JPH093792A - ステンレス鋼帯用中性合紙 - Google Patents

ステンレス鋼帯用中性合紙

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JPH093792A
JPH093792A JP7148913A JP14891395A JPH093792A JP H093792 A JPH093792 A JP H093792A JP 7148913 A JP7148913 A JP 7148913A JP 14891395 A JP14891395 A JP 14891395A JP H093792 A JPH093792 A JP H093792A
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弘和 石井
Yoshio Yoshida
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Seiji Fujiwara
省二 藤原
Kaori Ishizuka
かおり 石塚
Toshio Kojima
寿男 小島
Hiroyuki Oi
宏之 大井
Naoki Izukura
直樹 出倉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フェライト系ステンレス鋼帯を、潤滑油を使
用しないで冷間圧延する際に、圧延前に当該ステンレス
鋼帯と合紙とを一緒に巻き込み、それによってステンレ
ス鋼帯の圧延処理に際し、これに良好な伸び特性を付与
し得るステンレス鋼帯用中性合紙の提供。 【構成】 クラフトパルプを原料として抄紙されたクラ
フト紙に、ステアリン酸カルシウム、ポリアミノ酸樹
脂、エマルジョン型シリコン、ポリエチレンエマルジョ
ン、ワックスエマルジョン、アルキルケテンダイマーか
ら選ばれた少なくとも1種を含む滑剤を含有させて、得
られる合紙の表裏両面の、JIS P 8147による
動摩擦係数を0.20〜0.40に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼帯を圧延
する際に、これに優れた伸びを付与し得るステンレス鋼
帯用中性合紙に関するものである。更に詳しく述べれ
ば、本発明は、フェライト系ステンレス鋼帯を調質圧延
工程において圧延する際に、油を使用することなくこの
ステンレス鋼帯に優れた圧延性を付与し、製造効率を顕
著に改善し得るステンレス鋼帯用中性合紙に関するもの
である。「合紙」とは、ステンレス鋼帯とともに巻き込
まれ、ステンレス鋼帯の表裏面の直接接触を防止する紙
である。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼帯は、その製造工程におい
て最終工程に近づく程その表面は、きれいに鏡面仕上げ
されてくるが、ステンレス鋼帯をコイル状に巻取って次
の工程に移行する際、ステンレス鋼帯の表裏面同士が擦
れ合い、その表裏面にさまざまな形状、寸法の疵が発生
し、このためにその商品価値を低下させるという問題が
ある。
【0003】上記問題を防止するため、ステンレス鋼帯
を前記製造工程において、さまざまな処理を施すため或
る工程から次の工程へ移行させる際、ステンレス鋼帯を
コイル状の巻取りとする段階で、従来からクラフトパル
プを原料として抄紙機で製造された中性のクラフト紙が
保護シートの役目を果たす合紙としてステンレス鋼帯と
一緒に巻き込まれ、その後一時的に保管されたり、或い
は直ちに次の工程に移され、当該工程で目的の処理が始
まる前に前記合紙のみを抜き取るという方法が採用され
ている。
【0004】一方、ステンレス鋼帯用中性合紙は、ステ
ンレス鋼帯を製造する工程で所要の処理が完了し、それ
がまだ高い温度(例えば、100〜200℃)を保持し
ている状態で、挿入されるので、中性合紙は高い耐熱性
を有することが要求される。しかしながら、紙を構成す
るパルプ繊維は、170〜180℃でセルロースから水
が脱離し、水素結合が破壊されるためぼろぼろになり、
強度的に全く用をなさなくなる。従って、パルプ繊維を
含む紙を合紙として使用するためには、紙に高い耐熱性
を付与する必要がある。
【0005】特開昭56−131011号公報には、ク
ラフトパルプを原料とする中性紙の抄紙工程中に、ジシ
アンジアミド又はその誘導体の1種以上を、好ましくは
これに更に帯電防止剤を加えて、浸漬法、サイズプレス
法、スプレー方式、コーティング方式等で中性紙中に含
有させ、得られた合紙で、ステンレス板(鋼帯)を圧延
や調質した後の帯熱している鋼帯面を覆う方法が開示さ
れている。サイズプレス法でジシアンジアミド又はその
誘導体を中性紙に含ませる場合、一般には、例えばPV
A(ポリビニルアルコール)、酸化澱粉、パラフィンワ
ックス等を含む通常のサイズプレス加工液中にジシアン
ジアミドを溶解して用いられる。
【0006】この方法は、前記の化学物質をステンレス
鋼帯用合紙に含有させ、それによって合紙に高い耐熱性
と静電気の発生を抑制する性質を付与できる。このた
め、この合紙を用いてステンレス鋼帯の表裏面を被覆し
たとき、作業中に熱劣化による合紙の切断がなく、又、
ステンレス鋼帯の表裏面同士が接触しないので、ステン
レス鋼帯表面に疵や曇りを生じたり、また静電気も発生
せず、作業効率を向上させることができ、更に合紙の反
復使用回数も増すことができる。
【0007】特開昭59−89000号公報には、紙力
増強剤として広く用いられているものの中からポリアク
リルアミド系樹脂、尿素系樹脂及びメラミン系樹脂のよ
うな合成樹脂のいずれか1種を選択し、これを対パルプ
0.5〜5.0重量%の量で添加し、或いはこれにさら
に合成樹脂量の50〜100重量%の量のジシアンジア
ミドを添加する方法が開示されており、これによって合
紙に高い耐熱性を付与することができるので、高い温度
及び高い圧力の下でも鋼帯に焼付きが発生せず、またス
テンレス鋼帯の表面に曇りや肌荒れが発生することを防
ぐことができる。前記の樹脂は、パルプにビーターにお
いて添加する方法、抄紙後の紙にスプレー塗布もしくは
含浸させる方法、又はサイズプレスで塗布する方法、或
いはコーターで塗工する方法などにより合紙に含ませる
ことができる。
【0008】紙の表面強度を高める方法としては、各種
の澱粉のような紙力増強剤を2本ロールサイズプレス、
ゲートロールコーター等の塗布設備を用いて紙に塗布す
る(例えば0.7〜2.0g/m2 )方法が周知である
が、この方法により得られるステンレス鋼帯用合紙は、
表面強度は優れている。
【0009】一方、ステンレス鋼の中でもフェライト系
ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼やマル
テンサイト系ステンレス鋼とは異なり、降伏点が高く、
このため、これを薄い板状とした場合に、わずかな引張
り応力が付与されると、明瞭な降伏現象を起こし、目視
でも明瞭な、白く曇ったように斜めに変形した模様領域
(これはリューダース帯とも呼ばれている)を鋼帯表面
に生じ、商品としての品質欠陥を発生し易いという欠点
がある。上記の理由により、フェライト系ステンレス鋼
を薄板とする際には、調質圧延(仕上げ圧延或いはスキ
ンパスとも呼ばれている)工程が設けられ、ここにおい
て回転する鏡面仕上げを有する加圧された圧延ロール間
にステンレス鋼帯を通過させ、板形状の矯正、光沢の付
与、0.5〜1.2%の降伏点伸びの付与等が施されて
いる。
【0010】従来から、この調質圧延工程には、冷間圧
延が採用され、これには潤滑油を用いる場合と、潤滑油
を用いない場合とがある。潤滑油を用いて圧延する場
合、ステンレス鋼帯の表面の摩擦係数が低下し、薄板化
に際し、鋼帯に十分な伸びを付与することができる。し
かし、この場合には、圧延処理の完了後に改めて脱脂工
程を施すことが必要となり、このような一工程が増える
ことによる製造コストなどの不利益は否めない。これに
対し、潤滑油を用いないで冷間圧延すると、薄板化処理
に際し、ステンレス鋼帯が伸び難く、圧延回数を数回繰
り返す必要があり、これは生産効率を低下させるという
不都合を生ずる。このようにフェライト系ステンレス板
を冷間圧延する際に、潤滑油を用いる場合とそれを用い
ない場合には、それぞれ一長一短があるが、いずれの場
合も調質圧延に至るまでは各工程の入口では合紙を取り
除き、ステンレス鋼帯に圧延処理が施されると、その後
に鋼帯の表面を保護するために、工程の終点において再
び合紙を挿入して巻取るという操作が繰り返される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、従来技
術の上記現状に鑑み、ステンレス鋼帯の加工工程、特に
フェライト系ステンレス鋼帯の調質圧延工程において、
潤滑油を用いないで圧延を円滑に進めるための研究を鋭
意行い、圧延処理に際しての圧延ロールとステンレス鋼
帯の滑り現象に着眼し、合紙の表面に特定の滑剤を含有
させ、その動摩擦係数を特定範囲内に調整し、これをフ
ェライト系ステンレス鋼帯の巻取り(以下コイルとい
う)用合紙として挿入して使用すると、合紙表面から滑
剤がステンレス鋼帯の表面に転移し、意外なことに圧延
処理に際しステンレス鋼帯が伸び易くなり、圧延処理が
極めて円滑にできることを見出し、本発明を完成させる
に至った。
【0012】本発明の目的は、潤滑油を使用しないでス
テンレス鋼帯、特にフェライト系ステンレス鋼帯を冷間
圧延する際に、圧延処理前に前記ステンレス鋼帯コイル
に挿入して使用し、それによって当該ステンレス鋼帯の
圧延処理に際し、ステンレス鋼帯にすぐれた伸び特性を
付与し得るステンレス鋼帯用中性合紙を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のステンレス鋼帯
用中性合紙は、クラフトパルプを原料として抄紙された
クラフト紙と、このクラフト紙に含有され、かつステア
リン酸カルシウム、ポリアミノ酸樹脂、エマルジョン型
シリコン、ポリエチレンエマルジョン、ワックスエマル
ジョン、およびアルキルケテンダイマーから選ばれた少
なくとも1種を含む滑剤とを含み、且つ表裏両面のJI
S P 8147による動摩擦係数が、0.20〜0.
40の範囲であることを特徴とするものである。
【0014】本発明に係るステンレス鋼帯用中性合紙
は、針葉樹及び/或いは広葉樹木材からのクラフトパル
プを原料として用い、公知の湿式抄紙機により抄紙され
たクラフト紙に前記滑剤を含有させて得られる。本発明
に用いられるクラフト紙は、精選工程及び抄紙工程にお
いてスリットスクリーン、セントリークリーナー等の除
塵装置を用いて結束繊維、樹脂(ピッチ)、砂等の夾雑
物や異物を十分除去し、更に水洗浄を十分に施したクラ
フトパルプを原料として抄紙され、塩素イオンと硫酸イ
オンの含有量が少ない中性の紙である。
【0015】更に、本発明のステンレス鋼帯用中性合紙
は、オーステナイト系ステンレスやマルテンサイト系ス
テンレスのための従来の合紙と異なり、ステンレス鋼帯
表面に高い滑り特性を付与することを主目的とするもの
であるが、合紙の表面強度が弱いと、その表面から紙粉
や微細繊維が脱落してステンレス表面に押込み疵を発生
させるので、合紙の表面強度を何等かの手段で強化して
おく必要がある。この手段としては、澱粉、PVA、ジ
シアンジアミド、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素系樹
脂、メラミン系樹脂等のその他の高分子化合物をサイズ
プレス、ロールコーター、ブレードコーター等の塗布装
置でクラフト紙の表面に塗布するという公知の方法が本
発明のためにそのまま適用できる。
【0016】一方、本発明では、フェライト系ステンレ
ス鋼帯の表面に高い滑り特性を付与するために、滑剤が
紙の表面に塗布されてもよいが、これは既知の方法で行
うことができる。この場合、前記の澱粉、PVA或いは
その他の高分子化合物と一緒に、滑剤が、サイズプレス
又はロールコーターにより紙の表と裏に同時に塗布され
ることが好ましい。こうして澱粉、PVA或いはその他
の高分子物質は、塗被膜を形成して紙表面を覆い、滑剤
はこの被膜の表面部および内部に存在する。従って、澱
粉、PVA或いはその他の高分子化合物と滑剤とが塗布
されたクラフト紙は、フェライト系ステンレス鋼帯の合
紙として圧延処理が施される前の工程において、鋼帯と
鋼帯の間に挿入されたコイルに巻き取られ、それによっ
てステンレス鋼帯の表裏面同士は直接接触しないので、
ステンレス鋼帯の表面を保護するという機能を発揮し、
それと同時にステンレス鋼帯の表面には、コイルに巻取
られる際或いはコイルが貯蔵されている間に、合紙の表
面から滑剤が一部転移して、ステンレス鋼帯表面に滑り
特性を付与すると考えられる。
【0017】従って、本発明で用いられる滑剤として
は、前記澱粉、PVA或いはその他の高分子化合物と併
用できる水溶性或いはエマルジョン型のものが好適に用
いられ、その場合、滑剤は、ステンレス鋼帯の表面に焼
付き、曇り或いは押込み疵等の表面欠陥を生じるもので
あってはならないことはいうまでもない。このような滑
剤としては、ステアリン酸カルシウム、ポリアミノ酸樹
脂、エマルジョン型シリコーン、ポリエチレンエマルジ
ョン等の離型剤、ワックスエマルジョン、およびアルキ
ルケテンダイマー等のサイズ剤を挙げることができ、こ
れら少なくとも1種が選択使用される。とりわけアルキ
ルケテンダイマー単独、或いはアルキルケテンダイマー
を50重量%以上含む滑剤が好適に使用される。
【0018】これらの滑剤は、合紙として用いるクラフ
ト紙の表面に塗布して用いてもよく、紙表面からステン
レス鋼帯表面に滑り特性を付与できる能力は、滑剤の種
類によって異なるので、紙への含有量を限定することは
できないが、本発明において、滑剤は一般には、絶乾澱
粉、PVA或いはその他の高分子化合物の重量に対し、
2〜15重量%の範囲内で含有され、このような中性合
紙の表裏面間のJISP 8147による動摩擦係数を
0.20〜0.40の範囲に調整すると、得られる合紙
はフェライト系ステンレス鋼帯の圧延処理における伸び
特性を改善することができる。
【0019】前記クラフト紙の動摩擦係数は、低ければ
低いほどステンレス鋼帯表面に滑り特性を付与すること
ができ、それだけステンレス鋼帯の伸びを改善すること
ができる。しかし、そのためには滑剤の添加量を多くす
る必要があり、そうするとステンレス鋼帯表面における
焼付き発生の心配があり、製造コストも大幅に増加する
ので好ましくない。一方、クラフト紙の動摩擦係数が
0.4を越えて高くなると、ステンレス鋼帯表面に十分
な滑り特性を与えることができなくなり、ステンレス鋼
帯の圧延処理時の伸びが悪くなる。ステンレス鋼帯は、
板厚が薄いほど、圧延荷重に対応する伸び量が小さくな
るので、伸びを0.5〜1.2%の範囲内、好ましくは
0.8%以上に規定したとき、滑剤の付与量は、圧延荷
重、通過速度、材質、用途等によって付与量、およびス
キンパスの処理回数などが決められる。
【0020】本発明の中性合紙が、フェライト系ステン
レス鋼帯の冷間圧延処理に際してステンレス鋼帯に高い
伸びを付与できる理由は、既に述べたように、前記クラ
フト紙からなる合紙の紙表面上には滑剤が分散して含有
されており、冷間圧延処理する前のフェライト系ステン
レス鋼帯をコイル状に巻取る際に滑剤を含有する合紙を
挿入すると、合紙表面とステンレス鋼帯表裏面とが密着
するため、紙表裏面上の滑剤がステンレス鋼帯表裏面へ
転移し、ステンレス鋼帯表面に滑り特性を与え、その結
果ステンレス鋼帯を潤滑油の使用なしに冷間圧延する際
に、圧延ロールとステンレス鋼帯表面との間で滑りが生
じ、ステンレス板の加圧ロール間の通過が遅れ、結局ス
テンレス鋼帯がその分だけ伸ばされるものと考えられ、
これにより圧延回数を減少できる。しかも潤滑油を使用
しないのであるから、脱脂工程を省略できるので生産効
率を顕著に向上させることができるのである。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるも
のではない。
【0022】実施例1 クラフト蒸解法によりカッパー価が34の針葉樹未晒ク
ラフトパルプを製造し、0.2mm幅のスリットスクリー
ン及び608型セントリークリーナーで精選した後、こ
の原料をダブルディスクレファイナーで、ろ水度420
mlCSF まで叩解し、これに中性サイズ剤(バソプラスト
265D,BASF社製)を絶乾パルプ重量当り0.25重
量%添加し、2本ロールサイズプレスを備えた抄紙機で
硫酸バンドを使用せず抄紙し、アフタードライヤーの前
でサイズプレス液としてPVA(完全けん化型、700
4、日本合成化学工業社製)の固形分濃度1.3重量%
水溶液を用い、絶乾PVA重量当りアルキルケテンダイ
マー(CS−280、荒川化学工業社製)を4重量%添
加し、PVAの塗布量が0.30g/m2 となるように
前記サイズプレスで塗布し、その後アフタードライヤー
で乾燥して水分含有率を4.3%とし、絶乾坪量45.
4g/m2 、表裏面動摩擦係数が0.254のステンレ
ス鋼帯用中性合紙を製造した。
【0023】実施例2 サイズプレス液へのアルキルケテンダイマーの添加量を
2重量%としたことを除き、実施例1と同様にしてステ
ンレス鋼帯用中性合紙を製造した。その表裏動摩擦係数
は、0.325であり絶乾坪量は45.3g/m2 であ
った。
【0024】比較例1 サイズプレス液へアルキルケテンダイマーを添加しない
ことを除き、実施例1と同様にしてステンレス鋼帯用中
性合紙を製造した。その表裏動摩擦係数は0.478で
あり、絶乾坪量は45.3g/m2 であった。
【0025】試験 得られた合紙について紙質試験を下記試験法で行った。試験法 (1)坪量 JIS P 8124により絶乾ベースで算出した。 (2)密度 JIS P 8118によった。 (3)引張強さ JIS P 8113によった。 (4)表面強度 JIS P 8129によるワックスピック試験によっ
た。番号が高いほど表面強度が高い指標となる。 (5)動摩擦係数 JIS P 8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方
法」の水平方法により、動いている紙の動きを阻止しよ
うとする摩擦力と紙の表面に加わる垂直の力の比を、紙
の表面および裏面のそれぞれにおいて、紙の縦方向で測
定した。
【0026】実施例及び比較例で得られた紙質試験結果
を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】調質圧延(スキンパス)による伸びの測定 実施例及び比較例で得られたステンレス鋼帯用中性合紙
を用いて、図1に示されるように、熱処理(焼鈍酸洗)
工程が終了した後、ステンレス鋼帯1をコイル2に巻取
る際に中性合紙3を挿入し一緒に巻き取った。次に、コ
イル2は、図2に示されるように、調質圧延(スキンパ
ス)工程に搬送されるが、このとき中性合紙をコイル2
から分離して巻取って合紙ロールを形成した。ステンレ
ス鋼帯1はデフレクタロール6を経て、1対の圧延ロー
ル5間を通過させられ、このときステンレス鋼帯1に伸
びと鏡面仕上げが付与され、次にデフレクターロール7
を経て、再び合紙3を鋼帯の間に挿入しながらコイル8
に巻取られた。
【0029】テスト1 実施例及び比較例で製造した合紙をそれぞれステンレス
鋼帯1をコイル2とする際に挿入して用い(図1参
照)、板厚0.3mm、0.7mm及び1.5mmの3種類の
鋼帯についてスキンパスを1回行い(図2参照)、その
時ステンレス鋼帯の伸び率をデフレクターロール6と7
の回転数の差から求めた。その結果を表2に示す。
【0030】テスト2 同様にして、前記の合紙をさまざまな組合せで用いて板
厚0.3mmと0.7mmの2種類の鋼帯について図2で示
されるスキンパス工程を2回繰り返し通過させ、それぞ
れの鋼帯の伸び率を求めた。 1回目スキンパス 2回目スキンパス ──────────────────────────── 用いた合紙の 実施例1の合紙 実施例1の合紙 組合せ 実施例1の合紙 比較例1の合紙 (4水準) 比較例1の合紙 実施例1の合紙 比較例1の合紙 比較例1の合紙
【0031】テスト1及び2におけるスキンパスの条件 用いた鋼帯:SUS430(2B品)、板厚0.3mm、
0.7mm及び1.5mm(1回パスのみ)、幅1000m
m、長さ2000mのコイル スキンパスロール径:750mmφ ロールクラウン:150μm一定 荷重:680トン(0.3mm板厚)、620トン(0.
7mm板厚)及び490トン(板厚1.5mm) 張力:各板厚の場合とも一定 通過速度:120m/分
【0032】テスト1及び2で得られた伸び率の結果
を、それぞれ表2と3に示した。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表1から明らかなように、本発明の中性合
紙(実施例1と2)は、滑剤を含まない中性合紙(比較
例1)と比較して、動摩擦係数を除く特性においては紙
質において全く変わらない。
【0036】表2から分かるように、ステンレス鋼帯に
合紙を使用しないで圧延処理を行うと、伸び率は比較的
高くなり(合紙の使用なしの場合)、滑剤を含まない合
紙を用いると伸び率は極端に低下する(比較例1の合紙
を用いた場合)。しかし、滑剤を含有する合紙を用いる
と、滑剤の含有量の増加と共に、或いは動摩擦係数の減
少と共に伸び率が顕著に改善される(実施例1と2の合
紙の場合)。但し、合紙を使用しない場合は、伸び率は
高いが鋼帯の表面にさまざまな欠陥が発生するので実用
することができない。
【0037】一方、設定された条件下で2回のスキンパ
スを施した際にステンレス鋼帯の伸びが合紙の組合せで
どうなるかを検討したテスト2では、表3から明らかな
ごとく、板厚が厚いものは勿論、板厚が薄く、伸び難い
ものでも、本発明の合紙を2回とも使用すると、合計伸
び率が最も大きかった。これに対し、1回目のスキンパ
スで滑剤を含まない合紙(比較例1)を使用すると、2
回目のスキンパスで本発明の合紙(実施例1)を使用し
ても高い伸び率は得られず、逆に1回目のスキンパスで
本発明の合紙(実施例1)を使用し、2回目のスキンパ
スで滑剤を含有しない合紙(比較例1)を用いると、板
厚が薄い場合は伸びを高める効果は得られないが、板厚
が厚い場合は、1回目のスキンパスで本発明の合紙(実
施例1)を使用した効果が残留し、2回目のスキンパス
における伸びがかなり改善されるという効果が得られ
る。上記の説明により明らかなように、本発明の合紙
は、フェライト系ステンレス鋼帯を調質圧延工程で仕上
げする際に使用すると、鋼帯に高い伸び率を効果的に付
与することができ、とりわけ板厚の薄い、伸び難いステ
ンレス鋼帯において効果的である。
【0038】
【発明の効果】本発明に係るステンレス鋼帯用中性合紙
は、フェライト系ステンレス鋼帯を調質圧延工程におい
て圧延する際に、その処理の前に鋼帯と一緒に巻き込む
ことにより、当該鋼帯に優れた伸び率を付与し得るとい
う効果を奏し、実用上重要なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト系ステンレス鋼帯の熱処理(焼鈍酸
洗)工程の終わりにおいて、ステンレス鋼帯をコイルに
巻取る際に中性合紙を挿入する工程を示す説明図であ
る。
【図2】ステンレス鋼帯のコイルから合紙を分離し、当
該鋼帯に調質圧延(スキンパス)処理を施し、次いで処
理が完了した鋼帯をコイルに巻取る際に、これに合紙を
挿入する工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ステンレス鋼帯 2…コイル 3…挿入される合紙 4…分離される合紙 5…圧延ロール 6…デフレクターロール 7…デフレクターロール 8…コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 省二 東京都中央区銀座4丁目7−5 新王子製 紙株式会社内 (72)発明者 石塚 かおり 東京都中央区銀座4丁目7−5 新王子製 紙株式会社内 (72)発明者 小島 寿男 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 大井 宏之 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 出倉 直樹 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地 住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラフトパルプを原料として抄紙された
    クラフト紙と、このクラフト紙に含有され、かつステア
    リン酸カルシウム、ポリアミノ酸樹脂、エマルジョン型
    シリコン、ポリエチレンエマルジョン、ワックスエマル
    ジョン、およびアルキルケテンダイマーから選ばれた少
    なくとも1種を含む滑剤とを含み、表裏両面のJIS
    P 8147による動摩擦係数が0.20〜0.40で
    あることを特徴とするステンレス鋼帯用中性合紙。
JP7148913A 1995-06-15 1995-06-15 ステンレス鋼帯用中性合紙及びそれを用いるステンレス鋼帯の圧延方法 Expired - Fee Related JP3004194B2 (ja)

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