JPH0940311A - エレベータ制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アナログ的に指針によってエレベータカゴ位
置を表示するシステムで、実際のカゴ位置とカゴ表示位
置との一致性を向上する。 【解決手段】 カゴ位置表示装置８が故障した時にはカ
ゴ位置表示を停止させてカゴ位置ポインタ９の動きを停
止させ、同時にエレベータを最寄り階停止運転させてエ
レベータの緊急停止を行うことにより、エレベータの緊
急停止によってカゴ位置表示装置８の故障を知らせ、ま
たエレベータカゴ１の実際の位置とカゴ位置ポインタ９
のカゴ位置表示板１０上での指示位置とのずれの発生を
最小限にくい止める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエレベータ制御装置
に関し、特に位置表示に特徴を有するエレベータ制御装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】指針のようなカゴ位置ポインタを階床数
表示板上でエレベータカゴの位置に応じて連続的に移動
させてカゴ位置を表示するカゴ位置表示装置を備えたエ
レベータ制御装置は一般に、図１に示すようなシステム
構成である。エレベータカゴ１をロープ２で吊し、この
ロープ２を巻き上げ機３で巻き上げ、巻き下ろしするこ
とによってカゴ１の昇降を行う。巻き上げ機３はエレベ
ータ制御部４によって回転制御され、カゴ１をホール呼
び階あるいはかご呼び階まで移動させると巻き上げ機３
を停止させ、エレベータドアを開閉して乗客を乗降させ
る。

【０００３】このエレベータ制御部４によるエレベータ
カゴ１の昇降制御と共に、エレベータ位置の表示制御の
ために、巻き上げ機３にその回転に連動してパルスを発
生するパルスジェネレータ５を取り付け、パルスジェネ
レータ５からのパルス信号をエレベータ制御部４に取り
込んでカゴ位置を割り出し、このカゴ位置情報を伝送部
６，７を通じてエレベータホールに設置されているカゴ
位置表示装置８に伝送するようになっている。

【０００４】カゴ位置表示装置８は、エレベータカゴ１
の位置移動に応じてカゴ位置ポインタ９をアナログ的に
連続的に移動させてカゴ位置を表示するカゴ位置表示板
１０と、このカゴ位置ポインタ９を駆動させる電力を供
給する電源部１１と、電源部１１を通じて、カゴ位置に
対応した角度若しくは距離だけカゴ位置ポインタ９を移
動させる表示駆動回路１２と、エレベータ制御部４側か
ら送られてくるカゴ位置情報に対応してカゴ位置ポイン
タ９を移動させる角度若しくは距離を割り出して表示駆
動回路１２に指示する表示制御部１３とを備えている。

【０００５】実際にエレベータ運転を行う時には、エレ
ベータカゴ１の位置移動に応じてパルスジェネレータ５
が発生するパルス信号をエレベータ制御部４に取り込ん
でカゴ位置を割り出し、そのカゴ位置情報を伝送部６，
７を通じてカゴ位置表示装置８の表示制御部１３に伝送
し、カゴ位置情報に対応するカゴ位置ポインタ９のカゴ
位置表示板１０上での回転角度若しくは移動距離を割り
出し、表示駆動回路１２がこの指示を受けて電源部１１
を通じてカゴ位置ポインタ９を駆動し、カゴ位置ポイン
タ９にカゴ位置表示板１０上の該当する階床数字を指示
させることにより、エレベータ位置を表示する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のエレベータ制御装置の場合、エレベータ位置
表示制御において次のような問題点があった。カゴ位置
ポインタを駆動するステップモータのような表示駆動回
路１２の故障、制御ラインの断線などによってカゴ位置
表示装置８に異常が発生した時、電源部１１が切られて
カゴ位置ポインタ９は停止するが、エレベータ制御部４
側にその異常がフィードバックされず、エレベータ運転
を続行させており、利用者はカゴ位置表示装置８のカゴ
位置ポインタ９が動いていないのにエレベータカゴ１が
自分の待っている階に到着してドアが開くのを見て驚く
問題点があった。また表示駆動回路１２に異常が発生し
てカゴ位置ポインタ９が暴走するような異常に対しても
エレベータ制御部４にその異常発生がフィードバックさ
れず、エレベータ運転を続行するため、カゴ位置ポイン
タ９が別の階を指しているのに実際には自分の待ってい
る階にエレベータが到着することがあり、利用者が不信
感を持つ問題点もあった。

【０００７】また油圧式エレベータ制御装置の場合、エ
レベータ運転を長時間停止させると、油圧ジャッキ内の
油が冷えて収縮し、エレベータカゴ１が沈下して停止階
からずれることがあるが、このような場合にもエレベー
タカゴ１の位置をカゴ位置ポインタ９で追従させている
とエレベータが階間の途中で停止しているような表示と
なり、故障による途中停止しているとの誤解を与えてし
まう問題点もあった。またある程度カゴが沈下すると、
位置補正機能が働いてカゴ位置を正規の停止位置まで押
し上げる制御を行うが、この位置補正動作が繰り返され
ると、実際にはカゴ停止階は変化していないのにカゴ位
置ポインタ９は停止階の近くで繰り返し揺れる動きを
し、エレベータが不安定である印象を利用者に与えてし
まう問題点もあった。

【０００８】またエレベータカゴ１をロープ２によって
巻き上げ機３によって巻き上げ、巻き下ろす機構のエレ
ベータ制御装置では、エレベータの動作異常によって巻
き上げ機を緊急停止させると、ワイヤーロープ２が巻き
上げ機３上でスリップを起こし、巻き上げ機３の回転を
パルス信号に変換してカゴ１の位置検出を行い、カゴ位
置ポイントしているカゴ位置表示装置８では、実際のカ
ゴ位置とカゴ位置ポインタ９の指示するカゴ位置とがず
れ、エレベータカゴ１が実際に到着したのにカゴ位置ポ
インタ９はまだ階間の位置を指しているといった状態に
なり、利用者に違和感や不信感を与える問題点もあっ
た。

【０００９】またエレベータをある階に停止してドアを
開ける際にロープ２の伸び分の位置ずれを補正するため
の自動運転を行う機能がエレベータ制御部４には備えら
れているが、この補正運転が行われる時にもカゴ位置ポ
インタ９がカゴ１の動きに追従して動き、停止階にてカ
ゴ位置ポインタ９のみが振動する問題点もあった。

【００１０】さらにエレベータ設置建物の各階間の高さ
が階床によって異なる場合に、カゴ位置表示板１０の各
階床数字を等間隔に書き込んでいるならば、実際のエレ
ベータカゴ１の移動距離に比例させた角度だけ、あるい
は距離だけカゴ位置ポインタ９を移動させるのではな
く、表示制御部１３においてエレベータカゴ１の移動階
床区間ごとにパルス幅に対応する移動距離を異なった値
に設定しておき、カゴ１がどの階床に存在するかによっ
て換算データに異なったものを用いる必要があり、演算
処理が複雑になってしまう問題点があった。

【００１１】加えて、従来の指針式のカゴ位置表示装置
８は、ある階から他のある階までの間に存在する複数の
階床を不停止階とする不停止ゾーンを設定しているよう
なエレベータ制御装置には用いられておらず、またその
ようなエレベータ制御装置に用いることにするならば、
不停止ゾーンの不停止階数が多くなると不停止階を示す
数字の書き込まれていない階床が多数連続することにな
り、しかも不停止ゾーンを設定するのは特に高層ビルの
エレベータに多いので、カゴ位置表示板１０の幅が不要
に大きくなり、意匠を損なうことになる問題点もあっ
た。

【００１２】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、エレベータカゴの現在位置に対するカ
ゴ位置ポインタの追従性を向上させ、表示装置側の異常
に対してエレベータ停止を行うことによってエレベータ
利用の信頼性を高めるエレベータ制御装置を提供するこ
とを目的とする。

【００１３】また本発明は、階床ごとに高さが異なる建
物であっても複雑な演算処理なしにカゴ位置ポインタに
実際のエレベータカゴの位置指示を行わせることができ
るエレベータ制御装置を提供することを目的とする。

【００１４】また本発明は、不停止ゾーンを有する高層
建物に設置する場合でも、意匠を損なうことのないカゴ
位置表示装置を備えたエレベータ制御装置を提供するこ
とを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明のエレベ
ータ制御装置は、エレベータカゴの位置移動に応じてカ
ゴ位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ
位置を表示するカゴ位置表示手段と、エレベータカゴの
位置検出を行うカゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出
手段が検出するエレベータカゴの位置に対応して前記カ
ゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示ポイントを割り出
す表示制御手段と、前記表示制御手段が割り出したカゴ
位置指示ポイントに対応して前記カゴ位置表示手段上の
カゴ位置ポインタを移動させるポインタ駆動手段と、前
記表示制御手段、ポインタ駆動手段及びカゴ位置表示手
段の故障を検出する故障検出手段と、前記故障検出手段
による故障検出時に当該カゴ位置表示手段の動作を停止
させる位置表示停止手段と、前記故障検出手段による故
障検出時に前記エレベータカゴを最寄り階に停止させる
最寄り階停止手段とを備えたものである。

【００１６】この請求項１の発明のエレベータ制御装置
では、表示制御手段、ポインタ駆動手段又はカゴ位置表
示手段が故障した時にはカゴ位置表示手段を停止してカ
ゴ位置ポインタの動きを停止し、同時にエレベータを最
寄り階運転してエレベータの緊急停止を行うことによ
り、エレベータの緊急停止によってカゴ位置表示系統の
故障を知らせ、またエレベータカゴの実際の位置とカゴ
位置ポインタのカゴ位置指示とのずれの発生を最小限に
くい止める。

【００１７】請求項２の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ位置ポインタを
アナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示するカ
ゴ位置表示手段と、エレベータカゴの位置検出を行うカ
ゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が検出するエ
レベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置表示手段に
おけるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示制御手段
と、前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイン
トに対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポイン
タを移動させるポインタ駆動手段と、エレベータ停止中
にエレベータカゴが沈下したことを検出するエレベータ
沈下検出手段と、前記エレベータ沈下検出手段による前
記エレベータカゴの沈下検出時に前記カゴ位置表示手段
のカゴ位置ポインタの移動を停止させるポインタ停止手
段とを備えたものである。

【００１８】この請求項２の発明のエレベータ制御装置
では、エレベータ停止中にカゴ沈下を検出した時にはカ
ゴ位置ポインタの指示位置を正規の位置に固定すること
により、カゴ沈下時にカゴ位置指示が停止階からずれる
のを防止する。

【００１９】請求項３の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ位置ポインタを
アナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示するカ
ゴ位置表示手段と、エレベータカゴの位置検出を行うカ
ゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が検出するエ
レベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置表示手段に
おけるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示制御手段
と、前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイン
トに対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポイン
タを移動させるポインタ駆動手段と、エレベータの停止
時に巻き上げ機とエレベータカゴを吊すロープとの間の
スリップを検出するスリップ検出手段と、前記スリップ
検出手段が前記巻き上げ機と前記ロープとの間のスリッ
プを検出する時に前記カゴ位置表示手段のカゴ位置ポイ
ンタの移動を停止させるポインタ停止手段とを備えたも
のである。

【００２０】この請求項３の発明のエレベータ制御装置
では、エレベータの急停止時にロープが巻き上げ機に対
してスリップしても、カゴ位置ポインタのカゴ位置指示
がずれるのを防止し、正確な位置指示を可能とする。

【００２１】請求項４の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ位置ポインタを
アナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示するカ
ゴ位置表示手段と、エレベータカゴの位置検出を行うカ
ゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が検出するエ
レベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置表示手段に
おけるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示制御手段
と、前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイン
トに対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポイン
タを移動させるポインタ駆動手段と、前記表示制御手段
の内部破壊を検出する内部破壊検出手段と、前記内部破
壊検出手段による前記表示制御手段の内部破壊検出時に
前記カゴ位置表示手段の動作を停止させる位置表示停止
手段と、前記内部破壊検出手段による前記表示制御手段
の内部破壊検出時に前記エレベータカゴを最寄り階に停
止させる最寄り階停止手段とを備えたものである。

【００２２】この請求項４の発明のエレベータ制御装置
では、エレベータ位置表示制御手段の内部データが破壊
し、正確なエレベータ位置指示の演算ができなくなった
時にはカゴ位置表示手段によるカゴ位置指示動作を停止
し、同時にエレベータを最寄り階運転してエレベータの
緊急停止を行うことにより、エレベータの緊急停止によ
ってカゴ位置表示制御系統の異常を知らせ、またエレベ
ータカゴの実際の位置とカゴ位置ポインタのカゴ位置指
示とのずれの発生を最小限にくい止める。

【００２３】請求項５の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ位置ポインタを
アナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示するカ
ゴ位置表示手段と、エレベータカゴの位置検出を行うカ
ゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が検出するエ
レベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置表示手段に
おけるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示制御手段
と、前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイン
トに対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポイン
タを移動させるポインタ駆動手段と、エレベータの停止
時にエレベータカゴを吊すロープの伸びを検出する伸び
検出手段と、前記伸び検出手段が前記ロープの伸びを検
出する時に前記カゴ位置表示手段のカゴ位置ポインタの
移動を停止させるポインタ停止手段とを備えたものであ
る。

【００２４】この請求項５の発明のエレベータ制御装置
では、ロープの伸びを検出した時にカゴ位置ポインタの
カゴ位置指示が伸び補正制御に伴うエレベータカゴの動
きによらずに停止階に固定することにより、カゴ位置ポ
インタの振動を防止する。

【００２５】請求項６の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータ設置建物の各階床間の高さに比例して階床表
示数字間の幅を広狭設定したカゴ位置表示板上で、エレ
ベータカゴの位置移動に比例してカゴ位置ポインタをア
ナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示するカゴ
位置表示手段と、エレベータカゴの位置検出を行うカゴ
位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が検出するエレ
ベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置表示手段にお
けるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示制御手段と、
前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
対応して前記カゴ位置ポインタを移動させるポインタ駆
動手段とを備えたものである。

【００２６】この請求項６の発明のエレベータ制御装置
では、エレベータ設置建物の各階床間の高さに比例して
階床表示数字間の幅を広狭設定したカゴ位置表示板上
で、エレベータカゴの位置移動に比例してカゴ位置ポイ
ンタをアナログ的に連続的に移動させることにより、エ
レベータ位置表示制御手段の実行する内部処理を単純化
する。

【００２７】請求項７の発明のエレベータ制御装置は、
エレベータカゴを停止させない階床を複数、連続して不
停止ゾーンとして設定したエレベータ制御装置におい
て、通常停止階床に対しては所定の幅、前記不停止ゾー
ンに対応する部分については、（通常停止階の１階床分
の表示幅×不停止ゾーンの階床数）の幅よりも小さい幅
に設定して停止階ごとにその階床数を表示したカゴ位置
表示板上で、エレベータカゴの移動に対応してカゴ位置
ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を
表示するカゴ位置表示手段と、エレベータカゴの位置検
出を行うカゴ位置検出手段と、前記カゴ位置検出手段が
検出するエレベータカゴの位置に対応して前記カゴ位置
表示手段におけるカゴ位置指示ポイントを割り出す表示
制御手段と、前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指
示ポイントに対応して前記カゴ位置ポインタを移動させ
るポインタ駆動手段とを備えたものである。

【００２８】この請求項７の発明のエレベータ制御装置
では、エレベータカゴが不停止ゾーンを通過中であるこ
とをカゴ位置ポインタで指示する時に、その不停止ゾー
ンの距離が長くてもカゴ位置表示板上での移動距離が短
くなるようにして、カゴ停止階数字を表示するために必
要なカゴ位置表示板の幅や大きさを小さくする。

【００２９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。図２は請求項１の発明のエレベータ
制御装置の一つの実施の形態におけるカゴ位置表示装置
８の構成を示している。エレベータ制御装置は図１に示
す一般的な機能構成を有している。

【００３０】図２に示すカゴ位置表示装置８には、この
カゴ位置表示装置８の各部の動作を監視し、いずれかの
部分に異常を検出したときに異常検出信号erを出力する
異常検出部２１を設け、また電源部１１に異常検出部２
１からの異常検出信号erを受けてカゴ位置ポインタ９に
対する駆動電力を遮断する停止スイッチ２２を設けたこ
とを特徴とする。また図３に示すように、カゴ位置表示
装置８の異常検出部２１は異常検出信号erを伝送部６，
７を通じてエレベータ制御部４にも伝送し、エレベータ
制御部４でこの異常検出信号erを受けて緊急停止制御を
行い、エレベータカゴ１を最寄り階に停止させる構成に
してある。

【００３１】このエレベータ制御装置では、図４のフロ
ーチャートに示すように、エレベータ運転中に（ステッ
プＳ１）、カゴ位置表示装置８の内部に異常、特に表示
制御部１３の機能を果たすために搭載されているマイク
ロコンピュータなどに異常が発生してカゴ位置ポインタ
９が停止したり暴走するようになれば（ステップＳ２，
Ｓ３）、異常検出部２１がその異常を検出して異常検出
信号erを出力する（ステップＳ４）。

【００３２】この異常検出信号erはエレベータ制御部４
側に伝送部６，７を通じて伝送され、また表示制御部１
３にも渡される（ステップＳ５，Ｓ６）。そこで表示制
御部１３は表示駆動回路１２に対して電源遮断指令を出
して電源部１１のスイッチ２２を遮断してカゴ位置ポイ
ンタ９を停止させる（ステップＳ７）。またエレベータ
制御部４側では、エレベータカゴ１を最寄り階まで移動
させて緊急停止させる最寄り階運転を行う（ステップＳ
８，Ｓ９）。

【００３３】こうして、カゴ位置表示装置８の内部に異
常が発生してカゴ位置ポインタ９の指示動作が停止し又
は暴走するような事態になればカゴ位置ポインタ９を停
止させ、同時にエレベータも最寄り階運転の後に停止さ
せることにより、ポインタ９の指示位置とエレベータカ
ゴ位置との一致を可能な限り維持しつつ、カゴ位置表示
装置８側の異常発生に対してエレベータを停止させるこ
とによって異常発生をエレベータ管理者に知らせる。

【００３４】次に、図５及び図６に基づいて請求項２の
発明の一つの実施の形態について説明する。油圧式エレ
ベータ制御装置では、エレベータカゴ１を支える油圧ジ
ャッキ２３に対して圧力ポンプ２４によって油を供給す
ることによってカゴ１を上昇させ、逆に油圧ジャッキ２
３から油を排出してタンク（図示せず）に戻すことによ
ってカゴ１を下降させる駆動方式をとり、カゴ１の位置
制御はエレベータ制御部４１によって行う構成である。

【００３５】油圧式エレベータ制御装置の特徴として駆
動系統に油を使用するが、油は系統の温度が低下すると
収縮するためにある階でカゴ１を停止させた状態で時間
がたち、油圧ジャッキ内の油温が低下すると、油が収縮
してカゴ１が沈下する現象が発生する。このカゴ１の沈
下が大きくなるとカゴ１と停止階の床レベルとが大きく
ずれてしまうことになるので、許容範囲を超えて大きな
沈下が発生すればカゴ１の停止位置を再調整する必要が
ある。そこでカゴ１の停止位置に対するずれの大きさを
検出するカゴ位置ずれ検出部２５と、カゴずれ量を許容
範囲と比較し、許容範囲を超える大きなカゴ位置ずれが
あればそれを検出してエレベータ制御部４１に知らせ、
停止位置再調整を行わせるカゴ沈下検出部２６を設けて
ある。

【００３６】エレベータ制御部４１は伝送部６，７を通
じてカゴ位置表示装置８側と双方向通信を行う機能を備
え、またカゴ位置表示装置８は図２に示した構成を備え
ている。そこで、エレベータ制御部４１からカゴ位置表
示装置８にカゴ１の昇降動作に対応してパルス信号を伝
送し、カゴ位置表示装置８の表示制御部１３がそのパル
ス信号を増減カウントしてカゴ位置を割り出し、表示駆
動回路１２に対してカゴ位置ポインタ９の移動量を指示
し、表示駆動回路１２が電源部１１を通じてカゴ位置ポ
インタ９をカゴ位置に応じた角度又は距離だけ移動させ
てカゴ位置表示板１０上でカゴ位置を表示させる。

【００３７】エレベータ制御部４１はまた、カゴ沈下検
出部２６からカゴ沈下検出信号を受けると、圧力ポンプ
２４を起動してカゴ位置の再調整を行うが、この再調整
動作の期間、カゴ位置表示装置８側にカゴ位置調整中を
示す信号を伝送してカゴ位置表示装置８がカゴ１の実際
の位置に追従してカゴ位置ポインタ９が動くのを停止さ
せる機能も備えている。

【００３８】このカゴ位置再調整期間中、カゴ位置ポイ
ンタ９の指示位置を固定させる動作は図６のフローチャ
ートにしたがって実行される。エレベータ制御部４１は
エレベータの運転中にエレベータカゴ１を所定階で停止
させ、あるいは何らかの故障によって最寄り階停止若し
くは階間で停止させると（ステップＳ１１，Ｓ１２）、
カゴ沈下検出部２６の信号を監視する（ステップＳ１
３）。

【００３９】カゴ１の停止時間が長くなり、油圧ジャッ
キ２３内の油温が低下して収縮が起こり、カゴ１が許容
値を超える沈下を起こすとカゴ沈下検出部２６が沈下検
出信号をエレベータ制御部４１に送る（ステップＳ１
４，Ｓ１５）。

【００４０】エレベータ制御部４１はカゴ沈下情報を受
け取ると、カゴ位置表示装置８の表示制御部１３に伝送
部６，７を通じてポインタ停止指令を出力し、表示制御
部１３はこの指令を受けて表示駆動回路１２に電源停止
指令を与える（ステップＳ１６，Ｓ１７）。

【００４１】表示駆動回路１２は電源停止指令を受ける
と電源部１１のスイッチ２２をカットすることによって
カゴ位置ポインタ９の動作を停止させ、カゴ１の正規の
停止位置に固定したままとする（ステップＳ１８）。

【００４２】これによって、請求項２の発明のエレベー
タ制御装置では、油圧エレベータでカゴ停止時に沈下が
発生してカゴ位置の再調整動作を行っている間、カゴ１
の位置の動きに追従してカゴ位置ポインタ９が動くのを
停止させ、元の停止位置に固定しておくことができるよ
うになる。

【００４３】次に、図７及び図８に基づいて請求項３の
発明のエレベータ制御装置の一つの実施の形態を説明す
る。このエレベータ制御装置は、エレベータカゴ１を吊
すロープ２の巻き上げ、巻き下ろしによってカゴ１を昇
降させる巻き上げ機３の回転制御をエレベータ制御部４
２で行い、カゴ位置表示装置８では、エレベータ制御部
４２側から伝送部６，７を通じて送られてくるカゴ位置
情報に対応してカゴ位置表示板１０上でカゴ位置ポイン
タ９を移動させることよってカゴ位置表示を行う構成で
ある。

【００４４】カゴ位置表示装置８は図２に示したものと
同じ内部構成を備え、カゴ位置表示装置８側の異常発生
時にはカゴ位置ポインタ９の動きを停止させると共に、
エレベータ制御部４２側に異常発生信号を伝送してエレ
ベータ運転を停止させる働きをする。

【００４５】エレベータ制御部４２は、カゴ１の位置制
御のために図１に示したエレベータ制御部４と同様に巻
き上げ機３の回転に対してパルス信号を発生するパルス
ジェネレータ５からの信号を受け取ってカゴ位置を割り
出す機能を有している。ところが、エレベータの緊急停
止が必要になって巻き上げ機３を急停止させた時には、
ロープ２側にはカゴ１やカウンタウェイトが吊され、ロ
ープ２自身の質量もあってその慣性質量が大きいため
に、巻き上げ機３上をスリップしてしまい、パルスジェ
ネレータ５によって巻き上げ機３の回転数からカゴ位置
を割り出す制御を行っている場合には実際のカゴ位置と
パルス信号に対する計算によって割り出したカゴ位置と
の間に誤差が発生する。

【００４６】そこで、巻き上げ機３の回転に対応したパ
ルスジェネレータ５のパルス信号から割り出したカゴ位
置と昇降路の各位置に設置されているカゴ位置検出器
（図示せず）から得られるパルス信号に基づくカゴ位置
とを比較し、その誤差が許容値を超えて大きくなってい
る場合にロープ２のスリップが発生したことを検出して
エレベータ制御部４２に出力するカゴ位置ずれ検出部２
７を設けている。そしてこのカゴ位置ずれ検出部２７が
ロープ２のスリップを検出した時にはエレベータ制御部
４２がカゴ位置補正処理を行うようになっているが、こ
のカゴ位置補正処理の間、エレベータ制御部４２はカゴ
位置表示装置８に対して伝送部６，７を通じてカゴ位置
ポインタ９の移動停止指令を出力する構成にしてある。

【００４７】このロープスリップ発生時のカゴ位置ポイ
ンタ９の位置指示停止機能は、図８のフローチャートに
したがって実行される。エレベータ運転中にカゴ位置ず
れ検出部２７が許容範囲を超えるロープ２のスリップを
検出すると（ステップＳ２１〜Ｓ２３）、エレベータ制
御部４２にカゴ位置ずれ情報を出力する（ステップＳ２
４）。エレベータ制御部４２ではこのカゴ位置ずれ情報
を受けると、カゴ位置表示装置８の表示制御部１３に対
して伝送部６，７を通じてポインタ停止指令を出力する
（ステップＳ２５）。

【００４８】表示制御部１３はポインタ停止指令を受信
すると、表示駆動回路１２に電源カット指令を出力し、
表示駆動回路１２は電源部１１のスイッチ２２をカット
してカゴ位置ポインタ９の駆動モータを停止させ、カゴ
位置ポインタ９の動きを停止させる（ステップＳ２６，
Ｓ２７）。

【００４９】これによって、カゴ１を吊すロープ２が巻
き上げ機３に対してスリップした場合でもカゴ位置ポイ
ンタ９の指示位置が実際のカゴ位置からずれるのを防止
することができる。

【００５０】次に、図９及び図１０に基づいて請求項４
の発明のエレベータ制御装置の一つの実施の形態につい
て説明する。このエレベータ制御装置は、カゴ位置表示
装置８１の構成に特徴を有し、エレベータ制御部４は図
１に示したものと同一の構成である。

【００５１】カゴ位置表示装置８１はカゴ位置ポインタ
９、カゴ位置表示板１０、カゴ位置ポインタ９を駆動す
る電源部１１、電源部１１を制御する表示駆動回路１
２、表示駆動回路１２にカゴ位置ポインタ９の移動量を
指示する表示制御部１３を有し、さらにエレベータ制御
部４側から与えられるカゴ位置に対応するポインタ９の
駆動量を決定するポインタ基準位置データと、このデー
タチェックのためのチェックコードを記憶する記憶部３
１と、この記憶部３１のデータチェックを行うコードチ
ェック部３２を備えていて、記憶部３１に登録されてい
るデータにエラーが発生している場合にコードチェック
部３２でチェックし、表示制御部１３にそのエラーを知
らせ、表示制御部１３が表示駆動回路１２に対してポイ
ンタ停止指令を与えて電源部１１のスイッチ２２をカッ
トし、カゴ位置ポインタ９の駆動を停止させ、同時に表
示制御部１３が伝送部６，７を通じてエレベータ制御部
４にカゴ位置表示装置８１の異常を伝え、エレベータを
最寄り階まで運転して停止させる制御を行うようにして
ある。

【００５２】次に、このエレベータ制御装置によるカゴ
位置表示装置８１側の異常発生時の動きについて、図１
０のフローチャートに基づいて説明する。エレベータ運
転中、コードチェック部３２は記憶部３１の基準位置デ
ータのチェックを繰り返し、データが正常であればエレ
ベータ運転を継続する（ステップＳ３１，Ｓ３２）。し
かしながら、データエラーが発生しておればコードチェ
ック部３２から表示制御部１３にエラー信号が与えら
れ、表示制御部１３はエレベータ制御部４に対し伝送部
６，７を通じて異常発生情報を伝送し（ステップＳ３
３）、同時に表示駆動回路１２に対してポインタ停止指
令を出力する（ステップＳ３４）。表示駆動回路１２は
ポインタ停止指令を受けて電源部１１のスイッチ２２を
カットし、カゴ位置ポインタ９の動きを停止させる（ス
テップＳ３５）。

【００５３】他方、カゴ位置表示装置８１側の異常発生
情報を受け取ったエレベータ制御部４は巻き上げ機３に
対して停止指令を出力し、エレベータカゴ１が走行中で
あれば最寄り階に停止させ、停止中であれば停止状態の
ままにし、カゴ位置ポインタ９の停止や暴走を防止し、
同時にカゴ位置ポインタ９が動いていないのにエレベー
タ側が運転を継続することがないようにする。

【００５４】次に、図１１及び図１２に基づいて請求項
５の発明のエレベータ制御装置の一つの実施の形態を説
明する。エレベータカゴ１を吊すロープ２の巻き上げ、
巻き下ろしによってカゴ１を昇降させる巻き上げ機３の
回転制御をエレベータ制御部４２´で行い、カゴ位置表
示装置８では、エレベータ制御部４２´側から伝送部
６，７を通じて送られてくるカゴ位置情報に対応してカ
ゴ位置表示板１０上でカゴ位置ポインタ９を移動させる
ことよってカゴ位置表示を行う構成である。

【００５５】このカゴ位置表示装置８は図２に示したも
のと同じ内部構成を備え、カゴ位置表示装置８側の異常
発生時にはカゴ位置ポインタ９の動きを停止させると共
に、エレベータ制御部４２´側に異常発生信号を伝送し
てエレベータ運転を停止させる働きをする。

【００５６】エレベータ制御部４２´は、カゴ１の位置
制御のために図１に示したエレベータ制御部４と同様に
巻き上げ機３の回転に対してパルス信号を発生するパル
スジェネレータ５からの信号を受け取ってカゴ位置を割
り出す機能を有している。

【００５７】ロープ２はカゴ１やカウンタウェイトの重
さ、また自重によって経年的に、また外気温の上昇によ
って伸びが発生する。そこで、エレベータ制御部４２´
が巻き上げ機３の回転に対応したパルスジェネレータ５
のパルス信号から割り出したカゴ位置と昇降路の各位置
に設置されているカゴ位置検出器（図示せず）から得ら
れるパルス信号に基づくカゴ位置とを比較し、許容値を
超えるかご位置のずれが発生している場合にロープ２の
伸びが発生していると判断し、かご位置ずれ量を検出し
てエレベータ制御部４２´に出力するロープ伸び検出部
２８を設けてあって、このロープ伸び検出部２８が許容
値を超える大きなかご位置ずれ量を検出した時にはエレ
ベータ制御部４２´がカゴ位置補正処理を行うようにし
てある。そしてこのカゴ位置補正処理の間、エレベータ
制御部４２´はカゴ位置表示装置８に対して伝送部６，
７を通じてカゴ位置ポインタ９の移動停止指令を出力す
るようにしてある。

【００５８】ロープ伸びの発生時のカゴ位置ポインタ９
の位置指示停止機能は、図１２のフローチャートにした
がって実行される。エレベータ運転中にロープ伸び検出
部２８が許容範囲を超えるかご位置ずれ量を検出すると
（ステップＳ４１〜Ｓ４３）、エレベータ制御部４２´
にかご位置ずれ情報を出力する（ステップＳ４４）。エ
レベータ制御部４２´ではこのカゴ位置ずれ情報を受け
ると、カゴ位置表示装置８の表示制御部１３に対して伝
送部６，７を通じてポインタ停止指令を出力する（ステ
ップＳ４５）。

【００５９】表示制御部１３はポインタ停止指令を受信
すると、表示駆動回路１２に電源カット指令を出力し、
表示駆動回路１２は電源部１１のスイッチ２２をカット
してカゴ位置ポインタ９の駆動モータを停止させ、カゴ
位置ポインタ９の動きを停止させる（ステップＳ４６，
Ｓ４７）。

【００６０】これによって、カゴ１を吊すロープ２が伸
びてカゴ位置ポインタ９の指示位置が実際のカゴ位置か
らずれるのを防止することができる。

【００６１】次に請求項６の発明のエレベータ制御装置
の１つの実施の形態を図１及び図１３に基づいて説明す
る。エレベータ設置建物の各階床間の高さが異なる場合
に、図１３に示すように、かご位置表示装置８は階床間
の高さに比例して階床表示数字間の幅を広狭設定したカ
ゴ位置表示板１０´上で、エレベータカゴ１の位置移動
に比例してカゴ位置ポインタ９をアナログ的に連続的に
移動させてカゴ位置を表示する構成である。この実施の
形態では、１階の高さと３〜５階の各階の高さは同じ
で、例えば３ｍであり、２階の高さがその倍の６ｍであ
る場合を例示している。なお、エレベータ制御部４側の
構成、またかご位置表示装置８の内部構成は図１に示し
たものと同じであり、エレベータ制御部４では巻き上げ
機３に設けられているパルスジェネレータ５からのパル
ス信号を増減カウントしてカゴ１の位置を検出し、これ
を伝送部６，７を通じてかご位置表示装置８側に伝送す
る。そしてカゴ位置表示装置８側では、表示制御部１３
がカゴ位置情報に対応するカゴ位置ポインタ９のカゴ位
置表示板１０´上での回転角度若しくは移動距離を割り
出し、表示駆動回路１２がこの指示を受けて電源部１１
を通じてカゴ位置ポインタ９を駆動し、カゴ位置ポイン
タ９にカゴ位置表示板１０´上の該当する階床数字を指
示させることにより、エレベータ位置表示する。

【００６２】これにより、実際のエレベータ設置建物の
階床間の高さが一定でない場合に、機械的に製作される
カゴ位置表示板１０´についてその製作の際に建物の各
階床の高さに比例した幅で階床数字を記入していけばよ
いことになり、エレベータ制御部４のソフトウェアに複
雑な換算プログラムを搭載しなくてもよくなり、構造的
に簡単なものとすることができる。

【００６３】ここで、カゴ位置ポインタ９″とカゴ位置
表示板１０″とを図１４に示す形式とすることもでき
る。すなわち、カゴ位置表示板１０″を各階床間の高さ
に対応した幅とし、カゴ位置ポインタ９″をエレベータ
カゴ１の高さに対応した幅にしてエレベータカゴ１の実
際の移動に応じてカゴ位置ポインタ９″を移動させるよ
うにする。なお、このカゴ位置ポインタ９″はカゴ１の
高さに対応した幅のカーソルとし、あるいはランプにし
て実際のカゴ１の移動距離に対応した距離だけカゴ位置
表示板１０″上を連続的にスライドしてカゴ位置を指示
する形式である。

【００６４】次に、高層ビルに設置されるエレベータ制
御装置で、階間交通の効率化のために、例えばエントラ
ンスホール階からある階までは不停止ゾーンに指定して
その間の各階は不停止階にしてエレベータカゴ１を停止
させない設定することがある。このような不停止ゾーン
の設定されているエレベータでは、不停止階をもカゴ位
置表示板１０上に表示するようにすると、階床数が多い
ために円盤状のカゴ位置表示板１０の場合には階床間の
角度を詰める必要があり、カゴ位置ポインタ９による指
示が見にくくなる。また図１４に示したようなカゴ位置
表示板１０″では全長を長くしたり、同じく階床間の幅
を小刻みにしたりする必要があり、意匠性を損なってし
まう。

【００６５】そこで請求項７の発明のエレベータ制御装
置では、カゴ位置表示板１００を図１５に示すような表
示形式にする。この実施の形態ではエレベータ設置建物
が８階まであり、３〜６階を不停止階にして、２階の次
には７階まで直行する設定にしてある場合のカゴ位置表
示板１００を例示している。このカゴ位置表示板１００
では、カゴ１の停止階についてはその階床数字を記入し
ているが、不停止ゾーンに対してはその不停止ゾーンに
含まれる階数を個別に全部表示する場合よりも小さい角
度あるいは幅をとって不停止ゾーンを示す表示１０１を
記入してある。

【００６６】このようなカゴ位置表示板１００に対して
カゴ位置ポインタ９０を駆動する回路は、図１６に示す
構成である。この回路構成は請求項４の発明の１つの実
施の形態として図９に示したものとほぼ共通するが、カ
ゴ位置表示装置８２における記憶部３３と仮想階床演算
部３４に特徴を有する。すなわち、記憶部３３には不停
止ゾーンに属する階床データが登録されており、仮想階
床演算部３４は表示制御部１３がエレベータ制御部４側
から受け取るカゴ位置データに対して、記憶部３３の階
床データと照合し、次の演算式に基づいてカゴ位置ポイ
ンタ９０の指示位置を算出する働きをする。

【００６７】上記のカゴ位置表示板１００に示したよう
に、ビルの高さが８階床あり、３〜６階を不停止階にし
て２階から７階までを不停止ゾーンに設定し、この不停
止ゾーン表示部１０１をカゴ位置表示板１００上で１階
床分として割り当てたとすると、実際には２階床分の幅
のうちに５階床分の幅を詰め込むことになって、カゴ１
の移動量に対して通常階の場合に２／５の進度でカゴ位
置ポインタ９０を移動させることになる。

【００６８】以上を一般式で示すと次のようになる。図
１７に示すように、高層ビルで不停止ゾーンが複数ゾー
ン１〜Ｎ設定されており、各々の不停止ゾーンｉについ
てその下端階数Ａｉ（この階までは停止するがそれより
上側の階から不停止階となる階、したがってカゴ位置表
示板１００上に表示されている不停止ゾーン表示部１０
１の下側に隣接する階数）と不停止階床数Ｂｉを登録し
ておく。そしてカゴ位置表示板１００上で不停止ゾーン
１つに対して１つの階床表示を割当てるとすると、不停
止ゾーンの下端階Ａｉから不停止ゾーンの上端階（同じ
く、この階には停止するが、その下側の階までは不停止
階となる階、したがってカゴ位置表示板１００上に表示
されている不停止ゾーン表示部１０１の上側に隣接する
階数）までの間は２階床幅あり、この２階床幅でカゴ１
の実際の不停止ゾーンｉを通過しているカゴ１の位置を
相対表示するので、通常の停止階に対するカゴ位置ポイ
ンタ９０の進み具合に対して、 ２／（Ｂｉ＋１） …（１） の進み具合となるように設定する。つまり、通常のゾー
ンではカゴ１の位置Ｐとカゴ位置表示板１００上での位
置Ｐ０との間に、 Ｐ０＝Ｋ・Ｐ …（２） の設定をするならば、不停止ゾーンｉでは、 Ｐ０＝２Ｋ・Ｐ／（Ｂｉ＋１）…（３） の設定にするのである。

【００６９】なお、図１８に示すようにカゴ位置表示板
１００´上で不停止ゾーン表示部１０１´に２階床表示
幅を割当てるとすると、上記の（１）〜（３）の各式の
分子の２を３に置き換えることになる。通常のゾーンで
はカゴ１の位置Ｐとカゴ位置表示板１００´上での位置
Ｐ０との間に、 Ｐ０＝Ｋ・Ｐ …（２） の設定をするならば、不停止ゾーンｉでは、 Ｐ０＝３Ｋ・Ｐ／（Ｂｉ＋１）…（３）´ の設定にするのである。

【００７０】これによってカゴ１が不停止ゾーンを走行
中であれば、カゴ位置ポインタ９０，９０´はカゴ位置
表示板１００，１００´上で、対応する不停止ゾーン表
示部１０１，１０１´において他の部分よりも遅い進度
で進みつつ、不停止ゾーン内のカゴ１の位置に対応した
表示ができるようになる。

【００７１】

【発明の効果】以上のように請求項１の発明によれば、
表示制御手段、ポインタ駆動手段又はカゴ位置表示手段
が故障した時にはカゴ位置表示手段を停止してカゴ位置
ポインタの動きを停止し、同時にエレベータを最寄り階
運転して緊急停止を行うようにしているので、エレベー
タの緊急停止によってカゴ位置表示系統の故障を知ら
せ、またエレベータカゴの実際の位置とカゴ位置ポイン
タのカゴ位置指示とのずれの発生を最小限にくい止める
ことができ、アナログ的なカゴ位置表示の信頼性を向上
させることができる。

【００７２】請求項２の発明のエレベータ制御装置によ
れば、エレベータ停止中のカゴ沈下を検出した時にはカ
ゴ位置ポインタの指示位置を正規の停止位置に固定する
ようにしているので、カゴ沈下時にカゴ位置指示が停止
階からずれるのを防止することができ、アナログ的なカ
ゴ位置表示の信頼性を向上させることができる。

【００７３】請求項３の発明のエレベータ制御装置によ
れば、エレベータの急停止時にロープが巻き上げ機に対
してスリップしても、カゴ位置ポインタのカゴ位置指示
がずれるのを防止して正確にカゴ位置を指示することが
でき、アナログ的なカゴ位置表示の信頼性を向上させる
ことができる。

【００７４】請求項４の発明のエレベータ制御装置によ
れば、エレベータ位置表示制御手段の内部データが破壊
し、正確なエレベータ位置指示の演算ができなくなった
時にはカゴ位置表示手段によるカゴ位置指示動作を停止
し、同時にエレベータを最寄り階運転して緊急停止を行
うようにしているので、エレベータの緊急停止によって
カゴ位置表示制御手段の異常を知らせ、またエレベータ
カゴの実際の位置とカゴ位置ポインタのカゴ位置指示と
のずれの発生を最小限にくい止めることができ、アナロ
グ的なカゴ位置表示の信頼性を向上させることができ
る。

【００７５】請求項５の発明のエレベータ制御装置によ
れば、ロープの伸びを検出した時にカゴ位置ポインタの
カゴ位置指示が伸び補正制御に伴うエレベータカゴの位
置の動きによらずに停止階に固定するようにしているの
で、カゴ位置ポインタの振動を防止してカゴ位置表示の
信頼性を向上させることができる。

【００７６】請求項６の発明のエレベータ制御装置によ
れば、エレベータ設置建物の各階床間の高さに比例して
階床表示数字間の幅を広狭設定したカゴ位置表示板上
で、エレベータカゴの位置移動に比例してカゴ位置ポイ
ンタをアナログ的に連続的に移動させるようにしている
ので、エレベータ位置表示制御手段の実行する内部処理
を単純化し、コストの低廉化が図れる。

【００７７】請求項７の発明のエレベータ制御装置によ
れば、エレベータカゴが不停止ゾーンを通過中であるこ
とをカゴ位置ポインタで指示する時に、その不停止ゾー
ンの距離が長くてもカゴ位置表示板上での移動距離が小
さくなるようにしているので、カゴ停止階数字を表示す
るために必要なカゴ位置表示板の幅や大きさを小さくす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一般的なアナログ的なカゴ位置表示機構を備え
たエレベータ制御装置のブロック図。

【図２】請求項１の発明の一実施の形態のカゴ位置表示
装置のブロック図。

【図３】請求項一の発明の一実施の形態のシステム構成
を示すブロック図。

【図４】上記実施の形態の動作手順を示すフローチャー
ト。

【図５】請求項２の発明の一実施の形態のシステム構成
を示すブロック図。

【図６】上記実施の形態の動作手順を示すフローチャー
ト。

【図７】請求項３の発明の一実施の形態のシステム構成
を示すブロック図。

【図８】上記実施の形態の動作手順を示すフローチャー
ト。

【図９】請求項４の発明の一実施の形態のシステム構成
を示すブロック図。

【図１０】上記実施の形態の動作手順を示すフローチャ
ート。

【図１１】請求項５の発明の一実施の形態のシステム構
成を示すブロック図。

【図１２】上記実施の形態の動作手順を示すフローチャ
ート。

【図１３】請求項６の発明の一実施の形態に用いるカゴ
位置表示板の正面図。

【図１４】請求項６の発明の他の実施の形態に用いるカ
ゴ位置表示板の正面図。

【図１５】請求項７の発明の一実施の形態に用いるカゴ
位置表示板の正面図。

【図１６】上記実施の形態のシステム構成を示すブロッ
ク図。

【図１７】上記実施の形態の記憶部の不停止ゾーンに関
するデータ構造図。

【図１８】請求項７の発明の他の実施の形態に用いるカ
ゴ位置表示板の正面図。

【符号の説明】

１ カゴ ２ ロープ ３ 巻き上げ機 ４，４´ エレベータ制御部 ５ パルスジェネレータ ６ 伝送部 ７ 伝送部 ８ カゴ位置表示装置 ９，９″ カゴ位置ポインタ １０，１０´，１０″ カゴ位置表示板 １１ 電源部 １２ 表示駆動回路 １３ 表示制御部 ２１ 異常検出部 ２２ 電源スイッチ ２３ 油圧ジャッキ ２４ 圧力ポンプ ２５ カゴ位置ずれ検出部 ２６ カゴ沈下検出部 ２７ カゴ位置ずれ検出部 ２８ ロープ伸び検出部 ３１ 記憶部 ３２ コードチェック処理部 ３３ 記憶部 ３４ 仮想階床演算部 ４１ エレベータ制御部 ４２，４２´ エレベータ制御部 ９０，９０´ カゴ位置ポインタ １００，１００´ カゴ位置表示板 １０１，１０１´ 不停止ゾーン表示部

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ
   位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位
   置を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポインタを
   移動させるポインタ駆動手段と、 前記表示制御手段、ポインタ駆動手段及びカゴ位置表示
   手段の故障を検出する故障検出手段と、 前記故障検出手段による故障検出時に前記カゴ位置表示
   手段の動作を停止させる位置表示停止手段と、 前記故障検出手段による故障検出時に前記エレベータカ
   ゴを最寄り階に停止させる最寄り階停止手段とを備えて
   成るエレベータ制御装置。
2. 【請求項２】 エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ
   位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位
   置を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポインタを
   移動させるポインタ駆動手段と、 エレベータ停止中にエレベータカゴが沈下したことを検
   出するエレベータ沈下検出手段と、 前記エレベータ沈下検出手段による前記エレベータカゴ
   の沈下検出時に前記カゴ位置表示手段のカゴ位置ポイン
   タの移動を停止させるポインタ停止手段とを備えて成る
   エレベータ制御装置。
3. 【請求項３】 エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ
   位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位
   置を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポインタを
   移動させるポインタ駆動手段と、 エレベータの停止時に巻き上げ機とエレベータカゴを吊
   すロープとの間のスリップを検出するスリップ検出手段
   と、 前記スリップ検出手段が前記巻き上げ機と前記ロープと
   の間のスリップを検出する時に前記カゴ位置表示手段の
   カゴ位置ポインタの移動を停止させるポインタ停止手段
   とを備えて成るエレベータ制御装置。
4. 【請求項４】 エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ
   位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位
   置を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポインタを
   移動させるポインタ駆動手段と、 前記表示制御手段の内部破壊を検出する内部破壊検出手
   段と、 前記内部破壊検出手段による前記表示制御手段の内部破
   壊検出時に前記カゴ位置表示手段の動作を停止させる位
   置表示停止手段と、 前記内部破壊検出手段による前記表示制御手段の内部破
   壊検出時に前記エレベータカゴを最寄り階に停止させる
   最寄り階停止手段とを備えて成るエレベータ制御装置。
5. 【請求項５】 エレベータカゴの位置移動に応じてカゴ
   位置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位
   置を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置表示手段上のカゴ位置ポインタを
   移動させるポインタ駆動手段と、 エレベータの停止時にエレベータカゴを吊すロープの伸
   びを検出する伸び検出手段と、 前記伸び検出手段が前記ロープの伸びを検出する時に前
   記カゴ位置表示手段のカゴ位置ポインタの移動を停止さ
   せるポインタ停止手段とを備えて成るエレベータ制御装
   置。
6. 【請求項６】 エレベータ設置建物の各階床間の高さに
   比例して階床表示数字間の幅を広狭設定したカゴ位置表
   示板上で、エレベータカゴの位置移動に比例してカゴ位
   置ポインタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位置
   を表示するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置ポインタを移動させるポインタ駆
   動手段とを備えて成るエレベータ制御装置。
7. 【請求項７】 エレベータカゴを停止させない階床を複
   数、連続して不停止ゾーンとして設定したエレベータ制
   御装置において、 通常停止階床に対しては所定の幅、前記不停止ゾーンに
   対応する部分については、（通常停止階の１階床分の表
   示幅×不停止ゾーンの階床数）の幅よりも小さい幅に設
   定して停止階ごとにその階床数を表示したカゴ位置表示
   板上で、エレベータカゴの移動に対応してカゴ位置ポイ
   ンタをアナログ的に連続的に移動させてカゴ位置を表示
   するカゴ位置表示手段と、 エレベータカゴの位置検出を行うカゴ位置検出手段と、 前記カゴ位置検出手段が検出するエレベータカゴの位置
   に対応して前記カゴ位置表示手段におけるカゴ位置指示
   ポイントを割り出す表示制御手段と、 前記表示制御手段が割り出したカゴ位置指示ポイントに
   対応して前記カゴ位置ポインタを移動させるポインタ駆
   動手段とを備えて成るエレベータ制御装置。