JPH09327095A - 超音波送信器 - Google Patents

超音波送信器

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Publication number
JPH09327095A
JPH09327095A JP14163596A JP14163596A JPH09327095A JP H09327095 A JPH09327095 A JP H09327095A JP 14163596 A JP14163596 A JP 14163596A JP 14163596 A JP14163596 A JP 14163596A JP H09327095 A JPH09327095 A JP H09327095A
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JP
Japan
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oscillator
cone
vibrator
ultrasonic wave
pedestal
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Application number
JP14163596A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Yamaguchi
健 山口
Masahiro Takada
雅弘 高田
Hirotaka Ishihara
広隆 石原
Noboru Nomura
登 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP14163596A priority Critical patent/JPH09327095A/ja
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホーンを用いた従来の超音波発振器では、出
力超音波の指向性がホーンの大きさに依存し、超音波の
狭指向性を実現するにはホーンの寸法を大きくしなけれ
ばならなかった。 【解決手段】 バイモルフ振動子と、内部が中空の円錐
状のコーン振動子14と、コーン振動子14の縁と所定
値離れて位置する円錐ホーン60で構成し、上記バイモ
ルフ振動子の振動によりコーン振動子14が上記円錐表
面上に振動の節17を有する構造により、円錐ホーン6
0を小型化しつつ、音圧の大出力化及び狭指向性を実現
する。また、円錐ホーン60の中心軸方向にコーン振動
子14の振動の節17及び円錐ホーン60のスロート部
との距離を出力超音波の波長の四分の一とすることによ
り、円錐ホーン60を小型化し、かつ音圧の大出力化及
び狭指向性を実現する。また反射波の位相を調節するこ
とにより音圧の大出力化及び狭指向性を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を用いた物
体位置検出あるいは距離計測装置を構成する、超音波送
信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波送信器について図面を参照
しながら説明する。図23は従来の超音波送信器の構成
を示す図である。図23で、230、231は圧電体円
板、232はステンレス等の金属からなる振動板、23
3は柔らかい接着剤、234はコーン振動子、235は
振動板232及びコーン振動子234を結合するピン、
236は台座、237は上記超音波送信器のハウジング
部、238は圧電体円板230、231及び振動板23
2に電圧を印加するための端子ピンである。
【0003】圧電体円板230、231は中央部に空洞
を有する円板で、また全ての主面には電極が形成されて
いる。そして上記圧電体円板230、231及び振動板
232は、上記振動板232を挟んで上記圧電体円板2
30、231の分極が同方向となるように配置されるこ
とにより、バイモルフ振動子を構成する。コーン振動子
234はアルミニウム等の軽い金属からなる内部が中空
の円錐状の振動子である。そしてピン235の一方を振
動板232の中央部に結合し、片方を上記コーン振動子
234の円錐頂点に結合することにより、上記バイモル
フ振動子とコーン振動子234を機械的に結合する。そ
して上記バイモルフ振動子及びコーン振動子234の複
合体の共振周波数が所望する超音波周波数と一致するよ
うに上記複合体を構成することにより、上記バイモルフ
振動子に交流電圧を印加したわみ振動を励振すると、上
記複合体の振動により超音波が出力される。さらに、台
座236は上記バイモルフ振動子とコーン振動子234
の複合体と、上記バイモルフ振動子のたわみ振動の節位
置にて柔らかい接着剤233を介して弾性的に結合し、
上記複合体を支持する。また、上記超音波送信器は耐衝
撃、防塵特性を得るため、ハウジング部237を有す
る。図24はハウジング部237を備えた上記超音波送
信器の外観図であり、超音波出力面は網状の構造を有し
超音波の出力を阻害しないように配慮されている。
【0004】しかしながら上記従来の超音波送信器にお
いて、所望する超音波出力を得るために構造設計される
部位は上記バイモルフ振動子及びコーン振動子234の
複合体であり、他の部位、例えば台座236やハウジン
グ部237はそれぞれ上記複合体の支持や上記バイモル
フ振動子の電極の取り出し及び上記複合体が耐衝撃性や
防塵特性を得るために構造設計された部位であり、超音
波の出力に関して考慮されていない。
【0005】次に上記バイモルフ振動子とコーン振動子
234の複合体にホーンを取り付けた従来の超音波送信
器について図面を参照しながら説明する。図25は円錐
ホーン250を取り付けた従来の超音波送信器の構成を
示すものである。図25で、250は円錐ホーン、25
1は振動の節である。上記バイモルフ振動子及びコーン
振動子234の複合体を台座236と、コーン振動子2
34の円錐端にて柔らかい接着剤233を介して弾性的
に結合することにより、防滴、防塵特性を有する。また
上記バイモルフ振動子及び台座236で囲まれた空間に
スポンジ等の柔らかい材料を封入し、防振特性を得る。
さらに円錐ホーン250の中心軸とコーン振動子234
の中心軸が一致するように、円錐ホーン250と台座2
36を接続する。またコーン振動子234のエッジを支
持する構造により、上記バイモルフ振動子に交流電圧を
印加したわみ振動を励振した時、コーン振動子234の
円錐面は上記円錐軸を中心とした円環状の振動の節25
1を形成する。上記複合体より出力された超音波は円錐
ホーン250内部を伝搬し、円錐ホーン250のマウス
部より自由空間へ放出される。
【0006】次にコーン振動子234の円錐面より出力
された超音波の円錐ホーン250内部における伝搬につ
いて、図を参照しながら説明する。図26は円錐ホーン
250の内部を伝搬する超音波の位相分布を示すもので
ある。図26で、234はコーン振動子、250は円錐
ホーン、260は円錐ホーン250のマウス部に設けた
バッフル、261は円錐ホーン250の中心軸である。
また図26の超音波の位相分布は円錐ホーン250の中
心軸方向断面片側について表したもので、超音波の位相
分布を濃淡の縞模様で示し、また濃度の等しい部分は位
相が等しいことを示す。図26より円錐ホーン250の
内部を伝搬する超音波の位相はコーン振動子234付近
では乱れているが、ホーン長を十分に長くとればバッフ
ル260付近では、円錐ホーン250の中心軸に垂直な
面内でほぼ等しくなる。従って上記超音波送信器の音圧
指向性は、円錐ホーン250のマウス部の大きさを持つ
ピストン音源が作る指向性で近似され、超音波の指向性
は円錐ホーン250のマウス部の大きさに依存する。図
27は上記従来の超音波送信器について、円錐ホーン2
50のマウス部から一定距離離れた場所における円錐ホ
ーンの中心軸261からの角度と上記角度における送信
音圧の関係を極座標で表示したものである。すなわち、
超音波の狭指向性を実現しようとすると円錐ホーン25
0が大型になってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように上記従来の
構成では、出力超音波の指向性がホーンの大きさに依存
し、超音波の狭指向性を実現するにはホーンの寸法を大
きくしなければならないという課題を有していた。
【0008】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、ホーンを小型化しつつ出力超音波の狭指向性を実現
するための超音波送信器の構造を提供する。
【0009】また、本発明は、作製が容易で、出力超音
波の狭指向性を実現するための超音波送信器の構造を提
供する。
【0010】さらに、本発明は、防滴、防塵効果を有
し、ホーンを小型化しつつ出力超音波の狭指向性を実現
するための超音波送信器の構造を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1に記載の本発明は、第1の超音波を放射する
第1の音源と、前記第1の超音波と位相が異なる第2の
超音波を放射する第2の音源とを備え、第1の超音波放
出部から前記第1の超音波が放出され、前記第1の超音
波放出部の外周に位置する第2の超音波放出部から前記
第2の超音波が放出されることを特徴とする超音波送信
器である。
【0012】なお、本発明は、少なくとも底部を有する
台座を更に備え、前記第1及び第2の音源とは、圧電体
及び振動板を含み前記台座の底部に取り付けられた第1
の振動子と、その第1の振動子に取り付けられその第1
の振動子の振動により振動する第2の振動子であり、前
記第1の音源とは、前記第1の振動子に取り付けられて
いない側の振動する前記第2の振動子の表面であり、前
記第1の超音波放出部は、前記第2の振動子の表面に位
置し、前記第2の音源とは、前記第2の振動子の裏面と
前記第1の振動子であるとしてもよい。ここで、前記第
2の振動子の裏面から放射される音と前記第1の振動子
から放射される音とにより前記第2の超音波が合成さ
れ、その合成された第2の超音波の位相が前記第1の超
音波の位相と異なっていればよい。
【0013】また、前記第2の振動子の面に振動の節が
形成されているとしてもよい。
【0014】また、前記台座は、前記第1及び第2の振
動子の全部又は一部の側面を取り囲む側壁部を更に有
し、前記第2の超音波放出部は、前記第2の振動子の面
の縁と前記台座の側壁部の内壁との間に位置する隙間で
あるとしてもよい。
【0015】また、前記台座の開口部を覆うようにして
取り付けられたホーンを更に備え、前記第2の超音波放
出部は、前記第2の振動子の面の縁と前記ホーンのスロ
ート部との間に位置する隙間であるとしてもよい。
【0016】また、前記台座の底部に対して水平となる
前記隙間の長さは、前記超音波送信器から放出される出
力超音波の波長の4分の1以上であるとしてもよい。
【0017】また、前記台座の底部を高さの基準にした
場合、前記ホーンのスロート部の高さと前記第2の振動
子の面に形成された前記振動の節の高さとの間の差は、
前記超音波送信器から放出される出力超音波の波長の4
分の1以下であるとしてもよい。
【0018】また、前記台座の底部を高さの基準にした
場合、前記台座の側壁部の内壁の高さは、前記第1及び
第2の振動子の高さよりも高いとしてもよい。
【0019】また、孔を有する蓋を更に備え、前記台座
は、前記第1の振動子の側面と前記第2の振動子の一部
の側面とを取り囲む側壁部を更に有し、前記蓋は、その
孔から前記第2の振動子の残部を外部に出すように、前
記台座の開口部に取り付けられ、前記第2の振動子の振
動の節と前記蓋の孔とは弾性的に結合されるとしてもよ
い。
【0020】更に、前記第2の振動子の残部を収納する
ように、前記蓋に取り付けられたホーンを更に備え、前
記台座の底部を高さの基準にした場合、前記ホーンのス
ロート部の高さと前記第2の振動子の面に形成された前
記振動の節の高さとの間の差は、前記超音波送信器から
放出される出力超音波の波長の4分の1以下であるとし
てもよい。
【0021】請求項11に記載の本発明は、圧電体及び
振動板を含む振動子と、コーン振動子と、前記振動子と
前記コーン振動子とを結合する結合部とを備え、前記結
合部の長さは、出力超音波の波長に起因した長さである
ことを特徴とする超音波送信器である。
【0022】請求項12に記載の本発明は、一部に所定
の厚みの段差が形成された底部を少なくとも有する台座
と、圧電体及び振動板を含み、前記段差に取り付けられ
た振動子と、その振動子に取り付けられたコーン振動子
とを備え、前記台座の底部は、前記振動子及びコーン振
動子による前記底部に対して水平となる何れの断面より
も広く、前記段差の厚みは、出力超音波の波長に起因し
た厚みであることを特徴とする超音波送信器である。
【0023】請求項13に記載の本発明は、圧電体及び
振動板を含む振動子と、振動の節が形成され、前記振動
子に取り付けられたコーン振動子と、前記振動の節によ
り取り囲まれる前記コーン振動子の一部を覆うことがで
きる大きさを有するじゃま部とを備えたことを特徴とす
る超音波送信器である。
【0024】なお、前記じゃま部とは、一端閉止音響管
又はヘルムホルツ共鳴体であるとしてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下本発明の第一の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0026】図1は本発明の第一の実施の形態を示す超
音波送信器の構成図である。図1で10、11は圧電体
円板、12はステンレス等の金属からなる振動板、13
は柔らかい接着剤、14はコーン振動子、15は振動板
12及びコーン振動子14を結合するピン、16は台
座、17はコーン振動子14が形成する振動の節、18
は圧電体10、11及び振動板12に電圧を印加するた
めの端子ピン、19は円錐ホーン、h、dはコーン振動
子14のエッジとホーン19のスロート部とのホーン中
心軸方向及び垂直方向の距離である。
【0027】圧電体円板10、11は中央に空洞を有す
る円板で、また全ての主面には電極が形成されている。
そして、上記圧電体円板10、11及び振動板12は、
上記圧電体円板10、11が振動板12を挟み分極が同
方向となるように配置されることにより、バイモルフ振
動子を構成する。コーン振動子14はアルミニウム等の
軽量な金属からなる内部が中空の円錐形状の振動子であ
る。そしてピン15の一方を振動板12の中央部に結合
し、片方をコーン振動子14の円錐頂点に結合すること
により、上記バイモルフ振動子及びコーン振動子14を
機械的に結合する。そして上記バイモルフ振動子とコー
ン振動子14の複合体は、台座16及び円錐ホーン19
で囲まれており、円錐ホーン19のスロート部とコーン
振動子14のエッジが円錐ホーン19の中心軸方向に間
隔h分離している。また円錐ホーン19の中心軸に垂直
な方向に、円錐ホーン19のスロート部とコーン振動子
14のエッジが間隔d分離している。そして上記バイモ
ルフ振動子とコーン振動子14の複合体は、端子ピン1
8を介して上記バイモルフ振動子に交流電圧を印加して
たわみ振動を励振させた時、コーン振動子14の円錐面
上に上記円錐軸を中心とした円環状の振動の節17を形
成する構造を有する。そして上記複合体は、台座16と
上記バイモルフ振動子のたわみ振動の節位置にて柔らか
い接着剤13を介して弾性的に結合し支持される。そし
て上記複合体における上記振動モードの共振周波数を所
望する超音波周波数と一致させることにより、上記振動
により所望する周波数の超音波が出力され、上記複合体
より出力された超音波は円錐ホーン19内部を伝搬し円
錐ホーン19のマウス部より自由空間へ放出される。
【0028】次に上記超音波送信器の動作について説明
する。図2は上記バイモルフ振動子及びコーン振動子1
4の複合体の振動変位を示した図で、実線が変位前の状
態、破線が変位した状態を示し、また矢印は上記変位方
向を示しており、コーン振動子14の円錐面及び上記バ
イモルフ振動子が変位部位である。また図2で、20は
コーン振動子14の円錐頂点、21はコーン振動子14
における振動の節17を境界として円錐頂点20を含む
面、22はコーン振動子14における振動の節17を境
界として円錐頂点20を含まない面である。
【0029】図2に示すように、コーン振動子14が振
動の節17を形成するため、上記複合体の振動によりコ
ーン振動子14の振動の節17の左右の円錐面は逆位相
で振動する。以上より、コーン振動子14及び上記バイ
モルフ振動子が振動することにより、コーン振動子14
の円錐面表側及び裏側及び上記バイモルフ振動子より超
音波が出力される。
【0030】ここで、コーン振動子14の円錐面裏側及
び上記バイモルフ振動子より出力された超音波は互いに
干渉し、上記バイモルフ振動子とコーン振動子14の複
合体と台座16で囲まれた空間を伝搬し、あるいは台座
16の底面及び側壁面で多重反射し、コーン振動子14
のエッジと円錐ホーン19のスロート部との間隔より円
錐ホーン19内部に出力される。ここで上記複合体を囲
む空間の構造を設計することにより、上記間隔より出力
される超音波の音圧及び位相を調節することができる。
その構造パラメータは、例えば上記複合体から台座16
の底面や側壁面までの距離や、コーン振動子14のエッ
ジと円錐ホーン19のスロート部との間隔d、hなどが
挙げられる。従ってコーン振動子14の円錐面の表側よ
り出力される超音波とコーン振動子14のエッジと円錐
ホーン19のスロート部との間隔より出力される超音波
は、互いに位相の異なった超音波として円錐ホーン19
内部放出することができる。
【0031】以上より、本実施の形態における超音波送
信器の音源は図3に示される。図3で(a)は上記音源
の構造で、30は円錐ホーン19のスロート部、31は
コーン振動子14のエッジを示し、(b)は上記音源よ
り出力された超音波のエネルギー分布を示し、横軸は上
記音源の大きさを、縦軸は上記エネルギーの大きさにつ
いて超音波の円錐ホーン19内部方向への出力を正にと
り示す。図3(b)に示すように、本実施の形態におけ
る超音波送信器の音源は、コーン振動子14の円錐表面
より出力される超音波の音響エネルギーとスロート部3
0とエッジ31との間隔より出力される超音波の音響エ
ネルギーが正負異なる構成を有する。なお、コーン振動
子14の円錐面は振動の節17を有するため、振動の節
17を境界とする内側の面21と外側の面22の各々は
互いに逆位相で振動するため、音響エネルギーが正負異
なる。これはコーン振動子14の円錐面を対称振動させ
て振幅を増加させ音圧出力を増加させるためのものであ
るが、その結果としてコーン振動子14は円環状の音源
構造となるので、指向性を鋭くすることができる。
【0032】上記音源より出力された超音波の伝搬につ
いて図4を用いて説明する。図4は上記音源より出力し
伝搬する超音波の円錐ホーン19内部及び外界における
位相分布図である。40はバイモルフ振動子、14はコ
ーン振動子、16は台座、19は円錐ホーン、41は円
錐ホーン19のマウス部に設置したバッフル、42は円
錐ホーン19の中心軸である。
【0033】そして図4は円錐ホーン19の中心軸42
方向の断面についての位相分布を示したもので、超音波
の位相の大きさを濃淡で示し、濃度の等しい部分は位相
が等しいことを示す。図4より本実施の形態の超音波送
信器は、円錐ホーン19の中心軸45に垂直な方向に同
位相面を形成せず、位相のずれを2カ所形成する。そし
て上記位相のずれの内側の超音波の伝搬に対して、外側
の超音波がその拡散を抑制するように作用する。従っ
て、上記位相のずれの内側の超音波はエネルギーが凝縮
された超音波として伝搬するので、音圧指向性を鋭くす
ることができる。
【0034】図5は、円錐ホーン19のマウス部から一
定距離離れた場所における円錐ホーン19の中心軸42
からの角度と上記角度における音圧出力との関係を極座
標で表示した図である。一方、図27は本実施の形態と
同じ外寸の上記バイモルフ振動子とコーン振動子及び円
錐ホーンを有する従来の超音波送信器について、上記音
圧指向性を表示した図である。図5及び図27を比較す
ると、音圧半値角やサイドローブの有無等の点から本実
施の形態の超音波送信器が音圧狭指向性を実現している
ことが示されている。
【0035】また、上記音源はホーンが存在しない構造
においても実現される。図6はバイモルフ振動子とコー
ン振動子14の複合体が台座16で囲まれた超音波送信
器の構造である。図6で、コーン振動子14のエッジと
台座16との水平、垂直方向間隔d、h及び及び上記複
合体の台座16の底面からの距離tを変化させることに
より図7に示すエネルギー分布を有する音源構造を形成
することができる。なお、前述したように、コーン振動
子14が振動の節17を有することによりさらに指向性
を鋭くすることができる。そして、コーン振動子14よ
り出力された超音波はコーン振動子14のエッジと台座
16との間隔より出力される位相の異なった超音波によ
りその拡散が抑制され、例えば図23に示す従来の超音
波送信器と比べ図8に示す狭指向性が得られる。図8で
実線は本実施の形態の円錐ホーン19の存在しない超音
波送信器の音圧指向性分布、破線は図23に示す従来の
超音波送信器の指向性分布である。また、円錐ホーン1
9を装着した従来の超音波送信器より鋭い指向性を実現
することもでき、小型で狭指向性送信器を実現できる。
【0036】なお、上記バイモルフ振動子とコーン振動
子14の複合体周辺の構造は、本実施例における構造の
寸法設計に限るものではない。図9に上記構造の他の例
を示す。図9(a)は上記コーン振動子14の円錐表面
に平行な音波反射面を有する構造で、図9(b)は上記
台座16の上記複合体側面に空洞部を有する構造であ
る。図9(a)又は(b)の構造より出力される超音波
が図7に示す音源を構成するように、上記構造の寸法を
設計すればよい。
【0037】また本実施の形態の音源構造では、コーン
振動子14の円錐面表側より出力される超音波とコーン
振動子14のエッジ31と円錐ホーン19のスロート部
30又はバッフル41との間隔より出力される超音波の
エネルギー分布の正負が異なるが、上記2つの超音波よ
り出力されるエネルギー分布が共に正方向をとるように
構成すると、それは音源の開口が大きくなることに相当
するので、従来の構造に比べ狭指向性を実現できる。
【0038】以上のよう本実施の形態よれば、コーン振
動子14のエッジ31と円錐ホーン19のスロート部3
0又はバッフル41との距離を所定値分離することによ
り位相の異なった超音波を出力することができ、上記音
源より出力された超音波が垂直方向に位相のずれを形成
し、コーン振動子14の円錐表面より出力された超音波
の拡散が上記位相の異なった超音波により抑制されるた
め、指向性を鋭くし、正面音圧を増加させることができ
る。
【0039】(実施の形態2)以下本発明の第2の実施
の形態について図面を参照しながら説明する。図10は
第2の実施の形態を示す超音波送信器の構成を示す図で
ある。図10に示す超音波送信器の構成要素及び動作は
上記第1の実施の形態の超音波送信器と同様である。そ
して本実施の形態の超音波送信器は、円錐ホーン19の
中心軸方向にコーン振動子14の振動の節17と円錐ホ
ーン19のスロート部30との距離が出力超音波の波長
の四分の一以下となる構成を有する。なお図10で、上
記バイモルフ振動子とコーン振動子14の複合体の上記
台座底面からの高さをgとする。本実施の形態の超音波
送信器は、実施の形態2に示す超音波送信器の構造から
上記高さgを変化させることにより得られた。
【0040】図11は上記複合体の上記高さgの変化に
対する音圧出力の関係を示したものである。図11で横
軸は上記高さgを示し、コーン振動子14のエッジ31
と円錐ホーン19のスロート部30が上記高さ方向に垂
直な同一平面上に位置する時をゼロとし、上記複合体が
円錐ホーン19の内部側に位置する場合をプラスとす
る。また縦軸は音圧値を示す。そして矢印110は第1
の音圧極大、矢印111は第2の音圧極大を表し、11
2、113、114は、円錐ホーン19の中心軸42に
垂直な方向のコーン振動子14のエッジ31と円錐ホー
ン19のスロート部30との間隔hを変化させた時の上
記関係を示す。図11で、第1の音圧極大110は実施
の形態2に示す構造により実現され、上記複合体を前方
に移動させることにより第2の音圧出力の極大111が
得られた。図11に示すように、本実施の形態の超音波
送信器による上記第2の音圧出力の極大値は、上記間隔
hに依存せずほぼ等しい。
【0041】図10より、コーン振動子14における振
動の節17を境界とし円錐頂点20を含む円錐面21は
台座16及び円錐ホーン19のスロート部30で囲まれ
た空間内に位置し、コーン振動子14における振動の節
17を境界とし円錐頂点20を含まない円錐面22は円
錐ホーン19の内部に位置する。従って、コーン振動子
14の円錐面21、22の振動により生じる逆位相の超
音波は空間的に分離され、干渉の程度が小さくなる。ま
た上記構造により、コーン振動子14のエッジ31と円
錐ホーン19のスロート部30との間隔より出力される
超音波の音圧は非常に小さい。図12は本実施の形態の
超音波送信器の音源のエネルギー分布を示したもので、
横軸は上記音源の大きさで、縦軸はエネルギーの大きさ
である。そして図12(a)は従来の超音波送信器につ
いて、(b)は本実施の形態の超音波送信器について示
したものである。図12に示すように、本実施の形態の
超音波送信器の構造により、正のエネルギーの分布領域
の広がり、いわゆる音源の肥大化が生ずる。従って音圧
の指向性を鋭くし、正面の音圧出力を増やすことができ
る。
【0042】以上のように本実施の形態によれば、円錐
ホーン19の中心軸42方向にコーン振動子14の振動
の節17と円錐ホーン19のスロート部30との距離を
出力超音波の波長の四分の一以下にする構成により、コ
ーン振動子14における振動の節17を境界として上記
円錐頂点20を含まない円錐面22の振動により出力さ
れる超音波の音響エネルギーの分布領域が広がるので、
音圧の大出力化及び狭指向性を実現できる。
【0043】(実施の形態3)本発明の第3の実施の形
態について図面を参照しながら説明する。図13は本実
施の形態の超音波送信器の構造を示す図である。図13
で、10、11は圧電体円板、12はステンレス等の金
属を材料とする振動板、13、130は柔らかい接着
剤、14はコーン振動子、15は振動板12とコーン振
動子14を機械的に結合するピン、16は台座、17は
振動の節、19は円錐ホーンである。本実施の形態の超
音波送信器の構成及び動作は実施の形態2と同様であ
る。ただし、台座16及びコーン振動子14は、コーン
振動子14が形成する振動の節17の位置にて柔らかい
接着剤130を介して弾性的に結合されており、円錐ホ
ーン19のスロート部30及び台座16で囲まれた空間
は密閉構造を形成する。
【0044】上記構造により、実施の形態2で説明した
ようにコーン振動子14の振動の節17の内側の円錐面
21、外側の円錐面22が互いに分離した空間内に位置
することにより音圧の大出力化及び狭指向性が実現され
るので、台座16及びコーン振動子14を振動の節17
の位置で弾性的に結合することによる上記音圧大出力及
び音圧狭指向性の効果は低下しない。さらに上記密閉構
造により、上記バイモルフ振動子が雨滴や砂塵等の飛来
物体から保護される。
【0045】以上のように、台座16及びコーン振動子
14をコーン振動子14の振動の節17の位置にて弾性
的に結合し、バイモルフ振動子を囲む空間を密閉構造と
することにより、音圧大出力及び狭指向性の効果を低下
させず優れた防滴、防塵特性を有する超音波送信器を実
現できる。
【0046】(実施の形態4)以下本発明の第4の実施
の形態について図面を参照しながら説明する。図14は
本実施の形態の超音波送信器の構成図である。図14
で、10、11は圧電体円板、12はステンレス等の金
属を材料とする振動板、13は柔らかい接着剤、14は
コーン振動子、15は振動板12及びコーン振動子14
を結合するピン、16は台座、18は圧電体円板10、
11及び振動板12に電圧を印加するための端子ピン、
tはピン15の長さである。圧電体円板10、11は中
央部に空洞を有する円板で、また全ての主面には電極が
形成されている。そして圧電体円板10、11及び振動
板12は、上記圧電体円板10、11が振動板12を挟
み、分極が同方向となるように配置することによりバイ
モルフ振動子を構成する。コーン振動子14はアルミニ
ウム等の軽い金属からなる内部が中空の円錐状の振動子
である。そしてピン15の一方を振動板12の上記中央
部に結合し、片方をコーン振動子14の円錐頂点に結合
することにより、上記バイモルフ振動子及びコーン振動
子14を機械的に結合する。そして上記バイモルフ振動
子に交流電圧を印加し、たわみ振動を励振させることに
よりコーン振動子14が振動し、コーン振動子14の円
錐表面より超音波が出力される。なお、上記バイモルフ
振動子とコーン振動子14の複合体は台座16と、上記
バイモルフ振動子のたわみ振動の振動の節位置において
柔らかい接着剤13を介して弾性的に結合される。
【0047】次に本実施の形態の超音波送信器より出力
された超音波の伝搬について説明する。図15は本実施
の形態の超音波送信器の振動変位状態を示すものであ
る。図15で、破線はコーン振動子14の変位前の状
態、実線は変位状態を示す。図15に示すコーン振動子
14の円錐面の変位により前方へ超音波が出力される
が、上記円錐表面の変位は上記バイモルフ振動子方向に
逆位相の圧力変化を生じさせるので、すなわち上記バイ
モルフ振動子方向へ上記前方へ出力した超音波と逆位相
の超音波が出力される。そして上記バイモルフ振動子方
向へ出力された超音波は上記バイモルフ振動子にて反射
し、前方へ伝搬する。従ってコーン振動子14の円錐面
の振動により、前方へ位相の異なった2つの超音波が出
力され、上記位相の異なった2つの超音波が干渉し前方
の音圧値及び指向性が決定される。ここで、上記バイモ
ルフ振動子で反射した超音波の位相は、上記超音波がコ
ーン振動子14の円錐面より出力されてからの伝搬距離
により変化する。すると上記バイモルフ振動子とコーン
振動子14の結合部の距離tの長さを変化させることに
より上記超音波の伝搬距離を変化させることができるの
で、上記超音波の位相を変化させることができる。そし
て上記前方の音圧値及び指向性は上記2つ超音波の干渉
によるため、音圧出力の極大及び狭指向性を得るための
上記反射による超音波の位相は、出力超音波の波長に関
係する。よって上記音圧出力の極大及び狭指向性を得る
ための上記結合部の距離tは、出力超音波の波長に起因
した周期性を有する。
【0048】一方図16は上記結合部の距離tを長くし
た時の上記超音波送信器の振動変位状態を示すものであ
る。図16で実線はコーン振動子14の振動変位前の状
態、破線は振動変位状態を示す。図16に示すように距
離tを長くすることにより、上記バイモルフ振動子の励
振に対してコーン振動子14は上記コーン振動子の中心
軸に垂直な方向への振動変位が大きくなる。そして、上
記垂直方向への振動は大音圧出力に対する抵抗となる。
従って上記結合部の距離tを長くすることにより、上記
垂直方向への振動による音圧単調減少の効果が存在す
る。
【0049】従って、上記距離tの変化に対する上記超
音波送信器の軸上音圧は、上記出力超音波の波長に起因
した周期性とコーン振動子14の中心軸に垂直な方向の
振動の発生による抵抗の効果を掛け合わせることにより
図17のように示される。図17で横軸は結合部の距離
tを出力超音波の波長で割った値、縦軸は上記前方の音
圧である。図17より結合部の距離tのある値にて音圧
出力の最大を有することができ、また上記構造にて音圧
の狭指向性を実現することができる。
【0050】なお、上記最大音圧を実現する結合部の距
離tの値は、コーン振動子14の円錐面の口径や円錐角
等のコーン振動子14の構造にも依存する。ここで、ピ
ン15の長さtの値の設定の例について、図14を参照
しながら説明する。コーン振動子14の表面から出力す
る超音波とコーン振動子14の裏面から出力する超音波
とが同位相で前方に出力される必要があるので、コーン
振動子14のエッジと圧電体円板10との間の距離lが
出力超音波の波長の整数倍となることを設定条件とす
る。また、出力超音波の周波数を40kHz、コーン振
動子14の円錐角を120度、コーン振動子14の円錐
底面の口径をφ20mm、コーン振動子の軸の高さ(図
14におけるl−t)を約5.8mmとする。この場
合、40kHzの超音波の波長は約8.5mmであるの
で、上記設定条件{t+5.8=8.5の整数倍}を満
たすピン15の最小の長さは約2.7mmとなる。この
構成における音圧出力が図17における最大値となる。
【0051】また本発明の超音波送信器は、コーン振動
子14が振動の節を有する構造であっても同様の効果が
得られる。
【0052】以上のように本実施の形態によれば、バイ
モルフ振動子とコーン振動子14の結合部の距離を出力
超音波の波長に依存した値で変化させることにより、音
圧大出力化及び狭指向性を実現することができる。
【0053】(実施の形態5)以下、本発明の第5の実
施の形態について図面を参照しながら説明する。図18
は本発明の超音波送信器の構成を示すものである。図1
8で、10、11は圧電体円板、12はステンレス等の
金属を材料とする振動板、13は柔らかい接着剤、14
はコーン振動子、15は振動板12及びコーン振動子1
4を結合するピン、16は台座、18は圧電体円板1
0、11及び振動板12に電圧を印加するための端子ピ
ン、180は台座16の底面、181は台座16の底面
180に形成された高さmの段差の上面である。本実施
の形態の超音波送信器の構成及び動作は実施の形態4と
同様である。また、台座16は高さmの段を有する構造
で、上記超音波送信器は台座16の上面181とバイモ
ルフ振動子のたわみ振動の節位置にて柔らかい接着剤1
3を介して弾性的に結合する。また台座16の底面18
0は、振動板12の直径以上の大きさである。
【0054】次に本実施の形態の超音波送信器より出力
された超音波の伝搬について説明する。実施の形態5同
様コーン振動子14の円錐面の振動により、前方へ超音
波が出力されると同時に、一方で上記バイモルフ振動子
方向へ上記前方へ出力された超音波と逆位相の超音波が
出力される。そして上記バイモルフ振動子方向へ出力さ
れた超音波は実施の形態4に示すように上記バイモルフ
振動子で反射するが、さらに台座16の底面180での
反射が生じる。そして台座16の底面180での反射波
は、コーン振動子14の円錐面からの超音波と位相の異
なった超音波として上記前方へ出力される。そして上記
前方における音圧及び指向性は上記位相の異なった超音
波の干渉により決定される。ここで、台座16の底面1
80で反射される超音波の位相は、コーン振動子14の
円錐面より出力されてからの伝搬距離により変化する。
従って、段差の高さmを変化させると上記伝搬距離が変
化するので、台座16の底面180で反射する超音波の
位相を変化させることができる。そして上記反射波とコ
ーン振動子14の円錐面より前方へ出力された超音波が
互いに強め合うように上記反射波の位相を設定すること
により、音圧出力の極大及び狭指向性を実現できる。
【0055】図19は台座16の高さmの段差と上記前
方における音圧の関係を示したものである。図19で横
軸は段差の高さmを出力超音波の波長で割った値、縦軸
は音圧値を示す。音圧値は上記位相の異なる超音波の干
渉により決定されるので、図19に示すように、上記音
圧極大を形成する段差の高さmの値は出力超音波の波長
に依存した周期性を有する。
【0056】なお、上記音圧極大を実現する台座16の
段差の高さmの値は、コーン振動子14の円錐面の大き
さや円錐の開き角等コーン振動子14の構造に依存す
る。ここで、段差の高さmの設定の例について、図18
を参照しながら説明する。コーン振動子14の表面から
出力する超音波と台座16の底面180で反射され前面
へ放射される超音波とが同位相で前方に出力される必要
があるので、コーン振動子14のエッジと台座16の底
面180との間の距離lが出力超音波の波長の整数倍と
なる。ところが、この構造では、台座16の底面180
からコーン振動子14のエッジに下ろした垂線l’と前
述の距離lとの差が大きくなるため、垂線l’が出力超
音波の波長の整数倍となることを設定条件とする。ま
た、出力超音波の周波数を40kHz、コーン振動子1
4の円錐角を120度、コーン振動子14の円錐底面の
口径をφ20mm、コーン振動子の軸の高さを約5.8
mm、ピン15の長さtを2.5mmとする。そして圧
電体円板10、11及び振動板12の厚みによる高さを
3.4mmとすれば、(5.8+2.7+3.4+m)
がlとなる。この場合、40kHzの超音波の波長は約
8.5mmであるので、上記の設定条件{1.15×
(11.9+m)=8.5の整数倍}を満たす段差の高
さmの最小値は約3mmとなる。
【0057】図20及び図21は、同じ寸法の上記バイ
モルフ振動子とコーン振動子14の複合体を、底面の大
きさが同じで段差mが異なる上記台座16に取り付けた
時の音圧指向性の実測データである。図20及び図21
は、上記複合体の中心軸からの角度と上記角度における
音圧出力の関係を極座標で表示したものである。図20
は図21に比べ、音圧半値角が小さくサイドローブも小
さく、狭指向性を実現されていることが分かる。また正
面音圧も大きい。なおコーン振動子14より出力される
超音波の反射体は、本実施の形態に示す板状の台座16
である必要はなく、コーン振動子14の円錐形状に即し
た構造体などでもよい。またコーン振動子14は、円錐
面上に振動の節17を有する構造であってもなくとも同
様の効果が得られる。
【0058】以上のように本実施の形態によれば、コー
ン振動子14の振動により出力された超音波に対してコ
ーン振動子14の円錐面と反射板との距離を出力超音波
の波長に依存した値で調節することにより、上記超音波
送信器の前方における音圧の極大及び狭指向性を実現で
きる。
【0059】(実施の形態6)以下本発明の第6の実施
の形態について図面を参照しながら説明する。図22は
本実施の形態の超音波送信器の構成を示すものである。
図22で、10、11は圧電体円板、12はステンレス
等の金属を材料とする振動板、13は柔らかい接着剤、
14はコーン振動子、15は振動板12及びコーン振動
子14を結合するピン、16は台座、17はコーン振動
子14が形成する振動の節、18は圧電体円板10、1
1及び振動板12に電圧を印加するための端子ピン、2
10は一端閉止音響管、211は一端閉止音響管の支持
部である。圧電体円板10、11及び振動板12はバイ
モルフ振動子を構成し、上記バイモルフ振動子とコーン
振動子14はピン15を介して機械的に結合される。そ
して上記バイモルフ振動子に交流電圧を印加したわみ振
動を励振することにより上記バイモルフ振動子とコーン
振動子14の複合体が振動し超音波が出力される。また
上記複合体は、上記振動によりコーン振動子14の円錐
面上に上記円錐軸を中心に対称な円環状の振動の節17
を有し、そして台座16と上記バイモルフ振動子のたわ
み振動の節17の位置にて柔らかい接着剤13を介して
弾性的に結合される。さらに一端閉止音響管210は開
口の大きさが振動の節17の円環の大きさに等しく、上
記コーン振動子14との距離が出力超音波の波長の四分
の一以下となるように台座16と結合した支持部211
で支持される。
【0060】次に上記超音波送信器の動作について説明
する。コーン振動子14は振動の節17を有するため、
上記バイモルフ振動子の振動によりコーン振動子14の
振動の節17の円錐面21、22は逆位相で振動する。
従って上記逆位相の振動に対応した超音波が出力され
る。ここでコーン振動子14の振動の節17を境界とし
て円錐頂点を含む円錐面21の振動により出力される超
音波に対して、一端閉止音響管210が共振系を構成す
るように管内構造及び管の長さを設計する。すると、上
記超音波の音響エネルギーを上記一端閉止音響管210
内に封入することができるので、コーン振動子14の振
動の節17を境界として円錐頂点を含まない円錐面22
の振動により出力された超音波のみが前方へ伝搬する。
上記構造により、コーン振動子14の振動の節17の内
側表面21と外側表面22の逆位相の振動によるエネル
ギーの相殺が解消され、音圧大出力及び狭指向性を実現
できる。
【0061】なお、コーン振動子14の振動の節17を
境界として円錐の頂点を含む円錐面21の振動により出
力される超音波のエネルギーを封入する機構としてヘル
ムホルツ共鳴体を用いても同様の効果を実現できる。
【0062】以上のように、コーン振動子14における
振動の節17を境界としてコーン振動子14の円錐頂点
を含む円錐面21の振動により出力される超音波と共振
系を構成する一端音響管又はヘルムホルツ共鳴体を有す
ることにより上記超音波のエネルギーが封入され、音圧
大出力及び狭指向性を実現できる。
【0063】
【発明の効果】
(1)以上のように本発明は、コーン振動子のエッジとホ
ーンのスロート部を所定値分離する構造により、同じ外
寸の従来の超音波送信器と比較して音圧狭指向性を実現
できる。また従来の超音波送信器の音圧指向性を、小型
化した構造で実現できる。さらにホーンを必要としない
構造で、音圧狭指向性を実現できる。
【0064】(2)またホーンの中心軸方向に、コーン振
動子の振動の節と上記ホーンのスロート部との距離を出
力超音波の波長の四分の一以下にする構造により、上記
ホーンの中心軸に垂直な方向の上記コーン振動子及び上
記ホーンの中心軸合わせ精度が緩和されつつ、ホーンを
小型化しながら音圧の大出力化及び狭指向性を実現でき
る。
【0065】(3)またホーンの中心軸方向に、ホーンの
スロート部とコーン振動子の振動の節との距離を出力超
音波の波長の四分の一以下にし、さらに上記上記ホーン
のスロート部と上記振動の節を弾性的に結合することに
より、防滴、防塵効果を有し、かつホーンを小型化しな
がら音圧の大出力化及び狭指向性を実現できる。
【0066】(4)またバイモルフ振動子とコーン振動子
の結合部の長さ、または反射板と上記コーン振動子との
距離を出力超音波の波長に起因した長さとする構造によ
り、小型で、音圧大出力かつ狭指向性の超音波送信器を
実現できる。
【0067】(5)またコーン振動子の前方に、上記コー
ン振動子の振動の節の大きさの開口を有する一端閉止音
響管またはヘルムホルツ共鳴体を有する構造により、音
圧大出力かつ狭指向性の超音波送信器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における超音波送信
器の構成図
【図2】第1の実施の形態におけるバイモルフ振動子の
振動変位図
【図3】(a)第1の実施の形態における超音波送信器
の音源の構成図 (b)第1の実施の形態における超音波送信器の音源の
音響ネネルギー分布図
【図4】第1の実施の形態における出力超音波のホーン
内位相分布図
【図5】第1の実施の形態における超音波送信器の指向
性の図
【図6】第1の実施の形態におけるホーンのない超音波
送信器の構成図
【図7】(a)第1の実施の形態におけるホーンのない
超音波送信器の音源の構成図 (b)第1の実施の形態におけるホーンのない超音波送
信器の音源の音響エネルギー分布図
【図8】第1の実施の形態における超音波送信器の音圧
指向性と従来の超音波送信器の指向性を比較した図
【図9】(a)及び(b)は振動子周辺の構造の例を示
す図
【図10】本発明の第2の実施の形態における超音波送
信器の構成図
【図11】第2の実施の形態におけるコーン振動子の円
錐端と円錐ホーンのスロート部との距離と音圧出力の関
係を表した図
【図12】(a)従来の超音波送信器の音源の音響エネ
ルギー分布図 (b)第2の実施の形態における超音波送信器の音源の
音響エネルギー分布図
【図13】本発明の第3の実施の形態における超音波送
信器の構成図
【図14】本発明の第4の実施の形態における超音波送
信器の構成図
【図15】第4の実施の形態における超音波送信器の振
動変位図
【図16】第4の実施の形態における超音波送信器の距
離tが長い場合の振動変位図
【図17】第4の実施の形態における超音波送信器の距
離tと音圧の関係を表した図
【図18】本発明の第5の実施の形態における超音波送
信器の構成図
【図19】第5の実施の形態における距離mと音圧の関
係を表した図
【図20】第5の実施の形態における超音波送信器の指
向性の図
【図21】第5の実施の形態における超音波送信器の指
向性の図
【図22】本発明の第6の実施の形態における超音波送
信器の構成図
【図23】従来の超音波送信器の構成図
【図24】従来の超音波送信器の外観図
【図25】ホーンを装着した従来の超音波送信器の構成
【図26】従来の超音波送信器における出力超音波のホ
ーン内位相分布図
【図27】従来の超音波送信器の音圧指向性の図
【符号の説明】
10、11 圧電体円板、 12 振動板、 13
(柔らかい)接着剤、14 コーン振動子、15 (振
動板12及びコーン振動子14を結合する)ピン、16
台座、 17 振動の節、 19 円錐ホーン
フロントページの続き (72)発明者 野村 登 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の超音波を放射する第1の音源と、 前記第1の超音波と位相が異なる第2の超音波を放射す
    る第2の音源とを備え、 第1の超音波放出部から前記第1の超音波が放出され、 前記第1の超音波放出部の外周に位置する第2の超音波
    放出部から前記第2の超音波が放出されることを特徴と
    する超音波送信器。
  2. 【請求項2】 少なくとも底部を有する台座を更に備
    え、 前記第1及び第2の音源とは、圧電体及び振動板を含み
    前記台座の底部に取り付けられた第1の振動子と、その
    第1の振動子に取り付けられその第1の振動子の振動に
    より振動する第2の振動子であり、 前記第1の音源とは、前記第1の振動子に取り付けられ
    ていない側の振動する前記第2の振動子の表面であり、 前記第1の超音波放出部は、前記第2の振動子の表面に
    位置し、 前記第2の音源とは、前記第2の振動子の裏面と前記第
    1の振動子であることを特徴とする請求項1に記載の超
    音波送信器。
  3. 【請求項3】 前記第2の振動子の面に振動の節が形成
    されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波送
    信器。
  4. 【請求項4】 前記台座は、前記第1及び第2の振動子
    の全部又は一部の側面を取り囲む側壁部を更に有し、 前記第2の超音波放出部は、前記第2の振動子の面の縁
    と前記台座の側壁部の内壁との間に位置する隙間である
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の超音波送信
    器。
  5. 【請求項5】 前記台座の開口部を覆うようにして取り
    付けられたホーンを更に備え、 前記第2の超音波放出部は、前記第2の振動子の面の縁
    と前記ホーンのスロート部との間に位置する隙間である
    ことを特徴とする請求項4に記載の超音波送信器。
  6. 【請求項6】 前記台座の底部に対して水平となる前記
    隙間の長さは、前記超音波送信器から放出される出力超
    音波の波長の4分の1以上であることを特徴とする請求
    項4又は5に記載の超音波送信器。
  7. 【請求項7】 前記台座の底部を高さの基準にした場
    合、前記ホーンのスロート部の高さと前記第2の振動子
    の面に形成された前記振動の節の高さとの間の差は、前
    記超音波送信器から放出される出力超音波の波長の4分
    の1以下であることを特徴とする請求項6に記載の超音
    波送信器。
  8. 【請求項8】 前記台座の底部を高さの基準にした場
    合、前記台座の側壁部の内壁の高さは、前記第1及び第
    2の振動子の高さよりも高いことを特徴とする請求項6
    に記載の超音波送信器。
  9. 【請求項9】 孔を有する蓋を更に備え、 前記台座は、前記第1の振動子の側面と前記第2の振動
    子の一部の側面とを取り囲む側壁部を更に有し、 前記蓋は、その孔から前記第2の振動子の残部を外部に
    出すように、前記台座の開口部に取り付けられ、 前記第2の振動子の振動の節と前記蓋の孔とは弾性的に
    結合されることを特徴とする請求項3に記載の超音波送
    信器。
  10. 【請求項10】 前記第2の振動子の残部を収納するよ
    うに、前記蓋に取り付けられたホーンを更に備え、 前記台座の底部を高さの基準にした場合、前記ホーンの
    スロート部の高さと前記第2の振動子の面に形成された
    前記振動の節の高さとの間の差は、前記超音波送信器か
    ら放出される出力超音波の波長の4分の1以下であるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の超音波送信器。
  11. 【請求項11】 圧電体及び振動板を含む振動子と、 コーン振動子と、 前記振動子と前記コーン振動子とを結合する結合部とを
    備え、 前記結合部の長さは、出力超音波の波長に起因した長さ
    であることを特徴とする超音波送信器。
  12. 【請求項12】 一部に所定の厚みの段差が形成された
    底部を少なくとも有する台座と、 圧電体及び振動板を含み、前記段差に取り付けられた振
    動子と、 その振動子に取り付けられたコーン振動子とを備え、 前記台座の底部は、前記振動子及びコーン振動子による
    前記底部に対して水平となる何れの断面よりも広く、 前記段差の厚みは、出力超音波の波長に起因した厚みで
    あることを特徴とする超音波送信器。
  13. 【請求項13】 圧電体及び振動板を含む振動子と、 振動の節が形成され、前記振動子に取り付けられたコー
    ン振動子と、 前記振動の節により取り囲まれる前記コーン振動子の一
    部を覆うことができる大きさを有するじゃま部とを備え
    たことを特徴とする超音波送信器。
  14. 【請求項14】 前記じゃま部とは、一端閉止音響管又
    はヘルムホルツ共鳴体であることを特徴とする請求項1
    3に記載の超音波送信器。
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