JPH0932898A - Vベルト式無段変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

Vベルト式無段変速機のライン圧制御装置

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JPH0932898A
JPH0932898A JP17996895A JP17996895A JPH0932898A JP H0932898 A JPH0932898 A JP H0932898A JP 17996895 A JP17996895 A JP 17996895A JP 17996895 A JP17996895 A JP 17996895A JP H0932898 A JPH0932898 A JP H0932898A
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belt
pressure
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Vベルト式無段変速機のライン圧を、非伝動
状態およびこれから伝動状態への移行時において適切に
制御し、Vベルトの耐久性を向上する。 【解決手段】 コントローラ17は入力情報から目標入
力回転数Ni を求め、これに対応してステップモータ2
3によりリンク22を介して弁21を操作する。弁21
は制御圧PS を調圧して、プーリ1,2間の伝動比を目
標入力回転数Niに対応した比へ無段変速させる。元圧
であるライン圧PL の制御に際しコントローラ17は、
プライマリプーリ回転数Npri が0の時ライン圧P
L を、Vベルト3、プーリ1,2間の大きな静摩擦係数
に応じた最低値とし、Npri の上昇につれライン圧PL
を、Vベルト3、プーリ1,2間の小さな動摩擦係数に
応じた最高値に向け高めるよう、ライン圧ソレノイド1
3へのデューティDを決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Vベルト式無段変
速機の変速制御に重要なライン圧を、特に当該変速機を
搭載した車両の停車時および発進時において適切に制御
するためのライン圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Vベルト式無段変速機は、例えば特開昭
61−105347号公報に記載のごとく、Vベルトを
巻き掛けした一対のプーリのうち、一方のプーリ(通常
は従動側のセカンダリプーリ)の可動フランジを、変速
機入力トルクに応じた値に制御されるライン圧で固定フ
ランジに向け付勢し、他方のプーリ(通常は駆動側の、
つまり入力側のプライマリプーリ)の可動フランジは、
ライン圧を減圧して得た変速制御圧で固定フランジに向
け付勢し、該変速制御圧とライン圧との圧力比により、
つまり変速制御圧を要求変速比に対応した値に調圧する
ことにより、変速比を無段階に制御するよう構成するの
が普通である。
【0003】ところでライン圧は、上記したところから
明らかなように両プーリ間に掛け渡したVベルトの張力
に関与し、必要以上にライン圧を高くすることはVベル
トの張力を過大にしてその耐久性を低下させることにな
り、かと言ってライン圧が低くてVベルトの張力が少な
すぎると、スリップにより伝動効率の低下を招くだけで
なく、この場合もスリップによりVベルトが磨耗して耐
久性を低下される。
【0004】従って一般的に無段変速機のライン圧は、
ポンプ圧の減圧により作り出すに際し、例えば特開平2
−212663号公報に記載のごとく、変速機入出力回
転数の比から求めた変速比毎にトルクコンバータのター
ビントルク、つまり変速機入力トルクに応じたぎりぎり
の値に制御するのが常套である。ライン圧はかように制
御された値から高くても、低くてもVベルトの耐久性に
悪影響を及ぼす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記文献に
記載されたものに代表される従来のVベルト式無段変速
機のライン圧制御装置は何れも、無段変速機がVベルト
を介して動力を伝達している時の状態のみを想定してラ
イン圧を決定しているだけのため、以下の問題があっ
た。
【0006】つまり、相互に接触する物体間における摩
擦係数は、静摩擦係数の方が動摩擦係数よりも大きい。
このことは、Vベルト式無段変速機におけるプライマリ
プーリおよびセカンダリプーリと、これらの間に掛け渡
したVベルトとの間の接触摩擦係数についても当てはま
る。従って、無段変速機がVベルトを介して動力を伝達
している時の状態のみを想定してライン圧を決定する従
来のライン圧制御装置では、Vベルトが動力を伝達して
いない時に、つまりVベルト式無段変速機を搭載した車
両について言えば、当該車両の発進前の停車状態で、プ
ライマリプーリおよびセカンダリプーリと、これらの間
に掛け渡したVベルトとが動力伝達を行わず、両者間に
大きな静摩擦が発生していることから、ライン圧が必要
以上に高いことになる。
【0007】これがため従来のライン圧制御装置は、非
伝動状態でライン圧が高過ぎて、Vベルトの耐久性を低
下させる懸念がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この懸念を払拭するため
第1発明によるVベルト式無段変速機のライン圧制御装
置は、Vベルトを巻き掛けした一対のプーリのうち、一
方のプーリの可動フランジをライン圧で対応する固定フ
ランジに向け付勢し、他方のプーリの可動フランジは、
ライン圧を減圧して得た変速制御圧で対応する固定フラ
ンジに向け付勢し、該変速制御圧とライン圧との圧力比
により変速比を無段階に制御するようにしたVベルト式
無段変速機において、前記プーリのうち、入力側プーリ
の回転数を検出する入力側プーリ回転数検出手段と、該
手段により検出した入力側プーリ回転数の上昇に応じて
前記ライン圧を高くするライン圧補正手段とを設けたこ
とを特徴とするものである。
【0009】かかる第1発明においてVベルト式無段変
速機は、Vベルトを介し一対のプーリ間で動力の受渡し
を行い、この伝動中に上記の変速制御圧を加減すること
により、上記他方のプーリの可動フランジを対応する固
定フランジに対し接近または遠去けることができる。こ
れに呼応して、ライン圧を作用されている上記一方のプ
ーリの可動フランジは、対応する固定フランジ対し離反
または接近し、結果としてVベルト式無段変速機は、変
速制御圧とライン圧との圧力比により変速比を無段階に
変化される。
【0010】ところで、入力側プーリ回転数検出手段に
より検出した入力側プーリ回転数の上昇に応じ、ライン
圧補正手段が上記のライン圧を高くすることから、入力
側プーリ回転数が0の非伝動中にライン圧が最低にされ
ることとなる。これがため、当該非伝動中は両プーリ
と、これらの間に掛け渡したVベルトとの間に大きな静
摩擦係数が発生して、ライン圧が低くてよいにもかかわ
らず、このライン圧が伝動中と同じ高い値のままにされ
ることがなくなり、当該非伝動中にライン圧が高過ぎて
Vベルトの耐久性を低下させるといった従来装置の前記
懸念を払拭することができる。
【0011】第2発明による無段変速機のライン圧制御
装置において、上記ライン圧補正手段は、上記検出され
た入力側プーリ回転数が0の時のライン圧を、Vベルト
およびプーリ間の相対的に大きな静摩擦係数に符合する
最低値にする構成にする。
【0012】この場合、入力側プーリ回転数が0の時の
非伝動状態でライン圧が、要求値に完全に一致し、上記
第1発明の作用効果を一層完璧に達成することができ
る。
【0013】第3発明による無段変速機のライン圧制御
装置において、上記ライン圧補正手段はライン圧の最高
値を、前記Vベルトおよびプーリ間の相対的に小さな動
摩擦係数を補完し得る値にするような構成とする。
【0014】この場合、伝動状態でのライン圧が、要求
値に完全に一致し、伝動状態でのVベルトの耐久性が確
保される。
【0015】第4発明による無段変速機のライン圧制御
装置において、上記ライン圧補正手段は、入力側プーリ
回転数の上昇につれてライン圧を連続的に変化させるよ
う構成する。
【0016】この場合、非伝動状態から伝動状態への移
行時において、ライン圧が上記の最低値から最高値に切
り換わるに際し、これが徐々になされることとなり、急
なライン圧の変化で、ライン圧を作用されている前記一
方のプーリの可動フランジが一瞬対応する固定フランジ
に対し相対変位して変速制御が悪影響を受けるといった
弊害を回避することができる。なお、当該非伝動状態か
ら伝動状態への移行時においては、変速機入力トルクが
回転上昇に消費されるため、ライン圧を最低値から最高
値に徐々に切り換えても、支障になることはない。
【0017】第5発明による無段変速機のライン圧制御
装置において、上記ライン圧補正手段は、前記入力側プ
ーリ回転数の上昇に対するライン圧の変化割合を、無段
変速機の変速制御に影響することのない範囲で最も高い
変化割合にしたことを特徴とするものである。
【0018】この場合、上記第4発明の作用効果を損な
うことのない範囲で、ライン圧を最も速やかに伝動時用
のライン圧値に持ち来すことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明一実施の形
態になるVベルト式無段変速機のライン圧制御装置を変
速制御装置と共に例示するもので、1は図示せざるエン
ジン(原動機)の回転を、同じく図示せざるトルクコン
バータを経て入力される入力(駆動)側プーリとしての
プライマリプーリ、2は変速後の回転を出力する出力
(従動)側プーリとしてのセカンダリプーリを夫々示
す。これらプライマリプーリ1およびセカンダリプーリ
2間にVベルト3を巻き掛けし、両プーリ1,2に対す
るVベルト3の巻き掛け円弧径を変化させてプーリ間伝
動比、つまり変速比を無段階に変更可能とする。
【0020】これがためプライマリプーリ1は、固定フ
ランジ1aと対向設置されてプーリV溝を形成する可動
フランジ1bを軸線方向へ変位可能とし、セカンダリプ
ーリ2も、固定フランジ2aと対向設置されてプーリV
溝を形成する可動フランジ2bを軸線方向へ変位可能と
する。そして、可動フランジ1bには対応する固定フラ
ンジ1aに向かう方向に変速制御圧PS を作用させ、可
動フランジ2bには対応する固定フランジ2aに向かう
方向にライン圧PL を作用させ、変速制御圧P S とライ
ン圧PL との圧力比に応じ両プーリ1,2に対するVベ
ルト3の巻き掛け円弧径を無段階に変化させて、無段変
速を行うものとする。
【0021】ここでライン圧PL を制御するライン圧制
御系を説明するに、このライン圧制御系は上記エンジン
により駆動される圧力源11と、この圧力源11からの
作動油をライン圧PL に調圧するプレッシャーレギュレ
ータ弁12と、このプレッシャーレギュレータ弁にライ
ン圧制御用のモディファイア圧Pm を供給するためのプ
レッシャーモディファイア弁13と、このプレッシャー
モディファイア弁13を制御するライン圧ソレノイド1
4と、該ソレノイドに一定の圧力PC を供給するパイロ
ット弁15とで構成する。
【0022】プレッシャーレギュレータ弁12は、圧力
源11からの作動油を回路16に漏洩させつつ、また必
要に応じてドレンポート12a よりドレンしつつ、モデ
ィファイア圧Pm に応じたライン圧PL に調圧する。パ
イロット弁15は回路16から漏れ油を一定圧PC にし
てライン圧ソレノイド14に供給し、ライン圧ソレノイ
ド14は一定圧PC を駆動デューティDに応じたデュー
ティ圧PD にしてモディファイア弁13に印加する。モ
ディファイア弁13は、回路16から漏れ油をデューテ
ィ圧PD 、従ってライン圧ソレノイド14の駆動デュー
ティDに応じたモディファイア圧Pm にし、これをプレ
ッシャーレギュレータ弁12に印加してライン圧PL
上記制御に資する。よって、ライン圧PL はライン圧ソ
レノイド14の駆動デューティDを加減することで制御
することができ、ソレノイド駆動デューティDはコント
ローラ17により後述のごとくに決定することとする。
【0023】コントローラ17は変速制御および前記ト
ルクコンバータのロックアップ制御をも行うもので、こ
れら変速制御、ロックアップ制御。および上記ライン圧
制御のためにコントローラ17には、エンジンスロット
ル開度TVOを検出するスロットル開度センサ18から
の信号、プライマリプーリ1の回転数Npri を検出する
ためのプライマリプーリ回転センサ(入力側プーリ回転
数検出手段)19からの信号、セカンダリプーリ2の回
転数(車速)Nsec を検出するセカンダリプーリ回転セ
ンサ20からの信号、およびエンジン回転数Ne を検出
するエンジン回転センサ27からの信号をそれぞれ入力
する。
【0024】次いで変速制御系を説明するに、これは変
速制御圧PS を決定する変速制御弁21と、変速リンク
22と、ステップモータ23とで構成する。変速リンク
22は、一端をプライマリプーリ可動フランジ1bと共
に変位するシフタ24に連節し、他端をステップモータ
23により駆動されるよう連結し、両端間を変速制御弁
21のスプール21aに枢着する。ここで変速制御弁2
1は回路25からのライン圧PL を減圧して回路26に
変速制御圧PS を作り出すもので、スプール21aを図
中上昇される時、変速制御圧回路26をライン圧回路2
5に通じて変速制御圧PS を上昇させ、スプール21a
を図中下降される時、変速制御圧回路26をドレンポー
ト21bに通じて変速制御圧PS を低下させるものと
し、スプール21aの上記ストロークをステップモータ
23により変速リンク22を介して制御する。そしてス
テップモータ21の回転位置をコントローラ17により
決定し、これにより以下の変速制御を実行するものとす
る。
【0025】この変速制御に当たってコントローラ17
は、例えば図2に示す変速制御特性に対応したマップを
もとに車速Nsec およびスロットル開度TVOから目標
とすべき入力回転数Ni を求め、これに対応した変速指
令をステップモータ23に発する。これによりステップ
モータ23は指令通りの回転位置となり、変速リンク2
2をシフタ24の周りに回動させて変速制御弁スプール
21aをストロークさせる。これにより変速制御弁21
は、回路26をライン圧回路25およびドレンポート2
1bに対して同じ連通度にされた平衡位置からずれて、
変速制御圧PSを変化させ、両プーリ1,2の可動フラ
ンジ1b,2bが変位することで変速比が上記の目標入
力回転数Ni に対応した変速比に持ち来たされる。
【0026】この変速が進行するにつれてプライマリプ
ーリ1の可動フランジ1bはシフタ24を介し変速リン
ク22をステップモータ23の周りで、変速制御弁スプ
ール21aを元のストローク位置に戻すよう回動させ、
変速比が上記の目標入力回転数Ni に対応した変速比に
なったところで変速制御弁21が平衡位置に復帰して変
速制御を終了し、目標変速比を維持することができる。
【0027】同時にコントローラ17は、車速Nsec
よびスロットル開度TVOからトルクコンバータを、入
出力要素間が直結されたロックアップ状態にすべき運転
状態か、入出力要素間の直結が解かれたコンバータ状態
にすべき運転状態かを判定し、ロックアップ状態にすべ
き運転状態の時、これを達成するためにロックアップ信
号L/Uを出力し、コンバータ状態にすべき運転状態の
時、これを達成するためにロックアップ信号L/Uを消
失させる、ロックアップ制御をも行うものとする。
【0028】更に、ライン圧PL の制御に当たってコン
トローラ17は、当該制御部分を例えば図3に示すよう
な構成とするが、勿論同様な作用を行うフローチャート
を実行するようなものでもよいことは言うまでもない。
速度比演算部31は、前記エンジンとプライマリプーリ
1との間における前記トルクコンバータ(図示せず)の
速度比eをe=Ne /Npri により算出し、トルク比演
算部32は、同トルクコンバータのトルク比tを図4に
例示するトルクコンバータ性能線図から検索して求め
る。
【0029】エンジントルク推定部33は、例えば図5
に示すエンジン性能線図をもとに、エンジン回転数Ne
およびスロットル開度TVOからエンジントルクTe
検索して求める。入力トルク推定部34は、トルクコン
バータの入出力要素間を直結するロックアップ信号L/
Uの有無に応じて、非ロックアップ時なら変速機入力ト
ルクTi をエンジントルクTe とトルク比tとの乗算T
i =Te ×tにより演算し、ロックアップ時ならエンジ
ントルクTe をそのまま変速機入力トルクTiとする。
【0030】変速比演算部35は、無段変速機の入出力
プーリ間伝動比(変速比)iをi=Nsec /Npri によ
り算出し、要求ライン圧演算部36は例えば図6に示す
ような要求ライン圧特性をもとに、変速機入力トルクT
i 毎に変速比iに対応した要求ライン圧P0 を検索す
る。ここで要求ライン圧P0 は、無段変速機がVベルト
3を介して動力を伝達している時の状態、つまりプーリ
1,2とVベルト3との間における摩擦係数が動摩擦係
数相当値の小さなものである時の状態を基準にして、こ
の小さな摩擦係数のもとで過不足なく、Vベルト3の耐
久性を最も良くするようなライン圧値とする。
【0031】ライン圧補正係数決定部37は、プライマ
リプーリ回転数Npri およびロックアップ信号L/Uか
ら、図7に対応する補正係数マップから、上記要求ライ
ン圧P0 に対するライン圧補正係数xを検索する。ここ
でライン圧補正係数xは、ロックアップ信号L/Uが出
力されるトルクコンバータのロックアップ状態では、破
線で示すようにプライマリプーリ回転数Npri に関係な
く1.0にし、要求ライン圧P0 の補正を行わないこと
とする。その理由は、当該ロックアップ状態ではVベル
ト3が動力を伝達しており、上記の要求ライン圧P0
決定するに当たって基準にしたと同じ条件であって、要
求ライン圧P0 が適正な値で、補正の必要がないためで
ある。
【0032】ところで、ロックアップ信号L/Uが出力
されないトルクコンバータのコンバータ(C/V)状態
では、図7に実線で示すようにプライマリプーリ回転数
pr i が0の時、つまりVベルト3がプーリ1,2間で
動力伝達を行っていない状態、つまり無段変速機搭載車
の発進前における停車状態で、ライン圧補正係数xを1
よりも小さな最低値とし、プライマリプーリ回転数N
pri の上昇につれて連続的に漸増させつつ、最終的に
1.0にする。ここで当該ライン圧補正係数xの最低値
は、Vベルト3が動力伝達を行っていないために、プー
リ1,2に対して大きな静摩擦係数を持つ事実に対応さ
せて、その分上記の要求ライン圧P0 を低下させるべく
例えば0.8とする。
【0033】図3のライン圧補正部は、本発明における
ライン圧補正手段に相当するもので、前記の要求ライン
圧P0 に上記の補正係数xを乗じて目標ライン圧PL
求める。そしてライン圧ソレノイドデューティ決定部4
0は、例えば図8のようなマップをもとに、上記の目標
ライン圧PL に対応したデューティDを決定し、これを
ライン圧ソレノイド14に出力する。ここでソレノイド
14は、パイロット弁15からの一定圧PC を駆動デュ
ーティDに応じたデューティ圧PD にしてモディファイ
ア弁13に印加し、モディファイア弁13はデューティ
Dに応じたモディファイア圧Pm をプレッシャーレギュ
レータ弁12に印加し、プレッシャーレギュレータ弁1
2は、圧力源11からの作動油をデューティDに応じた
目標ライン圧PL に調圧する。以上によりライン圧は、
上記したように設定した目標ライン圧PL に制御される
こととなる。
【0034】ところで本例においては、トルクコンバー
タのコンバータ(C/V)状態で当該目標ライン圧PL
を決定するに当たり、図7に実線で示すごとくに定めた
係数xにより要求ライン圧P0 を補正して目標ライン圧
L とする構成にしたから、プライマリプーリ回転数N
pri が0の時、つまりVベルト3がプーリ1,2間で動
力伝達を行っていない状態、つまり無段変速機搭載車の
発進前における停車状態で、ライン圧が最低にされるこ
ととなる。
【0035】このため、当該非伝動中は両プーリ1,2
と、これらの間に掛け渡したVベルト3との間に大きな
静摩擦係数が発生して、ライン圧が低くてよいにもかか
わらず、このライン圧が伝動中と同じ高い値のままにさ
れることがなくなり、当該非伝動中に摩擦係数との関連
においてライン圧が高過ぎ、Vベルト3の耐久性が低下
されるといった前記従来装置の懸念を払拭することがで
きる。
【0036】そして、プライマリプーリ回転数Npri
0の非伝動中における、つまり無段変速機搭載車が発進
前の停車状態にある時の、ライン圧補正係数xの最低値
を、Vベルト3とプーリ1,2との間の大きな静摩擦係
数に対応させて例えば0.8に決定したから、当該非伝
動中における目標ライン圧PL が正確に上記の大きな静
摩擦係数に対応した過不足のないものとなって、Vベル
ト3の耐久性を確実に向上させることができる。
【0037】更に、プライマリプーリ回転数Npri が高
い伝動中における、つまり無段変速機搭載車が発進後の
走行状態にある時の、ライン圧補正係数xを1.0と
し、要求ライン圧P0 をそのまま目標ライン圧PL とす
るようにし、また当該要求ライン圧P0 を、伝動中にお
けるプーリ1,2とVベルト3との間の小さな動摩擦係
数のもとで過不足なく、Vベルト3の耐久性を最も良く
するようなライン圧値としたから、伝動中のVベルト3
の耐久性も向上させることができる。
【0038】加えて、図7に実線で示すようにプライマ
リプーリ回転数Npri の上昇に伴いライン圧補正係数x
を最低値から1.0へと変化させるに際し、この変化が
連続的となるよう定めたことから、プライマリプーリ回
転数Npri の上昇につれて、つまり非伝動状態から伝動
状態への移行時において(無段変速機搭載車について言
えば停車状態からの発進に際して)、ライン圧が停車時
の最低値から最高値まで徐々に変化することになる。よ
って、この時急なライン圧の上昇変化で、ライン圧を作
用されているセカンダリプーリ2の可動フランジ2bが
一瞬対応する固定フランジ2aに対し接近して変速制御
が悪影響を受けるといった弊害を回避することができ
る。なお、当該非伝動状態から伝動状態への移行時にお
いては、変速機入力トルクが回転上昇に消費されるた
め、ライン圧を最低値から最高値に徐々に切り換えて
も、支障になることはない。
【0039】なお、図7に実線で示すプライマリプーリ
回転数Npri の上昇に対するライン圧補正係数xの変化
割合、つまり非伝動状態から伝動状態への移行時におけ
る(無段変速機搭載車の停車状態からの発進時におけ
る)ライン圧の上昇変化割合は、無段変速機の変速制御
に影響することのない範囲で最も高い変化割合にするの
が好ましい。この場合、上記の作用効果を損なうことの
ない範囲で、ライン圧を最も速やかに伝動時用のライン
圧値に持ち来すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるVベルト式無段変速機のライン圧
制御装置を、変速制御装置と共に例示する油圧制御シス
テム図である。
【図2】同例において変速制御に用いる通常の変速制御
パターンを示す線図である。
【図3】同例におけるコントローラのライン圧制御部に
係わる機能別ブロック線図である。
【図4】トルクコンバータの速度比とトルク比との関係
を示す性能線図である。
【図5】エンジントルクを求めるのに用いたエンジン性
能線図である。
【図6】変速機入力トルクと変速比とで規定される要求
ライン圧特性を示す線図である。
【図7】プライマリプーリ回転数に対するライン圧補正
係数の変化特性を示す特性図である。
【図8】目標ライン圧に対するライン圧ソレノイドデュ
ーティの関係線図である。
【符号の説明】
1 プライマリプーリ(他方のプーリ) 1b 可動フランジ 2 セカンダリプーリ(一方のプーリ) 2b 可動フランジ 3 Vベルト 11 圧力源 12 プレッシャーレギュレータ弁 13 プレッシャーモディファイア弁 14 ライン圧ソレノイド 15 パイロット弁 17 コントローラ 18 スロットル開度センサ 19 プライマリプーリ回転センサ(入力側プーリ回転数
検出手段) 20 セカンダリプーリ回転センサ 21 変速制御弁 22 変速リンク 23 ステップモータ 24 シフタ 25 ライン圧回路 26 変速制御圧回路 27 エンジン回転センサ 31 速度比演算部 32 トルク比演算部 33 エンジントルク推定部 34 入力トルク推定部 35 変速比演算部 36 要求ライン圧演算部 37 ライン圧補正係数決定部 38 ライン圧補正部(ライン圧補正手段) 40 ライン圧ソレノイドデューティ決定部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Vベルトを巻き掛けした一対のプーリの
    うち、一方のプーリの可動フランジをライン圧で対応す
    る固定フランジに向け付勢し、他方のプーリの可動フラ
    ンジは、ライン圧を減圧して得た変速制御圧で対応する
    固定フランジに向け付勢し、該変速制御圧とライン圧と
    の圧力比により変速比を無段階に制御するようにしたV
    ベルト式無段変速機において、 前記プーリのうち、入力側プーリの回転数を検出する入
    力側プーリ回転数検出手段と、 該手段により検出した入力側プーリ回転数の上昇に応じ
    て前記ライン圧を高くするライン圧補正手段とを具備す
    ることを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ライン圧補正手
    段は、前記検出された入力側プーリ回転数が0の時のラ
    イン圧を、前記Vベルトおよびプーリ間の相対的に大き
    な静摩擦係数に符合する最低値にする構成にしたことを
    特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記ライン圧補正手
    段はライン圧の最高値を、前記Vベルトおよびプーリ間
    の相対的に小さな動摩擦係数を補完し得る値にするよう
    構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライ
    ン圧制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記ライン圧補正手
    段は、入力側プーリ回転数の上昇につれてライン圧を連
    続的に変化させるよう構成したことを特徴とするVベル
    ト式無段変速機のライン圧制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記ライン圧補正手
    段は、前記入力側プーリ回転数の上昇に対するライン圧
    の変化割合を、無段変速機の変速制御に影響することの
    ない範囲で最も高い変化割合にしたことを特徴とするV
    ベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
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JP2008223826A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Toyota Motor Corp 自動変速機の油圧制御装置

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