WO2024089918A1 - 超音波トランスデューサおよびこれを備えるパラメリックスピーカ - Google Patents
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Abstract
第1振動板(110)と、少なくとも一つの枠体(120)と、少なくとも一つの超音波振動子(130)とを備える。上記少なくとも一つの枠体(120)は、長手方向に延在し、第1振動板(110)に接合されている。上記少なくとも一つの超音波振動子(130)は、上記少なくとも一つの枠体(120)にそれぞれ取り付けられており、第1振動板(110)に間隔をあけて対向する。第1振動板(110)は、第1振動板(110)に直交する方向において上記少なくとも一つの超音波振動子(130)とは逆位相で共振振動する。上記少なくとも一つの枠体(120)の内側における上記長手方向の寸法は、上記少なくとも一つの枠体(120)の内側における上記長手方向と直交する短手方向の寸法の4倍以上である。
Description
本発明は、超音波トランスデューサおよびこれを備えるパラメリックスピーカに関する。
超指向性音響装置の構成を開示した先行文献として、特開2003-47085号公報(特許文献1)および特許第6333480号(特許文献2)がある。特許文献1に記載された超指向性音響装置は、複数の超音波振動子を1枚のプリント基板上に展開し、その外周が略円形状となるように配置することで構成されている。複数の超音波振動子は、設置高さの異なる2群に分けられている。
特許文献2に記載された超指向性音響装置は、第1超音波エミッタと、第2超音波エミッタとを備える。第2超音波エミッタは、第1超音波エミッタにおける軸心上かつ放射面の前方に配置されている。第2超音波エミッタにより放射された搬送波信号の位相は、第1超音波エミッタにより放射された信号に含まれる搬送波信号の位相に対して逆相である。
特許文献1に記載された超指向性音響装置においては、設置高さの異なる2群に分けて複数の超音波振動子が配置されており、構成が複雑である。特許文献2に記載された超指向性音響装置においては、第1超音波エミッタの外側に第2超音波エミッタが配置されており、装置が大型化する。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡易で小型化された構成で音圧レベルを高くすることができる、超音波トランスデューサおよびこれを備えるパラメリックスピーカを提供することを目的とする。
本発明に基づく超音波トランスデューサは、第1振動板と、少なくとも一つの枠体と、少なくとも一つの超音波振動子とを備える。上記少なくとも一つの枠体は、長手方向に延在し、第1振動板に接合されている。上記少なくとも一つの超音波振動子は、上記少なくとも一つの枠体にそれぞれ取り付けられており、第1振動板に間隔をあけて対向する。第1振動板は、第1振動板に直交する方向において上記少なくとも一つの超音波振動子とは逆位相で共振振動する。上記少なくとも一つの枠体の内側における上記長手方向の寸法は、上記少なくとも一つの枠体の内側における上記長手方向と直交する短手方向の寸法の4倍以上である。
本発明によれば、超音波トランスデューサにおいて簡易で小型化された構成で音圧レベルを高くすることができる。
以下、本発明の各実施形態に係る超音波トランスデューサについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。本発明は、パラメトリックスピーカ用の超音波トランスデューサ、超音波センサまたは非接触ハプティクスなどの高音圧の超音波が必要なアプリケーションについて適用可能である。以下の実施形態においては、パラメトリックスピーカ用の超音波トランスデューサについて例示して説明するが、超音波トランスデューサの用途はこれに限られない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサの構成を示す縦断面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサの構成を示す分解斜視図である。図1および図2に示すように、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100は、第1振動板110と、枠体120と、超音波振動子130とを備える。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサの構成を示す縦断面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサの構成を示す分解斜視図である。図1および図2に示すように、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100は、第1振動板110と、枠体120と、超音波振動子130とを備える。
第1振動板110は、平板状の形状を有している。第1振動板110は、アルミニウムを含むジェラルミンなどのアルミニウム合金、または、ステンレス鋼などの金属で構成されている。本実施形態においては、第1振動板110は、ステンレス鋼で構成されている。第1振動板110の厚みは、たとえば、0.1mm以上0.2mm以下である。
枠体120は、矩形環状の形状を有している。枠体120は、第1方向(X軸方向)に沿う短手方向を有し、第2方向(Y軸方向)に沿う長手方向を有している。枠体120は、第2方向(Y軸方向)に延在している。枠体120の軸方向は、第3方向(Z軸方向)に沿っている。枠体120の第3方向(Z軸方向)の一端が、エポキシ樹脂などからなる接合剤によって第1振動板110に接合されている。
枠体120は、アルミニウム合金もしくはステンレス鋼などの金属、ガラスエポキシまたは樹脂などから形成されている。超音波トランスデューサ100の温度変化による特性変化を抑制する観点では、枠体120は金属で構成されていることが好ましい。一方、超音波トランスデューサ100が送信または受信する超音波を低周波数化する観点、および、超音波トランスデューサ100を小型化する観点では、枠体120は樹脂で構成されていることが好ましい。本実施形態においては、枠体120は、ステンレス鋼で構成されている。枠体120の厚みは、たとえば、0.2mm以上0.8mm以下である。
図3は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサが備える枠体の構成を示す斜視図である。図3に示すように、枠体120は、第2方向(Y軸方向)に延在する1対の長辺部121と、第1方向(X軸方向)に延在する1対の短辺部122とを有している。短辺部122同士の平均間隔は、長辺部121同士の最短間隔の4倍以上である。すなわち、枠体120の内側における第2方向(Y軸方向)の長手寸法L1は、枠体120の内側における第1方向(X軸方向)の短手寸法L2の4倍以上である。
なお、長辺部121と短辺部122とに挟まれた角部は、面取りされていてもよい。また、短辺部122は、第3方向(Z軸方向)から見て、直線状に限られず、枠体120の内側に凸状の円弧状、または、枠体120の外側に凸状の円弧状であってもよい。
枠体120の内側における第1方向(X軸方向)の短手寸法L2を変更することによって、第1振動板110の共振周波数を調整可能である。たとえば、第1振動板110の共振周波数を100kHz以上とする場合、上記短手寸法L2は、1.5mm以上3mm以下となる。
枠体120の内側における第2方向(Y軸方向)の長手寸法L1は、上記短手寸法L2の4倍以上であり、超音波トランスデューサ100が送信する超音波の音圧レベルを高くする観点から、上記長手寸法L1は、たとえば20mm以上である。
図4は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサが備える超音波振動子の構成を示す断面図である。図1に示すように、超音波振動子130は、枠体120に取り付けられており、第1振動板110に間隔をあけて対向する。具体的には、超音波振動子130は、枠体120の第3方向(Z軸方向)の他端に取り付けられており、枠体120の内側空間を間に挟んで第1振動板110と対向している。
図1、図2および図4に示すように、超音波振動子130は、圧電体131を含む圧電素子である。図4に示すように、本実施形態においては、超音波振動子130は、積層された2つの圧電体131を含む。2つの圧電体131の分極方向Dpは、互いに異なっている。具体的には、2つの圧電体131の分極方向Dpは、第3方向(Z軸方向)において互いに向かい合っている。2つの圧電体131は、第1電極132および第2電極133に挟まれており、2つの圧電体131の間に中間電極134が配置されている。第1電極132および第2電極133は交流電圧を印加可能な処理回路140と電気的に接続されている。超音波振動子130は、いわゆる、シリーズ型のバイモルフ型圧電振動子である。2つの圧電体131の厚みの合計は、たとえば、0.5mm以上0.85mm以下である。
図5は、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサが超音波を送信または受信しているときの、有限要素法を用いてシミュレーション解析した変位状態を示す斜視図である。図6は、図5の超音波トランスデューサをVI-VI線矢印方向から見た断面図である。シミュレーション解析条件として、第1振動板110の厚みを0.1mm、2つの圧電体131を合わせた厚みを0.8mm、枠体120の内側における長手寸法L1を20mm、短手寸法L2を2mm、枠体120の第3方向(Z軸方向)の厚みを0.4mmとした。
図5および図6に示すように、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100の振動モードにおいて、第1振動板110は、第1振動板110に直交する第3方向(Z軸方向)において超音波振動子130とは逆位相で共振振動する。すなわち、図6に示すように、第1振動板110の共振振動Bmの変位方向と、超音波振動子130の共振振動Bpの変位方向とは、第3方向(Z軸方向)において互いに反対向きである。本実施形態においては、第1振動板110および超音波振動子130の共振周波数は、100kHz以上である。
第1振動板110において、枠体120の内側における長手方向の中間上に位置する中間部110cが共振振動の腹となり、枠体120の内側における長手方向の両端上に位置する端部110eが共振振動の節となる。すなわち、第1振動板110において枠体120の内側空間の上方に位置する部分が、共振振動する振動領域となる。第1振動板110の振動領域の長手寸法は、枠体120の内側における長手寸法L1と同一となり、第1振動板110の振動領域の短手寸法は、枠体120の内側における短手寸法L2と同一となる。
ここで、第1振動板110の共振周波数と、枠体120の内側における長手寸法L1との関係について説明する。
図7は、枠体の内側における短手寸法を固定しつつ長手寸法を変化させたときの第1振動板の共振周波数の推移を、有限要素法を用いてシミュレーション解析したグラフである。図7においては、縦軸に、第1振動板110の共振周波数(kHz)、横軸に、枠体120の内側における長手寸法L1(mm)を示している。シミュレーション解析条件として、枠体120の内側における短手寸法L2は、2mmに固定した。
図7に示すように、枠体120の内側における長手寸法L1が2mmのときの第1振動板110の共振周波数は220kHzであり、長手寸法L1が8mmまで大きくなって第1振動板110の振動領域の長手寸法が大きくなると、第1振動板110の共振周波数は122kHzまで低下した。その後、枠体120の内側における長手寸法L1が8mmより大きくなって第1振動板110の振動領域の長手寸法がさらに大きくなっても、第1振動板110の共振周波数は122kHzで略一定となった。
つまり、第1振動板110の共振周波数は、第1振動板110の音速と、枠体120を固定端とした振動の反射とによって決まるが、枠体120の内側における長手寸法L1が短手寸法L2の4倍を超えたときから、振動の反射に関して短手寸法L2の影響が支配的になり、長手寸法L1が短手寸法L2の4倍よりさらに大きくなっても振動の反射の状態が変わらないことを示している。
次に、超音波トランスデューサ100から送信される超音波の音圧と、枠体120の内側における長手寸法L1との関係について有限要素法を用いてシミュレーション解析した結果について説明する。
図8は、枠体の内側における短手寸法を固定しつつ長手寸法を変化させたときの超音波トランスデューサから送信される超音波の音圧の推移を、有限要素法を用いてシミュレーション解析したグラフである。図8においては、縦軸に、超音波トランスデューサ100から送信される音圧(Pa)、横軸に、枠体120の内側における長手寸法L1(mm)を示している。シミュレーション解析条件として、枠体120の内側における短手寸法L2は2mmに固定し、超音波トランスデューサ100の正面の第1振動板110から第3方向(Z軸方向)に30cm離れた位置における音圧(Pa)を算出した。
図8に示すように、枠体120の内側における長手寸法L1が大きくなるにしたがって、超音波トランスデューサ100から送信される超音波の音圧が大きくなった。これは、第1振動板110の振動領域の長手寸法を大きくした場合においても、両端部110eの間の第1振動板110の振動領域の全体が振動していることを意味する。すなわち、第1振動板110の振動領域が長くなった分だけ振動領域の面積を増加させることができ、その結果、第1振動板110の振動による空気の圧力変化を大きくして高い音圧を得ることができる。
このように、本実施形態に係る超音波トランスデューサ100は、第1振動板110の振動領域の長手寸法を大きくすることにより、共振周波数と略一定に維持しつつ音圧を高くすることができる。また、長手方向の両端部にノード点があるため、当該両端部を支持または固定することができるため、超音波トランスデューサ100の実装が容易である。
ここで、高周波の超音波素子を並べて配置することにより高い音圧を得る第1比較例に係る超音波素子アレイについて説明する。
図9は、第1比較例に係る超音波素子アレイの構成を示す斜視図である。図9に示すように、第1比較例に係る超音波素子アレイにおいては、複数の超音波素子800が第2方向(Y軸方向)に互いに間隔をあけて並べて配置されている。このような超音波素子アレイにおいては、超音波素子800同士の間に音圧が発生しない空間が存在するため、効率が低くなる。また、たとえば100kHz以上の高周波の超音波素子800はサイズが小さいため、複数の超音波素子800を並べて実装することにより超音波素子アレイを構成するには手間がかかる。
以下、本発明の一形態に係る超音波トランスデューサ100が備える第1振動板110の厚みについて詳細に説明する。
第1振動板110と超音波振動子130とは互いに逆位相で共振振動しており、音叉振動のような振動モードとなっている。第1振動板110と超音波振動子130との物理的バランスを維持する観点からは、第1振動板110の横波の音速をCv、圧電体131の横波の音速をCp、第1振動板110の厚みの寸法をTv、および、圧電体131の厚みの寸法をTpとすると、0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たすことが好ましい。第1振動板110の横波の音速Cvは、第1振動板110を構成する材料で決まる。圧電体131の横波の音速Cpは、圧電体131を構成する材料で決まる。超音波振動子130において複数の圧電体131が積層されている場合は、圧電体131の厚みの寸法Tpは、複数の圧電体131の各々の厚みの合計値である。
0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たすことにより、第1振動板110と超音波振動子130との振動時の物理的バランスを維持して、第1振動板110の共振振動の振幅を増大させて音圧を高くしつつ振動漏れを抑制することができる。なお、Tv=CpTp/Cvの関係を満たすことがさらに好ましい。物理的バランスを維持する観点においては、Tp=0.8のとき、Tv=0.8Cp/Cvの関係式から、第1振動板110の厚みの寸法Tvが0.4となることが理想的である。
図10は、超音波トランスデューサから送信される超音波の音圧と第1振動板の厚みとの関係について、有限要素法を用いてシミュレーション解析したグラフである。図10においては、縦軸に、超音波トランスデューサ100から送信される音圧(Pa)、横軸に、第1振動板の厚み(mm)を示している。シミュレーション解析条件として、2つの圧電体131の厚みの合計値Tpを0.8mmとした。図10に示すように、第1振動板110の厚みが0.4mmのとき、超音波トランスデューサから送信される超音波の音圧が最大となった。
図11は、超音波トランスデューサ内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)と第1振動板の厚みとの関係について、有限要素法を用いてシミュレーション解析したグラフである。図11においては、縦軸に、音圧当たりの第3方向(Z軸方向)の内部応力、横軸に、第1振動板の厚み(mm)を示している。
図11に示すように、第1振動板110の厚みが薄いほど、超音波トランスデューサ100内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)が小さくなった。特に、第1振動板110の厚みが0.24mm以下において、超音波トランスデューサ100内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)が顕著に小さくなった。超音波トランスデューサ100内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)を小さくすることにより、第1振動板110と枠体120との間の接合部、および、枠体120と超音波振動子130との接合部の各々において、内部応力によってクラックが生ずることを抑制することができる。一方で第1振動板110の厚みが0.1mmより薄くなると第1振動板110が柔らかくなりすぎて、超音波を発振する振動体として適さなくなる。
すなわち、内部応力によるクラック発生を抑制しつつ高音圧の超音波を発生させる観点から、0.25CpTp/Cv≦Tv≦0.6CpTp/Cvの関係を満たすことが好ましい。本実施形態においては、第1振動板110の厚みを0.1mm以上0.2mm以下としていることにより、超音波トランスデューサ100内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)を低くした状態で、超音波トランスデューサ100を駆動することが可能である。
ここで、超音波振動子がバイモルフ型圧電振動子であるときと、ユニモルフ型圧電振動子である場合とにおける、超音波トランスデューサの駆動効率について有限要素法を用いてシミュレーション解析した結果について説明する。シミュレーション解析条件としては、図1に示すバイモルフ型の超音波振動子130と条件を合わせるために、ユニモルフ型の超音波振動子においても図1に示すように圧電体131を2枚貼り合わせた構造とし、2枚のうちの一方の圧電体131にのみ駆動電圧が印加され、他方の圧電体131は駆動電圧が印加されない第2振動板となる。
具体的には、第1変形例の超音波トランスデューサにおいては、枠体120に隣接している圧電体131に駆動電圧が印加され、枠体120とは隣接していない圧電体131は駆動電圧が印加されない第2振動板となる。第1変形例においては、第2振動板は、駆動電圧を印加される圧電体131の枠体側とは反対側に設けられている。
第2変形例の超音波トランスデューサにおいては、枠体120とは隣接していない圧電体131に駆動電圧が印加され、枠体120に隣接している圧電体131は駆動電圧が印加されない第2振動板となる。第2変形例においては、第2振動板は、駆動電圧を印加される圧電体131の枠体側に設けられている。
図12は、本実施形態に係る超音波トランスデューサ、第1変形例に係る超音波トランスデューサおよび第2変形例に係る超音波トランスデューサにおいて、第1振動板の変位と超音波振動子の周波数との関係について、有限要素法を用いてシミュレーション解析したグラフである。図12においては、縦軸に、第1振動板110の変位、横軸に、超音波振動子130の周波数(kHz)を示している。本実施形態に係る超音波トランスデューサ100のデータを実線で示し、第1変形例に係る超音波トランスデューサのデータを点線で示し、第2変形例に係る超音波トランスデューサのデータを1点鎖線で示している。
図12に示すように、本実施形態に係る超音波トランスデューサ100における第1振動板110の変位を100%としたとき、第1変形例に係る超音波トランスデューサの第1振動板110の変位は77.2%であり、第2変形例に係る超音波トランスデューサの第1振動板110の変位は36.9%であった。本実施形態に係る超音波トランスデューサ100における圧電素子の自由容量を100%としたとき、第1変形例に係る超音波トランスデューサの圧電素子の自由容量は54.2%であり、第2変形例に係る超音波トランスデューサの圧電素子の自由容量は59.2%であった。
圧電素子を同一の電圧で駆動した場合、圧電素子の自由容量が小さい方が消費電力が小さくなる。第1変形例に係る超音波トランスデューサは、本実施形態に係る超音波トランスデューサ100の約半分の消費電力で、第1振動板110を本実施形態に係る超音波トランスデューサ100の8割近く変位させることができ、効率がよいことが分かった。
本実施形態においては、超音波振動子130は、いわゆる、シリーズ型のバイモルフ型圧電振動子であったが、超音波振動子130は、他の型の圧電振動子であってもよい。以下、本発明の実施形態1の変形例に係る超音波トランスデューサの超音波振動子について説明する。
図13は、第3変形例に係る超音波振動子の構成を示す断面図である。図13に示すように、第3変形例に係る超音波振動子130aは、積層された2つの圧電体131を含む圧電素子である。2つの圧電体131の分極方向Dpは、互いに等しい。超音波振動子130aは、いわゆる、パラレル型のバイモルフ型圧電振動子である。
図14は、第4変形例に係る超音波振動子の構成を示す断面図である。図14に示すように、第4変形例に係る超音波振動子130bは、積層された4つの圧電体131を含む圧電素子である。4つの圧電体131のうち外側に位置する2つの圧電体131の分極方向Dpは、第1方向(Z軸方向)の一方を向いており、4つの圧電体131のうち内側に位置する2つの圧電体131の分極方向Dpは、第1方向(Z軸方向)の他方を向いている。超音波振動子130bは、いわゆる、マルチモルフ型圧電振動子である。
図15は、第5変形例に係る超音波振動子の構成を示す断面図である。図15に示すように、第5変形例に係る超音波振動子130cは、1つの圧電体131を含む圧電素子である。具体的には、圧電体131は、第1電極132および金属からなる第2振動板135に挟まれている。超音波振動子130cは、いわゆる、ユニモルフ型圧電振動子である。
図16は、本発明の実施形態1の第6変形例に係る超音波トランスデューサの構成を示す縦断面図である。図16に示すように、本発明の実施形態1の第6変形例に係る超音波トランスデューサ100aは、第1振動板110と、枠体120aと、超音波振動子130とを備える。枠体120aは、有底筒状の形状を有している。枠体120aは、金属で形成されている。枠体120aの外側の底面に圧電体131が貼り付けられており、ユニモルフ型圧電振動子である超音波振動子が構成されている。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100においては、第1振動板110と、少なくとも一つの枠体120と、少なくとも一つの超音波振動子130とを備える。上記少なくとも一つの枠体120は、長手方向に延在し、第1振動板110に接合されている。上記少なくとも一つの超音波振動子130は、上記少なくとも一つの枠体120にそれぞれ取り付けられており、第1振動板110に間隔をあけて対向する。第1振動板110は、第1振動板110に直交する方向において上記少なくとも一つの超音波振動子130とは逆位相で共振振動する。上記少なくとも一つの枠体120の内側における上記長手方向の寸法L1は、上記少なくとも一つの枠体120の内側における上記長手方向と直交する短手方向の寸法L2の4倍以上である。これにより、超音波トランスデューサ100において、簡易で小型化された構成で音圧レベルを高くすることができる。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100を備えるパラメトリックスピーカにおいては、超音波トランスデューサ100の変調駆動により、超音波トランスデューサ100から放射された超音波を変調させて可聴音を再生することが可能である。変調方式として、AM変調方式(振幅変調方式)およびFM変調方式(周波数変調方式)がある。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100においては、第1振動板110および超音波振動子130の共振周波数は、100kHz以上である。後述するように共振周波数が100kHz以上である場合、伝搬距離に対する音波の減衰が大きいため、第1振動板110および超音波振動子130の共振周波数が100kHz以上であることにより、超音波トランスデューサ100を備えるパラメトリックスピーカは、限られた空間のみに可聴音を再生することができる。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100においては、第1振動板110の横波の音速をCv、圧電体131の横波の音速をCp、第1振動板110の厚みの寸法をTv、および、圧電体131の厚みの寸法をTpとすると、0.25CpTp/Cv≦Tv≦0.6CpTp/Cvの関係を満たす。これにより、超音波トランスデューサ100内に生ずる第3方向(Z軸方向)の内部応力(音圧当たりに規格化した値)を低くした状態で、超音波トランスデューサ100を駆動することが可能となる。ひいては、第1振動板110と枠体120との間の接合部、および、枠体120と超音波振動子130との接合部の各々において、内部応力によってクラックが生ずることを抑制しつつ、高音圧の超音波を発生させることができる。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100においては、第1振動板110の横波の音速をCv、圧電体131の横波の音速をCp、第1振動板110の厚みの寸法をTv、および、圧電体131の厚みの寸法をTpとすると、0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たす。これにより、第1振動板110と超音波振動子130との振動時の物理的バランスを維持して、第1振動板110の共振振動の振幅を増大させて音圧を高くしつつ振動漏れを抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサ100の第1変形例においては、超音波振動子は、ユニモルフ型圧電振動子であり、圧電体131の枠体側とは反対側に第2振動板が設けられている。これにより、消費電力を低減しつつ第1振動板110の変位を高く維持して、超音波トランスデューサの効率を向上することができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサについて図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサは、複数の超音波振動子がアレイ状に配置されている点が本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサと異なるため、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサと同様である構成については説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサについて図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサは、複数の超音波振動子がアレイ状に配置されている点が本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサと異なるため、本発明の実施形態1に係る超音波トランスデューサと同様である構成については説明を繰り返さない。
図17は、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサの構成を示す側面図である。図18は、図17に示す超音波トランスデューサを矢印XVIII方向から見た背面図である。
図17および図18に示すように、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサ200においては、第1方向(X軸方向)に並んでアレイ状に配置された実施形態1に係る超音波トランスデューサ100が一体に構成されている。超音波トランスデューサ200は、第1振動板210と、複数の枠体220と、複数の超音波振動子130とを備える。第1振動板210に複数の枠体220が接合されており、複数の枠体220に複数の超音波振動子130がそれぞれに接合されている。
ここで、超音波トランスデューサ200の製造方法について説明する。図19は、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサの各構成を積層して接合する工程における積層状態を示す分解斜視図である。
図19に示すように、第1振動板210は、平板状の形状を有しており、第2方向(Y軸方向)に延在する複数のスリット211が第1方向(X軸方向)に間隔をあけて形成されている。第1振動板210は、アルミニウムを含むジェラルミンなどのアルミニウム合金、または、ステンレス鋼などの金属で構成されている。本実施形態においては、第1振動板210は、ステンレス鋼で構成されている。複数のスリット211は、エッチングまたは切削などにより形成されている。
複数の枠体220の各々は、矩形環状の形状を有している。複数の枠体220の各々は、第1方向(X軸方向)に沿う短手方向を有し、第2方向(Y軸方向)に沿う長手方向を有している。複数の枠体220の各々は、第2方向(Y軸方向)に延在している。複数の枠体220の各々の軸方向は、第3方向(Z軸方向)に沿っている。複数の枠体220の各々は、第2方向(Y軸方向)に延在する1対の長辺部221と、第1方向(X軸方向)に延在する1対の短辺部222とを有している。長辺部221同士の最短間隔は、短辺部222同士の最短間隔の4倍以上である。
複数の枠体220は、第1方向(X軸方向)に並んで配置されている。第1方向(X軸方向)において隣り合う枠体220同士の間に、スリット223が形成されている。複数のスリット223は、エッチングまたは切削などにより形成されている。第1方向(X軸方向)において隣り合う枠体220において互いに隣り合う長辺部221同士は、スリット223によって互いに分離されている。
第1方向(X軸方向)において隣り合う枠体220同士は、短辺部222にて繋がっている。すなわち、複数の枠体220において上記短手方向に隣り合う枠体220同士は、互いの長手方向における両端部にて繋がっている。
複数の枠体220の各々は、アルミニウム合金もしくはステンレス鋼などの金属、ガラスエポキシまたは樹脂などから形成されている。本実施形態においては、複数の枠体220は、1枚の薄板から形成されているが、これに限られず、複数の薄板からそれぞれ形成された複数の枠体220の短辺部222が互いに接合されることにより一体にされていてもよい。
本実施形態においては、複数の超音波振動子130の各々は、積層された2つの圧電体131を含む。図19に示すように、複数の超音波振動子130を構成する2つの圧電体131は、2枚の薄板の状態で積層されて接合される。
図20は、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサの圧電体を切断する工程における第1方向(X軸方向)の位置関係を示す平面図である。図20においては、圧電体131を1つのみ図示している。
図20に示すように、スリット211とスリット223とは、第3方向(Z軸方向)において互いに重なるように、第1方向(X軸方向)において同じ位置に配置される。圧電体131は、スリット211およびスリット223と第3方向(Z軸方向)において重なるように第2方向(Y軸方向)に延在する複数のカットラインLCにてダイサーなどによって切断されて分割される。その結果、図17および図18に示す超音波トランスデューサ200が形成される。
図21は、本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサが超音波を送信または受信しているときの、有限要素法を用いてシミュレーション解析した変位状態を示す斜視図である。
図21に示すように、第1振動板210において、各枠体220の内側における長手方向の中間上に位置する中間部210cが共振振動の腹となり、各枠体220の内側における長手方向の両端上に位置する端部210eが共振振動の節となる。すなわち、第1振動板210において各枠体220の内側空間の上方に位置する部分が、共振振動する振動領域となる。第1振動板210の振動領域の長手寸法は、各枠体220の内側における長手寸法と同一となり、第1振動板210の振動領域の短手寸法は、各枠体220の内側における短手寸法と同一となる。
実施形態1に係る超音波トランスデューサ100は、長手方向である第2方向(Y軸方向)の両端部にノード点があるため、実施形態1に係る超音波トランスデューサ100が当該両端部にて互いに繋がっていることによりアレイ化されて実施形態2に係る超音波トランスデューサ200が構成されていても、各超音波トランスデューサ100における共振振動は阻害されない。そのため、実施形態2に係る超音波トランスデューサ200を構成する超音波トランスデューサ100の数を増やすことにより、容易に音圧レベルを高くすることができる。
本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサ200を備えるパラメトリックスピーカにおいては、超音波トランスデューサ200の変調駆動により、超音波トランスデューサ200から放射された超音波を変調させて可聴音を再生することが可能である。
ここで、超音波の周波数と、音圧レベルの伝搬距離による減衰との関係について有限要素法を用いてシミュレーション解析した結果について説明する。シミュレーション解析条件としては、本実施形態に係る超音波トランスデューサ200から送信された146kHzの共振周波数の超音波から再生された4kHzの周波数の可聴音と、第2比較例に係る超音波素子アレイから送信された40kHzの共振周波数の超音波から再生された4kHzの周波数の可聴音との、伝搬距離による減衰の推移を有限要素法を用いてシミュレーション解析した。
図22は、第2比較例に係る超音波素子アレイの構成を示す斜視図である。図22に示すように、第2比較例に係る超音波素子アレイにおいては、50個の超音波素子900がマトリクス状に互いに間隔をあけて配置されている。
図23は、本実施形態に係る超音波トランスデューサおよび第2比較例に係る超音波トランスデューサにおいて、音圧レベルの伝搬距離による減衰の推移について、実測したグラフである。図23においては、縦軸に、音圧レベル(dB)、横軸に、伝搬距離(cm)を示している。本実施形態に係る超音波トランスデューサ200のデータを実線で示し、第2比較例に係る超音波トランスデューサのデータを点線で示している。音圧レベルは、超音波トランスデューサおよび超音波素子アレイの各々の正面から第3方向(Z軸方向)に30cm離れた地点における4kHzの周波数の可聴音の音圧レベルを0dBとして規格化した値である。
図23に示すように、第2比較例に係る超音波素子アレイから送信された40kHzの共振周波数の超音波から再生された可聴音に比較して、本実施形態に係る超音波トランスデューサ200から送信された146kHzの共振周波数の超音波から再生された可聴音は、伝搬距離による減衰が大きかった。これは、高周波の超音波は熱として空気に吸収されやすいため、高周波の超音波を搬送波として再生された可聴音の方が伝搬距離による減衰が大きくなるためである。
このように、100kHz以上の高周波の超音波を送信する本実施形態に係る超音波トランスデューサ200を備えるパラメトリックスピーカにおいては、不必要に遠くまで音が届くこと、および、不要な反射による音漏れを抑制して、限られた空間のみに可聴音を再生することができる。また、超音波トランスデューサ200においては、特許文献2のような逆位相の搬送波を送信する構成を設けることなく、可聴音の伝搬距離による減衰を大きくすることができるため、簡易で小型化された構成にすることができる。さらに、100kHz以上の高周波の超音波は、犬または猫などの動物の可聴領域外であるため、これらの動物に与える影響を抑制することができる。
図23に示すように伝搬距離が30cm以降で可聴音が減衰するようにするためには、レイリー距離を30cm以内にする必要がある。レイリー距離R0は、R0=(k×a2)/2の関係を満たす。kは、波数であり、aは、音源の半径である。よって、空気の音速を340m/sとすると、超音波の周波数が100kHzである場合、第1振動板210の振動領域の長手寸法は36mm以下であり、超音波の周波数が150kHzである場合、第1振動板210の振動領域の長手寸法は29.4mm以下であり、超音波の周波数が200kHzである場合、第1振動板210の振動領域の長手寸法は25.5mm以下である。超音波の周波数が100kHz以上である場合、長手寸法L1は、短手寸法L2の4倍以上24倍以下である。
本実施形態に係る超音波トランスデューサ200は、フェーズドアレイシステムとして用いることが可能である。
図24は、フェーズドアレイシステムを構成する本実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサが第3方向(Z軸方向)に平面的に超音波を発信した状態を示す側面図である。図24に示すように、本実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサ200aは、各超音波トランスデューサA~Gの超音波の発信タイミングを制御可能な処理回路240を備えている。
図25は、処理回路によって超音波トランスデューサA~Gの超音波の発信タイミングを同一にした第1状態のときの駆動開始遅延時間を示す図である。図25に示すように、処理回路240によって超音波トランスデューサA~Gの超音波の発信タイミングを同一にした第1状態においては、図24に示すように第3方向(Z軸方向)に平面的に超音波Daが発信される。
図26は、本実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサが第3方向(Z軸方向)に対して第1方向(X軸方向)に傾いた斜め方向に平面的に超音波を発信した状態を示す側面図である。図27は、処理回路によって超音波トランスデューサG~Aの順に超音波が発信されるようにした第2状態のときの駆動開始遅延時間を示す図である。図27に示すように、処理回路240によって駆動開始遅延時間を超音波トランスデューサG~Aの順に大きくした第2状態においては、図24に示すように第3方向(Z軸方向)に対して第1方向(X軸方向)に傾いた斜め方向に平面的に超音波Dbが発信される。
図28は、本実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサが第1方向(X軸方向)の中央に集中するように第3方向(Z軸方向)に超音波を発信した状態を示す側面図である。図29は、処理回路によって超音波トランスデューサA~Dの順および超音波トランスデューサG~Dの順に超音波が発信されるようにした第3状態のときの駆動開始遅延時間を示す図である。図29に示すように、処理回路240によって駆動開始遅延時間を超音波トランスデューサA~Dの順に大きくするとともに超音波トランスデューサG~Dの順に大きした第3状態においては、図28に示すように超音波トランスデューサ200aにおける第1方向(X軸方向)の中央に集中するように第3方向(Z軸方向)に超音波Dcが発信される。
本発明の実施形態2に係る超音波トランスデューサ200においては、少なくとも一つの枠体220が上記短手方向に並ぶように複数配置されて第1振動板210に接合されており、少なくとも一つの枠体220において上記短手方向に隣り合う枠体220同士は、互いの上記長手方向における両端部にて繋がっている。これにより、容易に音圧レベルを高くすることができる。
本発明の実施形態2の変形例に係る超音波トランスデューサ200aにおいては、フェーズドアレイシステムとして機能することが可能である。
(付記)
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
<1>
第1振動板と、
長手方向に延在し、前記第1振動板に接合された少なくとも一つの枠体と、
前記少なくとも一つの枠体にそれぞれ取り付けられており、前記第1振動板に間隔をあけて対向する少なくとも一つの超音波振動子とを備え、
前記第1振動板は、前記第1振動板に直交する方向において前記少なくとも一つの超音波振動子とは逆位相で共振振動し、
前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向の寸法は、前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向と直交する短手方向の寸法の4倍以上である、超音波トランスデューサ。
第1振動板と、
長手方向に延在し、前記第1振動板に接合された少なくとも一つの枠体と、
前記少なくとも一つの枠体にそれぞれ取り付けられており、前記第1振動板に間隔をあけて対向する少なくとも一つの超音波振動子とを備え、
前記第1振動板は、前記第1振動板に直交する方向において前記少なくとも一つの超音波振動子とは逆位相で共振振動し、
前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向の寸法は、前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向と直交する短手方向の寸法の4倍以上である、超音波トランスデューサ。
<2>
前記少なくとも一つの超音波振動子は、圧電体を含む圧電素子である、<1>に記載の超音波トランスデューサ。
前記少なくとも一つの超音波振動子は、圧電体を含む圧電素子である、<1>に記載の超音波トランスデューサ。
<3>
前記第1振動板および前記少なくとも一つの超音波振動子の共振周波数は、100kHz以上である、<1>または<2>に記載の超音波トランスデューサ。
前記第1振動板および前記少なくとも一つの超音波振動子の共振周波数は、100kHz以上である、<1>または<2>に記載の超音波トランスデューサ。
<4>
前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.25CpTp/Cv≦Tv≦0.6CpTp/Cvの関係を満たす、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.25CpTp/Cv≦Tv≦0.6CpTp/Cvの関係を満たす、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
<5>
前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たす、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たす、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
<6>
前記少なくとも一つの枠体が前記短手方向に並ぶように複数配置されて前記第1振動板に接合されており、
前記少なくとも一つの枠体において前記短手方向に隣り合う枠体同士は、互いの前記長手方向における両端部にて繋がっている、<1>から<5>のいずれか1つに記載の超音波トランスデューサ。
前記少なくとも一つの枠体が前記短手方向に並ぶように複数配置されて前記第1振動板に接合されており、
前記少なくとも一つの枠体において前記短手方向に隣り合う枠体同士は、互いの前記長手方向における両端部にて繋がっている、<1>から<5>のいずれか1つに記載の超音波トランスデューサ。
<7>
前記少なくとも一つの超音波振動子は、ユニモルフ型圧電振動子であり、
前記圧電体の枠体側とは反対側に第2振動板が設けられている、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
前記少なくとも一つの超音波振動子は、ユニモルフ型圧電振動子であり、
前記圧電体の枠体側とは反対側に第2振動板が設けられている、<2>に記載の超音波トランスデューサ。
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100,100a,200,200a 超音波トランスデューサ、110,210 第1振動板、110c,210c 中間部、110e,210e 端部、120,120a,220 枠体、121,221 長辺部、122,222 短辺部、130,130a,130b,130c 超音波振動子、131 圧電体、132 第1電極、133 第2電極、134 中間電極、135 第2振動板、140,240 処理回路、211,223 スリット、800,900 超音波素子。
Claims (8)
- 第1振動板と、
長手方向に延在し、前記第1振動板に接合された少なくとも一つの枠体と、
前記少なくとも一つの枠体にそれぞれ取り付けられており、前記第1振動板に間隔をあけて対向する少なくとも一つの超音波振動子とを備え、
前記第1振動板は、前記第1振動板に直交する方向において前記少なくとも一つの超音波振動子とは逆位相で共振振動し、
前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向の寸法は、前記少なくとも一つの枠体の内側における前記長手方向と直交する短手方向の寸法の4倍以上である、超音波トランスデューサ。 - 前記少なくとも一つの超音波振動子は、圧電体を含む圧電素子である、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。
- 前記第1振動板および前記少なくとも一つの超音波振動子の共振周波数は、100kHz以上である、請求項1または請求項2に記載の超音波トランスデューサ。
- 前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.25CpTp/Cv≦Tv≦0.6CpTp/Cvの関係を満たす、請求項2に記載の超音波トランスデューサ。 - 前記第1振動板の横波の音速をCv、前記圧電体の横波の音速をCp、前記第1振動板の厚みの寸法をTv、および、前記圧電体の厚みの寸法をTpとすると、
0.7CpTp/Cv≦Tv≦1.3CpTp/Cvの関係を満たす、請求項2に記載の超音波トランスデューサ。 - 前記少なくとも一つの枠体が前記短手方向に並ぶように複数配置されて前記第1振動板に接合されており、
前記少なくとも一つの枠体において前記短手方向に隣り合う枠体同士は、互いの前記長手方向における両端部にて繋がっている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ。 - 前記少なくとも一つの超音波振動子は、ユニモルフ型圧電振動子であり、
前記圧電体の枠体側とは反対側に第2振動板が設けられている、請求項2に記載の超音波トランスデューサ。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記超音波トランスデューサを備え、
前記超音波トランスデューサの変調駆動により可聴音を再生する、パラメリックスピーカ。
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PCT/JP2023/017124 WO2024089918A1 (ja) | 2022-10-26 | 2023-05-02 | 超音波トランスデューサおよびこれを備えるパラメリックスピーカ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
WO (1) | WO2024089918A1 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012090383A1 (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-05 | Necカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 | 発振装置および電子機器 |
JP2020068482A (ja) * | 2018-10-25 | 2020-04-30 | 三菱電機エンジニアリング株式会社 | 超音波スピーカ及びパラメトリックスピーカ |
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2023
- 2023-05-02 WO PCT/JP2023/017124 patent/WO2024089918A1/ja unknown
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012090383A1 (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-05 | Necカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 | 発振装置および電子機器 |
JP2020068482A (ja) * | 2018-10-25 | 2020-04-30 | 三菱電機エンジニアリング株式会社 | 超音波スピーカ及びパラメトリックスピーカ |
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