JPH09500011A - P.ブルガリスからのコンドロイチナーゼi及びii遺伝子のクローニング及び発現 - Google Patents

P.ブルガリスからのコンドロイチナーゼi及びii遺伝子のクローニング及び発現

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JPH09500011A JP6524437A JP52443794A JPH09500011A JP H09500011 A JPH09500011 A JP H09500011A JP 6524437 A JP6524437 A JP 6524437A JP 52443794 A JP52443794 A JP 52443794A JP H09500011 A JPH09500011 A JP H09500011A
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ジョーゼフ ライアン,マイケル
マノハー カンドク,キラン
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アーノルド ロトヴィン,ジェイソン
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アメリカン サイアナミド カンパニー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、図1に示すNsiフラグメントに含まれるプロテウス・ブルガリス(P.ブルガリス)からの”コンドロイチナーゼI”と呼ばれるコンドロイチナーゼABCの主要タンパク質成分をエンコードするDNA配列に関する。また本発明は、P.ブルガリスからの”コンドロイチナーゼII”と呼ばれるコンドロイチナーゼABCの第2のタンパク質成分をエンコードするDNA配列、これらのDNA配列を含む遺伝子のクローニング及び発現、組換えコンドロイチナーゼI及びIIのアミノ酸配列、及び組換えコンドロイチナーゼIまたはIIの単離、精製方法に関する。これらの方法は、P.ブルガリスから天然のコンドロイチナーゼIを単離及び精製するために既に用いられている方法を組換え酵素用に修正して得られる方法より、極めて高い収率及び純度を与える。図1参照。

Description

【発明の詳細な説明】 P.ブルガリスからのコンドロイチナーゼI及びII遺伝子の クローニング及び発現 発明の分野 本発明は、”コンドロイチナーゼI”と呼ばれるプロテウス・ブルガリス(Pro teus vulgaris)(P.ブルガリス(Pvulgaris))からのコンドロイチナーゼA BCの主要タンパク質成分をエンコードするDNA配列に関する。また本発明は 、”コンドロイチナーゼII”と呼ばれるP.ブルガリスからのコンドロイチナ ーゼABCの主要タンパク質成分をエンコードするDNA配列に関する。さらに 本発明は、これらのDNA配列を含む遺伝子のクローニング及び発現、及びこれ らのDNA配列によってエンコードされる組換えコンドロイチナーゼI及びII こそのアミノ酸配列にも関する。 さらに本発明は、”コンドロイチナーゼI”と呼ばれる、プロテウス・ブルガ リス(P.ブルガリス)からのコンドロイチナーゼABCの、組換え的に(recom binantry)発現された主要タンパク質成分の単離及び精製方法に関する。また本 発明は、”コンドロイチナーゼII”と呼ばれる、P.ブルガリスからのコンド ロイチナーゼABCの、組換え的に(recombinantry)発現された第二のタンパク 質成分の単離及び精製方法に関する。これらの方法は、P.ブルガリスから天然 の(native)コンドロイチナーゼIを単離及び精製するために既に用いられている 方法を組換え酵素用に修正して得られる方法より、極めて高い収率及び純度を与 える。 発明の背景 コンドロイチナーゼは細菌を起源とする酵素であり、脱出椎間板の軟骨を、そ の円板のコラーゲン成分の安定化を損なわずに溶解させる価値を有すると記載さ れている。 コンドロイチナーゼの例としては、細菌P.ブルガリスによって産生されるコ ンドロイチナーゼABC、及びA.アウレセンス(Aaurescens)によって産生さ れるコンドロイチナーゼACがある。コンドロイチナーゼは、タンパク質−多糖 類複合体において、タンパク質コアを分解すること無く、多糖類側鎖を分解する ことによって機能する。 ヤマガタ等(Yamagata et al.)は、P.ブルガリスの抽出液から、酵素コンド ロイチナーゼABCを精製することを開示している(参考文献1)。この酵素は 、グリコサミノグリカンであるコンドロイチン−4−硫酸、デルマタン硫酸及び コンドロイチン−6−硫酸(各々、コンドロイチンA、B及びCとも呼ばれる) を、pH8において、コンドロイチンまたはヒアルロン酸より速く選択的に分解 する。しかし、この酵素は、ケラト硫酸、ヘパリンまたはヘパリチン酸を攻撃し ない。 キクチ等(Kikuchi et al.)は、コンドロイチナーゼABCのようなグリコサミ ノグリカン分解性酵素の精製を開示しており、酵素を含む溶液を、不溶性の多糖 類キャリア上に吸着させ、そのキャリアから個々の酵素を脱着させることによっ て機能化させている(2)。 ブラウン(Brown)は、コンドロイチナーゼABCを含む溶液の有効量を、椎間 円板の隙間に注射することにより、ヒトを含む哺乳類における椎間円板の置き換 えの治療方法を開示している(3)。このコンドロイチナーゼABCは、P.ブ ルガリスのちゅうしゅつえきから単離され精製されている。この天然の酵素物質 は、ヘルニア様脊髄円板のような軟骨を溶解させる機能がある。特にこの酵素は 、プロテオグリカン及び任意に分散されたコラーゲン線維を含む髄核の選択的な 化学的髄核分解を生ずる。 ヘイグマン(Hageman)は、硝子体切除術につけ加えて、哺乳類の眼の神経網膜 、線毛上皮及び後ろのレンズ表面から、選択的かつ完全に、眼の硝子体、エピレ チナル(epiretinal)膜または線維細胞状膜を取り出す(disinsersion)ための眼の 硝子体切除法を開示している。これは、特に硝子体網膜の接着部位に局在したコ ンドロイチン表面プロテオグリカンを分裂させ分解する酵素の有効量を眼に投与 し、前記硝子体及び/またはエピレチナル膜を完全に取り出すことによる(4) 。この酵素は、コンドロイチナーゼABCのような、プロテアーゼ無しのグリコ サミノグリカナーゼであってもよい。ヘイグマンは、生化学工業株式会社(Seika gaku Kogyo Co.,Ltd.)、東京、日本から得たコンドロイチナーゼABCを使用 してい る。 この生化学工業の材料からコンドロイチナーゼABCを単離し精製するとき、 硝子体切除法でのコンドロイチナーゼの有効な調製と、コンドロイチナーゼAB Cの主要タンパク質成分より僅かに大きな(SDS−PAGE)による見かけの 分子量を持つ第2のタンパク質の存在との間に相関があることを特記する。この 第2のタンパク質は、ここで、”コンドロイチナーゼII”とし、コンドロイチ ナーゼABCの主要タンパク質成分は、”コンドロイチナーゼI”と呼ぶ。これ らのコンドロイチナーゼI及びIIタンパク質は、中性pHにおいて塩基性タン パク質であり、8.30−8.45に類似の等電点を持つ。天然の酵素のコンド ロイチンI及びIIの形態を別々に精製することにより、硝子体切除手術におい て有効なのは、これらのタンパク質各々ではなく、それらの組み合わせであるこ とがわかった。 天然の酵素のコンドロイチナーゼI及びII形態の1日の使用は、天然の源泉 (sources)から得られる少量の酵素に限られる。天然の形態の酵素の産生及び精 製は、P.ブルガリスの発酵を用いて行われるが、その発酵では、その基質がこ れらの形態の酵素の産生を開始させるインデューサー(inducer)として使用され る。低レベルの合成、インデューサー(コンドロイチン硫酸)のコスト及び入手 可能性、及びP.ブルガリスの便宜主義的病原学的性質を含む要因を組み合わせ た結果、産天然のより有効な方法の要求が生じていた。さらに、従来の技術で産 生された天然の形態の酵素は、細菌抽出液中に存在するプロテアーゼによる分解 を受ける。従って、これら2つの形態の酵素を医療用途のために正確に見積もり 食させるべく、コンタミナント(contaminant)を含まない純粋な物質の信頼でき る供給が要求されている。また、コンタミナントを含まないコンドロイチナーゼ I及びII酵素の信頼できる供給物を単離し精製する方法も必要とされている。 発明の要旨 従って、本発明の目的は、現在の非−組換え細菌発酵及び抽出技術を用いたの では容易に達成できない量のコンドロイチナーゼI及びコンドロイチナーゼII を賛成することにある。 本発明の更なる目的は、コンドロイチナーゼI及びコンドロイチナーゼIIを 、各々が、酵素を分解してその活性の低下を生ずるプロテアーゼを実質的に含ま ない形態で産生することである。 これらの目的は、存在している問題に対する代替的アプローチを通して、これ ら2つの形態の酵素の大規模な細菌発酵によって達成される。コンドロイチナー ゼI及びコンドロイチナーゼII別々に、この酵素をエンコードする遺伝子をク ローン化し、異種の宿主中で高いレベルで発現される。好ましい実施態様では、 本発明は、コンドロイチナーゼIでは、P.ブルガリス遺伝子をクローン化し、 E.coli中で酵素を高レベルで発現させ、同様に、コンドロイチナーゼII では、P.ブルガリス遺伝子をクローン化し、E.coli中で酵素を高レベル で発現させることを目指している。 本発明は、コンドロイチナーゼIをエンコードする配列からなるP.ブルガリ スの単離し精製したDNAフラグメントを提供する。また本発明は、以下のアミ ノ酸配列をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされたP.ブルガリスの精 製し単離したDNAフラグメントを提供する。 (a)シグナルペプチド(SEQ ID NO(配列番号):2、アミノ酸1− 1021)を持つコンドロイチナーゼI酵素またはその生物学的等価物(例えば 、 (1)SEQ ID NO:1の119−3181の番号のヌクレオチド、及び (2)SEQ ID NO:3の119−3181の番号のヌクレオチドによって エンコードされ、開始コドンの直上流側の3つのヌクレオチドは変化している( SEQ ID NO3:、ヌクレオチド116−118)。) (b)シグナルペプチド(SEQ ID NO:2、アミノ酸25−1021) を持つ成熟したコンドロイチナーゼI酵素またはその生物学的等価物(例えば、 (1)SEQ ID NO:1の191−3181の番号のヌクレオチド、及び (2)SEQ ID NO:3の191−3181の番号のヌクレオチドによって エンコードされ、開始コドンの直上流側の3つのヌクレオチドは変化している( SEQ ID NO3:、ヌクレオチド116−118)。) (c)シグナルペプチドをエンコードする配列が、その酵素のアミノ末端にメ チオニンを付加した配列で置換された成熟コンドロイチナーゼI酵素(SEQ I D NO:5、アミノ酸24−1021)またはその生物学的等価物(例えば、 SEQ ID NO:4の188−3181の番号のヌクレオチドによってエンコ ードされたもの)。 組換えコンドロイチナーゼIは、上記の配列のひとつを含むP.ブルガリスの 精製し単離したDNAフラグメントで宿主細胞を形質転換し、その宿主細胞を、 酵素が宿主細胞によって発現できる条件下で培養することによって産生される。 また本発明は、コンドロイチナーゼIIをエンコードする配列からなるP.ブ ルガリスの単離し精製したDNAフラグメントを提供する。また本発明は、以下 のアミノ酸配列をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされたP.ブルガリ スの精製し単離したDNAフラグメントを提供する。 (a)シグナルペプチド(SEQ ID NO:40、アミノ酸1−1013) を持つコンドロイチナーゼII酵素またはその生物学的等価物(例えば、SEQ ID NO:39の3238−6276の番号のヌクレオチドによってエンコー ドされたもの)。 (b)成熟コンドロイチナーゼII酵素(SEQ ID NO:40、アミノ酸 24−1013)またはその生物学的等価物(例えば、SEQ ID NO:39 の3307−6276の番号のヌクレオチドによってエンコードされたもの)。 組換えコンドロイチナーゼIIは、上記の配列のひとつを含むP.ブルガリス の精製し単離したDNAフラグメントで宿主細胞を形質転換し、その宿主細胞を 、酵素が宿主細胞によって発現できる条件下で培養することによって産生される 。 本発明のさらなる目的は、組換え的に発現されるP.ブルガリスのコンドロイ チナーゼI酵素の単離及び精製方法を提供することにある。 本発明の特別な目的は、P.ブルガリスから天然のコンドロイチナーゼIを単 離及び精製するために既に用いられている方法を組換え酵素用に修正して得られ る方法より、極めて高い収率及び純度の組換えコンドロイチナーゼI酵素を与え る方法を提供することにある。 これらの目的は、コンドロイチナーゼI酵素について、ここに記載しクレーム する2つの方法のいずれかを通して達成される。第1の方法は次の工程からなる 。 (a)組換えコンドロイチナーゼIを発現する宿主細胞をホモジェナイズ(hom ogeniz)することによって溶解させ、酵素を上澄み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーション(diafiltration)を施して塩及び 他の小さな分子を取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、そして、 (e)酵素をカラムから放出させることのできる溶媒で、カチオン交換カラム に結合した酵素を溶離させる。 第2の方法では、直前で述べた第1の方法の工程(b)に先立って、以下の工 程を実施する。 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく。 本発明のさらなる目的は、組換え的に発現されるP.ブルガリスのコンドロイ チナーゼII酵素の単離及び精製方法を提供することにある。 本発明の付加的な目的は、P.ブルガリスから天然のコンドロイチナーゼIを 単離及び精製するために既に用いられている方法を組換え酵素用に修正して得ら れる方法より、極めて高い収率及び純度の組換えコンドロイチナーゼII酵素を 与える方法を提供することにある。 これらの目的は、コンドロイチナーゼII酵素について、ここに記載しクレー ムする2つの方法のいずれかを通して達成される。第1の方法は次の工程からな る。 (a)組換えコンドロイチナーゼIIを発現する宿主細胞をホモジェナイズす ることによって溶解させ、酵素を上澄み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーションを施して塩及び他の小さな分子を 取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、 (e)硫酸コンドロイチン溶液を用いた親和性溶離により、カチオン交換カラ ムに結合した酵素を、その酵素が硫酸コンドロイチンとともに溶離するようにし 、 (f)工程(e)からの溶離液を、アニオン交換樹脂−含有カラムに入れて硫 酸コンドロイチンがカラムに結合するように、溶媒で酵素を溶離し、 (g)工程(f)からの溶離液を濃縮し、約37kDのコンタミナントを含む 上澄み液から酵素を結晶化させる。 第2の方法では、直前で述べた第1の方法の工程(b)に先立って、以下の工 程を実施する。 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく工程を行う請求項24記載の方法。 本発明の方法を用いることにより、P.ブルガリスから天然のコンドロイチナ ーゼIを単離及び精製するために既に用いられている方法を各組換え酵素用に修 正して得られる方法より、極めて高い収率及び純度の各組換え酵素を得ることが できる 図面の簡単な説明 図1は、pIBI24のサブクローン化(subclone)された約10キロベース(k ilobase)のNsiフラグメントについての予備的制限マップ(preliminary restr iction map)を示す。このNsiフラグメントは、コンドロイチナーゼIをエン コードする完全な遺伝子とコンドロイチナーゼIIをエンコードする遺伝子の一 部を含んでいる。制限部位は、それらのおよその位置で示した。制限部位は、以 下に述べる構成において有効である。存在する他の制限部位は図には示さず、い くつかは下記の実施例13において説明する。 図2は、塩化ナトリウム勾配を用いたカチオン交換クロマトグラフィー・カラ ムからの組換えコンドロイチナーゼI酵素の溶離を示す。天然の酵素を精製する のに用いた方法を、ここでは、組換え酵素を精製するために使用した。図の左側 の初期のフラクションはカラムに結合していない。それらは、コンドロイチナー ゼI酵素活性の大部分を含んでいる。図の右側の酵素を含んだフラクションには 、”溶離活性(eluted activity)”と記した。勾配(gradient)は、0.0から2 .5mMのNaClである。 図3は、本発明の方法に従い、まず上澄み液をアニオン交換カラムに通した後 、カチオン交換カラムからの組換えコンドロイチナーゼIの溶離を示す。図の左 側の初期のフラクションはカラムに結合しておらず、僅かなコンドロイチナーゼ Iを含むだけである。図の右側の酵素を含むフラクションには、”溶離活性”と 記した。勾配は、0.0から2.5mMのNaClである。 図4は、本発明の精製方法を用いる前及び用いた後の組換えコンドロイチナー ゼI酵素のナトリウムドデシル硫酸ポリアクリルアミドゲルクロマトグラフィー (SDS−PAGE)を示す。SDS−PAGEゲルの写真において、レーン1 は本発明の第1の実施態様の方法を用いて精製した酵素であり、レーン2は本発 明の第2の実施態様を用いて精製した酵素であり、レーン3は、精製前の宿主細 胞の上澄み液を示し、多くの他のタンパク質が存在している。レーン4は、以下 の分子量の標準を示す:14.4kD−リゾチーム;21.5kD−トリプシン インヒビター;31kD−カルボニックアンヒドラーゼ;42.7kD−オボア ルブミン;66.2kD−ウシ血清アルブミン;97.4kD−ホスホリラーゼ B;116kD−ベーターガラクトシダーゼ;200kD−ミオシン。レーン1 及び2には、単一の鋭いバンドが見られる。 図5は、本発明の方法を用いた精製のいくつかの段階における組換えコンドロ イチナーゼII酵素のSDS−PAGEクロマトグラフィーを示す。SDS−P AGEゲルの写真において、レーン1は、ダイアフィルトレーション後の原上澄 み液であり、レーン2は、アニオン交換樹脂−含有カラムを通した後の溶離液で あり、レーン3は、カチオン交換樹脂−含有カラムを通した溶離の後の酵素であ り、レーン4は、第2のアニオン交換樹脂−含有カラムを通した後の溶離液であ り、レーン5は、図4について記載したものと同じ分子量の標準及び6.5kD のアプロチニン(aprotinin)を示す。レーン6は、約37kDのコンタミナント を示すためにオーバーロード)した以外はレーン4と同じである。レーン7は、 コンドロイチナーゼII酵素の結晶化後の上澄み液中の37kDコンタミナント であ る。レーン8は、結晶の第1の洗浄液であり、レーン9は、結晶の第2の洗浄液 である。レーン10は、水中に再溶解した後の洗浄した結晶中の酵素である。 発明の詳細な説明 予備的な実験において、E.coliは、唯一の炭素源としてコンドロイチナ ーゼIによって産生される加水分解物を用いることできないことが示され、この 遺伝子はE.coliにおけるその発現を選択することによってクローン化する ことはできないことが示唆された。本出願に引き継がれた他のアプローチでは、 コンドロイチナーゼI酵素をエンコードするDNAフラグメントを同定する物理 的方法を用いた。この方法は、P.ブルガリスの完全ゲノムからなる遺伝子バン クをともに形成する個々のクローンを用いたハイブリダイゼーション適当にラベ ルされたプローブを用いて達成される。このプローブそのものは、ポリメラーゼ 連鎖反応(PCR)を用いて生成される(5)。この方法では、P.ブルガリス のゲノミックDNAは変性され、(コンドロイチナーゼI遺伝子のブラケット(b racket)部分を指向した)オリゴヌクレオチドはアニールされ、DNA合成はイ ンビトロで実施される。オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるこの変性 、アニール、及びDNA合成のサイクルを多数回(例えば30回)繰り返すこと により、設計した生成物(2つのオリゴヌクレオチドの間に位置するDNAフラ グメント)の収率は、各サイクルごとに指数的に増大する。 適当なオリゴヌクレオチドの推定のヌクレオチド配列は、P.ブルガリス細菌 から精製されたタンパク質から導かれる入手可能なアミノ酸配列情報から構成さ れる。ひとたびこれが行われると、PCRで生成されたDNAフラグメントはク ローン化され、そのDNA配列は、それがコンドロイチナーゼI遺伝子の一部で あることを証明するために決定される。次いで、それはラベルされ、遺伝子バン クのどのメンバーが実際にコンドロイチナーゼI遺伝子を含んでいるかを示すプ ローブとして用いられる。引き続く制限マッピング(mapping)及びサザンハイブ リダイゼーション(Southern hybridization)により、その位置が、約4000の 塩基対(bp)のDNA断片に狭められる。これに引き続き、サンガーのチェイ ンターミネーター法(Sanger dideoky chain termination method)(6)によっ て、 遺伝子中の正確な位置が明らかにされ、遺伝子をE.coliにおける高レベル 発現システムにおくのに用いられた引き続く操作(manipulation)をガイドする。 P.ブルガリスのコンドロイチナーゼI遺伝子を発現する組換えプラスミドを含 むこのE.coli株を用いて実施された10リットルのスケールの発酵により 、約600単位/ml(1.2mg/mlと同じ)の最大のコンドロイチナーゼ Iタイターが産生される。この収率は、2単位/ml以上のタイターが得られる 天然のP.ブルガリス発酵プロセスの収率をはるかに凌ぐものである。 コンドロイチナーゼI遺伝子のクローニング及び発現プロセスは、以下の一連 の工程にまとめることができる。 1)P.ブルガリスのゲノミックDNAの単離及びコスミド遺伝子バンクの構 成。 2)ハイブリダイゼーション・プローブとして用いるためのコンドロイチナー ゼI遺伝子の本物の断片を産生することを指向してPCR実験すること。 3)コンドロイチナーゼの少なくとも一部を同定するためのコロニーハイブリ ダイゼーション研究。 4)コンドロイチナーゼI遺伝子の位置を、集合的に、より正確にクローン化 されたDNAに合わせる制限マッピング、サザンハイブリダイゼーション、DN A配列分析、コンドロイチナーゼI酵素検定。 5)正確なコーディング領域及びコンドロイチナーゼI遺伝子の位置を明らか にするためのDNA配列分析。 6)E.coli中でのP.ブルガリスの調整された高レベルの発現を導く部 位−特異的突然変異誘発、関連したマニピュレーション、及び遺伝子工学。 これら6つの工程は、後記の実施例1−7で特に詳細に説明する。これらの工 程の原理は以下の通りである。第1の工程ではゲノミックDNAが得られる。D NAは、P.ブルガリス発酵に含まれるタンパク質及び他の物質から分離される 。ゲノミックDNAの研究は、DNAのフラグメントをコスミドベクターに挿入 することによって促進される。ゲノミックDNAは、Sau3Aのような適当な 制限エンドヌクレアーゼによって消化され、コスミドベクターにリゲート(ligat e)される。P.ブルガリスDNAフラグメントを含むパッケージされた組換えコ ス ミドを、E.coli株のような適当な細菌宿主株に導き、得られた培地を成長 させて遺伝子を発現させる。遺伝子バンクは、アンピシリン、カナマイシン耐性 のようなマーカーを含むように、コンドロイチナーゼI遺伝子の存在のための遺 伝子バンクのスクリーニングにおける助けとなるように処理される。 出願人等は、天然のコンドロイチナーゼI酵素のアミノ酸配列分析を行った。 酵素のサンプルはP.ブルガリスの発酵によって作製した。サンプルは、生化学 工業(株)から得ることもできる。アミノ酸配列情報は、コンドロイチナーゼI 遺伝子のスクリーニングにおいて用いるオリゴヌクレオチドの設計に用いられる 。 第2の工程では、PCRで用いられるオリゴヌクレオチドが設計される。オリ ゴヌクレオチドの第1のセットは、その遺伝子コードの最小の縮重を持つヘプタ ペプチドをエンコードするように設計される。コンドロイチナーゼI酵素のアミ ノ末端に近接した7つのアミノ酸(SEQ ID NO:2のアミノ酸19−25 )は、512の異なるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:6、実施例2参照 )によってエンコードされうる。可能な配列の数は、5’末端における特定のヌ クレオチドを選択することによって32に減少する。なぜならば、PCRプライ マーにおける不一致(mismatch)は、プライマーの3’末端におけるよりも5’末 端における方が重大ではないことが観察されたからである。32プライマーのプ ール(pool)の配列は、SEQ ID NO:7−14に詳述した。 出願人等は、約110kDのコンドロイチナーゼI酵素が、18,000MW (”18kD”)のフラグメントと約90,000MW(”90kD”)フラグ メントとに、タンパク質分解的に切断されることを発見した。さらに、この18 kDフラグメントは、処理によって、シアノゲンブロミド(cyanogen bromide)と トリプシンとに分裂する。これら多くのフラグメントは、PCR用オリゴヌクレ オチドプライマーの付加的なセットの設計に用いられる。 18kDフラグメント中の7つのアミノ酸(SEQ ID NO:2、アミノ酸 114−120)は、512の異なるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1 5、実施例2参照)でエンコードされうる。相補的鎖は、同じ数の可能な配列を 有する(SEQ ID NO16、実施例2参照)。オリゴヌクレオチドの第1の セットについての上記の基準を用いて、可能な配列数は128に減少する。それ らの配列は、SEQ ID NO:17−24に詳述する。 ”90kD”フラグメントのアミノ末端に近接して位置する6つのアミノ酸( SEQ ID NO2のアミノ酸165−170)は、多くの異なるヌクレオチド 配列(SEQ ID NO:25及び26、実施例2参照)によってエンコードさ れうる。相補的鎖は、同じ数の可能な配列を有する(SEQ ID NO27、実 施例2参照)。オリゴヌクレオチドの第1のセットについての上記の基準を用い て、可能な配列数は、SEQ ID NO:29−36に詳述する配列に減少する 。 PCR増殖は、これらの24のオリゴヌクレオチド混合物を用いて行われる。 最も効果的な増殖は、電気泳動ゲル上の不連続なバンドとして観察された。約5 00及び350の塩基対(bp)の大きさの生成物が得られた。約350bpの 生成物は、約500bpの生成物のサブフラグメントである。約500bpの生 成物を単離し、実施例2で説明する連続的クローニング法を行って、455bp のPCR生成物として単離した。 この455bpは、配列分析され、天然のコンドロイチナーゼI酵素から得ら れる配列と事実上一致するアミノ酸配列に翻訳された。1つのアミノ酸が異なる 配列;引き続く実験により、455bpフラグメントのヌクレオチド及びアミノ 酸配列は正しいが、天然のアミノ酸配列の同定が誤っていることが明らかにされ た。 第3の工程では、PCR増殖フラグメントが、コンドロイチナーゼI遺伝子を 含む第1の工程で調製されたコスミド遺伝子バンクを同定するためのプローブと して用いられる。PCRフラグメントは、変性され、例えばジゴキシゲニンでラ ベルしたdUTP(ベーリンガー−マンハイム(Boehringer-Mannheim)、インデ ィアナポリス、IN)でラベルした。次いでこのコスミド遺伝子バンクを、細菌 株の感染に用いた。得られたクローンは溶解し、それらのDNAをラベル化され たプローブでコロニーハイブリダイゼーションを施した後、ジゴキシゲニンでラ ベルした物質に対するアルカリ性ホスファターゼ複合抗体に晒した。陽性の(pos itive)クローンは可視化され集められて、選択した媒質中で成長させた。 第4の工程では、サザンハイブリダイゼーション(8)及び制限マッピングが 、 個々のクローン中のコンドロイチナーゼI遺伝子の位置を決めるために用いられ る。上述のPCR−生成フラグメントが、制限酵素により第1に消化されフラク ショネート(fractionate)されるP.ブルガリスのゲノミックDNAに対するサ ザンハイブリダイゼーションプローブとして用いられる。第2のPCR増殖では 、上記のオリゴヌクレオチドのいくつかが、プライマーとして用いられる。結果 は、プローブにコンドロイチナーゼI遺伝子の一部が、いくつかの大きなDNA フラグメントに運ばれていることを示している。 これらの大きなDNAフラグメントは、消化されて個々のフラグメントを生成 し、これらは単離され、サザンハイブリダイゼーションによってコンドロイチナ ーゼI配列の存在を試験され、次いで適当なベクター中にサブクローン化される 。実施例3に用いたクローン化方法を詳述する。制限マップは、設計した配列を 運ぶフラグメントの部分の同定において助けとなるように作製した。さらに、酵 素の活性が、コンドロイチン硫酸Cからの不飽和ジサッカライドの放出を232 nmで測定することに基づいているインビトロのコンドロイチナーゼI検定が、 コンドロイチナーゼI遺伝子の配置及び配向を助けるために、いくつかのサンプ ルに対して実施される。これらの方法の結果は、より大きな10kb NsiI フラグメントの4.2kb EcoRV−EcoRIフラグメントは、全コンド ロイチナーゼI遺伝子を含むことを示唆している。 第5の工程では、上述の4.2kbフラグメントがDNA配列分析を受ける。 得られたDNA配列は、3980ヌクレオチドの長さである(SEQ ID NO :1)。DNA配列の推定アミノ酸配列への翻訳は、1021アミノ酸(SEQ ID NO:2)をエンコードする連続的読み取り枠(SEQ ID NO:1、 ヌクレオチド119−3181)を明らかにした。 また、アミノ酸配列の分析は、24残基シグナル配列(SEQ ID NO:2 、アミノ酸1−24)、それに続く997残基成熟(処理済み)コンドロイチナ ーゼI酵素(SEQ ID NO:2、アミノ酸25−1021)を明らかにした 。 シグナル配列は、後−翻訳(post-translation)処理工程のコンプレックス・シ リーズに必要とされ、宿主細胞からのタンパク質の分泌をもたらす。シグナル配 列は、分泌されるべきタンパク質のアミノ−末端からなる。ほとんどの場合、シ グナル配列は、シグナルペプチダーゼと呼ばれる特定のプロテアーゼによって切 断される。 ”18kD”及び”90kD”フラグメントは、互いに隣接して見い出され、 ”18kD”フラグメントは成熟したタンパク質の最初の157アミノ酸(SE Q ID NO:2、アミノ酸25−181)からなり、”90kD”フラグメン トは成熟タンパク質の残りの840アミノ酸(SEQ ID NO:2、アミノ1 82−1021)からなる。 本発明のコンドロイチナーゼI酵素は、確立された組換えDNA法を用いて発 現される。好ましい宿主生物は、細菌、ウイルス、酵母、昆虫または哺乳類細胞 列、及び他の従来からの生物を含んでいる。宿主細胞は、コンドロイチナーゼI 酵素をエンコードする精製し単離したDNAフラグメントを含むプラスミドで形 質転換される。次いで宿主細胞を、その宿主細胞によって酵素が発現されるよう な条件下で培養する。 第6の工程では、遺伝子は、唯一の制限部位を導くために、部位を指向した突 然変異誘発を受ける。これらにより、遺伝子は正確な読み取り枠の中で発現シス テム中に移動し、コンドロイチナーゼI酵素の高レベルでの発現をもたらす。そ のような好ましい宿主細胞は、細菌E.coliである。 後記の実施例6に詳細に述べるように、2つの異なる構造体が調製される。第 1のものでは、開始コドンの直上流側の3つのヌクレオチドが、突然変異誘発ヌ クレオチド(SEQ ID NO:37)を用いて変化する(SEQ ID NO: 3、ヌクレオチド116−118)。得られる構造体によってエンコードされる コーディング領域(coding resion)及びアミノ酸配列は変化せず、シグナル配列 は保存される(SEQ ID NO:3、ヌクレオチド119−3181、SEQ ID NO:2)。 本発明の好ましい実施態様では、第2の構造体が用いられる。この第2の構造 体では、部位を指向した突然変異誘発は、シグナル配列と成熟タンパク質の出発 点との結合において行われる。天然の配列(SEQ ID NO:1、ヌクレオチ ド185−190)と6つのヌクレオチドが異なる突然変異誘発オリゴヌクレオ チド(SEQ ID NO:38)が用いられた。これらの配列の違いは、(a) シグナル配列の欠失、及び(b)アミノ末端におけるメチオニン残基の付加をも たらし、998アミノ酸のタンパク質となる(SEQ ID NO:4、ヌクレオ チド188−3181;SEQ ID NO:5)。 シグナル配列が無い場合、酵素は分泌されない。幸いなことに、それは細胞内 に不溶性の封入体として残らない。しかし、少なくともいくつかの酵素は、可溶 活性酵素として細胞内に産生される。酵素はホモジェナイズすることによって抽 出されるが、それは細胞を溶解させ、それによって酵素を上澄み液中に放出する 。シグナル配列が存在していても多くの酵素が分泌されない。これは、この発現 システムが非常に高い収率を与えるので、宿主細胞の分泌能力を越えてしまうた めと考えられる。 後述の実施例7で述べるように、シグナル配列を欠く遺伝子は、適当な発現ベ クターに挿入される。そのようなベクターのひとつは、pET−9A(9;ノバ ゲン(Novagen)、マディソン(Madison)、WI)であり、それはE.coliバク テリオファージT7の成分から導かれる。得られる組換えプラスミドは、pTM 49−6と称される。次いでこのプラスミドは、E.coliB株BL21/( DE3)/pLysS(10;ノバゲン)といった適当な発現宿主細胞を形質転 換するために用いられる。 組換えプラスミドpTM49−6を持つこのE.coliB株BL21(DE 3)pLysSのサンプルは、出願人によって、1993年2月4日に、米国、 メリーランド20852、ロックビル、パークロウンドライブ(Parklawn Drive) 12301の、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に供託され、ATCCアクセス番号69234で登録され た。 供託された宿主細胞を用いたコンドロイチナーゼI酵素の発現は、天然の(非 −組換えの)P.ブルガリスを入れた同じサイズの発酵容器で可能な酵素の量の 約300倍の酵素を産生した。 コンドロイチナーゼI酵素の発現の後、宿主細胞からの上澄み液は、酵素を単 離し精製するために処理される。組換えコンドロイチナーゼI酵素を単離し精製 するための最初の試みは、高い収率で精製酵素を得ることができなかった。P. ブルガリスの発酵培地から天然のコンドロイチナーゼIを単離し精製するための 従来の方法は、組換え物質には好ましくないことがわかった。 天然の酵素は、P.ブルガリスの培地の発酵によって産生される。媒質から細 菌細胞がまず回収され、バッファー中に再懸濁される。細胞懸濁液はホモジェナ イズされて細菌細胞が溶解される。次いで、バイオアクリル(トーソー・ハース (Toso Haas)、フィラデルフィア、PA)のような荷電粒子が添加されて、ホモ ジェナイゼーション工程からDNA、凝集体、及びデブリス(debris)が除かれる 。次に、この溶液を硫酸アンモニウムの40%飽和として、望まないタンパク質 を析出させる。コンドロイチナーゼIは溶液中に残る。 この溶液を濾過し、残存物(retentate)を洗浄してほとんどの酵素を回収した 。濾液は濃縮し硫酸塩でダイアフィルトレーションして塩を取り除いた。 コンドロイチナーゼIを含む濾液は、硫酸セルロースカラムを用いて、カチオ ン交換クロマトグラフィーを行った。pH7.2の20mMリン酸ナトリウムで 、98%以上のコンドロイチナーゼIがカラムに結合した。次に、天然のコンド ロイチナーゼIを、塩化ナトリウムの勾配を用いて溶離した。 溶離した酵素は、アニオン交換及び疎水性相互作用カラムクロマトグラフィー といった付加的なクロマトグラフィーを行った。これらすべての方法により、コ ンドロイチナーゼIが90−97%の純度で得られた。純度のレベルは、まずS DS−PAGEを行うことによって測定した。タンパク質はクマシーブルーで染 色し、脱色し、そしてゲル上のレーン(lane)に波長600nmのレーザービーム を走査させた。純度は、そのバンドによる全吸収の百分率で表した。 しかし、天然のタンパク質の収率は、せいぜい25−35%である。収率は、 最終的に精製した生成物に残っている活性として測定し、出発時の活性(これを 100%とする)に対する百分率で表した。また、酵素の活性は、コンドロイチ ン硫酸Cからの不飽和ジサッカライドの放出を232nmで測定することに基づ いている。 この精製法も、110,000ダルトン(dalton)(110kD)のコンドロイ チナーゼIタンパク質を、90kD及び18kDのフラグメントに大規模に切断 した。それにもかかわらず、2つのフラグメントは非−共有結合を残しており、 コンドロイチナーゼI活性を示した。 この方法を、コンドロイチナーゼIをエンコードする組換えプラスミドを含む 溶解した宿主細胞からのホモジェネートに繰り返した場合、かなり悪い結果が得 られた。pH7.2、20mMリン酸ナトリウムの標準緊縮条件において、10 %未満のコンドロイチナーゼIがカチオン交換カラムに結合しているだけであっ た。 pH6.8、5mMリン酸塩という低い緊縮結合条件下で、1バッチ(batch) の物質で60−90%という増大した結合が観察された。しかし、NaCl勾配 での組換えタンパク質の溶離では、鋭いピークではなく広い活性ピークしか得ら れない(図2参照)。このことは、生成物が不均一であることを示している。さ らに、連続発酵のバッチでは、低い緊縮条件下でも組換え酵素はあまり結合しな い(1−40%)。これらのバッチのほとんどは、結合性が悪いために最後まで 処理しなかった。従って、それらの全回収量は定量化できない。 これらの結果に基づいて、組換えコンドロイチナーゼI酵素は、天然の酵素に 比較して塩基性が弱く、その塩基性は、バッチ間及びバッチ内でも変化すると結 論できる。 天然の酵素を単離し精製するために用いられる方法が、組換え酵素に対しては 好ましくないのは明らかである。その方法は、高コストで低収率のタンパク質し か産生しない。さらに、大きなバッチでは、多量の窒素含有化合物(硫酸アンモ ニウム)を含む多量の廃棄溶媒が出る。これは、環境的見地から好ましくない。 そこで、これらの悪い結果を説明し、改善された単離及び精製方法の基礎を提 供するための仮説が発展した。コンドロイチナーゼI酵素は、中性pHにおいて 塩基性であることが知られている。従って、酵素の表面は全体として正電荷が過 剰であると仮定される。 この仮説とは無関係に、酵素の組換え発現において、宿主細胞は、小さな負に 荷電した分子を含むか精製するものと考えられる。これらの負に荷電した分子が 酵素に結合し、それによって酵素上の正電荷の数が減少する。これらの負に荷電 した分子が、酵素をコピュリファイ(copurify)するのに十分な高い親和性で結合 すると、それらは、イオン交換カラムにおける酵素の挙動を変化させる可能性が ある。 この仮説は、以下に述べるデータによって支持される。一般に、カチオン交換 樹脂は、高いpHよりも低いpHにおいて、よりよくタンパク質と結合する。よ って、塩基性がそれほど強くなく、従って高いpHで結合しないタンパク質は、 低いpHでの操作を実行することによってカチオン交換体に結合するようにする ことができる。pH7.2において、天然の酵素は完全にカチオン交換樹脂に結 合する。しかし、組換えで導かれた酵素は、負に荷電した分子の結合によるその 低い塩基性のために、あまり結合しない(10%未満)。この酵素は、pH6. 8で低いリン酸塩濃度(20mMではなく5mM)を用いることによって70% まで結合させることが可能であるが、不均一性及び低収率という大きな問題が残 っている。確かに、ひとつの発酵では70%の結合レベルが得られたが、典型的 には、pH6.8でも非常に低い(10%未満)。この結合レベルは、発酵のバ ッチによって極端に変動する。 この仮説及び問題の可能な解決手段を次に試験した。コンドロイチダーゼIに 負に荷電した分子が非共有結合で付着し、塩基性を低下させているならば、強く て高容量のアニオン交換樹脂を用いて、これらの好ましくない分子を取り除くこ とが可能である。負に荷電した分子を除去することにより、酵素の塩基性が回復 するはずである。そうすれば、酵素はカチオン交換樹脂に結合し、そこから、純 粋な形で高収率で溶離させることができる。 実験によると、このアプローチは、組換え的に発現されたコンドロイチダーゼ I酵素を単離し精製する上で直面している問題の解決をもたらす。 下記で議論するように、コンドロイチダーゼIは、2つの形態で組換え的に発 現される。この酵素はシグナルペプチドで発現され、次いで切断されて成熟酵素 を生成する。この酵素はシグナルペプチド無しでも発現され、直接的に成熟酵素 を生成する。ここで議論する本発明の2つの実施態様は、酵素のこれらの形態の いずれを精製するのにも好適である。 本発明のこの態様の第1の実施態様では、組換えコンドロイチダーゼI酵素を 発現する宿主細胞が、ホモジェナイゼーションによって溶解し、酵素を上澄み液 中に放出する。この上澄み液は、塩及び他の小さな分子を取り除くためにダイア フィルトレーションを施される。しかし、このステップでは、自由であり、負に 荷電した分子の形態で結合していないものだけが取り除かれる。これらの荷電し た化学種の結合形態は、上澄み液を、強くて高容量のアニオン交換樹脂−含有カ ラムに通すことによって取り除かれる。そのような樹脂の一例は、マクロプレッ プTM・ハイQ樹脂(Macro-PrepTM High Q resin)(バイオ−ラド(Bio-Rad)、メル ビル(Melville)、N.Y.)である。他の強力で高容量のアニオン交換カラムも 好適である。ジエチルアミノエチル(DEAE)リガンドを持つ弱いアニオン交 換体でもよいが、あまり効果的ではない。同様に、低容量樹脂でもよいが、やは り有効ではない。負に荷電した分子はカラムに結合するが、酵素はカラムを通り 抜ける。また、いくつかの無関係で好ましくないタンパク質もカラムに結合する ことがわかった。 次に、アニオン交換カラムからの溶離液は、直接カチオン交換樹脂−含有カラ ムに入れられる。そのような樹脂の例として、S−セファロースTM(S-SepharoseTM )(ファーマシア(Pharmacia)、ピスカタウェイ(Piscataway)、N.J.)及び マクロプレップ・ハイS(バイオ−ラド)が挙げられる。これら2つの樹脂の各 々を含むカラムは、カチオン交換を促進するために、それらに結合するSO3 -リ ガンドを有している。他のカチオン交換カラムも好ましい。酵素はカラムに結合 し、このカラムから酵素を放出することのできる溶媒で溶離される。 溶離には、溶液の導電性を向上させる任意の塩が好ましい。そのような塩の例 は、ナトリウム塩、及びカリウム塩及びアンモニウム塩を含む。適当な濃度の塩 化ナトリウム水溶液が好ましい。200mMの塩化ナトリウムを用いた溶離のス テップとして、0から250mMの塩化ナトリウムのような勾配が許容される。 塩化ナトリウム勾配溶離において、鋭いピークが観察された(図3)。従来の 方法に比較した酵素収率の向上が非常に顕著であった。組換えコンドロイチナー ゼI酵素は、99%の純度で、80−90%の収率で回収された。 タンパク質の純度は、SDS−PAGEゲルのバンドを走査することによって 測定した。ゲルの展開には4−20%勾配のアクリルアミドを用いた。ゲルの各 レーンでのバンドは、上述の方法を用いて走査した。 これらの改良は、酵素のカチオン交換カラムへの結合性の増大と直接関連して おり、それは、最初にアニオン交換カラムを通した結果である。比較実験におい て、カチオン交換カラムのみを用いた場合、酵素の1%しかカラムに結合しなか った。しかし、まずアニオン交換カラムを用いると、95%以上の酵素がカラム に結合した。 本発明の第1の実施態様で得られた高い純度と収率は、大きなスケールでのコ ンドロイチナーゼI酵素の製造を実現に近づける。 本発明のこの態様の第2の実施態様では、第1の実施態様のダイアフィルトレ ーション工程の前に2つの付加的工程が挿入される。上澄み液は、設計した酵素 が析出するように酸性溶液で処理される。ペレットを回収し、アルカリ性溶液中 に溶解して酵素を再び塩基性環境にする。次いでこの溶液をダイアフィルトレー ションにかけ、本発明の第1の実施態様の引き続く工程を行う。 本発明の第2の実施態様についての比較実験において、カチオン交換カラムの みを用いた場合、5%の酵素しかカラムに結合しない。しかし、最初にアニオン 交換カラムを用いたときは、実質的に100%の酵素がカラムに結合した。この 第2の実施態様は、本発明の第1の実施態様に匹敵する純度と収率で酵素を提供 する。 酸による析出は、可溶で残っているタンパク質を取り除くが、これらのタンパ ク質は、引き続くカチオン及びアニオン交換工程では(小さなカラムを用いても )取り除くことができない。この酸析出工程の利点は、溶解後のサンプル容量が 元の容量の約20%に減少するので、大きなスケールでもより容易に取り扱うこ とができることである。しかし、この第2の実施態様における酸析出及びアルカ リ溶解工程は、第2の実施態様が第1の実施態様より時間を消費することを意味 している。製造スケールでは、第2の実施態様による純度及び収率の僅かな向上 より、単純な方法で高純度のコンドロイチナーゼIを高収率で与える第1の実施 態様の方が優っているかもしれない。本発明の2つの実施態様のさらなる利点は 、酵素が90kDと18kDのフラグメントに切断されることが避けられること である。 本発明の2つの実施態様で産生した高純度の酵素を図4に示した。SDS−P AGEゲル写真には単一の鋭いピークが見られる。レーン1は第1の実施態様の 方法を用いた酵素であり、レーン2は第2の実施態様の方法を用いた酵素である 。(第3のレーンは精製前の宿主細胞からの上澄み液を示し、他の多くのタンパ ク質が存在している。レーン4は分子量標準物質を示している。) 天然のコンドロイチナーゼI遺伝子配列(SEQ ID NO:1)またはシグ ナル配列を含む修飾したコンドロイチナーゼI遺伝子配列(SEQ ID NO: 3)を従来の遺伝子工学技術を用いて再生するために、ATCCに供託された物 質もここに開示した配列とともに用いられる。 コンドロイチン硫酸で感染した後のP.ブルガリスにおける天然のコンドロイ チナーゼI酵素の産生は、高収率の酵素を提供せず、酵素は、存在する全タンパ ク質の約0.1%である。シグナル配列を欠く組換え構造体をE.coliで用 いたとき、全タンパク質の約15%がコンドロイチナーゼI酵素である。 コンドロイチナーゼI遺伝子について記載した3つのDNA配列(SEQ I D NO:1、2、及び3)に加えて、さらに本発明は、余分な遺伝子コードに よって、酵素をエンコードする配列と生物学的に等価なDNA配列からなる。即 ち、これらの他のDNA配列は、ここで説明したものとは異なるヌクレオチド配 列によって特徴づけられるが、ここで説明したDNA配列によってエンコードさ れるものと同じアミノ酸配列を持つ酵素をエンコードする。 特に、本発明は、これらのDNA配列が、SEQ ID NO:1、3または4 の配列と十分に重複しているので、サンブルーク等(Sambrook et al.)(11) に開示されているような標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で 、それらによるハイブリダイゼーションを可能にし、それによって生物学的に活 性な酵素が産生される。 また本発明は、コンドロイチナーゼI酵素とは異なるが、酵素について記載し たもの(SEQ ID NO:2及び5)と生物学的に等価なアミノ酸配列をエン コードするDNA配列からなる。それらの配列が、酵素配列からの僅かな欠失ま たはその保存的置換によってのみ異なり、その配列の三次元構造が酵素の三次元 構造を実質的に変化させないようならば、そのようなアミノ酸配列は、酵素のア ミノ酸配列と生物学的に等価であると言われる。 例えば、アミノ酸アラニン、親水性アミノ酸のコドンは、グリシンのようなよ り親水性の低い残基、またはバリン、ロイシン、イソロイシンのようなより親水 性の高い残基をエンコードするコドンに置換してもよい。同様に、グルタミン酸 に対するアスパルチン酸のような負に荷電した残基を他の残基に、アルギニンに 対するリシンのような正に荷電した残基を他の残基に置換する変化、及び、ハイ ドロパシックインデックス(hydropathic index)の類似に基づく変化も、生物学 的に等価な生成物を提供すると予想される。タンパク質分子のN−末端またはC −末端部分の変化をもたらすヌクレオチドの変化も、タンパク質の活性は変化さ せないと予想される。提案した各々の修飾は、当業者の日常業務の範囲内であり 、エンコードされた生成物の生物学的活性の保持で定義される。従って、”コン ドロイチナーゼI遺伝子”または”コンドロイチナーゼI酵素”という用語が、 明細書及び請求の範囲において用いられているが、それらは、生物学的に等価な タンパク質を産生するすべての修飾物及び変形物を含むものと理解される。 コンドロイチナーゼII遺伝子のクローニング及び発現の出発点は、P.ブル ガリスから得た天然の成熟したコンドロイチナーゼIIタンパク質の部分的アミ ノ酸配列である。成熟した天然のコンドロイチナーゼIIタンパク質のN−末端 配列は、以下の22アミノ酸を含むことがわかった。 Leu−Pro−Thr−Leu−Ser−His−Glu−Ala−Phe− Gly−Asp−Ile−Tyr−Leu−Phe−Glu−Gly−Glu− Leu−Pro−Asn−Thr(SEQ ID NO:40、アミノ酸1−22 ) コンドロイチナーゼI遺伝子をエンコードする領域について上で決定したヌク レオチド配列は、さらに、翻訳停止コドンを越える約800塩基対を含む(SE Q ID NO:1及び39、ヌクレオチド3185−3980)。この領域の検 査により、ヌクレオチド3307と3372の間の配列(SEQ ID NO:1 及び39)が、天然のコンドロイチナーゼIIの最初の22アミノ酸と同じ順序 の同じ22のアミノ酸をエンコードする。 さらに、ATG開始コドン(SEQ ID NO:1及び39、ヌクレオチド3 238−3240)は、この領域の上流側で、枠内に見い出され、この遺伝子が 、 コンドロイチダーゼIIをエクスポートするための23アミノ酸のシグナルペプ チド配列(SEQ ID NO:40、アミノ酸1−23)で発現されることを示 している。シャイン・ダルガーノ配列(AGGA;SEQ ID NO:1及び3 9、ヌクレオチド3225−3228)は、開始コドンの上流に見られ、p.ブ ルガリスのコンドロイチナーゼ酵素の110kD及び112kD形態がともに単 一のメッセンジャーRNAの一部として発現されることを示唆している。 このATGから始まるコーディング配列は、元々はSEQ ID NO:1に続 いていないと見られていた。これは、終止コドン(TAA)が、3607−36 09と決定された塩基対における枠内に存在すると考えられたからである。しか し、配列データを再検討した結果、1つの残基が見落とされ、最初に決定された 3593と3594のヌクレオチドの間にTを挿入しなければならないことが明 らかになった。この変化はSEQ ID NO:39の末端まで延長された読み取 り枠を修復する(SEQ ID NO:1及び39は、ヌクレオチド3594とし て挿入されたTを含む)。(よって、塩基対3608−3610における塩基対 における3つの塩基TAAは、正しく番号付けされており、終止コドンを構成し ない。) この情報が明らかになったので、P.ブルガリスのコンドロイチナーゼII遺 伝子のクローニング及び発現は、3つの工程で実施される。第1の工程では、N −末端配列が知られているので、部位−特異的突然変異誘発が施される。これは 、この遺伝子をコンドロイチナーゼI遺伝子に用いた(上述の)T7ベースの設 計した発現ベクターpET9A中に、結局は直接配置するために必要である。突 然変異誘発した塩基は、コーディング領域の上流である(AT配列(SEQ I D NO:1及び39、塩基対3235及び3236)は、CA配列に置換され る)。 第2の工程は、第1の工程と平行して行うことができるが、コンドロイチナー ゼII遺伝子のC−末端コーディング領域を含むことになる適当なDNAフラグ メントの同定、単離及びDNA配列分析を含む。得られるDNA配列情報は、1 000と見積もられる全コンドロイチナーゼIIタンパク質のうちの約220の アミノ酸を説明するのに十分である。従って、誤ったコーディング配列は、SE Q ID NO:1の末端を越えて、あと2400塩基対延長される。 第3の工程は、開始コドンをNdeI部位の一部として含み、それに続いてコ ーディング領域の下流にBamHI部位を含むように修飾されたコンドロイチナ ーゼIIの完全な遺伝子のアセンブリ(assembly)を含む。これにより、さらに修 飾すること無しに、この遺伝子をpET9A発現ベクター(ノバゲン、マディソ ン、WI)中に挿入することが可能になる。 全体的にアセンブルされた遺伝子の配列分析により、ヌクレオチド3238− 3240に開始コドンが存在し、このコドンが、ヌクレオチド3238−330 6におけるシグナルペプチドのコーディング領域、ヌクレオチド3307−62 76における成熟タンパク質のコーディング領域、及びヌクレオチド6277− 6279の終止の出発点を表していることが確認された(SEQ ID NO:3 9)。この配列を翻訳すると1013のアミノ酸となり、その最初の23のアミ ノ酸はシグナルペプチドであり、24−1013の番号の残基において、990 のアミノ酸が成熟コンドロイチナーゼIIタンパク質を構成する(SEQ ID NO:40)。この構成において、シグナルペプチドは保持されるので、発現さ れた遺伝子は、処理されて分泌され、N−末端にロイシン残基を持つ成熟した天 然の酵素構造体を産生する。 後述の実施例13で述べるように、コンドロイチナーゼIIタンパク質をエン コードする遺伝子は、pET9Aに挿入され、得られた組換えプラスミドをLP2 1359と称する。次いでこのプラスミドは、(コンドロイチナーゼI遺伝子 の発現にも用いた)E.coliB株BL21/(DE3)/pLysSといっ た適当な発現宿主細胞を形質転換するために用いられる。 組換えプラスミドLP21359を持つBL21(DE3)pLysSである TD112と称されるE.coliB株のこのサンプルは、出願人によって、1 994年4月6日に、米国、メリーランド20852、ロックビル、パークロウ ンドライブ12301の、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに供 託され、ATCCアクセス番号69598で登録された。 供託された宿主細胞を用いたコンドロイチナーゼII酵素の発現は、天然の( 非−組換えの)P.ブルガリスを入れた同じサイズの発酵容器で可能な酵素の量 の約25倍の酵素を産生した。 コンドロイチナーゼI酵素の発現の後、宿主細胞からの上澄み液は、酵素を単 離し精製するために処理される。2つのタンパク質が実質的に同じ等電点と類似 の分子量を持っているので、組換えコンドロイチダーゼIタンパク質を単離し精 製するための上述した第1の方法は、組換えコンドロイチナーゼIIタンパク質 を単離し精製するために修正され、以下に述べるように修飾される。 方法の修正の必要性は、組換えコンドロイチナーゼIIタンパク質が、組換え コンドロイチナーゼIタンパク質の約数分の一倍のレベルで発現されるという事 実に基づいている。従って、最終的にコンドロイチナーゼIタンパク質に匹敵す る純度でコンドロイチナーゼII生成物を得るためには、より強力で選択的な解 決策が必要である。 コンドロイチダーゼIIタンパク質に対する方法の最初の数工程は、コンドロ イチナーゼIタンパク質を単離、精製するのに用いた工程と同じである。最初に 、コンドロイチナーゼII酵素を発現する宿主細胞をホモジェナイゼーションに よって溶解し、酵素を上澄み液中に放出する。この上澄み液は、塩及び他の小さ な分子を取り除くためにダイアフィルトレーションを施される。しかし、このス テップでは、自由であり、負に荷電した分子の形態で結合していないものだけが 取り除かれる。これらの荷電した化学種の結合形態は、上澄み液を、強くて高容 量のアニオン交換樹脂−含有カラムに通すことによって取り除かれる。そのよう な樹脂の一例は、マクロプレップTM・ハイQ樹脂(バイオ−ラド、メルビル、N .Y.)である。他の強力で高容量のアニオン交換カラムも好適である。ジエチ ルアミノエチル(DEAE)リガンドを持つ弱いアニオン交換体でもよいが、あ まり効果的ではない。同様に、低容量樹脂でもよいが、やはり有効ではない。負 に荷電した分子はカラムに結合するが、酵素はカラムを通り抜ける。また、いく つかの無関係で好ましくないタンパク質もカラムに結合することがわかった。 次に、アニオン交換カラムからの溶離液は、直接カチオン交換樹脂−含有カラ ムに入れられる。そのような樹脂の例として、S−セファロースTM(ファーマシ ア、ピスカタウェイ、N.J.)及びマクロプレップ・ハイS(バイオ−ラド) が挙げられる。これら2つの樹脂の各々を含むカラムは、カチオン交換を促進す るために、それらに結合するSO3 -リガンドを有している。他のカチオン交換カ ラムも好ましい。酵素はカラムに結合するが、混ざったタンパク質の大部分はカ ラムに結合しない。 この時点で、方法はコンドロイチナーゼIタンパク質に用いた方法から離れる 。カチオン交換カラムから酵素を放出できる非−特異的な塩溶液でタンパク質を 溶離するのではなく、コンドロイチン硫酸を含む溶液を用いて特異的に溶離する 。 この方法は、正に荷電したコンドロイチナーゼIIタンパク質が、負に荷電し たコンドロイチン硫酸に対して有する親和性を利用している。この親和性は、正 と負との相互作用のみによって説明される親和性より大きい。これは、抗原−抗 体、リガンド−レセプター、補因子−タンパク質、及び阻害剤/活性剤−タンパ ク質といった高い親和性を持つ他の特異的な生物学的相互作用と同様の、酵素− 基質相互作用である。従って、コンドロイチン硫酸は、負に荷電した樹脂から酵 素を溶離させることができる。一方、樹脂−酵素相互作用は、単純な正と負の相 互作用である。 親和性溶離クロマトグラフィーは、イオン−交換クロマトグラフィーと同じ程 度に簡単に行えるが、塩による溶離とは異なって溶離が特異的である。よって、 親和性クロマトグラフィー(特異性)、及びイオン−交換クロマトグラフィー( 低コスト、容易な操作、再使用性)の両方の利点を有している。 他の利点は、溶離液が低導電性(塩溶液の約5%)であることであり、塩を用 いたときのようなダイアフィルトレーション/透析工程を経ずに、さらなるイオ ン−交換クロマトグラフィーを行うことが可能になる。このことは、コンドロイ チナーゼIタンパク質の方法では思いつかないことである。なぜならば、純粋な コンドロイチナーゼIタンパク質を得るためには、さらなるイオン−交換クロマ トグラフィーが必要とされないからである。 組換えコンドロイチナーゼIの精製方法を用いない他の理由がある。コンドロ イチナーゼIの塩溶離精製法を用いて得たコンドロイチナーゼIIが不安定であ り、4℃でも1週間でかなりの分解が生ずることである。一方、親和性溶離を用 いて得たコンドロイチナーゼIIは安定である。安定性におけるこの相違の理由 はわかっていない。しかし、塩溶離によって得たコンドロイチナーゼIは安定で ある。 次に、カチオン交換カラムをリン酸バッファーで洗浄し、結合していないタン パク質を溶離させる。続いてほう酸バッファーで弱く結合した汚染タンパク質を 溶離し、樹脂のpHを基質、コンドロイチン硫酸、を用いてコンドロイチナーゼ IIタンパク質を溶離するのに最適な値まで上昇させる。 次いで、pH9.0の調整したコンドロイチン硫酸水溶液を用いて、鋭いピー ク(65%回収)及び約95%の高純度で、コンドロイチナーゼIIを溶離した 。1%の濃度のコンドロイチン硫酸を用いた。この溶液の勾配も使用できる。 コンドロイチン硫酸は、コンドロイチナーゼIIに対して、カラムの樹脂に対 するよりも強い親和性を持っているので、このコンドロイチン硫酸もタンパク質 とともに溶離される。このことは、コンドロイチン硫酸を認識するタンパク質の みが溶離されるので好ましいが、コンドロイチン硫酸をコンドロイチナーゼII から分離する工程がさらに必要とされることを意味している。 この分離工程において、溶離液は中性pHに調整され、マクロ−プレップTMハ イQ樹脂のようなアニオン交換樹脂−含有カラムに入れられる。カラムは、リン 酸バッファーで洗浄される。コンドロイチン硫酸はカラムに結合するが、コンド ロイチナーゼIIは、95%以上の回収率で非結合プールをに流れ込む。この時 点で、唯一の僅かなコンタミナントである約37kDを除いては、タンパク質は 純粋である。このコンタミナントは、コンドロイチナーゼIIタンパク質の分解 生成物であると思われる。 このコンタミナントは、結晶化工程によって効率的に取り除かれる。アニオン 交換カラムからの溶離液は、濃縮され、4℃程度の低温に数日維持されて、純粋 なコンドロイチナーゼIIが結晶化される。上澄み液は37kDコンタミナント を含んでいる。遠心分離によって結晶をペレット状にし、37kDのコンタミナ ントを含む上澄み液をピペットで除去する。洗浄した結晶は、99%以上の純度 のコンドロイチナーゼIIタンパク質からなる。 コンドロイチナーゼIIタンパク質に関する本発明のこの態様の第2の実施態 様では、第1の実施態様のダイアフィルトレーション工程の前に2つの付加的工 程が挿入される。上澄み液は、望まれる酵素が析出するように酸性溶液で処理さ れる。ペレットを回収し、アルカリ性溶液中に溶解して酵素を再び塩基性環境に する。次いでこの溶液をダイアフィルトレーションにかけ、本発明の第1の実施 態様の引き続く工程を行う。 酸による析出は、可溶で残っているタンパク質を取り除くが、これらのタンパ ク質は、引き続くカチオン及びアニオン交換工程では(小さなカラムを用いても )取り除くことができない。この酸析出工程の利点は、溶解後のサンプル容量が 元の容量に比較して減少するので、大きなスケールでもより容易に取り扱うこと ができることである。しかし、この第2の実施態様における酸析出及びアルカリ 溶解工程は、第2の実施態様が第1の実施態様より時間を消費することを意味し ている。製造スケールでは、第2の実施態様による純度及び収率の僅かな向上よ り、単純な方法で高純度のコンドロイチナーゼIIを高収率で与える第1の実施 態様の方が優っているかもしれない。 コンドロイチン硫酸で感染した後のP.ブルガリスにおける天然のコンドロイ チナーゼII酵素の産生は、高収率の酵素を提供せず、酵素は、存在する全タン パク質の約0.1%である。組換え構造体をE.coliで用いたとき、全タン パク質の約2.5%がコンドロイチナーゼII酵素である。 コンドロイチナーゼII遺伝子について記載したDNA配列(SEQ ID N O:39)に加えて、さらに本発明は、余分な遺伝子コードによって、酵素をエ ンコードする配列と生物学的に等価なDNA配列からなる。即ち、これらの他の DNA配列は、ここで説明したものとは異なるヌクレオチド配列によって特徴づ けられるが、ここで説明したDNA配列によってエンコードされるものと同じア ミノ酸配列を持つ酵素をエンコードする。 特に、本発明は、これらのDNA配列が、SEQ ID NO:39の配列と十 分に重複しているので、サンブルーク等(11)に開示されているような標準的 な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で、それらによるハイブリダイゼ ーションを可能にし、それによって生物学的に活性な酵素が産生される。 また本発明は、コンドロイチナーゼII酵素とは異なるが、酵素について記載 したもの(SEQ ID NO:40)と生物学的に等価なアミノ酸配列をエンコ ードするDNA配列からなる。それらの配列が、酵素配列からの僅かな欠失また はその保存的置換によってのみ異なり、その配列の三次元構造が酵素の三次元構 造を実質的に変化させないようならば、そのようなアミノ酸配列は、酵素のアミ ノ酸配列と生物学的に等価であると言われる。 例えば、アミノ酸アラニン、親水性アミノ酸のコドンは、グリシンのようなよ り親水性の低い残基、またはバリン、ロイシン、イソロイシンのようなより親水 性の高い残基をエンコードするコドンに置換してもよい。同様に、グルタミン酸 に対するアスパルチン酸のような負に荷電した残基を他の残基に、アルギニンに 対するリシンのような正に荷電した残基を他の残基に置換する変化、及び、ハイ ドロパシックインデックスの類似に基づく変化も、生物学的に等価な生成物を提 供すると予想される。タンパク質分子のN−末端またはC−末端部分の変化をも たらすヌクレオチドの変化も、タンパク質の活性は変化させないと予想される。 提案した各々の修飾は、当業者の日常業務の範囲内であり、エンコードされた生 成物の生物学的活性の保持で定義される。従って、”コンドロイチナーゼI遺伝 子”または”コンドロイチナーゼI酵素”という用語が、明細書及び請求の範囲 において用いられているが、それらは、生物学的に等価なタンパク質を産生する すべての修飾物及び変形物を含むものと理解される。 もし望むならば、当業者は、2つの供託物からのDNAの断片を、例えばHi nd III部位においてともにリゲートし、コンドロイチナーゼIのコーディン グ配列の上流のT7プロモーターの制御下で、コンドロイチナーゼI及びコンド ロイチナーゼIIの両方を発現させてもよい。 本発明をさらに良く理解するために、以下の実施例を説明する。これらの実施 例は例示することのみを目的とし、本発明の範囲を何ら限定するものではない。 実施例 標準的な分子生物学の技術を、サンブルーク等のプロトコールに従って利用した 。 実施例1 P.ブルガリスのゲノミックDNAの単離 及びE.coliにおけるコスミドバンクの構成 大きなスケール(1000リットル)のP.ブルガリスの発酵の2つの35m lのアリコート(A及びBと称する)を得て遠心分離した。両方のペレットを4 mg/mlの卵白リゾチーム(lysozyme)を含む0.05Mグルコース−0.02 5Mトリス−HCl−0.01MEDTA(pH8)の7mlに再懸濁させた。 37℃で30分間インキュベートした後、7mlの1%SDS−0.16MED TA−0.02MNaCl(pH8)をサンプル”A”に添加し、さらに37℃ でインキュベートを続けた。 最初のリゾチーム処理の後、サンプル”B”は遠心分離し、細胞ペレットを、 40μg/mlのDNAase無しのRNAaseを含む0.05Mグルコース −0.025Mトリス−HCl−0.01MEDTA(pH8)の7mlに取り 込み、この再懸濁物に7mlの1%SDS−0.16MEDTA−0.02MN aCl(pH8)を添加した。最後に、両方のサンプルに、プロテイナーゼK( ベーリンガー・マンハイム、インディアナポリス、IN)を、最終濃度が100 μg/mlとなるように添加して、37℃で終夜インキュベーションを続けた。 次の日、サンプルを等容(14ml)の平衡したフェノールで抽出し、次いで 7mlのフェノールで2回抽出し、7mlのクロロホルムを添加して混合し、最 後に遠心分離して2相を分離した。DNAは、1/4容量の5M酢酸アンモニウ ムと0.6容量のイソプロパノールを加えて析出させて遠心分離した。ペレット にしたDNAを70%(容量/容量)エタノールでリンスし、真空乾燥して、1 mlのTE(0.01Mトリス−HCl−0.01MEDTA、pH7.4)に 再懸濁した。260nmでの紫外線吸収で決定したところ、サンプル”A”の核 酸濃度は1.2mg/mlであり、サンプル”B”では1.3mg/mlであっ た。 コスミドベクターへの挿入に適したサイズ(約25−35キロベース(kb) )の断片を生ずるゲノミックDNAのフラグメンテーション(fragmentation)は 、制限エンドヌクレアーゼSau3Aを用いた部分的消化によって行った。2つ の0.2mlの反応を用意し(一方は調製(preparation)”A”、他方は調製” BからのDNA”)、各々は、100μgのP.ブルガリスのゲノミックDNA 、0.1MのNaCl、0.01MのMgCl2、0.01Mのトリス−HCl (pH7. 5)及び80単位の酵素Sau3Aを含んでいる。 37℃でインキュベートを行い、適当な時間(5、6、7、8、9、10、1 1及び20分)に、25μlのアリコートを取り出して25μlの0.2MED TA(pH8)を加えた。個々のサンプルは70℃に加熱し、寒天ゲルでのサイ ズ分布分析のために10μlを取り出した。調製”A”の5分間のSau3A消 化で得たサンプル、及び調製”B”の6分間で得たサンプルを、後の実験に使用 した。 各々の場合において、選択した部分的消化の(4μl、約2μg)のアリコー トを、コスミドベクターDNAの適当な”左”及び”右”の腕に、0.066M のトリス−HCl(pH7.4)、0.01MのMgCl2、0.001MのA TP、及び400単位のT4DNAリガーゼ(製造者(ニュー・イングランド・ バイオラブス(New England Biolabs)、ベバリー(Beverly)、MA)によって決定 された単位)を含む10μlの反応物中で、各々約1μg及び2μgを用いてリ ゲートした。11℃で終夜インキュベートした。コスミドの”左”及び”右”腕 は、適当なサイズにされたP.ブルガリスDNAの断片とリゲートしたとき、約 35−50kbの組換え分子からなるDNAフラグメントである。両方の腕は、 次の工程のパッケージング酵素に認識される”コス(cos)”部位を有している。 さらに、両方の腕は、複製の基及びpIBI24(インターナショナル・バイオ ケミカル・インク(International Biochemical Inc.)、ニューヘブン(New Haven )、CT)のアンピシリン耐性機能を有している。 上記の各々のリガーゼ反応は、λパッケージング抽出(パッカゲン(PackageneTM )、プロメガ社(Promega Corp.)の登録商標、マディソン、WI)の1つの管に 添加され、室温で2時間反応が行われるが、その時点で、0.5mlのPDB( 0.1MのNaCl−0.01Mトリス−HCl(pH7.9)−0 01Mの MgCl2)及び引き続いて0.05mlのクロロホルムが添加される。従って 、パッケージされたDNAの各管は、P.ブルガリスのゲノミック遺伝子バンク である。 この構成方法は、感染粒子のプールを生ずる(即ち、λ相のヘッドが約25か ら35kbのP.ブルガリスDNAに結合したコスミドベクターで満たされてい る)ので、可能なクローン化は、パッケージされた物質のアリコートを適当な敏 感なE.coli宿主株に吸着させることによって定量化され、発芽後生育の後 、混合物を選択した媒質にプレーティング(plating)した。 例えば、20−10−5媒質で生育したE.coli株ER1562(ニュー ・イングランド・バイオラブス、ベバリー、MA)の終夜培地を、新鮮な媒質( 1%のマルトースを加えた20−10−5)中で1:20に希釈し、37℃で3 時間生育した。次いで細胞(1ml)を遠心分離し、PDB(0.2ml)で再 懸濁し、0.02mlの適当な遺伝子バンクを添加した。37℃で20分間吸着 させた後、サンプルを20−10−5媒質で2mlに希釈し、37℃で30分生 育した。次いで、培地を、100μg/mlのアンピシリンを含む20−10− 5プレートに広げ、37℃で終夜インキュベートした後にコロニーを数えた。そ の結果、PV1−GB及びPV2GBと称する2つのサンプル中に、約68,0 00及び95,000の感染粒子(可能なコスミドクローン)があることが示さ れ、これらのサンプルは、各々P.ブルガリスゲノミックDNAの”A”及び” B”の調製に対応する。 さらに、上記のように、2つの異なるコスミドベクターを用いて4つのP.ブ ルガリス遺伝子バンクを調製した。これらの2つのコスミドは、上記のベクター とは異なり、一方では、アンピシリン耐性ではなくカナマイシン耐性決定因子を 用い、他方では、pIBI24ではなくpBR322(ニュー・イングランド・ バイオラブス、ベバリー、MA)の複製機能を用いた。これら4つの”ライブラ リー”は、L1974、L1975、L1976及びL1977と称し、各々、 約18,000(ampr)、34,000(ampr)、13,000(kanr )及び15,000(kanr)の成分を含む。これら6つの遺伝子バンク各々 のアリコートは、P.ブルガリスのコンドロイチナーゼI遺伝子の存在について スクリーンされた(以下参照)。 実施例2 ハイブリダイゼーションプローブとして用いるための コンドロイチナーゼI遺伝子の本物の断片を産生することを目指したPCR実験 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(5)は、オリゴヌクレオチドプライマー間 にあるDNA配列を幾何学的に増殖させることができ、それは、インビトロでD NAポリメラーゼによって延長されうる。これらの実験に用いられる酵素はTa DNAポリメラーゼ(サーマスアクアチクス(Thermus aquaticusを起源として 単離されたもの)であり、それは耐熱性が高く、94℃で行われるDNA変性の 繰り返し工程でも生き残れるので好ましい。 この方法を有効に利用するためには、用いるオリゴヌクレオチドは、標的配列 即ちP.ブルガリスコンドロイチナーゼI遺伝子にできるだけ近い配列を持って いる必要がある。その配列の近似は、限られた入手可能なアミノ酸配列データか ら導かれる。遺伝子コードの縮重による配列の不確定性を最小にするために(与 えられたアミノ酸は6つまでのコドンでエンコードされうる)、最初の近似は、 最小の縮重を含むアミノ酸配列を選択することである。例えば、P.ブルガリス コンドロイチナーゼI遺伝子のアミノ末端配列には、以下の一連のアミノ酸が存 在する。His-Phe-Ala-Gln-Asn-Asn-Pro(SEQ ID N O:2、アミノ酸43−49)。 このアミノ酸配列は、5’-CAY-TTY-GCN-CAR-AAY-AAY-C CN-3’(SEQ ID NO:6)で表される512の異なるヌクレオチド配 列でエンコードされうる。ここで、Rはプリン(AまたはG)、Yはピリミジン (CまたはT)を表し、Nは、この位置において、4つのヌクレオチド(A、T 、G、またはC)の任意のひとつが、示されたアミノ酸配列をエンコードできる ヌクレオチド配列を構成することを示している。ひとつの可能なアプローチは、 以下に示される全部で512の異なるヌクレオチドを含むヌクレオチド混合物を 合成することであろう。 このような混合物をPDRに用いることは有効であるが、他のアプローチは、 各々がヌクレオチド配列の相対的に小さいセットからなる多数のオリゴヌクレオ チド混合物を用いることである。これをさらに簡単にするために、PCRプライ マーにおける不一致のヌクレオチドは、プライマーの3’−末端より5’−末端 のほうが連続性が低いという観察(7)の利点を取り入れた。これらの基準を用 いて、8つのヌクレオチドのセット(各々は4つの唯一の配列からなる)を設計 した。ここで、ヌクレオチドの個々のセットは以下の配列を持つ。 これらのプールのうちのひとつは、(3−末端から数えて)最初の11のヌク レオチドに完全に一致する。さらに、4つのヌクレオチドのこのプール内では、 最初の14ヌクレオチドが完全に一致する。このことは、コンドロイチナーゼI 遺伝子に無関係なPCR生成物を生じさせる不完全な一致を見分ける緊縮アニー ル条件を用いることを可能にするので重要である。 これらのPCR実験で用いられるべきオリゴヌクレオチドを設計する上での更 なる補助は、P.ブルガリスの110kDコンドロイチナーゼ酵素が、タンパク 質分解的切断に過敏な領域を残した構造を有しているという観察結果によっても たらされる。この加水分解の結果によると、通常約110kDのタンパク質が、 18kD及び妬く90kDの2つの優勢な断片に分裂する。”110kD”のタ ンパク質及び”18kD”フラグメントのアミノ−末端配列は同一であったが、 ”90kD”は異なることがわかった。 ”18kD”ペプチドは、シアノゲンブロミド及びトリプシンでの処理でさら に分割され、PCR用のオリゴヌクレオチドを設計するためのさらに多くの情報 を与える。”18kD”及び”90kD”領域からのこの情報は、これらのアミ ノ酸配列の位置が互いに関連し、元のタンパク質のN−末端配列が良好に決定さ れることからも価値がある。実際に、”110kD”及び”90kD”本体のN −末端をエンコードする領域間のヌクレオチド間隔は、約400−500bpと 予想される。 さらに考慮した後、オリゴヌクレオチドのプールのさらに2つのセットを設計 した。最初の8つのオリゴヌクレオチドは1本のオリゴヌクレオチド鎖をハイブ リダイズし、インビトロDNA合成の間に、それらは”90kD”N−末端コー ディング配列に延長される。さらに、 ”18kD”ペプチド内及び”90kD”ペプチドのN−末端からのアミノ酸配 列に対応するオリゴヌクレオチドは、アニールされてP.ブルガリスの相補的D NA鎖となるように、インビトロで元のタンパク質のN−末端をエンコードする 領域に延長するように設計しなければならない。 この方法で、オリゴヌクレオチドは、コンドロイチナーゼI遺伝子のN−末端 領域をエンコードするP.ブルガリス染色体の領域を有効に”ブラケット(brack et)”する。PCR方法論が、このブラケットした領域を増殖する非常に大きな 可能性を提供するのは意味のないことである。理論では、30回のPCRサイク ルで、このDNAセグメント(segment)のコピーが10億単位で増加される。こ のことは、テンプレートとしてのP.ブルガリスのゲノミックDNAの使用量が 非常に少なくても、可能性として、マイクログラム量の合成生成物を産生するこ とができ、それらは容易に可視化され、単離されてクローニングされる。 上記の論理を用いて、オリゴヌクレオチド混合物が、”18kD”ペプチド内 に見られる次のアミノ酸配列に基づいて設計された。Glu-Ala-Gln-A la-Gly-Phe-Lys(SEQ ID NO:2、アミノ酸138−144 )。このヘプタペプチドは、以下のヌクレオチド配列でエンコードされる。 従って、相補的鎖は以下の配列を持っている。 上述の8つのオリゴヌクレオチドの最初のセットにたいするのと同様の基準を 用いて、さらに8つのオリゴヌクレオチドのセット(16の唯一の配列からなる )を設計した。ここで、オリゴヌクレオチドの個々のセットは以下の配列を持つ 。 上記のオリゴヌクレオチド1−8とは異なり、配列交換(permutation)の数を 減少させるため、オリゴヌクレオチド9−16の5’末端からひとつの塩基を取 り除いた。 この場合、ひとつのプールが、3’−末端において最初の8つのヌクレオチド と完全に一致するが、この同じプールの50%は、コンドロイチナーゼIをエン コードするP.ブルガリスのゲノミックDNAと完全に一致する11−ヌクレオ チドを有する。 オリゴヌクレオチド混合物の第3のセットについて、”90kD”ペプチドの N−末端アミノ酸配列の一部として得られた以下のアミノ酸配列を用いた。Gl y-Ala-Lys-Val-Asp-Ser(SEQ ID NO:2、アミノ酸1 89−194)。このヘキサペプチドは、下記のヌクレオチド配列によってエン コ ードされる。 または この配列の補体は、下記の通りである。 または これらの可能な配列は、下記のオリゴヌクレオチド混合物を用いて表される。 上記のオリゴヌクレオチド1−8とは異なり、配列交換の数を減少させるため 、オリゴヌクレオチド17−24の5’末端からひとつの塩基を取り除いた。 この場合、ひとつのオリゴヌクレオチド混合物は、その成分の半分が最初の8 つのヌクレオチドと3’−末端において完全に一致し、プールのオリゴヌクレオ チドの1/4が、3’−末端において11のヌクレオチドと完全に一致する。 これらの24のオリゴヌクレオチド混合物は、バイオシンセシス・インク(Bio synthesis Inc.)(デントン(Denton)、TX)から、十分に保護を外し、精製し 、親油化したサンプルとして購入した。各場合(オリゴヌクレオチド#20を除 く)において、5O.D.単位の合成DNAを得た。これを0.5mlの水に再 懸濁し、マイクロリットル当たり50−60ピコモル(pmoles)のオリゴヌクレオ チドを含む溶液を作製した。残りのサンプル(オリゴ留暮れ落ち度#20)は、 15O.D.を含み、1mlの水に再懸濁して約90pmole/μlの溶液を得た 。 典型的な50μlのPCR反応は、テンプレートとして約20ngのP.ブル ガリスのゲノミックDNA;各々200μMのdATP、dGTP、dCTP、 dTTP;50mMのKCl;10mMのトリス−HCl(pH8.4);1. 5mMのMgCl2;0.01%のゲラチン;2.5単位のAmpli−TaqT M DNAポリメラーゼ(パーキン−エルマー/セタス(Perkin-Elmer/Cetus)、ノ ルウォーク(Norwalk)、CT);及び50ピコモルの試験すべき各オリゴヌクレ オチドプールを含んでいる。反応は、無機オイル(プラウフ(Plough))をかぶせ て、パーキン−エルマー/セタスのサーマルサイクラーTM(ThermalcyclerTM)内 でインキュベートした。 各サイクルで、方法は、テンプレートDNAを94℃で1.25分間変性し、 オリゴヌクレオチドプライマーを、変性したテンプレートに60℃または62℃ で1分間アニールし、これらのプライマーを72℃で2.25分間DNA合成を 通して延長するようにプログラムされた。実験的増殖において、そのようなサイ クルを30回行った。生成物は、アリコートを、約0.5μg/mlのエチジウ ムブロミドを含む4%NuSieveTM(FMCバイオケミカルス(FMC BioChem icals)、ロックランド(Rockland)、ME)GTGゲルに、全強度または半強度の トリス−ホウ酸またはトリス−酢酸バッファーを用いて走らせることによって分 析した。これらのゲルは、通常は終夜に渡って約1V/cmで走らせ、赤色フィ ルター及びポラロイドタイプ57フィルムを用いて長波長UVトランスイルミネ ーター(transilluminator)上で写真に撮る。 PCR実験は、オリゴヌクレオチド#1−8(コンドロイチナーゼIの”11 0kD”アミノ−末端配列から導かれたもの)、プール#9−16(”18kD ”フラグメント内に含まれるペプチド配列から導かれたもの)、及びプール#1 7−24(”90kD”フラグメントのアミノ−末端配列から導かれたもの)の 間のペアワイズ(pairwise)の組み合わせを試験した。観察された最も有効な増殖 は、オリゴヌクレオチドプール#4と#18との間、#4と#9、10、11ま たは12との間であった。一般に、これらのプールと1つのヌクレオチドが異な る他のプールも同じ増殖を産生する。2つのヌクレオチドが異なると、実質的に 生成物が見られなかった。しかし、そのような差別化を促進するためにアニール 温度をわざと60−62℃に維持することを記憶しておくのは重要である。 オリゴヌクレオチドプール#4及び#18を用いたPCR増殖は、NuSie veTM寒天ゲルで30から700bpの範囲に広がるサイズ標準物質(MSP− 1で消化されたpBR322(ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバリー 、MA))との相対で見積もると約500bpである生成物を産生した。プール #9、10、11または12と組み合わせたオリゴヌクレオチドプール#4を使 用して得た生成物は、約350bpの長さであった。さらに、寒天ゲルから単離 した大きな生成物を、1000倍に希釈し、プライマーとして約350bpの生 成物を産生するオリゴヌクレオチドプール#4及及び#9を採用した第2のPC R反応におけるテンプレートとして使用した。即ち、小さなPCR生成物は、大 きな生成物から合成され、これらの配列がすべてP.ブルガリスのコンドロイチ ナーゼIから導かれたときに予想されるものと一致した。このことは、ゲノムの 設定した領域が増殖されことを示している。 大きなPCR生成物は、キアテックスTM(QuiatexTM)抽出法を用い、製造者の 指示(キアゲン(Quiagen)、チャットワース(Chatworth)、CA)に従って寒天ゲ ルから単離した。次いで単離したDNAに”フィル−イン(fill-in)”反応(1 1)を施し、TagDNAポリメラーゼが、テンプレートと無関係な反応でDN Aの3’末端に付加しがちな余分に突出したアデニン残基を取り除いた(12) 。単離したDNAはT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、PDR生成物の5 ’−末端にリン酸部位を付加して、ベクターDNAと結合するようにした。これ らの処理の後、PCR生成物は、PstIによって最初に連続的に消化されるポ リリンカー(IBI、ニュー・ヘブン、CT)を含む高度のコピーベクターであ るpIBI24にリゲートし、”フィルド−イン(filled-in)”して、ウシ腸ア ルカリ性 ホスファターゼ(ベーリンガー・マンハイム)で処理した。 ひとたびPCR生成物がpIBI24にクローニングされれば、プラスミドに 運ばれるポリリンカー内の制限部位によって、EcoRI−HindIIIフラ グメントとして取り除かれる。このフラグメントは、EcoRI及びHindI IIの両方によって切断され、ホスファターゼ処理された後、M13mp18及 びM13mp19(13;ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバリー、M A)の両方にクローン化される。これらの構造体に対応する1本鎖DNAが単離 され、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)(フォスター・シテ ィー(Foster City)、CA)装置及びTag配列キットを用いたDNA配列分析 を施される。結果は、大きなPCR生成物が455bpの長さであることを示す 。予想したとおり、フラグメントの末端はプライマーとして用いたオリゴヌクレ オチドプールから導かれた。 DNA配列は、例えば、12残基オリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:2 、アミノ酸133−144)を含む天然のコンドロイチナーゼIタンパク質自身 のアミノ酸配列分析によって得られたデータと一致する(ひとつの予想を下に示 す)中断していないアミノ酸配列に翻訳された。DNA配列(SEQ ID NO :2、アミノ酸71−78)から導かれる8残基のオリゴヌクレオチドも、先に 配列分析した天然のタンパク質のトリプシン消化とシアノゲンブロミド処理の組 み合わせから導かれたオリゴヌクレオチドと一致する。2つの配列の間の唯一の 食い違いは、成熟したタンパク質のアミノ酸残基#162(SEQ ID NO: 2、アミノ酸186)においてであり、ここではDNA配列がアルギニンをコー ドするが、天然のタンパク質配列はロイシンを示す。 一つのヌクレオチドの変更がロイシンコドン(CTT)をアルギニンコドン( CGT)に変化させるので、初期の解釈では、これは、インビトロ増殖工程の間 にTagDNAポリメラーゼによる完全な取り込みの正確さが欠けることから生 ずることを示唆している。しかし(下記参照)、後の結果は、天然の酵素の分析 によって得られるアミノ酸配列ではなく、DNA配列が正しいことを示している 。これらの結果は、実際に、”18kD”及び”90kD”フラグメントは、コ ンドロイチダーゼIタンパク質の隣接する断片であることを示し、それは主に、 成熟タンパク質の残基#157(Gln)と#158(Asp)の間(SEQ ID NO:2、アミノ酸181と182の間)で、(おそらく混ざったプロテ アーゼによって)切断されたものである。上記のすべての情報は、PCR増殖に よって生成されたクローン化されたDNA(少なくともオリゴヌクレオチドプラ イマーによってブランケットされた部分)が、本物のP.ブルガリスのコンドロ イチナーゼI遺伝子の一部を表し、従って、元の遺伝子を持つコスミドクローン を同定するためのプローブとして用いることができるという解釈を支持している 。 カルボキシル−末端のアミノ酸配列から導かれるプライマーに結合したタンパ ク質のアミノ−末端から導かれるオリゴヌクレオチドプライマーを採用すること によって、PCR増殖を用いて注目しているタンパク質をコーディングする遺伝 子全部を単離するのは可能であり、(それによって遺伝子バンクの構成及び下記 の他の工程の多くが避けられる)が、このアプローチには、問題が生じうる。P .ブルガリスコンドロイチナーゼIの場合、その問題とは、(1)配列分析され るタンパク質は、いずれかの末端で処理されない(例えば、分泌されたタンパク 質では真実でないらしい)、(2)PCR反応中のTagDNAポリメラーゼに よって表される正確さの欠如、及び(3)増殖されるべきDNAのブラケットさ れた領域が大きく、(約110kDの見かけの分子量から推定して)約3000 bpと予想されることを含む。従って、遺伝子バンクを構成するアプローチを選 択した。 実施例3 ラベルされたプローブの生成、コロニーハイブリダイゼーション及び P.ブルガリス遺伝子バンク起源の陽性のコスミドクローンの同定 P.ブルガリスコンドロイチナーゼI遺伝子のアミノ-末端コード部分付近の4 55bpに相当するクローン化PCR生成物を、制限エンコヌクレアーゼSal Iでの消化によりクローン化されるプラスミドDNAから放出した。これは、一 つのSalI部位がポリリンカー配列中に存在し、第2のSalI部位がクロー ン化PCR増幅生成物中に存在することの結果である(第2のSalI部位がオ リゴヌクレオチドプール#18のヌクレオチド配列の5’末端付近より誘導され ることは偶然である;実際のところ、P.ブルガリスコンドロイチナーゼI遺伝 子中にSalIそのものの認識部位はない)。約260μgのプラスミドDNA の総量をSalIとともに消化し、生成物をNuSieveTM GTGアガロー スゲル上での電気泳動により分離した。目的の約450bpのフラグメントは、 キアテックスTM抽出プロトコールを用いて単離した。この後、該フラグメントは 5〜15分間、95〜100℃に加熱して変性させ、続いてすばやく冷却した。 この後、変性されたフラグメントを200μl反応中、ジゴキシゲニンラベルし たDUTP(ベーリンガー・マンハイム、インディアナポリス、IN)でラベル した。 上記実施例1に記載の6つのP.ブルガリスのコスミド遺伝子バンクを、上述 のE.coli株ER1562を感染させるために用い、総計約10,000の コロニーが適切に選択された寒天培地上に得られた。これらのコロニーは、第3 の選択的寒天培地と同様に選択的アガー上の2枚のナイロン膜上に(総計50の 寒天培地上に)レプリカプリントした。一晩の保温の後、フィルター上のコロニ ーを、10%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び0.5MのNaOHで、 各5〜30分間連続的に処理することによって溶解した。この溶解したコロニー 起源の細胞は、1Mのトリス-HCl(pH7.4)で(2回)飽和させたシー ト上に置き、80℃での真空乾燥に先立ち、2×標準のクエン酸食塩水で飽和さ せた紙の上に置くことによって中性化した。この後、溶解したコロニー起源のD NAを膜上に固定した。 上記フィルタを、フィルター当たり少なくとも10mlの0.05Mのトリス HCl、0.5〜1MのNaCl/0.001MのEDTA、pH8、0.1% のSDS及び0.05mg/mlのプロテイナーゼKを用い、攪拌しつつ、1〜3時 間該フィルターを42℃に保つことによって洗浄した。該フィルターを、2×の SSCで洗い流し、ハイブリダイゼーションバッファーとともに65℃で1〜3 時間保温することによってプレ-ハイブリダイズした。上記フィルターを、上述 のジゴキシゲニン-ラベルしたプローブ(ハイブリダイゼーション溶液中0.5 〜50ng/ml)を用い、65〜68℃にて一晩ハイブリダイズした。上記の ハイブリダイズしたフィルターをSSC及びSDSで洗浄し、ブロッキング試薬 (DN Aラベル及び検出キットの成分#11、非放射性、ベーリンガー・マンハイム、 インディアナポリス、IN)で再ブロックし、アルカリ性ホスファターゼに結合 したポリクローナルヒッジ抗-ジゴキシゲニンFabフラグメントにさらした。 BCIP(ブロモ-クロロ-インドリル-ホスフェート)及びNBT(ニトロ-ブ ルー・テトラゾリウム)の存在下での抗体-ラベルしたフィルターの保温により 、クローンが陽性であることが明らかになった。コロニー内に望ましいDNAフ ラグメントが存在していると、このハイブリダイゼーション過程の後、フィルタ ーに濃い紫褐色のスポットが生じる。約4時間の後、展開したフィルターをテン プレートとして用いて、選別した総計117のクローンが選択的媒体に選択され た。これらクローンの各少量(10ml)の培地(“ミニプレップ(Miniprep) ”)を、選択的媒質中で成長させ、キアゲンにより供給される物質及びプロトコ ールを用いてプラスミドDNAを単離した。 実施例4 個々のクローン内のコンドロイチナーゼI遺伝子の位置を 特定するために用いられる、 制限マッピング及びサザンハイブリダイゼーション 数多くの試みが、更なる研究のために特定のコスミドクローンの選別を導いて いる。その一つは、同一のPCR-発生フラグメントを、多くの制限酵素により 消化され、ナイロン膜への移送に先立ってアガロースゲル上で分別したP.ブル ガリスゲノミックDNAに対するプローブとして用い、サザンハイブリダイゼー ション(8)を行なうことである。このヌクレオチド類似体をPCR増幅に含む ことにより、プローブをジゴシキゲニン-DUTPでラベルした。この反応にお いては、前PCR増幅(P.ブルガリスゲノミックDNAをテンプレートとして 用いたもの)のゲル-精製生成物は、10,000倍に希釈され、第2のPCR 増幅においてテンプレートとして供される。 この反応により0.5ml混合物が構成され、これを10の個別チューブに分 配し、プライマーとしてオリゴヌクレオチドプール#2及び#10(上記参照) を用いて上述のように25サイクルに増幅した。デオキシリボ核酸トリホスファ ートの正常補体を、製造者(ベーリンガー・マンハイム、インディアナポリス、 IN)から入手のジゴシキゲニン-DUTPでラベルした混合物と置き換え、d ATP、dCTPとdGTP、65μM dTTPと35μl ジゴキシゲニン-d UTPの各々が100μMの最終濃縮物を得た。製造者の勧めにしたがって該反 応物をプールし、沈澱させた。再懸濁させた生成物のアリコートをゲル電気泳動 によって試験したところ、約300〜約400に、上述の、“より小さい”PC R生成物に予想される長さでシングルバンドを示した。 高度に粘性なP.ブルガリウスゲノミDNAの調製にて遭遇する問題を避ける ために、DNA(約5μl)を消化のために様々な制限酵素とともに大体積(0 .35ml)に希釈した。このDNAをアガロースゲル上での精留に先立ちエタノ ール析出によって濃縮し、ナイロン膜に移送した。これらの実験で得られたデー タは、コンドロイチナーゼI遺伝子(少なくとも、上述のプローブにより表され るN-末端コード部分とハイブリダイゼーションする部分)が、約2800bp のBstYIフラグメント、5400bpのEcoRVフラグメント、及びNs iI、BqlII、HindIII、及びstyIにより発生する大型の(約1 0kbと同等またはより大きな)DNAフラグメント上に導かれることを示して いる。 多数のハイブリダイゼーションコスミドクローンの大容積の培地(500ml )を成長させ、プラスミドDNAをコンドロイチナーゼI遺伝子の位置をマッピ ングするためにこれらの培地から単離した。該遺伝子のDNAの占める割合は、 各コスミド内に担持されるP.ブルガリスDNAの約10%にすぎないと予想さ れた。これらのクローンの多くがBstYI及びNsiIとともに消化され、生 成物はアガロースゲル上で分別された。この後各フラグメントは単離され、サザ ンハイブリッドによりコンドロイチナーゼI配列の存在の有無を試験し、適切な ベクター中にサブクローンした。 これらのフラグメントのうち2つは、特に興味深い。第1に、約2800bp のBstYIフラグメントは、#2及び#45と示されるものを含む、多数のコ スミドクローン中に観察された。これら2つのコスミドクローンより単離される DNAは、LP2751及びLP2760と称される。LP2760の場合、約2 8 00bpのBstYIフラグメントは他のBstYIフラグメントからよく分離 され、したがってpT660−3と称される他のベクター中に、より容易にサブ クローン化される。pT660−3と称されるプラスミドはpBR322の誘導 体であり、DNAが、テトラサイクリン耐性(約bp80)のためのプロモータ の直下流の点からPvuII部分(約bp2070)までが欠失され、BamH Iリンカーで置換されている。同様に、約10kbのNsiIフラグメント(上 述のコンドロイチナーゼプローブでハイブリダイズする)は、LP2751上で 行なわれる消化から容易に単離される。これら2つのフラグメントは、“280 0bpのBstYI”フラグメント及び“10kbのNsiI”フラグメントと 呼ばれる。 2800bpのBStYIフラグメントは十分に小さいために、このDNAの 小片上での第2の制限酵素消化を許容し、DNA配列評価のために適切なフラグ メントを得ることができる。このことは、プローブがどのように誘導されるかに よって、ハイブリダイゼーション実験がコンドロイチナーゼI遺伝子N末端コー ド領域を同定するために行われることから重要である。しかしながら、この行程 は残りの遺伝子がどちらの側に位置するのか示すものではない。完全な遺伝子に 予測されるサイズ(3000bpより大)と比較した、プローブの相対的サイズ (500bpより小)が与えられているが、これを考慮するのはつまらないこと である。しかしながら、ヌクレオチド配列は、いずれの方向で遺伝子が“読まれ る”のか、完全な遺伝子を得るためにはいずれの制限フラグメントがクローンさ れるべきなのかを明白に示している。 サブクローンされた2800bPのBStYIフラグメントは、2つの内部E coRV部分を含み、このことは生じるフラグメントがDNA配列分析のために 十分小さいことを示唆している。しかしながら、EcoRV部分は2800bp のBstYIフラグメント内に対称に配置され;各EcoRV部分は、それらの 間に約400bpに等しい間隔を有して、一端から約1200bpにある。サブ クローンしたフラグメントは、ベクター内に唯一の制限部分が存在するという利 点を生かすことによって非対称に消化される。このように、2800bpのBs tYIフラグメントの“半分”が物理的に識別され、サザンハイブリダイゼーシ ョンによってコンドロイチナーゼIのN末端コード領域を含む“端部”が確認さ れた。これがいったんなされたので、約1200bpのHindIII−Eco RVフラグメントである適切な一片が、初めにHindIII及びSmaI双方 で消化され、続いてウシの腸のアルカリンホスファターゼで処理された、M13 mp18及びM13mp19双方のベクターにサブクローンされた。これらのサ ブクローンより誘導されるDNA配列には、その読まれる方向と同様にコンドロ イチナーゼI遺伝子の位置を明白に確定する様々な特徴が表れた。 この配列(SEQ ID NO:1,ヌクレオチド191)においてヌクレオ チド#183から始めると、コード領域はP.ブルガリスのあらかじめ同定され たアミノ酸の最初の30に適合することが観察された。この配列の前に、予め分 析されたE.coli遺伝子起源の、対応する配列モチーフに相似であることか ら、他にも多くの特徴を識別することができた。これらの特徴は下記のものを含 む:(1)プロモータの共通“−35”領域と、6のうち3の位置で適合するヌ クレオチド32-37(SEQ IDNO:1,ヌクレオチド40-45)、17 ヌクレオチド空間の後、プロモータの“−10”領域(共通“−10”領域と、 7のうち6の位置で適合する);(2)推定される“シャイン-ダルガーノ”配 列がヌクレオチド98-103(SEQ IDNO:1,ヌクレオチド106-1 11)の間で注目され;また(3)ヌクレオチド111-113(SEQ ID NO:1,ヌクレオチド119-121)に、フレーム中ATG開始コドンが あり、これによりP.ブルガリスコンドロイチナーゼI酵素が、おそらくタンパ ク質が内部膜を渡って移送されるように除去される、24のアミノ酸シグナル配 列で合成されることが示される。 (このポリリンカー中に通常存在するPStI部分の代わりにNsiI制限部 分を含むために最初に修正されるpIBI24誘導体に)サブクローンされた第 2のフラグメントは、約10kbのNsiIフラグメントである。EcoRVを もつこの約14kbの組み替え分子(pIBI24における約10kbのNsi フラグメント)は、約9kb、2.3kb、2.1kb、及び0.4kbの4つ のフラグメントを産生する。N-末端アミノ酸配列より誘導されるプローブを用 いたサザンハイブリダイゼーション分析は、関連のコンドロイチナーゼ遺伝子配 列 が、最大のフラグメント(約9kbのEcoRVフラグメント)内に含まれるこ とを示した。 2.9kb(内部EcoRV認識部位をもたないpIBI24のサイズ)より も大きいフラグメントが他にないことから、この約9kbのEcoRVフラグメ ントは、P.ブルガリスDNAと同様にベクターを含まねばならない。このNs iI及びEcoRVをもつ組み替え分子の2重消化(double digestion)により、 pIBI24ベクターが2.9kbフラグメントとして放出され;これはまた、 約4.5kb、2.3kb、2.1kb、1.0kb及び0.4kbのフラグメ ントを産生する。これらのことから(上記の、約0.4kbで分離された2つの内 部EcoRV部位を有する2.8kbのBstYIフラグメントに与えられた情 報も併せて)、最初の制限マップが構築された。 EcoRV及びHindIIIとの2重消化により、4.1kb、2.3kb 、2.1kb、2.0kb、1.3kb、1.1kb及び0.4kbのフラグメ ントを放出した。これらのフラグメントのうち3つ(2.3kb、2.1kb、 及び0.4kb)は明らかに、HindIIIにより切断されていないEcoR Vフラグメントであった。再度、ベクター(4.1kb)よりも大きい唯一のフラ グメントは、このフラグメントがpIBI24(2.9kb)を含むことを示した 。約2.0kbのフラグメントはコンドロイチナーゼプローブとハイブリダイゼ ーションし、それによってHindIII部位のひとつを配置するのに役立つの である。ポリリンカー中に一つのHindIII部位があることから、推論によ り最後のHindIII部位も配置されるようにすることができる。 EcoRV及びEcoRIをもつ、クローン化された約10kbのNsiIフ ラグメントの2重消化は、6つのフラグメント(約4.2kb、3.5kb、2 .3kb、2.1kb、1kb、及び0.4kbのもの)を産生し、これは2つ のEcoRI部位の存在を示し、その一つはポリリンカー中に、他の一つはクロ ーン化したP.ブルガリスDNA中にあることを示した。サザンハイブリダイゼ ーションにより、この2重消化での約4.2kbのバンドが、コンドロイチナー ゼIのN末端コード配列を含むことが明らかになった。この情報を上記のデータ に加えることにより、pIBI24中でのサブクローン化された約10kbのN Si Iフラグメントのための予備制限マップが得られた(図1)。 コンドロイチナーゼI遺伝子の配置及び配向をさらに支持するために、イン・ ビトロにおいて、酵素の活性を232nmにおける硫酸コンドロイチンC起源の 不飽和二糖の放出によって測定することに基づくコンドロイチナーゼI検定を、 少数の標本に行った。ある場合には、LP2751(コロニーハイブリダイゼー ションより選択されるコスミドDNAを担持するER1562)を調製するため に用いた一晩培養のアリコートが、コンドロイチナーゼ0.12単位/mlを発 現することが判った。さらに、EcoRV-欠失構造(以下に説明する)のひと つを、アンピシリンの存在下で一晩培養した。その後この培地を、pIBI24 中に存在するlacプロモータからの転写のレベルを増大することが期待される イソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の有または無の 条件下で、新鮮な選択的媒体に接種した。検定では、IPTG誘導なしでコンド ロイチナーゼ0.29単位/ml、IPTG誘導ありで0.36単位/ml、E coRV欠失の後でさえも遺伝子は依然として損なわれておらず、lac-プロ モータのものと同一の方向に配向していることが考えられる。 上記の議論におけるフラグメントのサイズがおおよそのものである(特に、ポ リリンカー中でEcoRI/NsiIの間の約1kbの領域及びEcoRV部位 に最も近いもの;さらに他にも小EcoRVフラグメントでマッピングされてい ないものがある可能性もある)にも関わらず、総体的に約4.2kbのEcoR V-EcoRIフラグメントがコンドロイチナーゼI遺伝子全体を含んでいるこ とを示唆している。制限マッピングを促進するために、pIBI24(LP27 76)中にクローン化した約10kbのNsiIフラグメントを用いることによ りEcoRV欠失を構築した。このDNAをEcoRVで消化しウシの腸のアル カリ性ホスファターゼで処理し、アガロースゲル上で分別した。最大の(約10 kb)フラグメントをゲルより抽出し、リン酸化EcoaRIリンカーの存在下 で連結した。次に、生じた構造体(LP2786)をEcoRIで消化し、3つ のフラグメントを得た。pIBI24-含有物から完全に分離していないにも関 わらず、ゲルからの抽出の後、より小さなフラグメント、約95%均一で、約4 .2kbのEcoRIフラグメントが得られた。このEcoRIフラグメントは 、この後、 DNA配列分析に用いられた。 実施例5 約4.2kbのEcoRIフラグメントのDNA配列分析 pIBI24中にクローンした約10kbのNsiIフラグメントを、Eco RVで消化し(上述のように)、EcoRIリンカーの存在下で連結させた。こ の構造体の最終結果は、このDNAのサブクローンした一片からP.ブルガリス DNAの約5kbの欠失及びこれに続く他のEcoRI部位の分子内への導入で あった。この“EcoRV欠失”構造体(LP2786)の100μgを、Ec oRIで消化し、アガロースゲル上で分別した。目的の約4.2kbのフラグメ ントをゲルより溶離し、沈澱させ、上述した150μlのTE中に再懸濁させた 。この物質の3分の1が自身と連結し(ポリマー化)、加熱によるDNA配列の 破壊の後に、DNAを超音波にかけて、DNA配列分析に適当なランダムな小片 を発生させた。 端部はE.coliのDNAポリメラーゼI“クレノー・フラグメント(klen ow fragment)”(10;ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバリー、M A)によって仲介される“フィル−イン(fill-in)”反応において平滑にし、 連結してSmaI-cutとし、M13mp19をホスファターゼ化した。 この組み替えDNAを用いてE.coli雄株MV1190を変態させ、得ら れたファージプラーク500をSMバッファー(NaCl,100mM; MgSO4,8mM; トリス -HCl,pH7.4,50mMおよび0.01%ゼラチン)に取り込んで、少量(10ml以下)の 培地の感染のための原料とし、これを一本鎖のテンプレートDNAの単離に用い た。 DNA配列は、TagDNAポリメラーゼ及び蛍光ラベルしたオリゴヌクレオ チドプライマーを用い、昇温して行った。データは、モデル370A DNA配 列分析システム(Model 370A DNA sequencing system)(アプライド・バイオシス テムズ(Applied Biosystems),フォスター・シティ(Foster City),CA)を使 用して採集した。配列編集、オーバーラップ決定及び共通配列の派生は、ウィス コ ンシン大学の遺伝子コンピューターグループ(Genetics Computer Group at the University of Wisconsin)(14)より入手したコンピュータープログラムのコ レクションを用いて行った。このEcoRIフラグメントの、生じたDNA配列 は、単位(SEQ ID NO:1)あたりヌクレオチド3980であった。N 末端コード配列に近いEcoRI部位が、この部位に連結するリンカーから誘導 されることは注目に値する;これは、P.ブルガリス染色体には存在しないから である。実際のところこの位置は、クローン化したコスミドDNA中では、Ec oRV部位であった。 一般的なアミノ酸配列へのDNA配列の翻訳は、1021アミノ酸(SEQ ID NO:2)の連続的な開放読み取りフレームで、24残基シグナル配列( SEQ ID NO:2,アミノ酸1〜24)を伴い、成熟した(処理された) コンドロイチナーゼIタンパク質(SEQ ID NO:2, アミノ酸25− 1021)のための997残基コード化配列がさらに続くものである。この配列 の、上述のプログラムを用いたコンピューター分析では、未精製のタンパク質は 分子量115,090.94、精製した“110KD”(輸送された)タンパク 質は分子量112,507.82、最初の157のアミノ酸(“18kD”フラグ メント)(SEQ ID NO:2,アミノ酸25−181)は17,503. 43及び残りの840のアミノ酸(“90kD”フラグメント)(SEQ ID NO:2,アミノ酸182−1021)は95,022.40及び24-残基 シグナル配列は分子量2601.14が推定された。アミノ酸組成物の注目すべ き特徴の一つとして、タンパク質がどの時点でも再度折りたたまれねばならない とすると、システインのないことは重大である。 ヌクレオチド配列においては、唯一のSphI制限部位が、遺伝子(SEQ ID NO:1,ヌクレオチド3414−3419)の端部の向こう側、約23 0bpに位置することが上記されており、これはE.coli中で高い水準でコ ンドロイチナーゼを発現するという総合的な目的を達成するために遺伝子の構造 鈍感動作を許容するように操作することのできる唯一の標的部位を表す。Cla I(ATCGAT)には2つの認識部位があるが、その一つ(SEQ ID N O:1,ヌクレオチド2702−2707)はE.colidam認識配列(G ATC)(SEQ ID NO:1,ヌクレオチド2701−2704)内には め込まれている。dam-エンコードした酵素により起こるアデニンメチル化は 、ClaIによるこの部位の切断を遮断し;したがって、実際に“唯一の(uniqu e)”ClaI部位(SEQ ID NO:1,ヌクレオチド497−502)が でき、これは下記のような適切な部位-特異的な突然変異誘発を行った後に、コ ンドロイチナーゼI遺伝子を再構築するために用いた。 実施例6 クローン化したP.ブルガリスコンドロイチナーゼI遺伝子の 部位-特異的突然変異誘発 採用した部位-特異的な突然変異誘発法は、カンネル(Kunkel)(15)に基づ き、バイオ−ラド、メルビル、N.Y.(Muta-GeneTM In Vitro Mutagenesis Ki t)より購入した物質を用いるものである。この方法では、突然変異誘発をする目 的のDNAは、まず適切なM13誘導したベクターにクローン化する。この場合 、用いる組み替え分子(上述のように約1200bpのEcoRV−HindI IIフラグメントをクローン化したM13mp19)は、コンドロイチナーゼI 遺伝子のN-末端コード領域を取り囲む。この組み替えファージは、dut及び ung対立遺伝子を担持する雄株であるE.coli宿主株CJ236(バイオ −ラド製)中で複製される。これら2つの突然変異の組み合わせ、dut(DU TPase)及びung(ウラシル-N-グリコシラーゼ)は、この器官で合成さ れたDNA中で、チミンよりもむしろウラシルの残基の結合を生じた。CJ23 6上に増殖の後、1本鎖のテンプレートが単離され、適切な突然変異の合成オリ ゴヌクレオチドがこのDNAにアニールされる。 このオリゴヌクレオチドは、組み替え分子全体を複写するT7 DNAポリメ ラーゼのためのプライマーとしてはたらく。T4 DNAリガーゼは、突然変異 性オリゴヌクレオチドの最初の残基とイン・ビトロで加えられた最後の残基との 間のニックをシールするために用いられる。ゆえに新たに合成されたDNA(好 ましい塩基交換を含む)は、テンプレートDNAがウラシルを含む一方で、これ を 含まない。非突然変異体(dut及びung対立遺伝子に対して)E.coli 雄株の形質転換により、主に、ウラシル-含有のテンプレート鎖の不活性化の結 果としてイン・ビトロにて合成される突然変異鎖から誘導されるファージ子孫が 得られる。 この特定の場合には、4つの再懸濁させたプラーク(そのアリコートが、コン ドロイチナーゼI遺伝子のN-末端コード領域を確定し、推定される翻訳開始部 位(上記参照)の他の110bpの“上流”を含んだDNA配列のために用いら れた)が、雄の宿主株CJ236(dut ung)を感染させるために用いら れた。個別のプラークを、ファージ希釈バッファー(PDB)0.5mlに選び 取った。各形質転換から一つ選ばれたプラークは、ログフェーズ(log phase) CJ236と6.5時間培養した感染培地に吸収させた。細胞は、遠心分離によ ってペレット化し、上澄み液は55℃に30分間加熱し、4℃にて保存した。各 上澄み液100mlから単鎖DNAを単離し、TE総体積10ml中に再懸濁さ せた。部位特定突然変異の目標は、この遺伝子の端部を変性させ、これが、正確 に高水準E.coli発現系中に移動されるようにすることである。選択された 標的ベクター(pET9−A;上記参照)は、バクテリオファージT7中に存在 する遺伝調節成分から誘導されるものである。この系には、下流BamHI部位 とともに翻訳開始コドンを含み、これらが一緒に、遺伝子が直接的で一方向にの 挿入され、発現すべきタンパク質のエンコードをする、唯一のNdeI部位(C ATATG)がある。これら2つの部位には、T7-特定プロモータ配列が先行 し、T7 RNAポリメラーゼとともにはたらく転写ターミネーターが後に続く 。よってこれら2つの制限部位(NdeI及びBamHI)は、P.ブルガリス コンドロイチナーゼIのためのクローン化遺伝子中に導入された。 NdeI部位(ATG開始コドンを含む)を導入するために、ラベル配列と同 様、第2の構造体においては成熟したタンパク質(それによってラベル配列を消 去する)のためのコード化配列の、どちらにも優先して、2つの合成オリゴヌク レオチドが設計され、合成された(バイオシンセシス、インク(BioSynthesis,I nc.)、デントン(Denton)、TX)。第1としては、選定オリゴヌクレオチド#2 5(SEQ ID NO:37)がラベル配列を維持し、その一方で第2の#2 6(SEQ ID NO:38)がラベル配列を消去し、成熟したコンドロイチ ナーゼIタンパク質(SEQ ID NO:5,アミノ酸ナンバー1))を直接 発現させる。 推定される開始コドンを含む天然の配列が、下記の(1)に表され、発ガン性 のオリゴヌクレオチド#25(開始コドンのすぐ上流の3つのヌクレオチドで異 なる)が、(2)に表される: ラベル配列が消去された構造体のために、ラベル配列の接合点及び成熟タンパ ク質の開始点(ライン3)において、突然変異誘発オリゴヌクレオチド#26( ライン4)(開始コドンの配置を含む、6つのヌクレオチドによって異なる)を 用いて部位-特定突然変異誘発が行われた: ライン3中の下線を引いたGCCは、P.ブルガリスコンドロイチナーゼIの 成熟し、処理された形態のためのN-末端アミノ酸であるアラニンのためのコド ンに相当する。 これらのオリゴヌクレオチドを使用するためには、これらの5’-末端をリン 酸化する必要がある。したがって、オリゴヌクレオチド#25(5 O.D.単 位)をTE0.5ml中に再懸濁させ、また、オリゴヌクレオチド#26(これも 5 O. D.単位)をTE0.65ml中に再懸濁させ、約20nM、すなわち20pm ple/μlの原液を得た。各ヌクレオチドの3ナノモル(原液150μl)に 、10xのリガーゼ塩(ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバリー、MA ):0.5Mのトリス-HCl(pH7.8)、0.1MのMgCl2、0.2M のジチオトレイトール、10mMのAATP、ウシの血清アルブミン0.5mg/m l)、0.1Mのジチオトレイトール35μl、T4ポリヌクレオチドキナーゼ( ニュー・イングランド・バイオラブス)10μl(100単位)を含む35μl 分離(0.35ml)反応にてキナーゼ処理を施し、TE120μlで増量した 。この反応は、37℃にて40分間温置し、70℃にて20分間酵素を不活性化 した。 テンプレートDNA(上述の調製5μl)及びリン酸化突然変異誘発プライマ ー(約2pmple)を、トリス-HCl(pH7.4)、MgCl22mM、及 びNaCl 50mMを含む20μl体積中にアニールした。この標本をパーキ ン-エルマー/セタス サーマルサイクラー(Perkin-Elmer/Cetus Thermalcycler )中で、70℃に45分間加熱した。その後この標本を70℃から25℃にまで 45分間かけて徐々に冷却した。アニールした混合物を氷上におき、以下の成分 を加えた:10xの合成バッファー(バイオ−ラド)2μl:dATP、dGT P、dCTP、dTTPを各5mM;ジチオトレイトール20mM)、T4 D NAリガーゼ(6単位)2μl及びT7 DNAポリメラーゼ(1単位)1μl 。これらの反応は、それぞれ0℃(氷上)、11℃、25℃にて5分間、最後に 37℃にて30分間インキュベートした。10mMのトリス-HCl−10mM のEDTA(pH8.0)75μlを加えて反応を止め、−20℃にて静置した 。 突然変異誘発DNAが溶解した後、これをE.coliの雄株MV1190( dut+ ung+)を形質転換するために用いた。得られた個々のプラークを選 択し、1本鎖のDNAを単離し配列した。望ましい配列変化が導入されたこれら の場合に再懸濁したプラークの他のアリコートを用いてMV1190株を感染さ せたが、この場合は、組み替えDNAの細胞内の2重鎖複製形態を、上記のミニ -プレップ操作を用いて感染した細胞ペレットから単離した。 実施例7 部位-特異的に突然変異誘発されたコンドロイチナーゼI遺伝子の再構築 及びE.coliにおけるその高レベル発現 実施例6は、NdeI部位を創製する部位-特異的突然変異誘発が、直ちにラ ベル配列を行なうこと、また、成熟し、処理されたP.ブルガリスコンドロイチ ナーゼI遺伝子上に見られるN-末端アラニンをコード化するトリプレットに隣 接してNdeI部位を配置する第2の構造体を説明した。いずれの場合も、Nd eI認識部位(CATATG)のATG配列は、タンパク質(ラベル配列の有無 に関わらず)のための翻訳開始コドンとして機能することができる。 構築された場所であるM13ベクターから、これらのオルタレーション(alte ration)を完全なコンドロイチナーゼI遺伝子に転移させるために、単離した複 製形態をKpnI及びClaIで消化した。KpnI部位は、M13mp19ポ リリンカーの一部であり、ClaI部位は、コンドロイチナーゼI遺伝子のクロ ーンしたフラグメントの末端から、約490bpであることが判明した。得られ た制限消化生成物は、1/2 X トリス-アセタートバッファー(TAE)に流れ 込む4% NuSieveTMGTGアガロースゲル上で分離した。キアテックスT M を用い、適切な、約500bpのバンドをゲルより抽出した。同様に、コンド ロイチナーゼI遺伝子を担持するプラスミドDNA(LP2786)もまた、K pnI及びClaIで消化した後、1/2 × TAEに流れ込む0.8%アガロ ースゲル上で分離した。この場合は、KpnI部位は、pIBI24のポリリン カーの一部であり、ClaI部位は、上述のものに相当する。(上記のように、 コンドロイチナーゼI遺伝子中には第2のClaI部位があるが、この部位は明 らかにdamメチル化により遮断されているために、ClaIによって切断され ない。部位-特異的突然変異誘発及びコンドロイチナーゼI遺伝子の再構築は、 全ヌクレオチド配列が確認される前に行われた。) pIBI24のベクターを含む約7kbのフラグメント及びコンドロイチナー ゼI遺伝子の大フラグメントを、電気溶出(11)によりアガロースゲルから単 離し、続いてエタノール沈澱を行った。この7kbのフラグメントを、ウシの腸 のアルカリンホスファターゼで処理し、まずフェノール-クロロホルムで、次い で クロロホルムで抽出し、エタノールで2度沈澱させ、最後にTE 0.1mlで再 懸濁させた。2つの単離したN-末端エンコード化フラグメント(一方はラベル 配列をもち、一方はもたない、2つの部位-特異的突然変異誘発配列を含む、2 つの約500bp Kpni-ClaI部分)はそれぞれ、コンドロイチナーゼI 遺伝子の残部及びpIBI24のベクターを取り囲む約7kbのフラグメントに結 合していた。E.coli株294を形質転換させるために、リガーゼ反応を用 い、アンピシリン耐性誘導体が得られた。再構築されたDNA内のこの制限部位 の存在を確認するために、DNAを小(10ml)培地より単離し、NdeIで消 化した。 (明かな)P.ブルガリスプロモータ及びリボソーム結合部位を除去するため に、変性したコンドロイチナーゼI遺伝子を約4.5kbのNdeI-NsiI フラグメントとして単離し、E.coli部位が最初に充填した(filled-in) pBR322変異体中にサブクローンし、脱リン酸化し、最後にリン酸化Nsi Iリンンカー(ニュー・イングランド・バイオラブス)を挿入した。NsiI部 位(ATGCAT)をpBR322中に配置するために用いたリンカーの配列( TGCATGCATGCA)はまた、SphI部位(GCATGC)を含む。後 に用いる独特の制限部位を導入するため、また、サブクローンしたNdeI-N siIフラグメント起源の外部の非-コード化DNAを平滑断面にするためには 、コンドロイチナーゼI遺伝子を含む約4500bpのNdeI-NsiIセグ メントを含有するプラスミド(それぞれがラベル配列を保持する2つのクローン [LP2861及びLP2863]及びラベル配列が欠失された2つ[LP286 5及びLP2867]の例である)を、まずSphIで消化し、末端をE.co li DNAポリメラーゼIの”クレノー(Klenow)”フラグメント(11)で ”充填し”、得られたDNAフラグメントをアガロースゲル(1/2X TAE中 、0.8%)上で分離した。適切なバンド(約5200bp)を、キアテックスTM を用いて溶離した後、ウシのアルカリンホスファターゼで処理した。フェノール -クロロホルムによるこの酵素の除去及びクロロホルムの抽出の後、DNAを2 度沈澱させ、最後にTE 0.1mlで再懸濁させた。 このDNAは、リン酸化BamHIリンカー及びE.coli株294を形質 転換するために用いた混合物の存在下で結合した。各4構築起源の6つの代表的 なアンピシリン耐性コロニーを、小(10ml)培地中で培養し、プラスミドDN Aを単離した。酵素NdeI及びBamHIで試験した、24クローン起源のD NAの消化は、BamHI部位を含み、同時にコンドロイチナーゼI遺伝子を含 む、約3400bpのNdeI-BamHIフラグメントを放出することを示す 。17のクローン(ラベル配列のあるもの8、ないもの9)が、キアテックスTM を用いたアガロースゲルから抽出された、望ましいフラグメントを与えた。 これらの約3.4kbのNdeI-Bam-HIコンドロイチナーゼI遺伝子- 含有フラグメント(ラベル配列のあるもの、ないものいずれも)を、高レベル発 現系を構築するために用いた。用いた発現ベクターpET-9A(9;ノバゲン )は、E.coliバクテリオファージT7の構成分子から誘導された。これは Col E1プラスミドより誘導される複製の起源、カナマイシン耐性決定基、 またT7遺伝子10の転写及び翻訳開始決定基を含む。この遺伝子の自然発生翻 訳開始コドンは、NdeI部位の一部である。この領域には、唯一のBamHI 部位及びT7転写ターミネーターが続く。この発現ベクターの標本を制限酵素N deI-BamHIで消化し、ウシの腸のアルカリンホスファターゼで脱リン酸 化し、アガロースゲル電気泳動によって精製した。各コンドロイチナーゼI遺伝 子フラグメント(ラベル配列のあるもの、ないものいずれも)を、発現ベクター フラグメントに結合させた。得られた組み替えDNA混合物は、E.coli K-12宿主、HMS174(ノバゲン)を、形質転換するために用いた。得ら れたカナマイシン耐性コロニーを小スケール(10ml)中で培養し、プラスミ ドDNAを単離し、推測される構造を確認した。 これらの構造体の標本を、発現宿主 BL21(DE3)/pLysS(10 )を形質転換するために用いた。このE.coli B株は、Col E1-適合 性プラスミドpLysSと同じく、E.coli染色体内に集積されるラムダ相 上で、lac制御下にある(すなわちラクトースもしくはIPTGのいずれによ っても誘発される)T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を担持する。Col E1- 適合性プラスミドpLysSの複製子はクロラムフェニコールへの耐性をはっき りと示し、“サイレント(Silent)”配向(テトラサイクリン耐性遺伝子に対して 反対の方向を読む)にてpACYC184(ATCC 37033.アメリカン ・タイプ・カ ルチャー・コレクション、ロックビル、MD)のテトラサイクリン耐性決定因子 中に挿入されるリゾチーム遺伝子を含む。T7 リゾチームは、この構築中、比 較的に低い水準で発現し、T7 RNAポリメラーゼ(16)の阻害剤としてを 与えられ、それによって遺伝子の基底-水準発現が過剰に発現することを最小限 にしているものである。 pET9-A中、コンドロイチナーゼI遺伝子(ラベル配列が保持され、実施 例6(SEQ ID NO:3)に記載の、部位-指示された突然変異誘発に属す る)を担持しているBL21(DE3)/pLysSの誘導体は、LL2084 、LL2085、LL2086及びLL2087と称される。これらにはコンド ロイチナーゼI酵素の発現を求める試験は行わない。未変性のコンドロイチナー ゼI遺伝子(ラベル配列が保持された)(SEQ ID NO:1)、これは部位 を指向した突然変異誘発に属さないものであるが、これを異なる発現宿主に挿入 した。コンドロイチナーゼI酵素の発現が達成された。 実施例6(SEQ ID NO:4)に記載の、pET9-Aに挿入された、部 位を指向した突然変異誘発に属するラベル-欠失コンドロイチナーゼI遺伝子を 担持するBL21(DE3)/pLysSの誘導体の一つを、LL2088と称 し、試験し、これを用いて親細胞バンクを確立した。pET9-Aへの遺伝子の 挿入により、pTM49−6と称されるプラスミドを得た。プラスミドpTM4 9−6を担持するE.coli B株BL21(DE3)/pLysSの標本は 、沈殿した株ATCC 69234を構成する。 この沈殿した株の一晩の培養は、カナマイシン40μg/ml及びクロラムフ ェニコール25μg/mlの存在下で、30℃にて行った。この培養のアリコー ト0.5mlを用いて、同水準のカナマイシン及びクロラムフェニコールに加えて 、トリプトン20g/l、酵母抽出物10g/l、及びデキストロース10g/ lで増補したM9塩(17)を含む栄養豊富な“発現”培地100mlを接種した 。 上記培養を適切な密度(A600で1の値)にまで行った後、最後の1mMの濃 縮液にIPTGを加えることによってコンドロイチナーゼI発現を誘発した。3 時間後に、標本を採取し、遠心分離し、分析に先立って、細胞ペレットをドライ アイス上で冷凍した。冷凍したペレットをバッファー中に溶解し、再懸濁させて 超 音波をかけた。56単位/mlの値が得られ(元来の培地の体積と比較すれば) 、これはこの発現系が機能性であることを示している。高い細胞密度での制御条 件の下での、続く10リットルの発酵により、コンドロイチナーゼIの約600 単位/mlの最大値が得られた。これは、元来の未変性P.ブルガリスの、発酵 を経ての本質的な改善を表し、これまではコンドロイチナーゼIを、2単位/m lより高いレベルでは発現しなかったものである。 実施例8 組換え酵素に適合するような天然のコンドロイチナーゼI酵素の 単離および精製方法 天然の酵素を、P.ブルガリスの培養物を発酵して生成した。細菌細胞を培養 液から回収し、バッファーに再懸濁した。次いで、この細胞懸濁液を細菌細胞が 溶菌するようにホモジェナイズした。次いで、50ppmのバイオアクリル(Bi oacryl)(トーソー・ハース、フィラデルフィア、PA)等の帯電粒子を、DN A、凝集体および砕片を除去するために添加した。次いで、この溶液を40%飽 和硫酸アンモニウムとし、望ましくないタンパク質を沈澱除去した。コンドロイ チナーゼIは、溶液中に残存している。 次いで、この溶液を0.22ミクロンSP240フィルター(アミコン(Amico n)、ビバリー(Beverly)、MA)を用いてろ過し、この残存物を9倍容量の40 %硫酸アンモニウム溶液を用いて洗浄し、前記酵素のほとんどを回収した。この ろ過液を濃縮し、30kDフィルターを用いてリン酸ナトリウムバッファーでデ ィアフィルトレーションして塩類および小さい分子を除去した。 コンドロイチナーゼIを含むろ過液を、セルファインTM(CellufineTM)セル ローススルファートカラム(チッソ社(Chisso Corporation)、アミコン提供)を 用いたカチオン交換クロマトグラフィーにかけた。pH7.2、20mMリン酸 ナトリウムで、98%以上のコンドロイチナーゼIがこのカラムに結合した。次 いで天然のコンドロイチナーゼIを、20mMリン酸ナトリウムバッファーにお ける0〜250mM塩化ナトリウム勾配を用いてこのカラムから溶出した。 溶出された酵素に、アニオン交換および疎水性相互作用カラムクロマトグラフ ィー等のさらなるクロマトグラフィー段階を行った。これらの全工程の末に、コ ンドロイチナーゼIをSDS-PAGE調査によるところの90−97%の純度 で得た(上記参照)。しかしながら、天然のタンパク質の収率は、上述したよう に、たったの25−35%であった。この方法も、約110kDのコンドロイチ ナーゼIタンパク質を90kDと18kDの断片に分割する結果となった。それ にも関わらず、これら二つの断片は、非イオン的な結合を有し、コンドロイチナ ーゼI活性を表した。 この工程を、コンドロイチナーゼIをコードする組換えプラスミドを有する溶 菌された宿主細胞で繰り返したところ、非常に乏しい結果が得られた。pH7. 2、20mMリン酸ナトリウムの標準的な厳密条件下で、10%未満のコンドロ イチナーゼIがカチオン交換カラムに結合した。 pH6.8、5mMリン酸というより厳密性の低い結合条件下では、一群の物 質との結合が60−90%に改良されることが観察された。しかしながら、Na Cl勾配を用いた組換えタンパク質の溶出は、鋭いピークより広い活性のピーク を与えた(図2参照)。これは、産物が不均一(ヘテロジニアス)であることを 示している。さらに、後の発酵群では、組換え酵素は、前記のより厳密性の低い 結合条件下でさえも不十分な結合を示した(1−40%)。不十分に結合した一 群は完全に処理されなかったので、全体的な回収量は定量しなかった。 実施例9 本発明に係る組換えコンドロイチナーゼIの 単離および精製のための第一の方法 第一段階として、組換えコンドロイチナーゼI酵素を発現する宿主細胞をホモ ジェナイズして細胞を溶菌した。これにより酵素が上清中に放出される。 本発明の一つの態様では、この上清を塩類および他の小さい分子を除去するた めにダイアフィルトレーションする。適切なフィルターの例としては、アミコン (ビバリー、MA)社製の螺旋状の傷を備えた30kDのフィルターがある。し かしながら、この段階では、負に帯電した分子の結合形態ではなく遊離形態のも のを除去するだけである。これらの帯電した種の結合形態のものは、この上清を 強力で高い容量のアニオン交換樹脂含有カラムを通すことによって除かれる。こ のような樹脂の例には、マクロプレップTM ハイQ樹脂(バイオ−ラド、メルビ ル、N.Y.)がある。他の強力で高い容量のアニオン交換樹脂含有カラムも適 している。負に帯電した分子はこのカラムに結合するが、前記酵素はこのカラム を通過する。また、無関係の、所望でないタンパク質もこのカラムに結合してし まうことがわかった。 次いで、アニオン交換カラムからの溶出物を、カチオン交換樹脂含有カラムに 直接添加した。このような樹脂の例は、S-セファロースTM(ファーマシア、ピ スカタウェイ、N.J.)およびマクロプレップTM ハイS(バイオ−ラド)が ある。これら二つの樹脂含有カラムは、それぞれカチオンの交換を促進するため の結合したSO3−リガンドを有する。他のカチオン交換カラムも適切である。 この酵素をカラムに結合させ、カラムから酵素を遊離することができる溶液で溶 出した。 溶液の導電性を増加するあらゆる塩が、溶出に適切である。このような塩類の 例としては、ナトリウム塩類、カリウム塩類およびアンモニウム塩類が含まれる 。適切な濃度の塩化ナトリウム水溶液が適切である。0〜250mMの塩化ナト リウム等の勾配、200mMの塩化ナトリウムを用いた一段階の溶出が好ましい 。 鋭いピークが、塩化ナトリウム勾配溶出でみられた(図3)。従来の方法を越 えた酵素収量の改善が得られた。組換えコンドロイチナーゼI酵素を、99%の 純度、80−90%の収率で回収した。 タンパク質の純度は、SDS-PAGEゲルでバンドを調べて測定した。アク リルアミドの4−20%勾配をゲルの改良に使用した。このゲルの各レーンのバ ンドを、上述の方法を用いて調べた。 これらの改善は、アニオン交換カラムを最初に用いた結果として起こる、カチ オン交換カラムへの酵素の結合を増大させることに直接的に関わるものである。 比較実験では、カチオン交換カラムのみを用いた場合、たったの1%の酵素がカ ラムに結合した。しかしながら、アニオン交換カラムを最初に用いた場合には、 95%以上の酵素がカラムに結合した。 実施例10 本発明に係る組換えコンドロイチナーゼIの 単離および精製のための第二の方法 本発明のこの態様の第二の実施態様では、さらに二つの段階を、第一の実施態 様のダイアフィルトレーション段階の前に挿入する。この上清を1M酢酸等の酸 性溶液で処理し、上清を最終的にpH4.5にして、所望の酵素を沈降させる。 この沈降物を5000xg、20分で遠心して得る。この沈降物を20−30m MのNaOH等のアルカリ溶液に溶解し、最終的にpH9.8にした。次いでこ の溶液にダイアフィルトレーションおよび本発明の第一の実施態様の次なる工程 を行った。 本発明の第二の実施態様に係る比較実験では、カチオン交換カラムのみを用い た場合に、たった5%の酵素がカラムに結合しただけだった。しかしながら、ア ニオン交換カラムを最初に用いた場合には、本質的に100%の酵素がカラムに 結合した。第二の実施態様は、本発明の第一の実施態様に匹敵する酵素純度およ び収量を与えた。 酸沈降は、溶けたままのタンパク質を除去することができる;しかしながら、 これらのタンパク質は、いずれにしろ次のカチオンおよびアニオン交換段階によ って除去される(しかしながら、より小さいカラムを使用する)。酸沈降段階の 利点は、試料容積を溶解後の元の容積の約20%に減少し、これによって大規模 でより簡単に扱うことができることである。しかしながら、第二実施態様の付加 的な酸沈降およびアルカリ溶解の段階は、第二実施態様が第一実施態様よりも浪 費的であることを意味する。製造規模では、第二実施態様で得られた純度および 収率の可能な改善は、さらに高純度の酵素を高い収率で与える、第一の実施態様 のより簡単な方法によって与えられる。 本発明の二つの実施態様によって得られた高純度の組換え酵素は、図4に示さ れている。単一の鋭いバンドがSDS-PAGEゲルの写真に見られる:レーン 1 は、第一の実施態様の方法を用いた酵素;レーン2は、第二の実施態様の方法を 用いた酵素;レーン3は、精製前の宿主細胞からの上清を示す−−多くの他のタ ンパク質が存在する;およびレーン4は、分子量の標準(スタンダード)を示す 。 実施例11 コンドロイチナーゼIIのN末端をコードする断片の 部位特異的突然変異誘発 コンドロイチナーゼII遺伝子の場合にとられた試みは、天然のATG開始コ ドンをNdeI部位に埋め込むような修飾を行うことである。これにより、N末 端にロイシン残基を有する完全な天然の酵素構造を産出するように、発現された 遺伝子が処理および分泌されるような、シグナルペプチドが保持された構成物が 得られる。突然変異した塩基は、コード領域の上流である。 この部位特異的変異に用いた方法は、コンドロイチナーゼI遺伝子の発現用に 上述した方法であって、Muta−GeneTM インビトロ変異誘発キット バー ジョン2(バイオ−ラド、メルビル、N.Y.)を用いたカンネル(Kunkel)(1 5)の研究に基づいている。この方法では、突然変異誘発される標的DNAを、 最初に適切なM13−誘導ベクターにクローン化して一本鎖DNAを作製する。 この組換えファージを、E.Coli宿主株CJ236(バイオ−ラド)のdu tおよびung対立遺伝子を有する雄株に複製する。これら二つの突然変異、d ut(duTPアーゼ)とung(ウラシル−N−グリコシラーゼ)の組み合わ せは、この生物体で合成されたDNAにチミン残基よりもウラシル残基を取り込 む。一本鎖の鋳型は、CJ236における増殖後に単離され、適切な突然変異誘 発性の合成オリゴヌクレオチド(SEQ ID NO:41)をこのDNAにアニ ールした。 このオリゴヌクレオチドは、完全な組換え分子をコピーするT7 DNA ポリ メラーゼのプライマーとして働く。次いで、T4 DNA リガーゼを、変異原性 オリゴヌクレオチドの第一残基とインビトロで添加された最後の残基との間の切 れ目を塞ぐために用いた。このため、鋳型のDNA(天然の配列を有する)はウ ラシルを含むが、新しく合成されたDNA(所望の塩基変化を含む)はウラシル を含まない。非変異型の形質転換体(ungとdut対立遺伝子に関する)雄株 E.Coliは、ウラシル含有鋳型鎖の不活性化の結果としてインビトロで合成 された突然変異鎖から主に誘導されたファージの子孫を生じた。 この特別な場合では、突然変異誘発用にクローン化される断片は、ヌクレオチ ド2943〜3980の間の領域にわたるMunI−EcoRI断片である(S EQ ID NO1および39)。この断片を得るために切断されたDNAは、L P2783と称する。このプラスミドは、EcoRIリンカーよりむしろHin dIIIリンカーがLP2776のEcoRV欠失部に挿入されること以外は、LP2 786(実施例4に記載)と同じ方法で構成される。正常なポリリンカーをプ ラスミドベクターpNEB193(ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバ リー、MA)に見られるもので置換したM13mp19誘導体、LP2941の 唯一のEcoRI部位に前記MunI−EcoRI断片を連結する。MunI切 断によって産生された4塩基の張り出し部は、EcoRI部位に連結され得るが 、得られた組換え配列は他の酵素で切断されない。EcoRI切断したLP29 41も、ゲル精製および使用の前に子ウシ腸のアルカリホスファターゼ(ベーリ ンガー・マンハイム、インディアナポリス、IN)で脱リン酸化した。 連結されたDNA混合物を、E.coli雄株のMV1190を感染するため に用いて、得られたプラークを0.5mlのSMバッファーに採取し、拡散して ファージを溶出させた。これらを10mlのMV1190の培養液を感染するの に用いて一晩生育させた。この培養液を遠心し、この沈降物を組換えウイルスの 二本鎖複製形態の単離に用いた。対応するファージ粒子を含む上清を、必要時ま で冷蔵して保存した。ポリリンカー内に一方の部位が、また先のMunI−Ec oRI断片内に対称的(aymmetrically)に位置した部位(SEQ ID NO: 1および39、ヌクレオチド3326−3331)に第二の部位があるため、ク ローン化された断片の配向は、HindIIIで複製形態のDNAを切断すること により決定された。 所望の配向が同定されたら、対応するファージを含む上清を、連続的に希釈し 、E.coli株CJ236の感染に使用し、上述のように採取および溶出され た 単一のプラークを得るためにプレートした。これらの一つをCJ236の感染に 使用し、別の10mlの培養物を生育し、一本鎖DNAをファージを含む上清か らキアテックスTMカラムおよび製造者がすすめる物質および方法(キアゲン、チ ャットワース、CA)を用いて単離し、最後に0.01mlの体積に再懸濁した 。実際の部位特異的突然変異誘発の前の鋳型および鎖におけるウラシル残基の蓄 積を最大にするために組換えファージをCJ236(dut-ung-)で二回生 育した。 用いられた変異誘発オリゴヌクレオチドは、バイオ−シンセシス(Bio-synthes is)(デントン(Denton)、TX)から得られたもので、以下の配列を有する: この配列は、コンドロイチナーゼII遺伝子のリーダー配列と考えられる出発 点において、所望のNdeI配列(CATATG)を形成するCA配列によって AT配列(塩基対3235および3236)が置換されていることでSEQ I D NO:1および39の対応する領域とは異なる。1ODユニット(光学密度 単位)のこのオリゴヌクレオチドを0.46mlのTE7.4(0.01Mトリ スHCl、pH7.8−0.001M EDTA、pH8.0)に溶かし、約6 pmol/μlのオリゴヌクレオチド濃度を得た。300ピコモルのこのオリゴ ヌクレオチドを、0.05MのトリスHCl、pH7.8、0.01MのMgC l2、0.02Mのジチオトレイトール、0.001MのATP、25μg/m lのウシ血清アルブミンおよび100ユニットのT4ポリヌクレオチドキナーゼ (ニュー・イングランド・バイオラブス)を含む0.1mlの反応溶液で、37 ℃で、30分間リン酸化し、酵素を不活性化するために75℃で20分間インキ ュベートした。次いで、リン酸化されたオリゴヌクレオチドを、約3pmol/ μlの濃度で−20℃に冷凍保存した。 部位特異的突然変異誘発のために、10μl体積の0.02M トリス HCl 、pH7.4、0.002M MgCl2、0.05M NaCl中で、1μl( 3pmol)の変異誘発オリゴヌクレオチドを先に調製した6μlの一本鎖DN Aと 混合した。このオリゴヌクレオチドを、DNA サーマル・サイクラー(Thermal CyclerTM)(パーキン-エルマー(Perkin-Elmer) セタス/ノルウォーク(Cetus/No rwalk)、CT)で、最初に試料を70℃で5分間インキュベートし、次いでこの試 料を25℃で45分間以上冷却することによって前記オリゴヌクレオチドをこの 鋳型にアニールした。20℃まで冷却する前にこの試料をさらに5分間25℃に 保ち、最後にアイスバスに移した。 次いで、1μlの10X合成バッファー(バイオ−ラド;0.005Mの各種 dNTP、0.01MのATP、0.1Mのトリス HCl,pH7.4、0. 05MのMgCl2、0.02MのDTTを含む)を添加した後にアニールされ たプライマーを伸長した。1μlのT4DNAリガーゼ(3ユニット/μl B io−Rad)および1μlのT7DNAポリメラーゼ(0.5ユニット/μl バイオ−ラド)。インビトロでのDNA合成を、5分間氷上で、10分間11 ℃で、および氷上に移す前に30分間37℃で行った。 この試料を、雄株のE.coli宿主MV1190(dut+ung+)に直接 形質転換するのに使用して、部位特異的突然変異誘発ファージを含む得られたプ ラークを得て、上記のように採取および溶出した。これらのファージ貯蔵物の分 注物をMV1190の10mlの培養物を感染するために使用し、一晩生育させ た。培養液を遠心し、組換えファージの複製型をキアテックスTMカラムおよび製 造者が推奨する方法(キアゲン、タットワース、CA)を用いて単離した。単離さ れたDNAを0.1mlのTE7.4に再懸濁した。これらのDNA試料のそれ ぞれの一部をNdeIで最初に切断すると、少なくとも4つが新規のNdeI部 位を獲得したらしいことがわかり、部位特異的突然変異誘発が成功したことが示 された。その結果、これら4つのクローンのより大量の試料(それぞれ0.04 ml)をNdeIおよびE.coliで切断し、トリス−酢酸−EDTAバッフ ァー中で行った1.4%アガロースゲルで分画した。 所望の約740塩基対断片がそれぞれの場合で観察され、このバンドを各パタ ーンから切りだした。次いで、四つの試料を連結し、キアテックスTM樹脂および 製造者の推薦するバッファーを用いて(キアゲン、チャットワース、CA)ゲルか ら抽出し、0.05mlのTE、pH7.4に再懸濁した。コンドロイチナーゼ II遺伝子のクローン化されたP.ブルガリス遺伝子の単離された部位特異的突 然変異誘発N末端コーディング領域を、プラスミドpNEB193(ニュー・イ ングランド・バイオラブス、ベバリー、MA)の(脱リン酸化された)唯一のNd eIおよびEcoRI部位間にサブクローニングした。E.coli宿主株29 4の形質転換後、ここの形質転換体から誘導された10mlの培養液を生育し、 上述のように組換えプラスミドDNAを単離した。陽性のクローンの一つのDN A試料を、m#15−5712と称した。この試料は、実施例12に記載するコ ンドロイチナーゼII遺伝子のC末端コード領域に連結される修飾されたN末端 領域を示す。 実施例12 コンドロイチナーゼIIのC末端領域をコードする断片の 単離、特徴決定およびDNA配列分析 SEQ ID NO:39に含まれるDNA配列は、コンドロイチナーゼIIが コンドロイチナーゼIに対する領域の下流の領域にコードされていることを示し た。この情報は、LP2751と称されるコスミドクローンから独創的にサブク ローニングされたP.ブルガリスの10キロベースのNsiI断片の一部から得 られた。DNA配列決定と図1の制限地図とを組み合わせることにより、コンド ロイチナーゼIIコード領域は、P.ブルガリス誘導DNA内のEcoRI部位 の“左”から始まって、図1に示された断片の“右”端のNsiI部位へと続く ことが示された。それゆえ、コンドロイチナーゼII遺伝子のC末端コード配列 を含む適切な断片を見つけるには“右”に伸ばすべきである。 LP2751の切断が、約20kb、13kb、および10kbの三つのEc oRI断片を示し、LP2751内に三つのEcoRI部位があることを示した 。クローニング部位を囲む二つのEcoRI部位があるため、結果として、この クローンのクローン化されたP.ブルガリスDNA内に一つのEcoRI部位が 存在する。さらに、約13kbの断片は、それ自身コスミドベクターのサイズに 適合することから、この唯一のEcoRI部位は、上記の約20kbと約10k bの 断片間に存在する。コンドロイチナーゼIの完全なコード領域およびコンドロイ チナーゼIIのN末端コード領域が、両方とも約10kbのNsiI断片に含ま れることがわかっていることから、クローン化された10kbのNsiI(LP2 770と称される組換えプラスミドに存在する)と上記の約20kbのEco RI断片および約10kbのEcoRI断片のゲル精製試料との間で得られたパ ターンを比較する制限切断により、これらのEcoRI断片のどちらがコンドロ イチナーゼIをコードする配列を含むか、またこれから推量して、どちらがコン ドロイチナーゼIIのC末端コード配列を有するかが示唆された。従って、LP2 751と称される元のコスミドクローンを切断して8〜10の断片を与えるこ とが出願人によってわかっている制限酵素、AflIII、ClaI、EcoRV 、およびHindIIIを用いて切断した。 サブクローニングされた約10kbのNsiI断片(LP2770)と、個々 にゲル精製された約20kbのEcoRIおよび約10kbのEcoRI断片を 有する組換え分子を上記の各酵素で切断し、比較する断片のパターンを得た。こ の切断から、約20kbのEcoRI断片とLP2770のパターンが、共通に 多数の断片を有することを示した。このことから、コンドロイチナーゼI遺伝子 およびコンドロイチナーゼII遺伝子のN末端コード領域が大きい方のEcoR I断片に含まれ、従ってコンドロイチナーゼII遺伝子のC末端コード領域が約 10kbのEcoRI断片に存在することが示された。 約10kbのEcoRI断片を、lacpo△ pNEB193と称されるp NEB193の誘導体(ニュー・イングランド・バイオラブス、ベバリー、MA )の唯一のEcoRI部位にクローン化した。このベクターは、親の分子のpN EB193と比較して二つの欠失部を有する。第一の欠失は、唯一のNdeIと EcoRIとの間の配列を除去し、EcoRI部位は保持するが、NdeI部位 (および二つのPvuII部位の一方)を除去したものである。第二の欠失は、 ポリリンカーの他端におけるHindIII部位と(今や唯一の)PvuII部位 との間の領域を除去し、HindIII部位を維持するが、PvuII部位を除去 するものである。ベクターlacpo△ pNEB193にサブクローニングさ れた約10kbのEcoRI断片を有する組換えDNA分子をLP21263と 称する。 LP21263内の112kDのC末端コード領域の配向を制限酵素地図で決定 した。結果は、この領域がEcoRI部位(“左”端に定義された)からポリリ ンカーの他端のHindIII部位に進むように配置されていることを示した。同 様に、SmaI、XhoI、NocIおよびNdeIの唯一の制限部位が、約1 0kbのEcoRI断片の“左”端から約2.6、4.6、5.8および8.5 kbに見られた。このためSmaIを用いたLP21263の切断は、コンドロ イチナーゼII遺伝子の欠けている領域をコードするのに十分な約2.6kbを 残して、クローン化されたP.ブルガリスのDNA内の部位からポリリンカー領 域内の第二の部位までの約7.4kbの下流領域を削除した。また、この構成物 は、コンドロイチナーゼII遺伝子のコード領域の下流のBamHI部位(ポリ リンカーに存在)も“配置”する。EcoRI部位からこの遺伝子の終止コドン まで(または、おそらくはわずかに越えたところ)のコンドロイチナーゼII遺 伝子を有するこの組換えDNA分子を、m#25−5712と称する。 DNA配列分析を、LP21263から誘導された約10kbのEcoRI断 片で行い、コンドロイチナーゼIIの完全な遺伝子を組み立てた後に完了した。 この断片のDNA配列決定用の物質および方法は、コンドロイチナーゼIの遺伝 子を含む約4kbの断片に対して使用したのと本質的に同じものであった。DN Aを自己連結し、次いで超音波処理および制限酵素Sau3AまたはMseIを 用いた部分切断により重合DNAを断片化することによって、この約10kbの EcoRI断片からランダムな断片を誘導した。これらの断片を最後にM13誘 導ベクターにクローン化し、一本鎖組換え分子を上記の標準的なプロトコールに 従って配列決定した。 最後に、二セットの配列データを用いて、EcoRIで切断されて得られた約 20kbと約10kbの二つのP.ブルガリス断片の間の接合点であるEcoR I部位を含むことが予想される約300塩基対のBclI断片が同定された。こ の小さい断片を、以下に記載する構成に使用される前記接合点を通るヌクレオチ ド配列を確かめるために両方向で配列決定した。 実施例13 コンドロイチナーゼIIの完全な部位特異的突然変異誘発された 遺伝子の組み立て DNA配列決定中に、m#25−5712と称される分子をEcoRIおよび BamHIで切断した。これにより、約2.6kbのDNA断片が放出された。 同様に、m#15−5712と称される構成物をEcoRIおよびBamHIで 切断し、次いで脱リン酸化してゲル電気泳動によって精製した。それゆえ、後の 分子は、ATG開始コドン(今や部位特異的突然変異誘発物からのNdeI部位 の一部として存在する)からEcoRI部位までのコンドロイチナーゼII遺伝 子のN末端コード領域を有する。 これらの二つの断片を連結し、この混合物をE.coli株294を形質転換 するために使用した。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、陽性のクロー ンを同定した。NdeIおよびBamHIを用いた制限切断により、コンドロイ チナーゼII遺伝子(SEQ ID NO:39、BamHI部位を含むポリリン カーから誘導された14ヌクレオチドが連結された、ヌクレオチド3235−6 518)をコードする所望の断片が得られた。次いで、この断片を、コンドロイ チナーゼI遺伝子の発現で記載した発現ベクターpET9A(ノバゲン、マディ ソン、WI)に連結した。 コンドロイチナーゼII遺伝子のコード領域は、SEQ ID NO:39のヌ クレオチド3238−6276を含み、これは1013アミノ酸(SEQ ID NO:40)をコードする。この領域のヌクレオチド3238−3306は23 アミノ酸のシグナルペプチド(SEQ ID NO:40、アミノ酸1−23)を コードするが、ヌクレオチド3307−6276は完全な990アミノ酸のコン ドロイチナーゼIIタンパク質(SEQ ID NO:40、アミノ酸24−10 13)をコードする。 両方のコンドロイチナーゼ遺伝子にわたる領域およびこれらの横に位置する配 列の4つの酵素を用いた制限分析は、以下の制限部位を示した。 さらに、Sau3AIを用いた制限分析は、SEQ ID NO:39における ものを含む部位、すなわちヌクレオチド212、602、890、1042、1 181、1241、1442、1505、1746、2330、2363、27 01、2705、2920、3697、3708、3745、3868、408 7、4800、4872、5565、5635、5860、6058および64 67の多重性(multiplicity)を示した。 この実験で得られた組換え分子の一つ(pET9Aに挿入されたコンドロイチ ナーゼII遺伝子)を大規模(0.5リットル)で生育し、コンドロイチナーゼ II遺伝子を含む発現システムを単離し、LP21359と称した。このDNA の画分をコンドロイチナーゼI遺伝子の発現で記載した発現宿主BL21(DE 3)/pLysSを形質転換するために使用した。得られた株をTD112と称 し、大規模発酵およびコンドロイチナーゼII酵素の単離に使用した。 コンドロイチナーゼIIタンパク質を発現するプラスミドを有するこのE.c oli株で行った10リットル規模の発酵により、約0.3mg/mlという最 大のコンドロイチナーゼII力価が得られ、これは天然のP.ブルガリスのコン ドロイチナーゼII発酵工程で得られる約0.012mg/mlの約25倍であ った。 実施例14 本発明に係る組換えコンドロイチナーゼII の単離および精製のための第一の方法 この方法の開始部分は、組換えコンドロイチナーゼI酵素に用いられたものと 同様である。第一段階として、組換えコンドロイチナーゼII酵素を発現する宿 主細胞をホモジェナイズして細胞を溶菌した。これにより酵素が上清中に放出さ れた。 本発明の一つの態様では、この上清を塩類および他の小さい分子を除去するた めにダイアフィルトレーションする。適切なフィルターの例としては、アミコン (ベバリー、MA)社製の螺旋状の傷を備えた30kDのフィルターがある。し かしながら、この段階では、負に帯電した分子の結合形態ではなく遊離形態のも のを除去するだけである。これらの帯電した種の結合形態のものは、この上清( 図5のレーン1に示されたSDS-PAGEゲル参照)を強力で高い容量のアニ オン交換樹脂含有カラムを通すことによって除かれる。このような樹脂の例には 、マクロプレップTM ハイQ樹脂(バイオ−ラド、メルビル、N.Y.)がある。他 の強力で高い容量のアニオン交換樹脂含有カラムも適している。負に帯電した分 子はこのカラムに結合するが、前記酵素は、このカラムを通過し、この酵素を約 90%回収した。また、無関係の、所望でないタンパク質もこのカラムに結合す ることがわかった。 次いで、アニオン交換カラムからの溶出物(図5、レーン2)を、カチオン交 換樹脂含有カラムに直接添加した。このような樹脂の例は、S-セファロースTM (ファーマシア、ピスカタウェイ、N.J.)およびマクロプレップTMハイS(バイ オ−ラド)がある。これら二つの樹脂含有カラムは、それぞれカチオンの交換を 促進するために結合したSO3 -リガンドを有する。他のカチオン交換カラムも適 切である。この酵素はカラムに結合するが、混入タンパク質のかなりの部分が結 合しないで溶出した。 ここで、この方法は、コンドロイチナーゼIタンパク質に用いた方法から分岐 する。カチオン交換カラムから酵素を放出することができる非特異的な塩溶液で タンパク質を溶出する代わりに、コンドロイチン硫酸を含む溶液を用いた特異的 な溶出を行う。1%濃度のコンドロイチン硫酸を使用したが、この溶液の勾配も 好ましい。組換えコンドロイチナーゼIIタンパク質は、組換えコンドロイチナ ーゼIタンパク質より約数倍低いレベルで発現するため、特異的なコンドロイチ ン硫酸溶液が、非特異的な塩溶液より好ましい;それゆえ、コンドロイチナーゼ Iタンパク質で得られた純度と同じ純度の最終コンドロイチナーゼII生成物を 得るには、より強力かつ選択的な溶液が必要である。 次いで、結合していないタンパク質を溶出するために、カチオン交換カラムを pH7.0のリン酸バッファーで洗浄し、ゆるく結合した混入タンパク質を溶出 するため、および基質すなわちコンドロイチン硫酸を用いたコンドロイチナーゼ IIタンパク質の最適な溶出に必要とされるpHまで樹脂のpHを上げるために 、pH8.5のホウ酸塩バッファーで洗浄する。 次いで、pH9.0に調節された1%のコンドロイチン硫酸水溶液を、鋭いピ ーク(65%を回収)および約95%という高純度(図5、レーン3)でコンド ロイチナーゼIIタンパク質を溶出するために使用した。しかしながら、コンド ロイチン硫酸はコンドロイチナーゼIIタンパク質に親和性を有しており、これ はカラムの樹脂に対する親和性より強力であるため、コンドロイチン硫酸は前記 タンパク質と共に溶出してしまう。これは、コンドロイチン硫酸を認識するタン パク質のみが溶出することを確証するもので望ましいことであるが、コンドロイ チナーゼIIタンパク質からコンドロイチン硫酸を分離するためにさらなる段階 が必要であることをも意味する。 この分離段階では、溶出液をpH7.0に調節し、マクロプレップTMハイQ樹 脂等のアニオン交換樹脂含有カラムに添加した。このカラムをpH6.8の20 mMのリン酸バッファーで洗浄した。コンドロイチン=スルファートはカラムに 結合するが、コンドロイチナーゼIIタンパク質は、95%以上の回収率で非結 合プールへと流出した。ここで、このタンパク質は、約37kDの単一の微量混 入物がある以外は純粋であった(図5、レーン4および6)。この混入物は、コ ンドロイチナーゼIIタンパク質の崩壊産物のようである。 この混入物は、結晶化(crytallization)段階で効果的に除去された。アニオ ン交換カラムからのこの溶出液を15mg/mlのタンパク質となるように、3 0kDのカットオフ(cutoff)を備えたアミコン攪拌細胞を用いて濃縮した。こ の溶液を数日間4℃で保存し、純粋なコンドロイチナーゼIIタンパク質を結晶 化した。この上清は、37kDの混入物を含有する(図5、レーン7)。遠心に より結晶を沈降させ、37kDの混入物を有する上清をピペッティングにより除 き、結晶を水で二度洗浄した。最初の洗浄後、ある程度の混入物が残ったが(図 5、レーン8)、二回目の洗浄後にはコンドロイチナーゼIIタンパク質のみが 観察された(図5、レーン9)。洗浄した結晶は、水に再度溶解され、SDS- PAGEで単一のタンパク質のバンドを表し、99%以上の純度を備えていた( 図5、レーン10)。 実施例15 本発明に係る組換えコンドロイチナーゼIIの 単離および精製のための第二の方法 本発明のこの態様の第二の実施態様では、さらに二つの段階を、コンドロイチ ナーゼII酵素の精製方法における第一の実施態様のダイアフィルトレーション 段階の前に挿入する。この上清を1M酢酸等の酸性溶液で処理し、上清を最終p H4.5にして、所望の酵素を沈降させる。この沈降物を5000xg、20分 で遠心して得る。この沈降物を20−30mMのNaOH等のアルカリ溶液に溶 解し、最終pH9.8にした。次いでこの溶液にダイアフィルトレーションおよ び本発明におけるこの態様の第一の実施態様の次なる工程を行った。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年5月30日 【補正内容】 請求の範囲 1.コンドロイチナーゼI酵素をエンコードする配列からなるプロテウス・ブル ガリス(P.ブルガリス)の精製し単離したDNAフラグメント。 2.フラグメントが、SEQ ID NO:2の1−1021の番号のアミノ酸配 列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列からなるP.ブルガリス の精製し単離したDNAフラグメント。 3.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:1の119−3181の番 号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:3の119−3181の番 号のヌクレオチドの配列を持つ請求項2記載の精製し単離したDNAフラグメン ト。 4.フラグメントが、SEQ ID NO:2の25−1021の番号のアミノ酸 配列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列からなるP.ブルガリ スの精製し単離したDNAフラグメント。 5.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:1の191−3181の番 号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:3の191−3181の番 号のヌクレオチドの配列を持つ請求項4記載の精製し単離したDNAフラグメン ト。 6.フラグメントが、SEQ ID NO:5の24−1021の番号のアミノ酸 配列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列からなるP.ブルガリ スの精製し単離したDNAフラグメント。 7.前記フラグメントが、SEQ ID NO:4の188−3181の番号のヌ クレオチドの配列を持つ請求項6記載の精製し単離したDNAフラグメント。 8.コンドロイチナーゼII酵素をエンコードする配列からなるプロテウス・ブ ルガリス(P.ブルガリス)の精製し単離したDNAフラグメント。 9.フラグメントが、(a)SEQ ID NO:40の1−1013の番号のア ミノ酸またはその生物学的等価物、あるいは(b)SEQ ID NO:40の2 4−1013の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物をエンコードする核酸 配列からなるP.ブルガリスの精製し単離したDNAフラグメント。 10.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:39の3238−627 6の番号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:39の3307−6 276の番号のヌクレオチドの配列を持つ請求項9記載の精製し単離したDNA フラグメント。 11.(a)請求項1または(b)請求項8の配列からなるP.ブルガリスの精 製し単離したDNAフラグメントを含むプラスミド。 12.前記プラスミドが、pTM49−6と称するもの、またはLP21359 と称するものである請求項11記載のプラスミド。 13.請求項11のプラスミドで形質転換された宿主細胞。 14.前記プラスミドが、pTM49−6と称するもの(ATCC69234) 、またはLP21359と称するもの(ATCC69598)である請求項13 記載の宿主細胞。 15.精製し単離した組換えコンドロイチナーゼI酵素。 16.アミノ酸配列が、(a)SEQ ID NO:2の1−1021の番号のア ミノ酸またはその生物学的等価物、(b)SEQ ID NO:2の25−102 1の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物、または、(c)SEQ ID N O:5の24−1021の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物で表される 請求項15記載のコンドロイチナーゼI酵素。 17.精製し単離した組換えコンドロイチナーゼII酵素。 18.アミノ酸配列が、(a)SEQ ID NO:40の1−1013の番号の アミノ酸またはその生物学的等価物、または、(b)SEQ ID NO:40の 24−1013の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物で表される請求項1 7記載のコンドロイチナーゼI酵素。 19.宿主細胞を請求項11(a)のプラスミドで形質転換し、その宿主細胞に よって前記酵素を発現させる条件下で宿主細胞を培養することからなるコンドロ イチナーゼI酵素の製造方法。 20.宿主細胞を請求項11(b)のプラスミドで形質転換し、その宿主細胞に よって前記酵素を発現させる条件下で宿主細胞を培養することからなるコンドロ イチナーゼII酵素の製造方法。 21.(a)宿主細胞をホモジェナイズすることによって溶解させ、酵素を上澄 み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーションを施して塩及び他の小さな分子を 取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、 (e)酵素をカラムから放出させることのできる溶媒で、カチオン交換カラム に結合した酵素を溶離させる工程からなる宿主細胞からのプロテウス・ブルガリ スの組換えコンドロイチナーゼI酵素の精製及び単離方法。 22.前記工程(b)に先立って、 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく工程を行う請求項21記載の方法。 23.請求項21の方法または請求項22の方法で精製し単離した組換えコンド ロイチナーゼI酵素。 24.(a)宿主細胞をホモジェナイズすることによって溶解させ、酵素を上澄 み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーションを施して塩及び他の小さな分子を 取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、 (e)硫酸コンドロイチン溶液を用いた親和性溶離により、カチオン交換カラ ムに結合した酵素を、その酵素が硫酸コンドロイチンとともに溶離するようにし 、 (f)工程(e)からの溶離液を、アニオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 硫酸コンドロイチンがカラムに結合するように、溶媒で酵素を溶離し、 (g)工程(f)からの溶離液を濃縮し、約37kDのコンタミナントを含む 上澄み液から酵素を結晶化させる工程からなる宿主細胞からのプロテウス・ブル ガリスの組換えコンドロイチナーゼII酵素の精製及び単離方法。 25.前記工程(b)に先立って、 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく工程を行う請求項24記載の方法。 26.請求項24の方法または請求項25の方法で精製し単離した組換えコンド ロイチナーゼII酵素。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/88 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,JP (72)発明者 ティレイ,ブルース クリフォード アメリカ合衆国 ペンシルヴァニア 18326 クレスコ ボックス 27 アール アール2 (72)発明者 ロトヴィン,ジェイソン アーノルド アメリカ合衆国 ニュージャージー 07083 ユニオン ルーズヴェルト アヴ ェニュー 985

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.コンドロイチナーゼI酵素をエンコードする配列からなるプロテウス・ブル ガリス(P.ブルガリス)の精製し単離したDNAフラグメント。 2.フラグメントが、SEQ ID NO:2の1−1021の番号のアミノ酸配 列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされた 配列からなるP.ブルガリスの精製し単離したDNAフラグメント。 3.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:1の119−3181の番 号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:3の119−3181の番 号のヌクレオチドの配列を持つ請求項2記載の精製し単離したDNAフラグメン ト。 4.フラグメントが、SEQ ID NO:2の25−1021の番号のアミノ酸 配列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされ た配列からなるP.ブルガリスの精製し単離したDNAフラグメント。 5.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:1の191−3181の番 号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:3の191−3181の番 号のヌクレオチドの配列を持つ請求項4記載の精製し単離したDNAフラグメン ト。 6.フラグメントが、SEQ ID NO:5の24−1021の番号のアミノ酸 配列またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされ た配列からなるP.ブルガリスの精製し単離したDNAフラグメント。 7.前記フラグメントが、SEQ ID NO:4の188−3181の番号のヌ クレオチドの配列を持つ請求項6記載の精製し単離したDNAフラグメント。 8.コンドロイチナーゼII酵素をエンコードする配列からなるプロテウス・ブ ルガリス(P.ブルガリス)の精製し単離したDNAフラグメント。 9.フラグメントが、(a)SEQ ID NO:40の1−1013の番号のア ミノ酸、または(b)SEQ ID NO:40の24−1013の番号のアミノ 酸またはその生物学的等価物をエンコードする核酸配列でハイブリダイズされた 配列からなるP.ブルガリスの精製し単離したDNAフラグメント。 10.前記フラグメントが、(a)SEQ ID NO:39の3238−627 6の番号のヌクレオチド、または(b)SEQ ID NO:39の3307−6 276の番号のヌクレオチドの配列を持つ請求項9記載の精製し単離したDNA フラグメント。 11.(a)請求項1または(b)請求項(8)の配列からなるP.ブルガリス の精製し単離したDNAフラグメントを含むプラスミド。 12.前記プラスミドが、pTM49−6と称するもの、またはLP21359 と称するものである請求項11記載のプラスミド。 13.請求項11のプラスミドで形質転換された宿主細胞。 14.前記プラスミドが、pTM49−6と称するもの(ATCC69234) 、またはLP21359と称するもの(ATCC69598)である請求項13 記載の宿主細胞。 15.精製し単離した組換えコンドロイチナーゼI酵素。 16.アミノ酸配列が、(a)SEQ ID NO:2の1−1021の番号のア ミノ酸またはその生物学的等価物、(b)SEQ ID NO:2の25−102 1の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物、または、(c)SEQ ID N O:5の24−1021の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物で表される 請求項15記載のコンドロイチナーゼI酵素。 17.精製し単離した組換えコンドロイチナーゼII酵素。 18.アミノ酸配列が、(a)SEQ ID NO:40の1−1013の番号の アミノ酸またはその生物学的等価物、または、(b)SEQ ID NO:40の 24−1013の番号のアミノ酸またはその生物学的等価物で表される請求項1 7記載のコンドロイチナーゼI酵素。 19.宿主細胞を請求項11(a)のプラスミドで形質転換し、その宿主細胞に よって前記酵素を発現させる条件下で宿主細胞を培養することからなるコンドロ イチナーゼI酵素の製造方法。 20.宿主細胞を請求項11(b)のプラスミドで形質転換し、その宿主細胞に よって前記酵素を発現させる条件下で宿主細胞を培養することからなるコンドロ イチナーゼII酵素の製造方法。 21.(a)宿主細胞をホモジェナイズすることによって溶解させ、酵素を上澄 み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーションを施して塩及び他の小さな分子を 取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、 (e)酵素をカラムから放出させることのできる溶媒で、カチオン交換カラム に結合した酵素を溶離させる工程からなる宿主細胞からのプロテウス・ブルガリ スの組換えコンドロイチナーゼI酵素の精製及び単離方法。 22.前記工程(b)に先立って、 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく工程を行う請求項21記載の方法。 23.請求項21の方法または請求項22の方法で精製し単離した組換えコンド ロイチナーゼI酵素。 24.(a)宿主細胞をホモジェナイズすることによって溶解させ、酵素を上澄 み液中に放出し、 (b)上澄み液にダイアフィルトレーションを施して塩及び他の小さな分子を 取り除き、 (c)上澄み液をアニオン交換樹脂−含有カラムに通し、 (d)工程(c)からの溶離液を、カチオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 溶離液中の酵素をカチオン交換カラムに結合させ、 (e)硫酸コンドロイチン溶液を用いた親和性溶離により、カチオン交換カラ ムに結合した酵素を、その酵素が硫酸コンドロイチンとともに溶離するようにし 、 (f)工程(e)からの溶離液を、アニオン交換樹脂−含有カラムに入れて、 硫酸コンドロイチンがカラムに結合するように、溶媒で酵素を溶離し、 (g)工程(f)からの溶離液を濃縮し、約37kDのコンタミナントを含む 上澄み液から酵素を結晶化させる工程からなる宿主細胞からのプロテウス・ブル ガリスの組換えコンドロイチナーゼII酵素の精製及び単離方法。 25.前記工程(b)に先立って、 (1)上澄み液を酸溶液で処理し、酵素を析出させ、 (2)ペレットを回収した後、それをアルカリ溶液に溶解させて、酵素をアル カリ性環境におく工程を行う請求項24記載の方法。 26.請求項24の方法または請求項25の方法で精製し単離した組換えコンド ロイチナーゼII酵素。
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