JPH0939149A - シロキサン系薄膜の形成方法 - Google Patents

シロキサン系薄膜の形成方法

Info

Publication number
JPH0939149A
JPH0939149A JP18934395A JP18934395A JPH0939149A JP H0939149 A JPH0939149 A JP H0939149A JP 18934395 A JP18934395 A JP 18934395A JP 18934395 A JP18934395 A JP 18934395A JP H0939149 A JPH0939149 A JP H0939149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
siloxane
substrate
silane compound
based thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP18934395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3401125B2 (ja
Inventor
Yasuo Takebe
安男 武部
Norihisa Mino
規央 美濃
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP18934395A priority Critical patent/JP3401125B2/ja
Publication of JPH0939149A publication Critical patent/JPH0939149A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3401125B2 publication Critical patent/JP3401125B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚を薄く制御することが可能で、極めて簡
単な方法で安価に効率よくピンホールのない密着性の良
いシロキサン系薄膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 濃度2重量%のオクタデシルトリエトキ
シシランのヘキサデカン溶液に、洗浄したスライドガラ
ス(ほう珪酸ガラス)基板を浸漬させ、110℃で10
分間加熱し、次いでクロロホルムの入った容器中に基板
を浸漬し、クロロホルムを攪拌して10分間のクロロホ
ルム洗浄を行い、更に流水で10分間の水洗を行うこと
により、水に対する接触角が97゜、膜厚2nmのシロ
キサン系単分子膜が基板上に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シロキサン系薄膜
の形成方法に関するものである。さらに詳しくは、基体
上に結合したシロキサン系薄膜の形成方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】薄膜の作製法としては、真空蒸着法、化
学的気相成長法等の気相中での薄膜作製法がよく知られ
ている。
【0003】これに対し、液相中でのシロキサン系薄膜
作製法は、例えば特開平5−116989号公報にある
ように、アルコキシシランを用いて、ゾル−ゲル法で撥
水性のシロキサン系薄膜を作製する方法が報告されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】気相中での薄膜作製法
は真空設備を必要としたり、プラズマ発生装置を必要と
する等、設備が大がかりになり、薄膜を形成させる基体
の寸法や形状が限定されるといった欠点を持つ。
【0005】またゾル−ゲル法では、薄膜作製時に酸触
媒が必要であるため、酸に侵されやすい基体は用いるこ
とができず、その用途や基体が制限される。さらに上記
方法では、アルコキシシランを含む溶液を基体上に塗布
した後に加熱し焼成するため、極めて薄い膜を形成しよ
うとするとピンホールが発生してしまい、薄くても10
0ナノメーターの膜厚のものが限度であり、数ナノメー
ター程度の薄膜を形成することは困難である。
【0006】本発明は、真空装置等の大がかりな設備の
必要無しに、かつ触媒の使用無しに、膜厚を薄く制御す
ることが可能で、極めて簡単な方法で安価に効率よくピ
ンホールのない密着性の良い強固なシロキサン系薄膜を
基体上に形成する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のシロキサン系薄膜の形成方法は、アルコキ
シ基を有するシラン化合物と基体を接触させてシロキサ
ン系薄膜を基体表面上に作製する工程、およびその後余
分なシラン化合物を除去するための洗浄工程を含むこと
を特徴とする。
【0008】前記本発明のシロキサン系薄膜の形成方法
においては、アルコキシ基を有するシラン化合物と基体
を接触させてシロキサン系薄膜を基体表面上に作製する
際に、前記基体および/または前記シラン化合物を40
℃以上に加熱することによりシロキサン系薄膜を基体表
面上に作製することが好ましい。
【0009】前記本発明のシロキサン系薄膜の形成方法
においては、アルコキシ基を有するシラン化合物とし
て、液体状態もしくは溶液中に溶解している状態のシラ
ン化合物を用いることが好ましい。
【0010】前記本発明のシロキサン系薄膜の形成方法
においては、アルコキシ基を有するシラン化合物が、ト
リアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランから
選ばれたシラン化合物であることが好ましい。
【0011】前記本発明のシロキサン系薄膜の形成方法
においては、基体が、その表面に活性水素を有する基体
であることが好ましい。さらに、前記本発明のシロキサ
ン系薄膜の形成方法においては、シロキサン系薄膜の膜
厚が、10ナノメーター以下であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】前記した本発明の構成によれば、
触媒を必要とせずに基体上にシロキサン系薄膜を形成で
きる。
【0013】さらに、本発明によるシロキサン系薄膜の
形成方法によれば、シラン化合物を基体と反応させた
後、未反応のシラン化合物を洗浄除去するので、膜厚を
ナノメーターオーダーに制御することが可能となる。そ
のため透明性が良好であり、ピンホールがなく、しかも
共有結合により強固に基体と結合しているシロキサン系
薄膜を形成することができる。
【0014】また、本発明によるシロキサン系薄膜の形
成製造方法によれば、特別の設備無しにシロキサン系薄
膜を効率よくかつ安全に形成できる。本発明で用いるア
ルコキシ基を有するシラン化合物としては、炭素数1〜
3のアルコキシ基、具体的には、例えばメトキシ基、エ
トキシ基、プロピルオキシ基を有するシラン化合物が好
ましく用いられる。アルコキシ基の数は1〜4のモノア
ルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシ
シラン、テトラアルコキシシランのいずれを用いても薄
膜の形成は可能である。耐久性の良い薄膜を得るには、
特にトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが
好ましく用いられる。
【0015】シラン化合物の種類は、基材に付与したい
性質によって種々のシラン化合物を用いることができ、
撥水性の薄膜を作製する場合には、アルキル基、アリー
ル基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基を有す
るアルコキシシランを用いることが望ましく、撥油性の
薄膜を作製する場合には、フルオロアルキル基、フルオ
ロアリール基を有するアルコキシシランを用いることが
望ましい。
【0016】アルキル基を有するアルコキシシランとし
ては、炭素数2〜30のアルキル基を有するアルコキシ
シランが好ましく、具体例としては、例えば、エチルト
リエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オク
チルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、
オクタデシルトリエトキシシラン、エイコシルトリエト
キシシラン、トリアコンチルトリエトキシシランなどが
挙げられ、長鎖アルキル基を有するシラン化合物は、特
に撥水性が優れた膜を形成するのに好適である。
【0017】アリール基を有するアルコキシシランとし
ては、炭素数6〜8のアリール基を有するアルコキシシ
ランが好ましく、具体例としては、例えば、フェニルト
リエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェ
ネチルトリエトキシシラン、トルイルトリエトキシシラ
ンなどが挙げられる。
【0018】フルオロアルキル基を有するアルコキシシ
ランとしては、炭素数3〜12のフルオロアルキル基を
有するアルコキシシランが好ましく、具体例としては、
例えば、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエ
トキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−
テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタ
デカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)
トリエトキシシラン、(ヘニコサフルオロ−1,1,
2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランなど
が挙げられる。
【0019】フルオロアリール基を有するアルコキシシ
ランとしては、炭素数6〜9のフルオロアリール基を有
するアルコキシシランが好ましく、具体例としては、例
えば、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、
(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリエトキシシラ
ンなどが挙げられる。
【0020】また、基材に潤滑性を付与するには、前述
した長鎖アルキル基を有するシラン化合物が好ましく用
いられる。また、テトラエトキシシランなどを用いた場
合には基材に防錆性を付与することもできる。
【0021】シラン化合物のみからなる液状物を基体に
接触させても目的の薄膜は得られるが、より経済的には
シラン化合物を適当な溶媒で希釈して用いることが望ま
しい。シラン化合物の濃度としては0.1〜100重量
%の範囲で用い得るが、特に1〜5重量%の範囲が好ま
しい。濃度が高いと反応時間は短くできるが、10重量
%を越えるとそれ以上高濃度にしてもほとんど反応時間
を短縮できず、また、次の洗浄工程に長い時間を要し、
全体としての製造時間においては必ずしも濃度が高い方
が有利とは言えない。反応速度も極端に低下せず、しか
も洗浄工程で高価な未反応の余分なシラン化合物を除去
する量を少なくでき経済的であること、洗浄工程に於け
る洗浄時間を短くできることなどを考慮すると、上述し
た様にシラン化合物としては、濃度1〜5重量%の溶液
の形で用いることが好ましい。
【0022】上記溶媒としては、シラン化合物を溶解す
るものであればかまわないが、加熱して反応を行う場合
には、溶媒の沸点が加熱する温度以上であることが溶媒
が蒸発しない様にするために好ましい。
【0023】シラン化合物を溶媒で溶解して溶液の形で
用いる場合において、溶媒としては、単分子膜程度の極
薄い膜を作製する場合には、シラン化合物と反応しない
溶媒を用いることが重要であり、炭化水素系溶媒、ハロ
ゲン系溶媒等の非水溶媒が望ましいが、これに限定され
ないこと勿論である。
【0024】一方、数分子から数十分子層程度の比較的
厚い膜を作製するときには、シラン化合物を加水分解す
る溶媒が必要であり、含水アルコールや含水グリコール
等が好ましいが、これに限定されないこと勿論である。
【0025】炭化水素系溶媒としては、例えばヘキサデ
カン、トルエン、キシレン、デカリン、テトラリンなど
が挙げられ、沸点や毒性などの点からは特にヘキサデカ
ンが好ましい。
【0026】ハロゲン系溶媒としては、例えばクロロホ
ルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロ
エチレン、パーフルオロペンタンなどが挙げられ、価格
や環境規制などの点からはクロロホルムが好ましい。
【0027】前述の加水分解するための溶媒、含水アル
コールに用いられるアルコールとしては、炭素数1〜5
の1級または2級アルコールが好ましく、具体例として
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノールなど
が挙げられる。水との重量比は、アルコール中の水分量
が1〜10重量%程度が好ましい。但し、n−ペンタノ
ールの場合には7重量%より多くは水が溶解しないの
で、1〜7重量%の範囲が好ましい。含水グリコールに
用いられるグリコールとしては、炭素数2〜3のエチレ
ングリコール、プロピレングリコールが挙げられ、水と
の重量比は、グリコール中の水分量が1〜10重量%程
度が好ましい。毒性や価格、使用可能温度(沸点)など
を考慮すると、低温で反応させる場合にはエタノールが
特に好ましく、高温で反応させる場合にはエチレングリ
コールが特に好ましく用いられる。低温で製膜する必要
がある場合の例としては、基板に耐熱性がない場合、例
えば熱可塑性プラスチックスなどで余り高温が使用でき
ない場合などは、反応速度を多少犠牲にしても低温での
反応が採用され、基板の耐熱性が高い場合には、高温で
の反応による薄膜形成を行うことができる。
【0028】形成するシロキサン系薄膜は、多くの場合
できるだけ薄いことが望ましく、膜厚がナノメーターオ
ーダーであると、下地の基体の光学的特性を損なわない
ため理想的である。すなわち、膜厚がナノメーターオー
ダーであると形成されたシロキサン系薄膜の吸光度が小
さく、このため、基体の透明性を阻害せず、光透過性の
優れたシロキサン系薄膜を形成することができる。ま
た、基体の反射率などにも影響が極めて少なく、このた
め、例えば鏡面上にシロキサン系薄膜を形成することに
よって、基体の反射率などに影響を与えずに基体の表面
の性質を変化させる事が可能となる。膜厚は10ナノメ
ーター以下の厚さにすることが好ましく、膜厚の下限は
特に制限するものではないが、シロキサン系単分子膜で
は、分子の大きさにもよるが、アルコキシ基を有するシ
ラン化合物として、例えばプロピルトリエトキシシラン
を用いた場合の単分子膜では約0.5ナノメーターとす
ることができる。また、膜厚を厚くしたい場合には、ア
ルコキシ基を有するシラン化合物の種類を選び、基体と
接触させる時間、すなわち、反応時間を長くし、好まし
くは加熱することによって10ナノメーター程度の膜厚
のシロキサン系薄膜を基体上に形成することができる。
【0029】基体上に形成されるシロキサン系薄膜の膜
厚は、用いる基体の種類、用いるアルコキシ基を有する
シラン化合物の種類、濃度などによって変わるが、これ
らが決まれば、用いるアルコキシ基を有するシラン化合
物と基体との反応時間(接触時間)が長くなればなるほ
ど一般に膜厚が厚くなり、また、反応時における加熱温
度が高ければ高いほど反応が促進されるので膜厚が厚く
なる傾向にある。従って、設定した反応温度に応じて、
反応時間(何時、余分な未反応のシラン化合物を洗浄除
去するか)をコントロールすることにより、膜厚を制御
することができる。
【0030】反応は40℃以上の温度で行うことが、反
応時間を短縮できるので経済的である。反応温度、反応
時間などの条件は、前述したように用いるシラン化合物
の反応性、溶媒、濃度、目的とする膜厚、用いた基板の
種類などによって変わるので一概に規定し難いが、温度
としては通常40〜150℃程度が好ましく、反応時間
は例えば40℃で12〜48時間、60℃で2〜24時
間、80℃で30分〜2時間、110℃で5〜30分、
150℃で1〜10分程度が目安となる。一般的に単分
子膜を形成する場合にはかなり短時間で反応を終了させ
ることができ、−Si−O−結合が複数個膜厚方向に伸
びる多分子層膜を形成する場合にはかなりの長時間を要
するのが一般的である。
【0031】次に、反応後、余分なシラン化合物を除去
するための洗浄は、シラン化合物を溶解し得る溶媒中に
基体を浸すことが最も簡便な方法であるが、これに限定
されないこと勿論であり、例えば、真空中で未反応のシ
ラン化合物を蒸発させることによって除去する方法や、
乾燥窒素ガスのブローで未反応のシラン化合物を吹き飛
ばす方法など他の手段によってもよい。また、場合によ
っては洗浄を必要としないこと勿論である。例えば、プ
ロピルトリメトキシシランなど、シラン化合物の蒸気圧
が高い場合には、乾燥雰囲気中に放置しておく方法によ
っても未反応のシラン化合物を蒸発させて、除去するこ
となどもできる。
【0032】上記洗浄に用いる溶媒としては、シラン化
合物を溶解するものであればかまわない。たとえば、ク
ロロホルム、アセトン、エタノール等が好適に使用でき
るが、これらに限定されないこと勿論である。
【0033】薄膜を形成するために用いる基体として
は、原理的には活性水素を表面に有するものであれば利
用できる。特に、表面に高密度に水酸基を有するものが
望ましいが、これに限定されるものではない。例えばガ
ラス、表面酸化膜を有する金属等が好ましい。
【0034】しかし、たとえ表面に十分な水酸基が存在
しない基体でも、酸処理、酸素プラズマ処理、水蒸気プ
ラズマ処理等によって表面に十分な水酸基を作り出すこ
とができる。この処理によって、雲母やほとんどのプラ
スチック等が基体として利用できる。
【0035】また、あらかじめ基体上にゾル−ゲル法
や、スパッタ法等によりシリコン酸化膜等を形成してお
けば、どのような基体も利用することができ、さらにそ
のシリコン酸化膜は、下地基体の保護膜としても機能す
る。
【0036】以上、本発明方法によって、基体上にシロ
キサン系薄膜を形成することにより、基体の光学的性質
をほとんど変化させることなく、アルコキシ基を有する
シラン化合物の種類を選定することにより、基体に撥水
性、撥油性、潤滑性、防錆性その他目的に応じた種々の
性質を付与でき、例えば自動車窓材、メガネやカメラの
レンズに代表されるガラス製品や、プラスチックメガネ
レンズ、コンタクトレンズなどで代表されるプラスチッ
クス製品、傘、レインコート、シャツ、ズボン、ネクタ
イなどで代表される繊維製品あるいは鍋蓋等の金属製品
の表面にシロキサン系薄膜を形成して撥水性、撥油性そ
の他の新たな特性を付与することができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明をさらに具体的に説明する。た
だし、本発明は以下の具体的実施例に限定されない。
【0038】(実施例1)ヘキサデカンにオクタデシル
トリエトキシシラン(C1837Si(OEt)3)を全
体の重量割合で2重量%となるように加えたものを溶液
Aとした。
【0039】次に、基体として洗浄したスライドガラス
(ほう珪酸ガラス)基板を用い、溶液Aに浸漬させ、1
10℃で10分間加熱した。続いて、クロロホルムの入
った容器中に基板を浸漬し、クロロホルムを攪拌して1
0分間のクロロホルム洗浄を行い、更に流水で10分間
の水洗を行った。
【0040】これにより、製膜前は水に対する接触角2
0°以下の基板が、接触角97゜となり、シロキサン系
薄膜が基板上に形成されたことが確認された。形成され
た薄膜の模式的断面図を図2に示した。図2中1は基板
を示し、化学記号で示したシロキサン系薄膜中のRはC
1837−を示している。(図2中Siのすべてが横方向
にOを介して結合していない部分が存在するのは、ラン
ダムに存在すると推定される未反応の部分を示したもの
である。) なお、この薄膜は、原子間力顕微鏡(AFM)による観
察により、かかる極薄の膜でもピンホールのほとんどな
い均一な膜であり、しかも膜厚は2nmであることが確
認された。膜厚から単分子膜が形成されていると考えら
れる。
【0041】さらに、フーリエ変換赤外吸収スペクトル
(FT−IR)測定により、図1に示すように2900
cm-1付近(帰属C−H)、1060cm-1付近(帰属
Si−O)に吸収が観測されたことより、膜形成を確認
できた。
【0042】(実施例2)ヘキサデカンに(トリデカフ
ルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロオクチル)トリ
エトキシシラン(C61324Si(OEt)3)を全体
の重量に対し2重量%加えたものを溶液Bとした。
【0043】次に、実施例1記載と同じ基板を溶液Bに
浸漬させ、80℃で1時間加熱した。続いて、実施例1
と同様な方法で10分間のクロロホルム洗浄、および1
0分間の水洗を行った。
【0044】これにより、水に対する接触角が80゜と
なり、シロキサン系薄膜が基板上に形成されたことが確
認された。形成された薄膜の模式的断面図を図3に示し
た。図3中1は基板を示し、化学記号で示したシロキサ
ン系薄膜中のRはC6 13 2 4 −を示している。
【0045】なお、この薄膜は、原子間力顕微鏡(AF
M)による観察により、ピンホールのほとんどない均一
な膜であり、しかも膜厚は、0.8nmの単分子膜であ
ることが確認された。
【0046】さらに、実施例1と同様にFT−IR測定
により、膜形成を確認できた。 (実施例3)エタノール93重量%、水5重量%、テト
ラエトキシシラン2重量%をよく混ぜたものを溶液Cと
した。
【0047】次に、実施例1記載と同じ基板を溶液Cに
浸漬させ、75℃で1時間加熱した。続いて、実施例1
と同様な方法で10分間のクロロホルム洗浄、および1
0分間の水洗を行った。
【0048】原子間力顕微鏡(AFM)による観察によ
り、ピンホールのほとんどない均一なシロキサン系の薄
膜が形成されていることが確認され、しかも膜厚は、1
nmであることが確認された。形成された薄膜の模式的
断面図を図4に示した。図4中1は基板を示し、化学記
号で示したシロキサン系薄膜中のRはC25 −を示
し、また、nは5〜6の数を表し、括弧内の繰り返し単
位が膜厚方向に5ないし6回繰り返されていることを示
している。
【0049】さらに、実施例1と同様にFT−IR測定
により、1060cm-1付近(帰属Si−O)に吸収が
観測されたことより、膜形成を確認できた。 (実施例4)はじめに、実施例3と同じ溶液Cを調製し
た。
【0050】次に、実施例1記載と同じ基板を50℃に
加熱し、その上を溶液Cを浸した布で擦り、溶液Cを塗
布し、そのまま1時間放置した。続いて、実施例1と同
様の方法で10分間のクロロホルム洗浄、および10分
間の水洗を行った。
【0051】その結果、実施例1と同様にFT−IR測
定により、1060cm-1付近(帰属Si−O)に吸収
が観測されたことより、膜形成を確認できた。形成され
た薄膜の模式的断面図を図5に示した。図5中1は基板
を示し、化学記号で示したシロキサン系薄膜中のRはC
25 −を示し、また、nは3〜7の数を示している。
【0052】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、極
めて簡単な方法で安価に効率よくピンホールのないシロ
キサン系薄膜が作製でき、しかも膜厚をナノメーターオ
ーダーに制御することが可能であり、光学的特性を損な
うことなく密着性に優れたシロキサン系薄膜を提供でき
る。そのため、例えば自動車窓材に代表されるガラス製
品や鍋蓋等の金属製品の表面にシロキサン系薄膜を形成
して撥水性、撥油性その他の新たな特性を付与すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のシロキサン系薄膜の赤外吸収スペク
トル。
【図2】実施例1において形成された薄膜の模式的断面
図。
【図3】実施例2において形成された薄膜の模式的断面
図。
【図4】実施例3において形成された薄膜の模式的断面
図。
【図5】実施例4において形成された薄膜の模式的断面
図。
【符号の説明】 1 基板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシ基を有するシラン化合物と基
    体を接触させてシロキサン系薄膜を基体表面上に作製す
    る工程、およびその後余分なシラン化合物を除去するた
    めの洗浄工程を含むことを特徴とするシロキサン系薄膜
    の形成方法。
  2. 【請求項2】 アルコキシ基を有するシラン化合物と基
    体を接触させてシロキサン系薄膜を基体表面上に作製す
    る際に、前記基体および/または前記シラン化合物を4
    0℃以上に加熱することによりシロキサン系薄膜を基体
    表面上に作製する請求項1記載のシロキサン系薄膜の形
    成方法。
  3. 【請求項3】 アルコキシ基を有するシラン化合物とし
    て、液体状態もしくは溶液中に溶解している状態のシラ
    ン化合物を用いることからなる請求項1〜2のいずれか
    に記載のシロキサン系薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 アルコキシ基を有するシラン化合物が、
    トリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランか
    ら選ばれたシラン化合物である請求項1〜3のいずれか
    に記載のシロキサン系薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 基体が、その表面に活性水素を有する基
    体である請求項1〜4のいずれかに記載のシロキサン系
    薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 シロキサン系薄膜の膜厚が、10ナノメ
    ーター以下である請求項1〜5のいずれかに記載のシロ
    キサン系薄膜の形成方法。
JP18934395A 1995-07-25 1995-07-25 シロキサン系薄膜の形成方法 Expired - Fee Related JP3401125B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18934395A JP3401125B2 (ja) 1995-07-25 1995-07-25 シロキサン系薄膜の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18934395A JP3401125B2 (ja) 1995-07-25 1995-07-25 シロキサン系薄膜の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0939149A true JPH0939149A (ja) 1997-02-10
JP3401125B2 JP3401125B2 (ja) 2003-04-28

Family

ID=16239751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18934395A Expired - Fee Related JP3401125B2 (ja) 1995-07-25 1995-07-25 シロキサン系薄膜の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3401125B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000047403A1 (fr) * 1999-02-10 2000-08-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Minces films organiques, procede de production de ceux-ci et equipement prevu a cet effet; couches d'alignement pour cristaux liquides, procede de production de ceux-ci et equipement prevu a cet effet;et ecrans d'affichage a cristaux liquides fabriques a l'aide de ces couches d'alignement et procede de production de ceux-c
JP2006517463A (ja) * 2003-02-11 2006-07-27 プリンストン ユニヴァーシティ 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層
JP2006239504A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Ricoh Co Ltd 有機単分子膜の形成方法
JP2013142097A (ja) * 2012-01-10 2013-07-22 Toyota Motor Corp 撥水撥油性被膜、及び当該被膜の形成方法
JP2016107530A (ja) * 2014-12-08 2016-06-20 株式会社豊田中央研究所 撥水材及びその製造方法
JP2018118864A (ja) * 2017-01-24 2018-08-02 星和電機株式会社 基体保護膜及び付着防止部材
JPWO2018021339A1 (ja) * 2016-07-29 2018-10-04 リンテック株式会社 薄膜撥液層の製造方法、及び薄膜撥液層

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000047403A1 (fr) * 1999-02-10 2000-08-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Minces films organiques, procede de production de ceux-ci et equipement prevu a cet effet; couches d'alignement pour cristaux liquides, procede de production de ceux-ci et equipement prevu a cet effet;et ecrans d'affichage a cristaux liquides fabriques a l'aide de ces couches d'alignement et procede de production de ceux-c
JP2006517463A (ja) * 2003-02-11 2006-07-27 プリンストン ユニヴァーシティ 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層
JP2006239504A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Ricoh Co Ltd 有機単分子膜の形成方法
JP2013142097A (ja) * 2012-01-10 2013-07-22 Toyota Motor Corp 撥水撥油性被膜、及び当該被膜の形成方法
JP2016107530A (ja) * 2014-12-08 2016-06-20 株式会社豊田中央研究所 撥水材及びその製造方法
JPWO2018021339A1 (ja) * 2016-07-29 2018-10-04 リンテック株式会社 薄膜撥液層の製造方法、及び薄膜撥液層
JP2018118864A (ja) * 2017-01-24 2018-08-02 星和電機株式会社 基体保護膜及び付着防止部材
WO2018139125A1 (ja) * 2017-01-24 2018-08-02 星和電機株式会社 基体保護膜、付着防止部材及び付着防止部材の形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3401125B2 (ja) 2003-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI676817B (zh) 光學元件及形成光學元件之方法
US5907013A (en) Method for manufacturing a chemically adsorbed film and a chemical adsorbent solution for the method
Metwalli et al. Surface characterizations of mono-, di-, and tri-aminosilane treated glass substrates
EP0491251B1 (en) Adsorbed monomolecular film and method of manufacturing the same
US5372851A (en) Method of manufacturing a chemically adsorbed film
KR100902529B1 (ko) 티탄 산화물 입자의 분산액, 티탄 산화물 박막, 유기기능막 형성용 용액, 유기 기능막 형성 기체 및 그 제조방법
US6806161B2 (en) Process for preparing insulating material having low dielectric constant
JP3735136B2 (ja) 非湿潤性コーティング用組成物
CN1988965B (zh) 有机薄膜形成方法、有机薄膜形成用辅助剂和有机薄膜形成用溶液
JP2016537484A (ja) ポリフッ素含有シロキサン被覆
US20160032146A1 (en) Organic/inorganic transparent hybrid films and a process for producing the same
JPH06510608A (ja) 疎水性および耐摩耗性を有する反射防止材および基材上に反射防止性、疎水性、耐摩耗性被覆を付着させる方法
WO2006083311A2 (en) Scratch resistant gradient coating and coated articles
JP2013213181A (ja) 有機−無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法
US6485785B1 (en) Coating film, and method and apparatus for producing the same
JP3401125B2 (ja) シロキサン系薄膜の形成方法
JP4312606B2 (ja) 化学吸着膜製造方法及びそれに用いる化学吸着膜製造用溶液
JP2006526494A (ja) 防曇性耐引掻性層システムの製造方法
KR101137268B1 (ko) 유기 박막 세정용 용제
JPH10310872A (ja) シリカ系厚膜被膜形成方法
JP2004136630A (ja) 機能性皮膜被覆物品、およびその製造方法
JP5326086B2 (ja) 太陽エネルギー利用装置及びその製造方法
WO2018042302A1 (en) Curable silsesquioxane polymer comprising inorganic oxide nanoparticles, articles, and methods
JP2000328231A (ja) 有機系蒸着物質による成膜方法
JP3424879B2 (ja) シロキサン系薄膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080221

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100221

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees