JP4285537B2 - 静電型超音波トランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は、広周波数帯域に渡って一定の高音圧を発生する指向性の鋭い静電型超音波トランスデューサ、これを用いた指向性の鋭い超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置に関する。
指向性の鋭い音響放射装置としての従来の超音波トランスデューサは圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。
ここで、従来の超音波トランスデューサの構成を図9に示す。従来の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図9に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図9に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成されている。
圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
上述した図9に示す共振型の超音波トランスデューサと異なり、従来より静電方式の超音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音波トランスデューサとして知られている。この静電型の超音波トランスデューサは、振動膜が固定電極側に引き付けられる方向のみ働くことからPull型と呼ばれている。
図10に広帯域発振型超音波トランスデューサ(Pull型)の具体的構成を示す。
図10に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリ・エチレン・テレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用いている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極133が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リード152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されている。
また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイアス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極132には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極132が下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。
誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、137、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめられている。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。
このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、図9に示す超音波トランスデューサの周波数特性が図10において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
上記構成の超音波トランスデューサでは、上電極132に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極132と下電極133との間に矩形波信号(50〜150Vp-p)が印加されるようになっている。因みに、図11に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して−30dBである。
これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である(特許文献1、2参照)。
上述したように、図9に示す共振型の超音波トランスデューサと違い、図10に示す静電方式の超音波トランスデューサは従来から広周波数帯に渡って比較的高い音圧を発生させることが可能な広帯域超音波トランスデューサ(Pull型)として知られている。
しかしながら、音圧の最大値は図11に示すように、共振型の超音波トランスデューサが130dB以上であるのに比べ、静電型の超音波トランスデューサでは120dB以下と音圧が低く、超音波スピーカとして利用するには若干音圧が不足していた。
ここで、超音波スピーカについて説明しておく。キャリア波と呼ばれる超音波周波数帯域の信号にオーディオ信号(可聴周波数帯の信号)でAM変調をかけ、この変調信号で超音波トランスデューサを駆動することにより、超音波を信号源のオーディオ信号で変調した状態の音波が空中に放射され、空気の非線形により、空中で元のオーディオ信号が自己再生される、というものである。
つまり、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはパラメトリックアレイ効果と呼ばれている。
上記のパラメトリック効果が十分現れるためには120dB以上の超音波音圧が必要であるが、静電型の超音波トランスデューサではこの数値を達成することが難しく、もっぱらPZTなどのセラミック圧電素子やPVDFなどの高分子圧電素子が超音波発信体として用いられてきた。
しかし、圧電素子はその材質を問わず鋭い共振点を有しており、その共振周波数で駆動して超音波スピーカとして実用化しているため、高い音圧を確保出来る周波数領域が極めて狭い。すなわち狭帯域であるといえる。
一般に、人間の最大可聴周波数帯域は20Hz〜20kHzと云われており約20kHzの帯域を持つ。すなわち超音波スピーカにおいては、超音波領域で20kHzの周波数帯域に渡って高い音圧を確保しないと、元のオーディオ信号を忠実に復調することは不可能となる。従来の圧電素子を用いた共振型の超音波スピーカでは到底この20kHzという広帯域を忠実に再生(復調)することは困難であることは容易に理解できるであろう。
実際、従来の共振型の超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカでは、(1)帯域が狭く再生音質が悪い、(2)AM変調度をあまり大きくすると復調音が歪むため最大でも0.5程度までしか変調度を上げられない、(3)入力電圧を上げると(ボリュームを上げると)圧電素子の振動が不安定となり、音が割れる。さらに電圧を上げると圧電素子自身が破壊され易い、(4)アレイ化や大型化、小型化が困難であり、それが故にコストが高い、といった問題が有った。
これに対し図10に示した静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)を用いた超音波スピーカは、上記従来技術の抱える課題をほぼ解決できるが、帯域を広くカバーできる反面、復調音が十分な音量であるためには絶対的な音圧が不足しているという問題を抱えていた。
また、Pull型の静電型超音波トランスデューサは、静電力は固定電極側へのみ引き付ける方向にしか働かず振動膜(図10における上電極132に相当する。)の振動の対称性が保たれないため、超音波スピーカに用いる場合、振動膜の振動が直接、可聴音を発生させるという問題が有った。
これに対して、我々は、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる静電型超音波トランスデューサを既に提案した(特許文献3参照)。この静電型超音波トランスデューサの構成を図12に示す。図12(A)は静電型超音波トランスデューサの構成を示し、図12(B)は静電型超音波トランスデューサの一部を破断した平面図を示している。図12において、静電型超音波トランスデューサ1は、電極として機能する導電性材料で形成された導電部材を含む一対の固定電極10A、10Bと、一対の固定電極に挟持され、電極層121を有する振動膜12と、一対の固定電極10A、10Bと振動膜12とを保持する部材(図示せず)とを有している。
振動膜12は、絶縁体(絶縁層)120で形成され、導電性材料で形成された電極層121を有しており、該電極層121には、直流バイアス電源16により単一極性(正極性でも負極性のいずれでもよい。)の直流バイアス電圧が印加されるようになっており、さらに、この直流バイアス電圧に重畳して固定電極10Aと固定電極10Bには、信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが電極層121との間に印加されるようになっている。
また、一対の固定電極10A、10Bは振動膜12を介して対向する位置に同数かつ複数の貫通穴14を有しており、一対の固定電極10A、10Bの導電部材間には信号源18により相互に位相反転した交流信号18A,18Bが印加されるようになっている。16は直流バイアス電源である。
固定電極10Aと電極層121、固定電極10Bと電極層121は、それぞれコンデンサが形成されている。なお、信号源18及び直流バイアス電源16を制御する制御部及び、制御部の制御特性を示すテーブルが格納されている記憶部の構成は、図12では省略してある。
この静電型超音波トランスデューサ1は、導電層121を有する振動膜12を対向する位置に貫通穴が形成された一対の固定電極10A、10Bにより挟持し、振動膜12に直流バイアス電源16により直流バイアス電圧が印加された状態で一対の固定電極10A、10Bに信号源18により交流信号18A,18Bを印加するように構成したものである。
この静電型超音波トランスデューサは、Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサと呼ばれており、一対の固定電極により挟持された振動膜が交流信号の極性に応じた方向において静電吸引力と静電斥力を同時が同方向にかつ同時に受けるために、振動膜の振動をパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、従来のPull型の静電型超音波トランスデューサに比して高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる。
上述したように、指向性の鋭い音響放射装置(例えば、超音波スピーカ)に適用される超音波トランスデューサとしては、上述したように、圧電方式と静電方式が提案されているが、圧電方式は共振点が鋭く広帯域化が困難であるため音再現性に乏しいという欠点を有している(特許文献4,5参照)。これに対し静電方式は振動膜の共振自体が鋭くなく、また音響管の気柱共鳴現象を用いることで広帯域化が可能で音再現性に優れている(音質がよい)という長所を有している(特許文献3参照)。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報 特開2005−354472号公報 特開昭61−296897号公報 特開2000−287297号公報
しかしながら、超音波スピーカに超音波トランスデューサを適用する場合には超音波トランスデューサの出力音圧が高いことが要求されるが、比較的高い音圧が得られる静電方式の超音波トランスデューサでも更なる高音圧化が望まれていた。
更に静電方式の超音波トランスデューサでは、高音圧出力を得るためには電極間に印加する電圧は、200V以上の高電圧が必要となり、低電圧化を図ることが解決課題となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電極間に印加する電圧が従来より低電圧でかつ高音圧を得ることができる低消費電力化を図った静電型超音波トランスデューサ、これを用いた超音波スピーカ、音声信号再生方法、超指向性音響システム及び表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。ここで、本願明細書及び特許請求の範囲において、貫通穴とは、上記第1の電極及び第2の電極の厚さ方向に貫通して空けられた音波を通過させる柱状の空間を指すものとする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極において、静電力を作用させるのに必要な箇所である、貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層が形成される。
これにより、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、を含み、前記一対の電極の母材は非導電性材料であり、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に段部を有し、前記振動膜の前記電極層に対向する前記段部表面に電極層を有すると共に、前記一対の電極と前記振動膜の前記電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極の母材は非導電性材料であり、前記一対の電極の貫通穴の周縁部に段部を有し、前記振動膜の電極層に対向する前記段部表面に電極層を有する。
これにより、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極の母材は、導電材料であり、前記一対の電極は、電極部分のみが凸形状となっており、前記貫通穴を有する前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより構成され、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極の母材は、導電材料であり、前記一対の電極の各々は、前記振動膜の電極層との距離を長くとるように静電力を作用させるための電極部分のみが凸形状に形成され、貫通穴を有する前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより一体的に構成される。
これにより、前記一対の電極において静電力を作用させる部分以外の前記一対の電極の電極層と、振動膜の電極層との間の距離を大きくとることができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。ここで、本願明細書及び特許請求の範囲において、貫通穴の内部とは、上記第1の電極及び第2の電極の厚さ方向に貫通して空けられた音波を通過させる柱状の空間内を指すものとする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極において、静電力を作用させるのに必要な箇所である、貫通穴の内部に位置する箇所に電極層を有する。
これにより、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極の母材は非導電性材料であり、前記一対の電極は、前記貫通穴の内部に位置し、前記振動膜の前記電極層に対向するブリッジ状の母材部分の表面に電極層を有するとともに、前記一対の電極と前記振動膜の前記電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極の母材は非導電性材料であり、前記一対の電極の貫通穴の内部に位置し、前記振動膜の電極層に対向するようにブリッジ状に形成された母材部分の表面に電極層を有する。
これにより、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極の母材は、導電材料であり、前記一対の電極は、電極部分のみが凸形状でかつ前記振動膜の電極層に対向するようにブリッジ状に形成された前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより構成され、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする。
上記構成からなる、本発明の静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)では、前記一対の電極の母材は、導電材料であり、前記一対の電極は、前記振動膜の電極層との距離を長くとるように静電力を作用させるための電極部分のみが凸形状でかつ前記振動膜の電極層に対向するようにブリッジ状に形成された前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより一体的に構成される。
これにより、前記一対の電極において静電力を作用させる部分以外の前記一対の電極の電極層と、振動膜の電極層との間の距離を大きくとることができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
また、本発明の超音波スピーカは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調手段とを有し、前記静電型超音波トランスデューサは、前記電極と前記振動膜の電極層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは、使用される静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極において、静電力を作用させるのに必要な箇所である、貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有するので、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。すなわち、従来の超音波スピーカと同一の音圧を、より少ないエネルギーで発生させることが可能となり、超音波スピーカの低消費電力化が図れる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサによる音声信号再生方法は、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサを使用すると共に、信号源により可聴周波数帯の信号波を生成する手順と、キャリア波供給手段により超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力する手順と、変調手段により前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調した変調信号を生成する手順と、前記電極と前記振動膜の電極層との間に前記変調信号を印加することにより前記静電型超音波トランスデューサを駆動する手順とを含むことを特徴とする。
このような手順を含む静電型超音波トランスデューサの音声信号再生方法では、信号源により可聴周波数帯の信号波が生成され、またキャリア波供給源により超音波周波数帯のキャリア波が生成され、出力される。そして、変調手段によりキャリア波が前記可聴周波数帯の信号波により変調され、この変調信号が電極と振動膜の電極層との間に印加され、静電型超音波トランスデューサが駆動される。
これにより、上記構成の静電型超音波トランスデューサにより、電極間に印加する電圧が低電圧でかつ膜振動を増大でき、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を出力し、音声信号を再生することが可能になる。
また、本発明の超指向性音響システムは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサを用いて構成され、音響ソースから供給される音声信号のうち中高音域の音声信号を再生する超音波スピーカと、前記音響ソースから供給される音声信号のうち低音域の音声信号を再生する低音再生用スピーカとを有し、前記超音波スピーカにより前記音響ソースから供給される音声信号を再生し、スクリーン等の音波反射面近傍に仮想音源を形成することを特徴とする。
上記構成の超指向性音響システムでは、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサで構成される超音波スピーカを使用する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号のうち中高音域の音声信号を再生する。また、音響ソースから供給される音声信号のうち低音域の音声信号は低音再生用スピーカにより再生する。
したがって、中高音域の音響を、静電型超音波トランスデューサの電極間に印加される電圧が低電圧化され、かつ音圧特性が改善された状態で十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。また、低音域の音響は、音響システムに備えられた低音再生用スピーカから直接出力されるので、低音域の補強ができ、より臨場感の高い音場環境を創生できる。
また、本発明の表示装置は、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサを含んで構成され、音響ソースから供給される音声信号から可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系とを有することを特徴とする。
上記構成の表示装置では、貫通穴を有する第1の電極と、貫通穴を有する第2の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを含み、前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に位置する箇所に電極層を有し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカを使用する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号を再生する。
これにより、音響信号を音圧特性が改善された状態で十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。このため、音響信号の再生範囲の制御も容易に行えるようになる。また、超音波スピーカから放射される音の指向性制御を行うことが可能である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[本発明による静電型超音波トランスデューサの構成例]
本発明の第1実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成を図1に示す。図1(A)は、静電型超音波トランスデューサの構成を示し、同図(B)は、超音波トランスデューサの一部を破断した平面図を示している。
図1において、本発明の第1実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は、貫通穴14を有する固定電極10A(第1の電極)と、固定電極10Aの貫通穴14と対をなす貫通穴14を有する固定電極10B(第2の電極)と、固定電極10Aと固定電極10Bからなる一対の固定電極10A、10Bに挟まれ、電極層121を有する振動膜12と、一対の固定電極10A、10Bと振動膜を保持する部材(図示せず)とを有している。
振動膜12は、絶縁体(絶縁層)120で形成され、絶縁体(絶縁層)120中間部には導電性材料で形成された電極層121が形成されている。振動膜12は、具体的には、数ミクロン厚の高分子膜(絶縁体)の片面にメタライズ加工したものが、接着剤により積層されている。高分子膜の材料としては、例えばポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、アラミド、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS)などを用いる。メタライズの材料はAlが最も一般的で、その他、Ni、Cu、SUS、Tiなどでも良い。
メタライズの厚さは500Å〜1500Å程度が望ましい。
これらの電極層121には、直流バイアス電源16により単一極性(本実施形態では、正極性であるが、正極性でも負極性のいずれでもよい。)の直流バイアス電圧が印加されるようになっている。振動膜12のメタライズ部分(電極層121)には回路側より50〜300Vの直流バイアス電圧が印加される。
さらに、この直流バイアス電圧に重畳して固定電極10Aと固定電極10Bには、信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが複数の電極層121との間に印加されるようになっている。
また、一対の固定電極10A、10Bは振動膜12を介して対向する位置に同数かつ複数の貫通穴14を有している。一対の固定電極10A、10Bの母材100は非導電性材料であり、一対の電極10A、10Bは、該一対の電極10A、10Bが有する貫通穴14の周縁部に段部を有しており、振動膜の電極層121に対向する段部表面には導電材料で電極層101が形成されている。
上記一対の固定電極10A、10Bの母材である非導電性材料としては、例えば、ガラス、ガラス繊維材料、プラスチック、硬質ゴム等を使用することができる。また、電極層101を形成する導電材料としては、銅、アルミ、ニッケル、金、銀、クロム等を使用することができる。母材で形成された前記一対の電極10A、10Bの段部表面に電極層101をメッキ、蒸着、印刷等の手法により形成する。
固定電極10Aと振動膜12における電極層121との間と、固定電極10Bと振動膜12の電極層121との間には信号源18により相互に位相反転した交流信号18A,18Bが印加されるようになっている。一対の固定電極10A、10Bには回路側より100〜300V程度の交流電圧(交流信号)が印加される。16は直流バイアス電源である。
そして、固定電極10Aと電極層121、固定電極10Bと電極層121により、それぞれコンデンサが形成されている。なお、信号源18及び直流バイアス電源16を制御する制御部及び、制御部の制御特性を示すテーブルが格納されている記憶部の構成は、図1では省略してある。
上記構成において、超音波トランスデューサ1は、振動膜12における電極層121に、直流バイアス電源16により単一極性の(本実施形態では正極性の)直流バイアス電圧が印加される。信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが重畳された状態で印加される。
一方、固定電極10Aと振動膜12、固定電極10Bと振動膜12における電極層121との間には、それぞれ、信号源18より相互に位相反転した交流信号18A,18Bが印加される。
この結果、信号源18から出力される交流信号18Aの正の半サイクルでは、固定電極10Aに正の電圧が印加されるために、振動膜12の固定電極で挟持されていない表面部分12Aには、静電反発力が作用し、表面部分12Aは、図1上、下方に引っ張られる。
また、このとき、交流信号18Bが負のサイクルとなり、対向する固定電極10Bには負の電圧が印加されるために、振動膜12の前記表面部分12Aの裏面側である裏面部分12Bには、静電吸引力が作用し、裏面部分12Bは、図1上、さらに下方に引っ張られる。
したがって、振動膜12の一対の固定電極10A、10Bにより挟持されていない膜部分は、同方向に静電吸引力と静電反発力(静電斥力)を受ける。これは、信号源18から出力される交流信号の負の半サイクルについても同様に、振動膜12の表面部分12Aには図1上、上方に静電吸引力が、また裏面部分12Bには、図1上、上方に静電反発力が作用し、振動膜12の一対の固定電極10A、10Bにより挟持されていない膜部分は、同方向に静電吸引力と静電斥力を受ける。このようにして、交流信号の極性の変化に応じて振動膜12が同方向に静電吸引力と静電斥力を受けながら、交互に静電力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。
このように本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は、振動膜12が一対の固定電極10A、10Bから力を受けて振動することからプッシュプル(Push―Pull)型と呼ばれている。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は、従来の、振動膜に静電吸引力のみしか作用しない静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)に比して、広帯域性と高音圧を同時に満たす能力を持っている。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性を図11に示す。同図において、曲線Q3が本実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性である。同図から明らかなように、従来の広帯域型の静電型超音波トランスデューサの周波数特性に比して、より広い周波数帯にわたって、高い音圧レベルが得られることが分かる。具体的には、20kHz〜120kHzの周波数帯域においてパラメトリック効果が得られる120dB以上の音圧レベルが得られることが分かる。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ1は一対の固定電極10A、10Bに挟持された薄膜の振動膜12が静電吸引力と静電斥力の両方を受けるため、大きな振動が発生するばかりでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広帯域に渡って発生させることができる。
ここで、本発明の特徴である図1における固定電極10A(第1の電極)、固定電極10B(第2の電極)の構造の一例を図2に示す。図2(A)は固定電極10A、10Bの片側の平面図、図2(B)は図2(A)におけるX−X’切断線による断面図、図2(C)は2(A)におけるX−X’切断線による断面構造の他の例を示す図である。図2では、説明の便宜上、音が放射される貫通穴は7個のみ表示してある。図2に示したように、非導電性材料の母材100に貫通穴14の周縁部に段部100Aを形成するように加工し、その段部100A表面に電極層101を形成する。
母材の加工方法は、プレス、射出成型、マシニング加工等、材質により適宜選定する。従来は電極層に加え、母材部分も導電性材料であったため、前記一対の固定電極10A、10Bと振動膜12の電極層121との間で形成される静電容量の容量値が大きく、低消費電力困難であった。
本発明の第1実施形態では、この母材を非導電性材料で構成することにより電極面積を低減し、上記静電容量の容量値を低減することができる。この結果、静電型超音波トランスデューサ駆動時における低消費電力化が図れる。
図2(A)、図2(B)に示した電極構造において、貫通穴14の径をφ0.75mm、電極層101の外径をφ1.5mm、貫通穴ピッチを1.625mmとしたとき、母材100を非導電性材料で構成することにより静電容量の容量値を20%低減することができる。これは、電流も20%低減することを意味しており、従来と同等の電圧を一対の固定電極10A、10Bと振動膜12の電極層121との間に印加したときに流れる電流が従来例の80%になることを意味しており、その結果、消費電力も従来例の80%とすることが可能となる。
図2(C)は、図2(A)におけるX−X’切断線による電極の断面構造の他の例(第1実施形態の変形例)を示している。静電型超音波トランスデューサの固定電極以外の構成は基本的に図1と同一であるので、図1及び図2(C)を参照して、この変形例について説明する。静電型超音波トランスデューサ1における一対の固定電極10A、10Bと振動膜12の電極層121との間で形成される静電容量の容量値を低減する電極構造の他の例である。図2(C)において、一対の固定電極10A、10Bの母材110は、図1、図2(A),(B)の場合とは、異なり導電材料であり、一対の固定電極10A、10Bの各々は、振動膜12の電極層121との距離を長くとるように貫通穴14を有し静電力を作用させるための電極部分110Aのみが凸形状に形成された母材110と、挿通孔112の空いた非導電性部材111とから構成されている。そして一対の固定電極10A、10Bの各々は、前記母材110の凸形状の電極部分110Aが前記非導電性部材111の挿通孔112に嵌装されることにより一体的に構成されている。その他の構成は、図1、図2(A)と同様である。
上記構成により、図2(C)に示す電極構造をとる場合には、前記一対の固定電極10A、10Bにおいて静電力を作用させる部分以外の前記一対の固定電極10A、10Bの電極層(電極部分110A)と、振動膜の電極層121(図1参照)との間の距離を大きくとることができ、前記一対の固定電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサについて説明する。本発明の第2実施形態に係る静電型超音波トランスデューサは、図1における一対の固定電極10A、10Bの構造を除き、基本的に第1実施形態と同一であるので、図1及び図3を参照して第2実施形態に係る静電型超音波トランスデューサについて説明する。本発明の第2実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの固定電極の構造を図3に示す。図3(A)は固定電極10A、10Bの片側の平面図、図3(B)は図3(A)におけるY−Y’切断線による断面図、図3(C)は図3(A)におけるY−Y’切断線による断面構造の他の例を示す図である。
図1及び図3(A),(B)において、一対の固定電極10A、10Bの母材200は非導電性材料であり、一対の固定電極10A、10Bの貫通穴214の内部に位置し、振動膜12の電極層121に対向するようにブリッジ状に形成された母材部分200Aの表面に電極層201が形成されている。
これにより、静電型超音波トランスデューサにおける一対固定電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
図3(C)は、図3(A)におけるY−Y’切断線による電極の断面構造の他の例(第2実施形態の変形例)を示している。図1及び図3(C)において、静電型超音波トランスデューサ1における一対の固定電極10A、10Bの母材210は、導電材料であり、前記一対の固定電極10A、10Bの各々は、振動膜12の電極層121との距離を長くとるように静電力を作用させるための電極部分210Aのみが凸形状でかつ振動膜12の電極層121に対向するようにブリッジ状に形成された母材210と、挿通孔212の空いた非導電性部材211とからなり、母材210の凸形状の電極部分210Aが非導電性部材211の挿通孔212に嵌装されることにより一体的に構成される。
これにより、一対の固定電極10A、10Bにおいて静電力を作用させる部分以外の前記一対の電極の電極層(電極部分210A)と、振動膜12の電極層121との間の距離を大きくとることができ、前記一対の電極10A、10Bと、振動膜12の電極層121とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ(Push−Pull型超音波トランスデューサ)によれば、一対の電極(固定電極)において、静電力を作用させるのに必要な箇所である、貫通穴の周縁部もしくは内部に位置する箇所に電極層が形成される。
これにより、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。
したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。
図3(A),(B),(C)の実施形態では、非導電性材料または導電性材料の母材に電極層(電極部分)を形成しているが、これに限らず、電極を構成するための母材を設けずに貫通穴をブリッジ状の電極で橋架するように構成してもよい。この場合にも第2の実施形態と同様の効果が得られる。
[本発明による超音波スピーカの構成例]
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図4に示す。本実施形態に係る超音波スピーカは、上述した本発の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ(図1参照)を超音波トランスデューサ55として用いたものである。
図4において、本実施形態に係る超音波スピーカ50は、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源(信号源)51と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波発振源(キャリア波供給手段)52と、変調器(変調手段)53と、パワーアンプ54と、超音波トランスデューサ(静電型超音波トランスデューサ)55とを有している。
変調器53は、キャリア波発振源52から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源51から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ54を介して超音波トランスデューサ55に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源51より出力される信号波によってキャリア波発振源52から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器53により変調し、パワーアンプ54で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ55を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ55により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
以上のように高音圧の広帯域性が確保されると様々な用途にスピーカとして利用することが可能となる。超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なくビーム状に遠くまで音の届く超音波スピーカを提供することができる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
また、ペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100kHzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数をもちいれば、ペットに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できるということは多くのメリットをもたらす。
本発明の実施形態に係る超音波スピーカによれば、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる。
また、上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは、使用される静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極において、静電力を作用させるのに必要な箇所である、貫通穴の周縁部もしくは内部に位置する箇所に電極層が形成されるので、前記一対の電極の電極層面積を低減することができ、前記一対の電極と、振動膜の電極層とで形成される静電容量を小さくすることができる。したがって、静電型超音波トランスデューサを容量性負荷として使用する場合に、負荷インピーダンスが大きくなり、静電型超音波トランスデューサにおける前記一対の電極の各々の電極と振動膜の電極層との間に流れる電流が減少し、静電型超音波トランスデューサの駆動時における低電圧化、延いては低消費電力化が図れる。すなわち、従来の超音波スピーカと同一の音圧を、より少ないエネルギーで発生させることが可能となり、超音波スピーカの低消費電力化が図れる。
[本発明による超指向性音響システムの構成例の説明]
次に、本発明の静電型超音波トランスデューサ、すなわち、貫通穴を有する第1の電極と、前記第1の電極の前記貫通穴と対をなす貫通穴を有する第2の電極と、前記第1と第2の電極からなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の電極の貫通穴の周縁部もしくは内部に位置する箇所に電極層を形成し、前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されるPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサを用いて構成される超音波スピーカを使用した超指向性音響システムについて説明する。
以下、本発明に係る超指向性音響システムの一例としてプロジェクタを例に採り説明する。なお、本発明に係る超指向性音響システムは、プロジェクタに限らず、音声と映像の再生を行う表示装置に広く適用できるものである。
図5は本発明に係るプロジェクタの使用状態を示している。同図に示すように、プロジェクタ301は視聴者303の後方に設置され、視聴者303の前方に設置されたスクリーン302に映像を投影するとともに、プロジェクタ301に搭載されている超音波スピーカによりスクリーン302の投影面に仮想音源を形成し、音声を再生するようになっている。
プロジェクタ301の外観構成を図6に示す。プロジェクタ301は、映像をスクリーン等の投影面に投影する投影光学系を含むプロジェクタ本体320と、超音波周波数帯の音波を発振できる超音波トランスデューサ324A,324Bを含んで構成され、音響ソースから供給される音声信号から可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカとが一体的に構成されている。本実施形態では、ステレオ音声信号を再生するために、投影光学系を構成するプロジェクタレンズ331を挟んで左右に超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ324A,324Bがプロジェクタ本体に搭載されている。
さらに、プロジェクタ本体320の底面には低音再生用スピーカ323が設けられている。また、325は、プロジェクタ本体320の高さ調整を行うための高さ調節ねじ、326は、空冷フアン用の排気口である。
また、プロジェクタ301では、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサとして本発明によるPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサを使用しており、広周波数帯域の音響信号(超音波周波数帯の音波)を高音圧で発振することができる。このため、キャリア波の周波数を変更することにより可聴周波数帯の再生信号の空間的な再生範囲を制御することにより、ステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステム等で得られるような音響効果を従来必要であった大掛かりな音響システムを必要とすることなく実現でき、かつ持ち運びが容易なプロジェクタを実現することができる。
次に、プロジェクタ301の電気的構成を図7に示す。プロジェクタ301は、操作入力部310と、再生範囲設定部312、再生範囲制御処理部313、音声/映像信号再生部314、キャリア波発振源316、変調器318A,318B、パワーアンプ322A,322B及び静電型超音波トランスデューサ324A,324Bからなる超音波スピーカと、ハイパスフィルタ317A,317Bと、ローパスフィルタ319と、加算器321と、パワーアンプ322Cと、低音再生用スピーカ323と、プロジェクタ本体320とを有している。なお、静電型超音波トランスデューサ324A,324Bは本発明によるPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサである。
プロジェクタ本体320は、映像を生成する映像生成部332と、生成された映像を投影面に投影する投影光学系333とを有している。プロジェクタ301は、超音波スピーカ及び低音再生用スピーカ323と、プロジェクタ本体320とが一体化されて構成されている。
操作入力部310は、テンキー、数字キー、電源のオン、オフをおこなうための電源キーを含む各種機能キーを有している。再生範囲設定部312は、ユーザが操作入力部310をキー操作することにより再生信号(信号音)の再生範囲を指定するデータを入力できるようになっており、該データが入力されると、再生信号の再生範囲を規定するキャリア波の周波数が設定され、保持されるようになっている。再生信号の再生範囲の設定は、超音波トランスデューサ324A,324Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより行われる。
また、再生範囲設定部312は、音声/映像信号再生部314より映像内容に応じて出力される制御信号によりキャリア波の周波数が設定できるようになっている。
また、再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波発振源316により生成されるキャリア波の周波数を変更するようにキャリア波発振源316を制御する機能を有する。
例えば、再生範囲設定部312の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、キャリア波発振源316に対して50kHzで発振するように制御する。
再生範囲制御処理部313は、再生範囲を規定する超音波トランスデューサ324A,324Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離とキャリア波の周波数との関係を示すテーブルが予め記憶されている記憶部を有している。このテーブルのデータは、キャリア波の周波数と上記再生信号の到達距離との関係を実際に計測することにより得られる。
再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにキャリア波発振源316を制御する。
音声/映像信号再生部314は、例えば、映像媒体としてDVDを用いるDVDプレーヤーであり、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号は、ハイパスフィルタ317Aを介して変調器318Aに、Lチャンネルの音声信号はハイパスフィルタ317Bを介して変調器318Bに、映像信号はプロジェクタ本体320の映像生成部332にそれぞれ、出力されるようになっている。
また、音声/映像信号再生部314より出力されるRチャンネルの音声信号とLチャンネルの音声信号は、加算器321により合成され、ローパスフィルタ319を介してパワーアンプ322Cに入力されるようになっている。音声/映像信号再生部314は、音響ソースに相当する。
ハイパスフィルタ317A,317Bは、それぞれ、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における中高音域の周波数成分のみを通過させる特性を有しており、またローパスフィルタは、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における低音域の周波数成分のみを通過させる特性を有している。
したがって、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号は、それぞれ超音波トランスデューサ324A、324Bにより再生され、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号は低音再生用スピーカ323により再生されることとなる。
なお、音声/映像信号再生部314はDVDプレーヤーに限らず、外部から入力されるビデオ信号を再生する再生装置であってもよい。また、音声/映像信号再生部314は、再生される映像のシーンに応じた音響効果を出すために再生音の再生範囲を動的に変更するように、再生範囲設定部312に再生範囲を指示する制御信号を出力する機能を有している。
キャリア波発振源316は、再生範囲設定部312より指示された超音波周波数帯の周波数のキャリア波を生成し、変調器318A,318Bに出力する機能を有している。
変調器318A,318Bは、キャリア波発振源316から供給されるキャリア波を音声/映像信号再生部314から出力される可聴周波数帯の音声信号でAM変調し、該変調信号を、それぞれパワーアンプ322A,322Bに出力する機能を有する。
超音波トランスデューサ324A,324Bは、それぞれ、変調器318A,318Bからパワーアンプ322A,322Bを介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。
映像生成部332は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイと、該ディスプレイを音声/映像信号再生部314から出力される映像信号に基づいて駆動する駆動回路等を有しており、音声/映像信号再生部314から出力される映像信号から得られる映像を生成する。
投影光学系333は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体320の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
次に、上記構成からなるプロジェクタ301の動作について説明する。まず、ユーザのキー操作により操作入力部310から再生信号の再生範囲を指示するデータ(距離情報)が再生範囲設定部312に設定され、音声/映像信号再生部314に再生指示がなされる。
この結果、再生範囲設定部312には、再生範囲を規定する距離情報が設定され、再生範囲制御処理部313は、再生範囲設定部312に設定された距離情報を取り込み、内蔵する記憶部に記憶されているテーブルを参照し、上記設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数のキャリア波を生成するようにキャリア波発振源316を制御する。
この結果、キャリア波発振源316は、再生範囲設定部312に設定された距離情報に対応する周波数のキャリア波を生成し、変調器318A,318Bに出力する。
一方、音声/映像信号再生部314は、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号を、ハイパスフィルタ317Aを介して変調器318Aに、Lチャンネルの音声信号をハイパスフィルタ317Bを介して変調器318Bに、Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号を加算器321に出力し、映像信号をプロジェクタ本体320の映像生成部332にそれぞれ、出力する。
したがって、ハイパスフィルタ317Aにより上記Rチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器318に入力され、ハイパスフィルタ317Bにより上記Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器318Bに入力される。
また、上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号は加算器321により合成され、ローパスフィルタ319により上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号がパワーアンプ322Cに入力される。
映像生成部332では、入力された映像信号に基づいてディスプレイを駆動して映像を生成し、表示する。このディスプレイに表示された映像は、投影光学系333により、投影面、例えば、図5に示すスクリーン302に投影される。
他方、変調器318Aは、キャリア波発振源316から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ317Aから出力される上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ322Aに出力する。
また、変調器318Bは、キャリア波発振源316から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ317Bから出力される上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ322Bに出力する。
パワーアンプ322A,322Bにより増幅された変調信号は、それぞれ、超音波トランスデューサ324A,324Bの上電極10Aと下電極10B(図1参照)との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射され、超音波トランスデューサ324Aからは、上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生され、超音波トランスデューサ324Bからは、上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生される。
また、パワーアンプ322Cで増幅された上記Rチャンネル及びLチャンネルにおける低音域の音声信号は低音再生用スピーカ323により再生される。
前述したように、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播においては、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生する。
放射する超音波帯域の信号(キャリア波)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が超音波周波数帯のキャリア波と分離して自己復調する形で形成される。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ324から出力されるビーム状の再生信号は、投影光学系333により映像が投影される投影面(スクリーン)に向けて放射され、投影面で反射され拡散する。この場合に、再生範囲設定部312に設定されるキャリア波の周波数に応じて、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、キャリア波のビーム幅(ビームの拡がり角)が異なるために、再生範囲は、変化する。
プロジェクタ301における超音波トランスデューサ324A,324Bを含んで構成される超音波スピーカによる再生信号の再生時の状態を図8に示す。プロジェクタ301において、キャリア波が音声信号により変調された変調信号により超音波トランスデューサが駆動される際に、再生範囲設定部312により設定されたキャリア周波数が低い場合は、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が長くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、比較的拡がらずに投影面(スクリーン)302に到達することとなり、この状態で投影面302において反射するので、再生範囲は、図8において点線の矢印で示す可聴範囲Aとなり、投影面302から比較的に遠くかつ狭い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
これに対して、再生範囲設定部312により設定されたキャリア周波数が上述した場合より高い場合は、超音波トランスデューサ324の音波放射面から放射される音波は、キャリア周波数が低い場合より絞られているが、超音波トランスデューサ324の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が短くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、投影面302に到達する前に拡がって投影面302に到達することとなり、この状態で投影面302において反射するので、再生範囲は、図8において実線の矢印で示す可聴範囲Bとなり、投影面302から比較的に近くかつ広い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
以上説明したように、本発明のプロジェクタでは、本発明によるPush−Pull型、またはPull型の静電型超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカを使用しており、音響信号を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。このため、その再生範囲の制御も容易に行えるようになる。また、静電型超音波トランスデューサを既述したように、振動膜の振動領域を複数のブロックに分割し、上記振動膜の電極層と振動用電極パターンの各ブロック間との間に印加する交流信号の位相を、隣接するブロック間でそれぞれ所定の位相差をもたせるように駆動制御することにより、超音波スピーカから放射される音の指向性制御を行うことが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の静電型超音波トランスデューサ、および超音波スピーカは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサは、各種センサ、例えば、測距センサ等に利用可能であり、また、既述したように、指向性スピーカ用の音源や、理想的なインパルス信号発生源等に利用可能である。また、超指向性音響システムや、プロジェクタ等の表示装置にも有用である。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成を示す図。 図1における固定電極の構造の一例を示す平面図及び断面図 図1における固定電極の構造の他の例を示す断面図。 超音波スピーカの構成例を示す図。 本発明の実施形態に係るプロジェクタの使用状態を示す図。 図4に示したプロジェクタの外観構成を示す図。 図4に示したプロジェクタの電気的構成を示すブロック図。 超音波トランスデューサによる再生信号の再生状態を示す説明図。 従来の共振型の超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の静電型の広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。 本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの周波数特性を従来の超音波トランスデューサの周波数特性と共に示した図。 従来の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図。
符号の説明
1…静電型超音波トランスデューサ、10A、10B…固定電極、12…振動膜、12A…表面部分、12B…裏面部分、14…貫通穴、16…直流バイアス電源、18…信号源、50超音波スピーカ、51…可聴周波数波発振源、52…キャリア波信号源、53…変調器、54…パワーアンプ、55…超音波トランスデューサ、120…絶縁体、121…電極層、301…プロジェクタ、302…スクリーン(投影面)、303…視聴者、310…操作入力部、312…再生範囲設定部、313…再生範囲制御処理部、314…音声/映像信号再生部、316…キャリア波発振源、317A,317B…ハイパスフィルタ(HPF)、318A,318B…変調器、319…ローパスフィルタ(LPF)、320…プロジェクタ本体、321…加算器、322A,322B,322C…パワーアンプ、323…低音再生用スピーカ、324A,324B…静電型超音波トランスデューサ、331…プロジェクタレンズ、332…映像生成部、333…投影光学系

Claims (3)

  1. 貫通穴を有する第1の電極と、
    貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    を含み、
    前記一対の電極の母材は非導電性材料であり、
    前記一対の電極は、前記貫通穴の周縁部に段部を有し、前記振動膜の前記電極層に対向する前記段部表面に電極層を有すると共に、
    前記一対の電極と前記振動膜の前記電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  2. 貫通穴を有する第1の電極と、
    貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    を含み、
    前記一対の電極の母材は、導電材料であり、
    前記一対の電極は、電極部分のみが凸形状となっており、前記貫通穴を有する前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより構成され、
    前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  3. 貫通穴を有する第1の電極と、
    貫通穴を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の前記貫通穴と前記第2の電極の前記貫通穴とが対をなすように配置されかつ前記第1の電極と前記第2の電極とからなる一対の電極に挟まれるとともに電極層を有し、該電極層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    を含み、
    前記一対の電極の母材は、導電材料であり、
    前記一対の電極は、電極部分のみが凸形状でかつ前記振動膜の電極層に対向するようにブリッジ状に形成された前記母材と、挿通孔の空いた非導電性部材とからなり、前記母材の凸形状の電極部分が前記非導電性部材の前記挿通孔に嵌装されることにより構成され、
    前記一対の電極と前記振動膜の電極層との間に交流信号が印加されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
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