JPH09331183A - 電波吸収体 - Google Patents

電波吸収体

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JPH09331183A
JPH09331183A JP14592696A JP14592696A JPH09331183A JP H09331183 A JPH09331183 A JP H09331183A JP 14592696 A JP14592696 A JP 14592696A JP 14592696 A JP14592696 A JP 14592696A JP H09331183 A JPH09331183 A JP H09331183A
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JP
Japan
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metal
fiber
radio wave
coated
wave absorber
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Pending
Application number
JP14592696A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Imai
浩之 今井
Takanori Endo
貴則 遠藤
Toshio Kudo
敏夫 工藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd, Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority to JP14592696A priority Critical patent/JPH09331183A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電波吸収特性及び実用性に優れた電波吸収体
を提供する。 【解決手段】 金属で被覆されると共に該金属が酸化処
理又は硫化処理された第1の繊維と、金属で被覆されて
いない絶縁性の第2の繊維との不織布よりなる電波吸収
体。 【効果】 導電性繊維としての金属被覆繊維の表面を酸
化処理又は硫化処理することにより、導電性繊維の抵抗
を高めることができ、これにより、電波吸収性能を高
め、吸収可能周波数帯域を広くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電波吸収体に係り、
特に、電波吸収特性が良好で、しかも、実用性にも優れ
た電波吸収体に関する。さらに詳しくは、例えば建物等
による電波の乱反射を防止し、無線環境を良好に保つた
めの内装、壁、床材に好適な電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電波吸収体としては、発泡ウレタ
ンにカーボンを含有させたピラミッド形状の電波吸収体
がある。また、フェライト焼結タイル型電波吸収体や、
フェライト粉末あるいはカーボン粉末を含有するゴム又
は塗料などの薄型電波吸収体が公知である。さらに、導
電性繊維を用いた織布又は不織布も公知である。
【0003】例えば、特開昭64−82696号公報に
は、金属等の導電メッキを施した高分子繊維を分散させ
た不織布よりなる電波吸収体が記載されている。
【0004】また、特開平1−187896号公報に
は、良電体の金属被覆を施した繊維状樹脂と、金属被覆
を施していない絶縁性の繊維状樹脂との不織布よりなる
電波吸収体が記載されている。
【0005】特開平2−12899号公報には、金属メ
ッキを施した導電性高分子繊維と、非導導性高分子繊維
とを混綿して電波吸収体を製造することが記載されてい
る。
【0006】このような電波吸収体に要求される特性と
しては、一般に、電波吸収能に優れること及び吸収可能
周波数帯域が広いことが挙げられる。
【0007】また、実用性の面から、重量が軽いこと;
形状や大きさの選択の自由度が大きいこと;加工性に優
れること;施工性に優れること;低コストであること;
耐久性に優れることなどが要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電波吸収体
は、電波吸収性能或いは実用性の面で、いずれも次のよ
うな欠点を有している。
【0009】即ち、発泡ウレタンよりなる電波吸収体
は、形状や大きさに制限があり、施工性、加工性の面で
問題がある。フェライト焼結体よりなる電波吸収体は、
吸収可能周波数帯域が狭く、その上重量が重く、高価で
施工性に劣る。また、フェライト粉末やカーボン粉末を
含むゴムや塗料では、電波吸収性能が十分でない上に吸
収可能周波数帯域が狭く、また、施工性に劣るという問
題がある。
【0010】更に、特開昭64−82696号公報、特
開平1−187896号公報及び特開平2−12899
号公報等に開示されるような、従来の導電性繊維を用い
た織布又は不織布よりなる電波吸収体では、電波吸収性
能が十分でない上に、吸収可能周波数帯域が狭いという
欠点がある。
【0011】即ち、従来の電波吸収体のうち、導電性繊
維を使用した織布あるいは不織布は、素材である導電性
繊維の導電率が高く、また不織布化した状態での導電性
も高いことから、吸収体表面での電波の反射が多い。そ
の結果、電波吸収能や吸収可能周波数帯域の面で問題が
あった。
【0012】このように、従来において、電波吸収特性
と実用性とを共に十分に満足し得る電波吸収体は提供さ
れていない。
【0013】本発明は上記従来の問題点を解決し、電波
吸収特性に優れ、しかも実用性にも優れた電波吸収体を
提供することを目的とする。
【0014】なお、本願出願人は、かかる目的を達成し
た電波吸収体として、表面を硫化処理した銀被覆繊維を
導電性繊維とし、これと絶縁性繊維との不織布を用いた
電波吸収体を特許出願している(特願平6−27878
5号)。本発明は、この先願に開示された銀以外の金属
についても同様に採用できること、また硫化処理だけで
なく、酸化処理でも良いことを見出して完成されたもの
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の電波吸収体
は、金属で被覆されると共に該金属が酸化処理された第
1の繊維と、金属で被覆されていない絶縁性の第2の繊
維との不織布よりなることを特徴とする。
【0016】請求項2の電波吸収体は、金属で被覆され
ると共に該金属が酸化処理された第1の繊維と、金属で
被覆されていない絶縁性の第2の繊維との不織布を複数
枚積層してなる電波吸収体であって、各不織布は、酸化
処理の程度あるいは酸化処理繊維の含有量が異なること
を特徴とする。
【0017】請求項3の電波吸収体は、酸化処理した金
属被覆繊維を含有する不織布と、酸化処理していない金
属被覆繊維を含有する不織布とを少なくとも一層ずつ複
数層積層してなり、該酸化処理した金属被覆繊維を含有
する不織布の層が電波入射面側に配置されることを特徴
とする。
【0018】なお、請求項4の通り、請求項1〜3の金
属としては、銀、銅、ニッケル及び亜鉛の1種あるいは
これらの2種以上の金属の合金であることが好ましい。
【0019】請求項5の電波吸収体は、金属(ただし、
銀を除く。)で被覆されると共に該金属が硫化処理され
た第1の繊維と、金属で被覆されていない絶縁性の第2
の繊維との不織布よりなることを特徴とする。
【0020】請求項6の電波吸収体は、金属(ただし、
銀を除く。)で被覆されると共に該金属が硫化処理され
た第1の繊維と、金属で被覆されていない絶縁性の第2
の繊維との不織布を複数枚積層してなる電波吸収体であ
って、各不織布は、硫化処理の程度あるいは硫化処理繊
維の含有量が異なることを特徴とする。
【0021】請求項7の電波吸収体は、硫化処理した金
属(ただし、銀を除く。)被覆繊維を含有する不織布
と、硫化処理していない金属被覆繊維を含有する不織布
とを少なくとも一層ずつ複数層積層してなり、該硫化処
理した金属被覆繊維を含有する不織布の層が電波入射面
側に配置されることを特徴とする。
【0022】なお、請求項8の通り、請求項5〜7の金
属としては銅又は銅合金が好ましい。
【0023】導電性繊維としての金属被覆繊維の表面を
酸化処理又は硫化処理すると、導電性繊維表面の抵抗を
高めることができ、これにより不織布表面での電波の反
射を小さくできる。この結果、電波吸収能を高くし、且
つ吸収可能周波数帯域を広くすることができる。
【0024】このように、表面層を酸化処理又は硫化処
理した金属被覆繊維と絶縁性の繊維と、必要に応じて樹
脂を添加して構成された不織布であれば、十分に高い電
波吸収特性が得られる。この電波吸収体は、加工性、重
量、コスト等の実用上の特性にも優れる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0026】本発明の電波吸収体は、金属で被覆される
と共に該金属の表面が酸化処理又は硫化処理された(た
だし、銀で被覆されると共に、該銀の表面が硫化処理さ
れたものを除く。)第1の繊維と、金属で被覆されてい
ない絶縁性の第2の繊維との不織布よりなるものである
が、このような電波吸収体は、例えば、次のI又はIIの
方法により製造することができる。
【0027】I 金属被覆繊維と絶縁性繊維とを所定の
割合で混合し、これを不織布化し、その後、酸化処理又
は硫化処理を行って、金属被覆繊維の表面の金属を酸化
又は硫化する。
【0028】II 金属被覆繊維に酸化処理又は硫化処理
を施して表面の金属を酸化又は硫化した繊維と、絶縁性
繊維とを所定の割合で混合し、これを不織布化する。
【0029】本発明において、金属被覆を施す第1の繊
維の素体としては、綿、麻、再生セルロース等の天然繊
維、ポリエステル、アクリル、レーヨン等の有機合成繊
維、ガラス、セラミックス等の無機繊維などを用いるこ
とができる。
【0030】また、被覆に用いる金属としては、銀、
銅、ニッケル及び亜鉛の1種、あるいは、これらのうち
の2種以上の金属の合金が挙げられるが、導電性や安定
性及びコストの面から、銀、銅、ニッケルが好ましい。
これらの金属に対する処理、即ち、酸化処理を行うか、
あるいは、硫化処理を行うかは、金属の酸化反応性及び
硫化反応性により適宜選択され、例えば、ニッケル、亜
鉛の場合には酸化処理が好ましく、銅の場合には硫化処
理及び酸化処理のいずれも好適である。
【0031】このような金属で繊維を被覆する方法とし
ては、無電解めっき法等の湿式鍍金法や、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、金属溶射法等の乾式鍍金法などがあ
るが、特に量産性、均質性等の面から無電解めっき法が
好ましい。
【0032】無電解めっき法で、金属被覆を行う場合、
例えば、次の,又はの方法を採用することができ
る。
【0033】 被覆金属の錯化剤と還元剤を含んだ水
溶液中に繊維を浸漬し、被覆金属の塩の水溶液を滴下す
る。
【0034】 被覆金属の塩と錯化剤を含んだ水溶液
に繊維を浸漬し、還元剤水溶液を滴下する。
【0035】 被覆金属の塩、錯化剤及び還元剤を含
んだ水溶液に繊維を浸漬し、苛性アルカリ水溶液を滴下
する。
【0036】ここで、被覆金属の塩としては、被覆金属
が銀の場合、硝酸銀等を用いることができ、被覆金属が
銅の場合、硫酸銅等を用いることができる。また、被覆
金属がニッケルの場合、硫酸ニッケル等を用いることが
でき、被覆金属が亜鉛の場合、塩化亜鉛等を用いること
ができる。
【0037】錯化剤としてはアンモニア水、或いは、エ
チレンジアミン四酢酸,ニトロ三酢酸,トリエチレンテ
トラミン六酢酸等の塩類を用いることができ、還元剤と
してはホルマリン,ヒドラジン及びその誘導体,酒石
酸,ブドウ糖等を用いることができる。
【0038】金属被覆量は、金属被覆前の繊維の重量に
対して5〜50重量%程度であることが好ましい。この
金属被覆量が5重量%未満では十分な導電性を得ること
ができず、逆に50重量%を超えても導電性には大差は
なく、比重が徒に大きくなり好ましくない。
【0039】一方、絶縁性の第2の繊維は、不織布の加
工性を良くすると共に可撓性、強度、意匠性あるいは難
燃性を付与するために配合するものであり、上記第1の
繊維の素体と綿、麻、再生セルロース等の天然繊維、ポ
リエステル、アクリル、レーヨン等の有機合成繊維、ガ
ラス、セラミックス等の無機繊維などを用いることがで
きる。
【0040】本発明において、第1の繊維の金属被覆表
面の酸化処理法としては、例えば、金属被覆した第1の
繊維あるいはこれを不織布としたものを、次のようにし
て処理する方法が挙げられる。
【0041】 空気中又は酸素雰囲気中にて熱処理す
る。この場合、雰囲気中の酸素濃度は20〜80体積%
が好ましく、処理温度及び処理時間は25〜200℃で
1〜48hr程度とするのが好ましい。なお、この場
合、処理温度及び雰囲気湿度を高めることにより酸化を
促進することができる。
【0042】 食塩水中又は海水中で処理する。例え
ば、海水中又は1〜20重量%のNaCl水溶液中に
て、25〜90℃で1〜48hr程度処理する。
【0043】 過酸化水素等の酸化剤を含有する水溶
液で処理する。例えば、5〜60重量%H2 2 水溶液
中にて、25〜90℃で1〜24hr程度処理する。
【0044】 硝酸、硫酸等の酸性の溶液で処理す
る。例えば、5〜50重量%のHNO3 又はH2 SO4
水溶液中にて25〜90℃で1〜24hr程度処理す
る。
【0045】 オゾン等の酸化性ガスで処理する。例
えば、0.1〜10%のオゾン含有ガス中で常温で0.
1〜2hr程度処理する。
【0046】酸化処理法の選択は、金属の種類に応じて
それぞれ最適な方法を選択すれば良い。なお、ニッケル
被覆繊維の場合には、食塩水(又は海水であっても良
い。)中に浸漬して表面を酸化処理する方法が最適であ
る。
【0047】この酸化処理により、金属被覆繊維の金属
の表面に金属酸化物が形成されるが、その酸化処理の程
度は、繊維を被覆した金属の0.1〜90重量%、特に
0.5〜30重量%が金属酸化物となるようにするのが
好ましい。この割合が0.1重量%未満では第1の繊維
の表面抵抗が低すぎるために電波吸収特性の改善効果が
得られず、逆に90重量%を超えると第1の繊維の導電
性が不十分であり、電波吸収特性が低下する。
【0048】第1の繊維を被覆した金属を硫化処理する
方法としては、金属被覆した第1の繊維或いはこれを不
織布としたものを、硫化ナトリウムなどの硫化物の水溶
液に浸漬する方法、或いは、硫化水素などのガスで処理
する方法などがある。これらのうち、特に、金属被覆層
のごく表面に均質に処理することができ、しかも簡易な
方法であることから、硫化物水溶液に浸漬する方法が好
ましい。具体的には、0.1〜10重量%の硫化ナトリ
ウム水溶液に25〜60℃にて金属被覆繊維又は不織布
を1〜60分程度浸漬して処理すれば良い。
【0049】この硫化処理により、金属被覆繊維の金属
の表面に金属硫化物が形成されるが、その硫化処理の程
度は、第1の繊維を被覆した金属の0.1〜90重量
%、特に0.5〜30重量%が金属硫化物となるように
するのが好ましい。この割合が0.1重量%未満では本
発明による十分な電波吸収特性の改善効果が得られず、
逆に、90重量%を超えると、前記酸化処理の場合と同
様の理由から、導電性が不十分であり、電波吸収特性が
十分には発現されない。
【0050】このような酸化処理又は硫化処理は、前述
の如く、不織布化する前の金属被覆繊維に行っても良
く、また、不織布化したものに対して行っても良いが、
量産性、均質性が良好となる点から、不織布化する前の
金属被覆繊維に対して行うのが好ましい。
【0051】なお、本発明において、金属被覆前の第1
の繊維の太さは0.1〜10d(デニール)であること
が好ましい。この太さが0.1d未満では金属被覆量を
多く必要とし、高比重となり、10dより太いと繊維が
硬くなり、いずれの場合も好ましくない。第2の繊維も
同様に、0.1〜10d程度の太さであることが好まし
い。
【0052】また、第1の繊維及び第2の繊維の長さ
は、不織布に加工する際の取り扱い性等の面から、10
〜200mm程度であることが好ましい。
【0053】これら第1の繊維及び第2の繊維は、必要
に応じて接着性樹脂を用いて不織布として成形される。
この場合、接着性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂やエ
ポキシ系樹脂等を用いることができる。
【0054】本発明において、金属で被覆されると共に
該金属の表面が酸化処理又は硫化処理された第1の繊維
と、金属で被覆されていない絶縁性の第2の繊維との割
合、更に、接着性樹脂を用いる場合には、その使用割合
は、電波吸収体に要求される電波吸収特性、強度、柔軟
性、その他の特性により適宜決定されるが、通常の場
合、次のような割合とされる。
【0055】即ち、金属で被覆されると共に該金属の表
面が酸化処理又は硫化処理された第1の繊維0.5〜1
0重量%に対して、金属で被覆されていない絶縁性の第
2の繊維99.5〜90重量%とするのが好ましい。接
着性樹脂を用いる場合には、第1の繊維及び第2の繊維
の合計100重量部に対して接着性樹脂量を100重量
部以下とするのが好ましい。
【0056】このような電波吸収体は、金属で被覆され
ると共に該金属が酸化処理又は硫化処理された第1の繊
維及び第2の繊維を混合した不織布であっても良く、さ
らに酸化処理又は硫化処理の処理条件や第1の繊維の含
有量の異なる不織布を何層か積層したものでも良い。さ
らに、電波の入射側に酸化処理又は硫化処理された金属
被覆繊維の不織布を、後方の層に金属被覆された繊維を
含有した不織布を配したものであっても良い。このよう
な積層法により内部での電波の繰り返し反射が多く起こ
り、吸収性能が向上する。
【0057】また、要求する吸収性能あるいは吸収帯域
によって不織布の厚さ、密度、積層数を、また、形状と
して平板波形やたまご形、錘形などを適時選択し、また
場合によっては着色、別材料をはりあわせて使用するこ
ともできる。
【0058】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0059】実施例1 ポリエステル繊維(2.0d×51mm)の表面に、ポ
リエステル繊維100重量部に対し銅20重量部の割合
で銅を被覆した銅被覆ポリエステル繊維(以下「銅20
%被覆ポリエステル繊維」と称する場合がある。)を、
1%硫化ナトリウム水溶液に25℃で10分間浸漬し、
水洗後乾燥した。この処理で硫化された銅の割合は、7
%であった。
【0060】硫化した銅被覆繊維5重量%とポリエステ
ル繊維(3.0d×51mm)95重量%とを混合して
厚さ5mmの不織布を製造し、電波吸収体とした。
【0061】得られた電波吸収体について各周波数の反
射減衰量をホーンアンテナとスロッテッドラインを用い
た定在波測定法で測定することにより、電波吸収特性を
測定した。電波吸収能及び硫化処理で硫化された銅の割
合を表1に示す。
【0062】実施例2,3 実施例1において、硫化した銅被覆繊維の割合を1重量
%(実施例2),10重量%(実施例3)としたこと以
外は同様にして電波吸収体を製造し、電波吸収特性を測
定した。電波吸収能及び硫化処理で硫化された銅の割合
を表1に示す。
【0063】実施例4 銅20%被覆ポリエステル繊維(2.0d×51mm)
5重量%とポリエステル繊維(3.0d×51mm)9
5重量%とを混合して厚さ5mmの不織布を製造した。
これを1%硫化ナトリウム水溶液に10分間浸漬したの
ち水洗し、電波吸収体とした。得られた電波吸収体の電
波吸収特性を実施例1と同様にして測定した。電波吸収
能及び硫化処理で硫化された銅の割合を表1に示した。
【0064】実施例5,6 実施例1において、硫化ナトリウム水溶液の濃度を0.
1%(実施例5),10%(実施例6)としたこと以外
は同様にして電波吸収体を製造し、電波吸収特性を測定
した。電波吸収能及び硫化処理で硫化された銅の割合を
表1に示す。
【0065】実施例7,8 実施例1において、硫化ナトリウムの処理時間を1分
(実施例7)、60分(実施例8)としたこと以外は同
様にして電波吸収体を製造し、電波吸収特性を測定し
た。電波吸収能及び硫化処理で硫化された銅の割合を表
1に示す。
【0066】実施例9 実施例1において、銅の被覆量を30%としたこと以外
は同様にして電波吸収体を製造し、電波吸収特性を測定
した。電波吸収能及び硫化処理で硫化された銅の割合を
表1に示す。
【0067】比較例1,2,3 硫化処理をしていない銅20%被覆繊維を1重量%(比
較例1)、5重量%(比較例2)、10重量%(比較例
3)、残りをポリエステル繊維として不織布を製造し
た。この不織布の電波吸収特性の測定結果を表1に示
す。
【0068】実施例10 実施例2で得られた電波吸収体の裏側に実施例1で得ら
れた電波吸収体を積層した。実施例2の電波吸収体を電
波の入射側とした場合の電波の吸収能を測定した。結果
を表1に示す。
【0069】実施例11 実施例1で得られた電波吸収体の裏側に比較例1で得ら
れた電波吸収体を積層した。実施例1の電波吸収体を電
波の入射側とした場合の電波の吸収能を測定した。結果
を表1に示す。
【0070】実施例12 実施例3で得られた電波吸収体をつづら折り状に折り返
すことにより断面が三角波形状(三角波のピッチ30m
m,三角波の振幅30mm)の電波吸収体を形成した。
この吸収体の吸収能を測定し、結果を表1に示した。
【0071】表1から明らかなように、硫化処理をした
実施例1〜9の不織布では、硫化処理をしていない比較
例1〜3の不織布と比較して格段に吸収特性が向上す
る。
【0072】また、硫化処理の異なる不織布を積層した
り、硫化処理した不織布と硫化処理していない不織布と
を積層したり、硫化処理した不織布を加工したりするこ
とで、吸収特性を向上させることができる。
【0073】
【表1】
【0074】実施例13〜15 ポリエステル繊維(2.0d×51mm)の表面に、ポ
リエステル繊維100重量部に対しニッケル20重量部
の割合でニッケルを被覆したニッケル被覆ポリエステル
繊維(以下「ニッケル20%被覆ポリエステル繊維」と
称する場合がある。)を、海水(10%塩化ナトリウム
水溶液でも同様の結果が得られる。)中に60℃にて2
4時間浸漬し、水洗後乾燥した。この処理で酸化された
ニッケルの割合は、5%であった。
【0075】酸化したニッケル20%被覆ポリエステル
繊維とポリエステル繊維(3.0d×51mm)とを表
2に示す割合で混合して厚さ5mmの不織布を製造し、
電波吸収体とした。この電波吸収体の電波吸収能を測定
し、結果を表2に示した。
【0076】比較例4 酸化処理をしていないニッケル20%被覆ポリエステル
繊維を5重量%、残りをポリエステル繊維として不織布
を製造した。この不織布の電波吸収特性の測定結果を表
2に示す。
【0077】実施例16〜18 ポリエステル繊維(2.0d×51mm)の表面に、ポ
リエステル繊維100重量部に対し亜鉛20重量部の割
合で亜鉛を被覆した亜鉛被覆ポリエステル繊維(以下
「亜鉛20%被覆ポリエステル繊維」と称する場合があ
る。)を、海水(10%塩化ナトリウム水溶液でも同様
の結果が得られる。)中に60℃にて24時間浸漬し、
水洗後乾燥した。この処理で酸化された亜鉛の割合は、
5%であった。
【0078】酸化した亜鉛20%被覆ポリエステル繊維
とポリエステル繊維(3.0d×51mm)とを表2に
示す割合で混合して厚さ5mmの不織布を製造し、電波
吸収体とした。この電波吸収体の電波吸収能を測定し、
結果を表2に示した。
【0079】比較例5 酸化処理をしていない亜鉛20%被覆ポリエステル繊維
を5重量%、残りをポリエステル繊維として不織布を製
造した。この不織布の電波吸収特性の測定結果を表2に
示す。
【0080】実施例19〜21 銅20%被覆ポリエステル繊維(2.0d×51mm)
を海水(10%塩化ナトリウム水溶液でも同様の結果が
得られる。)中に60℃にて24時間浸漬し、水洗後乾
燥した。この処理で酸化された銅の割合は、8%であっ
た。
【0081】酸化した銅20%被覆ポリエステル繊維と
ポリエステル繊維(3.0d×51mm)とを表2に示
す割合で混合して厚さ5mmの不織布を製造し、電波吸
収体とした。この電波吸収体の電波吸収能を測定し、結
果を表2に示した。
【0082】なお、表2には、酸化処理をしていない銅
20%被覆ポリエステル繊維を5重量%、残りをポリエ
ステル繊維として不織布を製造し、この不織布の電波吸
収特性を調べた、比較例2の結果を比較例6として併記
する。
【0083】実施例22〜24 ポリエステル繊維(2.0d×51mm)の表面に、ポ
リエステル繊維100重量部に対し銀20重量部の割合
で銀を被覆した銀被覆ポリエステル繊維(以下「銀20
%被覆ポリエステル繊維」と称する場合がある。)を、
海水(10%塩化ナトリウム水溶液でも同様の結果が得
られる。)中に80℃にて48時間浸漬し、水洗後乾燥
した。この処理で酸化された銀の割合は、5%であっ
た。
【0084】酸化した銀20%被覆ポリエステル繊維と
ポリエステル繊維(3.0d×51mm)とを表2に示
す割合で混合して厚さ5mmの不織布を製造し、電波吸
収体とした。この電波吸収体の電波吸収能を測定し、結
果を表2に示した。
【0085】比較例7 酸化処理をしていない銀20%被覆ポリエステル繊維を
5重量%、残りをポリエステル繊維として不織布を製造
した。この不織布の電波吸収特性の測定結果を表2に示
す。
【0086】
【表2】
【0087】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1ないし8の
各発明によれば、電波吸収特性と実用性との両特性に優
れた電波吸収体、即ち、電波吸収性能に優れ、吸収可能
周波数帯域が広い電波吸収体であって、軽量で、形状及
び大きさの制約がなく、加工性、施工性、耐久性に優
れ、しかも安価な電波吸収体が提供される。
フロントページの続き (72)発明者 工藤 敏夫 大阪市北区天満橋1丁目8番30号 三菱電 線工業株式会社関西支社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属で被覆されると共に該金属が酸化処
    理された第1の繊維と、金属で被覆されていない絶縁性
    の第2の繊維との不織布よりなる電波吸収体。
  2. 【請求項2】 金属で被覆されると共に該金属が酸化処
    理された第1の繊維と、金属で被覆されていない絶縁性
    の第2の繊維との不織布を複数枚積層してなる電波吸収
    体であって、各不織布は、酸化処理の程度あるいは酸化
    処理繊維の含有量が異なることを特徴とする電波吸収
    体。
  3. 【請求項3】 酸化処理した金属被覆繊維を含有する不
    織布と、酸化処理していない金属被覆繊維を含有する不
    織布とを少なくとも一層ずつ複数層積層してなり、該酸
    化処理した金属被覆繊維を含有する不織布の層が電波入
    射面側に配置される電波吸収体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、前記金属は、銀、銅、ニッケル及び亜鉛よりなる群
    から選ばれる1種もしくはこれらの2種以上の金属の合
    金であることを特徴とする電波吸収体。
  5. 【請求項5】 金属(ただし、銀を除く。)で被覆され
    ると共に該金属が硫化処理された第1の繊維と、金属で
    被覆されていない絶縁性の第2の繊維との不織布よりな
    る電波吸収体。
  6. 【請求項6】 金属(ただし、銀を除く。)で被覆され
    ると共に該金属が硫化処理された第1の繊維と、金属で
    被覆されていない絶縁性の第2の繊維との不織布を複数
    枚積層してなる電波吸収体であって、各不織布は、硫化
    処理の程度あるいは硫化処理繊維の含有量が異なること
    を特徴とする電波吸収体。
  7. 【請求項7】 硫化処理した金属(ただし、銀を除
    く。)被覆繊維を含有する不織布と、硫化処理していな
    い金属被覆繊維を含有する不織布とを少なくとも一層ず
    つ複数層積層してなり、該硫化処理した金属被覆繊維を
    含有する不織布の層が電波入射面側に配置される電波吸
    収体。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれか1項におい
    て、前記金属は、銅又は銅合金であることを特徴とする
    電波吸収体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010080911A (ja) * 2008-04-30 2010-04-08 Tayca Corp 広帯域電磁波吸収体及びその製造方法
WO2010119593A1 (ja) * 2009-04-16 2010-10-21 テイカ株式会社 広帯域電磁波吸収体及びその製造方法

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US9108388B2 (en) 2008-04-30 2015-08-18 Tayca Corporation Broadband electromagnetic wave-absorber and process for producing same
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