JP2009118093A - 静電型トランスデューサ、および超音波スピーカ - Google Patents
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Abstract
【課題】プル型の静電型トランスデューサにおいて、静電力を効率よく振動膜に伝えて振動膜の振幅を大きくすることができると共に、共鳴管を用いることにより、さらに音圧を増大させることができる、静電型トランスデューサを提供する。
【解決手段】振動電極層を有する振動膜と、前記振動膜の一方の面側に配置されると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、を備え、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】振動電極層を有する振動膜と、前記振動膜の一方の面側に配置されると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、を備え、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、静電力を効率よく振動膜に伝えて振動の振幅を大きくすることにより、出力する音波の音圧を増大させることができる、静電型トランスデューサ、および超音波スピーカに関するものである。
超音波スピーカ等に使用される静電型トランスデューサには、プル型と呼ばれる静電型トランスデューサがある。なお、超音波周波数の音波を放射する静電型トランスデューサは、静電型超音波トランスデューサとも呼ばれる。
図18は、従来のプル型の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図である(例えば、特許文献1を参照)。図18に示す静電型超音波トランスデューサ101は、絶縁体で形成された振動膜102と該振動膜102上に形成された導電膜103とからなる上電極110と、上電極110の振動膜102に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極120と、直流バイアス電源130と、交流信号源131とを有している。
上電極110と下電極120との間には、常時、電圧調整可能な直流バイアス電源130により一定の直流バイアス電圧が印加されており、この電界により発生する静電力により下電極120の凸部Aに上電極110が吸着され、上電極110と下電極120との間に形成される空洞部Bを除き、密着した状態にある。この状態で、上電極110と下電極120との間に交流信号が直流バイアス電圧に重畳されて印加されることにより、上電極110と下電極120の電極部(振動膜102の振動部に対向する面)121との間に静電力が作用し、振動膜102は交流信号により駆動され、静電吸引力と弾性復元力とで振動する。
このように、図18に示す静電型超音波トランスデューサ101は、振動膜102が一方の方向から静電吸引力を受けることからプル型の静電型超音波トランスデューサとよばれる。このプル型の静電型超音波トランスデューサの長所は、開口面積が大きく、音圧を稼ぎ易い点である。
上述した静電型超音波トランスデューサ101においては、一般的に音圧を上げるために振動膜102の振幅を大きくする必要がある。しかし、従来のプル型の静電型超音波トランスデューサにおいては、図19(A)に示すように、下電極120と振動膜102との間に働く静電力は、振動膜102の振動部の端部にのみ静電力が生じる構成である。このため、図19(B)に示すような振動膜102の振動部の中央部に静電力が生じる構成に比べて、振動膜102に効率的に振動するため力を加えられていない構成となっていた。このため、静電力を効率よく振動膜102に伝えて振幅を大きくすることができないという問題があった。
また、図20はプル型の静電型超音波トランスデューサの他の構成例を示す図である(例えば、特許文献2を参照)。図20に示すプル型の静電型超音波トランスデューサ201においては、絶縁体で形成された振動膜202と該振動膜上に形成された導電膜203とからなる上電極210と、振動膜202に対向する面に凹凸が複数、形成された下電極220とを有し、前記上電極と下電極とを密着させ、該上電極と下電極との間に交流信号を印加するように構成されている。また、板材241に所望の周波数で共鳴する両端開口管を形成する複数の通気孔242が設けられてなる共鳴管ユニット240を上電極210表面に固設している。
この静電型超音波トランスデューサ201においては、共鳴管ユニット240を使用して音圧を上げるように工夫をしているが、下電極220は単なる凹凸であるため、振動膜202が振動しても下電極220側から空気が抜けないことで振動膜202が振動する際の空気抵抗が大きくなる。逆に凹凸を単なる貫通孔にした場合、下電極と上電極との間に発生する静電力は貫通孔の端部だけとなり、図18に示した静電型超音波トランスデューサ101と同様に、振動膜の中央部分に効率的に静電力を作用させることができない。このため、十分な音圧を得ることができなかった。
特開2005−117103号公報
特開2005−223820号公報
静電型トランスデューサにおいては、一般的に音圧を上げるために振動膜の振幅を大きくする必要がある。しかしながら、従来のプル型の静電型トランスデューサにおいては、振動膜の振動部の中央部に静電力を効率的に作用させることができず、振動膜に効率的に振動するため力を加えられていない構成となっていた。このため、静電力を効率よく振動膜に伝えて振動膜の振幅を大きくすることができないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、プル型の静電型トランスデューサにおいて、静電力を効率よく振動膜に伝えて振動膜の振幅を大きくすることができると共に、共鳴管を用いることにより、さらに音圧を増大させることができる、静電型トランスデューサ、および超音波スピーカを提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部を有すると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動電極層を有する振動膜と、前記振動膜の一方の面側に配置されると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、を備え、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
これにより、振動膜の振動部分の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動電極層を有する振動膜と、前記振動膜の一方の面側に配置されると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、を備え、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
これにより、振動膜の振動部分の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置されること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、前記電極の前記振動膜側とは反対の面に、前記振動部分から発生され、かつ前記電極の貫通孔部を通過した音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置されること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、電極の振動膜側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、電極の振動膜側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、前記電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させるように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させる。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、電極の貫通孔部による共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させる。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、電極の貫通孔部による共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する第1の共鳴管部材が配置され、さらに、前記電極の前記振動膜側とは反対の面に、前記振動部分から発生され、かつ前記電極の貫通孔部を通過した音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する第2の共鳴管部材が配置されること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側は反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する第1の共鳴管部材を配置する。さらに、電極の振動膜側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する第2の共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、静電型トランスデューサの両面から出力される音波の音圧が増大する。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側は反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する第1の共鳴管部材を配置する。さらに、電極の振動膜側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する貫通孔を有する第2の共鳴管部材を配置する。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、静電型トランスデューサの両面から出力される音波の音圧が増大する。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置され、さらに、前記電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させるように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。さらに、電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させる。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、静電型トランスデューサの両面から出力される音波の音圧が増大する。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、振動部分割部材(例えば、エポキシ樹脂層)を挟み込むようにして振動膜と電極とが配置される。そして、振動膜が電極に静電力により引き付けられる場合に、振動膜の振動部分の中央部に対して静電力を発生させる電極部分があるようにする。また、振動膜の電極側とは反対の面側に、振動膜の振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材を配置する。さらに、電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させる。
これにより、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となり、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、共鳴管作用により、静電型トランスデューサの両面から出力される音波の音圧が増大する。したがって、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
上記構成からなる本発明の静電型トランスデューサでは、本発明による静電型トランスデューサを静電型超音波トランスデューサとして使用し、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波で駆動するようにしたので、これにより、静電型超音波トランスデューサにおいて、振動膜を効率的に振動させることができ、また、共鳴管作用により放射音波の音圧を増大することができる。
また、本発明の超音波スピーカは、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波により超音波周波数帯の搬送波を変調し、該変調波により静電型トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカであって、前記静電型トランスデューサは、振動電極層を有する振動膜と、複数の貫通孔部を有すると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、を備え、さらに、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは、可聴周波数帯の信号波により超音波周波数帯の搬送波(キャリア波)を変調し、該変調波により静電型トランスデューサを駆動する超音波スピーカにおいて、振動膜に対し一方の面側から静電力を印加するプル型の静電型トランスデューサを使用すると共に、振動膜の振動部分の中央部を静電吸引する電極構造と、振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造とを備える静電型トランスデューサを使用する。
これにより、超音波スピーカにおいて、高効率で高い音圧が得られる。このため、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは、可聴周波数帯の信号波により超音波周波数帯の搬送波(キャリア波)を変調し、該変調波により静電型トランスデューサを駆動する超音波スピーカにおいて、振動膜に対し一方の面側から静電力を印加するプル型の静電型トランスデューサを使用すると共に、振動膜の振動部分の中央部を静電吸引する電極構造と、振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造とを備える静電型トランスデューサを使用する。
これにより、超音波スピーカにおいて、高効率で高い音圧が得られる。このため、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
[本発明の静電型トランスデューサの基本概念の説明]
図1は、本発明の静電型トランスデューサの基本概念について説明するための図である。
図1は、本発明の静電型トランスデューサの基本概念について説明するための図である。
図1(A)は、従来のプル型の静電型トランスデューサにおける、振動膜31に対する静電力の印加状態を示している。図1(A)に示すように、従来のプル型の静電型トランスデューサにおいては、振動膜31の端部にのみ静電力fが作用しており、振動膜31を高効率で振動させることが困難であった。
一方、図1(B)は、本発明のプル型の静電型トランスデューサにおける、振動膜31に対する静電力の印加状態を示している。図1(B)に示すように本発明の静電型トランスデューサにおいては、振動膜31の中央部に電極11の電極部14が配置され、振動膜31の中央部に静電力fが印加されるように構成されている。これにより、静電力を効率よく振動膜31に伝えて振動膜31の振幅を大きくして音圧を向上させている。
そして、さらに振動膜31に対して共鳴管部材21の貫通孔22が配置され、この貫通孔22が共鳴管として作用し、振動膜31から放射される音波(例えば、超音波)の音圧をさらに増大させるように構成されている。
[第1の実施の形態]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの電極の構成を示す図である。なお、図2は、説明のために電極の一部を示したものである。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの電極の構成を示す図である。なお、図2は、説明のために電極の一部を示したものである。
図2(A)に示すように、本発明の静電型トランスデューサは、電極11として、薄板状の金属(例えば、アルミ合金、ステンレスなど)の導電材料に複数の貫通孔を設ける。図2に示す例では、4つの貫通孔12a、12b、12c、12dを同心円R(図2(C)に示す中心Xの円R)上に配列する。なお、4つの貫通孔12a、12b、12c、12dを総称する場合に「貫通孔部12」と呼ぶ(図面においても同じ)。
この貫通孔部12を、電極11上に複数配列(例えば、ハニカム状に配列)する。そして、図2(B)に示すように、電極11の一方の面側(振動膜31に対向する側)にエポキシ絶縁層を塗布する。この場合に、4つの貫通孔12a、12b、12c、12dを包含した円形状の電極部(エポキシ絶縁層で覆われない露出面)14を設けるようにしてエポキシ絶縁層を塗布する。例えば、プリント基板にレジスト印刷する要領で、電極11の表面(振動膜31に対向する側)上にエポキシ絶縁層をパターン印刷することによって形成する。これが、振動部分割部材13となり、電極11と振動膜31との間に配置され、振動膜31を複数の振動する部分(振動部)に分割する役目になる。
従って、図2(C)に示すように、電極11の一方の面上には、4つの貫通孔12a、12b、12c、12dと、これらの貫通孔を包含する電極部14と、振動部分割部材13(エポキシ絶縁層)13とが形成される。このように、電極11においては、電極部14の中央部分に静電力を発生させる電極面(静電力発生面)が位置するようにし、その周辺に貫通孔部12が設けられる。
また、図3は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの共鳴管部材21の構成を示す図である。なお、図2は、説明のために共鳴管部材21の一部を示したものである。
図3に示すように、共鳴管部材21として、樹脂(例えば、アクリル、スーパーエンプラなど)に、貫通孔22a、22b、22cを共鳴管として形成する。例えば、ドリル加工や樹脂の射出成型により作ることができる。この共鳴管となる各貫通孔の直径は、図2に示す電極部14の上の4つの貫通孔部12を包含するような大きさである。
なお、図3(B)は、振動膜31の構成を示す図である。振動膜31は、導電層である振動電極層31Aを誘電体膜(絶縁層)31Bで挟んで形成される。この振動電極層31Aは、例えば、スパッタ蒸着によるアルミニウム薄膜などで形成される。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を説明するための図である。
図4に示すように、本発明の静電型トランスデューサは、共鳴管部材21を矢印A方向に、電極11を矢印B方向に移動して、電極11と共鳴管部材21が振動膜31を挟み込むようにして構成される。この場合、電極11の貫通孔部12を包含する円形の電極部14の位置と、共鳴管部材21の貫通孔22の位置とが合致するようにして、振動膜31が挟持される。従って、電極11の4つの貫通孔の中心(図2(C)の中心Xを参照)と、共鳴管部材21の貫通孔22の中心とが、振動膜31を挟んで、一致またはほぼ一致することになる。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの断面形状を示す図であり、エポキシ絶縁層の円形部の中心を通過する断面図である(図2(B)におけるX−X′方向の断面図)。
図5(A)に示すように、静電型トランスデューサ1は、振動部分割部材13(エポキシ樹脂層)13を挟み込むようにして振動膜31と電極11とが配置される。このとき、振動部分割部材13の円形部(図2(B)を参照)と共鳴管部材21の貫通孔(共鳴管)22がそれぞれ向かい合うように配置される。これにより、電極11と振動膜31との間に空洞部aが設けられる。この空洞部aに対向する振動膜31の部分(振動部分割部材13で押さえられていない部分)が、振動膜31の振動部分となる。
また、振動膜31は、導電層である振動電極層31Aを絶縁性の誘電体膜31Bで挟んで形成される。このような構成により、振動膜31と電極11の電極部14とが空洞部aを介して対向することになり、振動膜31の振動電極層31Aと、電極11の電極部14との間に静電力が作用する。
図5(B)は、本発明の静電型トランスデューサにおける電圧の印加方法を説明するための図である。図5(B)に示すように、直流バイアス電源32により、振動膜31の振動電極層31Aに直流バイアス電圧が印加される。この直流バイアス電圧に重畳して、振動膜31の振動電極層31Aと電極11との間には交流信号源33からの交流信号(交流駆動電圧)が印加される。ただし、電圧の印加方法としては、これに限らず、振動膜31に交流信号(交流駆動電圧)を印加し、電極11に直流バイアス電圧を印加するなど、変更が可能である。
なお、交流信号源33から出力される交流信号は、可聴周波数帯の信号であってもよく、また超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波の信号であってもよい。静電型トランスデューサ1に印加される信号が超音波周波数帯の信号である場合は、静電型トランスデューサ1は超音波周波数帯の音波を放射するため、静電型超音波トランスデューサとも呼ばれる。
図6は、静電型トランスデューサの振動膜31の振動状態を説明するための図である。図5(B)に示した電圧の印加方法により、図6(A)に示すように振動膜31が静電力で電極11側に吸引される。そして、交流信号の電圧の変化により静電力が変化(強弱)し、振動膜31の弾性復元力と静電力とのつり合いにより振動膜31が振動する。
このとき、振動膜31は電極11側に引き付けられるため、振動部分割部材13に振動膜31が張り付く。よって、この部分では振動膜31が殆ど振動しないため、振動膜31を複数の振動する部分(振動部)に分割することになる。具体的には、振動膜31の振動する部分(振動部)は、振動部分割部材(エポキシ絶縁層)13の円形部(図2(B)を参照)と同じ形状になる。よって、振動する部分(振動部)の中央部に対向する位置に電極部14が位置する。このため、従来のプル型の静電型トランスデューサにように振動部の端部で静電力を働かせるよりも、振動膜31に効率的に振動するための力を加えることができる。よって、振幅も大きくなり、音圧を増大できる。
さらに、振動膜31の振動により発生した音波が共鳴管部材21の貫通孔22を通過する。このとき、貫通孔22を共鳴管として作用させる。つまり、主に50kHz(超音波)で音波を発生させたい場合、音の速度約340m/secとして、音の波長が決まる。このため、例えば、共鳴管部材21の厚さ、つまり貫通孔22の長さを波長の約1/4(約1.5mm)とすると、貫通孔22が共鳴管として作用して、音圧が増大する。なお、貫通孔の長さは波長の約1/4に限らず、共鳴する条件として波長の長さをλとした場合、「(入/4)・n、ただし、nは正の奇数」としてもよい。また、波長の約1/4としているのは、共鳴管の開口端補正により若干長さが波長の1/4よりも変化するためである。なお、共鳴の条件は特開2007−68148号公報等に開示されている。
なお、電極11の貫通孔部12は、電極部14を形成する他、この貫通孔部12から空気が抜けることにより振動膜31の空気の抵抗を減らす効果がある。
上記構成により、図6(B)に示すように、振動膜31から放射される音波は、貫通孔(共鳴管)22を通過して、静電型トランスデューサの前面に放射されることになる。
このように、本発明の静電型トランスデューサの構成では、振動膜31が電極11に引き付けられる場合に、振動膜31の振動部分の中央部に対応して静電力を発生させる電極部分がある。このため、従来の構成に比べて振動膜31に効率的に振動するため力を加えられる。また、共鳴管部材21の貫通孔22で共鳴管を形成することにより、さらに、音圧を増大させることができる。よって、静電力を効率よく振動膜31に伝えて振動膜31の振幅を大きくすることができ、高効率かつ高音圧出力の静電型トランスデューサを実現できる。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態においては、共鳴管部材21と電極11とで、振動膜31を挟んで構成される静電型トランスデューサの例について説明したが、本発明の第2の実施の形態では、共鳴管部材21を電極11側に配置した例について説明する。
第1の実施の形態においては、共鳴管部材21と電極11とで、振動膜31を挟んで構成される静電型トランスデューサの例について説明したが、本発明の第2の実施の形態では、共鳴管部材21を電極11側に配置した例について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図であり、エポキシ絶縁層の円形部の中心を通過する断面図である(図2(B)におけるX−X′方向の断面図)。なお、電極11は、図2に示したものと同様であり、共鳴管部材21は、図3に示したものと同様であり、これらの説明については省略する。
図7に示す静電型トランスデューサ1Aにおいては、振動部分割部材(エポキシ樹脂層)13を間に挟み込むようにして振動膜31と電極11とが配置される。
そして、電極11の振動膜31側とは反対の面に、共鳴管部材21が配置される。このとき、振動部分割部材13の円形部(エポキシ絶縁層が塗布されていない円形状の部分)と、共鳴管部材21の貫通孔(共鳴管)22とが、電極11を挟んでそれぞれ対応した位置に配置される。
図7(B)は、本発明の第2の実施の形態に係わる静電型トランスデューサへの電圧の印加方法を示す図である。図7(B)に示すように、直流バイアス電源32により、振動膜31に直流バイアス電圧が印加され、交流信号源33により、電極11に交流信号(交流駆動電圧)がそれぞれ印加される。ただし、電圧の印加方法としては、これに限らず、振動膜31に交流信号(交流駆動電圧)を印加し、電極11に直流バイアスを印加するなど、変更が可能である。
なお、交流信号源33から出力される交流信号は、可聴周波数帯の信号であってもよく、また超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波の信号であってもよい。静電型トランスデューサ1Aに印加される信号が超音波周波数帯の信号である場合は、静電型トランスデューサ1Aは超音波周波数帯の音波を放射するため、静電型超音波トランスデューサとも呼ばれる。
図8は、図7に示す静電型トランスデューサの振動膜31の振動状態を説明するための図である。図7(B)に示した電圧の印加方法により、図8(A)に示すように振動膜31が静電力で電極11側に吸引される。そして、交流信号の電圧の変化により静電力が変化(強弱)し、振動膜31の弾性復元力と静電力とのつり合いにより振動膜31が振動する。
このとき、振動膜31は電極11側に引き付けられるため、振動部分割部材(エポキシ絶縁層)13に振動膜31が張り付く。よって、この部分では振動膜31が殆ど振動しないため、振動膜31を複数の振動する部分(振動部)に分割することになる。具体的には、振動する部分(振動部)は、振動部分割部材13の円形部と同じ形状になる。よって、振動する部分(振動部)の中央部に対向する位置に電極部14が位置する。このため、従来のプル型の静電型トランスデューサにように振動する部分(振動部)の端部で静電力を働かせるよりも、振動膜に効率的に振動するため力を加えることができる。よって、振幅も大きくなり、音圧を増大できる。
さらに、振動膜31の振動により発生した音波が電極11の貫通孔部12の部分を通過し、そして共鳴管部材21の貫通孔22を通過する。このとき、貫通孔22を共鳴管として作用させる。つまり、主に50kHz(超音波)で音波を発生させたい場合、音の速度約340m/Secとして、音の波長が決まる。このため、例えば、共鳴管部材21の厚さ、つまり貫通孔22の長さを波長の約1/4(約1.5mm)とすると、貫通孔22が共鳴管として作用して、音圧が増大する。なお、貫通孔22の長さは波長の約1/4に限らず、共鳴する条件として波長の長さをとした場合、「(入/4)・n、ただし、nは正の奇数」としてもよい。また、波長の約1/4としているのは、共鳴管の開口端補正により若干長さが波長の1/4よりも変化することと電極の厚さ分だけ共鳴周波数が変化するためである。これにより、高効率かつ高音圧出力の静電型トランスデューサになる。なお、共鳴の条件は特開2007−68148号公報などに開示されている。
なお、電極11の貫通孔部12は、電極部14を形成する他、この貫通孔部12から空気が抜けることにより振動膜31の空気の抵抗を減らす効果がある。
このように、図7に示す静電型トランスデューサの構成では、振動膜31が電極11に引き付けられる場合に、振動膜31の振動部分の中央部に対応して静電力を発生させる電極部分があるため、従来の構成に比べて振動膜31に効率的に振動するため力を加えられる。また、共鳴管部材21の貫通孔22で共鳴管を形成することにより、さらに、音圧を増大させることができる。よって、静電力を効率よく振動膜31に伝えて振動膜31の振幅を大きくすることができ、高効率かつ高音圧出力の静電型トランスデューサを実現できる。
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態、および第2の実施の形態では、共鳴管部材21の貫通孔22により共鳴管を形成する例について説明したが、この共鳴管を電極内に形成することができる。本発明の第3の実施の形態においては、電極内に共鳴管を形成する例について説明する。
第1の実施の形態、および第2の実施の形態では、共鳴管部材21の貫通孔22により共鳴管を形成する例について説明したが、この共鳴管を電極内に形成することができる。本発明の第3の実施の形態においては、電極内に共鳴管を形成する例について説明する。
図9は、本発明の第3の実施の形態に係わる静電型トランスデューサにおける電極11Aの構成を示す図である。なお、図9は、電極の一部を説明のために示したものである。
図9に示すように、電極11Aとして、金属(例えば、アルミ合金、ステンレスなど)の導電材料に、貫通孔部12Aを形成する。貫通孔部12Aの形成方法としては金属エッジングした薄板の張り合わせやドリル加工する方法がある。また、図9に示す電極11Aは、図2に示す電極11と比較して、厚みtが大きい点に特徴がある(共鳴管を形成するために厚みが必要になる)。
そして、電極11Aの上に4つの孔(12Aa、12Ab、12Ac、12Ad)を包含するようにエポキシ絶縁層(例えば、レジスト膜)を塗布する。これが、振動部分割部材13Aであり、電極11Aと振動膜31の間に配置され、振動膜31を複数の振動する部分(振動部)に分割する役目になる。なお、振動膜31は、第1の実施の形態、および第2の実施の形態に使用される振動膜と同じ構成のものである(図3(B)を参照)。
図10は、本発明の第3の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図であり、振動部分割部材13Aの円形部の中心を通過する断面図である。図10に示すように、静電型トランスデューサ1Bは、振動部分割部材13Aを間に挟み込むように振動膜31と電極11Aとが配置される。
図10(B)は、本発明の第3の実施の形態に係わる静電型トランスデューサへの電圧の印加方法を示す図である。図10(B)に示すように。直流バイアス電源32により振動膜31に対し直流バイアス電圧が印加され、交流信号源33により電極11Aに交流信号(交流駆動電圧)が印加される。ただし、電圧の印加方法としては、これに限られず、振動膜31に交流信号(交流駆動電圧)を印加し、電極11Aに直流バイアス電圧を印加するなどの変更が可能である。
なお、交流信号源33から出力される交流信号は、可聴周波数帯の信号であってもよく、また超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波の信号であってもよい。静電型トランスデューサ1に印加される信号が超音波周波数帯の信号である場合は、静電型トランスデューサ1は超音波周波数帯の音波を放射するため、静電型超音波トランスデューサとも呼ばれる。
図11は、図10に示す静電型トランスデューサの振動膜31の振動状態を説明するための図である。図10(B)に示した電圧の印加方法により、図11に示すように、振動膜31が静電力で電極11A側に吸引される。そして、交流信号(交流駆動電圧)の電圧の変化により静電力が変化(強弱)し、振動膜31の弾性復元力と静電力とのつり合いにより振動膜31が振動する。
このとき、振動膜31は電極11A側に引き付けられるため、振動部分割部材13Aに振動膜31が張り付く。よって、この部分では振動膜31が殆ど振動しないため、振動膜31を複数の振動する部分(振動部)に分割することになる。具体的には、振動する部分(振動部)は、振動部分割部材(エポキシ絶縁層)13Aの円形部と同じ形状になる。よって、振動する部分(振動部)の中央部に対向する位置に電極部14Aが位置する。このため、振動する部分(振動部)の端部で静電力を働かせるよりも、振動膜に効率的に振動するため力を加えることができる。よって、振幅も大きくなり、音圧を増大できる。
さらに、振動膜31の振動により発生した音波が電極11Aの貫通孔部12Aの部分を通過する。このとき、貫通孔部12Aの部分を共鳴管として作用させる。つまり、主に50kHz(超音波)で音波を発生させたい場合、音の速度約340m/secとして、音の波長が決まるため、例えば、共鳴管部材21の厚さ、つまり貫通孔の長さを波長の約1/4(約1.5mm)とすると、貫通孔部12Aが共鳴管として作用して、音圧が増大する。なお、貫通孔部12Aの長さは波長の約1/4に限らず、共鳴する条件として波長の長さをλとした場合、「(入/4)・n、ただし、nは正の奇数」としてもよい。また、波長の約1/4としているのは、共鳴管の開口端補正により若干長さが波長の1/4よりも変化するためである。これにより、高効率かつ高音質の静電型トランスデューサになる。なお、共鳴の条件は特開2007−68148号公報などに開示されている。
なお、電極の構造としては、図12に示す電極11Bに示す構成に変更が可能である。図12に示す静電型トランスデューサ1Cでは、電極11Bを、樹脂(例えば、アクリル、スーパーエンプラなど)23で構成する。そして、樹脂23にドリル加工や樹脂の射出成型により貫通孔部25を形成し、樹脂23の表面に導電ペースト24を塗布する。これにより、静電型トランスデューサの軽量化を図ることができる。
[第4の実施の形態]
図13は、本発明の第4の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図である。図13に示す静電型トランスデューサ1Dは、振動膜31と、電極11の両方の面に、共鳴管部材21を配置した例である。これにより、振動膜31の両面から発生される音波に対して音圧を増大させ、利用することができる。
図13は、本発明の第4の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図である。図13に示す静電型トランスデューサ1Dは、振動膜31と、電極11の両方の面に、共鳴管部材21を配置した例である。これにより、振動膜31の両面から発生される音波に対して音圧を増大させ、利用することができる。
[第5の実施の形態]
図14は、本発明の第5の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図である。図14に示す静電型トランスデューサ1Eは、図10に示す第3の実施の形態の静電型トランスデューサ1Bに対し、振動膜31の面側に共鳴管部材21を配置した例である。これにより、振動膜31の両面から発生される音波に対して音圧を増大させ、利用することができる。
図14は、本発明の第5の実施の形態に係わる静電型トランスデューサの構成を示す図である。図14に示す静電型トランスデューサ1Eは、図10に示す第3の実施の形態の静電型トランスデューサ1Bに対し、振動膜31の面側に共鳴管部材21を配置した例である。これにより、振動膜31の両面から発生される音波に対して音圧を増大させ、利用することができる。
[第6の実施の形態]
以上説明した第1の実施の形態から、第5の実施の形態における電極および貫通孔の形状は、図2および図9に示した形状に限定されるものではなく、例えば、図15(A)や図15(B)に示す形状のものであってもよい。
以上説明した第1の実施の形態から、第5の実施の形態における電極および貫通孔の形状は、図2および図9に示した形状に限定されるものではなく、例えば、図15(A)や図15(B)に示す形状のものであってもよい。
図15(A)に示す電極11Cは、電極部14Cにおける貫通孔部12Cの個数を増やしたものである。図15(B)に示す電極11Dは、電極部14Dが十字形状になるように貫通孔部12Dを設けたものである。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施形態に係る音響反射板を備える静電型トランスデューサについて説明する。図16は、音響反射板を備える静電型トランスデューサの構成を示す図である。
次に、本発明の第7の実施形態に係る音響反射板を備える静電型トランスデューサについて説明する。図16は、音響反射板を備える静電型トランスデューサの構成を示す図である。
図16に示す音響反射板を備える静電型トランスデューサの構成は、音響反射板51、52を静電型トランスデューサの背面に設置したことを除き、第1の実施の形態で示した静電型トランスデューサ1(図5を参照)の構成と同一である。なお、図16では、図面の見易さから静電型トランスデューサ1の一部のみを示している。
この、音響反射板51、52を備える静電型トランスデューサは、可聴周波数帯の信号により超音波周波数帯のキャリア波を変調した変調信号により駆動される場合に、特に、著しい効果を発揮するものである。このため、以下の説明では、静電型トランスデューサ1を静電型超音波トランスデューサとして使用するものとして説明する。
図16において、音響反射板51、52は、静電型トランスデューサ1の電極11の貫通孔部12から放射された超音波が全て同じ長さの経路で静電型トランスデューサの前面に放射されるように配置されている。
すなわち、音響反射板は、静電型トランスデューサの背面の中心位置Mに一端が位置し、該中心位置Mを基準として静電型トランスデューサの背面の両側に対して45°の角度で配置され他端が静電型トランスデューサの端部X1、X2と一致する長さの一対の第1の反射板51、51と、一対の第1の反射板51、51の前記端部と直角の角度をなして各々前記第1の反射板の外側方向に接続され前記第1の反射板長と同等の長さを有する一対の第2の反射板52、52とを有している。
上記構成において、静電型トランスデューサの背面の中心位置Mの両側に対して45°の角度で第1の反射板51、51を配置し、その端が静電型トランスデューサの端と一致する点までの長さが必要となる。この第1の反射板51、51により静電型トランスデューサ背面から放出された超音波は水平方向へ反射される。
次に第1の反射板51、51と直角の角度を持って接続された第2の反射板52、52を各々第1の反射板51、51の外側へ接続することで超音波は静電型トランスデューサの前面へ放出される。この第2の反射板長も第1の反射板長と同等であることが必要である。ここで重要なことは静電型トランスデューサ背面から放射された超音波が全て同じ長さの経路を持つことである。経路長が同じであることは背面から放出される超音波の位相が全てそろっていることを意味しているからである。
また、図16のように音波を幾何学的に扱うことができるのは、放出する音波が超音波であるため、極めて強い指向性を持つからである。またもう一点言及しておく必要があるのは、静電型トランスデューサ前面から放出された超音波と背面から反射されて前面へ放出された超音波の時間差である。
トランスデューサの中心位置Mからaの距離だけ離れた地点から放出された超音波は、トランスデューサを円形と仮定しその半径をrとすると、トランスデューサ前面まで到達する距離はおおよそ2r、すなわちトランスデューサの直径に等しい。勿論、距離aは次式を満たしていなければならない。
0≦a≦r …… (1)
0≦a≦r …… (1)
今、トランスデューサの直径を約10cmとし、音速を340m/secとすると、前面から放出される超音波と背面から放出された超音波が反射して前面に到達するまでの時間差は約0.29msecであり、人間が知覚できない時間差であるので問題はない。すなわち、トランスデューサの前面および背面から放出される超音波を有効利用できる。
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態に係わる超音波スピーカについて説明する。図17は、本発明の静電型トランスデューサを使用した超音波スピーカの構成を示す図である。
次に、本発明の第8の実施の形態に係わる超音波スピーカについて説明する。図17は、本発明の静電型トランスデューサを使用した超音波スピーカの構成を示す図である。
本実施形態に係る超音波スピーカは、上述した本発明の静電型トランスデューサ(第1の実施の形態乃至第7の実施の形態に係わる静電型トランスデューサ)を、超音波周波数帯の音波を発生する静電型超音波トランスデューサとして使用している。
この静電型超音波トランスデューサは、振動膜31の振動部分の中央部に対応して静電力を発生させる電極部分があるため、従来の構成に比べて振動膜31に効率的に振動するため力を加えられる。また、共鳴管部材21の貫通孔22で共鳴管を形成することにより、さらに、音圧を増大させることができる。
図17において、超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源61と、超音波周波数帯のキャリア波(搬送波)を生成し、出力するキャリア波発振源62と、変調器63と、パワーアンプ64と、静電型超音波トランスデューサ65とを有している。
変調器63は、キャリア波発振源62から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源61から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ64を介して静電型超音波トランスデューサ65に供給する。
変調器63は、キャリア波発振源62から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源61から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ64を介して静電型超音波トランスデューサ65に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源61より出力される信号波によってキャリア波発振源62から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器63により変調し、パワーアンプ64で増幅した変調信号により静電型超音波トランスデューサ65を駆動する。この結果、上記変調信号が静電型超音波トランスデューサ65により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なくビーム状に遠くまで音の届く超音波スピーカを提供することができる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
また、ペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100kHzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数をもちいれば、ペットに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できるということは多くのメリットをもたらす。
このように、本発明の超音波スピーカにおいては、本発明の静電型トランスデューサを使用しており、静電力を効率よく振動膜に伝えて振動膜の振幅を大きくすることができる。また、共鳴管により、さらに出力音圧を増大できるため、音響信号を十分な音圧レベルと広帯域特性を持って再生することができる。特に、超音波スピーカにおいては、音響信号を十分な音圧レベルと広帯域特性を持ってスクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。このため、その再生範囲の制御も容易に行えるようになる。
以上説明したように、本発明の静電型トランスデューサにおいては、振動する部分(振動部)の中央部に対向する位置に電極部が位置する。よって、振動膜が振動する振動部の中央部に静電力が生じる構成となる。このため、同じ静電力が生じた場合に振動膜が振動する振動部の端部にのみ静電力が生じる構成と比べて、振動膜を効率的に振動させるための力を加えることができる。また、本発明の構成により、共鳴管として作用する貫通孔もしくは貫通孔部を有する。よって、共鳴管作用により、放射音波の音圧を増大することができる。したがって、本発明により前述の両方の効果を発生する構成を実現できるため、高効率で高い音圧が得られる静電型トランスデューサおよびそれを備えた超音波スピーカなど実現することができる。
なお、本発明の静電型トランスデューサは超音波スピーカ以外に距離センサーなどのセンサーにも利用できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の静電型トランスデューサ、超音波スピーカは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1、1A、1B、1C、1D、1E・・・静電型トランスデューサ、11、11A、11B、11C、11D・・・電極、12、12A、12C、12D・・・貫通孔部、13、13A・・・振動部分割部材、14、14A、14C、14D・・・電極部、21・・・共鳴管部材、22・・・貫通孔、23・・・樹脂、24・・・導電ペースト、25・・・貫通孔部、31・・・振動膜、31A・・・振動電極層、31B・・・誘電体膜、32・・・直流バイアス電源、33・・・交流信号源、51、52・・・音響反射板、61・・・可聴周波数波発振源、62・・・キャリア波発振源、63・・・変調器、64・・・パワーアンプ、65・・・静電型超音波トランスデューサ
Claims (13)
- 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部を有すると共に、振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成され、
前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項1に記載の静電型トランスデューサ。 - 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、
前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置されること、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項3に記載の静電型トランスデューサ。 - 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、
前記電極の前記振動膜側とは反対の面に、前記振動部分から発生されかつ前記電極の貫通孔部を通過した音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置されること、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項5に記載の静電型トランスデューサ。 - 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、
前記電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させるように構成されたこと、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項7に記載の静電型トランスデューサ。 - 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、
前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する第1の共鳴管部材が配置され、
さらに、前記電極の前記振動膜側とは反対の面に、前記振動部分から発生され、かつ前記電極の貫通孔部を通過した音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する第2の共鳴管部材が配置されること、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項9に記載の静電型トランスデューサ。 - 振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部および該貫通孔部に隣接して前記振動膜との間に印加される電圧により静電力を発生させる電極部を有する電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
前記複数の振動部分において、該振動部分の中央部に対向する位置に前記電極部が位置し、
前記振動膜の前記電極側とは反対の面に、前記振動部分から発生される音波に対して共鳴管として作用する複数の貫通孔を有する共鳴管部材が配置され、
さらに、前記電極の有する貫通孔部を共鳴管として作用させるように構成されたこと、
を特徴とする記載の静電型トランスデューサ。 - 前記振動電極層に直流バイアス電源が印加され、
前記振動電極層と前記電極部間には超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波で変調した変調波が印加され、
前記静電型トランスデューサが超音波を放射する静電型超音波トランスデューサであること、
を特徴とする請求項11に記載の静電型トランスデューサ。 - 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波により超音波周波数帯の搬送波を変調し、該変調波により静電型トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカであって、
前記静電型トランスデューサは、
振動電極層を有する振動膜と、
複数の貫通孔部を有すると共に、前記振動膜との間に印加される電圧により前記振動膜の一方の面側に対して静電力吸引力を作用させる電極と、
前記電極と前記振動膜の間に配置され前記振動膜を複数の振動部分に分割する振動部分割部材と、
を備え、
さらに、前記振動膜の振動部分の中央部に対して静電力吸引力が作用するように前記電極が構成されると共に、
前記振動膜から発生される音波に対して共鳴管として作用する共鳴管構造を備えること、
を特徴とする超音波スピーカ。
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-
2007
- 2007-11-05 JP JP2007287837A patent/JP2009118093A/ja active Pending
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