JP2006517463A - 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層 - Google Patents

表面に結合した、有機酸を用いた単分子層 Download PDF

Info

Publication number
JP2006517463A
JP2006517463A JP2005515724A JP2005515724A JP2006517463A JP 2006517463 A JP2006517463 A JP 2006517463A JP 2005515724 A JP2005515724 A JP 2005515724A JP 2005515724 A JP2005515724 A JP 2005515724A JP 2006517463 A JP2006517463 A JP 2006517463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
substrate
monolayer
solution
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005515724A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006517463A5 (ja
Inventor
シュワルツ,ジェフェリー
ハンソン,エリック,エル.
カロルス,マイケル,ディー.
ダナヒー,マイケル,ピー.
シュワルツバウアー,ジーン,イー.
ミッドウッド,キム,エス.
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Princeton University
Original Assignee
Princeton University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Princeton University filed Critical Princeton University
Publication of JP2006517463A publication Critical patent/JP2006517463A/ja
Publication of JP2006517463A5 publication Critical patent/JP2006517463A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D1/00Processes for applying liquids or other fluent materials
    • B05D1/18Processes for applying liquids or other fluent materials performed by dipping
    • B05D1/185Processes for applying liquids or other fluent materials performed by dipping applying monomolecular layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y40/00Manufacture or treatment of nanostructures
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/26Web or sheet containing structurally defined element or component, the element or component having a specified physical dimension
    • Y10T428/261In terms of molecular thickness or light wave length

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

本発明は、基板表面に化学結合した、高密度充填の配向した有機酸ベースの単分子層を提供する工程、(i)前記基板の前記表面の少なくとも一部分の上に、複数の少なくとも1つの有機酸種を含む高密度充填の吸着配向単分子層を提供し、ここで前記吸着単分子層を含む各有機酸種が前記基板の前記表面に会合した少なくとも1つの酸官能基を有する;および(ii)前記表面に会合した酸官能基を前記基板の表面に結合させる;を含む方法を提供する。

Description

関連出願の参照
本願は、2003年7月28日に出願された、米国仮出願第60/490,613号、2003年5月2日に提出された米国仮出願第60/467,348号、および2003年2月11日に提出された米国仮出願第60/446,681号および第60/446,680号に基づき、優先権を主張する。これらはすべて本明細書中に参照として組み込まれる。
背景
絶縁性、金属特性、導電性、または電子物性を有する基板に結合した有機層の提供は、素子を構築する際に無機材料と有機または生体材料との間の界面として用いるために重要である。生体/無機材料界面の例として、インビボの移植、例えば骨成長促進整形外科移植のための材料、および化学種または生体種を検出するために生体活性層を用いる移植可能なバイオセンサーが挙げられる。このようなバイオセンサー素子においては、生物的に活性な層(本明細書中では生体活性層とも表す)は、半導体層と連結して検出される種の量もしくは濃度に比例する電気または光の信号を生成する。有機/無機材料界面を用いる素子は、例えば有機トランジスタ(OT)および発光ダイオード(OLED)である。
有機層または生体活性層と無機基板との間の機械的、化学的、電子的な性質は、さまざまな因子に依存する。その多くは:(a)層を含む分子部分の構造、例えば基板表面に対する配列および結合;および(b)基板表面と有機層との間の結合の領域特異的密度である。さらに、前記界面は化学的安定性を示し、使用条件下で堅固でなければならず、さもなければ使用によって劣化する。
一般に、基板表面にデポジットされた層と基板との間の結合の領域特異的密度が増加するにしたがって、層の結合の安定性が増加する。さらに、一定表面積での層と表面との結合数の増加にしたがって、層を通るまたは表面から離れる電荷キャリア束も増加しうる。
ポリマー層を表面にデポジットするために重合の方法を用いて基板表面を覆う有機層を展開させることがよく知られている。一般にこれらの層はよい表面コンフォメーションを示さない。すなわち、ポリマーのオーバーレイヤーの成長は、表面を横切る分離した位置(「アイランド」)でのモノマー部分の表面結合(最終的にポリマーマスがアイランド間の表面をこえてブリッジするまで、これらのアイランドから外側に進む、しかし表面とのさらなる化学結合を形成しない重合としてポリマーに組み込まれる)によっておこる傾向がある。この成長および結合パターンは、層を含む種の多くの層と同じ厚さ(しばしば数百ナノメートルから数ミクロンの厚さ)の層を形成する傾向があるが、コーティング層を含む種と基板表面との間に相対的に少ない結合を有する。例えば「スピン−オン」技術によって塗布されるバルクのポリマーを含む有機層もよく知られている。これらの型のコーティングはさらに基板表面とコーティングとの間に同様の型のまばらな結合パターンを示す。コーティングと基板表面との間の単位表面積あたりの結合数が少ないコート基板は、基板とコーティングとの間の機械的結合が弱く、基板表面とコーティングとの間の電子通信が低い。したがってこれらは機械的強度が弱く一般に長期の安定性を示さない。このようなコーティングは、電子素子に用いたときに高い電荷キャリア特性を示さない。
一つには、層が自然表面でみられる官能基を用いて基板に結合されるため、従来技術で表面に結合した有機層は、単位表面積あたりの結合数が少ない。一般に、さらなる種を表面に結合させるための使用に十分に活性な基は、まばらに表面を横切る。一例として、例えばオルガノ−クロロシランで表面をシラン化して表面に結合するカルボシロキサン種を形成する、シリコンの自然酸化物表面で行われる誘導体化反応にしばしば用いられるシラノール官能基が挙げられる。一般に、誘導体化シランの有機部分はまた、従来の有機化学を適用することによって例えばエポキシドおよび炭素−炭素二重結合などの不飽和部位などのポリマーの構造に組み込むことができる、シラン化反応に対して安定ないくつかの官能基を含む。または、活性な表面部位の還元によって表面を誘導体化し、シリコン基板の表面にシランまたはクロロシラン種を生成し、従来のオルガノ−シラン化学を適用して表面に結合したオルガノシラン種が形成されうる。一例として、このような表面誘導体化反応によって調製された表面に結合した水素化ケイ素官能基を用いた、不飽和有機部分のヒドロシリル化が挙げられる。
これらの表面誘導体化の方法は、出発表面を広範囲に修飾し、表面の調製の間、シランまたはクロロシラン中間体の段階で湿度および酸素に敏感な基板表面を与えるために厳しい環境の制御を必要とする。
上述したように、自然発生的な活性表面部位を変換して表面に結合した層を与えることによる表面誘導化反応は、多分子層厚およびそこに近接した、誘導体化する種が基板の表面に結合していない「空隙」領域である、組織化が不完全な物質の領域であるコーティングを与える。結合した表面種の「アイランド」の取り込みによってまたはバルクのポリマーの塗布によって、表面を完全に覆う有機層を提供するための上述の方法の使用は、組織化が不完全な、表面に強く接着しない表面層を与え、不十分な基板との電子的相互作用をもたらす。
例えばセンサーなどの電子的な応用のためには、これは有機層を通した基板への効率的な電荷キャリアの輸送を妨げうる。接着および機械的強度のため表面に結合した層に依存する材料の塗布のためには、例えば骨成長を促進する医療上の移植においては、表面層の基板との結合の不連続な性質は、基板から分離しやすい機械的強度の弱い界面をもたらす。
必要とされるのは、自然表面に存在する活性な官能基の少なさにもかかわらず、高い表面領域特異的な層と基板との間の結合数で、基板の酸化物表面に結合した組織化された有機層である。さらに必要とされるのは、単結晶、多結晶、または非晶質によらず、さまざまな表面にこのような層を提供する一般的な方法である。
発明の概要
本発明者は、驚くべきことに、吸着した有機酸を含む高密度配向単分子層を基板の酸化物表面に結合させることでこれらの必要性が満たされることを発見した。
本発明は、基板表面の少なくとも一部分の上に、高密度の配向した結合した単分子層を提供する工程を提供し、前記工程が;
a.複数の加水分解性官能基を含む基板表面を提供する;
b.前記基板表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも1つの酸官能基を有することを特徴とする少なくとも1つの有機酸種を、吸着有機酸種および前記基板の表面を含む界面で、前記基板表面の加水分解性官能基の結合形成近接における前記酸官能基のうち少なくともいくつかを含む高密度配向単分子層を形成するのに十分な量で、吸着させる;および
c.前記酸官能基の少なくとも一部分を、前記界面において、前記基板の前記表面加水分解性官能基と結合させる;
を含む。
前記工程によって提供される単分子層が、実質的に空隙領域を含まず、単分子層が提供される酸化物表面の選択された一部分の全体を覆うまで、本発明の工程を繰り返すことが好ましい。
本発明の「結合させる段階」(段階c)は、吸着単分子層と表面の官能基とを含む界面領域の酸官能基のうち少なくともいくつかに化学結合を形成させるのに十分な長い時間、十分な量の熱エネルギーを、吸着単分子層および基板の酸化物表面を含む界面領域に供給することによって行うことが好ましい。吸着した単分子層および基板を少なくとも約100℃の温度に加熱することによって、吸着単分子層を結合させることがより好ましい。
吸着させる段階(b)は、強制的な長距離秩序のない形態で有機酸種を表面に提供する方法で、有機酸種を基板表面に供給することによって行われることが好ましい。有機酸種の好ましい形態は、およそ溶液の臨界ミセル濃度より低い濃度で有機酸種が存在する、有機酸種および溶媒を含む溶液である。
吸着単分子層が酸の溶液から提供される場合、前記基板表面の少なくとも一部分に吸着した高密度配向単分子層を形成する好ましい方法は、基板の表面を、少なくとも1つの有機酸種を含む溶液の一定量と、高密度配向単分子層を形成するのに十分な量で接触させることである。より好ましくは、基板表面を多量の溶液中に浸すことによって、溶液を基板表面に接触させる。
好ましくは、前記溶液が基板表面に接触した後、前記基板の少なくとも一部分の上の吸着高密度配向単分子層膜が脱離する条件下で、残留溶液が前記基板との接触から除去される。好ましくは、基板が浸されている溶液の体積が基板を覆うのに不十分になるまで、高密度充填された配向単分子層を形成するのに十分な条件下で前記溶媒を蒸発させることによって達成される。単分子層は、吸着した有機酸種および前記基板の表面を含む界面に、前記基板表面の加水分解性官能基の結合形成近接における相当数の前記有機酸種の、少なくとも1つの酸官能基を含むことが好ましい。
好ましい基板表面は、バルクの酸化物基板、金属基板、および半導体基板からなる群から選択される基板の酸化物表面である。より好ましくは、金属、半導体、および酸化物導体からなる群から選択される電子材料基板の自然酸化物表面、並びに例えば高誘電率ガラスなどの厚い酸化物絶縁体層である。特に好ましい基板はGaAs、シリコン、InP、GaN、伝導のためにインジウムおよび/または亜鉛でドープした酸化スズ、伝導のためにアルミニウムでドープした酸化亜鉛、酸化亜鉛、例えばTiO、FeO、およびVOなどをベースにしたドープした酸化物である。
いくつかの応用においては、前記有機酸種は、モノ−、ジ−および多官能スルホン酸からなる群から選択されることが好ましい。ほとんどの応用においては、前記有機酸種は、モノ−、ジ−および多官能カルボン酸並びにモノ−、ジ−および多官能ホスホン酸からなる群から選択されることが好ましい。前記有機酸種は、置換または非置換のチオフェン部分、置換または非置換のポリチオフェン部分、および置換または非置換の約2〜約40の炭素原子を有する炭化水素部分;前記炭化水素部分が任意でヒドロキシル、アミノ、カルボン酸、ホスホン酸およびチオール官能基からなる群から選択されるさらなる官能基で置換される、直鎖もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、置換もしくは非置換の、脂肪族または芳香族部分であることをさらに特徴とする;からなる群から選択される有機部分を含むことがさらに好ましい。
本発明は、本発明の方法によって調製される高密度充填された、配向した有機酸ベースの単分子層をも提供する。
本発明の、上述のおよび他の実施形態並びに利点は、以下の詳細な説明および実施例で明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
本発明者は、驚くべきことに、単分子層を含む実質的にすべての部分の、少なくとも1つの官能基によって、結晶性、多結晶、または非晶質の基板の加水分解性表面に結合した、強い、表面に沿った、高密度の配向した有機単分子層が提供されうることを発見した。本発明者は、また、驚くべきことに、基板の選択された領域にわたって基板の表面を覆う、実質的に空隙領域がなく実質的に多分子層で覆われる領域がない単分子層を提供するための工程を発見した。本発明によって提供される高密度配向有機単分子膜は、空隙領域がなく表面を覆う範囲の広さ、層を含む各部分の高い配向度、および広い基板の領域にわたる層の低い次元(すなわち、実質的に前記層はわずか一分子の厚さである)において独特である。
本明細書中で用いる場合、「高密度単分子層」の用語は、複数の、基板表面の少なくとも一部分の上に結合または吸着した1以上の部分を、表面上のテンプレートに十分に広範囲に含み(すなわち、基板が結晶性、多結晶、または非晶質の表面のいずれを有しても、コーティングが塗布される特定の基板表面の、表面の繰り返しの特性に応じて繰り返すような配向性で吸着する)、単分子層が誘導する各部分の二次元の最密の配置を提供するための膜を記述する。高密度の単分子層は、さらに、実質的に多分子層膜の形成がないことを特徴とする。本明細書中で用いる場合、「配向単分子層」の用語は、単分子層を形成する分子種の実質的にすべての官能基が、表面および単分子層を含む隣接した部分と同じ相対関係で存在する、基板表面上に結合または吸着した高密度単分子層を記述する。
本発明の工程は、良い機械的および電気的な特性を有し、加溶媒分解または超音波処理による脱離に耐性がある、基板の加水分解性表面に結合した有機層を提供する。
本発明の工程は:(i)有機酸部分の少なくとも1つの酸官能基が表面に、好ましくは結合形成近接において会合し、有機酸種が表面上に二次元の規則的な高密度充填で配列されるように、基板の加水分解性表面の上に複数の、少なくとも1つの有機酸種を含む、高密度配向有機単分子層を吸着させる;および(ii)有機酸部分の表面に会合した酸官能基を表面に結合させる;を含む。さらに、結合した単分子層は、表面のどんな広範囲にわたっても二分子層または多分子層が形成されないことを特徴とする。
本発明者は、また、驚くべきことに、吸着した有機酸部分の高密度配向単分子層は、有機酸を用いて、本明細書中で便宜上、酸の「無秩序な状態」とも表す強制的な長距離秩序のない形態で、基板の加水分解性表面に形成されうることを発見した。理論に結びつけるまでもなく、酸源と基板の表面との間の接触界面において、基板表面に吸着する際に、酸は本発明の工程に従って吸着した単分子層を提供するときに用いられる条件下で、配向単分子層膜に自己組織化すると考えられる。本発明者は、また、驚くべきことに、被覆に原則的に空隙領域を含まない、加水分解性表面の広範囲にわたって広がる有機酸の高密度配向単分子層は、単分子層被覆のために選択された基板の表面の領域にわたって原則的に空隙のない単分子層が形成されるまで、上述した工程を繰り返すことによって提供されうることを発見した。
本発明者は、本明細書中に示される工程が、本発明のコーティングを形成する前記酸種(コーティング種)から誘導される多分子層を含むコーティングを形成する結果にならないことを発見した。理論に結びつけるまでもなく、高密度の配向した吸着単分子層を形成するために用いられるコーティング種は、吸着に続く結合の段階の間に、その吸着サイトの近隣の基板表面を「活性化する」と考えられる。理論に結びつけるまでもなく、さらに、この「活性化」は、後の処理サイクルの間、結合した単分子層コーティングを支える表面の一部分に近接した表面上に、コーティング種の選択吸着を導き、その結果、他のコーティング方法でみられる多分子層形成よりも、基板の広い領域にわたる単分子層被覆を与えると考えられる。
本明細書中に述べたように、および理論に結びつけるまでもなく、本発明のコーティング工程は、すべての加水分解性表面に、および特に酸化物を含む表面に、本発明のコーティングを提供するために適用できると考えられる。本発明は酸化物を含む表面について記述され、以下に例示されるが、同様の原理が、以下の記述と同様のプロトン移動過程によって活性化される酸化物以外の種を含む表面にも適用されうると理解されるであろう。したがって、例えばむきだしの窒化ケイ素表面は大気環境にさらされると加水分解して保護的な酸化物コーティングを形成することが知られている。このような酸化物コーティングは、本明細書中に記載される原理に従って、有機酸から誘導される本発明のコーティングが塗布されうる加水分解性表面を提供する。また、むきだしの窒化ケイ素表面は、表面が先に加水分解して酸化物表面にならないように表面がコーティング工程の間湿度から保護される場合、大気中の湿度によって加水分解される前に、同様の原理に従って本発明のコーティングが塗布されうる加水分解性表面を提供すると理解されるであろう。コーティングを誘導する酸種による加水分解を受けうる他の非酸化物表面も同様に、本明細書中に記載される本発明の原理に従って有機酸部分を含む単分子層コーティングが提供されうると考えられるであろう。
以下に基板の酸化物表面に結合した高密度単分子層を調製する工程、本発明の単分子層の提供に使用する適当な有機酸、および本発明の高密度の、配向した、表面に結合した有機酸ベースの単分子層を有する基板の調製に用いるのに適した酸化物表面を有するまたは有するように作製されうる基板について記述する。
吸着層に関して本明細書中で用いられる場合、高密度配向単分子層という用語は、配置が表面上に吸着した種の最密充填の二次元の「結晶様」配列に近づくような、単分子層を含む個々の酸種の配列を含む。
この型の充填を有する単分子層は、例えばその全体が参照として本明細書中に組み込まれる、NevesらによってLangmuir 2001,17,pp8193−8198に記載されるマイカ基板に吸着したオクタデシルホスホン酸のような、欠陥発生の少ない非常に規則的な表面に観察された。Nevesらは、マイカ表面に有機酸(オクタデシルホスホン酸)の低濃度溶液を接触させることが、表面のまばらな被覆、つまり大きな「空隙」が表面被覆に散在する単分子層被覆の「アイランド」を含む表面ではあるが、酸の組織化された単分子層領域の形態で酸種が表面上に吸着する結果になることを観察した。Nevesらは、マイカ表面の有機酸の低濃度溶液との接触が実質的に表面の巨視的領域のすべてを覆う単分子層膜を提供するときの条件を同定していない。Nevesらはまた、十分に高濃度のオクタデシルホスホン酸溶液のマイカ表面への接触は、マイカ表面上の広く分散した領域(「アイランド」)にホスホン酸の多分子層を含むドメインをはじめに堆積させることを観察した。余剰の溶液をマイカ基板の表面から除いた後(研究された特定の酸では規則性が高く欠陥の少ない、強い吸着力を有する表面)、Nevesらは、まばらに覆われた表面では、多分子層は時間がたつと再分布して、被覆されない空隙領域が散在するが、二次元の結晶様構造を有する高密度の単分子層領域を形成することを時間をかけて観察した。Nevesらは、これらの単分子層領域が拡大して、実質的に空隙を含まず、同時に表面の一部の領域に多分子層を積層せず、表面全体を覆いうることは観察していない。Nevesらは、さらに、この方法を他の基板に適用すると多分子層アイランドのみを与えることを観察した。したがって、ガラス、シリコンまたはガリウムヒ素の自然酸化物表面は、組織化されていない多分子層の吸着膜のみを与える。
分子種の二次元のアレイは、例えばK.BlodgettによってJournal of the American Chemical Society,1935(vol.57)pp.1007〜1022に記載されるような、より密度の高い液体の表面に1分子の次元の組織化された膜を形成する、より密度の高い非混和性の第2の液体種の上の第1の液体種に、配列した層を形成するのに十分な二次元の力をかけることを必要とする、古典的に形成されたラングミュア−ブロジェット単分子層にもみられる。
上述したように、強制的な長距離組織化を用いない、例えばラングミュア−ブロジェット膜の形成で提供されるような、基板表面上に組織化された単分子層を提供するための従来技術の工程は、規則性が高く欠陥の少ない表面および単分子層種のまばらな被覆に限られる。
本発明者は、有機酸部分、例えばホスホン酸部分を含む、実質的に空隙領域を含まず基板表面の巨視的領域を覆う、高密度の配向した有機単分子層は:(i)基板表面の少なくとも一部分に、有機酸種を含む吸着した高密度の配向した単分子層を形成する、および(ii)単分子層を含む種を基板表面に結合させる、を含む工程を、原則的に空隙を含まず基板の所望の領域を覆う、表面に結合した単分子層が形成されるまで繰り返すことによって形成されうることを発見した。
工程
本発明は、(a)過剰の加水分解性官能基を含む表面を有する基板を提供する;(b)複数の少なくとも1つの有機酸種を含む高密度配向単分子層膜を基板表面に吸着させ、前記薄膜はさらに、単分子層を含む多数の各有機酸種のうち少なくとも1つの酸官能基が基板表面の加水分解性官能基と会合するように配向することを特徴とする;および(c)吸着した単分子層を含む有機酸部分の表面に会合した酸官能基の大部分を、基板表面を含む加水分解性官能基に結合させるために必要な条件を供給する;を含む、少なくとも1つの有機酸種から誘導される部分を含む、基板表面に結合した単分子層コーティングを提供する。さらに、本発明の工程は、実質的に基板の選択された部分の全体が、実質的に多分子層で覆われる基板の領域がなく、および実質的に単分子層の被覆が欠ける基板の領域がない、基板に結合した単分子層で覆われるまで繰り返されてもよい。ほとんどの応用で前記工程の連続的なサイクルが高速で連続して行われ、連続的なコーティング操作が時間的におよび/または位置的に遠隔で行われうるが、本発明の範囲に含まれると理解されるであろう。また、上述のさまざまな工程段階は原則的に同時に、または時間的におよび/または位置的に遠隔で、または同じ位置で時間を隔てて行うことができ、本発明の範囲に含まれると理解されるであろう。
本発明の工程は、酸化物を含む加水分解性官能基を含む、および好ましくは基板表面の加水分解性官能基がオキシド官能基である基板表面を用いて以下に記述され、例示されるが、前記工程は他の加水分解性官能基を含む基板で行うことができ、本発明の範囲に含まれると理解されるであろう。
高密度配向吸着単分子層の提供
基板表面に結合した高密度配向単分子層を提供する不可欠な段階は、結合した単分子層が形成される有機酸種の吸着した単分子層を基板表面の少なくとも一部分に提供することである。吸着した単分子層は、さらに有機酸種の高密度の配向した配列を有することを特徴とする。好ましくは、前記有機酸種は基板に会合している酸官能基を有する。有機酸種の吸着した高密度配向単分子層(本明細書中で便宜上「高密度単分子層」とも表す)を提供するために任意の方法が用いられうると理解されるであろう。これらの用語は上記に定義された通りである。
利便性およびスケーラビリティの立場から好ましい吸着単分子層を形成する方法は:(i)コートされる基板の一部分の表面を、吸着単分子層が形成される有機酸種の低濃度溶液に接触させる;(ii)段階(i)に続けて、基板表面の少なくとも一部分の上の、高密度配向有機単分子層が脱離する条件下で、残留溶液を基板表面との接触から除去する;および(iii)残留溶液の除去の後に、または残留溶液の除去と同時に、吸着した有機酸単分子層と会合した実質的にすべての溶媒を単分子層から除去する;を含む。
このデポジション手順の段階(i)を行うための1つの方法は、以下に記述するように、低い酸濃度を有する酸溶液に表面を浸けることである。表面を浸ける1つの方法は単分子層がデポジットされる基板またはその表面の一部分を、酸のバルクの溶液に浸すことによる(ディップコーティング)。表面を浸けるもう1つの方法は、単分子層が吸着する表面または基板表面の一部分をぬらすのに通常必要な量を超える量で、多量の酸溶液を表面上に分注することである(ドロップコーティング)。例えば噴霧、フォギング、スピンコーティングなどの他の方法も基板表面を酸溶液に浸けるのに用いられうると理解されるであろう。
典型的には、基板表面を有機酸溶液と接触させた直後に、高密度配向吸着単分子層が脱離する条件下で、表面に接触している溶液の残りを表面との接触から除去する工程が始められる。以下に詳細を述べるように、表面の少なくとも一部分に吸着した酸種の高密度配向単分子層が脱離する条件下で、溶液を表面との接触から除去することが重要である。
「ディップコーティング」の工程の段階(i)は、基板を多量の酸溶液(バルク溶液)の液面の下に、酸種の吸着単分子層が塗布される基板の表面が、バルク溶液の液面を含む面(メニスカス面)に原則的に垂直に配置されるように吊るすことによって簡便に行うことができる。「ディップコーティング」の工程の段階(ii)(基板表面の少なくとも一部分の上の、高密度配向有機単分子層が脱離する条件下で、残留溶液を基板との接触から除去する)は、その後、蒸発するバルク溶液の表面のメニスカスが吸着単分子層が塗布される領域で基板表面を横切るように、バルク溶液の溶媒を蒸発させることによって簡便に行うことができる。
一般に蒸発は、基板をバルク溶液中に吊るした後、24時間以下、好ましくは約4時間以下の時間行うことが好ましい。しかしながら、溶液中の有機酸の濃度およびコートされる基板表面の酸の親和力に依存して、より長いまたはより短い時間が用いられうる。また、このコーティング方法を用いる場合、以下に詳細を説明するように、低い酸濃度のバルク溶液を用いることが好ましい。特に好ましくは、用いられる特定の酸および溶媒について、バルク溶媒を蒸発させた後吸着単分子層を塗布する間、残留溶液中の酸もまた酸の臨界ミセル濃度または飽和濃度より低い濃度であるように、酸濃度は臨界ミセル濃度または飽和濃度より十分低い濃度である(以下に議論する)。
表面を酸溶液に浸ける「ドロップコーティング」の工程の段階(i)は、コーティングが塗布される基板表面を水平に設置し、酸の単分子層が吸着する表面のその部分に溶液が「溜まる」ように、計測された量の酸溶液を表面に分注する。ドロップコーティングの工程が用いられる場合、工程の段階(ii)(基板表面の少なくとも一部分の上の、高密度配向有機単分子層が脱離する条件下で、残留溶液を基板との接触から除去する)は、ガス流、例えば窒素を、基板表面を横切って有機酸の単分子層が吸着する領域に向け、ガス流が表面を横切るガス/溶液界面をもたらし、徐々に表面から残留溶液を流し去るように、ガス流を表面に流すことによって簡便に達成されうる。
余剰のコーティング溶液を基板表面との接触から除去するためのこれらの2つの方法のどちらかの使用は、また、段階(iii)、原則的に余剰溶液の基板表面と接触からの除去と同時に、吸着した単分子層と会合した実質的にすべての溶媒の蒸発、も達成すると理解されるであろう。例えば:(i)表面を過剰な有機酸溶液であふれさせる;(ii)基板の回転速度を上げて余剰溶液を機械的に振り払うことによって、余剰溶液を表面との接触から除去する;および(iii)回転している表面に向けたガス流によって溶媒をとばす、を含むスピンコーティング工程などの他の方法も、有機酸種の吸着した高密度配向単分子層の塗布に用いられうると考えられるであろう。他のコーティング方法も当業者に知られている。
本発明者は、本明細書中に記載された原理に従って表面に残った余剰溶液を除去しない単純なバルク溶液のディップコーティング、または、ドロップコーティングとその後の「溜まった」溶液の基板表面からの単純な蒸発は、一般に、結果的に基板表面上に高密度の配向した吸着した有機酸種の単分子層を形成しないことを観察した。したがって、以下に記述する原理に従って溶液を表面との接触から除去せずに、酸溶液を用いた吸着酸層を提供することによる基板表面に結合した有機層を提供する試みは、規則性のない有機多分子層が提供されるだけの結果になる。
残った酸溶液を表面との接触から除去するための上述の方法に共通する1つの性質は、これらの方法は、酸の吸着単分子層が提供される基板表面の一部分を、基板表面と酸の吸着単分子層をデポジットする酸溶液の表面とを含む界面で横切らせるなんらかの方法を用いていることである。理論に結びつけるまでもなく、上述の原理に従って酸溶液が表面に接触するとき、基板表面と酸溶液表面との接点で界面が形成されると考えられる。上述したように、このような界面の例は、基板表面と、蒸発するときのバルク溶液の表面との間の接点である。このような界面の他の例は、水平に配置した基板表面上に存在する「溜まった」溶液のエッジでの接点である。さらに、再び理論に結びつけるまでもなく、溶液の表面と基板表面との間の界面で、溶液に溶解した酸種は、そこから本発明の高密度配向単分子層がデポジットされる配向した凝集体に自己組織化すると考えられる。したがって、酸溶液を基板表面上の吸着単分子層を提供するために用いる工程に、酸を自己組織化させ表面に酸の単分子層を形成させるように、基板表面を基板表面/溶液表面の界面でゆっくりと横切らせることで基板表面から残りの溶液を除去するための任意の処理を用いることができると理解されるであろう。このように酸溶液の表面と基板表面との間の接点で基板表面をゆっくりと横切らせることを用いた、高密度配向吸着単分子層のデポシションは、本明細書中で便宜的に酸溶液メニスカスを基板表面を横切らせる、とも表す。
本発明者は、上述の単純な「ディップ」コーティングを用いた場合、典型的には1回のデポジション操作は表面の約90%の高密度配向単分子層での被覆を提供することを発見した。1回の操作で提供された吸着単分子層を結合させることによって、および当該基板上で「ディップ」コーティング操作を繰り返すことで、被覆された表面領域を増大させることができる。このようなディップコーティングおよび結合のサイクルは、実質的に表面全体が有機単分子層で覆われるまで繰り返されうる。場合によっては、酸種の濃度を高くして1回の塗布で高度な被覆が得られる。例えば本明細書中に記載されるように、溶液の凝集もしくは溶解性の問題のためにそれが実用的ではない場合、または表面が酸種を、もしくは高濃度の酸種に攻撃されても、弱くしか吸着しない場合、本発明者は、「ディップ」コーティング操作の繰り返しサイクルでは非常に低い濃度に酸種を用いて、広い表面領域にわたる実質的に完全な単分子層表面被覆を提供できることを発見した。
本発明に従って提供されたコーティングの改善された表面被覆を実証するために、従来技術によって調製された単分子層膜を、例えば原子間力顕微鏡のような表面プローブ顕微鏡技術を用いて調べると、膜の完全な領域、すなわち被覆膜が欠けている領域を含まない表面の被覆は、ナノメートルのオーダーのサイズを有する。本発明者は、驚いたことに、本発明の工程によって調製された膜では、結合した単分子層の厚さを測るためのピンホール欠陥を見つけるためにさえ、有機単分子層膜を数十ミクロンの範囲にわたって調べなければならないことを発見した。
上述したように、高密度配向吸着有機単分子層を提供するために溶液法が用いられる場合、「低い」または「臨界ミセル濃度より低い」酸濃度を有する溶液が好ましく用いられる。「臨界ミセル濃度」の用語は、Kozo Shinodaによって、Solvent Properties of Surfactant Solutions,(1967),Marcel Dekker,Inc.N.Y.,Part 2,chapter 3,“Solvent Properties of Nonionic Surfactants in Aqueous Solutions”,page 42.に議論されている。溶液中の種の臨界ミセル濃度(CMC)は溶解した種がミセル構造を形成するのに十分な濃度レベルを表す。したがって、CMCより低い濃度では、溶解した種は溶媒「シェル」に囲まれた単分子の種として存在し、CMCを超える濃度では、溶解した種は溶液中でミセル「ドメイン」中に凝集する。Nevesらによって観察されたように、上述の議論のように、表面の、凝集した構造、すなわちミセルおよび二分子層を含む溶液との接触は、表面に接触した溶解した材料の多分子層を与える。したがって、吸着単分子層を提供するために酸溶液を使用する本発明の工程では、臨界ミセル濃度より低い酸濃度を有する溶液を用いることが好ましい。
酸と溶媒との組み合わせによっては、酸が溶媒に対して溶解度が低すぎて、例えば二分子層などの構造を溶液中で形成しはじめる点に達するのに十分な濃度の溶液を提供できないことが理解されるであろう。知られているように、溶解した種の濃度が溶液の飽和点を超えると、種は結晶の形態で沈殿しはじめる。従って、利便性の立場から、本発明の工程において溶解度の低い酸種と溶媒が用いられた場合、溶質の飽和点より低い酸種の濃度を有する酸溶液を用いることが好ましいと理解されるであろう。したがって、本明細書中で用いられる場合、酸の「低濃度」の用語は、上述の議論を考慮して、特定の酸および溶媒に適した、用いられる溶媒中の酸の飽和溶液より低いか、または酸溶液の臨界ミセル濃度より低い濃度を意味する。以下に詳細に説明するように、本発明の実施形態である溶液法に従って吸着した配向高密度有機単分子層を提供する目的のためには、酸の溶解度の低い溶媒を選択することが好ましい。
基板表面に吸着単分子層を提供するための前記溶液法においては、酸種の溶液中での溶解度も考慮しなければならない。一般に、単分子層を含む酸種が表面に対してよりも低い親和力を有する溶媒を用いることが好ましい。したがって、酸種の溶解度が高く、そのため基板表面から酸の吸着単分子層を溶離しうるような溶媒はどれも好ましくない。理論に結びつけるまでもなく、酸種がほとんど溶けない、または溶解度の低い溶媒の選択は、これらの用語を実施方法で用いたように、例えば上述のような溶液法が用いられる場合、高密度配向吸着単分子層の基板表面への提供を助ける。基板表面の、酸種および前記酸種の溶解度の低い溶媒を含む溶液との接触において、前記酸の表面に対する親和力が、酸が基板表面上の高密度配向吸着単分子層に自己組織化する駆動力を提供しうると考えられる。
ある酸種の基板表面に対する吸着親和力を支配する原理に従って、酸の高い溶解度を有する溶媒、および好ましいものとして上記に示したものを超える酸濃度もまた、基板表面上に吸着した高密度配向単分子層をデポジットするのに用いられうると理解されるであろう。理論に結びつけるまでもなく、上述から外れる濃度および/または溶媒の条件は、有機酸種と酸の吸着単分子層がデポジットされる基板表面との相互作用が、有機酸種の凝集体のデポジションよりも酸種の単分子層のデポジションを促すほうが十分にエネルギー的に有利である場合、および/またはデポシットされた種と溶解した種との間の平衡がデポジットされた種が有利になる場合、用いられうると考えられる。したがって、デポジション工程の間に吸着した酸種が溶液中に再溶解することが不利になる、および/または表面上への凝集体のデポジションが不利になる、および/または表面に吸着した任意の酸凝集体の単分子層への再分布が有利になる条件は、上述の好ましい条件から外れる条件を用いることを許容し、本発明の工程の範囲内である。
吸着単分子層の基板との結合
本発明の工程において、基板表面に有機酸を含む高密度配向吸着単分子層を提供した後、吸着単分子層の提供から時間的に遠隔、または吸着単分子層の形成と同時でありうる結合させる段階において、前記層は基板表面に結合される。結合させる段階は、単分子層が吸着した領域で基板表面と化学的に結合した単分子層を与える。
理論に結びつけるまでもなく、基板表面が酸化物である場合、吸着単分子層を含む有機酸種の表面に会合した酸官能基と、基板の酸化物表面との界面からの水の発生は、吸着した有機酸種と基板の酸化物表面との間の結合を形成するのに不可欠であると考えられる。このため、吸着単分子層を含む有機酸種と基板表面との間の結合を形成するために必要な条件を提供するための1つの方法は、基板および吸着単分子層を加熱することによる。簡便には、100℃を超える温度のオーブンに、吸着単分子層を含む実質的にすべての酸種に基板の酸化物表面との結合を形成させるのに十分な時間、基板および吸着単分子層を設置することによって達成されうる。吸着単分子層および基板表面を含む界面領域の十分なエネルギーを供給する他の方法、例えば放射加熱およびマイクロ波照射を用いてもよいと理解されるであろう。
結合した有機酸種ベースの単分子層の形成は、自然酸化物基板上に物理吸着および化学吸着した水の表面積密度に依存しないと理解されるであろう。実際、本発明の工程およびそれによって提供される単分子層の1つの利点は、単分子層の被覆表面積、すなわち本明細書中で便宜的に表面結合種密度とも表す、単位表面積あたりの表面結合種のモル数は、基板の自然表面上の通常の活性種の密度に関係しない。本発明のこの実施形態は、基板表面の選択された領域に原則的に空隙のない単分子層を塗布できるようにする。有機酸ベースの結合した単分子層による基板表面の巨視的領域の完全な被覆は、上述の工程の段階を繰り返すことによって達成されうる。つまり、完全な単分子層被覆が達成されるまで、有機酸種の吸着した高密度配向単分子層を提供し、その後吸着単分子層を含む有機酸種と基板の酸化物表面との間の結合を形成させることである。
上述したように、酸化物以外の表面を有する基板もまた、基板表面が有機酸によって加水分解されうる過剰の官能基を含む場合、および表面が有機酸を含む高密度配向吸着単分子層の塗布のために処理されている場合、本発明に従って有機単分子層コーティングが提供されうる。このような表面の一例として、上述したようにむきだしの窒化ケイ素セラミック表面が挙げられる。他の基板表面も当業者に知られている。
有機酸
基板の自然酸化物表面に結合した有機酸ベースの単分子層の提供は、上述の工程で有機酸種の使用を必要とする。本明細書中で用いられる場合、有機酸種の用語はホスホン酸(−PO)、カルボン酸(−COH)、およびスルホン酸(−SOH)から選択される少なくとも1つの酸官能基並びにそれに結合する有機部分を含む部分を有する分子を含む。好ましくは有機酸がホスホン酸およびカルボン酸官能基を含み、有機酸がホスホン酸を含む場合が最も好ましい。酸官能基に結合した有機酸部分はヒドロキシル、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸、アミノ、アルキル、エーテル、およびチオール官能基からなる群から選択される1以上のさらなる官能基で置換されてもよい。
一般に、本発明に従う有機層の提供に用いられる酸は、約2〜約40の炭素原子を含む有機部分を含むことが好ましく、より好ましくは約2〜約20の炭素原子を含む有機部分を含む。より好ましくは、酸が基板表面に吸着されたときに最密充填配置に加わるように処理された有機部分を含む酸である。
二官能性のまたは多官能性の部分が用いられた場合、官能基のうち少なくとも1つが表面に最も強い親和力を有する官能基とジ−ターミナル(di−terminal)の関係であるような、有機部分上の処理された官能基を有することが好ましいと理解されるであろう。このように、複数の有機酸種を含む単分子層は、基板表面に会合した1つの酸官能基を有する基板表面上に吸着するとき、第二の酸官能基を基板表面から遠くへ向けさせ、したがって第二の酸基は接近しやすくなりさらなる化学反応に関与する。
適当な有機部分は、芳香族、複素環式芳香族、並びに飽和および不飽和アルキル部分を含む脂肪族部分から選択される。さらに、有機部分はさらなる脂肪族または芳香族部分および1以上の官能基で置換されてもよい。脂肪族部分は直鎖、分岐、または環状であっても、飽和または不飽和であってもよい。芳香族部分は、例えばビフェニルなどのオリゴマーの化合物、例えばセキシフェニレンなどの直鎖フェニレン、例えばペンタセンおよびアントラセン並びにその複素環アナログなどの多環融合芳香環系、などのポリマーの化合物を含んでもよい。複素環式芳香族部分は、例えばピロールおよびチオフェンなどのモノマーの部分、並びに、例えばオリゴチオフェン、例えばクォーターチオフェンおよびセキシチオフェンなどのオリゴマーおよびポリマーの複素環部分を含んでもよい。
好ましい有機部分は、約2〜約40の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキル部分を含み、さらにヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、カルボキシレート官能基、ホスホン酸官能基、ホスホネート官能基、エーテル官能基、およびチオール官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されてもよい(したがって本発明の有機単分子層が調製される二官能性または多官能性の酸を提供する)。また、好ましくは置換および非置換のペンタセン、置換および非置換のアントラセン、並びに置換および非置換のチオフェンおよびポリチオフェン、並びに置換および非置換のキシレンからなる群から選択される有機部分である。
さらに好ましくは、電子受容体および供与体分子として知られているTCNQおよびTTFの誘導体に基づく有機部分であり、その構造を以下に構造Iとして表す。知られているように、TCNQおよびTTFは典型的には有機導電体の提供のための部分構造として用いられる。
Figure 2006517463
電子受容体特性が変化したTCNQの分子誘導体が知られており、例えばその全体が本明細書中に参照として組み込まれる、Yamashita et al,.Journal of Materials:Chemistry,(1998),8(9),pages 1933−1944に記載されている。これらの既知のTCNQは、例えば塩素およびフッ素などの電子吸引性置換基の置換を含み(構造Iに関して、構造上の位置が「e」で表される)、電子受容体としての特性を向上させる。さらに、その代わりにまたはそれに加えて、TCNQはシアノ基で占有された位置を電子吸引基で置換してさらにその電子受容特性を向上させることができることが知られている。
また、電子供与特性が変化したTTF誘導体化合物も知られている。このような分子は、例えばその全体が本明細書中に参照として組み込まれる、Hasegawa et al.,Synthetic Metals(1997),86,pages 1801−1802に記載されている。記載されているように、TTFも、構造Iに関して、「e」で表される位置を電子供与基で置換してその電子供与特性を向上させることができる。
これらのよく知られた原理にしたがって、および上述したように、本発明の有機層の調製に使用される有機酸を含む酸部分の他の群は、TCNQもしくはTTF分子またはこれらの1以上の誘導体に基づく有機部分を含むものである。一例を、構造IIに示す。構造IIはTCNQ誘導体構造に基づく有機部分(括弧で示す)を含むホスホン酸を含む。
Figure 2006517463
上記のホスホン酸誘導体はTCNQ基本構造を含み、ピリジルホスホン酸官能基がTCNQ親化合物のシアノ基の1つを置換している。理解されるように、および上述の議論に従って、この誘導体は構造IIの構造の「e」で表される位置のうち1からすべてを置換する電子吸引基を有してもよい。さらに構造式IIのホスホン酸の任意の残りのシアノ基は、さらにまたはその代わりに、電子吸引基で置換されてもよいと理解されるであろう。また、上記のホスホン酸が他の酸で置換されてもよく、さらなる酸基が構造IIのホスホン酸に付加されてもよいと理解されるであろう。例えば、TCNQのジホスホン酸誘導体が、その全体が本明細書中に参照として組み込まれる、Katz,H.E.,and Schilling,M.L.,Journal of Organic Chemistry,(1991)56,pages 5318−5324に報告されている。Katzのビスホスホン酸分子(上記の構造IIに関する)においては、アスタリスクで示されたシアノ基(構造IIに示すように、右上のシアノ基)は第二のピリジルホスホン酸官能基で置換され、対称なビスホスホン酸を提供する。本発明の有機単分子層が調製されうる多くの他の変化および修飾が可能であると理解されるであろう。
同様に、例えばピリジルホスホン酸などの酸官能基の、構造Iに示したTTF構造の「e」で表した位置の1以上への付加が、本発明のコーティングの調製に有用な電子供与性を有する有機酸を提供することは明らかであろう。したがって、TCNQおよびTTF親化合物から調製される有機導電体に類似した導電性を有する、2つの種の混合物を有する膜も調製されうると理解されるであろう。TCNQおよびTTF親化合物の両方の他の有機酸誘導体が当業者に知られている。
また、好ましくは、ホスホン酸は、ニトロフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、置換および非置換のアントラセンホスホン酸、置換および非置換のペンタセンホスホン酸、置換および非置換のクウォーターチオフェンホスホン酸、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸、置換および非置換のキシリルホスホン酸、約2〜約20の炭素原子を含む炭化水素部分を有するオメガ置換ホスホン酸でありオメガ置換基がそれぞれ独立にカルボン酸、ヒドロキシル、アミノ、ホスホン酸、エーテル、ポリエーテル、およびチオール官能基からなる群から選択される;からなる群から選択される、並びにこれらの酸の2以上の組み合わせである。
さらに、好ましくは、カルボン酸は、約2〜約40の炭素原子を有するアルキルカルボン酸、サリチル酸、並びに置換および非置換のアルキルサリチル酸、安息香酸、並びに置換安息香酸からなる群から選択され、前記置換基が、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、およびヒドロキシル、アミノ、カルボン酸官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換されてもよい、直鎖または分岐の、置換または非置換の、約2〜約20の炭素原子を有するアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
また、上述した2以上の有機酸種の混合物が、基板に対する親和力および充填配置を考慮してそれらが適合する範囲で、本発明の工程に用いられうると理解されるであろう。
基板表面
本明細書中に記述したように、本発明は基板表面に複数の有機酸種を含む単分子層を結合させる方法である。適当な基板は、金属特性、導電性、半導体特性、および絶縁性(これらの用語は例えば、その全体が本明細書中に参照として組み込まれるWest,Basic Solid State Chemistry,second edition,John Wiley&Sons,New York,pp.110−120に定義される)を有する材料から選択される。本発明の工程での使用に適した基板の例として、特に制限されないが、自然酸化物表面を有する材料、すなわち酸化物を含むまたは大気環境にさらされて自然酸化物を形成する、が挙げられる。酸化物材料の非制限的な例として、シリカおよびアルミナなどのバルク金属酸化物、インジウムがドープされた酸化スズおよび亜鉛/インジウムがドープされた酸化スズのような導電性酸化物、並びに集積回路のゲート絶縁材料の低誘電率ガラスのような酸化物絶縁体が挙げられる。大気にさらされて自然金属酸化物表面を形成する材料の非制限的な例として、例えばチタン、チタン合金、アルミニウム、およびアルミニウム合金などの、大気環境にさらされて融除しない酸化物コーティングを堆積する金属が挙げられる。大気にさらされて自然酸化物層を堆積する材料のさらなる例として、窒化ケイ素などのセラミック材料、シリコンなどの半導体が挙げられる。また、本発明のコーティングの塗布に適するのは、例えば半導体素子の厚膜酸化物絶縁体のような、意図的に与えられる酸化物コーティングを有する材料、並びに、例えばガリウムヒ素、窒化ガリウム、および炭化ケイ素のような酸化物表面から誘導されうるものである。また、本発明の結合した単分子層を提供するための使用に適するのは、加水分解を受け、並びにカルボン酸またはホスホン酸官能基に対する吸着親和力を有し、したがって上述したように本発明の工程を用いて表面に結合しうる官能基を含む有機酸種の高密度配向単分子層の吸着を許容する、特に制限されないが、例えば窒化ケイ素などのむきだしの表面である。
特に好ましい基板は、生体組織もしくは流体に接触させるための電子的または機械的素子の調製に有用な基板である。電子素子の調製に有用な基板の一例として、インビトロおよびインビボの診断並びに条件のモニターに適した生体電子センサーに用いられるゲート接合上の厚膜酸化物絶縁層が挙げられる。機械的素子の調製に有用な表面の一例として、生体内移植で骨組織の修復に有用なチタン補強剤などの移植材料が挙げられる。
上述したように、適当な表面にはシリコン単結晶表面などの半導体基板の表面が含まれる。適当な表面にはまた、例えばチタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金などの金属並びにシリコンなどの多結晶性基板の表面も含まれる。また、例えば酸化物導体または酸化物絶縁体の表面のような非晶質基板の表面も含まれる。酸化物導体の例としてはFe、導電性のためにインジウムおよび/または亜鉛をドープした酸化スズ、導電性のためにアルミニウムをドープした酸化亜鉛、酸化亜鉛、並びにTiOおよびVOなどの半化学量論的酸化物が挙げられる。
また、好ましくは、例えば窒化ケイ素および炭化ケイ素などのセラミック基板、並びに、例えばゲルマニウムおよび半導体性ゲルマニウムベースの化合物などの半導体である。
酸化物基板表面が用いられる場合、一般に酸化物表面を、残留金属および有機物を除去するために表面を洗浄することで、一般には酸化処理の後、水でリンスすることで、単分子層のデポジションに備えなければならない。例えば単結晶または多結晶シリコンウエハー表面などの、このような処理に対して安定な表面では、ウエハー上に集積回路を微細加工する前にシリコンウエハーを洗浄するために典型的に行われる方法で、前記表面は標準的な過酸化水素/硫酸の「ピラニア」溶液で処理され、その後水でリンスされ、標準的な過酸化水素/塩酸の「バザード」溶液で2回目の処理が行われうる。一般に、本発明の工程は、塩基種、ゼロ原子価金属、および残留炭化水素種がない酸化物表面で最良の結果を与える。しかしながら、例えば酸化物導体などの、半導体の標準の厳しい洗浄ができない表面でも、本発明の工程はなお、基板の酸化物表面とよい表面コンフォメーションを示す単分子層を提供する。特定の表面に対して、これらの表面に典型的な不要な種を除去するために適用できる他の洗浄方法が、当業者に知られている。
実施例
本発明は加水分解性表面に広く適用できるが、以下の実施例は、ホスホン酸またはカルボン酸ベースの有機層の単分子層を、単結晶シリコン基板、チタン合金基板、およびインジウムをドープした酸化スズ基板の酸化物表面上へのデポジションを示す。実施例は本発明の工程およびそれによって形成される膜の例示を意図するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。以下に例示する材料および工程段階に多くの修正が可能であり、それらがなお本発明の工程および膜の範囲内であることが理解されるであろう。
実施例1.シリコン基板上へのホスホン酸のデポジション
シリコン基板を用いる実施例の全てにおいて、基板は以下のように準備した。単結晶シリコン(100)の研磨した12インチウエハー(ユニヴァーシティ ウエハー(University Wafer)の在庫品)は切り込みを入れて割ることによって正方形のクーポンに切り分けた。クーポンは約0.55mmの厚さ(ウエハーの厚さ)を有し、およそ平行な2組の各8mm長さの辺、および、したがって2つの64mmの正方形の面を有する。はじめに硫酸/過酸化水素溶液(濃(95〜97%)HSO水溶液:30%Hが1:3 v/v、本明細書中で便宜上ピラニア溶液ともいう)でクーポンを約15分間煮沸して、わずかな金属および有機物をクーポンから除去した。ピラニア溶液で処理した後、クーポンを約6〜7回脱イオン水の流水でリンスした。リンスした水を合わせた全体積は約140mlであった。リンスの後、塩酸/過酸化水素溶液(32%HCl水溶液:30%Hが1:1 v/v、本明細書中で便宜上「バザード」溶液ともいう)でクーポンを約15分間煮沸した。バザード溶液で処理した後、クーポンを約6〜7回、18.2メガオームの脱イオン水の流水(全体積は約1リットル)でリンスし、約10mTorrの真空下で少なくとも24時間乾燥した。
実施例の全てにおいて、ホスホン酸ベースの単分子層のシリコン基板の酸化物表面上へのデポジションは、選択されたホスホン酸を含む単分子層を基板の0.5cmの面に吸着させ、その後基板および吸着単分子層を加熱して、基板表面を含むオキシド官能基と吸着単分子層を含むホスホン酸種との間の結合を形成させることによって行った。
全ての実施例で、以下の操作を吸着したホスホン酸ベースの単分子層を基板表面に塗布するために用いた。上述のように準備したシリコン基板のクーポンを、深く口径の狭いビーカー(トールビーカー、一定の酸溶液の体積で酸溶液が比較的長い柱状になる)に入れたホスホン酸溶液中に基板を吊るすために設計されたホルダーに設置した。酸溶液に浸したクーポンを保持し、並びにクーポンの2つの辺および64mmの面がホスホン酸溶液の表面メニスカスを含む面(メニスカス面)に実質的に垂直に向くようにホルダーを設置する。選択されたホスホン酸の溶液は、以下に示す濃度で、秤量した酸をテトラヒドロフラン(THF、市販品、テクニカルグレード溶媒、使用前にベンゾフェノンナトリウムから蒸留)に室温で溶解させて調製した。
約40mlの体積のホスホン酸溶液を50ml容量のトールビーカーに入れた。ホルダーを用いて、基板の最上端の辺が溶液のメニスカス面より下に浸されるように基板をビーカーの中に吊るした。クーポンを溶液に浸した後すぐに、溶媒をビーカーから蒸発させて溶液の体積を減らし、溶媒の蒸発にしたがってホスホン酸溶液のメニスカスが、吊るされたクーポンの面(基板表面)を横切るようにした。残留溶液のメニスカス面がクーポンの下端より下に位置するまで大気条件下で蒸発を行った。上述のように、蒸発させてクーポンの表面を酸溶液のメニスカスで横切らせるために必要な溶媒の量を最小にし、したがって基板表面へのホスホン酸の吸着単分子層のデポジションの間のビーカーの中の酸溶液の濃度変化を最小にするためのバルク溶媒の容器としてトールビーカーを選択した。溶液の調製に用いた酸の量は、蒸発させる段階の後でも、残ったバルクの酸溶液が溶液の飽和濃度より低い酸濃度を有するように選択した。例えば、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸のデポジションの場合、初期濃度0.1mMのTHF溶液を調製した。蒸発させた後、残留溶液は33%の濃度の増加があり、これは室温で見積もられるTHF中の当該酸の飽和濃度である約25mM〜約50mMよりも低い。
上述の手順に従って、吸着したホスホン酸単分子層を有する多くのシリコンクーポンを調製した。各デポジションで、吸着単分子層の調製に用いた酸および溶液中の酸濃度を表Iに示す。
Figure 2006517463
酸の吸着単分子層を基板に吸着させた後、各クーポンを約130℃で動作する対流式オーブンに入れて約48時間加熱した。48時間後クーポンをオーブンから取り出し大気中で室温まで冷却した。その後、吸着したまたは多分子層に凝集した物質を超音波槽(ブランソン(Branson))で超音波洗浄によって除去するために、以下の手順に従ってクーポンを処理した。
11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸に基づく有機単分子層を約30分間、約50℃に加熱したトリエチルアミン/エタノール溶液中で超音波洗浄した。他の単分子層種で調製したクーポンは、0.5M炭酸カリウム溶液(2:1 v/v エタノール/水、本明細書中で便宜上「炭酸リンス溶液」とも表す)中で室温で約20分間超音波洗浄した。長時間の超音波洗浄(すなわち2時間またはそれ以上の時間の超音波洗浄)はシリコン基板をエッチングしうることがわかった。したがって、クーポンの保護されていない辺の切り込みによってシリコン基板表面から有機単分子層が除去されることを防ぐために、炭酸リンス溶液中での過剰な時間の超音波洗浄は回避する。
単分子層で被覆した基板の調製に用いられる表Iに列記したそれぞれの酸種について、列記したホスホン酸に基づく基板を有するクーポンを、基板表面との結合の性質、基板に結合した層の厚さ、および層を含む種の配向を調べるために分析した。平行して(後述する)表面に結合した後で有機単分子層を含む種の充填密度を決定するために、特別に調製した水晶振動子マイクロバランスの研究も行った。
有機単分子層中で基板に結合した官能基を調べるために、上述の手順に従って調製した高密度有機単分子層を有するクーポンを、正反射率赤外分光によって(IR、Surface Optics Corp.製反射率ヘッドを装着したMidac Model 2510分光光度計)既知の手順に従って分析した。各サンプルで行われたIR分析によって、基板の酸化物表面のオキシド官能基と吸着単分子層の構成要素のホスホン酸官能基との間の結合が生じていることが確かめられた。基板に結合した有機層の厚さを決定し、基板に結合した有機層の単分子層特性を調べるために、上述の手順に従って調製したクーポンをさらにX線反射率法および原子間力顕微鏡で測定した。
シリコン基板上の高密度有機単分子層の原子間力顕微鏡測定
基板上の有機単分子層の原子間力顕微鏡(AFM)分析は、シリコンチップ(ナノデバイセズ メトロジー プローブス(Nanodevices Metrology Probes)、共鳴周波数:300kHz、ばね定数:40N/m)を装着したデジタル インスツルメンツ マルチモード ナノスコープ IIIa SPM(Digital Instruments Multimode Nanoscope IIIa SPM)を用いてタッピングモードで行った。
X線反射率測定
X線反射率測定は、国立シンクロトロン光源(National Synchrotron Light Source,NSLS)で、ビームラインX10bを用いて波長λ=0.087nmで行った。測定は反射率モード(Θ〜2Θ)で行い、面法線に沿った運動量移動q(q=4π/λsinΘ)を得た。NaI検出器を用いた。試料スリットを0.6mmにセットし、検出器スリットを0.8mmにセットした。バックグラウンドレベルを調べるためにロッキングスキャンを行った。試料を横向きに固定することによって、入射ビームを試料以外の物質から隔離した。膜の分析は空気中で行った。Parrattの式(動的散乱)に基づくフリープログラムを用いてデータを解析した。
実施例1〜3のそれぞれで調製された膜のAFMおよびX線分光法のデータを以下の表IIに示す。α−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸の場合、X線分析によって、基板表面にデポジットされた高密度有機単分子層の表面粗さが、下の基板表面の単分子層のデポジションの前の表面粗さを超えないことも確かめられた。これは本発明の単分子層が高度な表面コンフォメーションを示すことを意味する。
Figure 2006517463
表IIのこれらのデータは、単分子層は任意の実施例のホスホン酸種を用いて形成することができ、一般に前記単分子層は、基板表面に垂直方向からわずかだけ傾いた、有機単分子層を含むホスホン酸種の配向を示すことを表す。
水晶振動子マイクロバランス充填密度測定
上述した手順に従って調製したホスホン酸ベースの表面に結合した単分子層種の密度を、シリコン基板のかわりにシリコン電極搭載水晶振動子マイクロバランスを用いて手順を繰り返すことによって測定した。これらの結晶のモデル酸化物表面としての使用、および表面結合種による結晶の質量増加の測定における使用は、その全体が参照として本明細書中に組み込まれる、Gawalt et al.,Langmnir 2003,Vol.19,pp200−204に詳細に記載されている。上述のデポジション手順を、0.05mMのオクタデシルホスホン酸/THF溶液または0.0025mMのα−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸/THF溶液を用いて追った。各処理サイクル(高密度のホスホン酸ベースの単分子層の吸着およびその酸化物表面官能基との結合)の後、結合した高密度のホスホン酸ベースの単分子層を含む結晶を、「炭酸リンス」溶液のフラッシング流で、その後脱イオン水の水流でリンスした。次いで結晶を約10mTorrの真空下に約2時間置き、残った水分を結晶から蒸発させた。このリンスおよび蒸発のサイクルを、連続するサイクルの後で、全ての多分子層種が表面から除去されたことを意味する一定の振動数を結晶が示すまで繰り返した。このように調製した結晶を用いてマイクロバランス測定を行った。それぞれのマイクロバランス測定の後、漸近線が質量増加に達するまで結晶に再び処理サイクルを施した。水晶振動子の酸化物表面に結合した高密度有機単分子層を含む表面結合種の密度を以下の表IIIに示す。
Figure 2006517463
表IIIのデータは、オクタデシルホスホン酸ベースの単分子層が約18.5平方オングストローム/単分子層を含む分子単位に対応する充填密度をもつことを示す。これは脂肪族材料の脂肪族鎖の最密充填の結晶でみられる値とおよそ一致する。表IIのデータは、また、α−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸ベースの単分子層が約25.1平方オングストローム/単分子層を含む分子単位に対応する充填密度をもつことを示す。これは結晶性α−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸でみられる値(23.4〜25.6平方オングストローム/分子単位)とおよそ一致する。最後に、表IIのデータは、また、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸ベースの単分子層が約20.5平方オングストローム/分子単位に対応する充填密度をもつことを示す。この値はマイカ表面に吸着したオクタデシルホスホン酸の高密度単分子層の充填密度として報告されている値と同等である。これらのデータは前記単分子層が基板表面上に高密度の充填配置を有することを示す。上述したように、マイカ上のオクタデシルホスホン酸のまばらな単分子層吸着について報告された充填は、マイカ以外の表面でのオクタデシルホスホン酸の吸着ではこれまで観察されなかった。
比較例A−バルクのα−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸溶液を用いたシリコンの処理
α−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸の0.1mMTHF溶液を上述のように調製した。上述のように準備したシリコン基板クーポンを前記溶液に室温で3日間浸した。その後上述の手順にしたがって前記クーポンを前記溶液から取り出しリンスした。リンスしたクーポンを上述のように加熱した。有機層の形成はみられなかった。
上述のように調製したα−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸溶液100mlを60℃に加熱した。上述のように準備したシリコン基板クーポンを加熱した加熱した酸溶液に14日間浸した。この期間の後、上述の手順に従って前記クーポンを前記溶液から取り出し、乾燥させ、オーブンで加熱した。続けてデポジットされた有機層をAFMで分析し、有機層が調製に用いたα−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸から誘導されたホスホン酸部分の多分子層を含むことが示された。
次の一連の実施例はオメガ官能基を有するホスホン酸に基づく本発明の高密度有機単分子層のさらなる誘導体化を例示する。
実施例4−シリコン基板に結合した高密度有機単分子層のペプチド誘導体化
本実施例では、上述の実施例1Aの工程に従う、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸に基づく高密度有機単分子層を有するシリコン基板を、単分子層を含む構成要素種に存在する末端ヒドロキシル官能基を用いて有機層に生体分子を付加することによって、さらに誘導体化した。ヒドロキシル官能基をマレイミド誘導体エステル(すなわち3−マレイミドプロピオン酸エステル、本明細書中で便宜上「誘導体エステル」とも表す)への変換によって誘導体化し、誘導体エステルをテトラペプチドArg−Gly−Asp−Cys(RGDC)のシステイン残基と反応させ、表面に結合した有機単分子層に、チオールエステル官能基を介して結合したテトラペプチドを得た。本実施例で用いたRGDCペプチドは、システイン残基をC−末端で付加することによって誘導体化したフィブロネクチンRGD含有細胞結合ペプチドであり、市販されている(アメリカンペプチド(American Peptide))。
結合したペプチドを導く一連の誘導体化反応は、以下の手順に従って行った。実施例1A(上述)に従って調製した、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸を用いて調製した高密度有機単分子層を有するクーポンを、無水条件下で、3−マレイミド(プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシニミド)エステルの、徹底して乾燥させたアセトニトリルで調整した1mMアセトニトリル溶液15mL中に設置した。溶液を無水条件下で保持し、室温で24時間クーポンを溶液中で撹拌した。その後クーポンを大気条件下で溶液から取り出し、ブランソン(登録商標)超音波槽で、アセトニトリルで3回超音波洗浄することによってリンスした。上述の手順に従ってIR分析を行い、基板表面に結合した有機単分子層を含むホスホン酸部分の末端のヒドロキシル基は、かなりの程度で、誘導体エステル付加体に変換されたことが示された。
15mLの2回蒸留したミリポア(Millipore)(商標)ろ過した水に、上述のRGDCペプチド10mgを含む溶液を調製し、0.05MのNaOH水溶液を用いてpH6.5に調節した。上記で調製した誘導体エステル付加体を有する有機単分子層を含むクーポンをRGDC溶液中に設置し、室温で約24時間撹拌した。クーポンを溶液から取り出し、2回蒸留した水で超音波洗浄することによってリンスした。クーポンを真空ラインに移し、真空(約10mTorr)で24時間乾燥させた。上述の手順に従ってFTIR分析を行い、RGDCペプチド表面のシステイン残基のメルカプト基が、有機単分子層に結合した誘導体エステル付加体とチオールエーテル結合を形成していることが示された。これはマレイミド誘導体エステルのカルボニル領域の変化およびカルボン酸領域(〜1700cm−1)のブロードニングから明らかになった。これらのIRの特徴は、2回の溶媒でのリンスの後でも残存することがわかり、クーポンに結合したRGDCテトラペプチドの存在が示された。
上述のように調製したRGDC誘導体化シリコンクーポンを生きている細胞に接触させ、表面が細胞の増殖および表面への接着を促す能力を決定した。以下の細胞を接触試験に用いた:
(a)ヒト胎児骨芽細胞(HFOB 1.19;ATCC)を、ハムF12とダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)との1:1混合物、フェノールレッド不含、(ギブコ ビー アール エル(GIBCO,BRL))、10%ウシ胎仔血清(ハイクローン ラボラトリーズ(Hyclone Laboratories))、および0.3mg/mlのG418 ジェネティシン(Geneticin)(インビトロジェン(Invitrogen))中に保持した;
(b)DMEMおよび10%仔ウシ血清(ハイクローンラボラトリーズ)中で培養したNIH 3T3細胞;
(c)DMEMおよび10%ウシ胎仔血清中で培養したヒトメラノーマ細胞(A375)、ヒトフィブロサクローマ細胞(HT1080)およびSV40形質転換ヒトフィブロブラスト(WI38−VA13);並びに
(d)DMEM、10%胎児クローンII血清(ハイクローンラボラトリーズ)、1%非必須アミノ酸、および1mg/mlジェネティシン中で培養したα4(CHOα4)、α5(CHOα5)、またはαvB3インテグリンを発現したチャイニーズハムスター卵巣細胞。
細胞を指定した培地中で培養皿で培養し、PBS中の0.2mg/mlのEDTA中の2.5%トリプシンを用いて組織培養皿から取り出し、完全培地に再懸濁させた。約5×10個の細胞を、上述のようにRGDCで誘導体化したSi基板を含むウェルに加え、PBSに溶かした1%BSAで30分間ブロックした。細胞を誘導体化した表面上で約1.5時間増殖させ、表面に接着した細胞数並びに、アクチン細胞骨格のストレスファイバーへの細胞内組織化および接着斑(アクチンストレスファイバーをインテグリン受容体および細胞外基質に結合させるプロテインリッチ複合体)の形成の程度を光学顕微鏡で定期的に調べた。組織化並びに増殖を、接着細胞および組織を蛍光色素で染色して可視化し、蛍光顕微鏡を用いて検出した。
7日間にわたって行った同様の細胞接着試験では、有機単分子層で修飾された基板に接着した多くの細胞の継続した増殖が見られた。これは基板表面上の高密度有機単分子層膜の生理条件に対する安定性を示している。細胞の覆いをタンパク質分解酵素のトリプシンを用いて修飾有機単分子層から除くと、修飾有機単分子層を上記の手順を用いて再利用し、新しい細胞をインキュベートすることができる。
次の実施例は、大きい生体分子、この実施例では抗体もまた、本発明で提供される高密度有機単分子層を用いた基板に結合しうることを例示する。
実施例5−シリコン基板に結合した高密度有機単分子層の抗体誘導体化
実施例1Aに従って調製した11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸に基づく高密度有機単分子層を有する基板を、クーポンをジスクシニミジルグルタラート(DSG、ピアス(Pierce))の5mMアセトニトリル溶液中に室温(約25℃)で24時間設置することによって誘導体化した。前記溶液は無水条件下で(試料を窒素グローブボックスに移し、アセトニトリルは金属ナトリウムから蒸留後カニューレ法を用いて扱った)調製し、使用した。24時間後、グルタラート誘導体化クーポンを新しいアセトニトリルでリンスし、使用前に不活性環境中で扱った。
ウサギ抗マウスIgG(ピアス、市販品をそのまま使用)は、誘導体化クーポンを100mg/mlのリン酸バッファー溶液(PBS)中に室温で30分間設置することで、グルタラート誘導体化単分子層と結合させた。30分後、反応を停止させ、クーポンを50mMのTris−HCl溶液(pH7.4)で洗浄した。10マイクログラム/mlの濃度の、抗α4インテグリン抗体であるP1H4(ケミコン(Chemicon))または抗α5インテグリン抗体であるSAM−1(シンバス テクノロジー リミテッド(Cymbus Technology,Ltd.)を含む溶液中でクーポンをインキュベートした。溶液は市販品をそのまま使用した。前記クーポンを抗体溶液から取り出した後、PBSで洗浄し、PBSに溶かした1%BSAで30分間ブロックした。
セルトラッカーオレンジ(Cell Tracker Orange)で標識したα4(CHO α4)またはセルトラッカーグリーン(Cell Tracker green)で標識したα5(CHO α5)を発現した細胞は、上述の手順を用いて、培養皿から取り出す前に細胞をそれぞれの蛍光標識で37℃で30分間処理することで調製した。上述の手順を用いて、標識した細胞の混合物をそれぞれの抗体誘導体化表面でインキュベートした。約2.3時間の接触時間の後、クーポンを適当な波長の光で可視化した。α5−誘導体化表面を混合した細胞とインキュベートした場合、かなりの程度で、α5−発現細胞だけが表面上で増殖し、同様にα4−誘導体化表面では実質的にα4−発現細胞だけが増殖することが観察された。これらの観察から、高密度有機単分子層は、生体材料との相互作用において特異的な表面を調製する経路を提供することがわかる。
次の実施例群は、本発明の工程を、非晶質の平面酸化物導体の表面および湾曲した金属表面の自然酸化物の表面への、高密度の表面に沿った有機単分子層の塗布における使用を例示する。
実施例6−インジウムをドープした酸化スズ表面上への高密度有機単分子層のデポジション
導電状態にインジウムをドープした125nmの厚さの酸化スズの層をもつガラス基板(ITO/ガラス、コロラド コンセプト コーティングス(Colorado Concept Coatings))の導電性酸化物表面上に、高密度有機単分子層をデポジットした。基板はITO/ガラスの板に切り込みを入れて割ることによって準備し、100mmのクーポンを得た。クーポンのITO表面を上述の工程にしたがって2重量%の清浄液(タージトール(Tergitol)(登録商標))で30分間超音波洗浄することで洗浄した。洗浄液での洗浄の後、クーポンを脱イオン水の流水でリンスした。その後各クーポンを、メタノール、イソプロパノール、および塩化メチレンのそれぞれの溶媒で15分間煮沸した。その後クーポンを無水窒素フロー下で乾燥させ、使用するまで無水窒素ブランケット下で保存した。
上述のように準備したITOクーポン表面に、シリコン基板表面に単分子層膜を提供するための上述の手順(実施例1)にしたがって、約40mLのα−クウォーターチオフェン−2−ホスホン酸の0.0024mMのTHF溶液を用いて、約3時間続けて酸溶液メニスカスでITOクーポン表面を横切らせる蒸発段階を経て、高密度有機単分子層をデポジットした。このように調製した単分子層膜を上述の手順に従ってIR分光法およびAFMで試験した。試験の結果、表面にデポジットされた層が表面に沿っており、実質的に表面全体を覆い、単分子層の次元であることが確かめられた。
上述のように調製したITOクーポンをトリエチルアミンの5重量%のTHF溶液中で室温でさらに(約1時間以上)超音波洗浄を行っても、表面に結合した有機層に変化は見られなかった。これは前記有機単分子層が基板のITO表面に強く接着していることを示す。
実施例7−湾曲した金属表面上への高密度有機単分子層のデポジション
高密度有機単分子層を、医療グレードのニッケル/チタン合金(ニチノール(Nitinol)(登録商標))製の直径6mmの動脈ステント、および外科グレードの316型ステンレス製の直径2mmのステント(双方のステント試料はUTIコーポレイション ステント テクノロジー デビジョン(UTI Corporation Stent Technology Div.)の在庫品として入手した)のセクションの自然酸化物表面上にデポジットした。
本発明に従う結合した単分子層コートを塗布するための準備において、ニッケル/チタンのステントは約15mm長さの断片に、ステンレスのステントは約17〜20mm長さの断片に切断した。デポジションの前にステント断片を以下の手順に従って洗浄した。ステントを、製品の指示書に従ってタージトール(登録商標)の蒸留水溶液中で30分間超音波洗浄(ブランソン)によって洗浄し、蒸留水(自社脱イオン水)、塩化メチレン(テクニカルグレード、市販品をそのまま使用)でそれぞれ15分間超音波洗浄によってリンスし、続けてメタノール中で15分間ずつ3回超音波洗浄した。この溶液処理手順の後、ステント断片を空気中で150℃のオーブンで少なくとも12時間乾燥させた。
3.2mgのホスホンウンデカノール(ホスホン酸頭部基、末端アルコール官能基、および2つの官能基の間の11炭素原子の直鎖アルキル鎖を含む二官能性ホスホン酸)を、直前にベンゾフェノンナトリウムから蒸留したTHF20mlに溶かした溶液を調製した。前記ステントを、上述のシリコンウエハークーポンに行った手順を用いて、ただしステントを酸溶液に縦に沈め、ステント断片に通した細いワイヤーで吊るした。コーティングの後、ステント断片をチューブ炉に設置し、125℃に24時間加熱した。大気中で室温に冷却した後、コートしたステント断片を新しいメタノールで30分間超音波洗浄し、約10Torrの真空下で約12時間乾燥させた。
前記ステント断片をAlexafluor−546カルボン酸スクシニミジルエステル(登録商標)(モレキュラー プローブス(Molecular Probes))の11.6マイクロモルアセトニトリル溶液中に24時間設置し、単分子層のヒドロキシル官能基を有するAlexafluor−546エステル(登録商標)付加体を形成させることによって、上述のように調製した単分子層でコートされたステント断片をさらに機能化させた。誘導体化ステント断片を新しいアセトニトリルで10分間超音波洗浄によってリンスし、真空下(約10Torr)で蛍光顕微鏡で試験するまで保存した。誘導体化ステントの蛍光顕微鏡試験によって、蛍光種の均一な表面被覆が示された。これは本発明の工程が、複雑な金属の形状の上にも高密度有機単分子層を提供するのに用いられうることを示す。

Claims (37)

  1. 少なくとも1つの有機酸種を含む高密度配向単分子層が上に吸着した加水分解性官能基を含む表面を有する基板の少なくとも一部分の上に、高密度の配向した結合単分子層を提供する方法であり、1以上の前記表面の加水分解性官能基との、吸着した有機酸種のうち少なくともいくつかのそれぞれに会合する酸官能基のうち少なくとも1つを含む結合の形成を含む方法。
  2. 前記結合の形成が、前記基板および吸着単分子層を、前記吸着単分子層の少なくとも一部分が前記基板の表面に結合するまで加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. (i)複数の加水分解性官能基を含む基板表面を提供する;
    (ii)前記基板表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも1つの酸官能基を有することを特徴とする少なくとも1つの有機酸種を、吸着した有機酸種および前記基板の表面を含む界面で、前記基板表面の加水分解性官能基の結合形成近接における前記酸官能基のうち少なくともいくつかを含む高密度配向単分子層を形成するのに十分な量で、吸着させる;および
    (iii)前記酸官能基の少なくとも一部分を、前記界面において、前記基板の表面を含む前記加水分解性官能基と結合させる;
    を含む、基板の表面の少なくとも一部分の上に高密度配向単分子層を提供する方法。
  4. 前記単分子層が、実質的に空隙領域を含まず、高密度配向有機単分子層が提供される前記基板表面の前記一部分の全体を覆うまで、段階(ii)および(iii)を繰り返すことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記結合させる段階(iii)が、酸官能基のうち少なくともいくつかに、前記界面において前記表面の加水分解性官能基と化学結合を形成させるのに十分な持続時間で十分な熱エネルギーを前記界面に供給することを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記段階(ii)および(iii)が同時に行われる、請求項3に記載の方法。
  7. 前記吸着させる段階(ii)が、溶媒に溶解した低濃度の有機酸を含む溶液を提供し、前記基板表面の少なくとも一部分の上に前記有機酸種の単分子層膜を形成させるのに十分な量で、前記基板表面に前記溶液を接触させることを含む、請求項3に記載の方法。
  8. 前記基板表面を前記溶液と接触させた後、前記基板表面の少なくとも一部分の上の、前記吸着した高密度配向有機単分子層膜が脱離する条件下で残留溶液を前記基板との接触から除去すること、および任意で前記残留溶液の除去の後にまたは同時に、前記吸着単分子層膜から任意の残留溶媒を蒸発させることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記残留溶液の除去および前記残留溶媒の蒸発が、酸溶液のメニスカスを基板表面を横切らせることによって行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記基板表面を前記酸溶液のメニスカスを横切らせることが、前記基板表面に、前記基板表面と前記溶液表面との界面に向けたガス流を徐々に流すことによって提供される、請求項9に記載の方法。
  11. 有機酸種が溶媒中に含まれる多量の溶液中に浸された固定位置に前記基板を吊るすことによって、前記基板表面を前記溶液に接触させる、請求項9に記載の方法。
  12. 前記基板表面が、前記溶液から溶媒の一部分を蒸発させることによって酸溶液のメニスカスで横切られる、請求項11に記載の方法。
  13. 前記加水分解性官能基がオキシド官能基であり、並びに前記基板表面が:(a)電気的に導電性、半導体特性、絶縁性または金属特性を有する自然酸化物表面をもつ材料;および(b)バルク酸化物、酸化物導体、および酸化物絶縁体からなる群から選択される基板の酸化物表面を含む、請求項3に記載の方法。
  14. 前記加水分解性官能基がオキシド官能基であり、並びに前記基板表面が、金属の自然酸化物表面、半導体の自然酸化物表面、絶縁体の自然酸化物表面、および酸化物導体からなる群から選択される基板の酸化物表面を含む、請求項8に記載の方法。
  15. 前記基板が、シリコンベースの半導体の自然表面、シリコンベースの半導体のむきだしの表面、ゲルマニウムベースの半導体の自然表面、ゲルマニウムベースの半導体のむきだしの表面、ガリウムヒ素ベースの半導体の自然表面、ガリウムヒ素ベースの半導体のむきだしの表面、インジウムスズ酸化物導体、アルミニウム亜鉛酸化物導体、酸化チタン導体、および酸化鉄導体からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  16. 前記有機酸種が、スルホン酸官能基、カルボン酸官能基、およびホスホン酸官能基からなる群から選択される酸官能基を有する、請求項3に記載の方法。
  17. 前記有機酸種が、モノ−、ジ−、および多官能カルボン酸、並びにモノ−、ジ−、および多官能ホスホン酸からなる群から選択される、請求項8に記載の任意の方法。
  18. 前記有機酸種が、カルボン酸官能基およびホスホン酸官能基からなる群から選択される少なくとも1つの酸官能基を含み、それに直鎖、分岐、または環状の、飽和または不飽和の、置換または非置換の脂肪族部分、置換または非置換の、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの芳香族部分、置換または非置換の、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの複素環式芳香族部分からなる群から選択される炭化水素部分が結合する、請求項8に記載の方法。
  19. 前記炭化水素部分が、置換または非置換のチオフェン部分、置換または非置換のポリチオフェン部分、オリゴマーのヘテロ環部分、ポリマーのヘテロ環部分、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、置換または非置換の、約2〜約40の炭素原子を有する脂肪族部分、置換または非置換の、芳香族または複素環式芳香族部分、置換または非置換の直鎖フェニレン、ポリマーの芳香族部分、TCNQ誘導体、およびTTF誘導体からなる群から選択され、並びに前記炭化水素部分が任意でカルボン酸官能基、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、ホスホン酸官能基、エーテル官能基、ポリエーテル官能基、およびチオール官能基からなる群から選択される1以上の官能基でさらに置換される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記有機酸種がヒドロキシル、アミノ、カルボン酸、ホスホン酸、およびチオール官能基からなる群から選択されるオメガ−置換基を有する、オメガ置換二官能性カルボン酸またはホスホン酸である、請求項8に記載の方法。
  21. 前記有機酸種が、ニトロフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、置換および非置換のアントラセンホスホン酸、置換および非置換のペンタセンホスホン酸、置換および非置換のクウォーターチオフェンホスホン酸、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸、約2〜約20の炭素原子を含む炭化水素部分を有するオメガ−カルボン酸ホスホン酸、置換および非置換のキシリルホスホン酸、並びにこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選択されるホスホン酸である、請求項19に記載の方法。
  22. 前記有機酸種が、約2〜約40の炭素原子を有するアルキルカルボン酸、安息香酸、置換基がヒドロキシル、アミノ、カルボン酸官能基、および任意でヒドロキシル、アミノ、カルボン酸官能基からなる群から選択される1以上の官能基で置換された、直鎖または分岐の、置換または非置換の、約2〜約20の炭素原子を有するアルキル部分からなる群から選択される、置換安息香酸、サリチル酸、並びに置換および非置換のアルキルサリチル酸からなる群から選択されるカルボン酸である、請求項20に記載の方法。
  23. 請求項8に記載の方法に従って調製された基板の酸化物表面に化学的に結合した、高密度充填の有機酸ベースの単分子層。
  24. 請求項19に記載の方法に従って調製された基板の酸化物表面に化学的に結合した、高密度充填の有機酸ベースの単分子層。
  25. さらなる官能基を、有機または生体活性部分に結合させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. 複数のオキシド官能基を含む表面を有する基板上に、ホスホン酸官能基およびカルボン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む1以上の有機酸種を用いた、高密度配向単分子層を提供する方法であり:
    (i)少なくとも1つの前記酸官能基を含む少なくとも1つの前記有機酸種を溶媒中に含み、前記酸種が溶液中で低濃度で存在する溶液を提供する;
    (ii)単分子層が提供される基板表面の少なくとも一部分を、段階(i)で得られた前記溶液に、有機酸種を含む吸着した高密度配向単分子層膜を形成するために十分な量および条件下で接触させる(ここで前記吸着した有機酸種と前記基板表面との界面において、前記単分子層を含むそれぞれの前記吸着有機酸種は、前記基板表面の少なくとも1つのオキシド官能基と会合した少なくとも1つの酸官能基を有する);
    (iii)溶液に接触させる段階(ii)に続いて、前記基板表面の少なくとも一部分の上の、前記吸着した高密度配向単分子層膜および任意で前記溶媒の残留量が脱離する条件下で、任意の残留溶液を基板との接触から除去する;
    (iv)溶液を除去する段階(iii)の後にまたは同時に、存在する場合は実質的に全ての前記残留溶媒を蒸発させる;および
    (v)段階(iv)が行われた場合、段階(iv)の後にまたは同時に、前記酸化物表面に会合した酸官能基のうち少なくともいくつかに、前記基板表面のオキシド官能基と化学結合を形成させるために、十分な持続時間で十分な熱エネルギーを前記吸着単分子層および前記酸化物表面を含む界面領域に供給する;
    を含む方法。
  27. 前記単分子層が、実質的に空隙領域を含まず、単分子層が提供される前記酸化物表面の前記一部分の全体を覆うまで、段階(i)〜(v)を繰り返すことをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記「熱供給する段階」(v)が、約100℃を超える温度を有する環境に前記基板を設置することを含む、請求項26に記載の方法。
  29. 前記接触させる段階(ii)が、多量の前記有機酸溶液を前記基板表面の上に、前記多量の溶液の少なくともいくらかが基板表面上に溶液層を形成しうる条件下で分散させることによって行われる、請求項28に記載の方法。
  30. 前記溶液を除去する段階(iii)が、請求項10に記載の方法に従って行われる、請求項29に記載の方法。
  31. 前記接触させる段階(ii)が、多量の前記溶液中に浸された固定位置に前記基板を吊るすことによって行われる、請求項28に記載の方法。
  32. 前記接触させる段階(ii)および除去する段階(iii)が、請求項12に記載の方法に従って行われる、請求項31に記載の方法。
  33. 前記有機酸種が、モノ−、ジ−、および多官能ホスホン酸から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記有機酸種が、モノ−、ジ−、および多官能カルボン酸から選択される、請求項32に記載の方法。
  35. 請求項32に記載の方法によって提供される、高密度配向単分子層膜。
  36. 前記有機酸種が、オメガヒドロキシアルキルホスホン酸である、請求項32に記載の方法。
  37. 請求項36に記載の方法によって調製される、高密度配向単分子層膜。
JP2005515724A 2003-02-11 2003-11-04 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層 Pending JP2006517463A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US44668003P 2003-02-11 2003-02-11
US44668103P 2003-02-11 2003-02-11
US46734803P 2003-05-02 2003-05-02
US49061303P 2003-07-28 2003-07-28
PCT/US2003/034909 WO2004072120A2 (en) 2003-02-11 2003-11-04 Surface-bonded, organic acid-based mono-layers

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006517463A true JP2006517463A (ja) 2006-07-27
JP2006517463A5 JP2006517463A5 (ja) 2006-11-30

Family

ID=32872991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005515724A Pending JP2006517463A (ja) 2003-02-11 2003-11-04 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20040265571A1 (ja)
EP (1) EP1601468A4 (ja)
JP (1) JP2006517463A (ja)
AU (1) AU2003287466A1 (ja)
CA (1) CA2515653A1 (ja)
WO (1) WO2004072120A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006239504A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Ricoh Co Ltd 有機単分子膜の形成方法
JP2009302169A (ja) * 2008-06-11 2009-12-24 Toppan Printing Co Ltd 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法、薄膜トランジスタアレイ及び画像表示装置
JP2017098576A (ja) * 2011-01-12 2017-06-01 セントラル硝子株式会社 保護膜形成用薬液

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005000575A1 (en) * 2003-06-23 2005-01-06 Princeton University Carrier applied coating layers
WO2005122293A2 (en) * 2004-06-08 2005-12-22 Princeton University Formation of ordered thin films of organics on metal oxide surfaces
DE602004008313T2 (de) * 2004-12-23 2008-05-08 Plus Orthopedics Ag Verfahren zum Oberfläche-Fertigbearbeiten von Knochenimplantaten
US7691478B2 (en) * 2005-01-27 2010-04-06 Aculon, Inc. Thin films
US9297092B2 (en) * 2005-06-05 2016-03-29 Qd Vision, Inc. Compositions, optical component, system including an optical component, devices, and other products
US8845927B2 (en) * 2006-06-02 2014-09-30 Qd Vision, Inc. Functionalized nanoparticles and method
WO2007050500A2 (en) 2005-10-24 2007-05-03 Aculon, Inc. Chemical wipes
US8849087B2 (en) 2006-03-07 2014-09-30 Qd Vision, Inc. Compositions, optical component, system including an optical component, devices, and other products
CA2647188C (en) * 2006-03-24 2013-01-08 Kenneth A. Mcgowan Functionalized artificial bone and joint compositions and methods of use and manufacture
US10300167B2 (en) * 2006-03-24 2019-05-28 Cabertech, Inc. Functionalized calcium phosphate artificial bone and joint compositions and methods of use and manufacture
US9212056B2 (en) * 2006-06-02 2015-12-15 Qd Vision, Inc. Nanoparticle including multi-functional ligand and method
US20080131709A1 (en) * 2006-09-28 2008-06-05 Aculon Inc. Composite structure with organophosphonate adherent layer and method of preparing
DE102007003708A1 (de) * 2007-01-25 2008-07-31 Biotronik Vi Patent Ag Mit Biomolekülen beschichtete Stents sowie Verfahren zu deren Herstellung
EP2207789B1 (en) * 2007-09-12 2014-06-11 QD Vision, Inc. Functionalized nanoparticles and method
JP2013102109A (ja) * 2011-01-12 2013-05-23 Central Glass Co Ltd 保護膜形成用薬液
US8986524B2 (en) 2011-01-28 2015-03-24 International Business Machines Corporation DNA sequence using multiple metal layer structure with different organic coatings forming different transient bondings to DNA
WO2012158832A2 (en) 2011-05-16 2012-11-22 Qd Vision, Inc. Method for preparing semiconductor nanocrystals
WO2013028253A1 (en) 2011-08-19 2013-02-28 Qd Vision, Inc. Semiconductor nanocrystals and methods
US10029915B2 (en) * 2012-04-04 2018-07-24 International Business Machines Corporation Functionally switchable self-assembled coating compound for controlling translocation of molecule through nanopores
JP6518260B2 (ja) * 2014-09-02 2019-05-22 ダービン・シエ ポリメラーゼ連鎖反応の方法及び装置
US10874772B2 (en) * 2018-07-12 2020-12-29 Cook Medical Technologies Llc Coated medical device and method of coating such a device
GB2579369B (en) * 2018-11-29 2023-08-30 Cook Medical Technologies Llc Bioactive agent coated medical device and method of coating such a device

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63236562A (ja) * 1987-03-25 1988-10-03 Fujitsu Ltd Lb膜の形成方法
JPH0939149A (ja) * 1995-07-25 1997-02-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd シロキサン系薄膜の形成方法
JPH11112061A (ja) * 1997-09-30 1999-04-23 Sharp Corp 有機薄膜の製造方法
JPH11128723A (ja) * 1997-10-29 1999-05-18 Sharp Corp 有機単分子薄膜の製造方法
JP2000247799A (ja) * 1999-02-24 2000-09-12 Sharp Corp 高密度有機分子薄膜の製造方法

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH536323A (de) * 1970-08-11 1973-04-30 Ciba Geigy Ag Verfahren zur Herstellung von tertiär-Butylaten
JPS5623615A (en) * 1979-08-06 1981-03-06 Babcock Hitachi Kk Burning method for low nox
FR2593166A1 (fr) * 1986-01-20 1987-07-24 Solvay Procede de fabrication d'une poudre d'oxyde metallique pour materiaux ceramiques et poudre de zircone obtenue par ce procede.
US4929589A (en) * 1986-12-29 1990-05-29 Aluminum Company Of America Metal oxide/hydroxide particles coated with phosphate esters
US5185208A (en) * 1987-03-06 1993-02-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Functional devices comprising a charge transfer complex layer
DE3737047A1 (de) * 1987-10-31 1989-05-11 Huels Troisdorf Zubereitung auf basis von titan-chelaten von diolen und von titanacylaten
US5238715A (en) * 1989-12-26 1993-08-24 Aluminum Company Of America Food or beverage container or container panel
US5139601A (en) * 1990-04-11 1992-08-18 Lord Corporation Method for metal bonding
US5231151A (en) * 1991-01-18 1993-07-27 The Dow Chemical Company Silica supported transition metal catalyst
AU3136793A (en) * 1991-11-27 1993-06-28 Minnesota Mining And Manufacturing Company Electrophoretic deposition of transition metal dichalcogenides
US5397642A (en) * 1992-04-28 1995-03-14 The United States Of America As Represented By The United States Department Of Energy Articles including thin film monolayers and multilayers
US5286571A (en) * 1992-08-21 1994-02-15 Northwestern University Molecular modification reagent and method to functionalize oxide surfaces
FI95276C (fi) * 1993-12-03 1996-01-10 Borealis As Olefiinien polymerointikatalyytti ja menetelmä sen valmistamiseksi
US5728203A (en) * 1995-10-26 1998-03-17 Lord Corporation Aqueous protective and adhesion promoting composition
US6146767A (en) * 1996-10-17 2000-11-14 The Trustees Of Princeton University Self-assembled organic monolayers
US6645644B1 (en) * 1996-10-17 2003-11-11 The Trustees Of Princeton University Enhanced bonding of phosphoric and phosphoric acids to oxidized substrates
US6225239B1 (en) * 1997-09-30 2001-05-01 Sharp Kabushiki Kaisha Organic films and a process for producing fine pattern using the same
US6887332B1 (en) * 2000-04-21 2005-05-03 International Business Machines Corporation Patterning solution deposited thin films with self-assembled monolayers
DE10040993B4 (de) * 2000-08-16 2007-07-12 Technische Universität Dresden Verfahren zur Erzeugung von Schichten aus leitfähigem Polymer auf Metalloberflächen
US6433359B1 (en) * 2001-09-06 2002-08-13 3M Innovative Properties Company Surface modifying layers for organic thin film transistors
WO2005000575A1 (en) * 2003-06-23 2005-01-06 Princeton University Carrier applied coating layers

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63236562A (ja) * 1987-03-25 1988-10-03 Fujitsu Ltd Lb膜の形成方法
JPH0939149A (ja) * 1995-07-25 1997-02-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd シロキサン系薄膜の形成方法
JPH11112061A (ja) * 1997-09-30 1999-04-23 Sharp Corp 有機薄膜の製造方法
JPH11128723A (ja) * 1997-10-29 1999-05-18 Sharp Corp 有機単分子薄膜の製造方法
JP2000247799A (ja) * 1999-02-24 2000-09-12 Sharp Corp 高密度有機分子薄膜の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006239504A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Ricoh Co Ltd 有機単分子膜の形成方法
JP2009302169A (ja) * 2008-06-11 2009-12-24 Toppan Printing Co Ltd 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法、薄膜トランジスタアレイ及び画像表示装置
JP2017098576A (ja) * 2011-01-12 2017-06-01 セントラル硝子株式会社 保護膜形成用薬液

Also Published As

Publication number Publication date
CA2515653A1 (en) 2004-08-26
AU2003287466A1 (en) 2004-09-06
EP1601468A4 (en) 2006-11-29
EP1601468A2 (en) 2005-12-07
WO2004072120A3 (en) 2005-01-27
WO2004072120A2 (en) 2004-08-26
AU2003287466A8 (en) 2004-09-06
US20040265571A1 (en) 2004-12-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006517463A (ja) 表面に結合した、有機酸を用いた単分子層
Ito et al. Modification of silicon nitride tips with trichlorosilane self-assembled monolayers (SAMs) for chemical force microscopy
Tosatti et al. Peptide functionalized poly (L-lysine)-g-poly (ethylene glycol) on titanium: resistance to protein adsorption in full heparinized human blood plasma
Rosso et al. Covalent attachment of organic monolayers to silicon carbide surfaces
Schreiber Self-assembled monolayers: from ‘simple’model systems to biofunctionalized interfaces
Pujari et al. Covalent surface modification of oxide surfaces
Wang et al. Growth of ultrasmooth octadecyltrichlorosilane self-assembled monolayers on SiO2
Taylor et al. Octadecanoic acid self-assembled monolayer growth at sapphire surfaces
Dunaway et al. Scanning force microscopy studies of enhanced metal nucleation: au vapor deposited on self-assembled monolayers of substituted silanes
Branch et al. Investigating phosphonate monolayer stability on ALD oxide surfaces
Dupont‐Gillain et al. Use of AFM to probe the adsorption strength and time‐dependent changes of albumin on self‐assembled monolayers
Singh et al. Adsorption of 3-mercaptopropyltrimethoxysilane on silicon oxide surfaces and adsorbate interaction with thermally deposited gold
Pathak et al. Disorder-derived, strong tunneling attenuation in bis-phosphonate monolayers
Kumar et al. Formation of nanometer domains of one chemical functionality in a continuous matrix of a second chemical functionality by sequential adsorption of silane self-assembled monolayers
Calvert et al. Two-dimensional protein crystallization at solid− liquid interfaces
Yavuz et al. Mixed carboranethiol self-assembled monolayers on gold surfaces
Yang et al. A comparative study of the growth of octadecyltrichlorosilane and 3-mercaptopropyltrimethoxysilane self-assembled monolayers on hydrophilic silicon surfaces
Du et al. Growth behavior and structure of alkyltrichlorosilane monolayers bearing thioacetate and acetate tailgroups
Cho et al. Covalent attachment of TAT peptides and thiolated alkyl molecules on GaAs surfaces
Gilles Chemical modification of silicon surfaces for the application in soft lithography
Ding et al. Immobilization of avidin on (001) GaAs surface
Hutt et al. Desorption of butanethiol from Au (111) during storage in ultrahigh vacuum: Effects on surface coverage and stability toward displacement by solution-phase thiols
US7258745B2 (en) Method for fabricating hafnia films
Cho et al. Protein adhesion regulated by the nanoscale surface conformation
Noh et al. Growth processes and control of two-dimensional structure of carboxylic acid-terminated self-assembled monolayers on Au (111)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061012

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061012

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091215

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100312

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100319

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100706