【発明の詳細な説明】
表面に強化剤を沈着させた柔らかい多層ティシュ・ペーパー
発明の分野
本発明は一般的にティシュ・ペーパー製品に関する。より具体的には、本発明
は強化剤を塗布した表面を有するティシュ・ペーパー製品に関する。
発明の背景
衛生薄葉紙製品は広く使用されている。そのような品物は、化粧用ティシュ、
手洗い用ティシュおよび吸収性タオルのような多様な用途に合わせた形態で市販
されている。
これら衛生用製品は全て、強くて柔らかいという両方の性質の要求を共有する
。柔らかさとは、それで皮膚をこすったときに当該製品によって引き起こされる
複雑な触感である。柔軟であることの目的は、皮膚を刺激することなく浄化する
ためにこれらの製品を用いることができるというものである。
柔軟さに関連する最も重要な物理的特性の1つは製品の強度であると当業者に
は一般に考えられている。強度は、使用条件下で物理的一体性を維持し、さらに
引裂き、断裂および切断に抵抗する製品(およびその構成成分のウェブ)の能力
である。高い柔軟性と高レベルの強度の両方を維持することは、長い間、本発明
分野に従事する者の目的であった。
これに関して探究されてきた分野の1つは、セルロース繊維の形態を選別し改
造し、さらに利用可能な種々の形態のうちで最適の利点をもつように紙の構造を
細工することであった。この分野で応用できる技術には以下が含まれる:米国特
許第5,228,954号明細書(Vinsonら、1993年7月20日発行);米国特許第5,405,499
号明細書(Vinson,1995年4月11日発行);および米国特許第4,874,465
号明細書(Cochraneら、1989年10月17日発行)。これらは全て、優れた特性をもつ
ティシュおよびペーパー・タオルを製造するために繊維原料を選別しその質を改
善する方法を開示する。さらに応用可能な技術は米国特許第4,300,981号明細書
(Carstens,1981年11月17日発行)に例示されている。この特許では、繊維が最
大の柔軟性を示すことができるように当該繊維をどのようにペーパー構造物に取
り込み馴染ませるかが考察されている。そのような技術はこれら先行例によって
広く知られているが、しかしそのような技術は、ティシュを真に効果的で心地好
い清拭手段とするにはいくぶん限定的な性能を提供したにすぎない。
極めて注目された別の領域は、ティシュおよびペーパー・タオル製品への化学
的柔軟化剤(本明細書ではまた“化学柔軟剤”とも呼ぶ)の添加である。
本明細書で用いられる、“化学柔軟剤”という用語は、個々の紙製品をにぎり
さらにそれで皮膚をこする消費者が受ける触感を改善する一切の化学的成分を指
す。柔軟さはタオル製品にとってはいくぶん望ましいというだけであるが、化粧
用および手洗い用ティシュにとっては特に重要な特性である。そのような触知可
能な柔軟さは、摩擦性、可撓性および滑らかさの他に主観的なキーワード(例え
ばビロード様、絹様またはフランネル様感触)によって特徴付けられる(ただし
これらに限定されない)。例示すれば、化学柔軟剤には塩基性ワックス(例えば
パラフィンおよび蜜ろう)および油(例えば鉱物油およびシリコーン油)の他に
ワセリン並びにより複雑な潤滑剤および軟化剤(例えば、長いアルキル鎖をもつ
第四アンモニウム化合物、官能基をもつシリコーン、脂肪酸、脂肪族アルコール
および脂肪族エステル)が含まれる。
化学柔軟剤に関連する従来の技術分野は2つの方法を採用した。第一の方法は
、ティシュ・ペーパー・ウェブの形成時に当該ウェブに柔軟剤を添加することを
特徴とする。柔軟剤の添加は、最終的にはティシュ・ペーパー・ウェブに形成さ
れるパルプのタンクに問題の成分を添加するか、パルプ・スラリーが抄紙機に接
近
したときに当該スラリーに添加するか、または湿潤ウェブが抄紙機上の長網布ま
たはドライヤー布に存在するときに当該ウェブに添加することによって実施され
る。
第二の方法は、ウェブを乾燥させた後で当該ティシュ・ペーパー・ウェブに化
学柔軟剤を添加することによって分類される。利用可能な工程は、例えば乾燥ウ
ェブがペーパー・ロールに巻き取られる前に乾燥ウェブ上に噴霧させることによ
って抄紙操作に組み込まれる。
ティシュ・ペーパーのアッセンブリーの前にウェブに化学柔軟剤を添加するこ
とによって区分される前者の方法に関連する典型的な技術には、米国特許第5,26
4,082号明細書(Phan & Trokhan,1993年11月23日発行:この文献は参照により
本明細書に含まれる)が含まれる。そのような方法は、特に、その操作がなけれ
ば紙に存在することとなる強度を減少させたい場合、さらに抄紙工程(特にクレ
ープ加工時)が結合抑制剤の添加に耐えうるほど堅牢である場合は、広く工場で
使用されてきた。しかしながら、当業者には周知のこれらの方法に付きものの問
題が存在する。第一に、化学柔軟剤の分布を制御できない。すなわち化学柔軟剤
はペーパー構造物全体に柔軟剤が用いられる繊維完成紙料と同じように広範囲に
分散する。さらに、これら添加剤の使用に付随して紙の強度が失われる。理論に
拘束されないが、当該添加物は繊維間水素結合の形成を抑制する傾向があると広
く信じられている。さらにまた、シートをヤンキー・ドライヤーから引き剥がす
とき当該シートのコントロールが失われる。また、広く信じられていることは、
当該添加物はヤンキー・ドライヤーの被覆に干渉し、それによって湿潤ウェブと
ドライヤー間の結合が弱められるということである。米国特許第5,487,813号明
細書(Vinsonら、1996年1月30日発行:この文献は参照により本明細書に含まれ
る)のような先行技術は、前述の強度およびクレープ加工シリンダーへの粘着に
対する影響を軽減させる化学物質との組み合わせを開示する。
しかしながら、それでもなおウェブの強度と製造工程への干渉に対する影響を最
小限にさせつつ化学柔軟剤を添加する必要性が存続する。
ティシュ・ペーパー・ウェブの形成時に当該ウェブに化学柔軟剤を添加するこ
とに関連するさらに別の典型的な例には、米国特許第5,059,282号明細書(Ampul
skiら、1991年10月22日発行:この文献は参照により本明細書に含まれる)が含
まれる。当該アンパルスキーの特許は、湿潤ティシュ・ウェブに(好ましくは約
20%から約35%の繊維濃度で)ポリシロキサン化合物を添加する工程を開示
する。そのような方法は、抄紙機への供給用スラリー・タンクに化学物質を添加
するといういくつかの点で進歩を示す。例えば、そのような手段は、完成紙料の
全繊維上に添加物を分布させるのとは対照的に、ウェブの一方の面に適用を集中
させる。しかしながら、そのような方法では抄紙機のウェット・エンドで化学柔
軟剤を添加することについての主要な不利益を克服することはできない。すなわ
ち、強度の影響およびヤンキー・ドライヤーの被覆に対する影響(そのようなド
ライヤーが用いられた場合)は克服できない。
強度および抄紙工程の中断に対する前述の影響のために、いわゆる抄紙機のド
ライ・エンドで、または抄紙工程の後で別個の加工操作で化学柔軟剤を乾燥済み
ペーパー・ウェブに適用するために多くの技術が考案された。この分野の典型的
な技術には以下が含まれる:米国特許第5,215,626号明細書(Ampulskiら、1993年
6月1日発行);米国特許第5,246,545号明細書(Ampulskiら、1993年9月21日発
行);米国特許第5,525,345号明細書(Warnerら、1996年6月11日発行)、これらの
文献は全て参照により本明細書に含まれる。第5215626号特許は、乾燥ウ
ェブにポリシロキサンを適用することによって柔らかいティシュ・ペーパーを製
造する方法を開示する。第5246545号特許は、加熱移転面を利用する同様
な方法を開示する。最後にウォーナー(Warner)の特許は、乾燥ティシュ・ウェ
ブの表面に特定の組成物を適用するためのロール被覆および押出し
を含む塗布方法を開示する。これらの参考文献の各々は、特に抄紙工程に対する
悪影響を排除することに関して以前のいわゆるウェット・エンド法より進歩を示
すが、一方、この文献のいずれも、乾燥ペーパー・ウェブに塗布する場合に付き
ものの引張強さの損失を十分に強調しているわけではない。
強度を低下させることなく高い柔軟化能を達成することは、本発明分野の研究
者の長い間の目的であった。前述の化学物質による柔軟化技術を実施する場合、
化学柔軟剤の使用に際して生じる必然的な強度の低下を相殺するために、典型的
には過剰に高レベルの強度をもつ構造をデザインすることがならわしであった。
抄紙工程でのパルプ・リファイナーの使用または樹脂の添加がこの目的のために
容易に利用できることは当業者には知られているが、しかしながら、それらは、
必然的に柔軟性の低下をもたらす。したがって、引張強さが一定の場合、柔軟性
の根幹的改善には限界がある。
バインダーをティシュ・ペーパー・ウェブの表面に塗布して、強度と柔軟性と
の間の新規な関係を含む特性の改善が可能なことは長い間知られてきた。米国特
許第3,862,877号明細書(Camden,1975年1月28日発行、この文献は参照により
本明細書に含まれる)はその典型例である。この参考文献では、少なくとも3層
を含むティシュ積層物(ラミネート)が開示されている。この文献では高固形物
、高粘度ラテックス・バインダーを用いて中央のティシュ層にしみこませ、さら
に2枚の外側層のいずれかの層に流入させることなく中央の層とこれら2枚の外
側層の各々とを結合させることが開示されているが、一方、この発明の条件では
、外側のティシュ層全体が中央の層と結合し、多層ティシュ・ペーパー製品とい
うよりは多重ティシュ・ペーパー・ウェブ製品が得られるラミネートが製造され
る。多層ティシュ・ペーパー製品は同様な多重ティシュ・ペーパー製品よりいく
らか柔軟である。
さらにまた、多層ティシュ・ペーパー製品の層間で不連続な結合を形成するた
めに多層ティシュ・ペーパー・ウェブの内側の面にバインダーを塗布して用いる
ことも長い間実施されてきた。これによって、例えば使用時に層の分離が効果的
に防止され、しかも多層製品としてのその構造的特性は維持される。この分野の
典型的な技術例は、米国特許第5,143,776号明細書(Givens)(この文献は参照によ
り本明細書に含まれる)である。この特許は、層の分離傾向に関することを除き
、層バインダーを用いて多層製品を顕著に強化することについては教示していな
い。すなわち、当該製品の乾燥引張強さは顕著には高められていない。
したがって、本発明の目的は高レベルの強度を達成する柔軟な多層ティシュ・
ペーパー製品を提供することである。
以下の開示で教示するように、本目的および他の目的は本発明を用いて達成さ
れる。
発明の要旨
本発明の目的は強くて柔らかい多層ティシュ・ペーパー製品であり、この場合
ティシュ・ペーパーの少なくとも1つの内側表面が表面沈着強化剤を有する。
強化剤の組成は好ましくは多様なポリマー物質から選択され、これら物質には
溶媒をベースにした接着剤、水溶性ポリマー、水に分散性接着剤、ポリマー乳液
、および高温溶融接着剤が含まれる。適切なポリマー性バインダーには、澱粉、
ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、アクリルポ
リマー、スチレンブタジエンコポリマー、酢酸ビニルポリマー、エチレンビニル
アセテートコポリマー、塩化ビニルポリマー、塩化ビニリデンポリマー、塩化ビ
ニルビニリデンコポリマー、アクリロニトリルコポリマーおよびエチレンアクリ
ル酸コポリマーが含まれる。
エラストマーラテックス乳液は、当該強化剤の好ましい液状形である。強化剤
は、好ましくはいくらかべとべとし例えば約0℃またはそれ未満のガラス転移温
度を有するが、約50℃から約−50℃のガラス転移温度が本発明では用いられ
るであろう。最も好ましい強化剤は、約−30℃から約10℃のガラス転移温度
を有するアクリルラテックスである。
当該強化剤はティシュ・ペーパー製品の好ましくは微量成分で、好ましくはテ
ィシュ・ペーパー製品の乾燥重量に対して強化剤の乾燥重量を基準にしてティシ
ュ・ペーパー製品の重量のわずかに約0.5%から約10%を構成する。当該組
成のより好ましい範囲では、当該強化剤は当該ティシュ・ペーパー製品の重量で
約2%から約5%を構成する。
本発明の好ましい実施態様は2層ティシュ・ペーパー製品で、製品の両内側面
が表面強化剤を含有する。
好ましくは、強化剤は、当該ティシュ・ペーパーウェブの本質的には内側面全
体に散布される。最も好ましくは、比較的拡散状態のフィールド内に分散された
比較的集中的な強化剤領域で構成されるまばらで個々に分離したパターンがさら
に提供される。まばらで集中的な領域の機能は、十分な濃度の強化剤を提供して
隣接するティシュ・ペーパー・ウェブとの断続的層結合を達成するためである。
拡散的な強化剤濃度の機能は、これらの領域で層結合をもたらすことなくティシ
ュ・ペーパー製品の強化を提供するためである。
本発明のまた別の目的は、柔軟で強靱な多層ティシュ・ペーパー製品の製造方
法で、当該方法の工程は以下のとおりである:
(a)表面沈着によって液状強化剤をティシュ・ペーパー・ウェブの表面に
適用して、約0.5%から約10%の強化剤を含む表面強化ティシュ・ペーパー
・ウェブを形成し;さらに
(b)工程(a)の表面を強化したティシュ・ペーパー・ウェブを少なくと
ももう1枚のティシュ・ペーパー・ウェブと結合させて多層ティシュ・ペーパー
製品を形成し、このとき強化剤を含む面が多層ティシュ・ペーパー製品の内側の
面を形成するように当該表面強化ティシュ・ペーパーウェブの向きを定める。
本発明の方法の結合工程では、2枚またはそれ以上のティシュ・ペーパー・ウ
ェブ間で結合を形成させてもよいが、そのような結合を形成させる場合は、本発
明の多層ティシュ製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブ間の遊び部分を維
持するために、ウェブの表面の大半を覆う結合を形成させてはいけない。
液状強化剤は好ましくは不均一に沈着され、それによって均一でまばらな個々
に分離した比較的集中的な液状強化剤のパターンが、均一に適用された比較的拡
散的な液状強化剤のパターン内に沈着される。この事例では、強化剤集中領域を
介して結合させることによって表面強化ティシュ・ペーパー・ウェブをさらに別
のティシュ・ペーパー・ウェブと実質的に結合させるために十分であるが、しか
し均一で比較的拡散したフィールドに存在する強化剤領域による結合を達成する
には不十分である結合圧を用いて結合工程(b)を実施するのが好ましい。
強化剤を沈着させる好ましい方法は印刷加工である。
液状強化剤は好ましくはラテックス乳液である。アクリルラテックスが特に適
切である。より好ましくは、ラテックス乳液は約10%から約50%、最も好ま
しくは約20%から約30%の固形成分を有する。
本発明の強くて柔らかい多層ティシュ・ペーパー製品は、好ましくは約20g
/m2から約70g/m2、より好ましくは約25g/m2から約50g/m2の坪
量を有する。当該多層ティシュ・ペーパー製品は、約0.03g/cm3から約
0.6g/cm3、より好ましくは約0.1g/cm3から0.2g/cm3の密
度を有する。
本発明の柔らかいティシュ・ペーパーはさらに硬木および軟木の両方の抄紙繊
維を含み、当該抄紙繊維の少なくとも約50%は好ましくは硬木タイプで少なく
とも約10%は好ましくは軟木タイプである。硬木および軟木繊維は均一に分布
させてもよいが、有利には互いに別々の層に配分することによって単離できる。
この場合、多層ティシュ・ペーパー製品を構成する1つまたは2つ以上のティシ
ュ・ペーパー・ウェブはさらに内側層と少なくとも1枚の外側層を含む。この事
例の好ましい重層配置では、軟木繊維は内側面と同一空間を占める層に、硬木繊
維は外側面と同一空間を占める層に配分される。
本発明のティシュ・ペーパー・ウェブは好ましくはクレープ加工を施され、す
なわちヤンキー・ドライヤーで完結する抄紙機で製造される(部分的に乾燥させ
た抄紙ウェブをヤンキー・ドライヤーに付着させて当該ドライヤー上で乾燥させ
、さらに可撓性クレープ加工ブレードの作用によってドライヤーから当該ウェブ
を取り除く)。
型模様高密度加工がクレープ加工に先行する場合は特にクレープ加工ペーパー
・ウェブの特性を有することが本発明の実施に好ましいが、非クレープ加工ティ
シュ・ペーパーもまた満足の得られる代替物で、非クレープ加工ティシュ・ペー
パーを用いる本発明の実施もまた本発明の範囲内に明確に包含される。本明細書
で用いられるように、非クレープ加工ティシュ・ペーパーは、非圧縮的に乾燥さ
せたティシュ・ペーパー、最も好ましくはスルードライによって乾燥させたティ
シュ・ペーパーを指す。得られたスルードライ・ウェブは、比較的高密度のゾー
ンが高嵩ばり領域内に分散されるように型模様高密度加工が施される。この場合
、比較的高密度のゾーンが連続し、高嵩ばり領域が個々に分離している型模様高
密度加工ティシュも含まれる。
非クレープ加工ティシュ・ペーパー・ウェブを製造するには、初期ウェブが静
置されている多孔性形成キャリヤーから当該ウェブが低速移動高繊維支持体移転
用ファブリック・キャリヤーに移される。続いてウェブを乾燥用ファブリックに
移しそこで最終的に乾燥させる。そのようなウェブはクレープ加工ペーパー・ウ
ェブと比較して表面の滑らかさに関してしばしばいくつかの利点を提供すること
ができる。
この態様で非クレープ加工ティシュを製造する技術は先行技術分野で開示され
ている。例えば欧州特許出願第0677/612A2号明細書(Wendtら、1995年
10月18日公開、この文献は参照により本明細書に含まれる)は、クレープ加工を
施さないで柔らかいティシュ製品を製造する方法を開示する。別の例では、欧州
特許出願第0617/164A1号明細書(Hylandら、1994年9月28日公開、こ
の文献は参照により本明細書に含まれる)は、スルードライによる滑らかな非ク
レープ加工シートの製造方法を開示する。
一般的にティシュ・ペーパー・ウェブは本質的に抄紙繊維で構成される。少量
の機能性化学物質(例えば湿潤または乾燥強力バインダー、歩留り向上剤、界面
活性剤、サイズ、化学柔軟剤、クレープ加工促進組成物、および填料物質)がし
ばしば含まれるが、これらは典型的には微量で用いられるだけである。ティシュ
・ペーパーで最も頻繁に用いられる抄紙繊維は生の化学木材パルプである。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の表面沈着強化剤を含む多層ティシュ・ペーパー製品の製造方
法を表したグラビア印刷と結合装置の側面図である。図1に示した工程では、強
化剤はオフセット・グラビア印刷法によってティシュ・ペーパー・ウェブの一方
の面に適用される。
図2は、本発明の表面沈着強化剤を含む多層ティシュ・ペーパー製品の製造方
法を表したグラビア印刷と結合装置の側面図である。図2に示した工程では、強
化剤は直接グラビア印刷法によってティシュ・ペーパー・ウェブの一方の面に適
用される。
図3は、本発明の表面沈着強化剤を含む多層ティシュ・ペーパー製品の製造方
法を表したグラビア印刷と結合装置の側面図である。図3に示した工程では、強
化剤は直接グラビア印刷法によって2枚のティシュ・ペーパー・ウェブの一方の
面に適用され、これらウェブを続いて結合させて多層ティシュ・ペーパー製品を
形成する。
図4は本発明の多層ティシュ・ペーパー製品の断面模式図で、強化剤が存在す
るゾーンを示している。
図5は、図1、2および3で示した印刷ローラー(すなわち図1のグラビア・
ローラー4、図2のグラビア・ローラー26、図3のグラビア・ローラー64)
で使用する陥凹領域の細部を示す模式図である。
図6は、長繊維、短繊維および強化剤適用表面を含むペーパー・ティシュ・ウ
ェブのフェルト側の走査電子顕微鏡写真である。
図7は、長繊維、短繊維および強化剤適用表面を含むペーパー・ティシュ・ウ
ェブの断面の走査電子顕微鏡写真である。
発明の詳細な説明
本明細書は発明の主要な事項を具体的に指摘し、さらに明確に権利を主張する
請求の範囲で完結しているが、一方、本発明は以下の詳細な説明および添付の実
施例を通読することによってより一層の理解が可能であると考える。
本明細書で用いられているように、“含む”という用語は、種々の構成要素、
成分または工程を本発明の実施において共同して用いることができることを意味
する。したがって、“含む”という用語は、より制限的な用語である“本質的に
〜からなる”または“〜からなる”を包含する。
本明細書で用いられるように、“水溶性”という用語は、25℃において重量
で少なくとも3%水に溶解できる物質を指す。
本明細書で用いられるように、“ティシュ・ペーパー・ウェブ、ペーパー・ウ
ェブ、およびティシュ・ウェブ”という用語は全て、水性抄紙完成紙料を形成し
、この完成紙料を多孔性表面(例えば長網ワイヤ)に沈積させ、重力または真空
支
援排水によって当該完成紙料から水を除去して初期ウェブを形成し、さらに任意
の工程である1つまたは2つ以上の円筒ドラム・ドライヤーに移す前に当該初期
ウェブをその上で部分的または完全に乾燥させるフェルトまたはファブリックに
当該初期ウェブを移し、その後リールに巻き取る工程を含む方法によって製造さ
れるペーパー・シートを指す。
“多重ティシュ・ペーパー・ウェブ、多重ペーパー・ウェブ、多重ウェブ、多
重ティシュ”という用語は全て、好ましくは異なる繊維タイプ(これらの繊維は
、ティシュ・ペーパー製造に用いられるとおり典型的には比較的長い軟木繊維お
よび比較的短い硬木繊維である)で構成される水性抄紙完成紙料の2層または3
層以上で製造されるペーパーシートを指すために当技術分野では相互に用いられ
る。これらの層は、好ましくは1つまたは2つ以上の無端多孔面の上に希釈した
繊維スラリー流を別々に沈積させて形成する。先ず個々の層を別々の多孔面で形
成する場合は、続いてこれらの層を結合させて多重ティシュ・ペーパーウェブを
形成する。多重ティシュ・ペーパー・ウェブの明らかな特性はこれら別々の層が
、本質的にそれらの全面にわたって互いに結合されているということである。
本明細書で用いられるように、“一層ティシュ製品”という用語は、それが1
枚のティシュ層で構成されていることを意味する。この層は実質的に完全に均一
でもよく、また多重ティシュ・ペーパー・ウェブでもよい。
本明細書で用いられるように、“多層ティシュ製品”という用語は、当該製品
が2層以上の層をもつティシュ・ペーパーで構成されていることを意味する。多
層ティシュ製品の層は、実質的に完全に均一でもよく、また多重ティシュ・ペー
パー・ウェブでもよい。多層ティシュ・ペーパー製品の明らかな特性は、これら
の層が隣接する層との結合からもっぱら自由であるということである。すなわち
、多層ティシュ・ペーパー製品の層が結合される場合、それらは、その面の極小
さい部分でのみ結合されている。
本発明の目的は強靱で柔軟な多層ティシュ・ペーパー製品で、この場合、ティ
シュ・ペーパーの少なくとも1つの内側面が表面沈着強化剤を有する。
本明細書で用いられるように、“内側面”という用語は、多層ティシュ・ペー
パー製品が用いられるときに、本来露出されることがない当該製品の一切の面を
指す。内側面は、例えば構成ティシュ・ペーパー・ウェブの不完全な不透明性に
よって当該製品の外側から部分的に見ることができるかもしれないが、内側面の
明らかな特性は、当該製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブの成分である
抄紙繊維の存在によって使用時に実質的に遮蔽されるということである。
本明細書で用いられるように、“外側面”という用語は、多層ティシュ・ペー
パー製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブのもっぱら露出している面を指
す。
強化剤組成物は、好ましくは極めて多様なポリマー物質(溶媒をベースにした
接着剤、水溶性ポリマー、水に懸濁できる接着剤、ポリマー乳剤、および高温溶
融接着剤を含む)から選択される。強化剤は、乾燥強度に加えて湿潤強度にも影
響を与えることができるかもしれない。適切なポリマー性バインダーには、澱粉
、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、アクリル
ポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、酢酸ビニルポリマー、エチレンビニ
ルアセテートコポリマー、塩化ビニルポリマー、塩化ビニリデンポリマー、塩化
ビニルビニリデンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、およびエチレンア
クリル酸コポリマーが含まれる。
適用時に強化剤は、ティシュ・ペーパー・ウェブの表面に沈着させることがで
きるように液状にしなければならない。“液状強化剤”または“液状形強化剤”
という用語は、本発明のティシュ・ペーパー・ウェブの表面に適用した後の形態
と適用時の形態の強化剤とを区別するために本明細書では用いられる。液状化を
達成するためには極めて多様な手段が有ることは当業者には理解されよう。ポリ
マーが水または溶媒に溶解性または懸濁性である場合は、水または適合する溶媒
に
溶解または懸濁させることができる。ポリマーが熱可塑性の場合は、当該ポリマ
ーの温度を十分に高めてポリマーを軟化または溶融させて液状にすることができ
る。当該ポリマーが微細に分割された固体である場合は気流中に浮遊させること
ができる。
液状強化剤の最も好ましい形態は水性乳液である。水が安全で安価な担体で、
乳液の特徴は、高い粘性をもつことなく比較的高い個体性活性をもつということ
である。
エラストマー性合成ラテックス乳液は特に好ましい液状形強化剤である。
強化剤は、好ましくはいくらかべとべとし、0℃またはそれ未満のガラス転移
温度を有するが、例えば50度から−50℃のガラス転移温度を本発明では用い
ることができる。最も好ましい強化剤は約−30℃から約10℃のガラス転移温
度をもつアクリルラテックスである。
強化剤は、有効な量ですなわち所望レベルの強度の増加をもたらすために有効
な量で用いられる。添加量が少なすぎる場合は、強度の増加は認められないであ
ろう。添加量が多すぎる場合は、適用によって厚さおよび吸収性の点でティシュ
・ペーパー製品の性能は損なわれるであろう。好ましくは、強化剤はティシュ・
ペーパー製品の微量成分であり、ティシュ・ペーパー製品の乾燥重量に対する強
化剤の乾燥重量を基準にして好ましくはティシュ・ペーパー製品の重量で約0.
5%から約10%を構成する。より好ましい範囲の組成物では、強化剤は当該テ
ィシュ・ペーパー製品の重量で約2%から約5%を構成する。
本発明の多層ティシュ製品を構成する層の好ましい数は2枚であるが、3枚ま
たは4枚以上の層も同様に用いることができる。2層製品は2つの内側面を有す
る。内側面の1方の面またはそれ以上の面、好ましくは両方の面が本発明の表面
沈着強化剤を有する。
好ましくは、強化剤が存在するティシュ・ペーパー・ウェブの内側面の本質的
に全体に強化剤が散布される。最も好ましくは、比較的拡散状態のフィールド内
に分散された比較的集中的な強化剤領域で構成されるまばらで個々に分離したパ
ターンがさらに提供される。このまばらで集中的な領域の機能は、十分な濃度の
強化剤を提供し、隣接するティシュ・ペーパー・ウェブとの断続的な層結合を達
成することである。拡散的状態の強化剤の機能は、これらの領域との層結合をも
たらさないでティシュ・ペーパー製品に強度を提供することである。
ティシュ・ペーパー・ウェブは、1方の面と他方の面との間でしばしば極めて
異なる特性をもつのが特徴である。これは、それらが生じる工程の性質からもた
らされる。例えば、ティシュ・ウェブがヤンキー・ドライヤーを用いて抄紙機上
で製造される場合、これらの相違は、主に一方の面は比較的滑らかなヤンキー面
に接着剤によって固定されることによる人工産物であると考えられ、他方の面(
いわゆる“フェルト側”の面)はフェルトまたはファブリックに押しつけられる
かまたはそれらに向かってゆがめられる。類似の態様で、クレープ加工されてい
ない(ヤンキー・ドライヤーに固定されていない)ティシュは、当該ティシュが
静置されている多孔性形成用キャリヤーから低速移動高繊維支持体移転用ファブ
リック・キャリヤーに移されるときにその面の一方がゆがめられるという性質の
ために、比較的手触りのある1つの面(本明細書ではまた“フェルト側”面と称
される)をもつであろう。いずれの事例でも、フェルト側面と反対の面は本明細
書では“ワイヤー側”面と呼ぶ。
本発明の多層ティシュ・ペーパー製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブ
には好ましい方向性が存在する。当該ウェブの好ましい方向性は、外側面がワイ
ヤー側面と一致し、内側面はフェルト側面と一致するものである。理論に拘束さ
れないが、発明者らは、ワイヤー側面のより高い滑らかさは外側面として有利に
用いられ、フェルト側面のより明瞭な手触りは本明細書で開示するように強化剤
の沈着の容易さを改善すると考える。
さらに本発明の目的は、柔軟で強靱な多層ティシュ・ペーパー製品を製造する
方法である。当該方法の工程は以下のとおりである:
(a)液状強化剤をティシュ・ペーパー・ウェブの面に表面沈着によって適
用して、約0.5%から約10%の強化剤を含む表面強化ティシュ・ペーパー・
ウェブを形成し;さらに
(b)多層ティシュ・ペーパー製品を形成するために、工程(a)の表面強
化ティシュ・ペーパー・ウェブと少なくとももう1枚の別のティシュ・ペーパー
・ウェブと結合させるが、このとき、強化剤を含む面が多層ティシュ・ペーパー
製品の内側面を形成するように表面強化ティシュ・ペーパー・ウェブの向きを定
める。
液状強化剤は好ましくは不均一に沈着され、それによって比較的集中的な液状
強化剤領域で構成される均一でまばらな個々に分離したパターンが、均一に適用
された比較的拡散的な液状強化剤パターンの中に沈着する。この事例では、強化
剤の集中的領域を介して結合させることによって表面強化ティシュ・ペーパー・
ウェブをまた別のティシュ・ペーパー・ウェブと実質的に結合させるために十分
な結合圧であるが、均一で比較的拡散的なフィールドに存在する強化剤領域によ
って結合を達成するには不十分である結合圧を用いて結合工程(b)を達成する
ことが好ましい。
強化剤を沈着させる好ましい方法は印刷である。最も好ましい印刷の方法は直
接グラビアである。
液状強化剤は好ましくは水性ラテックス乳液である。アクリルラテックスが特
に適切である。より好ましくは、ラテックス乳液は約10%から約50%、最も
好ましくは約20%から約30%の固形成分を有する。
本発明の好ましい実施態様は、表面強化剤が存在する内側面の実質的に全体を
当該表面強化剤が覆うという特徴を有する。約100沈着物/約2.54cm(
1
インチ)またはそれ以上の頻度の液状強化剤の均一な沈着によって十分にこれが
達成される。最も好ましくは、約200から1000沈着物/約2.54cm(
1インチ)の頻度が望ましい。
本明細書で用いられるように、化学柔軟剤沈着物の間隔の取り方に関して“頻
度”という用語は、最も接近している間隔の方向で測定したとき約2.54cm
(1インチ)の直線当たりの沈着物の数と定義される。多くの沈着物パターンま
たは沈着物配列が均一で個々に分離しているものと見做され、さらに間隔は幾つ
かの方向で測定できることは理解されよう。例えば、直線で囲まれた沈着物の配
列では、対角線上での単位cm当たり(単位インチ当たり)の沈着物の数は水平
または垂直線上での数より少なく測定されるであろう。発明者らは、最小間隔方
向が最も重要であると考え、したがってこの方向の頻度を規定する。一般的なエ
ンボス・パターンはいわゆる“六角形”パターンで、この場合、陥凹領域は正六
角形のコーナー上に存在する中心部でエンボスされる(この正六角形はさらに別
の陥凹領域をその六角形像の中心に有する)。この配列の場合、最も接近した間
隔は互いに60度で交叉し、さらに各々は水平線と60度で交叉する1対の直線
に沿って存在する。六角形配列の場合の単位平方面積当たりのセル数はしたがっ
て頻度の二乗の1.15倍である。
液状強化剤の均一な表面沈着物は、直径が好ましくは約250ミクロン未満、
より好ましくは約150ミクロン未満、最も好ましくは約50ミクロン未満であ
る。上記で述べた沈着物のサイズは、ティシュ・ペーパー・ウェブに接触した瞬
間の液状強化剤のサイズである。好ましい液状強化剤は、基層に適用されるや直
ちに浸透を促進する粘性および表面張力を有することは理解されるところであろ
う。強化剤によって被覆される面積は、したがって先に本明細書で特定した沈着
物頻度および沈着物サイズ範囲によって予想されるものより大きいと思われる。
本発明の好ましい実施態様では、実際のところ実質的に全表面が強化剤によって
被覆される。
さらに本発明の特徴は、2層タイプの多層ティシュ・ペーパー製品の主として
2つの内側表面の少なくとも1方、より好ましくは両方に存在する均一な表面沈
着物を有することである。
本発明のティシュ・ペーパー・ウェブは、当該強化剤の手段によってまたは他
の手段によって互いに結合させることができる。そのような結合が存在する場合
は、本発明の多層ティシュ製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブ間の遊び
面を維持するために、それら結合はウェブ表面の大半を覆ってはならない。
これを達成する特に有効な手段の1つは液状強化剤を不均一に沈着させること
である。特に好ましい不均一適用は次の特徴、即ち液状強化剤が比較的集中的に
存在する領域が均一かつ疎に分散したパターンを、液状強化剤が比較的乱雑に分
布したパターンの中に沈着させ、ここで本発明の工程の組合せ段階を実施し、こ
の実施は、表面が強化剤を塗布されたティシュ・ペーパー・ウエブを付加的なテ
ィシュ・ペーパー・ウエブに、強化剤の集中的存在領域を介して結合させること
によって行なう。この組合せ圧力は、強化剤の領域を均一で比較的乱雑なフィー
ルドの中に存在させることによって結合するには充分でないように選択する。
液状強化剤の比較的乱雑なパターンは、当該強化剤が存在する内側面の実質的
全体を覆うという特徴を有する。本明細書で先に述べたようにこの条件を達成す
るためには、液状強化剤の均一な沈着物の間隔は約100沈着物/約2.54c
m(1インチ)またはそれ以上で十分である。最も好ましくは、約200から約
1000沈着物/約2.54cm(1インチ)の間隔が望ましい。さらにまた、
本明細書で先に述べたように、液状強化剤の均一な表面沈着物は、好ましくは直
径が約250ミクロン未満、より好ましくは約150ミクロン未満、最も好まし
くは約50ミクロン未満である。この場合、特定した直径は、ティシュ・ペーパ
ー・ウェブに接触した瞬間の液状強化剤沈着物のサイズを指す。
対比すれば、液状強化剤の濃厚領域の比較的均一でまばらなパターンは、当該
強化剤が存在する内側面のほんの小部分を覆うという特徴を有する。この条件を
達成するためには、疎らなパターンを構成する液状強化剤の均一な沈着物の頻度
は約2沈着物/約2.54cm(1インチ)で十分である。最も好ましくは、約
0.2から約1沈着物/約2.54cm(1インチ)の頻度が望ましい。疎らな
パターンの液状強化剤の均一な表面沈着物は、好ましくは直径が1000ミクロ
ンより大きく、より好ましくは約2500ミクロンより大きく、最も好ましくは
約5000ミクロンより大きい。上記にいう沈着物のサイズとは、ティシュ・ペ
ーパー・ウェブと接触した瞬間の液状強化剤のサイズを指す。好ましい液状強化
剤はいったん基層に適用されるが浸透を促進する粘性および表面張力を有するこ
とは理解されるところであろう。強化剤によって被覆される面積は、したがって
本明細書で先に特定した沈着物頻度および沈着物サイズによって予想されるもの
より大きいと考えられる。しかしながら、疎らなパターンに存在する沈着物の頻
度および沈着サイズは当該沈着物サイズの“成長”を最小にするように選択され
るべきである。なぜならば、これら沈着物の機能は、全体的態様で層を互いに固
定するのではなく隣接するティシュ・ペーパー・ウェブとの断続的層結合を厳密
に促進することだからである。
本発明の多層ティシュ・ペーパー製品は、好ましくは約20g/m2から約7
0g/m2、より好ましくは約25g/m2から約50g/m2の坪量を有する。
当該ティシュ・ペーパー製品は、約0.03g/cm3から約0.6g/cm3、
より好ましくは約0.1g/cm3から0.2g/cm3の密度を有する。
さらに本発明の柔らかいティシュ・ペーパーは硬木および軟木の両タイプの抄
紙繊維を含み、この場合、当該抄紙繊維の少なくとも約50%は硬木で、少なく
とも約10%は軟木である。当該硬木および軟木繊維は、最も好ましくは各々を
別々の層に配分することによって単離される。この場合、多層ティシュ・ペーパ
ー製品を構成するティシュ・ペーパー・ウェブは1枚の内側層と少なくとも1枚
の外側層を有する。
本発明のティシュ・ペーパー・ウェブは好ましくはクレープ加工される(すな
わちヤンキー・ドライヤーで完結する抄紙機で製造される)。この場合当該ヤン
キー・ドライヤーに部分的に乾燥させた抄紙ウェブを粘着させ、当該ドライヤー
上でウェブを乾燥させ、さらに当該ドライヤーから可撓性クレープ加工ブレード
の作用によってウェブを取り外す。
クレープ加工は流れ方向に機械的に紙を圧縮する手段である。クレープ加工の
結果は、坪量(単位面積当たりの質量)の増加とともに、多くの物理的特性にお
ける劇的な変化(特に流れ方向で測定した場合)である。クレープ加工は、一般
にオン・マシーン操作でヤンキー・ドライヤーに押しつけた可撓性のブレード(
いわゆるドクターブレード)を用いて達成される。
ヤンキー・ドライヤーは大きな直径(一般に約2.44mから約6.10m(8
から20フィート))のドラムで、蒸気で圧縮できるようにデザインされ、抄紙工
程の最後に抄紙ウェブの乾燥を完了させるために加熱面を提供する。最初に例え
ば長網ワイヤーのような多孔性形成キャリアー(繊維性スラリーを分散させるた
めに必要であった多量の水がここで除去される)上で形成されるペーパー・ウェ
ブは、一般的にいわゆる圧縮セクションのフェルトまたはファブリックに移され
る。圧縮セクションでは、完全乾燥のために最終的に生乾き状態でヤンキー・ド
ライヤーの表面に移す前に、紙の機械的圧搾または他の脱水方法(例えば熱した
空気によるスルードライ)による脱水が継続される。
本発明で有用なティシュ・ペーパーを製造するための最も好ましいクレープ抄
紙工程を変化させた方法にはいわゆる型模様高密度化法が含まれるが、この場合
、得られる構造物は、比較的低い繊維密度をもつ比較的高嵩張りフィールドと高
嵩張りフィールド内に分散された比較的高い繊維密度をもつ高密度化ゾーン配列
を
特徴とする。この高嵩張りフィールドは、また別にはナックル領域と称される。
高密度化ゾーンは高嵩張りフィールド内に個々に離れて配置されていてもよく、
また高嵩張りフィールド内に完全にまたは部分的に相互に連結されていてもよい
。好ましくは、比較的高密度のゾーンは連続していて、高嵩張りフィールドは不
連続である。型模様高密度化ティシュ・ウェブの好ましい製造方法は以下に開示
されている(これらの文献は全て参照により本明細書に含まれる):米国特許第3,
301,746号明細書(Sanford & Sisson,1967年1月31日発行);米国特許第3,974,0
25号明細書(Peter G.Ayers、1976年8月10日発行);米国特許第4,191,609号明
細書(Paul.D.Trokhan,1980年3月4日発行);米国特許第4,637,859号明細書(
Paul.D.Trokhan,1987年1月20日発行);米国特許第4,942,077号明細書(Wendt
ら、1990年7月17日発行)。
型模様高密度化クレープ加工ティシュ・ウェブを形成するためには、ウェブ形
成直後のウェブ移転工程で形成用フェルトではなく形成用ファブリックへ移動さ
せる。ウェブは形成ファブリックを構成する支持体配列に対して並置する。ウェ
ブを支持体配列に対して圧縮し、それによって支持体配列と湿潤ウェブとの間の
接触点に位置的に一致するウェブ内の場所に高密度化ゾーンが生じる。この操作
中に圧搾されないウェブの残りの部分は高嵩張りフィールドと称される。この高
嵩張りフィールドは、例えば真空型装置またはブロースルー・ドライヤーを用い
る流体圧の適用によってさらに低密度化することができる。ウェブを脱水し、さ
らに高嵩張りフィールドの圧縮を実質的に回避することができる態様で場合によ
って予備乾燥する。これは、好ましくは例えば真空型装置またはブロースルー・
ドライヤーを用いる流体圧の適用によって、また別には高嵩張りフィールドが圧
搾されないように支持体配列に対してウェブを機械的に押しつけることによって
達成される。脱水操作、任意の予備乾燥操作および高密度ゾーンの形成操作は、
一体化または部分的に一体化して実施されるべき処理工程の総数を削減してもよ
い。ヤンキー・ドライヤーに移す時点での生乾きウェブの含水量は約40%未満
で、生乾きウェブが当該形成用ファブリック上にあるときに熱した空気を当該生
乾きウェブ内に強制的に通して低密度構造を形成する。
型模様高密度化ウェブをヤンキー・ドライヤーに移して完全に乾燥させるが、
好ましくはなお機械的圧縮を避ける。本発明では、好ましくはクレープ加工ティ
シュ・ペーパー面の約8%から約55%が、高嵩張りフィールドの密度の少なく
とも125%の相対密度をもつ高密度化ナックルを有する。
支持体配列は、加圧時に高密度化ゾーンの形成を促進する支持体配列として機
能するナックルのパターン化置き換えをもつ、好ましくは押圧用キャリアー・フ
ァブリックである。当該ナックルパターンは先に述べた支持体配列を構成する。
押圧用キャリアー・ファブリックは以下の文献に開示されている(これらの文献
は全て参照により本明細書に含まれる):米国特許第3,301,746号明細書(Sanford
& Sisson,1967年1月31日発行);米国特許第3,821,068号明細書(Salvucci,Jr.ら
、1974年5月21日発行);米国特許第3,974,025号明細書(Ayers,1976年8月10日発
行);米国特許第3,573,164号明細書(Friedbergら、1971年3月30日発行);米国特
許第3,473,576号明細書(Amneus,1969年10月21日発行);米国特許第4,239,065号
明細書(Trokhan,1980年12月16日発行)および米国特許第4,528,239号明細書(Trok
han,1985年7月9日発行)。
最も好ましくは、初期ウェブを流体力によって乾燥/押圧用オープン・メッシ
ュ・ファブリック面と一致させ、その後で低密度抄紙工程の一部として当該ファ
ブリック上で熱によって予備乾燥させる。熱した空気を初期ウェブ内に通すこと
によって熱による予備乾燥を実施する場合、この工程を当技術分野では通気空気
乾燥と呼ぶ。通気空気乾燥ウェブが本発明での使用に特に好ましい。
先に本明細書で述べた乾燥または押圧用ファブリックが高嵩張りフィールド内
に分散された連続高密度(“ナックル”)領域を有するという特徴をもつ場合に
は、
本発明の利点は強く認識されるであろう。好ましくは、弁別的密度構造をもつ比
較的高嵩張り領域は、本明細書では“ピロー”と呼ぶ個々に分離した領域である
。乾燥または押圧用ファブリックが連続する高密度またはナックル領域を含むと
き、当該ピローは必然的に不連続である。ティシュ・ペーパーのある面積におけ
るピローの頻度は重要である。押圧用ファブリックの最大嵩張りと可視性のため
に可能な限り高いピロー・レベルを維持することが所望される。しかしなから、
過剰なサイズはより甚だしい手触りによる打ち消しのために顕著に柔軟さを減ず
る。
本発明の範囲内に含まれる当該加工工程の別の変形工程には、いわゆる非圧搾
、型模様非高密度化多重ティシュ・ペーパー構造の形成が含まれる。これらの構
造は例えば以下の文献に記載されている(これらの特許は共に参照により本明細
書に含まれる):米国特許第3,812,000号明細書(Joseph L.Salvucci,Jr.& Peter N
.Yiannos,1974年5月21日発行)および米国特許第4,208,459号明細書(HenryE.Bec
ker,Albert L.McConnell & Richard Schutte,1980年6月17日発行)。一般に非
圧搾、型模様非高密度化多重ティシュ・ペーパー構造物は、抄紙完成紙料を例え
ば長網ワイヤーのような多孔性形成ワイヤー上に沈積させて湿潤ウェブを形成し
、ウェブが少なくとも80%の繊維濃度をもつまで機械的圧搾を施さないでウェ
ブから排水して付加された水を除去し、さらにウェブにクレープ加工を施す。水
は真空脱水および熱による乾燥によってウェブから除去する。得られた構造物は
、比較的非圧搾性の繊維を含む柔軟であるが弱い高嵩張りシートである。結合物
質は好ましくはクレープ加工の前にウェブの一部分に適用される。
特に型模様高密度化方法がクレープ加工工程に先行する場合は当該クレープ加
工ペーパー・ウェブの特徴は本発明の実施に好ましいが、非クレープ加工ティシ
ュ・ペーパーもまた満足な代替物で、非クレープ加工ティシュ・ペーパーを用い
る本発明の実施も本発明の範囲内に明らかに包含される。
本明細書で用いられる用語である非クレープ加工ティシュ・ペーパーは、非圧
搾的に(最も好ましくはスルードライによって)乾燥されたティシュ・ペーパー
を指す。得られたスルードライ・ウェブに、比較的高密度のゾーンが高嵩張りフ
ィールド内に分散されるように型模様高密度化を施す。この場合、比較的高密度
のゾーンが連続し、高嵩張りフィールドが不連続である型模様高密度化ティシュ
も含まれる。
非クレープ加工ティシュ・ペーパー・ウェブを製造するためには、初期ウェブ
が静置されている多孔性形成キャリヤーから低速移動高繊維支持体移転用ファブ
リック・キャリヤーに当該ウェブを移す。続いてウェブを乾燥ファブリックに移
し、その上で最終乾燥まで乾燥させる。そのようなウェブは、クレープ加工ペー
パー・ウェブと較べて表面の滑らかさにおいていくつかの利点を提供する。
この態様で非クレープ加工ティシュを製造する技術は先行技術で教示されてい
る。例えば、欧州特許出願第0677/612A2号明細書(Wendtら、1995年10
月18日公開、この文献は参照により本明細書に含まれる)は、クレープ加工を施
さないで柔らかいティシュ製品を製造する方法を開示する。別の事例では、欧州
特許出願第0617/164A1号明細書(Hylandら、1994年9月28日公開、こ
の文献は参照により本明細書に含まれる)は、クレープ加工を施さない平滑なス
ルードライ・シートの製造方法を開示する。
図1−図7は、本発明の理解を補助するものとして提示される。
図1は、本発明の表面沈着強化剤を含む多層ティシュ・ペーパー製品の形成方
法を示すグラビア印刷および結合の装置の側面図である。図1に示す工程は、オ
フセット・グラビア印刷法によりティシュ・ペーパー・ウェブの1つの面に強化
剤を適用する。
図1を参照すれば、液状強化剤6は、回転グラビア・ローラー4が液状強化剤
6中に部分的に浸漬できるように鉄なべ5内に示されている。グラビア・ローラ
ー4は複数の陥凹領域を有し、当該領域は、鉄なべ5に入るときは実質的に内容
物を欠いているが、グラビア・ローラー4がローラーの回転中に鉄なべ5中の液
状強化剤に部分的に浸漬されるようになると液状強化剤6で満たされる。
なお図1を参照すれば、鉄なべ5から取り出されたが陥凹領域に保持されない
過剰な液状強化剤6は、可撓性ドクターブレード7で除去される。このドクター
ブレードはグラビア・ローラー4とその外側面で接触しているが、激しく変形し
て陥凹領域中に侵入することはできない。したがって、グラビア・ローラー4上
に残留する液状強化剤は、グラビア・ローラー4の陥凹領域内にほぼ例外なく貯
留する。この残留強化剤は、アプリケータ・ローラー3への沈着物として移され
る。アプリケータ・ローラー3は種々の表面被覆のいずれももつことができるが
、当該表面被覆が本工程の目的に適していることを条件とする。最も一般的には
、この印刷装置のアプリケータ・ローラー3は、例えばエラストマー系ポリマー
(例えば天然または合成ゴム)のような圧縮可能な被覆で覆われるであろう。グラ
ビア・ローラー4およびアプリケータ・ローラー3は、通常は干渉によって機能
するであろう。なぜならば、グラビア・ローラー4とアプリケータ・ローラー3
との干渉によって形成される領域8を陥凹領域が連続的に通過するとき、グラビ
ア・ローラー4の陥凹領域から液状強化剤の抽出が荷重圧をもつことによって補
助されるからである。領域8におけるローラー面の間で干渉または実際に接触す
ることが好ましいが、陥凹領域のサイズおよび形状並びに強化剤液状化特性のあ
る種の組み合わせは、極めて接近した中を2つのローラーを単に通過させること
によって満足な移しかえを可能にすると想定される。グラビア・ローラー4から
アプリケータ・ローラー3に領域8で移される液状強化剤は、グラビア・ローラ
ー4の陥凹領域パターンとサイズおよび間隔の取り方において一致する表面沈着
物の形態をとる。アプリケータ・ローラー3への液状強化剤沈着物は、領域9へ
向かって誘導されるティシュ・ペーパー・ウェブ1へ移される。領域9は、アプ
リケータ・ローラー3、ティシュ・ペーパー・ウェブ1および圧力ローラー2が
互いに近接する点と定義される。圧力ローラー2は種々の表面被覆のいずれも有
することができるが、それらが本工程の目的にふさわしいことを条件とする。最
も一般的には、本構造の圧力ローラー2は金属被覆を有するであろう。圧力ロー
ラー2およびアプリケータ・ローラー3は通常は干渉することなく稼働するであ
ろう。これらのローラーを互いに十分に接近して通過させることのみが必要とさ
れる。それによってティシュ・ペーパー・ウェブ1が領域9にあるとき、ティシ
ュ・ペーパー・ウェブ1がアプリケータ・ローラー3上の液状強化剤沈着物と十
分に接触し、それら沈着物をアプリケータ・ローラー3からティシュ・ペーパー
・ウェブ1へ少なくとも部分的に移転させることができる。アプリケータ・ロー
ラ3と圧力ローラー2との間の荷重圧はティシュ・ウェブ1を圧搾する傾向にあ
るので、ティシュ・ウェブ1の厚みまたは嵩を維持するために2つのローラー間
の狭すぎる間隙は避けるべきである。領域9の(ティシュ・ペーパー・ウェブ1
が通過する)ローラーの表面間の干渉または実際の接触は通常は不要であるが、
パターンおよび強化剤の液状特性のある種の組み合わせでは2つのローラーが互
いに接触して稼働することが必要かもしれないということは考えられる。ティシ
ュ・ペーパー・ウェブ1は、強化剤の表面沈着物を含有する側面11をもち領域
9に存在する。ティシュ・ペーパー・ウェブ10は、強化剤の表面沈着物を含有
する側面11をもち領域9にあったティシュ・ペーパー・ウェブ1である。
図1をなお参照すれば、ティシュ・ペーパー・ウェブ10およびティシュ・ペ
ーパー・ウェブ13は領域12に誘導されてここで結合される。領域12は、2
つの結合ローラー14、ティシュ・ペーパー・ウェブ10およびティシュ・ペー
パー・ウェブ13が互いに近接する点と定義される。結合ローラー14は種々の
表面被覆のいずれも有することができるが、それらが本工程の目的に相応しいこ
とを条件とする。最も一般的には、結合ローラー14の1つはエラストマー系ポ
リマー(例えば天然または合成ゴム)のような圧搾可能被覆で覆うことができる
が、他方の結合ローラーは金属被覆を有するであろう。多層ティシュ・ペーパー
製品15が領域12に存在するとき層結合が達成されるように、領域12の結合
ローラー14間の固定間隙は、ティシュ・ペーパー・ウェブ10とティシュ・ペ
ーパー・ウェブ13の厚さの合計未満であることが好ましい。しかしながら、テ
ィシュ・ペーパー・ウェブの特性と結合ローラーの表面特性のある種の組み合わ
せが、結合ローラー14間の干渉により満足な層結合および満足な多層ティシュ
・ペーパー製品15の厚さをもたらすことは考えられる。
図2は、本発明の表面沈着系強化剤を有する多層ティシュ・ペーパー製品を形
成する方法を示すグラビア印刷および結合の装置の側面図である。図2に示す工
程は、直接グラビア印刷法によってティシュ・ペーパー・ウェブの一方の表面に
強化剤を適用する。
図2を参照すれば、液状強化剤25は、回転グラビア・ローラー26が部分的
に液状強化剤25に浸漬されるように鉄なべ24中に示されている。グラビア・
ローラー26は複数の陥凹領域を有する。これら陥凹領域が鉄なべ24に入ると
きには実質的に陥凹領域は内容物を欠いているが、ローラーの回転時にグラビア
・ローラー26が鉄なべ24の液状強化剤に部分的に浸漬されるとき液状強化剤
25で満たされる。
なお図2を参照すれば、鉄なべ24から取り出される過剰な液状強化剤25は
可撓性ドクターブレード23によって取り除かれる。ドクターブレードはグラビ
ア・ローラー26の外側面で当該ローラー26と接触するが、顕著に変形して陥
凹領域に侵入することはできない。したがって、グラビア・ローラー26上の残
余の液状強化剤はほぼ例外なくグラビア・ローラー26の陥凹領域に存在する。
この残留する液状強化剤はティシュ・ペーパー・ウェブ20に沈着物の形態で移
しかえられる。当該ティシュ・ペーパー・ウェブ20は領域22に誘導される。
この移しかえは、領域22でグラビア・ローラー26を圧力ローラー21が圧迫
することによりティシュ・ペーパー・ウェブ20が陥凹領域に存在する液状強化
剤に接近するために生じる。圧力ローラー21は、本工程の目的に相応しいこと
を条件として種々の表面被覆のいずれも有することができる。最も一般的には、
圧力ローラー21は、例えばエラストマー系ポリマー(例えば天然または合成ゴ
ム)のような圧縮可能な被覆で覆われるであろう。グラビア・ローラー26およ
び圧力ローラー21は、通常は干渉(すなわちティシュ・ペーパー・ウェブ20
の通過時の接触)によって機能するであろう。なぜならば、グラビア・ローラー
26、ティシュ・ペーパー・ウェブ20および圧力ローラー26との干渉によっ
て形成される領域22を陥凹領域が連続的に通過するとき、グラビア・ローラー
26の陥凹領域から液状強化剤の抽出が荷重圧をもつことによって補助されるか
らである。領域22でティシュ・ペーパー・ウェブ20を介して伝えられるロー
ラー面の間の干渉または実際に接触が好ましいが、ある種の液状化特性は、2つ
のローラーおよび閉じ込められた状態のティシュ・ペーパー・ウェブを単に極め
て接近した中を通過させることによって満足な移しかえを可能にすることが想定
される。ティシュ・ペーパー・ウェブ20は、強化剤の表面沈着物を含有する側
面27をもち領域22に存在する。ティシュ・ペーパー・ウェブ28は、強化剤
の表面沈着物を含有する側面27をもち領域22にあったティシュ・ペーパー・
ウェブ20である。
図2をなお参照すれば、ティシュ・ペーパー・ウェブ28およびティシュ・ペ
ーパー・ウェブ30は領域29に誘導されて、ここで結合される。領域29は、
2つの結合ローラー31、ティシュ・ペーパー・ウェブ28およびティシュ・ペ
ーパー・ウェブ30が互いに近接する点と定義される。結合ローラー31は種々
の表面被覆のいずれも有することができるが、それらが本工程の目的に相応しい
ことを条件とする。最も一般的には、結合ローラー31の1つはエラストマー系
ポリマー(例えば天然または合成ゴム)のような圧搾可能被覆で覆うことができ
るが、他方の結合ローラーは金属被覆を有するであろう。多層ティシュ・ペーパ
ー製品32が領域29に存在するとき層結合が達成されるように、領域29の結
合ローラー31間の固定間隙は、ティシュ・ペーパー・ウェブ28とティシュ・
ペーパー・ウェブ30の厚さの合計未満であることが好ましい。しかしながら、
ティシュ・ペーパー・ウェブの特性と結合ローラーの表面特性のある種の組み合
わせが、結合ローラー31間の干渉により満足な層結合および満足な多層ティシ
ュ・ペーパー製品32の厚さをもたらすことは考えられる。
図3は、本発明の表面沈着強化剤を含む多層ティシュ・ペーパー製品の形成方
法を示すグラビア印刷と組合せた装置の側面図である。図3に示す工程は、直接
グラビア印刷法により2つのティシュ・ペーパー・ウェブの1つの面に強化剤を
適用し、これらを続いて結合させて多層ティシュ・ペーパー製品を形成する。
図3を参照すれば、液状強化剤66は、回転グラビア・ローラー64が液状強
化剤66中に部分的に浸漬できるように鉄なべ65内に示されている。グラビア
・ローラー64は複数の陥凹領域を有し、当該領域は、鉄なべ65に入るときは
実質的に内容物を欠いているが、グラビア・ローラー64がローラーの回転中に
鉄なべ65中の液状強化剤に部分的に浸漬されるようになると液状強化剤66で
満たされる。
なお図3を参照すれば、鉄なべ65から取り出されたが陥凹領域に保持されな
い過剰な液状強化剤66は、可撓性ドクターブレード67で除去される。このド
クターブレードはグラビア・ローラー64とその外側面で接触するが、激しく変
形して陥凹領域中に侵入することはできない。したがって、グラビア・ローラー
64上に残留する液状強化剤は、グラビア・ローラー64の陥凹領域内にほぼ例
外なく貯留する。この残留強化剤は、ティシュ・ペーパー・ウェブ61への沈着
物の形で移しかえられ、ティシュ・ペーパー・ウェブ61は領域69へ誘導され
る。この移しかえは、領域69でグラビア・ローラー67を圧力ローラー62が
圧迫することによりティシュ・ペーパー・ウェブ61が陥凹領域に存在する液状
強化剤に接近するために生じる。圧力ローラー62は、本工程の目的に相応しい
ことを条件として種々の表面被覆のいずれも有することができる。最も一般的に
は、圧力ローラー62は、例えばエラストマー系ポリマー(例えば天然または合
成ゴム)のような圧縮可能な被覆で覆われるであろう。グラビア・ローラー67
および圧力ローラー62は、通常は干渉(すなわちティシュ・ペーパー・ウェブ
61の通過時の接触)によって機能するであろう。なぜならば、グラビア・ロー
ラー67、ティシュ・ペーパー・ウェブ61および圧力ローラー62との干渉に
よって形成される領域69を陥凹領域が連続的に通過するとき、グラビア・ロー
ラー67の陥凹領域から液状強化剤の抽出が荷重圧をもつことによって補助され
るからである。領域69でティシュ・ペーパー・ウェブ20を介して伝えられる
ローラー面の間の干渉または実際の接触が好ましいが、ある種の液状化特性は、
圧力ローラー62、グラビア・ローラー64および閉じ込められた状態のティシ
ュ・ペーパー・ウェブを単に極めて接近した中を通過させることによって満足な
移しかえを可能にすることが想定される。ティシュ・ペーパー・ウェブ61は、
強化剤の表面沈着物を含有する側面71をもち領域69に存在する。ティシュ・
ペーパー・ウェブ70は、強化剤の表面沈着物を含有する側面71をもち領域6
9にあったティシュ・ペーパー・ウェブ61である。
図3をなお参照すれば、ティシュ・ペーパー・ウェブ70は領域72に誘導さ
れてここで結合される。領域72は、2つの結合ローラー74およびティシュ・
ペーパー・ウェブ70が互いに近接する点と定義される。結合ローラー74は種
々の表面被覆のいずれも有することができるが、それらが本工程の目的に相応し
いことを条件とする。最も一般的には、結合ローラー74の1つはエラストマー
系ポリマー(例えば天然または合成ゴム)のような圧搾可能被覆で覆うことがで
きるが、他方の結合ローラーは金属被覆を有するであろう。多層ティシュ・ペー
パ
ー製品73が領域72に存在するとき層結合が達成されるように、領域72の結
合ローラー74間の固定された間隙は、ティシュ・ペーパー・ウェブ70の厚さ
の合計未満であることが好ましい。しかしながら、ティシュ・ペーパー・ウェブ
の特性と結合ローラーの表面特性のある種の組み合わせが、結合ローラー74間
の干渉により満足な層結合および満足な多層ティシュ・ペーパー製品72の厚さ
をもたらすことは考えられる。
図4は、表面沈着強化剤が存在するゾーンを示す、本発明の多層ティシュ・ペ
ーパー製品の断面模式図である。
図4を参照すれば、当該多層ティシュは長繊維82および短繊維83を含む。
好ましい長繊維82は北部軟木クラフトである。好ましい短繊維83はユーカリ
樹である。内側ティシュ・ペーパー・ウェブ・ゾーン84は長繊維82、短繊維
83および強化剤81を含む。内側ティシュ・ペーパー・ウェブ・ゾーン84の
好ましい位置はフェルト側である。外側のティシュ・ペーパー・ウェブ・ゾーン
85は長繊維82、短繊維83を含むが、実質的に強化剤は含まない。外側ティ
シュ・ペーパー・ウェブ85の好ましい位置はワイヤー側である。当該多層ティ
シュ・ペーパー製品の層は、集中的で個々に分離した配列86で当該強化剤によ
って互いに結合されるが、これらの領域の外側では実質的に結合されていない。
図5は、図1、2および3で示した印刷ローラー(すなわち図1のグラビア・
ローラー4、図2のグラビア・ローラー26、図3のグラビア・ローラー64)
上で使用する陥凹領域の詳細を示す模式図である。
図5を参照すれば、グラビア・ローラー75は、時にセルと称される複数の陥
凹領域を有する。当該陥凹領域76および77はそれ以外の点では滑らかなロー
ラー表面に存在する。
なお図5を参照すれば、ローラー75は種々の材料で構成できる。一般には、
当該ローラーは比較的非圧縮性(例えば金属ロールまたはセラミック・ロール)
であるが、エラストマー・ロール被覆も同様に可能である。
なお図5を参照すれば、最も好ましくはローラー75の表面は、例えば酸化ア
ルミニウムのようなセラミックである。これは、多色印刷工業で周知のように表
面に集中レーザー・ビームを誘導することにより陥凹領域を彫り込むことによっ
て複数の陥凹領域の製造を可能にする。
なお図5を参照すれば、ローラー75に陥凹領域を作製するまた別の手段は、
ダイヤモンドの先端を有するカッティング・ツールの電子制御摺動を用いて陥凹
領域を電子機械的に彫り込むものである。この方法を選択する場合、彫り込みが
完了するまでロールの表面を銅で仕上げ、続いて薄いクロムメッキを施して柔ら
かい銅の層を保護するのが最も都合よい。
なお図5を参照すれば、ローラー75に陥凹領域を作製するまた別の手段は、
ロール表面に固定した化学耐性マスクで不安定なロール表面を保護し、陥凹領域
76および77とすることを所望しない領域のエッチングを防止することによっ
て化学的に陥凹領域を食刻するものである。この方法を選択する場合は、繰り返
せばエッチングが完了するまでロールの表面を銅で仕上げ、続いて薄いクロムメ
ッキを施して柔らかい銅の層を保護するのが最も都合よい。
なお図5を参照すれば、ローラー75に陥凹領域を作製するまた別の手段は、
ギザギザの付いたカッティング・ツールを用いて陥凹領域を機械的に彫り込むも
のである。この方法は、最も多様な材料によるローラーの構築を可能にするが、
達成されるパターンに変化の可能性はほとんどない。
なお図5を参照すれば、より小さくより数の多い陥凹領域76は比較的分散し
たパターンで本発明の強化剤を適用する場合に有用である。より大きいが数の少
ない陥凹領域77は、まばらで個々に分離したパターンで本発明の強化剤を適用
するために有用で、ティシュ・ペーパー・ウェブと隣接するティシュ・ペーパー
・ウェブとの粘着を促進する。
図6は、長繊維、短繊維および表面適用強化剤を含むペーパー・ティシュ・ウ
ェブのフェルト側の走査電子顕微鏡写真である。強化剤は繊維の被覆として認め
られ繊維を被包化している。図6の繊維は当該ペーパー・ティシュ・ウェブのフ
ェルト側を構成する。図6のペーパー・ティシュ・ウェブのフェルト側に強化剤
が表面適用された。
図7は、長繊維、短繊維および表面適用強化剤を含むペーパー・ティシュ・ウ
ェブの断面の走査電子顕微鏡写真である。強化剤は図7の上部の繊維の被覆とし
て認められ、繊維を結合させている。図7の上部の繊維はペーパー・ティシュ・
ウェブのフェルト側を構成する。図7のペーパー・ティシュ・ウェブのフェルト
側に強化剤が表面適用された。強化剤は、図7の下部の繊維には実質的に存在し
ない。図7の下部の繊維は当該ペーパー・ティシュ・ウェブのワイヤー側を構成
する。図7のペーパー・ティシュ・ウェブのワイヤー側には強化剤が表面適用さ
れなかった。
本発明で有用なティシュ・ペーパーは、通常多様な木材パルプによって構成さ
れるであろうと予想される。しかしながら、他のセルロース繊維性パルプ(例え
ば綿リンター、バガス、レーヨンなど)も用いることができ、排除されるものは
何もない。本明細書で有用な木材パルプには、化学パルプ(例えば亜硫酸パルプ
および硫酸パルプ(ときにクラフト・パルプと呼ばれる))が機械パルプ(例えば
砕木、サーモメカニカル・パルプ(TMP)およびケミサーモメカニカル・パル
プ(CTMP)を含む)とともに含まれる。落葉樹および針葉樹のいずれに由来
するパルプも用いることができる。
硬木パルプおよび軟木パルプのいずれもこれら2種の組み合わせと同様に、本
発明のティシュ・ペーパー用抄紙繊維として用いることができる。本明細書で用
いられるように、“硬木パルプ”という用語は、落葉樹(被子植物)の木性基質
に由来し、一方、“軟木パルプ”は針葉樹(裸子植物)の木性基質に由来する。
硬木
クラフト・パルプ(特にユーカリ樹)と北部軟木クラフト(NSK)パルプの混
合物が、本発明のティシュ・ウェブの製造に特に適切である。本発明の好ましい
実施態様は重層ティシュ・ウェブの使用を含むが、この場合、最も好ましくは硬
木パルプ(例えばユーカリ樹)が多層ティシュ・ペーパー製品の外側面を構成す
る層に用いられ、さらに北部軟木クラフト・パルプが当該多層ティシュ・ペーパ
ー製品の内側層を構成する層に用いられる。さらにまた本発明に用いることかで
きるものは、リサイクル紙に由来する繊維であり、これは上記の分類のいずれか
または全てを含有するであろう。任意の化学添加物
他の物質も水性抄紙完成紙料または初期ウェブに添加し、製品に他の特性を付
与するか、または抄紙工程を改善することができるが、それらが本強化剤と化学
的に適合するか、または本発明の柔軟特性もしくは強度特性に顕著な影響および
悪影響を与えない場合に限られる。特に以下の物質が含まれるが、しかしこれら
が含まれる全てではない。他の物質も、それらが本発明はの利点と干渉しないか
ぎり、または反対の作用をもたないかぎり同様に含まれる。
陽イオン性荷電偏向種を抄紙工程に加えて、水性抄紙完成紙料を抄紙工程に送
り出すときに当該完成紙料のゼータ電位を制御することが一般的である。本来固
形物の大半(セルロース繊維の表面、微細繊維およびほとんどの無機填料を含む)
が陰性の表面荷電を有するので、これらの物質が用いられる。慣用的に用いられ
る陽イオン性荷電偏向種の1つは明礬(みょうばん)である。当技術分野では最近
になって、比較的小さな分子量の陽イオン性合成ポリマー(好ましくは約500
000未満、より好ましくは約200000未満、さらには100000未満の
分子量を有する)を用いて荷電偏位が実施される。そのような低分子量の陽イオ
ン性合成ポリマーの荷電密度は相対的に高い。これらの荷電密度は、ポリマー1
キロ
グラム当たり陽性窒素約4から約8当量の範囲である。一例は、キプロ514(
登録商標)(Cypro,サイテック社(Cytec,Inc.,コネチカット州、スタンフォー
ド)の製品)である。このような物質の使用は明白に本発明の範囲内で許容される
。
形成、排水、強度および保持力を改善する目的で高表面積、強い陰イオン荷電
微細粒子を使用することは当技術分野で開示されている。例えば米国特許第5,22
1,435号明細書(Smith,1993年6月22日発行、この文献は参照により本明細書に
含まれる)を参照されたい。この目的のために一般的な物質はシリカコロイドま
たはベントナイト粘土である。そのような物質を混合することは明白に本発明の
範囲内に包含される。
本発明の真髄は、多層ティシュ・ペーパー製品の内側表面に好ましくは近接し
て配置された個々の沈着物として沈積された強化剤組成物にあるが、本発明には
化学強化剤が抄紙工程の一部分として添加される応用例もまた明らかに包含され
る。
例えば、永久湿潤強度が所望される場合、化学物質群(ポリアミドエピクロロ
ヒドリン、ポリアクリルアミド、スチレンブタジエンラテックス;不溶化ポリビ
ニルアルコール;尿素ホルムアルデヒド;ポリエチレンイミン;キトサンポリマ
ーおよびその混合物を含む)を抄紙完成紙料または初期ウェブに添加できる。ポ
リアミドエピクロロヒドリン樹脂は、特に有用であることが判明した陽イオン性
湿潤強力樹脂である。そのような樹脂の適切なタイプは、米国特許第3,700,823
号明細書(1972年10月24日発行)および同第3,772,076号明細書(1973年11月13
日発行)(共にKeinに発行、両文献は参照により本明細書に含まれる)に記載され
ている。有用なポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の市販元の1つはハーキュリ
ーズ社(Hercules,Inc.デラウェア州、ウィルミントン)でカイメン(Kymene)
557H(登録商標)としてそのような樹脂を販売している。
多くの紙製品が、手洗い所から下水または排水系にそれらを廃棄する必要性の
ために湿潤時の強度を制限しなければならなかった。湿潤強度がこれらの製品に
付与される場合は、水とともに存在する場合はその能力の一部分または全てが崩
壊するという特徴を有する一時的湿潤強度であることが好ましい。一時的湿潤強
度を所望する場合はバインダー物質は以下からなる群から選択することができる
:ジアルデヒド澱粉またはアルデヒド官能基をもつ他の樹脂、例えばナショナル
・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Co.)市販の
コボンド(Co-Bond)1000(登録商標)、サイテック(Cytec,コネチカット州、
スタンフォード)市販のパレッツ(Parez)750(登録商標)および米国特許第4,
981,557号明細書(Bjorkquist,1991年1月1日発行、この文献は参照により本明
細書に含まれる)に記載の樹脂。
強化吸収性が必要な場合は、界面活性剤を用いて本発明のティシュ・ペーパー
ウェブを処理することができる。界面活性剤を使用する場合は、そのレベルは、
ティシュ・ペーパーの乾燥繊維重量を基準にして重量で好ましくは約0.01%
から約2.0%である。界面活性剤は、好ましくは8またはそれ以上の炭素原子
を含むアルキル鎖を有する。典型的な陰イオン界面活性剤は直鎖状アルキルスル
ホン酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩である。典型的な非イオン性界面
活性剤は以下を含むアルキルグリコシドである:例えばクローダ社(Croda,Inc.,
ニューヨーク州、ニューヨーク)から入手できるクロデスタ(Crodesta)SL−
40(登録商標)のようなアルキルグリコシドエステル;米国特許第4,011,389
号明細書(W.K.Langdonら、1977年3月8日発行)に記載されたアルキルグリコ
シド;並びに例えばグリコ・ケミカルズ社(Glyco Chemicals,Inc.コネチカッ
ト州、グリニッチ)から入手できるペゴスパース(Pegosperse)200MLおよ
びローヌ・プーラン社(Rhone Poulenc Corp.,ニュージャージ州、クランベリー
)から入手可能なIGEPAL・RC−520(登録商標)。
化学柔軟剤もまた、初期ウェブにウエット・エンド方式で混合するか、または
ティシュ・ペーパー・ウェブを乾燥させた後で当該ウェブに添加することによっ
て混合することができる。好ましい化学柔軟剤には以下を含む第四アンモニウム
化合物が含まれるがただしこれらに限定されない:周知のジアルキルジメチルア
ンモニウム塩(例えば二牛脂ジメチルアンモニウムクロリド、二牛脂ジメチルア
ンモニウムメチルスルフェート、二(水素添加牛脂)ジメチルアンモニウムクロ
リドなど)。これら化学柔軟剤の特に好ましい変形例は、前述のジアルキルジメ
チルアンモニウム塩のモノまたはジエステル物と考えられるものである。これら
には以下か含まれる:いわゆるジエステル二牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジエ
ステルジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、モノエステル二牛脂ジメチ
ルアンモニウムクロリド、ジエステル二(水素添加)牛脂ジメチルアンモニウム
メチルスルフェート、ジエステル二(水素添加)牛脂ジメチルアンモニウムクロ
リド、モノエステル二(水素添加)牛脂ジメチルアンモニウムクロリドおよびそ
の混合物。特に好ましいものは以下のジエステル物である:二(非水素添加)牛
脂ジメチルアンモニウムクロリド、二(タッチ水素添加)牛脂アンモニウムクロ
リド(DEDTHTDMAC)および二(水素添加)牛脂ジメチルアンモニウム
クロリド(DEDHTDMAC)およびそれらの混合物。要求される製品特性に
したがって、二牛脂の飽和レベルは非水素添加(柔らかい)からタッチ水素添加
、部分水素添加または完全水素添加(硬い)まで調整できる。
本明細書に先に記載したように含有物として第四アンモニウムの使用は、それ
らが適切な可塑剤を伴う場合は最も効果的に達成される。可塑剤は、第四アンモ
ニウム成分を製造するときにその四級化工程で添加できる。可塑剤の特徴は、そ
の化学合成時に実質的に不活性であるが、粘性減少剤として機能し合成およびそ
の後の操作(すなわち第四アンモニウム化合物のティシュ・ペーパー製品への適
用)を促進することである。好ましい可塑剤は、不揮発性ポリヒドトキシ化合物
と脂肪酸を組み合わせたもので構成される。好ましいポリヒドロキシ化合物には
グリセロールおよび約200から約2000の分子量を有するポリエチレングリ
コールが含まれるが、約200から約600の分子量を有するポリエチレングリ
コールが特に好ましい。好ましい脂肪酸にはC6−C23の直線状または分枝状
、および飽和または不飽和類似体が含まれ、イソステアリン酸が最も好ましい。
別の種類の好ましい化学柔軟剤には周知の有機反応性ポリジメチルシロキサン
含有物が含まれるが、これは最も好ましいアミノ官能基をもつポリジメチルシロ
キサンを含む。
シリコーン柔軟化剤の特に好ましい形態は、有機反応性シリコーンと適切な第
四アンモニウム化合物との結合である。この実施態様では、当該有機官能基をも
つシリコーンは、アミノポリジメチルシロキサンであることが好ましく、0から
約50%までの範囲の量で用いられ、好ましくは約5%から約15%の範囲で使
用される。前述の百分率は、実質的に一定の柔軟化剤の総重量に対するポリシロ
キサンの重量を表す。
填料物質もまた本発明のティシュ・ペーパーに混合できる。米国特許第5,611,
890号明細書(Vinsonら、1997年3月18日発行、この文献は参照により本明細書
に含まれる)は、本発明の基質として許容できる填料付加ティシュ・ペーパー製
品を開示する。
上記の任意の化学添加剤の表示は単なる例示であって、本発明の範囲を限定し
ようとするものではない。
本発明はまた多重ティシュ・ペーパー・ウェブにも応用できる。多重ティシュ
構造物はおよび多重ティシュ構造物の製造方法は以下の文献に開示されている(
これらの文献は参照により本明細書に含まれる):米国特許第3,994,771号明細書(
Morgan,Jr.ら、1976年11月30日発行);米国特許第4,300,981号明細書(Carstens
,1981年11月17日発行);米国特許第4,166,001号明細書(Dunningら、1979年8月28
日発行)および欧州特許公開公報第0,613,979 A1号明細書
(Edwardsら、1994年9月7日公開)。層は好ましくは異なる繊維タイプで構成さ
れ、これらの繊維は、多重ティシュ・ペーパー製造で用いられるように典型的に
は比較的長い軟木繊維と比較的短い硬木繊維である。本発明で使用される最も好
ましい多重ティシュ・ペーパー・ウェブは、少なくとも2枚の重ね合わされた層
、1枚の内側層および当該内側層と切れ目なく連続した少なくとも1枚の外側層
を含む。好ましくは、多重ティシュ・ペーパー・ウェブは2枚の重ね合わされた
層、1枚の内側層と1枚の外側層を含む。外側層は好ましくは、約0.5から約
1.5mm、好ましくは約1.0mm未満の平均繊維長を有する比較的短い抄紙
繊維による一次フィラメント構成物を含む。これら短い抄紙繊維は、典型的には
硬木繊維、好ましくは硬木クラフト繊維、最も好ましくはユーカリ樹由来硬木ク
ラフト繊維を含む。内側層は好ましくは、少なくとも約2.0mmの平均繊維長
を有する比較的長い抄紙繊維による一次フィラメント構成物を含む。これら長い
抄紙繊維は、典型的には軟木繊維、好ましくは北部軟木クラフト繊維を含む。
一重または多重ティシュ・ペーパー・ウェブを用いて、本発明の多層ティシュ
・ペーパー製品を製造することができる。
本発明の典型的な実施では、低濃度パルプ完成紙料が加圧ヘッドボックスに提
供される。当該ヘッドボックスは、長網ワイヤーにパルプ完成紙料の薄い沈積を
配送して湿潤ウェブを形成するための開口部を有する。続いて典型的にはこのウ
ェブを真空脱水によって約7%から約25%(ウェブの総重量を基準にして)の
繊維濃度に脱水する。
本発明で有用なティシュ・ペーパー製品を製造するために、水性抄紙完成紙料
を多孔性表面に沈積させて初期ウェブを形成する。本発明の範囲にはまた、2層
または3層以上の完成紙料が例えば多チャンネル・ヘッドボックスで別々の希釈
繊維スラリー流の沈積によって好ましくは形成される、多数のペーパー層の形成
によってティシュ・ペーパー製品を製造する工程も含まれる。これらの層は好ま
しくは、異なる繊維タイプで構成されるが、これらの繊維は、多重ティシュ・ペ
ーパー製造で用いられるように典型的には比較的長い軟木繊維および比較的短い
硬木繊維である。個々の層が先ず別々のワイヤー上で形成される場合は、続いて
これらの層を湿潤時に結合させて多重ティシュ・ペーパー・ウェブを形成する。
当該抄紙繊維は好ましくは異なる繊維タイプで構成され、これらの繊維は典型的
には長い軟木繊維および比較的短い硬木繊維である。より好ましくは、硬木繊維
は当該抄紙繊維の少なくとも約50%を構成し、軟木繊維は少なくとも約10%
を構成する。
本明細書で用いられるように“強度”という用語は固有の総引張強さを指し、
この測定値の決定方法は本明細書の後のセクションに含まれる。本発明のティシ
ュ・ペーパー・ウェブは強靱である。このことは一般的に、それらの総引張強さ
が少なくとも約200g/約2.54cm(1インチ)、より好ましくは約400
g/約2.54cm(1インチ)より大きいことを意味している。
本発明の多層ティシュ・ペーパー製品は、柔らかくて吸収性のよい多層ティシ
ュ・ペーパー製品を利用するいずれの応用例においても用いることができる。本
発明の多層ティシュ・ペーパー製品の特に有利な利用は手洗い用ティシュおよび
化粧用ティシュ製品である。分析方法および検査方法 A.密度
多重ティシュ・ペーパーの密度は、当該用語が本明細書で用いられる場合は、
本明細書に含まれる適切な単位変換を用い、キャリパーで割ったその紙の坪量と
して計算される平均密度である。多重ティシュ・ペーパーのキャリパーは、本明
細書で用いられるように15.5g/cm2(95g/in2)の圧縮荷重をかけ
たときの紙の厚さである。B.ティシュ・ペーパーのパネル柔軟度測定
理想的には、柔軟度検査の前に被験ペーパー・サンプルはTAPPI法#T402
OM−88にしたがって条件づけを実施するべきである。この場合、サンプルは
、10から35%の相対湿度レベル、22から40℃の温度範囲内で24時間予
備条件づけされる。この予備条件づけ工程の後で、サンプルは48から52%の
相対湿度レベル、22から24℃の温度範囲内で24時間条件づけするべきであ
る。
理想的には、柔軟度パネル検査は一定温度と湿度の部屋の中で実施すべきであ
る。これが実現不能の場合は、コントロールを含む全てのサンプルを同一の環境
条件に暴露するべきである。
柔軟度検査は、“感覚検査法マニュアル(Manual on Sensory Testing Methods
)”(ASTM Special Technical Publication 434,1968:American Society For Tes
ing and Materials刊、この文献は参照により本明細書に含まれる)に記載された
ものと同様な形式でペアー間比較として実施される。柔軟度は、ペアー間差異検
査(Paired Difference Test)と呼ばれるものを用いて主観的な検査によって評
価される。この方法は検査物質自体に対して外部標準を用いる。触感性柔軟度の
場合は、試験者が当該サンプルを見ることができないように2つのサンプルを提
示し、試験者はそのうちの1つを触感による柔軟度を基準に選択することを要求
される。検査の結果はパネル・スコア・ユニット(PSU)と呼ばれるもので表
される。本明細書でPSUで表される柔軟度データを得る柔軟度検査に関して、
多数の柔軟度パネル検査が実施されている。各検査では、10人の熟練柔軟度判
定員が3セットのサンプル・ペアの相対的柔軟度の格付けを求められる。すなわ
ち、各ペアの1つのサンプルをXとし、他方をYとする。簡単に記せば、各Xサ
ンプルは以下のようにその相手方のYサンプルに対して等級を与えられる:
1.XがYよりも少し柔軟であろうと判定される場合に+1の等級が与えられ
、YがXよりも少し柔軟であろうと判定される場合に−1の等級が与えられ;
2.XがYよりも確かに少し柔軟であると判定される場合に+2の等級が与え
られ、YがXよりも確かに少し柔軟であると判定される場合に−2の等級が与え
られ;
3.XがYよりも非常に柔軟であると判定される場合に+3の等級がXに与え
られ、YがXよりも非常に柔軟であると判定される場合に−3の等級がYに与え
られ;さらに最後に
4.XがYよりも完全に極めて柔軟であると判定される場合に+4の等級がX
に与えられ、YがXよりも完全に極めて柔軟であると判定される場合に−4の等
級がYに与えられる。
これらの等級は平均され、得られた値の単位はPSUである。得られたデータ
は1つのパネル試験の結果であると考えられる。2サンプル・ペアー以上を調べ
る場合は、続いて全サンプル・ペアーをペアー間統計分析によってそれらの等級
にしたがってランクを決定する。続いて、ランクの値を必要な場合には上下させ
、ゼロベース・スタンダードとして選択されるサンプルにゼロPSU値を付与す
る。検査を実施し平均したパネルテストの数値で、約0.2PSUが試験者によ
って感知される柔軟度における顕著な相違を示す。C.ティシュ・ペーパー強度の測定 乾燥引張強さ:
引張強さは、スィング=アルバート・インテレクトII標準引張試験機(Thwi
ng-AlbertIntelect II Standard Tensile Tester,スイング=アルバート・イン
スツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)製、10960 Dutton Rd.,Philade
lphia,PA 19154)を用いて約2.54cm(1インチ)幅のサンプル細
片で決定される。この方法は完成紙製品、リール・サンプルおよび未加工ストッ
クでの使用を目的としている。
サンプルの条件づけと調製:
引張検査の前に被験ペーパー・サンプルはTAPPI法#T4020M−88にし
たがって条件づけを実施するべきである。検査前に全てのプラスチックおよび厚
紙包装材料をペーパー・サンプルから注意して取り除く。ペーパー・サンプルは
、48から52%の相対湿度レベル、22から24℃の温度範囲内で少なくとも
2時間条件づけするべきである。サンプルの調製および引張検査の全ての工程は
一定温度と湿度の部屋の中で実施すべきである。
完成製品の場合、破損製品は全て破棄する。次に、4使用ユニット(またはシ
ート)で構成される5つの細片を取り出し、1枚を別の1枚の上に重ねて、同時
に切り出されたシート間のミシン目を含む長い束を作る。シート1および3を縦
方向の引張測定用に、シート2および4を幅方向引張測定用に区別する。次にペ
ーパー・カッター(スィング=アルバート社製(10960 Dutton Rd.,Philadelphia,
PA 19154)の安全カバー付きJDC−1−10またはJDC−1−12)を用いて
ミシン目で切断し、4つの別々の束を作る。束1および3は縦方法検査用に、束
2および4は幅方向検査用に区別されていることを確認する。
縦方向の約2.54cm(1インチ)幅の細片を束1および3から切り出す。
幅方向の約2.54cm(1インチ)幅の細片を束2および4から切り出す。こ
こで縦方向の引張検査用に4つの約2.54cm(1インチ)幅の細片および幅
方向の引張検査用に4つの約2.54cm(1インチ)幅の細片が得られた。こ
れらの完成製品サンプルの場合、8つの約2.54cm(1インチ)幅の細片は
全て5枚の使用ユニット(またはシート)の厚さである。
未加工ストックおよび/またはリール・サンプルの場合は、約38.1cm×
約38.1cm(15インチ×15インチ)のサンプルを切り出す。このサンプ
ルは、ペーパー・カッター(スィング=アルバート社製(10960 Dutton Rd.,Phi
ladelphia,PA 19154)の安全カバー付きJDC−1−10またはJDC−1−1
2)を用いてサンプルの対象領域から得られた8層の厚さのものである。1方の
約38.1cm(15インチ)の切断は縦方向に平行に走り、他方は幅方向に平
行に走っていることを確認する。サンプルは、48から52%の相対湿度レベル
、22から24℃の温度範囲内で少なくとも2時間条件づけされていることを確
認する。サンプルの調製および引張検査の全ての工程はまた一定温度と湿度の部
屋の中で実施すべきである。
この予備条件づけした約38.1cm×約38.1cm(15インチ×15イ
ンチ)のサンプル(これは厚さが8層である)から、約2.54cm×約17.
8cm(1インチ×7インチ)の4つの細片(約17.78cm(7インチ)の
長い方の寸法は縦方向と平行に走る)を切り出す。これらのサンプルは、縦方向
のリール・サンプルまたは未加工サンプルと書き留めておく。約2.54cm×
約17.78cm(1インチ×7インチ)のまた別の4つの細片(約17.78
cm(7インチ)の長い方の寸法は幅方向と平行に走る)を切り出す。前述の全
ての切断は、ペーパー・カッター(スィング=アルバート社製(10960 Dutton Rd.
,Philadelphia,PA 19154)の安全カバー付きJDC−1−10またはJDC−1
−12)を用いて実施されていることを確認する。ここで合計8サンプルが得ら
れた:8層の厚さで約17.78cm(7インチ)の寸法が縦方向と平行に走る
4つの約2.54cm×約17.78cm(1インチ×7インチ)のサンプルと
、8層の厚さで約17.78cm(7インチ)の寸法が幅方向と平行に走る4つ
の約2.54cm×約17.78cm(1インチ×7インチ)のサンプル。
引張試験機の操作:
引張強さの実際の測定については、スィング=アルバート・インテレクトII
標準引張試験機(Thwing-Albert Intelect II Standard Tensile Tester,スィン
グ=
アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)製、10960 Du
tton Rd.,Philadelphia,PA 19154)を用いる。面が平坦な留め金を当該ユニッ
トに挿入し、スィング=アルバート・インテレクトIIの操作マニュアルの指示
にしたがって試験機の目盛りを修正する。装置のクロスヘッド速度を約10.1
6cm(4.00インチ)/分に設定し、第一および第二のゲージの長さを約5
.08cm(2.00インチ)に設定する。ブレーキ感度は20.0gに設定し
、サンプル幅は約2.54cm(1.00インチ)にサンプルの厚さは約0.0
635cm(0.025インチ)に設定すべきである。
荷重セルは、被験サンプルの予想引張結果が使用範囲の25%から75%に有
るように選択する。例えば、5000gの荷重セルは、予想引張の値が1250
グラム(5000グラムの25%)から3750グラム(5000グラムの75%)
のサンプルについて用いることができる。引張試験機はまた、125グラムから
375グラムの予想引張をもつサンプルを検査できるように、5000グラムの
荷重セルに関して10%の範囲内で設定してもよい。
引張用細片の1つを取り、その一方の端を引張試験機の一方の留め金に設置す
る。このペーパー細片の他方の端を他方の留め金に設置する。長い方の寸法が引
張試験機の側面と平行に走っていることを確認する。さらにまた、細片が2つの
留め金のいずれの側にも張り出していないことを確認する。さらに、留め金の各
々の圧がペーパー・サンプルに完全にかかっていなければならない。
検査片を2つの留め金に挿入した後、装置の張力をモニターできる。5グラム
またはそれ以上の値を示す場合は、サンプルは緊張しすぎである。反対に、検査
を開始した後いずれかの値が記録されるまで2−3秒経過する場合は、引張り細
片は緩すぎる。
引張試験機の装置マニュアルの記載にしたがい引張試験機を始動させる。クロ
スヘッドが自動的にその開始位置に戻った後検査は完了する。装置の目盛りまた
デジタル・パネル・メーターから引張荷重を読み取り、最短ユニットにグラムの
単位で記録する。
この装置によってリセット状態が自動的に実施されない場合は、必要な調製を
実施し、装置の留め金をそれらの最初の開始位置に設定する。次のペーパー細片
を上記のように2つの留め金に挿入し、グラムの単位で引張の読みを得る。全て
のペーパー細片の引張の読みを得る。検査実施中に、細片が留め金の端で滑るか
または入り込む場合は、読みを廃棄しなければならないことは留意されるべきで
ある。
計算:
約2.54cm(1インチ)幅の4つの縦方向の完成製品細片の場合、記録さ
れた4つの個々の引張の読みを合計する。この合計を検査細片の数で割る。この
数は通常4であるべきである。さらにまた記録された引張の合計を引張細片当た
りの使用ユニット数で割る。この数は1層および2層製品の両方について通常5
である。
この計算を幅方向の完成製品細片について繰り返す。
縦方向に切断した未加工ストックまたはリール・サンプルの場合は、記録され
た4つの個々の引張の読みを合計する。この合計を検査細片の数で割る。この数
は通常4であるべきである。さらにまた記録された引張の合計を引張細片当たり
の使用ユニット数で割る。これは通常8である。
この計算を幅方向の未加工またはリール・サンプルについて繰り返す。
全ての結果はグラム/インチの単位で合わされる。
実施例
以下の実施例は本発明の実施を例証するために提供する。これらの実施例は本
発明の説明を助けることを意図し、決して本発明の範囲を制限するものと解して
はならない。本発明は添付の請求の範囲によってのみ拘束される。実施例1
本実施例は、直接グラビア輪転印刷機を用いた、1層の内側面に強化剤を有す
る2層手洗い用ティシュの製造を例示する。
液状強化剤の製造で用いられる薬剤は、ローム・アンド・ハース社(ペンシル
バニア州、フィラデルフィア)の45%固形物のアクリルラテックス(ロープレ
クス(Rhoplex)NW−2744F乳液)を含む。
液状強化剤は、50%のアクリルラテックスを50%の水道水と混合すること
によって製造され、23%のラテックス固形物濃度が得られる。続いて、回転グ
ラビア・ローラーの陥凹領域に液状強化剤を充填することができるグラビア・パ
ンにこの液状強化剤を供給する。
このグラビア・ローラーの表面は酸化アルミニウムセラミックで被覆され、レ
ーザー技術で陥凹領域がこれに彫り込まれている。陥凹領域は楕円形で、各々は
直径が約55ミクロンで、したがって深さは約28ミクロンである。陥凹領域の
パターンは六角形で陥凹領域の頻度は約2.54cm(1インチ)の直線当たり
約350領域であり、これは約140,000陥凹領域/約6.45cm2(1
平方インチ)である。陥凹領域によって覆われる総面積の百分率は約53%であ
る。
過剰な液状強化剤は、可撓性PTEEドクター・ブレードでグラビア・ローラ
ーの表面からはぎ取られる。
直接印刷機は、そのローラーの表面速度(したがってティシュ・ペーパー・ウ
ェブの速度)が約30.48m(約100フィート)/分である。
グラビア・ローラーはティシュ・ペーパー・ウェブと接触しながら稼働させ、
当該ウェブは圧力ローラーと接触している。圧力ローラーは、約50P&J硬度
を有するゴム被覆を有するが、このゴム被覆は厚さが約1.27cm(1/2イ
ンチ)で外側の直径が約10.16cm(4インチ)である。2つのローラーは
、ティシュ・ペーパー・ウェブが存在しないとき圧力ローラー上のゴム被覆の変
形のために2つのローラーの接触領域の幅が約2.54cm(1インチ)の5/
32となるような干渉状態で設置される。
厚さが約254ミクロン(約10ミル)の1層の手洗い用ティシュ・ペーパー
・ウェブを、このグラビア・ローラーと圧力ローラーの間に形成されたニップの
中を通過させるが、ここで液状強化剤がグラビア・ローラーからティシュ・ペー
パー・ウェブに移される。グラビア・ローラーと圧力ローラーの間に形成された
ニップを出るティシュ・ペーパー・ウェブは、重量で約3%の強化剤(約14%
の強化剤混合物)を含有する。
得られた1層のティシュ・ペーパー・ウェブは、本発明のグラビア輪転印刷法
によって改変されていない同じタイプの別の1層ティシュ・ペーパー・ウェブと
結合される。得られた2層のティシュ・ウェブを手洗い用ティシュ・ロールに加
工する。
得られたティシュの主要特性を測定する。以下の表は、実施例1の強度および
柔軟度を参照例1(本発明の表面沈着強化剤は含まないという点を除いて実施例
1と同一の2層ティシュ製品)と比較する。 実施例1で得られた特性は、本発明の利点をもたない参照例1の製品と比較し
て柔軟度はほとんど低下せず強度の増加を示している。実施例2
本実施例は、直接グラビア輪転印刷機を用いた、2層の内側面に強化剤を有す
る2層手洗い用ティシュの製造を例示する。
液状強化剤の製造で用いられる薬剤は、ローム・アンド・ハース社(ペンシル
バニア州、フィラデルフィア)の44%固形物のアクリルラテックス(ロープレ
クス(Rhoplex)NW−2744F乳液)を含む。
液状強化剤は、50%のアクリルラテックスを50%の水道水と混合すること
によって製造され、22%のラテックス固形物濃度が得られる。続いて、回転グ
ラビア・ローラーの陥凹領域に液状強化剤を充填することができるグラビア・パ
ンにこの液状強化剤を供給する。
このグラビア・ローラーの表面は酸化アルミニウムセラミックで被覆され、レ
ーザー技術で陥凹領域がこれに彫り込まれている。陥凹領域は楕円形で、各々は
直径が約55ミクロンで、したがって深さは約28ミクロンである。陥凹領域の
パターンは六角形で陥凹領域の頻度は約2.54cm(1インチ)の直線当たり
約350領域であり、これは約140,000陥凹領域/約6.45cm2(1
平方インチ)である。陥凹領域によって覆われる総面積の百分率は約53%であ
る。
過剰な液状強化剤は、可撓性PTEEドクターブレードでグラビア・ローラー
の表面からはぎ取られる。
直接印刷機は、そのローラーの表面速度(したがってティシュ・ペーパー・ウ
ェブの速度)が約30.48m(約100フィート)/分である。
グラビア・ローラーはティシュ・ペーパー・ウェブと接触しながら稼働させ、
当該ウェブは圧力ローラーと接触している。圧力ローラーは、約50P&J硬度
を有するゴム被覆を有するが、このゴム被覆は厚さが約1.27cm(1/2イ
ンチ)で外側の直径が約10.16cm(4インチ)である。2つのローラーは
、ティシュ・ペーパー・ウェブが存在しないとき圧力ローラー上のゴム被覆の変
形のために2つのローラーの接触領域の幅が約2.54cm(1インチ)の5/
32となるような干渉状態で設置される。
厚さが約254ミクロン(約10ミル)の1層の手洗い用ティシュ・ペーパー
・ウェブを、このグラビア・ローラーと圧力ローラーの間に形成されたニップの
中を通過させるが、ここで液状強化剤がグラビア・ローラーからティシュ・ペー
パー・ウェブに移される。グラビア・ローラーと圧力ローラーの間に形成された
ニップを出るティシュ・ペーパー・ウェブは、重量で約4%の強化剤(約18%
の液状強化剤)を含有する。
得られた1層のティシュ・ペーパー・ウェブは、本発明のグラビア輪転印刷法
によって同様に改変された同じタイプの別の1層ティシュ・ペーパー・ウェブと
結合される。得られた2層のティシュ・ウェブを手洗い用ティシュ・ロールに加
工する。
得られたティシュの主要特性を測定する。以下の表は、実施例2の強度および
柔軟度を、本発明の表面沈着強化剤は含まないという点を除いて実施例2と同一
の2層ティシュ製品と比較する。実施例2はまた、表面沈着強化剤は含まないが
、むしろリファイニングの強化と乾燥強力添加剤のウェット・エンド添加との組
み合わせにより抄紙時に通常の手段で強化したという点を除いて実施例2と同一
の2層ティシュ製品と比較する。 実施例1で得られた特性は、本発明の利点をもたない参照例2の製品と比較し
て柔軟度はほとんど低下せず強度の増加を示している。参照例2Aの特性は、抄
紙時に通常の手段により強化された製品は実施例2と強度はほとんど等しくなる
が、そのように処置することによって柔軟度は顕著に損なわれることを例証して
いる。
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フロントページの続き
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KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M
D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,
SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,V
N,YU,ZW
(72)発明者 ディーソン・ハワード・トーマス
アメリカ合衆国 オハイオ州,ハミルト
ン,デュベリィ・コート,6273