JPH09326608A - 薄膜多層電極、高周波伝送線路、高周波共振器及び高周波フィルタ - Google Patents

薄膜多層電極、高周波伝送線路、高周波共振器及び高周波フィルタ

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JPH09326608A
JPH09326608A JP8140056A JP14005696A JPH09326608A JP H09326608 A JPH09326608 A JP H09326608A JP 8140056 A JP8140056 A JP 8140056A JP 14005696 A JP14005696 A JP 14005696A JP H09326608 A JPH09326608 A JP H09326608A
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dielectric
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thin
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JP8140056A
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Yohei Ishikawa
容平 石川
Seiji Hidaka
青路 日高
Noribumi Matsui
則文 松井
Tomoyuki Ise
智之 伊勢
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、以上の問題点を解決して、
表面に凹凸やポアがあるセラミック誘電体基板上に形成
することができ、しかも従来例と同等の表皮効果の抑圧
効果を得ることができる薄膜多層電極を提供する。 【解決手段】 誘電体基板上に、薄膜導体膜と薄膜誘電
体膜とが交互に積層された薄膜多層電極であって、上記
薄膜多層電極が誘電体基板上に誘電体基板の表面を平坦
にするように成膜された平坦化誘電体膜を含んでなり、
かつ薄膜導体膜と薄膜誘電体膜の各膜厚を、使用周波数
において、平坦化誘電体膜が形成された誘電体基板に生
じる電磁界の位相と各薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位
相とが互いに実質的に一致するように、所定の式で表さ
れる誘電体基板の実効誘電率εm (eff)に基づいて設定し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波、準ミ
リ波又はミリ波の高周波帯において用いられる薄膜多層
電極に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子部品の小型化が進む中、マイ
クロ波、準ミリ波又はミリ波などの高周波帯においても
高誘電率材料を用いることによって、デバイスの小型化
がなされてきている。しかし、誘電率を大きくすること
によって形状を縮小すると、体積の立方根に反比例して
エネルギー損失が増大するという問題点があった。この
高周波デバイスのエネルギー損失は、表皮効果による導
体損失と、誘電体材料による誘電体損失とに大きく分類
することができるが、近年では、高誘電率のものでも低
損失な特性を有する誘電体材料が実用化されており、従
って、誘電体損失よりも導体損失の方が回路の無負荷Q
において支配的である。
【0003】以上のような情況の下、本出願人は国際出
願公開第WO95/06336号公報において、高周波
帯での導体損失が低減できる薄膜多層電極を提案した。
図4は国際出願公開第WO95/06336号公報で開
示した従来例の薄膜多層電極200を用いて構成した1
/2波長線路型共振器の斜視図である。図4の薄膜多層
電極200は、まず、裏面全面に接地導体11が形成さ
れた誘電体基板110上に、長手方向の長さがλg/2
(λgは管内波長)である帯形状の薄膜導体膜3aが形
成され、次いで、薄膜導体膜3a上に、薄膜誘電体膜3
0a−2、、薄膜導体膜2a、薄膜誘電体膜30a−
1、薄膜導体膜1aの順で積層して形成されて、誘電体
基板110上に薄膜多層電極200が形成される。
【0004】以上のようにして、薄膜導体膜3aと、接
地導体11と、薄膜導体膜3aと接地導体11間に挟設
された誘電体基板110によってTEMモードのマイク
ロストリップ線路(以下、主伝送線路という。)LN1
10が構成される一方、当該主伝送線路LN110上
に、薄膜誘電体膜30a−2が1対の薄膜導体膜2a,
3aで挟設されてなるTEMモードの副伝送線路と、薄
膜誘電体膜30a−1が1対の薄膜導体膜1a,2aで
挟設されてなるTEMモードの副伝送線路とが積層され
ている。 ここで、従来例の薄膜多層電極200は、国
際出願公開第WO95/06336号公報において開示
されている方法を用いて、(a)各薄膜誘電体膜30a
−1,30a−2の各膜厚と誘電率εsとをそれぞれ、
主伝送線路LN110と各副伝送線路を伝搬するTEM
波の位相速度とを互いに実質的に一致させるように、所
定の値に設定しかつ(b)各薄膜導体膜2a,3aの各
膜厚をそれぞれ、互いに隣接する主伝送線路LN110
と副伝送線路間及び副伝送線路と副伝送線路間で各電磁
界を互いに結合させるように、使用周波数における表皮
深さより薄い所定の膜厚に設定している。これにより、
主伝送線路LN110に流れる高周波エネルギーの一部
を各副伝送線路に移行させ、各薄膜導体膜1a〜3aに
おいてそれぞれに高周波電流が流れるように構成して、
高周波における薄膜多層電極200の表皮効果を大幅に
抑圧するというものである。
【0005】ここで、国際出願公開第WO95/063
36号公報に開示されている薄膜多層電極は、平坦な表
面を有する誘電体基板の上に形成されることを前提に、
薄膜導体膜と薄膜誘電体膜の各膜厚を設定していて、ア
ルミナの単結晶からなるサファイア基板の鏡面研磨され
た表面に形成されることが例示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の薄膜多層電極は、図5に示すように、表面に凹凸やポ
アがあるセラミック誘電体基板10上に形成しようとす
ると、当該凹凸やポアが原因で、隣接する薄膜導体膜間
において短絡する場合があり、表皮効果の抑圧効果が劣
化するという問題点があった。また、以上の問題点を解
決するために、セラミック誘電体基板10の表面を研磨
して薄膜多層電極を形成しても、誘電体基板の内部に存
在するポアが表面に出てきて、上記問題点を解決するた
めの十分な解決策にはならず、また、このような方法を
用いると、セラミック誘電体基板の表面研磨に時間がか
かるので、薄膜多層電極を形成するための製造コストが
高くなるという新たな問題点を生じていた。さらに、上
記問題点を解決するために、セラミック誘電体基板10
の表面の凹凸やポアに充填するように、平坦化誘電体膜
を形成した上に、薄膜多層電極を形成すると、薄膜導体
膜間の短絡は、防止することができるが、表皮効果の抑
圧効果が劣化するという問題点があった。
【0007】本発明の目的は、以上の問題点を解決し
て、表面に凹凸やポアがあるセラミック誘電体基板上に
形成することができ、しかも従来例と同等の表皮効果の
抑圧効果を得ることができる薄膜多層電極を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄膜多層電
極は、表面に凹凸やポアのある誘電体基板の表面に、当
該表面を平坦化するための平坦化誘電体膜を形成して、
薄膜多層電極を形成する場合において、上記誘電体基板
に生じる電磁界の位相と上記各薄膜誘電体膜に生じる電
磁界の位相とが互いに実質的に一致するように、上記平
坦化誘電体膜を考慮して薄膜導体膜と薄膜誘電体膜の各
膜厚を設定する方法を見いだして、完成させたものであ
る。すなわち、本発明は、誘電体基板上に、薄膜導体膜
と薄膜誘電体膜とが交互に積層された薄膜多層電極であ
って、上記薄膜多層電極が、上記誘電体基板上に上記誘
電体基板の表面を平坦にするように形成された平坦化誘
電体膜を含んでなり、かつ上記薄膜導体膜と上記薄膜誘
電体膜の各膜厚が、所定の使用周波数において、上記平
坦化誘電体膜が形成された誘電体基板に生じる電磁界の
位相と上記各薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位相とが互
いに実質的に一致するように設定されたことを特徴とす
る。ここで、上記誘電体基板に生じる電磁界の位相と上
記薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位相とが互いに実質的
に一致するとは、当該薄膜多層電極を用いて伝送線路を
構成した場合には、上記誘電体基板の内部と上記薄膜誘
電体膜の内部とを伝送する各進行波の位相速度が実質的
に一致することであり、当該薄膜多層電極を用いて共振
器を構成する場合には、上記誘電体基板と上記各薄膜誘
電体膜に生じる電磁界が実質的に同位相で振動すること
をいう。
【0009】また、本発明に係る薄膜多層電極は、より
効果的に表皮効果を抑圧するために、上記薄膜多層電極
の各薄膜導体膜と各薄膜誘電体膜の各膜厚が、平坦化誘
電体膜の膜厚と比誘電率を用いて以下の式で表される、
補正された誘電体基板の実効誘電率εm (eff)に基づいて
設定されることが好ましい。 εm (eff)=(h1+h2)(h1/εm1+h2/εm2-11;誘電体基板の板厚、 h2;平坦化誘電体膜の膜厚、 εm1;誘電体基板の比誘電率、 εm2;平坦化誘電体膜の比誘電率。
【0010】本発明に係る高周波伝送線路は、誘電体基
板の少なくとも一方の面に、所定の形状の本発明に係る
薄膜多層電極が形成されてなる。また、本発明におい
て、好ましくは、上記誘電体基板の比誘電率の温度係数
を、上記高周波伝送線路の特性インピーダンスが温度に
対して変化しないように、所定の値に設定する。
【0011】本発明に係る高周波共振器は、誘電体基板
の少なくとも一方の面に、所定の形状の本発明に係る薄
膜多層電極が形成されてなる。また、本発明において、
好ましくは、上記誘電体基板の比誘電率の温度係数を、
上記高周波共振器の共振周波数が温度に対して変化しな
いように、所定の値に設定する。
【0012】本発明に係る高周波フィルタは、互いに隣
接する2つの共振器が互いに電磁的に結合するように設
けられた複数の本発明に係る高周波共振器と、上記共振
器に信号を入力する入力端子と、上記共振器から出力さ
れる信号を出力する出力端子とを備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
<実施形態>以下、図面を参照して本発明に係る実施形
態について説明する。図1は、一実施形態の1/2波長
線路型共振器の斜視図であって、セラミック誘電体基板
10の上面に、当該基板10の表面を平坦にするための
平坦化誘電体膜20を形成し、当該誘電体膜20上に、
薄膜導体膜と薄膜誘電体膜とが交互に積層されたことを
特徴とする。すなわち、本発明に係る薄膜多層電極10
0は、図1の上方の円内に断面図で示すように、セラミ
ック誘電体基板10の表面に形成された平坦化誘電体膜
20を含んでなり、薄膜導体膜1,2,3及び薄膜誘電
体膜30−1,30−2の各膜厚は、詳細後述するよう
に、平坦化誘電体膜20の膜厚と比誘電率とを考慮し
て、薄膜多層電極100が所定の使用周波数で使用され
たときに、セラミック誘電体基板10に生じる電磁界の
位相と各薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位相とが実質的
に一致するように設定される。ここで、図1の円内に示
した断面図は、図1の下に示した斜視図におけるA−
A’線及びB−B’線の縦断面の角の部分を拡大して示
している。
【0014】さらに詳細に説明すると、本実施形態の1
/2波長線路型共振器においては、まず、裏面全面に接
地導体11が形成されたセラミック誘電体基板10の上
面の全面に、平坦化誘電体膜20が形成されて、セラミ
ック誘電体基板10の上面が、例えば、表面粗さRaが
0.05μm以下になるように実質的に平坦化される。
ここで、セラミック誘電体基板10は、所定の誘電体材
料をシート状に成型し、所定の温度で焼成することによ
り製造され、本実施形態では、小型で高い無負荷Qを有
する1/2波長線路型共振器を形成するために、(Z
r,Sn)TiO4、BaO−PbO−Nd23−Ti
2等からなる、高誘電率で、低損失なセラミック誘電
体基板を用いることが好ましい。また、セラミック誘電
体基板10の表面に形成する誘電体膜20は、当該基板
10の表面の凹凸やポアを埋めてかつ平坦な表面を形成
することが容易な、例えば、基板と同じ組成の(Zr,
Sn)TiO4やSrTiO3等の基板と同じ程度の誘電
率をもつ誘電体材料を、スパッタリングやMO(Met
al Organic)CVDの方法を用いて形成する
ことが好ましく、当該誘電体材料の誘電率は、セラミッ
ク誘電体基板10の比誘電率に近い値のものが好まし
い。この場合、スパッタリングやMOCVDを用いて誘
電体膜20を形成するときの条件を適切な条件に設定し
て、セラミック誘電体基板10の表面の凹凸やポアを埋
め、かつ薄膜導体膜と薄膜誘電体膜を形成するべき表面
を平坦にする。
【0015】そして、平坦化誘電体膜20の上面に、長
手方向の長さがλg/2(λgは管内波長)である帯形
状の薄膜導体膜3が形成され、次いで、薄膜導体膜3上
に、薄膜誘電体膜30−2、薄膜導体膜2、薄膜誘電体
膜30−1、薄膜導体膜1の順で形成される。これによ
って、誘電体基板10上に、平坦化誘電体膜20、薄膜
導体膜3、薄膜誘電体膜30−2、薄膜導体膜2、薄膜
誘電体膜30−1及び薄膜導体膜1が積層されてなる薄
膜積層電極100が形成される。ここで、薄膜誘電体膜
30−1,30−2は、誘電損失が小さくかつ薄膜の形
成が容易なSiO2、Ta25、TaSiO等を用いる
ことが好ましい。一方、接地導体11及び薄膜導体膜1
〜3は、Cu,Al,Au,Ag等の導電率の高い金属
を使用することが好ましい。
【0016】以上のように形成された1/2波長線路型
共振器において、薄膜導体膜3と、接地導体11と、薄
膜導体膜3と接地導体11間に挟設された誘電体基板1
0とによってTEMモードのマイクロストリップ線路
(以下、主伝送線路という。)LN10が構成される一
方、当該主伝送線路LN10上に、薄膜誘電体膜30−
2が1対の薄膜導体膜2,3で挟設されてなるTEMモ
ードの副伝送線路と、薄膜誘電体膜30−1が1対の薄
膜導体膜1,2で挟設されてなるTEMモードの副伝送
線路とが積層される。
【0017】ここで、特に、詳細後述する方法を用い
て、平坦化誘電体膜20を考慮して、(a)各薄膜誘電
体膜30−1,30−2の各膜厚をそれぞれ、主伝送線
路LN10と各副伝送線路を伝搬するTEM波の位相速
度を互いに実質的に一致させるように設定し、かつ
(b)各薄膜導体膜2,3の各膜厚をそれぞれ、使用周
波数における表皮深さより薄い所定の膜厚に設定するこ
とによって、互いに隣接する主伝送線路LN10と副伝
送線路間及び副伝送線路と副伝送線路間で各電磁界を互
いに結合させる。これにより、平坦化誘電体膜20を含
む薄膜多層電極100においても、高周波における表皮
効果を大幅に抑圧することができる。また、本実施形態
においては、薄膜導体膜1,2,3及び薄膜誘電体膜3
0−1,30−2は、特願平6−310900号におい
て提案した方法を用いて、従来例の薄膜多層電極200
に比較してさらに効果的に表皮効果を抑圧するように、
誘電体基板10から離れて形成される上層ほど、厚くな
るように形成した。
【0018】次に、平坦化誘電体膜20を含んでなる薄
膜多層電極100における膜厚の設定方法について説明
する。従来技術の所で説明したように、セラミック誘電
体基板10の上面に平坦化誘電体膜20を形成した後、
従来例の薄膜多層電極を形成すると、表皮効果の抑圧効
果が劣化する。これは、本発明者らの検討によると、平
坦化誘電体膜が形成されたことによって、誘電体基板の
実効的な比誘電率が変化しためであることが確認され
た。
【0019】そこで、図2(a)に示す、上面に平坦化
誘電体膜20が形成されたセラミック誘電体基板10
の、単位面積当たりにおける厚さ方向の等価回路を、図
2(b)に示す簡単な回路で表して、当該等価回路に基
づいて、平坦化誘電体膜20が形成されたセラミック誘
電体基板10の実効誘電率εm (eff)(以下、単に実効誘
電率εm (eff)という。)を求めた。ここで、図2(b)
においてキャパシタC1とコンダクタンスG1とからな
る第1の並列回路は、セラミック誘電体基板10を表
し、キャパシタC2とコンダクタンスG2とからなる第
2の並列回路は平坦化誘電体膜20を表す。その結果、
実効誘電率εm (eff)は次の数1で表わせることがわかっ
た。
【0020】
【数1】 εm (eff)=(h1+h2)(h1/εm1+h2/εm2-1
【0021】ここで、h1はセラミック誘電体基板10
の板厚であり、h2は平坦化誘電体膜20の膜厚であ
る。この場合、セラミック誘電体基板10の表面には凹
凸があるので、セラミック誘電体基板10の板厚h1
び平坦化誘電体膜20の膜厚h2は、面内で平均した値
を用いる。また、εm1はセラミック誘電体基板10の比
誘電率であり、εm2は平坦化誘電体膜20の比誘電率で
ある。さらに、平坦化誘電体膜20を含めたセラミック
誘電体基板10の誘電体Qd(1/tanδで表され
る。)は、セラミック誘電体基板10の誘電体Qd1と平
坦化誘電体膜の誘電体Qd2を用いて、次の数2で表すこ
とができる。この数2から、誘電体Qdを劣化させない
ためには、誘電体Qd2の大きい用いることが効果的であ
ることがわかる。
【0022】
【数2】Qd=(1/C1+1/C2){(1/C1)(1/Qd1)+
(1/C2)(1/Qd2)}-1
【0023】本発明者らは、上述の数1で表される実効
誘電率εm (eff)を用いて、国際出願公開第WO95/0
6336号公報に開示されている方法に従って、薄膜多
層電極100の薄膜導体膜1,2,3及び薄膜誘電体膜
30−1,30−2の各膜厚を設定することにより、平
坦化誘電体膜20を形成した場合においても、従来例の
薄膜多層電極200と同等の表皮効果の抑圧効果を得る
ことができることを確認した。また、数1で表される実
効誘電率εm (eff)を用いて、特願平6−310900号
に従って、薄膜導体膜1,2,3及び薄膜誘電体膜30
−1,30−2の各膜厚を誘電体基板10から離れて形
成される上層ほど、厚くなるように設定して、従来例の
薄膜多層電極200に比較してさらに効果的に表皮効果
を抑圧するようにできることを確認した。
【0024】以上のようにして、薄膜積層電極100
と、接地導体11と、薄膜積層電極100と接地導体1
1とによって挟設された誘電体基板10によって、無負
荷Qの高い1/2波長線路型共振器を構成することがで
きる。さらに、誘電体基板10上に、入力端子用導体1
2が、薄膜多層電極100の長手方向の一端と所定の間
隔だけ離れかつ電磁的に互いに結合するように近接して
形成される一方、出力端子用導体13が、薄膜多層電極
100の長手方向の他端と所定の間隔だけ離れかつ電磁
的に互いに結合するように近接して形成して、1/2波
長線路型共振器を用いた帯域通過フィルタを構成でき
る。なお、本実施形態においては、入力端子用導体12
と薄膜導体膜3の一端との結合と、出力端子用導体13
と薄膜導体膜3の他端との結合とは、容量結合である。
【0025】以上のように、本実施形態では、誘電体基
板10上に形成された誘電体膜20を含む薄膜多層電極
100において、表皮効果を効果的に抑圧できる薄膜導
体膜と薄膜誘電体膜の各膜厚の設定方法を見いだしたの
で、セラミック誘電体基板10上に導体損失の小さい薄
膜多層電極100を形成することができる。これによっ
て、サファイア基板に比較して比誘電率が大きいセラミ
ック誘電体基板を用いて、高周波共振器や伝送線路を構
成できるので、当該共振器や伝送線路を小型にできる。
また、セラミック誘電体基板10は、種々の組成に調合
して製造でき、その組成を変更することにより比較的自
由に比誘電率の温度係数を調整できるので、比誘電率の
温度係数を所定の値に設定することにより、共振周波数
が温度に対して変化しない共振器や、特性インピーダン
スが温度に対して変化しない伝送線路を構成できる。
【0026】<本発明に係る薄膜多層電極の他の応用例
>上述した実施形態では、薄膜多層電極100を用いて
1/2波長線路型共振器を構成したが、以下に示す伝送
線路又は共振器にも応用することができる。図3の
(a)は、本発明に係る薄膜多層電極を用いたマイクロ
ストリップ線路の斜視図であり、マイクロストリップ線
路のストリップ導体51及び接地導体52に薄膜多層電
極を用いる。なお、ストリップ導体51のみに薄膜多層
電極を用いてもよいし、接地導体52のみに薄膜多層電
極を用いてもよい。また、図3の(b)は、本発明に係
る薄膜多層電極を用いたトリプレート型ストリップ線路
の斜視図であり、ストリップ線路のストリップ導体61
と接地導体62,63に薄膜多層電極を用いる。なお、
ストリップ導体61のみに薄膜多層電極を用いてもよい
し、接地導体62,63の少なくとも1つのみに薄膜多
層電極を用いてもよい。さらに、図3の(c)は、本発
明に係る薄膜多層電極を用いた同軸線路の斜視図であ
り、当該同軸線路の中心導体71と接地導体72に薄膜
多層電極を用いる。中心導体71のみ薄膜多層電極を用
いてもよいし、接地導体72のみに薄膜多層電極を用い
てもよい。またさらに、図3の(d)は、本発明に係る
薄膜多層電極73を用いたTM01モード円形導波管の縦
断面図であり、円形導波管の外表面電極に薄膜多層電極
を用いる。
【0027】また、図3の(e)は、本発明に係る薄膜
多層電極を用いたTM010モード共振器の斜視図であ
り、当該共振器のパッチ導体81と接地導体82とに薄
膜多層電極を用いる。パッチ導体81のみに薄膜多層電
極を用いてもよいし、接地導体82のみに用いてもよ
い。また、図示しないが、薄膜多層電極は、サスペンデ
ッド線路、コプレーナー線路、スロットライン、矩形導
波管、リッジ導波管、円形導波管、誘電体線路、G線
路、イメージ線路、H線路などの電極に用いてもよい。
さらに、アイソレータ、アンテナ、チップコイルなどの
インダクタ、キャパシタなどのそれぞれ所定の高周波動
作を行う種々の高周波デバイスの電極に、本発明に係る
薄膜多層電極を用いることができる。以上のように本発
明に係る薄膜多層電極は、種々の共振器や伝送線路に応
用でき、上述の実施形態と同様の効果を有する。
【0028】ここで、図3(d)に示すようにTEMモ
ード以外のTMモードの伝送線路に使用する場合は、当
該伝送線路が所定の周波数で使用されたときに、誘電体
基板を伝送するTMモードの進行波の位相速度と、薄膜
誘電体膜を伝送するTMモードの進行波の位相速度が実
質的に一致するように、各薄膜誘電体膜の各膜厚及び誘
電率、上記各薄膜導体膜の各膜厚及び上記各接着導体の
各膜厚を設定する。また、図3(e)に示すように共振
器に使用する場合は、当該共振器が所定の周波数で共振
するときに、誘電体基板に生じる定常波の電磁界の振動
位相と各薄膜誘電体膜に生じる定常波の電磁界の振動位
相とが互いに実質的に一致するように、各薄膜誘電体膜
の各膜厚及び誘電率、上記各薄膜導体膜の各膜厚及び上
記各接着導体の各膜厚を設定する。以上のように、本発
明に係る薄膜多層電極は、種々の高周波伝送線路、高周
波共振器及び高周波フィルタ等に応用することができ
る。
【0029】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
薄膜多層電極は、上記誘電体基板上に成膜された平坦化
誘電体膜を含んでなり、薄膜導体膜と薄膜誘電体膜の各
膜厚が、所定の使用周波数において、上記平坦化誘電体
膜が形成された誘電体基板に生じる電磁界の位相と上記
各薄膜誘電体膜に生じる電磁界の位相とが互いに実質的
に一致するように形成されているので、表面に凹凸やポ
アを有するセラミック誘電体基板上に形成することがで
き、しかも従来例と同等の表皮効果の抑圧効果を得るこ
とができる。
【0030】また、本発明の薄膜多層電極は、薄膜導体
膜と薄膜誘電体膜の各膜厚が、上記薄膜多層電極の各薄
膜導体膜と各薄膜誘電体膜の各膜厚が、上記薄膜導体膜
の導電率と、上記薄膜誘電体膜の誘電率と、所定の式で
表される誘電体基板の実効誘電率εm (eff)とに基づいて
設定されることにより、さらに効果的に表皮効果の抑圧
効果を得ることができる。
【0031】本発明に係る高周波伝送線路は、使用周波
数において導体損失を小さくできる本発明に係る薄膜多
層電極を用いて構成されているので、伝送損失を小さく
できる。また、本発明において、上記誘電体基板の比誘
電率の温度係数を所定の値に設定することにより、上記
高周波伝送線路の特性インピーダンスを温度に対して変
化しないようにできる。
【0032】本発明に係る高周波共振器は、共振周波数
において導体損失が小さい本発明に係る薄膜多層電極を
用いて構成されているので、無負荷Qを高くできる。ま
た、本発明において、上記誘電体基板の誘電率の温度係
数を所定の値に設定することにより、上記高周波共振器
の共振周波数が温度に対して変化しないようにできる。
【0033】本発明に係る高周波フィルタは、無負荷Q
の高い本発明に係る共振器を用いて構成されているの
で、通過帯域の損失を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る薄膜多層電極を用いた実施形態
の1/2波長線路型共振器の斜視図である。
【図2】 (a)は、上面に平坦化誘電体膜20がされ
たセラミック誘電体基板10を、単位面積片を示す図で
あり、(b)は、平坦化誘電体膜20を含むセラミック
誘電体基板10の単位面積当たりの、厚さ方向の等価回
路を示す図である。
【図3】 本発明に係る薄膜多層電極を用いた種々の応
用例を示す斜視図及び断面図である。
【図4】 従来例の薄膜多層電極を用いた1/2波長線
路型共振器の斜視図である。
【図5】 表面に凹凸のあるセラミック誘電体基板10
の表面に従来例の薄膜多層電極を形成したときの斜視図
である。
【符号の説明】
1,2,3…薄膜導体膜、 10…セラミック誘電体基板、 11…接地導体、 12…入力端子用導体、 13…出力端子用導体、 20…平坦化誘電体膜、 30−1,30−2…薄膜誘電体膜、 100…薄膜多層電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊勢 智之 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板上に、薄膜導体膜と薄膜誘電
    体膜とが交互に積層された薄膜多層電極であって、 上記薄膜多層電極が、上記誘電体基板上に上記誘電体基
    板の表面を平坦にするように形成された平坦化誘電体膜
    を含んでなり、 かつ上記薄膜導体膜と上記薄膜誘電体膜の各膜厚が、所
    定の使用周波数において、上記平坦化誘電体膜が形成さ
    れた誘電体基板に生じる電磁界の位相と上記各薄膜誘電
    体膜に生じる電磁界の位相とが互いに実質的に一致する
    ように設定されたことを特徴とする薄膜多層電極。
  2. 【請求項2】 上記薄膜導体膜と上記薄膜誘電体膜の各
    膜厚が、上記平坦化誘電体膜の比誘電率と膜厚とを用い
    て、以下の式で表される誘電体基板の実効誘電率εm
    (eff)に基づいて設定された請求項1記載の薄膜多層電
    極。 εm (eff)=(h1+h2)(h1/εm1+h2/εm2-11;誘電体基板の板厚、 h2;平坦化誘電体膜の膜厚、 εm1;誘電体基板の比誘電率、 εm2;平坦化誘電体膜の比誘電率。
  3. 【請求項3】 誘電体基板の少なくとも一方の面に、請
    求項1又は2記載の薄膜多層電極が所定の形状に形成さ
    れた高周波伝送線路。
  4. 【請求項4】 上記誘電体基板の比誘電率の温度係数
    を、上記高周波伝送線路の特性インピーダンスが温度に
    対して変化しないように、所定の値に設定した請求項3
    記載の高周波伝送線路。
  5. 【請求項5】 誘電体基板の少なくとも一方の面に、請
    求項1又は2記載の薄膜多層電極が所定の形状に形成さ
    れた高周波共振器。
  6. 【請求項6】 上記誘電体基板の比誘電率の温度係数
    を、上記高周波共振器の共振周波数が温度に対して変化
    しないように、所定の値に設定した請求項5記載の高周
    波共振器。
  7. 【請求項7】 互いに隣接する2つの共振器が互いに電
    磁的に結合するように設けられた複数の請求項5又は6
    記載の共振器と、 上記共振器に信号を入力する入力端子と、 上記共振器から出力される信号を出力する出力端子とを
    備えた高周波フィルタ。
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