JPH09500303A - スリーブカテーテル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 中央孔(20)を有するスリーブカテーテル(10)であって、中心孔(20)の周りに配置されてヘッド部(16)の放出口(24)で終端する複数の外孔(18)を有している。このカテーテルが、バルーンカテーテル(11)の上に配設されて、そのヘッド部(16)がバルーン(12)の膨張によって膨らんで、道管の内壁に押し当てられる。外孔(18)を通った、または外孔(18)に保持された液体が、加圧下で、外孔の放出口(24)から道管またはその壁に供給される。これにより、薬物を人体の外部から狭い対象領域に容易に移送できる。

Description

【発明の詳細な説明】 スリーブカテーテル 技術分野 本発明は、流体、特に薬剤で道管(vessel)壁を湿潤(wetting)および浸潤(infi ltration)する、好ましくは、それをバルーンカテーテル(balloon catheter)で 通常の処置中に行うためのスリーブカテーテルに関する。 背景技術 動脈の狭窄された通路の処置に、バルーン拡張は、僅かに侵襲的なだけで、極 めて効果的で簡潔な方法と認められている。しかし、実績では、この処置法の再 発率は、治療した患者の約30%程度と高い。すなわち、数ヵ月、例えば３ヵ月か ら６ヵ月の間に通路狭窄が再び起こる。少なくとも一部はバルーン拡張、すなわ ち組織の膨張と破裂が原因の細胞増殖によって起こることが示されている。それ 故、このようなバルーン拡張を受ける道管領域に、このような組織増殖に対抗す る追加の処置をすることが望ましいのである。 種々の増殖抑制処置、特に、例えばレーザによるエネルギー注入、または特殊 薬剤による局部治療は既知である。薬剤による局部治療のキャリヤとして、ワイ ヤの壁支え（いわゆるステント(stent)）を用いることは知られているが、それ は使用が複雑であり、また取外しできない。 また、穿孔バルーン付きのバルーンカテーテルを用いて、拡張操作中に薬物を 投与して組織に浸透させることも提案されている。しかし、バルーン膨張の始め と膨張中に、既に制御できない量の薬剤が喪失される結果、組織の湿潤と組織壁 への浸潤の対象となる組織壁領域に規定量の薬剤を投与できなくなるので、この 提案は不適当であることがわかった。また、バルーンの膨張中、すなわちバルー ン壁が道管壁に当たる前に、もはや放出された量の薬剤は被処置道管層に到達し ないので、特定の 被処置道管領域を十分な量の薬剤にさらすには、投薬量が多くなり過ぎる。もう 一つの不利な点は、穿孔バルーンでは圧力の発生が不十分で、限られた道管領域 を拡張するのに不十分である。 穿孔バルーンについての上述の不利な点を解消することは望ましいが、同時に 、バルーン拡張の有効性と簡潔性は維持し、かつ、実質的に時間を長くすること なく、同じ操作の間に組織と道管壁の投薬処置を容易にする必要がある。それ故 、本発明の目的は、一方では、薬剤の同時投与によって高い再発率を低減し、他 方では薬剤が所望の分量だけ投与され、主として被処置組織領域にのみ投与され るように、バルーンカテーテル法を改良するにある。 発明の開示 中心孔の周りに縦方向に多数の外孔が延在し、道管すなわち管状器官の壁に薬 剤を供給するスリーブカテーテルにおいて、外孔にはカテーテルのヘッド部の領 域に半径方向の放出口があり、このカテーテルのヘッド部は、バルーンカテーテ ルのバルーン上に少なくとも一部配設されるように、バルーンカテーテルの上に スライド自在に配設されて、拡張可能になっている。この拡張により、ヘッド部 が被拡張道管の内壁に係合し、その放出口を通して、外孔に隣接する道管の組織 に加圧下で直接薬剤を供給できるようにして、薬剤を、ヘッド部の外面と係合す る領域だけに供給するものである。 本発明による構成は、そのスリーブカテーテルがバルーンカテーテルの収縮し たバルーンの一部分の上にスライド自在に設定されて、カテーテルを狭窄された 道管領域に挿入するのに必要とされるバルーンの小さい輪郭が基本的に維持され る利点がある。バルーンを膨張させると、スリーブカテーテルのヘッド部が被処 置組織に係合して、拡張操作中に、薬剤が加圧下で外孔から被処置組織に直接投 与されてこの組織にだけ侵入することができるようになる。このようにして、処 置された領域の好 ましくない細胞増殖を抑制するに適したすべての毒性化合物または遺伝子工学技 術で指定された薬剤を、被処置組織の領域だけに直接注入できる。 本発明のさらに一つの形態においては、バルーン圧力をかけると開くように予 め穿孔がなされている。それら穿孔は、外孔に追加の圧力をかけることによって 開くように形成してもよい。 スリーブカテーテルのヘッド部を膨張しやすくするために、もう一つの形態に おいては、ヘッド部に、それの放出口の間の外側に位置して縦方向に延在する半 径方向ノッチを設ける。また、カテーテルの中央孔に隣接する内壁における、外 孔間に位置する部位にも、縦方向に延在するノッチを設けることによって、一層 膨張しやすくすることができる。 薬剤をできるだけ局所に、すなわち、狭窄道管領域（stenosis）に近いところ だけに薬剤を投与するには、放出口を、ヘッド部の先端に始まり基端に向ってよ り高い圧力で漸次開くように予め形成するのが効果的である。スリーブカテーテ ルを道管または器官(organ)内でバルーンカテーテルとともに用いる位置に応じ て、組織を湿潤または組織に浸潤させる薬剤を異なった量投与すると有利である 。従って、ヘッド部の周方向に沿って外孔を６ないし12個設けるのは、本発明の 範囲に入る。 図面の簡単な説明 本発明の利点と構成は、図面を参照した以下の実施形態の説明と、請求の範囲 の記述とから明らかにされる。 図１はバルーンカテーテル上に配設したスリーブカテーテルのヘッド部を示し 、 図２はスリーブカテーテルのヘッド部が被せられたバルーンカテーテルの前端 の断面図、 図３はスリーブカテーテルのヘッド部を膨張させた膨張状態のバルーンの断面 図、 図４は図１のIV−VI線に沿った断面図、 図５はバルーンカテーテルとスリーブカテーテルを操作するための接続構造体 を示すものである。 発明を実施するための最良の形態 図１，２および３は、バルーンカテーテル11上に配設したスリーブカテーテル 10の詳細を示す。スリーブカテーテル10は図２に示すように、そのヘッド部16が 、たわむガイドロッド14に取り付けたバルーン12上の少なくとも一部分にまで延 びるように、バルーンカテーテル11に嵌め込まれている。このような相対位置で 、これら二つのカテーテルを道管または器官に挿入する。外孔18は、スリーブカ テーテルのヘッド部に終端を持ち、図５に示し次ぎに説明する接続構造体の所ま で、スリーブカテーテル10の全長に渡って延びている。図示するように、外孔18 は中心孔20の周りに円形に配置されており、スリーブカテーテルの大きさと適用 分野によって、外孔は６ないし２０個設ける。 また、スリーブカテーテルに沿って孔を１つまたは２つだけ設け、その孔をヘ ッド部で数個の外孔に分割することも可能である。孔の断面と配列は特定の使用 に適合するように決められる。 バルーンカテーテル11上に配設したヘッド部16を横切ってとった図４の横断面 図においては、ヘッド部の外側に連通している放出口24の設けられた外孔18が８ 個ある。これらの放出口24は、バルーン圧力のかかる終期にだけ開いて、外孔18 に入っている薬剤を放出するように設計されている。または、放出口が接続構造 体によって追加の圧力がかけられたときだけ開くように予め形成することもでき る。 ヘッド部16を膨張しやすくするために、少なくともヘッド部16の外側に、放出 口24の間に位置して縦方向に延びる半径方向溝22が設けられている。この溝22は 、ヘッド部16の内壁から離れた深さ位置まで切り込まれており、これにより、小 さい圧力で半径方向溝22を開いてヘッド部を 膨らませることができるヒンジ構造を形成している。ヘッド部の膨張に必要な圧 力を一層減らすために、さらに、中央孔20に隣接したヘッド部の内側にも、外孔 18の間に位置して縦方向に延びる半径方向溝23を設けることができる。半径方向 溝23を一つの半径方向溝22の両側に一つずつ設けると、三点ヒンジ構造が形成さ れて、ヘッド部の膨張が一層容易になる。 このようにすると、例えば５ないし８バール(bar)の圧力でバルーンを十分に 膨張させて、ヘッド部を道管壁に強く圧接し、薬剤を外孔18と放出口24を経て投 与するとき、薬剤が流れ去ることなく局所的に内壁面に供給されて、壁に浸透し て十分高濃度で壁の内層を浸潤するようになる。 バルーン内側に発生した圧力によって拡大された組織に対してヘッド部を強く 押圧したとき、拡張中に薬剤を良好に分布させる、すなわち、処置している狭窄 部の中央領域に主として注入するためには、放出口24をヘッド部の先端に始まり 基端に向かってより高い圧力で開くように、予め形成しておくのがよい。このよ うにすると、注入された薬剤が運び去られることなく、望ましい十分な高濃度で 組織層に投与され、続いて、壁内のより深い層に浸潤する。カテーテルが収縮す るのは通常約６０秒後であるが、その後薬剤が道管内に放出される量は比較的少 なく、また、処置された道管領域に局所的に例え大量に投与されても、それは相 当薄められているから、その量に関する限り、全身系については影響がない。投 与には、主としてその効果をよく判定できる既によく知られた細胞毒性化合物だ けでなく、遺伝子的に作製された薬剤も用いることができる。 バルーン拡張関連で通常用いられる圧力発生器（インデフレータ：indeflator ）を用いると、所望の圧力、所望の量で薬剤を組織に注入、浸潤できる。 図５はインデフレータへの接続と、薬剤を注入するための操作機構へ の接続とを行う接続構造体を示している。この接続構造体は、排除用のターミナ ル32とインデフレータ用のターミナル34とが付いたＹコネクタよりなるものであ る。バルーンカテーテル11はこのＹコネクタに接続されている。バルーンカテー テル11を取り巻くスリーブカテーテル10には、その後端に接続構造体36が装着さ れており、この接続構造体36のターミナル37を通して、図示しない加圧機により 薬剤が供給される。接続構造体36内では、ターミナル37がスリーブカテーテルの 外孔18に接続されている。 この接続構造によれば、薬剤投与とは無関係にバルーン拡張を行うことができ 、他の操作とは無関係に所定量薬剤を投与できる。 冠状血管の治療には、本発明は、バルーン拡張法の簡潔さが失われず、また通 常の拡張操作中に薬剤が注入され、さらに、その間、薬剤が十分限定された道管 領域内に正確に決められた分量投与されるので、操作が長引くことがないという 大きな利点がある。 産業上の利用可能性 しかしながら、本発明による装置は冠状血管だけでなく、腎臓管と手足の道管 、および、状態にもよるが、患者の頭の道管にも適している。この装置はまた、 器官の道管部あるいは尿道や胆管その他の道管状器官のような管状のシステムに おいても、増殖抑制化合物を湿潤、浸潤させるのに用いられる。本発明による装 置はがん性領域を増殖抑制化合物（この場合は細胞増殖抑制）で治療するのにも 、特によく適している。この装置はさらに、がん腫が巣くっている管状構造を、 そこの通路を危険にしないで、すなわち封鎖しないで治療できるようにする、つ まり、気管または腸管の悪性疾患も、患部領域を通る通路を妨害することなく、 本発明によって処置することができる。また前立腺肥大の治療にも上記の方法で 薬剤を投与できる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 管壁または他の管状器官に流体、特に液体薬剤を湿潤、浸潤させるための スリーブカテーテルにおいて、 中央孔(20)と、横断面上で前記中央孔(20)を取り巻く円の上に配置された多数 の外孔(18)とを有するヘッド部(16)があり、各外孔(18)はヘッド部(16)に形成さ れた放出口(24)を有し、 前記スリーブカテーテル(10)は、バルーンカテーテル(11)のバルーン(12)上に 少なくとも一部が配設されるようにバルーンカテーテル(11)上にスライド自在に 設定されており、 前記スリーブカテーテル(10)のヘッド部(16)は、前記バルーン(12)の膨張時に 膨張対象の道管の内壁と係合するように膨張可能であり、 前記流体は、前記ヘッド部(16)が被処置道管の内壁に係合したときに前記放出 口(24)から前記道管壁に供給されるように、加圧下で前記外孔(18)に供給される ことを特徴とするスリーブカテーテル。 ２． 請求項１において、前記放出口(24)は、バルーン圧力をかけたときに開く ように予め形成されているスリーブカテーテル。 ３． 請求項１において、前記放出口(24)は、外孔(18)に追加の圧力をかけたと きに開くように予め形成されていることを特徴とするスリーブカテーテル。 ４． 請求項１において、前記ヘッド部(16)は、その外側部に、前記放出口(24) の間に配置されて縦方向に延在する半径方向溝(22)を有していることを特徴とす るスリーブカテーテル。 ５． 請求項４において、前記中央孔(20)に隣接する前記ヘッド部(16)の内壁に も、前記外孔(18)の間に位置して縦方向に延在する半径方向溝(23)が設けられて いることを特徴とするスリーブカテーテル。 ６． 請求項１において、前記放出孔(24)は、前記ヘッド部(16)の先端から始ま りヘッド部(16)の基端へ向かってより高い圧力で順次開くように予め形成されて いることを特徴とするスリーブカテーテル。 ７． 請求項１において、前記ヘッド部(16)は、周方向に分布した６ないし２０ の外孔(18)を有することを特徴とするスリーブカテーテル。