm×20.32cm の被覆基材ストリップ(上述のように準備)をInstrumentor s,Inc.製のSlip/Peel Tester(型番3M90)の台部分に両面テープで基材ストリ ップの被覆面を上に向けて積層し、熟成剥離試験を実施した。1.27cm×15.24cm のテープA 片と、感圧接着剤(PSA)被覆試験テープの 1.9cm×15.24cm のテープB 片を、1.82kgのゴムローラを使用して、上述のようにして形成した積層物上に 巻き出した。次に、試験テープを65℃で3日間被覆基材と接触させたままにした 後、このテープを剥離角 180°で228.6cm/分で除去するのに必要な力を測定した 。これらの試験の結果については後述する。新たに剥がしたテープを清潔なガラ ス板に接着し、上述したものと同一のInstrumentors Slip/Peel Testerを使用し て、同じく試験テープを30秒間ガラス板に付けたままにした後、このテープを剥 離角 180°で228.6cm/分で剥離して剥離接着性を測定することによって、熟成後 の再接着についても測定した。これらの測定値から、 剥離コーティング中の包含されなかったシリコーンが有意な量で接着面に移動す るという好ましくない状態が起こることによって接着値が許容できない程度まで 大幅に降下したか否かを判断した。再接着性については、清潔なガラス板から熟 成試料を除去するのに必要な力vs.剥離コーティングに接着しなかった比較用の テープ試料を清潔なガラス板から除去するのに必要な力の割合として報告した。 熱熟成テープ試験結果 テープA: 剥離;再接着=0.9N/dm ;対照例の92% テープB: 剥離;再接着=1.3N/dm ;対照例の101% 実施例24A-24B および比較例C24 本例は、ジフェニルヨードニウム[SbF6](比較例C24)と比較して、低極性から 中極性の溶媒中におけるジフェニルヨードニウム[TFPB]および PFTPB- 塩(実施 例24A-24B)の溶解特性が改善されたことを示す。 相対溶解性を求めるために、溶媒ジエチルエーテルおよび塩化メチレンを選択 した。これらの溶媒の極性はカチオン重合および遊離基重合に使用されたモノマ ーの極性に近いためである。ジフェニルヨードニウム塩の夫々の公知の重量を取 り、その試料を少量の溶媒で希釈して、固体がすべて溶解するまで成分同士を完 全に混合し、溶解性を測定した。溶解性については、各溶媒中にて室温でのヨー ドニウム塩の重量%で表したものを表9にまとめておく。 実施例25A-25C および比較例C25 これらの例の目的は、有機金属錯体カチオンのTFPB- 塩を二液性(two part)ポ リウレタン硬化用の光触媒として使用することについて示すことにある。 トリメチロールプロパン1.06重量部と、CarbowaxTM 400(Union Carbide)26.6 重量部と、ヘキサンジイソシアネート13.2重量部とからなる原料溶液を調製した 。原料溶液のアリコート3gをガラス製バイアルに入れ、以下の表9のような触媒 を仕込んだ。次に、表面温度が約50℃のホットプレート上にこれらの試料をの せ、Kodak Carousel Projectorを使用して3〜4インチの距離から光線を照射し た。「硬化時間」は、バイアルをひっくり返しても樹脂が流動しなくなるまで試 料を硬化させるのに必要な時間とした。TFPB- 塩は、 PF6 - 対イオンを含有して いる従来技術の光触媒よりも樹脂系における溶解性が高かった。TFPB- 塩を樹脂 に溶解するのには共触媒は必要なかった。 データから、TFPB- 塩は二液性ポリウレタン重合用の効果的な光 触媒であることが分かり、TFPB- 塩は従来技術において公知の光触媒よりも溶解 性は高く、硬化時間は同等であるか短かったことが分かる。 実施例26および比較例 C26A- C26B 本例は、シアネートエステル硬化時の(ベンゼン)Mn(CO)3[TFPB]の特性につい て説明する。 L-10樹脂の試料3種類を以下のようにして調製した。 例 混合物成分 C26A L-10のみ C26B L-10に加え、(C6H6)Mn(CO)3[PF6]を0.24重量% 26 L-10に加え、(C6H6)Mn(CO)3[TFPB]を0.21重量% 実施例26において、(C6H6)Mn(CO)3[TFPB]触媒はシアネートエステルに容易に 溶解したが、比較例C26Bでは(C6H6)Mn(CO)3[PF6]はシアネートエステルに完全に は溶解しなかった。 比較例C26A-C26B および実施例26から得た少量すなわち 7〜10mg のアリコートをアルミニウム皿内に封入し、10℃/分の加熱速度で示差走査熱量 測定(DSC)を実施した。全ての例から新しいアリコート 7〜10mgを得てアルミニ ウム皿に入れ、DSC 皿から1/2 インチ離れた位置に配置された2個の15W F15T8- BLB ブラックライト電球(General Electric)を使用して、光を5 分間照射した。 次に、これらの皿を密封して、上述したようにしてDSC 走査を実施した。結果を 表11にまとめておく。 整理番号1および2から、L-10が触媒のない状態で約 260℃を超える温度で硬 化し、剥離には約700J/gが必要であって、光照射によって硬化を達成することは できなかったということが分かる。整理番号3は、未触媒L-10の場合に似て残り の硬化時に極めて低温の発熱しか検出されないという点で、(C6H6)Mn(CO)3[PF6] はL-10硬化用としては特に効果的な熱的触媒(thermal catalyst)ではないという ことを示す。整理番号4は、(C6H6)Mn(CO)3[PF6]が光活性化後のL-10の硬化に効 果的な触媒であり、未触媒L-10の場合より低い約 100℃で全て硬化することを示 す。整理番号5からは、(C6H6)Mn(CO)3[TFPB]はL-10硬化用の効果的な熱的触媒 であるということが分かり 、高温発熱が起こらないことから、L-10硬化には(C6H6)Mn(CO)3[TFPB]の方が(C6 H6)Mn(CO)3[PF6]よりも効果的な熱触媒であるということが分かる。整理番号6 は、L-10硬化における(C6H6)Mn(CO)3[TFPB]の光活性化におけるわずかな効果を 示す。このように、本例から、シアネートエステル樹脂用の熱硬化触媒として(C6 H6)Mn(CO)3[TFPB]の方が(C6H6)Mn(CO)3[PF6]よりも特性が改善されていること が分かる。 実施例27および比較例C27 本例は、エポキシ/ポリオール組成物用の潜在的な硬化剤としての[N,N-ジエ チルアニリニウム][TFPB](実施例27)の[N,N-ジエチルアニリニウム][SbF6](比 較例C27)にまさる利点を示す。 (モノマーの総重量を基準にして)触媒塩1重量%を使用して、DGEBA エポキ シとエチレンオキシド鎖延長ビスフェノールA型ポリオール(SYN FAC 8024,Mil liken)とをエポキシド:水酸化物の比率を1:0.4 として混合した混合物を硬化 させた。この触媒塩(0.020g)をポリオールSYN FAC 8024(エポキシ当量=180)に 溶解/懸濁させた。この混合物をDGEBA 1.412gに添加した。少量のアリコート( 10〜20mg)を除去してアルミニウム皿に入れ、加熱速度10℃/分にてPerkin Elm er DSC7 上で示差走査熱量測定(DSC)を実施した。結果を表12にまとめておく 。 対イオンのみが異なる上記2種類の塩はDSC による硬化プロファイルが異なっ ている。DSC 示差熱曲線は、観察されたピーク数、最高ピーク温度、全発熱エネ ルギによって相違する。SbF6 - 塩のDSC 示差熱曲線には、広範囲の温度範囲に散 在する3つの非対称の小さなピークが認められた。このようにピークが複数ある ということは、2つ以上の硬化過程(curing pathway)が作用することができるこ とを示唆している。第1のピーク(重合開始温度48℃)は室温まで延びているた め、硬化は室温にて進行した。エポキシ/ポリオール/[N,N-ジメチルアニリニ ウム][SbF6]の試料は、室温で30分未満の時間でゲル化した。この物質のポット ライフは短いため、潜在的な硬化剤として使用することはできなかった。硬化は 室温で開始されるが、全発熱エネルギ量が小さい(123.7J/g)ため、比較的高温で あっても完全な硬化は達成されないということが分かった。 エポキシ/ポリオール/[N,N-ジメチルアニリニウム][TFPB]混合物は、数週間 後であっても室温で全くゲル化の傾向を見せず、室温潜在性を呈した。発熱量も 大きく、この塩はエポキシ/ポリオール混合物を完全に硬化させる能力がより大 きいことが分かった。データから、TFPB- 対イオンによって硬化を調節しやすく なり、硬化 をより一層完全なものとして潜在性も高まることが分かる。 実施例28A- 28Bおよび比較例C28A- C28B 本例は、エポキシ/ポリオール混合物の熱的に誘導された硬化がTFPB- 塩のpK3 とどのように相関しているか、しかしカチオンの異性体構造とは比較的無関係 であることを示す。また、本例では、エポキシ/ポリオール混合物の硬化を触媒 する際にSbF6 - 塩よりもTFPB- 塩の方が活性が改善されていることについても示 す。 (モノマーの総重量を基準にして)触媒塩1重量%を使用して、DGEBA とポリ オール(SYN FAC 8024,Milliken)とをエポキシド:水酸化物の比率を1:0.4 と して混合した混合物を硬化させた。この触媒塩(0.020g)をポリオール0.588gに溶 解/懸濁させた。この混合物をDGEBA 1.412gに添加した。少量のアリコート(10 〜20mg)を除去してアルミニウム皿に入れ、加熱速度10℃/分にてDSC を実施し た。結果を表13および14にまとめておく。 表13から、TFPB- の酸性度とエポキシ/ポリオール混合物をこの塩が硬化さ せる温度との間には良い相関があることが分かる。pKa 値は水溶液中で測定され るため変動もいくらか予想された。しかしながら、一般的な傾向として酸性度が 増すと硬化温度は低くなるという関係がほぼ成り立つ。 pKa は近いが異性体構造の異なるTFPB- 塩を比較するとpKa /硬化温度関係が 成り立つ。安息香酸のメチルエステルのo-およびp-アンモニウム塩は似たような pKa 値を有する。以下の表14に異性体TFPB- 塩(実施例28A- 28B)は挙 動が極めて似通っており、またいくらか酸性度の高いオルト塩は若干低めの温度 で硬化するこ とを示す。一方、対応する一対のSbF6 - 塩(比較例C28A- C28B)のDSC 示差熱曲線は有意に異なっている。ortho-SbF6 - 塩の示差熱曲線は、TFPB- 塩の 示差熱曲線に似ているが、 para-SbF6 - の場合ではDSC 示差熱曲線に2つのはっ きりとしたピークが認められた。さらに、TFPB- 塩の方が対応するSbF6 - 塩の場 合よりも硬化発熱量はかなり大きく、TFPB- 塩により硬化がより一層完全なもの になることが分かる。このように、TFPB- 塩は、対応するSbF6 - 塩と比べると、 より一層完全な硬化を誘導すると共に、pKa と熱硬化温度との間の相関を改善す る。 実施例29A- 29Dおよび比較例C29A- C29B 本例は、脂環族エポキシモノマーの重合用のプロトン化(protic)窒素中心オニ ウムTFPB- 塩の熱的活性について示す。 表15に列挙した窒素中心オニウムTFPB- 塩のそれぞれを表に記載した量で2 ドラムのガラス製バイアルに入れた。各試料をシクロヘキセンオキシド2ml と混 合して撹拌し、確実に完全溶解させた。 表面温度 115℃に設定したホットプレート上に、室温では重合しないこれらの溶 液の入ったバイアルをふたをせずに速やかにのせ、全体で30分間放置した。 115 ℃で30分経過後に溶液に重合が認められない場合には、温度を約 130℃まで急激 に上昇させた。各例において、所定温度でシクロヘキセンオキシドの重合を開始 するまでにかかる時間を記録した。重合の重合開始については、突然の反応熱が 認められ、同時に試料の粘度が増加した時点とした。結果を表15にまとめてお く。比較のため、テトラ-n- ブチルアンモニウム[TFPB]およびトリ-n- ブチルア ミンの活性も挙げてある。 表に示されているデータから、酸性 H-N+ 基を少なくとも1個有する窒素中心 オニウムTFPB- 塩のみがこれらの反応条件下でシクロヘキセンオキシドの重合用 の活性熱開始剤であったことが分かる。 さらに、これらの塩の硬化温度および硬化時間に反映されているその相対活性は 、オニウム部分の相対酸性度とだいたい相関している。すなわち、最も酸性度の 高いオニウム塩の活性が最も高かった。トリ-n- ブチルアミンのような中性アミ ンは全く活性を示さなかった。 実施例30 本実施例は、脂環族エポキシモノマー中におけるNa[TFPB]の熱誘導硬化活性に ついて示す。 3ドラムのバイアル2個それぞれに、シクロヘキセンオキシド3ml と活性化し た3A分子ふるい(Aldrich Chemical Company)約300mg とを仕込んだ。一方のバイ アルにNa[TFPB]・(3H2O)58mgを添加し、混合すると容易に溶解した。もう一方の バイアルの内容物には開始剤を含有させず、対照例とした。両バイアルをホット プレート上に置き、徐々に200℃まで加熱した。約180℃の時点で、Na[TFPB]を含 有している試料が若干沸騰し始め、45分間で緩徐に粘度が高くなっていった。こ のことから、速度の遅い重合が起こっていることが分かる。対照例の試料には重 合は全く認められなかった。室温まで冷却すると、部分的に重合した試料は粘性 のシロップであったが、対照例の方の粘度には有意な変化は認められなかった。 3日間室温にて放置したが、どちらの例でもそれ以上の重合は観察されなかった 。しかしながら、Na[TFPB]を含有している実施例をモノマーの沸点近くまで約1 分間加熱した後、室温まで冷却したところ、粘度は有意に高くなった。このこと から、開始剤は熱によって容易に再活性化されることが分かった。Na[TFPB]を含 有している硬化後の試料について1H NMR分析を行ったところ、シクロヘキセンオ キシドのポリマーへの転化は不完全であり、未反応モノマーが28%残っている ことが分かった。GPC 分析では、生成されたポリマーの分子量(Mn)は3800amu で あって、これは窒素中心オニウムおよび有機金属TFPB- 塩を使用して生成したポ リ(シクロヘキセンオキシド)の場合と比べると比較的高い(3〜4 倍)というこ とが示された。 実施例31 本実施例は、脂環族エポキシ中におけるLi[TFPB]の熱誘導硬化活性について示 す。 3ドラムのバイアル3個のそれぞれに、以下の試薬を仕込んだ。 バイアルNo.1: シクロヘキセンオキシド2ml 、3A分子ふるい(対照例)300mg バイアルNo.2: シクロヘキセンオキシド2ml 、Li[TFPB]・(2H2O)35mg バイアルNo.3: シクロヘキセンオキシド2ml 、Li[TFPB]・(2H2O)35mg、3A分子ふるい300mg 各例において、リチウム塩はモノマーに完全に溶解された。このバイアルをポ リエチレンキャップで密閉し、18ゲージの注射針で穿刺して、加熱すなわち重合 を行っている間の圧力を緩和した。 100℃(表面温度)に加熱したホットプレー トに各バイアルをのせた。重合が認められるかどうか試料を可視的に観察しなが ら、ホットプレートの表面温度を1分あたり約4度ずつ徐々に上昇させ、 210℃ にした。表面温度 136℃の時点で、バイアルNo.2の試料の粘度が有意に上昇し、 重合し始めたことが分かった。バイアルNo.3の試料にも 158℃の時点で同様の重 合が観察された。どちらの場合にも、重合速度は遅くて調節されており、シクロ ヘキセンオキシドに通常見られる急激かつ大きな反応熱は認められなかった。 2 10℃まででは バイアルNo.1の試料(対照例)には重合は観察されず、他の試料で観察された重 合活性は、Li[TFPB]が存在することによって熱的に開始されたものであることが 分かった。同一のモノマー中でNa[TFPB]を使用して得られた結果(実施例30) と比較すると、リチウム塩はナトリウム塩よりも活性の高い熱開始剤であること が分かる。上述した方法に基づいて、約1時間かけて 150〜160 ℃で3A分子ふる いの存在下でLi[TFPB]を使用してシクロヘキセンオキシドを重合させると、1H N MRで測定した転化率が82%になることが分かった。GPC 分析によって、生成され たポリ(シクロヘキセンオキシド)の数平均分子量を求めたところ、ポリスチレ ン標準に対して2,913 amuであった。 実施例32 本実施例は、二官能製ビニルエーテルモノマーの硬化における(アリール)3S[B (n-ブチル)(C6F5)3]の利用について説明する。 実施例7において説明した方法で、Fine Organic Ltd.から入手したトリアリ ールスルホニウムクロライド混合物を使用して、(アリール)3S[B(n-ブチル)(C6F5 )3]を調製した。光開始剤(モノマーに対して)0.2重量%を使用してメチルエチ ルケトン(MEK)と塩化メチレン溶媒との混合物に溶解させた1,4-シクロヘキサン ジメタノールジビニルエーテルモノマー(Rapi-cureTM CHVE 反応希釈剤,GAF Ch emicals)を使用して、以下の手順で光重合を実施した。 ガラス製の2ドラムバイアルに、(アリール)3S[B(n-ブチル)(C6F5)3]10mg を 仕込んだ。光開始剤を予めMEK 30mg中に溶解し、CHVEモノマー5.00g と塩化メチ レン1ml とを添加して、 S/PTM渦流ミキサ(American Scientific Products)を使 用して、室温にて5分間混合物を完全に混合し、開始剤の完全溶解を確実にした 。清潔な2ド ラムバイアルに上記溶液のアリコート0.5ml を入れ、2個のシルバニア電球F15T 8/BLB を備えた蛍光ランプ固定具をひっくり返してこのランプのベース上にバイ アルを並べ、室温で光を照射した。顕著な重合発熱(試料温度の突然の上昇およ びこれに伴う溶液の急激な沸騰によって示される)が起こるまでの照射時間は21 秒(5回の測定の平均)であった。硬化した樹脂は堅くて脆弱であり、明橙色の 固体であった。 実施例33および比較例 C33 (実施例17A−17Bにおいて説明したように)光分解試験を実施し、ジフ ェニルヨードニウム[TFPB]およびジフェニルヨードニウム[SbF6]のカチオン重合 開始剤としての効率を比較した。 実施例33は、ジフェニルヨードニウム[TFPB]0.010gと、KB-1を0.005gと、シ クロヘキセンオキシド2.03g とを含んでいた。比較例C33 は、ジフェニルヨード ニウム[SbF6](TFPB- 塩と等モルになるようにする)0.005gと、KB-1を0.005gと、 シクロヘキセンオキシド2.01g とを含んでいた。これらの例をガラス製バイアル に入れ、1cm 離れたところから15W のシルバニアF15T8/BLB 電球2個を使用して 10秒間光を照射した。実施例33は発熱重合し、沸騰してバイアルから外に出た が、比較例C33は反応しなかったように見えた。NMR を使用してシクロヘキセ ンオキシドモノマーのポリマーへの転化率を測定した。実施例33については転 化率は>97%であったが、比較例C33では転化率は 0%すなわちポリマーは全 く検出されなかった。 本例から、カチオン重合開始剤としての効率はSbF6 - 塩よりもTFPB- 塩の方が 高いことが分かった。 実施例34および比較例C34 (実施例17A−17Bにおいて説明したように)光DSC 試験を実施し、カチ オン重合開始剤としてのジフェニルヨードニウム[TFPB]とジフェニルヨードニウ ム[SbF6]とを比較した。 実施例34は、ジフェニルヨードニウム[TFPB]0.020gと、KB-1を0.01gと、ERL -4221を1.00g とを含んでいた。比較例C34は、ジフェニルヨードニウム[SbF6 ](TFPB- 塩と等モルになるようにする)0.01gと、KB-1を0.01g と、ERL-4221を1. 00g とを含んでいた。60℃にて14〜16mgの試料について光DSC 測定を行った。試 料によって吸収された熱を補正し、試料セルの2側面の光吸収差についても補正 した。エポキシの重合によって生成されるエネルギを様々な露光時点において測 定した。結果を表16にまとめておく。 表16に示される結果から、全ての露光時間について、TFPB- 塩はSbF6 - 塩よ りも発熱エネルギ量が大きいということが分かる。この試験において測定された エネルギは重合したエポキシの量に比例 しているため、SbF6 - 塩よりもTFPB- 塩の方が効率のよいカチオン重合開始剤で ある。 実施例35および比較例C35 (実施例17A−17Bにおいて説明したように)光DSC(PDSC)試験を実施し 、カチオン重合開始剤としてのジフェニルヨードニウム[TFPB]とジフェニルヨー ドニウム[SbF6]とを比較した。実施例35は、ジフェニルヨードニウム[TFPB]0. 020gと、ERL-4299を1.00gとを含んでいた。比較例C35は、ジフェニルヨードニ ウム[SbF6](TFPB- 塩と等モルになるようにする)0.01gと、ERL-4299を1.00g と を含んでいた。 9〜12mgの試料について5分間の一定の露光時間で光DSC 測定を 行った。試料によって吸収された熱を補正し、試料セルの2側面の光吸収差につ いても補正した。エポキシの重合によって生成されるエネルギと、最大発熱ピー クに達するまでの時間とを様々な温度において測定した。結果を表17にまとめ ておく。 表17の結果から、TFPB- 塩はSbF6 - 塩と比べると発熱エネルギ量が若干大き いことが分かる。最大ピークに達するまでの時間は、常にTFPB- 塩の方が短く、 場合によっては二分の一以下であった。 このことから、TFPB- 塩はSbF6 - 塩と比べるとより活性の高い化合物であり、よ り速やかに反応し、硬化を起こさせるまでの時間は短いことが分かった。 実施例36および比較例C36 (実施例17A−17Bにおいて説明したように)PDSC 試験を実施し、カチオ ン重合開始剤としてのジフェニルヨードニウム[TFPB]とジフェニルヨードニウム [SbF6]とを比較した。実施例36は、ジフェニルヨードニウム[TFPB]0.020gと、 ERL-4299を1.00g とを含んでいた。比較例 C36は、ジフェニルヨードニウム[S bF6](TFPB-塩と等モルになるようにする)0.01gと、ERL-4299を1.00g とを含んで いた。一定の温度80℃にて 9〜12mgの試料について光DSC 測定を行った。試料に よって吸収された熱を補正し、試料セルの2側面の光吸収差についても補正した 。エポキシの重合によって生成されるエネルギを様々な露光時点において測定し た。結果を表18にまとめておく。 表18のデータから、TFPB- 塩はSbF6 - 塩と比べると露光時間に関係なく発熱 量が多いことが分かる。露光時間が短いほどその差は 大きくなり、TFPB- 塩の方がSbF6 - 塩よりも3倍以上優れた性能を示した。発熱 エネルギ量は硬化量と関連しているため、TFPB- の方がSbF6 - よりも効果的であ ることが分かる。 実施例37 フェロセン0.99g とベンゾキノン0.29g とをエタノール150ml に溶解させ、ビ ス(シクロペンタジエニル)鉄[TFPB]塩を調製した。この溶液を窒素を使用して 約15分間パージした。撹拌およびパージをしながら、濃縮HCl をエタノール溶液 に0.19g 添加した。即座に反応が起こり、色は深い青色になった。300ml の水と エタノール50mlに溶解させたNa[TFPB]・(3H2O)5.0gの溶液を調製して窒素でパー ジした。塩化フェロセニウム塩のエタノール溶液をNa[TFPB]溶液に添加した。青 色の沈降物が形成され、これを濾過して取り除き、エタノールで洗浄して真空オ ーブン内で乾燥させた。フェロセニウム[TFPB]の収率は3.90g であった。 実施例38 実施例37において調製したフェロセニウム[TFPB]を使用し、(実施例16A −16Bにおいて説明したように)DSC試験用に熱硬化可能なエポキシ/ポリオー ル組成物を調製した。DGEBA 用のエポキシ等量として188 を使用して、エポキシ ド:ヒドロキシ基の比率を1:0.4 として、DGEBA と1,4-ブタンジオールからエ ポキシ/ポリオール混合物を調製した。DGEBA /1,4-ブタンジオール混合物5gと 、フェロセニウム[TFPB]を0.2g、0.1g、0.05g 、0.025g、0.012gとから熱硬化可 能な組成物を調製した。約0.1g以下の十分な量のγ- ブチロールアセトンを使用 して触媒を溶解させた。これらの試料についてDSC 試験を実施し、発熱エネルギ 量および発熱ピーク温度を 記録した。結果を表19に示す。 表19の結果から、フェロセニウム[TFPB]塩は様々な濃度条件下で効果的なカ チオン重合熱開始剤であったことが分かる。 実施例39 ジフェニルヨードニウム[TFPB]0.05g と、γ- ブチロールアセトン0.1gと、SR 295 を5.0gとを使用して試料を調製した。(実施例17A−17Bにおいて説明 したように)51℃にて露光時間5分間でPDSC試験を実施し、遊離基重合の光開始 剤としてのTFPB- 塩の効率を判断した。試験の結果、167J/gという明らかな発熱 が認められ、TFPB- 塩は遊離基重合の光開始剤として活性であるということが分 かる。 本発明の範囲および原理から逸脱することなく本発明に対して様々な変更およ び修正を施せることは、当業者らによって明らかであり、本発明は上述した実施 例に限定されるものではないことを理解されたい。本願明細書において参考にと りあげた刊行物および特許明細書については、いずれもこれらの刊行物および特 許明細書を特定して参考に取り入れているのと同程度のものとして参照されたい 。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年9月6日 【補正内容】 請求の範囲 1.カチオン部分とアニオン部分とを有する開始剤塩であって、前記塩のアニ オン部分は非求核的アニオンであって、一般式: [(M')m+Q1Q2...Qn]d- で表され、ここで、 M'は、元素周期表(CAS版)のIVB 族からVA族まで、すなわちIVB族、VB族、VIB 族、VIIB族、VIII族、IB族、IIB 族、IIIA族、IVA族およびVA族の元素からなる 群から選択される金属または半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ドおよびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカル ビル−カルボキシレート基、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基、およ び有機半金属基からなる群から独立に選択され、Q1乃至 Qn のうちの少なくとも 1つはハロゲン置換した芳香族ヒドロカルビル基であるが、(n-1)個以下のQ1乃 至 Qn はハロゲン化物基であってもよく、Q1乃至 Qn うちの残りは上述した基か ら選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dであり、 前記塩のカチオン部分は、 (1)ジアゾニウム、スルホニウム、ジアリールヨードニウム、トリアリール スルホニウム、およびプロトン化した(protonated)脂肪族、芳香族あるいは複素 環式アミンから選択される有機オニウムカチオンと、 (2)本質的に金属水酸化物や金属アルキル官能性を持たず、以 下の一般式 [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mo、W 、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Ptおよび Niからなる群から選択される金属であり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニルおよ びシクロヘプタトリエニル、シクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、 複素環式化合物および、置換あるいは未置換のベンゼン化合物とMの原子価殼に 対して3〜8個の電子を寄与できる2〜4個の融合環を有する化合物とから選択 される芳香族化合物からなる群から選択される同一あるいは異なるリガンドであ ればよい1あるいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択される同一または異なるリガンドであればよい偶数個の電子を寄与で きる1〜3個の非アニオンリガンドであるが、但し、錯体に対するqの正の電荷 の総残留量はMに寄与する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる有機金属錯カチオンからなる群から選択される、開始剤塩。 2.前記アニオン部分が、一般式: [BArQ2Q3Q4]- (式中、nは4であり、 M'は原子価状態3のホウ素(B)であり、 Q1は、Arであって、炭素数約6〜約30のハロゲン置換芳香族炭 化水素基であり、任意に1個以上の安定した架橋基を介して1個以上のQ基と結 合され、ここで架橋基は、単結合、二重結合、nは1 、=SO2、RN=、RP= を含み、R は置換あるいは未置換のアリールまたはアルキル ヒドロカルビル基であり、 Q2、Q3およびQ4は請求の範囲第1項において規定された通りである。) で表わされる請求の範囲第1項記載の開始剤塩。 3.オニウムカチオンは、ジアゾニウム、スルホニウム、ジアリールヨードニ ウム、トリアリールスルホニウムからなる群から選択される請求の範囲第2項記 載の開始剤塩。 4.有機金属カチオンは一般式: [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mn、Fe、CoおよびPdからなる群から選択される金属であり 、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、置換あるいは未置換のベン ゼン化合物と2〜4個の融合環を有する化合物とから選択される芳香族化合物か らなる群から選択される同一あるいは異なるリガンドであることができる、1あ るいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択され、同一または異なるリガンドであることができ、偶数個の電子を 寄与できる非アニオンリガンド1〜3個であるが、但し、錯体に対するqの正の 電荷の総残留量はMに寄与する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる請求の範囲第2項記載の開始剤塩。 5.有機金属カチオンは、(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄、(アレーン) Mn(CO)2L2、(アレーン)2鉄、(シクロペンタジエニル)鉄(CO)2L2 、(メチルシ クロペンタジエニル)Mn(CO)2(NO)、(アレーン)2Cr、(シクロペンタジエニル)2鉄 からなる群から選択される請求の範囲第4項記載の開始剤塩。 6.(a)カチオン付加重合可能なモノマー、遊離基重合可能なエチレン性不 飽和モノマーおよび触媒段階的成長重合可能なモノマーあるいはその混合物のう ちの少なくとも1つと、 (b)非求核的アニオンの塩の少なくとも1種類であって、該塩のカチオン部 分は、 (1)元素周期表(CAS版)のIA族〜IIIA族、IB族〜VIIB族、VIII族、ランタ ニド類およびアクチニド類の金属とからなる群から選択される、原子価が1〜5 の一価あるいは多価の金属カチオンと、 (2)脂肪族あるいは芳香族の IVA〜VIIA族(CAS版)金属中心オニウム塩、プ ロトン化した脂肪族、芳香族あるいは複素環式アミンから選択される有機オニウ ムカチオンと、 (3)本質的に金属水酸化物や金属アルキル官能性を持たず、以下の一般式 [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mo、W 、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Ptおよび Niからなる群から選択される金属であり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、シクロヘキシルジエニルお よびシクロヘプタトリエニル、シクロヘプタトリエン 、シクロオクタテトラエン、複素環式化合物および、置換あるいは未置換のベン ゼン化合物と個々にはMの原子価殼に対して3〜8個の電子を寄与できる2〜4 個の融合環を有する化合物とから選択される芳香族化合物からなる群から選択さ れる同一あるいは異なるリガンドであればよい1あるいは2個の環状多価不飽和 リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択され、同一または異なるリガンドであることができ、偶数個の電子を 寄与できる非アニオンリガンド1〜3個であるが、但し、錯体に対するqの正の 電荷の総残留量はMに寄与する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる有機金属錯カチオンとからなる群から選択され、 かつ前記塩のアニオン部分は一般式: [(M')m+Q1Q2...Qn]d- [式中、M'は、元素周期表(CAS版)のIVB 族からVA族まで、すなわちIVB 族、V B族、VIB 族、VIIB族、VIII族、IB族、IIB 族、IIIA族、IVA 族およびVA族の元 素からなる群から選択される金属または半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ドおよびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカル ビル−カルボキシレート基、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基、およ び有機半金属基からなる群から独立に選択され、Q1乃至 Qn のうちの少なくとも 1つはハロゲ ン置換した芳香族ヒドロカルビル基であるが、(n-1)個以下のQ1乃至 Qn はハロ ゲン化物基であってもよく、Q1乃至 Qn うちの残りは上述した基から選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dである。] で表わされる、非求核的アニオンの塩の少なくとも1種類と、を含む重合可能組 成物。 7.前記非求核的アニオンは、一般式: [BArQ2Q3Q4]- (式中、nは4であり、 M'は原子価状態3のホウ素(B)であり、 Q1は、Arであって、炭素数約6〜約30のハロゲン置換芳香族炭化水素基であ り、任意に1個以上の安定した架橋基を介して1個以上のQ基と結合され、ここ で架橋基は、単結合、二重結合、nは1 、=SO2、RN= 、RP= を含み、R は置換あるいは未置換のアリールまたはアルキル ヒドロカルビル基であり、 Q2、Q3およびQ4は請求の範囲第6項において規定された通りである。) で表わされる請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 8.オニウムカチオンは、ジアゾニウム、スルホニウム、ジアリールヨードニ ウム、トリアリールスルホニウムからなる群から選択される請求の範囲第7項記 載の重合可能組成物。 9.有機金属カチオンは一般式: [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびPdからなる群から選択される金属で あり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、置換あるいは未置換のベン ゼン化合物と2〜4個の融合環を有する化合物とから選択される芳香族化合物か らなる群から選択され、同一あるいは異なるリガンドであることができる、環状 多価不飽和リガンド1あるいは2個であり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩並びにヒ素およびアンチモン有機ニト リル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の関連した誘導体からなる 群から選択され、同一または異なるリガンドであることができる、偶数個の電子 を寄与できる非アニオンリガンドであり、Mに寄与する合計の電子電荷が錯体に 対するqの正味の残留正電荷量をもたらす1〜3個の非アニオンリガンドであり 、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 10.有機金属カチオンは、(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄、(アレーン) Mn(CO)2L2、(アレーン)2鉄、(シクロペンタジエニル)鉄(CO)2L2 、(メチルシ クロペンタジエニル)Mn(CO)2(NO)、(アレーン)2Cr、(シクロペンタジエニル)2鉄 からなる群から選択される請求の範囲第9項記載の重合可能組成物。 11.カチオン重合可能なモノマーは、エポキシ類、環状エーテル類、ビニルエ ーテル類、ビニルアミン類、不飽和炭化水素類、ラクトン類および他の環状エス テル類などのカチオン重合可能な基、ラクタム類、環状カーボネート類、環状ア セタール類、アルデヒド類 、環状アミン類、環状スルフィド類、シクロシロキサン類、シクロトリホスファ ゼン類からなる群から選択される請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 12.遊離基重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、アクリレートやメタクリ レート、アクリルアミド、メタクリルアミド、その他のビニル化合物からなる群 から選択される請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 13.触媒段階的成長重合可能なモノマーは、多官能性イソシアネートと多官能 性アルコールとの混合物、多官能性エポキシドと多官能性アルコールとの混合物 、多官能性シアネートエステルからなる群から選択される請求の範囲第6項記載 の重合可能組成物。 14.アニオン部分は、ホウ素中心と結合した複数の過フッ素化またはCF3 置換 芳香族炭化水素環を含み、エポキシ官能性シリコーン、多官能性不飽和炭化水素 、不飽和あるいはエポキシ化トリグリセリドからなる群から選択される非極性モ ノマーを少なくとも1種類含むことを特徴とする請求の範囲第7項記載の重合可 能組成物。 15.アニオンは、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- あるいは(C6F5)4B- である請求の範囲 第14項記載の重合可能組成物。 16.オニウムおよびカチオン有機金属光開始剤塩は、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- あ るいは(C6F5)4B- アニオン部分の少なくとも1方と、少なくとも1種類のカチオ ン重合可能なモノマーを有する請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 17.開始剤は、[トリアリールスルホニウム][ホウ素中心アニオン]塩あるいは [ジアリールヨードニウム][ホウ素中心アニオン]塩である請求の範囲第7項記載 の重合可能組成物。 18.ホウ素中心アニオンは、[[3,5-(CF3)2C6H3]4B]あるいは[(C6F5)4B]である ことを特徴とする請求の範囲第7項記載の重合可能組 成物。 19.開始剤塩は、非求核的アニオンと、元素周期表のIA族〜IIIA族、IB族〜VI IB族、VIII族、ランタニド類およびアクチニド類の金属とからなる群から選択さ れる一価あるいは多価の金属カチオンであるカチオン部分と、エポキシモノマー あるいはビニルエーテルモノマーから選択される少なくとも1種類の重合可能な モノマーと、を含有する請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 20.カチオン部分はNa+ またはLi+ であって、アニオン部分は[3,5-(CF3)2C6H3 ]4B- あるいは(C6F5)4B- である請求の範囲第19項記載の重合可能組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パラゾット,マイケル シー. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし) (72)発明者 デボー,ロバート ジェイ. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし) (72)発明者 マコーミック,フレッド ビー. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし) (72)発明者 オロフソン,ジェフリー エム. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし) (72)発明者 シードル,アレン アール. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし) (72)発明者 ウィレット,ペギー エス. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133―3427, セント ポール,ポスト オフィス ボッ クス 33427 (番地なし)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.カチオン部分とアニオン部分とを有する開始剤塩であって、前記塩のアニ オン部分は非求核的アニオンであって、一般式: [(M')m+Q1Q2...Qn]d- で表され、ここで、 M'は、元素周期表(CAS版)のIVB族からVA族まで、すなわちIVB族、VB族、VIB族 、VIIB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族、IVA族およびVA族の元素からなる群か ら選択される金属または半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ドおよびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカル ビル−カルボキシレート基、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基、およ び有機半金属基からなる群から独立に選択され、Q1乃至 Qn のうちの少なくとも 1つはハロゲン置換した芳香族ヒドロカルビル基であるが、(n-1)個以下のQ1乃 至 Qn はハロゲン化物基であってもよく、Q1乃至 Qn うちの残りは上述した基か ら選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dであり、 前記塩のカチオン部分は、 (1)元素周期表(CAS版)のIA族〜IIIA族、IB族〜VIIB族、VIII族、ランタ ニド類およびアクチニド類の金属からなる群から選択され、原子価が1〜5の一 価あるいは多価の金属カチオンと、 (2)脂肪族あるいは芳香族の IVA〜VIIA族(CAS版)金属中心オニウム塩、プ ロトン化した(protonated)脂肪族、芳香族あるいは複 素環式アミンから選択される有機オニウムカチオンと、 (3)本質的に金属水酸化物や金属アルキル官能性を持たず、以下の一般式 [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mo、W 、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Ptおよび Niからなる群から選択される金属であり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニルおよ びシクロヘプタトリエニル、シクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、 複素環式化合物および、置換あるいは未置換のベンゼン化合物とMの原子価殻に 対して3〜8個の電子を寄与できる2〜4個の融合環を有する化合物とから選択 される芳香族化合物からなる群から選択される同一あるいは異なるリガンドであ ればよい1あるいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択される同一または異なるリガンドであればよい偶数個の電子を寄与で きる1〜3個の非アニオンリガンドであるが、但し、錯体に対するqの正の電荷 の総残留量はMに寄与する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる有機金属錯カチオンからなる群から選択される、開始剤塩。 2.前記アニオン部分が、一般式: [BArQ2Q3Q4]- (式中、nは4であり、 M'は原子価状態3のホウ素(B)であり、 Q1は、Arであって、炭素数約6〜約30のハロゲン置換芳香族炭化水素基であ り、任意に1個以上の安定した架橋基を介して1個以上のQ基と結合され、ここ で架橋基は、単結合、二重結合、nは1 、=SO2、RN= 、RP= を含み、R は置換あるいは未置換のアリールまたはアルキル ヒドロカルビル基であり、 Q2、Q3およびQ4は請求の範囲第1項において規定された通りである。) で表わされる請求の範囲第1項記載の開始剤塩。 3.オニウムカチオンは、ジアゾニウム、スルホニウム、ジアリールヨードニ ウム、トリアリールスルホニウムからなる群から選択される請求の範囲第2項記 載の開始剤塩。 4.有機金属カチオンは一般式: [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mn、Fe、CoおよびPdからなる群から選択される金属であり 、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、置換あるいは未置換のベン ゼン化合物と2〜4個の融合環を有する化合物とから選択される芳香族化合物か らなる群から選択される同一あるいは異なるリガンドであることができる、1あ るいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択され、同一また は異なるリガンドであることができ、偶数個の電子を寄与できる非アニオンリガ ンド1〜3個であるが、但し、錯体に対するqの正の電荷の総残留量はMに寄与 する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる請求の範囲第2項記載の開始剤塩。 5.有機金属カチオンは、(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄、(アレーン) Mn(CO)2L2、(アレーン)2鉄、(シクロペンタジエニル)鉄(CO)2L2、(メチルシク ロペンタジエニル)Mn(CO)2(NO)、(アレーン)2Cr、(シクロペンタジエニル)2鉄か らなる群から選択される請求の範囲第4項記載の開始剤塩。 6.(a)カチオン付加重合可能なモノマー、遊離基重合可能なエチレン性不 飽和モノマーおよび触媒段階的成長重合可能なモノマーあるいはその混合物のう ちの少なくとも1つと、 (b)非求核的アニオンの塩の少なくとも1種類であって、該塩のカチオン部 分は、 (1)元素周期表(CAS版)のIA族〜IIIA族、IB族〜VIIB族、VIII族、ランタ ニド類およびアクチニド類の金属とからなる群から選択される、原子価が1〜5 の一価あるいは多価の金属カチオンと、 (2)脂肪族あるいは芳香族のIVA〜VIIA族(CAS版)金属中心オニウム塩、プロ トン化した脂肪族、芳香族あるいは複素環式アミンから選択される有機オニウム カチオンと、 (3)本質的に金属水酸化物や金属アルキル官能性を持たず、以下の一般式 [(L1)(L2)M]-q (式中、M は、Cr、Mo、W 、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Ptおよび Niからなる群から選択される金属であり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、シクロヘキシルジエニルお よびシクロヘプタトリエニル、シクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン 、複素環式化合物および、置換あるいは未置換のベンゼン化合物と個々にはMの 原子価殻に対して3〜8個の電子を寄与できる2〜4個の融合環を有する化合物 とから選択される芳香族化合物からなる群から選択される同一あるいは異なるリ ガンドであればよい1あるいは2個の環状多価不飽和リガンドであり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩および関連したヒ素およびアンチモン 有機ニトリル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の誘導体からなる 群から選択され、同一または異なるリガンドであることができ、偶数個の電子を 寄与できる非アニオンリガンド1〜3個であるが、但し、錯体に対するqの正の 電荷の総残留量はMに寄与する全電子電荷から生じるものとし、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる有機金属錯カチオンとからなる群から選択され、 かつ前記塩のアニオン部分は一般式: [(M')m+Q1Q2...Qn]d- [式中、M'は、元素周期表(CAS版)のIVB 族からVA族まで、すなわちIVB 族、V B族、VIB 族、VIIB族、VIII族、IB族、IIB族、IIIA族、IVA 族およびVA族の元素 からなる群から選択される金属または半金属であり、 Q1乃至 Qn は、ハロゲン化物基、ジアルキルアミド基、水酸化物、アルコキシ ドおよびアリールオキシド基、ヒドロカルビル−メルカプチドおよびヒドロカル ビル−カルボキシレート基、ヒドロカル ビルおよび置換ヒドロカルビル基、および有機半金属基からなる群から独立に選 択され、Q1乃至 Qn のうちの少なくとも1つはハロゲン置換した芳香族ヒドロカ ルビル基であるが、(n-1)個以下のQ1乃至 Qn はハロゲン化物基であってもよく 、Q1乃至 Qn うちの残りは上述した基から選択され、 mは、1乃至6の整数であり、 nは、2乃至7の整数であり、 (n−m)=dである。] で表わされる、非求核的アニオンの塩の少なくとも1種類と、を含む重合可能組 成物。 7.前記非求核的アニオンは、一般式: [BArQ2Q3Q4]- (式中、nは4であり、 M'は原子価状態3のホウ素(B)であり、 Q1は、Arであって、炭素数約6〜約30のハロゲン置換芳香族炭化水素基であ り、任意に1個以上の安定した架橋基を介して1個以上のQ基と結合され、ここ で架橋基は、単結合、二重結合、nは1 、=SO2、RN= 、RP= を含み、R は置換あるいは未置換のアリールまたはアルキル ヒドロカルビル基であり、 Q2、Q3およびQ4は請求の範囲第6項において規定された通りである。) で表わされる請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 8.オニウムカチオンは、ジアゾニウム、スルホニウム、ジアリールヨードニ ウム、トリアリールスルホニウムからなる群から選択される請求の範囲第7項記 載の開始剤塩。 9.有機金属カチオンは一般式: [(L1)(L2)M]+q (式中、M は、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびPdからなる群から選択される金属で あり、 L1は、置換および未置換のシクロペンタジエニル、置換あるいは未置換のベン ゼン化合物と2〜4個の融合環を有する化合物とから選択される芳香族化合物か らなる群から選択され、同一あるいは異なるリガンドであることができる、環状 多価不飽和リガンド1あるいは2個であり、 L2は、なしであるか、あるいは一酸化炭素、ケトン、オレフィン、エーテル、 ニトロソニウム、ホスフィン、亜リン酸塩並びにヒ素およびアンチモン有機ニト リル、アミン、アルキン、イソニトリルおよび二窒素の関連した誘導体からなる 群から選択され、同一または異なるリガンドであることができる、偶数個の電子 を寄与できる非アニオンリガンドであり、Mに寄与する合計の電子電荷が錯体に 対するqの正味の残留正電荷量をもたらす1〜3個の非アニオンリガンドであり 、 qは、1または2の整数であって、錯カチオンの残留電荷を示す。) で表わされる請求の範囲第7項記載の開始剤塩。 10.有機金属カチオンは、(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄、(アレーン) Mn(CO)2L2、(アレーン)2鉄、(シクロペンタジエニル)鉄(CO)2L2、(メチルシク ロペンタジエニル)Mn(CO)2(NO)、(アレーン)2Cr、(シクロペンタジエニル)2鉄か らなる群から選択される請求の範囲第9項記載の重合可能組成物。 11.カチオン重合可能なモノマーは、エポキシ類、環状エーテル類、ビニルエ ーテル類、ビニルアミン類、不飽和炭化水素類、ラク トン類および他の環状エステル類などのカチオン重合可能な基、ラクタム類、環 状カーボネート類、環状アセタール類、アルデヒド類、環状アミン類、環状スル フィド類、シクロシロキサン類、シクロトリホスファゼン類からなる群から選択 される請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 12.遊離基重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、アクリレートやメタクリ レート、アクリルアミド、メタクリルアミド、その他のビニル化合物からなる群 から選択される請求の範囲第6項記載の重合可能組成物。 13.触媒段階的成長重合可能なモノマーは、多官能性イソシアネートと多官能 性アルコールとの混合物、多官能性エポキシドと多官能性アルコールとの混合物 、多官能性シアネートエステルからなる群から選択される請求の範囲第6項記載 の重合可能組成物。 14.アニオン部分は、ホウ素中心と結合した複数の過フッ素化またはCF3 置換 芳香族炭化水素環を含み、エポキシ官能性シリコーン、多官能性不飽和炭化水素 、不飽和あるいはエポキシ化トリグリセリドからなる群から選択される非極性モ ノマーを少なくとも1種類含むことを特徴とする請求の範囲第7項記載の重合可 能組成物。 15.アニオンは、[3,5-(CF3)2C6H3]4B-あるいは(C6F5)4B- である請求の範囲 第14項記載の重合可能組成物。 16.オニウムおよびカチオン有機金属光開始剤塩は、[3,5-(CF3)2C6H3]4B- あ るいは(C6F5)4B- アニオン部分の少なくとも1方と、少なくとも1種類のカチオ ン重合可能なモノマーを有する請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 17.開始剤は、[トリアリールスルホニウム][ホウ素中心アニオン]塩あるいは [ジアリールヨードニウム][ホウ素中心アニオン]塩である請求の範囲第7項記載 の重合可能組成物。 18.ホウ素中心アニオンは、[[3,5-(CF3)2C6H3]4B]あるいは[(C6F5)4B]である ことを特徴とする請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 19.開始剤塩は、非求核的アニオンと、元素周期表のIA族〜IIIA族、IB族〜VI IB族、VIII族、ランタニド類およびアクチニド類の金属とからなる群から選択さ れる一価あるいは多価の金属カチオンであるカチオン部分と、エポキシモノマー あるいはビニルエーテルモノマーから選択される少なくとも1種類の重合可能な モノマーと、を含有する請求の範囲第7項記載の重合可能組成物。 20.カチオン部分はNa+ またはLi+ であって、アニオン部分は[3,5-(CF3)2C6H3 ]4B- あるいは(C6F5)4B- である請求の範囲第19項記載の重合可能組成物。
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