本発明の組成物及び方法を記載する前に、本発明は、記載された特定の分子、組成物、方法論、若しくは手順に限定されるものではなく、変更されるものであることが理解される。さらに、本記載において用いられた専門用語は、特定のバージョン或いは実施例のみを説明することを目的としており、添付された請求項によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書や請求項で用いられたように、単数形"a"、"an"、及び"the"は、文脈が明らかに指示しない限り、複数形も含むことに留意されるものである。従って、例えば、"細胞(cell)"という言及は、1若しくはそれ以上の細胞、及び当業者に理解されるそれらの同等物を意味することになる。他に定義しない限り、本明細書で用いられた全ての技術用語及び特有な用語は、当業者に共通して理解されているものと同じ意味を有する。あらゆる方法及び材料或いは本明細書に記載されたそれらの同等物は、本明細書の実施例の実行及び試行に使用され得るが、好ましい方法、装置、及び材料は、これから記載されるものである。本明細書で引用される全ての刊行物は、この参照によって組み込まれるものである。本明細書は、本明細書が先行発明の長所によってそのような開示を先行する権利がないということを許可するものとは考えられない。
"任意の"或いは"任意で"とは、その後に記載されたイベント或いは状況が生じる若しくは生じないこと、及びその記載がそのイベントが起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことを意味している。
CSPGsを切断する適切な酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプI、コンドロイチナーゼABCタイプII、コンドロイチナーゼAC及びコンドロイチナーゼB、若しくは、ヒアルロニダーゼ1、ヒアルロニダーゼ2、ヒアルロニダーゼ3、ヒアルロニダーゼ4、カテプシン、ADAMTs及びPH−20などのコンドロイチナーゼ様活性を有する哺乳類酵素、若しくはそれらの混合物を含む。
CSPGsは、コアタンパク質のプロテオグリカンのファミリーであり、硫酸グリコサミノグリカンと共有結合的に連結している。多糖鎖は、コンドロイチナーゼのファミリーを含むいくつかの酵素によって切断される。現在まで、この酵素ファミリーは、少なくとも4つのメンバー、コンドロイチナーゼABCI、ABCII、AC及びBを含む。コンドロイチナーゼABCIは、コンドロイチン及びデルマタン硫酸の両者を切断するエキソ−リアーゼである。これは、CSPGを多く含む基質を越えるin vitro神経再生の研究において、さらに最近ではCNS傷害後のin vivo研究大規模に使用されていた。
本発明の組成物及び融合タンパク質において使用されたタンパク質及びポリペプチドは、傷害或いは疾患ニューロン及び軸索の再生、及び可塑性を促進するものである。これらの再生タンパク質及びポリペプチドは、細胞接着タンパク質、グリア細胞を刺激するタンパク質及びポリペプチド、及び軸索成長阻害因子として作用するタンパク質の阻害作用を阻害するポリペプチドを含む。
神経系の可塑性とは、あらゆるタイプの機能的再組織化を意味している。この再組織化は、発生、学習と記憶、及び脳修復によって生じる。可塑性によって生じる構造変化は、シナプス形成、シナプス除去、神経突起発芽を含み、存在するシナプスの伸長或いは減退も含む。再生は、再生の特徴である破壊された神経束における軸索の長期成長によって、可塑性とは一般的に区別される。
神経成長阻害分子の活性を阻害することができるタンパク質及びポリペプチドは、これに限定されるものではないが、Nogo、MAG、OMgpなどのペプチドの阻害特性を阻害するペプチド及びポリペプチドを含む。神経成長阻害分子の活性を克服する適切な組成物は、これに限定されるものではないが、プロテインキナーゼCファミリー阻害剤、Rhoキナーゼファミリー阻害剤、及び細胞内環状AMPを増加するホスホジエステラーゼ阻害剤などの薬剤、及びL1を含む。(NgR27−311)ペプチドは、膜結合性NogoRへのNogo66、OMgp、MAG、及びMOGの結合を阻害し、神経プロセスの再生に対するNogono阻害作用を克服する。
細胞接着に影響を及ぼし、細胞を刺激するタンパク質及びポリペプチドは、これに限定されるものではないが、L1及びGGF2などのポリペプチドを含む。L1は、in vitro神経突起成長の強力な刺激因子である神経細胞接着タンパク質であり、これによってL1の可溶性形態を用いたげっ歯類における急性SCIの治療は、神経性機能の回復の増加を導くことが発見された。GGF2は、グリア細胞を刺激し、再ミエリン化を促進するためのオリゴデンドロサイトの刺激の結果とおおよそ同様に、実験性アレルギー性脳脊髄炎(EAE)のマウスモデルにおいて測定された臨床成果を改良すると示された。
本発明を実行するのに有用な細胞膜−浸透ペプチド配列は、これに限定されるものではないが、RQARRNRRRRWRERQR−51(HIV−1 Revタンパク質塩基性モチーフ;配列ID番号:51)、MPKTRRRPRRSQKRPPTP−119(HTLV−1 Rexタンパク質塩基性モチーフ;配列ID番号:52)(Kubota et al.1989)、アンテナペディア(Antennapedia)のホメオドメイン第3へリックス(Derossi,et al.,J.Biol.Chem.271:18188〜93)(43−RQILIWFQNRRMKWLL−58;配列ID番号:53)、抗DNAモノクローナル抗体の重鎖可変部由来のペプチド(Avrameas,et al.,Proc.Natl.Acas.Sci.95:5601〜06,1998)(VAYISRGGVSTYYSDTVKGRFTRQKYNKRA;配列ID番号:54)、及び単純ヘルペスウイルスVP22タンパク質(Elliot and O'Hara,Cell,88:223〜33,1997)(1−MTSRRSVKSGPREVPRDEYEDLYYTPSSGMASPDSPPDTSRRGALQTRSRQRGEVRFVQYDESDYALYGGSSSEDDEHPEVPRTRRPVSGAVLSGPGPARAPPPPAGSGGAGRTPTTAPRAPRTQRVATKAPAAPAAETTRGRKSAQPESAALPDAPASRAPTVQLWQMSRPRTDEDLNELLGITHRVTVCEGKNLLQRANELVNPDVVQDVDAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE−246;配列ID番号:55)を含む。好ましい実施例において、前記塩基性ペプチドは、ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)Tatタンパク質(Fawell et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,91:664〜68,1994)から派生することができる。特に、Tatペプチドは、前記Tatタンパク質塩基性ペプチドモチーフ37〜72のあらゆる配列残基から成ることができる(Vives et al.1997)(37−CFITKALGISYGRKKRRQRRRPPQGSQTHQVSLSKQ−72;配列ID番号:56)。アミノ酸残基の最小値は、約3から約6、好ましくは約3から約5、最も好ましくは約4、すなわち1つのアルファへリックスターンにとって最小限必須である範囲であり得る。好ましい実施形態は、Tatタンパク質残基48〜57(GRKKRRQRRR;配列ID番号:57)を有している。
最適なPTDドメインは、TATタンパク質から由来したドメインを含む。TATタンパク質及びペプチドTatは、ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)の複製に関連する86−アミノ酸タンパク質である。前記HIV−1Tatトランス活性化タンパク質は、細胞によって効率的に取り込まれ(Mann and Frankel 1991;Vives et al.1994)、低濃度(nM)でHIV−1プロモーターから発現されるレポーター遺伝子をトランス活性化するのに十分である(Mann and Frankel 1991)。外因性Tatタンパク質は、形質膜を通って転位(translocate)可能であり、核に到達し、ウイルスゲノムをトランス活性化する。
塩基性アミノ酸のクラスターの中心に位置するTatタンパク質の領域は、この転位活性の原因であると考えられる(Vives et al.1997)。Tatペプチド仲介細胞性取り込み、及び核転移は、いくつかのシステムにおいて示されていた(Vives,et al.,J Biol Chem 272:16010〜16017,1997;Jones,Genes Dev 11:2593〜2599,1997)。いくつかのタンパク質と化学的にカップリングしたTat−由来ペプチド(残基37〜72)は、いくつかの細胞株或いは組織におけるそれらの内部移行を生じる(Fawell,et al.,Proc Natl Acad Sci USA 91:664〜668,1994;Anderson,et al.,Biochem Biophys Res Commun 194:876〜8884,1993;Fahraeus,et al.,Curr Biol 6:84〜91,1996;Nagahara,et al.,Nat Med 4:1449〜1452,1998)。Tat塩基性アミノ酸48〜60から成り、蛍光マレイミドと連結したC末端にシステイン残基を有する合成ペプチドは、蛍光顕微鏡によって決定されたように、細胞核に転位置させる(Vives et al.1997)。さらに、Tatアミノ酸48〜59から成り、それらのアミノ末端がベータ−ガラクトシダーゼアミノ酸9〜1023と融合している融合タンパク質(Tat−NLS−ベータ−Gal)は、ATP依存性でサイトゾル因子非依存性の様式で細胞核へ転位置させる(Efthymiadis et al.1998)。
キメラタンパク質(本分野では融合タンパク質とも言及される)は、2若しくはそれ以上の前駆体タンパク質或いはペプチドの少なくとも部分を組合わせるハイブリッドタンパク質である。キメラタンパク質は、組換え技術によって、すなわち1遺伝子のコード配列の少なくとも一部を別の遺伝子のコード配列の少なくとも一部と融合することによって産生させる。望ましくは、リンカーペプチドに対して1若しくはそれ以上の遺伝子は、前記融合タンパク質における他のポリペプチドドメインに対する遺伝子のコード配列と融合されるものである。次に、前記融合された遺伝子は、これに限定されるものではないが、例えばE.Coli(大腸菌)或いはCHO細胞などの安定な生物を形質転換するために使用され、この生物は次に前記融合タンパク質を発現する。
融合タンパク質のポリペプチドドメインのN或いはC末端欠損変異をコードする遺伝子は、前記融合タンパク質の発現のためのコンストラクトにおいて使用される。好ましくは、産生された欠損変異体は、その触媒性プロテオグリカン分解活性、阻害活性、成長活性、或いは形質導入活性を維持している。前記変異体がN及び/若しくはC末端から一定数のアミノ酸を欠損している、コンドロイチナーゼABCI酵素のようなプロテオグリカン分解分子の産生欠損変異体は、いくつかのプロテオグリカン分解活性を保持するものである。コンドロイチナーゼABCIのようなコンドロイチナーゼのN末端欠損は、N末端へ連結されるヒスチジン−タグを維持する。TAT−欠損変異体コンドロイチナーゼABCI融合DNAコンストラクトは、発現の間、TATポリペプチドの除去なしに発現され得る。例えば、ABCI−NΔ20或いはABCI−NΔ60欠損変異のN末端の融合TATペプチドなどである。図3に示されたような、GGF2に対するポリペプチドの断片は、キメラ融合タンパク質のコンストラクトにおいて使用される。
コンドロイチナーゼABCIの触媒的に活性な欠損変異体は、例えば、これに限定されるものではないが、成熟ABCIタンパク質のN末端からそれぞれ20、40及び60アミノ酸を欠損するように調整される。N末端からの60アミノ酸の欠損、及びC末端からの80アミノ酸の欠損も、プロテオグリカン分解コンドロイチナーゼABCIの欠損変異体を作成するために用いられる。これらの欠損変異体、及び他のプロテオグリカン分解分子のそれらは、N末端融合キメラタンパク質のコンストラクションに使用される。詳細な比較生化学研究は、組成物中の成熟コンドロイチナーゼABCI対様々な欠損変異体、及び基質特異性、基質結合及び組織通過に関する融合タンパク質の効率を決定するために行われた。
未変性なタンパク質構造を有しているが、触媒活性を欠いているコンドロイチナーゼABCIの変異体は、生物検定及びSCI研究のためにヌル或いはネガティブ対照として調整される。コンドロイチナーゼABCIの結晶構造に基づいて、推定上の活性部位において触媒活性をノックアウトするような、H501a及びY508aと命名された部位特異的変異体が調整された。そのような変異体は、触媒活性の不活性化及びSECに対してテストされ、野生型酵素と比較した。ヌル活性変異体がうまく作成された場合、それは生物検定及に、最終的にはSCI動物研究において使用するための様々な融合タンパク質に対するネガティブ対照を提供する。
E.Coli(大腸菌)発現システムは、PET発現ベクター(Novagen)を用いてコンドロイチナーゼを作成する。GGF2−コンドロイチナーゼ融合タンパク質は、E.Coliにおいて発現される。Tat−コンドロイチナーゼ欠損変異体融合タンパク質、Tat−GGF2融合タンパク質、或いはTat−コンドロイチナーゼ−GGF2融合タンパク質に対するコンストラクトは、E.Coliから発現される。他の融合タンパク質は、CHO細胞株において発現され得る。
表1は、様々な制限されない構成成分を説明したものであり、混合物として、好ましくは融合或いはキメラ分子としての本発明の組成物において使用されるものである。記載された前記組成物若しくはキメラ分子は、表1の分子の1若しくはそれ以上を含む。キメラ分子の場合、1若しくはそれ以上のリンカーセグメント、好ましくはポリペプチドが使用される。
本発明のキメラ融合タンパク質の限定されないバージョンの模式図は、図4A及び図4Bに説明されている。
表1のあらゆるコラムからのペプチド構成成分は、例えばGly−Gly−Gly−Gly−Gly−などの、グリシンリッチペプチドとして当業者には既知であるオリゴペプチドリンカーによって連結され得る、若しくは天然由来アミノ酸、4−アミノブチル酸或いは6−アミノカプロン酸のような置換若しくはベータ或いはガンマアミノ酸を含む調整リンカーが用いられ得る。これに限定されるものではないがアルキルジアミン、アミノ或いはアルキルジオールを含む他のリンカーも使用される。好ましくは、前記融合タンパク質の形質導入構成成分は、前記キメラタンパク質の末端部分に存在する。共通リンカーの他の例は、これに限定されるものではないが、Gly−Gly−Ala−Gly−Gly−、Gly/Serリッチリンカー(例えばGly4Ser3)、若しくはGly/Alaリッチリンカーを含む。さらに、リンカーは、任意の長さであり、前記融合タンパク質における構成成分の移動性を促進する或いは制限するように設計される。
合成非天然アミノ酸を含む非天然アミノ酸の取り込み、若しくは本発明の1若しくはそれ以上のD−アミノ酸のペプチド(或いは前記複合体の他の構成成分)(本明細書において"D−ペプチド"としてその後言及される)への取り込みは、多くの異なる方法において有利である。D−アミノ酸含有ペプチドは、L−アミノ酸含有対応物と比較して、in vitro或いはin vivoでの安定性を増加すると示した。従って、、D−アミノ酸を取り込んだペプチドの構成は、より優れた細胞内安定性が必要或いは要求されている場合、特に有用である。より特異的には、D−ペプチドは内在性ペプチダーゼ及びプロテアーゼに対して耐性であり、それによって連結薬剤或いは共役物のより優れた経口経上皮運搬及び経皮性運搬を提供し、膜透過性複合体の生物学的利用能を改善し、そのようなペプチドが望ましい場合、血管内及び間質性寿命を延長する。D−ペプチドの使用は、連結薬剤及び他のカーゴ分子の経皮性及び経口経上皮運搬も増強できる。
脊髄損傷において、上行性感覚ニューロン及び下行性運動ニューロンの軸索は破壊され、感覚の欠損及び運動麻痺を生じる。これらの軸索は、再生に失敗し、永久の身体障害を導くものである。もろい組織の領域を囲むと考えられている損傷の部位である瘢痕包膜は、血液脳関門を安定化し、制御できない組織損傷の不可抗力のカスケードを防ぐ。この瘢痕は、肥大性グリア細胞及び細胞外マトリックス(ECM)から構成されている。コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPGs)は、前記瘢痕の1つの重要な構成成分である。それらは、グリア細胞から発現され、血液脳関門崩壊の領域のECMに堆積される。In vitro結果によって、これらのCSPGsは軸索の成長に対して潜在的に阻害性であり、理論に縛られることを望まないで、脊髄軸索が機能的シナプスを再生及び再編成できない一因となると考えられる。In vivo研究によって、再生している軸索は、瘢痕へ及び上で成長できることが示された。
CSPGs及び白質構成成分は、傷害後、機能的連結を再生及び再設立するためにニューロンが克服しなくてはならない分子関門として一般的に受け入れられている。形成瘢痕の末梢側に位置付けられた移植成体感覚ニューロンは、白質経路が変性している間でさえ頑強に再生できるが、再生は軸索がプロテオグリカン含有グリア性瘢痕へ入った時突然終わる。CNS白質経路をコンドロイチナーゼで処理すると、これらの基質へ成長するためのニューロンの能力を増強する。
中枢神経系組織は、細胞できつく詰められており、限られた細胞外スペースを有している。前記細胞外マトリックスのタンパク質と糖鎖は、電化と浸透力を提供し、さらに治療薬剤の通過を阻止する特異的結合部位及び非特異的結合部位を提供する。これらマトリックス及び細胞性構成成分の酵素的切断は、化合物或いは細胞の組織を通るアクセスを促進する。コンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解分子は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを消化する酵素であり、治療用分子のCNSへの拡散を促進するために使用され得る。共有結合的に結合した生物学的に活性なカーゴ分子を原形質及び細胞の核へ輸送するためのTatペプチドである。HIV tatタンパク質のようなタンパク質形質導入ポリペプチドドメインを有する融合タンパク質の場合において、軸索再生のための治療用分子は、血管脳関門を越えて運搬される。
SCIモデル傷害、好ましくは挫傷モデル傷害の治療は、本発明の組成物及び方法によって達成される再生及び機能回復の程度を決定するために使用され得る。機能回復の程度は、改善された皮質脊髄路伝導、改善されたテープ除去、ビーム移動、グリッド移動、及び脊柱破壊のコンドロイチナーゼ処理に続く足交換によって説明され得る。運動スキル改善及び自律神経性機能(腸、膀胱、感覚及び性機能)も、機能改善の基準として使用され、本発明の組成物における分子構造及び構成成分に関連する。
コンドロイチナーゼの再生を増強する能力に加えて、コンドロイチナーゼはニューロン周囲ネットワーク(PNN)の構成成分を消化する。PNNの密度は、CNS内で可変的であり、体性感覚、聴覚、視覚皮質、および海馬において特に高密度である。PNNは、脊髄運動ニューロンの周りでも高密度であると示されていた。本発明者らは、索の後角内の高密度PNNを発見した。PNNの消化は、海馬及び視覚皮質内の可塑性を増強できる。不完全SCIにおける、特に中心パターン発生器の領域における或いは網状コアにおける無傷システム内の可塑性は、損傷或いは破壊されたシステムの機能を補助する。これらのシステムにおける可塑性の促進は、コンドロイチナーゼがCNS損傷に続く機能を改善できることによる再生以外の、或いはそれに加えての1つのメカニズムである。さらに、再生及び可塑性は、損傷に続く回復に一致協力して影響を及ぼし、実は、皮質脊髄路は脊髄可塑性を調節するために重要であることが示された。
CNSにおける挫傷損傷、或いは病態に続く神経性機能の回復は、前記融合タンパク質若しくは1若しくはそれ以上の表1の構成成分を含む混合物を、細胞、組織、或いは損傷或いは病気のニューロンを有する(前記損傷及び病気は、即時若しくは長年にわたるものである)対象へ投与することによって促進される。
本明細書の前記融合タンパク質は、CSPGsを分解するのに有効な量で投与され、それによって神経性機能の回復を促進する。一度、前記組成物中のタンパク質或いはポリペプチドが望ましい程度まで精製されたら、それらは、SCI治療のために適切な生理学的担体或いは賦形剤に懸濁される、若しくは希釈される。SCIのモデルにおいて、ラットにおける効果的なくも膜下腔内用量は、1日おきに14日間、約0.06ユニットであった。79キログラムヒトに対する用量は、約17ユニットである。約100ユニット/ミリグラムで、これは約170マイクログラムと同じである。20ユニットまでの用量は、ラットにおいて安全であった。混合物における若しくは担体或いは薬学的に許容可能な賦形剤内に希釈された融合タンパク質の部分としてのプロテオグリカン分解分子を含む組成物は、一般的に1μg〜500mg/kgの宿主の範囲の濃度で注射され得る。前記薬剤の投与は、大量瞬時投与注射、静脈内運搬、連続注入、移植片からの除放、或いは除放性医薬品によって行われる。投与は、筋肉内、腹膜、皮下、静脈内などの注射によって行われる。経口投与は、錠剤或いはカプセルを含み、好ましくは、前記経口用量は、1日に1若しくは2回投与に対して除放性処方である。経皮的投与は1日1回であり、好ましくは1日1回以下の投与である。ヒト患者或いは他のほ乳類対象への投与は、患者において自律性或いは運動における機能測定可能な改善が達成されるまで継続される。
コンドロイチナーゼPTD融合タンパク質は、適切な薬学的担体と共に投与され得る。混合物或いはキメラタンパク質としての本発明の前記組成物の投与は、局所性(topical)、局在性(local)或いは全身性であり得る。前記キメラ融合タンパク質は、遺伝的な細胞によって分泌され、好ましくは、コンドロイチナーゼのようなプロテオグリカン分解部分、及びTATのような形質導入ポリペプチド部分を有するキメラ融合タンパク質は、遊離して或いはカプセル内において、CNS損傷の部位で或いはその周辺に移植される遺伝子改変細胞によって分泌され得る。混合物或いは融合タンパク質としての前記組成物が一度投与されると、CSPGsの分解は、神経突起成長を阻害する阻害性分子を除去し、患部への神経突起の再生を可能にする。例えば、コンドロイチナーゼAC及びコンドロイチナーゼBは、それぞれCS及びDSを分解し、不飽和硫酸二糖類を生じる。コンドロイチナーゼACは、CSの多糖バックボーンにおけるN−アセチルガラクトサミンとグルコロン酸との間の1,4グルコシド結合でCSを切断する。切断は、ランダム内部溶解性(endolytic)作用パターンにおけるベータ−除去を介して生じる。コンドロイチナーゼBは、DSの多糖バックボーンにおける1,4ガラクトサミンイズロン酸結合を切断する。CS及びDS両者の切断は、これらの酵素メカニズムは哺乳類GAG分解酵素とは異なっているベータ−除去プロセスを介して生じる。コンドロイチナーゼABCI、コンドロイチナーゼABCIIは、CS及びDS両者を切断するエクソ(外部)及びエンド(内部)溶解性である。グリア性瘢痕からのCS及びDSの除去は、患部への神経突起成長の再生を可能にする。
これらの融合ポリペプチドの任意の混合物は、これに限定されるものではないが、挫傷傷害、外傷性脳損傷、脳損傷、脳卒中、多発性硬化症、腕神経叢損傷、ambliophia、脊椎損傷を含むCNS損傷及び疾患に対する治療を提供するために使用される。脊椎損傷は、交通事故、墜落、挫傷、或いは銃創、及び他の傷害によってもたらされたニューロンの挫滅などの疾患及び外傷性損傷を含む。本発明の方法の実行は、対象の運動性強調機能及び感覚認識の少なくとも1つにおいて臨床的に関連性のある改善を提供し、治療される動物に対して臨床的利点をもたらすことができる。臨床的に関連性のある改善は、CNSの障害した機能或いは欠如した機能の検出可能な改善から完全な修復までの範囲である。
患部CNS領域への神経細胞の再生は、運動及び感覚機能の回復を可能にする。臨床的に関連性のある改善は、障害した或いは欠如した神経機能の検出可能な改善から完全な修復までの範囲であり、個々の患者及び損傷によって変わる。
タンパク質及びそれらの断片の変異体は、完全タンパク質或いは断片と実質的に類似で、完全なタンパク質或いは断片の生物活性と実質的に類似な生物活性を有している分子を言及する。分子は、両分子が実質的に類似な構造を有する、若しくは両分子が同様な生物活性を有する場合、別の分子と実質的に類似である。
補体タンパク質或いはそれらの断片の変異体は、化学的或いは組換え手段によって賛成される。融合タンパク質を発現するように構成された前記ポリペプチドの変異体も作成される。前記変異体は、例えば、欠損型、若しくはアミノ酸配列内へのアミノ酸残基の挿入体或いは置換体、若しくは特定の融合タンパク質或いは前記融合タンパク質内のポリペプチドドメインをコードしている配列核酸の欠損、置換或いは挿入を含む。例えば、いくつかのケースにおいて、コンドロイチナーゼポリペプチドからの1若しくはそれ以上のアミノ酸残基の除去は、そのCSPG分解活性の著しい変化なしになされ得る。プロテオグリカン分解或いは軸索成長阻害因子に対する阻害活性のような機能的特性における実質的な変化は、保存されていない、すなわち構造維持、電荷、或いは置換領域のペプチドバックボーンの疎水性に対する影響が著しく異なる、置換を選択することによってなされる。
多くの欠損、挿入、及び置換は、前記タンパク質分子の特性においてラジカル変化を産生するとは考えられないが、置換、欠損、或いは挿入の正確な影響をそうなる前に予想することは難しく、当業者は、この影響は日常的なスクリーニングアッセイによって評価されることを理解するであろう。例えば、前記ポリペプチド分子の軸索再生特性における変化は、おおよそプロテオグリカン分解を介して、機能的回復テスト、及びCSPG二糖消化産物を検出するためのHPLSアッセイを用いて測定され得る。
本発明は、CNS或いは神経組織損傷が疾患或いは外傷によって生じているCNSの部位へ目的の分子を運搬するために、プロテオグリカン分解分子であるHIV tatタンパク質或いはtat−由来ポリペプチド、若しくは混合物或いは融合タンパク質としてのそれらの組み合わせの使用に関するものである。特に、前記CNSにおける損傷部位は、挫傷損傷の結果として瘢痕が生じた部位である。目的の分子(任意に薬剤或いはカーゴ分子として言及する)は、可塑性、軸索成長を促進する治療用分子、診断用分子、或いはプロテオグリカン分解分子である。HIV tatタンパク質のようなタンパク質形質導入ポリペプチドドメインを有する融合タンパク質の場合、軸索再生に対する治療用分子は、血液脳関門を越えて運搬され、プロテオグリカン分解分子は、細胞内へ運搬され、プロテオグリカンの細胞貯蔵を分解し、軸索再生を促進する。
本発明のポリペプチドの輸送は、化学的クロスリンクによって、或いは遺伝的融合によってカーゴ分子へ有利に接着される。独特の末端システイン残基は、化学的クロスリンクの好ましい手段である。本発明の同様な好ましい実施形態によると、輸送部位のカルボキシ末端は、前記カーゴ部位のアミノ末端に一般的に融合される。本発明の実施形態は、tat残基47〜58に続き、コンドロイチナーゼポリペプチドに続くアミノ末端メチオニンから成る。
tatタンパク質を作る完全86アミノ酸は、tatの取り込み活性に必要ではない。例えば、86アミノ酸より小さいが、細胞への取り込みが見られる或いは血液脳関門を通過できるタンパク質断片或いはペプチドは、使用され得る(機能的に有効なtatの断片部分)。例えば、残基1〜72から成るtatタンパク質は、取り込み活性に対しては十分であり、tat残基1〜62は、異種性タンパク質の細胞への侵入を仲介できる。tat残基1〜58から成る合成ペプチドは、取り込み活性を有することができる。
前記tatタンパク質は、tatタンパク質中に存在する単一(すなわち連続性)アミノ酸配列であり得る、若しくは、tatタンパク質中に存在するが、天然由来タンパク質中では他のアミノ酸配列によって分離されている、2若しくはそれ以上のアミノ酸配列であり得る。ここで用いられたように、tatタンパク質は、天然由来tatタンパク質、その機能的同等物、或いは機能的に同等なそれらの断片(ペプチド)の配列と同じ天然由来アミノ酸配列を含む。そのような機能的同等物或いは機能的に同等な断片は、細胞への取り込み活性を有しており、血液脳関門を通過することができ、天然由来tatタンパク質と実質的に類似である。Tatタンパク質は、天然由来ソースから得られる、或いは遺伝子工学技術或いは化学合成を使用して産生され得る。
天然由来HIV tatタンパク質のアミノ酸配列は、天然由来tatタンパク質に存在するとも1つのアミノ酸の付加、欠損及び/若しくは置換によって修飾され得、修飾tatタンパク質を産生する(ここにおいては、tatタンパク質或いはポリペプチドとして言及される)。従って、増加した安定性を有する修飾tatタンパク質或いはtatペプチド類似体は、既知技術を用いて産生される。従って、tatタンパク質或いはペプチドは、天然由来tatタンパク質或いはそれらの部分と同一ではないが、実質的に類似なアミノ酸配列を有している。さらに、コレステロール或いは他の脂質誘導体は、tatタンパク質に付加され、膜溶解度の増加した修飾tatを産生する。
天然由来HIV−1 tatタンパク質は、16アミノ酸中7つがシステインである領域(アミノ酸22〜37)を有している。これらのシステイン残基は、お互いに、他のtatタンパク質分子のシステインリッチ領域におけるシステイン残基と、及びカーゴタンパク質或いは共役カーゴ部位のシステイン残基と、ジスルフィド結合形成することができる。そのようなジスルフィド結合形成は、カーゴの生物活性の欠損を引き起こすことができる。さらに、カーゴ部位へのジスルフィド結合の可能性がない場合(例えば、カーゴタンパク質がシステイン残基を持たない場合)でさえ、輸送ポリペプチド間のジスルフィド結合は、輸送ポリペプチド、輸送ポリペプチド−カーゴ共役、或いはその両方の凝集及び不溶性を導くことができる。tatシステインリッチ領域は、ジスルフィド結合形成を回避する、及び輸送ポリペプチド、輸送ポリペプチド−カーゴ共役、或いはその両方の凝集及び可溶性を阻害するように除去される。
コンドロイチナーゼも、皮質、海馬、及び脊髄を含む、著しい高密度PNNを有するCNSの領域の可塑性を促進することができる。再生、出芽、及び可塑性を含むいくつかの効果の組み合わせは、SCIの後にコンドロイチナーゼ治療による、若しくはコンドロイチナーゼ或いは他のプロテオグリカン分解分子を含む融合タンパク質での治療による機能の改善に関与するということは、適切である。
NbR27−311:Nogoは、高分子量ミエリン構成成分であり、神経突起成長を阻害する。アミノ末端領域(Nogo66)は、神経突起成長の阻害に特に関連する分子の一部である。発現クローニング方法によって、Nogo66(NgR)に対する受容体は、ニューロンに主に発現したGPIアンカー糖タンパク質であることが明らかになった。NgRは、Nogoだけでなく、MAG及びMOGなどの他のミエリン関連阻害因子とも相互作用する。ニューロン上のミエリンの阻害特性におけるその主要な役割に起因して、NgRは、そのリガンドとのその相互作用を拮抗するためのアプローチとしての標的であった。NgRの可溶性断片は、Nogo66、MAG、及びMOGと相互作用する。その領域は、残基27〜311にわたり、従ってこのNgR断片は、ニューロンのミエリン関連性阻害を干渉するデコイ受容体として作用する。NgR27−311が、コンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解分子と連結しキメラ融合タンパク質を形成する場合、前記融合タンパク質のNgR27−311ペプチドドメインは、神経突起成長のミエリン−関連性阻害を制限し、脊髄損傷のコンドロイチナーゼ分解領域における軸索再生を促進すると予想される。
クローン(NgR27−311)のために、目的物の正確な領域或いは断片は、最初のクローンから派生された。NgR27−311、その断片、及びNgR27−311を含む融合ポリペプチドの生物学的活性は、ニューロンにおける成長錐体の破壊に対するin vitroアッセイを用いて確認される。成長錐体破壊アッセイは確立され、MAG或いはNogo66の付加は、用量依存的に成長の破壊を引き起こす。NgR27−311、その断片、及びNgR27−311を含む融合ポリペプチドの生物活性が活性である場合、それらはMAG及びNogo66仲介性成長錐体破壊が見られる。成長錐体破壊データは、Nogo66及びMAGに反応したDRGニューロンの顕微鏡写真の検討によって収集される。
L1ポリペプチドは、細胞接着分子の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、成長中の軸索、グリア前駆体細胞、及びシュワン細胞に一生の間発現されるが、CNSにおける発現は限定されている。L1は、それ自体、FGF受容体などの他の細胞外分子を相互作用し、神経突起線維束形成及び成長を促進する。L1の発現は、軸索再生が許容的な環境に一般的に関連しており、目的L1の正確な領域或いはL1の断片は、最初のクローンから派生される。例えば、L1を発現するシュワン細胞は、末端神経再生を補助し、軸索成長は、アストロサイトにおいてL1を発現するトランスジェニックマウスからの視神経において観察される(野生型視神経においては観察されない)。L1を発現するように設計された線維芽細胞は、脊髄へ移植された場合、軸索成長を補助する。最終的に、Fcに連結されたL1の可溶形態は、急性SCI後の機能的回復を促進した。L1が、融合タンパク質中のコンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解分子に連結される場合、前記融合タンパク質が、脊椎損傷のコンドロイチナーゼ消化領域における軸索成長を促進すると予想することは適切である。
ニューレグリン及びそれらの受容体は、多様な成長因子、及びCNS、筋肉上皮及び他の組織の器官形成に重要であると示されている受容体チロシンキナーゼシステムを有している。GGF2は、ニューレグリン1遺伝子の可溶性アイソフォームである。これは最初、シュワン細胞分裂促進因子32として特徴付けられたが、配列研究によって、オリゴデンドロサイト、ニューロン、及び他の細胞タイプにおいて直接作用することが示された。GGF2は、脱髄及び炎症を減少し、多発性硬化症のマウスモデルにおける再ミエリン化を増強する。これらの結果に基づいて、組換えヒトGGF2は、SCIに関連した脱髄に対する潜在的な治療であると予想することは適切である。GGF2は、コンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解分子に連結されているため、SCIのコンドロイチナーゼ消化領域における軸索の再ミエリン化を促進すると予想することは適切である。
プロテオグリカン分解分子、及び軸索成長阻害因子の活性を阻害する分子などの、混合物或いは融合タンパク質としての本発明の組成物の有効性は、確証ラットSCIモデルを用いてSCI重症度の3つの異なるレベルで評価され得る。
コンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解分子は、天然由来酵素として少量で商業的に利用可能であり(Seikagaku Corporation)、プロテウス・ブルガリスから精製された酵素として本質的に同じ活性を有するように、組換え産物システムによって作成され得る。ゲノムDNAは、DNeasy Tissue kit(Qiagen)を用いてプロテウス・ブルガリスから単離され得る。PCRプライマーは、5'末端のNdeI制限部位(5'−CAT ATG GCC ACC AGC MT CCT GCA TTT G−3'(F2)の配列を有する)と3'末端のBamHI部位(5'−GGA TCC TCA AGG GAG TGG CGA GAG−3'(R)の配列を有する)で合成され、成熟タンパク質を合成する。3.0kbのPCR産物は、pCR2.1ベクター(TOPOクローニングキット、Invitrogen)へ連結され、DH5aコンピテント細胞(Invitrogen)へ形質転換される。プラスミドDNAは、EcoRI制限酵素で消化することによってスクリーンされた多くのクローンから単離される。この方法で調整された遺伝子の統合性は、反復DNA配列決定によって確認された。
コンドロイチナーゼABCI配列は、E.Coli(大腸菌)における発現のためにPETベクター(Novagen)へクローン化される。IPTGによる遺伝子発現の導入後、細菌は、Triton X−114/PBSによるコンドロイチナーゼABCIの同時抽出を有する超音波処理によって溶解した。本発明者らは、組換えコンドロイチナーゼABCIの大部分は、細菌細胞溶解液の細胞基質画分に見出され、これは、高収率で高活性の酵素を産生するコンドロイチナーゼABCI精製プロトコールの開発を可能にするものである。前記プロトコールは、捕獲工程として陽イオン交換クロマトグラフィー、及び研磨工程としてゲル濾過を含む。これらの工程の後、コンドロイチナーゼABCIは〜95%の純度に達する。陰イオン交換膜濾過(Intercept Q、Millipore)は、内毒素及び宿主DNA除去のために使用され得る。この工程は、約75%のない毒素を除去すると予想される。濾過に続いて、コンドロイチナーゼABCIは、揮発性バッファー(pH8.0)へ透析され、乾燥するまで凍結乾燥され得る。最終産物は、−70℃で長期貯蔵に対して安定である。精製されたcABCIは、未精製細胞溶解液からのサンプルのIEF−PAGE解析によって決定されたように、pI〜9.5を有する高度に塩基性なタンパク質である。
多くの解析方法は、コンドロイチナーゼの組換えバージョンの酵素活性を、プロテウス・ブルガリスから精製されたその酵素の商業用に利用可能な形態(Seikagaku Corporation)の酵素活性と比較するために使用され得る。前記方法は、コンドロイチナーゼのようなプロテオグリカン分解ポリペプチドを含む融合タンパク質の活性を評価するために適用され得る。特異的活性測定値は、プロテオグリカンの分解からの反応産物の産生に起因した吸光度の変化を測定する一般分光光度法アッセイを用いて得られた。コンドロイチナーゼABCIの組換え形態は、SeikagakuコンドロイチナーゼABCIに比べて、約25%高い特異的活性を有していた。サイズ溶出クロマトグラフィーは、前記酵素の水力学的特性を比較するために使用され得る。組換え酵素の溶出特性は、天然由来の酵素の特性と同一である。
ザイモグラフィーの形態は、酵素をさらに特徴付けるために使用され、前記融合タンパク質の特徴付けに対して適用される。ポリアクリルアミドゲルは、コンドロイチナーゼABCIの基質であるアグリカンの存在下で重合された。酵素サンプルは、アグリカン−浸透性ゲル上で、SDSの存在下での電気泳動によって分解される。前記ゲルは次に、SDSが抽出され、酵素が再折り畳みすることが可能となる再生工程へ曝される。次に、酵素再折り畳み及び回復活性は、前記ゲル内のアグリカンを消化し、結果生じるゲルのその領域における糖鎖の欠如は、糖鎖特異的染色によって可視化され得る。ゲルにおける糖鎖の類似の欠如は、プロテオグリカン分解ポリペプチド部分を含む融合タンパク質の活性型であると予想された。組換えコンドロイチナーゼABCIの場合において、その活性は、ザイモグラムにおける明白なスポットとして可視化された。ザイモグラフィーの結果は、分光光度法解析と一致しており、コンドロイチナーゼABCIの組換え形態が天然由来形態と同等若しくはそれ以上の特異的活性を有していることを示していた。
HPLC法は、CSPGのコンドロイチナーゼABCI消化の結果として遊離された4及び6硫酸化二糖類(それぞれΔ4DS及びΔ6DS)を検出するために使用される。2つの二糖類は、陰イオン交換クロマトグラフィーによって効果的に分離され得る。HPLCアッセイは、クロマトグラムからのΔ4DS及びΔ6DSの定量化が、HPLCに注入された量に対して比例関係をもたらすことを示すことによって確認された。CSPG消化からのΔ4DS及びΔ6DSの産生は、上述した分光光度アッセイによって決定されたように、コンドロイチナーゼ特異的活性の量と直接的に関連している。このアッセイは、様々な基質のコンドロイチナーゼ消化によって放出されたΔ4DS及びΔ6DSを、独立して定量化するための敏感で正確な手段として使用され、融合タンパク質におけるコンドロイチナーゼポリペプチドの活性を決定するためにも使用される。
プロテオグリカンポリペプチド活性を特徴付けるために実行され得る別の機能的アッセイは、後根神経節(DRG)ニューロンが、アグリカン、若しくはコンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカンで処理されたアグリカン上に配置されるものである。アグリカン上に配置されたニューロンは、プレートに接着し、軸索を伸長することができないであろうと予想される。対照的に、比較のために、或いは融合タンパク質の一部として、コンドロイチナーゼABCIのようなプロテオグリカン分解ポリペプチドで処理されたアグリカン上に配置されたニューロンは、表面に接着し、軸索を伸長すると予想される。コンドロイチナーゼABCIが観察される、広範な軸索成長は、軸索成長に対してより許容的な基質を作成するアグリカンコアタンパク質上の糖鎖の消化に起因するものであると考えられる。
SCIのラット挫傷モデルは、臨床的に関連性のあるモデルであり、軸索再生の促進に対する、本発明の融合タンパク質及び他の組成物の有効性を評価するために使用される。挫傷SCIにおいて、細胞は破壊され、出血が後に続き、炎症が開始する。破壊された細胞は、マクロファージによって除去され、反応性グリオーシスが開始する。嚢胞性腔が形成され、グリオーシスはグリア性瘢痕へ成熟する。この領域におけるミエリンは破壊され、破壊されなかった多くの局所性ニューロンは、脱髄状態で残される。
SCIの鉗子圧迫モデルは、開発され特徴付けられた挫傷モデルである。このモデルは確認され、より広く使用されているインパクタモデルと非常に類似した損傷を生じる。このモデルは、椎骨レベルT9/T10での鉗子圧迫を含む。鉗子は15秒間に0.9、1.3、或いは1.7の幅に索を圧迫する。圧迫のこれら3つのレベルは、重症、穏和、或いは中程度の損傷を可能にする。このモデルは、オープンフィールド歩行運動テスト及びBasso,Bresnahan and Beattie(BBB)スコアリングシステムを用いて確認された。これは、組織学的にも特徴付けられた。行動性テスト及びBBBスコアリングによって、鉗子は、インパクタモデルでみられるのと類似の回復を有した、高度に再現性のある損傷を産生することが示された。これらのテスト及びスコアリングデータによって、鉗子圧迫モデルは他の挫傷モデルに匹敵し、SCIの実験モデルとして使用するのに十分な再現性があり、本発明の組成物を評価するために使用されることが示された。
鉗子圧迫損傷動物からの組織は、白質回避(sparing)、グリア性瘢痕、及び嚢胞形成を検討するために組織学的に処理される。他の挫傷SCIモデルと同様に、中心嚢胞は損傷後に形成され、損傷重症度が増加するにつれてサイズが増加する(鉗子ギャップは減少する)。この嚢胞の周辺で、アストログリア(GFAP)、マクロファージ活性化、及びミエリン萎縮によって特徴付けられるグリア性瘢痕が形成する。
本発明の様々な観点は以下の限定されない実施例を参照にすることで説明されるであろう。
この実施例は、プロテオグリカン分解分子がどのように投与され、研究され、モデル挫傷損傷を有する動物における機能的改善を示すと示されたかを説明している。
SCIの鉗子圧迫モデルは、開発され特徴付けられた挫傷モデルである。このモデルは確認され、より広く使用されているインパクタモデルと非常に類似した損傷を生じる。このモデルは、椎骨レベルT9/T10での鉗子圧迫を含む。鉗子は15秒間に0.9、1.3、或いは1.7の幅に索を圧迫する。圧迫のこれら3つのレベルは、重症、穏和、或いは中程度の損傷を可能にする。
ラットは、椎骨レベルT9/T10での鉗子圧迫モデルによって損傷された。手術時に、コンドロイチナーゼの運搬のためにくも膜下腔内カテーテルを配置した。動物を毎日、1週間処理し、次に2日に1回で1週間、0.06U/1用量のコンドロイチナーゼABCI(Seikaaku)、ペニシリナーゼ、或いは人工脳脊髄液(aCSF)で処理した。用量及び対照は、Bradburyら(2002)による文献から派生させた。行動は、オープンフィールド歩行運動テスト及びBBBスコアリングシステムを用いて、2日目、次に損傷後週1回で10週間、評価した。
図5Aは、コンドロイチナーゼABCI、ペニシリナーゼ、及びaCSFで処理された動物の平均BBBスコアを示したものである。aCSF或いはペニシリナーゼで処理されたラットは、平均BBBスコアの約4まで回復した。コンドロイチナーゼで処理したラットは、平均BBBスコアの約8まで回復した。複数の動物は、10以上のスコアまで回復し、これは上−脊髄インプットを意味している。コンドロイチナーゼスコアは、ANOVA及びポスト hoc Tukeyにより、両方の対照とは著しく異なった。
これらの動物からの組織は、一般的なグリア構造を評価するためにグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)に対して免疫組織化学的に処理された。組織は、Weil染色と銀変性染色で染色され、それぞれミエリン及びニューロン変性を評価した。興味深いことに、これらのパラメーターにおける明らかな違いは、実験的及び対照処理組織の間では見出されなかった。
図5Bにおいて、いくつかのセグメントを含む大きな破壊及び腹側索における回避(sparing)が見られる。Weil染色によって、処理及び未処理動物の両者において広範の脱髄が観察された。GFAPイメージ(真ん中のセット)によって、鉗子損傷に続いて形成された瘢痕の範囲が示された。下のアミノ酸化第銅(cupric)銀変性染色によって、損傷後、吻側及び尾側の両方へ伸長した巨大な神経変性が観察された。コンドロイチナーゼ処理及び対照組織の間に明らかな違いは再び観察されなかった。
付加的な予備実験は、中程度損傷レベルで実行され、オープンフィールド歩行活動における著しい改善はコンドロイチナーゼ処理によって観察された。コンドロイチナーゼABCIを受けた動物は、損傷後10週間で平均BBBスコアの9.1まで回復し、それに比べて、ペニシリナーゼ対照は7.1であった。データの一貫性(それぞれ0.6と0.3のSEM's)、及びBBBスコアにおけるスコアの区分により、この2ポイントで統計学的に有意であるだけでなく、臨床的にも意味のある変化をもたらした。スコアの9は、体重サポートを有する足底配置、或いは背側足踏みしながらの体重サポートと一致する足底配置を意味しているが、一方、7のスコアは、体重サポートもなく、一致する脚の延び(sweeping)もない、後脚における各関節の動きを意味している。10週目での個々の動物スコアの検討は、コンドロイチナーゼ群における12個体のうち6個体の動物は、スコアの9若しくはそれ以上まで回復したが、ペニシリナーゼ群における12個体のうち1個体の動物のみがスコアの9まで回復した。各群からの1個体の動物は、そのスコアが2.5以上まで上昇しなかったため、解析から除去され、これはモデル標準の外側の損傷重症度を示していた。図5C及び図5Dは、中程度損傷に対するペニシリナーゼ及びコンドロイチナーゼ処理群における各動物の、10週間目のスコアの散乱プロットを含む。群平均は、以下に示した。
結果は、このよく調節された研究において、コンドロイチナーゼは、椎骨レベルT9/T10での鉗子圧迫モデルで損傷されたラットにおけるオープンフィールド歩行機能を改善することを示していた。動物は、ペニシリナーゼ及びコンドロイチナーゼ群に対してそれぞれ平均BBBスコアの9.7及び9.9まで回復した。この研究によって、穏和な損傷レベルではなかったが、重症および中程度レベルでの著しい影響を示された。穏和な損傷レベル(1.3mm鉗子)のあらゆる群の間では著しい違いは観察されなかった。コンドロイチナーゼが穏和な損傷に有効でないか、さらに、コンドロイチナーゼは、オープンフィールド歩行テストによって適切にアッセイされなかった変化、例えば歩幅の長さ、足配置、感覚、或いは自律神経性機能などに影響したかどうかは不確かである。本研究の動物からの組織学の予備的解析によって、カテーテル、及び各動物における損傷の配置を確認した。損傷後の時点で、コンドロイチナーゼ処理あり/なしの動物を殺戮するという進行中の実験は、瘢痕におけるCSPG含有量、及びコンドロイチナーゼ消化のスタブ−高原発現に対する影響を特徴付けるであろう。将来の研究は、行動テストの集団(battery)まで拡大し、腔追跡による再生の証拠として索を検討するであろう。
2つの急性毒性研究は、ラットで実行された。第1は、静脈内(IV)研究であり、ラットは0、0.2、0.775、或いは7.775mg・kgのコンドロイチナーゼABCIを注射された。第2の研究において、くも膜下腔内(IT)カテーテルは、SCI動物実験で用いられた同じ方法を用いて脊髄を越えては位置され、0.06、0.6、及び6.0ユニットのコンドロイチナーゼABCIをITカテーテルを通じて運搬した。これらの用量は、SCI実験においてITカテーテルで達成されたコンドロイチナーゼABCIの予想された局所的濃度の1、10、及び100倍以上である。動物の痛みや苦痛を観察し、体重は毎日測定した。明白な反応は、コンドロイチナーゼABCI投与の間、或いは直後には観察されなかった。延び(sweeping)、炎症、挫傷或いはネクローシス(壊死)は、IV実験の注射部位においては観察されなかった。IT経路を介して処理された動物における体温の変化も観察されなかった。摂食、毛づくろい、或いは発声における変化も観察されなかった。動物は、オープンプールにおける運動行動を評価された。動物ケアスタッフ或いは行動専門家によると、異常性は見られなかった。動物は、関節圧痛或いは膨張のシグナルは示さなかった。処理群の間で体重変化の著しい違いはなかった。この結果は、コンドロイチナーゼABCI処理は、効果的なIT用量よりも実質的に多い、IV及びIT用量を用いた急性毒性には関連していないことを示している。
この実施例は、Nogo−受容体アンタゴニスト、L1神経細胞接着タンパク質、及びGGF2ポリペプチドドメインの調整を説明しており、これらは本発明の組成物及び融合タンパク質に使用され得る。
ヒトNogo受容体貫通(spanning)アミノ酸27〜311の可溶性部分(NgR27−311)は、膜結合NgRへのNogo66、MAG、及びMOGの結合を阻害すると示されたので選択された。プライマーは、この領域に隣接するように設計され、RT−PCRを、ヒト海馬RNA(BD Biosciences)を用いて実行した。1.05kb領域を無事に増幅し、精製した。
L1は、Dr.Melitta Schachnerから寄贈されたCHO細胞株を用いて調整し、この細胞は、ヒトFcを有する融合タンパク質(L1−Fc)としてヒトL1を分泌するものである。前記細胞は、回転ボトル内で増殖させ、L1−Fcを、タンパク質A親和性カラムクロマトグライフィーを用いて条件培地から精製した。L1−Fcの精製物は、SDS−PAGEによって評価し、適切な分子量の1本のバンドが観察された。L1−Fcの生物活性は、神経突起成長アッセイを用いて確認した。組織培養プレートは、ポリL−リシン或いはL1−Fcでコーティングし、次に出生後10日目のラットから小脳顆粒細胞を単離し、基質上の培養へ播種した。La−Fc基質上に播種されたニューロンは、ポリリシン基質対照と比較して、かなりの数の長い神経突起が見られると観察された。これらの結果より、産生されたL1−Fcは、神経突起成長を促進する生物活性を有していることが示された。この神経突起成長アッセイは、コンドロイチナーゼABCI融合タンパク質のL1部分生物活性を評価するために使用される。
完全長GGF2糖タンパク質の可溶形態を分泌するCHO細胞株は、CeNesより入手した。培地及び精製方法の広範な最適化は、本質的に純粋で生物学的に活性なGGF2を得るために達成された。SDS−PAGE、等電点電気泳動、ペプチドマッピング、及び糖鎖解析を含む多くの解析方法は、GGF2を特徴付けるために開発された。例えば、還元型及び非還元型GGF2のSDS−PAGEゲルにおいては、その単離物は本質的にコンタミ(混入した)タンパク質はなく、予想分子量及び単量体構造を示す。GGF2の生物活性は、プライマリラットシュワン細胞増殖方法を用いてアッセイされ、予想された影響は、GGF2の4つの異なるバッチから再生可能な方法で得られた。erbB受容体経路の下流細胞シグナル構成成分である、Aktキナーゼのリン酸化を測定する別の機能的アッセイが開発された。Aktキナーゼの用量依存性リン酸化が存在すると観察された。
この実施例は、キメラ構成のためのコンドロイチナーゼABCIの操作を説明している。
コンドロイチナーゼABCIは、P.vulgansからクローニングされ、E.Coli.(大腸菌)で発現された。驚くことに、N末端融合タンパク質を作成するために繰り替えされた試みは、N末端融合タンパク質が合成の間にコンドロイチナーゼABCIから切断されたため、失敗した。しかしながら、ABCI−NΔ20、ABCI−NΔ40、及びABCI−NΔ60と名付けられた、触媒的に活性なN末端His融合タグを有する欠損変異体は、それぞれ、成熟ABCIタンパク質のN末端から20、40、及び60アミノ酸の欠損によって調整された。完全長コンドロイチナーゼABCIとは異なって、N末端欠損変異体は、N末端融合タンパク質として、6xHisタグを合成することが可能である。C末端からの80アミノ酸欠損は、ザイモグラフィーアッセイでテストされたように、コンドロイチナーゼABCIのプロテオグリカン分解活性の変異を形成したことも観察された。
NgR27−311或いは、コンドロイチナーゼABCIなどのプロテオグリカン分解分子を有するL1との融合タンパク質は、哺乳類発現で利用し、CHO細胞において実行され得る。コンドロイチナーゼABCIのcDNAは、pSECTagベクター(Invitrogen)の適切なリーディングフレーム中にクローニングされた。コンドロイチナーゼABCIを分泌するCHO細胞株が開発され、条件培地は、ザイモグラフィーアッセイによって触媒活性をテストされ、哺乳類細胞中に発現したコンドロイチナーゼABCIが機能することを確認した。コンドロイチナーゼABCIの哺乳類細胞コドン最適化バージョンは、CHO細胞発現に対して使用される本分野で既知である方法によって合成され得る。
GGF2は、成人の脳及び脊髄に発現したNRG1遺伝子のスプライス変異体である。これは、66〜90kDaの間の分子質量のグリコシル化タンパク質である。本発明者らは、CHO細胞中に発現された組換えGGF2は、高度にグリコシル化されていて、シュワン細胞の増殖をin vitroで促進することを発見し、さらに、大腸菌内に発現されたNRG1のEGF様ドメインは、筋細胞の増殖と生存を促進する機能を十分に有していることも発見した。
本発明者らは、予備的データの項で説明されたように、大腸菌内にGGF2の断片を発現した。シュワン細胞増殖に関与し、その結果再ミエリン化にも関与する特異的GGF2ドメインが決定された。Ig及びEGFドメインは、共に或いは別々にin vitroで生物活性を示した場合、次にそれらはキメラ融合タンパク質を形成するために使用され得る。
CHO細胞におけるNgR27−311のクローニング及び発現:残基1〜359に一致するNgR断片は、RT−PCRによって、ヒト海馬ポリK RNA(BD Bioscience)から単離させ、その構造は、DNA配列決定によって確認され得る。残基27〜311に一致する遺伝子断片は、より大きい断片からクローニングされ、次に、CHO細胞において分泌タンパク質として前記断片を発現するための、pSECTagベクター(Invitrogen)の適切なリーディングフレームにおいてサブクローニングされた。NgR27−311遺伝子を含むプラスミドDNAは、CHO細胞へ形質移入され、NgR27−311を産生する前記細胞株は、ハイグロマイシンBの淘汰圧下で選択された。NgR27−311−ABCIキメラ発現プラスミドは、本分野では既知である方法を用いて、CHO細胞発現システムにおける発現に対して構成され得る。
この実施例は、発現されたコンドロイチナーゼABCI、及び大腸菌内で発現されたGGF2ドメインを精製及び単離するために使用される方法を説明するものである。これらの方法は、本発明のキメラ融合タンパク質の精製に適用される。
コンドロイチナーゼABCIに対する効率的な大腸菌組換え発現システム、及び精製工程は、本発明者らによって開発され、コンドロイチナーゼABCIキメラ誘導体の精製に適用され得る。
例えば、コンドロイチナーゼABCI発現宿主である大腸菌における様々なGGF2ドメインの発現は、予備生成され、以下のペプチド、aa250〜402、aa250〜422、及びaa350〜402がテストされた。これらの発現されたペプチドは、大腸菌溶解液の可溶性画分において見出された。大腸菌におけるコンドロイチナーゼABCIを有するこれらペプチドの最終キメラ産物も、可溶性であると予想することは適切である。加えて、前記キメラ産物の電荷特性は、組換えコンドロイチナーゼABCIを比較した場合、類似するであろうと予想された。従って、GGF2ペプチドに対する理論上等電点(p1)値は、aa250〜402で9.3、aa250〜422で9.18、及びaa350〜402で7.55である。最初の2つのペプチドをコンドロイチナーゼABCIと融合することは、約9のp1値を有するキメラタンパク質を生じると予想される。この場合において、SPクロマトグラフィーは、捕獲工程としてよく実施すると予想される。最小GGF2ペプチドであるaa350〜402は、最終コンドロイチナーゼABCキメラのp1を約8.4まで減少おする。この変化は、捕獲工程条件の最適化を必要とする。
NgR27−311、及びL1ペプチドを有するコンドロイチナーゼABCIのキメラ産物は、CHO細胞システムにおいて発現され得る。発現したキメラタンパク質の精製の前に、NgR27−311或いはL1キメラタンパク質を産生する細胞株に対する増殖条件は、無血清培地において最適化される。詳細な培地最適化研究は、最も高い産生条件を決定するために実行された。スケールアップ量は、キメラタンパク質の産生率(pg/細胞/1日)に基づいて決定された。様々なキメラ産生細胞株からの条件培地を回収し、接線流動濾過に曝した。イオン交換性クロマトグラフィーは、条件培地からの分泌タンパク質を捕獲するために使用され、ゲル濾過クロマトグラフィーは研磨精製工程として使用され、次に陰イオン交換膜濾過は、内毒素及びDNA除去に対して使用され得る。各工程で、精製の効率はSDS−PAGE、及びタンパク質濃度の分光光度的定量化によって解析される。
この机上の実施例は、キメラ生物活性のin vitro評価を説明するものであり、各キメラは、コンドロイチナーゼ酵素活性、及び各融合パートナーの特異的生物活性を評価される。
解析の第1工程は、従来のタンパク質生化学的方法論を用い、遺伝子発現の忠実度を確認する。これらは、SDS−PAGE、IEE、質量分析法、及びサイズ除去クロマトグラフィーを含む。
コンドロイチナーゼキメラ特異的活性は、標準的で一様に受け入れられている分光光度アッセイを用いて決定され得る。コンドロイチナーゼキメラポリペプチドの触媒活性からの反応産物の産生は、波長232nmでの前記産生の吸光度の測定によって決定され得る。120マイクロリットルの反応混合物(40mM Tris(pH8.0)、40nM Naアセテート、0.002%カゼイン)から成る典型的な反応混合物は、基質(5マイクロリットルの50mMコンドロイチンC)、及び1.5マイクロリットルのコンドロイチナーゼABCIキメラ融合ポリペプチド或いはテストサンプルと組み合わせた。吸光度ユニットにおける変化は、ユニット活性測定に変換され得る初速度(initial rate)である。
二糖HPLCアッセイ:CSPG基質上のコンドロイチナーゼキメラポリペプチドの触媒活性は、α−Δ AUA−[1→3]−GalNac−4S(Δ4DS)及びα−Δ AUA−[1→3]−GalNac−6S(Δ6DS)を含む、2種類の硫酸化二糖を放出すると予想される。これらの種は、HPLCによって分解され、結果生じるクロマトグラムからの定量化は、コンドロイチナーゼ活性に対して感受性があり、正確な測定である。このアッセイを実行するために、野生型コンドロイチナーゼ、及びコンドロイチナーゼ融合タンパク質で実行されたコンドロイチナーゼ消化反応からのサンプルは、遠心分離によって精製され、次に、以下の有効な陰イオン交換HPLC方法に曝された。Dionex CarboPac PA−10(4x50mm)ガードカラムに装着したDionex CarboPac PA−10分析用カラム(4x250mm)は、pH3.5の水(バッファーA)及び2M NaCl(pH3.5)(バッファーB)の勾配から成る移動相で使用され得る。検出は、波長232nmで設定される。1mL/分の流速、及び100%のA〜100%のBまでの45分連続勾配は、Δ4DS及びΔ6DSの許容可能な分解度を提供した。基準曲線は、既知量のΔ4DS及びΔ6DSを用いて作られ得る。
ザイモグラフィーによって、コンドロイチナーゼ活性の付随評価と共に、分子量によるタンパク質の分離が可能になる。10%ポリアクリルアミドゲルは、85pg/mlのアグリカンの存在下で重合される、サンプルは、SDS−添加バッファーにおいて煮沸され、次に分析物は電気泳動によって分離され得る。分離後、ゲルは、2.5% Triton X100において1時間、室温でインキュベートされ、次に新しい2.5% Triton X−100において16時間、37℃でインキュベートされる。このインキュベーションの間、SOSはゲルから抽出され、コンドロイチナーゼはそのすぐ近傍においてアグリカンを再び折り畳み、消化する。再折り畳み工程の後、ゲルは糖鎖を染色した:ゲルはまず0.2%セチルピリジニウムにおいて、90分間、室温でインキュベートされ、次にH2O:エタノール:酢酸=49:50:1である溶液中の0.2%トルイジン(Toludine)ブルーで30分間インキュベートした。次にゲルは、完全に脱色された。脱色に続いて、ゲルは、50%エタノール中の50マイクログラム/mlのStains−All(Sigma)の溶液において一晩インキュベートされた。コンドロイチナーゼ活性は、ゲルにおいて明白なスポットとして検出され得る。空いたスポット(clearing)のサイズは、ユニット活性とほぼ比例した関係を示した。
NgR27−311−コンドロイチナーゼキメラは、デコイNogo受容体の活性のために評価された。このアッセイは、成長錐体の破壊を測定するために使用され得る:後根神経節(DRG)は、出産後1日目(P1)Sprague Dawleyラット仔から解剖され、200U/mlのコラゲナーゼI(Worthington)及び2.5U/mlジスパーゼ(dispase;Boehringer/Roche)において2回、30分間解離された。酵素は除去され、DNAse(0.5mg/ml)を神経節に添加した。1000μlピペットマンに付けられたピペットチップを用いて倍散を行った。結果生じる細胞懸濁液は、40ミクロン細胞フィルターを通して濾過され、70xgで5分間、遠心分離した。細胞は、DMEM/10%FBSに再懸濁され、非コーティング組織培養プレート(100mm直径)に2時間前播種した。非接着性ニューロンは除去され、50ng/mlNGF含有の無血清Neurobasal/B27において、10,000細胞/ウェルで、ポリ−リシン/ラミニン−コーティング24ウェルプレートに播種した。20〜24時間後、増殖錐体破壊を誘導するために、MAG或いはNogo66を1時間、37℃、様々な濃度で添加された。NgR27−311−コンドロイチナーゼキメラは、MAG及びMogo66と競合させるために様々な濃度で添加され、従って、ニューロンを成長錐体破壊から保護する。培養は、等量の事前に温めた8%パラホルムアルデヒド/0.6Mスクロースを前記培地に20分間添加することによって固定される。一方、細胞は37℃ホットプレート上に置かれている。成長錐体は、AlexaS68ファロイジン(Molecular Probes)で標識化される。簡潔には、細胞は、0.1% Triton−X 100で5分間、RTで透過処理され、PBS中の1%BSAにおいて20分間ブロックされ、ファロイジンにおいてインキュベートされ、PBS中の1%BSAにおいて、20分間、RTで1:40に希釈された。細胞はPBSで洗浄され、Fluorescent Mounting Medium(DAKO)上に載せた。破壊された成長錐体のパーセンテージを、40x対物レンズにおいて、100成長錐体/ウェルの最小値を解析することによって決定した。
L1融合タンパク質の生物活性は、標準化神経突起成長アッセイを用いて決定される。組織培養−処理された35mmディッシュの中心に25mmサークルをエッチングした後、1mlの10μg/ml ポリ−リシンを各エッチングサークルに添加し、37℃で60分間インキュベートした。ポリ−リシンは、神経突起成長に対するネガティブ対照を提供する。エッチングサークルは、最後のすすぎの後にハンクス平衡塩類溶液+カルシウム及びマグネシウム(HBSS++)で2回洗浄され;1.2μlのL1−Fc(0.6μM、0.3μM、0.15μM、0.075μM)を、ポジティブ対照として作用するように、ペトリ皿上にスポットし、様々な濃度のL1−コンドロイチナーゼ融合タンパク質を、テストサンプルとして前記プレート上に適用した。前記プレートは、1時間室温でインキュベートした。前記スポットは、それらが乾燥しないように素早く吸引し、即座に1ml HBSS++で2回洗浄し、次にPBS中の1mlの1%BSAを各エッチングサークルに添加した。室温で15分後、前記エッチングサークルをHBSS++で2回洗浄し、バイオアッセイ培地(NeuralBasal(Gibco)+B27サプリメント(Gibco)+L−グルタミン+L−グルタミン酸、ペニシリン及びストレプトマイシン(100U/ml)+1%ウシ胎児血清)(これはアッセイ時までペトリ皿に残る)で1回洗浄した。基質上に置かれたニューロンを提供するために、出産後日数(PND)9或いは10からの小脳顆粒細胞を播種した。脳を1仔の頭蓋から除去し、小脳を組織の残りから分離した。髄膜を除去し、小脳を氷で冷やしたHBSS++に置いた。組織を刻み、0.25%トリプシンを用いて、37℃で15分間、トリプシン処理した。トリプシン作用を、0.5mg/mlのダイズトリプシン阻害剤(Gibco)を添加することにより阻害した。前記組織を、HBSS++ですすぎ、EBSでコーティングしたフレーム縮小パスツールピペットを用いて倍散した。解離された細胞は、500xgで3分間、ペレット状にし、その上清をデカントし、細胞を2mlの増殖培地に再懸濁した。軽く倍散した後、細胞懸濁液を、3.5%BSA(PBS中)クッションの上に注意深く重層し、500xgで3分間スピンした。上清を吸引し、ペレットを2mlの増殖培地に再懸濁した。細胞カウントを実行し、その細胞を最終作業濃度の1.5x105細胞/mlに希釈した。300μlの一定分量希釈細胞を各プレートの中心に添加し、この結果、エッチングサークルの全表面領域を越えて6x104細胞の分配を生じることになった。この細胞を、5%CO2を含む湿気のある環境において16時間、37℃で増殖させた。翌日、プレートは37℃インキュベーターから取り出し、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、神経突起の成長を顕微鏡写真によって記録した。
GGF2に対する生物活性アッセイは、シュワン細胞増殖を用いて実行した。坐骨神経は、3日齢Sprague Dawleyラット仔から解剖し、0.25%トリプシン及び0.03%コラゲナーゼタイプI(SIGMA)を含むL−15培地(Invitrogen)に15分間、37℃で解離した。神経は400xgで5分間、遠心分離し、解離培地をDEME/10%FBSに取り替えた。神経は、21g針のついた10mlシリンジで、次に23g針のついたシリンジを用いて倍散した。細胞懸濁液は、50ml子にカルチューブの口を覆うように置かれた40μmメッシュを通して濾過した。細胞を、400xgで5分間遠心分離し、15mlのDMEM/10%FBS/PenStrepにおいて約5百万細胞の密度で、ポリ−D−リシン(PDL)コーティングT−75フラスコに播種し、10%CO2に調節された37℃インキュベーター内でインキュベートした。24時間インキュベーション後、細胞をDMEM/10%FBSで2回洗浄し、DMEM/10%FBS及び10μl/mlの1mMシトシンアラビノシド(Ara−C)から成る線維芽細胞阻害培地で再培養した。2〜3日のインキュベーションの後、前記線維芽細胞阻害培地を、シュワン細胞増殖培地(DMEM/10%FBS/150ng/mlのGGF2/5μMフォルスコリン)に取り替えた。細胞を展開させ、DMEM/10%FBS、54%FBS中で、一定分量の2x106細胞/mlを、液体窒素において冷凍した。使用する際、シュワン細胞を解凍し、DMEM/5%FBS中で約16,000細胞/ウェルの密度で、PDL−コーティング96ウェル培養プレートに播種した。約24時間後、GGF2を、5μMフォルスコリンを含む約100ng/ml〜0.78ng/mlの範囲の一連の希釈倍率で添加し、規準曲線を得た。GGF2融合タンパク質のサンプルは、5μMフォルスコリンと共に一連の希釈倍率で添加した。BrdUを10μMで添加した。細胞を48時間、10%CO2インキュベーターにおいてインキュベートした。BrdU ELISAキット(Roche Applied Science;カタログ番号1647229)は、シュワン細胞増殖を検出するために使用した。培地をプレートから注ぎ出し、プレートをティッシュペーパーの上で軽くたたいた。200μl/ウェル一定分量のFix/Denatを添加し、15〜25℃で30分間インキュベートした。100μl/ウェル一定分量の抗BrdU−POD作業溶液(凍結乾燥抗体は、1.1ml二倍蒸留水に溶解し、抗体希釈溶液で1:100に希釈した。)を添加し、室温で90分間インキュベートした。ウェルを3回、200〜300μl/ウェルの洗浄溶液で洗浄した。100μl一定分量の基質溶液を添加し、15分間、若しくは測光検出に十分な着色となるまでインキュベートした。プレートを、SpectraMaxプレートリーダーで450nmにおいて、370nmにおいて停止溶液の添加前、或いは50mlの1N硫酸を各ウェルへ添加した後、測定した。
Alt[pS473]ELISA:ATCCから入手したC6グリア細胞腫細胞を、T−75フラスコにおいてDMEM/10%FBS中でコンフルエンスになるまで増殖した。トリプシン処理の後、細胞を、24ウェルプレートに、0.5mlの培地中に500,000細胞/ウェルの密度で播種した。播種1日後、細胞を、0.78〜100ng/mlの範囲の一連の希釈倍率でGGF2で、37℃において処理し(バッチ:Lonza BiologicsからGlu)、基準曲線を得た。ネガティブ対照として、GGF2の添加前に、PI3−キナーゼ阻害剤であるワートマニンを10nnMで30分間、細胞へ添加した。GGF融合タンパク質のサンプルも、一連の希釈倍率で添加した。細胞をPBSで洗浄し、次に100μlの細胞抽出バッファー(10mM Tris(pH7.4)、100mM NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、1mM NaF、20mM Na4P2O7、2mMNa3VO4、1% Triton X−100、10%グリセロール、0.1% SDS、0.5%デオキシコール酸、1mM PMSF、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Pierce))で抽出した。細胞抽出物はさらに使用するまで−80℃で保存した。ELISAキット(Biosource;カタログ#KHOO1II)は、リン酸化Aktキナーゼレベルを測定するために使用した。簡潔には、100μlの1:50希釈サンプル及び一連の希釈倍率のAkt[pS473]標準を、抗−Akt抗体で事前にコーティングしたウェルに、2時間室温(RT)で、或いは4℃で一晩、添加した。ウェルを洗浄し、抗−Akt[pS473]抗体を添加し、1時間インキュベートした。洗浄後、HRP−共役抗−ウサギ抗血清をウェルに添加し、30分間インキュベートした。洗浄後、TMB色素原をウェルに添加し、停止溶液で反応を停止する前に、RTで30分間インキュベートした。プレートは、SpectraMaxプレートリーダーにおいて450nmで測定した。光学密度を、Akt[pS473]標準に対してプロットし、C6サンプルにおけるpAktの濃度を基準曲線より推定した。
この実施例は、コンドロイチナーゼポリペプチド及びTAT細胞性形質導入ペプチドの融合タンパク質の構成を説明するものである。
コンドロイチナーゼ酵素をコードする遺伝子配列は、TATペプチドと呼ばれるHIVからのタンパク質形質導入ドメインへ機能的に連結されている。得られたキメラ遺伝子TAT−コンドロイチナーゼABCI融合DNAコンストラクトは、図1に示されている。このコンストラクトを細菌が発現している間、TATペプチドは、細菌が増殖する間のいくつかのプロセッシング点でコンドロイチナーゼ酵素から除去されたことが観察された。N末端連結ペプチドの除去も、N末端ヒスチジン−タグ化コンドロイチナーゼABCI酵素の発現の間に観察された。
コンドロイチナーゼABCI酵素の欠損変異体は、変異が前記ポリペプチドのN末端部分からの特定数のアミノ酸を欠くが、そのプロテオグリカン分解活性は維持しているように産生された。これらのN末端欠損は、N末端に連結されたヒスチジン−タグを維持したことが観察された。様々なTAT−欠損変異コンドロイチナーゼABCI融合DNAコンストラクトは、発現している間、TATポリペプチドの除去なしで発現されると予想される。例えば、TATペプチドは、ABCI−NΔ20或いはABCI−NΔ60欠損変異体のような欠損変異体のN末端で融合される。理論に束縛されることを望まないで、本発明者らは、未変性プロテオグリカン分解酵素は、N末端に連結したシグナル配列を有していると考える。このシグナル配列は、細菌における天然産生の間に、及び大腸菌におけるクローン酵素の産生の間に除去される。N末端アミノ酸なしのいくつかのシグナルは、細菌にこの末端に連結した全てを除去するように指示すると考えられた。
コンドロイチナーゼ欠損変異体の1つのN末端に連結したTAT−ペプチドを有するDNAコンストラクトが作成され、ウエスタンブロット及びタンパク質ゲルによって、この発現されたタンパク質と活性が示された。
この実施例は、プロテオグリカン分解組成物を用いて、細胞及び組織内への分子の拡散を説明するものである。
成体Sprague Dawleyラットからの脳を頭蓋骨から除去し、右前部、左前ぶ、右後部、左後部セクションに4分割し、これはおおよそ前頭部(前部)及び後頭−頭頂(後部)葉に一致している。(A)右前頭の1/4部分を、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素(カタログ#G5160;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)及びコンドロイチナーゼABCIを0.5U/ml(カタログ#C3667;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)を含む人工脳脊髄液(カタログ#59−7316;Harvard Apparatus,Holliston、マサチューセッツ州)に、37℃で2時間置いた。脳1/4部分は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で数回すすぎ、次に、ベータ−Gal染色キット(カタログ#Gal−S;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)で処理した。基質−酵素反応(青色産物)を1時間行い、脳をPBSで数回洗浄し、各脳ブロックの中央からのスラブを平衡直線剃刀を用いて切った。(B)左前頭の1/4部分を、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素(カタログ#G5160;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)を含む人工脳脊髄液(カタログ#59−7316;Harvard Apparatus,Holliston、マサチューセッツ州)に、37℃で2時間置いた。脳1/4部分は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で数回すすぎ、次に、ベータ−Gal染色キット(カタログ#Gal−S;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)で処理した。基質−酵素反応(青色産物)を1時間行い、脳をPBSで数回洗浄し、各脳ブロックの中央からのスラブを平衡直線剃刀を用いて切った。(C)右後頭の1/4部分を、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素(カタログ#G5160;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)及びコンドロイチナーゼABCIを0.5U/ml(カタログ#C3667;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)を含む人工脳脊髄液(カタログ#59−7316;Harvard Apparatus,Holliston、マサチューセッツ州)に、37℃で2時間置いた。脳1/4部分は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で数回すすぎ、次に、ベータ−Gal染色キット(カタログ#Gal−S;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)で処理した。基質−酵素反応(青色産物)を1時間行い、脳をPBSで数回洗浄し、各脳ブロックの中央からのスラブを平衡直線剃刀を用いて切った。(D)左後頭の1/4部分を、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素(カタログ#G5160;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)を含む人工脳脊髄液(カタログ#59−7316;Harvard Apparatus,Holliston、マサチューセッツ州)に、37℃で2時間置いた。脳1/4部分は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で数回すすぎ、次に、ベータ−Gal染色キット(カタログ#Gal−S;Sigma,St.Louis、ミズーリ州)で処理した。基質−酵素反応(青色産物)を1時間行い、脳をPBSで数回洗浄し、各脳ブロックの中央からのスラブを平衡直線剃刀を用いて切った。脳の画像は、スキャナーで入手し、図2(I)(A〜D)に示した。
成体ラット脳半球は、バッファーのみ、或いは33U/mlコンドロイチナーゼABCI(Acorda)を含むバッファーで、2時間、37℃で浸漬した。半球をすすぎ、すぐさまエオシンY(Sigma)、或いは70%エタノール中のコンゴレッドの飽和溶液(Sigma)に置いた。組織のスラブを切り、画像はスキャナーで入手した。図2(II)はエオシン、及び図2(III)はコンゴレッドの場合であるので、参照のこと。
図2(III)において、コンゴレッド飽和溶液は、未処理の脳と比較して、コンドロイチナーゼ処理した脳半球の皮質を通ってよく通過したことを示していた。コンゴレッドは、697kDaの負に帯電した色素である。図2(II)において、コンドロイチナーゼ処理した脳半球を通るエオシンYの通過は、わずかに拡散したように見られたが、通過は未処理の脳と比較して深くはなかった。エオシンYは、それが使用された低pHで、全体的に負に帯電した双生イオンであり、692kDaである。図2(I)において、成体ラットからの葉は、ベータ−ガラクトシダーゼのみ(B&D)で、或いはコンドロイチナーゼABCI(A、0.5U/ml或いはC、0.005U/ml)が添加されてインキュベートされた。
結果より、コンドロイチナーゼ処理された組織は、ベータ−ガラクトシダーゼのCNS組織への通過に影響を受けたことが示された。コンドロイチナーゼは、コンゴレッド色素追加の速度に劇的に影響を及ぼしたが、エオシンに対しては明らかに影響を及ぼさなかった。
この実施例は、本発明のコンドロイチナーゼABCI欠損変異−融合タンパク質の活性、若しくは他のプロテオグリカン分解ペプチド−融合タンパク質の活性を測定するために修飾されたコンドロイチナーゼABCIアッセイプロトコールを説明するものである。
プロテオグリカン分解分子或いは融合タンパク質の触媒活性からの反応産物の産生は、波長232nmで産物の吸光度を測定することによって決定された。120μlの反応混合物(40mM Tris(pH8.0)、40nM Naアセテート、0.002%カゼイン)から成る典型的な反応混合物は、基質(5μlの50mMコンドロイチンC)、及び1.5μlのコンドロイチナーゼABCI、若しくはコンドロイチナーゼABCI−TATの欠損変異体の融合タンパク質と組合わせた。Seikagaku's cABCI参照:5ml一定分量において−20℃で凍結し、1ml/反応(水において50mMコンドロイチンC(MW521)で使用した;100ml一定分量においてー20℃で凍結した。約120μlの一定分量の反応混合物は、37℃、3分或いはそれ以上で調整した。波長232nmは分光計で使用した。
反応産物に対する吸光係数を知り、232nmでの前記反応産物の吸光度における変化を測定し、0.002%カゼイン及び添加されたコンドロイチン基質を有する120μl反応混合物への、既知量のコンドロイチナーゼABCI或いは他のプロテオグリカン分解ポリペプチド−融合タンパク質の付加の結果を長期にわたり測定することによって、プロテオグリカン分解性融合他の悪質のμmol/分/mgにおける特異的な活性が決定された。SeikagakuコンドロイチナーゼABCIは、約450μmol/分/mgのこれらのアッセイ条件下で特異的な活性を有している。
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照にしながらかなり詳細に説明されたが、他のバージョンも可能である。従って、添付された請求項の要旨と範囲は、その記載に限定されるものではなく、好ましいバージョンはこの明細書内に含まれるものである。